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特表2024-524646高度に構造化された、高ビニリデンプロピレンオリゴマー、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】高度に構造化された、高ビニリデンプロピレンオリゴマー、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 110/06 20060101AFI20240628BHJP
   C08F 4/6592 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C08F110/06
C08F4/6592
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501646
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022029364
(87)【国際公開番号】W WO2022245688
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/189,585
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホムメルトフト、スヴェン アイヴァー
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA03P
4J100CA01
4J100CA27
4J100DA02
4J100FA10
4J128AA01
4J128AB00
4J128AC28
4J128AD05
4J128AD11
4J128BA00A
4J128BA01B
4J128BB00A
4J128BB01B
4J128BC25B
4J128EA01
4J128EB04
4J128EC01
4J128FA02
4J128FA09
4J128GA02
4J128GA26
(57)【要約】
高いビニリデン含有量及び高い度合いの構造規則性を有するプロピレンオリゴマーの製造方法、及びその方法で製造されるプロピレンオリゴマーである。プロピレンオリゴマーの製造方法は、非架橋型メタロセン錯体を、修飾メチル酸化アルミニウム活性剤化合物の存在下及び好適なオリゴマー化条件下で、プロピレン組成物と接触させることを含む。修飾メチル酸化アルミニウム活性剤化合物と、非架橋型メタロセン錯体とを組み合わせた使用が、ビニリデン基含有量の上昇及び水素化プロピレンオリゴマー含有量の低減をもたらすことが見出されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約200~約10,000の数平均分子量M及び約70モル%を超えるビニリデン含有量を有するプロピレンオリゴマーを含むプロピレンオリゴマー組成物であって、約6重量%未満の水素化プロピレンオリゴマー、及び約70重量%~100重量%の前記プロピレンオリゴマーを含む、前記プロピレンオリゴマー組成物。
【請求項2】
前記プロピレンオリゴマーが、式(I):
CH=CH(CH)-(CH-CH(CH))-CH-CH-CH (I)
式中、n=0~約1000である、
に記載のオリゴマーを含む、請求項1に記載のプロピレンオリゴマー組成物。
【請求項3】
前記プロピレンオリゴマーの前記ビニリデン含有量が、約80モル%を超える、または約90モル%を超える、請求項1に記載のプロピレンオリゴマー組成物。
【請求項4】
前記数平均分子量Mが、約200、250、300、400、500、600、650、700または750~約2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000または10,000の範囲である、請求項1に記載のプロピレンオリゴマー組成物。
【請求項5】
約5重量%未満、または約4重量%未満、または約3重量%未満、または約2重量%未満、または約1重量%未満の水素化プロピレンオリゴマーを含む、請求項1に記載のプロピレンオリゴマー組成物。
【請求項6】
約50~100重量%のプロピレン及び0~約50重量%の1種以上のコモノマー、または約60~100重量%のプロピレン及び0~約40重量%の1種以上のコモノマー、または約70~100重量%のプロピレン及び0~約30重量%の1種以上のコモノマー、または約80~100重量%のプロピレン及び0~約20重量%の1種以上のコモノマーを含むプロピレンオリゴマーを含む、請求項1に記載のプロピレンオリゴマー組成物。
【請求項7】
式(I):
CH=CH(CH)-(CH-CH(CH))-CH-CH-CH (I)
式中、n=0~約1000である、
に記載のプロピレンオリゴマーであって、約200~約10,000の数平均分子量M及び約70モル%を超えるビニリデン含有量を有する、前記プロピレンオリゴマー。
【請求項8】
前記プロピレンオリゴマーの前記ビニリデン含有量が、約80モル%を超える、または約90モル%を超える、請求項7に記載のプロピレンオリゴマー。
【請求項9】
前記数平均分子量Mが、約200、250、300、400、500、600、650、700または750~約2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000または10,000の範囲である、請求項7に記載のプロピレンオリゴマー。
【請求項10】
約5重量%未満、または約4重量%未満、または約3重量%未満、または約2重量%未満、または約1重量%未満の水素化プロピレンオリゴマーを含む、請求項7に記載のプロピレンオリゴマー。
【請求項11】
約200~約10,000の数平均分子量M及び約70モル%を超えるビニリデン含有量を有するプロピレンオリゴマーを製造する方法であって、式:
(R-Cp)MX
式中、Rは水素またはヒドロカルビル基であり;Cpはシクロペンタジエニル基であり;Mはジルコニウムまたはハフニウムであり;Xはハロゲンである、
に記載の非架橋型メタロセン錯体を、
修飾メチル酸化アルミニウム活性剤化合物の存在下及びオリゴマー化条件下で、プロピレン組成物と接触させて、前記プロピレンオリゴマーを形成することを含み、
前記プロピレンオリゴマーが約6重量%未満の水素化プロピレンオリゴマーを含む、前記方法。
【請求項12】
前記プロピレンオリゴマーが、式(I):
CH=CH(CH)-(CH-CH(CH))-CH-CH-CH (I)
式中、n=0~約1000である、
に記載のオリゴマーを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ヒドロカルビル基Rが、直鎖または分岐鎖、置換または非置換、飽和または不飽和のC~C30ヒドロカルビル基を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記シクロペンタジエニル基Cpが、非置換である、または置換されている、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記修飾メチル酸化アルミニウム活性剤化合物が、式[(CH(1-m)AlO]、式中、0.02<m<0.50であり、RはC~C15の直鎖または分岐鎖アルキル基である、の化合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記プロピレンオリゴマーの前記ビニリデン含有量が、約80モル%を超える、または約90モル%を超える、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記数平均分子量Mが、約200、250、300、400、500、600、650、700または750~約2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000または10,000の範囲である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記プロピレン組成物が、約50~100重量%のプロピレン及び0~約50重量%の1種以上のコモノマー、または約60~100重量%のプロピレン及び0~約40重量%の1種以上のコモノマー、または約70~100重量%のプロピレン及び0~約30重量%の1種以上のコモノマー、または約80~100重量%のプロピレン及び0~約20重量%の1種以上のコモノマーを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
式(I):
CH=CH(CH)-(CH-CH(CH))-CH-CH-CH (I)
式中、n=0~約1000である、
に記載のプロピレンオリゴマーを調製するための、非架橋型メタロセン錯体と組み合わせた修飾メチル酸化アルミニウム活性剤の使用であって、前記プロピレンオリゴマーが、約200~約10,000の数平均分子量M及び約70モル%を超えるビニリデン含有量を有する、前記使用。
【請求項20】
前記修飾メチル酸化アルミニウム活性剤化合物が、式[(CH(1-m)AlO]、式中、0.02<m<0.50であり、RはC~C15の直鎖または分岐鎖アルキル基である、の化合物である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記非架橋型メタロセン錯体が、式:
(R-Cp)MX
式中、Rは水素またはヒドロカルビル基であり;Cpはシクロペンタジエニル基であり;Mはジルコニウムまたはハフニウムであり;Xはハロゲンである、
に記載のものである、請求項19に記載の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月17日出願の、米国仮出願第63/189,585号、題名「HIGHLY STRUCTURED,HIGH VINYLIDENE PROPYLENE OLIGOMER AND METHOD OF MAKING」の優先権の利益を主張するものであり、同開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
高いビニリデン含有量及び高い度合いの構造規則性を有するプロピレンオリゴマーの製造方法、及びその方法で製造されるプロピレンオリゴマーである。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野において、プロピレンオリゴマーを製造する各種の方法が知られている。例えば、米国特許第9,732,300号及び同第8,536,391号に記載されるように、プロピレンオリゴマーは、メタロセン系触媒システムを使用したプロピレン原材料のオリゴマー化によって製造され得る。有用なメタロセン触媒システムには、元素の周期表のIUPAC第3族から第12族の、1種以上の遷移金属を含む様々な化合物が挙げられる。プロピレンのオリゴマー化に有用な、より具体的なメタロセン触媒システムには、遷移金属がクロム、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムであり、シクロペンタジエニル置換基を架橋または非架橋の形態で含む化合物が挙げられる。場合によっては、アルミノキサン及び/または化学的に処理した固体酸化物などの特定の活性剤が、メタロセン触媒とともに使用され、有益な特性を有するプロピレンオリゴマーが生成されている。
【0004】
しかしながら、多様かつ複雑なメタロセン触媒システムの開発にも関わらず、このような触媒を用いて生成される生成物の範囲を拡大するための、さらなる継続的な取り組みが依然として必要とされている。そのような領域の一つは、官能性オリゴマー、具体的には、高い末端ビニリデン基含有量を含むプロピレンオリゴマーの調製に関する。本発明はこのようなニーズを対象とし、有利な解決策を提供する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、プロピレンオリゴマーの製造方法、及びそれによって製造したプロピレンオリゴマーに関する。本方法及びプロピレンオリゴマー生成物は、既知のプロピレンオリゴマー製造方法と比較して一定の利点を提供する。例えば、本プロピレンオリゴマーは、既知の方法によって調製されたプロピレンオリゴマーと比較して、高いビニリデン含有量を含有する。また、本プロピレンオリゴマーは、他のプロピレンオリゴマー製造方法、例えばメタロセン触媒を用いた方法と比較して、低減した水素化プロピレンオリゴマー量を有利に含有し得る。
【0006】
本プロピレンオリゴマーは、概して、約200~約10,000の数平均分子量M、約70モル%を超えるビニリデン含有量を有し、約6重量%未満の水素化プロピレンオリゴマーを含む。本方法によって製造されるプロピレンオリゴマー組成物は、概して、約70重量%~100重量%のプロピレンオリゴマーを含む。
【0007】
プロピレンオリゴマーの製造方法は、式:
(R-Cp)MX
式中、Rは水素またはヒドロカルビル基であり;Cpはシクロペンタジエニル基であり;Mはジルコニウムまたはハフニウムであり;Xはハロゲンである、に記載の非架橋型メタロセン錯体を、修飾メチル酸化アルミニウム活性剤化合物の存在下及び好適なオリゴマー化条件下で、プロピレン組成物と接触させることを含む。概して、修飾メチル酸化アルミニウム活性剤化合物を非架橋型メタロセン錯体と組み合わせて使用することは、本明細書に記載の利益をもたらすと見出されている。
【0008】
本方法によって製造されるプロピレンオリゴマーは、式(I):
CH=CH(CH)-(CH-CH(CH))-CH-CH-CH (I)
式中、n=0~約1000である、に記載のオリゴマーを含む。
【0009】
これに限定されないが、一実施形態では、修飾メチル酸化アルミニウム活性剤化合物は、式[(CH(1-m)AlO]、式中、0.02<m<0.50であり、RはC~C15の直鎖または分岐鎖アルキル基である、の化合物であってよい。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書には、1つ以上の態様の例示的な実施形態が示されているが、開示されるプロセスは、任意の数の方法を用いて実施することができる。本開示は、本明細書に例示及び記載されているいずれの例示的な設計及び実施形態も含め、本明細書に例示されている例示的または具体的な実施形態、図面及び技法に限定されず、均等物の全範囲とともに、添付の請求項の範囲内で改変してよい。
【0011】
特に指定のない限り、以下の用語、術語及び定義が本開示に適用可能である。ある用語が本開示で使用されるが、本明細書で具体的に定義されていない場合、IUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd ed(1997)からの定義が適用されてよいが、その定義が、本明細書で適用される任意のその他の開示もしくは定義と矛盾しない、またはその定義が適用される任意の請求項を不明確もしくは非許容としないことが条件である。参照により本明細書に援用されるいずれかの文献に示されるいずれかの定義または用法が、本明細書に示される定義または用法と矛盾する場合は、本明細書に示される定義または用法が適用されるものとする。
【0012】
「周期表」とは、IUPAC Periodic Table of the Elements dated Jun.22,2007版を指し、周期表の族番号の表記法は、Chem.Eng.News,63(5),26-27(1985)に記載されている通りである。
【0013】
本開示では、組成物、及び方法またはプロセスが、各種の成分または工程を「含む」という観点で説明されている場合が多いが、その組成物及び方法は、別段の記載のない限り、その各種の成分もしくは工程「から本質的になっても」よいし、またはその各種の成分もしくは工程「からなっても」よい。
【0014】
「a」、「an」及び「the」という用語は、複数の選択肢、例えば、少なくとも1つを含むことを意図している。例えば、「遷移金属」または「アルカリ金属」の開示は、特に断らない限り、1種の遷移金属またはアルカリ金属、または複数種の遷移金属またはアルカリ金属の混合物または組み合わせを包含することを意味する。
【0015】
本明細書における詳細な説明及び請求項内のいずれの数値も、示されている値が「約」または「およそ」によって修飾されており、当業者であれば予測されるであろう実験的誤差及び変動を考慮している。
【0016】
「オレフィン」という用語は、芳香環または環系の一部ではない少なくとも1つの炭素間二重結合を有する炭化水素を指す。「オレフィン」という用語は、脂肪族及び芳香族、環状及び非環状、及び/または直鎖状及び分岐状化合物であって、特に断りのない限り、芳香族環または環系の一部ではない少なくとも1つの炭素間二重結合を有する化合物を含み得る。1個のみ、2個のみ、3個のみなどの炭素間二重結合を有するオレフィンは、オレフィンの名前の中に「モノ」、「ジ」、「トリ」などの用語を使用することによって識別され得る。オレフィンは、炭素間二重結合(複数可)の位置によってさらに識別され得る。文脈に応じて、「オレフィン」という用語は、「オレフィンオリゴマー」を指しても、または「オレフィンモノマー」を指してもよい。
【0017】
「オレフィンオリゴマー」とは、「オレフィンモノマー」をオリゴマー化してできたオリゴマーである。例えば、「プロピレンオリゴマー」は、プロピレンモノマーを含むプロピレン組成物のオリゴマー化から製造される。オリゴマー化工程の生成物は通常、炭素数の分布を有する分岐状オレフィンオリゴマーの混合物を含む。モノマーのオリゴマー化から生じたオリゴマー生成物を蒸留、またはその他の方法で分離して、オレフィンオリゴマー生成物を、好ましい炭素の範囲にさらに単離または精製することができる。
【0018】
「アルキル」または関連する用語は、直鎖状、分岐状、環状、または環状、直鎖状及び/または分岐状の組み合わせであり得る、飽和炭化水素基を指す。
【0019】
「ビニリデンに富むプロピレンオリゴマー」は、支配的な数のビニリデン部分を有するプロピレン系オリゴマーを指す。ビニリデン部分を有するオレフィンオリゴマーは、末端二重結合の内部末端部でgem-二置換されたものである。従来通りに調製したプロピレンオリゴマーは、通常、三置換または四置換された内部二重結合(複数可)を有する分子に富む。
【0020】
本明細書で使用する場合、「置換」という用語は、水素基が置換基、例えばアルキル基、芳香族基、へテロ原子またはへテロ原子含有基に置き換えられていることを意味する。
【0021】
要素の組み合わせ、サブセット、グループなど(例えば、組成物中の構成成分の組み合わせ、または方法におけるステップの組み合わせ)の本明細書における開示は、このような要素のすべての個別の及び集合的な組み合わせ及び交換が開示の範囲内に包含されることを意味すると意図される。
【0022】
本発明のプロピレンオリゴマーは、高度に規則的な構造及び高いビニリデン含有量を特徴とし、概して、長い直鎖状骨格鎖と規則的な間隔で置かれるメチル基とを有する主鎖を特色とする。高ビニリデンプロピレンオリゴマーは、ビニリデンオレフィン上にジェミナルな分岐を有して始まる鎖中の1つおきの炭素に分岐を有する、長鎖末端オレフィンである。末端オレフィン炭素から番号をつける場合、分岐は、鎖中の偶数番号の炭素に位置し、最後の3個の炭素は、非置換、または非分岐鎖、または他の方法で主要オリゴマー鎖の規則的な分岐から逸脱するオリゴマー鎖である。
【0023】
概して、プロピレンオリゴマーは、式(I):
CH=CH(CH)-(CH-CH(CH))-CH-CH-CH (I)
式中、nは大まかに0~約1000の範囲である、またはより具体的には、0~約800、もしくは700、もしくは600、もしくは500、もしくは400、もしくは300、もしくは200、もしくは100である、に記載のオリゴマーを含む。数平均分子量の点からは、プロピレンオリゴマーは、通常、約200、250、300、400、500、600、650、700または750~約2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000または10,000の範囲である数平均分子量Mを有する。概して、プロピレンオリゴマーのMは、本明細書にて開示される任意の最小Mから、本明細書にて開示される任意の最大Mの範囲であり得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、高ビニリデンプロピレンオリゴマーは、プロピレンオリゴマーの少なくとも70モル%がビニリデン部分を有するオリゴマー化生成物である。いくつかの実施形態では、プロピレンオリゴマーの少なくとも80モル%、90モル%または95モル%は、ビニリデン部分を有する。オリゴマー化の副産物としては、ビニリデン部分を有しないオリゴマーが挙げられ得る。これらのオリゴマーはまた、場合によっては、末端二重結合において、その他の部分/配置、例えば三置換、四置換、ビニル及び二置換(シスまたはトランス)を含んでもよい。
【0025】
オリゴマー化反応において、プロピレンは主要なオレフィンモノマーであるが、供給源は、異なる炭素原子数を有するオレフィンの混合物、または大部分が単一の炭素原子数を有するオレフィンを有することができる。いくつかの実施形態では、オレフィン供給原料は、少なくとも50重量%、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、または少なくとも95重量%のプロピレンを含んでよい。供給原料オレフィン(複数可)は、1種以上の非オレフィン系炭化水素、例えばアルカンまたは芳香族などを有する混合物におけるオリゴマー化反応に、さらに導入されてもよい。概して、プロピレンオリゴマー組成物は、約50~100重量%のプロピレン及び0~約50重量%の1種以上のコモノマー、または約60~100重量%のプロピレン及び0~約40重量%の1種以上のコモノマー、または約70~100重量%のプロピレン及び0~約30重量%の1種以上のコモノマー、または約80~100重量%のプロピレン及び0~約20重量%の1種以上のコモノマーを含むプロピレンオリゴマーを含む。場合によっては、プロピレンオリゴマーは、少なくとも50重量%、60重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%または95重量%のC12~C70(例えば、C12~C40、C12~C30、C12~C20、C14~C70、C14~C40、C14~C30、C14~C20、C16~C70、C16~C40、C16~C30、C16~C24、C20~C70、C20~C40、C20~C30、またはC20~C24)オリゴマーを含んでよい。また、オリゴマー生成物は、30重量%、25重量%、20重量%、15重量%、10重量%、8重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%または2重量%未満のC70を超えるオリゴマーを含んでよい。本明細書にて開示されるオリゴマー(複数可)の重量%は、プロピレンオリゴマー生成物の総重量に基づく。
【0026】
プロピレンオリゴマーは、約5重量%未満、または約4重量%未満、または約3重量%未満、または約2重量%未満、または約1重量%未満の水素化プロピレンオリゴマーをさらに含む。
【0027】
これに限定されないが、プロピレンモノマーは、石油分解操作から供給され、オリゴマー化反応での使用前に、プロパンからプロピレンを分離することなく使用されてよい。このような分解操作(複数可)は、流動接触分解などの接触分解プロセス、または水蒸気分解もしくはコークス化などの熱分解プロセスを含んでよい。また、分解操作はプロパン脱水素化を含んでもよい。
【0028】
本発明のビニリデンプロピレンオリゴマーは、高い度合いの構造規則性及び高い末端ビニリデン含有量を有し、側鎖の長さ及び/または分岐の制御を可能にし、高い末端ビニリデン基含有量を提供する、好適なシングルサイトメタロセン触媒(複数可)を使用して調製される。異なる方法によるメタロセン触媒を使用して調製されたプロピレンオリゴマーと比較すると、本発明は、高い末端ビニリデン基含有量を導入する能力、及び水素化プロピレンオリゴマーの含有量を低減する能力を予期せず提供する。
【0029】
メタロセンは、通常、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、第4族から第6族の遷移金属、ランタニド金属などを含有する、周知の有機金属分子錯体である。通常、金属は錯体の中心またはその近くにあり、2個の環状アルキルアニオン、例えばシクロペンタジエニル基に配位結合する。メタロセン触媒のより詳細な議論は、米国特許第6,511,568号、同第8,536,391号、及び同第9,732,300号にて見出され得る。
【0030】
概して、有用なメタロセンは、式:
(R-Cp)MX
式中、Rは水素またはヒドロカルビル基であり;Cpはシクロペンタジエニル基であり;Mはジルコニウムまたはハフニウムであり;Xはハロゲンである、に記載の非架橋型錯体である。
【0031】
本明細書に記載のプロピレンオリゴマーの製造方法は、概して、式:
(R-Cp)MX
式中、Rは水素またはヒドロカルビル基であり;Cpはシクロペンタジエニル基であり;Mはジルコニウムまたはハフニウムであり;Xはハロゲンである、に記載の非架橋型メタロセン錯体を、修飾メチル酸化アルミニウム(MMAO)活性剤化合物の存在下及びオリゴマー化条件下で、プロピレン組成物と接触させることを含み;プロピレンオリゴマーを形成し、プロピレンオリゴマーは、約6重量%未満の水素化プロピレンオリゴマー、約200~約10,000の数平均分子量M、及び約70モル%を超えるビニリデン含有量を含む。生成されたオリゴマー生成物は、プロピレンオリゴマーである(すなわち、オレフィンオリゴマーの反復単位は、実質的にすべてプロピレン単位であることができる)。場合によっては、オリゴマーの反復単位は、少なくとも約80モル%、または少なくとも約90モル%、少なくとも95モル%、少なくとも98モル%、または少なくとも99モル%のプロピレン単位を含有することができる。
【0032】
好適なヒドロカルビル基Rは、直鎖または分岐鎖、置換または非置換、飽和または不飽和のC~C30ヒドロカルビル基を含む。概して、シクロペンタジエニル基Cpは非置換または置換されている。当該技術分野において既知のシクロペンタジエニル基は、その使用が本明細書に記載される発明と調和するのであれば、使用してよい。
【0033】
修飾メチル酸化アルミニウム(MMAO)活性剤化合物は、通常、式:[(CH(1-m)AlO]、式中、0.02<m<0.50であり、RはC~C15の直鎖または分岐鎖アルキル基であるMMAO化合物を含む液体溶液である。このような化合物は、化学物質製造業者、例えばSigma-Aldrich、Nouryon Functional Chemicalsなどにより市販されている。これらに限定されないが、有用な修飾メチルアルミノキサン化合物としては、MMAO-20、MMAO-12、MMAO-7、MMAO-21、MMAO-3Aなどと識別及び市販される生成物が挙げられる。このような化合物は、固体としてよりも溶媒溶液として提供される。
【0034】
好適なオリゴマー化条件としては、概して、本明細書に記載のプロピレンオリゴマーを調製することと調和する、当該技術分野において既知の任意の条件が挙げられる。例えば、U.S.9,732,300に記載されているように、オリゴマー化温度は、0℃~165℃の範囲であり得る。場合によっては、オリゴマー化温度は、20℃~160℃、40℃~160℃、または40℃~150℃の範囲であり得る、一方その他の場合では、オリゴマー化温度は、50℃~150℃、50℃~140℃、または50℃~130℃の範囲であり得る。さらに他の場合では、オリゴマー化温度は、60℃~130℃、60℃~120℃、または60℃~90℃、または30℃~130℃、30℃~120℃、または30℃~100℃の範囲であり得る。その他の適切なオリゴマー化温度及び温度範囲は、本開示から容易に明らかとなる。
【0035】
好適な反応圧力(またはプロピレン分圧)としては、概して、本明細書に記載のプロピレンオリゴマーを調製することと調和する、当該技術分野において既知の任意の圧力が挙げられる。例えば、オリゴマー化が実施される反応圧力(またはプロピレン分圧)は、50psig(344kPa)~4,000psig(27.6MPa)、100psig(689kPa)~3,000psig(20.9MPa)、または150psig(1.0MPa)~2500psig(17.2MPa)の範囲であり得る。場合によっては、反応圧力(またはプロピレン分圧)は、200psig(1.4MPa)~2500psig(17.2MPa)、200psig(1.4MPa)~2,000psig(13.8MPa)、250psig(1.4MPa)~2,000psig(1.7MPa)、または250psig(1.5MPa)~1,500psig(10.3MPa)の範囲であり得る。その他の適切な反応圧力(またはプロピレン分圧)は、本開示から容易に明らかとなる。
【0036】
また、オリゴマー化プロセスは、一定量の添加された水素の存在下で実施されてもよい。このような場合、オリゴマー生成物は、水素の存在下で形成されることができる、すなわち、オリゴマー化条件の下でオレフィン原材料(プロピレンを含有する)、触媒システム及び水素を接触させて、オリゴマー生成物を形成することができる。例えば、オリゴマー生成物を、少なくとも1psig(6.9kPa)、5psig(34kPa)、10psig(69kPa)、25psig(172kPa)または50psig(345kPa)の水素分圧で形成することができる、さらにまたはあるいは、オリゴマー生成物を、2000psig(13.8MPa)、1750psig(12.1MPa)、1500psig(10.3MPa)、1250psig(8.6MPa)、1000psig(6.9MPa)、750psig(5.2MPa)、500psig(3.4MPa)または400psig(2.8MPa)の最大水素分圧で形成することができる。概して、水素分圧は、本明細書で開示される任意の最小水素分圧から、本明細書で開示される任意の最大水素分圧に及ぶことができる。したがって、水素分圧の好適な非限定的範囲としては、1psig(6.9kPa)~2000psig(13.8MPa)、1psig(6.9kPa)~1750psig(12.1MPa)、5psig(34kPa)~1500psig(10.3MPa)、5psig(34kPa)~1250psig(8.6MPa)、10psig(69kPa)~1000psig(6.9MPa)、10psig(69kPa)~750psig(5.2MPa)、10psig(69kPa)~500psig(3.5MPa)、25psig(172kPa)~750psig(5.2MPa)、25psig(172kPa)~500psig(3.4MPa)、または50psig(345kPa)~500psig(3.4MPa)の範囲が挙げられ得る。その他の適切な水素分圧は、本開示から容易に明らかとなる。
【0037】
その他の条件では、プロピレンに対する水素のモル比は、概して、0.04以下、または0.03以下、または0.02以下、または0.01以下であってよい。場合によっては、本発明は、プロピレンオリゴマーを調製するために使用されるその他のメタロセン/活性剤システムと比較して、生成される水素化プロピレンオリゴマー生成物の度合いを低減させ、同時にプロピレンオリゴマー生成物へのプロピレン転化率の高い度合いを依然として維持する能力を提供する。例えば、本発明は、0.01の水素:プロピレンモル比で、高いプロピレン転化率(すなわち90%または95%を超える)を可能にし、同時に低量の水素化プロピレンオリゴマー生成物を生成する(すなわち、5重量%未満、または2~3.5重量%の範囲)。これに対して、US9,723,300の固体活性剤/メタロセン触媒システムでは、わずか約50%のプロピレン転化率で、水素化プロピレンオリゴマーの実質的により高い含有量(すなわち、約9重量%)を有するプロピレンオリゴマー生成物が生成された。
【実施例
【0038】
以下の実施例では、本発明によるプロピレンオリゴマーの調製及び比較例のプロピレンオリゴマーの調製の代表的な実施形態を提供する。H NMR分光法を使用して、4.5~4.8ppmの範囲のビニリデンR,R’C=CHの共鳴積分を、4.5~5.9ppmの範囲のC=C-Hのその他のオレフィンの積分と比較して、各共鳴が示すプロトン数について補正することによって、ビニリデン含有量を決定した。それぞれのオレフィンを以下の通り特定する:
4.5~4.8ppm:R,R’C=CH(2個のビニリデンプロトン)
4.8~5.2ppm:RR’C=CHR’’(1個の三置換二重結合プロトン)及びR-CH=CH(2個のビニルプロトン)
5.2~5.6ppm:R-CH=CHR’(二基置換の内部二重結合上の2個のプロトン)
5.6~5.9ppm:R-CH=CH:(ビニル基中の内部炭素上の1個のプロトン)
【0039】
実施例1:US9732300による比較例
トリイソブチルアルミニウム(TIBA)をフッ化シリカアルミナSSA-1と組み合わせて使用したプロピレンオリゴマー化
【0040】
フッ化シリカアルミナ、SSA-1を、US9732300(第28欄65行~第29欄12行)に記載されるように、オルトケイ酸テトラエチルを用いた焼成アルミナの処理によって、これにより形成したシリカコーティングアルミナの焼成及び続くフッ素付加を、初期水分への重フッ化アンモニウム溶液を用いた処理及び600℃の乾燥空気における焼成によって調製した。
【0041】
乾燥無水ヘプタン中でスラリー化したSSA-1粉末1.0グラム、ヘキサン中の1モルTIBA0.56ml、及び0.006モル溶液の二塩化ビス(tert-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム4.5mlを、70重量%のプロピレン及び30重量%のプロパンを含有する無水液体混合物700mlと一緒に、1リットルの撹拌したオートクレーブ反応装置に充填した。7.7ノルマルリットルの水素も添加し、反応装置を70℃に加熱した。一晩(約18時間)反応させた後、オートクレーブを減圧し、内容物を取り出して水で洗浄し、215gのプロピレンオリゴマーを得た。上記オリゴマー中のビニリデン含有量は、H NMR分光法によって、約35モル%であると決定した。
【0042】
実施例2:US8536391による比較例
トリイソブチルアルミニウム(TIBA)をフッ化シリカアルミナSSA-2と組み合わせて使用したプロピレンオリゴマー化
【0043】
フッ化シリカアルミナ、SSA-2を、US8536391(実施例1)に記載されるように、初期水分に対する水溶性重フッ化アンモニウムを用いたシリカアルミナの処理、乾燥及び400℃の乾燥空気中での生成物の焼成によって調製した。
【0044】
乾燥無水ヘプタン中でスラリー化したSSA-2粉末1.0グラム、ヘキサン中の1モルTIBA0.56ml、及び0.006モル溶液の二塩化ビス(tert-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム4.5mlを、70重量%のプロピレン及び30重量%のプロパンを含有する無水液体混合物700mlと一緒に、1リットルの撹拌したオートクレーブ反応装置に充填した。7.7ノルマルリットルの水素も添加し、反応装置を70℃に加熱した。一晩(約18時間)反応させた後、オートクレーブを減圧し、内容物を取り出して水で洗浄し、189gのプロピレンオリゴマーを得た。上記オリゴマー中のビニリデン含有量は、H NMR分光法によって、約21モル%であると決定した。
【0045】
実施例3:本発明による実施例
MMAO-20は、ヘキサン溶液中、7重量%のAl、または1リットル当たり約2.3モルのアルミニウムに相当する濃度で、イソブチル修飾メチル酸化アルミニウムを含有する市販の製品である。
【0046】
2.3モルのMMAO-20溶液1.65ml及び0.006モル溶液の二塩化ビス(tert-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム4.5mlを、70重量%のプロピレン及び30重量%のプロパンを含有する無水液体混合物700mlと一緒に、1リットルの撹拌したオートクレーブ反応装置に充填した。7.7ノルマルリットルの水素も添加し、反応装置を70℃に加熱した。一晩(約18時間)反応させた後、オートクレーブを減圧し、内容物を取り出して水で洗浄し、237gのプロピレンオリゴマー生成物を得た。上記オリゴマー中のビニリデン含有量は、H NMR分光法によって、約91%であると決定した。
【0047】
実施例4:本発明による実施例
2.3モルのMMAO-20溶液1.65ml及び0.006モル溶液の二塩化ビス-(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウム4.5mlを、70重量%のプロピレン及び30重量%のプロパンを含有する無水液体混合物700mlと一緒に、1リットルの撹拌したオートクレーブ反応装置に充填した。7.7ノルマルリットルの水素も添加し、反応装置を70℃に加熱した。一晩(約18時間)反応させた後、オートクレーブを減圧し、内容物を取り出して水で洗浄し、237gのプロピレンオリゴマーを得た。上記オリゴマー中のビニリデン含有量は、H NMR分光法によって、約82モル%であると決定した。
【0048】
実施例5:本発明による実施例
2.3モルのMMAO-20溶液1.65ml及び0.006モル溶液の二塩化ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ハフニウム4.5mlを、70重量%のプロピレン及び30重量%のプロパンを含有する無水液体混合物700mlと一緒に、1リットルの撹拌したオートクレーブ反応装置に充填した。7.7ノルマルリットルの水素も添加し、反応装置を70℃に加熱した。一晩(約18時間)反応させた後、オートクレーブを減圧し、内容物を取り出して水で洗浄し、187gのプロピレンオリゴマーを得た。上記オリゴマー中のビニリデン含有量は、H NMR分光法によって、約84モル%であると決定した。
【0049】
実施例6:本発明による実施例
2.3モルのMMAO-20溶液1.65ml及び0.006モル溶液の二塩化ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム4.5mlを、70重量%のプロピレン及び30重量%のプロパンを含有する無水液体混合物700mlと一緒に、1リットルの撹拌したオートクレーブ反応装置に充填した。7.7ノルマルリットルの水素も添加し、反応装置を70℃に加熱した。一晩(約18時間)反応させた後、オートクレーブを減圧し、内容物を取り出して水で洗浄し、200gのプロピレンオリゴマーを得た。上記オリゴマー中のビニリデン含有量は、H NMR分光法によって、約94モル%であると決定した。
【0050】
実施例7:本発明による実施例
2.3モルのMMAO-20溶液1.65ml及び0.006モル溶液の二塩化ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム4.5mlを、70重量%のプロピレン及び30重量%のプロパンを含有する無水液体混合物700mlと一緒に、1リットルの撹拌したオートクレーブ反応装置に充填した。7.7ノルマルリットルの水素も添加し、反応装置を70℃に加熱した。一晩(約18時間)反応させた後、オートクレーブを減圧し、内容物を取り出して水で洗浄し、230gのプロピレンオリゴマーを得た。上記オリゴマー中のビニリデン含有量は、H NMR分光法によって、約90モル%であると決定した。
【0051】
実施例8:本発明による実施例
2.3モルのMMAO-20溶液1.65ml及び0.006モル溶液の二塩化ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム4.5mlを、70重量%のプロピレン及び30重量%のプロパンを含有する無水液体混合物700mlと一緒に、1リットルの撹拌したオートクレーブ反応装置に充填した。7.7ノルマルリットルの水素も添加し、反応装置を70℃に加熱した。一晩(約18時間)反応させた後、オートクレーブを減圧し、内容物を取り出して水で洗浄し、220gのプロピレンオリゴマーを得た。上記オリゴマー中のビニリデン含有量は、H NMR分光法によって、約89モル%であると決定した。
【0052】
実施例9:本発明による実施例
2.3モルのMMAO-20溶液1.65ml及び0.006モル溶液の二塩化ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム4.5mlを、70重量%のプロピレン及び30重量%のプロパンを含有する無水液体混合物700mlと一緒に、1リットルの撹拌したオートクレーブ反応装置に充填した。7.7ノルマルリットルの水素も添加し、反応装置を70℃に加熱した。一晩(約18時間)反応させた後、オートクレーブを減圧し、内容物を取り出して水で洗浄し、201gのプロピレンオリゴマーを得た。上記オリゴマー中のビニリデン含有量は、H NMR分光法によって、約87モル%であると決定した。
【0053】
本発明の1つ以上の実施形態の上記の説明は、主に例示のためのものであり、変形形態を用いてよく、その上、その変形形態が、本発明の本質に組み込まれることは認識されている。本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本明細書に記載の概念から逸脱することなく様々な変更及び改良がなされ得ることが理解される。相互に排他的な場合を除き、いずれの特徴も個別に、または他の特徴と組み合わせて使用することができ、本開示は、本明細書に記載される1つ以上の特徴のすべての組み合わせ及び部分的組み合わせにまで及び、それらを含む。本発明の範囲を判断する際には、下記の請求項を参照すべきである。
【0054】
米国特許の実施慣行の目的上、及び認められる場合には、その他の特許庁においては、本発明の上記の説明で引用したいずれの特許及び刊行物も、それらに含まれるいずれかの情報が、上記の開示内容と整合し及び/または上記の開示内容を補う限りにおいては、参照により、本明細書に援用される。

【国際調査報告】