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▶ オーキリウス ファーマ スポルカ ゼット オグラニクゾナ オドパウイエドジアルノシアの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】放出調節ニコランジル化合物製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4406 20060101AFI20240628BHJP
   A61K 9/58 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61K31/4406
A61K9/58
A61K47/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024501730
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 IB2022056398
(87)【国際公開番号】W WO2023285952
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】PL438438
(32)【優先日】2021-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524013779
【氏名又は名称】オーキリウス ファーマ スポルカ ゼット オグラニクゾナ オドパウイエドジアルノシア
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デン フーフェル、デニー ヨハン マレイン
(72)【発明者】
【氏名】プラッテーウ、ヨハネス ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ティゴル、ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】シャボウスキ、ダヴィッド セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA67
4C076BB01
4C076CC13
4C076DD28H
4C076DD41
4C076DD47H
4C076EE09H
4C076EE31
4C076EE32M
4C076EE38
4C076FF31
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA12
4C086ZA36
(57)【要約】
少なくとも約30%のニコランジル化合物(複数可)をヒト対象の腸内に放出する制御放出製剤中にニコランジル化合物(複数可)を含む組成物を提供する。そのような組成物は、胃酸溶解感受性成分(GADSC)及び胃酸溶解耐性成分(GADRC)を含むことができ、組成物をpH1.2の溶解媒体と約2時間接触させて維持すると、(1)GADRCは、GADRCにおいて、GADSCから放出される1つ以上のニコランジル化合物の割合よりも統計的に有意に少ない割合の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(2)組成物は、組成物中に含有される1つ以上のニコランジル化合物の50%以下を放出する。本発明は更に、このような組成物を生成する方法及び組成物の治療的使用(例えば、狭心症を含む1つ以上の疾患又は状態を処置するための組成物の1日1回投与を含む)を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胃酸溶解感受性成分(GADSC)及び胃酸溶解耐性成分(GADRC)を含む制御放出製剤中に集合的に含有される治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、前記組成物をpH1.2の溶解媒体と約4時間又は約6時間接触させて維持すると、(1)前記GADRCが、前記GADRCにおいて、前記GADSCから放出される1つ以上のニコランジル化合物の割合よりも統計的に有意に小さい割合の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(2)前記組成物が、前記組成物中に含有される1つ以上のニコランジル化合物の50%以下を放出する、組成物。
【請求項2】
前記GADRCが、pH1.2を有する溶解媒体との約4時間又は約6時間の接触時に、前記GADRCに含有される前記1つ以上のニコランジル化合物の20%以下を放出する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記GADSCが、pH約1.2を有する溶解媒体又はpH約6.8を有する溶解媒体との接触の6時間後に、前記GADSC中に最初に存在する前記1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも33%の放出及び少なくとも約5%の保持を可能にする量の1つ以上の放出遅延/耐性ポリマーを含む制御放出製剤を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記GADRCが、pH約6.8を有する溶解媒体との接触の6時間後に前記GADRC中に最初に存在する前記1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも33%を放出し、pH1.2を有する溶解媒体との接触の6時間後に前記GADRC中に最初に存在する前記1つ以上のニコランジル化合物の20%以下を放出するのに有効な量の1つ以上のpH応答性ポリマーを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記GADSCが、前記治療有効量の前記1つ以上のニコランジル化合物の第1の部分を含み、前記GADRCが、前記治療有効量の前記1つ以上のニコランジル化合物の第2の部分を含み、前記第1の部分が、前記組成物中の前記1つ以上のニコランジル化合物の30~70%を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記1つ以上のニコランジル化合物が、ニコランジルである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記治療有効量が、15~75mgのニコランジルである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、1~5個又は2~5個のGADSC剤形及び1~5個又は2~5個のGADRC剤形から構成される少なくとも3個の別個の剤形を含み、前記別個の剤形が、薬学的に許容されるカプセル中に含有される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記GADSC、前記GADRC、又は前記GADSC及び前記GADRCの両方が、(1)約25~45%の放出遅延ポリマー成分、及び(2)約40~70%の結合剤成分を含むマトリックス製剤を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中の賦形剤のほとんどが、6%未満の含水量を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記GADSCがpH6.8の溶解媒体と接触して維持される場合、前記GADSCから放出される前記1つ以上のニコランジル化合物の量が、以下の放出プロファイルに従う、(1)前記1つ以上のニコランジル化合物の約0.5~25%が、0.25時間で前記GADSCから放出され、(2)前記1つ以上のニコランジル化合物の約11.5%~約44.5%が、1時間で放出され、(3)前記1つ以上のニコランジル化合物の約25%~約60%が、2時間で放出され、(4)前記1つ以上のニコランジル化合物の約60%~約92.5%が、6時間で放出され、(5)前記1つ以上のニコランジル化合物の約71%~約98%が、8時間で放出され、(6)前記1つ以上のニコランジル化合物の約83%~約100%が、14時間で放出される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記GADRCがpH6.8の溶解媒体と接触して維持される場合、前記GADRCから放出される前記1つ以上のニコランジル化合物の量が、以下の放出プロファイルに従う、(1)前記1つ以上のニコランジル化合物の約0%~約8.5%が、0.25時間で放出され、(2)前記1つ以上のニコランジル化合物の約15.5%~約29%が、1時間で放出され、(3)前記1つ以上のニコランジル化合物の約27%~約50%が、2時間で放出され、(4)前記1つ以上のニコランジル化合物の約65~約80%が、6時間で放出され、(5)前記1つ以上のニコランジル化合物の約75%~約87.5%が、8時間で放出され、(6)前記ニコランジル化合物の約83.5%~約98%が。14時間で放出される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記GADRC、前記GADSC、又はその両方が、(1)有効量の放出遅延ポリマー成分であって、前記放出耐性ポリマー成分が、少なくともほとんどがヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成され、前記放出耐性ポリマー成分と前記1つ以上のニコランジル化合物が、約5:1~約2:1の比で存在する、放出遅延ポリマー成分と、(2)有効量の結合剤成分であって、前記結合剤成分が、少なくともほとんどがケイ化微晶質セルロースを含み、前記結合剤成分と前記1つ以上のニコランジル化合物が、約4:1~約7:1の比で存在する、結合剤成分と、を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
有効量の薬学的に許容される乾燥剤を含有するアルミニウムブリスターパック中に請求項1に記載の医薬組成物を含むパッケージ。
【請求項15】
有効量の請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物又は請求項14に記載のパッケージに含まれる組成物を、1日1回以下で患者に投与することを含む、ヒト患者における1つ以上のタイプの狭心症を処置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権/関連出願
本特許出願は、2022年7月10日に出願されたポーランド特許出願第438438号に対する優先権の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、放出調節製剤中にニコランジル又は関連する化合物を含む医薬組成物、並びに関連する製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ニコチンアミドエステルであるニコランジル(N-[2-(ニトロ-オキシ)エチル]-3-ピリジンカルボキサミド)は、ニコチンアミド基及び硝酸塩基の両方を有する活性医薬成分であり、硝酸塩様及びカリウムチャネルアゴニスト特性の両方を含む独特の二重作用機序によって特徴付けられる。ニコランジルの硝酸塩様作用は、静脈及び心外膜の両方の冠状動脈拡張を引き起こし、カリウムチャネル開口は、末梢細動脈及び冠状微小血管の両方を拡張する。ニコランジルは、その強力な冠血管拡張能のために、慢性安定狭心症(CSAP)の予防及び治療に特に適している。このタイプの狭心症は、冠状動脈疾患の最も頻繁な(そしてしばしば最初の)発現である。
【0004】
慢性安定狭心症は伝統的に、大血管冠血流床の根底にあるアテローム硬化性冠状動脈疾患によって引き起こされると考えられている。しかし、狭心症症状はまた、冠微小血管疾患(CMD)及び機能不全によって頻繁に引き起こされ、微小血管狭心症を有する患者は、診断的冠状動脈造影法を受ける安定狭心症、及び成功した冠血管再生後の持続性狭心症の全症例のうちかなりの割合を占める。CMDに基づいて、閉塞性冠状動脈疾患の非存在下で狭心症として最初に説明したが、現在では、大血管狭心症と微小血管狭心症がしばしば共存するようであることが認められている。Kaski JCら、Circulation.2018年10月2日;138(14):1463-1480。
【0005】
CMDの主な症状としては、狭心症、労作型呼吸困難、及び場合によっては心不全が挙げられる。狭心症は、CMD患者の約30%~60%に生じ、閉塞性冠状動脈疾患(CAD)によって引き起こされる狭心症と区別できない。狭心症は、一般に、運動によって促進され、休息によって軽減される。患者はまた、運動耐性の漸進的低下又は労作時呼吸困難を示し得る。Taqueti VRら、J Am Coll Cardiol.2018年11月27日;72(21):2625-2641.
【0006】
ニコランジルは、コントロールが不十分であるか、又はβ遮断薬、CCB、及び硝酸塩などの第一選択抗狭心症剤に対する禁忌若しくは不耐性を有する安定狭心症患者の対症療法のために、日本で中外製薬によって最初に発見された。その後、オーストラリア、英国、並びに英国及び欧州連合(EU)のいくつかの国において、同じ適応症について承認が与えられ、ニコランジルを含有する薬物は、フィリピン、インド、大韓民国、及び台湾における使用についても承認されている。2020年に、欧州心臓病学会(European Society of Cardiology)のガイドラインによって、慢性冠状動脈疾患を有する患者における第二選択薬として推奨された。ニコランジルは、合衆国において使用が承認されていない。欧州において、主要なニコランジル製品は、主要な国際製薬会社であるSanofi(例えば、アイルランドライセンス番号PA0540/102/002)によって販売されているIKOREL(登録商標)であり、これは、欧州医薬品庁によって認められているように、DANCOR(登録商標)という商標名でMerck KGaAによって別個に示されている。他のニコランジル医薬品及びそれらが承認されている関連国のリストは、www.drugs.com/international/nicorandil.html(2021年7月7日に訪問したサイト)に見出すことができる。
【0007】
ニコランジルは二重の作用機序を有し、最終的には血管壁内の血管平滑筋の弛緩をもたらす。ニコランジルのカリウムチャネル開口作用は、動脈血管拡張をもたらし、後負荷を減少させる。硝酸塩成分は、静脈弛緩及び前負荷の減少を促進する。更に、カリウムチャネルの活性化は、虚血プレコンディショニングを模倣する心臓保護効果をもたらすようである。ニコランジルは、冠状動脈血流を増加させ、強度及び頻度の両方において、第一選択薬と同等に狭心症症状を改善する。
【0008】
ニコランジルは、約1時間という非常に短い排出半減期を有する。その短い排出半減期、及び現在のニコランジル製品の限界に起因して、患者は、典型的には、有効性を維持するためにニコランジルを1日に複数回投与する。半減期並びに水分及び温度感受性はまた、有効かつ安定な1日1回(「QD」又は「QiD」)製剤を生成する適切な賦形剤、ポリマー、及びブレンド技術を選択することを極めて困難にする。現在市販されている経口製剤は、通常5mg又は10mgの開始量で1日2回(「BiD」)服用するように処方される即時放出製剤である。例えば、IKOREL(登録商標)は、このような処置レジメンに基づいて有効であると判定されている。IKORELの薬物動態及び有効性の研究は、各投与後、最初に投与された組成物中のニコランジルの約50%が投与3時間後に血漿中で検出され、実質上0%が投与5時間後に残り、有効性が投与後少なくとも6時間維持されることを示す。Frydman AMら、Am J Cardiol.1989年6月20日;63(21):25J-33J及びFrampton Jら、Drugs1992年10月;44(4):625~55。
【0009】
ニコランジルは、臨床で十分に研究されている。例えば、狭心症におけるニコランジルの影響(「IONA」)研究は、平均1.6年間追跡された安定狭心症を有する5126人の患者の無作為化プラセボ対照試験であり、これは、プラセボと比較して、ニコランジルで治療された患者において、冠状動脈心疾患、非致死性MI、又は胸痛を伴う計画外入院によって引き起こされる死亡の複合エンドポイントの低減を示した。しかしながら、研究されたIONAは、冠状動脈心疾患死又は非致死性心筋梗塞(MI)の二次転帰におけるいかなる差異の実証ももたらさず、複合エンドポイントの個々の構成要素は、2つの治療群の間で有意に異ならず、ニコランジルはまた、研究の終了時に狭心症の機能的ナダ心臓血管協会(Canadian Cardiovascular Society)分類の分布に影響を及ぼさなかった。それにもかかわらず、日本冠状動脈疾患(JCAD)研究からの傾向スコアマッチングに供されたニコランジルで処置された合計2558人の患者及び対照からのより最近の多施設観察データは、ニコランジルが安定狭心症を有する患者にある程度の長期心臓保護を付与し得、平均2.7年にわたってニコランジルで治療された患者において、総死亡率が35%減少し、心臓死が56%減少したことを実証する更なる証拠を提供した。ニコランジルについて提案された心臓保護機構には、心筋ミトコンドリア虚血プレコンディショニングのK+ATPチャネル活性化、長期内皮機能不全に対する保護、アテローム性動脈硬化症プラークの安定化、及び抗血小板効果を含む他の補助的特性が含まれる。予備的証拠はまた、ニコランジルが微小血管狭心症(MVA)患者における狭心症症状に対処するのに有効であることを示唆する。
【0010】
このようなプラスの効果を考えると、ニコランジルの最初の承認以来50年間に、何人かの研究者が、QDニコランジル製剤として役立ついくつかの提案された製剤を開発し、記載してきたことは驚くべきことではない。しかしながら、今日まで、このような製品を開発するための数人の研究者の努力にもかかわらず、ニコランジルの1日1回投与のための規制当局に承認された製剤はない。
【0011】
例えば、Reddyらは、「Once-Daily Sustained-Release Matrix Tablets ofNicorandil:Formulation and in vitro Evaluation」4 AAPS PharmSciTech No.4,480(December 2003)において、1日1回持続放出ニコランジル錠剤の製造に関する研究を発表した。Reddyによって研究されたニコランジル製剤(80mgのニコランジルを含有する)は、理論的な線形(0次速度論)放出パターンを模倣するという要望で開発された。著者らによれば、最も成功した製剤は、pHレベルの変化にもかかわらず、薬物放出において高い直線性を示した。しかしながら、Reddyによって行われた研究は、依然として同じ目標に到達することを目的とした追加の研究によって証明されるように、最終的に有効なQDニコランジル製品をもたらさなかった。例えば、Reddyの5年後、Abdelbaryらは、異なる提案された徐放性ニコランジル錠剤製品に関する研究を発表した(69 Eur.J.Pharmaceutics and Biopharmaceutics 1019-1028(2008))。Abdelbaryは、その好ましい製剤がニコランジルの治療濃度の持続時間を4時間から8時間に延長すると結論付けた。Reddy製剤と同様に、Abdelbaryに記載された製剤も、使用した試験条件におけるpHの変化にもかかわらず、線形パターンでニコランジルを放出した。Reddyと同様に、Abdelbaryの研究も、QDニコランジル製品の承認につながらず、その後、研究者らはその目標を達成することに取り組んだ。例えば、Pahadeらはまた、「ormulation and Development of Sustained Release Matrix Tablet of Nicorandil,4 Int’l J.Pharm.Sci.Rev.and Research No.1107-111(2010年9月~10月)」という研究を発表した。Pahade製剤も線形パターンで放出され、pHによる放出の変化は示されなかった。
【0012】
Pahadeの発表の1年後に、Tamilvananらは、更に別の提案された1日1回のニコランジル錠剤を含む研究を発表した。この研究は、著者らが、持続放出錠剤をもたらすことが知られている製剤技術を使用することによって、Reddyらの上記研究から逸脱し、それを改善しようと試みていると記載している(37、Drug Dev.Industrial Pharmacy No.4:436-445(2011年))。Tamilvananに記載された10個の持続放出錠剤製剤の全ては、試験条件で使用されるpHの変化にもかかわらず線形放出プロファイルを示し、好ましい製剤は、報告によれば、ニコランジルの最小有効濃度を報告によれば少なくとも8時間維持した。Tamilvananは、最適化され既に市販されているNIKORAN(登録商標)ODSR(「1日1回持続放出」)錠剤(Torrent Labs)からインビトロで放出されるニコランジルの持続時間及び強度が、(最適化された試験錠剤製剤で得られるよりも高いCmax及びAUC値にもかかわらず)研究者が開発した10の製剤のうちで最良の性能のものに「匹敵する」と結論付けた。Tamilvananは、これらの研究に関して他の矛盾した混乱した結論に達しているようである。例えば、著者らは、「剤形はインビボ持続放出プロファイルを示さず、インビトロ-インビボ相関は不十分である」と結論付けた。著者らはまた、初期の研究を引用して、血漿レベルが摂取後少なくとも8時間「最小有効濃度を超えたままである」ことを示唆しているが、最適化された試験製品の血漿中濃度及び10ng/mL未満のNIKORAN(登録商標)ODを反映するデータを提示している。
【0013】
Tamilvananらによって開発され、試験された10の持続放出製剤のうちの最良のものと比較して、NIKORAN(登録商標)ODの報告された好ましい性能(及び他の徐放性製剤の全てではないとしてもほとんどより優れた性能)にもかかわらず、NIKORAN(登録商標)ODは、今日まで、インドでの医薬用途にのみ承認されている。NIKORAN(登録商標)ODの開発が限られているのは、製品が冷蔵条件下(2~8℃)で5日間の貯蔵時間にしか関連していないという事実にも起因しており、これは、ニコランジルの安定性を維持しながらニコランジルの有意に調節された放出製剤を達成することが、資格のある薬物製造業者及び研究者であっても特に困難であり得ることを反映している。
【0014】
おそらくこの事実を考慮すると、いずれにしても、明らかに先行する研究のいずれにもまだ満足していないが、Kimらは、後に、徐放性ニコランジル錠剤に関する更に別の研究を公開し(10、Asian J.Pharm.Sciences 1108-113(2015))、同様に、試験した製剤からのニコランジル放出の線形パターン(明らかにpHによってほとんど影響されない)を報告している。しかしながら、この研究はまた、新しい市販のニコランジル製品をもたらさず、その結果が、更なる開発を支持するために先行技術を超える十分な改善であると見なされないか、又は安定特性などのその後の試験における他の理由で失敗したかのいずれかであることを示唆している。
【0015】
有効なQDニコランジル製品を作製するためのこれらの様々な試みにもかかわらず、これらの努力のいずれも、今日まで、成功裡に承認された(安全かつ有効な)1日1回(QD)ニコランジル製品、又は実際に、ニコランジルの制御放出に関してNIKORAN(登録商標)の性能を有意に改善し、好ましい安定特性を示す製品をもたらしていない。多くの試みにもかかわらずQDニコランジル製剤を開発することができなかったこのまとまった失敗は、例えば、信頼性があり安定したQDニコランジル製品を達成する際に、現在市販されているニコランジル製品よりも効果的に改善するニコランジル製剤を開発することが、発明性のある工夫の実行を必要とすることを実証している。
【0016】
構成、用語、及び頭字語
このセクションは、本開示を読むためのガイドラインを提供する。本開示の対象となる受け手(「読者」)は、本明細書で説明又は使用される技術の実施に通常の技能を有する者である。読者は「当業者」と呼ばれることもあり、そのような技術は「当該技術」と呼ばれる。「理解される」、「既知の」、及び「通常の意味」などの用語は、当業者の一般知識を指す。
【0017】
「矛盾しない」という用語は、当業者の知識に基づく本開示、論理、又は妥当性によって矛盾しないことを意味する。
【0018】
ここで開示されるのは、本発明のいくつかの異なるが関連する例示的な態様(例えば、「ケース」、「側面」、又は「実施形態」とも呼ばれる)である。本発明は、個々に記載されるような、及びそのような個々の態様の任意の組合せによって到達され得るような全ての態様を包含する。本発明の広さ及び範囲は、任意の例示的な実施形態(複数可)によって限定されるべきではない。本開示のいかなる文言も、明示的に述べられていない限り、本発明の実施に不可欠な要素を示すと解釈されるべきではない。矛盾しない限り、任意の態様(複数可)を任意の他の態様(複数可)と組み合わせることができる。
【0019】
矛盾しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語/科学用語は、本明細書で提供される任意のより狭い例又は説明(最初に引用で導入された任意の用語を含む)にかかわらず、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。しかしながら、ここで提供される特定の説明に関連する要素、工程などを含むことによって特徴付けられる態様は、本発明の別個の実施形態である。矛盾しない限り、既知の用語を使用する任意の態様の開示であって、その用語が本開示において例又はその他によって狭められている開示は、そのような用語が当業者の最も広い妥当な解釈を使用して代替的に解釈される関連する態様を暗黙的に開示する。
【0020】
矛盾しない限り、「又は」は、本明細書では、「及び/又は」の任意の必要に応じた包含にかかわらず「及び/又は」を意味する(例えば、「A、B、又はC」及び「A、B、及び/又はC」などの語句は、(1)A、B、及びC、(2)A及びC、(3)A及びB、(4)B及びC、(5)Aのみ、(6)Bのみ、及び(7)Cのみを含む態様を同時に開示する(及び「A又はB」、「A又はC」などのサブグループ化もサポートする))。場合によっては、「及び/又は」は、この一般的な構築規則を強調するために、「又は」に関連して使用される。
【0021】
矛盾しない限り、「また(also)」は、「追加的に又は代替的に」を意味する。矛盾しない限り、「ここで」及び「本明細書で」は、「本開示において」を意味する。「i.a.」という用語は、「とりわけ」又は「特に」を意味する。「としても知られる」は、「aka」又は「AKA」と略記される。「他の場所」は、「本明細書の他の場所」を意味する。
【0022】
簡潔にするために、必要に応じて記号が使用される。例えば、「&」は「及び」に使用され、「~」は「約」に使用される。<及び>などの記号には、それらの通常の意味が与えられる(例えば、「≦」は「以下」を意味し、「≧」は「以上」を意味する)。スラッシュ「/」は、「又は」(「A/B」は「A又はB」を意味する)を表すことができ、又は文脈から明らかなように、要素の同義語を特定することができる。
【0023】
要素又は工程の後に「(複数可)」を含むことは、そのような要素が1つ以上存在すること、工程が実行されることなどを示す。例えば、「要素(複数可)」は、その各々が本発明の独立した態様であるという理解の下で、1つの要素又は2つ以上の要素の両方を意味する。
【0024】
要素/工程のリストに関連した略語「など」(又は「その他」)(又は語句「など」)の使用は、列挙された要素/工程の任意の又は全ての適切な組合せ、又は当該技術で知られているそのような要素/工程の機能(複数可)を達成するためのそのような列挙された要素/工程の任意の既知の均等物を意味する。列挙された要素/工程に関する「及び組合せ」、又は「又は組合せ」などの用語は、そのような要素/工程の任意の又は全ての可能な/適切な組合せを意味する。
【0025】
態様は、本明細書で開示される使用(複数可)に好適なものとして説明され得る。矛盾しない限り、「適合性」などの用語は、特定の機能を実行する/特定の状態(複数可)/結果(複数可)を達成するために許容される又は適切であることを意味し、典型的には、この用語が使用される文脈において有効であり、実用的であり、有害でない/無害であることを意味する。例えば、矛盾しない限り、「適切な」という用語は、有意な負の/有害な影響を引き起こすか又は与えることなく、適切であるか、許容されるか、又は文脈において十分であるか、又は意図された機能の少なくとも概ね又は実質的に全てを提供することを意味する。
【0026】
矛盾しない限り、見出し(複数可)(例えば、「構成、用語、...」)及び小見出しは、便宜上含まれており、任意の態様(複数可)の範囲を限定するものではない。矛盾しない限り、1つの見出しの下に記載された態様(複数可)、工程(複数可)、又は要素(複数可)は、本明細書の他の態様(複数可)又は工程(複数可)/要素(複数可)に適用することができる。
【0027】
値の範囲は、範囲の各値を明示的に書く必要なく、範囲の最小終点の大きさの桁内にあるような範囲内に入る各値を表すために使用される。例えば、1~2の列挙された範囲は、1.0、1.1、1.2...1.9、及び2.0の各々を暗黙的に開示し、10~100は、10、11、12、...98、99、及び100の各々を暗黙的に開示する。矛盾しない限り、全ての範囲は、範囲がどのように記載されているかにかかわらず、範囲の終点を含む。例えば、「1~5の間」は、2、3、及び4に加えて1及び5を含む(並びにこのような端点の大きさのオーダー内のこのような数の間の全ての数、例えば、1.0、1.1、...4.9、及び5.0を含む)。誤解を避けるために、範囲内の任意の数は、その数の大きさの程度にかかわらず、その範囲によってカバーされる(例えば、2~20の範囲は18.593をカバーする)。
【0028】
近似の用語(例えば、「約」、「~」、又は「およそ」)は、(1)関連する値のセットを指すために、又は(2)正確な値を定義することが困難な場合(例えば、測定の限界のため)に使用される。矛盾しない限り、本明細書で提供される全ての正確な値は、対応する近似値を同時に/暗黙的に開示し、逆もまた同様である(例えば、「約10」の開示は、そのような態様/説明における正確な10の使用に対する明示的なサポートを提供する)。近似値(複数可)で記載される範囲は、提示にかかわらず、各近似終点によって包含される全ての値を含む(例えば、「約10~20」は、「約10~約20」と同じ意味を有する)。おおよその用語によって包含される値(複数可)の範囲は、開示の文脈、重要度又は運用性、統計的優位性、当該技術における理解などに依存する。要素についての本明細書又は当該技術におけるガイダンスがない場合、「約」などの用語は、要素に関連して使用されるとき、示された値の±10%として解釈されるべきであり、±5%、±2%、±1%、±0.5%を暗黙的に開示する。
【0029】
態様、要素、工程、及び特徴のリストが、簡潔にするために使用されることがある。示されない限り、各リストの各メンバーは、独立した態様と見なされるべきである。リストの任意の個々のメンバーによって定義される各態様は、リストの他のメンバーによって特徴付けられる態様に対して非自明な特性を有することができ、しばしば有することになる。
【0030】
否定されない限り、用語「a」及び「an」及び「the」並びに類似の指示対象は、参照される要素、工程、又は態様の単数形及び複数形の両方を包含する。本明細書において、単数形の用語は、複数形を暗黙的に伝え、逆もまた同様である(言い換えれば、要素/工程の開示は、そのような/類似の要素/工程の対応する使用を暗黙的に開示し、逆もまた同様である)。したがって、例えば、X工程を含む一態様に関する節は、いくつかのX工程を含む対応する態様をサポートする。段落、文、態様、又は請求項における1つの要素/工程又は特徴に関する「1つの(a)」及び別の要素/工程又は特徴に関する「1つ以上の(one or more)」などの指示対象のいかなる混合使用も、そのような指示対象の意味を変更しない。したがって、例えば、段落が「1つのX」及び「1つ以上のY」を含む組成物を記載する場合、その段落は、「1つ以上のX」及び「1つ以上のY」の開示を提供するものとして理解されるべきである。
【0031】
「有意な」及び「有意に」とは、所与の文脈において1以上の適切な試験(複数可)/試行(複数可)を使用して統計的に有意である結果/特徴を意味する(例えば、p≦0.05/0.01)。「検出可能な」は、既知の検出ツール/技術を使用して測定可能に存在する/異なることを意味する。頭字語「DOS」(又は「DoS」)は、「検出可能(に)又は有意(に)」を意味する。
【0032】
矛盾しない限り、ここで測定単位(例えば、50の重量若しくは20の長さ)を伴わない任意の値、同じ要素/工程若しくは同じタイプの要素/工程に対して以前に提供された任意の単位が適用されるか、又はそのような開示が存在しない場合、当該技術においてそのような要素/工程に関連して最も一般的に使用される単位が適用される。
【0033】
矛盾しない限り、用語「含む(including)」、「含有する(containing)」、「含む(comprising)」、及び「有する(having)」は、「含むが、これに限定されない」又は「含むが、これに限定されない」を意味する。要素/工程に関して含む(comprising)及び含む(including)などの用語の矛盾のない使用は、要素の任意の検出可能な数若しくは量を含むこと、又は工程の任意の検出可能な性能/工程の数を(他の要素/工程の有無にかかわらず)含むことを意味する。
【0034】
簡潔にするために、集合/全体(例えば、システム、デバイス、又は組成物)に関して、要素を「備える(comprising)」又は「含む(including)」態様の説明は、任意の検出可能な量/数又は(例えば、システム、デバイス、又は組成物)に対するサポートを暗黙的に提供する、又は全体/集合の≧約1%、≧約5%、≧約10%、≧約20%、≧約25%、≧約33%、≧約50%、≧約51%、≧約66%、≧約75%、≧約90%、≧約95%、≧約99%、若しくは約100%が要素から構成されるか、又は全体/集合の本質的に全てが要素から構成される(すなわち、集合が本質的に参照要素からなる)。同様に、効果/結果に関して工程を含むものとして記載された方法は、参照された工程のサポートを暗黙的に提供し、効果/結果の≧約1%、≧約5%、≧約10%、≧約20%、≧約25%、≧約33%、≧約50%、≧約51%、≧約66%、≧約75%、≧約90%、≧約95%、≧約99%、若しくは約100%を提供し、実行された工程/努力の≧約1%、≧約5%、≧約10%、≧約20%、≧約25%、≧約33%、≧約50%、≧約51%、≧約66%、≧約75%、≧約90%、≧約95%、≧約99%、若しくは約100%を表す、又はその両方である。態様に関連する要素/工程の百分率の明示的な列挙は、そのような暗黙的な開示を限定又は矛盾しない。
【0035】
矛盾しない限り、方法の工程に関連して使用される場合の「含む」などの用語は、工程を1回、≧2回、又は関連する機能/効果が達成されるまで実施するための暗黙のサポートを提供する。
【0036】
矛盾しない限り、「1つ」という用語は、列挙された要素若しくは工程、又はその両方の単一のタイプ、単一の反復/コピー/ことを意味し、これは文脈から明らかであろう。例えば、組成物の成分と共に使用される指示対象「1つ」は、1つのタイプの要素(組成物中の成分の場合のように多数のコピーで存在し得る)、要素の1つの単位、又はその両方を指すことができる。同様に、システムの「1つの」構成要素、「単一の」構成要素、又は「唯一の構成要素」は、典型的には、1タイプの要素(多数のコピーで存在し得る)、1インスタンス/単位の要素、又はその両方を意味する。更に、方法の「1つの」工程は、通常、1つのタイプのアクション(工程)、工程の1回の反復、又はその両方を実行することを意味する。矛盾しない限り、「1つの」要素の開示は、両方に対するサポートを提供するが、矛盾しない限り、任意の「1つの」要素に対する任意の請求項は、そのような要素の1つのタイプ(例えば、組成物/システムの構成要素)を意味する。
【0037】
「いくつかの」という用語は、≧2コピー/インスタンス、又は列挙された集合/全体の≧5%が要素であるか、又は要素から構成されることを意味する。方法に関して、ある意味は、効果、努力、又はその両方の≧5%が、工程から構成されるか、若しくは工程に起因することを意味し(例えば、「方法の一部が工程Yによって行われる」のように)、又は工程が≧2回行われることを示す(例えば、「工程Xがある回数繰り返される」のように)。「主に」、「ほとんどの」、又は「ほとんど」は、検出可能に>50%を意味する(例えば、ほとんど含む、主に含むなど、>50%を意味する)(例えば、要素Xをほとんど含むシステムは、要素Xの>50%から構成される)。「概ね」という用語は、≧75%を意味する(例えば、概ねなる、概ね関連付けられる、概ね含むなどは、≧75%を意味する)(例えば、工程Xから概ねなる方法は、方法の努力又は効果の75%が工程Xに起因することを意味する)。「実質的に」又は「ほぼ」とは、≧95%を意味する(例えば、ほぼ全て、実質的に構成されるなどは、≧95%を意味する)(例えば、ほぼ完全に要素Xで構成される集合体は、集合体中の要素の少なくとも95%が要素Xであることを意味する)。要素を「概ね含まない」又は要素を「概ね欠く」などの用語は、要素の≦約25%を含むことを意味し、要素を「実質的に含まない」などの用語は、要素の≦約5%を含むことを意味する。
【0038】
矛盾しない限り、任意選択的に存在する要素(複数可)/工程(複数可)に関して記載される任意の態様はまた、関連する態様に関して、そのような要素(複数可)のうちの1つ、いくつか、ほとんど、概ね全て、ほぼ全て、本質的に全て、又は全てが欠けている/実行されない工程(複数可)である対応する態様の暗黙的なサポートを提供する。例えば、要素Xを含むシステムの開示は、要素Xを欠くシステムも暗黙的にサポートする。
【0039】
矛盾しない限り、用語の時制又は表現の変更(例えば、「主に含む(comprises predominately)の代わりに「主に含む(predominately comprises)」を使用すること)は、対応する用語/語句の意味を変更しない。
【0040】
矛盾しない限り、本明細書で提供される全ての方法は、提示にかかわらず、任意の好適な順序で行うことができる(例えば、工程A、B、及びCを含む方法は、C、B、及びAの順序で、B及びA及びCを同時に、などで実行することができる)。組成物の矛盾しない要素は、任意の適切な方法によって任意の適切な様式で組み立てることができる。一般に、本明細書に記載されるものと類似又は同等の任意の方法及び材料を、実施形態の実施において使用することができる。矛盾しない限り、「第1」、「第2」、「第3」などの序数の使用は、それらの要素の特定の順序を示すのではなく、それぞれの要素を区別するためのものである。
【0041】
矛盾しない限り、任意の要素、工程、構成要素、又は態様の特徴及びそれらの全ての変形などは、本発明の範囲内である。
【0042】
機能に関連付けられた要素は、組成物/デバイス/システムにおいて機能を実行する「ための手段」又は方法の一部を実行する「ための工程」として説明することができ、本開示の一部は、開示された手段(複数可)/工程(複数可)に関連付けられた参照された機能を達成するための当該技術で知られている均等物を意味する「均等物」を指す。しかしながら、本開示又は特許請求の範囲の要素は、そのような意図が「ための手段」又は「ための工程」という用語の使用によって明確に示されない限り、「ミーンズプラスファンクション」構成に限定されるものとして解釈されるべきではない。「ように構成される」又は「ように適合される」などの用語は、「ミーンズプラスファンクション」の解釈を示すのではなく、むしろ、本明細書で又は当該技術で提供される教示を使用して、ある特定の性能、特性、性質などを達成するように構成される、設計される、選択される、又は適合される要素(複数可)/工程(複数可)を説明する。
【0043】
上記で引用した全ての参考文献(例えば、出版物、特許出願、及び特許)は、各参考文献が参照により組み込まれることが個別にかつ具体的に示され、その全体が本明細書に記載されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾しない限り、そのような参考文献(集合的に「教示」)の任意の好適な原理、方法、又は要素は、態様と組み合わせられるか、又は態様に適合させることができる。しかしながら、特許文献の引用/組込みは、その技術的開示に限定され、その有効性や特許性などに関する見解を反映するものではない。本開示とそのような文書の教示との間に何らかの矛盾が生じた場合、本開示の内容が本発明の態様に関して支配する。既知の情報を簡潔に組み込み、当業者が態様を実施するのを助けるために、多数の参考文献が本明細書で引用される。そのような目的のために最も関連する参考文献を含める努力がなされてきたが、読者は、全ての引用された参考文献の全ての態様が本発明の全ての態様に適用されるわけではないことを理解するであろう。
【0044】
追加の用語、概念、及び頭字語
特定の用語及び頭字語の以下の説明は、読者が本発明を理解するのを助けるために提供される。追加の頭字語は、本開示の他の部分においてのみ提供され得、当該技術でよく知られている頭字語は、ここでは提供されないことがある。
【0045】
矛盾しない限り、要素又は成分(例えば、組成物又は成分)の重量の任意の記載は、重量パーセント(場合によっては、代替的に「重量%(wt.%)」又は「重量%(wt.%)」として提示される)を参照する。
【0046】
「NCD」という用語は、本明細書において「ニコランジル」を指すために使用されることがある。「NCDC」という用語は、ニコランジル化合物(他の箇所に記載される)を指すために本明細書で使用されることがある。
【0047】
明示的に示されるか又は文脈によって明確に示される場合を除いて、本明細書における「改善」とは、好ましい特徴(例えば、投与後12、14、16、又は18時間で存在するニコランジルの量、投与後の心臓血管の拡張/拡大における有意な増加の期間など)に関して「増加」したこと、及び負の特徴(例えば、投与後1、2、又は3時間以内に放出されるニコランジルの量、有害事象の頻度/重篤度、傷害性など)に関して「減少」したことを意味する。矛盾しない限り、「強化」、「改善」などの用語は、同義的に使用される。
【0048】
「薬学的適合性」、「薬学的に好適な」、「薬学的に許容される」、及び類似の語句は、典型的には、規制当局の審査によって判断され得るように、及び例えば、一般的に普及している規制当局の基準に従って行われる1つ以上の十分に制御された適切な臨床研究によって確立されるように、薬学的投与及び適用に安全かつ有効であり、薬学的適用に十分な効力、純度、強度、質、及び安全性を有する組成物を指すために使用される。矛盾しない限り、「適合性」の記載は、言及された要素、工程などが、薬学的に適切であるか、又はそうでなければ医学的に適切である(例えば、適切な非臨床/臨床試験によって決定されるように安全かつ有効である)ことを暗黙的に意味する。
【0049】
本明細書に記載される賦形剤及び活性成分は、典型的には「有効量」で存在すると理解され、矛盾しない限り、任意の記載されるクラスの活性成分、賦形剤クラス、賦形剤のコレクション、又は特定の賦形剤は、関連する組成物/製剤中に有効量で存在すると理解され、これは、概ね、この文脈において、参照される活性成分又は賦形剤に関連する記載される機能に有効な量を意味する(いくつかの賦形剤化合物(複数可)/成分(複数可)は2つ以上の効果を示すと理解される)。例えば、等張化剤は、示された張性効果、組成物の適合性に必要とされる張性効果、又は組成物に有意な張性効果を付与する効果を(化合物(複数可)/成分(複数可)を欠く比較組成物に対して)付与するのに有効な量で組成物/製剤中に存在すると理解される。
【0050】
組成物の一部、例えば、あるクラス/タイプの賦形剤又はあるクラス/タイプの賦形剤を主に若しくは概ね含むか又はそれからなる部分は、本明細書では「成分」と呼ぶことができ、例えば、「崩壊剤/結合剤成分」は、1つ以上のタイプの結合剤、崩壊剤、又はその両方を含み得る)。賦形剤はまた、2つ以上のタイプの化合物の組合せを含み得る成分に関して記載することができる(例えば、PROSOLV賦形剤などのSMCCは、微結晶性セルロース及びコロイド状シリコーンの両方を含む)。読者は、いくつかの賦形剤化合物(複数可)/成分(複数可)が2つ以上の効果を示すことができることを理解するであろう。例えば、結合剤は崩壊剤として作用してもよく、逆もまた同様である。
【0051】
本開示で使用される薬物動態用語は、当該技術で一般に理解されており、本明細書で提供されるそのような用語の任意の説明は、その範囲を限定することなく、そのような用語を例示するか、又はそのような用語の特定の例示的な理解を説明するためのものである。用語「Cmax」(Cmaxとして表されることもある)は、概ね、観察された最大血漿濃度又は濃度対時間曲線から計算若しくは推定された最大血漿濃度として理解され、典型的にはng/mlの単位で表される。用語「Tmax」は、Cmaxが生じる投与後の時間を意味すると理解され、通常、時間(時間)の単位で表される。「定常状態」という用語は、所与の薬物(ここではNCDC(複数可))についての血漿濃度曲線が、製剤の反復投与の後に実質的に変動しない状態を指すと理解される。相対的生物学的利用能は、典型的には、試験組成物について決定された血液(血清又は血漿)中の濃度対時間曲線下面積(AUC)を、参照組成物によって提供される血液中のAUCで割ったものとして測定される。生物学的同等性は、典型的には、2つの処置に関して、対数変換された曝露測定値の比の90%信頼区間(AUC及び/又はCmax)が80~125%の範囲内に完全に収まることを意味すると理解される。
【0052】
矛盾しない限り、「担体」及び「賦形剤」などの用語は、一般にNCDC(複数可)、又はそれに関連して活性成分として記載される特定のNDCD(複数可)の物理的及び化学的特性と適合する、当業者に公知の任意の生理学的に不活性で薬理学的に不活性な材料を意味する。薬学的に許容される賦形剤としては、ポリマー、樹脂、可塑剤、充填剤、結合剤、潤滑剤、滑剤、崩壊剤、懸濁化剤、解膠剤、溶媒、共溶媒、緩衝系、界面活性剤、保存剤、甘味剤、香味剤、医薬品グレードの染料又は顔料、及び粘性剤、並びに本明細書に例示/記載されている他のものが挙げられ、これらのいずれか又は全ては、本発明の組成物中に、適切に、有効量で存在することができる。
【0053】
態様では、「担体」又は「ビヒクル」という用語は、他の成分(例えば、剤形)の送達を主に又は完全に対象とする組成物の成分を説明するために代替的に使用される。例えば、担体は、1、2、又はそれ以上の製剤を含む1、2、3、4、又はそれ以上の錠剤剤形を担持するカプセルとすることができる。「送達促進成分」という用語が、このような用語との混同を避けるために使用されることがある。このような成分はまた、本明細書中でしばしばカプセルとして例示されるが、NCDC含有物質を担持するための他の代替形態が、適切な場合、代替的に使用され得る。
【0054】
本明細書に記載の医薬組成物に適した例示的な成分は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第19版(ペンシルバニア州イーストン:Mack Publishing Company,1995年);Hoover,John E.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.、ペンシルバニア州イーストン、1975年;Liberman,H.A.及びLachman,L.編,Pharmaceutical Dosage Forms,Marcel Decker、ニューヨーク州ニューヨーク,1980年;及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版(Lippincott Williams&Wilkinson 999)に見出され得る。
【0055】
「組成物」という用語は、矛盾しない限り、本開示全体にわたって記載される様々な生理化学的特性、生理的/治療効果、組成特性などのうちの1つ以上を示す、1つ以上のNCDC及び制御/調節放出製剤を含む、本発明の組成物を意味する。
【0056】
矛盾しない限り、本明細書で更に記載又は例示されていない技術又は構成要素/要素(例えば、標準安定試験条件)に関して本明細書で使用される「標準」という用語は、主要な規制当局(例えば、USのFDA、EUのEMA、中国のNMPA、日本のPMDA、カナダ保健省(Health Canada)、インドのCDSCOなど)によって適用される標準、又は当該技術で最も一般的に使用される標準のいずれかを意味する。
【0057】
矛盾しない限り、活性医薬成分(API)、ここでは典型的にはNCDC(複数可)、又は組成物の「治療有効量」は、典型的には、研究者、医師、又は他の臨床医によって求められている組織、系、動物、又はヒトの意図された(典型的には有意な)生物学的又は医学的応答を誘発する化合物又は医薬組成物の量を意味する。態様では、治療有効量は、ヒト対象/患者における少なくとも1つ又は少なくとも2つの十分に制御された適切な臨床研究によって実証される(例えば、薬学的承認のために十分であると考えられる)。本明細書において、「臨床的に関連する有効性」は、典型的には、研究者、医師、又は他の臨床医によって求められる標的組織、系、動物、又はヒトの中又は上で、検出可能な又は有意な意図された効果又は生物医学的若しくは医学的応答(典型的には有意)を示すことを意味する。本明細書において、薬物の「臨床的に関連するレベル」は、標的化された組織、系、動物、又はヒトの中又は上で、検出可能な若しくは有意な意図された効果又は生物医学的若しくは医学的応答(典型的には有意)を生じるのに十分なレベルである。そのような用語で本明細書に記載される任意の組成物は、この段落で提供される特徴を有する態様を開示するものとして理解されるであろう。
【0058】
「医薬組成物」、「製剤」などの用語、又はその成分(例えば、サブ組成物剤形、成分、又は部分)は、本明細書において一般的に記載又は参照される組成物を記載するために使用されるとき、任意の適切な剤形、典型的には、顆粒、マルチユニット微粒子系(MUPS)、ペレット、球体、錠剤、分散性錠剤、軟カプセル、硬カプセル、ミニ錠剤、ビーズ、粒子などの固体剤形、及び溶液、懸濁液、エマルジョン、コロイドなどの液体剤形を含み、これらは、態様では、経口投与に適合させることができる。
【0059】
「pH応答性」及び「pH感受性」などの用語は、本明細書において、成分、賦形剤/成分、又は組成物を指すために使用されるとき、参照される要素が、異なるpH条件(例えば、高酸性条件(約0.5~3、例えば、0.75~2.5、又は0.5~2、0.75~2.25、0.5~1.5、0.75~1.5、0.8~1.4、又は1~1.5、例えば、約1.2又は1.2のpH)の存在、中性/中性に近い条件(例えば、約6.5~7.5、例えば、約7のpH)、又はアルカリ性条件(例えば、約8、8.5、9、又はそれ以上のpH)、又は腸の1つ以上の部分に関連する条件の存在(例えば、図26に示されるような)に基づいて、組成物、機能、特性などの検出可能な又は有意な変化を示すことを意味する。pH応答性でない要素は、pH非感受性、一般の、又はpH非依存性などと記載することができる。
【0060】
「Ikorel」及び「Nikoran」という用語並びにそれらの様々な形態(大文字で書かれている場合もあれば、大文字で書かれていない場合もある)は、本出願の出願日として(及び該当する場合には、関連する規制出願/市場認可文書に記載されているように)それらのそれぞれの製造業者(それぞれSanofi又はTorrent Pharmaceuticals)によってこれらのブランド名で市販されている製品のいずれかを指す。読者は、それぞれのそのような用語を対応する製剤で置き換えることができ、比較は、ニコランジルに限定されてもされなくてもよいNCDC(複数可)に関するそのような製剤の性能に対して行われることを理解するであろう。
【0061】
本明細書で提供される組成物は、態様では、「調節」放出組成物として特徴付けることができる。この文脈における「調節」という用語は、主要なニコランジル製剤(例えば、Ikorel及びNikoran)と比較して、そのような組成物の異なる特徴を指す。
【0062】
本明細書の組成物は、「制御」放出成分/製剤又は「持続放出」成分/製剤として記載され得る成分を含むことができる。これらの用語は、同様に、以下に提供される実施例において例示されるように、現在の主要な市販製品と比較して、そのような製剤からのNCDC(複数可)の比較的長い放出を説明するために使用される。矛盾しない限り、「制御放出」という用語は、NCDCを含有する組成物を取り囲む媒体中のNCDCの出現/放出の時間経過が、別の組成物、典型的には即時放出組成物(例えば、Ikoreal製剤組成物)と比較してDOSに調節されていることを意味する。読者は、「制御放出」などの用語が、「遅延放出」及び「徐放性」製剤/要素を包含するか、又は少なくとも暗黙的な支持を提供することを理解するであろう。矛盾しない限り、「徐放性」という用語は、ヒト患者などの対象への投与後、少なくとも約12、約14、又は約18時間の期間にわたって検出可能な又は有意な放出を有することを特徴とする組成物を指す。本発明の組成物は、本明細書に例示されるように、このような特性によって特徴付けることができる。制御放出は、典型的には、NCDC(複数可)が関連材料(成分、製剤、マトリックスなど)から検出可能に又は有意に(DOS)放出される時間の約20~80%、25~75%、20~60%、25~50%、15~60%、15~75%、20~33%、15~33%、又は12.5%~50%などの少なくとも有意な期間にわたって予測可能な放出を意味する。態様では、制御放出製剤は、徐放性/持続放出成分(例えば、即時放出、より速い放出成分、又はその両方よりも有意に長い放出を反映する放出プロファイルを有する)、遅延放出(例えば、即時放出形態、より速い放出形態、又はその両方と比較して、放出量、放出関係などの有意な遅延を反映する放出プロファイル)、又はその両方として特徴付けることができ、あるいはそのようなものとして記述可能な成分を含むことができる。態様では、制御放出組成物/製剤は、即時放出、早期放出、又は急速放出成分として特徴付けることができる成分を含むことができる。いずれの場合も、そのような制御放出は、とりわけ、本明細書に記載される制御放出製剤の使用を通して、当該技術で公知の同等の手段又は本明細書で提供される様々な実施形態及び態様に記載されるものと同じ機能特性を有する成分を使用して、提供/取得することができる。
【0063】
態様では、「制御放出」製剤/成分は、副作用を最小限に抑えながら(例えば、以下の実施例に例示されるように、標的プロファイル/放出を満たしながら)、所定の期間にわたっておおよその/有意に一定の薬物濃度を維持するために、とりわけ、所定の放出速度を示す。
【0064】
態様では、調節された(例えば、持続放出、遅延放出、又は遅延及び持続放出)成分/組成物は、組成物によって提供されるか、又は本発明の組成物において使用され、いずれの場合も、例えば、典型的には有意な遅延又は休止なしに溶解を示し、薬物が吸収及び薬理作用のために投与直後に有効に利用可能である即時放出プロファイルと区別することができる。
【0065】
矛盾しない限り、本明細書における「即時放出組成物」は、投与の数分以内に有意な放出を示し、典型的には投与の約30分以内に放出の≧85%を達成する組成物である。
【0066】
更に代替的に、製剤は、「腸放出標的化」又は「胃放出標的化」(「上部胃腸(GI)管放出標的化」)として記載され得る。そのような用語は、必ずしも任意の特定の特異的親和性要素/成分を指すことを意図するものではなく、むしろ、そのような組成物の所与の溶解特性では、そのような製剤/成分中のNCDCのほとんど、概ね全て、又は実質的に全てが、ヒトのGI管のそのような部分で放出されることになる。
【0067】
態様では、制御放出製剤は、追加的に又は代替的に、ある期間にわたるある特定のpH条件下などのある特定の条件下でAPI(複数可)をほとんど、概ね、又は本質的にのみ放出することに基づいて特徴付けることができる。
【0068】
この点において、要素/製剤は、「胃酸溶解感受性」(GADS)又は「胃酸溶解耐性」(GADR)と記載することができる。例えば、組成物は、GADS成分(GADSC)及びGADR成分(GADRC)を含むことができる。GADSという名称は、例えば、GADS要素/成分中のNCDC(複数可)のほとんど、概ね全て、又は実質的に全てが、このような条件下で、このような溶解媒体と接触して約2~7時間で放出されることによって(インビトロであれインビボであれ、後者は胃の通常の酸性条件を反映する)、胃酸条件(例えば、pH約1.2)で溶解しやすい製剤/要素を指すために使用される。対照的に、GADR要素/成分がそのような溶解媒体と接触しているとき、例えば、GADR要素/成分中のNCDCのほとんど、概ね全て、又は実質的に全て/本質的に全て、又は全てが溶解しないことによって、GADR要素/成分は胃酸条件下で著しく少ない溶解を示す。組成物のGADRC及びGADCのそれぞれ又は両方は、1つ以上の、態様では複数の剤形、例えば錠剤を含むことができる。
【0069】
固体剤形製剤は、態様では、「マトリックス」製剤として、又はマトリックス製剤を含むものとして特徴付けることができる。本発明の製剤、成分、又は組成物に適用される「マトリックス」という用語は、薬物(ここではNCDC(複数可))がポリマーネットワーク内に分子的に又は固体薬物粒子として分散されている薬物送達系を指すものとして理解される。そのようなネットワークは、複数の異なるタイプのポリマー(例えば、デンプン結合剤及びセルロースポリマー制御放出ポリマー)の組合せによって形成することができ、任意の好適な形態で存在することができる。したがって、「ネットワーク」及び「マトリックス」という用語は、そのような製剤を、本開示で提供されるもの以外の任意の特定のタイプの構造的特徴を有する組成物、又は開示された製剤中に本質的に存在し、当業者によって認識可能な組成物に限定しないものとして読者によって理解される。本明細書に開示される任意の好適な固体製剤又は剤形は、態様では、そのようなマトリックス製剤(例えば、制御放出マトリックス製剤と称され得る)を含むものとして特徴付けることができる。
【0070】
場合によっては、要素/構成要素は、放出の「パルス」に関して説明される。例えば、本発明の組成物は、胃酸溶解条件などの酸性条件下で第1の放出/パルスを示し、腸様条件下(例えば、少なくとも約5.5以上のより高いpH)などで第2のパルス/放出を示すことができる。したがって、本明細書に記載される組成物/製剤は、態様では、「2パルス」又は「2パルス放出」組成物/製剤と称される。
【0071】
本発明の組成物の要素/成分の異なるがしばしば重複する特徴を考慮して、この説明が、異なる製剤(例えば、第1の製剤及び第2の製剤)を有するか、又は異なる機能特性(第1の制御放出製剤及び第2の制御放出製剤)を有する成分、要素、剤形などに言及する場合がある。読者は、そのような用語が、本セクションに記載される他の特性の一部又は全部を含み得る、異なる、多くの場合実質的に異なる特性及び性能特性を有する製剤を説明するために使用されることを理解するであろう。
【発明の概要】
【0072】
読者の便宜のために、本発明の特定の要素が、この発明の概要(「概要」)に記載される。しかしながら、読者は、この概要が包括的であることを意図しておらず、本発明の範囲が、この概要において提供される態様、特徴、要素、又は実施形態に限定されず、又はこれらによって限定されないことを理解するであろう。このセクションの下で説明される態様のいずれも、このセクションにおいて説明される任意の他の態様、又は本開示の任意の他の態様と組み合わせることができる。
【0073】
本発明は、有効量の1つ以上のニコランジル化合物を制御放出製剤中に含む新規医薬組成物であって、制御放出製剤が、ヒト患者に投与してから12、14、16、又は18時間後に該製剤からニコランジルを検出可能に又は有意に放出する新規医薬組成物を提供する。組成物は、典型的には、第1の放出成分及び第2の放出成分を含み、第1の放出成分は、第2の放出成分よりも高pH(胃酸様)条件でニコランジル化合物を放出しやすく、第2の放出成分は、胃酸様溶解媒体(例えば、1.2のpHを有する媒体)との接触の2、4、又は6時間後に、第2の放出成分中のニコランジル化合物を比較的少量(例えば、20%未満、15%未満、又は10%未満)放出する。態様では、第1の放出成分は複数の剤形(例えば、錠剤)を含み、第2の放出成分は複数の剤形(例えば、pH応答性ポリマーコーティング錠剤)を含み、両方のタイプの剤形がビヒクル/送達系(例えば、カプセル)に含有される。態様は、検出可能に又は有意に安定性を促進し、態様では、ある特定の安定性目標、純度目標、又はその両方を達成する条件下で(低水分賦形剤を用いて、乾燥剤を用いて、環境隔離パッケージ(例えば、ブリスターパッケージ)を用いて、又はそれらの組合せで)保存されるそのような組成物を含む。本発明の態様は更に、例えば、種々の生理学的状態(例えば、インビボ一酸化窒素濃度、血管直径など)を調節するため、又は種々の状態(例えば、1つ以上の形態の狭心症)を処置するために、このような組成物を使用する方法を含む。
【0074】
そのような組成物の例示的な一実施形態では、本発明は、胃酸溶解感受性成分(GADSC)及び胃酸溶解耐性成分(GADRC)を含む制御放出製剤中に集合的に含有される治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、組成物をpH1.2の溶解媒体と約4時間又は約6時間接触させて維持すると、(1)GADRCは、GADRCにおいて、GADSCから放出される1つ以上のニコランジル化合物の割合よりも統計的に有意に小さい割合の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(2)組成物は、組成物中に含有される1つ以上のニコランジル化合物の50%以下を放出する、薬学的に許容される組成物を提供する。
【0075】
更なる態様では、GADRCはまた、追加的に又は代替的に、1.2のpHを有する溶解媒体との約4時間又は約6時間の接触時に、GADRC中に含有される1つ以上のニコランジル化合物の20%以下を放出する。
【0076】
更なる態様では、GADSCは、追加的に又は代替的に、約1.2のpHを有する溶解媒体又は約6.8のpHを有する溶解媒体との接触の6時間後に、GADSC中に最初に存在する1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも33%の放出及び少なくとも約5%の保持を可能にする量の1つ以上の放出遅延/耐性ポリマーを含む制御放出製剤を含む。
【0077】
一実施形態では、GADRCは、追加的に又は代替的に、約6.8のpHを有する溶解媒体との接触から6時間後にGADRC中に最初に存在する1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも33%を放出し、1.2のpHを有する溶解媒体との接触から6時間後にGADRC中に最初に存在する1つ以上のニコランジル化合物の20%以下を放出するのに有効な量の1つ以上のpH応答性ポリマーを含む。
【0078】
態様では、GADSCは、追加的に又は代替的に、治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物の第1の部分を含み、GADRCは、治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物の第2の部分を含み、第1の部分は、組成物中の1つ以上のニコランジル化合物の30~70%を含む。
【0079】
態様では、1つ以上のニコランジル化合物は、ニコランジルである。態様では、組成物中の有効量のニコランジルは、15~90mgのニコランジル、15~75mgのニコランジル、又は15~60mg(例えば、25~100、30~90、30~120、35~105、又は35~70mg)のニコランジルである。
【0080】
実施形態では、組成物は、追加的に又は代替的に、1~5個又は2~5個のGADSC剤形及び1~5個又は2~5個のGADRC剤形から構成される3個の別個の剤形を含み、別個の剤形は、適切なカプセル中に含有される。
【0081】
実施形態において、GADSC、GADRC、又はGADSC及びGADRCの両方は、追加的に又は代替的に、(1)約25~45%の放出遅延ポリマー成分及び(2)約40~70%の結合剤成分を含むマトリックス製剤を含む。
【0082】
態様によれば、組成物中の賦形剤のほとんど、追加的に又は代替的に、6%未満の含水量を有する。
【0083】
態様では、GADSCがpH6.8の溶解媒体と接触して維持される場合にGADSCから放出される1つ以上のニコランジル化合物の量は、追加的に又は代替的に、以下の放出プロファイルに従う:(1)1つ以上のニコランジル化合物の約0.5~25%が、0.25時間でGADSCから放出され、(2)1つ以上のニコランジル化合物の約11.5%~約44.5%が、1時間で放出され、(3)1つ以上のニコランジル化合物の約25%~約60%が、2時間で放出され、(4)1つ以上のニコランジル化合物の約60%~約92.5%が、6時間で放出され、(5)1つ以上のニコランジル化合物の約71%~約98%が、8時間で放出され、(6)1つ以上のニコランジル化合物の約83%~約100%が。14時間で放出される。
【0084】
実施形態において、GADRCがpH6.8の溶解媒体と接触して維持される場合にGADRCから放出される1つ以上のニコランジル化合物の量は、追加的に又は代替的に、以下の放出プロファイルに従う:(1)1つ以上のニコランジル化合物の約0%~約8.5%が、0.25時間で放出され、(2)1つ以上のニコランジル化合物の約15.5%~約29%が、1時間で放出され、(3)1つ以上のニコランジル化合物の約27%~約50%が、2時間で放出され、(4)1つ以上のニコランジル化合物の約65~約80%が、6時間で放出され、(5)1つ以上のニコランジル化合物の約75%~約87.5%が、8時間で放出され、(6)ニコランジル化合物の約83.5%~約98%が。14時間で放出される。
【0085】
実施形態では、GADRC、GADSC、又はその両方が、追加的に又は代替的に、(1)有効量の放出遅延ポリマー成分であって、放出耐性ポリマー成分が、少なくともほとんどがヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成され、放出耐性ポリマー成分と1つ以上のニコランジル化合物が、約5:1~約2:1の比で存在する、放出遅延ポリマー成分と、(2)有効量の結合剤成分であって、結合剤成分が、少なくともほとんどがケイ化微晶質セルロースを含み、結合剤成分とニコランジル化合物(複数可)が、約4:1~約7:1の比で存在する、結合剤成分と、を含む。
【0086】
本発明の更なる実施形態は、上記の特徴のいずれか1つ以上を有する組成物と、有効量の薬学的に許容される乾燥剤を含有するアルミニウムブリスターパックと、を含む適切なパッケージである。
【0087】
本発明のなお更なる実施形態は、ヒト患者における1つ以上のタイプの狭心症を処置する方法であり、この方法は、有効量の任意の1つ以上の上記組成物の組成物又は直前に記載されたパッケージに含まれる組成物を投与することを含み、この方法は、例えば、少なくとも3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、又は24ヶ月の持続期間であり得る処置期間の少なくとも一部、例えば、ほとんど、例えば、全ての間、1日1回以下で患者に投与される。
【0088】
実施形態では、これらの特徴のうちの任意の1つ以上は、追加的に又は代替的に、本開示の例示的態様のセクションにおいて提供される任意の好適な関連又は代替態様と組み合わせられる。
【0089】
実施形態において、これらの特徴のうちの任意の1つ以上は、追加的又は代替的に、本開示の詳細な説明のセクション、実施例、図面、又はそれらの任意の組合せにおいて提供される任意の適切な関連する態様又は代替的な態様と組み合わせられる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
本明細書で提供される図面/図、及び関連する以下の図の簡単な説明は、本発明の範囲を限定することなく、本発明の特定の態様及び原理を例示することを意図している。
図1】本発明の態様による例示的な非コーティング(第1の/一般の放出製剤)ニコランジル錠剤をpH6.8の溶解媒体と約16時間にわたって接触させることから得られたニコランジル溶解放出プロファイルである。
図2】pH6.8で約18時間にわたる例示的なコーティング(第2の放出/pH応答性放出)ニコランジル錠剤の溶解放出プロファイルである。
図3】pH1.2で約14時間にわたる例示的な非コーティング(第1の/一般の放出)錠剤から得られたニコランジル放出プロファイルである。
図4】pH1.2で約18時間にわたる試験の例示的なコーティング(pH応答性放出)ニコランジル錠剤から得られたニコランジル放出プロファイルである。
図5】標的錠剤放出プロファイルと比較した、pH1.2で14時間にわたる非コーティング(第1の/一般の放出)ニコランジル錠剤の溶解放出プロファイルである。
図6】それぞれpH1.2及びpH6.8での本発明の例示的なコーティングニコランジル錠剤及び非コーティングビタミンD錠剤の溶解プロファイルを比較するグラフである。
図7】pH6.8で約18時間にわたる例示的なコーティング錠及び非コーティング錠の両方を含有する例示的なニコランジルカプセルの放出プロファイルである。
図8】pH6.8で約16時間にわたる、HPMCカプセル及びゼラチンカプセルを含む例示的なニコランジルカプセルの溶解プロファイルのグラフである。
図9】異なる溶解条件下で異なる硬度特性を有する例示的なニコランジル錠剤の溶解プロファイルのグラフである。
図10】錠剤製剤中に異なるグレードのHPMCを含む例示的なニコランジル錠剤(HPMC-CR及びHPMC-DC2)の溶解プロファイルのグラフである。
図11】それぞれpH6.8及びpH1.2の媒体中で約16時間維持された例示的なニコランジルカプセル製剤の溶解プロファイルのグラフである。
図12】pH6.8で約14時間維持されたニコランジルカプセル(コーティング錠剤及び非コーティング錠剤の両方を含む)及びpH1.2で約2時間維持されたコーティング錠剤についての溶解データの複合グラフである。
図13】約22時間にわたる本発明の例示的なニコランジルカプセルの成分の実際の溶解データを、(pH1.2で得られた実際の溶解データに基づく)即時放出(IR)IKOREL(登録商標)20mgニコランジルBiD(1日40mg)製剤について予想されるインビボプロファイルと比較して示すグラフである。
図14】本発明の組成物の予想されるインビボ溶解を反映する、ニコランジルコーティング錠剤及び非コーティング錠剤の放出のグラフ表示である。
図15】NIKORAN(登録商標)OD錠剤をpH6.8及びpH1.2条件下で約24時間維持することから得られた溶解データのグラフである。
図16】pH6.8でのNIKORAN(登録商標)OD錠剤対イコーレル(登録商標)即時放出錠剤の溶解データのグラフ比較である。
図17】約24時間にわたる、それぞれpH6.8及びpH1.2での本発明のコーティング及び非コーティングの例示的なニコランジル錠剤と比較した、pH1.2及びpH6.8条件でのNIKORAN(登録商標)OD錠剤についての溶解アッセイデータのグラフである。
図18】約2時間にわたってpH1.2に維持された例示的なコーティング錠剤、約16時間にわたってpH6.8に維持された例示的なニコランジルカプセル剤、及び約10時間にわたってpH1.2に維持されたNIKORAN(登録商標)OD錠について得られた溶解データのグラフである。
図19】pH1.2及びpH6.8の非コーティングニコランジル錠剤、pH1.2のコーティングニコランジル錠剤、並びに約18時間にわたってpH1.2に維持されたNIKORAN(登録商標)OD錠剤についてのニコランジル溶解放出データのグラフであり、そのような組成物のインビボ溶解の予想パターン/プロファイルを反映している。
図20】pH1.2に維持されたNIKORAN(登録商標)OD錠剤及び非コーティングニコランジル錠剤から入手可能な初期製剤ニコランジルのパーセンテージのグラフである。
図21】pH1.2に維持された本発明のNIKORAN(登録商標)OD錠剤、非コーティングニコランジル錠剤、及びコーティングニコランジル錠剤から、並びにpH6.8に維持されたコーティングニコランジル錠剤から利用可能な初期製剤ニコランジルのパーセンテージのグラフであり、そのような組成物の予想されるインビボ溶解プロファイルを反映している。
図22】本発明の態様によるコーティング(及び非コーティング)ニコランジル錠剤を製造するための例示的な製造方法の概略図である。
図23】水溶液中のニコランジル加水分解によって形成されたニコランジル(NCD)及び3つのニコランジル関連不純物(impB、impC、及びimpD)の描写である。
図24】示された溶解条件下で維持された本発明の例示的なニコランジルカプセルを含む、様々な組成物のHPLCデータのスペクトログラフである。
図25】様々な示された安定試験条件下での維持後の例示的なニコランジルカプセルについて得られた溶解データのグラフである。
図26】ヒト胃腸管の切片/解剖学的構造を、典型的なpH条件及びそれに関連する薬物滞留時間と共に示す図である。
【0091】
発明の例示的な態様
以下は、本発明の例示的な態様の非限定的なリストであり、読者が本発明の全体的な範囲を迅速に理解するのを助けるために、本発明の実施形態を概要の形で示す。特許請求の範囲と同様に、本セクションの段落に記載されている列挙された態様は、1つ以上の他の段落を参照し得る(それに依存し得る/それから依存し得る)。そのような参照は、そのような参照された態様の特徴/特性又は工程が、参照する態様に組み込まれる/組み合わせられることを意味することを読者は理解するであろう。例えば、パラグラフ(例えば、パラグラフの末尾のテキストによって態様2として示されるパラグラフ)内の態様が、1つ以上の態様番号(例えば、態様1又は「態様1~3のいずれか1つ」)によって別の態様を指す場合、それは、そのような言及された態様(例えば、態様1)の要素、工程、又は特徴を、言及される態様の要素、工程、又は特徴に加えて含むことが理解される(例えば、態様2が態様1を指す場合、それは、態様1及び態様2の両方の特徴を含む組成物、方法、システム、デバイスなどの説明を提供する)。
【0092】
本発明の特定の例示的な実施形態を説明する態様のリストは、読者が本発明を理解するのを助けるために使用されることがある。そのような態様は、それらの中で、他の例示的な態様を、個々に、又は態様のグループとして(例えば、そのような態様が番号付きリストとして提供されるとき、番号付き態様のリスト内の範囲への参照を介して)参照することができる。態様の範囲への言及は、そのような言及された範囲内のそのような態様が矛盾するか又は無意味であるかのいずれかでない限り、そのような態様の提供される提示に従って、全てのそのような態様を個々に、それぞれ本発明の固有の実施形態として、及び本発明の固有の実施形態(複数可)として互いに組み合わせて言及するものとして解釈されるべきである。矛盾する場合、矛盾する態様への言及は除外されるべきである。
【0093】
第1の態様では、本発明は、胃酸溶解感受性成分(GADSC)及び胃酸溶解耐性成分(GADRC)を含む制御放出製剤中に集合的に含有される治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、組成物をpH1.2の溶解媒体と約2時間接触させて維持すると、(1)GADRCは、GADRCにおいて、GADSCから放出される1つ以上のニコランジル化合物の割合よりも統計的に有意に小さい割合の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(2)組成物は、組成物中に含有される1つ以上のニコランジル化合物の50%以下を放出する、組成物を提供する(態様1)。
【0094】
別の場合において、本発明は、第1の制御放出製剤の少なくとも1つの剤形及び第2の制御放出製剤の第2の剤形に含有される有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、第1の制御放出製剤、第2の制御放出製剤、又はその両方が、約25~50%の高度に圧縮可能な結合剤成分、約5~25%の崩壊剤結合剤、及び約20~45%の制御放出ポリマー(例えば、セルロースエーテル誘導体ポリマー)を含むコア製剤を含み、第2の制御放出製剤の少なくともいくつかが、有効量のpH耐性放出制御ポリマー成分を含み、任意選択的に、有効量の薬学的に許容される可塑剤を更に含むpH応答性コーティングを含むか又は更に含み、pH放出耐性ポリマーがコーティングの少なくとも約65%を構成する、薬学的に許容される組成物を提供する(態様2)。
【0095】
別の態様では、本発明は、制御放出ポリマー成分、pH応答性ポリマー成分、及び治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、制御放出ポリマー成分と1つ以上のニコランジル化合物が組成物中に約2.5:1~約4.5:1の比で存在し、製剤の少なくとも一部(例えば、組成物の33~66%、例えば組成物の40~60、45~55、又は約50%)が、少なくともほとんどがpH応答性ポリマーからなるpH応答性コーティング(例えば、ほとんど、概ね、又は完全にメタクリル酸コーティング)でコーティングされ、組成物がpH1.2の溶解媒体中で2、4、5、6、又は8時間維持されると、pH応答性ポリマーが1つ以上のニコランジル化合物の放出を有意に低減する組成物を提供する(態様3)。
【0096】
別の実施形態は、ニコランジルで処置可能な状態を調節又は処置するのに有効な量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、その少なくとも約33%(例えば、≧その40%、又は≧約50%)は、pH応答性製剤がpH1.2の溶解媒体中で2~8(例えば、2~6、2~5、2~4、又は2~3)時間維持される場合に、pH応答性製剤中のニコランジルの20%以下(例えば、15%以下又は10%以下)を放出するpH応答性製剤に含まれる、組成物である(態様4)。
【0097】
また更なる実施形態は、制御放出マトリックス/製剤中に含有される治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、マトリックス製剤の一部が制御放出マトリックス/製剤の35~65%(例えば、制御放出マトリックス/製剤の45~55%)に相当し、その一部がpH1.2の溶解媒体中に2~6時間維持される場合にニコランジル化合物(複数可)の20%以下が部分から放出されることを可能にするpH応答性ポリマー成分(例えば、ほとんど、概ね、又は完全にメタクリル酸コーティング)によって保護され、(1)pH応答性ポリマーと組成物の残りとの比が約1:20~約1:10(例えば、1:18~1:12、1:17~1:13、又は約1:15)であり、(2)pHポリマーと1つ以上のニコランジル化合物との比が約3:5などの約1:2~約3:4であり、又は(3)組成物の残り及びニコランジルに対するpHポリマーの量が比(1)及び比(2)の要件を満たす、組成物である(態様5)。
【0098】
本発明の更なる態様は、治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出ポリマー成分及び微結晶性セルロース(MCC)成分(MCCC)から少なくともほとんどが構成される(例えば、概ね構成されるか、又は実質的に構成される)制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、(1)MCCCと1つ以上のニコランジル化合物が、約2.5:1~約4.5:1、3:1~約4:1、約3.25:1~約4.25:1、例えば約3.5:1の比で存在し、(2)MCCCと制御放出ポリマー成分が、約0.5:1~約1.5:1、例えば約0.75:1~約1.25:1、例えば約1:1の比で存在する、組成物を提供する(態様6)。
【0099】
本発明の更に別の側面は、治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、最初に、又は5℃若しくは25℃(及び60%相対空気湿度(RH))のいずれかで乾燥剤入りアルミニウムパッケージに1ヶ月を超えて保管した後に(例えば、一方又は両方の条件で3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、30ヶ月又は36ヶ月後に)、ヒトに投与した後少なくとも約12時間の期間にわたって検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し(例えば、投与後約12時間後に、初期ニコランジルの少なくとも約2.5~12.5%、3~15%、又は約5~10%を含有する)、そのような保管期間後に組成物中の1つ以上のニコランジル化合物の初期量の少なくとも約97%(例えば、≧98%、≧98.5%、又は≧99%)を維持する、組成物である(態様7)。
【0100】
第1の制御放出成分及び第2の制御放出成分に含有される、1日1回投与に治療上有効な量の1つ以上のニコランジル化合物を含む医薬組成物であって、第1の放出成分及び第2の制御放出成分が、組成物中で互いに物理的に分離され、1つ以上のpH条件(例えば、pH1.2)でニコランジル化合物(複数可)の放出速度の統計的に有意な差を示し、第1の放出成分及び第2の放出成分が送達促進成分(物理的担体-例えば、カプセル)に含有される、医薬組成物が更に提供される(態様8)。
【0101】
複数の第1の制御放出剤形及び複数の第2の制御放出剤形に含有される1日1回投与に対して治療上有効な量の1つ以上のニコランジル化合物を含む医薬組成物であって、制御放出剤形の各々は(タイプにかかわらず)組成物中の他の制御放出剤形の各々から物理的に分離されており、制御放出剤形の全ては単一送達促進成分(例えば、カプセル)に含有され、(1)第1の制御放出剤形は、少なくとも1つのpH条件(例えば、pH1.2)でニコランジル化合物(複数可)の統計的に有意に異なる放出を示し、(2)ヒト患者に投与された場合、組成物は、1日2回の即時放出ニコランジルの投与(例えば、Ikorel錠剤のBID投与)と少なくともほぼ同様に治療上有効である(又は統計的に同様の有効性/結果を示す)(非劣性である)か、又は検出可能若しくは有意に有効である、医薬生成物が更に提供される(態様9)。
【0102】
別の態様は、1日1回の治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物が、第1のpH非依存性制御放出剤形及び第2のpH応答性/感受性制御放出剤形に含有され、(1)pH応答性制御放出剤形が、投与時にヒト患者の胃においてpH非依存性制御放出剤形と比較してニコランジル化合物(複数可)の有意に遅延された放出を示す、又は(及び/又は)(2)pH応答性制御放出剤形が、腸内pH条件下で、pH非依存性制御放出剤形よりも、ニコランジル化合物(複数可)のより延長された放出を示す(態様10)。
【0103】
別の場合において、本発明は、1つ以上のニコランジルで処置可能な状態(例えば、1つ以上の形態の狭心症)に関して、ニコランジルと治療的に等価である(又は一般的な規制当局の試験基準によって決定されるように、非劣性である)か又はニコランジルよりも優性である、治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、制御放出製剤が、組成物の投与後5時間で、組成物中の1つ以上のニコランジル化合物の初期量の少なくとも約30%を存在させる、組成物を提供する(態様11)。
【0104】
更なる態様では、本発明は、第1の制御放出製剤成分及び第2の制御放出製剤成分中に含有される1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、ヒト患者への組成物の投与の約6時間後に、組成物が1つ以上のニコランジル化合物の初期量の平均少なくとも約20%を保持する、組成物を提供する(態様12)。
【0105】
更に別の実施形態において、本発明は、治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、組成物が第1のpH非依存性制御放出製剤及び第2のpH応答性制御放出製剤中に含有され、組成物が、ヒト患者に投与された場合に、(a)投与の約2時間後に組成物中の1つ以上のニコランジル化合物の初期量の約20%~約50%を放出し、(b)投与の約6時間後に組成物中の1つ以上のニコランジル化合物の初期量の約50%~約80%を放出し、(c)投与の14時間後に組成物中の1つ以上のニコランジル化合物の初期量の75%以上を放出する、組成物を提供する(態様13)。
【0106】
更なる実施形態は、1つ以上のニコランジルで処置可能な状態(例えば、1つ以上の形態の狭心症)に関してニコランジルと治療的に同等であるか又はニコランジルよりも優れている治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、ヒト患者への組成物の1日1回の投与がIkorel即時放出ニコランジル錠剤の1日2回の投与と生物学的に同等である、組成物である(態様14)。
【0107】
別の態様は、1つ以上のニコランジル処置可能状態(例えば、1つ以上の形態の狭心症)に関してニコランジルと治療的に同等であるか又はニコランジルよりも優れている治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、ヒト患者への組成物の1日1回投与が、Ikorel IRニコランジル錠剤の1日2回投与と比較して、1つ以上のニコランジル関連状態(例えば、運動中の遅延狭心症症状、血管拡張、又はその両方)において統計的に有意に類似するか又は統計的に有意に優れた改善をもたらす、組成物である(態様15)。
【0108】
更なる態様は、1つ以上のニコランジルで処置可能な状態(例えば、1つ以上の形態の狭心症)に関してニコランジルと治療的に同等であるか又はニコランジルより優れている治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、ヒト患者への組成物の1日1回の投与が、統計的に有意な数の患者において狭心症の1つ以上の形態、状態、又は症状を処置するのに有効である組成物である(態様16)。
【0109】
1つ以上のニコランジル処置可能状態(例えば、1つ以上の形態の狭心症)に関してニコランジルと治療的に同等であるか又はニコランジルよりも優れている治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、組成物の1日1回投与が、投与の6、8、12、14、又は18時間後の運動持続時間の増加であって、投与の6、8、12、14、又は18時間後の同様の量の即時放出ニコランジル錠剤(例えば、Ikorel錠剤BID)の1日2回投与と少なくともほぼ同じ/統計的に同様であるか又は有意に優れている増加をもたらす組成物も提供される(態様17)。
【0110】
更なる実施形態は、1つ以上のニコランジルで処置可能な状態(例えば、1つ以上の形態の狭心症)に関してニコランジルと治療的に同等であるか又はニコランジルよりも優れている治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、組成物の1日1回の投与が、投与の6、8、12、14、又は18時間後に、投与の6、8、12、14、又は18時間後にベースラインから約13%~35%の平均運動持続時間の増加をもたらす、組成物である(態様18)。
【0111】
1つ以上のニコランジル処置可能状態(例えば、1つ以上の形態の狭心症)に関してニコランジルと治療的に等価であるか又はニコランジルよりも優れている治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、組成物の1日1回の投与が、投与の6時間後、8時間後、12時間後、14時間後、又は18時間後に、即時放出製剤の1日2回の投与(例えば、Ikorel錠剤のBID投与)による同様の量のニコランジル化合物(複数可)の投与と比較して、狭心症の発症までの時間において統計学的に類似/ほぼ同じか又は統計学的に優れた改善を生じる、組成物が更に提供される(態様19)。
【0112】
別の側面は、1つ以上のニコランジルで処置可能な状態(例えば、1つ以上の形態の狭心症)に関してニコランジルと治療的に同等であるか又はニコランジルよりも優れている治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、組成物の1日1回の投与が、投与の6、8、12、14、又は18時間後に、狭心症の発症までの時間をベースラインから約20%~40%遅延させる、組成物である(態様20)。
【0113】
別の例示的な実施形態は、1つ以上のニコランジル処置可能状態(例えば、1つ以上の形態の狭心症)に関してニコランジルと治療的に等価であるか又はニコランジルよりも優れている治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、組成物の1日1回の投与が、投与の6時間後、8時間後、12時間後、14時間後、又は18時間後に、即時放出製剤の1日2回の投与(例えば、Ikorel錠剤のBID投与)による同様の量のニコランジル化合物(複数可)の投与と比較して、≧1mm以上のST-セグメント低下までの時間において統計学的に類似/ほぼ同じか又は統計学的に優れた改善を生じる、組成物が更に提供される(態様21)。
【0114】
別のケースは、1つ以上のニコランジルで処置可能な状態(例えば、1つ以上の形態の狭心症)に関してニコランジルと治療的に同等であるか又はニコランジルよりも優れている治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、組成物の1日1回の投与が、投与の6、8、12、14、又は18時間後に、≧1mm以上のSTセグメント低下までの時間をベースラインから約20%~50%遅延させる、組成物である(態様22)。
【0115】
1つ以上のニコランジル処置可能状態(例えば、1つ以上の形態の狭心症)に関してニコランジルと治療的に等価であるか又はニコランジルよりも優れている治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、ヒト患者への投与の際に、組成物が、ヒトへの投与の6時間後にNikoran製剤中に保持されるニコランジル化合物(複数可)の量よりも有意に多いニコランジル化合物(複数可)を含有する、組成物がなお更に提供される(態様23)。
【0116】
更なる実施形態は、1つ以上のニコランジル処置可能状態(例えば、1つ以上の形態の狭心症)に関してニコランジルと治療的に等価であるか又はニコランジルより優れている治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と、制御放出製剤と、を含む薬学的に許容される組成物であって、ヒト患者への組成物の1日1回投与が、(a)(1)Nikoran製剤からのニコランジル化合物(複数可)の同様の量の1日1回投与、及び(2)Ikorel製剤からのニコランジル化合物(複数可)の同様の量の1日2回投与の一方又は両方から送達されるよりも、統計的に有意に多い量のニコランジルが、組成物から腸の1つ以上の部分(例えば、空腸)に送達される、(b)投与された用量の少なくとも50%が腸に送達される、又は(c)(a)及び(b)の両方を生じる、組成物を含む(態様24)。
【0117】
一態様は、第1の制御放出製剤を含む複数の第1の制御放出剤形及び第2の制御放出製剤を含む複数の第2の制御放出剤形に含有される治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、第1の制御放出製剤及び第2の制御放出製剤は、患者の胃腸管の異なる部分において、患者への投与後の異なる期間において、又はその両方において、有意に異なる量のニコランジル化合物(複数可)を放出し、第1の制御放出剤形及び第2の制御放出剤形は、組成物の単一送達促進成分に含有され、組成物は、1つ以上のニコランジル処置可能な状態の処置又は1つ以上のニコランジル調節可能な生理的状態の調節において、同量のニコランジル化合物(例えば、Ikorel製剤中の化合物(複数可))の1日2回の即時放出製剤と少なくともほぼ同じく治療上有効であるか、又はそれよりも統計的により有意に治療上有効である組成物である(態様25)。
【0118】
実施形態は、制御放出製剤剤形中の治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、(1)1~1.5のpHを有する第1の溶液と接触したときに、(a)第1の溶液との約0.75~1.5時間の接触後に合計約15~30%の治療有効量を放出し、(b)第1の溶液との約1.5~2.5時間の接触後に合計約20~40%の治療有効量を放出し、(c)第1の溶液との約2.5~5時間の接触後に合計約25~50%の治療有効量を放出し、(2)組成物を第1の溶液と合計2.5~5時間接触させ、その後更に組成物を5.5~7のpHを有する第2の溶液と接触させた後、(a)第2の溶液との約1時間の接触後に、合計約55~70%の治療有効量を放出し、(b)第2の溶液との約2時間の接触後に、合計約65~85%の治療有効量を放出し、(c)第2の溶液との約6時間の接触後に、合計約80~90%の治療有効量を放出し、(d)第2の溶液との少なくとも約8時間の接触後に、合計少なくとも約90%(例えば、少なくとも約95%)の治療有効量のニコランジル化合物(複数可)を放出する、組成物を含む(態様26)。
【0119】
態様は、制御放出製剤剤形中に治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、(1)組成物を1~1.5のpHを有する第1の溶液と0.75~1.5時間接触させた場合に治療有効量の約15~25%を放出し、(2)その後、組成物を第1の溶液と合計1.5~2.5時間接触させた場合に治療有効量の約20~40%が組成物から放出されるように追加の検出可能な量のニコランジルを放出し、(3)その後、組成物を第1の溶液と合計2.5~4.5時間接触させた場合に治療有効量の約35~50%が組成物から放出されるように追加の検出可能な量のニコランジルを放出し、(4)その後、組成物を5.5~7のpHを有する第2の溶液と1.5~2.5時間接触させた場合に治療有効量の約40~60%が組成物から放出されるように追加の検出可能な量のニコランジルを放出し、(5)その後、組成物を第2の溶液と合計3~4時間接触させた後に治療有効量の約65~85%が組成物から放出されるように追加の検出可能な量のニコランジルを放出し、(6)その後、組成物を第2の溶液と合計8~12時間接触させた後に治療有効量の少なくとも約90%が放出されるように追加の検出可能な量のニコランジルを放出する、組成物を含む(態様27)。
【0120】
一態様は、制御放出製剤剤形に治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、(1)投与の約1時間後に治療有効量の約15~30%を放出し、(2)その後、投与の約2時間後に治療有効量の約20~40%が組成物から放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(3)その後、投与の約4時間後に治療有効量の約35~50%が組成物から放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(4)その後、投与の約6時間後に治療有効量の約45~65%が組成物から放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(5)その後、投与の約8時間後に治療有効量の約55~75%が組成物から放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(6)その後、投与の約16時間後に治療有効量の少なくとも約65~85%が放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(7)その後、投与の約16時間後に治療有効量の少なくとも約90%が放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出する、組成物を提供する(態様28)。
【0121】
更に別の側面は、ヒト患者への投与から少なくとも約12、14、又は16時間の放出期間にわたって制御放出製剤剤形から1つ以上のニコランジル化合物を検出可能に放出する制御放出製剤中に治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、(1)1つ以上のニコランジル生成物の放出は、約1.5~2.5時間の第1の期間にわたる第1の放出速度、約3.5~約4.5時間の第2の期間にわたる第2の放出速度、約3~約4時間の第3の期間にわたる第3の放出速度、及び約6~約7時間の第4の期間にわたる第4の放出速度で起こり、(2)1つ以上のニコランジル化合物の約50%が、第1の期間及び第2の期間からなる期間の間に制御放出剤形から放出され、(3)第1の期間中の1つ以上のニコランジル化合物の放出速度が、第2の期間中の1つ以上のニコランジル化合物の放出速度の約1.25倍~1.75倍であり(又はこの期間中に放出される量が、第2の期間中よりも1.25倍/125%~1.75倍/175%多く)、(4)1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも約40%が、第3の期間及び第4の期間からなる期間中に制御放出製剤剤形から放出される、(5)第3の期間中の1つ以上のニコランジル化合物の放出速度が、第4の期間中の1つ以上のニコランジル化合物の放出速度の約1.25倍~約1.75倍である(又は第3の期間中に放出された量が、第4の期間中に放出された1つ以上のニコランジル化合物の量よりも125%~175%多い)組成物である(態様29)。
【0122】
制御放出製剤中に治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、(1)第1の量の1つ以上のニコランジル化合物を含む第1の放出成分と、(2)第2の量の1つ以上のニコランジル化合物及びpH感受性放出制御剤を含む第2の放出成分と、を含み、(3)第1及び第2の量が、集合的に1つ以上のニコランジル化合物の治療有効1日用量を含み、(4)第2の放出成分及び第1の放出成分を、約1~1.5のpHを有する溶液と、穏やかな撹拌下(50rpmでのUSP装置タイプIIシステム(Agilent)の使用と実質的に同様の溶解をもたらす条件下)で約2時間接触させることにより、(a)第1の有効量の約40%~約80%が第1の放出成分から放出され、(b)第2の有効量の約15%以下が第2の放出成分から放出され、(5)第2の放出成分を、6~7のpHの溶解溶液と、ほぼ室温及び穏やかな撹拌下で約2時間接触させることにより、第2の量の約20%~約60%が第2の放出成分から放出される、組成物がなお更に提供される(態様30)。
【0123】
制御放出製剤中に治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、(1)治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を集合的に含む3~6個の固体剤形であって、固体剤形の少なくとも一部(例えば、固体剤形の33%、~50%、又は~65%)が第1の放出製剤を含み、固体剤形の残りが第2の放出製剤を含み、第2の放出製剤が、1つ以上のpH条件下で(例えば、pH1.2で)第1の放出製剤固体剤形よりも有意に少ない1つ以上のニコランジル化合物を胃内で放出する、固体剤形と、(2)固体剤形を取り囲むカプセルなどの薬学的に許容される送達促進ケーシングと、を含む、組成物も提供される(態様31)。
【0124】
一態様は、1日1回のレジメンで投与された場合に組成物が有意な数の患者において治療的に有効であるような速度で1つ以上のニコランジル化合物を放出する制御放出製剤中に、治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物を含む(態様32)。
【0125】
治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を、3~8個、例えば3~6個の剤形単位を含む制御放出製剤中に含み、その剤形単位の少なくとも33%が、ヒトへの組成物の投与後、平均して約2~7時間又は2~6時間、例えば約4~6時間、例えば約4.5~6.5時間で溶解し、その後、その中に含まれるニコランジル化合物(複数可)の少なくとも約75%を放出し、剤形単位の残りが、ヒトへの組成物の投与から平均して約4.5時間以内にその中に含まれる1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも約80%を放出する腸溶性溶解コーティングを含む、薬学的に許容される組成物が更に提供される(態様33)。
【0126】
実施形態は、第1の放出製剤及び第2の放出製剤中に含有される治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物を含み、第1の放出製剤及び第2の放出製剤はそれぞれ、ニコランジル化合物(複数可)の制御放出のためのpH非依存性/非感受性手段と、ニコランジル化合物(複数可)を結合するための手段と、第1の放出製剤及び第2の放出製剤の崩壊を促進するための手段とを含み、第1の放出製剤及び第2の放出製剤は、胃酸pH条件(例えば、pH1.2)において第2の放出製剤の溶解を防止するための手段を更に含む(態様34)。
【0127】
側面は、例えば、2~8個、3~8個、又は3~6個の個体剤形の集合を形成することを含むプロセスによって生成される制御放出製剤中に治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、個体剤形の各々が、(1)治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物(例えば、約5~20mg、例えば、約5~15mg、又は約7.5~12.5mgのニコランジル)、(b)約25~45mgの制御放出pH非依存性マトリックスポリマー成分(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、(b)約50~120mgの1つ以上の結合剤成分(例えば、崩壊剤結合剤及び高圧縮性結合剤から構成され、例えば、約30~60mgの微結晶性セルロース、例えば、SMCC及び約0~35、5~35、0~30、5~25、5~30、10~40、10~35、10~30、10~25、15~30、15~25又は約20mgのデンプンから構成される)を含む第1の混合物を形成し、これらの成分を適切な時間(例えば、少なくとも約15分)適切な条件下(例えば、約15rpm~約35rpmの速度で作動するミキサーを使用して(例えば、Turbulaミキサーでの混合と性能が有意に類似する系において))混合すること、(2)約0.25~1.5mgのステアリン酸マグネシウムをそのような第1の混合物に添加し、少なくとも約5分、適切な混合条件下で(例えば、約15rpm~約35rpmの速度で)更に混合して、第2の混合物を形成すること、(3)第2の混合物を圧縮して、少なくとも約60Nの硬度を有する固体剤形を形成すること、及び(4)任意選択的に、約5~7.5mgのpH感受性制御放出ポリマー成分(例えば、主にメチルアクリレートポリマーから構成される組成物)を含むコーティング溶液で、方法によって製造される固体剤形の少なくとも33%をコーティングすること、を含む方法によって生成される、組成物を含む(態様35)。
【0128】
更なる態様は、ニコランジル化合物(複数可)が、胃酸溶解感受性成分(GADSC)及び胃酸溶解耐性成分(GADRC)に含有され、組成物をpH1.2の溶解媒体と約2時間接触させて維持すると、(1)GADRCは、GADRCにおいて、GADSCから放出される1つ以上のニコランジル化合物の割合よりも統計的に有意に少ない割合の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(2)組成物は、組成物に含有される1つ以上のニコランジル化合物の50%以下を放出する、態様2~35のいずれか1つ以上の(による)組成物を提供する(態様36)。
【0129】
態様は、GADRCが、pH1.2を有する溶解媒体との2時間の接触時に、GADRCに含有される1つ以上のニコランジル化合物の20%以下を放出する(例えば、そのような条件(複数可)下でGADRCに最初に含有されるニコランジル化合物(複数可)の15%以下、12.5%以下、10%以下、7.5%以下、又は5%以下、例えば、約1~20%、1~15%、1~10%、1~5%、2~20%、2~15%、2~10%、2~5%、3~15%、3~12%、5~20%、5~15%、又は約5~10%を放出する)、態様1又は態様36による組成物を含む(態様37)。
【0130】
実施形態は、GADSCが、約1.2のpHを有する溶解媒体又は約6.8のpHを有する溶解媒体との接触の5時間又は6時間後に、GADSC中に最初に存在する1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも33%の放出及び少なくとも約2.5%~10%、例えば、約3~7%、例えば、約5%の保持を可能にする量の1つ以上の放出遅延/耐性ポリマーを含む制御放出製剤を含む、態様1、態様36、又は態様37のいずれか1つ以上の組成物を含む(態様38)。
【0131】
実施形態は、GADRCが、約6.8のpHを有する溶解媒体との接触の5時間又は6時間後に、pH応答性製剤中に最初に存在する1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも33%、及び約1.2のpHを有する溶解媒体との接触の5時間又は6時間後に、pH応答性製剤中に最初に存在する1つ以上のニコランジル化合物の20%以下を放出するのに有効な量の1つ以上のpH応答性ポリマーを含む、態様1及び36~38のいずれか1つ以上の組成物を含む(態様39)。
【0132】
一側面は、GADSCが、治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物の第1の部分を含み、GADRCが、治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物の第2の部分を含み、第1の部分が、組成物中の1つ以上のニコランジル化合物の30~70%を含む、態様1及び36~39のいずれか1つ以上の組成物である(態様40)。
【0133】
実施形態は、治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物の第1の部分及び治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物の第2の部分が、等しいか、又は量が約10%未満異なる、態様40の組成物を含む(態様41)。
【0134】
実施形態はまた、組成物中の治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物が、有意な数の患者、ほとんどの患者、又はその両方において(例えば、1つ以上の十分に管理された適切な臨床研究によって)ニコランジルの治療上有効な1日1回投与量を提供することが実証された量である、態様1~41のいずれか1つ以上の組成物を含む(態様42)。
【0135】
更なる実施形態は、1つ以上のニコランジル化合物のほとんど、概ね全て、実質的に全て、又は全てがニコランジルである、態様1~42のいずれか1つ以上の組成物である(態様43)。
【0136】
実施形態は、治療有効量が、10~100mgのニコランジル(例えば、約又は正確に10~80、10~75、10~60、10~50、12.5~75、12.5~60、15~75、15~60、17.5~70、20~60、20~50、又は約/正確に20~40mgのニコランジル、例えば、約又は正確に10、12.5、15、20、22.5、25、27.5、30、33、35、37.5、40、42.5、45、50、55、又は60mgのニコランジル)である、態様43による組成物を更に含む(態様44)。
【0137】
別の実施形態は、GADSCが2つ以上のGADSC剤形を含むか、GADRCが2つ以上のGADRC剤形を含むか、又はその両方である、態様1及び36~44のいずれか1つ以上の組成物である(態様45)。
【0138】
例示的な実施形態は、1~5又は2~5のGADSC剤形及び1~5又は2~5のGADRC剤形から構成される少なくとも3つの剤形を含む、態様45の組成物である(態様46)。
【0139】
特定の実施形態は、2~5のGADSC剤形及び2~5のGADRC剤形を含む、態様46の組成物である(態様47)。
【0140】
実施形態は、GADSC剤形が非コーティング制御放出マトリックス錠剤であり、GADRC剤形がコーティング制御放出マトリックス錠剤であり、GADRC剤形のコーティングが有効量の1つ以上のpH応答性ポリマーを含む、態様1及び36~47のいずれか1つ以上の組成物を含む(態様48)。
【0141】
GADSC、GADRC、又はGADSC及びGADRCの両方が、(1)約25~45%又は30~40%の放出遅延ポリマー成分と、(2)約40~70%、例えば約45~65%又は約50~60%の結合剤/崩壊剤成分とを含むマトリックス製剤を含む、態様1及び36~48のいずれか1つ以上の組成物が更に提供される(態様49)。
【0142】
実施形態は、GADSC、GADRC、又はGADSC及びGADRCの両方が、(1)放出遅延ポリマー成分であって、放出遅延ポリマー成分及び1つ以上のニコランジル化合物が、約5:1~約2:1、例えば約4.5:1~約2.5:1、約4:1~約3:1、又は約3.5:1、又は(及び/又は)(b)約5:1~約2:1の比で存在する、放出遅延ポリマー成分、又は(及び/又は)(2)結合剤/崩壊剤成分であって、該結合剤/崩壊剤成分及び1つ以上のニコランジル化合物が、約4:1~7:1、又は4.5:1~6.5:1、又は5:1~6:1、又は約5.5:1の比で存在する、結合剤/崩壊剤成分、を含むマトリックス製剤を含む、態様1及び36~49のいずれか1つ以上の組成物を含む(態様50)。
【0143】
一側面は、GADSC、GADRC、又はその両方の少なくとも約80%、例えば少なくとも約85%、90%、又は95%が、(1)1つ以上のニコランジル化合物、(2)結合剤/崩壊剤成分、及び(3)放出遅延ポリマー成分から構成される、態様1及び36~50のいずれか1つ以上の組成物である(態様51)。
【0144】
別の態様は、GADSC、GADRC、又はその両方の組成物の少なくとも約20%が、微結晶性セルロース組成物、例えば、ケイ化微結晶性セルロースとコロイド状二酸化シリコンとの混合物から構成される、態様1及び36~51のいずれか1つ以上の組成物である(態様52)。
【0145】
組成物中(例えば、GADSC、GADRC、又はその両方中)の任意のpH非依存性放出耐性ポリマー組成物のほとんど、概ね全て、実質的に全て、又は全てが、ヒドロキシルメチルセルロース(HPMC)から構成される、態様1~52のいずれか1つ以上の組成物が更に提供される(態様53)。
【0146】
組成物(例えば、GADSC、GADRC、又はその両方)中の賦形剤(個々に)のほとんど、概ね全て、実質的に全て、又は全て(すなわち、賦形剤のほとんど、概ね全て、又はそれぞれ)が、(賦形剤当たり)6%未満の含水量、例えば5、4、又は3%未満の含水量を含む、態様1~53のいずれか1つ以上の組成物が更に提供される(態様54)。
【0147】
組成物中の水分を検出可能に又は有意に減少させる有効量の1つ以上の薬学的に許容される吸上剤/乾燥剤と更に組み合わせた、態様1~54のいずれか1つ以上による組成物(この場合、製剤及びパッケージ)が更に提供される(態様55)。
【0148】
より特定の態様は、乾燥剤が少なくともほとんどがシリカから構成される、態様55の組成物である(製剤及びパッケージ)(態様56)。
【0149】
更なる態様では、組成物が、シリカ乾燥剤層を含む単位剤形アルミニウム-アルミニウムブリスターパッケージに含有される、態様56の組成物(製剤及びパッケージ)が提供される(態様57)。
【0150】
組成物が、約5℃、約25℃及び約60%RH、又はその両方で少なくとも1、3、6、12、又は24ヶ月間保存した後に、組成物の最初の1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも約95%の安定度(保持)を示す、態様1~57のいずれか1つ以上の組成物も提供される(態様58)。
【0151】
一態様は、GADSC、GADRC、又はその両方が、ほとんどが1つ以上の錠剤から構成され、1つ以上の錠剤の各々が、少なくとも約60N、少なくとも約95N、例えば少なくとも約120N(例えば、90~150N、100~140N、100~130Nなど)の硬度を有する態様1及び36~58のいずれか1つ以上の組成物である(態様59)。
【0152】
一側面は、GADRCが、GADRCが6.8のpHを有する溶解媒体と接触した場合に制御放出を示す製剤を含み、その結果、GADRC中に最初に存在する1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも約50%が、GADRCが溶解媒体と2時間接触した後に保持され、GADRC中に最初に存在する1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも約10%(例えば、≧約12.5%又は≧約15%)が、GADRCが溶解媒体と8時間接触した後に存在する、態様1及び36~59のいずれか1つ以上の組成物である(態様60)。
【0153】
pH1.2の溶解媒体と約6時間最初に接触させた場合の組成物が、Nikoran OD錠剤よりも少なくとも約15%、例えば少なくとも約20%、又は少なくとも約25%少ない不純物A、不純物B、不純物C、不純物Dの1つ以上と関連する、態様1~60のいずれか1つ以上の組成物も提供される(態様61)。
【0154】
一態様は、pH6.8の溶解媒体と接触して維持される場合、GADSCから放出される1つ以上のニコランジル化合物の量は、ほとんど、概ね、又は完全に以下の放出プロファイルに従う:(1)ニコランジル化合物(複数可)の約0.5~25%、例えば、約5~20%、約5~15%、又は約12%が、0.25時間後に溶解媒体中でGADSCから放出され、(2)ニコランジル化合物(複数可)(NCDC(複数可))の約11.5%~約44.5%、例えば約20%~約35%、例えば約28%が、1時間後に溶解媒体中で放出され、(3)NCDC(複数可)の約25%~約60%、例えば約32%~約52%、例えば約42.5%が、2時間で溶解媒体中で放出され、(4)NCDC(複数可)の約60~92.5%、例えば、約65~85%、例えば、約75%又は約76%が、6時間で溶解媒体中で放出され、(5)NCDC(複数可)の約71%~約98%、例えば約80%~約90%、例えば約84.5%が、溶解媒体との接触後8時間で放出され、及び(6)GADSC中のNCDC(複数可)の約83%~約100%、例えば約87%~約97%、例えば約92.25%が、溶解媒体との接触後14時間で放出される、態様1及び36~61のいずれか1つ以上の組成物である(態様62)。
【0155】
別の態様は、pH6.8の溶解媒体と接触して維持される場合、GADRCから放出される1つ以上のニコランジル化合物の量が、ほとんど、概ね、又は完全に以下の放出プロファイルに従う:(1)NCDC(複数可)の約0%~約8.5%、例えば約3%~約8%、例えば約7%が、0.25時間後に溶解媒体中でGADRCから放出され、(2)NCDC(複数可)の約15.5%~約29%、例えば約19%~約25%、例えば約22.25%が、1時間で溶解媒体中に放出され、(3)NCDC(複数可)の約27%~約50%、例えば約33%~約43%、例えば約38.3%が、2時間で溶解媒体中に放出され、(4)NCDC(複数可)の約65~80%、例えば約67~77%、例えば約72.5%が、6時間で溶解媒体中に放出され、(5)NCDC(複数可)の約75%~約87.5%、例えば78%~約85%、例えば約81.5%が、溶解媒体との接触後8時間で放出され、及び(6)GADSC中のNCDC(複数可)の約83.5%~約98%又は約100%、例えば約87%~約94%、例えば約90.5%が、溶解媒体との接触後14時間で放出される、態様1及び36~62のいずれか1つ以上の組成物である(態様63)。
【0156】
実施形態は、pH1.2の溶解媒体と接触して維持される場合、GADSCから放出される1つ以上のニコランジル化合物の量は、ほとんど、概ね、又は完全に、以下の放出プロファイルに従う:(1)NCDC(複数可)の約11%~約28%、例えば約15%~約23%、例えば約19.5%が、0.25時間後に溶解媒体中でGADSCから放出され、(2)GADSC中のNCDC(複数可)の約35%~約50%、例えば約38%~約48%、例えば約43.25%が、1時間で溶解媒体中に放出され、(3)NCDC(複数可)の約55%~約70%、例えば約60%~約65%、例えば約62.5%が、2時間で溶解媒体中に放出され、及び(4)NCDC(複数可)の約80~約100%、例えば約95~99%、例えば約97%が、6時間で溶解媒体中に放出される、態様1及び36~63のいずれか1つ以上の組成物を含む(態様64)。
【0157】
組成物が、GADRC及びGADSCを含む薬学的に許容されるカプセルであり、pH6.8の溶解媒体と接触して維持される場合、カプセルから放出される1つ以上のニコランジル化合物の量は、ほとんど、概ね、又は完全に、以下の放出プロファイルに従う:(1)NCDC(複数可)の約0~11%、例えば約2%~約5%、例えば約3.5%が、0.25時間で/後に溶解媒体中でカプセルから放出され、(2)カプセル中のNCDC(複数可)の約10%~約25%、例えば約15%~約20%、例えば約17.5%が、1時間で溶解媒体中に放出され、(3)NCDC(複数可)の約25%~約35%、例えば約27.5%~約32.5%、例えば約30%が、2時間で溶解媒体中に放出され、(4)NCDC(複数可)の約53~約61%、例えば、約55~59%、例えば、約57%が、6時間で溶解媒体中に放出され、(5)NCDC(複数可)の約65%~76%、例えば約67%~約74%、例えば約70.5%が、8時間で/8時間後に放出され、(6)NCDC(複数可)の約71.5%~約83.5%、例えば75%~81%、例えば約77.5%が、10時間で媒体中に放出され、(7)NCDC(複数可)の約76%~約90%、例えば約80~86%、例えば約83%が、12時間で放出され、(8)NCDC(複数可)の約81.5%~約92%、例えば約85~89%、例えば約86.75%が、14時間で放出され、及び(9)NCDC(複数可)の約85%~約95%又は100%、例えば約88~92%、例えば約90%が、18時間で放出される、態様1及び36~64のいずれか1つ以上の態様の組成物が提供される(態様65)。
【0158】
実施形態は、組成物がGADRC及びGADSCを含む薬学的に許容されるカプセルであり、カプセルはpH1.2の溶解媒体と接触して維持される場合、カプセルから放出される1つ以上のニコランジル化合物の量は、ほとんど、概ね、又は完全に以下の放出プロファイルに従う:(1)NCDC(複数可)の約3.5%~約12%、例えば約5%~約10%、例えば約7.75%が、0.25時間で/後に溶解媒体中でカプセルから放出され、(2)カプセル中のNCDC(複数可)の約13%~約21%、例えば約15%~約19%、例えば約17%が、1時間で溶解媒体中に放出され、(3)NCDC(複数可)の約22%~約28%、例えば約23%~約27%、例えば約25%が、2時間で溶解媒体中に放出され、(4)NCDC(複数可)の約35.5%~約47.5%、例えば、約39~44%、例えば、約41.5%が、6時間で溶解媒体中に放出され、(5)NCDC(複数可)の約40.5%~50.5%、例えば約43%~約48%、例えば約45.5%が、8時間で/8時間後に放出され、(6)NCDC(複数可)の約41%~約55%、例えば46%~50%、例えば約48%が10時間で媒体中に放出され、(7)NCDC(複数可)の約45.5%~約55.5%、例えば約49%~52%、例えば約50.5%が、12時間で放出され、(8)NCDC(複数可)の約48.5%~約58.5%、例えば約50%~約57%、例えば約53.5%が14時間で放出され、及び(9)NCDC(複数可)の約55%~約65%、例えば約57.5%~62.5%、例えば約60%が、18時間で溶解媒体中に放出される、態様1及び36~65のいずれか1つ以上の組成物を含む(態様66)。
【0159】
実施形態は、ヒト患者に投与された場合に、以下の放出プロファイル特性のほとんど、概ね全て、又は全てを示す:(1)ヒト患者への投与の1時間後に、組成物中の最初のNCDC(複数可)の約32~46%(例えば、36~42%、例えば、約39%)が、(すなわち、組成物中で)放出に利用可能なままであり、(2)組成物のNCDC(複数可)の約19.5%~42.5%、例えば、約26~36%、例えば、約31%が、投与後約2時間(後)で放出に利用可能なままであり、(3)組成物のNCDC(複数可)の約12%~約15.5%、例えば約13%~約14%、例えば約13.5%又は13.75%が、投与後6時間の放出に利用可能なままであり、(4)組成物のNCDC(複数可)の約3.5%~約15%、例えば、約7.5%~約11.5%、例えば、約9.5%が、ヒト患者への投与の8時間後に放出に利用可能なままであり、及び(5)組成物のNCDC(複数可)の約2.5%~約8%、例えば、約3.5%~約6.5%、例えば、約5%が、ヒト患者への投与の12時間後に放出に利用可能なままである、態様1~66のいずれか1つ以上の組成物を含む(態様67)。
【0160】
別の態様は、GADSC及びGADRCが送達促進成分中で同時投与される、態様1及び態様36~67のいずれか1つ以上の組成物を含む(態様68)。
【0161】
実施形態は、組成物が送達促進成分中に含有される複数のGADSC剤形及び複数のGADRC剤形を含む、態様68の組成物を含む(態様69)。
【0162】
実施形態は、GADSC剤形が錠剤であり、GADRC剤形が錠剤であり、送達促進成分が薬学的に許容されるカプセルである、態様69の組成物を含む(態様70)。
【0163】
組成物の剤形のほとんど、概ね全て、又は全てが、(1)高度に圧縮可能な薬学的に許容される結合剤、薬学的に許容される崩壊剤結合剤、及び薬学的に許容される制御放出ポリマーを含むコアであって、高度に適合性の結合剤、崩壊剤結合剤、及び制御放出ポリマーが約1~2:約0.2~1:約0.8~1.8の比で存在するコアと、(2)pH耐性放出制御ポリマー及び可塑化剤を含むコーティングであって、pH放出耐性ポリマー及び可塑化剤が約5:1~約7:1の比で存在するコーティングと、を含む、態様1~70のいずれか1つ以上による組成物が更に提供される(態様71)。
【0164】
また、組成物のGADRC剤形のほとんど、概ね全て、又は全てが、(1)約25~50%の高圧縮性結合剤、約5~25%の崩壊剤結合剤、及び約20~45%のセルロースエーテル誘導体ポリマーを含むコアと、(2)有効量のpH耐性放出制御ポリマー及び有効量の薬学的に許容される可塑化剤を含むコーティングと、を含み、pH耐性放出制御ポリマーが、コーティングの少なくとも約65%を構成する、態様1及び36~71のいずれか1つ以上による組成物が提供される(態様72)。
【0165】
一態様は、pH6.5~7の溶解媒体(例えば、pH6.8の溶解媒体)中で維持された場合に、組成物中のほとんど、概ね全て、又は全てのGADSC剤形が、(1)2時間以内にGADSC中にNCDC(複数可)の約30%~約70%を放出し、及び(2)pH約1.2で約2時間でGADRC中にNCDC(複数可)の15%~25%以下を放出する、態様1及び36~72のいずれか1つ以上に記載の組成物である(態様73)。
【0166】
実施形態は、組成物が、薬学的に許容される組成物の複数のユニットのパッケージに含有され、各ユニットがほぼ均一な量の薬学的に許容される乾燥剤と共に個々の単一コンテナに含有され、ユニットのいずれかの適切な開口が、パッケージ内の他のユニットのいずれかに含有される1つ以上のニコランジル化合物の安定度に有意に影響を及ぼさない、態様1~73のいずれか1つ以上による組成物を含む(態様74)。
【0167】
一側面は、NCDC(複数可)が、組成物の約7.5重量%~約12.5重量%を構成し、(2)組成物の約25~60%(重量%)が、ケイ化微結晶セルロースであり、(3)組成物の約20~45%が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であり、組成物の約2%~6%が、メタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマーから構成され、組成物の最大約25%が、デンプンから構成される、態様1~74のいずれか1つ以上に記載の組成物を含む(態様75)。
【0168】
実施形態は、約0.1%~1%のクエン酸トリエチルを更に含む、態様75の組成物を含む(態様76)。
【0169】
一態様は、組成物中の剤形(複数可)の少なくとも33%、40%、50%(例えば、約33%~66%又は45~55%)が、約55~99重量%のメタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマーを含むコーティングでコーティングされている、態様1~76のいずれか1つ以上による組成物を含む(態様77)。
【0170】
一態様は、組成物が、少なくとも2つの固体剤形、例えば3~8個又は3~6個の固体剤形を含み、剤形のほとんど、概ね全て、又は全てが、約2.7~8mm、例えば3.5~7.5mm、例えば4~7mm、又は約5mmの最大寸法(例えば直径、長さ、高さ/厚さ、又はそれらの組合せ)を有する錠剤である、態様1~77のいずれか1つ以上による組成物を含む(態様78)。
【0171】
態様は、組成物の固体剤形が、サイズ0(0)、0EL(0細長)、又は00(0、0)カプセルに含有され、任意選択的に、HPMC、ゼラチン、又はそれらの混合物から構成される、態様78による組成物を含む(態様79)。
【0172】
実施形態は、組成物が、有効量の成分流動性を維持するための手段、コーティング可塑化のための手段、又はその両方を含む、態様1~79のいずれか1つ以上の組成物を含む(態様80)。
【0173】
一実施形態は、態様1~80のいずれか1つ以上の組成物であって、(1)組成物の少なくとも1つの成分が、IKOREL(登録商標)10mg製剤に対応する製剤中に同量の1つ以上のニコランジル化合物を含む対応する製剤のCmaxよりも有意に低いCmaxと関連している、又は(及び/又は)(2)組成物のTmaxが、IKOREL(登録商標)10mg製剤に対応する製剤中の前記NCDC(複数可)のTmaxよりも有意に大きく、組成物が、投与後少なくとも約12又は14時間にわたってニコランジルを検出可能に放出する、態様1~80のいずれか一項の組成物である(態様81)。
【0174】
組成物が、十分に作動されたヒト対象集団に1日1回投与された場合に、IKOREL(登録商標)10mg製剤中の対応する量の1つ以上のニコランジル化合物の1日2回投与を受けるヒト患者と比較して、1つ以上のタイプのニコランジル関連有害事象の有意な減少をもたらす、態様1~81のいずれか1つ以上による組成物が更に提供される(態様82)。
【0175】
実施形態は、組成物中の1つ以上のニコランジルのコア組成物の少なくとも一部をコーティングする約2~6重量%のpH感受性第2の放出ポリマー成分であって、コア組成物が、(a)治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも一部と、(b)コア組成物中の治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と混合された約25~45重量%の制御放出ポリマー成分と、(c)コア組成物中の1つ以上のニコランジル化合物及び制御放出ポリマー成分と混合された約25~60%の圧縮及び流動性促進剤(任意選択的に、約100~150μmの平均粒子サイズ、約0.35~0.55g/mLのかさ密度、又はその両方を有し、任意選択的に、水に有意に分散性であるが有意に溶解しない)と、(d)約0.1%~約1%の薬学的に許容されるコーティング可塑化剤とを含む、態様1~82のいずれか1つ以上に記載の組成物である(態様83)。
【0176】
組成物が、(1)約70~130ニュートン(N)、例えば約70~120N、例えば約90~130N又は約90~120N又は約110Nの硬度、又は(及び/又は)、(2)約90~120mgの質量を有するニコランジル化合物含有剤形を含み、ほとんど含み、概ね含み、任意選択的に、ニコランジル剤形が、薬学的に許容されるカプセルなどのビヒクル/送達剤中に含有される、態様1~83のいずれか1つ以上の組成物も提供される(態様84)。
【0177】
検出可能な量又は有意な量のエチルセルロースを含まない(例えば、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、又は0.00001%未満のエチルセルロースを含有する)、態様1~84のいずれか1つ以上の組成物が更に提供される(態様85)。
【0178】
実施形態は、組成物が、組成物中のニコランジル関連剤形の少なくとも一部をコーティングする1つ以上のpH感受性ポリマーを含み、pH感受性ポリマーが、1つ以上のポリメタクリレート系コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アクリル酸ポリマー、又はそれらの一部若しくは全部の組合せをほとんど、概ね、又はそれらのみを含む、態様1~85のいずれか1つ以上の組成物を含む(態様86)。
【0179】
実施形態は、組成物が、図21に提示される工程の概ね全て又は全てを含むプロセスによって生成される、態様1~86のいずれか1つ以上の組成物を含む(態様87)。
【0180】
組成物が、約5~7.5mgの1つ以上のpH感受性ポリマーを約0.1~1mgの可塑剤成分と少なくとも約15分間混合することと、組成物の固体剤形の少なくとも一部をコーティング溶液と少なくとも約15分間接触させることと、を含むプロセスによって生成される、態様87の組成物が更に提供される(態様88)。
【0181】
一実施形態は、組成物中の固体剤形が、(例えば、錠剤(複数可)を形成するために)固体剤形材料の乾式造粒、直接圧縮、又はその両方を適用することを含む圧縮工程を含む方法によって生成される、態様87又は88の組成物を提供する(態様89)。
【0182】
本発明は更に、哺乳動物宿主においてアデノシン三リン酸感受性カリウム(KATP)チャネルを調節する方法であって、有効量の態様1~90のいずれか1つ以上による組成物を宿主に送達することを含む方法を提供する(態様90)。
【0183】
態様1~90のいずれか1つ以上に記載の組成物の有効量を宿主に送達することを含む、哺乳動物宿主において血管径を増加させる方法も提供される(態様91)。
【0184】
態様1~90のいずれか1つ以上に記載の組成物の有効量を宿主に投与することを含む、哺乳動物宿主の循環における一酸化窒素(NO)の利用可能性を増加させる方法が更に提供される(態様92)。
【0185】
実施形態は、態様1~90のいずれか1つ以上に記載の組成物の有効量を宿主に投与することを含む、哺乳動物宿主において冠状動脈の有意な拡張、心筋酸素要求量の有意な減少、又はその両方を引き起こす方法を更に含む(態様93)。
【0186】
追加の態様は、宿主がヒトである、態様1~93のいずれか1つの方法である(態様94)。
【0187】
一実施形態は、組成物が、宿主が組成物で処置される期間の一部、ほとんど、概ね全て、又は全ての間、1日1回以下で宿主に投与される、態様1~94のいずれか1つ以上の方法である(態様95)。
【0188】
ヒト患者における1つ以上の形態の狭心症、狭心症の原因、又は狭心症の症状を処置する方法であって、処置期間中、態様1~90のいずれか1つ以上に記載の組成物の有効量を患者に投与することを含み、処置期間のほとんど、概ね全て、又は全ての間、この組成物は、1日当たり1回以下で患者に投与される、方法が更に提供される(態様96)。
【0189】
一態様は、方法によって治療される狭心症が慢性安定狭心症(CSAP)を含む、態様97の方法である。
【0190】
1つ以上のニコランジルで処置可能な状態の処置のための医薬としての、又は医薬の調製における、前述の組成物態様のいずれか1つによる組成物の使用が更に提供される(態様98)。
【0191】
本明細書で提供される最後の例示的な態様は、ニコランジルで処置可能な状態が狭心症を含む、態様97の使用である(態様99)。
【0192】
更なる例示的な態様は、以下の追加のタイプの例示的な実施形態を含むことができる。1つのそのような更なる例示的な実施形態は、制御放出製剤剤形中の治療有効量のニコランジルを含む薬学的に許容される組成物であって、(1)1~1.5のpHを有する第1の(低pH/酸/胃様)溶液と接触したときに、(a)第1の溶液との約0.75~1.5時間の接触後に合計約15~30%の治療有効量を放出し、(b)第1の溶液との約1.5~2.5時間の接触後に合計約20~40%の治療有効量を放出し、(c)第1の溶液との約2.5~5時間の接触後に合計約25~50%(例えば、約30~50%、約35~50%、約30~45%、約35~45%、又は約40~50%)の治療有効量を放出し、(2)組成物を第1の溶液と合計2.5~5時間接触させ、その後更に組成物を5.5~7のpHを有する第2の溶液と接触させた後(腸様状態)、(a)第2の溶液との約1時間の接触後に、合計約55~70%の治療有効量(例えば、治療有効量の約60~70%又は60~65%)を放出し、(b)第2の溶液との約2時間の接触後に、合計約65~85%(例えば、約70~80%)の治療有効量を放出し、(c)第2の溶液との約6時間の接触後に、合計約80~90%(例えば、約85%)の治療有効量を放出し、(d)第2の溶液との少なくとも約8時間の接触後に、合計少なくとも約90%(例えば、少なくとも約95%)の治療有効量のニコランジルを放出する、組成物である。態様では、第1の溶液は対象の胃液であり、第2の溶液は対象の腸溶性/腸液である。態様では、第1及び第2の溶液は、インビトロ溶解溶液である。
【0193】
別の例示的な実施形態において、本発明は、(1)投与の約1時間後に治療有効量の約15~30%を放出し、(2)その後、投与の約2時間後に治療有効量の約20~40%が組成物から放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(3)その後、投与の約4時間後に治療有効量の約35~50%が組成物から放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(4)その後、投与の約6時間後に治療有効量の約45~65%が組成物から放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(5)その後、投与の約8時間後に治療有効量の約55~75%が組成物から放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(6)その後、投与の約16時間後に治療有効量の約65~85%が放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(7)その後、投与の約16時間後に治療有効量の少なくとも約90%が放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出する、制御放出製剤剤形に治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物を提供する。
【0194】
更に別の例示的な態様では、本発明は、ヒト患者への投与から少なくとも約16時間の放出期間にわたって制御放出製剤剤形から1つ以上のニコランジル化合物を検出可能に放出する制御放出製剤剤形中に治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、(1)1つ以上のニコランジル化合物の放出は、約1.5~2.5時間の第1の期間にわたる第1の放出速度、約3.5~約4.5時間の第2の期間にわたる第2の放出速度、約3~約4時間の第3の期間にわたる第3の放出速度、及び約6~約7時間の第4の期間にわたる第4の放出速度で起こり、(2)1つ以上のニコランジル化合物の約50%以下が、第1の期間及び第2の期間からなる期間の間に制御放出剤形から放出され、(3)第1の期間中に制御放出剤形からの1つ以上のニコランジルの放出速度、制御放出剤形から放出される1つ以上のニコランジルの量、又はその両方が、第2の期間中の1つ以上のニコランジル化合物の放出速度の約1.25倍~1.75倍(すなわち、放出速度の125%~175%)である、又は第1の期間中に放出される量が、第2の期間中よりも1.25倍/125%~1.75倍/175%多い、又はその両方である、(4)1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも約40%が、第3の期間及び第4の期間からなる期間中に制御放出製剤剤形から放出される、(5)第3の期間中の1つ以上のニコランジル化合物の放出速度が、第4の期間中の1つ以上のニコランジル化合物の放出速度の約1.25倍~約1.75倍である、又は第3の期間中に放出されたニコランジル化合物(複数可)の量が、第4の期間中に放出された1つ以上のニコランジル化合物(複数可)の約1.25倍~約1.75倍である、又はその両方である、組成物を提供する。
【0195】
一実施形態では、本発明は、(1)第1の量の1つ以上のニコランジル化合物を含む第1の放出成分と、(2)第2の量の1つ以上のニコランジル化合物及びpH感受性放出制御剤(賦形剤は、特定のpH範囲でより多くのAPIを有意に放出する、特定のpH範囲で有意に又は検出可能な量のAPIを放出しない、又はその両方)を含む第2の放出成分と、を含む薬学的に許容される組成物であって、(3)第1及び第2の量が、集合的に1つ以上のニコランジル化合物の治療有効1日用量を含み、(4)第2の放出成分及び第1の放出成分を、約1~1.5のpHを有する溶液と、穏やかな撹拌下(例えば、50rpmで又は実質的に同様の条件下でTurbulaミキサーを用いる混合)で約2時間接触させることにより、(a)第1の有効量の約40%~約80%(例えば、約50~75%、約45~75%、又は約50~65%)が第1の放出成分から放出され、(b)第2の有効量の約15%以下が第2の放出成分から放出され、(5)第2の放出成分を、5~7、例えば5.5~7又は6~7のpHの溶解溶液と、ほぼ室温及び穏やかな撹拌下で約2時間接触させることにより、第2の量の約20%~約60%(例えば、約25~55%、約30~50%、又は約35~45%)が第2の放出成分から放出される、組成物を提供する。
【0196】
一側面では、本発明は、(1)治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物、(2)治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも一部を含むコア組成物の少なくとも一部をコーティングする約2~6重量%(例えば、約2.5~5.5重量%、約3~5重量%、又は約3.5~4.5重量%)のpH感受性第2の放出ポリマー成分、(3)コア組成物中の治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物と混合され、治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物の一部を溶解条件への曝露から少なくとも約2時間の初期期間に直線的に放出させる約25~45重量%(例えば、約27.5~42.5重量%、約30~40重量%、又は約32~37.5重量%)の制御放出ポリマー成分、(4)コア組成物中の1つ以上のニコランジル化合物及び制御放出ポリマー成分と混合され、約100~150μm(例えば、約105~135μm、又は約105~125μm)の平均粒子サイズ、約0.35~0.55g/mLのかさ密度を有し、水に有意に分散性であるが有意に溶解しない約25~60重量%(例えば、約35~55重量%、約40~60重量%、約30~50重量%、又は約30~45重量%)の圧縮及び流動性促進剤、及び(5)約0.1%~約0.6%(例えば、約0.15重量%~約0.45重量%、又は約0.2重量%~約0.35重量%)の薬学的に許容される有効なコーティング可塑剤、を含む薬学的に許容される組成物を提供する。
【0197】
一態様では、本発明は、各剤形単位が、(1)(a)約7.5~12.5重量%(例えば、約10重量%)の、1つ以上のニコランジル化合物から本質的になるニコランジル成分、(b)約30~60重量%(例えば、約35~55重量%、約30~50重量%、約35~45重量%、又は約35~50重量%)のケイ化微結晶性セルロース、(c)約30~40重量%(例えば、約35重量%)のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(d)約0.33~1.25重量%のマグネシウムステアレート、及び(e)必要に応じて約25%までのデンプンから構成されるコアを含み、(2)約33~66%の薬学的剤形単位が、(a)約55~99重量%のメタクリル酸-アクリル酸エチルコポリマー及び(b)クエン酸トリエチル含有成分/成分(例えば、約0~30重量%のタルク、及び約0.2~1重量%のクエン酸トリエチル、又はモノグリセリド、ジグリセリド、及びクエン酸トリエチルの混合物(例えば、PlasAcryl(登録商標)賦形剤(Emerson、米国ペンシルベニア州ノリスタウン又はEvonik)を含むコーティングでコーティングされている、約3~6個の薬学的剤形単位を含む薬学的に許容される組成物を提供する。態様では、(b)成分は、有効量の異なる粘着防止剤(タルク又はモノ-/ジ-グリセリド以外)、異なる可塑剤(クエン酸トリエチル、例えば、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、アセチル化モノグリセリド、又はこれらの組合せなど)を、上述の粘着防止剤及び可塑剤の代替物として、又はこれらと組み合わせて含む別の成分で置き換えられる。
【0198】
1つのケースでは、本発明は、組成物の1日1回投与を受ける有意な数のヒト患者において治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を放出する制御放出製剤中に1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、1日2回投与によって得られるものに匹敵するニコランジルの生物学的利用能をもたらす(例えば、US FDA、EMA、カナダ保健省、及び同様の規制当局において適用されるものなどの一般的な規制当局基準に従って実施される1つ以上の十分に制御された適切な臨床試験において決定される)、組成物を提供する。
【0199】
一実施形態では、本発明は、1日1回の投与レジメンで投与された場合に組成物が有意な数の患者において治療的に有効であるような速度で1つ以上のニコランジル化合物を放出する制御放出製剤中に治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物を提供する(例えば、臨床治験(複数可)で決定される)。
【0200】
一態様では、本発明は、ニコランジルで処置可能な状態を処置する方法であって、上述の態様、側面、及び実施形態のいずれかの特徴を含む組成物を1日1回の処置としてヒトに投与することを含み、そのような処置レジメンが、1つ以上の十分に制御された適切な研究において、かなりの数の患者においてニコランジルで処置可能な状態を効果的に処置する方法を提供する。一態様では、ニコランジルで処置可能な状態は、安定狭心症などの狭心症の形態である。
【0201】
本出願の元の特許請求の範囲の内容も、本発明の追加の態様として本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0202】
読者の便宜のために、本発明の方法、組成物、及び製品の主要な特徴(例えば、工程/機能及び要素/構成要素)は、このセクションにおいて広範な概要で説明され、その後に、適用可能な場合、そのような構成要素/要素、方法工程、又は関連する条件/特性の個々の説明が続く。本明細書の他の箇所で示されるように、本発明の態様の任意の態様、側面、実施形態、又は他の説明は、例えば、図面及び例示的な態様を含む本開示の任意の他の部分に含まれる任意の態様、側面、実施形態などと組み合わせることができる。読者は、本発明の詳細な態様のより完全な理解に到達するために、この詳細な説明並びに図面及び実施例において提供される開示を用いて、例示的な態様における本発明の説明をどのように適用するかを特に理解するであろう。
【0203】
1.組成物/製剤
他の場所で言及されるように、「組成物」及び「製剤」などの用語は、本発明の態様を形成する製品及び要素を含む医薬品を説明するために、本明細書において互換的に使用されることが多い。組成物は、本明細書において、例えば、「医薬組成物」、「薬学的に許容される組成物」、「製剤」、「医薬製剤」、「薬学的に許容される製剤」(例えば、語句「製剤」及び「組成物」は互換的に解釈されるべきである)として記載することができ、哺乳動物対象、典型的にはヒト患者への、例えば、経口投与による医薬投与に適した形態の1つ以上のニコランジル化合物を含む調製物を指す。他の場所で言及され、一般的に理解されるように、「薬学的適合性」及び「薬学的に適切な」は、典型的には、薬学的投与及び適用に安全かつ有効である組成物を指すために使用される語句であり、典型的には、規制当局の審査によって判断され得るような、及び例えば、一般的に普及している規制当局の基準に従って行われる1つ以上の十分に制御された適切な臨床研究によって確立されるような、薬学的適用に十分な効力、純度、強度、品質、及び安全性を有する組成物/要素を意味する。本明細書で提供される組成物は、例えば、慢性安定狭心症(「CSAP」)の症状又は根底にある原因を処置することを含む様々な方法で有用である。
【0204】
A.本発明の組成物の一般的特徴
態様では、組成物は、有効量の1つ以上の薬学的に好適なニコランジル化合物を含む。態様では、本発明の組成物のニコランジル化合物(NCDC)(複数可)は、主に、概ね、ニコランジルであるか、又はニコランジルのみで構成される。態様では、ニコランジルは、ニコランジルで処置可能な状態と診断されたヒト患者に治療有効量の組成物として投与することができる。
【0205】
態様では、本発明の組成物は、1つ以上の制御放出要素/成分を含み得る制御放出製剤/組成物を含む。態様では、制御放出製剤は、少なくとも2つの異なる成分(又は成分製剤-例えば、第1の放出製剤及び第2の放出製剤)を含み、各々は、他方と比較して固有の組成及びNCDC放出プロファイル(とりわけ、放出の速度(複数可)及び持続時間(複数可)によって定義される)を有する。
【0206】
例えば、態様では、本発明の組成物は、徐放性/持続放出プロファイル(検出可能な量又は有意な量のニコランジル又は他のNCDCが即時放出(IR)製剤から、例えば現在市販されているIKOREL(登録商標)10mgニコランジルIR製剤(販売が承認され、オランダ、フランスなどで入手可能)から放出される期間よりも有意に長い期間、又は少なくとも約1.25倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、又は少なくとも約3倍長い期間、検出可能な量又は有意な量のNCDCが放出されるプロファイル)を示す。典型的には、そのような比較を行う際に、本開示全体を通して暗黙的に理解されるように、同等量の同じNCDC(複数可)が、比較される成分/組成物中に存在する。
【0207】
態様では、制御放出製剤の成分は、遅延放出を示す(例えば、即時放出製剤、早期放出製剤、又はその両方よりも有意に遅い時点で放出する)。
【0208】
別の態様では、制御放出組成物は、薬学的に許容される剤形で提供される。一態様では、薬学的に許容される剤形は、少なくとも1つの第1の放出成分及び少なくとも1つの第2の放出成分を含み、第1の放出成分及び第2の放出は、放出条件、投与後の放出時間、又はその両方に関して有意に異なる。態様では、少なくとも1つの第2の放出成分は、製剤からのAPIの放出プロファイルを検出可能に又は有意に調節するコーティングによって囲まれている。矛盾しない限り、本発明の組成物に関連する「API」への言及は、ほとんど、概ね、又はニコランジルなどのNCDC(複数可)のみからなると解釈されるべきである。
【0209】
更に別の態様では、コーティングは、特定のpH条件下で少なくとも特定の期間(例えば、2~12、4~12、6~12、又は8~12時間)、非コーティングの対応する剤形と比較して、コーティングAPF/製剤/コアの放出を有意に制限する有効量のpH感受性ポリマーを含む。例示的な態様では、pH感受性ポリマーは、胃条件下で(例えば、約1~約1.5のpHを有する溶液中で)放出を有意に減少させる。態様では、第1の放出成分及び第2の放出成分は、送達促進シェル/ビヒクル、例えばカプセル内に一緒に提供される。態様では、錠剤剤形などの2~8個、3~6個、3~5個、又は4個の固体剤形を含有するカプセルなどの送達促進ビヒクルは、HPMCなどの放出制御ポリマー材料から少なくとも主に構成される。
【0210】
組成物/成分(例えば、剤形)中のNCDC(複数可)は、他の箇所で更に記載されるように、様々な機能性賦形剤と組み合わされる。例えば、例示的な態様では、組成物は、制御放出ポリマーマトリックス(例えば、HPMCを含むか、又はほとんど含むか、又は概ねそれらからなる/からなるマトリックス)、結合剤/崩壊剤(又はそれらの2つ以上)(例えば、デンプン)、及び少なくとも部分的に(例えば、1つの副成分又は部分として)pH応答性ポリマー要素、例えば、pH応答性コーティング(例えば、メタクリレートコーティング、又は例えば、pH1.2と比較してpH5.5以上で比較的高い溶解速度を受ける他のコーティング)を含む。態様では、そのような組成物は、複数の剤形(例えば、錠剤、例えば50~150mg錠剤、例えば約100mg錠剤)(例えば、33~66%の第1の放出製剤剤形(複数可)及び33~66%の第2の放出製剤剤形(複数可)から構成される3~6個、例えば4個)で提示される。態様では、そのような例示的な組成物は、適切な形状(例えば、両凸形状)の8.5mm以下(例えば、5mm以下)の最大寸法を有する剤形を含む。態様では、製剤は、組成物の様々な成分/剤形中に分布する有効量のNCDC(複数可)(例えば、約10~100mgのニコランジル、例えば、約15~90mg、約15~75mg、約15~60mg、又は20、25、30、35、若しくは40mgのニコランジル)を含む。例えば、組成物は、それぞれ約5~20mg、7.5~15mg、又は8~12mgのNCDC(複数可)、例えばニコランジルを含有する4つの剤形を含むことができる。
【0211】
本発明の様々な例示的な組成物のいくつかの一般的な特徴は、本開示の例示的な態様のセクションにおいて提供される。例えば、本セクションのいずれかの部分に記載される特徴を有する組成物は、例えば、例示的な態様に記載される態様1~90のいずれか1つ以上の特徴の1つ以上を示すことができる。
【0212】
i.錠剤の物理的特性
態様では、賦形剤のタイプ及び量は、錠剤成分(複数可)の所望のレベルのサイズ、錠剤の一貫した充填を提供する流動性、硬度、及び圧縮性を達成するために選択される。
【0213】
態様では、錠剤成分(複数可)は、本明細書に提供される特徴(例えば、本明細書に開示されるそのような値の範囲)を満たす規定された硬度、品質、サイズ、及び流動性を有し得る。態様では、そのような特徴は、関連する剤形(例えば、錠剤)が、加工工程、例えば、製造中に起こり得る圧縮及び関連するプロセスに耐えるのを助ける。
【0214】
態様では、組成物の錠剤成分(複数可)/剤形(複数可)は、少なくとも約40N(例えば、40N~140N、例えば、少なくとも約60N、例えば少なくとも約70N、例えば少なくとも75N、例えば少なくとも85N、例えば少なくとも90N(例えば、約50~150N、約75~135N、80~140N、約85~135N、又は約90~130N)、例えば約95N、約100N、約105N、約110N、約120Nなど(すなわち、など)の硬度を有し得る。
【0215】
このような特性を評価するための様々な方法が知られている。例えば、錠剤硬度特性は、例えば、pharmtech.com/view/measuring-tablet-hardness-primerで入手可能な、Chang,E.,Measuring Tablet Hardness:A Primer、2013年6月1日に記載される破砕、破壊、及び曲げ試験方法を使用し、米国薬局方(USP)規格1217などの標準試験に従って判定することができる。
【0216】
態様では、1つ以上の寸法(例えば、その最大寸法、ほとんどの寸法、又は全ての寸法)における各錠剤構成要素のサイズは、直径/最大寸法が約3mm~6mm、例えば約3.5mm、例えば約4mm、例えば約4.5mm、例えば約5mm、例えば約5.5mmなどとすることができる。
【0217】
ii.ニコランジル化合物(NCDC)
態様では、組成物は、有効量の1つ以上のNCDCを含む。有効量は、本明細書中に開示される生理学的結果又は治療効果(例えば、狭心症に関連する1つ以上の症状又は状態を減少させる)を生じるための有効量とすることができる。態様では、NCDCは、ニコランジルを含むか、又はほとんど含むか、又は概ね、実質的にそれのみからなるか、又は完全にそれからなる。NCDCは、ニコランジルの任意の適切な医薬誘導体、ニコランジルの既知の類似体(例えば、米国特許第20090076095号はニコランジルの重水素化形態を開示し、米国特許第9359376号及びオーストラリア特許第2020240015号の両方はニコランジル誘導体を開示する)、ニコランジルのプロドラッグ(例えば、Unicycive Pharmaceuticals)によって開発されているUNI-494)、又はそれらのいずれかの塩類などの薬学的に許容される代替形態(例えば、米国特許第5211943号はニコランジルの有用な塩類を開示することを意図している)を含むことができる。態様では、組成物中の任意の非ニコランジルNCDCのほとんど、概ね全て、又は全てが、(同等の製剤、投与量などにおいて)ニコランジルとほぼ同じであるか、統計学的に類似しているか、又は検出可能に/有意に優れている治療効果又は生理効果を示す。NCDCは、概ね又は完全に薬学的に許容される/適している。態様では、非NCD NCDCは、ニコランジルと同様の又はそれよりも優れたアデノシン三リン酸感受性カリウム(KATP)チャネル調節特性を示す。態様では、非ニコランジルNCDCは、(有効量で)検知可能な又は有意な血管拡張特性を示す。態様では、ニコランジル化合物は、ニコランジル誘導体、例えば、酢酸2-ニコチンアミドエチル、PCT公開番号WO2020190890に開示されている1つ以上のニコランジル誘導体などとすることができる。態様では、ニコランジル化合物は、ニコランジル塩形態、例えば、欧州公開番号EP0260452に開示されている任意の1つ以上のニコランジル塩形態/化合物などとすることができる。態様では、本明細書に記載される組成物に適したニコランジル化合物は、例えば、KATPチャネルの同様の調節能力を示す、ニコランジル処置可能な状態を処置する際にニコランジルの治療効果と同様の治療効果を示す、又はその両方など、ニコランジルと有意に同様の生理的効果を示すニコランジル化合物である。態様では、ニコランジルの誘導体は、ニコランジルコアに結合した1、2、又は3つの付加原子又は基を含み、この誘導体は、1つ以上の点において、そのような点で改善がないとしても、ニコランジルと少なくとも有意に類似した生理的又は薬学的/治療活性を示し、薬学的使用に適したままである。態様では、組成物の1つ以上のニコランジル化合物の各々は、(1)ATP感受性カリウムチャネル(カリウムチャネル活性化因子)に対する作用を介して末梢及び冠状動脈の抵抗血管を拡張するか、又は(2)全身の静脈及び冠状動脈の血管拡張を促進する硝酸塩部分を有する。
【0218】
一般に、ニコランジルが本明細書に記載される場合、それは、1つ以上の好適なニコランジル化合物を含む対応する態様を暗黙的に同時に開示し、ニコランジル化合物(複数可)に言及される場合、それは、ニコランジル化合物(複数可)がニコランジルである対応する態様を暗黙的に記載する。
【0219】
態様では、組成物の1つ以上のニコランジル化合物は、ニコランジルを含むか、主に含むか、概ね含む/からなるか、本質的に含む/からなるか、又はのみからなる。態様では、ニコランジルは、組成物中の唯一のAPIである。ニコランジルの構造を以下に示す。
【0220】
【化1】
【0221】
態様では、組成物は、1つ以上の追加のAPI、例えば、ニコランジルによっても治療される病気の態様、例えば狭心症の態様を処置する、又は関連する若しくは根底にある病気、状態、若しくは症状、例えば関連する疼痛、関連する生理状態などを処置する1つ以上のAPIを含む。
【0222】
態様では、本発明の組成物は、NCDC以外のAPIを含まない。態様では、本発明の組成物は、ニコランジル以外の他のAPIを含まないか、又は組成物のAPIは、概ね、実質的に、本質的に、若しくは完全にニコランジルからなる。
【0223】
iii.賦形剤成分
NCDCのAPI(複数可)に加えて、本発明の組成物は、そのような組成物の製剤、及び適用可能であれば剤形(及び適用可能であれば担体/ビヒクル系)を構成するいくつかの賦形剤を含む。一般的な態様では、組成物は、充填剤、結合剤、増量剤、希釈剤、崩壊剤、滑剤、着色剤、抗接着剤、潤滑剤、コーティング、保存剤、抗酸化剤、香味剤、甘味剤、吸着剤、溶媒、共溶媒、緩衝剤、キレート剤、粘度付与剤、界面活性剤、湿潤剤などとして特徴付けられるものなどの、当該技術で認識されている任意の数の賦形剤を、適切な/有効な量で含むことができる。態様では、そのような賦形剤は、錠剤の製造を助ける、錠剤の性能を助ける、又はその両方であるが、有意な薬学的活性を付与しない(例えば、医薬品有効成分(API)ではない)任意の薬学的に許容される賦形剤とすることができる。
【0224】
医薬製剤に好適であり得、態様では組成物に含まれ得る賦形剤の他の例としては、充填剤(例えば、炭水化物(例えば、グルコース、ラクトース)、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウムなど)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコールなど)、結合剤(スクロース及びデンプンなどの溶液結合剤並びにセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどの乾燥結合剤を含む)、滑剤(例えば、シリカ、ステアリン酸マグネシウム、タルクなど)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、パラフィン、タルクなど)、粘着防止剤(例えば、デンプン、セルロースなど)など、又は複合成分(例えば、可塑剤/粘着防止剤混合物などの1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の機能を示し得る2つ、3つ、又はそれ以上の賦形剤の混合物、例えば、PlasAcryl(登録商標)(Evonik、ドイツ、エッセンにより販売)が挙げられる。態様では、これらのいくつかの例によって明らかなように、任意の単一の賦形剤が、1つ以上のそのような機能を果たすことができる。すなわち、態様では、単一の賦形剤は、結合剤として働くことができ、又は製造中の製剤の流動性を改善することもでき、又は、例えば、単一の成分は、崩壊剤として作用することができ、結合機能を提供することもできる。
【0225】
追加/代替の賦形剤は、1つ以上の有効量の充填剤(例えば、炭水化物、例えば、グルコース、ラクトースなどの糖、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、セルロース組成物、デンプン、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びデンプングリコール酸ナトリウムなど);崩壊剤(例えば、ゼラチン、PVP、ポリエチレングリコール(PEG)、及びセルロース誘導体);結合剤(セルロース、メチルセルロース、PVP、及びPEGなど);滑剤(例えば、シリカ、タルク、及びステアリン酸マグネシウム);及び潤滑剤(例えば、PEG、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、パラフィン、タルクなど)を含むことができる。
【0226】
態様では、剤形、製剤(NCDC関連成分/組成物)、又は全体的な組成物の少なくとも約25%、例えば約30~65%、例えば約40~55%又は40~65%、又は40~60%は、とりわけ結合剤として特徴付けることができる賦形剤(複数可)から構成される。例示的な結合剤は、他の箇所に記載されている。追加の又は他の代替的な結合剤は、スクロース、液体グルコース、ソルビトールなどの糖;アカシア、トラガカント、ゼラチン、デンプン、デンプンペースト、アルファ化デンプン、アルギン酸、若しくはセルロースなどの他の天然結合剤;又は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリジン(PVP)、架橋PVP、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート、微結晶性セルロース(MCC)などの合成若しくは半合成ポリマーを含むことができる。
【0227】
態様では、組成物は、有効量の微結晶性セルロース(MCC)を含む。態様では、組成物は、コロイド状二酸化ケイ素及びMCCを含むケイ化微結晶セルロースを含む。態様では、SCC成分は、(1)65~125μm若しくは90~125μmの平均粒径(レーザー回折によって決定される)、又は(及び/又は)(2)0.25~0.37、0.2~0.3、0.25~0.37、0.38~0.5、又は0.27~0.39のかさ密度(g/mL)を有する。そのような賦形剤の例は、Prosolv HD90である。複数の態様では、組成物は、約25~60%、約30~55%、例えば、約35~55%のSCCなどのMCCを含む。態様では、SCCは、約1~3%、例えば、約1.5~2.5%、又は約2%の二酸化ケイ素を含み、SCCの残りはMCCから構成される。態様では、組成物中のMCCのほとんど、概ね全て、又は全てが、SCCから構成される。態様では、MCC又はSCCは、1つ以上のタイプの剤形において、又は製剤/組成物若しくはそのNCDC含有成分全体を通して、結合剤/崩壊剤として分類することができる任意の成分の約33%を構成する。
【0228】
態様では、組成物は、任意選択的に、例えば、最大約30%、最大約25%、又は最大約20%(例えば、約1~20%、約2~20%、約5~20%、又は約10~20%又は5~30%、5~25%、10~30%又は10~25%)で、デンプン(例えば、アルファ化デンプンであり得るトウモロコシデンプン又はジャガイモデンプン)などの結合剤/崩壊剤又は結合剤/滑剤として特徴付けることができる成分を含むことができる。
【0229】
態様では、他の箇所に記載されるように、剤形、製剤、又は製品の実質的な成分(例えば、少なくとも約10%、少なくとも約15%など、例えば、10~50%、10~40%、15~50%、15~40%、15~35%、20~50%、20~40%、20~35%、25~45%、30~40%、又は約35%)は、制御放出ポリマー成分(例は他の箇所に記載される)から構成される。態様では、制御放出(CR)ポリマーのほとんど(又はCRポリマー成分の概ね全て/全て)は、親水性ポリマーで構成される。態様では、制御放出ポリマー成分のほとんど、概ね全て、又は全てが、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)などのセルロースエーテル誘導体ポリマーである。態様では、CRポリマー成分は、ほとんどが、概ね完全に、又は完全にHPMCから構成され、好適なHPMCの例は、HPMC DC2であり、例えば、25~50%、25~45%、27.5~42%、又は約30%若しくは約35%で存在する。
【0230】
態様では、組成物は、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤を、約0.25~1.5%、例えば、約0.33~1.25%、又は本明細書で提供される別の例示的な量で含む。態様では、潤滑剤成分は、有効量(複数可)の1つ以上の境界(a)脂肪酸金属塩;(b)脂肪酸、炭化水素、及び脂肪アルコール、(c)脂肪酸エステル、(d)アルキル硫酸塩、(e)ポリマー、又は(f)無機材料を含む。態様では、潤滑剤成分のほとんど、概ね全て、又は全てが疎水性材料から構成される。例示的な潤滑剤材料としては、パラフィン、タルク、シリカ材料、脂肪(例えば、ステアリン)、脂肪酸(ステアリン酸)、PEG(例えば、PEG400、PEG600など)、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、及び公知の等価物/代替物が挙げられる。態様では、潤滑剤成分のほとんど、概ね全て、又は全てが、ステアリン酸カルシウムなどの金属塩潤滑剤である。態様では、潤滑剤成分のほとんど、概ね全て、又は全てが、例えば、Ligamed MF-2-V(0.5~1%)(例えば、約0.5~1mg)などのステアリン酸マグネシウムから構成される。
【0231】
態様では、組成物は、1つ以上のpH応答性成分/構成要素又は剤形/製剤を含む。態様では、pH応答性成分/要素のほとんど、概ね全て、又は全てが、pH依存性/感受性セルロース誘導体から構成される。このようなポリマーの例としては、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、及び酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAP)が挙げられる。このような又は他のpH応答性CRポリマーは、ほとんど、概ね、又は完全に非晶質とすることができる。態様では、pH応答性ポリマー成分のほとんど、概ね全て、又は全てが、メタクリレート基(メタクリレートポリマー)から構成される。pH応答性ポリマー及び関連する局面の更なる例は、他の場所で提供される。
【0232】
ここで、態様では、組成物、剤形などに有効量で含まれる賦形剤の特定の官能基に更に焦点を当てる。
【0233】
a.結合剤/流動剤/崩壊剤
態様では、組成物、剤形、製剤などは、1つ以上の結合剤(「結合剤」)を含むことができる。結合剤は、組成物の結合特性に影響を与えることが可能な任意の薬学的に許容される薬剤であり得る。錠剤開発に使用される一般的な結合剤としては、溶液結合剤及び乾燥結合剤が挙げられ、例えば、スクロース、液体グルコース、及びソルビトールなどの糖、アカシア、トラガカント、ゼラチン、デンプン、デンプンペースト、アルファ化デンプン、アルギン酸、ポリビニルピロリジン(PVP)、架橋PVP、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート、セルロース系化合物などの天然結合剤を挙げることができる。上述したように、このような賦形剤は、態様では、結合機能に加えて、例えば、崩壊特性又は流改善特性などの1つ以上の機能を提供することができる。
【0234】
態様では、1つ以上の賦形剤は、セルロース系賦形剤として特徴付けることができる。態様では、セルロース系賦形剤は、例えば、天然セルロース、合成又は半合成セルロース系ポリマーなどの任意のセルロース系賦形剤とすることができる。態様では、ポリマーは、親水性ポリマーとすることができる。態様では、ポリマーは、直接圧縮可能なポリマーとすることができる。態様では、セルロース系賦形剤は、結合剤として、流動剤として、又はその両方として機能することができる。態様では、1つ以上のセルロース系賦形剤の存在は、そのような1つ以上のセルロース系賦形剤(複数可)を含まない錠剤よりも、錠剤の密度を検出可能に又は有意に増加させ、錠剤又はその組合せの圧縮性(例えば、圧縮)を検出可能に又は有意に増加させることができる。例示的なセルロース系賦形剤としては、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び微結晶性セルロースが挙げられる。他の箇所で述べたように、これらの組成物のいくつかは、他の重要な/実質的な機能を示し、例えば、HPMCは、pH非依存性制御放出ポリマーとして特徴付けることができる。
【0235】
態様では、組成物は、2つ以上のタイプの結合剤の混合物を含む。例えば、態様では、組成物又は組成物の剤形は、約25~50%の高度に圧縮可能な結合剤成分、及び約5~25%の崩壊剤結合剤を含むことができる。
【0236】
態様では、セルロース系賦形剤は、微結晶性セルロース及びコロイド状二酸化ケイ素を含む組合せ製品とすることができる。MCC Prosolv(登録商標)HD90(具体的にはSMCC Prosolv(登録商標)HD90とも呼ばれる)は、本発明の錠剤での使用に適した1つの適切なセルロース系賦形剤である。特定の態様では、そのような組合せセルロース系賦形剤製品の使用は、微結晶セルロース単独(例えば、組合せ製品として提供されない微結晶セルロース)の使用よりも、錠剤中に存在する1つ以上の他の賦形剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)の分解効果に抵抗する錠剤の能力の検出可能な又は有意な改善を提供する。MCC/SCC組成物の例は、例えば、Anis Yohana Chaerunisaa、Sriwidodo及びMarline Abdassahによる「Microcrystalline Cellulose as Pharmaceutical Excipients」(公開:2019年7月19日-DOI:10.5772/intechopen.88092)に記載されている。Prosolv(登録商標)賦形剤は、ニューヨーク州パターソンのJRS Pharma LPから入手可能である。ケイ化微晶質セルロース組成物を調製するためのプロセス、並びにMCC/SCC組成物及び関連する製剤の特徴は、例えば、米国特許第5,585,115号、EP1509204A号、US20100215753A1号、及びAljaberi A、Chatterji A、Shah NH、Sandhu H.Drug Dev Ind Pharm.2009年9月;35(9):1066-71.doi:10.1080/03639040902774131.PMID:19353418に記載されている。有利なSCC組成物に関連する機能特性には、従来のMCCと比較して5倍の比表面積の増加、並びに30~50%の圧縮の増加、並びに検出可能な若しくは著しく改善された成分流動、圧縮の増加、含量均一性、製剤安定性、又はそれらのいずれか若しくは全ての組合せが含まれる。
【0237】
b.デンプン
態様では、本発明の剤形/製剤は、デンプンとして特徴付けられる1つ以上の賦形剤を含むことができる。デンプンは、一般に、一緒に連結された多数の単糖又は糖(グルコース)分子を含む多糖を意味すると理解される。態様では、デンプンなどは、検出可能な又は重要な成分/活性成分結合官能基を錠剤に提供することができ、更に又は代替的に、希釈剤、充填剤、崩壊剤、滑剤として働くことができ、又はそのような官能基の任意の1つ以上の検出可能な/重要な組合せを示すことができる。
【0238】
態様では、デンプンは、崩壊剤機能を提供することができ、例えば、より小さな断片への分解(溶解)において錠剤を助け、API、例えば、ニコランジルの放出を容易にする。態様では、デンプンは、任意の薬学的に許容されるデンプン、例えば、トウモロコシ(corn/maize)デンプン又はジャガイモデンプンなどの天然デンプンなどとすることができる。態様では、デンプンは、アルファ化デンプン(例えば、乾燥/調理デンプン)とすることができる。態様では、加工デンプンの使用は、非加工デンプンの使用よりも錠剤の圧縮性を検出可能に又は有意に増強する。すなわち、加工デンプンの使用は、錠剤摩損度を検出可能に又は有意に低減する。態様によれば、デンプンの存在は、デンプンを含まない錠剤の吸水能力よりも、錠剤の吸水能力を検出可能に又は有意に増加させることができる(例えば、錠剤(複数可)の好適な崩壊を助ける)。
【0239】
態様では、錠剤での使用に適したデンプンは、例えば、デンプン粒子の適切なサイズ及び形状を提供することによって、錠剤の圧縮性要件を満たすことができるデンプンである。態様では、本明細書での使用に好適なデンプンは、圧縮及び組成物流動能の両方に好適なサイズ及び形状プロファイルを有することができる。一態様では、錠剤での使用に適したデンプンは、直接圧縮可能なデンプンである。態様では、ColorconによるSTARTAB(登録商標)直接圧縮可能デンプンは、約100μM未満の平均粒子サイズ、並びに流れ及び圧縮性に有利な形状(例えば、概ね円形)を有する、本明細書の錠剤における使用に好適なデンプンである。
【0240】
態様によれば、錠剤は、デンプン系賦形剤を含まなくてもよい。態様では、錠剤は、約0%~約30%、例えば、約0%~約18%、約0%~約16%、約0%~約14%、約0%~約12%、約0%~約10%、約0%~約10%、約0%~約8%、約0%~約6%、約0%~約4%、又は約0%~約2%、例えば、約2%~約30%、約4%~約30%、約6%~約30%、約8%~約30%、約10%~約30%、約12%~約30%、約14%~約30%、約16%~約30%、約18%~約30%、又は例えば、約20%~約30%の量のデンプンを含むことができる。特定の態様では、錠剤は、0~約20%の量のデンプン成分(例えば、STARTAB(登録商標)直接圧縮可能デンプン)を含む。
【0241】
態様によれば、錠剤は、デンプン系賦形剤を含まなくてもよい。態様では、錠剤は、約0mg~約30mg、例えば約0%~約18mg、約0mg~約16mg、約0mg~約14mg、約0mg~約12mg、約0mg~約10mg、約0mg~約10mg、約0mg~約8mg、約0mg~約6mg、約0mg~約4mg、又は約0mg~約2mg、例えば、約2mg~約30mg、約4mg~約30mg、約6mg~約30mg、約8mg~約30mg、約10mg~約30mg、約12mg~約30mg、約14mg~約30mg、約16mg~約30mg、約18mg~約30mg、又は例えば、約20mg~約30mgなどの量のデンプンを含むことができる。特定の態様では、錠剤は、デンプン成分(例えば、STARTAB(登録商標)0~約20mgの量の直接圧縮可能なデンプン)を含むことができる。
【0242】
b.制御放出ポリマー(一般)
多数のタイプの放出遅延材料が本明細書で提供され、それらの等価物は当該技術で公知である。そのような実施形態を例示するために、本明細書では、イオン交換樹脂成分を、放出遅延成分/要素の一部として単独で、又は他の放出遅延剤/要素(例えば、1つ以上の放出遅延コーティングポリマー)と共に含む組成物に関する重要な開示が提供される。そのような製剤は本発明の独自の態様であるが、そのような詳細な開示は、当業者が他の放出遅延剤を使用して本明細書に記載の特徴を有する組成物を得ることを妨げるものではなく、本発明者らは、本開示全体を通して提供される本発明の様々な態様による治療剤として適していると考えている。
【0243】
一般に、放出遅延剤は、薬学的に許容されるポリマー、親水性又は疎水性ポリマー、例えばエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、アクリル酸エステル、例えばEudragit RL100、Eudragit RLPO、Eudragit RL30D、Eudragit RSPO、Eudragit RS30D、Eudragit NE30D、Eudragit NE40D、酢酸フタル酸セルロース、HECフタレート、HPMCフタレート若しくは他のセルロース系ポリマー、又はポリマーの混合物を含む。
【0244】
放出遅延剤は、水不溶性ポリマー、pH依存性ポリマー、又はその両方(例えば、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリメタクリル酸エステルコポリマー、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ポリ酢酸ビニルのコポリマー、ポリビニルピロリドンなど、アクリル酸メチルアクリル酸コポリマー、アクリル酸メチルメタクリル酸コポリマー、アクリル酸ブチルスチレンアクリル酸コポリマーなどの誘導体)を含むか、又はそれらと会合させることができる。放出制御剤(複数可)は、エチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリレート及びポリメタクリレートなどの既知の放出制御ポリマー、持続放出を提供するそれらのコポリマーを含むことができる。態様では、水不溶性ポリマー及びpH依存性ポリマーを含む徐放性コーティングを組成物中で使用することができる。態様では、組成物のための制御放出コーティングは、エチルセルロース及びポリエチレングリコールを含むことができる。態様では、放出遅延剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC又はヒプロメロース)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びキサンタンガムなどからなる群から選択される。態様では、放出制御ポリマー/コーティングは、少なくとも1つの疎水性放出制御剤及び少なくとも1つの親水性放出制御剤を含む。態様では、放出制御物質は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、HPMCフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、又はメタクリル酸コポリマーなどを含む。態様では、制御放出剤/放出遅延剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC)、HPMCフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸コポリマーなどを含む。
【0245】
態様では、放出遅延剤(CRポリマー-例えばpH非依存性CRポリマー)は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC又はヒプロメロース)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルピロリドン(PVP)及びキサンタンガムなどからなる群から選択される。態様では、放出制御ポリマー/コーティングは、少なくとも1つの疎水性放出制御剤及び少なくとも1つの親水性放出制御剤を含む。態様では、放出制御物質は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、HPMCフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、又はメタクリル酸コポリマーなどを含む。態様では、制御放出剤/放出遅延剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMC)、HPMCフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、メタクリル酸コポリマーなどを含む。
【0246】
速度制御ポリマーの形態の遅延剤は、態様では、親水性ポリマー、疎水性ポリマー又はそれらの混合物から選択することができる。速度制御ポリマーは、マトリックス化剤、コーティング剤、又はその両方として使用することができる。親水性ポリマーとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カルボマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを挙げることができる。使用することができる疎水性ポリマーは、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリ酢酸ビニル、メタクリル酸エステル中性ポリマー、ポリビニルアルコール-無水マレイン酸コポリマー、HPMCフタレート、EUDRAGIT(登録商標)RSPO、EUDRAGIT(登録商標)S 100、硬化ヒマシ油、ワックスなどのセルロースエーテル組成物を含むことができる。
【0247】
態様では、第1の放出成分の放出耐性ポリマーは、第2の放出成分よりも有意に低いpH応答性であるか、有意なpH感受性/応答性を示さないか、又は少なくとも胃酸溶解条件に対して耐性ではない。態様では、そのような製剤及びその成分(例えば、HPMCのようなそこに含有されるポリマー)の放出遅延特性/特徴付けは、特に胃酸溶解条件以外の条件での、IR剤形と比較した製剤の制御放出の反映である。
【0248】
態様では、セルロースベースの賦形剤は、セルロースエーテル誘導体、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを含むことができる。態様では、錠剤は、HPMCを含む。複数の態様では、HPMCの存在は、錠剤が溶解する際に、HPMCを含まない錠剤の制御放出よりも、有効成分(例えば、ニコランジル)の制御放出を検出可能に又は有意に改善する。特定の態様では、本発明によって提供される錠剤中に存在し得る好適なHPMCは、Methocel(商標)DC2ポリマーである。態様では、Methocel(商標)DC2ポリマーは、DC2ポリマー粒子の球状形態に起因して、他のHPMC製品よりもHPMCの検出可能な又は有意に良好な性能を提供する。
【0249】
態様では、錠剤は、微結晶性セルロースベースの賦形剤及びHPMCなどのセルロースエーテル誘導体の両方を含む。態様では、本明細書の組成物は、MCC Prosolv(登録商標)HD90(微結晶性セルロース及びコロイド状二酸化ケイ素)などの組合せ製品として存在する微結晶性セルロース系賦形剤を含む。態様では、錠剤は、Prosolv(登録商標)HD90及びMethocel(商標)DC2ポリマー(HPMC)の両方を含む。
【0250】
態様では、錠剤は、任意の単一セルロース系賦形剤成分を、任意の単一セルロース系賦形剤の約20%~約60%、例えば、約22%~約58%、約24%~約56%、又は例えば、約26%~約55%、例えば、約26%~約54%、約26%~約52%、約26%~約50%、約26%~約48%、約26%~約46%、約26%~約44%、又は例えば、約26%~約42%、例えば、約28%~約56%、約30%~約56%、約32%~約56%、又は例えば、約34%~約56%の量で含むことができる。特定の態様では、錠剤は、約34%~約54.5%の微結晶性セルロース(MCC)Prosolv(登録商標)HD90を含むことができる。別の具体的な態様では、錠剤は、約27.5%~約42%のHPMC(例えば、HPMC DC2(Methocel(商標)HPMC DC2ポリマー)を含むことができる。態様では、HPMCは、1つ以上のニコランジル化合物対HPMCの比が、約1:2~1:5、例えば、1:2.5、1:3、1:3.25、1:3.5、1:3.75、1:4、1:4.25、1:4.5、1:4.75などの量である量で存在することができる。
【0251】
態様では、錠剤は、任意の単一セルロース系賦形剤成分を、約20mg~約60mg、例えば、約22mg~約58mg、約24mg~約56mg、又は例えば、約26mg~約55mg、例えば、約26mg~約54mg、約26mg~約52mg、約26mg~約50mg、約26mg~約48mg、約26mg~約46mg、約26mg~約44mg、又は例えば、約26mg~約42mg、例えば、約28mg~約56mg、約30mg~約56mg、約32mg~約56mg、又は例えば、約34mg~約56mgの任意の単一セルロース系賦形剤の量で含むことができる。特定の態様では、錠剤は、約34~約54.5%の微結晶性セルロース(MCC)Prosolv(登録商標)HD90を含むことができる。別の具体的な態様では、錠剤は、約27.5%~約42%のHPMC DC2(Methocel(商標)DC2 HPMCポリマー)を含むことができる。
【0252】
態様では、錠剤は、合計で約55%~約97.5%、例えば55%~95%、又は55%~90%の2つ以上のセルロース系成分の組合せ、例えば約56%~約90%、約57%~約90%、約58%~約90%、約59%~約90%、約60%~約90%、又は例えば約61%~約90%の2つ以上のセルロース系成分(複数可)を含むことができる。態様では、そのような2つ以上のセルロース系成分は、Prosolv(登録商標)HD90(微結晶性セルロース及びコロイド状二酸化ケイ素)などの微結晶性セルロース及びHPMC(例えば、HPMC DC2(Methocel(商標)DC2 HPMCポリマー)とすることができる。態様では、セルロース系成分は、製剤の圧縮性を検出可能に又は有意に増加させる。態様では、セルロース系成分は、製剤の流動性を検出可能に又は有意に増加させる。更に別の態様では、セルロース系成分は、結合剤として作用することができる。
【0253】
態様では、HPMCは、剤形、製剤などにおいてある量で存在することができ、1つ以上のニコランジル化合物対HPMCの比は、約1:2~1:5、例えば、1:2.5、1:3、1:3.25、1:3.5、1:3.75、1:4、1:4.25、1:4.5、1:4.75などの量である。
【0254】
c.可塑剤
態様では、組成物、製剤、又は剤形は、有効量の可塑剤成分を含む。態様では、可塑剤成分は、セバシン酸ジブチル、植物油、セバシン酸ジエチル、フタル酸ジエチル、トリセチン、又はプロピレングリコールなどの任意の適切な薬学的に許容される可塑剤から構成することができる。可塑剤は、典型的には、本発明の組成物のGADRCを構成するpH応答性ポリマー系コーティングなどのコーティングの要素である。態様では、可塑剤成分の一部、ほとんど、概ね全て、又は全ては、クエン酸トリエチル(TEC)から構成される。態様では、組成物又は剤形コーティングは、約0.25~1.25%、例えば、0.33~1%又は0.5~1%、又は0.5~0.75%の可塑剤成分を含む。態様では、可塑剤成分は、有効量のフタル酸ジエチル、三酢酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリル、及びクエン酸トリエチルのうちの1つ以上を含む。
【0255】
態様では、親水性セルロースエーテル誘導体、例えば、HPMCは、追加的に又は代替的に、主要な腸溶性ポリマーのフィルム形成及び可塑性を改善するために腸溶性ポリマーと共に(上記の可塑剤(複数可)と共に、又はそれとは別に)使用することができる。態様では、HPMCは、その非常に良好なフィルム形成特性、並びに腸溶コーティングポリマー、特にCAP、HPMCP、HPMCAS、CMEC、及びCATなどのセルロースエステル誘導体との好適なポリマー間接着のために、プレコーティング又はサブコーティングポリマーとして腸溶コーティングプロセスにおいて使用される。
【0256】
態様では、本発明の組成物の剤形のコーティングは、TEC可塑剤などの可塑剤の有効量を含むコーティングを含む。態様では、TEC可塑剤は、TEC及び他の構成要素/成分を含む成分に由来する。例えば、態様では、可塑剤は、PlasACRYL(登録商標)(例えば、PlasACRYL(登録商標)又はPlasACRYL(登録商標)T20)とほぼ同じ組成を有する組成物を含むか、ほとんど含むか、概ねそれからなるか、又はそれからなる。態様では、剤形/組成物の可塑剤成分のほとんど、概ね全て、又は全てが、粘着防止剤、可塑剤(例えば、TEC)、及び安定剤の有効な混合物を含有し、態様では、任意選択的に、PlasACRYL(登録商標)成分と著しく類似した機能を示す。
【0257】
d.潤滑剤賦形剤
態様では、錠剤は、潤滑剤として特徴付けられる任意の1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。態様では、潤滑剤は、例えば、疎水性潤滑剤などの任意の薬学的に許容される潤滑剤とすることができる。態様では、潤滑剤は、可溶性とすることができる。態様では、潤滑剤は不溶性とすることができる。態様では、そのような潤滑剤賦形剤(複数可)は、境界潤滑剤(複数可)とすることができる。態様では、そのような境界潤滑剤(複数可)は、例えば、脂肪酸の金属塩;脂肪酸、炭化水素、及び脂肪アルコール;脂肪酸エステル;アルキル硫酸塩、ポリマー;又は、例えば、無機材料とすることができる。態様では、潤滑剤として特徴付けられる賦形剤は、パンチダイ/面への組成物(例えば、錠剤化前の粉末)の付着を検出可能に又は有意に防止することができ、したがって、圧縮後にダイから錠剤を排出しようとする際の固着を検出可能に又は有意に低減することができる。当該技術において一般的な例示的な潤滑剤としては、例えば、パラフィン、タルク又はシリカなどの鉱物、脂肪(例えば、植物性ステアリン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、又はステアリン酸)、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、PEG400、PEG600など)などが挙げられ、このような賦形剤は、抗接着剤とも呼ばれ得る。
【0258】
態様では、潤滑剤は、高い比表面積及び、例えば、微細な粒径を有する材料である。態様では、そのような適切又は最適な比表面積は、例えば、約4~12m2/g、例えば、約5~11m2/gの間、又は約6~10m2/gの間などとすることができる。態様では、適切又は最適な中央粒径(D50)は、約4~約14μm、例えば、約5~13μm、約6~12μm、又は例えば、約7~11μmなどとすることができる。態様では、そのような特徴を有する潤滑剤は、錠剤プレス中の錠剤の放出速度を、そのような例示的な境界の外側の特徴を有する潤滑剤の放出速度よりも検出可能に又は有意に増加させるが、これは、これらの境界の外側の潤滑剤も本明細書の錠剤での使用に適していないことを意味するものではない。態様では、この段落に記載されるような特徴を有する潤滑剤は、錠剤の一貫した物理的性能、例えば、一貫した硬度及び溶解プロファイルなどの提供を補助することができる。
【0259】
態様では、組成物の剤形(例えば、錠剤)は、1つ以上の塩を含むことができる。態様では、塩は、1つ以上の賦形剤機能を果たす任意の薬学的に許容される塩とすることができる。態様では、錠剤は、潤滑剤として特徴付けられる1つ以上の塩を含むことができる。態様では、そのような賦形剤は、例えばステアリン酸の塩などの脂肪酸の塩とすることができる。態様では、そのような塩は、例えば、ステアリン酸のマグネシウム塩(ステアリン酸マグネシウム)又はステアリン酸のカルシウム塩(ステアリン酸カルシウム)などのマグネシウム塩又はカルシウム塩とすることができる。態様では、他の潤滑剤としては、例えば、含水ケイ酸マグネシウム又はタルクを挙げることができる。態様では、本明細書の錠剤は、ステアリン酸マグネシウムを含む。特定の態様では、本明細書の錠剤は、LIGAMED(登録商標)MF-2-Vとして提供されるステアリン酸マグネシウムを含む。
【0260】
態様では、錠剤/他の剤形中の有効量のステアリン酸マグネシウムの存在は、圧縮後の圧縮装置からの錠剤の清浄な排出を検出可能に又は有意に改善することによって、製造停止時間を検出可能に又は有意に減少させ、錠剤スループットを増加させ(例えば、錠剤生産体積を増加させ)、製造コストを減少させるか、又はそれらの組合せである。すなわち、圧縮された錠剤又は組成物材料の圧縮装置への粘着を検出可能に又は有意に減少させる。
【0261】
態様では、錠剤/剤形は、約0.1%~約3%、例えば、約0.2%~2.5%、約0.3%~約2.0%、約0.4%~約1.5%、又は例えば、約0.5%~約1%、例えば、約0.6%~1%、約0.7%~約1%、約0.8%~約1%、又は約0.9%~約1%、例えば、約0.5%~約0.9%、約0.5%~約0.8%、約0.5%~約0.7%、又は例えば、約0.5%~0.6%の潤滑剤、例えば、LIGAMED(登録商標)MF-2-Vなどのマグネシウムステアレートなどの量の潤滑剤として特徴付けられる1つ以上の賦形剤を含むことができる。読者は、剤形がしばしば本発明の組成物中の錠剤であり、したがって、矛盾しない限り、錠剤を含む態様の開示が矛盾せず、一般的に適切な固体剤形の支持を提供することを理解するであろう。
【0262】
態様では、錠剤は、約0.1mg~約3mg、例えば、約0.2mg~2.5mg、約0.3mg~2.0mg、約0.4mg~1.5mg、又は例えば、約0.5mg~1mg、例えば、約0.6mg~1mg、約0.7mg~1mg、約0.8mg~1mg、又は約0.9mg~1mg、例えば、約0.5mg~約0.9mg、約0.5mg~0.8mg、約0.5mg~0.7mg、又は例えば、約0.5mg~0.6mgの潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、例えば、LIGAMED(登録商標)MF-2-Vなどの潤滑剤として特徴付けられる1つ以上の賦形剤を含むことができる。
【0263】
圧縮潤滑剤は、顆粒/粉末のパンチダイ/面への付着を防止し、圧縮後のダイからの滑らかな排出を促進する。潤滑剤はまた、顆粒/粉末が装置表面及び投薬機構に付着するのを防止するためにカプセルに充填するための粉末ブレンド、並びに個々の粒子の凝集を阻害するために多粒子剤形の表面をコーティングするためなど、圧縮が関与しない場合に使用することができる。タルク又はシリカなどの鉱物、及び脂肪、例えば、植物性ステアリン、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸は、錠剤又は硬ゼラチンカプセルにおいて最も頻繁に使用される潤滑剤である。今日最も広く使用されている潤滑剤は、疎水性潤滑剤である。これらは通常、比較的低濃度で有効であり、多くはまた、抗付着特性及び滑剤特性の両方を有する。
【0264】
潤滑剤成分に関する関連する原理、組成物、及び方法は、当該技術において公知である(例えば、Li及びWu,Lubricants in Pharmaceutical Solid Dosage Forms,Lubricants 2014,2,21-43;doi:10.3390/lubricants2010021,ISSN 2075-4442,mdpi.com/journal/lubricantsを参照されたい)。
【0265】
B.第1の放出成分
態様では、組成物は、少なくとも第1の放出成分及び第2の放出成分を含み、第1及び第2の放出成分は、有意に異なるNCDC放出特性(例えば、1つ以上のpH条件下で有意に異なる放出)を有する。態様では、組成物は、典型的には固体の第1の剤形(複数可)である1つ以上の第1の放出剤形(複数可)を含み、これは、例えば、錠剤とすることができる。態様では、1つ以上の第1の放出錠剤成分(複数可)(「第1の放出錠剤(複数可)」)は、約5mg~20mg、例えば、約7.5mg~17.5mg、例えば、約9mg~15mg、例えば、9.5mg~12mgの量で、ニコランジル又は治療上等価の1つ以上のNCDC(複数可)を含む。ニコランジル態様では、各第1の放出錠剤は、約10mgのニコランジルを含む。態様では、第1の放出成分は、組成物中のNCDC(複数可)の約33~66%を含むか、組成物の約33~66%を構成するか、又はその両方である。態様では、第1の放出成分は、全体として、約10~60mgのNCDC(複数可)、例えば、約15~45mg、約15~30mg、約10~50mg、約10~45mg、約10~40mg、約20~40mg、約20~35mg、約10~30mg、約10~25mg、又は約10~20mgの1つ以上のNCDCを含む。態様では、第1の放出成分は、pH応答性成分として特徴付けることができない。態様では、第1の放出成分は、一般的な(pH非依存性)制御放出製剤として特徴付けることができる。態様では、第1の放出剤形(複数可)は、GADSCとして特徴付けることができる。
【0266】
態様では、第1の放出成分(例えば、1つ以上の第1の放出錠剤)を、約1~1.5(胃の酸性環境を模倣する)、例えば、約1.1、例えば、約1.2、例えば、約1.3、又は例えば、約1.4のpHを有する溶解媒体と、適切な温度、例えば、正常なヒト体温に近い温度、例えば、約37℃で、更に任意選択で、更に任意選択的に(以下に例示されるように)約2時間の穏やかな撹拌下で接触させることは、例えば、第1の放出成分/GADSCから放出される1つ以上のニコランジル化合物の量が、ほとんど、概ね、又は完全に以下の放出プロファイルに従うように、第1の放出製剤中の1つ以上のニコランジル化合物の放出をもたらす:(1)ニコランジル化合物(複数可)の約0.5~25%、例えば、約5~20%、約5~15%、又は約12%が、溶解媒体中で0.25時間後にGADSCから放出され、(2)ニコランジル化合物(複数可)(NCDC(複数可))の約11.5%~約44.5%、例えば約20%~約35%、例えば約28%が、1時間後に溶解媒体中で放出され、(3)NCDC(複数可)の約25%~約60%、例えば約32%~約52%、例えば約42.5%が、2時間で溶解媒体中で放出され、(4)NCDC(複数可)の約60~92.5%、例えば、約65~85%、例えば、約75%又は約76%が、6時間で溶解媒体中で放出され、(5)NCDC(複数可)の約71%~約98%、例えば約80%~約90%、例えば約84.5%が、溶解媒体との接触後8時間で放出され、及び(6)GADSC中のNCDC(複数可)の約83%~約100%、例えば約87%~約97%、例えば約92.25%が、溶解媒体との接触後14時間で放出される。
【0267】
態様では、同じ又はほぼ同様の溶解条件下で、第1の放出錠剤中のニコランジルの約90%が、対象への投与後約4~約7時間以内、例えば約5時間~約6時間以内、約1~1.5のpHを有する第1の溶液との接触から約5~6時間以内、又はそれらのいずれか若しくは全てに放出される。矛盾しない限り、「ほぼ同様」などの用語は、「ほぼ同じ」(任意の示された量、尺度などの+/-10%以内など、ほぼ同等である条件/特徴をほとんど、概ね、又は唯一有する)を意味する。矛盾しない限り、18時間未満の別の「約」の時間の記載は、参照時間の+/-15分以内を意味し、参照時間の約10分又は5分以内のサポートを提供する。
【0268】
態様では、本発明の組成物は、1~8、1~6、1~5、1~4、2~8、3~8、3~7、3~6、3~5、又は4つの固体剤形(「単位」又は「剤形単位」と呼ぶこともできる)を含む。態様では、固体剤形/単位は、錠剤として特徴付けることができる。
【0269】
一般に、錠剤として本明細書に記載される任意の剤形は、一般に、固体剤形を含む対応する態様を暗黙的に開示し、逆もまた同様である。経口投与用の他の固体剤形/単位としては、カプセル、サシェ、フィルムなどが挙げられる。
【0270】
態様では、固体剤形は、錠剤製剤によって得られるものなど、限られた表面積を有する(すなわち、本明細書に具体的に記載されているもののいずれかなどの錠剤製剤剤形と表面積が著しく類似している)。固体剤形は、任意の適切な形状及びサイズを有することができる。態様では、各固体剤形は、直径又はその最大寸法(又は全ての寸法)が約3~6mm(0.3~0.6cm)である。態様では、各固体剤形は、約0.2~0.6cm、例えば、約0.3~0.5cm、又は約0.3~0.4cm、例えば、約0.25~0.35cm、約0.3cm、又は約0.35~0.4cmの高さ/厚さを有する。態様では、組成物の固体剤形の一部、ほとんど、概ね全て、又は全ては、円形又はディスク形状である。
【0271】
態様では、組成物の固体剤形の約25%、約33%、約40%、約50%、約60%、約66%、又は約75%が、第1の放出剤形/錠剤である。態様では、組成物は、約1~6、2~6、1~5、2~5、1~4、1~3、2~4、2~3、又は2個の第1の放出剤形/錠剤を含み、第1の放出剤形の各々は、第1の放出製剤(例えば、GADS/pH非依存性制御放出製剤)を含む。態様では、組成物は、少なくとも1つの第2の放出剤形を更に含み、これは、以下に記載されるように、第1の放出剤形/単位に関連する第1の放出プロファイルと比較して、異なる、典型的には有意に遅延/調節された放出プロファイルを有する。
【0272】
態様では、第1の放出成分のCR製剤は、ほとんど、概ね、又は完全に、例えば、pH非依存性ポリマー又は胃酸溶解条件下で溶解しやすいポリマーであり得る1つ以上のCRポリマーから構成される。
【0273】
このようなポリマーに関する態様は、この詳細な説明の「一般的特徴」の項に記載されている。更に、このようなポリマーの特徴(及びこのようなポリマー成分とNCDC(複数可)などの組成物の他の要素との関係)は、例えば、例示的な態様セクションにおける態様1~90から選択される様々な態様に含まれる。
【0274】
態様では、第1の放出成分のポリマー成分は、主に、概ね、セルロース系制御放出ポリマー(複数可)、例えば、HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びメチルセルロースなどのみであるか、又はそれらのみから構成される。態様では、CRポリマーマトリックス/製剤の一部は、追加的に又は代替的に、1つ以上の薬学的に許容されるアルギネート、Carbopol組成物(複数可)、又はゼラチンを含む。態様では、CRポリマー成分は、ほとんど、概ね、又は完全に疎水性である。態様では、CRポリマー成分は、追加的に又は代替的に、カルナウバワックス、セチルアルコール、硬化ヒマシ油、微結晶ワックス、エチルセルロース(EC)、ステアリン酸、又はポリ酢酸ビニル(PVAc)などの有効量の親油性成分を含む。態様では、第1の放出成分のCR製剤は、pH依存性又はpH非依存性ポリメタクリレートを含む。態様では、マトリックス/製剤は、PVAc又はMCC/SMCCなどの圧縮性を補助する成分(複数可)を含む。態様かの態様では、第1の放出成分製剤又は剤形の制御放出ポリマー成分の一部、ほとんど、又は概ね全ては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成される。態様では、第1の放出成分中のポリマーのほとんど、概ね全て、又は全てが高度に親水性である。そのような製剤に適用できる更なる関連する原理、組成物、方法などは、そのような製剤に関して当該技術で公知である(例えば、Sowjanya,M.ら(2017).Research Journal of Pharmacy and Technology.10903.10.5958/0974-360X.2017.00168.8及びSarah J.Trenfieldら、第6章-Modified drug release:Current strategies and novel technologies for oral drug delivery,Editor(s):Joao Pedro Martins,Helder A.Santos,Nanotechnology for Oral Drug Delivery,Academic Press、2020年、177-197頁、SBN9780128180389,doi.org/10.1016/B978-0-12-818038-9.00006-5を参照されたい)。
【0275】
第1の放出錠剤の溶解プロファイル
態様では、1つ以上の第1の放出錠剤を、約1~1.5の間のpH(胃の酸性環境を模倣する)、例えば約1.1、例えば約1.2、約1.3、又は約1.4のpHを有する溶解媒体と、およそ生理学的温度、すなわち約37℃の温度で、穏やかな撹拌下で、例えばUSP装置タイプIIシステム(Agilent)の使用を介して接触させることは、本明細書に記載される溶解プロファイルを提供する。態様では、一般に、ここで溶解条件に言及する場合、条件は、例えば、USP装置タイプIIシステム(Agilent)などの当該技術で標準的な溶解装置を使用して、例えば、約40~約60rpm、例えば、約45~55rpm、例えば、50rpmなどの一定の撹拌下で、約37℃+/-5℃に維持された溶解媒体の規定のpHを含む溶解試験条件である。
【0276】
態様では、第1の放出錠剤の内容物の約10%~30%、例えば約12%~28%、例えば約15%~25%、又は例えば約17%~22%が、投与後約30分以内に溶解する。別の態様では、第1の放出錠剤成分は、投与後約1時間以内に約30%~60%、例えば約35%~55%、例えば約40%~50%、例えば約42%~48%が溶解する溶解プロファイルを示す。別の態様では、第1の放出錠剤成分は、内容物の約50%~80%、例えば約55%~75%、例えば約60%~70%が投与後約2時間以内に溶解する溶解プロファイルを示す。更に別の態様では、第1の放出錠剤成分は、内容物の約75%~100%、例えば約85%~98%、例えば約89%~96%、例えば約90%~95%が投与後約6時間以内に溶解する溶解プロファイルを示す。別の態様では、第1の放出錠剤成分は、内容物の約98%~100%が投与後約8時間までに溶解する溶解プロファイルを示す。
【0277】
例示的な態様は、第1の放出成分(例えば、GADSC)及びその成分(例えば、そのような成分を構成する剤形)の例示的な溶解プロファイル特性を特徴付ける多数の態様を含む。そのような態様は、本発明者らによって想定されるそのような実施形態の全範囲を反映するように、全体的又は部分的に、本セクションにおいて提供される説明のいずれかと組み合わせることができる。
【0278】
別の態様では、1つ以上の第1の放出錠剤を、約5~7、例えば約5.5~7又は約6~7のpH(腸の後半部分を模倣する)、例えば約6.1、例えば約6.2、例えば約6.3、例えば約6.4、例えば約6.5、例えば約6.6、例えば約6.7、例えば約6.8、例えば約、又は例えば約6.9のpHを有する溶解媒体と、ほぼ正常な生理学的/体温、すなわち37℃の温度で、穏やかな撹拌下で接触させることにより、本明細書に記載の溶解プロファイルが得られる。態様では、第1の放出錠剤成分は、内容物の約5%~25%、例えば約8%~22%、又は例えば約10%~20%が、このような条件下でこのような溶解溶液と接触した後約30分以内に溶解する溶解プロファイルを示す。別の態様では、第1の放出錠剤は、錠剤の約10%~40%、例えば約15%~35%、例えば約20%~30%、例えば約22%~28%が、このような条件下でこのような第1溶解溶液と接触した後約1時間以内に溶解する溶解プロファイルを示す。別の態様では、第1の放出錠剤は、内容物の約30%~60%、例えば約35%~55%、例えば約40%~50%が、そのような条件下でそのような溶解溶液と接触した後約2時間以内に溶解する溶解プロファイルを示す。別の態様では、第1の放出錠剤成分は、内容物の約60%~90%、例えば約65%~85%、例えば約70%~80%が、このような条件下でこのような溶液と接触した後約6時間以内に溶解する溶解プロファイルを示す。更に別の態様では、第1の放出錠剤成分は、内容物の約70%~98%、例えば約75%~93%、例えば約80%~87%が、このような条件下でこのような溶液と接触した後約8時間以内に溶解する溶解プロファイルを示す。別の態様では、第1の放出錠剤成分は、内容物の約70%~98%、例えば約75%~93%、例えば約80%~87%が、そのような条件下でそのような第1の溶解溶液と接触した後約8時間以内に溶解する溶解プロファイルを示す。別の態様では、第1の放出錠剤成分は、内容物の約80%~98%、例えば約82%~96%、例えば約84%~95%、例えば約87%~92%が、そのような条件下でそのような溶解溶液と接触した後(すなわち、そのような条件下でそのような溶液と約10時間接触したままにした後)、約10時間以内に溶解する溶解プロファイルを示す。一態様では、第1の放出錠剤成分は、内容物の約80%~98%、例えば約82%~96%、例えば約84%~95%、例えば約86%~93%が、そのような条件下でそのような溶液と接触した後約12時間以内に溶解する溶解プロファイルを示す。
【0279】
C.第2の放出成分
ある態様では、本発明の組成物は、第2の放出成分を含む。第2の放出成分は、異なる組成物を含み、1つ以上の点で、典型的には第1の放出成分と比較して第2の放出成分からのNCDCの放出に関して、第1の放出成分とは1つ以上の動作特性が著しく異なる制御放出製剤を含む。態様では、第2の放出成分は、GADRCとして分類することができる。このような点において、第2の放出成分は、胃酸溶解条件下で第2の放出成分からのNCDCの放出を有意に遅延/妨害/減少させる有効量のpH応答性成分を含むことができる。態様では、第2の放出成分及び第1の放出成分は、送達促進剤/シェル、例えば、カプセル中に含有される。態様では、第2の放出成分は、2~8個、3~8個、3~6個、3~4個、3個、4個、5個、又は6個の固体剤形(例えば、錠剤)から構成される。態様では、第2の放出成分は、組成物の制御放出製剤の約33%~66%(例えば、約40~60%、45~65%、又は約50%)を構成する。態様では、第2の放出成分は、第1の放出成分と等しい数の固体剤形を含む。態様では、第2の放出成分は、第1の放出成分とは異なる数の固体剤形を含む。
【0280】
第2の放出成分剤形(複数可)は、任意の適切な様式で製剤化された、pH応答性ポリマー成分などの任意の適切なGADR成分を含むことができる。態様かの態様では、GADR成分の一部、ほとんど、概ね全て、又は全ては、第2の放出成分を構成する固体剤形(複数可)のコアに適用されるコーティングで具現化される。態様では、コーティングは、第1の放出成分と第2の放出成分との唯一の違いである。例示的な態様では、第2の放出錠剤は、1つ以上の薬学的に許容されるコーティングを含む。態様では、第2の放出錠剤は、本開示の先行するセクションに記載されている第1の放出剤形/錠剤のいずれか1つの組成物に対応するコア組成物に加えて、1つ以上の薬学的に許容されるコーティングを含むことができる。態様かの態様では、コーティングは、セルロースエーテル(複数可)、ビニルポリマー(複数可)(ビニル誘導体(複数可)を含む)、グリコール(複数可)、アクリル酸ポリマー(複数可)、他の炭水化物(複数可)、及びそれらの一部又は全部の組合せなどの1つ以上の薬学的に許容されるコーティング材料を含む。
【0281】
態様では、1つ以上のコーティングは、(例えば、第1の放出剤形からの放出と比較して)pH感受性/遅延放出コーティングを特徴付けることができるコーティングとすることができる。態様では、このような1つ以上のコーティングはまた、追加的に又は代替的に、腸溶コーティング(複数可)として特徴付けることができる。態様では、そのようなコーティングは、腸溶放出に適合させることができ、例えば、NCDC(複数可)の放出を検出可能に又は有意に改善/促進することができ、(例えば、図及び例示的態様に例示されるように)そのような錠剤が実質的に溶解することなく胃を通過することを可能にする。態様では、第2の放出成分は、腸(例えば、十二指腸、空腸、回腸など)の中間部から上部で遭遇し得るような、約5.5以上(例えば、約6.8)のpHの溶解媒体と接触すると、NCDCのほとんど、概ね全て、実質的に全て、又は全てを放出する。
【0282】
態様では、第2の放出成分は、胃耐性機能を提供するために、メタクリレートポリマー、エチルセルロースなどの有効量の1つ以上のpH依存性賦形剤を含む。態様では、第2の放出成分剤形に使用されるコーティングは、追加的に又は代替的に、CAP(酢酸フタル酸セルロース)、CAT(酢酸トリメリト酸セルロース)、PVAP(酢酸フタル酸ポリビニル)、及びHPMCP(フタル酸HPMC)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)脂肪酸、ワックス、シェラック、プラスチック、又は植物繊維を含む。態様では、第2の放出成分又は第2の放出成分剤形のコーティングは、例えば水溶性及び不溶性可塑剤、例えばフタル酸ジエチル(DEP)、クエン酸トリブチル(TBC)、クエン酸トリエチル(TEC)、トリブチリン、及びトリアセチン可塑剤を含む、又はほとんど含む、又は少なくとも一般的にそれらからなる、有効量の可塑剤成分を含む。態様によれば、第2の放出製剤/剤形のpH応答性ポリマー(複数可)の一部、ほとんど、概ね全て、又は全ては、1つ以上の好適なメタクリル酸コポリマーから構成される。これらの腸溶性ポリマーは、最も顕著には、(以前はRohm GmbHとして知られていた)Evonikによって、Eudragitの商標名で市販されている。メタクリル酸メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit L及びS)、及びメタクリル酸エチルアクリレートコポリマー(Eudragit L30D)は、それらの一次溶解pH特性に起因して腸の異なる部分における放出を標的化することが知られているポリマーの例である(例えば、約5.5の一次溶解pHを有するEudragit L30D-55及びL100 D-55、約6~約7の一次溶解pH範囲を有するEudragit L100及びL125、並びに約7の一次溶解pHを有するEudragit S100、S125、及びES30D)。もちろん、読者は、これらの特性が例示的であり、他の適切なタイプのpH応答性ポリマーに適用することができることを理解するであろう。このセクションに記載されるようなそのような組成物及び関連する原理/方法の例は、例えば、Patil G.ら、Review on Enteric Coated Polymers,Research Journal of Pharmaceutical Dosage Forms and Technology;Raipur第13巻、Iss.1(2021年1月~3月):82~85.DOL10.5958/0975-4377.2021.00015.X及びDevesh Kapoorら、第14章-Coating technologies in pharmaceutical product development,In Advances in Pharmaceutical Product Development and Research,Drug Delivery Systems,Academic Press、2020年、665-719頁、ISBN 9780128144879,doi.org/10.1016/B978-0-12-814487-9.00014-4に更に提供されている。
【0283】
i.pH感受性ポリマー(複数可)
態様では、コーティングは、1つ以上の薬学的に許容されるポリマーを含むことができる。態様では、ポリマーは、非晶質ポリマーとすることができる。態様では、ポリマーは、例えば、胃を通過したGI管内(腸内)での放出などの第2の放出を有意に促進することによって、腸溶放出のために設計されたポリマーとすることができる。態様では、コーティングのポリマーは、カルボン酸基を含むpH依存性ポリマーであってもよく、ほとんどそれを含んでいてもよく、又は概ねそれを含んでいてもよい。態様では、そのようなポリマーは、低pH条件下、例えば、胃の環境下ではイオン化されないままであり、例えば、ポリマーが小腸のより高いpHに曝露されるにつれて、pHが上昇に伴ってイオン化されるようになる。態様では、pH依存性ポリマーは、pHの変化に従って機能するように構成される。態様では、pH依存性ポリマーは、少なくとも5.5のpHに供されるまで、例えば、約5~7.5、例えば、約5.5~7.2、約5.5~7、約5~6.5、約5.5~6.5、又は約6~7のpHに供されるまで、有意に溶解し始めない(例えば、実質的な溶解を示さない)。態様では、第2の放出製剤は、GADRCとして分類/記載することができる。
【0284】
態様では、GADRC/第2の放出製剤のpH感受性ポリマー成分は、ポリ酸、ポリ塩基、及び天然ポリマー、又はそれらの組合せなどの任意の薬学的に許容されるpH感受性ポリマーを概ね含む/からなる、から本質的になる、又は主に含むことができる。更なる態様では、pH感受性である天然ポリマーはまた、キトサン、ヒアルロン酸、及びデキストラン、又はそれらの組合せを含むことができる。
【0285】
特定の態様では、第2の放出製剤又はその要素にGADR/pH応答性機能を付与するポリマーは、pH依存性セルロース誘導体とすることができる。態様では、腸溶コーティングポリマーとして使用されるセルロース誘導体としては、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)などを挙げることができる。いくつかの点で、コーティングに使用するのに好適なポリマーは、メタクリレート基に基づくカチオン性合成ポリマー(例えば、メタクリレートポリマーとして特徴付けることができる)である。態様では、そのようなポリマーは、例えば、Eudragit(登録商標)E、Eudragit(登録商標)L、Eudragit(登録商標)S、Eudragit(登録商標)RL、Eudragit(登録商標)RS、Eudragit(登録商標)FS、Eudragit(登録商標)NMなどのEudragitポリマー、例えば、Eudragit L30 D-55、Eudragit FS 30D、Eudragit(登録商標)FL30 D-55などである。特定の態様では、コーティングは、メタクリル酸及びアクリル酸エチルに基づくアニオン性コポリマーの水性分散液、例えば、官能基としてメタクリル酸を有するポリマーを挙げることができる。態様では、そのようなポリマーは、エステル基と約1:1の比で遊離カルボキシル基を有することができる。態様では、コーティング中に存在する好適なポリマーは、Eudragit(登録商標)L30 D-55である。
【0286】
態様では、ポリマーは、錠剤当たり約1mg~約15mgの量、例えば、錠剤当たり約2mg~約14mg、約3mg~約13mg、約4mg~約12mg、約5mg~約11mgの量、又は例えば、錠剤当たり約6mg~約10mg、例えば、約6~約9mg、約6~約8mg、約6~約7mg、又は例えば、約7mg~約10mg、約8mg~約10mg、又は例えば、約9mg~約10mgの量で存在することができる。態様では、ポリマーは、錠剤当たり約6.66mg~約10mgの量で存在することができる。態様では、いくつかのコーティング錠剤、ほとんどのコーティング錠剤、又は各コーティング錠剤は、約5~12mg、例えば約6~11mg、例えば約6.5~10.5mg又は6.66~約10mgのEudragit(登録商標)L30D-55を含む。
【0287】
態様では、pH感受性ポリマー(複数可)は、約1~1.5の間のpH(胃の酸性環境を模倣する)、例えば約1.1、例えば約1.2、約1.3、又は約1.4のpH(例えば、撹拌及び温度に関して上述した溶解条件下)に供された場合に、錠剤が約10時間前、例えば約11時間前、例えば約12時間前、例えば約13時間前、又は例えば約14時間前に検出可能に又は有意に溶解し始めない溶解プロファイルを第2の放出錠剤に生じさせる。
【0288】
例示的な態様は、第2の放出成分/GADRC及びその要素(組成物のGADRC剤形など)の例示的な特性及び他の側面について述べる態様を含む。そのような態様には、pH6.8の媒体及びpH1.2の媒体におけるGADRCの溶解プロファイル、並びにそのような成分を構成することができる様々な例示的な成分、及びそのような要素/成分の関係に関する態様が含まれる。そのような態様は、本発明の範囲のより完全な理解に到達するために、本開示のこのセクション及び関連するセクションにおいて提供される開示と組み合わせることができる。
【0289】
態様では、コーティングは、コーティングの被覆率を増加させるように作用し、バリア効果を生じさせ、潤滑剤として働き、滑剤として働き、コーティング成分の流れを改善し、錠剤への適用時のコーティングの滑らかさを改善する1つ以上の化合物、又はそれらのいずれか若しくは全ての任意の組合せを含むことができる。特定の態様では、そのような化合物は、そのような効果のいずれか1つ以上を提供する、いずれか1つ以上の薬学的に許容される化合物とすることができる。ある特定の態様では、そのような化合物は、例えば、デンプン、シリカ(例えば、コロイド状シリカ、ケイ酸塩など)、モノステアリン酸グリセリル、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルクと呼ばれることが多い水和ケイ酸マグネシウム(MgSiO)などであり得る。態様では、コーティングは、そのような成分を含まなくてもよい(例えば、コーティングは滑剤を欠く)。態様では、コーティングは、可塑剤(例えば、クエン酸トリエチル(TEC))、粘着防止剤(例えば、モノグリセリド又はジグリセリド)、及び乳化剤/安定剤(例えば、ポリソルベート80などのポリソルベート)を含む。
【0290】
態様では、コーティングは、このような化合物の錠剤当たり約0~約5mg、例えば、錠剤当たり0mg~約4.5mg、0mg~約4mg、0mg~約3.5mg、0mg~約3mg、0mg~約2.75mg、約0.1mg~約3mg、約0.2mg~約2.9mg、約0.3~約2.8mg、約0.4~約2.7mg、約0.5~約2.7mg、約0.6~約2.7mg、約0.7~約2.7mg、約0.8~約2.7mg、約0.9mg~約2.7mg、約1mg~約2.7mg、約1.2mg~約2.7mg、約1.4mg~約2.7mg、約1.6mg~約2.7mg、約1.8mg~約2.7mg、約2mg~約2.7mg、約2.1mg~約2.7mg、約2.2mg~約2.7mg、約2.3mg~約2.7mg、約2.4mg~約2.7mg、約2.5mg~約2.7mg、又は約2.6mg~約2.7mgなどの、滑剤として特徴付け可能な化合物、又は本段落に記載されるような機能を提供する化合物を含むことができる。ある態様では、錠剤は、錠剤当たり最大約2.66mgの量のタルクを含むコーティングを含むことができる。態様では、錠剤は、タルクを含まないコーティングを含むことができる。
【0291】
態様では、コーティングは、コーティング錠剤上に均一な、例えば、滑らかで、一貫して耐性のある腸溶性フィルムを提供するのに役立つ1つ以上の化合物を含むことができる。態様では、そのような化合物は可塑剤として特徴付けることができる。態様では、コーティングは、この段落に記載されるような機能を提供する任意の1つ以上の薬学的に許容される可塑剤又は化合物を含むことができる。態様では、このような化合物は、例えば、フタル酸ジエチル、グリセリルトリアセテート、グリセリルモノカプリレート、クエン酸トリエチルなどとすることができる。上記のように、態様では、親水性セルロースエーテル誘導体、例えば、HPMCは、主要な腸溶性ポリマーのフィルム形成及び可塑性を改善するために腸溶性ポリマーと共に使用することができる。態様では、コーティング(複数可)中のポリマー(複数可)は、(a)フィルム形成特性、(b)他の腸溶性コーティングポリマー、特にセルロースエステル誘導体、例えばセルロースアセテートフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートHPMCAS、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、及びセルロースアセテートトリメリテート(CAT)とのポリマー間接着、又は(c)HPMCと有意に類似する程度までの(a)及び(b)の両方を示す。
【0292】
態様では、コーティングは、例えば、可塑剤として特徴付けられる態様では、上記段落の特徴の1つ以上を有する約0.1~約1mgの化合物、例えば、錠剤当たり約0.1mg~約0.9mg、約0.2mg~約0.8mg、約0.3mg~約0.7mg、約0.4mg~約0.7mg、約0.5mg~約0.7mg、又は例えば、約0.6mg~約0.7mgの化合物を含むことができる。特定の態様では、コーティングは、約0.66mgのクエン酸トリエチルを含むことができる。
【0293】
態様では、第2の放出成分は、複数の第2の放出剤形(例えば、2~8、2~6、3~6、又は3~4の第2の放出錠剤)を含む。態様では、組成物中の固体剤形/単位/成分の総数の約25%、約33%、約40%、約50%、約66%、又は約75%が、第2の放出剤形/単位である。
【0294】
第2の放出成分/第2の放出錠剤の溶解プロファイル
態様では、1つ以上の第2の放出固体剤形(例えば、第2の放出錠剤又は上記のものなどの他の固体経口投与可能剤形(複数可))などの第2の放出成分を、約1~1.5(胃の酸性環境を模倣する)、例えば約1.1、例えば約1.2、例えば約1.3、又は例えば約1.4のpHを有する溶解媒体と、態様ではほぼ正常な身体/生理学的温度、すなわち約37℃(又は室温、又はその両方)の温度で、態様では穏やかな撹拌下(例えば、上記に例示した溶解試験条件下)で接触させることにより、本明細書に(例えば、例示的態様に)記載の溶解プロファイルが提供される。一態様では、第2の放出錠剤は、最大約6時間、約8時間、約10時間、約12時間、約14時間、約16時間、又は例えば、約18時間(時間)の期間、このようなpHへの曝露後に、このpH範囲内で検出可能な又は有意な放出をほとんど又は全く示さない。態様では、投与後約14時間前に、第2の放出錠剤の内容物の5%未満、例えば約4%未満、例えば約3%未満、例えば約2%未満、例えば約1%未満、例えば約0.9%未満、約0.8%、約0.7%、約0.6%、約0.5%、約0.4%、約0.3%、約0.2%、又は約0.1%未満が溶解する。更なる態様では、約14時間前に溶解したニコランジルの量は、標準的な分析技術を使用して検出不可能である。
【0295】
態様では、約5~7、例えば約5.5~7.5、約5.5~7.2、約5~7.2、約6.5~7、又は約6~7(腸の後半部分を模倣する)、例えば約6.1、例えば約6.2、例えば約6.3、例えば約6.4、例えば約6.5、例えば約6.6、例えば約6.7、例えば約6.8、又は例えば約6.9のpHを有する溶解媒体と、ほぼ正常体温、すなわち37℃の温度で、約2時間の穏やかな撹拌下で接触させると、第2の放出錠剤から放出されるニコランジルの約20%~約50%、例えば約25%~45%、例えば約30%~40%の放出がもたらされる。別の態様では、同じ溶解条件で、投与後約10時間~11時間以内に、第2の放出錠剤の内容物の約90%が放出される。
【0296】
態様によれば、GADRCは、pH1.2を有する溶解媒体との2時間の接触時に、GADRCに含有される1つ以上のニコランジル化合物の20%以下を放出する(例えば、そのような条件(複数可)下でGADRCに最初に含有されるニコランジル化合物(複数可)の15%以下、12.5%以下、10%以下、7.5%以下、又は5%以下、例えば、約1~20%、1~15%、1~10%、1~5%、2~20%、2~15%、2~10%、2~5%、3~15%、3~12%、5~20%、5~15%、又は5~10%を放出する)。態様では、GADRCは、約6.8のpHを有する溶解媒体との接触の5時間後又は6時間後にpH応答性製剤中に最初に存在する1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも33%、及び約1.2のpHを有する溶解媒体との接触の5時間後にpH応答性製剤中に最初に存在する1つ以上のニコランジル化合物の20%以下を放出するのに有効な量の1つ以上のpH応答性ポリマーを含む。
【0297】
態様によれば、pH6.8の溶解媒体と接触して維持される場合、GADRCから放出される1つ以上のニコランジル化合物の量は、ほとんど、概ね、又は完全に、以下の放出プロファイルに従う:(1)NCDC(複数可)の約0%~約8.5%、例えば約3%~約8%、例えば約7%が、0.25時間後に溶解媒体中でGADRCから放出され、(2)NCDC(複数可)の約15.5%~約29%、例えば約19%~約25%、例えば約22.25%が、1時間で溶解媒体中に放出され、(3)NCDC(複数可)の約27%~約50%、例えば約33%~約43%、例えば約38.3%が、2時間で溶解媒体中に放出され、(4)NCDC(複数可)の約65~80%、例えば約67~77%、例えば約72.5%が、6時間で溶解媒体中に放出され、(5)NCDC(複数可)の約75%~約87.5%、例えば78%~約85%、例えば約81.5%が、溶解媒体との接触後8時間で放出され、及び(6)GADSC中のNCDC(複数可)の約83.5%~約98%又は約100%、例えば約87%~約94%、例えば約90.5%が、溶解媒体との接触後14時間で放出される(態様63)。
【0298】
態様では、単一の投与形態(例えば、単一の送達促進剤/シェル、例えば、カプセル)中に、約1~4個、約2~4個、約1~3個、約2~3個、約3個、又は約2個の第2の放出錠剤成分/単位/剤形、例えば、2つの成分、又は例えば、約3つの成分が存在し得る。態様では、約1~4個、約2~4個、約1~3個、約2~3個、約3個、又は約2個の第1の放出錠剤成分/単位/剤形と共に、単一投与形態(例えば、単一送達促進剤/シェル、例えば、カプセル)中に、約1~4個、約2~4個、約1~3個、約2~3個、約3個、又は約2個の第2の放出錠剤成分/単位/剤形が存在し得る(これらは、例えば、1の第2の放出錠剤から3の第1の放出錠剤、又は3の第2の放出錠剤及び1の第1の放出錠剤など、同じ量又は異なる量で存在し得る)。態様では、単一の投与形態(例えば、単一の送達促進剤/シェル、例えば、カプセル)中に存在する第1の放出錠剤成分/単位/剤形の数は、単一の送達促進剤/シェル、例えば、カプセル内の第2の放出錠剤成分の数より多くてもよい。態様では、単一の投与形態(例えば、単一の送達促進剤/シェル、例えば、カプセル)中に存在する第1の放出錠剤成分/単位/剤形の数は、単一の送達促進剤/シェル、例えば、カプセル内の第2の放出錠剤成分の数より少なくてもよい。態様では、単一の投与形態(例えば、単一の送達促進剤/シェル、例えば、カプセル)中に存在する第1の放出錠剤成分/単位/剤形の数は、単一の送達促進剤/シェル、例えば、カプセル内の第2の放出錠剤成分の数と同じとすることができる。特定の態様では、2つの第1の放出錠剤及び2つの第2の放出錠剤が単一カプセル内に提供される。態様では、単一カプセルは、1回の単一投与用量を表す。態様では、24時間当たり1回の単一投与用量のみが提供される。態様では、単一の投与用量内の第1及び第2の放出錠剤は、標的状態に対する治療効果に検出可能に又は有意に影響を及ぼすのに十分な量のニコランジルを集合的に含む。
【0299】
D.送達促進成分(例えば、カプセルビヒクル)
態様では、本明細書に開示される組成物は、送達促進剤/ビヒクルを含むか、又は送達促進剤/カプセルなどのシェルとも呼ばれ得る。別の態様では、送達促進剤は、第1の放出錠剤及び第2の放出錠剤の両方を1つの単一投与形態で含有する(又は第1及び第2の放出錠剤/単位のほとんど又は概ね全てを含有する)。一態様では、送達促進剤は、一緒に適合する2つのピースを含むハードカプセル、単一ピースを含むソフトカプセル、カシェ剤などの任意の適切な経口医薬形態とすることができる。一態様では、カプセルは、医薬投与に適した任意の材料及び任意のサイズで作製することができる。態様では、カプセルは、胃に到達する前に溶解しない。更なる態様では、カプセルは、胃の酸性環境に曝露されると、約3~6分、例えば4分、又は例えば5分以内に溶解する。
【0300】
態様では、カプセルは、硬質ゼラチン、HPMC、魚ゼラチン、デンプン、プルラン、ポリ酢酸ビニル(PVA)、軟質ゼラチンから作製することができる。更なる態様では、カプセルは、サイズ000、00、0、1、2、3、又は4とすることができる。態様では、選択されるサイズは、第1の放出錠剤の量及び第2の放出錠剤の量が全て、適切なカプセル閉鎖を可能にする任意の適切な位置でカプセル内に収まることができるようなものである。一態様では、カプセルは、HPMCカプセルである。別の態様では、カプセルは、サイズ0のHPMCカプセルである。更に別の態様では、カプセルは、サイズ00のHPMCカプセルである。態様では、カプセルは、赤色、オレンジ色、黄色、緑色、青色、紫色、茶色、灰色、ピンク色、白色、ベージュ色、又はそれらのバリエーション若しくは色合いなどの着色を含むことができる。
【0301】
態様では、送達ビヒクル/カプセルは、ほとんど、概ね、又は完全にゼラチン、プルラン、又はHPMCから構成される。態様では、カプセルは、6%未満(例えば、5%未満、4%未満、又は約3%以下)の含水量を有する材料から構成される。態様では、カプセル材料の含水量は、約2%又は約3%の含水量(MC)で安定している。本発明の態様における組成物に適用可能な関連する原理/材料は、Yangら,International Journal of Biological Macromolecules,2020年5月15日受理,DOI:https:に記載されている。//doi.Org/10.1016/j.ijbiomac.2020.05.110:に記載されている。
【0302】
E.安定性促進要素/パッケージ
態様では、組成物は、安定性促進要素/パッケージを含む。この点において、「組成物」という用語は、製剤の安定性を検出可能に又は有意に促進するパッケージ要素/成分と組み合わせた製剤(第1の放出成分及び第2の放出成分を集合的に構成する複数の剤形を含み得る)の組合せを意味する。
【0303】
態様では、製剤は、ニコランジルを水分に関連する不安定から安定化させる1つ以上の成分を含む。このような成分の例としては、フマル酸、ジメチコン、シメチコン、シクロデキストリン誘導体、及びこれらの組合せが挙げられる。態様では、組成物は、これら又は同様の賦形剤のいずれか又は全てを欠く。
【0304】
態様では、組成物は、有効量の1つ以上の吸湿防止剤、例えば、1つ以上の吸上剤/乾燥剤(例えば、シリカ乾燥剤(複数可))と共に包装される。態様では、パッケージは、パッケージに含有される各単位用量と関連してほぼ均一な量の乾燥剤を含む単位用量組成物を含む。態様では、パッケージは、ブリスターパックパッケージを含む。態様では、ブリスターパック包装は、少なくとも1つのアルミニウム層を含む。態様では、ブリスター包装は、アルミニウム-アルミニウムブリスターパックである。このタイプの包装は、水分に対する最大の保護を提供する。態様では、ブリスターパック包装は、追加的に又は代替的に、アルミニウム箔構成要素などの乾燥剤要素を含む。このような材料の例は、Dessiflex Plus(Texas Plus)及びDessiflex Ultra(Orange Ultra)の商標名でAmcorによって販売されている。アルミニウム-アルミニウム箔又はCFF(冷間成形箔)は、配向ポリアミドOPA(ナイロン)、アルミニウム箔、及びPVCフィルムからなる多層構造であるフィルムであり、これらは接着剤を使用して一緒に貼り合わされており、これは態様ではそのようなパッケージの有用な成分とすることができる。例示的なアルミニウム-アルミニウム箔仕様は以下の通りである。OPA(ナイロン)フィルム25ミクロン/接着剤/アルミニウム箔45ミクロン/接着剤/PVC60ミクロンOPA(ナイロン)フィルム25ミクロン/接着剤/アルミニウム箔50ミクロン/接着剤/PVC 60ミクロンOPA(ナイロン)フィルム25ミクロン/接着剤/アルミニウム箔60ミクロン/接着剤/PVC60ミクロン。アルミニウム-アルミニウムブリスターパックでは、蓋及び基材の両方が、大気中の水蒸気、酸素、及び強い光から薬剤を保護することを可能にするアルミニウム箔からなる。アルミニウム-アルミニウム箔製造プロセスでは、ラミネートが余分な熱の助けなしに金型内でプレスされ、純粋に冷間成形技術によって形成されるため、このようなパッケージ構成要素は冷間成形ブリスターとも呼ばれる。成形ピンを使用して、特定の錠剤又はカプセルのための空洞をこのフィルムに形成し、次いで、アルミニウム蓋材料で密封する。類似/代替材料の更なる例としては、米国ニュージャージー州08053マルトンのWiseSorbent Technologyによって製造されたWisePac(登録商標)ブリスター乾燥剤箔が挙げられる。そのような材料の例は、例えば、米国特許第9834356B2号にも記載されている。
【0305】
F.組成物の性能特性
態様では、組成物及び組成物成分(例えば、剤形)は、適用可能な組成物/成分からのNCDC溶解に基づいて特徴付けることができる。
【0306】
i.カプセルの溶解プロファイル
態様では、非コーティングの第1の放出錠剤を、約1~1.5、例えば1.1、例えば1.2、例えば1.3、又は例えば1.4のpHを有する溶解媒体と接触させ、コーティングされた第2の放出錠剤を、約6~7(腸の後半部分を模倣する)、例えば約6.1、例えば約6.2、例えば約6.3、例えば約6.4、例えば約6.5、例えば約6.6、例えば約6.7、例えば約6.8、又は例えば約6.9のpHを有する溶解媒体と、両方ともほぼ室温、すなわち37℃の温度で、約2時間の穏やかな撹拌下で接触させると、得られたプロファイルを組み合わせて、図3に示すように、24時間にわたる2つの異なるpHレベルを有する組合せ放出プロファイルを概念的に示すことができる。態様では、溶解プロファイルは、インビボでのカプセルの放出プロファイルを表す。インビボでは、プロファイルは2つのパルス又はピークを含み、第1のパルス又はピークは、カプセルの半分(非コーティング第1の放出錠剤)が消化の最初の部分(例えば、1~1.5の低pH)においてその内容物を放出するときであり、他方の半分(コーティング第2の放出錠剤)は、消化の後の部分において、5.5より高いpHでのみ放出する。態様では、カプセルが腸に到達すると、第2のパルスを導入する。
【0307】
態様では、本発明の1つ以上の組成物の放出プロファイルは、図中のデータによって例示されるように、投与後約5~6時間前後の第1の定常放出期間、及び投与後約10~11時間前後の第2の定常放出をもたらす。本明細書で使用される場合、「パルス」という用語は、組成物の少なくとも約80%、85%、又は約90%、例えば、活性成分、例えば1つ以上のニコランジル化合物(複数可)の約92.5%が、組成物/剤形から放出された期間を指すことができる。
【0308】
態様では、本発明による制御放出ニコランジルカプセル(第1の放出剤形及び第2の放出剤形を含む)は、投与の約1時間後に、その中に含有される治療有効量のニコランジル化合物(複数可)の約15~25%を放出し、(2)その後、投与の約2時間後に、治療有効量の約20~40%がカプセルから放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(3)その後、投与の約4時間後に、治療有効量の約35~50%がカプセルから放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(4)その後、投与の約6時間後に、治療有効量の約45~60%がカプセルから放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(5)その後、投与の約8時間後に、治療有効量の約65~85%がカプセルから放出されるように、追加の検出可能な量の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(6)その後、投与の約16時間後に、治療有効量の少なくとも約90%が放出されるように、追加の検出量の1つ以上の化合物を放出する。
【0309】
例示的な組成物の放出特性は、実施例に提供され、本明細書と共に提出される図に反映される。例えば、図3において、y軸上の50%の点は、1日2回投与される、市販されているIkorel製剤の第1の用量(20mg)の100%放出、及び1日1回投与される、本発明の組成物の総用量(40mg)の50%(第1の放出錠剤)のみの放出を表す。図1はまた、参照BiDイクロールと本明細書に記載の本発明の組成物との放出プロファイルの差を実証/例示する。各用量において、参照製品は、pH1.2及びpH6.8において約15分以内に活性物質のほぼ90%を放出する。本発明の組成物は、pH1.2(胃の酸性環境を模倣)において約5~6時間で活性物質のその第1のパルス(その合計40mgのうちの第1の20mg[1つ以上の第1の放出コーティング錠剤成分])のほぼ90%を放出し、pH6.8(腸の後半部分を模倣)において約10~11時間でその第2のパルス(その合計40mgのうちの第2の20mg[1つ以上の第2の放出コーティング錠剤])を放出する。
【0310】
ii.純度特性及び不純物
態様では、本発明の組成物は、組成物中の不純物、保管時の組成物中の不純物、組成物から放出された不純物、又はそれらの一部若しくは全部の組合せに基づいて特徴付けることができる。
【0311】
態様によれば、本発明の組成物は、化学的に類似した不純物(例えば、不純物D)と比較して、ニコランジル又はNCDCに関して少なくとも約97%純粋、少なくとも約98%純粋、又は少なくとも約99%純粋である。態様では、組成物は、本明細書に記載される様々な安定性試験条件下で数ヶ月の貯蔵期間(例えば、5℃又は25℃で3、6、9、12、又は18ヶ月後)、そのような純度レベルを維持する。
【0312】
態様によれば、本発明の組成物は、実施例において提供される例示的な不純物データ(ほとんど、概ね全て、又は全ての測定された不純物-例えば、不純物Dに関して)とほぼ同じであるか、有意に良好であるか、又は統計的に類似する量の不純物を含む。
【0313】
態様では、本発明の組成物は、約5%未満、例えば約4%未満、例えば約3%未満、例えば約2.5%未満、例えば約2%未満、例えば約1.5%未満、例えば約1%未満、例えば約0.5%未満、例えば<約0.4%、<約0.3%、<約0.2%、<約0.1%、又は更に少ない量の総不純物を含む。態様では、組成物は、約0.5%未満、例えば約0.45%未満、例えば約0.40%未満、例えば約0.35%未満、例えば約0.30%未満、例えば約0.25%未満、例えば約0.20%未満、例えば約0.15%未満、例えば約10%未満、又は更に少ない量の、全不純物内の最大の不特定不純物を含むことができる。
【0314】
態様では、本発明の組成物は、最初にpH1.2の溶解媒体と約6時間接触させた場合、Nikoran OD錠剤よりも少なくとも約15%、例えば少なくとも約20%、又は少なくとも約25%少ない不純物A、不純物B、不純物C、不純物Dの1つ以上と会合する。
【0315】
iii.生物学的利用能及び薬物動態特性
態様では、ヒトなどの哺乳動物宿主に1日1回投与される本発明の組成物は、Ikorel製剤などの即時放出(IR)製剤中の対応する量のNCDC(例えば、ニコランジル)の1日2回投与と生物学的に同等である。態様では、本発明の組成物の1日1回投与は、1日2回のIkorel投与、1日1回のNikoran投与、又はその両方と比較して、ニコランジルの血漿中濃度が少なくとも約14.5ng/mLである期間が有意に長いことに関連する。
【0316】
2.組成物の製造及び関連態様
態様では、本明細書に開示される組成物は、湿式造粒、乾式造粒、及び直接圧縮などの、当業界で知られている1つ以上の製造方法を使用して生成され得る。更なる態様では、湿式造粒は、秤量、混合、結合剤の添加、湿式篩い分け、乾燥、顆粒の篩い分け/サイジング、崩壊剤及び/又は潤滑剤との混合、錠剤への圧縮を含む1つ以上の工程を含み得る。他の態様では、乾式造粒は、混合物を秤量し、混合し、圧縮してスラグ、すなわち特大錠剤を形成し、スラグを篩い分け及び粉砕し、崩壊剤及び/又は潤滑剤と混合し、圧縮して錠剤にすることを含み得る。更なる態様では、直接圧縮は、秤量、粉砕、混合、潤滑剤の添加、混合、及び圧縮を含み得る。
【0317】
一態様では、いくつかの製剤を、直接圧縮製造プロセスを使用して調製した。このプロセスの間、第1の放出錠剤及び第2の放出錠剤を以下の工程によって作製し、以下に記載されるようにカプセルに入れた。
1.ニコランジル、MCC Prosolv HD90、STARTAB(登録商標)デンプン、HPMC DC2、及びLigamed MF-2-Vを秤量する。
2.ミキサーを使用して工程1の成分を混合し、乾燥ブレンドを得る。
3.混合したブレンドを5mmの錠剤、目標重量100mg、目標硬度60Nに圧縮する。収量を2つの等しい部分に分割し、1つの部分をその後のコーティングに供する。
4.コーティング成分を秤量し、コーティング懸濁液を調製する。
5.コーティング懸濁液を混合して均質な混合物を得る。
6.流動床乾燥機中で錠剤をコーティング懸濁液でコーティングする。
7.最終バッチを流動床乾燥機中で乾燥させる。
8.HPMCカプセルサイズ0を手動で2つの非コーティング錠剤及び2つのコーティング錠剤で充填し、それに応じて包装する。
【0318】
態様では、このプロセスによって調製される製剤は、以下のタイプの組成物を含むことができる(適切であり得る賦形剤の範囲で記載される錠剤製剤、及びそのような範囲内の賦形剤の特定の量を反映するカプセル製剤を伴う)。
【0319】
【表1】
【0320】
【表2】
【0321】
【表3】
【0322】
【表4】
【0323】
【表5】
【0324】
【表6】
【0325】
【表7】
【0326】
【表8】
【0327】
【表9】
【0328】
【表10】
【0329】
【表11】
【0330】
【表12】
【0331】
【表13】
【0332】
【表14】
【0333】
3.薬学的/治療的使用
本明細書中に記載される組成物は、哺乳動物対象、例えば、ヒト患者への有効量のニコランジルの送達を介して得られ得る生理状態における任意の変化(例えば、ニコランジル血管拡張又は本開示の他の場所に記載される他の生理状態の誘導)を誘導/促進又は引き起こすために使用することができる。態様では、本発明の組成物は、慢性安定狭心症の症状の処置又は軽減のために、それを必要とする対象に投与することができる。一態様では、症状は、胸痛及び/又は胸部の局所領域における不快感を含むことができる。態様では、有効量の本発明の組成物を1日1回投与することにより、QTセグメントを有意に又は検出可能に短縮することができる。態様では、有効量の本発明の組成物を1日1回投与することにより、うっ血性心不全(CHF)を有意に又は検出可能に処置することができる。
【0334】
別の態様では、組成物は、微小血管狭心症の症状の処置又は軽減のために、それを必要とする患者に投与することができる。更に別の態様では、本発明の組成物は、心血管死亡のリスクの低減のために、それを必要とする患者に投与することができる。更なる態様では、本発明の組成物は、非致命的な心筋梗塞のリスクの低減のために、それを必要とする患者に投与することができる。別の態様では、本発明の組成物は、非致命的な脳卒中のリスクを低減するために、それを必要とする患者に投与することができる。
【0335】
別の態様では、本発明の組成物は、入院を必要とする一過性脳虚血発作のリスクを低減するために、それを必要とする患者に投与することができる。更なる態様では、本発明の組成物は、心臓性胸痛のための計画外の入院のリスクを低減するために、それを必要とする患者に投与することができる。態様では、本発明の組成物は、上記の疾患/状態のいずれか1つ以上の処置のための治療上有効な1日1回のレジメンとして送達される。
【0336】
態様では、方法は、動脈血管拡張を検出可能に又は有意に改善する、静脈弛緩を促進する、心臓保護効果を促進する、又はそれらの組合せのために、有効量の本発明の組成物を送達することを含む。態様では、有効量の組成物を投与すること(例えば、本明細書に記載される方法/使用態様のいずれかに適用することができるように、1日1回)は、強度及び頻度の両方において、狭心症症状を検出可能に又は有意に改善する。態様では、有効量の組成物を投与することは、CSAP患者などの患者において検出可能な又は有意なプラーク安定化効果をもたらす。態様では、有効量の組成物を投与することは、例えば、根底にあるCADを有する患者において、内皮機能を検出可能に又は有意に改善する。態様では、有効量の組成物を投与することは、不特定の慢性安定狭心症を処置するのに有効である。態様では、有効量の組成物を投与することは、MVA患者における狭心症症状を処置するのに有効である。更なる方法及びその影響(治療/生理学的標的又はエンドポイント)は、以下のセクションに記載される。記載されるように、読者は、本明細書における有効性の任意の記述が、態様では、対象/患者の適切に作動された集団において、例えば、十分に制御された適切な臨床研究において決定され得ることを理解するであろう。
【0337】
本開示のこのセクション及び関連するセクションにおける教示(例えば、態様91~99のうちの1つ以上)と組み合わせることができる様々な適用/使用及び方法も、例示的な態様で提供される。
【0338】
投与条件及び生理学的/治療効果
態様では、組成物の投与は、第1の剤形に含有される総用量の約60%が投与から2時間後に溶解することをもたらし、錠剤に含有される総用量の80%超が約4時間後に溶解する。この時点で、胃内容物の平均滞留時間が4.5時間であると仮定すると、胃を通過する吸収及び活性に利用可能な活性物質の量は、錠剤に含有される総用量の20%以下である。態様では、胃の内容物のほとんどが空になる6時間の時点で、錠剤に含有される総用量の95%が溶解し、第1の放出成分に含有される総用量の約5%が投与後6時間の吸収及び活性に利用可能になる。しかし、このような4時間及び6時間の期間では、第2の剤形に含有されるニコランジルの20%未満(例えば、10%未満)が放出される。したがって、組成物(例えば、第1の放出剤形及び第2の放出剤形を含むカプセル)中のNCDCの総量の少なくとも約40%、例えば約45%、約50%、又は約55%が、組成物が腸に到達したときに利用可能である。実施例及び例示的な態様に反映されるように、そのような態様による組成物は、Nikoranと比較して有意に長い/延長されたニコランジル放出を示す(例えば、pH1.2媒体との接触後6時間で、Nikoran錠剤10mgの10%未満が利用可能である(およそ<1mg))。
【0339】
態様によれば、本発明の組成物の1日1回投与は、投与の6、8、12、14、又は18時間後に、投与の6、8、12、14、又は18時間後にベースラインから約13%~35%の平均運動持続時間の増加をもたらす。追加的に又は代替的に、有効な1日1回量の組成物の投与は、投与後6、8、12、14、又は18時間で、狭心症の発症までの時間をベースラインから約20%~40%遅延させる。更に追加的に又は代替的に、本発明の組成物の1日1回の投与は1mmのST部分は、投与後6、8、12、14、又は18時間でベースラインから約20%~50%低下する。
【0340】
態様では、20mmHgまでの血圧(特にDBP)の平均低下は、例えば、狭心症を有する患者における第2の用量の放出(胃を通過して活性物質を放出するコーティング錠)の結果として、単回投与の2、6、12、18時間後に維持される。
【0341】
複数の態様では、本発明の組成物の投与は、投与の6、8、10、又は12時間後に≧12ng/mL、例えば≧14又は≧14.5ng/mLの血漿濃度をもたらす。態様では、組成物の1日1回投与は、Ikorel(IR)錠剤又はIkorel錠剤製剤を含む対応するNCDC組成物の1日2回投与に対して少なくとも非劣性を示す。
【0342】
複数の態様では、本組成物の投与は、BID Ikorel投与又はQDNikoran投与よりも有意に長い期間にわたって、心外膜冠状動脈の平均管腔径の10~15%増加を保持する。態様では、組成物の投与は、投与後8、10、12、14、又は16時間で心外膜冠状動脈の平均管腔径の10~15%の増加を保持する。
【0343】
態様では、組成物の1日1回投与時のニコランジル臨床効果の持続は、かなりの数の患者において少なくとも約12時間続く。
【0344】
態様では、組成物は、例えば、心筋梗塞患者又は狭心症、例えば、不安定狭心症を有する患者において、虚血性再灌流傷害を予防し、心筋虚血を改善し、抗血小板効果を調節し、非持続性心室頻拍を改善し、微小血管灌流を改善し、微小血管痙攣を軽減し、血小板凝集を低減し、経皮的介入中の微小血管機能障害を低減/予防し、心筋サルベージを改善し、冠血管微小血管及び末梢抵抗動脈の一方又は両方を拡張し、心筋細胞のアポトーシス及び炎症反応を阻害し、不整脈負荷を低減し、心筋細胞のアポトーシス及び炎症反応を阻害し、アテローム硬化性プラークの安定化を改善し、PI3K/Akt経路を介した小胞体ストレス誘導性アポトーシス細胞死を抑制し、又はそれらの組合せをもたらすために投与される。態様では、組成物の投与は、ある期間(例えば、≧6ヶ月、≧12ヶ月、≧18ヶ月、≧2年、又は≧2.5年)にわたって組成物で処置された患者の集団における死亡率を有意に低下させる。態様では、組成物は、労作誘発性狭心症、冠攣縮による狭心症、「混合型」狭心症、微小血管機能障害、又はそれらの組合せの予防を提供するために投与される。態様では、組成物の投与は、狭心症エピソードの頻度の検出可能な又は有意な減少、処置後の運動負荷のDOS改善、運動中の狭心症までのDOS増加時間、又はそれらの組合せをもたらす。態様では、治療のコンプライアンスは、本方法を実施した結果として集団においてDOSに改善されている。例えば、態様では、モニタリングされる集団における患者の≧80%、85%、又は90%超が、1年超の期間にわたって組成物を使用し続ける。態様では、方法は、PDE-5阻害剤の同時投与を伴わない実施である。コルチコステロイド、グリベンクラミド及びグリメピリドを含むスルホニル尿素、カルシウムチャネル遮断薬、又はそれらの組合せ。態様では、方法は、(例えば、狭心症スケールのカナダ心臓血管協会分類(Canadian Cardiovascular Society Grading of Angina Pectoris Scale)を使用して)処置の過程中に相当数の狭心症患者の分類を改善する。
【0345】
治療される適応症/疾患及び関連する使用状態
態様では、本発明の組成物は、例えば、1日1回投与されて、慢性安定狭心症を有する成人患者、例えば、頻繁に使用される抗狭心症療法(例えば、β遮断薬、長時間作用型硝酸塩、及び/又はカルシウムアンタゴニスト)に対する制御が不十分であるか、又はそれに対する禁忌若しくは不耐性を有する患者を処置する。
【0346】
態様では、方法は、微小血管狭心症(MVA)を有するか、又はそれと診断された患者(例えば、他の器質性心疾患を除外した後、臨床症状が胸痛、心筋虚血、及び微小循環障害である、正常な冠状動脈血管造影検査結果を有する患者)を処置するために実施される。
【0347】
態様では、本発明の方法は、慢性安定狭心症(CSAP)、冠微小血管疾患(CMD)、又はその両方を処置するために実施される。態様では、本発明の方法は、狭心症、労作型呼吸困難、冠状動脈疾患(CAD)、又は心不全(又はCHF)のリスクを処置するために実施される。
【0348】
別の態様では、本発明の組成物は、慢性安定狭心症の対症療法(狭心症症状の軽減)のために、それを必要とする対象に1日1回投与することができる。態様では、方法は、慢性安定狭心症の狭心症症状の軽減をもたらす。
【0349】
別の態様では、組成物は、微小血管狭心症の症状、すなわち、慢性安定狭心症の微小血管態様の処置又は軽減のために、それを必要とする患者に1日1回投与することができる。態様では、本発明による24時間にわたるQDニコランジルの安定な血漿レベルは、現在の即時放出型の化合物よりも本質的に優れた微小血管機能の改善を提供する。
【0350】
更に別の態様では、本発明の組成物は、心血管死亡のリスクの低減、急性冠症候群のリスクの低減、又はその両方のために、それを必要とする患者に投与することができる。
【0351】
更なる態様では、本発明の組成物は、非致命的な心筋梗塞のリスクの低減のために、それを必要とする患者に投与することができる。
【0352】
別の態様では、本発明の組成物は、例えば、本発明に従って24時間にわたる安定した血漿中薬物レベルを有するQDニコランジル製剤の連続した安定した血漿中レベルが、現在の即時放出型の化合物よりも本質的に優れた虚血性卒中予防の改善を提供するという理解のある態様では、致命的でない卒中(すなわち、虚血性卒中)のリスクの低減のために、それを必要とする対象に投与することができる。
【0353】
別の態様では、本発明の組成物は、入院を必要とする一過性脳虚血発作のリスクを低減するために、それを必要とする患者に投与することができる。
【0354】
更なる態様では、本発明の組成物は、狭心症の症状(すなわち、心臓性胸痛)に対する計画外の入院のリスクを低減するために、それを必要とする患者に投与することができる。
【0355】
更なる態様では、本発明の組成物は、心胸痛のための計画外の入院及び手技の費用を回避し、したがって低減するために、それを必要とする患者に投与することができる。
【0356】
態様では、本発明の方法の実施は、有害な心血管イベントの発生率の低減並びに心機能の改善に関して、冠状動脈疾患を有する選択的PCIを受けている患者における症状、転帰、又は状態を改善するのに有効である。態様では、本発明の方法は、PCI手技に付随する補助療法として実施される。
【0357】
態様では、本発明の方法は、BID IRニコランジル製剤と比較して、(例えば、より低いニコランジル関連有害事象(AE)、例えば、頭痛、GI副作用、又はその両方に関して)検出可能に又は有意に改善された安全性、忍容性、又はその両方をもたらす。
【0358】
態様では、本発明の方法は、多施設無作為化二重盲検プラセボ対照結果研究において、根底にあるアテローム硬化性心血管疾患のリスクを低減することが証明されている。
【0359】
態様では、本発明の方法は、安静時、運動時、又はその両方における心筋灌流の検出可能な又は有意な改善をもたらす。
【0360】
態様では、本発明の方法は、IkorelなどのIRニコランジル製剤に関連するそのような効果よりも少なくとも劣っていない/治療的に同等であるか又は優れるように、検出可能な又は有意な心筋保護利益(すなわち、心臓保護)をもたらし、一過性心筋虚血及び頻脈性不整脈を減少させ、又はその両方をもたらす。
【0361】
態様では、本発明の方法は、対象における内皮機能の検出可能な又は有意な改善をもたらす。
【0362】
態様では、方法によって治療される患者は、高齢の個体(例えば、65、70、75、又は80歳)は、腎機能障害を有する個体、又はその両方である。
【0363】
態様では、患者は、進行性冠状動脈疾患、難治性狭心症、又はその両方を有し、方法は、患者の1つ以上の状態を改善するために実施される(例えば、心血管イベントをDOSに低減し、機能的狭心症クラスをDOSに改善する)。態様では、本発明の方法は、難治性狭心症の頻度及び期間を低減する。
【0364】
態様では、患者はうっ血性心不全(CHF)を有し、本発明のDOSの方法は、その中の1つ以上の状態を改善する。例えば、態様では、本発明の方法は、CHF患者などの患者において、動脈圧及び肺楔入圧のDOS平均減少、心係数のDOS増加、又はその両方をもたらす。態様では、本発明の方法を実施することにより、頻脈又は血漿カテコールアミンの増加を併発することなく心不全の血行動態異常が改善される。態様では、本発明の方法は、虚血性心疾患を有する患者の死亡率をDOS低下させる。
【0365】
態様では、患者において本発明の方法を実施することは、QT延長症候群の短縮(短縮)、トルサード・ド・ポアンツ/不整脈の低減、又はその両方をもたらす。態様では、本方法は、例えば、BID IRニコランジル製剤投与方法と比較して、QT相の着実な減少の形態でのQT延長の長期制御及び予防に関連する。
【0366】
態様によれば、本発明の方法は、例えば、造影剤誘発性急性腎障害(CI-AKI)、経皮的冠状動脈インターベンション(PCI)、又はその両方を伴うCAG/PCIを受けている患者において、CIN造影剤腎症(CIN)を発症するより低いリスクと関連付けられる。態様では、方法は、1日1回2パルス放出NCDC製剤/組成物の投与と共に、又はそれに関連して、有効量の1つ以上のRAAS阻害剤(ACE阻害剤又はアンジオテンシン受容体遮断薬など)を投与する工程を更に含む。
【0367】
態様では、本発明の方法は、MnSODの活性を慢性的に刺激するミトコンドリアKATPチャネルの安定した活性化を提供し、酸化ストレス及び損傷に対するDOS保護を提供する。
【0368】
態様では、本発明の方法は、化学療法患者における1つ以上の状態を処置又は調節するために実施される。例示的な態様では、本発明の方法は、アントラサイクリン含有化学療法レジメンを使用する化学療法患者の心筋をアントラサイクリン誘発性心毒性からDOSに保護する。態様では、本発明の方法を実施することは、化学療法患者の心機能をDOSに改善するか、化学療法患者が潜在的に救命的な化学療法の使用をDOSに維持し続けることを可能にするか、又はその両方である。態様では、本発明の方法は、NO/cGMP依存性経路の関与を伴わないDOS mitoKATP開口に関連する。本発明の方法の態様では、アントラサイクリン薬の抗腫瘍活性に影響を及ぼすことなく、ドキソルビシン誘発性心不全の発症をDOSに予防する。態様では、本発明の方法は、ミトコンドリアKatpチャネルをDOSのより長い時間にわたって開放状態に維持することをもたらす。態様では、本発明の方法は、虚血期間に対処し、酸化的損傷から心臓を保護するように心筋細胞をDOSに調整する。態様では、本発明の方法は、心筋細胞におけるミトコンドリアKATPチャネルの延長された活性をDOSにもたらし、持続的な心臓保護、心筋作業負荷の低減(薬学的に誘導されるか、又は身体活動の低減を通して)、心臓再生の改善、又はそれらの組合せを提供する。
【0369】
同時投与、組合せ製品、及び組合せ療法及び除外
態様では、本発明の方法は、他の療法又は他のAPI/薬物の投与と関連して実施される。態様では、組成物は他のAPIを含むことができる。態様では、方法は、CSAPを処置することを対象とし、患者に投与される関連薬物は、β遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬(CCB)、長時間作用型硝酸塩若しくはラノラジン、又は筋細胞における後期ナトリウム電流の他の阻害剤、又はそれらの組合せを含む。態様では、そのような薬物の1つ以上は、本発明の方法の一部として投与されることから除外されるか、又は本発明の組成物中に存在することを欠いている。態様では、方法又は組成物は、硝酸塩/硝酸エステル血管拡張薬の包含を含まない。
【0370】
代表的な実験/実施形態(「実施例」)
以下の詳細な例示的な説明又は実験は、本発明の実施形態、適用、又は関連する原理、あるいは本発明に関連するもの(「実施例」)を含み、読者が本発明の態様若しくは本発明に関連する原理、又は本発明の態様の実践を更に理解するのを助けるために提供される。
【0371】
以下の実施例において使用/記載される任意の特定の材料、方法、工程、及び条件、並びにそれらの任意の結果は、本発明の態様を更に説明することを単に意図している。これらの実施例は、本発明の例示的な実施形態を反映しており、そのような実施例の特定の方法、知見、原理、及びそれらの一般的な意味は、本開示の任意の他の部分と組み合わせることができる。しかしながら、読者は、本発明がこれらの実施例又はそのいずれかの部分によって限定されないことを理解すべきである。
【0372】
実施例1
以下の方法は、送達促進カプセルに含有される本発明の第1の放出プロファイル錠剤及び第2の放出プロファイル錠剤を含む例示的な組成物の製造に有効であると決定された。この一般的な方法を、これらの実施例の残りの部分に記載されるような錠剤/剤形及び組成物の製造に用いた。
【0373】
ニコランジル、MCC Prosolv HD90、STARTABデンプン、HPMC DC2、及びLigamed MF-2-Vを所望の量で入手し、標準的な混合装置(22rpmの速度のTurbulaミキサー)を使用して混合して、成分の第1の乾燥ブレンドに到達した。ステアリン酸マグネシウムを500μmの篩にかけ、秤量し、乾燥混合物に添加し、次いでこれを22rpmで更に5分間混合した。
【0374】
次いで、乾燥混合物を直接圧縮によって圧縮して、目標重量100mg、並びに少なくとも60N、任意選択的に少なくとも80N、任意選択的に少なくとも100N、及び任意選択的に少なくとも110N又は少なくとも約120Nの目標硬度を有する5~6mmの両凸丸形錠剤にした。
【0375】
収量を2つの等しい部分に分割し、一方の部分(ここでは各カプセルの4個の半分、すなわち2個)をコーティングに供し、他方はコーティングされていない形態のままとした。
【0376】
コーティング懸濁液は、最初にタルクを90%の脱塩水に15分間完全に懸濁させ、Eudragit及びクエン酸トリエチルを30分間穏やかに混合することによって形成される第2のコーティング成分懸濁液を調製することによって混合した。次いで、懸濁液1を懸濁液2に添加し、混合物を少なくとも15分間混合し、0.25mmの篩で篩い分けした。
【0377】
コーティング錠剤を、UniGlattデバイスにおいてコーティング懸濁液でコーティングした。コーティングパラメータは、T生成物30±3℃、原子、空気1.5バール、ノズル:1.2mmであった。提案される範囲は以下の通りである。Tinlet=40~60℃、Vinlet=55~60m3/時間、及び噴霧速度=5~10グラム/分
【0378】
最終バッチをUniGlatt中で、錠剤のLODが3~4%になるまで乾燥させた(Mettler HG53、スイッチオフ基準4、T=105℃、2グラム)。
【0379】
カプセルサイズ0(又は0EL又は00)のHPMCカプセルに、2つのコーティングされていない錠剤及び2つのコーティング錠剤を手作業で充填し、それに応じて包装した。
【0380】
実施例2
pH6.8での本発明の一態様による例示的な非コーティング第1の(一般の)放出錠剤の溶解プロファイルを分析するために実験を行った。
【0381】
実験に使用される個々の錠剤は、実施例1に記載されるプロセスに従って製造した(同様であるが異なる成分に適用される非常に類似したプロセスも、図21に関連して以下に記載する)。
【0382】
この実験及び本明細書に記載のいくつかの他の実験で使用した錠剤及びカプセルの製剤を表7に示す(コーティング成分を含まない製剤で表す)。
【0383】
【表15】
【0384】
USP装置タイプIIシステム(Agilent)を50rpmで使用する溶解試験のために、2つの第1の放出(一般の/非コーティング)錠剤を収集した。pH6.8を有し、37℃±0.5℃に維持された900mLの溶解媒体を使用して、カプセルの溶解試験を実行した。錠剤の溶解試験を18時間にわたって行った。錠剤溶解データを、ベースライン並びに0.5時間、1時間、2時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、及び16時間の時点で収集した。収集したデータを以下の表8に示し、図1に示すが、図1は16時間の時点までのデータのみを示す。
【0385】
【表16】
【0386】
表8に示され、図1に例示されるように、例示的な10mgの非コーティング第1の放出ニコランジル錠剤は、平均して、製剤の約40%~45%が投与の2時間後に溶解し、例えば、ニコランジルの約40%~45%がpH6.8の試験条件下で投与の2時間後に放出された溶解プロファイルを示す。更に、提供された試験条件下で、投与後6時間までに、ニコランジルの約75%~80%が放出され(錠剤の約75%~80%が溶解し)、10時間までに、ニコランジルの約90%が放出された(錠剤の約90%が溶解した)。
【0387】
図1は、腸のより高いpH環境を模倣するpH6.8の溶解試験条件(胃などの胃腸管の初期部分のpHよりも有意に高い(よりアルカリ性の)pHを反映する条件(図26も参照))下での第1の放出ニコランジル錠剤の平均溶解結果をグラフで示す。この図は、第1の放出非コーティング錠剤成分(複数可)の内容物の約90%が、pH6.8での投与後約10時間~11時間の間に、腸の後の部分のpHで放出されることを実証する。しかしながら、実施例2に示したように、非コーティング第1の放出錠剤は、後の胃腸管のより高いpHに達する前に、胃の低pH環境において少なくとも実質的に溶解する可能性がある。
【0388】
実施例3
pH6.8でのコーティング第2の放出(pH応答性製剤)の例示的なニコランジル錠剤の溶解プロファイルを分析するために実験を行った。実験に使用した個々の錠剤は、実施例1に記載の方法に従って製造した。実験で使用した錠剤の製剤を上記の表7に示す(コーティング成分を有する製剤によって表す)。USP装置タイプIIシステム(Agilent)を50rpmで使用する溶解試験のために、いくつかの第2の放出錠剤を収集した。pH6.8を有し、37℃±0.5℃に維持された900mLの溶解媒体を使用して、カプセルの溶解試験を実行した。錠剤の溶解試験を18時間にわたって行った。錠剤溶解データを、ベースライン並びに0.25時間、1時間、2時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、及び18時間の時点で収集した。収集したデータを以下の表9に示し、図2に例示する。
【0389】
【表17】
【0390】
上記の表9に示され、図2に例示されるように、10mgのコーティング第1の放出ニコランジル錠剤は、平均して、製剤の約35%~40%が投与の2時間後に溶解し、例えば、ニコランジルの約35%~40%がpH6.8の試験条件下で投与の2時間後に放出される溶解プロファイルを示す。更に、投与後6時間までに、ニコランジルの約70%~75%が放出され(錠剤の約70%~75%が溶解し)、10時間までに、ニコランジルの約85%~約90%が放出された(錠剤の約85%~約90%が溶解した)。投与後12時間までに、提供された試験条件下で、平均して、非コーティング錠剤(複数可)の約90%が溶解した(例えば、ニコランジルの約90%が放出された)。
【0391】
図2は、例えば、腸内などの後期胃腸管のより高いpH環境(例えば、胃などの胃腸管の初期部分のpH環境よりも高い)を模倣するpH6.8の溶解試験条件下での第2の放出ニコランジル錠剤の平均溶解結果をグラフで示す。この図は、6.8のpH(胃腸管の後の部分(例えば、胃を通過して腸に入る)のpH)において、コーティング第2の放出錠剤が、錠剤の90%が溶解するのに12時間までかかるような溶解プロフィールを示すことを実証する。これは、徐放性製剤へのそのような錠剤の組み込みが、拡張された時間枠、例えば、ニコランジルの第1の放出形態及び徐放性形態の両方を含む組成物の投与後最大約16時間又はそれ以上にわたって、治療有効量のニコランジルの放出を提供することが予想され得ることを実証する。これは、平均して、摂取された剤形が、胃のより高いpH(例えば、約1.2のpH)を通過し(胃腸管に存在し得る剤形のレシピエントによって消費される追加の食物(複数可)に応じて)、例えば、pH5.5以上などのより高いpHを有する胃腸管の位置に到達するのに約2~5時間かかるために予想することができる。徐放性錠剤の溶解が投与のおよそ5時間後に始まり、そのような錠剤の90%溶解が約12時間かかる場合、徐放性剤形は、例えば、投与後17時間の時点でニコランジルを放出していると予想することができる。
【0392】
実施例4
pH1.2に維持された例示的な非コーティング(第1の/一般の)放出ニコランジル錠剤の溶解プロファイルを分析するために、実験を行った。
【0393】
実験に使用した個々の錠剤は、実施例1に記載の方法に従って製造した。実験で使用した錠剤及びカプセルの製剤を表11に示す(コーティング成分を含まない製剤で表す)。
【0394】
USP装置タイプIIシステム(Agilent)を50rpmで使用する溶解試験のために、2つの第1の放出錠剤を収集した。pH1.2を有し、37℃±0.5℃に維持された900mLの溶解媒体を使用して、カプセルの溶解試験を実行した。
【0395】
錠剤の溶解試験を18時間にわたって行った。錠剤溶解データを、ベースライン並びに0.25時間、1時間、2時間、6時間、8時間、10時間、12時間、及び14時間の時点で収集した。収集されたデータを以下の表10に示し、図3に例示するが、図3は、14時間の時点までのデータのみを提供する。
【0396】
【表18】

0.25時間点は、図3のグラフ上で誤って配置されており、0.5時間データ点であるかのように見えることに留意されたい。これは、図5により適切に示されている。
【0397】
表10に示され、図3に例示されるように、10mgの非コーティング第1の放出ニコランジル錠剤は、平均して、製剤の約60%~70%が投与後2時間で溶解し、例えば、ニコランジルの約60%~70%がpH1.2の試験条件下で放出された溶解プロファイルを示す。更に、投与後5~6時間(すなわち、適用できる酸性溶解媒体との接触後)の間に、ニコランジルの約90%が放出され(錠剤の約90%が溶解し、6時間までに、ニコランジルの約90%超が放出された(錠剤の約90%超が溶解した)。開始/接触後約8時間までに、組成物の約100%がこれらの試験条件下で溶解した(組成物中のニコランジルの約100%が放出された)。これらのデータは、第1及び第2の放出ニコランジル錠剤の組合せ組成物において、そのような送達形態において最初に提供される/含有されるニコランジルのほとんど、例えば、約85%、90%、95%、又は約100%が、投与後約6~8時間までに溶解することが予想され得ることを示す。したがって、より長時間作用型のニコランジル製品、例えば、1日1回投与レジメンに適した放出プロファイルを有する製品を達成するために、ニコランジルの第2の放出形態は、投与後約4~8又は5~8時間の間の時点で始まる治療効果を提供するように存在すべきである。
【0398】
実施例5
pH1.2でのコーティング(pH応答性、第2の放出)ニコランジル錠剤の溶解プロファイルを分析するために実験を行った。
【0399】
実験に使用した個々の実験用ニコランジル錠剤は、実施例1に記載の方法に従って製造した。実験で使用した錠剤及びカプセルの製剤を表11に示す(コーティング成分を含む例示的製剤によって表される)。
【0400】
USP装置タイプIIシステム(Agilent)を50rpmで使用する溶解試験のために、コーティング(pH応答性放出)ニコランジル錠剤のうち2つを収集した。pH1.2を有し、37℃±0.5℃に維持された900mLの溶解媒体を使用して、カプセルの溶解試験を実行した。
【0401】
錠剤の溶解試験を約18時間にわたって行った。錠剤溶解データを、ベースライン及び示された時点で収集した。収集したデータを以下の表11に示し、図4に例示する。
【0402】
【表19】
【0403】
表11に示され、図4に例示されるように、10mgのコーティング第2の放出(pH応答性放出)ニコランジル錠剤は、投与の1時間後、2時間後、及び6時間後でも(例えば、胃の高酸性条件において)、製剤からニコランジルが本質的に溶解しない溶解プロファイルを示す。
【0404】
図4は、胃の低pH環境を模倣するpH1.2の溶解試験条件下での第2の放出(pH応答性放出)ニコランジル錠剤の平均溶解結果をグラフで示す。これらのデータは、第1及び第2の放出ニコランジル錠剤の組合せ組成物において、そのような送達形態で提供されるニコランジルの本質的に0%が投与後約4~6時間までに溶解することが予想され得ることを示す。
【0405】
実施例6
pH1.2での例示的な非コーティング(第1の/一般の)制御放出ニコランジル錠剤の溶解について、標的放出プロファイルを作成し、これは、本発明による2パルス放出カプセル製剤の一部に適していると予測される(例えば、狭心症又は本開示に記載される他の状態の処置のため、QDニコランジル送達に適していると予想される)放出プロファイルを反映している。
【0406】
上記の実施例1の規定に従って製造された非コーティングニコランジル錠剤の溶解プロファイルを分析するために、前述の実施例に記載の条件に従ってpH1.2で実験を行い、その結果を図5の標的放出プロファイルと共にプロットした。
【0407】
図5に示されるこのデータは、本発明の非コーティング(一般的な放出)ニコランジル錠剤が、胃における錠剤の滞留の予想される期間を通してニコランジルを放出すること(pH1.2溶解媒体との接触から約6時間にわたるニコランジルの連続放出)、及び本開示において提供される原理を用いることによって、当業者が、本明細書に記載される様々な目標性能仕様に従って制御放出製剤を調製することができることを示す。
【0408】
実施例7
例示的なニコランジル製剤の特徴をよりよく示すために、実験を行った。pH1.2で実施した溶解試験において、上記の例示的な非コーティングニコランジル錠剤及び例示的なコーティングニコランジル錠剤の両方を使用して実施した上記の実験からのデータを、図6に一緒にプロットする。
【0409】
図6は、本発明の組成物に含まれるこれら2つの異なる放出形態(一般的及びpH応答性)の異なる特徴を明確に示しており、これは最終的に、本発明の組成物に、全体的な製剤/剤形からのニコランジルの2パルス放出を付与する。上記及び下記の同様のデータに関連して指摘したように、胃で見られるような高酸性条件との最初の接触を通じて、一般的な制御放出製剤は、ニコランジルを安定した様式で放出するが、組成物のpH応答性/コーティング剤形は、そのような期間中に本質的にニコランジルを放出せず、第2の/pH応答性剤形が腸に到達するまでそのようなニコランジルを保存する。
【0410】
実施例8
実験を実施して、最終送達形態の例示的な40mg2パルス放出ニコランジル製剤の溶解プロファイルを分析した。詳細には、試験した40mgニコランジル製剤は、第1の放出形態(非コーティング錠剤)のニコランジル20mg及び第2の放出形態(pH応答性コーティング錠剤中)のニコランジル20mgを含むHPMCカプセル(送達促進成分)を含んだ。第1の放出形態の20mgのニコランジルは、2つの10mgの第1の放出錠剤としてカプセル内に存在し、第2の放出形態の20mgのニコランジルは、2つの10mgのコーティング錠剤としてカプセル内に存在した。
【0411】
実験に使用したカプセルは、実施例1に記載の方法に従って製造した。実験で使用した錠剤及びカプセルの処方を上記表7に示す(実施例1に含まれる)。
【0412】
2つのカプセルを、50rpmでUSP装置タイプIIシステム(Agilent)を使用する溶解試験のために収集した。pH6.8を有し、37℃±0.5℃に維持された900mLの溶解媒体を使用して、カプセルの溶解試験を行った。
【0413】
溶解試験を18時間にわたって行った。カプセル溶解データを、ベースライン並びに0.25時間、1時間、2時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、16時間、及び18時間の時点で収集した。収集したデータを以下の表12に示し、図7に例示する。
【0414】
【表20】
【0415】
表12に示され、図7にグラフで提供されるように、40mgニコランジルカプセルは、試験条件下pH6.8で、カプセル中の総ニコランジルの平均約0.5%が0.25時間後に溶解し、カプセル中の総ニコランジルの平均約17.3%が、約1時間後に溶解し、カプセル中の総ニコランジルの平均約32.7%が、約2時間後に溶解し、カプセル中の総ニコランジルの平均約65.3%が、約6時間後に溶解し、カプセル中の総ニコランジルの平均約73.9%が、約8時間後に溶解し、カプセル中の総ニコランジルの平均約79.8%が、約10時間後に溶解し、カプセル中の総ニコランジルの平均約82.9%が、約12時間後に溶解し、カプセル中の総ニコランジルの平均約84.1%が、約14時間後に溶解し、カプセル中の総ニコランジルの平均約84.2%が、約16時間後に溶解し、カプセル中の総ニコランジルの平均約83.1%が、約18時間後に溶解する溶解プロファイルを示す。
【0416】
平均して、摂取された剤形が、胃のより低いpH(例えば、pH約1.2)を通過し(胃腸管に存在し得る剤形のレシピエントによって消費される追加の食物(複数可)に依存する)、例えば、pH5.5以上などのより高いpHを有する胃腸管の位置に到達するのに、約2~6時間かかる。成功した徐放性製品は、その中に含有される活性物質(複数可)の治療レベルを維持するために、そのようなより高いpH環境に達した後に成功した持続放出を実証することができるはずである。第2の放出錠剤の溶解が投与の約5時間後に始まり、図7に示されるように、pH約6.8(溶解試験条件)などの高pH環境において第2の放出錠剤の約84%の溶解に達するのに最大約16時間かかり得る場合、そのような錠剤の徐放性製品への組み込みは、治療有効量のニコランジルを例えば21時間以上もの間送達することができ、1日1回投与を支持する製品を提供すると予想することができる。
【0417】
実施例9
本発明の組成物に対する様々なカプセルタイプの適合性を分析するために実験を行った。上記のような2つのコーティングニコランジル錠剤及び2つの非コーティングニコランジル錠剤を含有するHPMCカプセル及びゼラチンカプセルの両方を製造し、先の実験に記載したものと同様の条件下で、pH6.8での溶解アッセイに供した。これらの試験の結果を図8に示す。
【0418】
図8から分かるように、例示的なニコランジルカプセルの溶解プロファイルにおけるHPMCカプセルとゼラチンカプセルとの間の差は有意ではなかった。このデータは、異なるタイプのニコランジルカプセルが、カプセル内に含有される一般的な放出剤形及びpH応答性放出剤形からの放出プロファイルに著しい影響をもたらすことなく、本発明による組成物において容易に使用され得ることを例示する。
【0419】
実施例10
非コーティング錠剤及びコーティング錠剤の放出プロファイルに対する錠剤硬度の適合性を分析するために実験を行った。110の硬度を有する5mmのコーティングニコランジル錠剤、75Nの硬度を有する5mmの非コーティングニコランジル錠剤、及び110Nの硬度を有する5mmの非コーティングニコランジル錠剤をそれぞれ、上記と同様の条件を使用して、pH6.8での溶解研究に供した。結果を図9に示す。
【0420】
図9に示すように、非コーティング5mmの75Nニコランジル錠剤は、pH6.8で10時間までの放出プロファイルを示した。わずかに遅い放出が、非コーティング錠剤において(110Nの)増加した硬度/圧縮で観察され、すなわち12時間までの放出であった。コーティング5mm錠剤(110N)も、pH6.8で12時間までの放出プロファイルを示した。全体として、硬度約110Nでコーティング及び非コーティングの両方が、標的プロファイル(オレンジ色)と一致する放出を示した。硬度約75Nを有する錠剤は、わずかにより速い放出を示した。本実施例は、異なる生理化学的特性を有するある範囲の錠剤が、本発明の態様による満足のいくニコランジル放出プロファイルを示すことができることを実証する。一方、この実施例はまた、本発明の例示的なニコランジル錠剤の硬度を改善することによって(例えば、少なくとも約100Nの硬度を有する錠剤を使用することによって)、更に改善された特性を得ることができることを実証する。
【0421】
実施例11
本発明の組成物の剤形の製剤における異なるタイプ/グレードのHPMCの包含の影響を分析するために、実験を行った。ニコランジル錠剤を、HPMC DC2又はHPMC CR K100Mのいずれかを用いて製造した。次いで、各タイプの錠剤3個をpH6.8で溶解させた。溶解試験の結果を以下の図10及び表13に示す。
【0422】
【表21】

上記の図10及び表13から分かるように、錠剤製剤中の異なるタイプのHPMCの包含は、そのような錠剤からのニコランジルの放出において有意差をもたらさず、そのような成分に関する本発明の製剤の柔軟性を反映していた。
【0423】
実施例12
先の実験に記載された例示的なニコランジル製剤成分のいくつかの性能/生理化学的特性をより良く/代替的に示すために、実験を行った。
【0424】
pH6.8での例示的な40mgニコランジルカプセル製剤(2つの非コーティング/一般放出錠剤及び2つのコーティング/pH応答性錠剤を含有する)の溶解を含む上記の実験からのデータ(図7及び上記の関連する考察を参照されたい)を、pH1.2での同一の例示的な40mgニコランジルカプセルに対して同様の研究を行うことから得られた同様の溶解データと共にプロットした。これらの異なる実験からのデータを図11に一緒にプロットして、そのような製剤における例示的な非コーティング/一般的な制御放出錠剤及びコーティング/pH応答性放出錠剤の性能特性の差をよりよく示す。
【0425】
特に、図11に示すデータから分かるように、本発明によるニコランジルカプセルは、pH6.8で12時間~14時間までの完全な放出プロファイルを示す。対照的に、pH1.2では、そのようなカプセルは、10時間以内にそれらの内容物の最大約50%しか放出せず、それに加えて、そのような酸性条件下で次の6時間にわたって約5%を放出し、そのような製剤のコーティング錠剤部分が、胃で見られるような酸性条件下でニコランジル放出に抵抗することができることを明確に反映している。
【0426】
実施例13
先の実験に記載された例示的なニコランジル製剤成分のいくつかの性能/生理化学的特性をより良く/代替的に示すために、実験を行った。
【0427】
上記のように、第1の放出形態のニコランジル20mg及び第2の放出形態のニコランジル20mgを含む例示的な40mgニコランジルHPMCカプセル製剤に対して溶解実験を行った。第1の放出形態の20mgのニコランジルは、2個の10mg第1の放出錠剤としてカプセル内に存在した。第2の放出形態の20mgのニコランジルは、2個の10mg第2の放出錠剤(コーティング錠剤)としてカプセル中に存在した。同様に、上記のように、溶解実験を実施して、pH1.2での10mgニコランジルコーティング(第2の放出)錠剤の溶解プロファイルを分析した。実験に使用した個々の錠剤及び完成したカプセルは、実施例1に記載の方法及び製剤に従って製造した。
【0428】
カプセル溶解試験において、6個のカプセルを、50rpmでUSP装置タイプIIシステム(Agilent)を使用する溶解試験のために収集した。pH6.8を有し、37℃±0.5℃に維持された溶解媒体900mLを使用して、溶解試験を実行した。並行して、それぞれ10mgのニコランジル(特に、この実施例の一部として試験されるカプセル(複数可)内に存在する同じ第2の放出形態)を含有する6個のコーティング錠剤を、同様に50rpmでUSP装置タイプIIシステム(Agilent)を使用する溶解試験のために収集した。
【0429】
錠剤の溶解試験を、37℃±0.5℃でpH1.2を有する900mLの溶解媒体を使用して実施した。
【0430】
カプセルの溶解試験を14時間にわたって行った。カプセル溶解データを、ベースライン並びに2時間、6時間、及び14時間の時点で収集した。ベースライン及び2時間時点でのデータのみを、コーティング錠剤について収集した。収集したデータを以下の表14及び15に示し、図12に例示する。
【0431】
【表22】
【0432】
【表23】
【0433】
表14に示すように、40mgニコランジルカプセルは、試験条件下、pH6.8で、平均して、カプセル中の総ニコランジルの約33%が2時間後に溶解し、平均して、カプセル中の総ニコランジルの約65%が約6時間後に溶解し、組成物中の総ニコランジルの80%超が14時間後に溶解した。
【0434】
表15に示されるように、6個のコーティング錠剤のうち2個のみが、2時間の溶解試験期間にわたって検出可能な溶解を示した。平均して、コーティング錠剤の有意な溶解は、試験条件下でpH1.2で観察されなかった。
【0435】
図12は、両方の試験条件下での平均溶解結果をグラフで示す。pH1.2でのコーティング錠剤についての単一の2時間の時点の平均溶解は、0としてx軸上に示される。1日1回投与することができるニコランジルの徐放性製剤を提供するために、pH6.8のカプセル及びpH1.2のコーティング錠剤について許容される溶解プロファイルがどのように見えるかを示すように、許容される製品の暫定的な仕様をデータに重ね合わせた。示されるように、pH6.8での40mgニコランジルカプセルの許容される例示的溶解プロファイルは、2時間で約20%~約50%、6時間で約50%~約80%、及び14時間で約75%以上(NLT)の溶解を実証することができた。更に、pH1.2での10mgニコランジルコーティング錠剤の例示的な許容される溶解プロファイルは、2時間で20%以下(NMT)の溶解を実証することができた。
【0436】
この実施例において提供されるデータは、胃腸管の初期に存在する低pHレベル(例えば、胃における約1.2のpH)において、コーティング錠剤は、それらのコーティングを維持し、したがって、投与後少なくとも最初の2時間の間に放出されるニコランジルの量に有意に寄与しないことが予想され得ることを実証する。実施例は、第2の放出錠剤のコーティングが、pH1.2でそのようなコーティングを含む錠剤の溶解を防止することができることを実証する。
【0437】
実施例14
ヒト胃腸(消化)管の天然環境における本発明の40mgニコランジル第2の放出製剤の挙動を模倣するために、2つの別個の実験を行った(例えば、図26を参照)。2つの実験の結果を組み合わせて、組み合わされた第1及び第2の放出ニコランジル生成物の予想される溶解プロファイルを概念的に実証した。したがって、この実施例は、消化管の自然環境における試験製剤の挙動を模倣するために実験的に収集されたデータを使用した、ハイブリッド実験的に見出された実施例及び理論的な実施例である。
【0438】
第1の実験は、2つの10mg第1の放出錠剤を含む20mgのニコランジル製剤の溶解プロファイルを分析するために実施した。実施例1に記載の製造方法に従って、それぞれ10mgのニコランジルを含む第1の放出錠剤を製造した。得られた錠剤は、(このような製剤基準を満たす)表7による製剤を有していた。USP装置タイプIIシステム(Agilent)を50rpmで使用する溶解試験のために、いくつかの第1の放出錠剤を収集した。pH1.2を有し、37℃±0.5℃に維持された900mLの溶解媒体を使用して、第1の放出錠剤の溶解試験を実行した。
【0439】
2つの10mg遅延放出錠剤(コーティング錠剤)を含む20mgニコランジル製剤の溶解プロファイルを分析するために、第2の実験を行った。それぞれ10mgのニコランジルを含み、表7による組成を有する遅延放出錠剤を、実施例1に記載の製造方法に従って製造した。
【0440】
得られた溶解データを図13にグラフで示す。異なるpHレベルでの2つの実験における錠剤の溶解試験を、14時間内に行った。しかしながら、この実験の部分的な理論的性質に起因して、図13は、24時間にわたるスケールでの結果を示す。この図の解釈において、pH6.8で収集された遅延放出錠剤溶解試験データは、経口摂取された製剤の錠剤が遅延放出錠剤のコーティングの溶解を開始するのに十分に高いpH(例えば、少なくとも5.5以上)を有する胃腸管の環境に曝露されると予想される約6時間で溶解プロファイルが開始するようにシフトして示されていることを理解することが重要である。図13は、そのような生成物の予想されるインビボ性能特性を反映するように組み合わされた仮説的様式で整理された、上記2つの実験からの組み合わされたデータを示す。言い換えれば、合わせて、このデータは、両方のタイプの錠剤を含み、治療有効量のニコランジルを遅延期間(例えば、約20時間以上など)にわたって提供することができる単一の遅延放出製剤を形成する理論的単一製剤を表す。したがって、この実験では、実際のデータを使用して、この製剤の消費者の体内で起こると予想されるもののプロファイルを作成した。図13のY軸上で、50%放出マークは、実際には、1日2回投与される参照製品Ikorel(登録商標)の第1の用量(20mg)の100%を表すが、態様によれば1日1回のみ投与されることが予想される第1の(非コーティング)剤形及びpH応答性遅延放出錠剤の両方に分配された40mgのニコランジルを含む製剤の総用量の50%のみを表すことを理解することが重要である。同様の理論的データ提示が、Nikoran ODを用いた同様の比較溶解試験結果に関連して以下になされる(図18及び20参照)。
【0441】
したがって、図13のグラフは、理論上の制御放出(CR)40mg製剤(2つの実験において収集された実際のデータによって表される)を、(1)Ikorel(登録商標)1日2回40mgニコランジル市販製品の溶解プロファイル(小さい暗色の塗りつぶし四角によって表される)、及び(2)本発明によって提供される40mgニコランジル製剤についての標的放出プロファイル(大きい白丸によって表される)と共にプロットする。この実施例では、CR40mg製剤が生成することを目的としていたのは、仮定された/理論的な目標プロファイルである。
【0442】
なお、図13のグラフは、以下の3つの放出ゾーン、すなわち、グラフ上で「pH1」と標識された、胃の予想される環境を表すゾーンである低pH放出ゾーン、グラフ上で「pH5.5~6.5」と標識された、遅延放出錠剤のコーティングが溶解し始める/溶解する上部腸の予想される環境を表すゾーンである中pH放出ゾーン、及びグラフ上で「pH5~7」と標識された、腸のより後の部分の予想される環境を表すゾーンである高pH放出ゾーンを示すために、グラフの上部にインジケータを介して標識されている。重要なことに、これらのゾーンは、経口送達された組成物が各ゾーンを通過すると予想される時点で示される。したがって、20mgの第1の放出ニコランジル(2個の10mg第1の放出ニコランジル錠剤)及び20mgの遅延放出ニコランジル(2個の10mg遅延放出ニコランジル錠剤)を含む完全な40mgニコランジル組成物の理論的プロファイルを実証するために2つの実験からのデータを組み合わせると、pH6.8での遅延放出製剤について収集された実験的溶解データは、約5~6時間に、組成物がそのようなより高pH条件、例えば、5.5以上のpH-遭遇すると予想されるグラフ上の時点まで右にシフトする。
【0443】
図13に示すように、低pH(第1の放出錠剤溶解試験において利用されるpH1.2)で2時間後、非コーティング第1の放出錠剤ニコランジルの約60%が放出された。図13のY軸線によって示されるように、これは、40mgのニコランジルを2つの部分:20mgの第1の放出及び20mgの遅延放出で含む完全製剤の約30%を表す。約6時間で、非コーティングの第1の放出錠剤ニコランジルの約90%が放出された。これは、完全な製剤の約45%に相当する。図13に示すように、10時間までに、第1の放出錠剤中のニコランジルの約100%又は全てが放出され、完全製剤中のニコランジルの50%に相当した。
【0444】
投与後約6時間の時点で、経口投与された完全な剤形は、腸上部のより高いpHに遭遇することが予想される。このpH(約5.5~6.5の予想pH)で、遅延放出コーティングは溶解し始めることが予想される。したがって、pH6.8での遅延放出錠剤の溶解試験データは、理論的に遅延放出錠剤が錠剤の腸溶コーティングを溶解し始めるのに十分高いpHを有する胃腸管内の環境に曝露される時点である6時間の時点から提示される。図13に示すように、約6.5時間で、コーティング遅延放出錠剤(pH6.8で試験)は、それらのニコランジル含量の約10%を放出したと予想されるものとして示され、したがって、その時点で約60%の完全製剤の総ニコランジル放出に寄与する。8時間で、非コーティング錠剤のpH1.2での溶解試験は、第1の放出ニコランジルのほぼ完全な溶解を実証したが、コーティング錠剤の溶解試験は、遅延放出錠剤中のニコランジルの約50%が放出され、完全な製剤中の総ニコランジルの約75%に相当することを実証する。12時間までに、pH6.8での遅延放出錠剤の溶解プロファイルに基づいて、遅延放出錠剤中のニコランジルの約80%近くが放出され、完全製剤中の総ニコランジルの約90%近くに相当することが予想され、図13に示されている(再び、明確にするために、及び理解を助けるために、遅延放出錠剤の溶解を示すデータの12時間の時点は、その溶解実験の6時間の時点で取られた溶解データを表す)。約20時間で、pH6.8での遅延放出錠剤の溶解プロファイルに基づいて、遅延放出錠剤中のニコランジルのほぼ全て又は全てが放出されていることが予想され、これは図13に示されており、完全製剤中のニコランジルのほぼ全て又は全てを表している。
【0445】
図13のグラフによって示されるように、ヒトレシピエントに投与された組合せ製品の予想される溶解プロファイルの概念的提示をもたらす2つの実験の組合せは、提案されたCR40mg標的放出プロファイルとよく適合する。更に、図13に示すように、そのような組合せ製剤から得られたプロファイルは、比較のために提供された第1の放出Ikorel(登録商標)製剤の1日2回投与のプロファイルとは全く異なると予想される。この実施例において試験され実証された本発明の製剤の溶解プロファイルは、1日2回のIkorel(登録商標)製剤のものよりも、単回投与期間にわたって線形プロファイルにはるかに近いプロファイルを提供し、溶解における長いプラトーが用量間で観察される。各用量で、参照製品Ikorel(登録商標)は、pH1.2及びpH6.8で約15分以内に活性成分のほぼ90%を放出する。しかしながら、提案された組成物(複数可)は、pH1.2(胃の酸性環境を模倣する)では約9時間で、非コーティングの第1の放出錠剤中に存在するニコランジルの第1の20mg(完全な組成物中の合計40mgのうち)のほぼ90%を放出し、pH6.8(腸の後半部分を模倣する)では約12時間で、コーティング遅延放出錠剤中に存在するニコランジルの第2の20mg(完全な組成物中の合計40mgのうち)の約90%を放出する。
【0446】
理解を容易にするために、(図14のように)図13に示すIkorel(登録商標)データを含めずに、データの同様の図を生成した。
【0447】
実施例15
更なる例示的なニコランジル制御放出製剤を、図21に記載の工程に従って作製した。図21に反映されるように、初期成分(ニコランジル、デンプン、HPMC、MCC)を提供し、秤量し、篩い分けし、混合した。(篩い分けした)ステアリン酸マグネシウムを混合した。次いで、合わせた成分を錠剤化に供した。コーティング錠剤については、PlasACRYL(登録商標)、水、及び着色剤と組み合わせたEudragitのコーティングを適用した。次いで、錠剤を、上記の方法又は当該技術で公知の方法と同様の方法を使用して、乾燥、カプセル化、及びパッケージに供した。更なる例示的な製剤の組成は、表16(錠剤製剤)及び表17(コーティング製剤)に記載される通りである。
【0448】
【表24】
【0449】
【表25】
【0450】
そのような製剤を以下に記載されるような溶解試験に供し、2パルスニコランジル放出及び本開示に記載される本発明の原理に従う他の特徴を示す本発明の更なる製剤が生成され得ることを実証した。
【0451】
実施例16
NIKORAN(登録商標)ODと比較した本発明によるニコランジル錠剤及びカプセル剤(実施例15に記載の組成を有する)の溶解プロファイルを分析するために、一連の追加の溶解試験を行った。Nikoran(登録商標)は、インドのTorrent Pharmaceuticals Ltdによってインドで販売されているニコランジル錠剤の商品名である。おそらく「1日1回」に対して「OD」と表示されているが、錠剤は実際には1日2回投与用に処方される。
【0452】
Nikoran10mg(OD10)錠(ニコランジル延長放出錠I.P.-バッチ番号C820G017)を、上記の条件下で、pH6.8及びpH1.2におけるそれらの放出プロファイルについて試験し、以下に明記されるように、ニコランジル錠剤及びカプセル剤の溶解試験と比較した。
【0453】
pH1.2の溶解媒体は、以下の工程によって生成した。1L当たり8.18mLの37%HClを希釈する。メスフラスコに蒸留水を加えて調製する。必要であれば、pHを1.2に設定する。
【0454】
pH6.8の溶解媒体は、以下の工程によって生成した。USP24:10Lメスフラスコ中の蒸留水中に68.05gのKH2PO4及び8.96gのNaOHを溶解させる。必要に応じて、HCl又はNaOHでpHを調整する。蒸留水で容量を補う。
【0455】
44mgのニコランジルAPI(バッチNRL3002022)を100mLメスフラスコに移すことによって、40mgカプセル製剤用のニコランジル標準を生成した。APIを溶解し、溶解媒体で容量を補った。2mLを20mLメスフラスコに移して溶解媒体で体積を調整することによってこれを希釈した。
【0456】
装置II(0.011mg/mL)用の1錠(10mg)のニコランジル標準を以下のように生成した。11mgのニコランジルAPI(バッチNRL3002022)を100mLメスフラスコに移した。APIを溶解し、溶解媒体で容量を補った。2mLを20mLメスフラスコに移して溶解媒体で体積を調整することによってこれを希釈した。
【0457】
移動相HPLCショートアッセイの条件:10mMギ酸アンモニウムを90:10アセトニトリル中で混合し、10mMギ酸アンモニウム(NH4COOH)をMilliQ(pH3.0)中で混合した。これらの組成物をアセトニトリルと90:10の比で混合した。
【0458】
使用した装置は、Alliance Waters HPLC e2695システム、へら及び自動サンプラ及び温度制御水浴付きの溶解装置II(Agilent)、pHメーター(Mettler Toledo SevenCompact)+pH電極(Mettler Toledo Inlab Routine Pro)、及び撹拌機、IKA labortechnik RCT basisであった。
【0459】
用いたHPLC法は以下の通りであった。インキュベートしたサンプルを、Waters HPLC e2695 Allianceシステムを使用してHPLCによって分析した。このシステムは、真空脱気装置、クォータナリーポンプシステム、可変容量インジェクタ、温度制御オートサンプラ、温度制御カラムマネージャ、及びフォトダイオードアレイ検出器からなる。システムは、Empower IIIソフトウェア(Waters)によって制御した。ニコランジルピーク面積を時間に対してプロットした。これらの試験では、ガードカラムをインジェクタと分析カラムとの間に配置した。これは、カラム、HPLCシステムを保護し、清浄な濾過された注入試料を確保するために行った。
【0460】
アッセイ設定を以下のように採用した。
・Luna C18(2)30mm、直径4.6mm、粒径5μm、Phenomenex製フィルターガード付き。アビビアコード#1279
・移動相アセトニトリル中90:10の10mMギ酸アンモニウム(pH3.0)
・実行時間:3.5分、及び
・注入量:20μL
【0461】
分析を二連で行い、平均値を時間に対してプロットした。操作条件は以下を含んでいた:パドルの回転速度:50rpm、溶解媒体:pH1.2又はpH6.8媒体、溶解体積:900mL、温度:37℃±0.5℃、サンプリング体積:1mL、フィルタサンプラ:35μm、及び時点:1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、18時間、24時間。錠剤当たり10mg:0.011mg/mL、及びカプセル当たり40mg:0.044mg/mLの参照標準。
【0462】
試験したNikoran錠剤のpH1.2及びpH6.8での溶解を図15に示し、以下の表18に具体的に示す。
【0463】
【表26】
【0464】
図15から分かるように、Nikoran OD錠剤からのニコランジルの溶解は、pH6.8及びpH1.2の両方で類似しており、Nikoran錠剤がpH反応性を欠くことを反映している。
【0465】
上記に反映された初期の研究において、Ikorel(即時放出ニコランジル錠剤)をpH6.8で同様に試験した。そのような条件下でのIkorelについての溶解データを、pH6.8でのNikoran溶解データと同じグラフにプロットすると、pH6.8での低下傾向が、両方のタイプの市販製剤において見られる(図16)。図16に示されるデータは、Nikoranが徐放性を示すことを明確に示しているが、Ikorelと比較して、Nikoran錠剤に含まれるニコランジルの本質的に全てが、pH6.8の溶解媒体との接触から約8時間で放出される。
【0466】
更なる例示的な製剤錠剤及びカプセル剤を用いて他の溶解試験を行い、得られた溶解データを様々な形態でプロットした。例えば、図17は、(図15に示されるような)pH1.2媒体中のNikoran錠剤について得られた溶解データと比較して、pH6.8での例示的なニコランジルカプセル、pH1.2での上記のようなコーティング錠剤をプロットする。このデータは、本発明の製剤におけるpH応答性錠剤/剤形の溶解の欠如(pH1.2において2時間までほとんど又は全く溶解しない)、及びNikoran錠剤と比較して例示的なニコランジルカプセルからのより延長された放出を反映している。pH1.2でのNikoranからのニコランジルの溶解がpH6.8と同様であることを考慮すると、Nikoran錠剤中に含有されるニコランジルは、製品が腸に到達する時間までに錠剤中にほとんど又は全く残らない可能性が高い結果である。
【0467】
このデータはまた、pH6.8であっても、試験した非コーティング錠剤中の本発明の一般的な/第1の制御放出製剤がNikoran錠剤よりも優れていたことを反映している。pH6.8では、Nikoran錠剤は溶解するのに約10時間かかった。試験ニコランジル錠剤は12~14時間を要した。したがって、Nikoran延長放出のプロファイルは、新たに開発されたニコランジルカプセルよりも明らかに速く検出可能である。
【0468】
Nikoran錠剤のpH非依存性も明らかに顕著である。Nikoran ODの放出プロファイルは、pH1.2においてpH6.8と同様に見える(図15も参照されたい)。対照的に、試験ニコランジル錠剤は、明確に区別できるpH依存性放出(パルス)を有することが明らかである。
【0469】
図19は、これらのデータの別の提示を提供するが、(一般的な(第1の)制御放出製剤剤形(非コーティング錠剤)及びコーティング錠剤についての溶解データを整列させることによって)予想されるインビボ放出をモデル化するように提供する。明確にするために、pH1.2でのコーティング錠剤の溶解データも示す。データのこの提示は、本発明の例示的な組成物が、Nikoranと比較してニコランジルの実質的に延長された放出を呈することを明確に示す。例えば、投与後約6~7時間でのこれらの結果に基づいて、本質的に全てのニコランジルが、NikoranのpH1.2溶解データに基づいてNikoranから放出されることが予想される。対照的に、本発明の例示的な組成物は、投与の8及び10時間後に20%を超えるニコランジルを維持することができ、投与の12又は14時間後に製剤の最初のニコランジルの少なくとも10%を維持することができた。
【0470】
これらの差の有意性を更に説明するために、図20は、pH1.2で本発明のNikoran錠剤及びコーティング錠剤の両方について、錠剤マトリックスから(全/初期用量から)放出されたときに吸収に利用可能な予想される残存ニコランジルを提示しており、Nikoranと比較した本発明の組成物のコーティング錠剤のpH応答性製剤における実質的な差を反映している。
【0471】
最後に、図21は、pH1.2及びpH6.8条件でのコーティング及び非コーティングの例示的なニコランジル錠剤からのデータを、理論的に(図13及び図14に関して上で詳細に説明したものと同様)組み合わせており、そのような組成物の予想されるインビボ特性を反映しており、そのようなデータをNikoranと比較している。そのようなデータの提示はいくらか理論的であるが、この図はおそらく、持続放出/1日1回ニコランジル製剤として記載される唯一の市販製品と比較して、本開示の本発明の原理を用いることによって得られる性能の実質的な差を最もよく示す。そのようなデータに基づいて、投与の7~8時間後にNikoran錠剤中にニコランジルがほとんど又は全く残っていないことが予想され、これは、製品が十二指腸内に到達する時間までに、Nikoran錠剤中に含有される最初のニコランジルがほとんど残っていない(例えば、10%未満、5%未満、又は約1~2%)ことを意味する。対照的に、投与後6時間で、本発明による組成物(例えば、これらの実施例において例示される組成物)は、特に、製品中に含まれる第2の放出(コーティング)錠剤のpH反応性を考慮すると、組成物の最初のニコランジルの少なくとも約40%又は少なくとも約50%(例えば、50%超)を依然として含むと予想される。これは、本発明の製剤が、例えば、投与後12及び14時間で、初期ニコランジルの少なくとも約10%(又はそれ以上)を保持することが予想されるという事実に寄与し、ニコランジルの他の特徴を考慮すると、このような製剤が、1日1回(QD)投与レジメンなどの投与頻度低減レジメンに有効であることを示唆する。対照的に、Nikoranは、そのような使用に適していないようであり、これは、Nikoranのラベルが、製品の「OD」ブランドにもかかわらず、1日2回投与を指示する理由を反映し得る。胃腸管の変化するpH条件及び摂取された生成物の典型的な滞留時間を図26に提示して、そのような理論的データ構築物の基礎並びに本発明者らが想定し、本開示に記載した予想されるインビボ及び治療性能特性のいくつかの基礎を読者が理解するのを助ける。この図のより完全なバージョンの詳細な説明は、Hua S.Front Pharmacol.2020年4月28日;11:524に提供されている。
【0472】
再びこれらの図のデータを参照すると、Nikoranは、約6時間後にpH1.2媒体中でほぼ完全な溶解を示す。対照的に、本発明の例示的な組成物のコーティング錠剤のpH応答性製剤に起因して、本発明の製剤全体の少なくとも50%が利用可能であり、より高いpH条件への曝露後にのみ放出を開始する(例えば、約6時間後、それまでに胃を通って腸への通過が完了すると予想される)。図21によって例示されるこの差異及び他の差異は、本発明の例示的な組成物とNikoranとの間の実質的な差異を反映する。
【0473】
実施例17
追加の試験を実施して、本開示によって提供される例示的な製剤の安定性を分析した。図22は、ニコランジル製剤に関連する3つの一般的な不純物を示す。Nikoran錠剤及び例示的なニコランジル錠剤/カプセルのクロマトグラムにおいて不純物が観察された。本明細書で報告される研究(実施例18を参照されたい)において考慮される別の不純物は、以下の化学構造を有する「不純物A」(不純物A)である。
【0474】
【化2】
【0475】
不純物は、実験アッセイにおいて相対保持時間0.45及び0.6で一貫して見られた。これらの不純物を更に試験して、実験的ニコランジル製剤が、このような実験的生成物における独特の製剤及び性能特性を考慮して、典型的なレベルよりも高い不純物レベルと関連するかどうかを理解した。
【0476】
図23は、1つの画像に重ね合わされたNikoran及び例示的なニコランジル剤形のクロマトグラムを示す。クロマトグラムは、37℃の溶解容器中で18時間後のニコランジル(NCD)分解を示す。このデータは、Nikoranと例示的な剤形との間で評価された不純物が全体的に同様の量であることを反映している。
【0477】
表19は、例示的なニコランジルカプセル(NCDカプセル)及びNikoranの両方について検出された不純物D(不純物D)のレベルを示す。
【0478】
【表27】
【0479】
Nikoranと比較して、NCDカプセルから検出された不純物の比較的低い初期量は、pH感受性製剤の包含に起因するNCDカプセルのより少ない溶解を反映し得る。したがって、このデータは、本発明のそのような例示的な組成物が、Nikoran錠剤よりも実質的に低い初期不純物レベルを示すことを反映している。
【0480】
実施例18
成分レベルでの本発明によるニコランジル製剤の安定度をよりよく理解するために、以下の粉末ブレンドの組合せを生成し、分析した。
-NCD+HPMC
-NCD+デンプン
-NCD+MCC
-NCD+ステアリン酸マグネシウム
-NCD+マンニトール(現在の製剤では使用されていない)
-NCDのみ
【0481】
この篩い分けでは、分解が賦形剤からの水分に由来するかどうかを試験するために、賦形剤及びAPI(1:1比)の異なる組合せを、密封ガラス瓶中、加速条件(40℃/75%RH)で試験した。粉末ブレンド(2.5グラムの混合物)を二連で分析し、25℃/60%RH(相対湿度)及び40℃/75%RHで密封ガラス瓶中に保存した。
【0482】
これらの試験組成物についての乾燥減量(LOD)値(重量パーセント差)を決定し、表20に示す。
【0483】
【表28】
【0484】
これらの組成物を、初期及び加速安定性試験条件(40℃)(US FDAの典型的な基準/手技による)又は室温条件(25℃)での2週間又は4週間の保存後の両方で、不純物(不純物A、不純物B、不純物C、及び不純物D)及びNCD含量について更に分析した(N=2)。未知の不純物(「未知不純物」)も測定し、全ての測定された不純物の合計(「総不純物」)を計算した。これらの試験からの平均測定値を以下の表21に示す。
【0485】
【表29】

【0486】
上に提示したデータから、賦形剤/APIの全ての組合せが、25℃/60%RHで少なくとも4週間安定であると思われることが分かる。40℃/75%RHで2週間後、デンプン、HPMC、及びMCC試料は、アッセイ値の減少を示した。25℃/60%RHでは不純物Dが形成されたが、40℃/75%RHのより厳しい条件では不純物B及びCも形成された。これは、溶液中でのニコランジルの加水分解に続く(図23)。不純物Dは、主に形成された分解生成物である。より過酷な条件では、不純物Dは、平衡状態で分解生成物B及びCに加水分解される(図23参照)。
【0487】
製剤中で観察されたニコランジル分解は、水分への曝露に由来すると考えられる。個々のデンプン、個々のHPMC、及び個々のMCCは、ニコランジルの安定度に影響を及ぼすようである。これらの3つの賦形剤の固有の含水量は、ニコランジル分解を説明することができた。25℃での将来の安定性研究では、特に不純物Dの生成を厳密に監視する必要がある。
【0488】
これらの結果に基づいて、本発明者らは、本発明の製剤のほとんど、概ね全て、実質的に全て、又は全ての賦形剤、製剤若しくは製剤の一部(例えば、錠剤本体)の賦形剤含量、又はその両方が、約3%以下、例えば2.8%以下、2.5%以下、又は2.3%以下の含水量を有し、例えば、ほとんど又は概ね全てが約2%以下の含水量を有し、全てが3%未満又は約2.5%未満の含水量を有すると考える。
【0489】
例示的な製剤において、製剤への寄与(重量基準で)は、デンプンStarlabでは20%、MCC Prosolv HD90では34.5%、及びHPMC DC2では35%である。本明細書に提示される他の結果によって例示されるように、そのような製剤は、標的又はその近くで溶解プロファイル特性を提供する。したがって、これらの賦形剤の保持は適切である。当業者は、同様の又はより良好な溶解が得られる場合、賦形剤の置換が可能であるが、態様では、(ほぼ同じレベル以下の不純物又は有意に同様の若しくは有意に改善された不純物プロファイルを有することによって)賦形剤の同様の又はより良好な含水量も考慮されるべきであることに留意すべきである。本発明者らは更に、本開示の他の箇所に記載される改善されたパッケージが、賦形剤及び製剤全体の安定性性能を検出可能に又は有意に改善することができる(例えば、すぐ下の実施例19に報告される結果を改善する)と考えている。
【0490】
実施例19
ニコランジル製剤の安定特性を更に調査するために、実施例15に記載される特性を有する例示的な制御放出ニコランジルカプセル製剤(40mg)を使用して、更なる安定研究を行った。
【0491】
例示的なニコランジルCRカプセルは、安定試験の開始前に、約室温で約3~4週間、密封された黒色プラスチック袋に最初に保存された。安定性試験の目的のために、カプセルを、蓋に2~6グラムの乾燥剤を有する高密度ポリエチレン(HDPE)容器に移し、試験の間、そのような容器中に維持した。HDPEは、その有利な安定性及び薬物製品との反応の欠如を考慮して、広く使用される主要な薬学的容器材料である。
【0492】
1つの試料(各試料は2つの例示的な40mgニコランジルカプセルを含有する)を5℃で保管し、別の試料を25℃/60%RHで維持し、更に別の試料をFDA加速安定試験条件(40℃/75%RH)下で1ヶ月間維持した(試料を30個のカプセル容器に保管した)。次いで、このような条件下で維持されたカプセルに対してニコランジルアッセイを行った。これらのアッセイの結果を表22に示す。
【0493】
【表30】
【0494】
1ヶ月後、ニコランジルカプセルを5℃で更に4週間、シリカ乾燥剤を含む密封アルミニウムバッグ中で保存し、カプセルをニコランジル含量について試験した。これらの実験の結果を表23に示す。
【0495】
【表31】
【0496】
これらの実験からの結果は、安定なニコランジル製剤を生成することが困難であるという事実を反映している。乾燥剤を含むHDPE容器中で行った安定性試験の最初の結果はいずれも満足のいくものではなく、冷蔵条件下で保存した試料のみが適切な安定性を潜在的に達成することができるようであった。Nikoran ODはまた、冷蔵条件下で保存されるようにラベル付けされ、そのような条件下でさえ、最初の使用から5日間のみ使用可能であることが示されている。
【0497】
シリカ乾燥剤と組み合わせたアルミニウムパッケージの使用によって得られる改善された結果は、いずれか又は両方のアプローチが、本発明の例示的なニコランジル製剤の安定特性を改善するために使用され得ることを示す。
【0498】
本発明者らは、本開示に記載される例示的なニコランジル制御放出製剤と組み合わされる、より効果的な吸上/乾燥剤パッケージ/安定技術の使用を考えた。乾燥剤が取り付けられた/コーティングアルミニウム箔の少なくとも1つの層(例えば、Amcor(Zurich)から入手可能なDessiflex Plus(Texas Plus)及びDessiflex Ultra(Orange Ultra)パッケージ)が特に取り付けられたアルミニウム-アルミニウムブリスターパックは、ブリスター包装における通常のアルミニウム箔層と組み合わされる可能性が高い。本発明者らは、このタイプのパッケージ又は同様に有効な吸上/防湿パッケージを適用することにより、冷蔵条件、室温条件、加速安定条件、又はそれらの一部若しくは全部の組合せの下で、例えば、1、2、3、6、9、12、18、24、30、又は36ヶ月の期間にわたって、適切な相対的湿度条件下で、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも98.5%、又は少なくとも99%など、(一般的な規制当局/産業安定試験基準により)上記で報告された試験で達成されたものよりも有意に良好なニコランジル安定が得られると考えている。
【0499】
実施例20
例示的なニコランジル製剤の溶解特性の保存条件の影響を評価するために、以下の実験を行った。例示的なニコランジルカプセルを、いずれの場合もpH6.8で、実施例19(5℃、25℃、及び40℃)において上に記載された示された保存条件での初期溶解試験及び1ヶ月の保存後の溶解試験の両方に供した。これらの溶解試験の結果を図25に示す。
【0500】
図25に示される結果から分かるように、一般に、安定条件の差は、本明細書に記載される例示的なニコランジルカプセルの溶解プロファイルに有意な影響を与えなかった。最初に試験したカプセル、5℃で保存したカプセル及び25℃で保存したカプセルは全て、pH6.8で同様の溶解パターンを示したが、ニコランジルの量は、保存後、特に25℃では低く、実施例19に記載の結果と一致した。また、実施例19に示された結果と一致して、40℃で保存されたカプセルは、ニコランジルをほとんど含有せず、したがって、そのような製品について溶解プロファイルは観察されなかった。これらの結果は、本発明による2パルスニコランジル制御放出製剤から得られた溶解パターンが、異なる安定条件の範囲にわたってさえ、1日1回製剤に適した持続放出を示唆する溶解プロファイルを示すことを実証する。
【0501】
実施例21(予言的臨床試験)
実施例1~20に例示されるような例示的な2パルス制御放出ニコランジルカプセルの薬学的適合性を実証するために、以下の要素(又は実質的に同様の工程/手段)のほとんど又は概ね全てを含む以下の1つ以上の臨床研究(単数又は複数)を実行することができる。
【0502】
このような製品の第1相タイプ試験を実施して、本発明の2パルス制御放出ニコランジル製品の忍容性/安全及び他の特性を確立することができる。そのような研究の可能な重要な設計特性には、即時放出参照製品と比較した単回投与及び複数日使用の両方の後の、開発された用量強度(複数可)のサンプリング及びPK評価が含まれる。
【0503】
更に、薬学的研究は、追加的に又は代替的に、例えば、健康な成人ボランティアにおける単一施設、非無作為化、非盲検、定常状態、単一固定シーケンス、3期間、3処置、逐次比較研究を含むことができ、これは、例えば、本明細書で例示されるような3つの異なる処置を使用して行うことができる。
1.処置A:ERニコランジル経口カプセル、20mg(絶食)QD
2.処置B:ERニコランジル経口カプセル、40mg(絶食)QD
3.処置C:IRニコランジル経口錠剤、20mg(絶食)BID
【0504】
重要な第1相特徴は、以下のように記載することができる。1日目に開始し、1日目に開始し、5日目に終了する絶食状態でのQDニコランジル20mgによる複数回投与(5日間)1回の処置で、5日目にPKサンプリングして、QDニコランジル20mgカプセルの定常状態でのPKパラメータを評価する。サンプリングに続いて2日間のウォッシュアウトを行う。同じ治療群(同じコホート)が8日目まで継続され、参加者は、QDニコランジル40mgカプセルの単回投与を受け、薬物の投与後にPKサンプリングを行って、QDニコランジル40mgカプセルの単回投与PKパラメータを評価する。参加者は、QDニコランジル40mgカプセルの定常状態PKパラメータを評価するために、5日間、1日1回QDニコランジル40mgを投与され続ける。PKサンプリングを14日目に行って、カプセル間変動を評価し、15日目に行って、定常状態でのPKパラメータを評価する。3日間のウォッシュアウト後、同じコホートにニコランジル20mgを1日2回投与する(Ikorel)。PKサンプリングを19日目に行って単回投与PKパラメータを評価し、24日目にBiDニコランジル20mg Ikorelの定常状態PKパラメータを評価する。
捕捉するためのPKパラメータは、以下を含むがこれらに限定されない一連の変数を含み得る。
-血漿濃度及び時点
-対象、期間、順序、処置
-利用可能な場合、対象間、対象内、及び/又は総変動性
-単回投与評価について:AUC0-t、AUC0-inf、Cmax、Tmax、λ、及びt1/2
-定常状態評価について:AUC0-tau、Cmaxss、Tmax、Cminss(投与間隔における最低濃度)、Ctrough(投与間隔の終了時の濃度)、Cavss(投与間隔中の平均濃度)、変動度[(Cmax-Cmin)/Cavss]、スイング[(Cmaxss-Cminss)/Cminss]。
-Ctroughは、定常状態が達成されたかどうかを評価するために、いくつかの投与間隔について測定され得る。
試験の主要なPKプロファイル特性及び比較分析構成要素としては、限定されないが、以下が挙げられ得る。
・QD20mgニコランジル、QD40mg及びBiD20mg IRニコランジルについての定常薬物動態
・QD20mg及び40mg放出調節ニコランジルについての単回用量PKプロファイル
・40mgQDの単回用量と20mg BiD IRの2回BiD用量との比較
・20mg及び40mgQD単回用量、特にCmax/D単回用量、単回用量についてのAUCinfinity/D及びAUCtau/Dについての用量比例性
・複数用量での20mg及び40mg QD ER定常状態、特に定常状態でのCmax/D及び定常状態でのAUCtau/Dについての用量比例性
40mg ER及び20mg BiDIRの定常状態曝露、特にAUC24及びCmaxの比較。
【0505】
登録される対象の数は、最初のPK試験において観察された対象内変動性に基づいて決定される。試験は、3つの処置の投与の間にウォッシュアウト期間を含んでも含まなくてもよい。各処置期間は、適切な期間(例えば、5日間の投薬)からなり得る。いくつかのトラフ濃度を各処置期間中に測定して(例えば、4回のトラフ濃度測定)、各製剤について定常状態条件の達成を実証する。主要なニコランジル代謝産物SG-86のPKプロファイルも評価することができる。
【0506】
定常状態到達は、例えば、4つ全ての測定されたトラフ濃度を個々に使用して各処置期間について反復測定ANOVAによって評価することができる。試験において測定される重要なPKパラメータは、例えば、両方とも定常状態条件下でのCmax及びAUC24を含むことができる。参照製剤のBID投与についてのAUC24 1日曝露は、2×AUCtauとして計算することができる。本発明による例示的な2パルス制御放出ニコランジル製品の投与は、125%の上限以下に低下する幾何平均比(GMR;試験/参照)の90%信頼間隔(CI値)の上限として定義される、ニコランジル経口錠剤と同様又はそれより低い相対的生物学的利用能をもたらすことが予想される。
【0507】
20mgの2パルス放出ニコランジルカプセル及び40mgの2パルス放出ニコランジルカプセルの用量比例性は、80.00%~125.00%の範囲と比較して、GMRについて90%のCIを有する安定状態での用量正規化Cmax及びAUCtauについてのANOVA統計モデルを使用して確認することができ、すなわち、用量の2倍増加が、ニコランジルへのピーク及び全体的な曝露において同様の大きさの増加をもたらす場合である。
【0508】
試験は、追加的に又は代替的に、慢性安定狭心症(CSAP)を有する患者における2パルス放出ニコランジル1日1回カプセルの単一無作為化、多施設、二重ダミー、二重盲検、能動制御、並行群、安全、及び有効性(第3相)研究を含むことができる。そのような試験は、CSAPを有する患者における本発明のニコランジルカプセルの安全及び忍容性を評価して、プラセボと比較してQD投与されたCR2パルスニコランジルカプセルの優位性を実証するように設計することができる。
【0509】
試験群は、以下の2つの試験群のうちの1つに無作為に割り当てられた患者によって特徴付けることができ、プラセボに対するQD2パルス放出ニコランジルの優位性を実証するのに十分な患者が各群に登録されている。
・処置A:QDニコランジル経口カプセル、規定された試験期間後に20mg用量を40mgQDに増量する。
・処置B:盲検を維持するために、20mg及び40mgのQDニコランジルカプセルと外観が同等で区別できないQDプラセボカプセルを適合させる。
全試験を完了した患者は、登録され、スクリーニングされ、CSAPの対症療法のために以前に使用された任意の抗狭心症薬のウォッシュアウトを受けた後、研究の積極的治療相において最低12週間を費やす。
a.スクリーニング相:この段階は、登録時のベースラインETT評価と、それに続く、患者が服用している可能性がある以前の全ての抗狭心症薬を中断するためのウォッシュアウト期間とを含み得る。患者は、ウォッシュアウト後に追加のETTベースの評価を受けて、無作為化前のベースライン総運動持続時間を決定することができる。
b.第1の治療間隔相:患者は、20mgの調節放出ニコランジルQD又は対応するプラセボで最大6週間過ごし得る。
c.第2の治療間隔相:患者は、40mgの調節放出ニコランジルQD又は対応するプラセボに対する試験の無作為化治療フェーズにおいて更に6週間過ごし得る。
【0510】
そのような試験の主要有効性エンドポイントは、投与のおよそ6時間後、修正ブルース(Bruce)プロトコルを使用する運動負荷試験(ETT)の間に評価される総運動持続時間(TED)であり得る[Sheffield LT.運動ストレス試験。In:Braunwald E編、Heart Disease:A Textbook of Cardiovascular Medicine.第3版.ペンシルバニア州フィラデルフィア:WB Saunders Company,1988年;1:223-41]。評価の正確なタイミングは、重要な生物学的利用能試験の完了後に決定されるものとする。ETTは、登録時に評価され、任意の統計的比較のためのTEDベースラインを確立するために、無作為化及び研究薬物(又はプラセボ)の開始前に評価されるものとする。ETTはまた、研究の間の適切な間隔の後であるが、最低でも6週目(用量漸増/漸増前)、及び研究の積極的治療相の終わりの12週目に行うことができる。追加のETTは、処置中断の任意の潜在的なリバウンド効果を評価/評価するために、処置終了の48時間後に実施され得る。
【0511】
有効性及び安全の主要な二次的尺度(すなわち、二次エンドポイント)は、狭心症の発症までの時間、トラフでの1mmのSTセグメント低下までの時間、毎日及び/又は毎週のニトログリセリン(NTG)消費の頻度、カナダ心臓血管協会(Canadian Cardiovascular Society(CCS))グレードスケールによるベースラインからの狭心症カテゴリーの変化、毎週の狭心症エピソードの頻度などの臨床変数を含み得るが、これらに限定されず、狭心症関連及びシアトル狭心症アンケート(SAQ)などの有効な患者報告アウトカム(PRO)尺度も含み得る。
【0512】
更に、薬学的試験は、追加的に又は代替的に、QD2パルス徐放性ニコランジル製剤の薬物動態を特徴付けるため、及び上記の中心的なPK研究の設計を知らせるために必要とされ得る重要なデータを提供するために、健康な成人ボランティアにおける単回用量2シーケンスクロスオーバー試験を含み得る。この探索的PK試験の第2の目標は、QD2パルス徐放性ニコランジル製剤の食餌効果を評価することである。
【0513】
本発明者らは、これらの試験又は実質的に類似の試験が、本発明による2パルス放出ニコランジルカプセルが、CSAPなどの状態に対する有効なQD治療を提供し、プラセボよりも優れた薬学的特性を示すことを実証すると考えている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
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図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【手続補正書】
【提出日】2024-03-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放出遅延ポリマー成分を含む制御放出胃酸溶解感受性成分と、放出遅延ポリマー成分及びpH応答性放出耐性ポリマー成分の両方を含む制御放出胃酸溶解耐性成分と、を含む制御放出製剤中に含有される治療有効量のニコランジルを含む薬学的に許容される組成物であって、
(1)前記組成物をpH1.2の溶解媒体と接触させて4時間維持すると、前記組成物が前記組成物中に含有されるニコランジルの50%以下を放出し、
(2)前記胃酸溶解感受性成分が、
(a)前記治療有効量のニコランジルの第1の部分を含み、
(b)(i)前記pH1.2の溶解媒体中で0.25時間後に前記胃酸溶解感受性成分中に最初に存在する前記ニコランジルの11%~28%、
(ii)前記pH1.2の溶解媒体中で1時間後に前記胃酸溶解感受性成分中に最初に存在する前記ニコランジルの35%~50%、
(iii)前記pH1.2の溶解媒体中で2時間後に胃酸溶解感受性成分中に最初に存在する前記ニコランジルの55%~70%、及び
(iv)pH1.2を有する溶解媒体との接触の6時間後に前記胃酸溶解感受性成分中に最初に存在する前記ニコランジルの80~100%を放出し、
(3)前記胃酸溶解耐性成分が、
(a)前記治療有効量のニコランジルの第2の部分を含み、
(b)pH1.2を有する溶解媒体との接触の6時間後に前記胃酸溶解耐性成分中に含有されるニコランジルの20%以下を放出し、
(4)前記治療有効量の前記第1の部分中の前記ニコランジルの量と前記治療有効量の前記第2の部分中の前記ニコランジルの量との差が10%未満であり、前記第1の部分が前記組成物中の前記ニコランジルの30~70%を含む、組成物。
【請求項2】
(1)前記胃酸溶解感受性成分が、25~45%の放出遅延ポリマー成分及び40~70%の結合剤成分を含むマトリックス製剤を含む、
(2)前記胃酸溶解耐性成分が、25~45%の放出遅延ポリマー成分及び40~70%の結合剤成分を含むマトリックス製剤を含む、又は
(3)前記胃酸溶解感受性成分が、25~45%の放出遅延ポリマー成分及び40~70%の結合剤成分を含むマトリックス製剤を含み、前記胃酸溶解耐性成分が、25~45%の放出遅延ポリマー成分及び40~70%の結合剤成分を含むマトリックス製剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(1)前記胃酸溶解感受性成分中の前記放出遅延ポリマー成分及び前記ニコランジルが、2:1~5:1の比で存在する、
(2)前記胃酸溶解耐性成分中の前記放出遅延ポリマー成分及び前記ニコランジルが、2:1~5:1の比で存在する、又は
(3)前記胃酸溶解感受性成分中の前記放出遅延ポリマー成分及び前記ニコランジルが、2:1~5:1の比で存在し、前記胃酸溶解耐性成分中の前記放出遅延ポリマー成分及び前記ニコランジルが、2:1~5:1の比で存在する、
請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
(1)前記胃酸溶解感受性成分の40~65%が、結合剤成分から構成される、
(2)前記胃酸溶解耐性成分の40~65%が、結合剤成分から構成される、又は
(3)前記胃酸溶解感受性成分の40~65%が、結合剤成分から構成され、前記胃酸溶解耐性成分の40~65%が、結合剤成分から構成される、
請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
(1)前記結合剤成分及び前記ニコランジルが、前記胃酸溶解感受性成分中に4:1~7:1の比で存在する、
(2)前記結合剤成分及び前記ニコランジルが、前記胃酸溶解耐性成分中に4:1~7:1の比で存在する、又は
(3)前記結合剤成分及び前記ニコランジルが、前記胃酸溶解感受性成分中に4:1~7:1の比で存在し、前記結合剤成分及び前記ニコランジルが、前記胃酸溶解耐性成分中に4:1~7:1の比で存在する、
請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物中の賦形剤が、6%未満の含水量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記胃酸溶解感受性成分が、2~5個の胃酸溶解感受性成分剤形を含み、前記胃酸溶解耐性成分が、2~5個の胃酸溶解耐性成分剤形を含み、前記胃酸溶解感受性成分剤形及び前記胃酸溶解耐性成分剤形が、薬学的に許容されるカプセル中に含有される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記治療有効量が、15~75mgのニコランジルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ニコランジルが、前記組成物の唯一の活性医薬成分である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ニコランジルが、前記組成物の唯一の活性医薬成分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記胃酸溶解感受性成分が、2~5個の胃酸溶解感受性成分剤形を含み、前記胃酸溶解耐性成分が、2~5個の胃酸溶解耐性成分剤形を含み、前記胃酸溶解感受性成分剤形及び前記胃酸溶解耐性成分剤形が、薬学的に許容されるカプセル中に含有される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
アルミニウムブリスターパックに包装された請求項1に記載の医薬組成物を含む医薬製品であって、前記アルミニウムブリスターパックが、有効量の薬学的に許容される乾燥剤を更に含有する、医薬製品。
【請求項13】
アルミニウムブリスターパックに包装された請求項7に記載の医薬組成物を含む医薬製品であって、前記アルミニウムブリスターパックが、有効量の薬学的に許容される乾燥剤を更に含有する、医薬製品。
【請求項14】
1日1回投与される、狭心症の治療のための請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0513
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0513】
本発明者らは、これらの試験又は実質的に類似の試験が、本発明による2パルス放出ニコランジルカプセルが、CSAPなどの状態に対する有効なQD治療を提供し、プラセボよりも優れた薬学的特性を示すことを実証すると考えている。
(付記)
本開示は以下の態様を含む。
項1:
胃酸溶解感受性成分(GADSC)及び胃酸溶解耐性成分(GADRC)を含む制御放出製剤中に集合的に含有される治療有効量の1つ以上のニコランジル化合物を含む薬学的に許容される組成物であって、前記組成物をpH1.2の溶解媒体と約4時間又は約6時間接触させて維持すると、(1)前記GADRCが、前記GADRCにおいて、前記GADSCから放出される1つ以上のニコランジル化合物の割合よりも統計的に有意に小さい割合の1つ以上のニコランジル化合物を放出し、(2)前記組成物が、前記組成物中に含有される1つ以上のニコランジル化合物の50%以下を放出する、組成物。
項2:
前記GADRCが、pH1.2を有する溶解媒体との約4時間又は約6時間の接触時に、前記GADRCに含有される前記1つ以上のニコランジル化合物の20%以下を放出する、項1に記載の組成物。
項3:
前記GADSCが、pH約1.2を有する溶解媒体又はpH約6.8を有する溶解媒体との接触の6時間後に、前記GADSC中に最初に存在する前記1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも33%の放出及び少なくとも約5%の保持を可能にする量の1つ以上の放出遅延/耐性ポリマーを含む制御放出製剤を含む、項2に記載の組成物。
項4:
前記GADRCが、pH約6.8を有する溶解媒体との接触の6時間後に前記GADRC中に最初に存在する前記1つ以上のニコランジル化合物の少なくとも33%を放出し、pH1.2を有する溶解媒体との接触の6時間後に前記GADRC中に最初に存在する前記1つ以上のニコランジル化合物の20%以下を放出するのに有効な量の1つ以上のpH応答性ポリマーを含む、項3に記載の組成物。
項5:
前記GADSCが、前記治療有効量の前記1つ以上のニコランジル化合物の第1の部分を含み、前記GADRCが、前記治療有効量の前記1つ以上のニコランジル化合物の第2の部分を含み、前記第1の部分が、前記組成物中の前記1つ以上のニコランジル化合物の30~70%を含む、項1に記載の組成物。
項6:
前記1つ以上のニコランジル化合物が、ニコランジルである、項5に記載の組成物。
項7:
前記治療有効量が、15~75mgのニコランジルである、項6に記載の組成物。
項8:
前記組成物が、1~5個又は2~5個のGADSC剤形及び1~5個又は2~5個のGADRC剤形から構成される少なくとも3個の別個の剤形を含み、前記別個の剤形が、薬学的に許容されるカプセル中に含有される、項7に記載の組成物。
項9:
前記GADSC、前記GADRC、又は前記GADSC及び前記GADRCの両方が、(1)約25~45%の放出遅延ポリマー成分、及び(2)約40~70%の結合剤成分を含むマトリックス製剤を含む、項8に記載の組成物。
項10:
組成物中の賦形剤のほとんどが、6%未満の含水量を有する、項8に記載の組成物。
項11:
前記GADSCがpH6.8の溶解媒体と接触して維持される場合、前記GADSCから放出される前記1つ以上のニコランジル化合物の量が、以下の放出プロファイルに従う、(1)前記1つ以上のニコランジル化合物の約0.5~25%が、0.25時間で前記GADSCから放出され、(2)前記1つ以上のニコランジル化合物の約11.5%~約44.5%が、1時間で放出され、(3)前記1つ以上のニコランジル化合物の約25%~約60%が、2時間で放出され、(4)前記1つ以上のニコランジル化合物の約60%~約92.5%が、6時間で放出され、(5)前記1つ以上のニコランジル化合物の約71%~約98%が、8時間で放出され、(6)前記1つ以上のニコランジル化合物の約83%~約100%が、14時間で放出される、項1に記載の組成物。
項12:
前記GADRCがpH6.8の溶解媒体と接触して維持される場合、前記GADRCから放出される前記1つ以上のニコランジル化合物の量が、以下の放出プロファイルに従う、(1)前記1つ以上のニコランジル化合物の約0%~約8.5%が、0.25時間で放出され、(2)前記1つ以上のニコランジル化合物の約15.5%~約29%が、1時間で放出され、(3)前記1つ以上のニコランジル化合物の約27%~約50%が、2時間で放出され、(4)前記1つ以上のニコランジル化合物の約65~約80%が、6時間で放出され、(5)前記1つ以上のニコランジル化合物の約75%~約87.5%が、8時間で放出され、(6)前記ニコランジル化合物の約83.5%~約98%が。14時間で放出される、項11に記載の組成物。
項13:
前記GADRC、前記GADSC、又はその両方が、(1)有効量の放出遅延ポリマー成分であって、前記放出耐性ポリマー成分が、少なくともほとんどがヒドロキシプロピルメチルセルロースから構成され、前記放出耐性ポリマー成分と前記1つ以上のニコランジル化合物が、約5:1~約2:1の比で存在する、放出遅延ポリマー成分と、(2)有効量の結合剤成分であって、前記結合剤成分が、少なくともほとんどがケイ化微晶質セルロースを含み、前記結合剤成分と前記1つ以上のニコランジル化合物が、約4:1~約7:1の比で存在する、結合剤成分と、を含む、項12に記載の組成物。
項14:
有効量の薬学的に許容される乾燥剤を含有するアルミニウムブリスターパック中に項1に記載の医薬組成物を含むパッケージ。
項15:
有効量の項1~13のいずれか一項に記載の組成物又は項14に記載のパッケージに含まれる組成物を、1日1回以下で患者に投与することを含む、ヒト患者における1つ以上のタイプの狭心症を処置する方法。
【国際調査報告】