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特表2024-524666衝撃振動センサー信号のピックアップ方法
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  • 特表-衝撃振動センサー信号のピックアップ方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】衝撃振動センサー信号のピックアップ方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501790
(86)(22)【出願日】2021-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2021132459
(87)【国際公開番号】W WO2023000564
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】202110828847.9
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523389235
【氏名又は名称】スウジョウ スウシー テスティング グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU SUSHI TESTING GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.18, Kefeng Road, Weiting Town, Zhongxin Keji, Suzhou Industrial Zone Suzhou, Jiangsu 215000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(72)【発明者】
【氏名】シォン ジゥヂャオ
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA17
2G036AA28
2G036BA35
(57)【要約】
本発明は、衝撃振動センサー信号のピックアップ方法に関するものであり、衝撃振動信号をサンプリングし、その平均値を求め、最大値を見つけ出し、最大値がデータの中央位置にあるかどうかを判断し、そうであれば、最大値の両側のデータが基本的に同じ増加値と減少値で単調増加または単調減少しているかどうかを判断し、適切なデータを収集する。そうでなければ、データを調整して要件を満たすまで繰り返す。時間領域方式を用いて衝撃振動センサーで収集された信号を処理し、要件を満たす衝撃振動信号を得ることができ、高い精度があり、かつリアルタイムで信号を収集することが可能である。同時に、時間領域処理の結果をさらに周波数領域方式で補強し、収集信号の信頼性と精度を向上させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衝撃振動センサーを使用して振動周波数をサンプリングして複数のサンプルデータを取得し、確定された応答周期に従って、前記複数のサンプルデータを複数の応答周期に分配し、一つの応答周期を選択してステップS2に進むステップS1と、
選択された応答周期内の複数のサンプルデータの平均値を求めると共に最大値を見つけ出すステップS2と、
最大値がサンプリング時間の中央位置にあるかどうかを判断し、そうであればステップS6に進み、そうでなければステップS4に進むステップS3と、
サンプルデータが数量及び傾向の要件を満たしているかどうかを判断し、満たしていればステップS5に進み、そうでなければ次の応答周期のサンプルデータを選択し、ステップS2に戻るステップS4と、
現在のサンプルデータの有効値を起点として、応答周期の位置を移動し、完全な応答周期を新たに取得し、ステップS2に戻るステップS5と、
最大値の左側が単調増加しており、右側が単調減少しており、単調増加値と単調減少値が同じかどうかを判断し、全て満たしていれば、その応答周期内のサンプルデータが要件を満たしていると判断し、そうでなければ次の応答周期のサンプルデータを選択し、ステップS2に戻るステップS6とを含む、ことを特徴とする衝撃振動センサー信号のピックアップ方法。
【請求項2】
ステップS4でサンプルデータが数量及び傾向の要件を満たしているかどうかの判断は、
最大値の左側で平均値を超えるデータの数を探し、その数がN個未満であればステップS42に進み、そうでなければステップS43に進むステップS41と、
最大値の右側で平均値を超えるデータの数を探し、その数がN個未満であれば次の応答周期のサンプルデータを選択して、ステップS2に戻り、そうでなければステップS44に進むステップS42と、
最大値の左側の複数のサンプルデータをk等分し、各部分のサンプルデータを加算してk個の合計値を求め、それらが単調増加しているかどうかを判断し、そうであればステップS5に進み、そうでなければ次の応答周期のサンプルデータを選択し、ステップS2に戻るステップS43と、
最大値の右側の複数のサンプルデータをk等分し、各部分のサンプルデータを加算してk個の合計値を求め、それらが単調減少しているかどうかを判断し、そうであればステップS5に進み、そうでなければ次の応答周期のサンプルデータを選択し、ステップS2に戻るステップS44とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の衝撃振動センサー信号のピックアップ方法。
【請求項3】
ステップS41およびS42におけるNの値は100である、ことを特徴とする請求項2に記載の衝撃振動センサー信号のピックアップ方法。
【請求項4】
ステップS6における最大値の左側が単調増加していることの判断は、応答周期内の複数のサンプルデータをq等分し、各部分のサンプルデータを加算してq個の合計値を求め、最大値の左側の複数の合計値を選択して判断することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の衝撃振動センサー信号のピックアップ方法。
【請求項5】
ステップS6における最大値の右側が単調減少していることの判断は、応答周期内の複数のサンプルデータをq等分し、各部分のサンプルデータを加算してq個の合計値を求め、最大値の右側の複数の合計値を選択して判断することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の衝撃振動センサー信号のピックアップ方法。
【請求項6】
衝撃振動信号の取得が完了した後、周波数領域処理の手法を用いてサンプルデータを処理し、衝撃振動信号が検出されたかどうかを判断することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の衝撃振動センサー信号のピックアップ方法。
【請求項7】
周波数領域処理の手法は、
全てのサンプルデータに高速フーリエ変換を適用し、複数の周波数データを得るステップS71と、
複数の周波数データに平方法検波を適用し、4つの周波数データを1組として、複数の複素数データを生成するステップS72と、
複数の複素数データを実数データに変換し、合計して平均値を計算し、実数データと平均値に基づいて標準偏差Cσを計算することによって、k=2として第一の閾値C=k・Cσを計算するステップS73と、
全ての周波数データを第一の閾値と比較し、第一の閾値より小さい周波数データを選択して第二の周波数データを構成し、ステップS72からS73に沿って第二の閾値を計算するステップS74と、
全ての周波数データを第二の閾値と比較し、第二の閾値を超える周波数データの数をカウントするステップS75と、
カウントされた周波数データの数が全周波数データの数の10%を超えるかどうかを判断し、超えていれば衝撃振動信号が検出されたと判断し、そうでなければ衝撃振動信号が検出されなかったと判断するステップS76とを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の衝撃振動センサー信号のピックアップ方法。
【請求項8】
ステップS72における複素数データは実部と虚部を含み、A(j)を周波数データ、B(j)を複素数データとして、実部が、
【数1】
と表され、虚部が、
【数2】
と表されることを含む、ことを特徴とする請求項7に記載の衝撃振動センサー信号のピックアップ方法。
【請求項9】
【数3】
という式にしたがって、複素数データを実数データに変換することを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の衝撃振動センサー信号のピックアップ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振動試験技術分野に関し、特に衝撃振動センサー信号のピックアップ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中国が製造業大国となるにつれ、製品の信頼性が世界的に注目されるようになった。優れた製品は市場に出る前に、砂塵試験、塩霧試験、振動試験、衝撃試験、温度試験など、一連の厳しい試験を経る必要がある。これは、製品設計が要求を満たしているかを検証するためである。
【0003】
衝撃試験機器では、最も重要なパラメータは衝撃の強度である。衝撃強度を正確に設定するためには、衝撃振動センサー(衝撃センサーと振動センサーの総称を意味する)からの信号を正確にピックアップする必要がある。しかし、現在の衝撃振動信号のピックアップは、内部の乱れや外部環境のノイズなどの干渉により、衝撃振動信号を正確にピックアップできないため、複数回のピックアップとピックアップ結果の判断が必要であり、試験の品質と効率に大きな影響を与えている。
【0004】
したがって、外部干渉下でも正確に衝撃振動信号をピックアップする技術が必要である。
【発明の概要】
【0005】
上記の問題を解決するため、本発明は衝撃振動センサー信号のピックアップ方法を提供する。これにより、自己および外部の干渉の下で、衝撃振動信号を正確かつリアルタイムにピックアップすることができる。
【0006】
この技術問題を解決するため、本発明が採用した技術的なアプローチは次の通りである。すなわち、衝撃振動センサー信号のピックアップ方法であって、このピックアップ方法は、以下のステップを含む。
S1:衝撃振動センサーを使用して振動周波数をサンプリングし、複数のサンプルデータを取得し、確定された応答周期に従って、複数の応答周期にサンプルデータを分配し、一つの応答周期を選択してステップS2に進む。
S2:その応答周期内のサンプルデータの平均値を求め、最大値を見つけ出す。
S3:最大値がサンプリング時間の中央位置にあるかどうかを判断し、そうであればステップS6に進み、そうでなければステップS4に進む。
S4:サンプルデータが数量及び傾向の要件を満たしているかどうかを判断し、満たしていればステップS5に進み、そうでなければ次の応答周期のサンプルデータを選択し、ステップS2に戻る。
S5:現在のサンプルデータの有効値(実効値)を起点として、応答周期の位置を移動させ、完全な応答周期を新たに取得し、ステップS2に戻る。
S6:最大値の左側が単調増加、右側が単調減少し、増加値と減少値が同じかどうかを判断し、全て満たしていれば、その応答周期内のサンプルデータが要件を満たしていると判断し、そうでなければ次の応答周期のサンプルデータを選択し、ステップS2に戻る。
【0007】
さらに具体的な技術的なアプローチでは、ステップS4でサンプルデータが数量及び傾向の要件を満たしているかどうかを判断が、以下のステップを含む。
S41:最大値の左側で平均値を超えるデータの数を探し、その数がN個未満であればステップS42に進み、そうでなければステップS43に進む。
S42:最大値の右側で平均値を超えるデータの数を探し、その数がN個未満であれば次の応答周期のサンプルデータを選択し、ステップS2に戻り、そうでなければステップS44に進む。
S43:最大値の左側のサンプルデータをk等分し、各部分のサンプルデータを加算してk個の合計値を求め、それらが単調増加しているかどうかを判断し、そうであればステップS5に進み、そうでなければ次の応答周期のサンプルデータを選択し、ステップS2に戻る。
S44:最大値の右側のサンプルデータをk等分し、各部分のサンプルデータを加算してk個の合計値を求め、それらが単調減少しているかどうかを判断し、そうであればステップS5に進み、そうでなければ次の応答周期のサンプルデータを選択し、ステップS2に戻る。
【0008】
さらに具体的な技術的なアプローチでは、ステップS41およびS42におけるNの値は100である。
【0009】
さらに具体的な技術的なアプローチでは、ステップS6における最大値の左側の単調増加の判断は、応答周期内のサンプルデータをq等分し、各部分のサンプルデータを加算してq個の合計値を求め、最大値の左側の複数の合計値を選択して判断することである。
【0010】
さらに具体的な技術的なアプローチでは、ステップS6における最大値の右側の単調減少の判断は、応答周期内のサンプルデータをq等分し、各部分のサンプルデータを加算してq個の合計値を求め、最大値の右側の複数の合計値を選択して判断することである。
【0011】
さらに具体的な技術的なアプローチでは、衝撃振動信号の取得が完了した後、周波数領域処理の手法を用いてサンプルデータを処理し、衝撃振動信号が検出されたかどうかを判断する。
【0012】
さらに具体的な技術的なアプローチでは、周波数領域処理の手法は、以下のステップを含む。
S71:全てのサンプルデータにFFTを適用し、複数の周波数データを得る。
S72:複数の周波数データに平方法検波を適用し、4つの周波数データを1組として、複数の複素数データを生成する。
S73:第一の閾値を計算し、複数の複素数データを実数データに変換し、合計して平均値を計算し、実数データと平均値に基づいて標準偏差Cσを計算する。
ここで、第一の閾値は、C=k・Cσであり、k=2とする。
S74:全ての周波数データを第一の閾値と比較し、第一の閾値より小さい周波数データを選択して、第二の周波数データを構成し、ステップS72からS73に沿って第二の閾値を計算する。
S75:全ての周波数データを第二の閾値と比較し、第二の閾値を超える周波数データの数をカウントする。
S76:カウントされた周波数データの数が全周波数データの数の10%を超えるかどうかを判断し、超えていれば衝撃振動信号が検出されたと判断し、そうでなければ衝撃振動信号が検出されなかったと判断する。
【0013】
さらに具体的な技術的なアプローチでは、ステップS72における複素数データは実部と虚部を含む。実部と虚部は以下の式で表される。
実部は、
【数1】
であり、
虚部は、
【数2】
である。
ここで、A(j)は周波数データであり、B(j)は複素数データである。
【0014】
さらに具体的な技術的なアプローチでは、複素数データを実数データに変換する式は以下の通りである。
【数3】
【発明の効果】
【0015】
本発明の有益な効果は、衝撃振動センサーから収集された信号を時間領域方式で処理し、要求に合った衝撃振動信号を得ることで、高い精度を実現し、リアルタイム信号の収集を実現することである。さらに、周波数領域方式を用いて時間領域処理の結果を補強し、収集された信号の信頼性と精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による時間領域処理のフロー図である。
図2】本発明によるサンプリングデータの数量と傾向に関する判断のフロー図である。
図3】本発明による周波数領域処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の技術的な構想を明確かつ完全に述べるために、図面を参照しながら説明する。明らかなように、説明された実施例はこの発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。この発明に基づく実施例に基づき、この技術分野の通常の技術者が創造的な労働を必要とせずに得られた他の実施例は、すべてこの発明の保護範囲に含まれる。
【0018】
この発明の説明において、注意するべきは、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内部」、「外部」などの用語が図示された位置や方向関係に基づいており、これはこの発明を説明しやすくし、また説明を簡略化するためであり、特定の方向性や特定の方向で構築および操作する必要があることを指示または暗示するものではないため、この発明に対する制約とは理解されない。また、「第一」、「第二」、「第三」などの用語は、単に説明のために使用されており、相対的な重要性を指示または暗示するものではない。
【0019】
この発明の説明において、注記すべきは、「取り付け」、「接続」、「接続」などの用語は広範な意味で解釈されるべきであり、例えば、固定接続であるか、取り外し可能な接続であるか、または一体的に接続されているかもしれない。または、機械的な接続であるかもしれないし、電気的な接続であるかもしれない。または、直接的に接続されるかもしれないし、中間媒体を介して間接的に接続されるかもしれない。2つの要素の内部での連結であるかもしれない。この技術分野の通常の技術者にとって、上記の用語の具体的な意味をこの発明において理解することができる。さらに、以下に述べるこの発明の異なる実施形態に関連する技術的特徴は、互いに矛盾しない限り相互に組み合わせることができる。
【0020】
衝撃振動の応答時間は3~50ミリ秒で、最高周波数応答は10kを超えない。これは、衝撃台本体と衝撃強度の変化により異なり、主に低周波数である。FFT原理に基づくと、サンプリング周波数が高ければ高いほど、周波数分解能が高くなる。例として、周波数応答が10kの場合、サンプリング周波数は最低20kでなければならず、それ以下だと真の信号スペクトル情報を反映できない。もしA/Dチップのサンプリング周波数が100k、サンプリング幅が16ビット、サンプリング時間が10msの場合、衝撃振動応答時間内のサンプリング回数は1000回、データは2000バイトとなる。データ保存深度を応答時間の3倍と設定すると、必要なメモリは6000バイトになる。時間窓を10ミリ秒と設定すると、この全メモリデータは3つの衝撃応答周期に相当する。
【0021】
図1に示す衝撃振動センサー信号のピックアップ方法は、以下のステップを含んでいる。
【0022】
S1:衝撃振動センサーを使用して振動周波数をサンプリングし、複数のサンプルデータを取得し、確定された応答周期に従って、複数のサンプルデータを複数の応答周期に分配し、一つの応答周期を選択し、ソフトウェア処理を行う際に、当該応答周期内の複数のサンプルデータをD[i]配列にそれぞれ割り当てて、ステップS2に進む。
【0023】
S2:当該応答周期内の複数のサンプルデータ、つまりD[i]配列内の複数のサンプルデータの平均値Daveを求め、同時にD[i]配列内の最大値Dmaxを見つけ出す。
【0024】
S3:最大値が複数のサンプルデータのサンプリング時間の中央位置にあるかどうかを判断する。すなわち、Dmaxの左側のサンプルデータの数と右側のサンプルデータの数とが等しいかを判断し、等しければサンプルデータが基本的な要件を満たすとしてステップS6に進み、さらなる処理を行う。等しくなければ、サンプルデータが要件を満たさないと判断し、調整が必要なのでステップS4に進み、さらなる処理を行う。
【0025】
S4:サンプルデータが数量及び傾向の要件を満たしているかどうかを判断する。その数量および傾向に関する具体的な判断プロセスには、図2に示すように、以下のステップが含まれる。
【0026】
S41:最大値の左側で平均値を超えるデータの数を探し、この条件に合うサンプルデータの数がN個未満かどうかを判断する。ここでNは100とする。もしN個未満であれば、最大値Dmaxの左側のサンプルデータは要件を満たさないと判断し、ステップS42に進む。そうでなければ、最大値Dmaxの左側のサンプルデータは要件を満たすと判断し、ステップS43に進み、ステップS43で最大値Dmaxの左側のサンプルデータを処理する。
【0027】
S42:最大値の右側で平均値を超えるデータの数を探し、この条件に合うサンプルデータの数がN個未満かどうかを判断する。ここでNは100とする。もしN個未満であれば、最大値Dmaxの右側のサンプルデータは要件を満たさないと判断し、次の応答周期のサンプルデータをD[i]配列に再割り当ててステップS2に戻る。そうでなければ、最大値Dmaxの右側のサンプルデータは要件を満たすと判断し、ステップS44に進み、最大値Dmaxの右側のサンプルデータを処理する。
【0028】
S43:この段階では、最大値Dmaxの左側の複数のサンプルデータを処理する。すなわち、最大値Dmaxの左側のサンプルデータを均等にk分割し、各部分のサンプルデータを加算してk個の合計値を得る。そして、サンプリングの時間順に基づいてk個の合計値が単調増加しているかどうかを判断する。単調増加していれば、要件を満たすと判断し、そうであればステップS5に進む。そうでなければ、要件を満たさないと判断し、次の応答周期のサンプルデータを選択し、D[i]配列に再割り当ててステップS2に戻る。
【0029】
S44:この段階では、最大値Dmaxの右側の複数のサンプルデータを処理する。すなわち、最大値Dmaxの右側のサンプルデータを均等にk分割し、各部分のサンプルデータを加算してk個の合計値を得る。そして、サンプリングの時間順に基づいてk個の合計値が単調減少しているかどうかを判断する。単調減少していれば、要件を満たすと判断し、そうであればステップS5に進む。そうでなければ、要件を満たさないと判断し、次の応答周期のサンプルデータを選択し、D[i]配列に再割り当ててステップS2に戻る。
【0030】
S5:この段階では、応答周期の位置を調整する。すなわち、現在のサンプルデータ(最大値Dmaxの左側のサンプルデータまたは最大値Dmaxの右側のサンプルデータ)の有効値(実効値)を起点として、応答周期の位置を移動させ、複数の応答周期を新たに取得する。移動後の最初の応答周期のサンプルデータを選択し、D[i]配列に再割り当てた後、ステップS2に戻って操作を繰り返す。
【0031】
S6:最大値Dmaxの左側が単調増加し、最大値Dmaxの右側が単調減少し、かつ単調増加する値と単調減少する値が同じかどうかを判断する。
【0032】
最初に、その応答周期内の複数のサンプルデータをq等分し、各部分のサンプルデータを加算してq個の合計値を得る。最大値DmaxがD[i]配列の中央位置にあるため、最大値Dmaxの左側と右側の合計値の数量は同じになる。
【0033】
その後、最大値Dmaxの左側のすべての合計値を選択し、収集時間の順序に基づいてすべての合計値が単調増加しているかどうかを判断する。
【0034】
その後、最大値Dmaxの右側のすべての合計値を選択し、収集時間の順序に基づいてすべての合計値が単調減少しているかどうかを判断する。
【0035】
最後に、最大値Dmaxの左側で増加している数値と最大値Dmaxの右側で減少している数値を求め、それらを比較する。両者の差が5%以内であれば、要件を満たしていると認識される。
【0036】
前述の3つの状態が全て要件を満たしていれば、サンプルデータは正確で使用できる。もし前述の3つの状態のいずれか1つでも要件を満たしていなければ、サンプルデータは不正確であり、次の応答周期のサンプルデータを選択し、D[i]配列に再割り当ててステップS2に戻る。
【0037】
前述の手法で得られた衝撃振動信号は、時間領域の処理で得られたものである。より正確な衝撃振動信号を確保するために、上記のステップが完了した後、サンプルデータに対して周波数領域の処理を行い、衝撃振動信号が検出されたかどうかを判断する。これにより、信号の正確性が補強される。
【0038】
図3に示すように、この周波数領域処理の手法には以下のステップが含まれている。
【0039】
S71:収集されたこのサイクル内のD[i]配列の全てのサンプルデータにFFT(高速フーリエ変換)演算を適用し、複数の周波数データを得て、それをA[i]配列に構成する。ここで、A[i]配列内の周波数データの数はD[i]配列内のサンプルデータの数と一致する。
【0040】
S72:A[i]配列内のすべての周波数データに平方法検波を適用し、4つの周波数データを1組として、複数の複素数データを生成する。ここで、複素数データには実部と虚部が含まれる。
【0041】
実部は、四つの周波数データのうち、最初の周波数データと三番目の周波数データの差を2で割ったものである。
【0042】
【数4】
【0043】
虚部は、四つの周波数データのうち、二番目の周波数データと四番目の周波数データの差を2で割ったものである。
【0044】
【数5】
【0045】
ここで、A(j)は周波数データであり、B(j)は複素数データである。
【0046】
S73:以下に説明するように、第一閾値を計算する。
【0047】
まず、複数の複素数データを実数データに変換する(検波)。
【0048】
実数データは、以下の式に基づいて算出される。
【数6】
【0049】
そして、実数データを合計し、平均値を計算する。平均値は、
【数7】
である。
【0050】
その後、実数データと平均値に基づいて標準偏差Cσを計算する。
【0051】
標準偏差は、以下の通りである。
【数8】
【0052】
第一の閾値は、C=k・Cσであり、ここでk=2である。
【0053】
S74:A[i]配列内の全ての周波数データを第一の閾値と比較し、第一の閾値より小さい周波数データを選択し、新しい周波数データを構成し、ステップS72からS73に沿って第二の閾値を計算する。
【0054】
S75:A[i]配列内の全ての周波数データを第二の閾値と比較し、第二の閾値を超える周波数データの数をカウントする。
【0055】
S76:カウントされた周波数データの数が全ての周波数データの数の10%を超えるかどうかを判断し、超えていれば衝撃振動信号が検出されたと判断し、そうでなければ衝撃振動信号が検出されなかったと判断する。
【0056】
もし周波数領域処理後に衝撃振動信号が検出されない場合、次の応答周期のサンプルデータを選択し、D[i]配列に再割り当ててステップS2に戻る。
【0057】
総じて言えば、まず衝撃振動センサーで信号を取得し、時間領域処理により信号を選択し、有効な信号を調整して出力する。これにより、取得した信号は高い精度とリアルタイム性を有している。次に、周波数領域処理により取得した信号をさらに判断し、信号の正確性と信頼性をより一層向上させることができる。
【0058】
強調すべきは、上記は単なる本発明の一例であり、本発明に対するいかなる形式の制約もではないことである。本発明の技術的実質に基づいて、上記の実施例に対するいかなる簡単な変更、同等の変更、および修飾も、それらは依然として本発明の技術構想の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】