IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-524637放射状にクロックされたステアラブルカテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】放射状にクロックされたステアラブルカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61M25/092 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501566
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 US2022036339
(87)【国際公開番号】W WO2023287637
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/220,666
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】マッテソン、ジェイソン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マチェイ、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】オルソン、マーク フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA32
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB07
4C267BB09
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB26
4C267BB40
4C267BB52
4C267CC08
(57)【要約】
ステアラブルカテーテルは、カテーテル壁によって画定される管腔、近位部分、遠位部分、及びそれらの間に延びる長さを有するカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの長さに沿って延びるとともにカテーテル壁に結合された少なくとも1つのプルワイヤとを含む。少なくとも1つのプルワイヤは、第1の半径方向位置でカテーテルシャフトの近位部分に沿って延びる近位セクションと、第2の半径方向位置でカテーテルシャフトの遠位部分に沿って延びる遠位セクションと、近位セクション及び遠位セクションを接続する移行ゾーンとを有する。第2の半径方向位置は、第1の半径方向位置から円周方向にずれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアラブルカテーテルであって、
近位部分と、遠位部分と、それらの間に延びる長さと、カテーテル壁によって画定される管腔とを有するカテーテルシャフト、及び
前記カテーテルシャフトの前記長さに沿って延びるとともに前記カテーテル壁に結合された少なくとも1つのプルワイヤであって、第1の半径方向位置で前記カテーテルシャフトの前記近位部分に沿って延びる近位セクションと、第2の半径方向位置で前記カテーテルシャフトの前記遠位部分に沿って延びる遠位セクションと、前記近位セクション及び前記遠位セクションを接続する移行ゾーンとを有し、前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から円周方向にずれている、前記少なくとも1つのプルワイヤ
を含むステアラブルカテーテル。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプルワイヤは前記カテーテル壁内に延在する、請求項1に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項3】
前記カテーテル壁は、複数の編まれた又は織られたフィラメントによって少なくとも部分的に画定され、前記少なくとも1つのプルワイヤは、前記複数の編まれた又は織られたフィラメントに編み込まれ又は織り込まれている、請求項2に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項4】
前記移行ゾーンは13mmから51mm(0.5インチから2.0インチ)の長さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項5】
前記移行ゾーンは、前記カテーテルシャフトの遠位先端から51mmから127mm(2.0インチから5.0インチ)である、請求項1~4のいずれか一項に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項6】
前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から前記カテーテルシャフトの円周の10%から50%ずれている、請求項1~5のいずれか一項に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項7】
前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から20度から190度ずれている、請求項1~6のいずれか一項に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項8】
前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から45度から135度ずれている、請求項7に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項9】
シャフト壁によって画定された管腔を有する外側シャフトをさらに備え、前記外側シャフトは、前記シャフト壁内を長手方向に延びるステアリング部材を有し、前記ステアリング部材は、前記外側シャフトの遠位領域を関節運動させるように構成されており、前記カテーテルシャフトは前記外側シャフトの管腔内を移動可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項10】
前記カテーテルシャフトの少なくとも前記遠位部分は、前記外側シャフトから遠位方向に延びるように構成されている、請求項9に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項11】
前記ステアリング部材及び前記少なくとも1つのプルワイヤは、前記外側シャフト及び前記カテーテルシャフトを互いに独立して関節運動させるために別個に作動可能である、請求項10に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項12】
前記外側シャフトは、第1の平面内にある第1の曲線になるように関節運動可能であり、前記外側シャフトから遠位に延びる前記カテーテルシャフトの前記遠位部分は、第2の平面内にある第2の曲線になるように関節運動可能であり、前記第1の平面と前記第2の平面とは異なる、請求項11に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項13】
前記第2の平面は前記第1の平面に対して45度から135度の角度をなしている、請求項12に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項14】
ステアラブルカテーテルアセンブリであって、
遠位端と、近位端と、それらの間に延びる管腔とを有する外側シースであって、前記外側シースは、前記遠位端に隣接する関節領域を有し、前記関節領域は、第1の平面内にある第1の曲線になるように関節運動するように構成されている、前記外側シース、及び
前記外側シースの前記管腔内でスライド可能な内側シャフトであって、前記内側シャフトは、内側シャフト壁によって画定される管腔を有し、前記内側シャフトは、近位部分、遠位部分、及びそれらの間に延びる長さを有し、前記内側シャフトは、前記内側シャフトの長さに沿って延びるとともに前記内側シャフト壁に結合されたプルワイヤを有し、前記プルワイヤは、前記内側シャフトの前記遠位部分が前記外側シースの外へ遠位方向に動かされるとき、前記遠位部分を第2の平面内にある第2の曲線になるように関節運動させるように構成されており、前記第2の平面は前記第1の平面に対して45度から135度の角度をなしている、前記内側シャフト
を含む、ステアラブルカテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記プルワイヤは、第1の半径方向位置で前記内側シャフトの前記近位部分に沿って延びる近位セクションと、第2の半径方向位置で前記内側シャフトの前記遠位部分に沿って延びる遠位セクションと、前記近位セクション及び前記遠位セクションを接続する移行ゾーンとを有し、前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から円周方向に20度から190度ずれている、請求項14に記載のステアラブルカテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療装置に関し、より具体的には、ステアラブルカテーテル、及びそのような医療装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用途、例えば血管内用途のために、多種多様な体内医療装置が開発されている。これらの装置の一部は、ガイドワイヤ、カテーテル、医療装置送達システム(例えば、ステント、グラフト、置換弁用)などを含む。これらのデバイスは、様々な異なる製造方法のいずれか1つによって製造され、様々な方法のいずれか1つに従って使用され得る。既知の医療装置及び方法には、それぞれ一定の長所と短所がある。代替医療装置、ならびに医療装置の代替製造方法及び使用方法を提供する必要性が継続的に存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、医療装置の設計、材料、製造方法、及び代替使用法を提供する。例示的な医療装置は、カテーテル壁によって画定される管腔を有するカテーテルシャフトを備えるステアラブルカテーテルを含み、前記カテーテルシャフトは、近位部分、遠位部分、及びそれらの間に延びる長さ、ならびに前記カテーテルシャフトの前記長さに沿って延びるとともに前記カテーテル壁に結合された少なくとも1つのプルワイヤを有する。前記少なくとも1つのプルワイヤは、第1の半径方向位置で前記カテーテルシャフトの前記近位部分に沿って延びる近位セクションと、第2の半径方向位置で前記カテーテルシャフトの前記遠位部分に沿って延びる遠位セクションと、前記近位セクション及び前記遠位セクションを接続する移行ゾーンとを有し、前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から円周方向にずれている。
【0004】
上記の実施形態に代えて、又はそれに加えて、前記少なくとも1つのプルワイヤは前記カテーテル壁内に延在する。
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記カテーテル壁は、複数の編まれた又は織られたフィラメントによって少なくとも部分的に画定され、前記少なくとも1つのプルワイヤは、前記複数の編まれた又は織られたフィラメントに編み込まれ又は織り込まれている。
【0005】
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記移行ゾーンは13mmから51mm(0.5インチから2.0インチ)の長さを有する。
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記移行ゾーンは、前記カテーテルシャフトの遠位先端から51mmから127mm(2.0インチから5.0インチ)である。
【0006】
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から前記カテーテルシャフトの円周の10%から50%ずれている。
【0007】
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から20度から190度ずれている。
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から45度から135度ずれている。
【0008】
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記ステアラブルカテーテルは、シャフト壁によって画定された管腔を有する外側シャフトをさらに備え、前記外側シャフトは、前記シャフト壁内を長手方向に延びるステアリング部材を有し、前記ステアリング部材は、前記外側シャフトの遠位領域を関節運動させるように構成されている。前記カテーテルシャフトは前記外側シャフトの管腔内を移動可能である。
【0009】
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記カテーテルシャフトの少なくとも前記遠位部分は、前記外側シャフトから遠位方向に延びるように構成されている。
【0010】
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記ステアリング部材及び前記少なくとも1つのプルワイヤは、前記外側シャフト及び前記カテーテルシャフトを互いに独立して関節運動させるために別個に作動可能である。
【0011】
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記外側シャフトは、第1の平面内にある第1の曲線になるように関節運動可能であり、前記外側シャフトから遠位に延びる前記カテーテルシャフトの前記遠位部分は、第2の平面内にある第2の曲線になるように関節運動可能であり、前記第1の平面と前記第2の平面とは異なる。
【0012】
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記第2の平面は前記第1の平面に対して45度から135度の角度をなしている。
別の例示的なステアラブルカテーテルアセンブリは、遠位端と、近位端と、それらの間に延びる管腔とを有する外側シースを含み、前記外側シースは、前記遠位端に隣接する関節領域を有し、前記関節領域は、第1の平面内にある第1の曲線になるように関節運動するように構成されており、内側シャフトは前記外側シースの前記管腔内でスライド可能であり、前記内側シャフトは、内側シャフト壁によって画定される管腔を有し、前記内側シャフトは、近位部分、遠位部分、及びそれらの間に延びる長さを有し、前記内側シャフトは、前記内側シャフトの長さに沿って延びるとともに前記内側シャフト壁に結合されたプルワイヤを有し、前記プルワイヤは、前記内側シャフトの前記遠位部分が前記外側シースの外へ遠位方向に動かされるとき、前記遠位部分を第2の平面内にある第2の曲線になるように関節運動させるように構成されており、前記第2の平面は前記第1の平面に対して45度から135度の角度をなしている。
【0013】
上記の実施形態に代えて、又はそれに加えて、前記プルワイヤは、第1の半径方向位置で前記内側シャフトの前記近位部分に沿って延びる近位セクションと、第2の半径方向位置で前記内側シャフトの前記遠位部分に沿って延びる遠位セクションと、前記近位セクション及び前記遠位セクションを接続する移行ゾーンとを有し、前記第2の半径方向位置は前記第1の半径方向位置から円周方向にずれている。
【0014】
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記内側シャフトは複数の編まれた又は織られたフィラメントによって少なくとも部分的に画定され、前記プルワイヤは前記複数の編まれた又は織られたフィラメントに編み込まれ又は織り込まれている。
【0015】
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記移行ゾーンは13mmから51mm(0.5インチから2.0インチ)の長さを有し、前記内側シャフトの遠位端から51mmから127mm(2.0インチから5.0インチ)の位置に配置される。
【0016】
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から20度から190度ずれている。
上記の実施形態のいずれかに代えて、又はそれに加えて、前記外側シースは、前記外側シースの壁内を長手方向に延びるステアリング部材を有し、前記ステアリング部材は、前記関節領域を第1の曲線になるように関節運動させるように構成され、前記ステアリング部材と前記プルワイヤは、前記外側シース及び前記内側シャフトを互いに独立して関節運動させるために別個に作動可能である。
【0017】
別の例示的なステアラブルカテーテルアセンブリは、遠位端と近位端とそれらの間に延びる管腔とを有する外側シースであって、前記遠位端に隣接する関節領域を有する前記外側シースと、前記関節領域を第1の平面内にある第1の曲線になるように関節運動させるように構成されたステアリング部材と、前記外側シースの前記管腔内でスライド可能な内側シャフトであって、近位部分、遠位部分、及びそれらの間に延びる長さを有する前記内側シャフトとを含み、前記内側シャフトは、それに結合されたプルワイヤを有し、前記プルワイヤは、第1の半径方向位置で前記内側シャフトの前記近位部分に沿って延びる近位セクションと、第2の半径方向位置で前記内側シャフトの前記遠位部分に沿って延びる遠位セクションと、前記近位セクションと前記遠位セクションとを接続する移行ゾーンとを有し、前記第2の半径方向位置は前記第1の半径方向位置から円周方向にずれており、前記プルワイヤは、前記内側シャフトの前記遠位部分が外側シースの外へ遠位方向に動かされるとき、前記遠位部分を第2の平面内にある第2の曲線になるように関節運動させるように構成されており、前記第1の平面と前記第2の平面とは異なる。
【0018】
いくつかの実施形態、態様、及び/又は例の上記の概要は、本開示の各実施形態又はすべての実装を説明することを意図したものではない。図面及び以下の詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示は、添付の図面と併せて、以下の様々な実施形態の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解することができる。
図1A】従来のプルワイヤを備えたステアラブルカテーテルの近位端を示す。
図1B】プルワイヤを引っ張ることによって得られる操縦曲線を示す、図1Aのカテーテルを示す。
図2A図1のカテーテルの第1のプルワイヤが引っ張られているところを示す。
図2B図2Aのカテーテル内で作動する曲線を示す。
図3A図1のカテーテルの第2のプルワイヤが引っ張られているところを示す。
図3B図3Aのカテーテル内で作動する曲線を示す。
図4】内側の標準的なステアラブルカテーテルが遠位方向に延びて作動している図1Aの標準的なステアラブルカテーテルを示す。
図5】外側カテーテルの平面とは異なる平面内で内側カテーテルが操縦されている例示的なステアラブルカテーテルアセンブリの斜視図である。
図6図5のカテーテルが挿入された心臓の断面図である。
図7図6を90度回転させた図である。
図8図5のステアラブルカテーテルアセンブリの端面図である。
図9】別の例示的なステアラブルカテーテルの一部の斜視図である。
図10】90度の角度で曲げられた図9のステアラブルカテーテルの斜視図である。
図11図10のステアラブルカテーテルの第1の端面図である。
図12図10のステアラブルカテーテルの第2の端面図である。
図13図10のステアラブルカテーテルの上面図である。
図14図10のステアラブルカテーテルの側面図である。
図15A図15A図15B、及び図15Cは、カテーテルに沿った異なる位置での別の例示的なステアラブルカテーテルの断面図である。
図15B】同上。
図15C】同上。
図16】さらなる例示的なステアラブルカテーテルの部分斜視図である。
図17図16の線17-17に沿った断面図である。
図18図5のステアラブルカテーテルアセンブリの動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の態様は、様々な修正及び代替形態に従うことができるが、その詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら、本開示の態様を記載された特定の実施形態に限定する意図ではないことを理解されたい。逆に、本開示の趣旨及び範囲内にあるすべての修正、等価物、及び代替物を網羅することが意図されている。
【0021】
詳細な説明
以下に定義される用語については、特許請求の範囲又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0022】
本明細書では、明示的に示されているかどうかにかかわらず、すべての数値は「約」という用語によって修飾されているものとみなされる。数値の文脈における「約」という用語は、通常、記載された値と同等である(例えば、同じ機能又は結果を有する)と当業者が考えるであろう数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入された数値が含まれる場合がある。「約」という用語の他の使用法(例えば、数値以外の文脈における)は、別段の指定がない限り、明細書の文脈から理解され、明細書の文脈と一致するように、通常の慣例的な定義を有すると想定され得る。
【0023】
上限・下限による数値範囲の記載には、上限・下限を含む、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。様々な構成要素、特徴及び/又は仕様に関するいくつかの適切な寸法、範囲、及び/又は値が開示されているが、当業者であれば、本開示に触発されて、所望の寸法、範囲、及び/又は値が明示的に開示されているものから逸脱する場合があることを理解するであろう。
【0024】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つ」、「その」、及び「前記」には、内容が明らかにそうでないことを示していない限り、複数の指示対象が含まれる。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「又は」という用語は、内容が明らかにそうでないことを示していない限り、総じて「及び/又は」を含む意味で使用される。理解を容易にするために、本開示の特定の特徴は、複数であるか又は開示される実施形態内で繰り返される場合でも、単数形で説明される場合があることに留意されたい。特徴の各例は、明示的に反対の記載がない限り、単一の開示を含む、及び/又は単一の開示によって包含される場合がある。簡略化及び明確化の目的で、本開示のすべての要素が必ずしも各図に示されたり、以下で詳細に説明されたりするわけではない。しかしながら、明確に反対の記載がない限り、以下の説明は複数ある構成要素のいずれか及び/又はすべてに等しく適用され得ることが理解されるであろう。さらに、明確にするために、一部の要素又は特徴のすべての例が各図に示されているわけではない場合がある。
【0025】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、それらの変形などの相対的な用語は、通常、デバイスのユーザ/操作者/マニピュレータに対する様々な要素の位置決め、方向、及び/又は操作に関して考慮される。ここで、「近位」及び「後退」は、ユーザに近い、又はユーザに向かっていくことを示す又は指すものであり、「遠位」及び「前進」は、ユーザから遠い、又はユーザから離れていくことを示す又は指すものである。場合によっては、「近位」及び「遠位」という用語は、本開示の理解を容易にするために任意に割り当てられることがあり、そのような例は当業者には容易に明らかであろう。「上流」、「下流」、「流入」、及び「流出」などの他の相対的な用語は、体管腔、血管、又はデバイス内などの管腔内の流体の流れの方向を指す。
【0026】
「範囲」という用語は、記載又は特定された寸法の最大の測定値を意味すると理解され得、ただし、その範囲又は寸法の前に「最小」が付けられているか、又は「最小」として識別されている場合、これは、記載又は特定された寸法の最小測定値を意味すると理解され得る。例えば、「外側範囲」は最大外側寸法を意味すると理解され得、「半径方向範囲」は最大半径方向寸法を意味すると理解され得、「長手方向範囲」は最大長手方向寸法を意味すると理解され得る。「範囲」の各例は異なる場合があり(例えば、軸方向、長手方向、横方向、半径方向、円周方向など)、個々の用法の文脈から当業者には明らかであろう。通常、「範囲」は、意図された使用法に従って測定された可能な最大の寸法と考えられ、一方、「最小範囲」は、意図された使用法に従って測定された可能な最小の寸法と考えられる。場合によっては、「範囲」は、通常、平面及び/又は断面内で直角に測定され得るが、特定の文脈から明らかなように、角度方向、半径方向、円周方向(例えば、円弧に沿って)などの(ただしこれらに限定されない)異なる方法で測定される場合もある。
【0027】
「モノリシック」及び「単一」という用語は、通常、単一の構造又は基本ユニット/要素から作られる、又はそれからなる要素を指すものとする。モノリシック及び/又は単一要素には、複数の個別の要素を一緒に組み立てて又はその他の方法で結合して作られた構造及び/又は特徴は含まれないものとする。
【0028】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得ることを示すが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造、又は特性を含む必要はないことに留意されたい。さらに、このような語句は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性がある実施形態に関連して説明されている場合、明確に反対の記載がない限り、その特定の特徴、構造、又は特性を他の実施形態に関連して有効にすることは、明示的に記載されているか否かに関わらず、当業者の知識の範囲内である。すなわち、以下に説明する様々な個々の要素は、特定の組み合わせで明示的に示されていなくても、当業者には理解され得るように、他の追加の実施形態を形成するために、又は説明される実施形態を補足及び/又は充実させるために、互いに組み合わせることができるか、又は配置可能であると考えられる。
【0029】
明確にする目的で、本明細書及び/又は特許請求の範囲全体にわたって、記載及び/又は請求される様々な特徴を命名及び/又は区別するために、特定の識別用の数値命名法(例えば、第1、第2、第3、第4など)が使用される場合がある。数値命名法は限定を意図するものではなく、単なる例示であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、簡潔さと明確さのために、以前に使用された数値命名法の変更及び逸脱が行われる場合がある。つまり、「第1の」要素として識別された特徴は、後に「第2」の要素、「第3の」要素などと称されたり、完全に省略されたり、及び/又は異なる特徴が「第1の」要素と呼ばれたりする場合がある。各例における意味及び/又は名称は、当業者には明らかであろう。
【0030】
以下の説明は、図面を参照して読まれるべきであるが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、異なる図面における同様の要素には同じ番号が付けられている。詳細な説明及び図面は、例示を目的とするものであり、本開示を限定するものではない。当業者は、説明及び/又は図示された様々な要素が、本開示の範囲から逸脱することなく様々な組み合わせ及び構成で配置され得ることを認識するであろう。詳細な説明及び図面は、本開示の例示的な実施形態を示している。しかしながら、明瞭さと理解を容易にするために、各図面にはすべての特徴及び/又は要素が示されていない場合があるが、別段の指定がない限り、そうした特徴及び/又は要素は存在すると理解され得る。
【0031】
心臓血管系に影響を与える疾患及び/又は病状は世界中で蔓延している。従来、心臓血管系の治療は、心臓血管系の影響を受けた部分に直接アクセスすることによって行われることが多かった。例えば、1つ以上の冠状動脈の閉塞の治療は、従来、冠状動脈バイパス手術を使用して治療されていた。容易に理解できるように、そのような治療法は患者にとってかなり侵襲的であり、かなりの回復時間及び/又は治療を必要とする。より最近では、例えば、閉塞した冠動脈に経皮カテーテルを介してアクセスして治療できる、低侵襲性の治療法が開発されている(血管形成術など)。このような治療法は、患者及び臨床医の間で広く受け入れられている。
【0032】
一部の哺乳類の心臓(例えば、ヒトなど)は、三尖弁、肺動脈弁、大動脈弁、僧帽弁の4つの心臓弁を備えている。比較的一般的な病状には、心臓内のこれらの弁の1つ以上の非効率性、無効性、又は機能不全が含まれる場合や、その結果である場合がある。欠陥のある心臓弁の治療には、欠陥のある弁の修復又は完全な交換が必要になることが多いため、別の課題も生じる。このような治療法は患者にとって非常に侵襲的となり得る。本明細書では、1つ以上の心臓弁などの要素を診断、治療、及び/又は修復するために心臓血管系の一部内で使用され得るシステム、デバイス、及び/又は方法が開示される。本明細書に開示されるシステム、デバイス、及び/又は方法の少なくとも一部は、経皮的に使用することができ、したがって、患者に対する侵襲性がはるかに低くなり得るが、他の外科的方法及びアプローチも使用され得る。本明細書に開示されるシステム、デバイス、及び/又は方法は、以下でより詳細に説明するように、多くの追加の望ましい特徴及び利点も提供することができる。
【0033】
本開示の目的のために、以下の議論は自然僧帽弁の治療に向けられており、簡潔にするためにそのように説明される。しかしながら、これは限定することを意図したものではなく、当業者であれば、以下の議論が、本開示の構造及び/又は範囲に変更を加えることなく、又は最小限の変更で、他の心臓弁又は心臓の領域にも適用され得ることを認識するであろう。同様に、本明細書に開示される医療装置は、動脈、静脈、及び/又は他の体腔などであるがこれらに限定されない患者の解剖学的構造の他の部分に応用及び使用することができる。
【0034】
心臓の領域にアクセスするには、多くの場合、カテーテルを複雑な位置に操縦する必要がある。例えば、処置は、カテーテルがすでに関節運動及び/又は操縦されている第1の平面の反対側の第2の平面内でカテーテルを関節運動させ及び/又は操縦することを含み得る。そのような例の1つは僧帽弁治療である。この治療では、互いに反対向きの平面内で操縦する必要がある複数のステアラブル伸縮式カテーテルが必要である。最外側ステアラブルカテーテルを、僧帽弁の中心に置くために、1つの平面内で90度から180度以上に関節運動させることが望ましい場合がある。最内側ステアラブルカテーテルを、最外側カテーテルから繰り出してから、最外側カテーテルの操縦面に対して直角の平面内で約90度に操縦することが望ましい場合がある。従来の操縦機構の問題は、最外側カテーテルの操縦が偏り、最内側カテーテルが関節運動する操縦可能な平面に影響を与えることである。最外側カテーテルは、最内側カテーテルが関節運動できる平面を事前に規定する。最外側カテーテルは、最内側カテーテルに対してこの操縦可能な平面を事前に規定しているため、最内側カテーテルは、平面外に操縦される能力と、最外側カテーテルに対する相対的なトルクを失う。
【0035】
標準的な従来技術のステアラブルカテーテルは、図1A~3Bに示すように、カテーテルの壁に埋め込まれた1つ以上のプルワイヤを含み得る。図1Aに示す例では、カテーテルシャフト10は、カテーテルシャフトの両側に沿って延びる2本のプルワイヤ12を有する。カテーテルシャフトを操縦するとき、プルワイヤが引っ張られることで、図1Bにおいて破線曲線で示すように、プルワイヤが配置されている平面内でカテーテルシャフトが曲がる/たわむ。カテーテルシャフト10を関節運動させるとき、引っ張られるプルワイヤ12は常に曲げ半径の内側にあり、最短経路をとることになる。図2Aは、1本のプルワイヤ12が引っ張られているところを示し、図2Bは、結果として生じるカテーテルシャフト10の湾曲を示す。図3Aは、反対側のプルワイヤ12が引っ張られているところを示し、図3Bは、結果として生じるカテーテルシャフト10の湾曲を示す。
【0036】
図4は、関節運動させた外側カテーテル10の内側で内側カテーテル14を操縦した結果を示しており、内側カテーテル14は、上述のような標準的なプルワイヤを使用して操縦される。外側ステアラブルカテーテル10が関節運動されると、その中を並進する任意のステアラブルカテーテルは、外側カテーテル10によって駆動される平面内に整列しようとするであろう。これは、プルワイヤが引っ張られ、プルワイヤが最短経路をとろうとするため、外側カテーテル10の曲げ半径の内側に偏ることによって引き起こされる。内側カテーテル14は、外側カテーテル10によって規定された曲げ半径の周りにすでに行き渡っているため、内側カテーテル14内の標準プルワイヤから操縦すると、図4に示すように、内側カテーテル14は外側カテーテルと同じ平面内で操縦されることになる。
【0037】
一部の治療法では、(図4に示すように)外側カテーテルと同じ平面内で内側カテーテルを関節運動させると、処置を実施するために必要なアクセスが得られない。代わりに、内側カテーテルは外側カテーテルの平面とは反対側の平面で曲がる必要がある。図5は、外側カテーテル10に対する内側カテーテル16の所望の作動を伴う例示的なステアラブルカテーテルアセンブリ50を示す。心臓弁に治療を施すためなどのいくつかの例では、内側カテーテルは、外側カテーテルの平面とは異なる平面内で操縦可能であることが望ましい場合がある。図6及び7は、僧帽弁にアクセスするための心臓5内の内側カテーテル16の望ましい位置を示している。僧帽弁に対して行われる治療では、カテーテルの裏側にある小葉である後尖の下の場所にアクセスすることを必要とし得る。このような位置にアクセスするには、図6に示すように、最外側ステアラブルカテーテル10の遠位領域を第1の平面内で180度の曲線になるように関節運動させることで、僧帽弁の中心に置くことが望ましい場合がある。図7に示すように、最内側ステアラブルカテーテルシャフト16を最外側カテーテル10から繰り出し、次いで、最外側カテーテルの操縦平面に対して直角な第2の平面内で約90度操縦することが望ましい場合がある。最外側カテーテル10と最内側ステアラブルカテーテルシャフト16とは別個に作動可能であってもよい。例えば、最外側カテーテル10を最初に作動させ、次に最内側ステアラブルカテーテルシャフト16を部分的に最外側カテーテル10の外に延在させてから作動させてもよい。他の治療の場合、外側カテーテル10を45度から270度までの曲線になるように関節運動させることが望ましく、内側カテーテル16を45度から180度までの曲線になるように関節運動させることが望ましい場合がある。さらに、内側カテーテル16を、外側カテーテル10の平面に対して約45度から135度の第2の平面内で関節運動させることが望ましい場合がある。いくつかの例では、外側カテーテル10及び内側カテーテル16は1.5~1.8m(5~6フィート)の長さであってもよく、外側カテーテル10は、2.5mm~7.6mm(0.10インチ~0.30インチ)の外径、1.9mm~5.1mm(0.075インチ~0.20インチ)の内径を有してもよく、内側カテーテル16は、1.3mm~4.44mm(0.05インチ~0.175インチ)の外径を有してもよい。一例では、外側カテーテル10は、6.22mm(0.245インチ)の外径及び4.44mm(0.175インチ)の内径を有し得、内側カテーテル16は、2.69mm(0.106インチ)の外径を有し得る。
【0038】
図8は、第1の平面P1内にある曲線になるように関節運動された外側カテーテル10の遠位部分を示す。いくつかの例では、図8に示すように、内側カテーテル16は、外側カテーテル10の第1の平面P1に対して90度直角である第2の平面P2内にある曲線になるように作動される。他の例では、第2の平面P2は、第1の平面P1に対して45度から135度の角度をなしてもよい。
【0039】
図9及び図10は、上述のプルワイヤ12を備えたカテーテル10などの標準的なステアラブル外側カテーテル内に配置され、遠位方向に伸長したときに外側カテーテルとは異なる平面内で操縦されるように構造化された例示的なステアラブルカテーテルシャフト160を示す。カテーテルシャフト160は、カテーテル壁162によって画定される管腔161を有し、近位部分164、遠位部分166、及び近位部分164と遠位部分166との間の移行部分168を含む。図9及び10に示す例では、カテーテルシャフト160は、1つ以上の織られた又は編まれたフィラメント169によって形成される。他の例では、カテーテルシャフト160は、中実の壁を備えた円筒構造であってもよい。カテーテルシャフト160は、カテーテルシャフト160の長さに沿って延びるとともにカテーテル壁162に結合された少なくとも1つのプルワイヤ120を含み得る。プルワイヤ120は、カテーテルシャフトの近位部分164に沿って延びる近位セクション124、カテーテルシャフトの遠位部分166に沿って延びる遠位セクション126、及び近位セクション124と遠位セクション126を接続する移行ゾーン128を有する。プルワイヤ120の近位セクション124は、第1の半径方向位置121に延びることができ、遠位セクション126は、第1の半径方向位置121から円周方向にずれた第2の半径方向位置123に延びることができ、移行ゾーン128は、近位セクション124と遠位セクション126とを接続するように角度が付けられている。
【0040】
図11~14は、プルワイヤ120の近位セクション124の第1の半径方向位置121及び遠位セクション126の第2の半径方向位置123を示す。図11は、カテーテルシャフト160の近位部分164を見下ろした図であり、ほぼ2時の位置にあるプルワイヤ120の近位セクション124を示している。プルワイヤ120の遠位セクション126は、カテーテルシャフト160の上部に沿って延びているのが見られる。これは図12により明確に示されている。図12では、遠位部分166を見下ろすようにカテーテルシャフト160が回転されている。プルワイヤ120の遠位セクション126は、ほぼ12時の位置に明確に示されている。図11図12を比較すると、プルワイヤ120の近位セクション124の第1の半径方向位置121が、遠位セクション126の第2の半径方向位置123から円周方向にずれていることが示される。プルワイヤ120の移行ゾーン128の一部が図12に示されているが、カテーテルシャフト160の後部を通してプルワイヤ120の移行ゾーン128を見た図である図13と、カテーテルシャフト160の側面から見た図である図14に、より明確に示されている。移行ゾーン128は、近位セクション124及び遠位セクション126の両方に対してある角度で延びる。
【0041】
いくつかの例では、第2の半径方向位置123は、第1の半径方向位置121からカテーテルシャフトの円周の10%から50%ずれている。これは、遠位セクション126の第2の半径方向位置123が、プルワイヤ120の近位セクション124の第1の半径方向位置121からおよそ36度~180度ずれていることを意味する。他の例では、第2の半径方向位置123は、第1の半径方向位置121から20度から190度ずれていてもよい。さらなる例では、第2の半径方向位置123は、第1の半径方向位置121から45度から135度ずれていてもよい。いくつかの例では、プルワイヤ120の近位セクション124と移行ゾーン128との間の角度は、移行ゾーン128と遠位セクション126との間の角度と同じであってもよい。他の例では、これらの角度は異なっていてもよい。
【0042】
カテーテルシャフト160が外側カテーテルから出る際に、よりきつい曲線を達成するには、短い移行ゾーン128が望ましい場合があるが、その長さは、カテーテルシャフト160の折れを避けるために十分な長さでなければならない。いくつかの例では、移行ゾーン128は、13mmから51mm(0.5インチから2.0インチ)の長さを有し得る。移行ゾーン128の遠位端は、カテーテルシャフト160の遠位先端から51mmから127mm(2.0インチから5.0インチ)であり得る。2本のプルワイヤ120を備えた例では、移行ゾーン128における各プルワイヤ120の角度は同じであっても異なっていてもよい。さらに、各カテーテルシャフト160の遠位先端に対する移行ゾーン128の長さ及び位置は、同じであっても異なっていてもよい。
【0043】
カテーテルシャフト160の移行部分168は、プルワイヤの移行ゾーン128が通っているカテーテルシャフト160の部分である。いくつかの例では、カテーテルシャフト160の移行部分168は、近位部分164及び遠位部分166の一方又は両方よりも柔軟である。織られた又は編まれたカテーテルシャフトの場合、PIC数(1インチあたりの交差)が曲げ半径と柔軟性に影響を与え得る。PIC数が多いほど柔軟性が向上し、PIC数が少ないほど縦方向の剛性が向上する。例えば、織られた又は編まれたカテーテルシャフト160は、遠位部分166において75のPIC数を有し、移行部分168にわたって減少して近位部分164では45であり得る。カテーテルシャフト160は、ポリマーから作製され得、複数の織られた又は編まれたフィラメントを備えていてもいなくてもよい。ポリマーのデュロメータを変更することで、カテーテルの様々な部分で異なる柔軟性プロファイルを実現することもできる。例えば、Pebax(登録商標)などのポリエーテルブロックアミドを含むカテーテルシャフト160は、遠位部分166の35Dから移行部分168の55Dを経て、近位部分164の70Dまで増加するデュロメータを有し得る。他の例では、カテーテルシャフト160の異なる部分に異なるポリマーが使用され得る。例えば、遠位部分166及び移行部分168は、様々なデュロメータ(遠位部分では35D、移行部分では55D及び70D)を有するPebax(登録商標)などの1つ以上のポリマーを含むことができ、近位部分164は、Grilamid(登録商標)TR55LX(ショアD81)などのより大きい硬度係数のポリマーで作製することができる。他の例では、カテーテルシャフト160はハイポチューブであってもよく、遠位部分166及び/又は移行部分168は、柔軟性を高めた領域を提供する様々な角度及び/又は深さの複数の切り込み、溝、又はノッチを含んでもよい。
【0044】
図15A、15B、及び15Cは、プルワイヤ220の円周方向の位置を示す、別の例のカテーテルシャフト260の断面図である。図15Aは、近位セクションにおける第1の半径方向位置221にあるプルワイヤ220の位置を示す。図15Bは移行セクションにおけるプルワイヤ220の位置を示し、図15Cは、遠位セクションにおける第2の半径方向位置223にあるプルワイヤ220を示す。近位セクションにおける第1の半径方向位置221にあるプルワイヤ220の位置(図15A)は、遠位セクションにおける第2の半径方向位置223(図15C)の位置から円周方向に約135度ずれている。
【0045】
図9図15に示す例では、カテーテルシャフト160は、近位端から遠位端に隣接する位置又は遠位端にある位置までカテーテルシャフト160の長さに沿って長手方向に延びる単一のプルワイヤ120を有する。他の例では、複数のプルワイヤが存在してもよい。プルワイヤは、接着剤などを用いてカテーテル壁に結合されてもよい。中実の壁を備えたカテーテルシャフトでは、図1Aに示す標準的なステアラブルカテーテル10のように、プルワイヤを壁内に配置することができる。1つ以上の織られた又は編まれたフィラメント169から形成されたカテーテルシャフト160では、図9~15Cに示すように、プルワイヤ120はカテーテル壁の内面に結合され得る。他の例では、プルワイヤ120は、図16に示すように、カテーテル壁162を形成する複数の織られた又は編まれたフィラメント169に織り込まれ又は編み込まれてもよい。したがって、プルワイヤ120は、図17の断面図に示すように、一部のフィラメント169の下及び他のフィラメント169の上に配置される。
【0046】
図18は、ステアラブルカテーテルアセンブリ50の動作を示す。外側カテーテル10(透明体として示されている)は、図1A~3Bに関して上述したように、標準的なプルワイヤ12を有することができる。外側カテーテル10の遠位部分13は、遠位端に隣接する関節領域を画定することができ、この関節領域は、第1の平面内にある第1の曲線になるように関節運動するように構成されており、プルワイヤ12を引くことにより、第1の曲線は、第1半分の曲線15と第2半分の曲線17とを含む。内側カテーテルシャフト160は、図9~17に関して上述したようにプルワイヤ120を含む。外側カテーテル10が作動され、所望の第1の湾曲及び位置に関節運動されると、内側カテーテルシャフト160は、遠位部分166が外側カテーテル10から遠位方向に延び、内側カテーテルの移行部分168が外側カテーテル10の第2半分の曲線17の内部に残るまで、遠位方向に移動され得る。次に、内側カテーテルシャフト160内のプルワイヤ120が作動され、移行部168が外側カテーテル10と協働して、遠位部166を、外側カテーテル10の第1の曲線の平面に対してある角度をなす平面内にある第2の曲線になるように作動させる。外側カテーテル10を操縦するプルワイヤと、内側カテーテルシャフト160を作動させるプルワイヤ120とを別々に作動させることにより、異なる平面内に第1及び第2の曲線を形成することが可能になる。
【0047】
いくつかの例では、内側カテーテルシャフト160の近位端にマーカー(図示せず)を設けることで、内側カテーテルシャフト160の移行部分168が外側カテーテル10の第2半分の曲線17内にあるときをユーザに示すことができる。他の例では、内側カテーテルシャフト160の移行部分168内又はプルワイヤ120の移行ゾーン128上に、蛍光又は放射線不透過性マーカー(図示せず)を設けることで、内側カテーテルシャフト160の移行部分168が外側カテーテル10の第2半分の曲線17内にあるときを示すことができる。マーカーはまた、内側カテーテルシャフト160の遠位部分166上に提供されてもよい。
【0048】
上記の例に関連して説明した寸法及び角度は単なる例示であり、移行ゾーンの他の寸法及び角度も考えられることが理解されるであろう。ステアラブルカテーテル(及び/又は本明細書に開示される他のシステムもしくは構成要素)の様々な構成要素及び本明細書に開示されるその様々な要素に使用できる材料には、医療装置に一般的に関連する材料が含まれ得る。簡潔にするために、以下の説明では、ステアラブルカテーテルアセンブリ50(及び本明細書に開示される変形例、システム又は構成要素)について言及する。しかしながら、これは、本明細書に記載される装置及び方法を限定することを意図するものではなく、その議論は、本明細書に開示される他の要素、部材、構成要素、又は装置に適用され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、ステアラブルカテーテルアセンブリ50(及び本明細書に開示されるその変形例、システム又は構成要素)は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例は以下に開示されている)、金属-ポリマー複合材料、それらの組み合わせなど、又は他の適切な材料から作製され得る。適切な金属及び金属合金のいくつかの例には、ステンレス鋼、例えば、444V、444L、及び314LVステンレス鋼;軟鋼;ニッケル-チタン合金、例えば、線形弾性及び/又は超弾性ニチノール;コバルト-クロム合金、チタン及びその合金、アルミナ、ダイヤモンド様コーティング(DLC)又は窒化チタンコーティングを施した金属、その他のニッケル合金、例えば、ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:N06625、例えばINCONEL(登録商標)625、UNS:N06022、例えばHASTELLOY(登録商標)C-22、UNS:N10276、例えばHASTELLOY(登録商標)C276、その他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、UNS:N04400、例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(商標)400、NICORROS(登録商標)400など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R44035、例えばMP35-Nなど)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、UNS:N10665、例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2など)、その他のニッケル-クロム合金、その他のニッケル-モリブデン合金、その他のニッケル-コバルト合金、その他のニッケル-鉄合金、その他のニッケル-銅合金、その他のニッケル-タングステン合金又はタングステン合金など;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、UNS:R44003、例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)など);白金高含有ステンレス鋼;チタン;白金;パラジウム;金;それらの組み合わせ;など;又は他の適切な材料が挙げられる。
【0050】
本明細書で示唆されているように、市販のニッケル-チタン合金又はニチノール合金の中には「線形弾性」又は「非超弾性」と呼ばれるカテゴリーがある。これらは、従来の形状記憶や超弾性の種類と化学的には似ているかもしれないが、独特の有用な機械的特性を示し得る。線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、その応力-ひずみ曲線において、超弾性ニチノールのような実質的な「超弾性プラトー」又は「フラッグ領域(flag region)」を示さないという点で超弾性ニチノールと区別され得る。その代わりに、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールでは、回復可能なひずみが増加するにつれて、塑性変形が始まるまで、実質的に又はある程度線形の関係(完全に線形の関係である必要はない)で、又は少なくとも、超弾性ニチノールで見られる超弾性プラトー及び/又はフラッグ領域よりは線形に近い関係で、応力が増加し続ける。したがって、本開示の目的では、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、「実質的に」線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールとも呼ばれる。
【0051】
場合によっては、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールは、線形弾性及び/又は非超弾性ニチノールが(例えば、塑性変形する前に)実質的に弾性を維持しながら最大約2~5%のひずみを受け入れることができるのに対し、超弾性ニチノールは、塑性変形する前に最大約8%のひずみを受け入れることができるという点でも、超弾性ニチノールと区別され得る。これらの材料は両方とも、塑性変形する前に約0.2~0.44パーセントのひずみしか受け入れられないステンレス鋼(これは組成に基づいて区別可能でもある)などの他の線形弾性材料と区別することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、広い温度範囲にわたり、示差走査熱量測定(DSC)及び動的金属熱分析(dynamic metal thermal analysis:DMTA)によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化を全く示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態では、線形弾性体及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金において、約-60セルシウス度(℃)~約120℃の範囲でDSC及びDMTA分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化が存在しなくてもよい。したがって、そのような材料の機械的曲げ特性は、通常、この非常に広い温度範囲にわたって温度の影響を受けないものであり得る。いくつかの実施形態では、周囲温度又は室温での線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金の機械的曲げ特性は、例えば体温での機械的特性と実質的に同じであり、その温度では、超弾性プラトー及び/又はフラッグ領域を示さない。例えば、幅広い温度範囲にわたって、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、その線形弾性及び/又は非超弾性特性及び/又は特性を維持する。
【0053】
いくつかの実施形態では、線形弾性及び/又は非超弾性ニッケル-チタン合金は、約50~約60重量パーセント範囲のニッケル及び残りは本質的にチタンのものであってもよい。いくつかの実施形態では、組成は約54~約57重量パーセントのニッケルの範囲にある。適切なニッケル-チタン合金の一例は、日本の神奈川県の古河テクノマテリアル社から市販されているFHP-NT合金である。他の適切な材料としては、ULTANIUM(商標)(Neo-Metricsから入手可能)及びGUM METAL(登録商標)(トヨタから入手可能)が挙げられる。いくつかの他の実施形態では、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用することで、所望の特性を達成することができる。
【0054】
少なくともいくつかの実施形態では、ステアラブルカテーテルアセンブリ50(及び本明細書に開示されるその変形例、システム又は構成要素)の一部又は全部は、放射線不透過性材料でドープされ、放射線不透過性材料で作られ、又はその他の方法で放射線不透過性材料を含んでもよい。放射線不透過性材料は、医療処置中に蛍光透視スクリーン又は他の画像化技術上に比較的明るい画像を生成できる材料であると理解されている。この比較的明るい画像は、ユーザがステアラブルカテーテルアセンブリ50(及び本明細書に開示されるその変形例、システム又は構成要素)の位置を決定するのを助ける。放射線不透過性材料のいくつかの例としては、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性フィラーを充填したポリマー材料などが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、他の放射線不透過性マーカーバンド及び/又はコイルも、同じ結果を達成するために、ステアラブルカテーテルアセンブリ50(及び本明細書に開示されるその変形例、システム又は構成要素)の設計に組み込むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、ステアラブルカテーテルアセンブリ50(及び本明細書に開示されるその変形例、システム又は構成要素)及び/又はその一部は、ポリマー又は他の適切な材料から作製され得るか、又はそれらを含み得る。適切なポリマーのいくつかの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、デュポン社から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又は他のポリエステルエラストマー、例えばデュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標))、ポリアミド(例えば、Bayerから入手可能なDURETHAN(登録商標)又はElf Atochemから入手可能なCRISTAMID(商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば商品名PEBAX(登録商標)として入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex(登録商標)高密度ポリエチレン、Marlex(登録商標)低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMS American Grilonから入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBS及び/又はSIBS 50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリウレタンシリコーンコポリマー(例えば、Aortech BiomaterialsのElast-Eon(商標)又はAdvanSource BiomaterialsのChronoSil(商標))、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、又はそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材料などが挙げられる。いくつかの実施形態では、シースは液晶ポリマー(LCP)とブレンドすることができる。例えば、混合物は最大約6パーセントのLCPを含むことができる。
【0056】
本開示は多くの点で例示にすぎないことを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、細部、特に形状、サイズ、及び工程の並び順に関して変更を加えることができる。これには、適切な範囲で、ある例示的な実施形態の特徴のいずれかを他の実施形態で使用することを含み得る。当然ながら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲が表現する文言で定義される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアラブルカテーテルであって、
近位部分と、遠位部分と、それらの間に延びる長さと、カテーテル壁によって画定される管腔とを有するカテーテルシャフト、及び
前記カテーテルシャフトの前記長さに沿って延びるとともに前記カテーテル壁に結合された少なくとも1つのプルワイヤであって、第1の半径方向位置で前記カテーテルシャフトの前記近位部分に沿って延びる近位セクションと、第2の半径方向位置で前記カテーテルシャフトの前記遠位部分に沿って延びる遠位セクションと、前記近位セクション及び前記遠位セクションを接続する移行ゾーンとを有し、前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から円周方向にずれている、前記少なくとも1つのプルワイヤ
を含むステアラブルカテーテル。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプルワイヤは前記カテーテル壁内に延在する、請求項1に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項3】
前記カテーテル壁は、複数の編まれた又は織られたフィラメントによって少なくとも部分的に画定され、前記少なくとも1つのプルワイヤは、前記複数の編まれた又は織られたフィラメントに編み込まれ又は織り込まれている、請求項2に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項4】
前記移行ゾーンは13mmから51mm(0.5インチから2.0インチ)の長さを有する、請求項1に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項5】
前記移行ゾーンは、前記カテーテルシャフトの遠位先端から51mmから127mm(2.0インチから5.0インチ)である、請求項1に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項6】
前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から前記カテーテルシャフトの円周の10%から50%ずれている、請求項1に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項7】
前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から20度から190度ずれている、請求項1に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項8】
前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から45度から135度ずれている、請求項7に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項9】
シャフト壁によって画定された管腔を有する外側シャフトをさらに備え、前記外側シャフトは、前記シャフト壁内を長手方向に延びるステアリング部材を有し、前記ステアリング部材は、前記外側シャフトの遠位領域を関節運動させるように構成されており、前記カテーテルシャフトは前記外側シャフトの管腔内を移動可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項10】
前記カテーテルシャフトの少なくとも前記遠位部分は、前記外側シャフトから遠位方向に延びるように構成されている、請求項9に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項11】
前記ステアリング部材及び前記少なくとも1つのプルワイヤは、前記外側シャフト及び前記カテーテルシャフトを互いに独立して関節運動させるために別個に作動可能である、請求項10に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項12】
前記外側シャフトは、第1の平面内にある第1の曲線になるように関節運動可能であり、前記外側シャフトから遠位に延びる前記カテーテルシャフトの前記遠位部分は、第2の平面内にある第2の曲線になるように関節運動可能であり、前記第1の平面と前記第2の平面とは異なる、請求項11に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項13】
前記第2の平面は前記第1の平面に対して45度から135度の角度をなしている、請求項12に記載のステアラブルカテーテル。
【請求項14】
ステアラブルカテーテルアセンブリであって、
遠位端と、近位端と、それらの間に延びる管腔とを有する外側シースであって、前記外側シースは、前記遠位端に隣接する関節領域を有し、前記関節領域は、第1の平面内にある第1の曲線になるように関節運動するように構成されている、前記外側シース、及び
前記外側シースの前記管腔内でスライド可能な内側シャフトであって、前記内側シャフトは、内側シャフト壁によって画定される管腔を有し、前記内側シャフトは、近位部分、遠位部分、及びそれらの間に延びる長さを有し、前記内側シャフトは、前記内側シャフトの長さに沿って延びるとともに前記内側シャフト壁に結合されたプルワイヤを有し、前記プルワイヤは、前記内側シャフトの前記遠位部分が前記外側シースの外へ遠位方向に動かされるとき、前記遠位部分を第2の平面内にある第2の曲線になるように関節運動させるように構成されており、前記第2の平面は前記第1の平面に対して45度から135度の角度をなしている、前記内側シャフト
を含む、ステアラブルカテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記プルワイヤは、第1の半径方向位置で前記内側シャフトの前記近位部分に沿って延びる近位セクションと、第2の半径方向位置で前記内側シャフトの前記遠位部分に沿って延びる遠位セクションと、前記近位セクション及び前記遠位セクションを接続する移行ゾーンとを有し、前記第2の半径方向位置は、前記第1の半径方向位置から円周方向に20度から190度ずれている、請求項14に記載のステアラブルカテーテルアセンブリ。
【国際調査報告】