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特表2024-524669エンコーダシステム及びエンコーダシステムにおける読取ヘッド位置を決定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】エンコーダシステム及びエンコーダシステムにおける読取ヘッド位置を決定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
G01D5/347 110Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501808
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2022068352
(87)【国際公開番号】W WO2023285172
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021118091.0
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522224955
【氏名又は名称】ニューラ ロボティクス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】NEURA ROBOTICS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シラキー、ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】レーガー、ダーヴィト
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマン、ヤニック
【テーマコード(参考)】
2F103
【Fターム(参考)】
2F103BA07
2F103CA01
2F103DA11
2F103DA12
2F103DA13
2F103EA12
2F103EA15
2F103EB24
(57)【要約】
エンコーダシステムであって、以下の特徴、すなわち、・少なくとも1つの第1の位置センサ(1、1.1、1.2)及び少なくとも1つの第2の位置センサ(2、2.1、2.2)であって、読み取り方向(12)に互いに固定距離(a、a1、a2、a3、a4、a6、a6)をおいて配置されている前記位置センサ(1、1.1、1.2、2、2.1、2.2)を有する読取ヘッド(10)と、・縦方向(l)及び横方向(q)を有する実量器(30)であって、第1の絶対符号化コードトラック(34)を含む第1のコードセクション(32)を縦方向(l)に有する実量器(30)と、を備え、・読取ヘッド(10)と実量器(30)とは、読み取り方向(12)が縦方向(l)に相当するように、及び読取ヘッド(10)と実量器(30)が読み取り方向(12)に相対して移動可能であるように、及び少なくとも1つの第1の位置センサ(1、1.1、1.2)によって、実量器(30)におけるそれぞれ第1のセンサ位置(p1、p1.1、p1.2)を検出可能であり、同時に、少なくとも1つの第2の位置センサ(2、2.1、2.2)によって、実量器(30)におけるそれぞれ第2のセンサ位置(p2、p2.1、p2.2)を検出可能であるように、互いに配置されているエンコーダシステム。並びにエンコーダシステム(20)における読取ヘッド位置(p)を決定する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンコーダシステムであって、以下の特徴、すなわち、
・少なくとも1つの第1の位置センサ(1、1.1、1.2)及び少なくとも1つの第2の位置センサ(2、2.1、2.2)であって、読み取り方向(12)に互いに固定距離(a、a1、a2、a3、a4、a6、a6)をおいて配置されている前記位置センサ(1、1.1、1.2、2、2.1、2.2)を有する読取ヘッド(10)と、
・縦方向(l)及び横方向(q)を有する実量器(30)であって、第1の絶対符号化コードトラック(34)を含む第1のコードセクション(32)を縦方向(l)に有する実量器(30)と、を備え、
・前記読取ヘッド(10)と前記実量器(30)とは、前記読み取り方向(12)が前記縦方向(l)に相当するように、及び前記読取ヘッド(10)と前記実量器(30)とが読み取り方向(12)に相対して移動可能であるように、及び前記少なくとも1つの第1の位置センサ(1、1.1、1.2)によって、前記実量器(30)におけるそれぞれ第1のセンサ位置(p1、p1.1、p1.2)を検出可能であり、同時に、前記少なくとも1つの第2の位置センサ(2、2.1、2.2)によって、前記実量器(30)におけるそれぞれ第2のセンサ位置(p2、p2.1、p2.2)を検出可能であるように互いに配置されている、エンコーダシステム。
【請求項2】
前記読取ヘッド(10)は、2つの第1の位置センサ(1.1、1.2)及び2つの第2の位置センサ(2.1、2.2)を有することを特徴とする、
請求項1に記載のエンコーダシステム。
【請求項3】
前記位置センサ(1、1.1、1.2、2、2.1、2.2)は、光学式位置センサ(1、1.1、1.2、2、2.1、2.2)として形成されていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のエンコーダシステム。
【請求項4】
前記位置センサ(1、1.1、1.2、2、2.1、2.2)の各々は、絶対符号化コードトラック(34、50)と増分符号化コードトラック(36、52)とを同時に走査するのに適していることを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載のエンコーダシステム。
【請求項5】
前記位置センサ(1、1.1、1.2、2、2.1、2.2)は、熱膨張係数が数値的に2ppm/K以下である一体型のセンサ支持体(14)に配置されていることを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載のエンコーダシステム。
【請求項6】
前記第1のコードセクション(32)が第1の増分符号化コードトラック(34)を有することを特徴とする、
請求項1~5のいずれか一項に記載のエンコーダシステム。
【請求項7】
前記実量器(30)が第2のコードセクション(48)を有し、前記読取ヘッド(10)と前記実量器(30)は、前記少なくとも1つの第1の位置センサ(1、1.1、1.2)によって、前記第1のコードセクション(32)における前記それぞれの第1のセンサ位置(p1、p1.1、p1.2)を検出可能であり、同時に、前記少なくとも1つの第2の位置センサ(2、2.1、2.2)によって、前記第2のコードセクション(48)における前記それぞれの第2のセンサ位置(p2、p2.1、p2.2)を検出可能であるように互いに配置されていることを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一項に記載のエンコーダシステム。
【請求項8】
前記第1のコードセクション(32)と前記第2のコードセクション(48)とが互いに逆方向に配置されていることを特徴とする、
請求項7に記載のエンコーダシステム。
【請求項9】
前記実量器(30)は、第1のセグメント端(42)及び第2のセグメント端(44)を含む少なくとも1つの実量器セグメント(38、40)を有することを特徴とする、
請求項1~8のいずれか一項に記載のエンコーダシステム。
【請求項10】
前記実量器(30)は、線状及び/又は円弧状及び/又は円形状に形成されていることを特徴とする、
請求項1~9のいずれか一項に記載のエンコーダシステム。
【請求項11】
前記エンコーダシステム(20)は、前記センサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)を評価するための評価ユニットを有し、前記評価ユニットは、前記それぞれ同時に検出されたセンサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)から読取ヘッド位置(p)を決定するように形成されていることを特徴とする、
請求項1~10のいずれか一項に記載のエンコーダシステム。
【請求項12】
前記評価ユニットは、前記センサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)を妥当性及び/又は説得力について検査するように、及び妥当でない及び/又は説得力のないセンサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)を前記読取ヘッド位置(p)の決定に使用しないように形成されていることを特徴とする、
請求項11に記載のエンコーダシステム。
【請求項13】
前記評価ユニットは、前記センサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)及び/又は読取ヘッド位置(p)を記憶するための記憶手段を有することを特徴とする、
請求項11又は12に記載のエンコーダシステム。
【請求項14】
前記エンコーダシステム(20)が複数の実量器(30)を有し、各実量器(30)において前記第1のコードセクション(32)と前記第2のコードセクション(48)とが互いに異なるように配置されていることを特徴とする、
請求項7に記載の又は請求項7を引用する請求項8~13のいずれか一項に記載のエンコーダシステム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のエンコーダシステム(20)における読取ヘッド位置(p)を決定する方法であって、
・少なくとも1つの第1の位置センサ(1、1.1、1.2)のそれぞれの第1のセンサ位置(p1、p1.1、p1.2)と、前記少なくとも1つの第2の位置センサ(2、2.1、2.2)のそれぞれの第2のセンサ位置(p2、p2.1、p2.2)とを同時に検出する工程と、
・前記同時に検知されたそれぞれ他のセンサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)との比較によって、各センサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)の妥当性及び/又は説得力を検査する工程と、
・前記妥当な、及び/又は説得力のあるセンサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)に基づいて前記読取ヘッド位置(p)を決定する工程と、を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダシステム及びエンコーダシステムにおける読取ヘッド位置を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶対位置又は回転角度測定システム、いわゆるエンコーダシステムは、数十年前から自動化において不可欠な構成要素となっている。これは、通常、位置センサを含む読取ヘッドと実量器を有する。その場合、位置センサと実量器は、位置センサが実量器を走査してセンサ位置を検出できるように、相対して移動可能な機械要素に取り付けられている。このようにして検出されるセンサ位置は、通常、読取ヘッド位置に相当する。供給電圧をオンにした後、位置決定のために、まず一意の基準マークに向けて移動する必要がある、いわゆる増分測定システムに比べて、絶対システムには、オンにした後、走査されるべき実量器における各位置を一意の絶対位置として検出できるという利点がある。
【0003】
実際には、位置センサ又は実量器の汚れ、或いは磁場の影響などの外乱の影響によって、検出されたセンサ位置が誤っているという事例がたびたび発生する。その結果生じる位置の変化によって初めて初期位置の間違いを認識できるが、これは各絶対測定システムの基礎となる単調性が乱されるため(検出されたセンサ位置nの後にn+1又はn-1が続かない)である。
【0004】
別の問題提起は、特に光学系にガラス製の実量器が使用される場合に、特に、特別に長い実量器の組付けと取り扱いが非常に難しいということによって与えられる。例えば、長さ5メートルの一体に形成されたガラス製実量器には輸送と組立に多大な労力がかかる。
【0005】
供給電圧をオンにした後、読取ヘッド位置の決定をより確実なものにするために、実量器を同じ箇所で走査する2つの位置センサを使用すること、及びこれらのセンサのセンサ位置を比較することが知られている。スケールの汚れなどにより、対応する位置に外乱がある場合、両方の位置センサが誤った位置を検出する。したがって、現在読取ヘッド位置の確実な決定が可能でない。
【0006】
実量器を短く扱いやすいセグメントの形で並べることが、特許文献1に原理として示されている。これにより、組立性及び取扱い性を改善することができる。この原理は、特に、組立時にセグメントを並べるときにズレが生じることによって、測定精度の損失を伴う。例えば、セグメント間に隙間が生じるため、実量器の全長が相応の一体型実量器と比べて大きくなる可能性がある。
【0007】
更に、エンコーダシステムの測定精度は、通常、特に温度依存性の結果としての実量器の長さの変化による影響を受ける。
上述のシナリオでは、検出された読取ヘッド位置が実際の読取ヘッド位置から逸脱するということになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第2288876号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の課題は、外乱の影響に関係なく読取ヘッド位置を簡単、確実かつ正確に決定でき、更に簡単かつ安価に製造できるエンコーダシステムを提供することである。本発明の別の課題は、外乱の影響にもかかわらず、エンコーダシステムの読取ヘッド位置を一義的、確実、かつ正確に決定できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を有するエンコーダシステム、及び請求項15の特徴を有するエンコーダシステムにおける読取ヘッド位置を決定する方法によって解決される。
【0011】
本発明の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項に記載されている。
本発明によるエンコーダシステムは、以下の特徴、すなわち、少なくとも1つの第1の位置センサ及び少なくとも1つの第2の位置センサであって、読み取り方向に互いに固定距離をおいて配置されている位置センサを有する読取ヘッドと、縦方向及び横方向を有する実量器であって、第1の絶対符号化コードトラックを含む第1のコードセクションを縦方向に有する実量器と、を備え、読取ヘッドと実量器とは、読み取り方向が縦方向に相当するように、及び読取ヘッドと実量器が読み取り方向に相対して移動可能であるように、及び少なくとも1つの第1の位置センサによって、実量器におけるそれぞれ第1のセンサ位置を検出可能であり、同時に、少なくとも1つの第2の位置センサによって、実量器におけるそれぞれ第2のセンサ位置を検出可能であるように互いに配置されている。
【0012】
読み取り方向は、殊に読取ヘッドが、エンコーダシステムにおいて規定通りに使用された場合に実量器に相対して動かされる方向によって形成される。位置センサは、絶対符号化コードトラックの走査に適しているため、殊に、絶対符号化コードトラックに配置された位置情報を検出できるように形成されている。複数の第1の位置センサ及び/又は複数の第2の位置センサを有する読取ヘッドは、殊に、すべての位置センサが読み取り方向に互いに離間して配置されるように形成されている。
【0013】
位置センサは、読み取り方向に対して垂直に位置合わせされていることが好ましい。少なくとも1つの第1の位置センサと少なくとも1つの第2の位置センサの離間した配置によって、読取ヘッドは、殊に少なくとも2つの異なるセンサ位置を検出することができる。検出されたセンサ位置から読取ヘッド位置を決定することができる。それぞれのセンサ位置をデジタル値の形で検出できるように位置センサを形成することができる。特定の読取ヘッド位置の分解能は、位置センサの数とともに高くなり得る。
【0014】
位置センサが互いに固定距離をおいて配置されていることによって、位置センサのうちの1つが妥当でないか、又は説得力のないセンサ位置を検出した場合でも、少なくとも1つの別の位置センサによって検出されたセンサ位置によって一方の位置センサの正しいセンサ位置と読取ヘッド位置とを推察することができる。例えば汚れなどにより、妥当でないか、又は説得力のないセンサ位置が検出されるかもしれない。
【0015】
検出されたセンサ位置は、殊に、それが実際に対応するコードトラックに現れる場合には説得力があるとみなされる。特定の位置センサによって検出されたセンサ位置は、殊に、特に位置センサの既知の固定距離と、残りの位置センサによって検出されるセンサ位置とに基づいて、1つの位置センサによって検出されたセンサ位置がその実際のセンサ位置と少なくとも十分に正確な近似で一致することを前提とし得る場合に妥当とみなされる。
【0016】
実量器は、殊にガラススケールとして形成されている。実量器における少なくとも1つの第1のセンサ位置と少なくとも1つの第2のセンサ位置を同時に検出できることによって、対応する読取ヘッド位置を少なくとも2つの異なるセンサ位置から決定することができる。
【0017】
エンコーダシステムが2つの第1の位置センサと2つの第2の位置センサを有することが特に好ましい。それにより、読取ヘッドは、合計4つの位置センサを有することができる。それによって、特に2つの位置センサを有する読取ヘッドの実施形態と比較して、読取ヘッド位置を特に確実に示すことができる。2つの位置センサを用いる実施形態において、両方の位置センサが説得力のある1つのセンサ位置を検出する場合、検出されたセンサ位置が位置センサの固定距離から過度に逸脱し、2つの検出された位置のうちのどちらが妥当であるのかを確認することができない。したがって、そのような状況では信頼できる読取ヘッド位置を決定できない。位置センサの数が増えると、通常、冗長性が高まり、それに伴い読取ヘッド位置を決定する際の確実性が高くなる。2つの第1の位置センサ及び2つの第2の位置センサを用いる実施形態において、センサのうちの1つが誤っているが説得力のあるセンサ位置を検出する場合、残りの3つの位置センサによって検出されたセンサ位置に基づいて、検出されたセンサ位置のどれが妥当でないのかを簡単に確認することができる。読取ヘッドに4つの位置センサを配置することにより、別の位置センサが説得力のないセンサ位置を検出した場合でも、誤検出されたセンサ位置を検知することができる。
【0018】
殊に、2つの第1位置センサと2つの第2位置センサは読取ヘッドに交互に配置されており、それにより読み取り方向において、第1の第1位置センサに第1の第2位置センサ、第2の第1位置センサ、及び第2の第2位置センサがこの順序で続く。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、位置センサは光学式位置センサとして形成されている。光学式位置センサを用いて、センサ位置を非常に正確かつ高分解で検出することができる。位置センサが、光学式反射型位置センサとして形成されていることが特に好ましい。位置センサは、誘導型、磁気型、又は容量型の位置センサとして形成されていてもよい。
【0020】
殊に、位置センサの各々は、絶対符号化コードトラックと増分符号化コードトラックとを同時に走査するのに適している。したがって、位置センサの各々は、殊に、絶対符号化コードトラックに配置された位置情報に加えて、増分符号化コードトラックに配置された位置情報も検出できるように形成されている。絶対符号化コードトラックと増分符号化コードトラックの走査を同時に行うことができることによって、それぞれのセンサ位置をより高い精度で検出することができる。
【0021】
位置センサは、熱膨張係数が数値的に2ppm/K以下の一体型センサ支持体に配置され得る。それによって、位置センサ間の固定距離に対する温度変化の無視できる程度の影響を達成することができる。特に、温度変化が走査される実量器に関して同時に無視できない長さの変化を引き起こす場合、それとともに、位置センサによって同時に検出されたセンサ位置から実量器の熱膨張を決定し、場合によっては補償することができる。センサ支持体は、熱膨張係数が1ppm/Kの石英ガラスで作られることが特に好ましい。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、第1のコードセクションは、増分的に符号化された第1のコードトラックを有する。したがって、第1のコードセクションは、第1の絶対符号化コードトラック及び第1の増分符号化コードトラックを有することができる。殊に、第1の増分符号化コードトラックは、横方向に第1の絶対符号化コードトラックの隣に配置され、縦方向に第1の絶対符号化コードトラックと平行に配置されている。第1の絶対符号化コードトラックと第1の増分符号化コードトラックとを、絶対符号化コードトラックと増分符号化コードトラックを同時に走査するのに適した位置センサが第1の絶対符号化コードトラックと第1の増分符号化コードトラックとを同時に走査できるように並べて配置することができる。
【0023】
第1の増分符号化コードトラックは、殊に、周期的に繰り返され、その周期が絶対符号化コードトラックを介して絶対的に割り当てられ得る増分コードを有するように形成されている。殊に、増分符号化コードトラックは、絶対符号化コードトラックよりも細かい区分を有し、それに伴い絶対符号化コードトラックよりも高い分解能を有する。したがって、絶対符号化コードトラックと増分符号化コードトラックとを同時に走査することによって、高分解能された絶対センサ位置を検出することができる。
【0024】
実量器が第2のコードセクションを有することができ、読取ヘッドと実量器とは、少なくとも1つの第1の位置センサによって、第1のコードセクションにおけるそれぞれ第1のセンサ位置を検出可能であり、同時に、少なくとも1つの第2の位置センサによって、第2のコードセクションにおけるそれぞれの第2のセンサ位置を検出可能であるように互いに配置されている。それによって、より高い冗長性、及びそれに伴いエンコーダシステムのより高い信頼性を達成することができる。
【0025】
第2のコードセクションは、第2の絶対符号化コードトラックを有することができる。更に、第2のコードセクションは、第2の増分符号化コードトラックを有することができる。その場合、第1のコードセクションと第2のコードセクションとを、第1の増分符号化コードトラックと第2の増分符号化コードトラックとが互いに向き合うように配置することができる。本発明の一実施形態では、第2の増分符号化コードトラックは、第1の増分符号化コードトラックによって形成されていてもよく、それにより実量器は2つの絶対符号化コードトラックと1つの増分符号化コードトラックとを有する。
【0026】
殊に、第1のコードセクションと第2のコードセクションとは、互いに逆方向に配置される。したがって、縦方向に、第1のコードセクションは昇順のカウント方向を有し、第2のコードセクションは降順のカウント方向を有することができ、又はその逆も可能である。少なくとも1つの第1の検出センサ位置と少なくとも1つの第2の検出センサ位置から開始して、それぞれ異なった計算規則に従って読取ヘッド位置を決定することができる。それによって、読取ヘッド位置の決定時に追加の確実性を達成することができる。
【0027】
本発明の一実施形態では、実量器は、第1のセグメント端及び第2のセグメント端を含む少なくとも1つの実量器セグメントを有する。それによって、実量器を簡単に組み立てることができ、特に組立及び輸送時の取り扱いが簡単になり得る。組立中、殊に複数の実量器セグメントは、実量器の全長を相応の大きさにするために前後に配置される。実量器を組み立てる際に、2つの連続するセグメント端の間に隙間の形のオフセットを設けることができる。それによって、組立を簡素化することができる。
【0028】
実量器を直線状及び/又は円弧状及び/又は円形状に形成することができる。特に、実量器をフレキシブルに形成することができる。実量器を円形状に形成する場合、実量器の横方向と縦方向が形成される円の半径に対して垂直に配置されるように実量器を配置することができる。したがって、読取ヘッド位置センサは、殊に少なくともほぼ円の中心に向かって位置合わせされている。このようにして、円周上の読取ヘッド位置を決定することができる。それにより、読取ヘッド位置から対応する回転角度を決定することができる。したがって、エンコーダシステムは、特に直径の大きなシャフトが存在し、同時に高い位置精度が要求される用途、例えば天文台などの用途において、回転角度を決定するために使用できる。
【0029】
殊に、エンコーダシステムは、センサ位置を評価するための評価ユニットを有し、この評価ユニットは、それぞれ同時に検出されたセンサ位置から読取ヘッド位置を決定するように形成されている。読取ヘッド位置は、特に、検出されたセンサ位置を平均することによって決定することができる。その場合、読取ヘッド位置を、読取ヘッドにおける位置センサの位置との関係において任意に定義することができる。例えば、読取ヘッド位置を少なくとも1つの第1の位置センサと少なくとも1つの第2の位置センサとの間の中心に配置することができる。したがって、複数の、かつ互いに離間して配置された位置センサによって検出されたセンサ位置を平均することによって、そこから決定される読取ヘッド位置の分解能を高めることができる。
【0030】
評価ユニットを、センサ位置の妥当性及び/又は説得力を検査するように、並びに妥当でない及び/又は説得力のないセンサ位置を読取ヘッド位置の決定に使用しないように形成することができる。それによって、検知されたセンサ位置のうちの1つ又はいくつかが使用できない場合、すなわち妥当でないか、又は説得力がない場合でも読取ヘッド位置を決定することができる。
【0031】
評価ユニットは、センサ位置及び/又は読取ヘッド位置を記憶するための記憶手段を有することが好ましい。それによって、特に特定のセンサ位置及び/又は読取ヘッド位置を記憶して、後の時点で使用することができる。特に、連続する2つのセグメント端の間に隙間を有する実量器の場合、学習作動において隙間を検出及び記憶することができる。位置センサのうちの1つが後の動作中に隙間を検出した場合、そのセンサによって検出されたセンサ位置を、例えば妥当であるが説得力なしと分類することができる。
【0032】
特に、第1のコードセクション及び第2のコードセクションを有するエンコーダシステムは、複数の実量器を有することができ、各実量器において第1のコードセクションと第2のコードセクションとを互いに異なるように配置することができる。殊に、実量器は縦方向に前後に配置されている。それにより、読取ヘッド位置を決定できる測定セクションを、前後に配置された実量器の数の分だけ長くすることができる。第1のコードセクションと第2のコードセクションの配置がそれぞれ異なることによって、個々の実量器の間で、第1の位置センサと第2の位置センサによってそれぞれ同時に検出されるセンサ位置間の差が異なる。それにより、殊に、測定セクションにおいて読取ヘッドがとることができる各位置を絶対的かつ一義的に決定することができる。例えば、各実量器において、第1のコードセクションを、その前の実量器と比較して絶対値の分だけ第2のコードセクションに対してずらすことができる。実量器の最大長は、殊に、第1のコードセクションと第2のコードセクションとの可能な組み合わせの数によってのみ決定される。
【0033】
上述の実施形態のうちの1つによるエンコーダシステムにおける読取ヘッド位置を決定する方法は、
・少なくとも1つの第1の位置センサのそれぞれの第1のセンサ位置と、少なくとも1つの第2の位置センサのそれぞれの第2のセンサ位置とを同時に検出する工程と、
・同時に検知されたそれぞれ他のセンサ位置との比較によって、各センサ位置の妥当性及び/又は説得力を検査する工程と、
・妥当な、及び/又は説得力のあるセンサ位置に基づいて読取ヘッド位置を決定する工程と、を備える。
【0034】
以下の図をもとにして本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】エンコーダシステムの第1の実施例の概略側面図である。
図2】エンコーダシステムの第2の実施例の概略上面図である。
図3】エンコーダシステムの第3の実施例の概略上面図である。
図4】エンコーダシステムの第4の実施例の概略上面図である。
図5】エンコーダシステムの第5の実施例の概略側面図である。
図6図5に示されるエンコーダシステムの実施例の概略詳細図である。
図7】エンコーダシステムの第6の実施例の概略詳細図である。
図8】エンコーダシステムの第7の実施形態の概略詳細図である。
図9】実量器の第1の実施例の概略図である。
図10】実量器の第2の実施例の概略図である。
図11】実量器の第3の実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1図11は、さまざまな実施例のさまざまな図を示す。明確にするために、すべての図にすべての参照記号が使用されるわけではない。同じ、及び機能的に同じ部品には、同じ参照符号が使用される。
【0037】
図1は、読取ヘッド10及び実量器30を備えたエンコーダシステム20の第1の実施例の概略側面図を示す。読取ヘッド10は、第1の位置センサ1及び第2の位置センサ2を有する。位置センサ1、2は、絶対符号化コードトラック34を走査するのに適しており、読み取り方向12に互いに固定距離aをおいて配置されている。位置センサ1、2を一体型センサ支持体14に配置することができる。センサ支持体14の熱膨張係数は、数値的に2ppm/K以下であることが好ましい。センサ支持体14は、熱膨張係数が約1ppm/Kの石英ガラスで作られることが特に好ましい。読取ヘッド10は、位置センサ1、2が配置される読取ヘッドハウジング16を有することができる。位置センサ1、2を光学式位置センサとして形成することができる。
【0038】
図2に示されるように、実量器30は縦方向l及び横方向qを有する。縦方向lに、実量器30は、第1の絶対符号化コードトラック34を有する第1のコードセクション32を有する。更に、第1のコードセクション32は、第1の増分符号化コードトラック36を有することができる。読取ヘッド10と実量体30とは、読み取り方向12が縦方向lに相当するように、及び読取ヘッド10と実量体30とが読み取り方向lに互いに相対して移動できるように、互いに配置されている。更に、読取ヘッド10と実量体30とは、実量体30における第1のセンサ位置p1が第1の位置センサ1によって検出可能であり、同時に実量体30における第2のセンサ位置p2が第2の位置センサによって検出可能であるように互いに配置されている。位置センサ1、2は、殊に、第1の絶対符号化コードトラック34と第1の増分コードトラック36とを同時に走査するのに適している。
【0039】
第1の増分符号化コードトラック36は、殊に縦方向lに、第1の絶対符号化コードトラック34と平行に、かつ横方向qに、第1の絶対符号化コードトラック34の隣に配置されている。更に、第1の増分符号化コードトラック34は、殊に、これが周期的に繰り返される増分コードを有し、その周期が絶対符号化コードトラック34を介して絶対的に割り当てられ得るように形成されている。殊に、増分符号化コードトラック36は、絶対符号化コードトラック34よりも細かい区分を有し、それに伴い、より高い分解能を有する。したがって、絶対符号化コードトラック34と増分符号化コードトラック36とを同時に走査することによって、高分解されたセンサ位置p1、p2を検出することができる。
【0040】
図2及び図3に示される実量器30は、それぞれ、第1の実量器セグメント38と第2の実量器セグメント40を有する。実量器セグメント38、40はそれぞれ、第1のセグメント端42及び第2のセグメント端44を有する。連続するセグメント端44、42の間に隙間46の形のオフセットを設けることができる。図2及び図3において、実量器要素38、40がより大きい長さにわたって延び得ることを識別できるようにするために、実量器セグメント38、40は、斜めに設けられた中断を伴って示されている。
【0041】
図3の実施例が示すように、読取ヘッド10は、第1の第1位置センサ1.1及び第2の第1位置センサ1.2、並びに第1の第2位置センサ2.1及び第2の第2位置センサ2.2を有することができる。殊に、2つの第1の位置センサ1.1、1.2と2つの第2の位置センサ2.1、2.2は読取ヘッドに交互に配置され、それにより読取方向12に、第1の第1位置センサ1.1に、第1の第2位置センサ2.1、第2の第1位置センサ1.2、及び第2の第2位置センサ2.2がこの順序で続く。
【0042】
図2に示されるように、センサ位置p1を第1の位置センサ1によって検出することができ、センサ位置p2を第2の位置センサによって検出することができる。それに応じて、第1の第1位置センサ1.1は第1の第1センサ位置p1.1、第2の第1位置センサ1.2は第2の第1センサ位置p1.2、第1の第2位置センサ2.1は第1の第2センサ位置p2.1、及び第2の位置センサ2.2は第2の第2センサ位置p2.2を検出することができる(及び図3)。殊に、読取ヘッド位置pは、センサ位置p1、p2若しくはp1.1、p1.2、p2.1、p2.1から決定される。読取ヘッド位置pの決定は、例えば、センサ位置p1、p2若しくはp1.1、p1.2、p2.1、p2.2を平均することによって行うことができる。センサ位置p1及びp2、若しくはp1.1、p1.2、p2.1、p2.2の検出は、殊に同時に行われる。
【0043】
センサ位置p1、p2、若しくはp1.1、p1.2、p2.1、p2.2を評価するために、エンコーダシステム20は、それぞれ同時に検出されたセンサ位置p1、p2、若しくはp1.1、p1.2、p2.1、p2.2から読取ヘッド位置pを決定するように形成された図示されない評価ユニットを有することができる。読取ヘッド位置pは、検出されたセンサ位置p1、p2、若しくはp1.1、p1.2、p2.1、p2.2との関係において任意に定義することができる。殊に、読取ヘッド位置pは、検出されたセンサ位置p1、p2、若しくはp1.1、p1.2、p2.1、p2.2の間の中心に定義される。
【0044】
図2及び図3に示されるように、位置センサ1、2、若しくは1.1、1.2、2.1、2.2が読み取り方向に互いに固定距離をおいて配置されていることによって、読取ヘッドpが隙間46と重なる場合にも決定することができる。殊に、運転開始前に、隙間46が検出及び記憶される学習作動が実行される。特にこのために、評価ユニットは、センサ位置p1、p2若しくはp1.1、p1.2、p2.1、p2.2及び/又は読取ヘッド位置pを記憶するための記憶手段を有することができる。
【0045】
その場合、図4に示されるエンコーダシステム20が、第1の絶対符号化コードトラック34及び第1の増分符号化コードトラック36を含む第1のコードセクション32の他に、第2の絶対符号化コードトラック50及び第2の増分符号化コードトラック52を含む第2のコードセクション48を有することができることに留意されたい。殊に、第1のコードセクション32と第2のコードセクション48は、互いに逆方向に配置される。特に好ましくは、第1のコードセクション32は、縦方向lに上昇するように形成された第1のカウント方向54を有し、第2のコードセクション48は、縦方向lに下降するように形成され得る第2のカウント方向56を有することができる。
【0046】
図4に示される実施例では、位置センサ1.1、1.2、2.1、2.2を、読み取り方向12に互いに固定距離a1~a6をおいて配置することができる。殊に、第1の位置センサ1.1、1.2は、第1のコードセクションを検出できるように配置され、第2の位置センサ2.1、2.2は、第2のコードセクション48を検出できるように配置されている。
【0047】
読取ヘッド位置pを決定する場合、殊に妥当でない及び/又は説得力のないセンサ位置p1、p2若しくはp1.1、p1.2、p2.1、p2.2は使用されない。妥当性検査をどのように行うことができるのかを、図4に示される実施例をもとにして以下に説明する。その場合、図2及び図3に示される実施例と比較して特に留意しなければならないのは、第1のコードセクション32と第2のコードセクション48が互いに逆方向に配置されているということである。
【0048】
殊に、以下の条件がすべて満たされる場合、同時に検出されたすべてのセンサ位置p1.1、p1.2、p2.1、p2.2の妥当性が存在する:
p1.1+p2.1=a4、
p1.2+p2.2=a6、
p1.2-p1.1=a3、
p2.1-p2.2=a2、
p1.1+p2.2=a1、
p2.1+p1.2=a5。
【0049】
同時に検出されたセンサ位置p1.1、p1.2、p2.1、p2.2のこのような評価によって、単一の検出センサ位置p1.1、p1.2、p2.1、p2.2が妥当でないことを確認することもできる。
【0050】
更に、同時に検出されたセンサ位置p1.1、p1.2、p2.1、p2.2と固定距離a1~a6との比較によって、例えば温度変化の結果としての実量器の長さの変化などの体系的な変化を認識し、補償することができる。特にそのために、位置センサ1.1、1.2、2.1、2.2を石英ガラスで作られた一体型センサ支持体14に配置することができる。これは、図2及び図3に示される実施例にも当てはまる。
【0051】
図5及び図6は、エンコーダシステム20の別の実施例を示す。その場合、実量器30は、円形状に形成されていてもよい。殊に、実量器30は、シャフト半径60を有するシャフト58に配置されている。その場合、実量器30を第1のセグメント端42及び第2のセグメント端44を有する第1の実量器セグメント38によって形成することができる。殊に、第1のセグメント端42と第2のセグメント端44との間に隙間46が設けられる。それによって、シャフト58への実量器30の組付けをはるかに簡素化することができる。図2及び図3に示される実施例についてのこれに関する説明に従って、読取ヘッド10が隙間46上に配置されている場合にも読取ヘッド位置pを確実かつ一義的に検知することができる。
【0052】
実量器30は、殊に、横方向qと縦方向lがシャフト半径60に対して垂直に配置されるように配置されている。読取ヘッド10の位置センサ1.1、1.2、2.1、2.2は、殊に、シャフト中心点、したがって円形状に形成された実量器30の円の中心点に向けて少なくともほぼ位置合わせされている。
【0053】
その場合、実量器30は、殊にシャフト58の外半径上に配置されている。これに代えて、特に、シャフト58が中空シャフトとして形成されている場合、図7に示されるように、実量器30をシャフト58の内半径上に配置することができる。図5及び図6に示される実施例とは異なり、読取ヘッド10をシャフト58内に配置することができる。
【0054】
図8は、実量器30が円形状に形成され得る別の実施例を示す。その場合、実量器30は、殊に、横方向qがシャフト半径60の方向に、縦方向lがシャフト半径60に対して垂直に配置されるように配置されている。読取ヘッド10の位置センサ1.1、1.2、2.1、2.2は、殊に、図面の平面に対して垂直に延びる図示されないシャフトの縦軸の方向に少なくともほぼ位置合わせされる。実量器30は、例えば、シャフト端又はシャフト段部の端面側に配置することができる。
【0055】
図8に示されるように、第2の増分符号化コードトラック52を第1の増分符号化コードトラック36によって形成することができ、それにより実量器30は、2つの絶対符号化コードトラック34、50と、1つの増分符号化コードトラックとを有する。
【0056】
図9図11は、殊に第1のコードセクション32及び第2のコードセクション48を有する実量器30のさまざまな実施例を示す。図9図11に示される実施例の各々において、第1のコードセクション32と第2のコードセクション48とを互いに異なるように配置することができる。その場合、読取ヘッド10と実量器30とを、第1のコードセクション32における第1のセンサ位置p1が位置センサ1によって検出可能であり、同時に、第2のコードセクション48における第2のセンサ位置p2が第2の位置センサ2によって検出可能であるように互いに対して配置することができる。第1の位置センサ1と第2の位置センサ2は、読取ヘッド10において互いに固定距離aをおいて配置されているため(図1も参照)、図9図11に示される実量器30間で、それぞれ同時に検出されたセンサ位置p1、p2間の差が異なる。したがって、差p1-p2は、図9に示される実施例では6、図10に示される実施例では5、図11に示される実施例では4であり得る。
【0057】
したがって、図9図11に示されるエンコーダシステム20において実量器30が前後に配置される場合、実量器30の3倍の長さを有する測定区間を実現することができる。各実量器30において同時に検出されたセンサ位置p1、p2のそれぞれもう一方からの差が異なることによって、測定区間において読取ヘッド10がとることができる各位置を絶対的かつ一義的に決定することができる。その場合、実量器30のさまざまな実施例において、殊に同じ第1のコードセクション32及び/又は同じ第2のコードセクション48が使用される。
【0058】
この手順に従って、前後に配置された実量器30の数が第1のコードセクション32と第2のコードセクション48との可能な一義的な組み合わせの数に相当する測定区間を作成することができる。1メートルの長さの実量器30が、例えば1マイクロメートルに絶対符号化されているコードセクション32、48を有する場合、コードセクション32、48のオフセットによって、互いに異なるように配置されたコードセクション32、48を有する100万個の実量器30を得ることができる。したがって、理論的には全長100万メートル、すなわち1000kmの測定区間を作成することができる。
【0059】
実際には、一義的なセンサ位置p1、p1.1、p1.2、p2.1、p2.2、したがって一義的な読取ヘッド位置pを検出できるようにするために、さまざまな実量器30のオフセット差が、殊にミリメートルの範囲になるだろう。それにより、上記の例において、1キロメートルの測定区間を実現することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 第1の位置センサ
1.1 第1の第1位置センサ
1.2 第2の第1位置センサ
2 第2の位置センサ
2.1 第1の第2位置センサ
2.2 第2の第2位置センサ
10 読取りヘッド
12 読み取り方向
14 センサ支持体
16 読取ヘッドハウジング
20 エンコーダシステム
30 実量器
32 第1のコードセクション
34 第1の絶対符号化コードトラック
36 第1の増分符号化コードトラック
38 第1の実量器セグメント
40 第2の実量器セグメント
42 第1のセグメント端
44 第2のセグメント端
46 隙間
48 第2のコードセクション
50 第2の絶対符号化コードトラック
52 第2の増分符号化コードトラック
54 昇順のカウント方向
56 降順のカウント方向
58 シャフト
60 シャフト半径
a 固定距離
a1 第1の固定距離
a2 第2の固定距離
a3 第3の固定距離
a4 第4の固定距離
a5 第5の固定距離
a6 第6の固定距離
l 縦方向
p 読取ヘッド位置
p1 第1のセンサ位置
p1.1 第1の第1センサ位置
p1.2 第2の第1センサ位置
p2 第2のセンサ位置
p2.1 第1の第2センサ位置
p2.2 第2の第2センサ位置
q 横方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンコーダシステムであって、以下の特徴、すなわち、
・少なくとも1つの第1の位置センサ(1、1.1、1.2)及び少なくとも1つの第2の位置センサ(2、2.1、2.2)であって、読み取り方向(12)に互いに固定距離(a、a1、a2、a3、a4、a6、a6)をおいて配置されている前記位置センサ(1、1.1、1.2、2、2.1、2.2)を有する読取ヘッド(10)と、
・縦方向(l)及び横方向(q)を有する実量器(30)であって、第1の絶対符号化コードトラック(34)を含む第1のコードセクション(32)を縦方向(l)に有する実量器(30)と、を備え、
・前記読取ヘッド(10)と前記実量器(30)とは、前記読み取り方向(12)が前記縦方向(l)に相当するように、及び前記読取ヘッド(10)と前記実量器(30)とが読み取り方向(12)に相対して移動可能であるように、及び前記少なくとも1つの第1の位置センサ(1、1.1、1.2)によって、前記実量器(30)におけるそれぞれ第1のセンサ位置(p1、p1.1、p1.2)を検出可能であり、同時に、前記少なくとも1つの第2の位置センサ(2、2.1、2.2)によって、前記実量器(30)におけるそれぞれ第2のセンサ位置(p2、p2.1、p2.2)を検出可能であるように互いに配置されている、エンコーダシステム。
【請求項2】
前記読取ヘッド(10)は、2つの第1の位置センサ(1.1、1.2)及び2つの第2の位置センサ(2.1、2.2)を有することを特徴とする、
請求項1に記載のエンコーダシステム。
【請求項3】
前記位置センサ(1、1.1、1.2、2、2.1、2.2)は、光学式位置センサ(1、1.1、1.2、2、2.1、2.2)として形成されていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のエンコーダシステム。
【請求項4】
前記位置センサ(1、1.1、1.2、2、2.1、2.2)の各々は、絶対符号化コードトラック(34、50)と増分符号化コードトラック(36、52)とを同時に走査するのに適していることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のエンコーダシステム。
【請求項5】
前記位置センサ(1、1.1、1.2、2、2.1、2.2)は、熱膨張係数が数値的に2ppm/K以下である一体型のセンサ支持体(14)に配置されていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のエンコーダシステム。
【請求項6】
前記第1のコードセクション(32)が第1の増分符号化コードトラック(34)を有することを特徴とする、
請求項1又は2に記載のエンコーダシステム。
【請求項7】
前記実量器(30)が第2のコードセクション(48)を有し、前記読取ヘッド(10)と前記実量器(30)は、前記少なくとも1つの第1の位置センサ(1、1.1、1.2)によって、前記第1のコードセクション(32)における前記それぞれの第1のセンサ位置(p1、p1.1、p1.2)を検出可能であり、同時に、前記少なくとも1つの第2の位置センサ(2、2.1、2.2)によって、前記第2のコードセクション(48)における前記それぞれの第2のセンサ位置(p2、p2.1、p2.2)を検出可能であるように互いに配置されていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のエンコーダシステム。
【請求項8】
前記第1のコードセクション(32)と前記第2のコードセクション(48)とが互いに逆方向に配置されていることを特徴とする、
請求項7に記載のエンコーダシステム。
【請求項9】
前記実量器(30)は、第1のセグメント端(42)及び第2のセグメント端(44)を含む少なくとも1つの実量器セグメント(38、40)を有することを特徴とする、
請求項1又は2に記載のエンコーダシステム。
【請求項10】
前記実量器(30)は、線状及び/又は円弧状及び/又は円形状に形成されていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のエンコーダシステム。
【請求項11】
前記エンコーダシステム(20)は、前記センサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)を評価するための評価ユニットを有し、前記評価ユニットは、前記それぞれ同時に検出されたセンサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)から読取ヘッド位置(p)を決定するように形成されていることを特徴とする、
請求項1又は2に記載のエンコーダシステム。
【請求項12】
前記評価ユニットは、前記センサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)を妥当性及び/又は説得力について検査するように、及び妥当でない及び/又は説得力のないセンサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)を前記読取ヘッド位置(p)の決定に使用しないように形成されていることを特徴とする、
請求項11に記載のエンコーダシステム。
【請求項13】
前記評価ユニットは、前記センサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)及び/又は読取ヘッド位置(p)を記憶するための記憶手段を有することを特徴とする、
請求項11に記載のエンコーダシステム。
【請求項14】
前記エンコーダシステム(20)が複数の実量器(30)を有し、各実量器(30)において前記第1のコードセクション(32)と前記第2のコードセクション(48)とが互いに異なるように配置されていることを特徴とする、
請求項7に記載のエンコーダシステム。
【請求項15】
請求項1又は2に記載のエンコーダシステム(20)における読取ヘッド位置(p)を決定する方法であって、
・少なくとも1つの第1の位置センサ(1、1.1、1.2)のそれぞれの第1のセンサ位置(p1、p1.1、p1.2)と、前記少なくとも1つの第2の位置センサ(2、2.1、2.2)のそれぞれの第2のセンサ位置(p2、p2.1、p2.2)とを同時に検出する工程と、
・前記同時に検知されたそれぞれ他のセンサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)との比較によって、各センサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)の妥当性及び/又は説得力を検査する工程と、
・前記妥当な、及び/又は説得力のあるセンサ位置(p1、p1.1、p1.2、p2、p2.1、p2.2)に基づいて前記読取ヘッド位置(p)を決定する工程と、を備える方法。
【国際調査報告】