(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ヘテロ接合電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0747 20120101AFI20240628BHJP
【FI】
H01L31/06 455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501097
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 CN2022101226
(87)【国際公開番号】W WO2023279989
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202110767660.2
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524004179
【氏名又は名称】安徽▲華▼晟新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI HUASUN ENERGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 99 Qingliu Road, Xuancheng Economic And Technological Development Zone, Xuancheng, Anhui, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徐▲暁▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】辛科
(72)【発明者】
【氏名】周▲粛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲コン▼道仁
(72)【発明者】
【氏名】王文静
(72)【発明者】
【氏名】李晨
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲夢▼▲瑩▼
(72)【発明者】
【氏名】程尚之
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA02
5F251AA05
5F251CA14
5F251CA34
5F251GA04
(57)【要約】
本願はヘテロ接合電池及びその製造方法を提供し、ヘテロ接合電池は、半導体基板層と、前記半導体基板層の少なくとも一側の面に位置する真性半導体複合層と、を含み、前記真性半導体複合層は、下地真性層と、前記下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面に位置するワイドバンドギャップ真性層と、を含み、前記ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが前記下地真性層のバンドギャップよりも大きい。ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが大きく、ヘテロ接合電池に太陽光を照射する時、ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップよりもエネルギーが小さい光子は寄生吸収され得ず、太陽光に対する真性半導体複合層の寄生吸収が低減され、それにより太陽光に対する半導体基板層の吸収が多くなり、半導体基板層によって生成される光生成キャリアが多くなり、さらにヘテロ接合電池の短絡電流が向上し得、ヘテロ接合電池の変換効率が向上し得る。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロ接合電池であって、
半導体基板層と、前記半導体基板層の少なくとも一側の面に位置する真性半導体複合層と、を含み、
前記真性半導体複合層は、下地真性層と、前記下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面に位置するワイドバンドギャップ真性層と、を含み、前記ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが前記下地真性層のバンドギャップよりも大きい、ことを特徴とするヘテロ接合電池。
【請求項2】
前記真性半導体複合層は前記半導体基板層の表面側のみに位置し、又は、前記真性半導体複合層は前記半導体基板層の背面側のみに位置し、又は、前記真性半導体複合層は前記半導体基板層の両側の面に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のヘテロ接合電池。
【請求項3】
前記ワイドバンドギャップ真性層は第1サブワイドバンドギャップ真性層~第Nサブワイドバンドギャップ真性層を含み、Nは1以上の整数であり、
好ましくは、第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン、炭素ドープアモルファスシリコン、酸素ドープナノ結晶シリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、nは1以上N以下の整数であり、
好ましくは、前記下地真性層は、第1サブ下地真性層と、前記第1サブ下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面に位置する第2サブ下地真性層と、を含み、前記第2サブ下地真性層の欠陥状態密度が前記第1サブ下地真性層の欠陥状態密度よりも小さく、
好ましくは、前記第1サブ下地真性層の厚さと前記第2サブ下地真性層の厚さとの比は0.15:1~0.35:1であり、
好ましくは、前記第1サブ下地真性層の厚さが0.3nm~0.8nmであり、前記第2サブ下地真性層の厚さが1nm~2.5nmであり、
好ましくは、前記半導体基板層の片側に位置する前記真性半導体複合層の総厚は2nm~10nmである、ことを特徴とする請求項2に記載のヘテロ接合電池。
【請求項4】
Nは2以上の整数であり、第kサブワイドバンドギャップ真性層は第k+1サブワイドバンドギャップ真性層と前記半導体基板層との間に位置し、kは1以上N-1以下の整数であり、
好ましくは、N=2であり、
好ましくは、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン又は酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、第2サブワイドバンドギャップ真性層の材料には炭素ドープアモルファスシリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層における酸素とシリコンとのモル比は1:1~1:5であり、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層における炭素とシリコンとのモル比は1:1~1:5であり、好ましくは、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.0eV~9eVであり、第2サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.0eV~9eVであり、
好ましくは、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の材料には炭素ドープアモルファスシリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン又は酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層における炭素とシリコンとのモル比は1:1~1:5であり、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層における酸素とシリコンとのモル比は1:1~1:5であり、好ましくは、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.0eV~9eVであり、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.0eV~9eVであり、
好ましくは、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層の厚さと前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の厚さとの比は0.5:1~1.5:1であり、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の厚さと前記下地真性層の厚さとの比は0.5:1~1.5:1であり、
好ましくは、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層の厚さが1.5nm~4nmであり、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の厚さが1.5nm~4nmであり、前記下地真性層の厚さが1.3nm~3.3nmであり、
好ましくは、前記半導体基板層の表面側に位置する真性半導体複合層について、前記真性半導体複合層における前記第k+1サブワイドバンドギャップ真性層の屈折率が前記第kサブワイドバンドギャップ真性層の屈折率よりも小さく、
好ましくは、前記半導体基板層の背面側に位置する真性半導体複合層について、前記真性半導体複合層と前記半導体基板層との間の価電子帯差が0.6eV~7.9eVである、ことを特徴とする請求項3に記載のヘテロ接合電池。
【請求項5】
Nは1に等しく、前記ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.0eV~9eVであり、
好ましくは、前記ワイドバンドギャップ真性層の厚さと前記下地真性層の厚さとの比は1:1~3:1であり、
好ましくは、前記ワイドバンドギャップ真性層の厚さが2nm~8nmであり、前記下地真性層の厚さが1.3nm~3.3nmである、ことを特徴とする請求項1に記載のヘテロ接合電池。
【請求項6】
ヘテロ接合電池の製造方法であって、
半導体基板層を提供するステップと、
前記半導体基板層の少なくとも一側の面に真性半導体複合層を形成するステップと、を含み、
前記真性半導体複合層を形成するステップは、前記半導体基板層の少なくとも一側の面に下地真性層を形成することと、前記下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面にワイドバンドギャップ真性層を形成することと、を含み、前記ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが前記下地真性層のバンドギャップよりも大きい、ことを特徴とするヘテロ接合電池の製造方法。
【請求項7】
前記半導体基板層の表面側のみに前記真性半導体複合層を形成し、又は、前記半導体基板層の背面側のみに前記真性半導体複合層を形成し、又は、前記半導体基板層の両側の面に前記真性半導体複合層を形成する、ことを特徴とする請求項6に記載のヘテロ接合電池の製造方法。
【請求項8】
前記下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面に前記ワイドバンドギャップ真性層を形成するステップは、前記下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面に第1サブワイドバンドギャップ真性層~第Nサブワイドバンドギャップ真性層を順次形成し、Nは1以上の整数であり、
好ましくは、第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン、炭素ドープアモルファスシリコン、炭素ドープナノ結晶シリコン又は酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、nは1以上N以下の整数であり、
好ましくは、Nは2以上の整数であり、第kサブワイドバンドギャップ真性層は第k+1サブワイドバンドギャップ真性層と前記半導体基板層との間に位置し、kは1以上N-1以下の整数であり、
好ましくは、前記半導体基板層の表面側に位置する真性半導体複合層について、前記真性半導体複合層における前記第k+1サブワイドバンドギャップ真性層の屈折率が前記第kサブワイドバンドギャップ真性層の屈折率よりも小さく、
好ましくは、前記半導体基板層の背面側に位置する真性半導体複合層について、前記真性半導体複合層と前記半導体基板層との間の価電子帯差が0.6eV~7.9eVである、ことを特徴とする請求項7に記載のヘテロ接合電池の製造方法。
【請求項9】
化学気相成長プロセスによって前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成し、
好ましくは、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料に酸素ドープアモルファスシリコンが含まれる場合、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成するプロセスパラメータとして、採用されるガスはシランと、水素ガスと、二酸化炭素とを含み、ここで、シランと水素ガスの体積比は1:1~1:10であり、二酸化炭素とシランの体積比は1:1~1:5であり、チャンバ圧力は0.2mBar~1mBarであり、成長温度は180℃~240℃であり、ソースRF電力密度が150W/m
2~600W/m
2であり、
好ましくは、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料に酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれる場合、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成するプロセスパラメータとして、採用されるガスはシランと、水素ガスと、二酸化炭素とを含み、ここで、シランと水素ガスの体積比は1:20~1:80であり、二酸化炭素とシランの体積比は1:1~1:5であり、チャンバ圧力は0.5mBar~5mBarであり、成長温度は180℃~240℃であり、ソースRF電力密度が500W/m
2~2250W/m
2であり、
好ましくは、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料に炭素ドープアモルファスシリコンが含まれる場合、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成するプロセスパラメータとして、採用されるガスはシラン、水素ガス及びメタンを含み、ここで、シランと水素ガスの体積比は1:1~1:10であり、メタンとシランの体積比は1:1~1:5であり、チャンバ圧力は0.2mBar~1mBarであり、成長温度は180℃~240℃であり、ソースRF電力密度が150W/m
2~600W/m
2であり、
好ましくは、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料に炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれる場合、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成するプロセスパラメータとして、採用されるガスはシランと水素ガスとメタンとを含み、ここで、シランと水素ガスの体積比は1:20~1:80であり、メタンとシランの体積比は1:1~1:5であり、チャンバ圧力は0.5mBar~5mBarであり、成長温度は180℃~240℃であり、ソースRF電力密度が500W/m
2~2250W/m
2である、ことを特徴とする請求項8に記載のヘテロ接合電池の製造方法。
【請求項10】
前記下地真性層を形成するステップは、前記半導体基板層の少なくとも一側の面に第1サブ下地真性層を形成することと、前記第1サブ下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面に第2サブ下地真性層を形成することと、を含み、前記第2サブ下地真性層の欠陥状態密度が前記第1サブ下地真性層の欠陥状態密度よりも小さい、ことを特徴とする請求項6に記載のヘテロ接合電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽電池製造の技術分野に関し、具体的には、ヘテロ接合電池及びその製造方法に関する。
【0002】
本願は、2021年7月7日に中国特許庁に提出された、出願番号が202110767660.2で、発明の名称が「ヘテロ接合電池及びその製造方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容は引用の方式により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
太陽電池はクリーンエネルギー電池であり、太陽電池は生活及び生産に広く応用される。ヘテロ接合電池は重要な太陽電池であり、ヘテロ接合(Hetero Junction with intrinsic Thin layer、HJTと略称)構造はN型単結晶シリコン基板を中心とし、N型単結晶シリコン基板の両側にそれぞれP型アモルファスシリコン層とN型アモルファスシリコン層が設けられ、P型アモルファスシリコン層、N型アモルファスシリコン層と、N型単結晶シリコン基板との間に一層の真性アモルファスシリコン層を追加し、該プロセス措置を採用した後、基板シリコンウェハの不働態化特性を変更し、したがってヘテロ接合電池の変換効率を向上させ、ヘテロ接合電池は非常に市場競争力を有する太陽電池技術となる。
【0004】
しかしながら、真性アモルファスシリコン層自体が太陽光に対して寄生吸収できるため、ヘテロ接合電池の変換効率に影響を与え、ヘテロ接合電池の変換効率をさらに向上させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本願が解決しようとする技術的課題は、従来技術におけるヘテロ接合電池の変換効率をさらに向上させる必要があるという問題を克服することにより、ヘテロ接合電池及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、半導体基板層と、前記半導体基板層の少なくとも一側の面に位置する真性半導体複合層と、を含み、前記真性半導体複合層は、下地真性層と、前記下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面に位置するワイドバンドギャップ真性層と、を含み、前記ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが前記下地真性層のバンドギャップよりも大きい、ヘテロ接合電池を提供する。
【0007】
任意選択的に、前記真性半導体複合層は前記半導体基板層の表面側のみに位置し、又は、前記真性半導体複合層は前記半導体基板層の背面側のみに位置し、又は、前記真性半導体複合層は前記半導体基板層の両側の面に位置する。
【0008】
任意選択的に、前記ワイドバンドギャップ真性層は第1サブワイドバンドギャップ真性層~第Nサブワイドバンドギャップ真性層を含み、Nは1以上の整数である。
【0009】
任意選択的に、第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン、炭素ドープアモルファスシリコン、酸素ドープナノ結晶シリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、nは1以上N以下の整数である。
【0010】
任意選択的に、前記下地真性層は、第1サブ下地真性層と、前記第1サブ下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面に位置する第2サブ下地真性層と、を含み、前記第2サブ下地真性層の欠陥状態密度が前記第1サブ下地真性層の欠陥状態密度よりも小さい。
【0011】
任意選択的に、前記第1サブ下地真性層の厚さと前記第2サブ下地真性層の厚さとの比は0.15:1~0.35:1である。
【0012】
任意選択的に、前記第1サブ下地真性層の厚さが0.3nm~0.8nmであり、前記第2サブ下地真性層の厚さが1nm~2.5nmである。
【0013】
任意選択的に、前記半導体基板層の片側に位置する前記真性半導体複合層の総厚は2nm~10nmである。
【0014】
任意選択的に、Nは2以上の整数であり、第kサブワイドバンドギャップ真性層は第k+1サブワイドバンドギャップ真性層と前記半導体基板層との間に位置し、kは1以上N-1以下の整数である。
【0015】
任意選択的に、N=2である。
【0016】
任意選択的に、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン又は酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、第2サブワイドバンドギャップ真性層の材料には炭素ドープアモルファスシリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層における酸素とシリコンとのモル比は1:1~1:5であり、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層における炭素とシリコンとのモル比は1:1~1:5であり、
【0017】
任意選択的に、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.0eV~9eVであり、第2サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.0eV~9eVである。
【0018】
任意選択的に、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の材料には炭素ドープアモルファスシリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン又は酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層における炭素とシリコンとのモル比は1:1~1:5であり、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層における酸素とシリコンとのモル比は1:1~1:5であり、
【0019】
任意選択的に、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.0eV~9eVであり、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.0eV~9eVである。
【0020】
任意選択的に、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層の厚さと前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の厚さとの比は0.5:1~1.5:1であり、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の厚さと前記下地真性層の厚さとの比は0.5:1~1.5:1である。
【0021】
任意選択的に、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層の厚さが1.5nm~4nmであり、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の厚さが1.5nm~4nmであり、前記下地真性層の厚さが1.3nm~3.3nmである。
【0022】
任意選択的に、前記半導体基板層の表面側に位置する真性半導体複合層について、前記真性半導体複合層における前記第k+1サブワイドバンドギャップ真性層の屈折率が前記第kサブワイドバンドギャップ真性層の屈折率よりも小さい。
【0023】
任意選択的に、前記半導体基板層の背面側に位置する真性半導体複合層について、前記真性半導体複合層と前記半導体基板層との間の価電子帯差が0.6eV~1.2eVである。
【0024】
任意選択的に、Nは1に等しく、前記ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.0eV~9eVである。
【0025】
任意選択的に、前記ワイドバンドギャップ真性層の厚さと前記下地真性層の厚さとの比は1:1~3:1である。
【0026】
任意選択的に、前記ワイドバンドギャップ真性層の厚さが2nm~8nmであり、前記下地真性層の厚さが1.3nm~3.3nmである。
【0027】
本願は、半導体基板層を提供するステップと、前記半導体基板層の少なくとも一側の面に真性半導体複合層を形成するステップと、を含み、前記真性半導体複合層を形成するステップは、前記半導体基板層の少なくとも一側の面に下地真性層を形成することと、前記下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面にワイドバンドギャップ真性層を形成することと、を含み、前記ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが前記下地真性層のバンドギャップよりも大きい、ヘテロ接合電池の製造方法をさらに提供する。
【0028】
任意選択的に、前記半導体基板層の表面側のみに前記真性半導体複合層を形成し、又は、前記半導体基板層の背面側のみに前記真性半導体複合層を形成し、又は、前記半導体基板層の両側の面に前記真性半導体複合層を形成する。
【0029】
任意選択的に、前記下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面に前記ワイドバンドギャップ真性層を形成するステップは、前記下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面に第1サブワイドバンドギャップ真性層~第Nサブワイドバンドギャップ真性層を順次形成し、Nは1以上の整数である。
【0030】
任意選択的に、第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン、炭素ドープアモルファスシリコン、炭素ドープナノ結晶シリコン又は酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、nは1以上N以下の整数である。
【0031】
任意選択的に、Nは2以上の整数であり、第kサブワイドバンドギャップ真性層は第k+1サブワイドバンドギャップ真性層と前記半導体基板層との間に位置し、kは1以上N-1以下の整数である。
【0032】
任意選択的に、前記半導体基板層の表面側に位置する真性半導体複合層について、前記真性半導体複合層における前記第k+1サブワイドバンドギャップ真性層の屈折率が前記第kサブワイドバンドギャップ真性層の屈折率よりも小さい。
【0033】
任意選択的に、前記半導体基板層の背面側に位置する真性半導体複合層について、前記真性半導体複合層と前記半導体基板層との間の価電子帯差が0.6eV~7.9eVである。
【0034】
任意選択的に、化学気相成長プロセスによって前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成する。
【0035】
任意選択的に、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料に酸素ドープアモルファスシリコンが含まれる場合、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成するプロセスパラメータとして、採用されるガスはシランと、水素ガスと、二酸化炭素とを含み、ここで、シランと水素ガスの体積比は1:1~1:10であり、二酸化炭素とシランの体積比は1:1~1:5であり、チャンバ圧力は0.2mBar~1mBarであり、成長温度は180℃~240℃であり、ソースRF電力密度が150W/m2~600W/m2である。
【0036】
任意選択的に、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料に酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれる場合、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成するプロセスパラメータとして、採用されるガスはシランと、水素ガスと、二酸化炭素とを含み、ここで、シランと水素ガスの体積比は1:20~1:80であり、二酸化炭素とシランの体積比は1:1~1:5であり、チャンバ圧力は0.5mBar~5mBarであり、成長温度は180℃~240℃であり、ソースRF電力密度が500W/m2~2250W/m2である。
【0037】
任意選択的に、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料に炭素ドープアモルファスシリコンが含まれる場合、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成するプロセスパラメータとして、採用されるガスはシラン、水素ガス及びメタンを含み、ここで、シランと水素ガスの体積比は1:1~1:10であり、メタンとシランの体積比は1:1~1:5であり、チャンバ圧力は0.2mBar~1mBarであり、成長温度は180℃~240℃であり、ソースRF電力密度が150W/m2~600W/m2である。
【0038】
任意選択的に、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料に炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれる場合、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成するプロセスパラメータとして、採用されるガスはシラン、水素ガスとメタンを含み、ここで、シランと水素ガスの体積比は1:20~1:80であり、メタンとシランの体積比は1:1~1:5であり、チャンバ圧力は0.5mBar~5mBarであり、成長温度は180℃~240℃であり、ソースRF電力密度が500W/m2~2250W/m2である。
【0039】
任意選択的に、前記下地真性層を形成するステップは、前記半導体基板層の少なくとも一側の面に第1サブ下地真性層を形成することと、前記第1サブ下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面に第2サブ下地真性層を形成することと、を含み、前記第2サブ下地真性層の欠陥状態密度が前記第1サブ下地真性層の欠陥状態密度よりも小さい。
【発明の効果】
【0040】
本願の技術的解決手段は以下の有益な効果を有する。
1.本願に係るヘテロ接合電池は、ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが下地真性層のバンドギャップよりも大きく、ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが大きく、ヘテロ接合電池に太陽光を照射する時、ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップよりもエネルギーが小さい光子は寄生吸収され得ず、太陽光に対する真性半導体複合層の寄生吸収が低減され、それにより太陽光に対する半導体基板層の吸収が多くなり、半導体基板層によって生成される光生成キャリアが多くなり、さらにヘテロ接合電池の短絡電流が向上し得、ヘテロ接合電池の変換効率が向上し得る。
2.さらに、第1サブ下地真性層の欠陥状態密度が大きく、主に半導体基板層のエピタキシャル成長を防止する役割を果たし、第1サブ下地真性層の厚さが薄く、光生成キャリアの第1サブ下地真性層における複合が多すぎることを回避し、第2サブ下地真性層の欠陥状態密度が小さく、かつ相対的に厚く、主に半導体基板層を不働態化する役割を果たし、光生成キャリアの第2サブ下地真性層における複合が少なく、ヘテロ接合電池の短絡電流を上げることができ、また、第2サブ下地真性層を第1サブ下地真性層とワイドバンドギャップ真性層との間の遷移層とし、ワイドバンドギャップ真性層と第1下地真性層との間の接触性能を向上させることができる。
3.さらに、半導体基板層の表面側の第k+1サブワイドバンドギャップ真性層の屈折率が前記第kサブワイドバンドギャップ真性層の屈折率よりも小さく、それによりヘテロ接合電池の表面の真性半導体複合層の屈折率はグラデーション効果を有し、ヘテロ接合電池の表面の真性半導体複合層はより良好な反射防止性能を有し、より多くの太陽光は半導体基板層に入って半導体基板層に吸収され、ヘテロ接合電池の開放電圧を上げることができる。
4.さらに、半導体基板層の背面側のワイドバンドギャップ真性層に酸素原子又は炭素原子をドーピングすることにより、半導体基板層の背面側の真性半導体複合層と半導体基板層との間の価電子帯差を高めることができ、高い価電子帯差により光生成キャリアにおける正孔キャリアの蓄積効果を増加させ、ヘテロ接合電池の開放電圧をよりも大きくし、半導体基板層における正孔キャリアが半導体基板層の背面側の真性半導体複合層を直接通り抜ける確率を高めることができ、半導体基板層の背面側の真性半導体複合層内での正孔キャリアの伝送効率を向上させることができ、ヘテロ接合電池の抵抗を低減し、ヘテロ接合電池の変換効率を向上させることができる。
5.本願に係るヘテロ接合電池の製造方法は、ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが大きく、ヘテロ接合電池に太陽光を照射する時、ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップよりもエネルギーが小さい光子は寄生吸収され得ず、太陽光に対する真性半導体複合層の寄生吸収が低減され、それにより太陽光に対する半導体基板層の吸収が多くなり、半導体基板層によって生成される光生成キャリアが多くなり、さらにヘテロ接合電池の短絡電流が向上し得、ヘテロ接合電池の変換効率が向上し得る。
【0041】
本願の具体的な実施形態又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は従来技術の記述のために使用した図面を簡単に説明するが、明らかに、以下に記述した図面は本願のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的な労力をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本願の実施例1に係るヘテロ接合電池の構造概略図である。
【
図2】本願の実施例2に係るヘテロ接合電池の構造概略図である。
【
図3】本願の実施例3に係るヘテロ接合電池の構造概略図である。
【
図4】本願の実施例4に係るヘテロ接合電池の構造概略図である。
【
図5】本願の一実施例に係るヘテロ接合電池の製造方法のフローチャートである。
【
図6】本願の実施例4に係るヘテロ接合電池を例として製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、図面を参照しながら本願の技術的解決手段を明確かつ完全に説明し、明らかなように、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得るほかの実施例はすべて本願の保護範囲に属する。
【0044】
なお、本願の説明では、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などで指示される方位又は位置関係は図示に基づく方位又は位置関係であり、単に本願の説明を容易にしたり簡略化したりするためのものであり、係る装置又は素子が特定の方位を有したり、特定の方位で構成及び操作されたりすることを指示又は暗示しないため、本願を限定するものではないと理解すべきである。また、用語「第1」、「第2」、「第3」は単に説明の目的に使用されるものであり、相対的な重要性を指示又は暗示しないと理解すべきである。
【0045】
なお、本願の説明では、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能接続、又は一体的接続であってもよく、機械的接続、又は電気的接続であってもよく、直接連結、又は中間媒体を介する間接的連結であってもよく、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0046】
また、以下説明される本願の様々な実施形態に係る技術的特徴について、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0047】
本願はヘテロ接合電池を提供し、半導体基板層と、前記半導体基板層の少なくとも一側の面に位置する真性半導体複合層と、を含み、前記真性半導体複合層は、下地真性層と、前記下地真性層の前記半導体基板層とは反対側の面に位置するワイドバンドギャップ真性層と、を含み、前記ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが前記下地真性層のバンドギャップよりも大きい。
【0048】
ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが大きく、ヘテロ接合電池に太陽光を照射する時、ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップよりもエネルギーが小さい光子は寄生吸収され得ず、太陽光に対する真性半導体複合層の寄生吸収が低減され、それにより太陽光に対する半導体基板層の吸収が多くなり、半導体基板層によって生成される光生成キャリアが多くなり、さらにヘテロ接合電池の短絡電流が向上し得、ヘテロ接合電池の変換効率が向上し得る。
【0049】
一実施例では、前記真性半導体複合層は前記半導体基板層の表面側のみに位置する。別の実施例では、前記真性半導体複合層は前記半導体基板層の背面側のみに位置する。別の実施例では、前記真性半導体複合層は前記半導体基板層の両側の面に位置する。
【0050】
半導体基板層はN型単結晶シリコン基板を含み、N型単結晶シリコンは狭いバンドギャップを有し、バンドギャップは通常1.0eV~1.2eVである。
【0051】
前記ワイドバンドギャップ真性層は第1サブワイドバンドギャップ真性層~第Nサブワイドバンドギャップ真性層を含み、Nは1以上の整数である。
【0052】
第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン、炭素ドープアモルファスシリコン、酸素ドープナノ結晶シリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、nは1以上N以下の整数である。
【0053】
実施例1
図1を参照し、
図1における矢印の指し示す方向は太陽光の照射方向を示し、本実施例は、真性半導体複合層2が前記半導体基板層1の表面側のみに位置するヘテロ接合電池構造を例として説明する。
【0054】
この場合、任意選択的に、前記ワイドバンドギャップ真性層22のバンドギャップが2.0eV~9eV、例えば、2.0eV、2.4eV、2.8eV、3.2eV及び9eVである。任意選択的に、ワイドバンドギャップ真性層22の厚さと前記下地真性層21の厚さとの比は1:1~3:1、例えば、1:1:2、1又は3、1である。任意選択的に、前記ワイドバンドギャップ真性層22の厚さが2nm~8nm、例えば、2nm、5nm、7nm又は8nmであり、前記下地真性層21の厚さが1.3nm~3.3nm、例えば、1.3nm、2nm、3nm又は3.3nmである。
【0055】
前記下地真性層21は、第1サブ下地真性層211と、前記第1サブ下地真性層211の前記半導体基板層1とは反対側の面に位置する第2サブ下地真性層212と、を含み、前記第2サブ下地真性層212の欠陥状態密度が前記第1サブ下地真性層211の欠陥状態密度よりも小さく、つまり、第2サブ下地真性層212におけるシリレン(-SiH2-)の割合は第1サブ下地真性層211におけるシリレン(-SiH2-)の割合よりも小さい。第1サブ下地真性層211の欠陥状態密度が大きく、主に半導体基板層1のエピタキシャル成長を防止する役割を果たし、第1サブ下地真性層211の厚さが薄く、第1サブ下地真性層211における光生成キャリアの複合が多すぎることを回避し、第2サブ下地真性層212の欠陥状態密度が小さく、かつ相対的に厚く、主に半導体基板層1を不働態化する役割を果たし、光生成キャリアの第2サブ下地真性層212における複合が少なく、ヘテロ接合電池の短絡電流を上げることができ、また、第2サブ下地真性層212を第1サブ下地真性層211とワイドバンドギャップ真性層22との間の遷移層とし、ワイドバンドギャップ真性層22と下地真性層21との間の接触性能を向上させることができる。
【0056】
本実施例では、前記第1サブ下地真性層211の厚さと前記第2サブ下地真性層212の厚さの比は0.15:1~0.35:1、例えば、0.15:1、0.2:1、0.25:1、0.3:1又は0.35:1である。
【0057】
本実施例では、前記第1サブ下地真性層211の厚さが0.3nm~0.8nm、例えば、0.3nm、0.5nm、0.7nm又は0.8nmであり、第1サブ下地真性層211の欠陥状態密度が大きく、第1サブ下地真性層211は主に半導体基板層1のエピタキシャル成長を防止する役割を果たし、第1サブ下地真性層211が薄すぎると、半導体基板層1のエピタキシャル成長を防止する役割を果たしにくく、第1サブ下地真性層211が厚すぎると、第1サブ下地真性層211における光生成キャリアの複合が多すぎ、ヘテロ接合電池の変換効率が低下する。前記第2サブ下地真性層212の厚さが1nm~2.5nm、例えば、1nm、1.5nm、2nm又は2.5nmであり、第2サブ下地真性層212は主に半導体基板層1及びキャリア伝送を不働態化する役割を果たし、第2サブ下地真性層212が薄すぎると、半導体基板層1に対する第2サブ下地真性層212の不働態化効果が低下し、第2サブ下地真性層212が厚すぎると、太陽光に対する第2サブ下地真性層212の寄生吸収が多く、自体のバルク抵抗が大きく、第2サブ下地真性層212におけるキャリアの伝送効率が悪く、ヘテロ接合電池の短絡電流が下がる。
【0058】
任意選択的に、第1サブ下地真性層211の厚さが0.5nmであり、第2サブ下地真性層212の厚さが2nmであり、ワイドバンドギャップ真性層22の厚さが5nmであり、この場合、真性半導体複合層2は半導体基板層1に対して良好な不働態化作用を有し、半導体基板層1の表面の光生成キャリアの複合を低減することができ、真性半導体複合層2のバルク抵抗が小さく、太陽光に対する真性半導体複合層2の寄生吸収が少なく、また、第2サブ下地真性層212は第1サブ下地真性層211とワイドバンドギャップ真性層22との間の遷移層とし、ワイドバンドギャップ真性層22と下地真性層21との間の接触性能を向上させることができる。
【0059】
前記半導体基板層1の片側に位置する前記真性半導体複合層2の総厚は2nm~10nm、例えば、2nm、5nm、7nm、9nm又は10nmである。真性半導体複合層2の厚さが薄く、太陽光に対する寄生吸収が少なく、ヘテロ接合電池の短絡電流が向上し得、ヘテロ接合電池の変換効率が向上し得る。
【0060】
前記ワイドバンドギャップ真性層22は第1サブワイドバンドギャップ真性層~第Nサブワイドバンドギャップ真性層を含み、Nは1以上の整数である。
【0061】
1つの場合では、
図1に示すように、ワイドバンドギャップ真性層22は単層構造であり、つまり、Nは1に等しい。
【0062】
別の場合では、ワイドバンドギャップ真性層22は多層構造であり、Nは2以上の整数であり、第kサブワイドバンドギャップ真性層は第k+1サブワイドバンドギャップ真性層と前記半導体基板層との間に位置し、kは1以上N-1以下の整数である。
【0063】
第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン、炭素ドープアモルファスシリコン、酸素ドープナノ結晶シリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、nは1以上N以下の整数である。
【0064】
特定の一実施例では、Nは2に等しく、ワイドバンドギャップ真性層22は、第1サブワイドバンドギャップ真性層と、第1サブワイドバンドギャップ真性層の半導体基板層1とは反対側の面に位置する第2サブワイドバンドギャップ真性層と、を含む。
【0065】
1つの場合では、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン又は酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、第2サブワイドバンドギャップ真性層の材料には炭素ドープアモルファスシリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、第1サブワイドバンドギャップ真性層における酸素とシリコンとのモル比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5であり、第2サブワイドバンドギャップ真性層における炭素とシリコンとのモル比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5である。第1サブワイドバンドギャップ真性層に酸素原子がドーピングされているため、第1サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが広く、第1サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.0eV~9eV、例えば、2.0eV、2.4eV、2.6eV、3.2eV又は9eVであり、第2サブワイドバンドギャップ真性層に炭素原子がドーピングされているため、第2サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが広く、第2サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.0eV~9eV、例えば、2.0eV、2.5eV、2.8eV、3.2eV又は9eVである。
【0066】
別の場合では、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の材料には炭素ドープアモルファスシリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン又は酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、第1サブワイドバンドギャップ真性層における炭素とシリコンとのモル比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5であり、第2サブワイドバンドギャップ真性層における酸素とシリコンとのモル比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5である。この場合、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.3eV~2.8eV、例えば、2.3eV、2.5eV、2.7eV又は2.8eVであり、前記第2サブワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが2.0eV~2.6eV、例えば、2.0eV、2.2eV、2.6eV、3.2eV又は9eVである。
【0067】
前記第2サブワイドバンドギャップ真性層の厚さと前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の厚さとの比は0.5:1~1.5:1、例えば、0.5:1、0.8:1、1:1、1.2:1又は1.5:1であり、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の厚さと前記下地真性層の厚さとの比は0.5:1~1.5:1、例えば0.5:1、0.8:1、1:1、1.2:1、1.5:1又は1.5:1である。
【0068】
前記第2サブワイドバンドギャップ真性層の厚さが1.5nm~4nm、例えば、1.5nm、2nm、3nm又は4nmであり、前記第1サブワイドバンドギャップ真性層の厚さが1.5nm~4nm、例えば、1.5nm、2nm、3nm又は4nmであり、前記下地真性層の厚さが1.3nm~3.3nm、例えば、1.3nm、2nm、3nm又は3.3nmである。
【0069】
前記半導体基板層1の表面側に位置する真性半導体複合層2について、前記真性半導体複合層2における前記第k+1サブワイドバンドギャップ真性層の屈折率が前記第kサブワイドバンドギャップ真性層の屈折率よりも小さい。具体的には、第2サブワイドバンドギャップ真性層の屈折率が第1サブワイドバンドギャップ真性層の屈折率よりも小さく、それによりヘテロ接合電池の表面の真性半導体複合層2の屈折率はグラデーション効果を有し、ヘテロ接合電池の表面の真性半導体複合層2はより良好な反射防止性能を有し、より多くの太陽光は半導体基板層1に入って半導体基板層1に吸収され、ヘテロ接合電池の開放電圧を上げることができる。
【0070】
引き続き
図1を参照し、ヘテロ接合電池は、前記半導体基板層1の前記真性半導体複合層2とは反対側の面に位置する背面真性層3をさらに含む。
【0071】
前記背面真性層3は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよく、これについて限定しない。
【0072】
引き続き
図1を参照し、ヘテロ接合電池は、前記真性半導体複合層2の半導体基板層1とは反対側の面に位置する第1ドーピング層4と、第1ドーピング層4の真性半導体複合層2とは反対側の面に位置する第1透明導電膜6と、第1透明導電膜6の真性半導体複合層2とは反対側の面に位置する第1グリッド電極8と、背面真性層3の半導体基板層1とは反対側の面に位置する第2ドーピング層5と、第2ドーピング層5の背面真性層3とは反対側の面に位置する第2透明導電膜7と、第2透明導電膜7の第2ドーピング層5とは反対側の面に位置する第2グリッド電極9と、をさらに含み、なお、第1ドーピング層4の導電型は第2ドーピング層5の導電型と逆である。
実施例2
【0073】
図2を参照し、本実施例は真性半導体複合層2が前記半導体基板層1の背面側のみに位置するヘテロ接合電池構造を例として説明する。
【0074】
前記半導体基板層1の背面側に位置する真性半導体複合層2について、前記真性半導体複合層2と前記半導体基板層1との間の価電子帯差が0.6eV~7.9eV、例えば0.6eV、1.0eV、2.1eV又は7.9eVである。
【0075】
ワイドバンドギャップ真性層22に酸素原子又は炭素原子をドーピングすることにより半導体基板層1の背面側の真性半導体複合層2と半導体基板層1との間の価電子帯差を高めることができ、高い価電子帯差により光生成キャリアにおける正孔キャリアの蓄積効果を増加させ、ヘテロ接合電池の開放電圧をよりも大きくし、半導体基板層1における正孔キャリアが半導体基板層1の背面側の真性半導体複合層2を直接通り抜ける確率を高めることができ、半導体基板層1の背面側の真性半導体複合層2内での正孔キャリアの伝送効率を向上させることができる。ヘテロ接合電池の抵抗を低減し、ヘテロ接合電池の変換効率を向上させることができる。
【0076】
前記ワイドバンドギャップ真性層22は第1サブワイドバンドギャップ真性層~第Nサブワイドバンドギャップ真性層を含み、Nは1以上の整数である。
【0077】
1つの場合では、
図2に示すように、ワイドバンドギャップ真性層22は単層構造であり、つまり、Nは1に等しい。
【0078】
別の場合では、ワイドバンドギャップ真性層22は多層構造であり、Nは2以上の整数であり、第kサブワイドバンドギャップ真性層は第k+1サブワイドバンドギャップ真性層と前記半導体基板層との間に位置し、kは1以上N-1以下の整数である。
【0079】
第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン、炭素ドープアモルファスシリコン、酸素ドープナノ結晶シリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、nは1以上N以下の整数である。
【0080】
特定の一実施例では、Nは2に等しく、ワイドバンドギャップ真性層22は、第1サブワイドバンドギャップ真性層と、第1サブワイドバンドギャップ真性層の半導体基板層1とは反対側に位置する第2サブワイドバンドギャップ真性層と、を含む。
【0081】
引き続き
図2を参照し、ヘテロ接合電池は、前記半導体基板層1の前記真性半導体複合層2とは反対側の面に位置する表面真性層3aをさらに含む。
【0082】
前記表面真性層3aは、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
【0083】
本実施例の実施例1と同じ構造は、実施例1に関する説明を参照し、ここでは詳述しない。
実施例3
【0084】
図3を参照し、本実施例は真性半導体複合層が前記半導体基板層1の両側の面に位置し、ワイドバンドギャップ真性層が単層構造(つまり、Nが1に等しい)であるヘテロ接合電池構造を例として説明する。
【0085】
真性半導体複合層2は、前記半導体基板層1の表面側に位置する表面真性半導体複合層2Aと、前記半導体基板層1の背面側に位置する背面真性半導体複合層3Aと、を含む。
【0086】
表面真性半導体複合層2Aは、表面下地真性層21Aと、前記表面下地真性層21Aの前記半導体基板層1とは反対側の面に位置する表面ワイドバンドギャップ真性層22Aと、を含み、前記表面ワイドバンドギャップ真性層22Aのバンドギャップが前記表面下地真性層21Aのバンドギャップよりも大きい。
【0087】
背面真性半導体複合層3Aは、背面下地真性層31Aと、前記背面下地真性層31Aの前記半導体基板層1とは反対側の面に位置する背面ワイドバンドギャップ真性層32Aと、を含み、前記背面ワイドバンドギャップ真性層32Aのバンドギャップが前記背面下地真性層31Aのバンドギャップよりも大きい。
【0088】
本実施例では、下地真性層は、前記半導体基板層1の表面側に位置する表面下地真性層21Aと、前記半導体基板層1の背面側に位置する背面下地真性層31Aと、を含む。表面下地真性層21Aは、半導体基板層1の表面側に位置する第1サブ表面下地真性層211Aと、前記第1サブ表面下地真性層211Aの前記半導体基板層1とは反対側の面に位置する第2サブ表面下地真性層212Aと、を含み、前記第2サブ表面下地真性層212Aの欠陥状態密度が前記第1サブ表面下地真性層211Aの欠陥状態密度よりも小さい。背面下地真性層31Aは、半導体基板層1の背面側に位置する第1サブ背面下地真性層311Aと、前記第1サブ背面下地真性層311Aの前記半導体基板層1とは反対側の面に位置する第2サブ背面下地真性層312Aと、を含み、前記第2サブ背面下地真性層312Aの欠陥状態密度が前記第1サブ背面下地真性層311Aの欠陥状態密度よりも小さい。
【0089】
第1サブ表面下地真性層211Aの厚さと前記第2サブ表面下地真性層212Aの厚さとの比は0.15:1~0.35:1、例えば、0.15:1、0.2:1、0.25:1、0.3:1又は0.35:1である。本実施例では、前記第1サブ表面下地真性層211Aの厚さが0.3nm~0.8nm、例えば、0.3nm、0.5nm、0.7nm又は0.8nmであり、前記第2サブ表面下地真性層212Aの厚さが1nm~2.5nm、例えば、1nm、1.5nm、2nm又は2.5nmである。
【0090】
表面真性半導体複合層2Aの総厚は、2nm~10nm、例えば、2nm、5nm、7nm、9nm又は10nmである。背面真性半導体複合層3Aの総厚は、5nm~10nm、例えば、5nm、7nm、9nm又は10nmである。
【0091】
表面ワイドバンドギャップ真性層22Aの材料には酸素ドープアモルファスシリコン、炭素ドープアモルファスシリコン、酸素ドープナノ結晶シリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれる。背面ワイドバンドギャップ真性層32Aの材料には酸素ドープアモルファスシリコン、炭素ドープアモルファスシリコン、酸素ドープナノ結晶シリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれる。
【0092】
特定の一実施例では、前記表面ワイドバンドギャップ真性層22Aの材料には酸素ドープアモルファスシリコン又は酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、表面ワイドバンドギャップ真性層22Aにおける酸素とシリコンとのモル比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5である。表面ワイドバンドギャップ真性層22Aに酸素原子がドーピングされているので、表面ワイドバンドギャップ真性層22Aのバンドギャップが広く、表面ワイドバンドギャップ真性層22Aのバンドギャップが2.0eV~2.6eV、例えば、2.0eV、2.2eV、2.4eV又は2.6eVである。
【0093】
別の特定の実施例では、表面ワイドバンドギャップ真性層22Aの材料には炭素ドープアモルファスシリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれる。表面ワイドバンドギャップ真性層22Aにおける炭素とシリコンのモル比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5である。表面ワイドバンドギャップ真性層22Aに炭素原子がドーピングされているため、表面ワイドバンドギャップ真性層22Aのバンドギャップが広く、表面ワイドバンドギャップ真性層22Aのバンドギャップが2.3eV~2.8eV、例えば、2.3eV、2.5eV、2.7eV又は2.8eVである。
【0094】
特定の一実施例では、背面ワイドバンドギャップ真性層32Aの材料には炭素ドープアモルファスシリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、背面ワイドバンドギャップ真性層32Aにおける炭素とシリコンとのモル比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5である。背面ワイドバンドギャップ真性層32Aのバンドギャップが2.3eV~2.8eV、例えば、2.3eV、2.5eV、2.7eV又は2.8eVである。
【0095】
他の特定の実施例では、背面ワイドバンドギャップ真性層32Aの材料には酸素ドープアモルファスシリコン又は酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれる。背面ワイドバンドギャップ真性層32Aにおける酸素とシリコンとのモル比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5である。前記背面ワイドバンドギャップ真性層32Aのバンドギャップが2.0eV~9eV、例えば、2.0eV、2.4eV、2.6eV、3.2eV又は9eVである。
【0096】
前記表面ワイドバンドギャップ真性層22Aの厚さと前記表面下地真性層の厚さとの比は1:1~3:1である。前記表面ワイドバンドギャップ真性層22Aの厚さが2nm~8nmであり、前記表面下地真性層の厚さが1.3nm~3.3nmである。
【0097】
前記背面ワイドバンドギャップ真性層32Aの厚さと前記背面下地真性層の厚さとの比は1:1~3:1である。前記背面ワイドバンドギャップ真性層32Aの厚さが2nm~8nmであり、前記背面下地真性層の厚さが1.3nm~3.3nmである。
【0098】
本実施例では、表面真性半導体複合層2Aの半導体基板層1とは反対側の面に位置する第1ドーピング層4と、第1ドーピング層4の半導体基板層1とは反対側の面に位置する第1透明導電膜6と、第1透明導電膜6の半導体基板層1とは反対側の面に位置する第1グリッド電極8と、背面真性半導体複合層3Aの半導体基板層1とは反対側の面に位置する第2ドーピング層5と、第2ドーピング層5の半導体基板層1とは反対側の面に位置する第2透明導電膜7と、第2透明導電膜7の半導体基板層1とは反対側の面に位置する第2グリッド電極9と、をさらに含み、なお、第1ドーピング層4の導電型は第2ドーピング層5の導電型と逆である。
【0099】
本実施例の実施例1と同じ構造は、実施例1に関する説明を参照し、ここでは詳述しない。
実施例4
【0100】
本実施例におけるヘテロ接合電池構造について、真性半導体複合層は前記半導体基板層1の両側の面に位置し、ワイドバンドギャップ真性層は積層構造であり、ワイドバンドギャップ真性層は第1サブワイドバンドギャップ真性層~第Nサブワイドバンドギャップ真性層を含み、Nは2以上の整数であり、第kサブワイドバンドギャップ真性層は第k+1サブワイドバンドギャップ真性層と前記半導体基板層1との間に位置し、kは1以上N-1以下の整数である。
【0101】
前記半導体基板層1の表面側に位置する真性半導体複合層2について、前記真性半導体複合層2における前記第k+1サブワイドバンドギャップ真性層の屈折率が前記第kサブワイドバンドギャップ真性層の屈折率よりも小さく、それによりヘテロ接合電池の表面の真性半導体複合層2の屈折率はグラデーション効果を有し、ヘテロ接合電池の表面の真性半導体複合層2はより良好な反射防止性能を有し、より多くの太陽光は半導体基板層1に入って半導体基板層1に吸収され、ヘテロ接合電池の開放電圧を上げることができる。
【0102】
前記半導体基板層1の背面側に位置する真性半導体複合層2について、前記真性半導体複合層2と前記半導体基板層1との間の価電子帯差が0.6eV~7.9eVである。
【0103】
図4を参照し、
図4においてNが2に等しいことを例として説明する。真性半導体複合層2は、前記半導体基板層1の表面側に位置する表面真性半導体複合層2Aと、前記半導体基板層1の背面側に位置する背面真性半導体複合層3Aと、を含む。
【0104】
表面真性半導体複合層2Aは、表面下地真性層21Aと、前記表面下地真性層21Aの前記半導体基板層1とは反対側の面に位置する表面ワイドバンドギャップ真性層22Aと、を含み、表面ワイドバンドギャップ真性層22Aのバンドギャップが前記表面下地真性層21Aのバンドギャップよりも大きい。表面下地真性層21Aの説明について、実施例3に対応する内容を参照し、ここでは詳述しない。
【0105】
前記表面ワイドバンドギャップ真性層22Aは、第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aと、第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aの表面下地真性層21Aとは反対側に位置する第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aと、を含む。
【0106】
背面真性半導体複合層3Aは、背面下地真性層31Aと、前記背面下地真性層31Aの前記半導体基板層1とは反対側の面に位置する背面ワイドバンドギャップ真性層32Aと、を含み、背面ワイドバンドギャップ真性層32Aのバンドギャップが前記背面下地真性層31Aのバンドギャップよりも大きい。背面下地真性層31Aの説明について、実施例3に対応する内容を参照し、ここでは詳述しない。
【0107】
前記背面ワイドバンドギャップ真性層32Aは、第1サブ背面ワイドバンドギャップ真性層321Aと、第1サブ背面ワイドバンドギャップ真性層321Aの背面下地真性層31Aとは反対側に位置する第2サブ背面ワイドバンドギャップ真性層322Aと、を含む。
【0108】
本実施例では、前記第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aの材料には酸素ドープアモルファスシリコン又は酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aの材料には炭素ドープアモルファスシリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aにおける酸素とシリコンとのモル比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5であり、第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aにおける炭素とシリコンとのモル比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5である。第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aに酸素原子がドーピングされているため、第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aのバンドギャップが広く、第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aのバンドギャップが2.0eV~9eV、例えば、2.0eV、2.4eV、2.6eV、3.2eV又は9eVであり、第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aに炭素原子がドーピングされているため、第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aのバンドギャップが広く、第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aのバンドギャップが2.0eV~9eV、例えば、2.0eV、2.5eV、2.8eV、3.2eV又は9eVである。
【0109】
他の実施例では、前記第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aの材料には炭素ドープアモルファスシリコン又は炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、前記第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aの材料には酸素ドープアモルファスシリコン又は酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aにおける炭素とシリコンとのモル比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5であり、第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aにおける酸素とシリコンとのモル比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5である。この場合、前記第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aのバンドギャップが2.0eV~9eV、例えば、2.0eV、2.5eV、2.8eV、3.2eV又は9eVであり、前記第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aのバンドギャップが2.0eV~9eV、例えば、2.0eV、2.4eV、2.6eV、3.2eV又は9eVである。
【0110】
前記第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aの厚さと前記第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aの厚さとの比は0.5:1~1.5:1、例えば、0.5:1、0.8:1、1:1、1.2:1又は1.5:1であり、前記第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aの厚さと前記表面下地真性層21Aの厚さとの比は0.5:1~1.5:1、例えば0.5:1、0.8:1、1:1、1.2:1、1.5:1又は1.5:1である。
【0111】
前記第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aの厚さが1.5nm~4nm、例えば、1.5nm、2nm、3nm又は4nmであり、前記第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aの厚さが1.5nm~4nm、例えば、1.5nm、2nm、3nm又は4nmであり、前記表面下地真性層21Aの厚さが1.3nm~3.3nm、例えば、1.3nm、2nm、3nm又は3.3nmである。
【0112】
第1サブ背面ワイドバンドギャップ真性層321Aの材料、厚さ、バンドギャップは第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aを参照し、第2サブ背面ワイドバンドギャップ真性層322Aの材料、厚さ、バンドギャップは第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aを参照し、ここでは詳述しない。
【0113】
なお、他の実施例では、表面ワイドバンドギャップ真性層22Aは単層構造であり、第2ワイドバンドギャップ真性層32Aは積層構造であり、又は、表面ワイドバンドギャップ真性層22Aは積層構造であり、第2ワイドバンドギャップ真性層32Aは単層構造であるようにしてもよい。
【0114】
本実施例の実施例3と同じ構造は、実施例3に関する説明を参照し、ここでは詳述しない。
実施例5
【0115】
本実施例はヘテロ接合電池の製造方法を提供し、
図5を参照し、ステップS1~S2を含む。
ステップS1、半導体基板層1を提供する。
ステップS2、前記半導体基板層1の少なくとも一側の面に真性半導体複合層2を形成し、前記真性半導体複合層2を形成するステップは、前記半導体基板層1の少なくとも一側の面に下地真性層を形成することと、前記下地真性層の前記半導体基板層1とは反対側の面にワイドバンドギャップ真性層を形成することと、を含み、前記ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが前記下地真性層1のバンドギャップよりも大きい。
【0116】
前記真性半導体複合層2の形成位置について、前記半導体基板層1の表面側にのみ前記真性半導体複合層2を形成し、又は、前記半導体基板層1の背面側にのみ前記真性半導体複合層2を形成し、又は前記半導体基板層1の両側の面に前記真性半導体複合層2を形成する。
【0117】
前記下地真性層の前記半導体基板層1とは反対側の面に前記ワイドバンドギャップ真性層を形成するステップは、前記下地真性層の前記半導体基板層1とは反対側の面に第1サブワイドバンドギャップ真性層~第Nサブワイドバンドギャップ真性層を順次形成し、Nは1以上の整数である。
【0118】
任意選択的に、第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料には酸素ドープアモルファスシリコン、炭素ドープアモルファスシリコン、炭素ドープナノ結晶シリコン又は酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれ、nは1以上N以下の整数である。
【0119】
任意選択的に、Nは2以上の整数であり、第kサブワイドバンドギャップ真性層は第k+1サブワイドバンドギャップ真性層と前記半導体基板層との間に位置し、kは1以上N-1以下の整数である。
【0120】
任意選択的に、前記半導体基板層1の表面側に位置する真性半導体複合層2について、前記真性半導体複合層2における前記第k+1サブワイドバンドギャップ真性層の屈折率が前記第kサブワイドバンドギャップ真性層の屈折率よりも小さい。
【0121】
任意選択的に、前記半導体基板層1の背面側に位置する真性半導体複合層2について、前記真性半導体複合層2と前記半導体基板層1との間の価電子帯差が0.6eV~7.9eV、例えば、0.6eV、1.0eV、1.2eV、2.1eV又は7.9eVである。
【0122】
前記第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料に酸素ドープアモルファスシリコンが含まれる場合、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成するプロセスパラメータとして、採用されるガスはシランと、水素ガスと、二酸化炭素とを含み、ここで、シランと水素ガスの体積比は1:1~1:10、例えば、1:2、1:4、1:6、1:8又は1:10であり、二酸化炭素とシランの体積比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5であり、チャンバ圧力は0.2mBar~1mBar、例えば、0.2mBar、0.4mBar、0.6mBar、0.8mBar又は1mBarであり、成長温度は180℃~240℃、例えば、180℃、200℃、220℃又は240℃であり、ソースRF電力密度が150W/m2~600W/m2、例えば、150W/m2、250W/m2、350W/m2、450W/m2、550W/m2又は600W/m2である。
【0123】
前記第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料に酸素ドープナノ結晶シリコンが含まれる場合、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成するプロセスパラメータとして、採用されるガスはシランと、水素ガスと、二酸化炭素とを含み、ここで、シランと水素ガスの体積比は1:20~1:80、例えば、1:20、1:40、1:60又は1:80であり、二酸化炭素とシランの体積比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5であり、チャンバ圧力は0.5mBar~5mBar、例えば、0.5mBar、1mBar、3mBar、4mBar又は5mBarであり、成長温度は180℃~240℃、例えば、180℃、200℃、220℃又は240℃であり、ソースRF電力密度が500W/m2~2250W/m2、例えば、500W/m2、1000W/m2、1500W/m2、2000W/m2又は2250W/m2である。
【0124】
前記第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料に炭素ドープアモルファスシリコンが含まれる場合、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成するプロセスパラメータとして、採用されるガスはシラン、水素ガス及びメタンを含み、ここで、シランと水素ガスの体積比は1:1~1:10、例えば、1:2、1:4、1:6、1:8又は1:10であり、メタンとシランの体積比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5であり、チャンバ圧力は0.2mBar~1mBar、例えば、0.2mBar、0.4mBar、0.6mBar、0.8mBar又は1mBarであり、成長温度は180℃~240℃、例えば、180℃、200℃、220℃又は240℃であり、ソースRF電力密度が150W/m2~600W/m2、例えば、150W/m2、250W/m2、350W/m2、450W/m2、550W/m2又は600W/m2である。
【0125】
前記第nサブワイドバンドギャップ真性層の材料に炭素ドープナノ結晶シリコンが含まれる場合、前記第nサブワイドバンドギャップ真性層を形成するプロセスパラメータとして、採用されるガスはシラン、水素ガス及びメタンを含み、ここで、シランと水素ガスの体積比は1:20~1:80、例えば、1:20、1:40、1:60又は1:80であり、メタンとシランの体積比は1:1~1:5、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4又は1:5であり、チャンバ圧力は0.5mBar~5mBar、例えば、0.5mBar、1mBar、3mBar、4mBar又は5mBarであり、成長温度は180℃~240℃、例えば、180℃、200℃、220℃又は240℃であり、ソースRF電力密度が500W/m2~2250W/m2、例えば、500W/m2、1000W/m2、1500W/m2、2000W/m2又は2250W/m2である。
【0126】
前記下地真性層を形成するステップは、前記半導体基板層1の少なくとも一側の面に第1サブ下地真性層211を形成することと、前記第1サブ下地真性層211の前記半導体基板層1とは反対側の面に第2サブ下地真性層212を形成することと、を含み、前記第2サブ下地真性層212の欠陥状態密度が前記第1サブ下地真性層211の欠陥状態密度よりも小さい。
【0127】
図6を参照し、実施例4に係るヘテロ接合電池を例とし、つまり、表面真性半導体複合層2Aに第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221A及び第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aが含まれる積層構造、背面真性半導体複合層3Aに第1サブ背面ワイドバンドギャップ真性層321A及び第2サブ背面ワイドバンドギャップ真性層322Aが含まれる積層構造を例とし、ヘテロ接合電池の製造方法を詳細に説明する。
【0128】
ステップA1、半導体基板層を提供する。
半導体基板層はN型単結晶シリコン基板を含む。
ステップA2、半導体基板層1に対してテクスチャ化及び洗浄処理を行う。
半導体基板層1をテクスチャ化して半導体基板層1の表面に光閉じ込め構造を形成し、太陽光の反射を低減し、テクスチャ化処理した後、半導体基板層1を洗浄して半導体基板層1の表面の酸化層及び不純物を除去する。
ステップA3、半導体基板層1の一側の面に化学気相成長プロセスによって第1サブ表面下地真性層211A、第2サブ表面下地真性層212A、第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221A、第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222A及び第1ドーピング層を順次形成する。
第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層221Aと第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aを形成するプロセスパラメータは上記説明を参照する。
ステップA4、半導体基板層1の他の側面に化学気相成長プロセスによって第1サブ背面下地真性層311A、第2サブ背面下地真性層312A、第1サブ背面ワイドバンドギャップ真性層321A、第2サブ背面ワイドバンドギャップ真性層322A及び第2ドーピング層を順次形成する。
第1サブ背面ワイドバンドギャップ真性層321Aと第2サブ背面ワイドバンドギャップ真性層322Aを形成するプロセスパラメータは、上記説明を参照する。
なお、他の実施例では、第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層222Aと第2サブ背面ワイドバンドギャップ真性層322Aを形成した後、第1ドーピング層と第2ドーピング層を形成するようにしてもよい。
ステップA5、物理気相成長プロセスによって第1ドーピング層の表面に第1透明導電膜6を形成し、第2ドーピング層の表面に第2透明導電膜7を形成する。
アモルファスシリコン構造は無秩序構造であり、電子と正孔の移動率が低く、かつ横方向の導電性が低く、光生成キャリアの収集に不利であり、第1透明導電膜6及び第2透明導電膜7はキャリアを収集し、電極に伝送することに用いられる。
ステップA6、スクリーン印刷プロセスによって第1透明導電膜の表面に第1グリッド電極8を形成し、第2透明導電膜7の表面に第2グリッド電極9を形成する。
第1グリッド電極8は第1透明導電膜6から伝送された電流を収集するために用いられ、第2グリッド電極9は第2透明導電膜7から伝送された電流を収集することに用いられる。
ステップA7、第1グリッド電極8及び第2グリッド電極9に対して硬化及び光注入アニール処理を行う。
一定の温度で、ヘテロ接合電池の表面に強い光を一定時間照射し、ヘテロ接合電池の変換効率を向上させる。
【0129】
本実施例に係るヘテロ接合電池の製造方法は、ワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップが大きく、ヘテロ接合電池に太陽光を照射する時、エネルギーがワイドバンドギャップ真性層のバンドギャップよりも小さい光子は寄生吸収され得ず、太陽光に対する真性半導体複合層の寄生吸収が低減され、それにより太陽光に対する半導体基板層の吸収が多くなり、半導体基板層によって生成される光生成キャリアが多くなり、さらにヘテロ接合電池の短絡電流が向上し得、ヘテロ接合電池の変換効率が向上し得る。
【0130】
明らかに、上記実施例は単に明確に本願の技術的要点を説明するための例示であり、実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて他のさまざまな形態の変化又は変更を行うこともできる。ここで全ての実施形態を網羅する必要がなく、また全ての実施形態を網羅することが不可能なことである。これから導出された明らかな変化又は変動は依然として本発明が創造した特許範囲に属する。
【符号の説明】
【0131】
1 半導体基板層
2 真性半導体複合層
21 下地真性層
211 第1サブ下地真性層
212 第2サブ下地真性層
22 ワイドバンドギャップ真性層
2A 表面真性半導体複合層
21A 表面下地真性層
211A 第1サブ表面下地真性層
212A 第2サブ表面下地真性層
22A 表面ワイドバンドギャップ真性層
221A 第1サブ表面ワイドバンドギャップ真性層
222A 第2サブ表面ワイドバンドギャップ真性層
3 背面真性層
3a 表面真性層
3A 背面真性半導体複合層
31A 背面下地真性層
311A 第1サブ背面下地真性層
312A 第2サブ背面下地真性層
32A 背面ワイドバンドギャップ真性層
321A 第1サブ背面ワイドバンドギャップ真性層
322A 第2サブ背面ワイドバンドギャップ真性層
4 第1ドーピング層
5 第2ドーピング層
6 第1透明導電膜
7 第2透明導電膜
8 第1グリッド電極
9 第2グリッド電極
【国際調査報告】