(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】平行な構築面をもたらすための枢動する構築プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/245 20170101AFI20240628BHJP
B29C 64/129 20170101ALI20240628BHJP
B29C 64/255 20170101ALI20240628BHJP
B29C 64/232 20170101ALI20240628BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20240628BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240628BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240628BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240628BHJP
【FI】
B29C64/245
B29C64/129
B29C64/255
B29C64/232
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y50/02
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501653
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2022069379
(87)【国際公開番号】W WO2023285417
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェファー、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュタール、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、クリスティアン
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA44
4F213AP01
4F213AR01
4F213AR07
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL06
4F213WL12
4F213WL35
4F213WL72
4F213WL73
4F213WL85
4F213WL92
(57)【要約】
本発明は、3Dプリンタに関し、本3Dプリンタは、固体部品を製作するための液体光反応性樹脂を受容するための少なくとも部分的に透明な底部(1.2)を有するバットと、部品を層ごとにバットら引き離すための構築プラットフォーム(2.1)と、層幾何学形状を透明な底部(1.2)上に投影するためのプロジェクタと、構築プラットフォーム(2.1)をバット内で少なくとも下方又は上方に移動させるための搬送装置と、構築プラットフォーム(2.1)を搬送装置に取り外し可能に接続するための受容装置(2)と、を備える。受容装置(2)は、構築プラットフォーム(2.1)を枢動可能に保持するための枢動デバイス(2.2)を備え、搬送装置によって下降されると構築プラットフォーム(2.1)の下面をバットの透明な底部(1.2)上に平行に当接させるように適応されており、3Dプリンタ(1)には、枢動可能に保持された構築プラットフォーム(2.1)の枢動移動を完全に阻止するための手段は設けられていない。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体部品を生成するための液体光反応性樹脂(1.3)を受容するための少なくとも部分的に透明な底部(1.2)を有するバット(1.1)と、
前記固体部品を層ごとに前記バット(1.1)から引き離すための構築プラットフォーム(2.1)と、
層幾何学形状を前記透明な底部(1.2)上に投影するためのプロジェクタ(1.4)と、
前記構築プラットフォーム(2.1)を前記バット(1.1)内で少なくとも下方及び上方に移動させるための搬送装置(1.5)と、
前記構築プラットフォーム(2.1)を前記搬送装置(1.5)に取り外し可能に接続するための受容装置(2)と、
を備える3Dプリンタ(1)において、
前記受容装置(2)は、前記構築プラットフォーム(2.1)を枢動可能に保持するための枢動デバイス(2.2)を有するとともに、前記搬送装置(1.5)による下降中に前記構築プラットフォーム(2.1)の下面を前記バット(1.1)の前記透明な底部(1.2)に対して平行に当接させるように配置されており、前記3Dプリンタ(1)には、前記枢動可能に保持された構築プラットフォーム(2.1)の枢動移動を完全に阻止するための手段は設けられていないことを特徴とする、3Dプリンタ(1)。
【請求項2】
前記構築プラットフォーム(2.1)の力制御された下降及び上昇のための力測定デバイスを備えることを特徴とする、請求項1に記載の3Dプリンタ(1)。
【請求項3】
請求項1に記載の3Dプリンタと共に使用するための構築プラットフォーム(2.1)を備え、前記構築プラットフォーム(2.1)を前記3Dプリンタ(1)の前記搬送装置(1.5)に取り外し可能に接続するための受容装置(2)において、
前記受容装置(2)が、前記構築プラットフォーム(2.1)を枢動可能に保持するための枢動デバイス(2.2)を更に備えるとともに、前記搬送装置(1.5)によって下降されると前記バット(1.1)の前記透明な底部(1.2)に対して平行に前記構築プラットフォーム(2.1)の下面を当接させるように配置されており、前記受容装置(2)には、前記枢動可能に保持された構築プラットフォーム(2.1)の枢動移動を完全に阻止するための手段は設けられていないことを特徴とする、受容装置(2)。
【請求項4】
前記枢動デバイス(2.2)が、前記構築プラットフォーム(2.1)を保持するための回転ジョイント(2.22)と、前記回転ジョイント(2.22)が接続される受容アーム(2.21)とを備えることを特徴とする、請求項3に記載の受容装置(2)。
【請求項5】
前記構築プラットフォーム(2.1)が、前記枢動デバイス(2.2)に対して軸線から外れて置かれた複数の懸架ばね(2.221)により前記受容装置(2)においてばね支持されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載の受容装置(2)。
【請求項6】
3Dプリンタ(1)を制御する方法において、
枢動可能に保持された構築プラットフォーム(2.1)が、前記構築プラットフォーム(2.1)の下面がバット(1.1)の透明な底部(1.2)に対して平行に当接するまで、好ましくは力制御された方法で下降されることと、
次いで前記構築プラットフォーム(2.1)が上方に移動され、1層分の厚さだけ高く設定されることと、
前記構築プラットフォームの下に非平行の間隙がある場合に、樹脂(1.3)が前記間隙内に位置するところでのみ硬化するように、ここでは1つ又は複数の所定の領域にわたって投影が行われることと、
剥離、上方移動、更に1層分の厚さだけ高くする再設定、及び前記1つ又は複数の所定の領域にわたる投影を繰り返した後に、1つ又は複数のウェッジ(1.8)が前記構築プラットフォーム(2.1)の下に形成され、前記1つ又は複数のウェッジ(1.8)の下面は、前記バット(1.1)の前記透明な底部(1.2)に平行な面を表すことと、
前記1つ又は複数のウェッジ(1.8)の完成後最初に、部品及びその支持構造体の層幾何学形状を層ごとに投影することによって、前記1つ又は複数のウェッジ(1.8)上に前記部品及びその支持構造体を生成することと、
ここにおいて、前記構築プラットフォームが自由に枢動することができるように、前記枢動可能に保持された構築プラットフォーム(2.1)の枢動移動が、3Dプリンティングプロセス中いずれの手段によっても完全に阻止されないこと、
を特徴とする、3Dプリンタ(1)を制御する方法。
【請求項7】
前記1つ又は複数のウェッジ(1.8)の位置は、前記部品の最初の層によって定められることを特徴とする、請求項6に記載の3Dプリンタ(1)を制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願EP21184987.2の内容全体が、PCTの規定に基づき、参照により本国際出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、3Dプリンタに関し、より具体的には、3Dプリンタの部品キャリア又は構築プラットフォームに関する。
【背景技術】
【0003】
DLPプロセスを使用する3Dプリンティングでは、光反応性樹脂が、層ごとに光(通常はUV光)で硬化される。いわゆるボトムアッププロセスでは、プロジェクタが樹脂浴の下方に位置する(
図1参照)。樹脂浴は、層幾何学形状が投影される透明な底部、典型的には箔を有するバット内に位置する。層が硬化された後、構築プラットフォームは上に移動されて、次の層が硬化されるための間隙を形成し、ここにおいて、硬化した層は、バットの底部から剥離される。プリントジョブの開始時に、最初の層が、剥離力があっても構築プラットフォームへのしっかりした接着を確実にするように構築プラットフォームに貼り付けられなければならない。硬化深さはプロセスに起因して制限されるので、透明な底部上の投影面と構築プラットフォームの下面とは、高度な平行性を有していなければならない。2つの面が十分に平行でない場合、プリントジョブの構築プラットフォームへの完全な接着が確実にならず、プリントジョブを実行することができない。
【0004】
平行性は、例えば、各3Dプリントジョブの前に構築プラットフォームを調整することによって達成され得る。各プリントジョブの前に介入がないと、平行性は、とりわけ、構築プラットフォーム及びバット底部の公差に依存する。構築プラットフォーム及びバットは、典型的には、同じタイプの複数の3Dプリンタで使用される。これは、異なるプリンタに変えるときに、それらをプリントジョブの前に再び整列させなければならないことを意味する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、投影面と構築プラットフォーム面との間の平行性を、調整を行うことなく確立することができる3Dプリンタを提供することである。これにより、平行性に関する部品公差を小さくすること、又は各プリントジョブの前の別個の構築プラットフォーム調整プロセスの必要がなくなる。
【0006】
本発明の別の目的は、最初の層の後のプロセス制御によって平行面が生じ得る3Dプリンタを提供することである。
【0007】
これらの目的は、請求項1に記載の3Dプリンタ、及び請求項6に記載の制御方法によって達成される。従属請求項の主題は、更なる展開形態及び好ましい実施形態に関連する。
【0008】
本発明に係る3Dプリンタは、固体部品を製作するための液体光反応性樹脂を受容するための少なくとも部分的に透明な底部を有するバットと、部品を層ごとにバットから引き離すための構築プラットフォームと、層幾何学形状を透明な底部上に投影するためのプロジェクタと、バット内で構築プラットフォームを下方又は上方に移動させるための搬送装置と、構築プラットフォームを搬送装置に取り外し可能に接続するための受容装置と、を備える。本発明に係る受容装置は、構築プラットフォームを枢動可能に保持するための枢動デバイスを有し、搬送装置によって下降されると、構築プラットフォームの下面をバットの透明な底部に対して平行に当接させるように適応されている。本発明によれば、先行技術とは異なり、3Dプリンタ(1)には、枢動可能に保持された構築プラットフォームの枢動移動を完全に阻止するための手段は設けられていない。したがって、3Dプリンティングプロセス全体の間、すなわち使用状態において、構築プラットフォームを自由に枢動可能に保持することができる。
【0009】
本発明の重要な特徴は、平行面が、構築プラットフォームの移動可能な、特に枢動する取り付けによって、及び最初の層の後のプロセス制御によってもたらされることである。
【0010】
本発明の3Dプリンタを制御する方法によれば、構築プラットフォームは、投影面上に平行に位置するまで、好ましくは力制御された方法で下降され、次いで構築プラットフォームは上方に移動され、1層分の厚さだけ高く設定され、投影は、ここでは好ましくは、最大投影可能領域全体以下であり得る1つ又は複数の所定の領域にわたって行われ、構築プラットフォームの下の間隙が平行でない場合、樹脂は、間隙内に位置するところでのみ硬くなり、剥離、上方移動、更に1層分の厚さだけ高くする再設定、及び1つ又は複数の所定の領域にわたる投影を繰り返した後に、1つ又は複数のウェッジが構築プラットフォームの下に形成され、1つ又は複数のウェッジの下面は投影面に平行である。1つ又は複数のウェッジの位置は、部品の最初の層によって定められ得る。1つ又は複数のウェッジの完成後最初に、部品及びその支持構造体が、その層幾何学形状を投影することによって1つ又は複数のウェッジ上に層ごとに形成される。
【0011】
本発明の別の重要な特徴は、構築プラットフォームの下に1つ又は複数のウェッジをもたらすためのプロセス制御により、その下面は投影面に平行であり、3Dプリンティングプロセス中に枢動可能に保持された構築プラットフォームの枢動移動を完全に阻止/固定/拘束するための阻止手段を省くことが可能になることである。これによって、阻止調整を行うことからユーザを解放することができる。これによって、そのような阻止手段のコストを節約することができる。更に、比較的軽量の枢動デバイスを製造することができ、これにより3Dプリンタの操作性及び有用性が向上する。
【0012】
本発明の有利な効果は、投影面に対する構築プラットフォームの平行性の公差を小さくすること、又は各プリントジョブの前の別個の調整プロセスを省くことができることである。
【0013】
好ましい実施形態では、3Dプリンタは、好ましくは、構築プラットフォームの力制御された下降及び上昇のための力測定デバイスを備える。
【0014】
好ましい実施形態では、枢動デバイスは、構築プラットフォームを保持するための回転ジョイントを有する。好ましくは、回転ジョイントはボールジョイントである。代替的に、当業者に既知の、枢動移動を可能にする他の関節ジョイントを使用することができる。明示的な関節ジョイントに加えて、エラストマー要素又はばね状要素を使用して構築プラットフォームを撓み可能に保持することも可能である。
【0015】
好ましい実施形態では、構築プラットフォームは、好ましくは、受容装置内でばね支持されている。
【0016】
好ましい実施形態では、受容装置は、既存の3Dプリンタをレトロフィットするために顧客に別個に提供される独立したスタンドアロンユニットとして提供される。阻止手段をなくすことによって、枢動デバイスの重量、パーツ数、及びサイズを低減することができ、したがって、コストを節約することができ、操作性及び使い勝手の良さを更に向上させることができる。受容装置は、搬送装置に取り外し可能に接続することができる接続デバイス、好ましくは受容アームを有する。接続は、例えば、プラグイン接続、ねじ接続等の形状嵌め及び/又は圧力嵌め接続であり得る。
【0017】
好ましい実施形態では、プロジェクタもまた、焦点面が高さにおいて調整可能であるとともにバットの透明な底部の水平長手方向及び水平横方向において回転可能に調整可能であるように調整可能であり、バットの透明な底部上の投影面の調整が可能になる。
【0018】
以下の説明において、本発明について図面を参照して実施形態を用いて詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】先行技術に係る理想的な3Dプリンタの概略部分図を示す。
【
図2】プリントジョブの初めの
図1の3Dプリンタの概略部分図を示す。
【
図3】投影面と構築プラットフォーム面とが十分な平行性を有していない、先行技術に係る非理想的な3Dプリンタの概略部分図である。
【
図4】本発明の1つの実施形態に係る3Dプリンタの概略部分図を示す。
【
図5】プリントジョブの初めの
図4の3Dプリンタの概略部分図を示し、下降させることによって、構築プラットフォームの底部が投影面と整列されている。
【
図6】最初の層の露光又は硬化中の
図4の3Dプリンタの概略部分図を示し、それにより1つ又は複数のウェッジが硬化される。
【
図7】露光又は硬化中の
図4の3Dプリンタの概略部分図を示し、現在の構築面と投影面との平行性が達成されるまで1つ又は複数のウェッジが増大している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面に示される参照番号は、例示的な実施形態の下記の説明において参照される、以下に挙げる要素を表す。
【符号の説明】
【0021】
1…3Dプリンタ
1.1…バット
1.2…透明な底部
1.3…光反応性樹脂
1.4…プロジェクタ
1.5…搬送装置
1.6…箔
1.7…層
1.8…ウェッジ
2…受容装置
2.1…構築プラットフォーム
2.2…枢動デバイス
2.21…受容アーム
2.22…回転ジョイント
2.221…ばね
2.222…ピン
2.223…孔
【0022】
比較例として、
図1は、先行技術に係る理想的な3Dプリンタの概略部分図を示す。DLPプロセスを使用する3Dプリンティングでは、光反応性樹脂(1.3)が、層ごとに光(通常はUV光)で硬化される。いわゆるボトムアッププロセスでは、プロジェクタ(1.4)がバット(1.1)又は樹脂浴の下方に位置する。樹脂浴は、層幾何学形状が投影される透明な底部(1.2)、好ましくは箔(1.6)を有するバット(1.1)内に位置する。層(1.7)が硬化された後、構築プラットフォーム(2.1)は、搬送装置(1.5)によって上に移動されて、次の層が硬化されるための間隙を形成する。プリントジョブの初めに、最初の層(1.7)が、構築プラットフォーム(2.1)に接着されなければならない(
図2参照)。硬化深さはプロセスに起因して制限されるので、投影面と構築プラットフォーム面とは、高度な平行性を有していなければならない。2つの面が平行でない場合、プリントジョブの構築プラットフォーム(2.1)への完全な接着が確実にならず、プリントジョブを実行することができない(
図3参照)。
【0023】
図4は、本発明の1つの実施形態に係る3Dプリンタの概略部分図を示す。本発明に係る3Dプリンタは、固体部品を製作するための液体光反応性樹脂(1.3)を受容するための少なくとも部分的に透明な底部(1.2)を有するバット(1.1)と、部品を層ごとにバットから引き離すための構築プラットフォーム(2.1)と、層幾何学形状を透明なベース(1.2)上に投影するためのプロジェクタ(1.4)と、バット(1.1)内で構築プラットフォーム(2.1)を下方又は上方に移動させるための搬送装置(1.5)と、構築プラットフォーム(2.1)を搬送装置(1.5)に取り外し可能に接続するための受容装置(2)と、を備える。
図1の比較例とは異なり、本発明に係る受容装置(2)は、構築プラットフォーム(2.1)を枢動可能に保持するための枢動デバイス(2.2)を有し、搬送装置(1.5)によって下降されると、構築プラットフォーム(2.1)の下面をバット(1.1)の透明な底部(1.2)に対して平行に当接させるように適応されている。3Dプリンタは、全体の動作を制御するためのコンピュータ実装制御ユニット(図示せず)を有する。3Dプリンタ(1)には、枢動可能に保持された構築プラットフォーム(2.1)の枢動移動を完全に阻止するための手段は設けられていない。したがって、3Dプリンティングプロセス全体の間、すなわち使用状態において、構築プラットフォーム(2.1)を自由に枢動可能に保持することができる。
【0024】
好ましい実施形態では、3Dプリンタ(1)は、構築プラットフォーム(2.1)の力制御された下降及び上昇のための力測定デバイス(図示せず)を有する。
【0025】
本発明によれば、受容装置(2)は、レトロフィットのために顧客に3Dプリンタ(1)とは別個に提供され得るスタンドアロンユニットである。受容装置(2)は、構築プラットフォーム(2.1)と、構築プラットフォーム(2.1)を枢動可能に保持するための枢動デバイス(2.2)とを備える。受容装置(2)は、3Dプリンタ(1)と共に使用すること、及び構築プラットフォーム(2.1)を3Dプリンタ(1)の搬送装置(1.5)に取り外し可能に接続することに好適である。
【0026】
受容装置(2)の別の好ましい実施形態では、枢動デバイス(2.2)は、構築プラットフォーム(2.1)を保持するための回転ジョイント(2.22)と、回転ジョイント(2.22)が接続される受容アーム(2.21)とを備える。別の好ましい実施形態では、回転ジョイント(2.22)は、ユニバーサルボールジョイント(図示せず)である。別の好ましい代替の実施形態では、構築プラットフォーム(2.1)は、受容アーム(2.21)の孔(2.223)内のピン(2.222)によって支持されており、孔(2.223)は、枢動移動のための十分な余裕を持たせている。
【0027】
更に好ましい実施形態では、構築プラットフォーム(2.1)は、好ましくは、受容装置(2)においてばね支持されている。好ましくは、1つ又は複数のばね(2.221)が、受容アーム(2.21)と構築プラットフォーム(2.1)との間に配置されている。複数の懸架ばね(2.221)が、好ましくは、枢動デバイス(2.2)に対して軸線から外れて置かれている。
【0028】
以下の説明では、1つの実施形態に係る3Dプリンタ(1)の動作について詳述する。
【0029】
図示の実施形態(
図4参照)では、構築プラットフォーム(2.1)は、受容アーム(2.21)に移動可能に、特に枢動可能に接続されている。それは、ばね(2.221)によって(又は重力によっても)、定められた位置に動かされる。構築プラットフォーム(2.1)の下面は、下降されると、投影面と整列する(
図5参照)。最初の層(1.7)を露光又は硬化させるとき、構築プラットフォーム(2.1)の表面と投影面とがそれまで非平行であった場合、構築プラットフォーム(2.1)の1つの側面又は1つの角が最初に持ち上がる。これは、1つ又は複数のウェッジ(1.8)を硬化させる(
図6参照)。1つ又は複数のウェッジ(1.8)は、現在の構築面と投影面の平行性が達成されるまで増大する(
図7参照)。最初の数層の間、投影は、ここでは好ましくは、最大投影可能領域全体以下であり得る1つ又は複数の所定の領域にわたって実行される。この時点から、構築表面上に接合(bond)が確立され得る。
【0030】
本発明はまた、対応するコンピュータ可読コードを用いて制御ユニットによって実行可能なコンピュータ実装3Dプリンタ(1)を制御する方法を提供する。本制御方法によれば、構築プラットフォーム(2.1)は、投影面上に平行に位置するまで下降され、好ましくは力制御され、次いで構築プラットフォーム(2.1)は上方に移動され、1層分の厚さだけ高く設定され、投影は、ここでは好ましくは、最大投影可能領域全体以下であり得る1つ又は複数の所定の領域にわたって行われ、構築プラットフォーム(2.1)の下に非平行の間隙がある場合、樹脂(1.3)は、間隙内に位置するところでのみ硬くなり、剥離、1層分の厚さだけ高くする再設定、及び投影を複数回繰り返した後に、1つ又は複数のウェッジ(1.8)が構築プラットフォーム(2.1)の下に形成され、その下面は投影面に平行な面を表す。3Dプリンティングプロセス全体の間、すなわち使用状態において、構築プラットフォーム(2.1)は、投影面に平行な面が形成されるまで、ウェッジ(1.8)の形成を可能にするために自由に枢動可能に保持され得る。部品及びその支持構造体の主3Dプリンティングプロセスが開始される前に複数回繰り返す回数は、経験的な所定の回数に設定することができる。代替的に、力測定デバイス内の力センサ又は1つ又は複数の光センサが、枢動運動の経過を観測するために使用され得る。搬送装置(1.5)は、構築プラットフォーム(2.1)をバット(1.1)内で垂直及び水平に移動させることができる。
【0031】
好ましい実施形態では、1つ又は複数の所定の領域内の1つ又は複数のウェッジの断面は、生成ステップ、すなわち、主3Dプリンティングプロセスにおいてプリントされる最初の層の幾何学形状に正確に一致する。プリントされる該最初の層は、プリントされる部品及びその支持構造体に属する。1つ又は複数のウェッジ(1.8)の位置は、部品の最初の層によって定められる。しかしながら、代替的に、1つ又は複数のウェッジは、生成ステップにおいてプリントされる最初の層の幾何学形状よりもサイズが大きくてもよい。
【国際調査報告】