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▶ シージェイ チェイルジェダング コーポレイションの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】肉代替品及びマンドゥ
(51)【国際特許分類】
   A23L 13/00 20160101AFI20240628BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20240628BHJP
   A23L 35/00 20160101ALI20240628BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240628BHJP
【FI】
A23L13/00 Z
A23L29/00
A23L35/00
A23L5/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501150
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 KR2022010140
(87)【国際公開番号】W WO2023287170
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0091257
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514199250
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】カン、ボギョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、セミ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ソン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、グン エ
【テーマコード(参考)】
4B035
4B036
4B042
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LG12
4B035LG15
4B035LG26
4B035LG40
4B036LF11
4B036LH11
4B036LH13
4B036LH16
4B036LH29
4B036LH35
4B042AC10
4B042AD36
4B042AK06
4B042AK09
4B042AK10
4B042AK11
(57)【要約】
本出願は、セルロースエーテル及び不溶性食物繊維を含む結着食品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースエーテル(cellulose ether)及び不溶性食物繊維を含み、付着性が300~700g・secである、結着食品。
【請求項2】
前記食品は、動物性食物繊維、動物性タンパク質及び動物性脂肪を含まない、請求項1に記載の結着食品。
【請求項3】
前記食品は、動物性食物繊維、動物性タンパク質及び動物性脂肪を含まなくても、肉類に類似した物性及び食感を示すものである、請求項2に記載の結着食品。
【請求項4】
前記セルロースエーテル:不溶性食物繊維が0.3~2:1の割合となるように含まれる、請求項1に記載の結着食品。
【請求項5】
前記セルロースエーテル(cellulose ether)は、前記食品の重量に対して1重量%~5重量%の含有量で含まれる、請求項1に記載の結着食品。
【請求項6】
前記不溶性食物繊維は、前記食品の重量に対して1重量%~7重量%の含有量で含まれる、請求項1に記載の結着食品。
【請求項7】
前記セルロースエーテル(cellulose ether)は、メチルセルロース(methylcellulose)又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropyl methylcellulose)である、請求項1に記載の結着食品。
【請求項8】
前記不溶性食物繊維は、小麦(wheat)食物繊維又は竹(bamboo)食物繊維である、請求項1に記載の結着食品。
【請求項9】
水相成分をさらに含む、請求項1に記載の結着食品。
【請求項10】
前記水相成分は、水を含む、請求項9に記載の結着食品。
【請求項11】
前記水は、前記食品の重量に対して45重量%~65重量%の含有量で含まれる、請求項10に記載の結着食品。
【請求項12】
前記水相成分は、前記食品の重量に対して50重量%~70重量%の含有量で含まれる、請求項9に記載の結着食品。
【請求項13】
前記セルロースエーテル(cellulose ether)及び不溶性食物繊維は、前記食品の重量に対して5重量%~10重量%の含有量で含まれ、
前記水相成分は、前記食品に対して50重量%~70重量%の含有量で含まれる、請求項9に記載の結着食品。
【請求項14】
前記セルロースエーテル、不溶性食物繊維及び水相成分の重量比は、0.3~2:1:14~22である、請求項10に記載の結着食品。
【請求項15】
油相成分をさらに含む、請求項1に記載の結着食品。
【請求項16】
前記油相成分は、食品全体に対して15重量%~30重量%の含有量で含まれる、請求項15に記載の結着食品。
【請求項17】
前記油相成分は、大豆油、キャノーラ油、コーン油、オリーブ油、ヒマワリ油、ココナッツ油、パーム油、タマネギ油、玄米油及びゴマ油からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項15に記載の結着食品。
【請求項18】
前記セルロースエーテル、不溶性食物繊維、水相成分及び油相成分の重量比は、0.3~2:1:14~22:5~8である、請求項13に記載の結着食品。
【請求項19】
テクスチャード植物性タンパク質(TVP, textured vegetable protein)をさらに含む、請求項1に記載の食品。
【請求項20】
セルロースエーテル及び不溶性食物繊維を含む組成物を2000rpm~4000rpmの速度で混合するステップを含む、結着食品の製造方法。
【請求項21】
テクスチャード植物性タンパク質を混合するステップをさらに含む、請求項20に記載の結着食品の製造方法。
【請求項22】
請求項1に記載の結着食品を含む、マンドゥの具。
【請求項23】
前記マンドゥの具は、野菜、サツマイモ春雨、豆腐及びキムチからなる群から選択される少なくとも1つをさらに含む、請求項22に記載のマンドゥの具。
【請求項24】
前記マンドゥの具は、肉類を含まないが、肉類に類似した物性及び食感を示すものである、請求項22に記載のマンドゥの具。
【請求項25】
硬度が13~20gである、請求項22に記載のマンドゥの具。
【請求項26】
弾力性が30~60%である、請求項22に記載のマンドゥの具。
【請求項27】
凝集性が0.2~0.3である、請求項22に記載のマンドゥの具。
【請求項28】
ガム性が3g~6gである、請求項22に記載のマンドゥの具。
【請求項29】
噛み応えが1~3である、請求項22に記載のマンドゥの具。
【請求項30】
マンドゥの皮と、
請求項22~29のいずれか一項に記載のマンドゥの具とを含む、マンドゥ。
【請求項31】
前記マンドゥは、飽和脂肪を2重量%以下、コレステロールを3.5重量%以下、又は食物繊維を2重量%以上の含有量で含む、請求項30に記載のマンドゥ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、肉製品を代替することができ、動物性原料を含まない結着食品素材及びそれを用いて製造したマンドゥに関する。
【背景技術】
【0002】
肉類は人間の主なタンパク質補充源であり、人々は長い歴史の間、肉類又は肉類を用いて作った食品を摂取してきた。しかし、全世界的に健康、環境、動物福祉などについての見解が多様化し、それらに対する社会的な認識が変化することにより、意図的に動物性原料を含む食品の摂取を制限し、その代わりに植物性原料を含む食品のみ摂取する人が増えてきている。このような傾向の動機は様々であるが、動物の生命を重視して動物の権利を保護するための倫理的信念面の理由、仏教、ヒンドゥー教などの宗教において動物性原料の摂取を制限する宗教的理由、肉類中の高いコレステロール、脂質成分などを栄養学的に考慮した健康上の理由、アレルギーなどの体質的理由などが挙げられる。
【0003】
菜食主義、動物性原料の摂取制限の理由と動機が様々であるため、従来の肉食を代替する食材、食品の需要も継続して増加しており、肉製品を代替する素材に関する研究も継続して行われている。肉製品を代替するためには栄養的にタンパク質の含有量が多くなければならず、植物性原料のうちタンパク質含有量の多いことが知られている豆から分離したタンパク質を用いた豆肉が代表的な代替肉である。
【0004】
しかし、肉製品を代替する素材は、タンパク質含有量だけでなく、物性及び味や食感の面でも本物の肉類に類似した特徴を備えなければならない。植物性原料が凝集、結着して肉類に類似した硬い繊維感を示さなければならず、それを噛んだときに適度な硬度、噛み応え、弾力性などを与えるものでなければ、肉類に類似した食感を出すことができない。植物性原料を用いて肉に類似した食感を実現するために、特許文献1においては、植物性脂肪を用いて植物性肉を作製することにより、肉の肉汁に類似した特徴を実現し、特許文献2においては、グルテン、デンプン、タンパク質架橋結合剤、タンパク質加水分解物などを用いて人工肉の食感を改善している。しかし、これらの先行研究においても、肉類を完全に代替する程度に食感や結着性などの物性を実現することは困難であった。また、従来の肉製品代替素材は製造コストの高い分離大豆タンパク質(ISP)を必須構成として含むので、製造コスト、製造工程の効率などを考慮して、ISPを含むことなく、優れた食感及び肉類に類似した物性を有する肉製品代替素材の開発に対する需要と必要性は依然として高いと言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第2020-0048097号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2020-0141958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、セルロースエーテル(cellulose ether)及び不溶性食物繊維を含み、付着性が300~700g・secである結着食品を提供することを目的とする。
【0007】
また、本出願は、セルロースエーテル及び不溶性食物繊維を含む組成物を2000rpm~4000rpmの速度で混合するステップを含む、結着食品の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、本出願は、前記結着食品を含むマンドゥの具を提供することを目的とする。
さらに、本出願は、前記マンドゥの具を含むマンドゥを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、これらを具体的に説明する。なお、本出願で開示される各説明及び実施形態はそれぞれ他の説明及び実施形態にも適用される。すなわち、本出願で開示される様々な要素のあらゆる組み合わせが本出願に含まれる。また、以下の具体的な記述に本出願が限定されるものではない。さらに、本明細書全体にわたって多くの論文及び特許文献が参照されており、その引用が示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容はその全体が本明細書に参照として組み込まれており、それにより本出願の属する技術分野の水準及び本出願の内容がより明確に説明される。
【0010】
本出願の一態様は、セルロースエーテル(cellulose ether)及び不溶性食物繊維(dietary fiber)を含む結着食品を提供する。
本出願における結着食品とは、分節された食材が互いに結合されて塊り状に加工された食品を意味し、本出願においては「結着物」や「ペースト組成物」などと同義であると解される。本出願の結着食品は、肉類を含まなくても、肉類に類似した物性及び食感を有するので、肉製品代替素材として用いられる。
【0011】
本出願における肉製品代替素材とは、動物性原料を含まなくても、肉類(肉)を材料として製造される食品に類似した物性を示し、肉製品を代替する素材を意味し、代替肉、人工肉、フェイクミート、人造肉、豆肉、植物性肉、植物肉などと同じ意味で用いられる。前記肉製品は、肉類を含む製品であればいかなるものでもよく、例えばブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、シカ、家禽類(ニワトリ,カモ,ガチョウ,シチメンチョウ,ダチョウ,ターキー,キジ)などから分離した精肉、筋肉、脂肪又はそれらの混合物を材料として作製する食材又は食品であってもよい。
【0012】
本出願におけるセルロースエーテル(cellulose ether)とは、セルロースのヒドロキシ基をエーテル化したセルロース誘導体を意味する。具体的には、前記セルロースエーテルは、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであってもよい。本出願の結着食品において、前記セルロースエーテル及び不溶性食物繊維の組み合わせは、セルロースエーテルが硬い繊維感を実現すると共に、不溶性食物繊維がセルロースエーテルの強い凝集性を緩和するので、それらの相互補完により適度な繊維感が得られる。よって、本出願の結着食品は、前述した2つの素材の相互補完により、動物性材料を含む素材に類似したレベルの物性を示すので、肉製品代替素材としての利用に適する。
【0013】
本出願におけるメチルセルロース(methyl cellulose)とは、アルカリセルロース(alkali cellulose)にハロゲン化メチル(CHX)を反応させて得たセルロース(cellulose)のメチル(methyl)誘導体を意味する。前記メチルセルロースは、糊料、製パン製品、体質改善剤、コーティング及び包装、繊維工業、農業用、医薬品用など様々な産業分野で用いられる。
【0014】
本出願におけるヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropyl methylcellulose)とは、メチルセルロースのプロピレングリコールエーテルを意味し、食品乳化剤、安定剤、増粘剤、分散剤などとして用いられる。
【0015】
具体的には、前記セルロースエーテルは、結着食品全体に対して1重量%~5重量%の含有量で含まれてもよい。より具体的には、前記セルロースエーテルは、前記結着食品に、1重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2重量%、2.1重量%、2.2重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%及び3重量%から選択される1つの下限、並びに/又は5重量%、4.9重量%、4.8重量%、4.7重量%、4.6重量%、4.5重量%、4.4重量%、4.3重量%、4.2重量%、4.1重量%、4重量%、3.9重量%、3.8重量%、3.7重量%、3.6重量%、3.5重量%、3.4重量%、3.3重量%、3.2重量%、3.1重量%及び3重量%から選択される1つの上限で構成される範囲の含有量で含まれてもよい。例えば、1重量%~5重量%、1.2重量%~4.8重量%、1.5重量%~4.5重量%、1.7重量%~4.3重量%、2重量%~4重量%、2.2重量%~3.8重量%、2.5重量%~3.5重量%、2.7重量%~3.3重量%、3重量%~3.5重量%、又は2.5重量%~3重量%の含有量で含まれてもよい。セルロースエーテルが上記範囲の含有量で含まれると、油分や水分が排出されるのを防止することができ、結着食品を加熱した際にゲル化及び繊維感の実現が容易になる。
【0016】
本出願の不溶性食物繊維(insoluble dietary fiber)とは、消化酵素により消化されない不溶性多糖類を意味する。前記不溶性食物繊維は、セルロース、ヘミセルロース、リグニン及びキチンからなる群から選択される少なくとも1つを含むが、これらに限定されるものではない。
【0017】
具体的には、前記不溶性食物繊維は、いかなる植物から分離したものであってもよく、例えば小麦(wheat)食物繊維、竹(bamboo)食物繊維であってもよい。
具体的には、前記不溶性食物繊維は、結着食品全体に対して1重量%~10重量%の含有量で含まれてもよい。より具体的には、前記不溶性食物繊維は、前記結着食品に、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%及び4重量%から選択される1つの下限、並びに/又は10重量%、9.5重量%、9重量%、8.5重量%、8重量%、7.5重量%、7重量%、6.5重量%、6重量%、5.5重量%、5重量%、4.5重量%、4重量%、3.5重量%、3重量%から前記下限より高くなるように選択される1つの上限で構成される範囲の含有量で含まれてもよい。例えば、1重量%~10重量%、1重量%~7重量%、1重量%~6重量%、1重量%~5重量%、2重量%~5重量%などの含有量で含まれてもよい。本出願の結着食品に不溶性食物繊維が上記範囲の含有量で含まれると、前記セルロースエーテルの凝集性を緩和して適度な繊維感を実現することができ、動物性材料を含む素材に類似したレベルの物性を示すようになる。
【0018】
具体的には、前記結着食品は、セルロースエーテル:不溶性食物繊維が0.3~2:1の割合となるように含んでもよい。このようなセルロースエーテル及び不溶性食物繊維の割合により、本出願の結着食品は、タンパク質成分を追加する前でも、それ自体が肉類に類似した付着性を有するものとなり、上記範囲よりセルロースエーテルの割合が高く又は低くなると、肉類に類似した繊維感が実現されなくなる。一例として、前記結着食品は、セルロースエーテル:不溶性食物繊維が0.3~1.7:1の割合となるように含んでもよい。他の例として、前記結着食品は、セルロースエーテル:不溶性食物繊維が0.5~2:1の割合となるように含んでもよい。さらに他の例として、前記結着食品は、セルロースエーテル:不溶性食物繊維が0.3~0.6:1、0.3~1:1、0.5~1.7:1、0.5~1:1、1~2:1、及び0.5~2:1のいずれかの割合となるように含んでもよい。
【0019】
具体的には、前記セルロースエーテル及び不溶性食物繊維の合計は、結着食品全体に対して2重量%~15重量%含まれてもよい。より具体的には、前記セルロースエーテル及び不溶性食物繊維の合計は、前記結着食品に、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、4重量%、4.5重量%、5重量%、5.5重量%及び6重量%から選択される1つの下限、並びに/又は15重量%、14.5重量%、14重量%、13.5重量%、13重量%、12.5重量%、12重量%、11.5重量%、11重量%、10.5重量%、10重量%、9.5重量%、9重量%、8.5重量%、8重量%、7.5重量%、7重量%、6.5重量%、6重量%、5.5重量%及び5重量%から前記下限より高くなるように選択される1つの上限で構成される範囲の含有量で含まれてもよい。例えば、セルロースエーテル及び不溶性食物繊維の合計は、結着食品の総重量に対して5~10重量%含まれてもよい。前記セルロースエーテル及び不溶性食物繊維の合計が上記重量%範囲より低いと、肉類に類似した物性及び食感が十分に形成されず、上記範囲より高いと、肉製品代替素材の表面の粘りが過度に増加する。
【0020】
本出願の結着食品は、動物性原料を含まないものであってもよい。前記結着食品は、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、シカ、家禽類(ニワトリ,カモ,ガチョウ,シチメンチョウ,ダチョウ,ターキー,キジ)などから分離した精肉、筋肉、脂肪又はそれらの混合物を含まないものであってもよい。
【0021】
本出願の結着食品は、動物性原料を含まないにもかかわらず、動物性原料を用いて作製される食材又は食品に類似した物性及び食感を示すという優れた効果を有するので、肉製品を代替する素材として有用である。
【0022】
また、本出願の結着食品は、タンパク質成分を別途に添加しなくても、又はタンパク質成分を添加する前でも、それ自体が肉類に類似した物性及び食感を有する。例えば、本出願の結着食品は、分離大豆タンパク質(ISP)を含まないものであってもよい。
【0023】
具体的には、本出願の前記結着食品は、動物性食物繊維、動物性タンパク質及び動物性脂肪を含むことなく、肉類と同等又は同程度の範囲の付着性を有するので、肉製品代替素材として活用することができる。
【0024】
本出願における付着性(adhesiveness)とは、食品素材において物質又は表面に粘り着く性質を測定した固有の値を意味し、結着性(binding property)とは、結着食品に含まれる各成分が互いに密着する性質を意味する。
【0025】
前記結着食品の付着性は、肉類と同等又は同程度の範囲であってもよい。本出願の実施例において、豚肉を原料として製造した豚肉結着物の付着性を測定したところ、約455,498g・sec(実施例4)であったので、本出願における肉類と同等又は同程度の範囲の付着性とは、300~700g・secの範囲の付着性を意味し、より具体的には400~700g・secの範囲の付着性を意味する。
【0026】
ここで、前記付着性は、テクスチャーアナライザーを用いて次の条件で測定したものであってもよい。
[測定条件]
・Force:5.0g/Distance:40mm/Test speed:2.00mm/s
具体的には、前記結着食品の付着性は、前記測定条件下にてテクスチャーアナライザーのプローブを用いて測定したものであってもよく、例えば結着食品の表面にプローブを付着させ、再びプローブを分離する際に必要な力を測定したものであってもよい。より具体的には、前記結着食品が示す付着性は、300、320、350、370、400、420、450、470及び500g・secから選択される1つの下限、並びに/又は700、680、650、630、600、580、550、530及び500g・secから選択される1つの上限で構成される範囲の数値であってもよい。例えば、300~700g・sec、320~680g・sec、350~650g・sec、370~630g・sec、400~600g・sec、420~580g・sec、450~550g・sec、470~530g・sec、500~550g・sec、又は450~500g・secの数値で表される付着性を示すものであってもよい。このように、本出願の前記結着食品は、肉類に類似した付着性を有し、優れた結着性を有するので、肉類に類似した食感、組織又は外形を示す。
【0027】
本出願の結着食品は、水相成分をさらに含んでもよい。前記水相成分は、当該技術分野において食品の製造に用いられる水相成分であってもよく、具体的には水及び本醸造醤油から選択される少なくとも1つを含むものであってもよい。
【0028】
具体的には、前記水は、結着食品全体に対して35重量%~70重量%の含有量で含まれてもよい。より具体的には、前記水は、40重量%、40.5重量%、41重量%、41.5重量%、42重量%、42.5重量%、43重量%、43.5重量%、44重量%、44.5重量%、45重量%、45.5重量%、46重量%、46.5重量%、47重量%、47.5重量%、48重量%、48.5重量%、49重量%、49.5重量%及び50重量%から選択される1つの下限、並びに/又は70重量%、69.5重量%、69重量%、68.5重量%、68重量%、67.5重量%、67重量%、66.5重量%、66重量%、65.5重量%、64.5重量%、64重量%、63.5重量%、63重量%、62.5重量%、62重量%、61.5重量%、61重量%、60.5重量%、60重量%から前記下限より高くなるように選択される1つの上限で構成される範囲の含有量で含まれてもよい。
【0029】
具体的には、前記本醸造醤油は、結着食品全体に対して5重量%~12重量%の含有量で含まれてもよい。前記結着食品に、5重量%、5.5重量%、6重量%、6.5重量%、7重量%、7.5重量%及び8重量%から選択される1つの下限、並びに/又は10重量%、9.5重量%、9重量%、8.5重量%及び8重量%から前記下限より高くなるように選択される1つの上限で構成される範囲の含有量で含まれてもよい。
【0030】
前記水相成分は、結着食品全体に対して50重量%~70重量%含まれてもよい。ここで、前記水相成分の含有量は、結着食品の調理前の状態で測定された値であると解される。具体的には、前記水相成分は、前記結着食品に、50重量%、50.5重量%、51重量%、51.5重量%、52重量%、52.5重量%、53重量%、53.5重量%、54重量%、54.5重量%、55重量%、55.5重量%、56重量%、56.5重量%、57重量%、57.5重量%、58重量%、58.5重量%、59重量%、59.5重量%及び60重量%から選択される1つの下限、並びに/又は70重量%、69.5重量%、69重量%、68.5重量%、68重量%、67.5重量%、67重量%、66.5重量%、66重量%、65.5重量%、65重量%、64.5重量%、64重量%、63.5重量%、63重量%、62.5重量%、62重量%、61.5重量%、61重量%、60.5重量%、60重量%、59.5重量%及び59重量%から前記下限より高くなるように選択される1つの上限で構成される範囲の含有量で含まれてもよい。水相成分の含有量が上記範囲より低いと、凝集性が低くなり、流動性が高くなるので、結着食品が適切に形成されず、上記範囲より高いと、凝集性が高くなりすぎて充填が難しくなり、結着食品形成時の不良発生率が高くなる。
【0031】
具体的には、前記セルロースエーテル、不溶性食物繊維及び水相成分の重量比がそれぞれ0.3~2:1:14~22となるように含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本出願の結着食品は、油相成分をさらに含んでもよい。前記油相成分は、植物性油脂であってもよく、例えば大豆油、キャノーラ油、コーン油、オリーブ油、ヒマワリ油、ココナッツ油、パーム油、タマネギ油、玄米油及びゴマ油からなる群から選択される少なくとも1つを含むものであるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
前記油相成分は、結着食品全体に対して15重量%~40重量%の含有量で含まれてもよい。具体的には、前記油相成分は、結着食品に、15重量%、15.5重量%、16重量%、16.5重量%、17重量%、17.5重量%、18重量%、18.5重量%、19重量%、19.5重量%及び20重量%から選択される1つの下限、並びに/又は35重量%、34.5重量%、34重量%、33.5重量%、33重量%、32.5重量%、32重量%、31.5重量%、31重量%、30.5重量%、30重量%、29.5重量%、29重量%、28.5重量%、28重量%、27.5重量%、27重量%、26.5重量%、26重量%、25.5重量%、25重量%、24.5重量%、24重量%、23.5重量%及び23重量%から選択される1つの上限で構成される範囲の含有量で含まれてもよい。
【0034】
一具体例において、本出願の結着食品には、前記セルロースエーテル、食物繊維、水相成分及び油相成分がそれぞれ0.3~2:1:14~22:5~8の重量比範囲で含まれてもよい。
【0035】
本出願の肉製品代替素材は、テクスチャード植物性タンパク質(textured vegetable protein)をさらに含んでもよい。前記テクスチャード植物性タンパク質を配合すると、結着食品の結着性がさらに向上する。
【0036】
本出願におけるテクスチャード植物性タンパク質(textured vegetable protein)とは、植物性タンパク質から肉に類似した外観、形態、組織を有するように組織化して作製されるタンパク質を意味する。前記テクスチャード植物性タンパク質は、タンパク質を含有する植物性原料から脂肪を除去することにより作製されるものであってもよいが、いかなる方法で作製されるテクスチャード植物性タンパク質であってもよい。前記テクスチャード植物性タンパク質は、植物性原料に由来するタンパク質であればいかなるものでもよく、具体的には、マメ、コムギ、メンジツ、アーモンド、キノコ、ジャガイモ、カボチャ、エンドウ、コメ、トウモロコシ、ピーナッツ、ヒマワリなどのタンパク質である。前記テクスチャード植物性タンパク質は、例えば大豆から得たテクスチャード大豆タンパク質(textured soybean protein, TSP)であってもよい。
【0037】
前記テクスチャード植物性タンパク質は、結着食品全体に対して5重量%~20重量%の含有量で含まれてもよい。具体的には、前記テクスチャード植物性タンパク質は、前記結着食品に、3重量%、3.5重量%、4重量%、4.5重量%、5重量%、5.5重量%及び6重量%から選択される1つの下限、並びに/又は15重量%、14.5重量%、14重量%、13.5重量%、13重量%、12.5重量%、12重量%、11.5重量%、11重量%、10.5重量%、10重量%、9.5重量%、9重量%、9.5重量%、9重量%、8.5重量%、8重量%、7.5重量%及び7重量%から選択される1つの上限で構成される範囲の含有量で含まれてもよい。例えば、3重量%~20重量%、4重量%~8重量%、及び5重量%~7重量%の含有量で含まれてもよい。テクスチャード植物性タンパク質が上記範囲の含有量で含まれると、結着性及び付着性の形成が容易になり、動物性材料を含む素材にさらに類似したレベルの物性を本出願の結着食品が示すようになる。
【0038】
具体的には、前記セルロースエーテル、食物繊維及びテクスチャード植物性タンパク質の配合比は、0.3~2:1:1~3の範囲であるが、これに限定されるものではない。
具体的には、本出願の結着食品は、乳化剤、香味剤、天然炭水化物、甘味剤、着色剤、栄養剤、ビタミン、ミネラル(電解質)、合成風味剤や天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド、増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、それらの組み合わせなどの追加成分をさらに含んでもよい。前記乳化剤としては、例えばレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、トコフェロール又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記天然炭水化物としては、グルコース、フルクトースなどの単糖類、マルトース、スクロースなどの二糖類、デキストリン、シクロデキストリンなどの多糖類が含まれる通常の糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールが挙げられる。前記香味剤としては、天然香味剤(ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウディオサイドA、グリチルリチンなど))及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)が挙げられる。
【0039】
具体的には、本出願の結着食品は、カード(curd)の形態であるが、これに限定されるものではなく、製造される食材又は食品の種類、特性に応じて様々な形態を用いることができる。
【0040】
具体的には、本出願の結着食品は、例えばパティ、ソーセージ、ミートボール及びマンドゥを製造する用途で用いられるが、タンパク質性菜食食品であればいかなるものであってもよい。具体的には、本出願の結着食品は、マンドゥの具の製造用であるが、これに限定されるものではない。
【0041】
本出願の他の態様は、セルロースエーテル及び不溶性食物繊維を含む肉製品代替素材作製用組成物を提供する。具体的には、前記肉製品代替素材作製用組成物は、水相成分、油相成分及びテクスチャード植物性タンパク質からなる群から選択される少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0042】
前記セルロースエーテル、不溶性食物繊維、水相成分、油相成分、テクスチャード植物性タンパク質、追加成分などの定義、種類、含有量などについては前述した通りである。
本出願のさらに他の態様は、セルロースエーテル(cellulose ether)及び不溶性食物繊維を含む組成物を混合する混合ステップを含む、結着食品の製造方法を提供する。
【0043】
前記製造方法は、前記結着食品にテクスチャード植物性タンパク質を混合するステップをさらに含んでもよい。
具体的には、前記テクスチャード植物性タンパク質を混合するステップは、カードを作製するステップで前記セルロースエーテル及び不溶性食物繊維を含む組成物の混合を行い、その後テクスチャード植物性タンパク質を順次添加して混合するステップであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0044】
具体的には、前記テクスチャード植物性タンパク質を混合するステップは、カードを作製するステップで前記セルロースエーテル及び食物繊維を含む組成物にテクスチャード植物性タンパク質をさらに含ませ、前記セルロースエーテル、食物繊維及びテクスチャード植物性タンパク質を同時に混合するステップであってもよいが、これに限定されるものではない。このように、セルロースエーテル及び食物繊維を含む組成物を高速回転させて混合し、その後テクスチャード植物性タンパク質を順次配合すると、結着物生成過程において結着食品に特異な食感が形成され、噛み応えが大幅に向上する。
【0045】
具体的には、前記組成物は、水相成分及び油相成分の少なくとも1つをさらに含んでもよい。具体的には、前記組成物は、乳化剤、香味剤、天然炭水化物、甘味剤、着色剤、栄養剤、ビタミン、ミネラル(電解質)、合成風味剤や天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド、増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、それらの組み合わせなどの追加成分をさらに含んでもよい。
【0046】
ここで、前記セルロースエーテル、食物繊維、テクスチャード植物性タンパク質、水相成分及び油相成分、それらの含有量、効果、特徴などについては前述した通りである。
前記混合は、当該技術分野における通常の方法で行うことができ、限定されるものではない。具体的には、前記混合は、高速回転方法で行うことができる。前記高速回転は、ブレンダーを用いて2,000rpm~4,000rpmで混合するものであってもよい。これより低速で混合を行うと、結着物の形成が容易でなく、肉類に類似した繊維感の付与に適さない。具体的には、前記高速回転は、2500rpm~4000rpm、3000rpm~4000rpm、3500rpm~4000rpm、2000rpm~3500rpm、2300rpm~3600rpm、2500rpm~3500rpm、3000rpm~3500rpm、2000rpm~3000rpm、2500rpm~3000rpm、又は3300rpm~3800rpmの速度で行ってもよい。より具体的には、前記高速回転は、2000rpm、2200rpm、2400rpm、2600rpm、2800rpm、3000rpm、3200rpm及び3400rpmから選択される1つの下限、並びに/又は2800rpm、3000rpm、3200rpm、3400rpm、3600rpm、3800rpm及び4000rpmから前記下限より高くなるように選択される1つの上限で構成される範囲の速度で行ってもよい。
【0047】
また、前記混合は、30秒間~2分間行うものであるが、これに限定されるものではない。具体的には、前記混合は、10℃以下の水を添加するものであってもよい。
本出願の結着食品製造方法は、肉類を含まなくても、肉類に類似した食感及び物性を示す結着食品を提供することができる。
【0048】
本出願のさらに他の態様は、前記結着食品を含むマンドゥの具を提供する。具体的には、前記マンドゥの具は、野菜、春雨、豆腐及びキムチからなる群から選択される少なくとも1つをさらに含んでもよい。具体的には、前記マンドゥの具は、野菜、春雨、豆腐及びキムチからなる群から選択される少なくとも1つをさらに含むが、これらに限定されるものではなく、製造するマンドゥの種類、目的、嗜好に応じて、マンドゥに含まれ得る食材であればいかなるものをさらに含んでもよい。例えば、前記マンドゥの具は、ネギ、ニラ、タマネギ、キャベツ、ダイコンなどの野菜、春雨、豆腐、キムチ、ニンニク、食塩、砂糖、コショウ、ゴマ油、炒りゴマなどをさらに含んでもよい。
【0049】
具体的には、前記野菜は、平均裁断サイズが3mm~15mmのものであってもよい。具体的には、前記野菜の平均裁断サイズは、3mm~15mmであるが、これに限定されるものではない。より具体的には、前記野菜のうち、ネギの平均サイズは3mm~6mmであり、ニラの平均サイズは10mm~15mmであり、タマネギの平均サイズは5mm~12mmであり、キャベツの平均サイズは6mm~10mmであるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
前記マンドゥの具は、動物性原料を含まないものであってもよい。前記マンドゥの具は、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、シカ、家禽類(ニワトリ,カモ,ガチョウ,シチメンチョウ,ダチョウ,ターキー,キジ)などから分離した精肉、筋肉、脂肪又はそれらの混合物を含まないものであってもよい。
【0051】
前記結着食品については前述した通りである。ここで、本出願の肉製品代替素材がマンドゥの具のように野菜、調味料などの様々な原料を混合して製造する製品に用いられると、各原料の凝集性に優れ、蒸熟した後の噛み応えに優れ、向上した結着性を示すという効果を奏する。特に、本出願の肉製品代替素材は、結着力に優れるので、結着食品以外の結着性のない成分を主に含むものにおいても、具体的には結着力のない成分を65重量%以上用いるものにおいても、十分な結着力が確保される。
【0052】
本出願のマンドゥの具は、動物性原料又は肉類を含まないが、肉類を含むマンドゥの具と同等又は同程度の範囲の物性を有する。具体的には、前記マンドゥの具は、肉類を用いて作製した結着物と同等又は同程度の範囲の付着性を有する。また、前記マンドゥの具は、肉類を用いて作製したマンドゥの具と同等又は同程度の結着性を有するので、類似した食感を実現することができる。さらに、前記マンドゥの具は、本出願の肉製品代替素材を含有するので、硬度、凝集性、弾力性、ガム性及び噛み応えの特性に優れる。具体的には、前記マンドゥの具の硬度、凝集性、弾力性、ガム性及び噛み応えは、動物性原料を用いて作製したマンドゥの具の硬度、凝集性、弾力性、ガム性及び噛み応えと同等又は同程度のものである。よって、本出願のマンドゥの具は、動物性原料を用いないにもかかわらず、肉類を用いるマンドゥの具に類似した外観、形態、組織、食感を示す。
【0053】
本出願における硬度(hardness)とは、柔軟性に関する食品の機械的特性を意味する。具体的には、前記マンドゥの具の硬度は、10~20gであってもよい。例えば、前記マンドゥの具の硬度は、10g、10.5g、11g、11.5g、12g、12.5g、13g、13.5g、14g、14.5g、15g、15.5g、16g、16.5g、17g、17.5g、18g、18.5g、19g、19.5g及び20gから選択される2つの数値のうち大きな数値を上限、小さな数値を下限とすると、その間の有理数であってもよい。
【0054】
本出願における凝集性(cohesion)とは、食品の形態を維持するのに必要な内部結合力、変形に対する復元力を意味する。具体的には、マンドゥの具の凝集性は、0.2~0.3であってもよい。例えば、前記マンドゥの具の凝集性は、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28及び0.29から選択される2つの数値のうち大きな数値を上限、小さな数値を下限とすると、その間の有理数であってもよい。
【0055】
本出願における弾力性(springiness)とは、物体を曲げた後に、押した後に、又は引っ張った後に力を除去し、元の状態に迅速に戻る程度を示す性質を意味する。具体的には、前記マンドゥの具の弾力性は、30~60%であってもよい。例えば、前記マンドゥの具の弾力性は、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%及び60%から選択される2つの数値のうち大きな数値を上限、小さな数値を下限とすると、その間の有理数であってもよい。
【0056】
本出願におけるガム性(gumminess)とは、半固形食品を飲み込める状態まで咀嚼するのに必要な力又は粘りの程度を意味する。具体的には、前記マンドゥの具のガム性は、3~6gであってもよい。例えば、前記マンドゥの具のガム性は、3g、3.1g、3.2g、3.3g、3.4g、3.5g、3.6g、3.7g、3.8g、3.9g、4.0g、4.1g、4.2g、4.3g、4.4g、4.5g、4.6g、4.7g、4.8g、4.9g、5.0g、5.1g、5.2g、5.3g、5.4g、5.5g、5.6g、5.7g、5.8g、5.9g及び6.0gから選択される2つの数値のうち大きな数値を上限、小さな数値を下限とすると、その間の有理数であってもよい。
【0057】
本出願における噛み応え(chewiness)とは、食品を噛み砕かなければならない程度又は噛み砕くのに必要な努力の程度の尺度を意味する。前記噛み応えは、テクスチャー測定機器で測定した際のテクスチャー曲線における硬度、凝集性及び弾力性をかけた値を意味する。具体的には、前記マンドゥの具の噛み応えは、1~3であってもよい。例えば、前記マンドゥの具の噛み応えは、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9及び3.0から選択される2つの数値のうち大きな数値を上限、小さな数値を下限とすると、その間の有理数であってもよい。
【0058】
前記硬度、凝集性、弾力性、ガム性及び噛み応えは、テクスチャー測定機器を用いて測定した値であってもよく、測定した値から計算した値であってもよい。
本出願のマンドゥの具は、上記範囲の付着性、硬度、凝集力、弾力性、ガム性又は噛み応えを有し、肉類に類似した外観、形態、組織、結着性及び食感を示すものであれば、上記数値範囲が動物性原料(例えば、豚肉及びラード)を用いて作製した結着物において同一条件で測定した物性と同等又は同程度の数値範囲であってもよい。
【0059】
本出願のさらに他の態様は、マンドゥの皮と、前記結着食品を含むマンドゥの具とを含むマンドゥを提供する。
前記結着食品及び結着食品を含むマンドゥの具については前述した通りである。
【0060】
前記マンドゥの皮は、マンドゥの具を包み込みマンドゥの形態を形成する役割を果たすものであり、その材料、マンドゥの皮の作製方法に制限はなく、当該技術分野で通常用いられるマンドゥの皮であれば、いかなるものを用いてもよい。具体的には、前記マンドゥの皮は、穀粉をこねて作製するものであり、前記穀粉は、小麦粉又は蕎麦粉であるが、これらに限定されるものではない。前記マンドゥの皮は、前記穀粉に水を添加し、その後混合、攪拌することにより作製することができ、デンプン、グルテン、塩、食用油などをさらに添加してこねたものであってもよい。前記マンドゥの皮は、穀粉をこねたものを薄く押し広げたものであってもよく、切断して適切な大きさにしたものであってもよい。
【0061】
本出願のマンドゥは、動物性原料、すなわち肉を含まないマンドゥであるが、肉マンドゥに類似した味と食感を示す。
本出願のマンドゥは、肉類に類似した食感及び物性を与えるので、消費者の嗜好に応じることができ、かつ有害な成分をごくわずかしか含まないので、消費者に改善された栄養を提供することができる。
【0062】
前記マンドゥは、飽和脂肪を1.5重量%以下の含有量で含むものであってもよい。具体的には、前記飽和脂肪の含有量は、1.5重量%以下、1.2重量%以下、1重量%以下、0.9重量%以下、0.1重量%~1.5重量%、0.2重量%~1.4重量%、0.5重量%~1.2重量%、0.7重量%~1重量%、又は0.8重量%~1重量%であってもよい。本出願のマンドゥは、上記範囲の低い含有量で飽和脂肪を含み、肉類を用いて製造されるマンドゥより少量の飽和脂肪しか含有しないので、改善された栄養を提供できるという利点がある。
【0063】
前記マンドゥは、コレステロールを3.5重量%以下の含有量で含むものであってもよい。具体的には、前記コレステロールの含有量は、3.5重量%以下、3重量%以下、2.5重量%以下、2重量%以下、1.5重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、0.2重量%以下、0.1重量%以下、0.01重量%以下、0.01重量%~3.5重量%、0.01重量%~3重量%、0.01重量%~2重量%、0.01重量%~1重量%、0.1重量%~0.5重量%、又は0重量%であってもよい。前記含有量が0重量%であるとは、コレステロールが全く含まれないことを意味してもよく、測定されないレベルの含有量で含まれることを意味してもよい。本出願のマンドゥは、このような低い範囲の含有量でコレステロールを含み、肉類を用いて製造されるマンドゥより少量のコレステロールしか含有しないので、改善された栄養を提供できるという利点がある。
【0064】
前記マンドゥは、食物繊維を2重量%以上の含有量で含むものであってもよい。具体的には、前記飽和脂肪の含有量は、2重量%以上、2.1重量%以上、2.2重量%以上、2.3重量%以上、2.4重量%以上、2.5重量%以上、2.6重量%以上、2重量%~3.5重量%、2.1重量%~3.2重量%、2.2重量%~3重量%、2.3重量%~2.8重量%、2.4重量%~2.8重量%、2.5重量%~2.7重量%、又は2.6重量%~2.7重量%であってもよい。本出願のマンドゥは、上記範囲の含有量で食物繊維を含み、肉類を用いて製造されるマンドゥや分離大豆タンパク質を用いて製造されるマンドゥより多量の食物繊維を含有するので、それを摂取する消費者の嗜好にさらに応じることができ、より優れた栄養を提供できるという利点がある。
【発明の効果】
【0065】
本出願の結着食品は、動物性原料を含まなくても、肉類に類似した物性及び食感を実現することができる。
本出願の結着食品は、テクスチャーアナライザーにより測定した付着性が優れており、本物の肉類を用いて作製した結着物と比較して、付着性、結着性が同等又は同程度の範囲であるので、肉類が含まれる食材に類似した食感を示し、マンドゥなどの食品を製造するのに適した物性を示す。よって、本出願の結着食品は、動物性原料が含まれる肉製品を代替する素材として有用である。
【0066】
本出願の結着食品を含むマンドゥの具及びマンドゥは、肉類が含まれるマンドゥの具に類似した付着性、硬度、凝集性、弾力性、ガム性、噛み応えなどを示すので、動物性原料を用いなくても、従来の肉マンドゥに類似した食感を実現できるだけでなく、肉類を含む食品に比べて、生体に有害な成分の含有量を低くすることができ、高栄養の食品を提供することができる。
【0067】
よって、本出願の結着食品や、それを用いて製造したマンドゥなどの食品は、信念、宗教、疾患、体質などの理由により肉類の摂取に制限のある人々でも摂取することができる。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、実施例を挙げて本出願をより詳細に説明する。これらの実施例は本出願をより具体的に説明するためのものであり、本出願がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0069】
セルロースエーテル及び不溶性食物繊維を含み、付着性を有する結着食品の作製
セルロースエーテル及び不溶性食物繊維を用いて、カード(curd)の形態で付着性を有する結着物を作製した。
【0070】
具体的には、セルロースエーテルとしてメチルセルロース(methylcellulose, MC)又はヒドロキシプロピルメチルセルロース(hydroxypropyl methylcellulose, HPMC)、不溶性食物繊維として小麦食物繊維(VITACEL社のWheat Fiber WF300)又は竹食物繊維(SANACEL社のbamboo 200)を用いた。次に、テクスチャード植物性タンパク質(Solbar社のTexured Soy Protein Concentrates)、大豆油(油相成分)及び水(水相成分)を表1の配合比で添加し、本出願の付着性食品素材を作製するための組成物を準備した。次に、ブレンダーを用いて前記組成物を混合し、カードの形態の付着性を有する結着物を作製した。
【0071】
具体的には、前記セルロースエーテル及び不溶性食物繊維と大豆油をブレンダーにて2,000rpm以上の速度で1分間高速混合して乳化し、水とテクスチャード植物性タンパク質も同一条件でブレンダーを用いて混合した。混合には、10℃以下の冷水を用いた。
【0072】
【表1】
【実施例2】
【0073】
豚肉結着物の作製
肉類を用いて比較例1及び比較例2の豚肉結着物を作製した。具体的には、豚肉(豚肉後脚のミンチ,以下豚肉という)に1%の食塩を加えて5分間混合し、その後ラード(豚肉脂肪のミンチ)を添加してバーチカルミキサー(kitchen aid 5 quart mixer)で5分間混合した。比較例1においては、豚肉と脂肪(ラード)の成分を7:3の重量比で配合し、比較例2においては、豚肉とラードを5:5の重量比で配合した。
【実施例3】
【0074】
分離大豆タンパク質を用いた肉製品代替素材の作製
肉製品代替タンパク質として一般に用いられる分離大豆タンパク質(isolated soybean protein, ISP)を添加し、不溶性食物繊維を添加せずに、比較例3の肉製品代替素材を作製した。表2の配合比に従って各成分を添加し、その後ブレンダーを用いてそれらを混合した。
【0075】
【表2】
【実施例4】
【0076】
付着性(adhesiveness)の確認
本物の肉類を用いて作製した結着物を代替するためには、肉類を含まなくても肉類に類似した付着性を有し、結着物を形成する性質が重要である。よって、実験例1~6の作製物を対象に付着性を測定した。
【0077】
具体的には、実験例1~6の作製物、比較例1、2の豚肉結着物、及び比較例3の代替素材をそれぞれ直径3cm、高さ1.5cmの円柱状に成形し、次にテクスチャーアナライザー(texture analyzer)を用いて付着性を測定した。付着性については、食品の表面と他の物体の表面が付着しているときに、それらを分離させるのに必要な力を測定する。P/200プローブを用いて次の測定条件で5回繰り返し測定し、平均値を導出した。結果値の統計は、MINITABの一元配置分散分析Tukey法により、95%の信頼区間を用いて有意差分析を行った。実験結果データにおいて、異なる文字を付した値は、互いに有意差があると判断したものである。
【0078】
[付着性測定条件]
・Force:5.0g
・Distance:40mm
・Test speed:2.00mm/s
【0079】
【表3】
【0080】
その結果、本物の豚肉を原料として豚肉含有量70%で作製した比較例1においては、測定された付着性が498.1g・secであり、豚肉含有量50%で作製した比較例2においては、測定された付着性が455.4g・secであったので、本出願の実験例1~5の結着物は、比較例1及び2の豚肉結着物と同等又は同程度のレベルの付着性を示した(表3)。よって、実験例1~5の素材は、肉類を含まなくても肉類に類似した付着性を有し、豚肉結着物を代替するのに適することが確認された。それに対して、実験例6の作製物においては、測定された付着性が914.4g・secであり、豚肉結着物に比べて付着性が非常に高く、豚肉と脂肪結着物の代替素材としての機能を有さないことが確認された。一方、比較例3の素材においては、測定された付着性が1.55g・secと非常に低く、結着性がないことが示され、豚肉と脂肪結着物の代替素材としての機能を有さないことが確認された。
【実施例5】
【0081】
マンドゥの具の作製及びマンドゥの具の物性確認
実験例1~6の結着物、比較例1の豚肉結着物、及び比較例3の素材を用いて、表4の配合比でマンドゥの具を作製した。それぞれのマンドゥの具に実験例1~6、比較例1及び3の結着物を15.5重量%の含有量で添加し、バーチカルミキサーを用いて混合することにより、マンドゥの具を作製した。ここで、長ネギは3mm~5mm、ニラは12mm、タマネギ及びキャベツは8×8mmの大きさの野菜を用いた。
【0082】
【表4】
【0083】
次に、前述したように作製したマンドゥの具を対象に、テクスチャーアナライザーを用いて各種物性を測定した。具体的には、実験例1~6、比較例1及び3の結着物をそれぞれ添加したマンドゥの具を直径3cm、高さ1.5cmの円柱状に成形し、次にスチームを加えて99℃で5分間蒸熟した。次に、TPA(texture profile analysis-two bite test)を用いて、硬度(hardness)、凝集性(cohesion)、弾力性(springiness)、ガム性(gumminess)及び噛み応え(chewiness)を測定した。その結果を表5に示す。
【0084】
【表5】
【0085】
結果値の統計は、MINITABの一元配置分散分析Tukey法により、95%の信頼区間を用いて有意差分析を行った。実験結果データにおいて、異なる文字を付した値は、互いに有意差があると判断したものである。
【0086】
その結果、メチルセルロースを用いた実験例1及び実験例2を添加したマンドゥの具において、豚肉を70%含む比較例1の結着物を添加したマンドゥの具と比較して、硬度、凝集性、弾力性、ガム性及び噛み応えが全て統計的に同等レベルの結果値を示した(表5)。よって、本出願の結着物は、豚肉結着物に類似した付着性を有し、結着性を示すだけでなく、実際に食品の製造に用いても、肉類を用いたものに類似した物性を示すことが確認された。
【0087】
一方、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いたマンドゥの具(実験例5を添加)において、肉類を用いた比較例1と硬度は同程度であったが、測定された凝集性、弾力性、ガム性及び噛み応えは低かった(表5)。これらの結果から、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いた素材は、豚肉の含有量が相対的に少ない場合に、その代替材として用いてもよいことが確認された。例えば、比較例1で用いた豚肉結着物(豚肉70%,ラード30%)より豚肉の比率を小さくして用いる場合、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む本出願の結着物は有用である。
【0088】
マンドゥのように肉類を材料とする食品を製造する場合、豚肉と脂肪の構成比は、野菜などの各種副材料の投入比や、液状原料の含有量などの複合的な要因により変化する。よって、本出願の結着物を用いる場合、実現しようとする物性と目的に応じてセルロースエーテルの種類を選択して用いることにより、様々な特性のマンドゥの具を作製する際に、肉類に代えて本出願の結着物を用いることができる。
【実施例6】
【0089】
マンドゥの成分確認
実験例1~6、並びに比較例1及び比較例3の結着物を用いて製造したマンドゥを対象に、それらに含まれる栄養成分の含有量を確認した。マンドゥの具及びマンドゥの製造は、実施例5と同様に行った。国家標準食品成分表第9改訂版に基づいて、実施例5のマンドゥ成分及び配合において、1回当たりの摂取基準である150gの各マンドゥのカロリー、並びにタンパク質、脂質、炭水化物、糖類、食物繊維及びナトリウムの含有量、さらに脂質の成分としてコレステロール、飽和脂肪、トランス脂肪などの成分の含有量を理論的に算出した数値を表6に示す。
【0090】
【表6】
【0091】
その結果、本出願の結着物を用いて製造したマンドゥにおいて、肉類を用いて比較例1の素材で製造したマンドゥと比較して、カロリーは低く、食物繊維の量は多く、コレステロールと飽和脂肪の量が著しく少ないという特徴が現れた。また、分離大豆タンパク質を用いた比較例4の素材で製造したマンドゥと比較して、食物繊維が豊富であるという特徴が確認された。
【0092】
よって、本出願の結着食品は、肉類を含まないにもかかわらず、優れた付着性及び肉類に類似した物性を示し、肉製品代替素材として用いることができるので、肉類代替マンドゥを製造できるだけでなく、カロリーが低く、コレステロール、飽和脂肪の含有量が減少しながらも食物繊維の含有量が増大し、それを摂取する消費者に改善された栄養を提供できるという利点があることが確認された。
【0093】
以上の説明から、本出願の属する技術分野の当業者であれば、本出願がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。なお、上記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本出願には、明細書ではなく請求の範囲の意味及び範囲とその等価概念から導かれるあらゆる変更や変形された形態が含まれるものと解釈すべきである。
【国際調査報告】