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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】僧帽弁尖クリップ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501810
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-29
(86)【国際出願番号】 US2022036959
(87)【国際公開番号】W WO2023287880
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/221,529
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ギース、トロイ アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】フレキング、マイケル マティアス
(72)【発明者】
【氏名】キリーン、ラリー マイケル
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC05
4C097DD06
4C097DD09
4C097DD10
4C097EE02
4C097EE06
4C097EE08
4C097EE11
4C097EE13
(57)【要約】
心臓弁尖を係合するための固定デバイスは、第1の端部、反対側の第2の端部、およびそれらの間に延在する長さを有する中心部材と、各々が第1の自由端部および反対側の第2の端部を有し、各アームの第2の端部が中心部材の第2の端部から延在し、第1および第2のアームが中心部材に隣接する第1の位置に付勢され、中心部材から離隔した第2の位置に移動可能である、第1および第2のアームと、第1および第2のアームを第1の位置から第2の位置に移動させるように構成されたアクチュエータとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓弁尖を係合するための固定デバイスであって、前記固定デバイスは、
第1の端部、反対側の第2の端部、およびそれらの間に延在する長さを有する中心部材と、
各々が第1の自由端および反対側の第2の端部を有する第1のアームおよび第2のアームであって、各アームの前記第2の端部が前記中心部材の前記第2の端部から延在し、前記第1のアームおよび前記第2のアームが、前記中心部材に隣接する第1の位置に付勢され、前記中心部材から離隔した第2の位置に移動可能である、第1のアームおよび第2のアームと、
前記第1のアームおよび前記第2のアームを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるように構成されたアクチュエータと、
を備える、固定デバイス。
【請求項2】
前記中心部材は、複数の半径方向に延在する突起を含む、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項3】
前記第1の位置にあるとき、前記第1のアームおよび前記第2のアームのそれぞれの少なくとも第1の部分が、前記突起と接触している、請求項2に記載の固定デバイス。
【請求項4】
前記中心部材の前記第1の端部が、カテーテルシャフトに取り外し可能に接続されるように構成された接続要素を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の固定デバイス。
【請求項5】
前記第1のアームおよび前記第2のアームは独立して作動可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の固定デバイス。
【請求項6】
前記アクチュエータが取り外し可能である、請求項1~5のいずれか一項に記載の固定デバイス。
【請求項7】
前記アクチュエータは取り外し可能であり、前記第1のアームに取り外し可能に接続された第1のワイヤと、前記第2のアームに取り外し可能に接続された第2のワイヤとを含む、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項8】
前記第1のアームは、前記第1のワイヤのループを受容するように構成された開口部を有し、前記第2のアームは、前記第2のワイヤのループを受容するように構成された開口部を有する、請求項7に記載の固定デバイス。
【請求項9】
各ワイヤの対向する自由端は、前記中心部材内のルーメンを通って延在し、前記自由端に加えられる引張力は、前記第1のアームおよび前記第2のアームを前記付勢された第1の位置から前記第2の位置に移動させ、前記引張力を解放することは、前記第1のアームおよび前記第2のアームが前記第1の位置に戻ることを可能にする、請求項8に記載の固定デバイス。
【請求項10】
前記アクチュエータは、前記第1のワイヤを介して前記第1のアームに取り外し可能に接続された第1の前方および後方ロッドと、前記第2のワイヤを介して前記第2のアームに取り外し可能に接続された第2の前方および後方ロッドとを含む、請求項7に記載の固定デバイス。
【請求項11】
前記第1のワイヤの対向する自由端は、前記第1の前方および後方ロッド内のルーメンを通って延在し、前記第2のワイヤの対向する自由端は、前記第2の前方および後方ロッド内のルーメンを通って延在する、請求項7に記載の固定デバイス。
【請求項12】
前記第1のワイヤの前記対向する自由端に加えられる引張力は、前記第1のアームを前記付勢された第1の位置から前記第2の位置に移動させ、前記第2のワイヤの前記対向する自由端に加えられる引張力は、前記第2のアームを前記付勢された第1の位置から前記第2の位置に移動させ、前記引張力を解放することは、前記第1または第2のアームが前記第1の位置に戻ることを可能にし、前記第1のアームおよび前記第2のアームは、一緒にまたは独立して作動されるように構成される、請求項11に記載の固定デバイス。
【請求項13】
前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤの単一の自由端に対する引張力が、それが接続されている前記前方および後方ロッドおよびアームから前記ワイヤを取り外すように、前記第1のワイヤが前記第1の前方および後方ロッド内に摺動可能に配置され、前記第2のワイヤが前記第2の前方および後方ロッド内に摺動可能に配置される、請求項12に記載の固定部材。
【請求項14】
前記第1のワイヤは、前記第1の前方および後方ロッドに取り外し可能に結合され、前記第2のワイヤは、前記第2の前方および後方ロッドに取り外し可能に結合され、前記第1の前方および後方ロッドを下方に押すことは、前記第1のアームを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させ、前記第2の前方および後方ロッドを押すことは、前記第2のアームを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させる、請求項11に記載の固定部材。
【請求項15】
前記第1のワイヤと前記第1の前方および後方ロッドとの間の前記取外し可能に結合された係合、ならびに前記第2のワイヤと前記第2の前方および後方ロッドとの間の前記取外し可能に結合された係合は、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤが前記第1の前方および後方ロッドおよび第2の前方および後方ロッドから結合解除され、近位方向に引っ張られることを可能にする、請求項14に記載の固定部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医療デバイスに関し、より詳細には、心臓弁修復のためのデバイス、およびそのような医療デバイスを使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、心臓弁を修復するために利用される医療デバイスを含む、多種多様な医療デバイスが、医療用途のために開発されている。これらの医療デバイスは、心臓弁および静脈弁を治療するために使用されてもよく、種々の異なる方法のうちのいずれか1つに従って製造および使用される。既知の医療装置および方法の各々は、特定の利点および欠点を有する。代替の医療デバイス、ならびに医療デバイスを製造および使用するための代替の方法を提供する必要性が続いている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、医療デバイスのための設計、材料、製造方法、および使用代替物を提供する。心臓弁尖を係合するための例示的な固定デバイスは、第1の端部、反対側の第2の端部、およびそれらの間に延在する長さを有する中心部材と、各々が第1の自由端および反対側の第2の端部を有する第1および第2のアームであって、各アームの第2の端部が中心部材の第2の端部から延在し、第1および第2のアームが中心部材に隣接する第1の位置に付勢され、中心部材から離隔した第2の位置に移動可能である、第1および第2のアームと、第1および第2のアームを第1の位置から第2の位置に移動させるように構成されたアクチュエータとを備える。
【0004】
上記した実施形態の代わりに、またはそれに加えて、中心部材ならびに第1および第2のアームはモノリシック構造である。
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、中心部材は、複数の半径方向に延びる突起を含む。
【0005】
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、第1の位置にあるとき、第1および第2のアームのそれぞれの少なくとも第1の部分は、突起と接触している。
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、中心部材の第1の端部は、カテーテルシャフトに取り外し可能に接続されるように構成された接続要素を含む。
【0006】
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、接続要素は、ねじ切りを含む。
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、第1及び第2のアームは、独立して作動可能である。
【0007】
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、アクチュエータは取り外し可能である。
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、アクチュエータは、第1のアームに取り外し可能に接続された第1のワイヤと、第2のアームに取り外し可能に接続された第2のワイヤとを含む。
【0008】
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、第1のアームは、第1のワイヤのループを受け入れるように構成された開口部を有し、第2のアームは、第2のワイヤのループを受け入れるように構成された開口部を有する。
【0009】
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、各ワイヤの対向する(opposing)自由端は、中心部材内のルーメンを通って延び、自由端に加えられる引張力は、第1および第2のアームを付勢された第1の位置から第2の位置に移動させ、引張力を解放することは、第1および第2のアームが第1の位置に戻ることを可能にする。
【0010】
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、各ワイヤは、各ワイヤの単一の自由端上の引張力がワイヤを第1および第2のアームならびに中心部材から取り外すように、中心部材内に摺動可能に配置される。
【0011】
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、アクチュエータは、第1のワイヤを介して第1のアームに取り外し可能に接続された第1の前方ロッドおよび後方ロッドと、第2のワイヤを介して第2のアームに取り外し可能に接続された第2の前方ロッドおよび後方ロッドとを含む。
【0012】
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、中心部材は、前方ロッドを摺動係合状態で受け入れるように構成された前方保持部材と、後方ロッドを摺動係合状態で受け入れるように構成された後方保持部材とを含む。
【0013】
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、第1のワイヤの対向する自由端は、第1の前方ロッドおよび後方ロッド内のルーメンを通って延在し、第2のワイヤの対向する自由端は、第2の前方ロッドおよび後方ロッド内のルーメンを通って延在する。
【0014】
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、第1のワイヤの対向する自由端に加えられる引張力は、第1のアームを付勢された第1の位置から第2の位置に移動させ、第2のワイヤの対向する自由端に加えられる引張力は、第2のアームを付勢された第1の位置から第2の位置に移動させ、引張力を解放することは、第1または第2のアームが第1の位置に戻ることを可能にし、第1および第2のアームは、一緒にまたは独立して作動されるように構成される。
【0015】
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、第1のワイヤは、第1の前方ロッドおよび第1の後方ロッド内に摺動可能に配置され、第2のワイヤは、第2の前方ロッドおよび第2の後方ロッド内に摺動可能に配置され、それにより、第1のワイヤおよび第2のワイヤの単一の自由端に対する引張力が、ワイヤを、それが接続されている前方ロッドおよび後方ロッドならびにアームから取り外す。
【0016】
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、第1のワイヤは第1の前方ロッドおよび第1の後方ロッドに取り外し可能に連結され、第2のワイヤは第2の前方ロッドおよび第2の後方ロッドに取り外し可能に連結され、第1の前方ロッドおよび第1の後方ロッドを下方に押すことにより、第1のアームが第1の位置から第2の位置に移動し、第2の前方ロッドおよび第2の後方ロッドを押すことにより、第2のアームが第1の位置から第2の位置に移動する。
【0017】
上記した実施形態のいずれかに代えて、またはそれに加えて、第1のワイヤと第1の前方ロッドおよび第1の後方ロッドとの間の取外し可能に結合された係合、ならびに第2のワイヤと第2の前方ロッドおよび第2の後方ロッドとの間の取外し可能に結合された係合は、第1のワイヤおよび第2のワイヤが、第1および第2の前方ロッドおよび後方ロッドから結合解除され、近位方向に引っ張られることを可能にする。
【0018】
心臓弁尖を係合するための別の例示的な固定デバイスは、第1の端部、反対側の第2の端部、およびそれらの間に延在する長さを有する中心部材と、中心部材の第2の端部から延在し、中心部材に隣接する第1の位置に付勢され、中心部材から離隔した第2の位置に移動可能な第1および第2のアームと、第1および第2のアームを第1の位置から第2の位置に移動させるように構成された取り外し可能なアクチュエータとを備え、アクチュエータは、第1および第2のアームを独立して作動させるように構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態、態様、および/または実施例の上記した概要は、本開示の各実施形態またはすべての実装形態を説明することを意図していない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】「正常な」心房弁を有する例示的な心臓の部分切欠図である。
図2】「異常な」心房弁を有する例示的な心臓の部分切欠図である。
図3】例示的な心臓弁固定デバイスの斜視図である。
図4】閉位置にある図3の例示的な固定デバイスの正面図である。
図5】開位置にある図3の例示的固定デバイスの正面図である。
図6】心臓弁に埋め込まれた図3の例示的な固定デバイスの部分切欠図である。
図7】固定デバイスを備えた図6の心臓弁の部分上面図である。
図8】別の例示的な心臓弁固定デバイスの斜視図である。
図9】閉位置にある図8の例示的な固定デバイスの正面図である。
図10】開位置にある図8の例示的な固定デバイスの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、添付の図面に関連して様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮することで、より完全に理解され得る。
本開示の態様は、様々な修正形態および代替形態を受け入れることができるが、それらの詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本開示の態様を説明される特定の実施形態に限定するものではないことを理解されたい。逆に、本発明は、本開示の精神および範囲内に入るすべての修正形態、均等物、および代替形態を包含するものである。
【0022】
以下に定義される用語については、特許請求の範囲または本明細書の他の箇所において異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
全ての数値は、本明細書において、明示的に示されているか否かにかかわらず、用語「約」によって修飾されると想定される。数値の文脈における「約」という用語は、一般に、当業者が引用された値と同等である(例えば、同じ機能または結果を有する)と考えられる数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数を含み得る。「約」という用語の他の使用(例えば、数値以外の文脈における)は、別段の指定がない限り、本明細書の文脈から理解され、本明細書の文脈と一致するように、それらの通常の慣習的な定義を有すると仮定され得る。
【0023】
端点による数値範囲の記載は、端点を含むその範囲内の全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。様々な構成要素、特徴および/または仕様に関するいくつかの適切な寸法、範囲および/または値が開示されているが、本開示によって引用された当業者は、所望の寸法、範囲および/または値が明示的に開示されたものから逸脱し得ることを理解するであろう。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「または」という用語は、内容が明らかに別のことを指示しない限り、「および/または」を含む意味で一般に使用される。理解を容易にするために、本開示の特定の特徴は、それらの特徴が開示された実施形態(複数可)内で複数または繰り返され得るとしても、単数形で説明され得ることに留意されたい。特徴の各事例は、そうではないと明示的に述べられていない限り、単数の開示(複数可)を含み、かつ/またはそれによって包含され得る。簡略化および明確化の目的のために、本開示のすべての要素が必ずしも各図に示されているわけではなく、または以下で詳細に論じられているわけではない。しかしながら、以下の説明は、そうでないと明示的に述べられていない限り、2つ以上の構成要素のいずれか、および/またはすべてに等しく適用され得ることが理解されるであろう。さらに、明確にするために、いくつかの要素または特徴のすべての例が各図に示されているわけではない。
【0025】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、それらの変形などの相対的な用語は、概して、デバイスのユーザ/オペレータ/マニピュレータに対する様々な要素の位置決め、方向、および/または動作に関して考慮されてもよく、「近位」および「後退」は、ユーザにより近いまたはユーザに向かうことを示しまたは参照し、「遠位」および「前進」は、ユーザからより遠いまたはユーザから離れることを示しまたは参照する。場合によっては、「近位」および「遠位」という用語は、本開示の理解を容易にするために任意に割り当てられてもよく、そのような場合は、当業者には容易に明らかになるであろう。「上流」、「下流」、「流入」、および「流出」などの他の相対的な用語は、体管腔、血管などのルーメン内、またはデバイス内の流体流の方向を指す。
【0026】
「範囲」という用語は、問題の範囲または寸法が、述べられたまたは特定された寸法の最小測定値を意味すると理解され得る「最小」によって先行されるかまたは「最小」として特定されない限り、述べられたまたは特定された寸法の最大測定値を意味すると理解され得る。例えば、「外側範囲」は最大外側寸法を意味すると理解されてもよく、「半径方向範囲」は最大半径方向寸法を意味すると理解されてもよく、「長手方向範囲」は最大長手方向寸法を意味すると理解されてもよい、などである。「範囲」の各例は異なっていてもよく(例えば、軸方向、長手方向、横方向、半径方向、円周方向など)、個々の用法の文脈から当業者には明らかであろう。一般に、「範囲(extent)」は、意図された用途に従って測定された可能な限り最大の寸法と考えられてもよく、「最小範囲(minimum extent)」は、意図された用途に従って測定された可能な限り最小の寸法と考えられてもよい。場合によっては、「範囲」は、概して、平面および/または断面内で直交して測定されてもよいが、特定の文脈から明らかになるように、限定されるものではないが、角度的に、半径方向に、円周方向に(例えば、弧に沿って)等、異なって測定されてもよい。
【0027】
「モノリシック(monolithic)」および「一体型(unitary)」という用語は、一般に、単一の構造または基本単位/要素から作られた、またはそれらからなる要素または複数の要素を指すものとする。モノリシックな要素および/または一体型の要素は、複数の個別要素を組み立てるか、または他の方法で接合することによって作られた構造および/または特徴を除外するものとする。
【0028】
本明細書における「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、すべての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含まなくてもよいことを示すことに留意されたい。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されているか否かにかかわらず、明確に反対のことが述べられていない限り、他の実施形態に関連して特定の特徴、構造、または特性をもたらすことは、当業者の知識の範囲内であろう。すなわち、以下で説明される様々な個々の要素は、特定の組合せで明示的に示されていなくても、当業者によって理解されるように、他の追加の実施形態を形成するために、または説明される実施形態(複数可)を補完および/または強化するために、互いに組合せ可能または配置可能であると考えられる。
【0029】
明確にするために、説明および/または特許請求の範囲の全体にわたって、ある特定の識別する数値命名法(例えば、第1、第2、第3、第4など)を使用して、様々な説明および/または特許請求の範囲の特徴を命名および/または区別する場合がある。数値命名法は限定を意図するものではなく、単なる例示であることを理解されたい。いくつかの実施形態において、簡潔さおよび明確さのために、以前に使用された数値命名法の変更およびそれからの逸脱が行われ得る。すなわち、「第1の」要素として識別された特徴は、後に「第2の」要素、「第3の」要素などと称されてもよく、または完全に省略されてもよく、および/または異なる特徴が「第1の」要素と称されてもよい。各例における意味および/または名称は、当業者には明らかであろう。
【0030】
以下の説明は、必ずしも縮尺通りではない図面を参照して読まれるべきであり、ここで、異なる図面における同様の要素には同じ番号が付されている。詳細な説明および図面は、本開示を例示することを意図しているが、本開示を限定することを意図していない。当業者は、説明および/または示される様々な要素が、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な組合せおよび構成で配置され得ることを認識するであろう。詳細な説明および図面は、本開示の例示的な実施形態を示す。しかしながら、明確さおよび理解の容易さのために、すべての特徴および/または要素が各図面に示されない場合があるが、特徴(複数可)および/または要素(複数可)は、別段の指定がない限り、それにかかわらず存在すると理解され得る。
【0031】
心血管系に影響を与える疾患および/または医学的状態は、世界中で流行している。いくつかの哺乳動物(例えば、ヒトなど)の心臓は、図1に示される例示的な心臓10に見られるように、4つの心臓弁、すなわち、三尖弁12、肺動脈弁14、大動脈弁16、および僧帽弁18を含む。心臓弁の目的は、下大静脈24および/または上大静脈26から心臓10に入り、心臓10を通り、心臓10から出て、例えば大動脈20、肺動脈22などの心臓10に接続された主要な血管に入る血流を制御することである。各心臓弁は、順行方向に心臓弁を通る流体の流れを可能にする開放構成と、弁尖の自由縁が共働して心臓弁を逆行方向に通る流体流を実質的に防止する閉鎖構成との間で移行するように構成された複数の弁尖を有し得る。心臓10はまた、左心房30、左心室40、右心房50、および右心室60を含み得る。左心室40は、左心室40の壁に付着および/またはそこから延在する第1の乳頭筋42と、左心室40の壁に付着および/またはそこから延在する第2の乳頭筋44と、第1の乳頭筋42および第2の乳頭筋44を僧帽弁18の弁尖19に接続する複数の腱索(cordae)46とを含み得る。正常に機能している心臓弁では、心臓弁が開いているとき(例えば、拡張期中)、血液は心臓弁を通って下流に(例えば、心房から心室に、心室から動脈になど)通過または流れることができ、心臓弁が閉じているとき(例えば、収縮期中)、血液は心臓弁を通って上流に(例えば、心室から心房になど)通過または逆流することが防止される。
【0032】
米国でおよそ160~280万人の人々が、心拍出量を妨げる房室心臓弁機能不全を有し、それは生活の質および寿命の低下を引き起こすものである。心臓疾患が進行するにつれて、乳頭筋を弁尖に接続する腱索が伸びて破裂し始める。いくつかの事例では、逆流(例えば、僧帽弁逆流)が生じると、心臓弁(例えば、僧帽弁18)は、適切に開放および/または閉鎖することができず、それにより血液が心臓弁を通って上流に(例えば、心室から心房等に)通過または逆流することになる。場合によっては、欠陥のある心臓弁は、図2に見られるように、閉鎖しないか、または完全に閉鎖することができない弁尖19を有する場合がある。
【0033】
逆流は、心血管系を通して送達される血液の適切な供給を妨げる。従来の心臓切開手術の解決策は、天然の腱索を模倣するために、拡張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)縫合糸を乳頭および弁尖に縫い付けることによって、伸張および断裂した腱索を置換することを含む。しかしながら、心臓切開手術は、重大な罹患率、合併症のリスク、および回復中の障害を伴う。低侵襲の解決策としては、経カテーテル的人工弁置換術があるが、抗凝固薬による生涯にわたる治療が必要となる。
【0034】
本明細書に開示されるのは、心血管系の一部を診断、治療、および/または修復するために使用され得る装置、医療デバイス、および/または方法である。開示された僧帽弁逆流治療方法(複数可)および関連する医療デバイス(複数可)は、低侵襲血管内技術を介して経皮的に、または開心術を使用する代替方法において、実行/使用され得る。本明細書に開示されるデバイスおよび方法はまた、以下でより詳細に説明されるように、いくつかのさらなる望ましい特徴および/または利益を提供し得る。本開示の目的上、以下の議論は僧帽弁18の修復に向けられたものであり、簡潔にするためにそのように記述する。しかしながら、これは、限定することを意図するものではなく、当業者であれば、以下の議論が、構造および/または本開示の範囲に対する変更を伴わずに、または最小限の変更を伴って、大動脈弁または別の心臓弁にも適用され得ることを認識するであろう。
【0035】
以下でより詳細に説明するように、図3は、僧帽弁逆流を修復するために拍動している心臓に低侵襲的に埋め込むように構成された弁尖クリップの形態の例示的な縁部間固定デバイス(edge-to-edge fixation device)100を示す。具体的には、図3は、中心部材110、第1および第2のアーム120、ならびに第1および第2のアクチュエータを含む、ワイヤ作動式固定デバイス100を図示する。図3に示す例では、アクチュエータは、第1および第2のワイヤ130である。他の例では、アクチュエータは、編組縫合糸またはケーブルであってもよい。中心部材110は、第1の端部112および第2の端部114を有してもよい。第1の端部112は、カテーテル140と取り外し可能に係合するための接続要素113を含むことができる。いくつかの実施例において、接続要素113は、送達カテーテル140の遠位端上のねじ切り(threading)と一致するねじ切りを含んでもよい。第1および第2のアーム120は、中心部材110の第2の端部114から延在してもよく、自由端121を有してもよい。中心部材110は、固定デバイス100が対向する弁尖と係合されるときに弁尖を保持するように構成された表面テクスチャを含んでもよい。いくつかの例において、表面テクスチャは、複数の半径方向に延在する突起116を含む。突起116は鋭利にされていてもよい。他の例において、中心部材110の表面は、粗面化またはテクスチャ加工されてもよい。
【0036】
いくつかの例において、中心部材110ならびに第1および第2のアーム120は、モノリシック構造として形成される。他の例において、第1および第2のアーム120は、別個に形成され、中心部材110に取り付けられてもよい。アーム120は、中心部材110よりも可撓性である材料から作製されてもよい。
【0037】
図3および図4に示される例において、第1および第2のワイヤ130は、中心部材110の全長に延在するルーメンを通って延在してもよい。各ワイヤ130の第1の端部は、中心部材110の第2の端部114においてルーメンを出て、次いで、各アーム120内の溝またはチャネル126に沿って移動してもよい。ワイヤ130は、アーム120の開口部128に通されてループ132を形成し、次いで、チャネル126およびルーメンに沿ってカテーテル140を通って戻り、各ワイヤ130の自由端がカテーテル140の近位に位置するようになっていてもよい。
【0038】
各アーム120の少なくとも一部分は可撓性であり、図4に示されるような第1の閉鎖位置と、図5に示されるような第2の完全開放位置との間で移動するように構成され得る。第1の位置において、各アーム120の少なくとも第1の部分122は、突起116に密接に隣接する。いくつかの例において、各アーム120の第1の部分122は、突起116と直接接触していてもよい。突起116の自由端は、固定デバイス100を弁尖19に固定するのを助けるために、鈍くする(blunt)、テーパ状にする(tapered)、または尖らせる(sharpened)ことができる。各アーム120は、その全長に沿って同一の可撓性を有していてもよい。他の例において、各アーム120の第1の部分122は剛性であってもよく、各アーム120の第2の部分124は可撓性であってもよく、これによりアーム120を第2の位置に移動させることができる。アーム120は第1の位置に付勢されてもよく、同第1の位置において、アーム120は、中心部材110の長手方向軸に対して0度の角度位置で同中心部材110に実質的に平行である。アーム120は、ワイヤ130の端部を引っ張ることによって作動され得る。ループ132がアーム120の開口部128に係合するとき、矢印134によって示されるワイヤ130の端部に対する上向きの引張力は、矢印136によって示される下向きの力に変換される。ワイヤ130を上方に引っ張り続けると、アーム120は、0度から、図5に示すような第2の全開位置にある180度の位置の範囲にわたり移動するであろう。アーム120は、0度から180度の間の任意の角度位置に移動させることができる。アーム120は、2本のワイヤ130の4つの自由端すべてを同時に引っ張ることによって同時に作動させることができる。各アーム120は、そのアームに接続されたワイヤ130の2つの自由端を引っ張ることによって別々に作動させることもできる。
【0039】
カテーテル140に取り付けられた固定デバイス100は、第1の位置にある間に、血管系を通して心臓に挿入されてもよい。これは、ワイヤ130を送達時に弛緩した状態にできるという利点を提供する。他の例において、固定デバイス100は、図5に示されるように、アーム120を第2の位置に保つためにワイヤ130が張力下に保持された状態で、第2の位置にある間に送達されてもよい。治療される弁内に配置されると、固定デバイス100は、両方のアーム120を同時に作動させることによって、両方の弁尖19に同時に固定され得るか、または弁尖19は、アーム120を連続して作動させることによって、1つずつ固定され得る。弁尖を1つずつ固定することは、特に心臓が拍動しており弁尖が動いているときには、より容易であり得る。弁尖に同時にまたは1つずつ固定される固定デバイス100の可撓性は、操作者が特定の患者の弁の解剖学的構造に望ましい移植プロセスを選択することを可能にするという利点を提供する。
【0040】
第1の位置にある固定デバイス100が弁内に配置されると、第1のアーム120上のワイヤ130を引っ張って、アーム120を中心部材110に対して少なくとも45度の角度まで開くことができる。固定されるべき弁尖の位置に応じて、アーム120は、90度のようなより大きな角度、または完全に開いた位置にある180度まで、開いてもよい。第1の弁尖19が中心部材110に隣接して配置されると、第1のアーム120に接続された第1のワイヤ130の端部が解放され、第1のアーム120が第1の位置に戻ることが可能になり、アーム120の第1の部分122と中心部材110との間に第1の弁尖19を捕捉する。次に、第2のアーム120に接続されたワイヤ130を引っ張って、第2のアーム120を少なくとも45度、又は最大90~180度まで開くことができる。次いで、第2の弁尖19が中心部材110に隣接するように固定デバイス100を移動させ得る。次いで、第2のアーム120に接続されたワイヤ130が解放され、第2のアームが第1の位置に戻ることが可能になり、第2のアーム120の第1の部分122と中心部材110との間に第2の弁尖19を捕捉する。固定デバイス100の位置を調整する必要があることが超音波イメージングによって示される場合、ワイヤ130を引っ張ってアーム120の一方または両方を開き、それによって弁尖19を解放し、再調整することができる。固定デバイス100を除去する場合、図5に示されるように、両方のアーム120を第2の位置に移動させるようにワイヤ130を引っ張り、固定デバイス100の除去のために両方の弁尖19を解放することができる。固定デバイス100が所望の位置にあり、両方の弁尖19が2つのアーム120によって固定されているとき、各ワイヤ130の一方の端部を引っ張って、ワイヤを固定デバイス100からカテーテル140を通して取り出すことができる。次いで、カテーテル140は、ねじ接続113を緩めることによって取り外すことができる。結果として埋め込まれた固定デバイス100を図6に示す。以前にワイヤ130を保持していた中心部材110の第1の端部112におけるルーメンへの開口部は、デバイスを通って延びる血流のための別の導管となることを回避するために、プラグで充填され得る。固定デバイス100は、恒久的なインプラントであってもよく、中心部材110およびアーム120を被覆するポリエステルメッシュなどの組織成長(ingrowth)促進材料を含んでもよい。いくつかの実施例において、メッシュは、組織成長促進物質を含んでもよい。
【0041】
固定デバイス100のアーム120は、図6に示されるように、心臓が拍動するときの弁の開閉時に各アーム120の第1の部分122が弁尖19をアーム120と中心部材110との間にしっかりと保持するのに十分な力で、第1の閉鎖位置に付勢される。固定デバイス100は、図7に示すように、弁18が開くと、固定デバイス100によって保持されていない弁尖19の部分が開いて血液の通過を可能にするように、各弁尖19の中央領域に配置されてもよい。
【0042】
別の実施形態において、縁部間固定デバイス200は、図8図10に示すように、アーム220を作動させるためにケーブルまたはワイヤ230と組み合わされたプッシュロッド250を含むことができる。具体的には、図8は、中心部材210、第1および第2のアーム220、ならびに第1および第2のアクチュエータを含む、ロッド作動式固定デバイス200を示す。図8に示す例において、アクチュエータは、中心部材210に摺動可能に接続された複数のロッド250a、250b、250c、250d(集合的に250)と、第1および第2のケーブルまたはワイヤ230とを含む。中心部材210は、固定デバイス100を参照して上述したねじ係合等、カテーテルと取り外し可能に係合するための接続要素を有してもよい。中心部材210は、前面211および後面の両方にロッドリテーナ215を有してもよく、それを通ってロッド250が摺動してもよい。いくつかの実施形態において、前方および後方ロッドは、2つのルーメンを有する単一ロッドに合わせられてもよく、同ルーメンの一方は、ケーブルまたはワイヤの前方部分を受容するためのものであり、他方は、ケーブルまたはワイヤの後方部分を受容するためのものである(図示せず)。ロッドは、中心部材210内のルーメンを貫通して配置されてもよい。
【0043】
第1および第2のアーム220の各々は、中心部材210の第2の端部214から延在してもよく、自由端221を有してもよい。中心部材210は、固定デバイス200が対向する弁尖と係合されるときに弁尖を保持するように構成された表面テクスチャを含んでもよい。いくつかの例において、表面テクスチャは、複数の半径方向に延在する突起216を含む。突起216は、鈍くする、テーパ状にする、または尖らせることができる。他の例において、中心部材210の表面は、粗面化またはテクスチャ加工されてもよい。
【0044】
いくつかの例において、中心部材210ならびに第1および第2のアーム220は、モノリシック構造として形成される。他の例において、第1および第2のアーム220は、別個に形成され、中心部材210に取り付けられてもよい。アーム220は、中心部材210よりも可撓性である材料から作製されてもよい。
【0045】
図8および図9に示す例において、各アーム220は、それに摺動可能に関連付けられた、前方ロッド250a、250cと、後方ロッド250b、250dとを有する。いくつかの例において、各ロッド250はルーメンを有し、第1のワイヤ230は、1つの前方ロッド250a、250cを通り、アーム220内の開口部228を通って延在し、ループ232を形成し、1つの後方ロッド250b、250dを通って延在する。ワイヤ230は、各ワイヤ230の自由端が体外でカテーテルの近位に位置するように、送達カテーテル(図示せず)を通って延在してもよい。アーム220は、上述のアーム120と同一の可撓性プロファイルを有してもよく、図8および9に示されるような第1の閉鎖位置と、図10に示されるような第2の完全開放位置との間で移動するように構成される。第1の位置において、アーム220の各々の少なくとも第1の部分222は、突起216に密接に隣接する。いくつかの例において、各アーム220の第1の部分222は、突起216と直接接触していてもよい。各アーム220は、その全長に沿って同一の可撓性を有してもよい。他の例において、各アーム220の第1の部分222は剛性であってもよく、各アーム220の第2の部分224は可撓性であってもよく、これによりアーム220を第2の位置に移動させることができる。アーム220は、第1の位置に付勢される。
【0046】
いくつかの例において、ワイヤ230は、ロッド250に取り外し可能に結合されてもよく、アーム220は、ロッド250を下向きに押すことによって第2の位置に作動されてもよく、これは、ワイヤループ232からの下向きの力に変換され、アーム220を第2の位置に引き下げる。ワイヤ230は、ロッド250の近位端に取り外し可能に結合されてもよく、それにより、固定デバイス200が所定の位置に配置されると、ワイヤ230は、ロッド250から容易に分離され、取り外され得る。ワイヤ230がロッド250から除去された後、ロッドは、ロッドリテーナ215から近位に引き抜かれ得る。
【0047】
他の例において、ワイヤ230はロッド250を通って摺動してもよく、アーム220は、ロッド250が定位置に保持されている間にワイヤ230の端部を引っ張ることによって第2の位置に作動されてもよい。ループ232がアーム220の開口部228に係合すると、ワイヤ230の端部にかかる上向きの引張力が下向きの力に変換される。
【0048】
さらなる例において、ワイヤ230は、図9に示される開口部228の位置でロッド250の底端部およびアーム220に枢動接続(pivot connection)によって接続された剛性リンク機構(rigid linkage)によって置き換えられてもよい。開口部228の位置におけるアーム220への剛性リンク機構の枢動接続は、取り外し可能であってもよく、剛性リンク機構および関連付けられたロッド250の取り外しを可能にする。他の例において、接続は恒久的であってもよく、ロッド250の下側部分およびリンク機構は固定デバイス200の恒久的部分であってもよく、ロッド250の上側部分のみが中心部材210の上部のクイックコネクト接続において取り外し可能であってもよい。
【0049】
上記の構成のいずれにおいても、アーム220は、図10に示すように、ある範囲の位置を通って第2の全開位置に移動する。アーム220は、2つのワイヤ230および/またはロッド250の4つすべての自由端を引っ張ることによって一緒に作動させることができる。各アーム220は、そのアームに接続されたワイヤ230および/またはロッド250の2つの自由端を引っ張ることによって別々に作動させることもできる。
【0050】
いくつかの例において、ロッド250およびワイヤ230は、移植後に固定デバイス200から取り外すことができる。ワイヤ230は、一端を引っ張り、ロッドにワイヤを通すことによって取り外されてもよい。ロッド250は、上方に引っ張られ、ロッドリテーナ215から抜け出させることができる。いくつかの例において、中心部材210と接触しているロッド250の部分は、中心部材210に固定されてもよく、ロッド250は、中心部材110の上端に、ねじ接続などのクイックコネクト接続を有してもよい。ロッド250の上部は、中心部材210に接続されたロッド250の下部を残して、ねじを緩めることによって取り外されてもよい。
【0051】
固定デバイス200は、固定デバイス100を参照して上述したのと同じ方法で、第1の位置もしくは第2の位置のいずれか、またはそれらの間の任意の位置において、血管系を通して心臓に挿入されてもよい。治療される弁内に配置されると、固定デバイス200は、両方の弁尖19に同時に固定され得るか、または弁尖19が1つずつ固定され得る。弁尖を1つずつ固定することは、特に心臓が拍動し、かつ弁尖が動いているときに、より容易であり得る。弁尖に同時にまたは1回に1つずつ固定される固定デバイス200の可撓性は、操作者が特定の患者に望ましい移植プロセスを選択することを可能にするという利点を提供する。
【0052】
第1の位置にある固定デバイス200が弁内に配置されると、第1のアーム220上のワイヤ230および/またはロッド250を引っ張って、アーム220を中心部材210に対して少なくとも45度の角度まで開くことができる。固定されるべき弁尖の位置に応じて、アーム220は、90度のようなより大きな角度、あるいは完全に開いた位置にある180度まで、開くことができる。弁尖が中心部材210に隣接して配置されると、第1のアーム220に接続された第1のワイヤ230および/またはロッド250の端部が解放され、第1のアーム220が第1の位置に戻ることが可能になり、アーム220の第1の部分222と中心部材210との間で第1の弁尖を捕捉することができる。次いで、第2のアーム220に接続されたワイヤ230および/またはロッド250を引っ張って、第2のアーム220を少なくとも45度、または最大で90度~180度まで開くことができる。次に、第2の弁尖19が中心部材210に隣接するように固定デバイス200を移動させることができる。次いで、第2のアーム220に接続されたワイヤ230および/またはロッド250が解放され、第2のアームが第1の位置に戻ることが可能になり、第2のアーム220の第1の部分222と中心部材210との間で第2の弁尖19を捕捉する。固定デバイス200の位置を調整する必要があることが超音波イメージングによって示される場合、アーム220の一方または両方を開くことができ、それによって弁尖19が解放され、再調整が可能になる。固定デバイス200を除去する場合、ワイヤ230および/またはロッド250は、図10に示されるように、アーム220を第2の位置に移動させるべく引っ張られる。固定デバイス200が所望の位置にあり、両方の弁尖19が2つのアーム220によって固定されている場合、ワイヤ230およびロッド250は、上記のように除去され得るか、または保持され得る。その結果、移植された固定デバイス200は、図6に示すように、心臓の拍動に伴う弁の開閉時、各アーム220の第1の部分222がアーム220と中心部材210との間に弁尖19をしっかりと保持するのに十分な力でアーム220が第1の閉位置に付勢された状態にある。突起216の自由端は、固定デバイス200を弁尖19に固定するのを助けるために、鈍くする、テーパ状にする、または尖らせることができる。
【0053】
固定デバイス200は、恒久的なインプラントであってもよく、中心部材210およびアーム220を被覆するポリエステルメッシュ等の組織成長促進材料を含んでもよい。いくつかの実施例において、メッシュは、組織成長促進物質を含んでもよい。
【0054】
対向する心臓弁尖(および/または本明細書に開示される他のシステムもしくは構成要素)を固定するための固定デバイス100、200の様々な構成要素、ならびに本明細書に開示されるその様々な要素に使用され得る材料は、医療デバイスに一般的に関連付けられるものを含み得る。簡単にするために、以下の説明は、固定デバイス100(および本明細書に開示される変形例、システム、または構成要素)を参照する。しかしながら、この議論は、本明細書に開示される他の要素、部材、構成要素、またはデバイスに適用され得るので、これは、本明細書に説明されるデバイスおよび方法を限定することを意図しない。
【0055】
いくつかの実施形態において、塞栓固定デバイス100(および本明細書に開示されるその変形例、システム、または構成要素)は、金属、金属合金、セラミック、ジルコニア、ポリマー(そのいくつかの例が以下に開示される)、金属-ポリマー複合材、それらの組み合わせ等、または他の好適な材料から作製されてもよい。適切な金属および合金のいくつかの例としては、444V、444L、および314LVステンレススチールなどのステンレス鋼;軟鋼;線形弾性および/または超弾性ニチノールなどのニッケル-チタン合金;コバルトクロム合金;チタンおよびその合金、アルミナ、ダイヤモンド・ライク・コーティング(DLC)または窒化チタン・コーティングを施した金属、ニッケル-クロム-モリブデン合金などの他のニッケル合金(例えば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)などのUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのUNS:R44035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)などのUNS:N10665)、その他のニッケル-クロム合金、その他のニッケル-モリブデン合金、その他のニッケル-コバルト合金、その他のニッケル-鉄合金、その他のニッケル-銅合金、その他のニッケル-タングステンまたはタングステン合金など;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R44003);白金富化ステンレス鋼;チタン;白金;パラジウム;金;これらの組み合わせなど;または任意の他の適切な材料が挙げられる。
【0056】
本明細書で言及されるように、市販のニッケル-チタンまたはニチノール合金のファミリー内には、「線形弾性」または「非超弾性」と称されるカテゴリーがあり、これは、従来の形状記憶および超弾性の種類と化学的に類似し得るが、別個の有用な機械的特性を示し得る。線形弾性および/または非超弾性ニチノールは、線形弾性および/または非超弾性ニチノールが、その応力/歪み曲線において、超弾性ニチノールが示すような実質的な「超弾性プラトー」または「フラグ領域」を示さないという点で、超弾性ニチノールと区別され得る。代わりに、線形弾性および/または非超弾性ニチノールにおいて、回復可能なひずみが増加するにつれて、応力は、塑性変形が始まるまで、実質的に線形、またはいくらかであるが必ずしも完全に線形においてない関係で、あるいは少なくとも、超弾性ニチノールで見られ得る超弾性プラトーおよび/またはフラグ領域より線形である関係で、増加し続ける。したがって、本開示の目的のために、線形弾性および/または非超弾性ニチノールはまた、「実質的に」線形弾性および/または非超弾性ニチノールと称されてもよい。
【0057】
場合によっては、線形弾性および/または非超弾性ニチノールはまた、線形弾性および/または非超弾性ニチノールが、実質的に弾性のままでありながら(例えば、塑性変形前に)、最大約2~5%の歪みを受け入れることができるのに対し、超弾性ニチノールは、塑性変形前に最大約8%の歪みを受け入れることができるという点で、超弾性ニチノールと区別することができる。これらの材料は両方とも、塑性変形前に約0.2~0.44パーセントの歪みしか許容できないステンレス鋼(その組成に基づいて区別することもできる)などの他の線形弾性材料と区別することができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、広い温度範囲にわたって示差走査熱量測定(DSC)および動的金属熱分析(DMTA)分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化を示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態において、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金において、摂氏約-60度(℃)~約120℃の範囲で、DSCおよびDMTA分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化がなくてもよい。したがって、そのような材料の機械的曲げ特性は、一般に、この非常に広い温度範囲にわたる温度の影響に対して不活性であり得る。いくつかの実施形態において、周囲温度または室温での線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金の機械的曲げ特性は、例えば、それらが超弾性プラトーおよび/またはフラグ領域を示さないという点で、体温での機械的特性と実質的に同じである。例えば、広い温度範囲にわたって、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、その線形弾性および/または非超弾性の特徴および/または特性を維持する。
【0059】
いくつかの実施形態において、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、約50~約60重量パーセントのニッケルの範囲であってもよく、残りは本質的にチタンである。いくつかの実施形態において、組成は、約54~約57重量パーセントのニッケルの範囲である。好適なニッケル-チタン合金の一例は、日本国神奈川県所在の古河テクノマテリアルから市販されているFHP-NT合金である。他の適切な材料は、ULTANIUM(商標)(Neo-Metricsから入手可能)およびGUMMETAL(商標)(Toyotaから入手可能)を含むことができる。いくつかの他の実施形態において、超弾性合金、例えば、超弾性ニチノールを、所望の特性を達成するために使用することができる。
【0060】
少なくともいくつかの実施形態において、固定デバイス100(および本明細書に開示されるその変形例、システム、または構成要素)の一部または全部はまた、放射線不透過性材料でドープされるか、放射線不透過性材料から作製されるか、または別様に放射線不透過性材料を含んでもよい。放射線不透過性材料は、医療処置中に蛍光透視スクリーンまたは別の撮像技術で比較的明るい画像を生成することができる材料であると理解される。この比較的明るい画像は、固定デバイス100(および本明細書に開示されるその変形例、システム、または構成要素)の位置を決定する際にユーザを補助する。放射線不透過性材料のいくつかの例としては、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填材が充填されたポリマー材料などが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、他の放射線不透過性マーカバンドおよび/またはコイルもまた、同じ結果を達成するために、固定デバイス100(および本明細書に開示されるその変形例、システム、または構成要素)の設計に組み込まれてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態において、固定デバイス100(および本明細書に開示されるその変形例、システム、または構成要素)および/またはその一部は、ポリマーまたは他の好適な材料から作製されてもよく、またはそれを含んでもよい。好適なポリマーのいくつかの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、DuPontから入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、Polyurethane 85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステル系コポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートおよび/またはDuPontから入手可能なHYTREL(登録商標)などの他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、Bayerから入手可能なDURETHAN(登録商標)またはElf Atochemから入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商標名PEBAX(登録商標)で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex(登録商標)高密度ポリエチレン、Marlex(登録商標)低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMS American Grilonから入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBSおよび/またはSIBS 50A)、ポリカーボネート、アイオノマー、ポリウレタン・シリコーンコポリマー(例えば、AorTech BiomaterialsのElast-Eon(登録商標)およびAdvanSource BiomaterialsのChronoSil(登録商標))、生体適合性ポリマー、その他の適切な材料、またはそれらの混合物、組み合わせ、そのコポリマー、ポリマー/金属複合体などが挙げられる。いくつかの実施形態において、シースは、液晶ポリマー(LCP)と混合することができる。例えば、混合物は約6%までのLCPを含有することができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、固定デバイス100(および本明細書に開示されるその変形例、システム、または構成要素)は、適切な治療薬を含んでもよく、および/または好適な治療薬で処理されてもよい。適切な治療剤のいくつかの例としては、抗血栓剤(ヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、およびPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)など);抗増殖剤(エノキサパリン、アンギオペプチン、平滑筋細胞増殖を遮断することができるモノクローナル抗体、ヒルジン、およびアセチルサリチル酸など);抗炎症剤(デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、およびメサラミンなど);抗新生物/抗増殖/抗有糸分裂剤(パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンジオスタチン、およびチミジンキナーゼ阻害剤など);麻酔剤(リドカイン、ブピバカイン、およびロピバカインなど);抗凝固剤(D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、およびダニ抗血小板ペプチドなど);血管細胞増殖促進剤(増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写活性化剤、翻訳促進剤など);血管細胞増殖阻害剤(増殖因子阻害剤、増殖因子受容体アンタゴニスト、転写抑制剤、翻訳抑制剤、複製阻害剤、阻害抗体、増殖因子に対する抗体、増殖因子と細胞毒素からなる二機能性分子、抗体と細胞毒素からなる二機能性分子など);コレステロール低下剤;血管拡張剤;内因性血管作動性機構を妨害する薬剤が挙げられる。
【0063】
本開示は、多くの点で例示的なものにすぎないことを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、詳細において、特に形状、サイズ、およびステップの配置に関して変更を行うことができる。これは、適切である範囲で、他の実施形態で使用される1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含むことができる。本開示の範囲は、当然ながら、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓弁尖を係合するための固定デバイスであって、前記固定デバイスは、
第1の端部、反対側の第2の端部、およびそれらの間に延在する長さを有する中心部材と、
各々が第1の自由端および反対側の第2の端部を有する第1のアームおよび第2のアームであって、各アームの前記第2の端部が前記中心部材の前記第2の端部から延在し、前記第1のアームおよび前記第2のアームが、前記中心部材に隣接する第1の位置に付勢され、前記中心部材から離隔した第2の位置に移動可能である、第1のアームおよび第2のアームと、
前記第1のアームおよび前記第2のアームを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させるように構成されたアクチュエータと、
を備える、固定デバイス。
【請求項2】
前記中心部材は、複数の半径方向に延在する突起を含む、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項3】
前記第1の位置にあるとき、前記第1のアームおよび前記第2のアームのそれぞれの少なくとも第1の部分が、前記突起と接触している、請求項2に記載の固定デバイス。
【請求項4】
前記中心部材の前記第1の端部が、カテーテルシャフトに取り外し可能に接続されるように構成された接続要素を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の固定デバイス。
【請求項5】
前記第1のアームおよび前記第2のアームは独立して作動可能である、請求項1~のいずれか一項に記載の固定デバイス。
【請求項6】
前記アクチュエータが取り外し可能である、請求項1~のいずれか一項に記載の固定デバイス。
【請求項7】
前記アクチュエータは取り外し可能であり、前記第1のアームに取り外し可能に接続された第1のワイヤと、前記第2のアームに取り外し可能に接続された第2のワイヤとを含む、請求項1に記載の固定デバイス。
【請求項8】
前記第1のアームは、前記第1のワイヤのループを受容するように構成された開口部を有し、前記第2のアームは、前記第2のワイヤのループを受容するように構成された開口部を有する、請求項7に記載の固定デバイス。
【請求項9】
各ワイヤの対向する自由端は、前記中心部材内のルーメンを通って延在し、前記自由端に加えられる引張力は、前記第1のアームおよび前記第2のアームを前記付勢された第1の位置から前記第2の位置に移動させ、前記引張力を解放することは、前記第1のアームおよび前記第2のアームが前記第1の位置に戻ることを可能にする、請求項8に記載の固定デバイス。
【請求項10】
前記アクチュエータは、前記第1のワイヤを介して前記第1のアームに取り外し可能に接続された第1の前方および後方ロッドと、前記第2のワイヤを介して前記第2のアームに取り外し可能に接続された第2の前方および後方ロッドとを含む、請求項7に記載の固定デバイス。
【請求項11】
前記第1のワイヤの対向する自由端は、前記第1の前方および後方ロッド内のルーメンを通って延在し、前記第2のワイヤの対向する自由端は、前記第2の前方および後方ロッド内のルーメンを通って延在する、請求項10に記載の固定デバイス。
【請求項12】
前記第1のワイヤの前記対向する自由端に加えられる引張力は、前記第1のアームを前記付勢された第1の位置から前記第2の位置に移動させ、前記第2のワイヤの前記対向する自由端に加えられる引張力は、前記第2のアームを前記付勢された第1の位置から前記第2の位置に移動させ、前記引張力を解放することは、前記第1または第2のアームが前記第1の位置に戻ることを可能にし、前記第1のアームおよび前記第2のアームは、一緒にまたは独立して作動されるように構成される、請求項11に記載の固定デバイス。
【請求項13】
前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤの単一の自由端に対する引張力が、それが接続されている前記前方および後方ロッドおよびアームから前記ワイヤを取り外すように、前記第1のワイヤが前記第1の前方および後方ロッド内に摺動可能に配置され、前記第2のワイヤが前記第2の前方および後方ロッド内に摺動可能に配置される、請求項12に記載の固定デバイス
【請求項14】
前記第1のワイヤは、前記第1の前方および後方ロッドに取り外し可能に結合され、前記第2のワイヤは、前記第2の前方および後方ロッドに取り外し可能に結合され、前記第1の前方および後方ロッドを下方に押すことは、前記第1のアームを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させ、前記第2の前方および後方ロッドを押すことは、前記第2のアームを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させる、請求項11に記載の固定デバイス
【請求項15】
前記第1のワイヤと前記第1の前方および後方ロッドとの間の前記取外し可能に結合された係合、ならびに前記第2のワイヤと前記第2の前方および後方ロッドとの間の前記取外し可能に結合された係合は、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤが前記第1の前方および後方ロッドおよび第2の前方および後方ロッドから結合解除され、近位方向に引っ張られることを可能にする、請求項14に記載の固定デバイス
【国際調査報告】