IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イドーシア ファーマシューティカルズ リミテッドの特許一覧

特表2024-5246584-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルの合成方法
<>
  • 特表-4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルの合成方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルの合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6558 20060101AFI20240628BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C07F9/6558
A61K31/675
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501708
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 EP2022069238
(87)【国際公開番号】W WO2023285342
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/069486
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517248845
【氏名又は名称】イドルシア・ファーマシューティカルズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IDORSIA PHARMACEUTICALS LTD
【住所又は居所原語表記】HEGENHEIMERMATTWEG 91, 4123 ALLSCHWIL, SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ニコル ブルメール
(72)【発明者】
【氏名】ロマン クラヴォー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン フェイアン
(72)【発明者】
【氏名】リアン ホール
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ヒューズ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン リーバー
【テーマコード(参考)】
4C086
4H050
【Fターム(参考)】
4C086AA03
4C086AA04
4C086DA38
4C086GA13
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA20
4C086ZA40
4C086ZC42
4H050AA02
4H050AA03
4H050AB20
4H050AC50
4H050AC80
4H050AD15
4H050BB16
4H050BB17
4H050BB31
4H050WA13
4H050WA23
(57)【要約】
本発明は、4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル又はその塩酸塩の合成方法;及び4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩の結晶形に関する。
【化1】
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル(「化合物」)又はその塩酸塩の製造方法であって、
【化1】
式(I)の化合物
【化2】
(式中、R及びRは、互いに独立に、(C1-4)アルキルを表す。)
を、有機溶媒及び水を有する混合物中において塩酸塩と反応させる工程を有し、
上記有機溶媒は、アセトン、トルエン、RC(O)OR又はそれらの任意の混合物であり、
は、水素又は(C1-2)アルキルを表し、Rは、水素又は(C1-3)アルキルを表し;
上記水の量が、式(I)の化合物の量に対して12当量未満である;
方法。
【請求項2】
及びRが同じであり、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
及びRがいずれもエチルを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記塩酸塩を、塩酸塩ガスとして前記反応混合物に加えるか、又は、前記塩酸塩が、求電子クロリド源のプロトン性求核剤との反応によりin-situで生成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記塩酸塩が、求電子クロリド源のプロトン性求核剤との反応によりin-situで生成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記塩酸塩が、(C1-3)アルキル-C(O)Clから選択される求電子クロリド源の、水及び(C1-4)アルカノールから選択されるプロトン性求核剤との反応によりin-situで生成される、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記反応混合物に塩酸塩ガスとして加えられるか、又は、求電子クロリド源のプロトン性求核剤との反応によりin-situで生成される前記塩酸塩の量が、式(I)の化合物の量に対して、0.9から5.0当量の間である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記有機溶媒が、RC(O)OR又はその任意の混合物であり、Rは、水素又は(C1-2)アルキルを表し、Rは、水素又は(C1-3)アルキルを表す、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記有機溶媒が酢酸である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記水の量が、式(I)の化合物の量に対して、0.8から2.0当量の間である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記反応が20℃から40℃の間の温度で行われる、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
貧溶媒を前記反応混合物に加え、前記貧溶媒が、アセトン、酢酸エチル又はそれらの任意の混合物から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
結晶形(I)の「化合物」・HClを、アセトンと水の混合物から再結晶化させる工程をさらに有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.7°、5.9°及び12.9°におけるピークの存在により特徴づけられる、4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩の結晶形。
【請求項15】
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.1°、5.7°、5.9°、11.0°及び12.9°におけるピークの存在により特徴づけられる、請求項14に記載の結晶形。
【請求項16】
粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:3.7°、5.1°、5.7°、5.9°、11.0°、12.9°、15.2°、18.3°、20.2°及び21.0°におけるピークの存在により特徴づけられる、請求項14に記載の結晶形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル(4-((R)-2-{[6-((S)-3-methoxy-pyrrolidin-1-yl)-2-phenyl-pyrimidine-4-carbonyl]-amino}-3-phosphono-propionyl)-piperazine-1-carboxylic acid butyl ester)(セラトグレル(selatogrel)としても知られており、以下、「化合物」とも記載する。)又はその塩酸塩の合成方法に;4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩(以下、「化合物」・HClとも記載する。)の結晶形に、及び、医薬として使用するための又は医薬の製造において使用するための「化合物」・HClの結晶形に関する。
【0002】
【化1】
【背景技術】
【0003】
「化合物」の製造及び医学的使用は、WO2009/069100;WO2018/167139;Baldoni Dら、Clin Drug Investig(2014)、34(11)、807-818;Caroff Eら、J.Med.Chem.(2015)、58、9133-9153;Storey R Fら、European Heart Journal、ehz807、doi:10.1093/eurheartj/ehz807;及びSinnaeve P Rら、J Am Coll Cardiol(2020)、75(20)、2588-97(doi.org/10.1016/j.jacc.2020.03.059)に記載されている。
例えば、「化合物」・HClはスキーム1に示す手順に従って製造することができる:化合物3は、T3P又はEDC、HOBt等のカップリング試薬の存在下、ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル又はその塩酸塩の(R)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-プロピオン酸(化合物2)とのアミドカップリングにより得ることができる。化合物3中のアミノ保護基は、DCM中TFA又は
ジオキサン中HCl等の適切な酸性条件下で除くことができ、4-[(R)-2-アミノ-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-プロピオニル]-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル(化合物4)を与える。化合物4は、EDC、HOBt等のカップリング試薬の存在下、(S)-6-(3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボン酸ナトリウム塩(化合物6)とカップリングすることができ、化合物7を与える。化合物6は、例えば、(S)-6-(3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボニトリル(化合物5)を、2-プロパノール等の溶媒中で、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基でけん化することにより得ることができる。
【0004】
【化2】
【0005】
「化合物」は、例えば、4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル(化合物7)から、アセトニトリル中においてTMSBrで処理し、逆相のカラムクロマトグラフィーで精製することにより製造することができる(Caroff Eら、J.Med.Chem.(2015)、58、9133-9153)。この方法は、脱保護に高価なTMSBrを大量に使用し、カラムクロマトグラフィーによる精製工程を行うため、大量合成には不利である。これらの欠点は、DCM/THF混合物中において濃塩酸で4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-
ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルを脱保護して「化合物」・HClを製造し、得られた生成物をWO2018/055016に記載のように結晶化することにより克服することができる。たとえこの方法が大量合成により適していたとしても、これらの反応条件下では、「化合物」がかなりの程度加水分解を受け、(R)-2-(6-((S)-3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボキサミド)-3-ホスホノプロパン酸(以下、「加水分解生成物」とも記載する。)となることが見出された。例えば、4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルのDCM(4vol)及び32%w/w HCl水溶液(3.6vol)中の溶液は、RTにて4時間撹拌した後、HPLCで分析すると、2.8%a/aの「加水分解生成物」と93.5%a/aの「化合物」・HClの混合物となる。20時間後、上記混合物中の「加水分解生成物」の量は15.2%a/aにさらに増大する。従って、濃塩酸中における脱保護は、所望の生成物の急速な分解という欠点を有し、より徹底した精製を必要とし、収率の低下を引き起こす。
【0006】
驚くべきことに、触媒量の水のみを含む特定の有機溶媒中で塩酸塩を用いてこの反応を行うと、副生成物である(R)-2-(6-((S)-3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボキサミド)-3-ホスホノプロパン酸の量が顕著に減少し、「化合物」・HClがより高収率及び良好な反応速度で得られることが見出された。この反応は、(例えば、ヘプタン、アセトニトリル、2-メチル-テトラヒドロフラン又はエタノール等の溶媒中でHClを用いると)非常に遅く及び/又は大量の副生成物を生じさせるが、トルエン、アセトン、カルボン酸エステル、特にカルボン酸(例えば酢酸)中でHClを用いると驚くべきほど良好な結果を与える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、結晶形(I)の「化合物」・HClの粉末X線回折ダイアグラムを示し、上記粉末X線回折ダイアグラムは実験の項に記載したXRPD法を用いて測定され、Cu Kα照射に対して示す。上記X線回折ダイアグラムは、示した屈折角2シータにおける、ダイアグラムにおける最も強いピークと比較して、下記のパーセンテージの相対強度を有するピークを示す(相対的ピーク強度を括弧内に記載する。)(3-28°の範囲の2シータからの、10%より大きな相対強度を有する選択したピークを報告する。):3.7°(12%)、5.1°(50%)、5.7°(93%)、5.9°(100%)、10.2°(17%)、10.4°(16%)、10.7°(25%)、11.0°(20%)、12.9°(28%)、14.7°(13%)、15.2°(32%)、15.4°(26%)、18.0°(26%)、18.3°(23%)、18.8°(26%)、19.4°(21%)、19.6°(31%)、20.2°(58%)、21.0°(54%)、21.3°(49%)、22.2°(45%)、22.6°(33%)、25.2°(40%)及び26.4°(18%)。
【0008】
図1のX線回折ダイアグラムにおいては、屈折角2シータ(2θ)を横軸に、カウントを縦軸にプロットする。
【0009】
いかなる疑義をも避けるために、上記のピークは、図1に示す粉末X線回折の実験結果を記述する。上記のピークのリストとは対照的に、本発明の各結晶形の「化合物」・HClを完全に及び明確に特徴づけるためには、選択された特徴的なピークのみが必要であることが理解されるべきである。
【発明の概要】
【0010】
本発明の記述
以下に本発明を記述し、本発明の種々の態様を記載する。
1) 第1の態様において、本発明は、4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル(「化合物」)又はその塩酸塩(「化合物」・HCl)の製造方法に関し、
【0011】
【化3】
【0012】
当該方法は、式(I)の化合物
【0013】
【化4】
【0014】
(式中、R及びRは、互いに独立に、(C1-4)アルキルを表す。)
を、有機溶媒及び水を有する混合物中において塩酸塩と反応させる工程を有し、
上記有機溶媒は、アセトン、トルエン、RC(O)OR又はそれらの任意の混合物であり、Rは、水素又は(C1-2)アルキルを表し、Rは、水素又は(C1-3)アルキルを表し;
上記水の量は、式(I)の化合物の量に対して12当量未満である。
【0015】
ここに記載される定義は、特段の定義によってより広い又はより狭い定義が与えられな
い限り、本明細書及び請求項を通じて一律に適用される。当然ながら、ある用語の定義又は好ましい定義が、ここに定義されるいずれか又は他のすべての用語のいずれか又は好ましい定義とは独立して(及びそれらと共に)、それぞれの用語を定義し置き換えるものであってよい。
【0016】
上記反応において必要とされる塩酸塩は、塩酸塩の任意の適切な供給源に由来するものであってよいものとし、上記供給源は、上記反応混合物中の水の量を、式(I)の化合物の量に対して12当量又はそれ以上に増大させない。例えば、上記塩酸塩は、上記反応混合物に、塩酸塩ガスとして又は溶媒中の溶液として加えてよく、上記溶媒は、有機溶媒(例:ジオキサン、エタノール及びイソプロパノール、特にジオキサン)又は水(特に、水溶液、とりわけ濃縮された水溶液)であり;又は、求電子クロリド源(electrophilic chloride source)(すなわち、求核剤との反応においてクロリドを放出する化合物)のプロトン性求核剤(protic nucleophile)(すなわち、水素原子に結合したヘテロ原子を有する官能基を有する化合物であり、上記ヘテロ原子は1又は2以上の自由電子対を有する。)との反応によりin-situで生成されてもよい。求電子クロリド源の例は、カルボン酸塩化物(特に(C1-3)アルキル-C(O)Cl、とりわけCHC(O)Cl)、SOCl、POCl、PCl及びPCl;好ましくは、カルボン酸塩化物(特に(C1-3)アルキル-C(O)Cl、とりわけCHC(O)Cl)である。プロトン性求核剤の例は、水、アルカノール(特に(C1-4)アルカノール、とりわけエタノール)、アミン(特に(C1-3)アルキル-NH及び((C1-3)アルキル)-NH)及びチオール(特に(C1-4)アルキル-SH)であり;好ましくは、水及びアルカノール(特に(C1-4)アルカノール、とりわけエタノール)であり;最も好ましくはエタノールである。求電子クロリド源とプロトン性求核剤の好ましい組み合わせは、カルボン酸塩化物とアルカノール(特に、(C1-3)アルキル-C(O)Clと(C1-4)アルカノール、とりわけ、CHC(O)Clとエタノール)である。さらに、カルボン酸無水物(特に((C1-3)アルキル-C(O))O、とりわけ(CHC(O))O)の塩酸塩水溶液との反応は、低い水含量で(例えば12当量未満の水含量)、反応混合物中に塩酸塩を生成させるために使用することができることが理解されるべきである。「求電子クロリド源とプロトン性求核剤との反応によりin-situで生成」の文脈において、「in-situ」という用語は、求電子クロリド源をプロトン性求核剤を有する反応混合物に加えること、又は、プロトン性求核剤を求電子クロリド源を有する反応混合物に加えることのいずれかにより、塩酸塩が反応混合物中に生成されることを意味する。
【0017】
「上記有機溶媒は、アセトン、トルエン、RC(O)OR又はそれらの任意の混合物である」という文言は、上記有機溶媒が、アセトン、トルエン、RC(O)OR、1種を超える(特に2又は3種、とりわけ2種の)異なるRC(O)OR(RC(O)ORは、R、Rのいずれか、又は、RとRの両方において異なる。)の混合物、又は、アセトン、トルエン及び1又は2種以上の(特に、1、2又は3種、とりわけ1又は2種の)RC(O)OR(RC(O)ORは、該当する場合には、R、Rのいずれか、又は、RとRの両方において異なる。)の任意の混合物であることを意味する。上記有機溶媒が混合物である場合には、上記有機溶媒は、1種を超える(特に2又は3種、とりわけ2種の)異なるRC(O)OR(RC(O)ORは、R、Rのいずれか、又は、RとRの両方において異なる。)の混合物であることが好ましい。好ましい有機溶媒は、RC(O)OR及び2種の異なるRC(O)OR(RC(O)ORは、R、Rのいずれか、又は、RとRの両方において異なる。)の混合物であり;より好ましくは、CHC(O)OH及びCHC(O)OHとCHC(O)OEtの混合物であり;最も好ましくはCHC(O)OH(酢酸)である。
【0018】
「第1の化合物の量は、第2の化合物の量に対して「X」当量である。」の文脈において使用される「当量」という用語は、ある混合物が、(分子の数に関する任意の単位で)「X」倍の量の第1の化合物を、(同じ単位で表された)第2の化合物の量に対して含んでいることを意味する。例えば、「当量」という用語は、「上記水の量は、式(I)の化合物の量に対して、12当量未満(あるいは、値「x」当量から値「y」当量の間)である」という文脈において、上記反応混合物が、記載された範囲の当量における水の(分子の数に関する任意の単位での)量を、(同じ単位で表された)式(I)の化合物の量に対して含んでいることを意味する。例えば、上記反応混合物中の水の量が、式(I)の化合物の量に対して12当量未満であると定義される場合、これは、上記反応混合物中における水と式(I)の化合物のモル比が12対1未満であることを意味し;上記反応混合物中の水の量が、式(I)の化合物の量に対して0.5から3.0当量の間であると定義される場合、これは、上記反応混合物中における水と式(I)の化合物のモル比が、1対2、3対1又はその間の任意の値であることを意味する。
【0019】
好ましくは、水の量は、式(I)の化合物の量に対して、0.2から9.5当量の間(より好ましくは0.5から3.0当量の間、最も好ましくは0.5から2.0当量の間)である。水の量は、上記反応混合物中に存在する水の総量、すなわち、加えた水の量に、試薬、溶媒、反応容器及び水の他の供給源中に存在する水の量を合わせたものを意味するものとする。
温度に関して使用されていない場合には、数値「X」の前に置かれる「約」という用語は、本出願において、X-Xの10%からX+Xの10%にわたる間、特にX-Xの5%からX+Xの5%にわたる間、とりわけX-Xの2%からX+Xの2%にわたる間を意味する。温度の特定の場合には、温度「Y」の前に置かれる「約」という用語は、この出願において、温度Y-10℃からY+10℃にわたる間、特にY-5℃からY+5℃にわたる間、とりわけY-3℃からY+3℃にわたる間を意味する。室温は約25℃の温度を意味する。
【0020】
数値範囲を記述するために「間」又は「から(~)」の語が使用される場合は常に、示された範囲の末端の点は明示的にその範囲に含まれるものとする。例えば:温度範囲が40℃から80℃の間(又は40℃から(~)80℃)であると記述される場合、末端の点である40℃と80℃はその範囲に含まれることを意味し;あるいは、可変数が1から4の間(又は1から(~)4)の整数であると定義される場合、可変数は整数の1、2、3又は4であることを意味する。
【0021】
%w/wという表現は、考慮している組成物の総重量に対する重量百分率を意味する。同様に、v/vという表現は、考慮している2つの成分の体積比を意味する。
【0022】
「アルキル」という用語は、単独で使用される場合も、組み合わせて使用される場合も、1~4個の炭素原子を有する、直鎖の又は分枝した飽和炭化水素鎖を意味する。「(Cx-y)アルキル」(x及びyは、それぞれ整数である。)という用語は、x~y個の炭素原子を有する、先に定義したアルキル基を意味する。例えば、(C1-4)アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する。(C1-4)アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec.-ブチル及びtert.-ブチルである。(C1-3)アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル及びイソ-プロピルである。(C1-2)アルキル基の例は、メチル及びエチルである。「R」が「(C1-4)アルキル」基を表す場合には、「(C1-4)アルキル」という用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec.-ブチル及びtert.-ブチル、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピル、最も好ましくはエチルを意味する。「R」が「(C1-4)アルキル」基を表す場合には、「(C1-4)アルキル」という用語は、メチル、エチル、n-プロピル
、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec.-ブチル及びtert.-ブチル、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピル、最も好ましくはエチルを意味する。「R」が「(C1-2)アルキル」基を表す場合には、「(C1-2)アルキル」という用語は、メチル及びエチル、好ましくはメチルを意味する。「R」が「(C1-3)アルキル」基を表す場合には、「(C1-3)アルキル」という用語は、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピル、好ましくは、メチル及びエチル、最も好ましくはエチルを表す。
【0023】
「(C1-3)アルキル-C(O)Cl」という用語は、単独で使用される場合も、組み合わせて使用される場合も、炭素原子を介して-C(O)Cl基に結合する、1~3個の炭素原子を有する、先に定義したアルキル基を意味する。当該基の例は、塩化アセチル(CHC(O)Cl)、塩化プロピオニル(CHCHC(O)Cl)、塩化ブチリル(CHCHCHC(O)Cl)及び塩化イソブチリル(CHCHC(O)Cl)である。好ましくは、塩化アセチル(CHC(O)Cl)及び塩化プロピオニル(CHCHC(O)Cl)であり、最も好ましくは塩化アセチル(CHC(O)Cl)である。
【0024】
「((C1-3)アルキル-C(O))O」という用語は、単独で使用される場合も、組み合わせて使用される場合も、両方の水素原子が、独立に、(C1-3)アルキル-カルボニル-基((C1-3)アルキル-C(O)-)で置き換えられた水(HO)を意味し、上記(C1-3)アルキル-基は先に定義した通りである。((C1-3)アルキル-C(O))O基の例は、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸及び無水イソ酪酸である。好ましくは無水酢酸である。
【0025】
「(C1-4)アルカノール」という用語は、単独で使用される場合も、組み合わせて使用される場合も、1~4個の炭素原子を有し、1個の水素原子がヒドロキシで置き換えられた、直鎖の又は分枝したアルカンを意味する。当該基の例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec.-ブタノール及びtert.-ブタノールである。好ましくは、メタノール、エタノール及びイソプロパノールであり、最も好ましくはエタノールである。
【0026】
「(C1-4)アルキル-SH」という用語は、単独で使用される場合も、組み合わせて使用される場合も、1~4個の炭素原子を有し、1個の水素原子がスルファニル基(-SH)で置き換えられた、直鎖の又は分枝したアルカンを意味する。当該基の例は、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、イソプロパンチオール、ブタンチオール、イソブタンチオール、sec.-ブタンチオール及びtert.-ブタンチオールである。
【0027】
「(C1-3)アルキル-NH」という用語は、単独で使用される場合も、組み合わせて使用される場合も、1個の水素原子が、先に定義した(C1-3)アルキル基で置き換えられたアンモニア(NH)を意味する。当該基の例は、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ及びイソプロピルアミノである。
【0028】
「((C1-3)アルキル)-NH」という用語は、単独で使用される場合も、組み合わせて使用される場合も、2個の水素原子が、独立に、先に定義した(C1-3)アルキル基で置き換えられたアンモニア(NH)を意味し、上記2個のアルキル基は同じであっても異なっていてもよい。当該基の例は、ジメチルアミノ、メチル-エチルアミノ、メチル-n-プロピルアミノ、メチル-イソプロピルアミノ、ジエチルアミノ、エチル-n-プロピルアミノ、エチル-イソプロピルアミノ、ジ-n-プロピルアミノ、n-プロピル-イソプロピルアミノ及びジ-イソプロピルアミノである。
【0029】
2) さらなる態様は、4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩(「化合物」・HCl)の製造方法である、態様1)に従う方法に関する。
【0030】
3) さらなる態様は、Rが、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルを表す、態様1)又は2)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0031】
4) さらなる態様は、Rが、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルを表す、態様1)~3)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0032】
5) さらなる態様は、R及びRが同じであり、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルを表す、態様1)又は2)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0033】
6) さらなる態様は、R及びRがいずれもエチルを表す、態様1)又は2)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0034】
7) さらなる態様は、前記塩酸塩を、塩酸塩ガスとして前記反応混合物に加えるか、又は、前記塩酸塩が、求電子クロリド源のプロトン性求核剤との反応によりin-situで生成される、態様1)~6)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0035】
8) さらなる態様は、前記塩酸塩が、求電子クロリド源のプロトン性求核剤との反応によりin-situで生成される、態様1)~6)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0036】
9) さらなる態様は、前記求電子クロリド源が、カルボン酸塩化物(特に、(C1-3)アルキル-C(O)Cl)、SOCl、POCl、PCl及びPClから選択される、態様7)又は8)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0037】
10) さらなる態様は、前記求電子クロリド源が(C1-3)アルキル-C(O)Clから選択される、態様7)又は8)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0038】
11) さらなる態様は、前記求電子クロリド源が塩化アセチル(CHC(O)Cl)である、態様7)又は8)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0039】
12) さらなる態様は、前記プロトン性求核剤が、水、アルカノール(特に(C1-4)アルカノール)、アミン(特に(C1-3)アルキル-NH)及びチオール(特に(C1-4)アルキル-SH)から選択される、態様7)~11)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0040】
13) さらなる態様は、前記プロトン性求核剤が、水及び(C1-4)アルカノール(特にエタノール)から選択される、態様7)~11)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0041】
14) さらなる態様は、前記プロトン性求核剤が(C1-4)アルカノール(特にエタノール)から選択される、態様7)~11)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0042】
15) さらなる態様は、前記塩酸塩が、(C1-3)アルキル-C(O)Clから選択される求電子クロリド源の、水及び(C1-4)アルカノール(特に(C1-4)アル
カノール)から選択されるプロトン性求核剤との反応により、in-situで生成される、態様7)又は8)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0043】
16) さらなる態様は、前記塩酸塩が、塩化アセチル(CHC(O)Cl)のエタノールとの反応によりin-situで生成される、態様7)又は8)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0044】
17) さらなる態様は、前記求電子クロリド源(特に(C1-3)アルキル-C(O)Cl、とりわけCHC(O)Cl)の量が、式(I)の化合物の量に対して、0.5から20当量の間である、態様7)~16)のいずれか1つに従う方法に関する。前記求電子クロリド源の下限は、0.5、0.8、0.9及び1.0当量であり、上限は、20、10、5.0、3.0及び2.0当量である。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0045】
18) さらなる態様は、前記求電子クロリド源(特に(C1-3)アルキル-C(O)Cl、とりわけCHC(O)Cl)の量が、式(I)の化合物の量に対して、0.9から5.0当量(特に1.0から3.0当量)の間である、態様7)~16)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0046】
19) さらなる態様は、前記求電子クロリド源(特に(C1-3)アルキル-C(O)Cl、とりわけCHC(O)Cl)の量が、式(I)の化合物の量に対して、1.0から2.0当量の間(特に、約1.5当量)である、態様7)~16)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0047】
20) さらなる態様は、前記プロトン性求核剤(特に、水及び(C1-4)アルカノール、とりわけエタノール)の量が、前記求電子クロリド源の量に対して、1.0から10当量の間である、態様7)~19)のいずれか1つに従う方法に関する。前記プロトン性求核剤の下限は、1.0、1.2、1.4及び1.5当量であり、上限は、10、5.0、2.5及び2.0当量である。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0048】
21) さらなる態様は、前記プロトン性求核剤(特に、水及び(C1-4)アルカノール、とりわけエタノール)の量が、前記求電子クロリド源の量に対して、1.2から5.0当量の間(特に1.4から2.5当量の間)である、態様7)~19)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0049】
22) さらなる態様は、前記プロトン性求核剤(特に、水及び(C1-4)アルカノール、とりわけエタノール)の量が、前記求電子クロリド源の量に対して、1.5から2.0当量の間(特に、約1.67当量)である、態様7)~19)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0050】
23) さらなる態様は、前記塩酸塩が、((C1-3)アルキル-C(O))O(特に無水酢酸)の塩酸塩の水溶液との反応によりin-situで生成される、態様1)~6)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0051】
24) さらなる態様は、前記塩酸塩が前記反応混合物に塩酸塩ガスとして加えられる、態様7)に従う方法に関する。
【0052】
25) さらなる態様は、前記反応混合物に塩酸塩ガスとして加えられる;又は、求電
子クロリド源のプロトン性求核剤との反応によりin-situで生成される;又は、((C1-3)アルキル-C(O))Oの塩酸塩の水溶液との反応によりin-situで生成される;前記塩酸塩の量が、式(I)の化合物の量に対して、0.5から20当量の間である、態様1)~16)、23)又は24)のいずれか1つに従う方法に関する。前記塩酸塩の量の下限は、0.5、0.8、0.9及び1.0当量であり、上限は、20、10、5.0、3.0及び2.0当量である。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0053】
26) さらなる態様は、前記反応混合物に塩酸塩ガスとして加えられる;又は、求電子クロリド源のプロトン性求核剤との反応によりin-situで生成される;前記塩酸塩の量が、式(I)の化合物の量に対して、0.9から5.0当量の間(特に1.0から3.0当量の間)である、態様1)~16)又は24)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0054】
27) さらなる態様は、前記反応混合物に塩酸塩ガスとして加えられる;又は、求電子クロリド源のプロトン性求核剤との反応によりin-situで生成される;前記塩酸塩の量が、式(I)の化合物の量に対して、1.0から2.0当量の間(特に、約1.5当量)である、態様1)~16)又は24)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0055】
28) さらなる態様は、前記有機溶媒が、トルエン、RC(O)OR又はそれらの任意の混合物であり、Rは、水素又は(C1-2)アルキルを表し、Rは、水素又は(C1-3)アルキルを表す、態様1)~27)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0056】
29) さらなる態様は、前記有機溶媒が、RC(O)OR又はその任意の混合物であり、Rは、水素又は(C1-2)アルキルを表し、Rは、水素又は(C1-3)アルキルを表す、態様1)~27)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0057】
30) さらなる態様は、Rが、水素又はメチル(特にメチル)を表す、態様1)~29)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0058】
31) さらなる態様は、Rが、水素、メチル又はエチル(特に水素)を表す、態様1)~30)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0059】
32) さらなる態様は、前記有機溶媒が、酢酸(CHC(O)OH)、酢酸メチル(CHC(O)OMe)又は酢酸エチル(CHC(O)OEt)又はそれらの任意の混合物である、態様1)~27)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0060】
33) さらなる態様は、前記有機溶媒が酢酸(CHC(O)OH)である、態様1)~27)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0061】
34) さらなる態様は、前記有機溶媒の体積が、式(I)の化合物のキログラム当たり、1.5から20リットルの間である、態様1)~33)のいずれか1つに従う方法に関する。前記有機溶媒の体積の下限は、式(I)の化合物のキログラム当たり、1.5、2.0、2.5及び2.8リットルであり、上限は、式(I)の化合物のキログラム当たり、20、10、5.0及び3.3リットルである。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0062】
35) さらなる態様は、前記有機溶媒の体積が、式(I)の化合物のキログラム当た
り、2.0から10リットルの間(特に2.5から5.0リットルの間)である、態様1)~33)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0063】
36) さらなる態様は、前記有機溶媒の体積が、式(I)の化合物のキログラム当たり、2.5から3.3リットル(特に、約2.9リットル)である、態様1)~33)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0064】
37) さらなる態様は、前記有機溶媒中における式(I)の化合物の濃度が20から30%w/wの間(特に、約25%w/w)である、態様1)~33)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0065】
38) さらなる態様は、前記水の量が、式(I)の化合物の量に対して、0.2から9.5当量の間である、態様1)~37)のいずれか1つに従う方法に関する。前記水の量の下限は、0.2、0.3、0.5及び0.8当量であり、上限は、9.5、5.0、3.0及び2.0当量である。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0066】
39) さらなる態様は、前記水の量が、式(I)の化合物の量に対して、0.3から5.0当量の間(特に0.5から3.0当量の間)である、態様1)~37)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0067】
40) さらなる態様は、前記水の量が、式(I)の化合物の量に対して、0.5から2.0当量の間(特に0.8から2.0当量の間)である、態様1)~37)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0068】
41) さらなる態様は、式(I)の化合物
【0069】
【化5】
【0070】
(式中、R及びRは同じであり、メチル又はエチルを表す。)
を、有機溶媒及び水を有する混合物中において塩酸塩と反応させる工程を有し;
上記塩酸塩が、塩酸塩ガスとして、式(I)の化合物の量に対して、1.0から3.0当量の間の(特に1.0から2.0当量の間の)量で、上記反応混合物に加えられ;
上記有機溶媒が、酢酸、酢酸メチル(CHC(O)OMe)又は酢酸エチル(CH
(O)OEt)又はそれらの任意の混合物(特に酢酸)であり、上記有機溶媒中における式(I)の化合物の濃度が10から40%w/wの間(特に20から30%w/wの間)であり;
上記水の量が、式(I)の化合物の量に対して、0.3から5.0当量の間(特に0.5から3.0当量の間)である;
態様1)又は2)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0071】
42) さらなる態様は、式(I)の化合物
【0072】
【化6】
【0073】
(式中、R及びRは同じであり、メチル又はエチルを表す。)
を、有機溶媒及び水を有する混合物中において塩酸塩と反応させる工程を有し;
上記塩酸塩が、(C1-3)アルキル-C(O)Cl(特に、CHC(O)Cl)と(C1-4)アルカノール(特にエタノール)の反応によりin-situで生成され、
in-situで生成される上記塩酸塩の量が、式(I)の化合物の量に対して、1.0から3.0当量の間(特に1.0から2.0当量の間)であり;
上記有機溶媒が、酢酸、酢酸メチル(CHC(O)OMe)又は酢酸エチル(CHC(O)OEt)又はそれらの任意の混合物(特に酢酸)であり、上記有機溶媒中における式(I)の化合物の濃度が10から40%w/wの間(特に20から30%w/wの間)であり;
上記水の量が、式(I)の化合物の量に対して、0.3から5.0当量の間(特に0.5から3.0当量の間)である;
態様1)又は2)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0074】
43) さらなる態様は、R及びRが同じであり、エチルを表す、態様41)又は42)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0075】
44) さらなる態様は、前記有機溶媒が酢酸であり、前記有機溶媒中における式(I)の化合物の濃度が、20から30%w/wの間である、態様41)~43)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0076】
45) さらなる態様は、前記有機溶媒中における式(I)の化合物の濃度が約25%w/wである、態様41)~44)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0077】
46) さらなる態様は、前記水の量が、式(I)の化合物の量に対して、0.8から2.0当量の間である、態様41)~45)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0078】
47) さらなる態様は、前記反応が20℃から40℃の間の温度で行われる、態様1)~46)のいずれか1つに従う方法に関する。上記反応温度の下限は、20℃、23℃、25℃及び27℃であり、上限は、40℃、37℃、35℃及び33℃である。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0079】
48) さらなる態様は、前記反応が25℃から35℃の間の(特に27℃から33℃の間の)温度で行われる、態様1)~46)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0080】
49) さらなる態様は、前記反応混合物を、少なくとも3時間(特に約4時間)の撹拌時間の間撹拌した後に、「化合物」・HClのシードクリスタル(seeding crystals)で処理する、態様1)~48)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0081】
「撹拌時間」という用語は、最後の試薬/反応物質を前記反応混合物に加えた後から、前記シードクリスタルを加えるまでの時間を意味する。好ましくは、撹拌時間は、3時間から8時間の間、より好ましくは3.5時間から5時間の間、最も好ましくは約4時間である。
【0082】
好ましくは、「化合物」・HClの前記シードクリスタルは、WO2018/055016に記載の結晶形2又は本明細書に記載の結晶形(I)である。
【0083】
50) さらなる態様は、「化合物」・HClの前記シードクリスタルが、WO2018/055016に記載の結晶形2である、態様49)に従う方法に関する。
【0084】
結晶形2のシードクリスタルは、例えば、WO2018/055016に記載の方法から、又は、本明細書に記載の方法から得てよい。
【0085】
シードクリスタルは、internal seeding、すなわち、反応混合物から試料を除き、この試料に貧溶媒(anti-solvent)(特に酢酸エチル)を加え、得られた懸濁液を反応混合物に再添加することにより得てもよい。好ましくは、試料1グラム当たり2.0~4.0mL(最も好ましくは約2.5mL)の酢酸エチルを試料に加える。
【0086】
51) さらなる態様は、前記シードクリスタルの量が、式(I)の化合物の量に対して、0.1%w/wから2.0%w/wの間である、態様49)又は50)のいずれか1つに従う方法に関する。シードクリスタルの量の下限は、0.1、0.2及び0.3%w/wであり、上限は、2.0、1.0及び0.6%w/wである。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0087】
52) さらなる態様は、前記シードクリスタルの量が、式(I)の化合物の量に対して、0.1%w/wから1.0%w/wの間(特に0.1%w/wから0.6%w/wの間)である、態様49)又は50)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0088】
53) さらなる態様は、前記シードクリスタルの量が、式(I)の化合物の量に対して、0.2%w/wから0.6%w/wの間である、態様49)又は50)のいずれか1
つに従う方法に関する。
【0089】
54) さらなる態様は、貧溶媒を前記反応混合物に加え、前記貧溶媒が、トルエン、アセトン、酢酸エチル(特に、アセトン又は酢酸エチル)又はそれらの任意の混合物から選択される、態様1)~53)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0090】
55) さらなる態様は、前記貧溶媒が酢酸エチルである、態様54)に従う方法に関する。
【0091】
56) さらなる態様は、加える貧溶媒(特に酢酸エチル)の体積が、式(I)の化合物のキログラム当たり、3.0から15リットルの間である、態様54)又は55)のいずれか1つに従う方法に関する。前記貧溶媒の体積の下限は、式(I)の化合物のキログラム当たり、3.0、3.5、4.0及び4.5リットルであり、上限は、式(I)の化合物のキログラム当たり、15、10、7.0及び6.0リットルである。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0092】
57) さらなる態様は、加える貧溶媒(特に酢酸エチル)の体積が、式(I)の化合物のキログラム当たり、3.5から7.0リットルの間である、態様54)又は55)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0093】
58) さらなる態様は、加える酢酸エチル(貧溶媒)の体積が、式(I)の化合物のキログラム当たり、4.0から6.0リットルの間(特に約5.0リットル)である、態様54)又は55)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0094】
59) さらなる態様は、前記貧溶媒を、1時間から5時間以内に(特に1.5時間から3時間以内に)前記反応混合物に加える、態様1)~58)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0095】
60) さらなる態様は、得られた沈殿物をろ過し、乾燥して(又は、ろ過し、貧溶媒(特に酢酸エチル)で洗浄し、乾燥して)、固体形態の「化合物」・HCl(以下、沈殿「化合物」・HClとも記載する。)を得る、態様1)~59)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0096】
酢酸(約3vol)中、水(約2当量)の存在下、約30℃にて、式(I)の化合物を塩化アセチル(CHC(O)Cl、約1.5当量)及びエタノール(約2.5当量)と反応させると、撹拌、(WO2018/055016に記載の)結晶形2の「化合物」・HClによるシーディング(seeding)、酢酸エチル(約5vol)による処理、ろ過、酢酸エチルによる洗浄及び乾燥の後、結晶形(I)の「化合物」・HClが得られる。
【0097】
61) さらなる態様は、沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)を、アセトンと水の混合物から再結晶化させる工程をさらに有する、態様1)~60)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0098】
62) さらなる態様は、沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)を、35℃から65℃の間の温度にて、沈殿「化合物」・HClのキログラム当たり、3.0から25リットルの間の体積のアセトンと水の前記混合物中に溶解させる、態様61)に従う方法に関する。前記アセトン/水混合物の体積の下限は、沈殿「化合物」・HClのキログラム当たり、3.0、3.2、3.4及び3.5リットルであり、
上限は、沈殿「化合物」・HClのキログラム当たり、25、10、7.0及び5.0リットルである。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。上記温度の下限は、35℃、40℃及び45℃であり、上限は、65℃、60℃及び55℃である。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0099】
好ましくは、沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)を、アセトンと水の混合物であって、各温度(例えば35℃から65℃の間の温度)に予め温めた混合物に加える。
【0100】
63) さらなる態様は、アセトンと水の前記混合物の体積が、沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)のキログラム当たり、3.2から7.0リットルの間である、態様62)に従う方法に関する。
【0101】
64) さらなる態様は、アセトンと水の前記混合物の体積が、沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)のキログラム当たり、3.4から5.0リットルの間(特に3.5±0.1リットル)である、態様62)に従う方法に関する。
【0102】
65) さらなる態様は、前記温度が40℃から60℃の間である、態様62)~64)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0103】
66) さらなる態様は、前記温度が45℃から55℃の間(特に50℃±2℃)である、態様62)~64)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0104】
67) さらなる態様は、アセトンと水の比が、2:1v/vから20:1v/vの間である、態様61)~66)のいずれか1つに従う方法に関する。アセトンと水の上記比の下限は、2:1v/v、5:2v/v、3:1v/v及び7:2v/vであり、上限は、20:1v/v、10:1v/v、7:1v/v及び5:1v/vである。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0105】
67) さらなる態様は、アセトンと水の前記比が、3:1v/vから7:1v/vの間である、態様61)~66)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0106】
68) さらなる態様は、アセトンと水の前記比が、7:2v/vから7:1v/vの間(特に7:2v/vから5:1v/vの間)である、態様61)~66)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0107】
69) さらなる態様は、アセトンと水の混合物中の沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)の前記溶液を、25℃から55℃の間の温度にて、アセトンで希釈し及び/又は「化合物」・HClのシードクリスタルで処理する、態様61)~68)のいずれか1つに従う方法に関する。上記温度の下限は25℃及び30℃であり、上限は、55℃、45℃及び35℃である。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0108】
上記溶液をアセトンで希釈し、かつ、シードクリスタルで処理する場合には、上記溶液をアセトンで希釈する前に、シードクリスタルを加えてよく、又は、シードクリスタルを加える前に、上記溶液をアセトンで希釈してよいものとする。好ましくは、アセトンで希
釈する前にシードクリスタルを加える。
【0109】
70) さらなる態様は、アセトンによる希釈及び/又は「化合物」・HClのシードクリスタルによる処理の間の、沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)の前記溶液の温度が、25℃から35℃の間(特に30℃±2℃)である、態様69)に従う方法に関する。
【0110】
71) さらなる態様は、アセトンと水の混合物中の沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)の前記溶液を、アセトンで希釈し、かつ、「化合物」・HClのシードクリスタルで処理する、態様69)又は70)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0111】
72) さらなる態様は、アセトンと水の混合物中の沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)の前記溶液を、まずアセトンで希釈し、次いで、「化合物」・HClのシードクリスタルで処理する、態様69)~71)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0112】
73) さらなる態様は、アセトンと水の混合物中の沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)の前記溶液を、まず「化合物」・HClのシードクリスタルで処理し、次いでアセトンで希釈する、態様69)~71)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0113】
74) さらなる態様は、アセトンと水の混合物中の沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)の前記溶液を、沈殿「化合物」・HClのキログラム当たり、6.0から20リットルの間の量のアセトンで希釈する、態様69)~73)のいずれか1つに従う方法に関する。アセトンの量の下限は、沈殿「化合物」・HClのキログラム当たり、6.0、8.0及び10リットルであり、上限は、沈殿「化合物」・HClのキログラム当たり、20、17及び14リットルである。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0114】
75) さらなる態様は、アセトンと水の混合物中の沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)の前記溶液を、沈殿「化合物」・HClのキログラム当たり、8.0から17リットルの間の(特に10から14リットルの間の)量のアセトンで希釈する、態様69)~73)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0115】
76) さらなる態様は、アセトンの総体積(すなわち、沈殿「化合物」・HClの溶解に使用されたアセトン/水混合物中のアセトンの体積に、アセトンと水の混合物中の沈殿「化合物」・HClの前記溶液の希釈に使用されたアセトンの体積を合わせたもの)が、沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)のキログラム当たり、12から35リットルの間である、態様69)~75)のいずれか1つに従う方法に関する。アセトンの総体積の下限は、沈殿「化合物」・HClのキログラム当たり、12、13.5及び15リットルであり、上限は、沈殿「化合物」・HClのキログラム当たり、35、25、20及び17リットルである。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0116】
77) さらなる態様は、アセトンの総体積が、沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)のキログラム当たり、13.5から20リットルの間(特に、15から20リットルの間)である、態様69)~75)のいずれか1つに従う方
法に関する。
【0117】
78) さらなる態様は、アセトンの総体積が、沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)のキログラム当たり、15から17リットルの間である、態様69)~75)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0118】
79) さらなる態様は、アセトンと水の混合物中の沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)の溶液の前記希釈を、1時間から10時間以内に(特に、3時間から6時間以内に、とりわけ3時間から4時間の間に)行う、態様69)~78)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0119】
80) さらなる態様は、「化合物」・HClの前記シードクリスタルが、WO2018/055016に記載の「化合物」・HClの結晶形2である、態様69)~79)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0120】
81) さらなる態様は、「化合物」・HClの(特に、WO2018/055016に記載の結晶形2の「化合物」・HClの)前記シードクリスタルの量が、沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)の量に対して、0.05%w/wから5.0%w/wの間である、態様69)~80)のいずれか1つに従う方法に関する。シードクリスタルの量の下限は、0.05、0.1、0.2及び0.4%w/wであり、上限は、5.0、2.0、1.0及び0.6%w/wである。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0121】
結晶形2のシードクリスタルは、例えば、WO2018/055016に記載の方法から、又は、本明細書に記載の方法から得てよい。シードクリスタルは、internal
seeding、すなわち、アセトンと水の混合物中の沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)の溶液から試料を除き、この溶液をアセトンに加え、得られた懸濁液を、アセトンと水の混合物中の沈殿「化合物」・HClの溶液に再添加することにより得てもよい。好ましくは、1ミリリットルの試料当たり、5~40mL(より好ましくは10~20mL、最も好ましくは約15mL)のアセトンを、RTにおいてinternal seedingに使用する。
【0122】
82) さらなる態様は。前記シードクリスタルの量が、沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)の量に対して、0.1%w/wから2.0%w/wの間(特に、0.4%w/wから2.0%w/wの間)である、態様81)に従う方法に関する。
【0123】
83) さらなる態様は、前記シードクリスタルの量が、沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)の量に対して、0.2%w/wから1.0%w/wの間(特に、0.4%w/wから0.6%w/wの間)である、態様81)に従う方法に関する。
【0124】
84) さらなる態様は、前記混合物(特に、アセトンと水の混合物中の沈殿「化合物」・HCl(特に、結晶形(I)の「化合物」・HCl)の前記溶液から、アセトンによる希釈及び/又は「化合物」・HClのシードクリスタルによる処理の後に得られる前記懸濁液)を、0℃から20℃の間の(特に0℃から10℃の間の)温度に冷却し、沈殿物を単離し、任意でアセトンで洗浄する、態様61)~83)のいずれか1つに従う方法に関する。母液からの沈殿物の単離は、ろ過(好ましい)又は遠心分離等の、液体から固体を分離するために適切な任意の手段により行ってよい。「沈殿物を単離し、任意でアセト
ンで洗浄する」という文脈で使用される「任意で」という用語は、上記沈殿物をアセトンで洗浄する工程が、前記方法中に存在しても存在しなくてもよいことを意味する。
【0125】
85) さらなる態様は、単離された沈殿物中の水含量が4.0%w/wから8.2%w/wの間(好ましくは5.0%w/wから7.0%w/wの間)になるまで、単離された沈殿物を真空下で乾燥する、態様84)に従う方法に関する。水含量はKarl Fischer滴定(titration)により測定してよい。得られた生成物は、WO2018/055016に記載の結晶形2の「化合物」・HClである。
【0126】
86) さらなる態様は、式(II)の化合物
【0127】
【化7】
【0128】
(式中、R及びRは、互いに独立に、(C1-4)アルキルを表す。)
を式(III)の化合物
【0129】
【化8】
【0130】
(式中、Rは、水素、ナトリウム又はカリウム(特にナトリウム)を表す。)
と反応させて、式(I)の化合物を得る工程をさらに有する、態様1)~85)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0131】
87) さらなる態様は、R及びRがいずれもエチルを表す、態様86)に従う方法に関する。
【0132】
88) さらなる態様は、Rがナトリウムを表す、態様86)又は87)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0133】
好ましくは、式(III)の化合物は、三水和物形態等の水和物形態におけるナトリウム塩(Rはナトリウムを表す。)として使用される。
【0134】
89) さらなる態様は、前記反応が、EDCとHOBtの混合物の存在下で行われる、態様86)~88)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0135】
90) さらなる態様は、前記反応が、THF、トルエン及び水の2又は3種から選択される溶媒(特にTHFと水)の混合物中で行われる、態様86)~89)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0136】
91) さらなる態様は、前記反応が、4.5から6.0の間(特に、4.8から5.5の間)のpH値で行われる、態様86)~90)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0137】
式(III)の化合物は、2-プロパノール中における、式(IV)の化合物の水酸化ナトリウム水溶液との反応により得てよい。
【0138】
【化9】
【0139】
前記反応は高温にて(例えば約80℃にて)行ってよく、式(III)の化合物は(例えば、約80℃から約20℃に冷却することによる)結晶化により単離してよい。好ましくは、反応混合物を、得られた結晶のろ過性を改善するために、約80℃から約20℃にゆっくりと(少なくとも4h)冷却する。例えば、反応混合物を、2hで約80℃から約50℃に冷却し、約50℃にさらに30minに保ち、4h以内に約20℃にさらに冷却する。得られた結晶はトルエンで洗浄し、乾燥してよい。
【0140】
91) さらなる態様は、式(V)の化合物
【0141】
【化10】
【0142】
(式中、R及びRは、互いに独立に、(C1-4)アルキルを表す。)
をTFAと反応させて、式(II)の化合物を得る工程をさらに有する、態様1)~90)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0143】
92) さらなる態様は、R及びRがいずれもエチルを表す、態様91)に従う方法に関する。
【0144】
93) さらなる態様は、式(V)の化合物のトルエン中の溶液を、30℃から60℃の間の温度にてTFAに加える、態様91)又は92)のいずれか1つに従う方法に関する。上記温度の下限は、30℃、35℃及び40℃であり、上限は、60℃、55℃及び50℃である。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0145】
94) さらなる態様は、式(V)の化合物のトルエン中の溶液を、40℃から50℃の間の(特に約45℃の)温度にてTFAに加える、態様91)又は92)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0146】
95) さらなる態様は、トルエン中の前記溶液中の式(V)の化合物の量が、50%w/wから85%w/wの間である、態様93)又は94)のいずれか1つに従う方法に関する。トルエン中の前記溶液中の式(V)の化合物の量の下限は、50%w/w、60%w/w及び70%w/wであり、上限は、85%w/w及び80%w/wである。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0147】
96) さらなる態様は、トルエン中の前記溶液中の式(V)の化合物の量が、60%w/wから85%w/wの間(特に約70%w/w)である、態様93)又は94)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0148】
97) さらなる態様は、TFAの体積が、式(V)の化合物のキログラム当たり、0.5から1.5リットルの間である、態様91)~96)のいずれか1つに従う方法に関する。TFAの体積の下限は、式(V)の化合物のキログラム当たり、0.5、0.7及び0.9リットルであり、上限は、式(V)の化合物のキログラム当たり、1.5、1.3及び1.1リットルである。各下限は各上限と組み合わせることができるものとする。従って、すべての組み合わせが本明細書中に開示されていることになる。
【0149】
98) さらなる態様は、TFAの体積が、式(V)の化合物のキログラム当たり、0.7から1.3リットルの間(特に約1.0リットル)である、態様91)~96)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0150】
99) さらなる態様は、式(VI)の化合物
【0151】
【化11】
【0152】
(式中、R及びRは、互いに独立に、(C1-4)アルキルである。)
を式(VII)の化合物
【0153】
【化12】
【0154】
と反応させて、式(V)の化合物を得る工程をさらに有する、態様1)~98)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0155】
100) さらなる態様は、R及びRがいずれもエチルを表す、態様99)に従う方法に関する。
【0156】
101) さらなる態様は、前記反応が、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5-トリオキサトリホスフィナン 2,4,6-トリオキシド(T3P)、又は、EDCとHOBtの混合物の存在下で行われる、態様99)又は100)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0157】
102) さらなる態様は、前記反応が、酢酸エチル、トルエン、及び、THFと水の混合物から選択される溶媒中で行われる、態様99)~101)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0158】
103) さらなる態様は、前記反応が、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5-トリオキサトリホスフィナン 2,4,6-トリオキシド(T3P)の存在下、かつ、酢酸エチル及びトルエンから選択される溶媒(特にトルエン)中で行われる、態様99)又は100)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0159】
104) さらなる態様は、前記溶媒の体積が、式(VI)の化合物のキログラム当た
り、3.5リットルから7.5リットルの間(特に約3.9リットル)である、態様102)又は103)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0160】
105) さらなる態様は、T3P(特に、式(VI)の化合物の量に対して、約1.03当量の量のT3P)のトルエン中の溶液を、式(VI)の化合物、式(VII)の化合物(特に、式(VI)の化合物の量に対して、約1.03当量の量の式(VII)の化合物)及びトリエチルアミン(特に、式(VI)の化合物の量に対して、約3.5当量の量のトリエチルアミン)のトルエン中の混合物に加える、態様99)~104)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0161】
106) さらなる態様は、前記反応が、-5℃から25℃の間の(特に10℃から20℃の間の)温度にて行われる、態様99)~105)のいずれか1つに従う方法に関する。
【0162】
107) 本発明のさらなる態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.7°、5.9°及び12.9°におけるピークの存在により特徴づけられる、4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩(「化合物」・HCl)の結晶形(I)に関する。
【0163】
態様107)に従う結晶形は、塩酸塩(hydrochloric acid salt)(塩酸塩(hydrochloride))の形態の「化合物」・HClを包含するものとする。さらに、当該結晶形は、非配位及び/又は配位溶媒(特に、非配位及び/又は配位水)を含有してよい。配位溶媒(特に配位水)は、本明細書において、結晶性溶媒和物(特に結晶性水和物)についての用語として使用される。疑義を避けるために、本出願において、「結晶性水和物」という用語は、不定比水和物(non-stoichiometric hydrates)を包含する。同様に、非配位溶媒は、本明細書において、物理吸着又は物理補足溶媒についての用語として使用される(Polymorphism in the Pharmaceutical Industry(Ed.R.Hilfiker、VCH、2006)、Chapter 8:U.J.Griesser:The Importance of Solvatesによる定義)。
【0164】
108) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:5.1°、5.7°、5.9°、11.0°及び12.9°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様107)に従う「化合物」・HClの結晶形に関する。
【0165】
109) 別の態様は、粉末X線回折ダイアグラムにおける以下の屈折角2θ:3.7°、5.1°、5.7°、5.9°、11.0°、12.9°、15.2°、18.3°、20.2°及び21.0°におけるピークの存在により特徴づけられる、態様107)に従う「化合物」・HClの結晶形に関する。
【0166】
110) 別の態様は、図1に示す粉末X線回折パターンを本質的に示す、態様107)に従う「化合物」・HClの結晶形に関する。
【0167】
本明細書で使用される略語及び用語
略語:
下記の略語が本明細書及び実施例を通じて使用される:
Ac アセチル
AcCl 塩化アセチル
AcOH 酢酸
AcOEt 酢酸エチル
AcOMe 酢酸メチル
Aq 水性
Boc tert.-ブチルオキシカルボニル
dba ジベンジリデンアセトン
DCM ジクロロメタン
EDC N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチル-カルボジイミド塩酸塩
eq. 当量
Et エチル
h 時間
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IPA 2-プロパノール
IPAc 酢酸イソプロピル
IPC インプロセス制御
JT ジャケット温度
M モル濃度
Me メチル
min 分
NMP 1-メチル-2-ピロリドン
NMR 核磁気共鳴
org. 有機
o.t. 理論上の
RT 室温
%a/a 面積比により決定された百分率
T3P 2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2λ5,4λ5,6λ5-トリオキサトリホスフィナン 2,4,6-トリオキシド
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
TMSBr トリメチルシリルブロミド
vol 1volは、関連する出発物質1kg当たり1Lの溶媒を意味する
【0168】
実験の項
粉末X線回折分析(XRPD)
粉末X線回折パターンは、反射モード(結合2シータ/シータ)で作動するLynxeye検出器を備えたBruker D8 AdvanceX線回折計上で収集した。典型的には、Cu-X-線チューブを40kV/40mAで走査させた。3~50°の2θの走査範囲にわたって、0.02°(2θ)のステップサイズ及び76.8秒のステップタイムを適用した。発散スリットは、fixed sample illumination(可変スリットサイズ(variable slit size))に設定し、散乱防止スリット(antiscatter slit)は0.3°に設定した。粉末を、0.5mmの深さのシリコン単結晶サンプルホルダー内にわずかにプレスし、測定の間、試料をそれ自体のプレイン中で回転させた。回折データは、Cu Kα(λ=1.5418Å)照射を用いてレポートされる。これまでに記録された粉末X線回折パターンが一般的にそうであるように、本明細書で提供される2θ値の精度は、+/-0.1~0.2°の範囲内である。
【0169】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
HPLCシステム:オンラインデガッサ(online degasser)、低圧クオータナリーポンプ、オートサンプラー、温度制御カラムコンパートメント及びダイオードアレイ検出器を備えたAgilent 1100/1200/1260シリーズシステム流速:1.0mL/min
カラム温度:15℃
オートサンプラー温度:5±1℃
注入体積:10μL
カラム:Agilent Zorbax SB C18、150x4.6mm、3.5μm
波長:263nm
溶媒A:水/メタノール/TFA 95:5:0.5 v/v/v
溶媒B:水/メタノール/TFA 5:95:0.5 v/v/v
【0170】
【表1】
【0171】
【表2】
【0172】
実施例1:
(S)-6-(3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボニトリルの合成:
100mLのシュレンク管を窒素で3回フラッシュした。管にNMP(30.0ml、1.5vol)を仕込み、NMPに3サイクル(真空/窒素)の脱気を行い、Pddba(0.38g、0.41mmol、0.006eq.)及び1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.57g、1.04mmol、0.015eq.)を加え、JT≦30℃にて混合物に再び3サイクル(真空/窒素)の脱気を行った。次いで、混合物に窒素を15min通気し、次いで溶液を20~30℃にて30min撹拌した。
【0173】
500mLの反応器に、(S)-4-クロロ-6-(3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン(20.0g、69.02mmol、1.00eq.)、Zn(CN)(4.46g、37.96mmol、0.55eq.)、トルエン(60mL、3.0vol)及びNMP(30ml、1.5vol)を仕込んだ。ゆるいスラリーに、JT≦30℃にて3サイクル(真空/窒素)の脱気を行った。その後、混合物に窒素を15min通気し、次いで溶液を20~30℃にて30min撹拌した。混合物を80~115℃(目標:110℃)に温め、触媒溶液を80~115℃(目標:110℃)にて2hにわたって加えた。添加完了後、混合物を105~115℃(目標:110℃)
にて30min撹拌した。
【0174】
500mLの反応器に、トルエン(200.0mL、10.0vol)、アンモニア25%(44.0mL、2.2vol)及び水(100.0mL、5.0vol)を仕込み、30~40℃にて撹拌し、反応混合物をこの乳濁液に30~40℃にて加えた。添加完了後、乳濁液を30~40℃にて30min撹拌し、次いで相を5min分離させた。次いで、有機相を、予め調製した(調製中にガスが発生する!)N-アセチル-L-システイン(5.6g、34.32mmol、0.5eq.)、ソーダ(8.0g、66.04mmol、0.96eq.)及び水(100.0ml、5.0vol)の溶液で25~35℃にて30min、3回抽出し、相を5min分離させた。その後、有機相を30~35℃にて水(100.0mL、5.0vol)で2回抽出し、相を5min分離させた。次いで、有機相を、減圧下(通常:150~300mbar)、40~60℃にて5.0volに濃縮した。IPA(500.0mL、25.0vol)を加えることにより一定の体積を維持しながら、蒸留を減圧下(通常:50~200mbar)で40~60℃にて継続した。蒸留の間に生成物が沈殿物した。IPA(40.0mL、2.0vol)を加え、スラリーを75~82℃に温め、この温度にて30min後撹拌(post stirred)を行った。次いで、溶液を60minで60~70℃に冷却し、60~70℃にて60min、後撹拌を行った。次いで、スラリーを4hで0~10℃に冷却し、0~10℃で2h、後撹拌を行った。固体を0~10℃にてろ過し、フィルターケークを0~25℃にてIPA(40.0mL、2.0vol)で2回洗浄した(置換(displacement))。水分を含んだ生成物を、一定の重量になるまで、キャビネット内で50℃にて乾燥し、生成物(16.2g)を固体として得た。
【0175】
再結晶化:
500mLの反応器を窒素で3回フラッシュし、粗製(S)-6-(3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボニトリル(20.0g、71.34mmol)、活性炭(Norit CGP Super)及びIPAc(200mL、10.0vol)をJT≦40℃にて仕込んだ。次いで、スラリーを65~75℃に温め、65~75℃にて60min、後撹拌を行った。溶液を、調整した(約75℃)加圧フィルター(pressure filter)を通して第2の500mL反応器内にろ過した。第1の反応器及びフィルターをIPAc(40.0ml、2.0vol)でリンスした。溶液を、85~95℃にて常圧で4~5volに濃縮した。ヘプタン(160.0mL、8.0vol)を85~95℃にて加え、次いで、溶液を60minで65~75℃に冷却した。得られたスラリーを3hで0~10℃に冷却し、0~10℃にて2h、後撹拌を行った。固体を0~10℃にてろ過し、フィルターケークを、0~25℃にて、IPAc/ヘプタン 1:2v/vで2回洗浄(置換)した。水分を含んだ生成物を、一定の重量になるまで、キャビネット内で50℃にて乾燥し、生成物(16.8g)を固体として得た。
【0176】
実施例2:
(S)-6-(3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボン酸ナトリウム塩の合成:
500mLの反応器を窒素で3回フラッシュし、水(323mL、6.5vol)を仕込み、20~40℃に温めた。(S)-6-(3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボニトリル(50.0g、178mmol、1.0eq.)及び2-プロパノール(532mL、10.6vol)を加え、反応混合物を70~85℃に温めた。水酸化ナトリウム水溶液(30%、29mL、0.58vol)を、添加漏斗(addition funnel)を介して30minにわたって加え、漏斗を水(5.0mL、0.1vol)でリンスした。反応混合物を75~85℃にて少なくとも6h撹拌し、少なくとも2hにわたって45~55℃に冷却し、45~55℃にてさらに
30min撹拌した。得られた懸濁液を、少なくとも4hにわたって15~25℃に冷却し、15~25℃にて少なくとも30min撹拌した。生成物をろ過し、フィルターケークを、2-プロパノール(136mL)と水(14mL)の混合物でまず洗浄し、次いでトルエン(150mL)で洗浄した。水分を含んだ生成物を45~55℃にて真空下で乾燥し、生成物を固体として得た。
【0177】
実施例3: (WO2018/055016に記載の)結晶形2の4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩の合成:
段階1: 4-[(R)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-プロピオニル]-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルの合成:メカニカルスターラー及び滴下漏斗を備えた2.5Lのガラス反応器に、トルエン(780mL、3.9vol)、(R)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-プロピオン酸(200g、614.8mmol、1.0eq.)、ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩(141.0g、633.3mmol、1.03eq.)及びトリエチルアミン(217.75g、2152mmol、3.5eq.)を仕込み、軽めのスラリーの温度を10~20℃に調整した。トルエン中50%w/w T3P(430.4g、676.30mmol、1.10eq.)を、10~20℃にて1~2hにわたって、反応混合物中に直接投入した。次いで、投入システム(dosage system)を20mLのトルエン(0.1vol)でリンスした。反応混合物を少なくとも1hねかせた。反応混合物をエルレンマイヤーフラスコ中に移し、水(800mL、4vol)を反応器に仕込んだ。反応混合物を、反応器に仕込んだ水の上で、10~25℃にて、少なくとも10minにわたってクエンチした。次いで、30%w/wの苛性ソーダ(123.0g、922.2mmol、1.5eq.)を、10~25℃にて、少なくとも10minにわたって仕込んだ。最大体積:2.6L、13vol。下側の水層を15~25℃にて排出した(速やかな相分離、中間層(interphase)なし)。水(200mL、1vol)を有機層に加え、pHを、15~25℃にて、30%w/wの硫酸(約241g)で2.5~3.0に調整した。下側の水層を排出した(速やかな相分離、中間層なし)。水(200mL、1vol)を有機層に加え、混合物を少なくとも5min撹拌した。相を少なくとも30min分離させ、下側の水層を排出した。有機層を、40~60℃(p=100~300mbar)にて約30%w/wに濃縮し、澄んだ黄色の溶液を得た。
【0178】
段階2: 4-[(R)-2-アミノ-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-プロピオニル]-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルの合成
バッチを、段階1の製造で使用した(R)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-プロピオン酸の量に基づいて計算した。
メカニカルスターラー、滴下漏斗及び蒸留アダプター(distillation adaptor)を備えた1.0Lのガラス反応器に、トルエン中の段階1の溶液(500g、100gの(R)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-プロピオン酸から調製)を仕込んだ。溶液を、40~60℃(50~250mbar)にて、215gに濃縮し、滴下漏斗に移した。次いで、反応器に、TFA(150mL、(R)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-プロピオン酸に対して1.5vol)を仕込み、温度を45℃に調整した。その後、段階1の溶液を、45℃にて2hにわたって滴下により加えた(ガスの発生を調整しながら添加)。バッチを1hねかせ、次いで蒸留を45~50℃、150mbarにて開始した。温度を45~50℃に維持しながら、圧力を徐々に100mbarに低下させた。蒸留を含む総後撹拌時間は4hであった。水(300mL、3vol)と25%アンモニア(167.6g、8.0eq.)の混合物で、反応混合物を10~25℃にてク
エンチした。ジクロロメタン(300mL、3vol)を10~25℃にて加えた。下側のDCM層を分離し、水層をDCM(150ml、1.5vol)で2回再抽出した。DCM層を合わせて、20%KHCO水溶液(100mL、1vol)で洗浄した。トルエンを加え(92mL、0.9vol)、有機層を40~60℃にて濃縮した(>60℃で蒸留を止める。)。次いで、より多くのトルエン(258mL、2.6vol)を加え、溶液を、40~60℃(100~400mbar)にて300gに濃縮して、生成物を黄色の溶液として得た。
【0179】
段階3: 4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルの合成:
段階2(100g、254.18mmol、1.0eq.、滴定に基づく。)を、トルエン中の溶液(約226g、44.2%w/w)として仕込み、水(200mL、2vol)を加えた。pHを、15~25℃にて、33%HCl水溶液(約28g)で4.0~5.0に調整した。水層を含む段階2を分離し、有機層を廃棄した。段階2の水溶液をTHF中の3%HOBt一水和物(274.8g、7.8gHOBt一水和物+300mLTHF)で希釈し、(S)-6-(3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボン酸ナトリウム塩(83.3g、259mmol、1.02eq.)を加えた。軽めのスラリーのpHを33%HClで5.0~5.5(目標:5.2)に調整した。15~25℃にて、EDC(58.47g、305.02mmol、1.2eq.)を、少なくとも10分量にして、少なくとも1hにわたって加えた。反応混合物のpHをモニターし、10%KCO又は33%HCl水溶液(数ミリリットル)の添加により、4.5~5.5の範囲に維持した。pHは添加の間ほとんど安定であり、添加の終盤に<5.0に下がったのみであった。添加の間に、反応混合物が二相性となり、固体が徐々に溶解した。反応混合物を15~25℃にて3h撹拌した。反応混合物をトルエン(150mL、1.5vol)で希釈し、水層を15~25℃にて排出した。トルエン(150mL、1.5vol)を15~25℃にて加え、有機層を、10%w/w KCO水溶液(2x150mL、2x1.5vol)及び水(100ml、1vol)で順次洗浄した。有機相にトルエン(150mL、1.5vol)を加え、生成物の溶液を40~60℃(150~300mbar)にて<300gに濃縮し、酢酸(500mL、5vol)で希釈し、40~60℃(50~200mbar)にて<550gに濃縮した;IPC:THF≦0.5%a/a、トルエン≦5.0%a/a、水≦0.5%w/w。酢酸の添加により、溶液の重量を686gに調整した(25%w/w、理論収率に基づいて算出。)。
【0180】
段階4: 結晶形(I)の4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩の合成:
段階3(171.5g、254.18mmol)のAcOH(490mL、2.9vol)中の溶液に、エタノール(29.3g、635.45mmol、2.5eq.)を加えた。次いで、温度を25~35℃に維持しながら、塩化アセチル(29.9g、381.27mmol、1.5eq.)を、少なくとも20minにわたって滴下により加えた。反応混合物を30℃にて4~5h撹拌し、次いで、0.5gの4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩のシードクリスタル(seed crystals)でシードし、30℃にて30min撹拌した。得られたスラリーを30℃にてさらに14h後撹拌した。30℃にて、少なくとも2hにわたって、AcOEt(860mL、5vol)を滴下により加えた。スラリーを1hにわたって20℃に冷却し、少なくとも2hねかせ、次いでろ過した。水分を含んだ生成物をAcOEt(345mL、2vol、置換洗浄(di
splacement wash))及びAcOEt(345mL、2vol、スラリー洗浄)で洗浄した。水分を含んだ生成物を、一定の重量になるまで、キャビネット内で45℃にてcarrying gasで乾燥し、生成物(159.4g、非補正)を白色~灰白色の結晶性固体として得た。
【0181】
【表3】
【0182】
段階5: (WO2018/055016に記載の)結晶形2の4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩の合成:
段階4(30.0g、91.7%w/w、42.0mmol)を反応器に仕込み、アセトン/水 4:1v/v(105mL、3.5vol、予め50℃に加温)を加え、澄んだ溶液を形成させた。溶液を30℃に冷却し、4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩のシードクリスタル0.5gでシードし、25~35℃にて30min撹拌した。得られたスラリーに、25~35℃にて、アセトン(360mL、12vol)を3hにわたって加えた。スラリーを2hにわたって0~10℃に冷却し、0~10℃にて60min、後撹拌を行い、次いでろ過した。水分を含んだ生成物をアセトン(2x75mL、2.5vol)で洗浄した。水分を含んだ生成物を、一定の重量になるまで、ロータリーエバポレータ内で20~35℃にてcarrying gas(水で飽和させた窒素ガス)で乾燥し、生成物を、92%の収率で、(WO2018/055016に記載の)結晶形2の白色の固体として得た。
【0183】
あるいは、水分を含んだ生成物を、8.2%w/w以下の水含量まで、carrying gasの非存在下で乾燥してもよい。
【0184】
参照実施例1: DCMと濃塩酸の混合物中における4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルのジエトキシ-ホスホリル基の開裂:
4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ
-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル(1.05g)のDCM(4.0vol)中の溶液を、25mLのスクリュートップバイアル(screw topped vial)2本に均等に分けた。溶液を、1.8vol又は3.6volの32%w/w HCl水溶液で処理し、RTにて撹拌した。試料を表2に記載の時点で採取し、HPLCで分析して、加水分解生成物(R)-2-(6-((S)-3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボキサミド)-3-ホスホノプロパン酸(「加水分解生成物」)の相対量を決定した:
【0185】
【表4】
【0186】
参照実施例2: 濃塩酸中における4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルのジエトキシ-ホスホリル基の開裂:
4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル(200mg、0.30mmol)の37%w/w HCl水溶液中の混合物を、表3に記載の条件下で撹拌した。試料を表3に記載の時点で採取し、HPLCで分析して、加水分解生成物(R)-2-(6-((S)-3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボキサミド)-3-ホスホノプロパン酸(「加水分解生成物」)の相対量を決定した:
【0187】
【表5】
【0188】
参照実施例3: 希釈塩酸中における4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルのジエトキシ-ホスホリル基の開裂:
37%w/w HCl水溶液と水の混合物中の4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル(200mg、0.30mmol)の混合物(表4参照)を、表4に
記載の条件下でRTにて撹拌した。試料を表4に記載の時点で採取し、HPLCで分析して、加水分解生成物(R)-2-(6-((S)-3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボキサミド)-3-ホスホノプロパン酸(「加水分解生成物」)の相対量を決定した:
【0189】
【表6】
【0190】
実施例4: 4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルのジエトキシ-ホスホリル基のアセトン中HClによる開裂:
アセトン及びHCl中の4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル(200mg、0.30mmol)の混合物(表5参照)を、表5に記載の条件下でRTにて撹拌した。試料を表5に記載の時点で採取し、HPLCで分析して、加水分解生成物(R)-2-(6-((S)-3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボキサミド)-3-ホスホノプロパン酸(「加水分解生成物」)の相対量を決定した:
【0191】
【表7】
【0192】
実施例5: 4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルのジエトキシ-ホスホリル基の、異なる溶媒中のHClによる開裂:
HClガスを、4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルの各溶媒(表6参照)中の溶液に穏やかに20min通気させ、混合物を表6に記載の条件下でRT
にて撹拌した。試料を表6に記載の時点で採取し、HPLCで分析して、加水分解生成物(R)-2-(6-((S)-3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボキサミド)-3-ホスホノプロパン酸(「加水分解生成物」)の相対量を決定した:
【0193】
【表8】
【0194】
実施例6: 4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルのジエトキシ-ホスホリル基の、in-situで生成したHClによる開裂:
4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル(1.0g)、AcO(4.95eq.)及び濃HCl水溶液(32%w/w、1.5eq)のAcOH(2.0vol)中の混合物を、RTにて1.5h撹拌し、4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩の結晶でシードし、RTにてさらに撹拌した。14h後、反応液をAcOH(4vol)で希釈し、試料を表7に記載の時点で採取して、加水分解生成物(R)-2-(6-((S)-3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボキサミド)-3-ホスホノプロパン酸(「加水分解生成物」)の相対量を決定した:
【0195】
【表9】
【0196】
実施例7: 4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルのジエトキシ-ホスホリル基の、in-situで生成したHClによる開裂:
4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル(1.0g)、AcCl(1.5eq.)及びエタノール(2.5eq)の、異なる体積のAcOH(表8参照)中の混合物を、RTにて撹拌した。試料を表8に記載の時点で採取して、加水分解生成物(R)-2-(6-((S)-3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボキサミド)-3-ホスホノプロパン酸(「加水分解生成物」)の相対量を決定した:
【0197】
【表10】
【0198】
実施例8: 4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステルのジエトキシ-ホスホリル基の、in-situで生成したHClによる開裂:
出発物質(SM) 4-((R)-3-(ジエトキシ-ホスホリル)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル(20g)、AcCl(1.5eq.)及びエタノール(2.5eq)のAcOH(3vol)中の混合物を、35℃にて4h撹拌し、4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩の結晶でシードし、35℃にてさらに4h撹拌し、RTに冷却した。試料を表9に記載の時点で採取して、加水分解生成物(R)-2-(6-((S)-3-メトキシピロリジン-1-イル)-2-フェニルピリミジン-4-カルボキサミド)-3-ホスホノプロパン
酸(「加水分解生成物」)の相対量を決定した:
【0199】
【表11】
【0200】
実施例9:(WO2018/055016に記載の)結晶形2の4-((R)-2-{[6-((S)-3-メトキシ-ピロリジン-1-イル)-2-フェニル-ピリミジン-4-カルボニル]-アミノ}-3-ホスホノ-プロピオニル)-ピペラジン-1-カルボン酸ブチルエステル塩酸塩の合成の別の手順:
a) 「化合物」・HCl(2.0g、3.1mmol)を、44mLのアセトン及び2.3mLの水中に65℃にて溶解させた。溶液を55℃に冷却し、結晶形2の「化合物」・HCl、3%でシードし、1h撹拌した。混合物を3℃/hにて15℃に冷却して、結晶形2の「化合物」・HClを得た(収率60%)。
【0201】
b) 「化合物」・HCl(2.0g、3.1mmol)を、6mLのアセトン及び3.5mLの水中にRTにて溶解させた。溶液を、結晶形2の「化合物」・HClのシードクリスタル50mgを含む60mLのアセトンの冷却した混合物(5℃)に10mL/hの速度で加え、一晩撹拌して、結晶形2の「化合物」・HClを得た(収率78%)。
【0202】
c) 「化合物」・HCl(5.0g、7.6mmol)を、アセトンと水の混合物(4:1v/v、20mL)中に50℃にて溶解させた。溶液をアセトン(32.5mL)で希釈し、結晶形2の「化合物」・HClのシードクリスタル(100mg)で処理した。アセトン(38mL)を混合物に1h以内に加え、混合物を2.8℃/hにて5℃に冷却して、結晶形2の「化合物」・HClを得た(収率78%)。
【0203】
d) 「化合物」・HCl(18g、27.5mmol)を、アセトンと水の混合物(4:1v/v、63mL)中に65℃にて溶解させた。溶液を30℃に冷却し、結晶形2の「化合物」・HClのシードクリスタル(90mg)で処理し、1h撹拌した。アセトン(216mL)を混合物に1.5h以内に加えた。混合物を1h撹拌し、5℃/hにて5℃に冷却し、さらに2h撹拌して、結晶形2の「化合物」・HClを得た(収率87%)。
図1
【国際調査報告】