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特表2024-524664中赤外パルス発生装置及び関連発生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】中赤外パルス発生装置及び関連発生方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/39 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
G02F1/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501778
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2022069507
(87)【国際公開番号】W WO2023285483
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】2107663
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521343839
【氏名又は名称】アンプリテュード
(71)【出願人】
【識別番号】524014422
【氏名又は名称】アンスティテュ ドプティック テオリク エ アプリケ
(71)【出願人】
【識別番号】501455677
【氏名又は名称】サントル・ナシオナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィーク
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【弁理士】
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100076451
【弁理士】
【氏名又は名称】三嶋 景治
(72)【発明者】
【氏名】ザウテル ヨアン
(72)【発明者】
【氏名】ギシャール フロラン
(72)【発明者】
【氏名】ナティル ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ブルネ カンタン
(72)【発明者】
【氏名】アンナ マルク
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA05
2K102AA07
2K102AA35
2K102BA13
2K102BA18
2K102BB02
2K102BC01
2K102BD09
2K102CA20
2K102DA01
2K102DC07
2K102DD10
2K102EB11
2K102EB20
(57)【要約】
本発明は、中赤外域の少なくとも1つのパルスを発生させるための装置(1)であって、波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分とを有する少なくとも1つのソースパルスを放射する光源(2)と、差周波発生プロセスを介して中赤外域の波長λMIRにおいて前記少なくとも1つのパルスを発生させるように構成された非線形結晶(3)と、第1の光パラメトリック増幅器(5)とを備える装置(1)に関する。本発明によれば、発生装置(1)は、非線形結晶(3)と第1の光パラメトリック増幅器(5)との間に設置された少なくとも1つの位相子(42)を備え、位相子(42)は、第1の光パラメトリック増幅器(5)において波長λMIRの前記少なくとも1つのパルスを第1の波長λ又は第2の波長λにおけるポンプ放射と同期させるのに適した光遅延を発生させる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中赤外域の少なくとも1つのパルスを発生させるための装置(1)であって、
- 少なくとも1つのソースパルスを放射するように構成された光源(2)であって、前記少なくとも1つのソースパルスは、中赤外域よりも低いスペクトル範囲に位置する波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分とを有する、光源(2)と、
- 波長λの前記第1のスペクトル成分と波長λの前記第2のスペクトル成分との間の差周波発生のプロセスによって、前記少なくとも1つのソースパルスから前記中赤外域の波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスを発生させるように構成された非線形結晶(3)と、
- 第1の光パラメトリック増幅器(5)と、
を備え、
- 前記発生装置(1)は、2つの有用な波長に対して構成された光遅延を提示する位相差板(42)を少なくとも備え、前記2つの有用な波長は、前記中赤外域の前記波長λMIRと、前記第1の波長λ及び前記第2の波長λのうちの1つであり、
- 前記発生装置は、位置合わせ光軸(D)に沿って位置合わせされた装置であり、
- 前記位相差板(42)は、前記非線形結晶(3)と前記第1の光パラメトリック増幅器(5)との間に設置され、
- 前記位相差板(42)は、前記非線形結晶(3)から生じる前記中赤外域の波長λMIRの前記少なくとも1つのパルスを受け取り、前記パルスを前記第1の光パラメトリック増幅器(5)に向けて透過させるように構成され、
- 前記位相差板(42)は、前記第1の波長λ又は前記第2の波長λにおいて前記非線形結晶から出現するポンプ放射を受け取り、前記ポンプ放射を前記第1の光パラメトリック増幅器(5)の方向に透過させるように構成され、
- 前記位相差板(42)の前記光遅延は、前記第1の光パラメトリック増幅器(5)において、前記中赤外域の前記波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスを、前記第1の波長λ又は前記第2の波長λにおける前記ポンプ放射と同期させるのに適している
ことを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記位相差板(42)が複屈折板である、請求項1に記載の発生装置(1)。
【請求項3】
前記複屈折位相差板(42)の材料及びそのカットは、前記波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスと、前記第1の波長λ又は前記第2の波長λにおける前記ポンプ放射との間に群速度差を導入するように選択され、前記群速度差は、前記非線形結晶(3)の出力における、前記ポンプ放射と前記波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスとの間の群速度差の反対に等しい、請求項2に記載の発生装置(1)。
【請求項4】
カスケード接続で前記第1の光パラメトリック増幅器(5)の下流に置かれた1つ又は複数の追加の光パラメトリック増幅器をさらに備え、各追加の光パラメトリック増幅器の上流に別の位相差板(42、421)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の発生装置(1)。
【請求項5】
デュアルプレート(41)をさらに含み、
- 前記デュアルプレート(41)は、2つの有用な波長に対して構成された光遅延を有し、前記2つの有用な波長は、前記第1の波長λ及び前記第2の波長λであり、
- 前記デュアルプレート(41)は、前記光源(2)と前記非線形結晶(3)との間に設置され、
- 前記デュアルプレート(41)は、前記少なくとも1つのソースパルスを受け取り、前記ソースパルスを前記非線形結晶(3)に向けて透過させるように構成され、
- 前記第1の波長λに対して構成された前記デュアルプレート(41)の前記光遅延は、(N+1/2)×λに等しく、前記第2の波長λに対して構成された前記デュアルプレート(41)の前記光遅延は、N×λに等しく、N及びNは2つの正の整数である、
請求項1に記載の発生装置(1)。
【請求項6】
前記デュアルプレート(41)は一定の厚さを有する、請求項5に記載の発生装置(1)。
【請求項7】
前記デュアルプレート(41)は、一方を他方に対して平行移動させるのに適した一対のストレートプリズム(411、412)で構成され、したがって前記デュアルプレートの厚さは可変である、請求項5に記載の発生装置(1)。
【請求項8】
前記デュアルプレート(41)が複屈折板である、請求項5~7のいずれか一項に記載の発生装置(1)。
【請求項9】
波長λの前記第1のスペクトル成分と波長λの前記第2のスペクトル成分が空間的に重ね合わされる、請求項1~8のいずれか一項に記載の発生装置(1)。
【請求項10】
波長λの前記第1のスペクトル成分と波長λの前記第2のスペクトル成分が空間的に分離され、スペクトル的に共通要素を持たない、請求項1~8のいずれか一項に記載の発生装置(1)。
【請求項11】
請求項1に記載の発生装置(1)によって実装される前記中赤外域λMIRの少なくとも1つのパルスを発生させる方法であって、
- 光源(2)によって少なくとも1つのソースパルスを放射するステップであって、前記少なくとも1つのソースパルスは、近赤外域に位置する波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分とを提示する、ステップと、
- 非線形結晶(3)によって前記少なくとも1つのソースパルスを受け取るステップと、
- 前記非線形結晶(3)によって、波長λの前記第1のスペクトル成分と波長λの前記第2のスペクトル成分との間の差周波発生のプロセスによって、前記少なくとも1つのソースパルスから波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスを発生させるステップと、
- 前記位相差板(42)を前記位相差板(42)の面内で回転させ、任意選択で、前記位相差板(42)を前記発生装置の前記位置合わせ光軸Dに垂直な方向に回転させるステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、中赤外放射の発生に関する。
【0002】
それは、より詳細には、中赤外域のパルスを発生させるための装置及び関連する発生方法に関する。
【0003】
本発明は、医療、環境、又は科学目的の分子検出の分野だけでなく、時間分解分光学及び強場物理学の分野で特に有利な用途を見いだす。
【背景技術】
【0004】
中赤外域(MIR、2.5~50ミクロンの間)及びマルチテラヘルツ範囲(50ミクロン~300ミクロンの間)は、科学的及び産業的に強い関心のある電磁スペクトルの範囲である。特に、これらの電磁スペクトルの範囲を近赤外線(NIR、0.7~2.5ミクロンの間)の範囲と区別する。
【0005】
現在、対象となるMIR波長で短パルスを直接放射するレーザシステムがない場合、MIR放射の発生技術のほとんどが、さまざまな方法で動作する差周波発生と呼ばれる非線形光学プロセスに基づいている。基本的に、パルス間差周波数と呼ばれる方法と、パルス内差周波数(iDFG)と呼ばれる方法とを区別する。
【0006】
差周波発生プロセスは、それぞれの中心光周波数v及びvを有する2つの入射波が、非線形光学結晶30(以下非線形結晶という)などの非線形光学媒質中で互いに相互作用し、2つの入射波の周波数間の差に等しい光周波数vを有する第3の波を発生させる非線形プロセスである。このプロセスを図1に概略的に示す。
【0007】
パルス間差周波数と呼ばれる方法では、周波数プロセスは、同じレーザ光源を発生源とするかどうかにかかわらず、異なる波長で放射される2つの別個のソースパルスを使用することによって実装される。電磁放射の波長λは、その光周波数vに次の関係、すなわちv=c/λによって関連付けられ、ここでcは真空中の光の速度を表す。2つの別個のソースパルスの波長は、それらのそれぞれの光周波数間の光周波数の差が、所望のMIR放射に対応する波長の光周波数と等しくなるように選択される。
【0008】
いわゆるパルス内差周波数法では、単一の短いソースパルスが使用される。このような選択された持続時間のパルスは、MIR内の所望の光周波数におけるアクセスを可能にするスペクトルを有することができる。この場合、単一パルスのスペクトルの2つの別個の波長間の差周波数を発生させることが可能であり、したがって、所望の光周波数においてMIR内の超短パルスを発生させることが可能である。
【0009】
上述の2つの方法は、特に、いずれもソースパルスからMIRパルスへの変換効率が低いか、又は構造及び使用が複雑な製造装置を必要とするという不都合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
これに関連して、本発明は、中赤外域の少なくとも1つのパルスを発生させるための装置であって、
- 少なくとも1つのソースパルスを放射するように構成された光源であって、少なくとも1つのソースパルスは、中赤外域よりも低いスペクトル範囲に位置する波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分とを有する、光源と、
- 波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分との間の差周波発生のプロセスによって、少なくとも1つのソースパルスから中赤外域の波長λMIRを有する前記少なくとも1つのパルスを発生させるように構成された非線形結晶と、
- 第1の光パラメトリック増幅器と、を備え、
- 発生装置は、2つの有用な波長に対して構成された光遅延を提示する少なくとも1つの位相差板を備え、2つの有用な波長は、中赤外域の波長λMIRと、第1の波長λ及び第2の波長λのうちの1つであり、
- 発生装置は、位置合わせ光軸に沿って位置合わせされた装置であり、
- 位相差板は、非線形結晶と第1の光パラメトリック増幅器との間に設置され、
- 位相差板は、非線形結晶を発生源とする中赤外域の波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスを受け取り、それを第1の光パラメトリック増幅器に向けて透過させるように構成され、
- 位相差板は、第1の波長λ又は第2の波長λにおいて非線形結晶から出現するポンプ放射を受け取り、
ポンプ放射を第1の光パラメトリック増幅器に向けて透過させるように構成され、
- 位相差板の光遅延は、第1の光パラメトリック増幅器において、中赤外域の波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスを、第1の波長λ又は第2の波長λにおける前記ポンプ放射と同期させるように適合される、
装置を提供する。
【0011】
したがって、本発明は、光遅延を導入する少なくとも1枚の板を使用することによって、光パラメトリック増幅プロセスを介して中赤外域のパルスを発生させるための装置の歩留まりを高めることを有利に可能にする。また、本発明による装置の《すべて位置合わせされた》構成は、その使用及び位置合わせを容易にする。
【0012】
個別に、又は技術的に可能なすべての組み合わせに従って採用される、本発明に準拠した発生装置の他の有利で非限定的な特徴は、以下のものである。
- 位相差板が複屈折板である。
- 複屈折位相差板の材料及びそのカットは、波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスと、第1の波長λ又は第2の波長λにおける前記ポンプ放射との間に群速度差を導入するように選択され、前記群速度差は、非線形結晶の出力における、前記ポンプ放射と波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスとの間の群速度差の反対に等しい。
- 発生装置は、カスケード接続で第1の光パラメトリック増幅器の下流に置かれた1つ又は複数の追加の光パラメトリック増幅器をさらに備え、各追加の光パラメトリック増幅器の上流に別の位相差板を含む。これにより、波長λMIRにおけるパルス発生プロセスの効率をさらに向上させることが可能になる。
- 発生装置は、デュアルプレートをさらに備える。
- デュアルプレートは、2つの有用な波長に対して構成された光遅延を有し、2つの有用な波長は、第1の波長λ及び第2の波長λである。
- デュアルプレートは、光源と非線形結晶との間に設置される。
- デュアルプレートは、前記少なくとも1つのソースパルスを受け取り、それを非線形結晶に向けて透過させるように構成される。
- 第1の波長λに対して構成されたデュアルプレートの光遅延は、(N+1/2)×λに等しく、第2の波長λに対して構成されたデュアルプレートの光遅延は、N×λに等しく、N及びNは2つの正の整数である。
- デュアルプレートは一定の厚さを有する。
- デュアルプレートは、一方を他方に対して平行移動させることができる一対のストレートプリズムで構成され、したがってデュアルプレートの厚さは可変である。これにより、波長λMIR及び波長λMIRにおけるパルスのスペクトル幅を調節することが可能になる。
- デュアルプレートが複屈折板である。
- 波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分は空間的に重ね合わされる。
- 波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分は空間的に分離され、スペクトル的に共通要素を持たない。
【0013】
本発明はまた、本発明による発生装置によって実装される中赤外域λMIRの少なくとも1つのパルスの発生方法であって、
- 光源によって少なくとも1つのソースパルスを放射するステップであって、少なくとも1つのソースパルスは、近赤外域に位置する波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分とを有する、ステップと、
- 非線形結晶によって少なくとも1つのソースパルスを受け取るステップと、
- 前記非線形結晶によって、波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分との間の差周波発生のプロセスによって、少なくとも1つのソースパルスから波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスを発生させるステップと、
- 位相差板をその面内で回転させ、任意選択で、位相差板を発生装置の位置合わせ光軸に垂直な方向に回転させるステップと、
を含む方法に関する。
【0014】
当然のことながら、本発明の異なる特徴、変形形態及び実施形態は、それらが互いに非互換的又は排他的でない限り、種々の組み合わせに従って互いに関連付けることができる。
【0015】
非限定的な例として与えられる、添付図面を参照して以下に続く説明は、本発明が何で構成され、どのように達成され得るかについて、よく解説するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】差周波発生プロセスの原理を概略的に例示する。
図2】本発明による中赤外域の少なくとも1つのパルスを発生させるための装置の概略図である。
図3】本開示による中赤外域の少なくとも1つのパルスを発生させるための装置の一例の概略図である。
図4】本開示によるデュアルプレートによって導入される光遅延の波長依存性の一例を表す。
図5】本発明による中赤外域の少なくとも1つのパルスを発生させるための装置の一実施形態の概略図である。
図6図3の例における中赤外域の少なくとも1つのパルスを発生させるための装置の調節の原理を概略的に表す。
図7】中赤外域の少なくとも1つのパルスを発生させるための装置の非線形結晶の固有軸に沿った、中赤外域の少なくとも1つのパルスの発生装置のソースのスペクトル密度のスペクトル成分の投影を表す。
図8】本開示による発生装置によって発生する中赤外域のパルスのスペクトル密度曲線の一例である。
図9図5の実施形態における中赤外域のパルスの増幅の原理を概略的に表す。
図10】本発明によるデュアルプレートの変形形態を表す。
図11】カスケード接続された1つ又は複数の光パラメトリック増幅器と、各追加の光パラメトリック増幅器の上流にある相補的位相差板とを備える第2の変形形態を例示する。
図12】カスケード接続された1つ又は複数の光パラメトリック増幅器と、各追加の光パラメトリック増幅器の上流にある相補的位相差板とを備える第3の変形形態を例示する。
図13】カスケード接続された1つ又は複数の光パラメトリック増幅器と、各追加の光パラメトリック増幅器の上流にある相補的位相差板とを備える第4の変形形態を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
装置
図2は、本発明による少なくとも1つの中赤外パルスを発生させるための装置1を概略的に例示する。本発明による中赤外域の少なくとも1つのパルスを発生させるための装置1は、光源2、非線形光学結晶3、及び位相差板42を備える。以下では、非線形光学結晶3を「非線形結晶3」と称する。光源2、非線形結晶3、及び板42は、位置合わせ光軸Dに沿って位置合わせされる。光源2は位置合わせ軸Dの上流に設置される。非線形結晶3は光源2の下流に設置され、位相差板42は非線形結晶3の下流に設置される。
【0018】
光源は、波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分とを含む、0.4ミクロン~2.5ミクロン、好ましくは0.7ミクロン~2.5ミクロンの波長の少なくとも1つのソースパルスを放射する。例えば、光源は、Amplitude社のCompress-50時間圧縮モジュールと結合したTangerine製品の特有の特性である、中心波長1030nm、持続時間13fs未満、エネルギー160マイクロジュール、及び繰り返し周波数250kHzのソースパルスを供給するイッテルビウムをドープしたファイバ増幅器とすることができる。この例では、波長λは900nmに等しく、波長λは1120nmに等しい。
【0019】
近MIRのスペクトル成分λを発生させるために、スペクトル成分λ及びλをスペクトル的に遠ざけることによって、ソースパルスの時間圧縮を行うことによって光源2のスペクトルを広げることができる。
【0020】
例えば、前述のイッテルビウムをドープしたファイバ増幅器は、パルスの2段階非線形圧縮装置に結合することができる。ソースパルスは、長さ1mで2.5バールの圧力でキセノンが充填された毛細管を備える第1の非線形圧縮段階に送られる。毛細管の出口において、パルスビームは、例えば平行にされ、-1600fsの群遅延分散を導入する一対の分散ミラーに向けて送られる。群遅延は、スペクトル位相の微分、すなわち角周波数に対する周波数領域の電界の位相によって定義される。群遅延の分散は、角周波数に対する群遅延の微分によって定義される。次に、分散ミラーから出現する中間パルスの1つ1つの持続時間は、30fsである。
【0021】
任意選択で、中間パルスは次に、例えば、マルチプレート圧縮(MPC)を可能にするブルースター角に従って方向づけられた複数の厚さ1mmのシリカ板で構成される第2の非線形圧縮段階に向けて送られる。第2の段階から生じ、平行にされ、一対の分散ミラーに送られるパルスのビームは、-300fsの群遅延分散を導入する。フッ化物カルシウムの板などの追加アイテムを第2の段階に追加することができる。2つの段階を有するこのような非線形パルス圧縮装置の出力において、イッテルビウムをドープしたファイバ増幅器から生じるソースパルスの持続時間は12.9fsである。
【0022】
非線形結晶3は、波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分との間の差周波発生のプロセスによって、前記少なくとも1つのソースパルスから中赤外域の波長λMIRの少なくとも1つのパルスを発生させるように構成される。
【0023】
差周波発生は、3波混合型の非線形光学プロセスである。異なる中心波長(又は等価的に、光周波数)を有する2つの波が非線形媒質中で相互作用して、中心光周波数が2つの初期信号の光周波数間の差に等しい波を生成する。
【0024】
どんな非線形光学プロセスもそうであるように、位相整合条件が満たされなければならない。位相整合条件は、非線形光学プロセスが関係する単色波の波数の関係である。差周波の場合、位相整合条件は、非線形媒質中で相互作用する両波λ及びλの波数と、差周波によって得られる波λの波数の関係である。
【0025】
一実施形態によれば、非線形結晶3は、差周波発生のための位相整合条件を満たすために、複屈折結晶である。複屈折結晶とは、その屈折率が波長及び偏光に依存する結晶を意味する。有利には、非線形結晶3は、ランガサイト結晶(LiGaS又はLGS)とすることができる。使用できる複屈折結晶の他の例としては、参考までに、BGS(BaGa)、GaSe(セレン化ガリウム)、AGGS(AgGeGaS)、LiS(LiGaGeS)、LGN(LaGa5,5Nbo.14)の結晶がある。
【0026】
複屈折結晶を用いた差周波発生に最も頻繁に使用される構成は、位相整合、すなわち、相互作用する2つの波が、2つの波の伝播方向に対して直交しこれを横切る、より正確には非線形結晶3の固有軸に沿った直線偏光を有する構成である。
【0027】
差周波発生のプロセスによって、非線形結晶3は、第1のスペクトル成分及び第2のスペクトル成分の光周波数よりも低い光周波数、すなわち、波長λ及びλよりも高い波長λMIRを有するパルスを発生させる。波長λMIRは、したがって、当業者に周知の式に従って、波長λ及びλに依存する。
【0028】
位相差板42は、2つの有用な波長に対して構成された光遅延を有する。2つの有用な波長は、中赤外域の波長λMIRと、第1の波長λ及び第2の波長λのうちの1つである。
【0029】
波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分は、光源2によって放射される同じソースパルスに含まれ、この同じソースパルスは直線偏光を有すると考えられる。したがって、パルス内差周波プロセスが実装される。
【0030】
有利には、非線形結晶は、複屈折結晶であり、以下遅相軸31及び進相軸32と呼ぶその2つの固有軸が装置の位置合わせ光軸Dに対して垂直になるように配置される。複屈折とは、その屈折率が材料中を伝播する光波の偏光に依存する材料の特性を示す。複屈折結晶の固有軸とは、2つの軸の一方又は他方に平行に偏光した1つの波が複屈折結晶を横切るときにその偏光を保持する2つの偏光軸を意味する。
【0031】
本開示によれば、図3に例示するように、デュアルプレート41を、光源2と非線形結晶3との間の発生装置1の位置合わせ光軸上に横方向に設置することができる。
【0032】
デュアルプレート41は、ここでは波長λ及びλにおいて透明な1つ又はいくつかの複屈折材料のセットから製造され、所定の厚さを有することによって、それが(N+1/2)×λに等しい第1のスペクトル成分に対して構成された光遅延D1と、N×λに等しい第2のスペクトル成分に対して構成された光遅延D2とを導入するようになっており、ここでN1及びN2は2つの正の整数である。デュアルプレート41用の複屈折材料の例としては、再び、方解石、石英、バナジン酸イットリウム、又はガドリニウムがある。通常、デュアルプレート41は、多次プレートであり、すなわち、整数N1及びN2は1以上である。デュアルプレート41は、発生装置1の位置合わせ光軸Dを横切る平面内に2つの固有軸43、すなわち遅相軸、及び44、すなわち進相軸を有する。
【0033】
図4は、石英製で厚さ255ミクロンのデュアルプレートによって導入される波長単位の光遅延プロファイルを波長の関数として例示する。900nmに等しい波長λに対して2.5λの遅延が得られ、約1110nmに等しい波長λに対して2λの遅延が得られることが分かる。この場合、整数N1及びN2は、両方とも2に等しい。したがって、波長λの第1のスペクトル成分の偏光Pλ1は、デュアルプレート41を横切る間に90度の回転を受け、波長λの第2のスペクトル成分の偏光Pλ2は、デュアルプレート41を横切るときに変化しないままであることになる。
【0034】
第1のスペクトル成分及び第2のスペクトル成分は、デュアルプレート41を横切り、非線形結晶3を貫通するまで、互いに垂直な偏光で非線形結晶3の方向に出現する。非線形結晶3は、波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分との間の差周波発生のプロセスによって、中赤外域の波長λMIRにおいてパルスを発生させる。波長λの第1のスペクトル成分及び波長λの第2のスペクトル成分のうちの一方は差周波発生プロセスのポンプビームを構成し、他方は信号ビームを構成する(非線形光学現象の用語で命名される通り)。
【0035】
後述するように、デュアルプレート41の幾何学的調節により、波長λMIRにおいて少なくとも1つのパルスを発生させるプロセスの効率を高めることが可能になる。
【0036】
第1の実施形態では、位相差板42は、非線形結晶3の下流で発生装置1の位置合わせ光軸上に位置し、すなわち、非線形結晶3は、光源2と位相差板42との間に位置する。この第1の実施形態では、発生装置1は、図5に例示するように、遅延板42の下流に第1の光パラメトリック増幅器5をさらに備える。
【0037】
この第1の実施形態では、光源2によって放射されたソースパルスに含まれる第1のスペクトル成分及び第2のスペクトル成分は、非線形結晶3に向かって伝播する。非線形結晶3は、光源によって放射されるソースパルスごとに、波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分との間の差周波発生のプロセスによって、中赤外域の波長λMIRのパルスを発生させる。
【0038】
この第1の実施形態では、非線形結晶3は、複屈折結晶であり、以下遅相軸31及び進相軸32と呼ぶその2つの固有軸が装置の位置合わせ光軸Dを横切るように配置される。
【0039】
位相差板42は、非線形結晶から生じる波長λMIRにおける各パルスを受け取り、それを第1の光パラメトリック増幅器5に向けて透過させる。
【0040】
位相差板42はまた、非線形結晶3から出現し、波長λの第1のスペクトル成分又は波長λの第2のスペクトル成分のいずれかから放出される出現成分に由来する第1の波長λ又は第2の波長λを有するポンプ放射を受け取る。位相差板42は、このポンプ放射を第1の光パラメトリック増幅器5に向けて透過させる。
【0041】
非線形結晶3における第1の波長λ、第2の波長λ、及び波長λMIRの屈折率が異なるため、非線形結晶3は、非線形結晶3を発生源とする波長λMIRにおけるパルスと、非線形結晶3から出現するポンプ放射との間に群速度差を導入することが可能である。群速度とは、パルスの包絡線が媒質中で広がる速さを意味する。この群速度差は、非線形結晶3から生じる波長λMIRにおけるパルスと、非線形結晶3から出現するポンプ放射との間に非線形結晶3によって導入される光遅延によるものである。
【0042】
以下に説明するように、この第1の実施形態では、非線形結晶3から生じる波長λMIRにおけるパルス及び非線形結晶3から出現するポンプ放射は、発生装置1の位置合わせ光軸に垂直な偏光を有し、一方は非線形結晶3に対して常偏光であり、他方は非線形結晶3に対して異常偏光である。
【0043】
有利には、位相差板42は複屈折板であり、その材料、厚さ及びカットの方向は、先に引用した群速度差を補償するように選択される。
【0044】
別の言い方をすると、位相差板42は、第1の光パラメトリック増幅器において、中赤外域の波長λMIRにおけるパルスを、第1の波長λ又は第2の波長λにおけるポンプ放射と同期させることを可能にする光遅延を導入する。非線形結晶3から生じる波長λMIRにおけるパルスと、非線形結晶3から出現するポンプ放射との間に位相差板42によって導入される光遅延は、非線形結晶3から生じる波長λMIRにおけるパルスと、非線形結晶3から出現するポンプ放射との間に非線形結晶3によって導入される光遅延の反対に等しい。位相差板42は、例えば、フッ化マグネシウム(MgF)板又はランガサイト(LGS)板とすることができ、そのカットは位相整合を可能にしない。
【0045】
第1の波長λを有するか、又は第2の波長λを有するポンプ放射は、(光パラメトリック増幅器の用語で)第1の光パラメトリック増幅器のポンプビームとして使用され、一方、波長λMIRにおけるパルスは、信号ビームとして使用される。それゆえ、光パラメトリック増幅器の出力において、ポンプビームは激減し、ビーム信号、すなわち波長λMIRにおけるパルスは増幅される。
【0046】
有利には、位相差板42は、第1の光パラメトリック増幅器5で相互作用することになる、波長λMIRにおけるパルスと、非線形結晶3から出現するポンプ放射とを良好に透過させることを可能にする広いスペクトル透過性を有する窓を有する。
【0047】
位相差板42は、第1の光パラメトリック増幅器5の材料と同じ材料から形成することができるが、位相差板42の場合、位相差板42で、波長λMIRにおけるパルスと、非線形結晶3から出現するポンプ放射との間で位相整合が不可能な方式で材料をカットすることが条件となる。
【0048】
第2の実施形態は、前述のように、第1の実施形態をデュアルプレート41の使用と組み合わせることによって得ることができる。
【0049】
前述の実施形態では、発生装置1は、非線形結晶3又は位相差板42又はデュアルプレート41のいずれかで発行される異なるパルス及び放射の共線性により、位置合わせ光軸Dに沿って位置合わせされる。共線性とは、異なるビームの空間的な重ね合わせを意味する。
【0050】
方法
ここで、デュアルプレート41が光源2と非線形結晶3との間の発生装置1の位置合わせ光軸上に横方向に設置される前述の例で、非線形結晶3による波長λMIRにおける少なくとも1つのパルスの発生プロセスの効率を高めることを可能にするために、デュアルプレート41がどのように幾何学的に配置されるかについて説明する。この配置を図6に例示する。
【0051】
ユーザが、光源2を光学テーブル又はその他の支持体上に置く。ユーザは、次に、非線形結晶3の両方の固有軸、遅相軸31及び進相軸32が装置の位置合わせ光軸Dに対して垂直になるように、非線形結晶3を置く。ユーザは、光源2をオンにし、光源2はその後、0.4~2.5ミクロン、好ましくは0.7~2.5ミクロンの一連のレーザソースパルスを放射する。ソースパルスビームは、偏光Pで、例えば直線的に偏光される。
【0052】
非線形結晶3では、波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分との間で差周波プロセスが起こると考えられる。換言すれば、差周波数は、非線形結晶3に対して常偏光に従って偏光された第1の光部分と、非線形結晶3に対して異常偏光に従って偏光された第2の光部分との間の相互作用によって発生することになる。
【0053】
デュアルプレート41のない構成では、ソースパルスビームの直線偏光を非線形結晶3の固有軸と45度の角度を形成するように方向づけるのが一般的である。この場合、各ソースパルスのスペクトルのすべてのスペクトル成分は、一方の常偏光と他方の異常偏光との間で均等に分布している。
【0054】
換言すれば、ソースパルスごとに、結晶に入射する光子の半分は常偏光で偏光され、非線形結晶3に入射する光子の残り半分は異常偏光で変更される。これらの2つの半分は、互いに相互作用して差周波プロセスを発生させる。したがって、デュアルプレート41がない場合、発生するパルスのエネルギーは、入射エネルギーの半分のみが差周波発生プロセスに効果的に使用されることによって、影響を受ける。
【0055】
デュアルプレート41は複屈折板であると考えられる。ユーザは、デュアルプレート41を光源2と非線形結晶3との間に置く。ユーザは、ソースパルスビームの直線偏光Pの方向がデュアルプレート41の固有軸43及び44と45度の角度を形成するように、光源2又はデュアルプレート41の角度方向のいずれかを発生装置1の位置合わせ光軸の周りで設定する。
【0056】
このようにして、波長λの第2のスペクトル成分の偏光Pλ2は、上で解説したように、それがデュアルプレート41を通過するときに影響を受けない。波長λにおける第1のスペクトル成分の偏光Pλ1は、デュアルプレート41の固有軸の1つから45度に方向づけられ、光遅延R1により、それ自体元の位置に対して90度の回転を受ける(すなわち、第1のスペクトル成分に対するデュアルプレートの半波長板効果)。したがって、波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分は、互いに直交する偏光を有する。
【0057】
このようにして、波長λの第1のスペクトル成分を含むスペクトルの部分Pは、90°の角度の偏光の回転を受け、一方、波長λの第2のスペクトル成分を含むスペクトルの相補的な部分Pは、偏光の変化を受けない。
【0058】
換言すれば、デュアルプレート41は、波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分とを偏光分離する効果を有する。
【0059】
図7は、光源2によって放射された近赤外のソースパルス、非線形結晶3に対して異常偏光に従って偏光されたスペクトル密度Sの部分、及び非線形結晶3に対して常偏光に従って偏光されたスペクトル密度Sの部分にそれぞれ対応する、異なるスペクトル密度S、S、及びSを例示する。
【0060】
次に、ソースパルスに対応する放射をフィルタリングし、非線形結晶3の下流に置かれる、例えばゲルマニウム製の板の下流で測定された波長λMIRにおけるパルスの平均パワーを最適化するために、ユーザは、非線形結晶3の面内の向きを調節する。これが位相整合調節である。
【0061】
位相整合調節は、一対の波長(λ、λ)に対して選択的である。波長λにおける第1のスペクトル成分及び波長λにおける第2のスペクトル成分は、差周波発生プロセスにおいて非線形結晶3中で相互作用することになる成分である。
【0062】
非線形結晶3が複屈折結晶である場合、ユーザは、その固有軸31及び32が偏光Pλ1及びPλ2の方向と一直線になるように、非線形結晶3を方向づけなければならない。図6に示すように、非線形結晶3で発生する波長λMIRにおけるパルスのPMIR偏光が、その偏光方向Pλ2に対応する固有軸31と一直線になるときに、最適な構成を得ることができる。非線形結晶3で発生する波長λMIRにおけるパルスのPMIR偏光が、その偏光方向Pλ1に対応する他方の固有軸32と一直線になるときに、第2の最適な構成を得る可能性がある。
【0063】
さらに上に例示したように光源2としてイッテルビウムをドープしたファイバ増幅器、厚さ255ミクロンの石英製デュアルプレート41及び厚さ1mmのLGS結晶、並びに約20WのLGS結晶上の入射平均パワーを使用して、中心波長λMIRが7.7ミクロンである中赤外域MIRの平均パワー22.5mWが測定される。非線形結晶3とゲルマニウム製の板との界面における反射を考慮すると、非線形結晶3の出力直後の波長λMIRにおけるパルスの推定平均パワーは、約32mWである。したがって、中赤外域の平均パワーと非線形結晶3に入射する平均パワーとの比率によって定義される、得られるパルス内差周波発生のプロセスの効率は、約0.25%である。
【0064】
比較のために、デュアルプレート41なしで、同じ光源2及び同じ非線形結晶3、並びに非線形結晶3の固有軸31及び32と45°の角度を形成するソースパルスビームの直線偏光を用いた場合、ゲルマニウム板の後で測定されたMIRパワーは、9mWであり、前述の損失を考慮すると、非線形結晶3の出力直後で約13.6mWである。パルス内差周波発生プロセスの効率は、この場合0.09%である。したがって、デュアルプレート41の使用により、最新技術のパルス内差周波数を発生させるための装置の効率を少なくとも2.5倍に高めることが可能になる。
【0065】
表1は、先の装置1及びLGS結晶のさまざまな厚さの値で得られた結果を示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表2は、厚さ1mm及び3mmについて前述の装置1で得られた効率を示す。
【0068】
【表2】
【0069】
図8は、厚さ1mmのLGS結晶を用いて得られるフーリエ変換分光計を用いて得られる波長λMIRにおけるパルスのスペクトルを示す。最大パワーの波長λMIRは7.7ミクロンであり、-20dBにおける通過帯域は、6.5ミクロン~11.2ミクロン、又は約4.7ミクロンの帯域幅に広がっており、約56fs(約2光サイクル)の持続時間を持つ波長λMIRにおけるパルスに対応する。
【0070】
ここで、中赤外域のパルスを発生させるための装置の第1の実施形態で、非線形結晶3によって発生する波長λMIRにおける少なくとも1つのパルスの増幅を可能にするために位相差板42が幾何学的にどのように配置されるかについて説明する。
【0071】
前述のように、非線形結晶3では、波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分との間で差周波数のプロセスが起こると考えられる。差周波数は、非線形結晶3に対して常偏光に従って偏光された第1の光部分と、非線形結晶3に対して異常偏光に従って偏光された第2の光部分との間の相互作用によって発生する。
【0072】
ユーザは、光源2を光学テーブル又はその他の支持体上に置く。ユーザは、次に、非線形結晶3の2つの固有軸、遅相軸31及び進相軸32が装置の位置合わせ光軸Dに対して垂直になるように、非線形結晶3を置く。ユーザは、光源2をオンにし、光源2はその後、近赤外の一連のソースパルスを放射する。ソースパルスビームは、偏光Psで、例えば直線的に偏光される。
【0073】
ユーザは、ソースパルスビームの直線偏光の方向が非線形結晶3の固有軸と45度の角度を形成するように、光源2又は非線形結晶3の発生装置1の位置合わせ光軸Dの周りの角度方向のいずれかを調節する。この場合、各ソースパルスのスペクトルのすべてのスペクトル成分は、一方の常偏光と他方の異常偏光との間で均等に分布している。
【0074】
したがって、波長λの第1のスペクトル成分は、非線形結晶3の常偏光及び非線形結晶3の異常偏光に従ってそれぞれ偏光された2つの部分P11及びP12を有する。同様に、波長λの第2のスペクトル成分は、非線形結晶3の常偏光及び非線形結晶3の異常偏光に従ってそれぞれ偏光された2つの部分P21及びP22を有する。
【0075】
このようにして、非線形結晶の向きに依存して、部分P11(常偏光に従って偏光された)及びP22(異常偏光に従って偏光された)が非線形結晶3で起こる差周波発生プロセスで相互作用するか、又は部分12(異常偏光に従って偏光された)及びP21(常偏光に従って偏光された)がこのプロセスで相互作用する。
【0076】
波長λMIRにおけるパルス並びに波長λ及びλにおける2つの出現光線並びにそれらの間の直交偏光が非線形結晶3から出る。波長λMIRにおけるパルスは、波長λにおける出現放射又は波長λにおける出現放射のいずれかの偏光と直交する偏光PMIRを有する。この後に続く説明を簡単にするために、偏光PMIRは波長λの放射の偏光Pλ1に直交していると考えられる。波長λの放射は、したがって、前述の非線形結晶3から出現するポンプ放射である。非線形結晶3によって発生する波長λMIRにおける少なくとも1つのパルスを増幅する原理を図9に示す。
【0077】
図9で観察することができるように、非線形結晶3は、波長λMIRにおけるパルスと非線形結晶3から出現するポンプ放射(ここでは波長λの放射)との間に群差を導入することができ、それらは非線形結晶3から出現した後に非同期化される。
【0078】
ユーザは、発生装置1の位置合わせ光軸D上で非線形結晶3の下流に第1の光パラメトリック増幅器5を置く。波長λMIRにおけるパルスは、光パラメトリック増幅器の「信号」ビーム》を構成し、第1の光パラメトリック増幅器5で、非線形結晶3から出現するポンプ放射との非線形相互作用によって増幅されることになる。
【0079】
次に、ユーザは、位相差板42を、その平面が装置の位置合わせ光軸Dに対して垂直になるように置く。
【0080】
位相差板42が、非線形結晶3によって導入される群速度差を補償するように材料、厚さ及びカットの方向が選択される複屈折板である場合、ユーザは、第1の光パラメトリック増幅器の出力におけるパワーを最適化するために、位相差板42の角度方向をその面内で調節する。
【0081】
第1の光パラメトリック増幅器5の出力におけるパワーが位相差板42の向きの調節により最適となるとき、図9に示すように、位相差板42の出力において、波長λMIRにおけるパルスと非線形結晶3から出現するポンプ放射とが同期する。波長λMIRにおけるパルスと非線形結晶3から出現するポンプ放射とが第1の光パラメトリック増幅器5で最適な方法で相互作用し、したがって、波長λMIRにおける増幅された出力パルスが第1の光パラメトリック増幅器5から出る。したがって、第1の光パラメトリック増幅器は、非線形結晶3によって最初に発生した波長λMIRにおけるパルスのパワーを、1倍より大きく、通常1.5~10倍に高めることを可能にする。
【0082】
非線形結晶3によって発生する波長λMIRにおけるパルスの発生効率は、デュアルプレート41及び位相差板42を備えた発生装置1の実施形態の効用を組み合わせることで高めることができる。ユーザは、最初にデュアルプレート41で前述の調節を実行し、次に位相差板42で前述の調節を実行する。
【0083】
したがって、本発明は、光遅延を導入する少なくとも1枚の板を使用することによって、光パラメトリック増幅プロセスを介して中赤外域のパルスを発生させるための装置の効率を高めることを有利に可能にする。また、本発明による装置の《すべて位置合わせされた》構成は、その使用及び位置合わせを容易にする。
【0084】
変形形態
本発明は、説明し表した実施形態に決して限定されるものではないが、当業者であれば、本発明に準拠したすべての変形形態をもたらすことができよう。
【0085】
本開示によれば、デュアルプレート41は、可変厚さを有することができ、それは、同じ複屈折材料で接触して形成され、結果として生じる複屈折板を一緒に構成する、2つの直角プリズム411及び412で構成され得る。デュアルプレート41は、この結果として生じる複屈折板に相当する。発生装置1の位置合わせ光軸Dに対して垂直に、且つプリズムのエッジに対して垂直に、1つの長さsだけプリズムの一方又は他方を平行移動させることによって、図10に例示するように、デュアルプレート41の厚さを変化させ、板の次数(整数N1及びN2)を修正することが可能である。波長に依存してデュアルプレートによって導入される光遅延のプロファイルは、その後修正される。したがって、光遅延D1が(N+1/2)×λに等しく、光遅延D2がN×λに等しい、波長λの第1のスペクトル成分及び第2のスペクトル成分λを調節することができる。したがって、発生装置は調整可能であり、波長λMIRを調節することができる。
【0086】
さらにまた、デュアルプレート41の厚さを変化させることによって、波長λMIRにおけるパルスのスペクトル幅も調節することができる。それゆえ、デュアルプレート41の厚さが大きいほど、デュアルプレートはより有彩色になる。それは、例えば図4に例示する、波長の関数としてデュアルプレート41によって導入される光遅延を表す曲線の勾配の増加によって変換される。換言すれば、差周波発生のプロセスに関与するソースパルスに含まれるスペクトル成分は低減される。その結果、波長λMIRにおけるパルスのスペクトル幅が修正される。
【0087】
そのうえ、デュアルプレート41が可変厚さを有することにより、厚さを調節することによって、デュアルプレート41が光遅延D1及び光遅延D2をそれぞれ導入する波長の対(λ、λ)を変化させることが可能になる。これにより、場合によっては非線形結晶3の向きを再調節して位相整合を調節することによって、発生波長λMIRを修正及び調節することが可能になる。
【0088】
第2の変形形態では、非線形結晶3から出現するポンプ放射が差周波発生のプロセスのポンプビーム(すなわち、波長λの第1のスペクトル成分及び波長λの第2のスペクトル成分のうちの1つ)に対応する場合、非線形結晶3から出現するポンプ放射の光子を使い果たすまで波長λMIRにおけるパルスを連続的に増幅するために、第1の光パラメトリック増幅器5の下流にいくつかの光パラメトリック増幅器をカスケード接続することができる。したがって、変換効率が向上する。
【0089】
より正確には、この他の変形形態では、偏光PMIRは波長λの放射の偏光Pλ1に直交していると考える。波長λの放射は、したがって、非線形結晶3から出現するポンプ放射である。非線形結晶3で起こる差周波発生のプロセスは、波長λにおける放射を激減させ、波長λにおける放射を増幅し、波長λMIRにおける放射を発生させる。非線形結晶3の出力において、非線形結晶3によって導入される群速度差により、波長λにおける放射と波長λMIRにおける放射とは同期されない。さらに上に解説したように、位相差板42により、波長λにおける放射と波長λMIRにおける放射とを再同期させることが可能になる。
【0090】
波長λMIRにおけるパルスは、第1の光パラメトリック増幅器5の「信号」ビームを構成し、第1の光パラメトリック増幅器5で非線形結晶3から出現するポンプ放射との非線形相互作用によって係数Kだけ増幅されることになり、一方、ポンプ放射は、非線形結晶3から出現し、すなわち、図11に示すように、波長λにおける放射は再び激減する。
【0091】
波長λMIRにおける放射を増幅し、波長λにおける放射を激減させるこのプロセスは、波長λにおける放射のパワーがゼロになるまで、いくつかの光パラメトリック増幅器をカスケード接続で追加することによって繰り返すことができる。各追加の光パラメトリック増幅器の上流で、位相差板42などの相補的位相差板を使用することによって、波長λにおける放射と波長λMIRにおける放射との再同期が実行される。したがって、第1の光パラメトリック増幅器の後に光パラメトリック増幅器をカスケード接続することにより、波長λMIRにおける放射発生プロセスの効率を高めることが可能になる。
【0092】
第3の変形形態は、非線形結晶3から出現するポンプ放射が差周波発生のプロセスの信号ビーム、すなわち波長λにおける放射に対応する場合に対応する。原理は、前述の第2の変形形態と同一である。図12はこの変形形態を例示する。非線形結晶3の出力において、非線形結晶3によって導入される群速度差の事実により、波長λにおける放射と波長λMIRにおける放射とは同期されない。上に解説したように、位相差板42により、波長λにおける放射と波長λMIRにおける放射とを再同期させることが可能になる。
【0093】
波長λMIRにおけるパルスは、第1の光パラメトリック増幅器5の「信号」ビームを構成し、第1の光パラメトリック増幅器5で非線形結晶3から出現するポンプ放射との非線形相互作用によって係数Kだけ増幅されることになり、一方、非線形結晶3から出現するポンプ放射、すなわち、波長λにおける放射は、図11に示すように、再び激減する。
【0094】
波長λMIRにおける放射を増幅し、波長λにおける放射を激減させるこのプロセスは、波長λにおける放射のパワーがゼロになるまで、いくつかの光パラメトリック増幅器をカスケード接続で追加することによって繰り返すことができる。各追加の光パラメトリック増幅器の上流で、位相差板42などの相補的位相差板の使用によって、波長λにおける放射と波長λMIRにおける放射との再同期が実行される。したがって、第2の変形形態と全く同じように、第1の光パラメトリック増幅器5の後に光パラメトリック増幅器をカスケード接続することにより、波長λMIRにおける放射を発生させるプロセスの効率を高めることが可能になる。
【0095】
図13に例示する第4の変形形態は、第1の光パラメトリック増幅器5の下流で位置合わせされた光パラメトリック増幅器のカスケードを使用する。光パラメトリック増幅器Ai(iは1以上の整数)で起こる各非線形相互作用は、波長λMIRにおける放射を増幅し、波長λMIRよりも小さい波長λアイドラ_iにおける所謂「アイドラ」放射を発生させる。
【0096】
この変形形態は、光パラメトリック増幅器5の下流で、位相差板42などの相補的位相差板421を用いて、波長λMIRにおける放射を波長λアイドラ_iにおける放射と再同期させるものであり、ここでiは1以上の整数である。波長λアイドラ_iにおける放射は、光パラメトリック増幅器Ai+1のポンプ放射を構成し、その波長λMIRにおける放射と相互作用することになり、波長λMIRにおける放射を係数KAiだけ増幅し、波長λMIRよりも低い波長λアイドラ_i+1におけるアイドラ放射を発生させる。波長λアイドラ_i+1における「アイドラ」放射は、光パラメトリック増幅器Ai+2のポンプ放射として機能する。したがって、光パラメトリック増幅器のこのカスケードにより、波長λMIRにおける放射を発生させるプロセスの効率を高めることも可能になる。
【0097】
第5の変形形態では、位相差板42を使用する場合、例えば、位相差板42と第1の光パラメトリック増幅器5との間に置かれたレンズなどの集束素子を使用することによって、第1の光パラメトリック増幅器5で、波長λMIRにおけるパルスと非線形結晶3から出現するポンプ放射とを集束させることが可能である。光強度は、その後、第1の光パラメトリック増幅器5で増加し、その結果、波長λMIRにおけるパルスと出現するポンプ放射との間の相互作用の利得も増加する。波長λMIRにおけるパルスは、増加したパワーで第1の光増幅器5から出現する。
【0098】
この変形形態では、集束素子は、波長λMIRにおけるパルスと出現するポンプ放射との間に追加の群速度差を導入することができる。次に、波長λMIRにおけるパルスと第1の光パラメトリック増幅器5から出現するポンプ放射との同期を最適化するために、この追加の群差を補償するように位相差板42の厚さ又は材料を調節することができる。
【0099】
第6の変形形態では、波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分は、光源2によって放射されるが別個である2つのソースパルスに含まれる。したがって、この変形形態は、パルス間差周波数のプロセスを実装するように構成される。例えば、光源2は、それぞれ波長λ及びλにおける2つの出現パルスを発生させる光パラメトリック増幅器とすることができる。2つの出現パルスは、共線的に伝播し、同一の偏光を有し、時間的に重ね合わされるように配置される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中赤外域の少なくとも1つのパルスを発生させるための装置(1)であって、
- 少なくとも1つのソースパルスを放射するように構成された光源(2)であって、前記少なくとも1つのソースパルスは、中赤外域よりも低いスペクトル範囲に位置する波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分とを有する、光源(2)と、
- 波長λの前記第1のスペクトル成分と波長λの前記第2のスペクトル成分との間の差周波発生のプロセスによって、前記少なくとも1つのソースパルスから前記中赤外域の波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスを発生させるように構成された非線形結晶(3)と、
- 第1の光パラメトリック増幅器(5)と、
を備え、
- 前記発生装置(1)は、2つの有用な波長に対して構成された光遅延を提示する位相差板(42)を少なくとも備え、前記2つの有用な波長は、前記中赤外域の前記波長λMIRと、前記第1の波長λ及び前記第2の波長λのうちの1つであり、
- 前記発生装置は、位置合わせ光軸(D)に沿って位置合わせされた装置であり、
- 前記位相差板(42)は、前記非線形結晶(3)と前記第1の光パラメトリック増幅器(5)との間に設置され、
- 前記位相差板(42)は、前記非線形結晶(3)から生じる前記中赤外域の波長λMIRの前記少なくとも1つのパルスを受け取り、前記パルスを前記第1の光パラメトリック増幅器(5)に向けて透過させるように構成され、
- 前記位相差板(42)は、前記第1の波長λ又は前記第2の波長λにおいて前記非線形結晶から出現するポンプ放射を受け取り、前記ポンプ放射を前記第1の光パラメトリック増幅器(5)の方向に透過させるように構成され、
- 前記位相差板(42)の前記光遅延は、前記第1の光パラメトリック増幅器(5)において、前記中赤外域の前記波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスを、前記第1の波長λ又は前記第2の波長λにおける前記ポンプ放射と同期させるのに適している
ことを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記位相差板(42)が複屈折板である、請求項1に記載の発生装置(1)。
【請求項3】
前記複屈折位相差板(42)の材料及びそのカットは、前記波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスと、前記第1の波長λ又は前記第2の波長λにおける前記ポンプ放射との間に群速度差を導入するように選択され、前記群速度差は、前記非線形結晶(3)の出力における、前記ポンプ放射と前記波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスとの間の群速度差の反対に等しい、請求項2に記載の発生装置(1)。
【請求項4】
カスケード接続で前記第1の光パラメトリック増幅器(5)の下流に置かれた1つ又は複数の追加の光パラメトリック増幅器をさらに備え、各追加の光パラメトリック増幅器の上流に別の位相差板(42、421)を含む、請求項1または2に記載の発生装置(1)。
【請求項5】
デュアルプレート(41)をさらに含み、
- 前記デュアルプレート(41)は、2つの有用な波長に対して構成された光遅延を有し、前記2つの有用な波長は、前記第1の波長λ及び前記第2の波長λであり、
- 前記デュアルプレート(41)は、前記光源(2)と前記非線形結晶(3)との間に設置され、
- 前記デュアルプレート(41)は、前記少なくとも1つのソースパルスを受け取り、前記ソースパルスを前記非線形結晶(3)に向けて透過させるように構成され、
- 前記第1の波長λに対して構成された前記デュアルプレート(41)の前記光遅延は、(N+1/2)×λに等しく、前記第2の波長λに対して構成された前記デュアルプレート(41)の前記光遅延は、N×λに等しく、N及びNは2つの正の整数である、
請求項1に記載の発生装置(1)。
【請求項6】
前記デュアルプレート(41)は一定の厚さを有する、請求項5に記載の発生装置(1)。
【請求項7】
前記デュアルプレート(41)は、一方を他方に対して平行移動させるのに適した一対のストレートプリズム(411、412)で構成され、したがって前記デュアルプレートの厚さは可変である、請求項5に記載の発生装置(1)。
【請求項8】
前記デュアルプレート(41)が複屈折板である、請求項5または6に記載の発生装置(1)。
【請求項9】
波長λの前記第1のスペクトル成分と波長λの前記第2のスペクトル成分が空間的に重ね合わされる、請求項1または2に記載の発生装置(1)。
【請求項10】
波長λの前記第1のスペクトル成分と波長λの前記第2のスペクトル成分が空間的に分離され、スペクトル的に共通要素を持たない、請求項1または2に記載の発生装置(1)。
【請求項11】
請求項1に記載の発生装置(1)によって実装される前記中赤外域λMIRの少なくとも1つのパルスを発生させる方法であって、
- 光源(2)によって少なくとも1つのソースパルスを放射するステップであって、前記少なくとも1つのソースパルスは、近赤外域に位置する波長λの第1のスペクトル成分と波長λの第2のスペクトル成分とを提示する、ステップと、
- 非線形結晶(3)によって前記少なくとも1つのソースパルスを受け取るステップと、
- 前記非線形結晶(3)によって、波長λの前記第1のスペクトル成分と波長λの前記第2のスペクトル成分との間の差周波発生のプロセスによって、前記少なくとも1つのソースパルスから波長λMIRにおける前記少なくとも1つのパルスを発生させるステップと、
- 前記位相差板(42)を前記位相差板(42)の面内で回転させ、任意選択で、前記位相差板(42)を前記発生装置の前記位置合わせ光軸Dに垂直な方向に回転させるステップと、
を含む、方法。
【国際調査報告】