(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】電気光学変調器、光変調システム、及び集積光チップ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/035 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
G02F1/035
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501630
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 CN2021106805
(87)【国際公開番号】W WO2023283938
(87)【国際公開日】2023-01-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ホンミン
(72)【発明者】
【氏名】スン、メンディエ
(72)【発明者】
【氏名】リ、グアンペン
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102CA20
2K102DA04
2K102DA05
2K102DD05
2K102EA02
2K102EA08
2K102EA12
2K102EA21
2K102EB20
2K102EB22
(57)【要約】
本願は、電気光学変調器を提供する。電気光学変調器は、第1入力電極及び第2入力電極を有する電極変換部分、ここで、第1入力電極は、第1変調信号を受信するように構成されており、第2入力電極は、第2変調信号を受信するように構成されている;及び、第1変調電極、第2変調電極、第3変調電極、第1変調アーム、及び第2変調アームを有する光変調部分、ここで、第1変調アームは、第1変調電極及び第2変調電極の間にあり、第2変調アームは、第1変調電極及び第3変調電極の間にある;を備え、ここで、第1変調電極は、第1入力電極に結合されており、第1変調信号を受信するように構成されており、第2変調電極及び第3変調電極はそれぞれ第2入力電極に結合されており、第2変調信号をそれぞれ受信するように構成されており、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極は、第1変調信号及び第2変調信号に基づいて、第1変調アーム及び第2変調アームにおける入力光を変調するように構成されている。本願はさらに、光変調システム及び集積光チップを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力電極及び第2入力電極を有する電極変換部分、ここで、前記第1入力電極は、電気チップによって出力された第1変調信号を受信するように構成されており、前記第2入力電極は、前記電気チップによって出力された第2変調信号を受信するように構成されている;及び、
第1変調電極、第2変調電極、第3変調電極、第1変調アーム、及び第2変調アームを有する光変調部分、ここで、前記第1変調電極は、前記第2変調電極及び前記第3変調電極の間にあり、前記第1変調アームは、前記第1変調電極及び前記第2変調電極の間にあり、前記第2変調アームは、前記第1変調電極及び前記第3変調電極の間にある
を備え、
前記第1変調電極は、前記第1入力電極に結合されており、前記第1変調信号を受信するように構成されており、前記第2変調電極及び前記第3変調電極はそれぞれ前記第2入力電極に結合されており、前記第2変調信号をそれぞれ受信するように構成されており、前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、前記第1変調信号及び前記第2変調信号に基づいて、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームにおける入力光を変調するように構成されており;前記変調された入力光は、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームから変調光として出力される、電気光学変調器。
【請求項2】
前記電気光学変調器はさらに、基板を備え、前記電極変換部分及び前記光変調部分は前記基板の同一の表面上にある、請求項1に記載の電気光学変調器。
【請求項3】
前記電極変換部分はさらに、ブリッジ部を有し、前記ブリッジ部は、前記基板に組み込まれており、前記ブリッジ部の一部は、前記基板の、前記電極変換部分が設けられている前記表面に露出されており;
前記基板に露出されている前記ブリッジ部の前記一部は、前記第1変調電極及び前記第1入力電極にそれぞれ結合されている、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項4】
前記第2入力電極の2つの端部はそれぞれ、前記第2変調電極及び前記第3変調電極に結合されており、前記第2変調電極、前記第2入力電極及び前記第3変調電極は、開口部を有する収容エリアを形成するように包囲されており、
前記第1入力電極は前記収容エリア内にあり、前記第1変調電極は、前記開口部を介して前記収容エリアの外部から前記収容エリアに延在し且つ前記第1入力電極に結合されている、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項5】
前記電極変換構造は軸対称構造である、請求項4に記載の電気光学変調器。
【請求項6】
前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、金属であり;
前記光変調部分はさらに、前記基板上の透明導電層を含み、前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、前記透明導電層の、前記基板から離れた表面上にあり、前記透明導電層と電気的に接触している、請求項2から5のいずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項7】
前記透明導電層は、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームと直接接触している、請求項6に記載の電気光学変調器。
【請求項8】
第1インピーダンス板、第2インピーダンス板及び第3インピーダンス板をさらに含み、
前記第1インピーダンス板及び前記第2インピーダンス板は、互いに直列に接続されており、次いで、前記第2変調電極及び前記第3変調電極の間で結合されており、前記第1変調電極は、前記第1インピーダンス板及び前記第2インピーダンス板の間のノードに結合されており、前記第3インピーダンス板は前記第1変調電極及び前記ノードの間で結合されている、請求項6から7のいずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項9】
前記第1変調信号及び前記第2変調信号は無線周波数信号である、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項10】
前記第1変調アーム及び前記第2変調アームはニオブ酸リチウムである、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の電気光学変調器;及び
第1入力電極及び第2入力電極にそれぞれ結合されており、第1変調信号を前記第1入力電極に出力するとともに第2変調信号を前記第2入力電極に出力するように構成された電気チップ
を備える、光変調システム。
【請求項12】
入力光を発するように構成されたレーザ;及び
前記レーザに結合されており、且つ前記入力光を受光し、前記入力光を変調し、変調光を出力するように構成された、請求項1から10のいずれか一項に記載の電気光学変調器
を備える、集積光チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電気光学変調器、電気光学変調器を含む光変調システム及び集積光チップに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムにおいて、電気光学変調器は、電気信号を光信号に変換するためのコアコンポーネントである。薄膜ニオブ酸リチウム(thinfilm lithium niobate、TFLN)変調器は、優れた線形性、冷却なし、低い光消費、及び高い帯域幅などの利点を有する。従って、それは、通信速度が130Gより高いコヒーレント光通信シナリオにおいて使用されることができる。
【0003】
TFLN変調器は、電気チップに電気的に接続されている。電気チップは、交流信号を出力することで薄膜ニオブ酸リチウム変調器を動作するように駆動するように構成されており、電気チップそのものは、直流信号の駆動下で動作する必要がある。従って、電気チップは、複雑な周辺回路(コンデンサ、及びインダクタ等を含む)を含むことで直流信号の伝送チャネル及び交流信号の伝送チャネルを区別して、直流信号がTFLN変調器に伝送されることを防止して、交流信号が直流信号を提供するノードに伝送されることを防止する必要がある。周辺回路は、電気チップの全体的なサイズを大きくし、コストを高くする。これは、電気チップの小型化及びコスト制御に資さなく、電気チップ及びTFLN変調器のパッケージングに資さない。
【発明の概要】
【0004】
第1態様によると、本願は、第1入力電極及び第2入力電極を有する電極変換部分、ここで、前記第1入力電極は、電気チップによって出力された第1変調信号を受信するように構成されており、前記第2入力電極は、前記電気チップによって出力された第2変調信号を受信するように構成されている;及び、第1変調電極、第2変調電極、第3変調電極、第1変調アーム、及び第2変調アームを有する光変調部分、ここで、前記第1変調電極は、前記第2変調電極及び前記第3変調電極の間にあり、前記第1変調アームは、前記第1変調電極及び前記第2変調電極の間にあり、前記第2変調アームは、前記第1変調電極及び前記第3変調電極の間にある、を備える電気光学変調器を提供し、前記第1変調電極は、前記第1入力電極に結合されており、前記第1変調信号を受信するように構成されており、前記第2変調電極及び前記第3変調電極はそれぞれ前記第2入力電極に結合されており、前記第2変調信号を受信するように構成されており、前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、前記第1変調信号及び前記第2変調信号に基づいて、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームにおける入力光を変調するように構成されており;前記変調された入力光は、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームから変調光として出力される。
【0005】
現在、電気光学変調器は、2つの運転方式で電気チップによって駆動されており、電気チップは、2つの運転方式において異なる回路構造を有する。方式1において、電気チップは、電気光学変調器に電気的に接続された3つの出力端を有し、ここで、1つの出力端は時間とともに変化する変調信号を出力し、2つの他の出力端は接地電圧を保つ。この駆動方式では、電気チップは、周辺回路を含むことで、直流信号及び交流信号をそれぞれフィルタリングする。方式2では、電気チップは、電気光学変調器に電気的に接続された2つの出力端を有し、ここで、2つの出力端はそれぞれ、第1変調信号及び第2変調信号を出力する。第1変調信号及び第2変調信号は時間とともに別々に変化し、同時、第1変調信号及び第2変調信号は同じ振幅及び反対の方向を有する。この駆動方式では、電気チップは周辺回路を含まない。電気光学変調器は、電極変換部分を含む。電極変換部分は、第1入力電極及び第2入力電極を第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極に変換し、その結果、第1入力電極及び第2入力電極に伝送された信号はそれぞれ、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極を使用することによって光変調部分にロードされ、第1変調アーム及び第2変調アームにおける入力光を変調し得る。従って、電気光学変調器は方式2で駆動され得る。言い換えれば、電気光学変調器は、直流信号及び交流信号をフィルタリングするための周辺回路を含まない電気チップを使用することによって駆動され得る。これは、電気光学変調器を駆動する電気チップのサイズの低減に役立ち、電気光学変調器を駆動する電気チップのコストの低減に役立ち、光変調システムにおける電気光学変調器及び電気チップのパッケージングを容易にする。
【0006】
いくつかの実装において、前記電気光学変調器はさらに、基板を備え、前記電極変換部分及び前記光変調部分は前記基板の同一表面上にある。
【0007】
このように、電極変換部分は、光変調部分に電気的に接続され得る。
【0008】
いくつかの実装において、前記電極変換部分はさらに、ブリッジ部を有し、ここで、前記ブリッジ部は、前記基板に組み込まれており、前記ブリッジ部の部品は、前記基板の、前記電極変換部分がセットされている前記表面に対して露出されており;前記基板に対して露出されている前記ブリッジ部の前記部品は、前記第1変調電極及び前記第1入力電極にそれぞれ結合されている。
【0009】
このように、第1入力電極は、第1変調電極に電気的に接続され得、ブリッジ部を基板に組み込むことで電気接続を実装する方式を介して、第1入力電極及び第2入力電極は、電気光学変調器の端面と位置合わせされ得、電気光学変調器のパッケージングプロセスが容易になる。
【0010】
いくつかの実装において、前記第2入力電極の2つの端部はそれぞれ、前記第2変調電極及び前記第3変調電極に結合されており、前記第2変調電極、前記第2入力電極及び前記第3変調電極は、開口部を有する収容エリアを形成するように包囲されており、前記第1入力電極は前記収容エリア内にあり、前記第1変調電極は、前記開口部を介して前記収容エリアの外部から前記収容エリアに延在し且つ前記第1入力電極に結合されている。
【0011】
このように、第1入力電極は、第1変調電極に電気的に接続され得る。
【0012】
いくつかの実装において、電極変換構造は全体として軸対称構造である。
【0013】
いくつかの実装において、前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、金属であり;前記光変調部分はさらに、前記基板上の透明導電層を含み;前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、前記透明導電層の、前記基板から離れた表面上にあり、前記透明導電層と電気的に接触している。
【0014】
金属材料で作製された第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極は、第1変調アーム及び第2変調アームにおける入力光を容易に吸収する。従って、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極による入力光の吸収量を低減するためには、第1変調電極、第2変調電極、第3変調電極、及び、隣接して配列された第1変調アーム及び第2変調アームの間では予め設定された距離が保たれるべきである。金属材料と比較して、透明な導電性材料は、光に対する吸収機能が小さい。第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極が透明導電材料で作製された場合、光に対する第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極の吸収機能は低減し得、第1変調電極、第2変調電極、第3変調電極、及び、第1変調アーム及び第2変調アームの間の予め設定された距離が低減し得る。しかしながら、金属材料と比較して、透明導電材料は導電性が弱く、これは、電気信号(第1変調信号及び第2変調信号を含む)の伝導に資さない。従って、いくつかの実施形態において、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極は、金属材料で作製されており、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極に直接電気的に接触されている透明導電層が追加されることで、透明導電層、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極が電気信号を共に伝送することを可能とする。一方で、優れた導電性は、金属材料で作製された第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極を介して実装され得る。その一方、透明導電層は光に対する吸収機能が小さいので、透明導電層及び第1変調アームの間の距離及び透明導電層及び第2変調アームの間の距離は低減し得る。透明導電層及び第1変調アームの間の距離及び透明導電層及び第2変調アームの間の距離が低減したとき、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極によって第1変調アーム及び第2変調アーム上に生成された第1電界及び第2電界の影響が向上し、電気光学変調器の変調効率が向上する。
【0015】
いくつかの実装において、前記透明導電層は、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームと直接接触している。
【0016】
このように、透明導電層及び第1変調アームの間の距離及び透明導電層及び第2変調アームの間の距離は0であり、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極によって第1変調アーム及び第2変調アーム上に生成された第1電界及び第2電界の影響はより大きく、電気光学変調器の変調効率はより高い。
【0017】
いくつかの実装において、電気光学変調器はさらに、第1インピーダンス板、第2インピーダンス板及び第3インピーダンス板を含み、ここで、前記第1インピーダンス板及び前記第2インピーダンス板は、互いに直列に接続されており、次いで、前記第2変調電極及び前記第3変調電極の間で結合されており、前記第1変調電極は、前記第1インピーダンス板及び前記第2インピーダンス板の間のノードに結合されており、前記第3インピーダンス板は前記第1変調電極及び前記ノードの間で結合されている。第1インピーダンス板、第2インピーダンス板、第3インピーダンス板、第1インピーダンス板、第2インピーダンス板、第1インピーダンス板及び第2インピーダンス板。
【0018】
このように、第1変調信号及び第2変調信号は、第1インピーダンス板、第2インピーダンス板及び第3インピーダンス板を使用することによって終端されて、第1変調信号及び第2変調信号が反映されるケースを回避して、それにより、入力光の変調プロセスに影響を与え得る。
【0019】
いくつかの実装において、第1変調信号及び第2変調信号は、無線周波数信号である。
【0020】
いくつかの実装において、第1変調アーム及び第2変調アームは、ニオブ酸リチウムである。
【0021】
第2態様によると、本願はさらに、第1態様の実装のいずれか1つに係る電気光学変調器;及び、第1入力電極及び第2入力電極にそれぞれ結合されており、第1変調信号を前記第1入力電極に出力するとともに第2変調信号を前記第2入力電極に出力するように構成された電気チップを含む、光変調システムを提供する。
【0022】
光変調システムは、互いに電気的に接続された電気チップ及び光チップを含む。光チップ内の電極変換部分を使用することによって、周辺回路は、直流信号の伝送チャネル及び交流信号の伝送チャネルを区別する必要がなくなる。これは、光変調システムのサイズを低減するとともに光変調システムのコストを低減することに役立つ。
【0023】
現在、電気光学変調器は、2つの運転方式で電気チップによって駆動されており、電気チップは、2つの運転方式において異なる回路構造を有する。方式1において、電気チップは、電気光学変調器に電気的に接続された3つの出力端を有し、ここで、1つの出力端は時間とともに変化する変調信号を出力し、2つの他の出力端は接地電圧を保つ。この駆動方式では、電気チップは、周辺回路を含むことで、直流信号及び交流信号をそれぞれフィルタリングする。方式2では、電気チップは、電気光学変調器に電気的に接続された2つの出力端を有し、ここで、2つの出力端はそれぞれ、第1変調信号及び第2変調信号を出力する。第1変調信号及び第2変調信号は時間とともにそれぞれ変化し、同時、第1変調信号及び第2変調信号は同じ振幅及び反対の方向を有する。この駆動方式では、電気チップは周辺回路を含まない。電気光学変調器は、電極変換部分を含む。電極変換部分は、第1入力電極及び第2入力電極を第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極に変換し、その結果、第1入力電極及び第2入力電極に伝送された信号はそれぞれ、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極を使用することによって光変調部分にロードされ、第1変調アーム及び第2変調アームにおける入力光を変調し得る。従って、電気光学変調器は方式2で駆動され得る。言い換えれば、電気光学変調器は、直流信号及び交流信号をフィルタリングするための周辺回路を含まない電気チップを使用することによって駆動され得る。これは、光変調システムの全体的なサイズを小さくすることを可能とし、光変調システムのコストを低減することに役立つ。
【0024】
第3態様によると、本願はさらに、入力光を発するように構成されたレーザを含む集積光チップ;及び、前記レーザに結合されており、且つ前記入力光を受光し、前記入力光を変調し、変調光を出力するように構成された、前述の実装のいずれか1つに係る電気光学変調器を提供する。
【0025】
集積光チップは、電気光学変調器を統合し、電気光学変調器の全ての有益な効果を実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本願の実施形態1に係る光変調システムのモジュール構造の概略図である。
【0027】
【
図2】
図1の電気光学変調器の平面構造の概略図である。
【0028】
【
図3】線A-Aに沿った
図2における電極変換部分の断面構造の概略図である。
【0029】
【
図4】B-B線に沿った
図2の光変調部分の断面構造の概略図である。
【0030】
【
図5】本願の実施形態1の変更された実施形態に係る
図2におけるB-B線に沿った電気光学変調器の断面構造の概略図である。
【0031】
【
図6】本願の実施形態1に係る電気光学変調器及び電気チップの等価回路図である。
【0032】
【
図7】本願の実施形態1に係る集積光チップのモジュール構造の概略図である。
【0033】
【
図8】本願の実施形態1の変更された実施形態に係る集積光チップのモジュール構造の概略図である。
【0034】
【
図9】本願の実施形態1の変更された実施形態に係る集積光チップのモジュール構造の概略図である。
【0035】
【
図10】本願の実施形態1の変更された実施形態に係る集積光チップのモジュール構造の概略図である。
【0036】
【
図11】本願の実施形態2に係る光変調システムにおける電気光学変調器のローカル平面構造の概略図である。
【0037】
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下では、本願の実施形態の添付図面を参照しながら、本願の実施形態について説明する。
[実施形態1]
【0039】
図1を参照すると、この実施形態において、光変調システム1は、電気光学変調器10及び電気チップ20を含み、電気光学変調器10は電気チップ20に結合されている。電気チップ20は、第1変調信号S+及び第2変調信号S-を電気光学変調器10に出力するように構成されている。第1変調信号S+及び第2変調信号S-は、高周波数(10Khzより大きい周波数)交流信号である。同時に、電気チップ20によって出力された第1変調信号S+及び第2変調信号S-は、等しい振幅及び反対の方向を有する。電気光学変調器10はさらに、外部光源(例えば、レーザ)からの入力光L1を受光するように構成されており、電気光学変調器10は、第1変調信号S+及び第2変調信号S-に基づいて入力光L1を変調し、変調された入力光を出力するように構成されている。この実施形態において、電気光学変調器10によって変調及び出力された光は、変調光L2と定義される。入力光L1は、固有光である。電気光学変調器10は、第1変調信号S+及び第2変調信号S-を入力光L1にロードし、入力光L1の関連パラメータ(例えば、位相、強度及び偏光状態)を変化させて、変調情報を保持した変調光L2を取得し、変調光L2を出力する。この実施形態において、電気光学変調器10は、薄膜ニオブ酸リチウム変調器である。
【0040】
図2を参照すると、この実施形態において、電気光学変調器10は、電極変換部分11、光変調部分12及び基板13を含み、電極変換部分11及び光変調部分12は、基板13の同一表面上にある。電極変換部分11は、電気チップ20及び光変調部分12にそれぞれ結合されており、第1変調信号S+及び第2変調信号S-を受信し、第1変調信号S+及び第2変調信号S-を光変調部分12に伝送するように構成されている。光変調部分12は、第1変調信号S+、第2変調信号S-及び入力光L1を受信するように構成されており、第1変調信号S+及び第2変調信号S-に基づいて入力光L1を変調して変調光L2を出力するように構成されている。
【0041】
電極変換部分11は、互いに離間された第1入力電極111及び第2入力電極112を含む。第1入力電極21及び第2入力電極22は、電気チップ20にそれぞれ結合されている。第1入力電極111は、電気チップ20によって出力された第1変調信号S+を受信するように構成されており、第2入力電極22は、電気チップ20によって出力された第2変調信号S-を受信するように構成されている。
【0042】
光変調部分12は、第1変調電極121、第2変調電極122、第3変調電極123、第1変調アーム124及び第2変調アーム125を含む。第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は互いに離間され且つ並列であり、第1変調電極121は、第2変調電極122及び第3変調電極123の間にある。電気信号が第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123にそれぞれ印加されたとき、第1変調電極121及び第2変調電極122は、第1コンデンサを形成して第1電界を生成し;第1変調電極121及び第3変調電極123は、第2コンデンサを形成して第2電界を生成する。
【0043】
第1変調アーム124は、第1変調電極121及び第2変調電極122の間にあり、第2変調アーム125は、第1変調電極121及び第3変調電極123の間にある。第1変調アーム124及び第2変調アーム125は、入力端P1及び出力端P2でそれぞれ収束する。言い換えれば、第1変調アーム124及び第2変調アーム125は、共通の入力端P1及び共通の出力端P2を有する。入力端P1は、入力光L1を受光するように構成されている。入力光L1の一部が伝送及び変調のために第1変調アーム124に入射し、別の部分が伝送及び変調のために第2変調アーム125に入射する。電気信号が第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123にそれぞれ印加されたとき、第1変調アーム124は第1電界内にあり、第1変調アーム124において伝送された入力光L1の一部は第1電界によって変調され、第2変調アーム125において伝送された入力光L1の別の部分は第2フィールドによって変調される。第1変調アーム124及び第2変調アーム125によって変調された入力光L1は、出力端P2において収束し、次いで変調光L2として出力される。
【0044】
第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は互いに離間され且つ略並列であり、第1変調電極121は、第2変調電極122及び第3変調電極123の間にある。第1変調電極121は、第1入力電極111に結合されており、第1変調信号S+を受信するように構成されている。第2変調電極122及び第3変調電極123は、第2入力電極112にそれぞれ結合されており、それぞれ、第2変調信号S-を受信するように構成されている。第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は、第1変調信号S+及び第2変調信号S-に基づいて入力光L1を変調するように構成されている。
【0045】
図3を参照すると、基板13は、積層された基板層131及び誘電体層132を含み、基板層131は、誘電体層132の、電極変換部分11及び光変調部分12から離れた表面上にある。言い換えれば、誘電体層132は2つの反対する表面を有しており、電極変換部分11及び光変調部分12は2つの表面のうち1つに位置付けられており、基板層131は他の表面に位置付けられている。この実施形態において、基板層131の材料はシリコン(Si)であり、誘電体層132の材料は二酸化シリコン(SiO
2)である。別の実施形態において、基板層131の材料はさらに、リン酸インジウム(InP)、ガリウムヒ素(GaAs)、又はそれらの組み合わせであり得、誘電体層132の材料はさらに、シリコン(Si)、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO2)、ベンゾシクロブテン(BCB)、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0046】
図2及び
図3を共に参照すると、この実施形態において、電極変換部分11はさらに、ブリッジ部116を含む。第1入力電極111、第2入力電極112、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は全て、誘電体層132の、基板層131から離れた表面上にセットされている。ブリッジ部116は、誘電体層132に組み込まれており、ブリッジ部の部品は、誘電体層132の、基板層131から離れた表面に露出されている。誘電体層132の表面に露出されたブリッジ部116の部品は、第1入力電極111及び第1変調電極121にそれぞれ結合されて、第1入力電極111及び第1変調電極121の間の電気接続を確立する。
【0047】
第1入力電極111、第2入力電極112、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は全て、誘電体層132の、基板層131から離れた表面上にセットされている。従って、第1入力電極111及び第1変調電極121が、誘電体層132の、基板層131から離れた表面上にセットされた導電性構造を使用することによって直接電気的に接続されている場合、第1入力電極111及び第2入力電極112は容易に短絡される。絶縁層を追加する方式が短絡を回避するために使用された場合、それは電気光学変調器10の総厚を低減するのに資さない。従って、ブリッジ部116は、誘電体層132に組み込まれて、第1入力電極111及び第1変調電極121の間の電気接続を確立し、これは、第1入力電極111及び第2入力電極112の間の短絡を回避することに役立ち、さらに、電気光学変調器10の総厚を低減することに役立つ。
【0048】
図4を参照すると、この実施形態において、第1変調電極121、第2変調電極122、第3変調電極123、第1変調アーム124及び第2変調アーム125は、誘電体層132の、基板層131から離れた表面上にセットされている。光変調部分12はさらに、光導波路126を含み、光導波路126は、誘電体層132の、基板層131から離れた表面と直接接触している。光導波路126は、ベース1261、及び、ベース1261の表面から、誘電体層132から離れた方向に向かって突出する第1変調アーム124及び第2変調アーム125を含む。第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は、ベース1261の、誘電体層132から離れた表面上にある。この実施形態において、ベース1261、第1変調アーム124及び第2変調アーム125は全てがニオブ酸リチウムである。別の実施形態において、光導波路126はベース1261を含まない場合がある。
【0049】
この実施形態において、第1入力電極111、第2入力電極112、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は全てが、例えば、金、アルミニウム、銅、チタン及び白金のような導電性金属で作製されている。
【0050】
図5を参照すると、変更された実施形態において、光変調部分12はさらに、透明導電層127を含む。透明導電層127は、ベース1261の、誘電体層132から離れた表面上にセットされており、ベース1261の、誘電体層132から離れた表面を部分的にカバーしている。第1変調アーム124及び第2変調アーム125は、透明導電層127に露出されている。言い換えれば、透明導電層127は、ベース1261、及び、第1変調電極121、第2変調電極122、第3変調電極123の間にある。透明導電層127は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)膜又はタングステンドープ酸化インジウム(IWO)膜のような透明な導電性酸化物(TCO)膜であり得る。
【0051】
この実施形態において、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は金属材料で作製されており、金属材料は、第1変調アーム124及び第2変調アーム125において入力光L1を容易に吸収する。第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123による入力光L1の吸収量を低減するべく、
図4に示されるように、第1変調電極121、第2変調電極122、第3変調電極123、及び、隣接して配列された第1変調アーム124及び第2変調アーム125の間では予め設定された距離が保たれるべきである。
【0052】
金属材料と比較して、透明導電材料は、光に対する吸収機能が小さい。第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123が透明導電材料で作製された場合、光に対する第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123の吸収機能は低減し得、第1変調電極121、第2変調電極122、第3変調電極123、及び、第1変調アーム124及び第2変調アーム125の間の予め設定された距離が低減し得る。しかしながら、金属材料と比較して、透明導電材料は導電性が弱く、これは、電気信号(第1変調信号S+及び第2変調信号S-を含む)の伝導に資さない。
【0053】
従って、前述の変更された実施形態において、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は金属材料で作製されており、透明導電層127が追加されることで、透明導電層127、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123が電気信号を共に伝送することが可能となる。一方で、優れた導電性は、金属材料で作製された第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123を使用することによって実装され得る。その一方、透明導電層127は光に対する吸収機能が小さいので、透明導電層127及び第1変調アーム124の間の距離及び透明導電層127及び第2変調アーム125の間の距離は低減し得る。この変更された実施形態(
図6)において、透明導電層127は、第1変調アーム124及び第2変調アーム125と直接接触している。言い換えれば、透明導電層127及び第1変調アーム124の間の距離及び透明導電層127及び第2変調アーム125の間の距離は0である。
【0054】
透明導電層127及び第1変調アーム124の間の距離及び透明導電層127及び第2変調アーム125の間の距離が低減したとき、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123によって第1変調アーム124及び第2変調アーム125上に生成された第1電界及び第2電界の影響はより大きく、電気光学変調器10の変調効率はより高い。
【0055】
従って、この変更された実施形態において、透明導電層127は追加され、これは、優れた導電性を確保しながら、電気光学変調器10の変調効率を向上させることに役立つ。
【0056】
図4及び
図5を参照すると、この実施形態において、電気光学変調器10はさらに、絶縁カバー層14を含む。絶縁カバー層14及び誘電体層132の材料は同じである。絶縁カバー層14は、電極変換部分11及び光変調部分12の、基板13から離れた表面をカバーし、外部の導電性構造から電極変換部分11及び光変調部分12を電気的に絶縁すること、及び電極変換部分11及び光変調部分12をスクラッチから保護することを行うように構成されている。この実施形態において、電極変換部分11及び光変調部分12の構造をより良く示すべく、絶縁カバー層14はいくつかの添付図面では示されていない。
【0057】
以下では、電気光学変調器10及び電気チップ20の等価回路図を参照して、光変調システム1の動作プロセスを説明する。
【0058】
図6を参照すると、この実施形態において、電気チップ20は、増幅器21を含み、増幅器21は、第1の出力端211及び第2の出力端212を有する。第1の出力端211は、第1入力電極111に結合されており、第2の出力端212は、第2入力電極112に結合されている。増幅器21の正相入力端213は、初期変調信号S
0を受信するように構成されており、増幅器21は、初期の変調された信号S
0の振幅を増幅させ、それぞれ、第1の出力端211において第1変調信号S+を出力し、第2の出力端212において第2変調信号S-を出力するように構成されている。電気光学変調器10は、駆動端128を含む。駆動端128はフローティング接続状態にあり、直流駆動信号Dを受信するように構成されている。駆動端128は、電気光学変調器10上の信号入力ピンである。電気光学変調器10の動作プロセスにおいて、電気光学変調器10の外部のリードは、駆動端128に接続されて、駆動信号Dを駆動端128に入力し得る。駆動端128は、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123にそれぞれ結合されており、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123を使用することによって駆動信号Dを増幅器21に伝送するように構成されている。言い換えれば、駆動端128は、駆動信号Dを電気チップ20に伝送して、電気チップ20を動作し始めるように駆動するように構成されている。この実施形態において、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123はコンデンサを形成し、その結果、直流駆動信号Dは、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123の間を流れず、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123からのみ電気チップ20に伝送される。このように、交流変調信号(第1変調信号及び第2変調信号を含む)及び直流駆動信号Dの伝送チャネルは区別され得る。
【0059】
電気チップ20が動作し始めたとき、電気チップ20は初期変調信号S0を受信し、第1の出力端211において第1変調信号S+を出力し、第2の出力端212において第2変調信号S-を出力する。第1変調信号S+は、第1入力電極111によって第1変調電極121に伝送され、第2変調信号S-は、第2入力電極112によって第2変調電極122及び第3変調電極123にそれぞれ伝送され、同時に、光変調部分12の入力端P1は、外部光源によって入力された入力光L1を受光する。
【0060】
この実施形態において、第1変調信号S+及び第2変調信号S-は正弦信号である。別の実施形態において、第1変調信号S+及び第2変調信号S-は、例えば方形波信号のような他の形態の交流信号であってもよい。第1変調信号S+及び第2変調信号S-の具体的な形態は本願において限定されるものではない。光変調部分12の動作プロセスにおいて、同時に、第1変調信号S+及び第2変調信号S-は、同じ振幅及び反対の方向を有する。第1変調信号S+及び第2変調信号S-を同時に変化させることによって、第1電界及び第2電界はそれぞれ変化されて、第1電界及び第2電界内の第1変調アーム124及び第2変調アーム125をそれぞれ、入力光L1を変調して変調光L2を出力するように制御し得る。言い換えれば、前述のプロセスにおいて、第1変調信号S+及び第2変調信号S-の変化は、光のパラメータ(例えば、位相、強度又は偏光状態)の変化に反映され、その結果、変調された光、すなわち、変調光L2は、変調情報を保持する。
【0061】
この実施形態において、光変調部分12はさらに、基板13の表面上にある第1インピーダンス板R1、第2インピーダンス板R2及び第3インピーダンス板R3を含む。第1インピーダンス板R1、第2インピーダンス板R2及び第3インピーダンス板R3は、具体的なインピーダンス値を有する材料層、例えば、チタンで作製された材料層である。第1インピーダンス板R1及び第2インピーダンス板R2は、第2変調電極122の一端及び第3変調電極123の一端の間で結合されており、第1インピーダンス板R1及び第2インピーダンス板R2は、第2変調電極122及び第3変調電極123の端部であり且つ出力端P2に近い端部に結合されている。第1インピーダンス板R1及び第2インピーダンス板R2の間のノードは、駆動端128、及び第1変調電極121の一端に結合されており、第3インピーダンス板R3は、第1変調電極121及び上記ノードの間において結合されている。第1インピーダンス板R1、第2インピーダンス板R2及び第3インピーダンス板R3はそれぞれ、高周波数信号であり且つ第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123上で伝送される第1変調信号S+及び第2変調信号S-を終端することで、第1変調信号S+及び第2変調信号S-が反映され、それにより、入力光L1の変調プロセスに影響を与えるというケースを回避するように構成されている。
【0062】
上述のように、この実施形態における電気光学変調器10は、電気チップ20によって出力された第1変調信号S+及び第2変調信号S-を受信するように構成されている。電気光学変調器10はさらに、入力光L1を受光するように構成されており、第1変調信号S+及び第2変調信号S-に基づいて入力光L1を変調して変調光L2を出力するように構成されている。第1変調信号S+及び第2変調信号S-は、交流信号である。動作しているとき、電気チップ20は、直流駆動信号Dの駆動下で動作する必要がある。
【0063】
現在、電気光学変調器は、2つの運転方式で電気チップによって駆動されており、電気チップは、2つの運転方式において異なる回路構造を有する。
【0064】
方式1において、電気チップは、電気光学変調器に結合された3つの出力端を有し、ここで、1つの出力端は時間とともに変化する変調信号を出力し、2つの他の出力端は接地電圧を保つ。この駆動方式では、電気チップは、周辺回路を含むことで、直流信号及び交流信号をそれぞれフィルタリングする。この方式は、コプレーナ導波路(coplanar waveguide、CPW)電極構造に基づいた信号伝送方式でもある。
【0065】
方式2では、電気チップは、電気光学変調器に結合された2つの出力端を有し、ここで、2つの出力端はそれぞれ、第1変調信号及び第2変調信号を出力する。第1変調信号及び第2変調信号は時間とともに別々に変化し、同時に、第1変調信号及び第2変調信号は同じ振幅及び反対の方向を有する。この駆動方式では、電気チップは周辺回路を含まない。この方式は、平面ストリップ(coplanar strip、CPS)電極構造に基づいた信号伝送方式でもある。
【0066】
電気光学変調器10は、電極変換部分11を含む。電極変換部分11は、第1入力電極111及び第2入力電極112を第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123に変換し、その結果、第1入力電極111及び第2入力電極112に伝送された信号はそれぞれ、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123を使用することによって光変調部分12にロードされ、第1変調アーム124及び第2変調アーム125における入力光L1を変調し得る。言い換えれば、この実施形態において、電気光学変調器10は、CPSベースの電極構造をCPWベースの電極構造に変換して、その結果、動作のために電気光学変調器10が電気チップ20に結合されたとき、電気光学変調器10は方式2で駆動され得る。言い換えれば、電気光学変調器10は、直流信号及び交流信号をフィルタリングするための周辺回路を含まない電気チップ20を使用することによって駆動され得る。これは、光変調システム1の全体的なサイズが小さくなることを可能とし、光変調システム1のコストの低減に役立ち、光変調システム1内の電気光学変調器10及び電気チップ2のパッケージングを容易にする。
【0067】
これに基づいて、第2変調電極122及び第3変調電極123がコンデンサを形成するので、電気光学変調器10の駆動端128において入力された駆動信号Dは、コンデンサによってフィルタリングされ、第2変調電極122及び第3変調電極123から伝送されず、第1変調電極121のパスに沿ってのみ電気チップ20にロードされる。
【0068】
図7を参照すると、この実施形態はさらに、集積光チップ100を提供する。集積光チップ100は、少なくとも1つの電気光学変調器10、1つのレーザ40、及び1つの半導体光増幅器50(semiconductor optical amplifier、SOA)を含む。レーザ40は、電気光学変調器10に結合されている。レーザ40は、入力光L1を電気光学変調器10に出力するように構成されている。電気光学変調器10は半導体光増幅器50に結合されており、入力光L1を変調し、変調光L2を半導体光増幅器50に出力するように構成されている。半導体光増幅器50は、変調光L2を増幅させ、増幅済みの変調光L2を出力するように構成されている。出力された変調光L2は光ファイバにおいて継続して伝播され得、後続の光パスにおいて変調器又は検出器などのデバイスによって受信され得る。
【0069】
いくつかの変更実施形態において、集積光チップ100の具体的な構造は
図8から10にも示され得る。
【0070】
図7における集積光チップと比較して、
図8における集積光チップ100はさらに、半導体光増幅器50に結合された受信器60を含む。受信器60は、半導体光増幅器50によって出力された増幅済みの変調光L2を受光し、増幅済みの変調光L2に基づいて対応する電気信号を生成し、電気信号を出力するように構成されている。
【0071】
図8における集積光チップと比較して、
図9における集積光チップ100はさらに、レーザ40及び電気光学変調器10の間で結合された半導体光増幅器50を含む。レーザ40及び電気光学変調器10の間における半導体光増幅器50は、レーザ40によって出力されたレーザ光を受光し、レーザ光を増幅し、レーザ光を入力光L1として電気光学変調器10に出力するように構成されている。
【0072】
図9における集積光チップと比較して、
図10における集積光チップ100はさらに、レーザ40に結合された受信器60を含む。受信器60は、変調光L2を復調して、変調光L2に保持された変調情報を取得するように構成されている。
【0073】
図7から
図10に示された集積光チップ100は、この実施形態における前述の電気光学変調器10を統合し、前述の電気光学変調器10の全ての有益な効果を実装することができる。
[実施形態2]
【0074】
図11及び
図12を共に参照すると、この実施形態における光変調システムは、電気光学変調器を含み、ここで、電気光学変調器は、電極変換部分31を含む。この実施形態における光変調システムは、以下の点で第1実施形態における光変調システム1とは異なる:電極変換部分31の構造は、第1実施形態における電極変換部分11の構造とは異なる。
【0075】
この実施形態において、電極変換部分31は、互いに離間された第1入力電極311及び第2入力電極312を含む。第1入力電極311及び第2入力電極312は、電気チップにそれぞれ結合されている。第1入力電極311は、第1変調信号S+を受信するように構成されており、第2入力電極312は、電気チップ20によって出力された第2変調信号S-を受信するように構成されている。
【0076】
第2入力電極312の2つの端部はそれぞれ、第2変調電極122及び第3変調電極123に結合されている。言い換えれば、第2変調電極122、第2入力電極312及び第3変調電極123は、ヘッドツーテール方式で順次結合されている。第2変調電極122、第2入力電極312及び第3変調電極123は、開口部316を有する収容エリア317を形成するように包囲されている。第1入力電極311は、収容エリア317内にある。第1変調電極121は、収容エリア317の外部から開口部316を介して収容エリア317に延在しており、第1入力電極311に結合されている。この実施形態において、電極変換部分31は全体として軸対称構造である。具体的には、電極変換部分31は、第1変調電極121に軸対称である。電極変換部分31は軸対称にセットされ、これは、第1変調信号S+及び第2変調信号S-の対称性を確保することに役立つ。
【0077】
第1変調電極121は、第1入力電極311に結合されており、第1変調信号S+を受信するように構成されている。第2変調電極122及び第3変調電極123は、第2入力電極312にそれぞれ結合されており、それぞれ、第2変調信号S-を受信するように構成されている。
【0078】
この実施形態において、電気光学変調器はさらに、基板33を含む。電極変換部分31は、基板33と同一表面上にある。基板33は、積層された基板層331及び誘電体層332を含み、基板層331は、誘電体層332上の、電極変換部分31から離れた表面上にある。この実施形態において、基板33の材料は実施形態1における基板13の材料と同じである。詳細は、改めて説明されない。
【0079】
この実施形態における電気光学変調器は、実施形態1における電気光学変調器10の全ての有益な効果を実装することができる。
【0080】
前述の説明は、単に本願の具体的な実装に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではないことに留意されたい。本願に開示された技術的範囲内において当業者によって容易に想到される任意の変形又は置換は、本願の保護範囲に含まれるものとする。矛盾がない場合、本願の実装及び実装における特徴は、互いに組み合わせることができる。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力電極及び第2入力電極を有する電極変換部分、ここで、前記第1入力電極は、電気チップによって出力された第1変調信号を受信するように構成されており、前記第2入力電極は、前記電気チップによって出力された第2変調信号を受信するように構成されている;及び、
第1変調電極、第2変調電極、第3変調電極、第1変調アーム、及び第2変調アームを有する光変調部分、ここで、前記第1変調電極は、前記第2変調電極及び前記第3変調電極の間にあり、前記第1変調アームは、前記第1変調電極及び前記第2変調電極の間にあり、前記第2変調アームは、前記第1変調電極及び前記第3変調電極の間にある
を備え、
前記第1変調電極は、前記第1入力電極に結合されており、前記第1変調信号を受信するように構成されており、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は
別々に前記第2入力電極に結合されており、前記第2変調信号を
別々に受信するように構成されており、前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は
、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームにおける入力光を
、前記第1変調信号及び前記第2変調信号に基づいて変調するように構成されており
;変調された入力光は、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームから
変調された光として出力される、電気光学変調器。
【請求項2】
前記電気光学変調器はさらに、基板を備え、前記電極変換部分及び前記光変調部分は前記基板の同一の表面上にある、請求項1に記載の電気光学変調器。
【請求項3】
前記電極変換部分はさらに、ブリッジ部を有し、前記ブリッジ部は、前記基板に組み込まれており、前記ブリッジ部の一部は、前記基板の、前記電極変換部分が
位置している前記表面に
対して露出されており;
前記基板に
対して露出されている前記ブリッジ部の前記一部は、前記第1変調電極及び前記第1入力電極に
別々に結合されている、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項4】
前記第2入力電極の2つの端部はそれぞれ、前記第2変調電極及び前記第3変調電極に結合されており、前記第2変調電極、前記第2入力電極及び前記第3変調電極は、開口部を有する収容エリアを形成するように包囲されており、
前記第1入力電極は前記収容エリア内にあり、前記第1変調電極は、前記開口部を介して前記収容エリアの外部から前記収容エリアに延在し且つ前記第1入力電極に結合されている、請求項2に記載の電気光学変調器。
【請求項5】
前記電極変換
部分は軸対称構造である、請求項4に記載の電気光学変調器。
【請求項6】
前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、金属で
作製されており;
前記光変調部分はさらに、前記基板上の透明
伝導層を含み、前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、前記透明
伝導層の、前記基板から離れた表面上にあり、前記透明
伝導層と電気的に接触している、請求項2から5のいずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項7】
前記透明
伝導層は、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームと直接接触している、請求項6に記載の電気光学変調器。
【請求項8】
第1
インピーダンスシート、第2
インピーダンスシート及び第3インピーダンス
シートをさらに含み、
前記第1
インピーダンスシート及び前記第2
インピーダンスシートは、互いに直列に接続されており、次いで、前記第2変調電極及び前記第3変調電極の間で結合されており、前記第1変調電極は、前記第1
インピーダンスシート及び前記第2
インピーダンスシートの間のノードに結合されており、前記第3
インピーダンスシートは前記第1変調電極及び前記ノードの間で結合されている、請求項6
又は7に記載の電気光学変調器。
【請求項9】
前記第1変調信号及び前記第2変調信号は無線周波数信号である、請求項1から8のいずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項10】
前記第1変調アーム及び前記第2変調アームはニオブ酸リチウムで
作製されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の電気光学変調器。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の電気光学変調器;及び
第1入力電極及び第2入力電極に
別々に結合されており、第1変調信号を前記第1入力電極に出力するとともに第2変調信号を前記第2入力電極に出力するように構成された電気チップ
を備える、光変調システム。
【請求項12】
入力光を発するように構成されたレーザ;及び
前記レーザに結合されており、且つ前記入力光を受光し、前記入力光を変調し、
変調された光を出力するように構成された、請求項1から10のいずれか一項に記載の電気光学変調器
を備える、集積光チップ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電気光学変調器、電気光学変調器を含む光変調システム及び集積光チップに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信システムにおいて、電気光学変調器は、電気信号を光信号に変換するためのコアコンポーネントである。薄膜ニオブ酸リチウム(TFLN)変調器は、優れた線形性、冷却不要、低い光損失、及び高い帯域幅などの利点を有する。従って、薄膜ニオブ酸リチウム変調器は、通信速度が130Gより高いコヒーレント光通信などのシナリオにおいて使用されることができる。
【0003】
TFLN変調器は、電気チップに電気的に接続されている。電気チップは、交流信号を出力することで薄膜ニオブ酸リチウム変調器を動作するように駆動するように構成されており、電気チップは、直流信号の駆動下で動作する必要がある。従って、電気チップは、複雑な周辺回路(コンデンサ、及びインダクタ等を含む)を含むことで直流信号の伝送チャネル及び交流信号の伝送チャネルを区別して、直流信号がTFLN変調器に伝送されることを防止するとともに、交流信号が直流信号を提供するノードに伝送されることを防止する必要がある。周辺回路は、電気チップの全体的なサイズを大きくし、コストを高くする。これは、電気チップの小型化及びコスト制御に資さなく、電気チップ及びTFLN変調器のパッケージングに資さない。
【発明の概要】
【0004】
第1態様によると、本願は、第1入力電極及び第2入力電極を有する電極変換部分、ここで、前記第1入力電極は、電気チップによって出力された第1変調信号を受信するように構成されており、前記第2入力電極は、前記電気チップによって出力された第2変調信号を受信するように構成されている;及び、第1変調電極、第2変調電極、第3変調電極、第1変調アーム、及び第2変調アームを有する光変調部分、ここで、前記第1変調電極は、前記第2変調電極及び前記第3変調電極の間にあり、前記第1変調アームは、前記第1変調電極及び前記第2変調電極の間にあり、前記第2変調アームは、前記第1変調電極及び前記第3変調電極の間にある、を備える電気光学変調器を提供する。前記第1変調電極は、前記第1入力電極に結合されており、前記第1変調信号を受信するように構成されている。前記第2変調電極及び前記第3変調電極は別々に前記第2入力電極に結合されており、前記第2変調信号を受信するように別々に構成されている。前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームにおける入力光を、前記第1変調信号及び前記第2変調信号に基づいて変調するように構成されており;変調された入力光は、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームから変調された光として出力される。
【0005】
現在、電気チップが電気光学変調器を動作するように駆動する運転方式は主に2つある。電気チップは、2つの運転方式において異なる回路構造を有する。方式1において、電気チップは、電気光学変調器に電気的に接続された3つの出力端を有する。1つの出力端は時間とともに変化する変調信号を出力し、2つの他の出力端は接地電圧をそれぞれ維持する。この駆動方式では、電気チップは、直流信号及び交流信号を別々にフィルタリングするために、周辺回路を含む。方式2では、電気チップは、電気光学変調器に電気的に接続された2つの出力端を有する。2つの出力端はそれぞれ、第1変調信号及び第2変調信号を出力する。第1変調信号及び第2変調信号は時間とともに別々に変化し、同時、第1変調信号及び第2変調信号は同じ振幅及び反対の方向を有する。この駆動方式では、電気チップは周辺回路を含まない。電気光学変調器は、電極変換部分を含む。第1入力電極及び第2入力電極は、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極に変換され、その結果、第1入力電極及び第2入力電極に伝送された信号は別々に、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極を介して光変調部分にロードされ、第1変調アーム及び第2変調アームにおける入力光を変調し得る。従って、電気光学変調器は方式2で駆動され得る。言い換えれば、直流信号及び交流信号をフィルタリングするための周辺回路を含まない電気チップは、電気光学変調器を駆動させるために使用され得る。これは、電気光学変調器を駆動する電気チップのサイズの低減に役立ち、電気光学変調器を駆動する電気チップのコストの低減に役立ち、光変調システムにおける電気光学変調器及び電気チップのパッケージングを容易にする。
【0006】
いくつかの実装において、前記電気光学変調器はさらに、基板を備え、前記電極変換部分及び前記光変調部分は前記基板の同一表面上にある。
【0007】
このように、電極変換部分は、光変調部分に電気的に接続され得る。
【0008】
いくつかの実装において、前記電極変換部分はさらに、ブリッジ部を有する。前記ブリッジ部は、前記基板に組み込まれており、前記ブリッジ部の一部は、前記基板の、前記電極変換部分が位置している前記表面に対して露出されている。前記基板に対して露出されている前記ブリッジ部の前記一部は、前記第1変調電極及び前記第1入力電極に別々に結合されている。
【0009】
このように、第1入力電極及び第1変調電極の間に電気接続が確立され、当該電気接続は、基板に組み込まれたブリッジ部を介して実装され、その結果、第1入力電極及び第2入力電極は、電気光学変調器の端面と同一平面にあり得、電気光学変調器のパッケージングプロセスが容易になる。
【0010】
いくつかの実装において、前記第2入力電極の2つの端部はそれぞれ、前記第2変調電極及び前記第3変調電極に結合されており、前記第2変調電極、前記第2入力電極及び前記第3変調電極は、開口部を有する収容エリアを形成するように包囲されている。前記第1入力電極は前記収容エリア内にあり、前記第1変調電極は、前記開口部を介して前記収容エリアの外部から前記収容エリアに延在し且つ前記第1入力電極に結合されている。
【0011】
このように、第1入力電極及び第1変調電極の間に電気接続が確立される。
【0012】
いくつかの実装において、電極変換部分は全体として軸対称構造である。
【0013】
いくつかの実装において、前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、金属で作製されている。前記光変調部分はさらに、前記基板上の透明伝導層を含む。前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、前記透明伝導層の、前記基板から離れた表面上にあり、前記透明伝導層と電気的に接触している。
【0014】
金属材料で作製された第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極は、第1変調アーム及び第2変調アームにおける入力光を容易に吸収するので、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極による入力光の吸収量を低減するためには、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極、及び、隣接して配列された第1変調アーム及び第2変調アームの間では予め設定された距離が保たれるべきである。金属材料と比較して、透明導電材料は、光に対する吸収機能が小さい。第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極が透明導電材料で作製されるようにセットされている場合、光に対する第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極の吸収機能は低減し得、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極、及び、第1変調アーム及び第2変調アームの間の予め設定された距離が低減し得る。しかしながら、金属材料と比較して、透明導電材料は導電性が弱い。これは、電気信号(第1変調信号及び第2変調信号を含む)の伝導に資さない。従って、いくつかの実施形態において、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極は、金属材料で作製されるようにセットされており、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極に直接電気的に接触されている透明伝導層が追加されることで、透明伝導層、及び第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極が電気信号を共に伝送することを可能とする。ある態様において、優れた導電性は、金属材料で作製された第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極を介して実装され得る。別の態様において、透明伝導層は光に対する吸収機能が小さいので、透明伝導層及び第1変調アームの間の距離及び透明伝導層及び第2変調アームの間の距離は低減できる。透明伝導層及び第1変調アームの間の距離及び透明伝導層及び第2変調アームの間の距離が低減したとき、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極によって第1変調アーム及び第2変調アーム上に生成された第1電界及び第2電界の影響が向上する。従って、電気光学変調器の変調効率が向上する。
【0015】
いくつかの実装において、前記透明伝導層は、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームと直接接触している。
【0016】
このように、透明伝導層及び第1変調アームの間の距離及び透明伝導層及び第2変調アームの間の距離は0であり、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極によって第1変調アーム及び第2変調アーム上に生成された第1電界及び第2電界の影響はより大きく、電気光学変調器の変調効率はより高い。
【0017】
いくつかの実装において、電気光学変調器はさらに、第1インピーダンスシート、第2インピーダンスシート及び第3インピーダンスシートを含む。前記第1インピーダンスシート及び前記第2インピーダンスシートは、互いに直列に接続されており、次いで、前記第2変調電極及び前記第3変調電極の間で結合されている。前記第1変調電極は、前記第1インピーダンスシート及び前記第2インピーダンスシートの間のノードに結合されている。前記第3インピーダンスシートは前記第1変調電極及び前記ノードの間で結合されている。
【0018】
このように、第1変調信号及び第2変調信号は、第1インピーダンスシート、第2インピーダンスシート及び第3インピーダンスシートを介して終端されて、第1変調信号及び第2変調信号が反映されるケースを回避して、結果的に、入力光の変調プロセスが影響され得る。
【0019】
いくつかの実装において、第1変調信号及び第2変調信号は、無線周波数信号である。
【0020】
いくつかの実装において、第1変調アーム及び第2変調アームは、ニオブ酸リチウムで作製されている。
【0021】
第2態様によると、本願はさらに、第1態様の実装のいずれか1つに係る電気光学変調器;及び、第1入力電極及び第2入力電極に別々に結合されており、第1変調信号を前記第1入力電極に出力するとともに第2変調信号を前記第2入力電極に出力するように構成された電気チップを含む、光変調システムを提供する。
【0022】
光変調システムは、互いに電気的に接続された電気チップ及び光チップを含む。光チップ内の電極変換部分が使用され、その結果、周辺回路は、直流信号の伝送チャネル及び交流信号の伝送チャネルを区別する必要がなくなる。これは、光変調システムのサイズを低減するとともに光変調システムのコストを低減することに役立つ。
【0023】
現在、電気チップが電気光学変調器を動作するように駆動する運転方式は主に2つある。電気チップは、2つの運転方式において異なる回路構造を有する。方式1において、電気チップは、電気光学変調器に電気的に接続された3つの出力端を有する。1つの出力端は時間とともに変化する変調信号を出力し、2つの他の出力端は接地電圧をそれぞれ維持する。この駆動方式では、電気チップは、直流信号及び交流信号を別々にフィルタリングするために、周辺回路を含む。方式2では、電気チップは、電気光学変調器に電気的に接続された2つの出力端を有する。2つの出力端はそれぞれ、第1変調信号及び第2変調信号を出力する。第1変調信号及び第2変調信号は時間とともに別々に変化し、同時、第1変調信号及び第2変調信号は同じ振幅及び反対の方向を有する。この駆動方式では、電気チップは周辺回路を含まない。電気光学変調器は、電極変換部分を含む。第1入力電極及び第2入力電極は、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極に変換され、その結果、第1入力電極及び第2入力電極に伝送された信号は別々に、第1変調電極、第2変調電極及び第3変調電極を介して光変調部分にロードされ、第1変調アーム及び第2変調アームにおける入力光を変調し得る。従って、電気光学変調器は方式2で駆動され得る。言い換えれば、直流信号及び交流信号をフィルタリングするための周辺回路を含まない電気チップは、電気光学変調器を駆動させるために使用され得る。これは、光変調システムの全体的なサイズを小さくすることを可能とし、光変調システムのコストを低減することに役立つ。
【0024】
第3態様によると、本願はさらに、入力光を発するように構成されたレーザを含む集積光チップ;及び、前記レーザに結合されており、且つ前記入力光を受光し、前記入力光を変調し、変調された光を出力するように構成された、前述の実装のいずれか1つに係る電気光学変調器を提供する。
【0025】
集積光チップは、電気光学変調器を統合し、電気光学変調器の全ての有益な効果を実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本願の実施形態1に係る光変調システムのモジュール構造の概略図である。
【0027】
【
図2】
図1の電気光学変調器の平面構造の概略図である。
【0028】
【
図3】線A-Aに沿った
図2における電極変換部分の断面構造の概略図である。
【0029】
【
図4】B-B線に沿った
図2の光変調部分の断面構造の概略図である。
【0030】
【
図5】本願の実施形態1の変更された実施形態に係る
図2におけるB-B線に沿った電気光学変調器の断面構造の概略図である。
【0031】
【
図6】本願の実施形態1に係る電気光学変調器及び電気チップの等価回路図である。
【0032】
【
図7】本願の実施形態1に係る集積光チップのモジュール構造の概略図である。
【0033】
【
図8】本願の実施形態1の変更された実施形態に係る集積光チップのモジュール構造の概略図である。
【0034】
【
図9】本願の実施形態1の変更された実施形態に係る集積光チップのモジュール構造の概略図である。
【0035】
【
図10】本願の実施形態1の変更された実施形態に係る集積光チップのモジュール構造の概略図である。
【0036】
【
図11】本願の実施形態2に係る光変調システムにおける電気光学変調器のローカル平面構造の概略図である。
【0037】
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下では、本願の実施形態の添付図面を参照しながら、本願の実施形態について説明する。
[実施形態1]
【0039】
図1を参照
されたい。この実施形態において、光変調システム1は、電気光学変調器10及び電気チップ20を含み、電気光学変調器10は電気チップ20に結合されている。電気チップ20は、第1変調信号S+及び第2変調信号S-を電気光学変調器10に出力するように構成されている。第1変調信号S+及び第2変調信号S-は、高周波数(10Khzより大きい周波数)交流信号である。同時に、電気チップ20によって出力された第1変調信号S+及び第2変調信号S-は、等しい振幅及び反対の方向を有する。電気光学変調器10はさらに、外部光源(例えば、レーザ)からの入力光L1を受光するように構成されており、電気光学変調器10は、第1変調信号S+及び第2変調信号S-に基づいて入力光L1を変調し
て、変調された入力光を出力するように構成されている。この実施形態において、電気光学変調器10によって変調及び出力された光は、
変調された光L2と定義される。入力光L1は、固有光である。電気光学変調器10は、第1変調信号S+及び第2変調信号S-を入力光L1にロードし、入力光L1の関連パラメータ(例えば、位相、強度及び偏光状態)を変化させて、変調情報を保持した
変調された光L2を取得し、
変調された光L2を出力する。この実施形態において、電気光学変調器10は、薄膜ニオブ酸リチウム変調器である。
【0040】
図2を参照
されたい。この実施形態において、電気光学変調器10は、電極変換部分11、光変調部分12及び基板13を含み、電極変換部分11及び光変調部分12は、基板13の同一表面上にある。電極変換部分11は、電気チップ20及び光変調部分12にそれぞれ結合されており、第1変調信号S+及び第2変調信号S-を受信し、第1変調信号S+及び第2変調信号S-を光変調部分12に伝送するように構成されている。光変調部分12は、第1変調信号S+、第2変調信号S-及び入力光L1を受信するように構成されており、第1変調信号S+及び第2変調信号S-に基づいて入力光L1を変調して
、変調された光L2を出力するように構成されている。
【0041】
電極変換部分11は、間隔を置いて配置された第1入力電極111及び第2入力電極112を含む。第1入力電極111及び第2入力電極112は、電気チップ20に別々に結合されている。第1入力電極111は、電気チップ20によって出力された第1変調信号S+を受信するように構成されており、第2入力電極112は、電気チップ20によって出力された第2変調信号S-を受信するように構成されている。
【0042】
光変調部分12は、第1変調電極121、第2変調電極122、第3変調電極123、第1変調アーム124及び第2変調アーム125を含む。第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は互いに間隔を置いて配置され且つ並列であり、第1変調電極121は、第2変調電極122及び第3変調電極123の間にある。電気信号が第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123に別々に印加されたとき、第1変調電極121及び第2変調電極122は、第1コンデンサを形成して第1電界を生成し;第1変調電極121及び第3変調電極123は、第2コンデンサを形成して第2電界を生成する。
【0043】
第1変調アーム124は、第1変調電極121及び第2変調電極122の間にあり、第2変調アーム125は、第1変調電極121及び第3変調電極123の間にある。第1変調アーム124及び第2変調アーム125は、入力端P1及び出力端P2で収束する。言い換えれば、第1変調アーム124及び第2変調アーム125は、共通の入力端P1及び共通の出力端P2を有する。入力端P1は、入力光L1を受光するように構成されている。入力光L1の一部が伝送及び変調のために第1変調アーム124に入射し、他方の一部が伝送及び変調のために第2変調アーム125に入射する。電気信号が第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123に別々に印加されたとき、第1変調アーム124は第1電界内にあり、第1変調アーム124において伝送された入力光L1の一部は第1電界によって変調され、第2変調アーム125において伝送された入力光L1の他方の一部は第2電界によって変調される。第1変調アーム124及び第2変調アーム125によって変調された入力光L1は、出力端P2において収束し、次いで変調された光L2として出力される。
【0044】
第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は互いに間隔を置いて配置され且つ略並列であり、第1変調電極121は、第2変調電極122及び第3変調電極123の間にある。第1変調電極121は、第1入力電極111に結合されており、第1変調信号S+を受信するように構成されている。第2変調電極122及び第3変調電極123は、第2入力電極112に別々に結合されており、別々に、第2変調信号S-を受信するように構成されている。第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は、第1変調信号S+及び第2変調信号S-に基づいて入力光L1を変調するように構成されている。
【0045】
図3を参照
されたい。基板13は、積層された基板層131及び誘電体層132を含み、基板層131は、誘電体層132の、電極変換部分11及び光変調部分12から離れた表面上にある。言い換えれば、誘電体層132は2つの反対する表面を有しており、電極変換部分11及び光変調部分12は2つの表面のうち1つに
あり、基板層131は他の表面に
ある。この実施形態において、基板層131の材料はシリコン(Si)であり、誘電体層132の材料は二酸化シリコン(SiO
2)である。別の実施形態において、基板層131の材料は
代替的に、リン酸インジウム(InP)、ガリウムヒ素(GaAs)、又はそれらの組み合わせなどであり得、誘電体層132の材料は
代替的に、シリコン(Si)、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン(SiO2)、ベンゾシクロブテン(BCB)、又はそれらの組み合わせ
などであり得る。
【0046】
図2及び
図3を共に参照
されたい。この実施形態において、電極変換部分11はさらに、ブリッジ部116を含む。第1入力電極111、第2入力電極112、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は全て、誘電体層132の、基板層131から離れた表面上に
配置されている。ブリッジ部116は、誘電体層132に組み込まれており、ブリッジ部の
一部は、誘電体層132の、基板層131から離れた表面に対して露出されている。誘電体層132の表面に
対して露出されたブリッジ部116の
一部は、第1入力電極111及び第1変調電極121に
別々に結合されて、第1入力電極111及び第1変調電極121の間の電気接続を確立する。
【0047】
第1入力電極111、第2入力電極112、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は全て、誘電体層132の、基板層131から離れた表面上に配置されているので、第1入力電極111及び第1変調電極121の間に電気接続が、誘電体層132の、基板層131から離れた表面上に配置された伝導構造を介して直接確立されている場合、第1入力電極111及び第2入力電極112は容易に短絡される。絶縁層を追加する方式が短絡を回避するために使用された場合、それは電気光学変調器10の総厚を低減するのに資さない。このように、ブリッジ部116は、誘電体層132に組み込まれて、第1入力電極111及び第1変調電極121の間の電気接続を確立する。これは、第1入力電極111及び第2入力電極112の間の短絡を回避することに役立ち、さらに、電気光学変調器10の総厚を低減することに役立つ。
【0048】
図4を参照
されたい。この実施形態において、第1変調電極121、第2変調電極122、第3変調電極123、第1変調アーム124及び第2変調アーム125は、誘電体層132の、基板層131から離れた表面上に
配置されている。光変調部分12はさらに、光導波路126を含み、光導波路126は、誘電体層132の、基板層131から離れた表面と直接接触している。光導波路126は、ベース1261、及び、ベース1261の表面から、誘電体層132から離れた方向に向かって突出する第1変調アーム124及び第2変調アーム125を含む。第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は、ベース1261の、誘電体層132から離れた表面上にある。この実施形態において、ベース1261、第1変調アーム124及び第2変調アーム125は全てがニオブ酸リチウムで
作製されている。別の実施形態において、光導波路126は
代替的に、ベース1261を含まない場合がある。
【0049】
この実施形態において、第1入力電極111、第2入力電極112、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は全てが、例えば、金、アルミニウム、銅、チタン及び白金のような導電性金属で作製されている。
【0050】
図5を参照
されたい。変更された実施形態において、光変調部分12はさらに、透明
伝導層127を含む。透明
伝導層127は、ベース1261の、誘電体層132から離れた表面上に
配置されており、ベース1261の、誘電体層132から離れた表面を部分的にカバーしている。第1変調アーム124及び第2変調アーム125は、透明
伝導層127に対して露出されている。言い換えれば、透明
伝導層127は、ベース1261、及び、第1変調電極121、第2変調電極122及
び第3変調電極123の間にある。透明
伝導層127は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)膜又はタングステンドープ酸化インジウム(IWO)膜
などの透明な導電性酸化物(TCO)膜であり得る。
【0051】
この実施形態において、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は金属材料で作製されており、金属材料は、第1変調アーム124及び第2変調アーム125において入力光L1を容易に吸収する。第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123による入力光L1の吸収量を低減するべく、
図4に示されるように、第1変調電極121、第2変調電極122
及び第3変調電極123、及び、隣接して配列された第1変調アーム124及び第2変調アーム125の間では予め設定された距離が保たれるべきである。
【0052】
金属材料と比較して、透明導電材料は、光に対する吸収機能が小さい。第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123が透明導電材料で作製されるようにセットされている場合、光に対する第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123の吸収機能は低減し得、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123、及び、第1変調アーム124及び第2変調アーム125の間の予め設定された距離が低減し得る。しかしながら、金属材料と比較して、透明導電材料は導電性が弱い。これは、電気信号(第1変調信号S+及び第2変調信号S-を含む)の伝導に資さない。
【0053】
従って、前述の変更された実施形態において、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123は金属材料で作製され
るようにセットされており、透明
伝導層127が追加されることで、透明
伝導層127、及び第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123が電気信号を共に伝送することが可能となる。
ある態様において、優れた導電性は、金属材料で作製された第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123
を介して実装され得る。
別の態様において、透明
伝導層127は光に対する吸収機能が小さいので、透明
伝導層127及び第1変調アーム124の間の距離及び透明
伝導層127及び第2変調アーム125の間の距離は低減し得る。この変更された実施形態(
図6)において、透明
伝導層127は、第1変調アーム124及び第2変調アーム125と直接接触している。言い換えれば、透明
伝導層127及び第1変調アーム124の間の距離及び透明
伝導層127及び第2変調アーム125の間の距離は0である。
【0054】
透明伝導層127及び第1変調アーム124の間の距離及び透明伝導層127及び第2変調アーム125の間の距離が低減したとき、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123によって第1変調アーム124及び第2変調アーム125上に生成された第1電界及び第2電界の影響はより大きく、電気光学変調器10の変調効率はより高い。
【0055】
従って、この変更された実施形態において、透明伝導層127は追加されて、優れた導電性を確保しながら、電気光学変調器10の変調効率を向上させることに役立つ。
【0056】
図4及び
図5を参照
されたい。この実施形態において、電気光学変調器10はさらに、絶縁
カバレッジ層14を含む。絶縁
カバレッジ層14及び誘電体層132の材料は同じである。絶縁
カバレッジ層14は、電極変換部分11及び光変調部分12の、基板13から離れた表面をカバーし、外部の
伝導構造から電極変換部分11及び光変調部分12を電気的に絶縁すること、及び電極変換部分11及び光変調部分12をスクラッチから保護することを行うように構成されている。この実施形態において
、絶縁
カバレッジ層14がいくつかの添付図面では示されていない
ことで、電極変換部分11及び光変調部分12の構造をより良く示す。
【0057】
以下では、電気光学変調器10及び電気チップ20の等価回路図を参照して、光変調システム1の動作プロセスを説明する。
【0058】
図6を参照
されたい。この実施形態において、電気チップ20は、増幅器21を含み、増幅器21は、第1の出力端211及び第2の出力端212を有する。第1の出力端211は、第1入力電極111に結合されており、第2の出力端212は、第2入力電極112に結合されている。増幅器21の正相入力端213は、初期変調信号S
0を受信するように構成されており、増幅器21は、初
期変調信号S
0の振幅を増幅させ、
別々に、第1の出力端211
から第1変調信号S+を出力し、第2の出力端212
から第2変調信号S-を出力するように構成されている。電気光学変調器10は、駆動端128を含む。駆動端128はフローティング接続状態にあり、直流駆動信号Dを受信するように構成されている。駆動端128は、電気光学変調器10上の信号入力ピンである。電気光学変調器10の動作プロセスにおいて、電気光学変調器10の外部のリード
線は、駆動端128に接続されて、駆動信号Dを駆動端128に入力し得る。駆動端128は、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123に
別々に結合されており、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123
を介して駆動信号Dを増幅器21に伝送するように構成されている。言い換えれば、駆動端128は、駆動信号Dを電気チップ20に伝送して、電気チップ20を動作し始めるように駆動するように構成されている。この実施形態において、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123はコンデンサを形成し、その結果、直流駆動信号Dは、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123の間
のコンデンサを流れず、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123
上でのみ電気チップ20に伝送される。このように、交流変調信号(第1変調信号及び第2変調信号を含む)及び直流駆動信号Dの伝送チャネルは区別され得る。
【0059】
動作し始めたとき、電気チップ20は初期変調信号S0を受信し、第1の出力端211を介して第1変調信号S+を出力し、第2の出力端212を介して第2変調信号S-を出力する。第1変調信号S+は、第1入力電極111によって第1変調電極121に伝送され、第2変調信号S-は、第2入力電極112によって第2変調電極122及び第3変調電極123に別々に伝送される。同時に、光変調部分12の入力端P1は、外部光源によって入力された入力光L1を受光する。
【0060】
この実施形態において、第1変調信号S+及び第2変調信号S-は正弦信号である。別の実施形態において、第1変調信号S+及び第2変調信号S-は代替的に、例えば方形波信号のような他の形態の交流信号であってよい。第1変調信号S+及び第2変調信号S-の具体的な形態は本願において限定されるものではない。光変調部分12の動作プロセスにおいて、同時に、第1変調信号S+及び第2変調信号S-は、同じ振幅及び反対の方向を有する。第1変調信号S+及び第2変調信号S-を同時に変化させることによって、第1電界及び第2電界はそれぞれ変化されて、第1電界及び第2電界内の第1変調アーム124及び第2変調アーム125をそれぞれ、入力光L1を変調して、変調された光L2を出力するように制御し得る。言い換えれば、前述のプロセスにおいて、第1変調信号S+及び第2変調信号S-の変化は、光のパラメータ(例えば、位相、強度又は偏光状態)の変化に反映され、その結果、変調された光、すなわち、変調された光L2は、変調情報を保持する。
【0061】
この実施形態において、光変調部分12はさらに、基板13の表面上にある第1インピーダンスシートR1、第2インピーダンスシートR2及び第3インピーダンスシートR3を含む。第1インピーダンスシートR1、第2インピーダンスシートR2及び第3インピーダンスシートR3はそれぞれ、具体的なインピーダンス値を有する材料層、例えば、チタンで作製された材料層である。第1インピーダンスシートR1及び第2インピーダンスシートR2は、第2変調電極122の一端及び第3変調電極123の一端の間で結合されており、第1インピーダンスシートR1及び第2インピーダンスシートR2は、第2変調電極122及び第3変調電極123の端部であり且つ出力端P2に近い端部に結合されている。第1インピーダンスシートR1及び第2インピーダンスシートR2の間のノードは、駆動端128、及び第1変調電極121の一端に結合されており、第3インピーダンスシートR3は、第1変調電極121及び上記ノードの間において結合されている。第1インピーダンスシートR1、第2インピーダンスシートR2及び第3インピーダンスシートR3は別々に、高周波数信号であり且つ第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123上で伝送される第1変調信号S+及び第2変調信号S-を終端することで、第1変調信号S+及び第2変調信号S-が反映され、結果的に、入力光L1の変調プロセスが影響されるというケースを回避するように構成されている。
【0062】
上述のように、この実施形態における電気光学変調器10は、電気チップ20によって出力された第1変調信号S+及び第2変調信号S-を受信するように構成されている。電気光学変調器10はさらに、入力光L1を受光するように構成されており、第1変調信号S+及び第2変調信号S-に基づいて入力光L1を変調して、変調された光L2を出力するように構成されている。第1変調信号S+及び第2変調信号S-は、交流信号である。電気チップ20は、直流駆動信号Dの駆動下で動作する必要がある。
【0063】
現在、電気チップが電気光学変調器を動作するように駆動する運転方式は主に2つある。電気チップは、2つの運転方式において異なる回路構造を有する。
【0064】
方式1において、電気チップは、電気光学変調器に結合された3つの出力端を有する。1つの出力端は時間とともに変化する変調信号を出力し、2つの他の出力端は接地電圧をそれぞれ維持する。この駆動方式では、電気チップは、直流信号及び交流信号を別々にフィルタリングするために、周辺回路を含む。この方式は、コプレーナ導波路ベースの(CPW)電極構造の信号伝送方式とも称される。
【0065】
方式2では、電気チップは、電気光学変調器に結合された2つの出力端を有する。2つの出力端はそれぞれ、第1変調信号及び第2変調信号を出力する。第1変調信号及び第2変調信号は時間とともに別々に変化し、同時に、第1変調信号及び第2変調信号は同じ振幅及び反対の方向を有する。この駆動方式では、電気チップは周辺回路を含まない。この方式は、コプレーナストリップベースの(CPS)電極構造の信号伝送方式とも称される。
【0066】
この実施形態における電気光学変調器10は、電極変換部分11を含む。第1入力電極111及び第2入力電極112は、第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123に変換され、その結果、第1入力電極111及び第2入力電極112に伝送された信号は別々に、光変調部分12の第1変調電極121、第2変調電極122及び第3変調電極123にロードされ、第1変調アーム124及び第2変調アーム125における入力光L1を変調し得る。言い換えれば、この実施形態において、電気光学変調器10は、CPSベースの電極構造をCPWベースの電極構造に変換して、その結果、動作のために電気光学変調器10が電気チップ20に結合されたとき、電気光学変調器10は方式2で駆動され得る。言い換えれば、は、直流信号及び交流信号をフィルタリングするための周辺回路を含まない電気チップ20は、電気光学変調器10を駆動させるために使用され得る。これは、光変調システム1の全体的なサイズが小さくなることを可能とし、光変調システム1のコストの低減に役立ち、光変調システム1内の電気光学変調器10及び電気チップ20のパッケージングを容易にする。
【0067】
これに基づいて、第2変調電極122及び第3変調電極123がコンデンサを形成するので、電気光学変調器10の駆動端128において入力された駆動信号Dは、コンデンサによってフィルタリングされ、第2変調電極122及び第3変調電極123上で伝送されない。駆動信号Dは、第1変調電極121のパスに沿ってのみ電気チップ20にロードされる。
【0068】
図7を参照
されたい。この実施形態はさらに、集積光チップ100を提供する。集積光チップ100は、少なくとも1つの電気光学変調器10、1つのレーザ40、及び1つの半導体光増幅器50
(SOA)を含む。レーザ40は、電気光学変調器10に結合されている。レーザ40は、入力光L1を電気光学変調器10に出力するように構成されている。電気光学変調器10は半導体光増幅器50に結合されており、入力光L1を変調し、
変調された光L2を半導体光増幅器50に出力するように構成されている。半導体光増幅器50は、
変調された光L2を増幅させ、増幅済みの
変調された光L2を出力するように構成されている。出力された
変調された光L2は光ファイバにおいて継続して伝播され得、後続の光パスにおいて変調器又は検出器などのデバイスによって受信され得る。
【0069】
いくつかの変更された実施形態において、集積光チップ100の具体的な構造は
代替的に、
図8から10に示され得る。
【0070】
図7における集積光チップと比較して、
図8における集積光チップ100はさらに、半導体光増幅器50に結合された受信器60を含む。受信器60は、半導体光増幅器50によって出力された増幅済みの
変調された光L2を受光し、増幅済みの
変調された光L2に基づいて対応する電気信号を生成し、電気信号を出力するように構成されている。
【0071】
図8における集積光チップと比較して、
図9における集積光チップ100はさらに、レーザ40及び電気光学変調器10の間で結合された半導体光増幅器50を含む。レーザ40及び電気光学変調器10の間における半導体光増幅器50は、レーザ40によって出力されたレーザ光を受光し、レーザ光を増幅し、
増幅済みのレーザ光を入力光L1として電気光学変調器10に出力するように構成されている。
【0072】
図9における集積光チップと比較して、
図10における集積光チップ100はさらに、レーザ40に結合された受信器60を含む。受信器60は、
変調された光L2を復調して、
変調された光L2に保持された変調情報を取得するように構成されている。
【0073】
図7から
図10に示された集積光チップ100は、この実施形態における前述の電気光学変調器10を統合し、前述の電気光学変調器10の全ての有益な効果を実装することができる。
[実施形態2]
【0074】
図11及び
図12を共に参照
されたい。この実施形態における光変調システムは、電気光学変調器を含み、ここで、電気光学変調器は、電極変換部分31を含む。この実施形態における光変調システムは、以下の点
で実施形態1における光変調システム1とは異なる:電極変換部分31の構造は
、実施形態1における電極変換部分11の構造とは異なる。
【0075】
この実施形態において、電極変換部分31は、間隔を置いて配置された第1入力電極311及び第2入力電極312を含む。第1入力電極311及び第2入力電極312は、電気チップに別々に結合されている。第1入力電極311は、第1変調信号S+を受信するように構成されており、第2入力電極312は、電気チップ20によって出力された第2変調信号S-を受信するように構成されている。
【0076】
第2入力電極312の2つの端部はそれぞれ、第2変調電極122及び第3変調電極123に結合されている。言い換えれば、第2変調電極122、第2入力電極312及び第3変調電極123は、ヘッドツーテール方式で順次結合されている。第2変調電極122、第2入力電極312及び第3変調電極123は、開口部316を有する収容エリア317を形成するように包囲されている。第1入力電極311は、収容エリア317内にある。第1変調電極121は、収容エリア317の外部から開口部316を介して収容エリア317に延在しており、第1入力電極311に結合されている。この実施形態において、電極変換部分31は全体として軸対称構造である。具体的には、電極変換部分31は、第1変調電極121に対して軸対称である。電極変換部分31は軸対称にセットされている。これは、第1変調信号S+及び第2変調信号S-の間の対称性を確保することに役立つ。
【0077】
第1変調電極121は、第1入力電極311に結合されており、第1変調信号S+を受信するように構成されている。第2変調電極122及び第3変調電極123は、第2入力電極312に別々に結合されており、別々に、第2変調信号S-を受信するように構成されている。
【0078】
この実施形態において、電気光学変調器はさらに、基板33を含む。電極変換部分31及び光変調部分は、基板33と同一表面上にある。基板33は、積層された基板層331及び誘電体層332を含み、基板層331は、誘電体層332上の、電極変換部分31から離れた表面上にある。この実施形態において、基板33の材料は実施形態1における基板13の材料と同じである。詳細は、改めて説明されない。
【0079】
この実施形態における電気光学変調器は、実施形態1における電気光学変調器10の全ての有益な効果を実装することができる。
【0080】
前述の説明は、単に本願の具体的な実装に過ぎず、本願の保護範囲を限定することを意図するものではないことに留意されたい。本願に開示された技術的範囲内において当業者によって容易に想到される任意の変形又は置換は、本願の保護範囲に含まれるものとする。矛盾が発生しない場合、本願の実装及び実装における特徴は、互いに組み合わせることができる。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
(他の可能な項目)
(項目1)
第1入力電極及び第2入力電極を有する電極変換部分、ここで、前記第1入力電極は、電気チップによって出力された第1変調信号を受信するように構成されており、前記第2入力電極は、前記電気チップによって出力された第2変調信号を受信するように構成されている;及び、
第1変調電極、第2変調電極、第3変調電極、第1変調アーム、及び第2変調アームを有する光変調部分、ここで、前記第1変調電極は、前記第2変調電極及び前記第3変調電極の間にあり、前記第1変調アームは、前記第1変調電極及び前記第2変調電極の間にあり、前記第2変調アームは、前記第1変調電極及び前記第3変調電極の間にある
を備え、
前記第1変調電極は、前記第1入力電極に結合されており、前記第1変調信号を受信するように構成されており、前記第2変調電極及び前記第3変調電極はそれぞれ前記第2入力電極に結合されており、前記第2変調信号をそれぞれ受信するように構成されており、前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、前記第1変調信号及び前記第2変調信号に基づいて、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームにおける入力光を変調するように構成されており;前記変調された入力光は、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームから変調光として出力される、電気光学変調器。
(項目2)
前記電気光学変調器はさらに、基板を備え、前記電極変換部分及び前記光変調部分は前記基板の同一の表面上にある、項目1に記載の電気光学変調器。
(項目3)
前記電極変換部分はさらに、ブリッジ部を有し、前記ブリッジ部は、前記基板に組み込まれており、前記ブリッジ部の一部は、前記基板の、前記電極変換部分が設けられている前記表面に露出されており;
前記基板に露出されている前記ブリッジ部の前記一部は、前記第1変調電極及び前記第1入力電極にそれぞれ結合されている、項目2に記載の電気光学変調器。
(項目4)
前記第2入力電極の2つの端部はそれぞれ、前記第2変調電極及び前記第3変調電極に結合されており、前記第2変調電極、前記第2入力電極及び前記第3変調電極は、開口部を有する収容エリアを形成するように包囲されており、
前記第1入力電極は前記収容エリア内にあり、前記第1変調電極は、前記開口部を介して前記収容エリアの外部から前記収容エリアに延在し且つ前記第1入力電極に結合されている、項目2に記載の電気光学変調器。
(項目5)
前記電極変換構造は軸対称構造である、項目4に記載の電気光学変調器。
(項目6)
前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、金属であり;
前記光変調部分はさらに、前記基板上の透明導電層を含み、前記第1変調電極、前記第2変調電極及び前記第3変調電極は、前記透明導電層の、前記基板から離れた表面上にあり、前記透明導電層と電気的に接触している、項目2から5のいずれか一項に記載の電気光学変調器。
(項目7)
前記透明導電層は、前記第1変調アーム及び前記第2変調アームと直接接触している、項目6に記載の電気光学変調器。
(項目8)
第1インピーダンス板、第2インピーダンス板及び第3インピーダンス板をさらに含み、
前記第1インピーダンス板及び前記第2インピーダンス板は、互いに直列に接続されており、次いで、前記第2変調電極及び前記第3変調電極の間で結合されており、前記第1変調電極は、前記第1インピーダンス板及び前記第2インピーダンス板の間のノードに結合されており、前記第3インピーダンス板は前記第1変調電極及び前記ノードの間で結合されている、項目6から7のいずれか一項に記載の電気光学変調器。
(項目9)
前記第1変調信号及び前記第2変調信号は無線周波数信号である、項目1から8のいずれか一項に記載の電気光学変調器。
(項目10)
前記第1変調アーム及び前記第2変調アームはニオブ酸リチウムである、項目1から9のいずれか一項に記載の電気光学変調器。
(項目11)
項目1から10のいずれか一項に記載の電気光学変調器;及び
第1入力電極及び第2入力電極にそれぞれ結合されており、第1変調信号を前記第1入力電極に出力するとともに第2変調信号を前記第2入力電極に出力するように構成された電気チップ
を備える、光変調システム。
(項目12)
入力光を発するように構成されたレーザ;及び
前記レーザに結合されており、且つ前記入力光を受光し、前記入力光を変調し、変調光を出力するように構成された、項目1から10のいずれか一項に記載の電気光学変調器
を備える、集積光チップ。
【国際調査報告】