(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】保護板
(51)【国際特許分類】
B26B 19/06 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
B26B19/06 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501556
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2022069630
(87)【国際公開番号】W WO2023285546
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ダレン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ゴッドリーブ ロベルト
【テーマコード(参考)】
3C056
【Fターム(参考)】
3C056CA02
3C056CA09
3C056CA13
3C056CA16
3C056CA33
(57)【要約】
一態様によれば、毛髪切断機器の切刃組100のための保護板10が提供され、該保護板は皮膚対向面12及び反対側の切刃対向面を有する。当該保護板は、該保護板の縁部18に沿って長手方向に分散された複数の深剃りトリミング歯16であって、120ミクロン未満の厚さを有し、各歯が保護板の縁部から対応する先端まで延びる深剃りトリミング歯と、長手方向に垂直な面内に湾曲形状を有する隆起部22であって、上記歯から保護板の皮膚対向面に向かって隆起され、上記湾曲形状が保護板の縁部を通過すると共に保護板の縁部における接線から30度オフセットされた線により定義される30度包絡線を超えて延在することがない隆起部と、連続した表面を画定する上記歯と隆起部との間の圧力緩和ゾーンであって、該圧力緩和ゾーンと隆起部との間には遷移部32が存在し、当該保護板がユーザの緊張した皮膚上を通過される際に皮膚が該遷移部の輪郭を直接辿ることがなく、これにより皮膚からの圧力を局所的に軽減する圧力緩和ゾーンとを有する。上記隆起部には少なくとも該隆起部の圧力回復ゾーン内に複数の開口48が分散され、該圧力回復ゾーンは立ち上がり点と接線点との間に画定され、上記立ち上がり点は保護板の皮膚対向面から圧力緩和線までの垂直距離がピークになる場所であり、該圧力緩和線は長手方向に垂直な面における隆起部の接線によって定義され、該接線は保護板の縁部を通過するものであり、上記接線点は隆起部上の圧力緩和線の接する位置にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚対向面及び反対側の切刃対向面を有する、毛髪切断機器用の切刃組のための保護板であって、前記保護板は、
当該保護板の縁部に沿って長手方向に分散された複数の深剃りトリミング歯であって、各深剃りトリミング歯が前記保護板の縁部から対応する先端まで延在し、当該保護板が該深剃りトリミング歯において120ミクロン未満の厚さを有する複数の深剃りトリミング歯と、
当該保護板の前記深剃りトリミング歯から前記皮膚対向面に向かって隆起されるように前記長手方向に垂直な面内で湾曲形状を有する隆起部であって、該隆起部の前記湾曲形状が当該保護板の前記縁部を通過すると共に当該保護板の前記縁部における接線から30度オフセットされた線によって定義される30度包絡線を超えて延在しない隆起部と、
連続した表面を画定する前記深剃りトリミング歯と前記隆起部との間の圧力緩和ゾーンであって、該圧力緩和ゾーンと前記隆起部との間には遷移部が存在し、当該保護板がユーザの緊張した皮膚上を通過される際に該皮膚が前記遷移部の輪郭を直接辿ることがなく、これにより前記皮膚からの圧力を局所的に減少させる圧力緩和ゾーンと
を有し、
前記隆起部には複数の開口が該隆起部の少なくとも圧力回復ゾーン内に分散され、該圧力回復ゾーンは立ち上がり点と接線点との間に画定され、前記立ち上がり点は当該保護板の前記皮膚対向面から圧力緩和線までの垂直距離がピークとなる場所であり、該圧力緩和線は当該保護板の前記縁部を通過する、前記長手方向に垂直な面における前記隆起部の接線によって定義され、前記接線点が当該隆起部上の前記圧力緩和線の接線位置にある、
保護板。
【請求項2】
前記複数の開口が、前記隆起部において前記圧力回復ゾーンにおける前記立ち上がり点から少なくとも最初の1mm内に分散される、請求項1に記載の保護板。
【請求項3】
前記遷移部における当該保護板の表面は少なくとも0.1mmの高さの変化を有し、該高さは前記皮膚対向面と前記圧力緩和線との間の垂直距離によって定義されるものである、請求項1に記載の保護板。
【請求項4】
前記複数の開口が、更に、前記隆起部の前記圧力回復ゾーンに隣接する該隆起部の頂部にわたって分散される、請求項1から3の何れか一項に記載の保護板。
【請求項5】
前記圧力緩和ゾーンが平面である、請求項1から4の何れか一項に記載の保護板。
【請求項6】
当該保護板は該隆起部の両縁部に沿って長手方向に分散された複数の深剃りトリミング歯を有し、
前記隆起部の両側に配置された一対の圧力緩和ゾーンが存在し、各圧力緩和ゾーンは前記隆起部と当該保護板の一方の縁部に沿う前記深剃りトリミング歯との間に配置され、
前記隆起部は2つの圧力回復ゾーンにより挟まれた頂部を備え、各圧力回復ゾーンは前記圧力緩和ゾーンに隣接し、前記隆起部が少なくとも前記2つの圧力回復ゾーンに分散された複数の開口を有する、
請求項1から5の何れか一項に記載の保護板。
【請求項7】
当該保護板が単一の一体的板体から形成される、請求項1から6の何れか一項に記載の保護板。
【請求項8】
前記隆起部の前記湾曲形状が、当該保護板の前記縁部を通ると共に該保護板の縁部における接線から5度オフセットされた線により定義される5度包絡線を超えて延在する、請求項1から7の何れか一項に記載の保護板。
【請求項9】
前記深剃りトリミング歯の各々は前記縁部から先端まで延び、該先端において、各深剃りトリミング歯は前記切刃対向面に向かって曲げられると共に前記縁部に向かって後方に向けられ、前記切刃対向面に接続して当該深剃りトリミング歯を補強するための控え壁を形成する、請求項1から8の何れか一項に記載の保護板。
【請求項10】
前記開口が前記圧力回復ゾーンにわたって均一に分散される、請求項1から9の何れか一項に記載の保護板。
【請求項11】
前記圧力回復ゾーンの合計面積に対する前記開口の面積の割合が少なくとも40%である、請求項1から10の何れか一項に記載の保護板。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載の保護板と、該保護板に受け入れられると共に該保護板と協動して毛髪を切断する切断板とを備える、毛髪切断機器のための切刃組。
【請求項13】
請求項12に記載の切刃組と、前記切断板を前記保護板に対して往復運動させる駆動ユニットとを備える、切断アセンブリ。
【請求項14】
ハンドルに取り付けられた請求項13に記載の切断アセンブリを備える、毛髪切断機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪切断機器用の切刃組のための保護板(ガードプレート)並びにそのような保護板を有する切刃組、切断ユニット及び毛髪切断機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、板体の縁部に2組の往復運動歯を備えたトリマ、並びに毛髪を受け入れるための開口を備えた箔体及びこれら開口内の毛髪を切断する切刃を有する箔式シェーバ等の、種々のタイプの顔用毛髪カッタが利用可能である。典型的に、箔式シェーバはトリマよりも深剃りを可能にするが、皮膚に接する1組の歯を備えた非常に薄い板体を有する深剃りトリマも非常に深い髭剃りを達成できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以前に検討された構成では、箔式シェーバ及びトリマを単一のユニットにうまく組み合わせることができなかった。箔式シェーバは優れた切断性能を得るためにドーム型形状を必要とするが、ドーム型形状は深剃りのために深剃りトリマの歯に必要とされる継続的皮膚接触を妨げ、これにより、深剃りトリマの性能を低下させるからである。
【0004】
国際特許出願公開第2015/158923号公報は、トリミング歯と開口付き箔体とを備えた湾曲された保護板を有する切刃組を開示している。
【0005】
本発明は、毛髪切断機器用の切刃組のための保護板(ガードプレート)並びにそのような保護板を有する切刃組、切断ユニット及び毛髪切断機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の特定の態様によれば、皮膚対向面(皮膚対面側)及び反対側の切刃対向面(切刃対面側)を有する、毛髪切断機器用の切刃組のための保護板が提供され、該保護板は:当該保護板の縁部(エッジ)に沿って長手方向に分散された複数の深剃りトリミング歯であって、各歯は保護板の縁部から対応する先端まで延在し、深剃りトリミング歯が120ミクロン未満の厚さを有する複数の深剃りトリミング歯;当該保護板の上記歯から皮膚対向面に向かって隆起されるように長手方向に垂直な面内で湾曲形状を有する隆起部であって、該隆起部の湾曲形状が当該保護板の縁部を通過すると共に当該保護板の縁部における接線から30度オフセットされた線によって定義される30度包絡線を超えて延在しない隆起部;及び連続した表面を画定する前記歯と隆起部との間の圧力緩和ゾーンであって、該圧力緩和ゾーンと隆起部との間には遷移部(移行部)が存在し、当該保護板がユーザの緊張した皮膚上を通過される際に該皮膚が遷移部の輪郭を直接辿ることがなく、これにより皮膚からの圧力を局所的に減少させる圧力緩和ゾーン;を有し、隆起部には複数の開口が該隆起部の少なくとも圧力回復ゾーン内に分散され、該圧力回復ゾーンは立ち上がり点(上昇点)と接線点との間に画定され、該立ち上がり点は当該保護板の皮膚対向面から圧力緩和線までの垂直距離がピークとなる場所であり、該圧力緩和線は当該保護板の縁部を通過する、長手方向に垂直な面における隆起部の接線によって定義され、前記接線点は当該隆起部上の圧力緩和線の接する位置にある。
前記複数の開口は、隆起部において圧力回復ゾーンにおける前記立ち上がり点から少なくとも最初の1mm内に分散される。
【0007】
前記遷移部における当該保護板の表面は少なくとも0.1mmの高さの変化を有し、該高さは皮膚対向面と圧力緩和線との間の垂直距離によって定義されるものである。
【0008】
前記複数の開口は、更に、隆起部の圧力回復ゾーンに隣接する該隆起部の頂部にわたって分散される。
【0009】
前記圧力緩和ゾーンは平面であり得る。
【0010】
当該保護板は隆起部の両縁部に沿って長手方向に分散された複数の深剃りトリミング歯を有し得る。隆起部の両側に配置された一対の圧力緩和ゾーンが存在し得、各圧力緩和ゾーンは該隆起部と当該保護板の一方の縁部に沿う歯との間に配置される。隆起部は2つの圧力回復ゾーンにより挟まれた頂部を有することができ、各圧力回復ゾーンは圧力緩和ゾーンに隣接し、隆起部は少なくとも上記2つの圧力回復ゾーンに分散された複数の開口を有する。
【0011】
当該保護板は、単一の一体的板体から形成され得る。
【0012】
隆起部の湾曲形状は、当該保護板の縁部を通ると共に該保護板の縁部における接線から5度オフセットされた線により定義される5度包絡線を超えて延在し得る。
【0013】
前記歯の各々は前記縁部から先端まで延びることができ、該先端において、各歯は切刃対向面に向かって曲げられると共に前記縁部に向かって後方に向けられ、切刃対向面に接続して当該歯を補強するための控え壁(バットレス)を形成する。
【0014】
前記開口は圧力回復ゾーンにわたって均一に分散され得る。圧力回復ゾーンの合計面積に対する開口の面積の割合は、少なくとも40%であり得る。
【0015】
第2の態様によれば、第1の態様による保護板と、該保護板に受け入れられると共に該保護板と協動して毛髪を切断すると想定される切断板とを備える、毛髪切断機器のための切刃組が提供される。
【0016】
第3の態様によれば、第2の態様による切刃組と、前記切断板を保護板に対して往復運動させるように構成された駆動ユニットとを備える切断アセンブリが提供される。
【0017】
第4の態様によれば、ハンドルに取り付けられた第3の態様による切断アセンブリを備える毛髪切断機器が提供される。
【0018】
上記及び他の態様は、後述される実施形態から明らかとなり、そのような実施形態を参照して説明されるであろう。
【0019】
例示的な実施形態は、以下の図面を参照して単なる例としてのみ説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、例示的な保護板の斜視図を概略的に示す。
【
図2】
図2は、
図1の例示的な保護板の簡略化された側面図を概略的に示す。
【
図4】
図4は、
図3の切刃組を備えた切断アセンブリの断面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は髭トリマ等の毛髪をトリミングするための毛髪切断機器に使用される例示的な保護板10を示し、
図2は保護板10の幾何学的形状の簡略化された側面図を示す。
【0022】
保護板10は、皮膚対面側(皮膚対向面)12及び反対側の切刃対面側(切刃対向面)14を有する単一の一体的板体(プレート)を備える。保護板10は、該保護板10が延びる長軸50に平行な長手方向に分散された複数の深剃りトリミング歯16を備える。
【0023】
各深剃りトリミング歯16は、保護板10の縁部から対応する先端20まで延びている。各深剃り刃16の先端20において、歯16は切刃対向面14に向かって(すなわち、皮膚対向面12から離れる方向に)曲げられ、次いで、折り返し部分において縁部18に向かって戻るように曲げられ、該縁部において、これら歯16は再び結合して連続した板部分を形成する。
【0024】
深剃りトリミング歯16は、切断板110(
図3を参照して後に更に詳細に説明する)上の切断歯112と協働して毛髪を切断するように構成されている。深剃りトリミング歯16は、毛髪が皮膚に可能な限り接近して切断されるように、約90ミクロンの厚さ(板の)を有する。他の例において、該深剃りトリミング歯は、深剃りを確実にするために、100ミクロン未満、又は120ミクロン未満の厚さを有する。
【0025】
この例において、深剃りトリミング歯16は保護板10の対向する縁部(すなわち、長軸50の両側)に配置され、保護板10が2つの異なる方向において毛髪を切断するために使用され得るようにする。他の例において、深剃りトリミング歯は保護板の一方の縁部に沿ってのみ配置され得る。
【0026】
保護板10は、長軸50に対して垂直な面(例えば、
図2に示す面)であって、この例では保護板10の縁部18にも垂直な面内で湾曲された形状を有する隆起部22を備える。隆起部22は、深剃りトリミング歯16から保護板10の皮膚対向面12に向かう方向(すなわち、切刃対向面14から離れる方向)に隆起される。この例における保護板の形状は長軸50に沿って一定である。他の例において、保護板の形状は長軸に沿って変化し得る。
【0027】
保護板10は隆起部22の両側に一対の圧力緩和ゾーン30を更に備え、各圧力緩和ゾーン30は一方の縁部18に沿う一方の組の深剃り歯16と隆起部22との間に配置される。この例において、各圧力緩和ゾーン30は、当該保護板における対応する深剃り歯16と隆起部22との間の約1mmの長さの連続した平面部分を有する。他の例において、当該圧力緩和ゾーンは、任意の連続した表面を画定することができ、1mm未満又は1mmを超える任意の適切な長さのものであり得る。他の例において、当該圧力緩和ゾーンは、使用時に皮膚に対する十分な圧力低下が生じることを保証するように、少なくとも0.3mm長である。
【0028】
この例において、隆起部22は圧力緩和ゾーン30から約1mmの高低差を有するような輪郭を有する。隆起部22は、箔型切断エレメント用のものであり、深剃りに必要な皮膚接触を改善する。他の例において、当該隆起部は圧力緩和ゾーンから例えば1mm以上又は以下、又は少なくとも0.5mm等の任意の適切な高低差を有することができる。
【0029】
各圧力緩和ゾーン30と隆起部22との間には遷移部32が存在し、各圧力緩和ゾーン30が保護板10の対応する縁部18と、対応する遷移部32との間に画定されるようにする。この例における2つの遷移部32は、各々、鋭い角部(すなわち不連続部)を持った凹部を有する。他の例において、該遷移部は、面取りされた角部を持つ凹部、又はそれ以外では当該圧力解放ゾーンから平らな若しくは連続した表面の暗渠又は溝を備え得る。当該遷移部は、使用時にユーザの皮膚が前記歯と隆起部との間で辿る皮膚線から引っ込んだ任意の輪郭を有することができる。
【0030】
各遷移部32は、使用時において保護板がユーザの緊張した皮膚上を通過される際に、皮膚が当該遷移部32において保護板の輪郭を直接辿ることがなく、該保護板32によりユーザの皮膚に印加される圧力が該遷移部において局所的に低減され又は完全に除去されるようになることを保証する。
【0031】
隆起部22の両側には、長軸50に垂直な面内で保護板10の各縁部18を通過する隆起部22に対する接線により圧力緩和線44が定義される(
図2には、一方の圧力緩和線44のみが示されている)。
【0032】
隆起部22は、2つの圧力回復ゾーン36に隣接すると共に、これら圧力回復ゾーンに挟まれた頂部34を備える。各圧力回復ゾーン36は圧力緩和ゾーン30に隣接する。圧力回復ゾーン36は、各々、立ち上がり点38(遷移部32内の)と、隆起部22において圧力緩和線44が該隆起部22と出会う点に位置する接線点46との間に定義される。立ち上がり点38は、圧力緩和線44と保護板10の皮膚対向面12との間の垂直距離(
図2に矢印40で示す)がピークに達する(すなわち、最大に達する)保護板10上の点に定義される。この例において、圧力緩和線44と、圧力緩和ゾーン30及び圧力回復ゾーン36における保護板10の皮膚対向面12との間の垂直距離の変化(本明細書では高さの変化と呼ぶ)は0.1mmである。幾つかの例において、該高さの変化は、0.3mm又は0.3mmを超える等のように、0.1mmを超えるものであり得る。言い換えると、立ち上がり点38におけるピーク高は、0.1mmを超える、好ましい例では0.3mmを超えるものであり得る。遷移部32における高さ変化が大きいほど、皮膚に局所的に印加される圧力を低減する圧力緩和ゾーン30の効果がより顕著になる。これは、保護板10がユーザの皮膚上に当てられて移動される際に、ユーザの皮膚が当該遷移部の輪郭を辿ることができそうもないからである。この領域において皮膚に印加される圧力を減少させると、隆起部22の毛髪切断が改善される。該圧力の減少が、毛髪を皮膚から保護板10に向かって突き出させ又は向き直させ得るからである。
【0033】
複数の開口48が、隆起部22の圧力回復ゾーン36のみに分散されている(
図1に最もよく示されており、頂部34及び圧力回復ゾーン36が接線点46を示す各点線で描かれている)。開口48は切断されるべき毛髪を捕捉するように構成されている。この例において、開口48は円形であり、300ミクロンの直径を有する。他の例において、該直径は200~400ミクロンの範囲若しくは250~350ミクロンの範囲に広がってもよく、又は非円形であり、500ミクロンまでの寸法を有してもよい。更に他の例において、これら開口は異なる形状及び寸法を有してもよい。幾つかの例において、当該複数の開口は圧力回復ゾーン及び頂部の両方に分散されてもよい。圧力回復ゾーンにおける開口は、隆起部への遷移部及び圧力緩和ゾーンにより、頂部における開口よりも毛髪を捕捉するのに効果的である。
【0034】
この例において、開口48は、圧力回復ゾーン36にわたり、該圧力回復ゾーン36の立ち上がり点38から少なくとも最初の1mm以内に均一に分散される。圧力回復ゾーンの少なくとも最初の1mm以内に開口48を有することも、毛髪を捕捉するのに一層効果的となる。これが、最初の数本の毛髪の直径内にあるからである。この例の圧力回復ゾーンにおける板体の合計面積に対する開口48の割合は、約40%である。他の例において、合計面積に対する開口48の割合は40%を超え得る。圧力回復ゾーン36における開口の該割合が高いほど、毛髪が切断のために開口48に捕捉される可能性が高くなる。他の例において、開口は当該圧力回復部分の全体にわたって分散されない場合もある。板体材料に対する開口の割合は、各開口の中心から2つの開口直径によって境界が付けられる領域等の、開口が位置する領域にのみ適用され得る。幾つかの例では、1つの圧力回復ゾーンのみが開口を備え得ることが理解されるであろう。
【0035】
保護板10の隆起部22は、使用時に保護板10がユーザの皮膚上を通過される際に深剃り歯16の切削能力を著しく阻害する危険性を低減するために、隆起包絡線24(
図2に示される)を超えて延在することはない。隆起包絡線24は、保護板10の縁部18を通過すると共に、該保護板10の縁部18における接線から30度の角度αだけオフセットされた線により定められる。この例における保護板10の縁部18における接線は、圧力緩和ゾーン30の表面と整列されている。圧力緩和ゾーン30は平面であり、深剃り歯16から延びているからである。幾つかの例において、隆起包絡線の角度αは、25度であり得る。隆起部22を隆起包絡線24内に制限することは、皮膚との一定した接触を必要とする深剃りトリミング歯16の性能に対する該隆起部の悪影響を低減する。
【0036】
この例において、隆起部22は、保護板10の縁部18を通過すると共に該保護板10の縁部18における接線から5度の角度だけオフセットされた線(図示略)により定められる最小包絡線を超えて延在する。該最小包絡線を超えて隆起部を延在させることは、該隆起部の最良の切断性能のために隆起包絡線上の皮膚に対して十分な圧力が印加されることを保証する助けとなる。
【0037】
保護板10は単一の一体的板体を有すると説明されてきたが、幾つかの例において、該保護板は、一緒に溶着又はそれ以外で取り付けられた複数の板体を有することもできる。
【0038】
また、他の例において、1組の深剃り歯しか存在しない場合は、単一の圧力緩和ゾーン及び隆起部、単一の圧力緩和ゾーンと隆起部との間の遷移部、及び隆起部上の単一の圧力回復ゾーンのみが存在し得ることが理解されるであろう。幾つかの例において、隆起部(したがって遷移部分及び立ち上がり部分)は、保護板の長軸に沿う全長にわたり延在することはなく、保護板の一部にのみ存在し得る。更に、幾つかの例では、保護板の縁部に沿って延びる2組の深剃り歯が存在し得、これらは互いにオフセットされた面内に存在し得(すなわち、2つの縁部及び歯の組は同一面内にない場合があり)、その場合、隆起部の包絡線は各々の縁部で定義される。
【0039】
保護板10は長軸50に沿って延在するものとして定義されているが、幾つかの例において、保護板は湾曲して延在するように曲線に沿って延在してもよい。
【0040】
図3は、保護板10と、該保護板10上に該保護板10の切刃対面側14で受容されるように構成された切断板110とを備える切刃組100の分解図を示す。
【0041】
切断板110は両縁部に切断歯112を備え、これらの切断歯112は、保護板10の両側の深剃りトリミング歯16と協動して毛髪をトリミングするように構成される。切断板110は、更に、該切断板110の面から保護板10に向かって延びる複数の切刃(ブレード)114を備える。これら切刃114は、各々、保護板10の隆起部22の輪郭に対応する輪郭を有し、切刃114が保護板10の開口48と協動して毛髪を切断するように構成されるようにする。
【0042】
この例における切刃組100は、更に、保護支持板200を有し、該保護支持板は保護板10により切刃対面側14において深剃り歯16と保護板10の折り返し部分との間に収容されて、該保護板10の折り返し部分を支持し、これにより深剃りトリミング歯16を支持するように構成される。保護支持板200は複数の歯202も備え、これら複数の歯は、保護板10の深剃り刃16と整列するように構成されると共に、切断板110の歯112と協動して毛髪を切断するように構成される。
【0043】
保護支持板200は、該保護支持板200を形成する板体の厚さを貫通するスロット204を備える。該スロット204は、切刃組100が組み立てられた場合に、保護板10の長軸50と平行になる長手方向に沿って延在する。スロット204は、駆動ユニット300(
図4に示される)に接続されるレバー302を受け入れるように構成される。
【0044】
他の例においては、上記保護支持板を有する代わりに、上記折り返し部分が保護板の切刃対向面に接続されて各深剃り歯のための控え壁を形成することができる。保護支持板及び控え壁の両方は深剃り歯16を補強し、深剃り歯16における板体を一層薄くして、使用時における深剃りを高信頼度で提供できるようにする。
【0045】
図4は、ユーザの皮膚102に当てられている、切刃組100及び駆動ユニット300を備える切断アセンブリ400を示す。皮膚102上の毛髪を剃る又はトリミングするために皮膚102に当てられて示されるように、切刃組100は、保護板10、切断板110及び保護支持板200を備え、保護板10の皮膚対面側12はユーザの皮膚102上を移動する。
【0046】
駆動ユニット300は、保護支持板200のスロット204を通して受け入れられると共に切断板110に枢動可能に接続されるレバー302を備える。これによれば、駆動ユニット300は、切断板110を保護板10に対して往復運動させて、深剃りトリミング歯16及び開口48において毛髪を切断するように構成される。
【0047】
図4は、ユーザの皮膚102上をページの右側に向かって通過される(矢印で示される)切断アセンブリ400を示している。ユーザの皮膚102は、保護板10上を深剃り歯16と接触して流れ、そして保護板10の隆起部22上を流れる。
図4からは、皮膚102が圧力緩和ゾーン30においては、隆起部22への遷移部32により、保護板10の皮膚対面側12の輪郭を辿らないことが分かる。したがって、圧力緩和ゾーン30においては、保護板10から皮膚102上への圧力は一層低くなるか又は存在しない。圧力緩和ゾーン30における圧力の一層の低さ又は不存在により、皮膚102上の毛髪は保護板10に向かって突出し、隆起部22の圧力回復ゾーン36における開口48により捕捉される。これら開口は、圧力緩和ゾーン30からの毛髪を確実に捕捉できるように、圧力回復ゾーン36内に(すなわち、立ち上がり点と、該点を頂部34に向かって1mm超えた位置との間に)配置されねばならない。
【0048】
開口48は立ち上がり点38から隆起部22の少なくとも最初の1mm(すなわち、圧力緩和線44からのピーク高)以内にあると説明されているが、幾つかの例において、開口は立ち上がり点から隆起部の最初の300ミクロン内(例えば、立ち上がり点から毛髪1本の幅以内)にあってもよい。隆起部22の開口48が保護板10の立ち上がり点38に近いほど、毛髪を捕捉する可能性が高くなる。
【0049】
保護板10に関する切断アセンブリ400の対称的性質は、該切断アセンブリ400をいずれの方向においても毛髪を切断するために使用できることを意味する。
【0050】
切断アセンブリ400は、ユーザにより必要とされるように容易に操作できる毛髪切断機器を提供するためにハンドル上に取り付けることができる。
【0051】
開示された実施形態に対する変形は、当業者によれば、本明細書に記載の原理及び技術を実施するに際して、図面、本開示及び添付請求項の精査から理解され、実施され得るものである。請求項において、「有する(含む)」という文言は、他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数を排除するものではない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も、当該範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】