(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】心臓弁を送達システムと位置合わせするための位置合わせツール
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501811
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022036650
(87)【国際公開番号】W WO2023287687
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】オコナー、ティム
(72)【発明者】
【氏名】ハノン、エンダ
(72)【発明者】
【氏名】ラードナー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ローナン、デクラン
(72)【発明者】
【氏名】コフィー、ピアース エイ.
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB04
(57)【要約】
ステントを装着するための位置合わせツールは、複数のアームを含み、各アームは、シャフトに対する第1の角度付き形態と、第2の真っすぐな形態との間で移動可能な係合領域を有するシャフトを有し、各係合領域は、ステントホルダと嵌合するように成形される内面を有する。位置合わせツールはさらに、複数のアームを受容するように構成されたルーメンを有するロックリングであって、各アームの係合領域が露出されて角度付き形態に付勢される第1の後退位置と、ロックリングが係合領域の少なくとも一部の上に延在して係合領域を真っすぐな形態に圧縮する第2のロック位置との間でアーム上を摺動するように構成されたロックリングを含む。位置合わせツールはまた、ロックリングをロック位置に付勢するように構成されたばねを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントを装着するための位置合わせツールであって、
係合領域を含む第1の端および反対側の第2の端を有するシャフトを各々が有する複数のアームであって、各係合領域が、前記シャフトに対する第1の角度付き形態と第2の真っすぐな形態との間で移動可能である、複数のアームと、
前記複数のアームを受容するように構成されたルーメンを有するロックリングであって、各アームの前記係合領域が露出されて前記角度付き形態に付勢される第1の後退位置と前記ロックリングが前記係合領域の少なくとも一部の上に延在して前記係合領域を前記真っすぐな形態に圧縮する第2のロック位置との間で前記アーム上を摺動するように構成されたロックリングと、
前記ロックリングを前記ロック位置に付勢するように構成されたばねと、を備える位置合わせツール。
【請求項2】
各係合領域は、前記係合領域の自由端から前記アームの前記第2の端に向かって延在する長手方向スリットを有し、前記長手方向スリットは、前記角度付き形態にあるときに前記係合領域が拡張することを可能にする、請求項1に記載の位置合わせツール。
【請求項3】
各アームは、前記係合領域の側面に切欠き領域を含み、互いに隣接するアームの前記切欠き領域は、前記互いに隣接するアームが前記真っすぐな形態にあるときに開口部を形成し、前記開口部は、ステントループを受容するように構成される、請求項1または2に記載の位置合わせツール。
【請求項4】
前記ロックリングは、前記開口部の上に配置されるように構成された少なくとも1つの拡大レンズを含む、請求項3に記載の位置合わせツール。
【請求項5】
前記ロックリングが透明である、請求項1~4のいずれか一項に記載の位置合わせツール。
【請求項6】
各アームは、前記シャフトの前記第2の端に拡大部を有し、前記拡大部は、前記ばねの直径よりもさらに半径方向外向きに延在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の位置合わせツール。
【請求項7】
各アームは、前記拡大部から間隔を介して、隆起した横断リブを有する、請求項6に記載の位置合わせツール。
【請求項8】
前記ロックリングは、前記ルーメンの中に延在する後方肩部を含み、前記後方肩部は、前記ロックリングが前記第2のロック位置にあるときに前記横断リブに係合するように構成される、請求項7に記載の位置合わせツール。
【請求項9】
前記ロックリングは、前記ルーメンの中に延在する前方肩部を含み、前記前方肩部は、前記アームに沿って摺動し、前記アームの前記係合領域を前記角度付き形態から前記真っすぐな形態に移動させるように構成される、請求項8に記載の位置合わせツール。
【請求項10】
前記ロックリングは、前記アームの前記係合領域に隣接して配置された前端と、反対側の後端とを有し、前記ロックリングは、前記前端の直径よりも大きい直径を有する拡大されたフレア状の後端を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の位置合わせツール。
【請求項11】
各係合領域は、ステントホルダと嵌合するように成形された内面を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の位置合わせツール。
【請求項12】
少なくとも前記複数のアームの前記第2の端において、各アームの側縁が隣接するアームの側縁に当接することによって前記複数のアームを通って延在するチャネルを画定する、請求項1~11のいずれか一項に記載の位置合わせツール。
【請求項13】
各アームの前記側縁は、各アームの前記係合領域を除く全ての領域において、各シャフトの長さに沿って隣接するアームの側縁に当接する、請求項12に記載の位置合わせツール。
【請求項14】
ステントをステントホルダ上に装着するための位置合わせツールであって、
係合領域を含む第1の端および拡大された第2の端を有するシャフトを各々が有する複数のアームであって、各係合領域は、前記シャフトに対する第1の角度付き形態と第2の真っすぐな形態との間で移動可能であり、少なくとも前記拡大された第2の端において各アームの側縁が隣接するアームの側縁に当接してチャネルを画定する、複数のアームと、
前記複数のアームの前記シャフトを受容するように構成されたルーメンを有するロックリングであって、各アームの前記係合領域が露出されて前記角度付き形態に付勢される第1の後退位置と前記ロックリングが前記係合領域の少なくとも一部の上に延在して前記係合領域を前記真っすぐな形態に圧縮する第2のロック位置との間で前記アーム上を摺動するように構成されたロックリングと、
前記ロックリングを前記ロック位置に付勢するように構成されたばねと、を含む位置合わせツール。
【請求項15】
位置合わせツールを使用してステントホルダ上にステントを装着する方法であって、
複数の終端ループを有する前記ステントを、前記終端ループが配置される複数のピンを有する前記ステントホルダに挿入するステップと、
前記位置合わせツールを前記ステントホルダ上に配置するステップであって、前記位置合わせツールは、
係合領域を含む第1の端および反対側の第2の端を有するシャフトを各々が有する複数のアームであって、各係合領域は、前記シャフトに対する第1の角度付き形態と第2の真っすぐな形態との間で移動可能であり、各係合領域は、前記ステントホルダと嵌合するように成形された内面を有し、各アームは、前記係合領域の側面に切欠き領域を含み、互いに隣接するアームの前記切欠き領域は、ステントループおよびピンを受容するように構成された開口部を形成する、複数のアームと、
前記複数のアームを受容するように構成されたルーメンを有するロックリングであって、各アームの前記係合領域が、露出されて前記ステントホルダを受容するための装着ゾーンを形成する前記角度付き形態に付勢される第1の後退位置と、前記ロックリングが、前記係合領域の少なくとも一部の上に延在し、前記係合領域を前記ステントホルダを固定するための前記真っすぐな形態に圧縮する第2のロック位置との間で前記アーム上を摺動するように構成されたロックリングと、
前記ロックリングを前記ロック位置に付勢するように構成されたばねと、を含み、
前記ステントホルダ上の前記ピンが前記係合領域内の前記開口部の中に受容されるように、前記ロックリングが前記第1の後退位置にある状態で、前記位置合わせツールが前記ステントホルダ上に配置される、ステップと、
前記ロックリングを解放して前記ロックリングが前記ロック位置に移動することを可能にし、各アームの前記係合領域をその真っすぐな形態に移動させるステップと、
前記ステントを前進させ、各ピン上に1つのステントループを移動させるステップと、
前記ステントを前記ステントホルダ上に圧縮するステップと、
前記位置合わせツール上の前記ロックリングを前記後退位置に移動させて、前記ステントホルダを解放するステップと、
前記位置合わせツールを前記ステントホルダおよび前記ステントから取り外すステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療装置に関し、より詳細には、送達システムへの装着中に心臓弁を位置合わせするための装置、およびそのような医療装置の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、疾患のある心臓弁の修復または置換のための人工心臓弁を含む、多種多様な医療装置が、医療用途のために開発されている。人工心臓弁は、送達システム内に装着される際に正確に位置合わせされなければならない。既知の医療装置および方法の各々は、特定の利点および欠点を有する。代替的な医療装置、ならびに医療装置を製造および使用するための代替的な方法を提供する継続的な必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、医療装置のための設計、材料、製造方法、および使用の代替物を提供する。ステントを装着するための例示的な位置合わせツールは、係合領域を含む第1の端および反対側の第2の端を有するシャフトを各々が有する複数のアームであって、各係合領域がシャフトに対する第1の角度付き形態と第2の真っすぐな形態との間で移動可能である複数のアームと、複数のアームを受容するように構成されたルーメンを有するロックリングであって、各アームの係合領域が露出されて角度付き形態に付勢される第1の後退位置とロックリングが係合領域の少なくとも一部の上に延在して係合領域を真っすぐな形態に圧縮する第2のロック位置との間でアーム上を摺動するように構成されたロックリングと、ロックリングをロック位置に付勢するように構成されたばねとを含む。
【0004】
上記の実施形態の代わりに、またはそれに加えて、各係合領域は、係合領域の自由端からアームの第2の端に向かって延在する長手方向スリットを有し、長手方向スリットは、角度付き形態にあるときに係合領域が拡張することを可能にする。
【0005】
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、各アームは、係合領域の側面に切欠き領域を含み、互いに隣接するアームの切欠き領域は、互いに隣接するアームが真っすぐな形態にあるときに開口部を形成し、開口部は、ステントループを受容するように構成される。
【0006】
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、ロックリングは、開口部の上に位置づけられるように構成された少なくとも1つの拡大レンズを含む。
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、ロックリングは透明である。
【0007】
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、各アームは、シャフトの第2の端に拡大部を有し、拡大部は、ばねの直径よりもさらに半径方向外向きに延在する。
【0008】
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、各アームは、拡大部から間隔を介して、隆起した横断リブを有する。
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、ロックリングはルーメンの中に延在する後方肩部を含み、後方肩部は、ロックリングが第2のロック位置にあるときに横断リブに係合するように構成される。
【0009】
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、ロックリングは、ルーメンの中に延在する前方肩部を含み、前方肩部は、アームに沿って摺動し、アームの係合領域を角度付き形態から真っすぐな形態に移動させるように構成される。
【0010】
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、複数のアームの各々は同一である。
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、ロックリングは、アームの係合領域に隣接して配置される前端と、反対側の後端とを有し、ロックリングは、前端の直径よりも大きい直径を有する拡大したフレア状の後端を有する。
【0011】
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、各係合領域は、ステントホルダと嵌合するように成形された内面を含む。
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、少なくとも複数のアームの第2の端において、各アームの側縁は、隣接するアームの側縁に当接することによって、複数のアームを通って延在するチャネルを画定する。
【0012】
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、各アームの側縁は、各アームの係合領域を除くすべての領域において、各シャフトの長さに沿って隣接するアームの側縁に当接する。
【0013】
ステントをステントホルダ上に装着するための別の例示的な位置合わせツールは、係合領域を含む第1の端および拡大した第2の端を有するシャフトを各々が有する複数のアームであって、各係合領域がシャフトに対する第1の角度付き形態と第2の真っすぐな形態との間で移動可能であり、少なくとも拡大した第2の端において各アームの側縁が隣接するアームの側縁に当接してチャネルを画定する、複数のアームと、複数のアームのシャフトを受容するように構成されたルーメンを有するロックリングであって、各アームの係合領域が露出されて角度付き形態に付勢される第1の後退位置とロックリングが係合領域の少なくとも一部の上に延在して係合領域を真っすぐな形態に圧縮する第2のロック位置との間でアーム上を摺動するように構成された、ロックリングと、ロックリングをロック位置に付勢するように構成されたばねとを含む。
【0014】
上記の実施形態の代わりに、またはそれに加えて、各アームは、係合領域の側面に切欠き領域を含み、互いに隣接するアームの切欠き領域は、互いに隣接するアームが真っすぐな形態にあるときに開口部を形成し、開口部は、ステントループを受容するように構成される。
【0015】
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、各アームは、拡大部から間隔を介して、隆起した横断リブを有し、すべてのアーム上の隆起した横断リブは、全体として、隆起したリングを形成する。
【0016】
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、ロックリングはルーメンの中に延在する後方肩部を含み、後方肩部は、ロックリングが第2のロック位置にあるときに隆起したリングに係合するように構成される。
【0017】
上記の実施形態のいずれかの代わりに、またはそれに加えて、ロックリングは、ルーメンの中に延在する前方肩部を含み、前方肩部は、アームに沿って摺動し、アームの係合領域を角度付き形態から真っすぐな形態に移動させるように構成される。
【0018】
位置合わせツールを使用してステントホルダ上にステントを装着する例示的な方法は、複数の末端ループを有するステントを、末端ループが配置される複数のピンを有するステントホルダに挿入するステップと、位置合わせツールをステントホルダの上に配置するステップとを含み、位置合わせツールは、係合領域を含む第1の端および反対側の第2の端を有するシャフトを各々が有する複数のアームであって、各係合領域は、シャフトに対する第1の角度付き形態と第2の真っすぐな形態との間で移動可能であり、各係合領域は、ステントホルダと嵌合するように成型された内面を有し、各アームは、係合領域の側面に切欠き領域を含み、互いに隣接するアームの切欠き領域は、ステントループおよびピンを受容するように構成された開口部を形成する、複数のアームと、複数のアームを受容するように構成されたルーメンを有するロックリングであって、各アームの係合領域が露出されてステントホルダを受容するための装着ゾーンを形成する角度付き形態に付勢される第1の後退位置とロックリングが係合領域の少なくとも一部の上に延在して係合領域をステントホルダが固定される真っすぐな形態に圧縮する第2のロック位置との間でアームの上を摺動するように構成されたロックリングと、ロックリングをロック位置に付勢するように構成されたばねとを含み、位置合わせツールは、ステントホルダ上のピンが係合領域の開口部内に受容されるように、ロックリングが第1の後退位置にある状態で、ステントホルダ上に配置される。本方法はさらに、ロックリングを解放してロック位置に移動させるステップと、各アームの係合領域をその真っすぐな形態に移動させるステップと、ステントを前進させて各ピン上に1つのステントループを移動させるステップと、ステントをステントホルダ上に圧縮するステップと、位置合わせツール上のロックリングを後退位置に移動させてステントホルダを解放するステップと、位置合わせツールをステントホルダおよびステントから取り外すステップとを含む。
【0019】
いくつかの実施形態、態様、および/または例の上記の概要は、本開示の各実施形態またはすべての実装を説明することを意図しているわけではない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示は、添付の図面に関連して以下の様々な実施形態の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解され得る。
【
図1A】圧縮前にステントホルダ上のピンに隣接して位置づけられたステントループを示す。
【
図1B】ステントループがピン上に正確に位置合わせされ、圧縮された状態の
図1Aのステントホルダおよびステントを示す。
【
図1C】ステントループがピンの隣にずれて圧縮された状態の
図1Aのステントホルダおよびステントを示す。
【
図2】開位置にある例示的な位置合わせツールの斜視図である。
【
図3】閉位置にある
図2の位置合わせツールの斜視図である。
【
図5】開位置にある
図2の位置合わせツールの部分切欠図である。
【
図6】閉位置にある
図2の位置合わせツールの部分切欠図である。
【
図7】開位置にある
図2の位置合わせツールの部分切欠図である。
【
図8】閉位置にある
図2の位置合わせツールの部分切欠図である。
【
図9】
図2の位置合わせツールの1つのアームの一部の拡大図である。
【
図10】ステントホルダが挿入された状態の
図2の位置合わせツールの斜視図である。
【0021】
本開示の態様は、様々な修正形態および代替形態を受け入れることができるが、それらの詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本開示の態様を説明される特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。逆に、本発明は、本開示の趣旨および範囲内に入るすべての修正形態、均等物、および代替形態を包含するものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に定義される用語については、特許請求の範囲または本明細書の他の箇所において異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
全ての数値は、本明細書において、明示的に示されているか否かにかかわらず、「約」という用語によって修飾されると想定される。数値の文脈における「約」という用語は、全般的に、当業者が列挙された値と同等である(例えば、同じ機能または結果を有する)と考えるであろう数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められる数を含み得る。「約」という用語の他の使用(例えば、数値以外の文脈における)は、別段の指定がない限り、本明細書の文脈から理解され、本明細書の文脈と一致するように、それらの通常の慣習的な定義を有すると想定され得る。
【0023】
端点による数値範囲の記載は、端点を含むその範囲内の全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。様々な構成要素、特徴、および/または仕様に関するいくつかの適切な寸法、範囲、および/または値が開示されているが、本開示によって触発される当業者は、所望の寸法、範囲、および/または値が明示的に開示されたものから逸脱し得ることを理解するであろう。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、「または」という用語は、内容が明らかに他のことを示さない限り、「および/または」を含む意味で全般的に使用される。理解を容易にするために、本開示の特定の特徴は、それらの特徴が開示された実施形態内で複数または繰り返され得るとしても、単数形で説明され得ることに留意されたい。特徴の各例は、そうではないと明示的に述べられていない限り、単数の開示を含み、かつ/またはそれによって包含され得る。簡略化および明確性の目的のために、本開示のすべての要素が必ずしも各図に示されているわけではなく、または以下で詳細に説明されているわけでもない。しかしながら、以下の説明は、そうでないと明示的に述べられていない限り、1つより多く存在する構成要素のいずれかおよび/またはすべてに等しく適用され得ることが理解されるであろう。さらに、明確にするために、いくつかの要素または特徴のすべての例が各図に示されているわけではない。
【0025】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、それらの変形などの相対的な用語は、全般的に、装置のユーザ/オペレータ/マニピュレータに対する様々な要素の位置決め、方向、および/または動作に関して考慮されてもよく、「近位」および「後退」は、ユーザにより近いまたはユーザに向かうことを示すか指し、「遠位」および「前進」は、ユーザからより遠いまたはユーザから離れることを示すか指す。場合によっては、「近位」および「遠位」という用語は、本開示の理解を容易にするために任意に割り当てられてもよく、そのような場合は、当業者には容易に明らかになるであろう。「上流」、「下流」、「流入」、および「流出」などの他の相対的な用語は、体管腔、血管などの管腔内、または装置内の流体流の方向を指す。
【0026】
「範囲」という用語は、問題の範囲または寸法が、述べられたまたは特定された寸法の最小測定値を意味すると理解され得る「最小」によって先行されるかまたは「最小」として特定されない限り、述べられたまたは特定された寸法の最大測定値を意味すると理解され得る。例えば、「外側範囲」は最大の外側寸法を意味すると理解されてもよく、「半径方向範囲」は最大の半径方向寸法を意味すると理解されてもよく、「長手方向範囲」は最大の長手方向寸法を意味すると理解されてもよい、などである。「範囲」の各例は異なっていてもよく(例えば、軸線方向、長手方向、横方向、半径方向、周方向など)、個々の用法の文脈から当業者には明らかであろう。全般的に、「範囲」は、意図された用途に従って測定された可能な限り最大の寸法と考えられてもよく、一方、「最小範囲」は、意図された用途に従って測定された可能な限り最小の寸法と考えられてもよい。場合によっては、「範囲」は、全般的に、平面および/または断面内で直角に測定されてもよいが、特定の文脈から明らかになるように、限定ではないが、角度的に、半径方向に、周方向に(例えば、弧に沿って)など、異なって測定されてもよい。
【0027】
「モノリシック(monolithic)」および「ユニタリ(unitary)」という用語は、全般的に、単一の構造またはベースユニット/要素から作製されるか、またはそれから成る、1つまたは複数の要素を指すものとする。モノリシックおよび/またはユニタリ要素は、複数の別個の要素を一緒に組み立てるか、または別様に接合することによって作製される構造および/または特徴を除外するものとする。
【0028】
本明細書における「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、すべての実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造、または特性を含まなくてもよいことを示すことに留意されたい。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されているか否かにかかわらず、そうでないと明確に述べられていない限り、他の実施形態に関連してその特定の特徴、構造、または特性をもたらすことは、当業者の知識の範囲内であろう。すなわち、以下で説明される様々な個々の要素は、特定の組合せで明示的に示されていなくても、当業者によって理解されるように、他の追加の実施形態を形成するために、または説明される実施形態を補完および/または強化するために、互いに組合せ可能または配置可能であると考えられる。
【0029】
明確性の目的のために、説明および/または特許請求の範囲の全体にわたって、ある特定の識別する数値命名法(例えば、第1、第2、第3、第4など)を使用して、様々な説明および/または特許請求の範囲の特徴を命名および/または区別する場合がある。数値命名法は限定を意図するものではなく、単なる例示であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、簡潔性および明確性のために、以前に使用された数値命名法の変更およびそれからの逸脱が行われ得る。すなわち、「第1の」要素として識別された特徴は、後に「第2の」要素、「第3の」要素などと称される場合があり、または完全に省略される場合があり、および/または異なる特徴が「第1の」要素と称される場合がある。各例における意味および/または名称は、当業者には明らかであろう。
【0030】
以下の説明は、必ずしも縮尺通りではない図面を参照して読まれたく、異なる図面における同様の要素には同じ番号が付されている。詳細な説明および図面は、本開示を例示することを意図しているが、本開示を限定することを意図していない。当業者は、説明され、および/または示される様々な要素が、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な組合せおよび構成で配置され得ることを認識するであろう。詳細な説明および図面は、本開示の例示的な実施形態を示す。しかしながら、明確性および理解の容易さのために、すべての特徴および/または要素が各図面に示されない場合があるが、特徴および/または要素は、別段の指定がない限り、それにかかわらず存在すると理解され得る。
【0031】
米国特許第8,992,608号明細書に記載されている置換弁および拡張可能なアンカーなどの現在の人工心臓弁は、米国特許第10,245,145号明細書および第10,682,228号明細書に記載されているものなどの送達カテーテル内に正確に装着されなければならない(これらの開示は参照により本明細書に援用される)。人工心臓弁は、移植直前に送達カテーテル内で圧縮されて正確に位置合わせされなければならない、ループを有するステント部分を含んでもよい。装着ステップは、複雑かつ困難である場合があり、全般的に、カテーテル検査室(Catheter Lab)において発生する。ステントホルダ上のピンおよびステント上のループを含む構成要素は、小さく、見て正確な位置合わせを達成することは困難である。位置合わせステップに関連する困難性は、誤装着が識別された場合には装着時間に関して、および/または誤装着が識別されなかった場合には最適でないインプラントの位置決めに関する臨床結果に関して、悪影響を伴う弁の誤装着のリスクを増大させる。1回の誤装着のみが一般的に許容され、2回目の誤装着の後、弁および送達システムは廃棄されなければならない。人工心臓弁および関連するステントの装着は、移植処置の重要な部分であり、改善が望まれる。
【0032】
本出願人らは、人工心臓弁のステント部分と送達システムとの正確な位置合わせを容易にして、円滑な準備を可能にし、装着プロセスを迅速化する自動位置合わせツールを開発した。弁と送達システムとの自動位置合わせは、個人が弁を装着するのを助け、加圧されたカテーテル検査室環境におけるストレスおよび不安を低減させる。いくつかの例では、装着される心臓弁は、Boston ScientificのACURATE(商標)大動脈弁システムなどの経カテーテル大動脈弁置換(TAVR)であってもよい。
【0033】
図1A~1Cは、心臓弁のステント部分の送達装置への装着および生じ得るいくつかの厄介な問題を示す。弁の遠位端におけるステント部分のループ5は、送達システムの構成要素であるステントホルダ9の上のピン7と正確に位置合わせされなければならない。
図1Aは、ステントの圧縮前にステントホルダ9の上のピン7と係合するように位置合わせされるように移動する必要があるループ5を示す。ループおよびピンは小さく、見るのが困難である。例えば、ループは1.5mmであってもよく、ピンは0.5mm(それぞれ0.060インチおよび0.020インチ)であってもよく、これはほぼボールペンチップのサイズであり、それによって正確な位置合わせが困難となる。
図1Bは、ピン7の上へのループ5の正確な位置合わせおよびステントの圧縮を示す。弁の装着の失敗につながり得る厄介な問題は、
図1Cに示されるように、3つの弁ループ5のうちの1つがステントホルダ上の3つのピン7のうちの1つと位置合わせされないときである。次いで、弁が装着ツール3によって圧縮されるとき、3つのループの全てが3つのピンと正しく係合されることなく、弁をステントホルダ9の上に被覆する可能性がある。いったん装置が被覆されると、いかなるずれも見ることが困難であり得る。この装置が臨床シナリオにおいて配置された場合、弁の位置決めおよび同軸位置合わせが損なわれ得る。責任は、カテーテル検査室においていかなるずれも識別するように弁を装着する個人にあり、したがって、位置合わせは、ストレスおよび不安の重要な原因となり得る。問題が識別されたとしても、弁装着手順を最初から再開しなければならず、医師が装着された弁を待っており、TAVR手順の時間が延長されるシナリオにつながる。
【0034】
以下でより詳細に説明するように、
図2は、複数のアーム110およびロックリング150を含み、アーム110が開位置にある例示的な位置合わせツール100を示す。各アーム110は、係合領域112を画定する第1の端と、反対側の第2の端114とを有してもよい。
図2に示される例は、3つのアーム110を含む。
図2の位置合わせツール100は、ロックリング150が後退位置にあり、アーム110の係合領域112が付勢された開放形態にある状態で示されている。係合領域112内の各アーム110の側面は、以下により詳細に説明されるように、ステントループおよびピンを受容するように構成される、切欠き領域117を含んでもよい。
図3は、アーム110が閉位置にある位置合わせツール100を示している。ロックリング150は前方ロック位置にあり、アーム110の係合領域112は真っすぐな形態にあり、互いに隣接するアーム110の切欠き領域117は開口部119を形成する。いくつかの例では、ロックリング150は透明であってもよく、これにより、ユーザが開口部119の中のピンおよびステントループの位置合わせを見ることがより容易になり得る。他の例では、ロックリング150は、ピンおよびステントループを位置合わせするのを助けるために、開口部119の上に配置されるように構成された少なくとも1つの拡大レンズ155を含んでもよい。いくつかの例では、各ステントループおよびピンをより容易に見ることを可能にするように、拡大レンズ155が、各開口部119を覆って位置付けられてもよい。位置合わせツール100は、ロックリング150を前方ロック位置に付勢するように構成されたばね180を含んでもよい。他の例では、ロックリング150は、どの位置に移動しても保持するように、摩擦嵌合でアーム110に沿って移動することができる。
【0035】
アーム110およびロックリング150の詳細は、
図4の分解図に示されている。各アーム110は、係合領域112を含む第1の端と、反対側の第2の端部114とを有するシャフト116を有してもよい。係合領域112は、
図2に示されるようなシャフト116に対する第1の角度付き形態と、
図3に示されるような第2の真っすぐな形態との間で移動可能であってもよい。係合領域112は、可撓性ヒンジ115によってシャフト116に接合されてもよい。係合領域112は、係合領域112がシャフト116の長手方向軸線から半径方向外向きに延在する角度付き形態に付勢されてもよい。係合領域112は、係合領域112がシャフト116と軸線方向に位置合わせされる真っすぐな形態に移動されてもよい。係合領域112の上でロックリング150を摺動させることにより、
図3に示されるように、係合領域112を真っすぐな形態に移動させるのに十分な力が提供される。
【0036】
各アーム110は、シャフト116の第2の端に拡大部114を有してもよく、拡大部114は、ばね180の直径よりもさらに半径方向外向きに延在する。各アーム110の拡大部114は、使用中にそれを把持するのを助けるために、隆起部を含むか、またはテクスチャ加工された表面を有してもよい。各アーム110は、単一のモノリシック部品であってもよい。他の例では、係合領域112は、別個に形成され、付勢された角度付き形態においてシャフト116に接合されてもよい。いくつかの例では、各アーム110の内面は、アーム110が互いに隣接して位置づけられたときにチャネル118を形成するように湾曲していてもよい。チャネル118は、ステントホルダ(図示せず)の一部を受容するようにサイズ決定されてもよい。各アーム110はまた、拡大部114から間隔を介して、隆起した横断リブ113を含んでもよい。いくつかの例では、複数のアーム110の全ての構造は、同一であってもよい。アーム110が互いに隣接して位置づけられるとき、各アーム110上の横断リブ113は、全体として周方向リブまたはリング113を形成し得る。図に示す例では、位置合わせツール100は、3つのアーム110を含む。
【0037】
ロックリング150は、
図2および3に示されるように、摺動係合でアーム110を受容するように構成されるルーメン152を画定してもよい。いくつかの例では、ロックリング150は、
図4に示されるように2つの半体で形成され、アーム110の上で一緒に固定されてもよい。他の例では、ロックリング150は、単一のモノリシック要素であってもよい。ロックリング150は、各アーム110の係合領域112が露出され、角度付き形態に付勢される第1の後退位置(
図2)と、ロックリング150が係合領域112の少なくとも一部の上に延在し、係合領域112を真っすぐな形態に圧縮する第2のロック位置(
図3)との間で、アーム110の上を摺動するように構成されてもよい。ロックリング150は、ルーメン152の中に延在する、後方肩部154および前方肩部156を含んでもよい。いくつかの例では、ロックリング150は、ばね180を受容するように構成された凹部158を含んでもよい。
【0038】
図5および
図6は、開放形態(
図5)と閉鎖形態(
図6)との間で係合領域112を作動させるための、アーム110の上でのロックリング150の摺動運動を示す。図では、内部構造の詳細を示すために、1つのアーム110およびロックリング150の半分が取り除かれている。アーム110の内面によって画定されるチャネル118は、ステントホルダ(図示せず)を受容するように構成される位置合わせ装置100を貫通して延在する。開放形態では、ロックリング150は、アーム110の拡大部114に向かって押され、ばね180を圧縮してロックリング150の前端151をヒンジ115の後方の位置に移動させることで、係合領域112が、
図5に示されるように、付勢された角度付き形態に移動することを可能にする。いくつかの例では、ロックリング150は、ロックリング150を把持して開放形態へと後方に移動させるのを助けるために、テーパ状またはフレア状の後端153を有してもよい。フレア状の後端153は、ロックリング150の前端151の直径より大きい直径を有してもよい。ロックリング150を解放することにより、ばね180が伸張することが可能となり、それによって、
図6に示すように、後方肩部154がリブ113に係合するまでロックリング150が前方に押される。リブ113は、ロックリング150がアーム110から滑り落ちるのを防止することができる。ロックリング150が前方に移動するにつれて、前方肩部156は、アーム110に沿って摺動し、係合領域112を下方に押して、係合領域112がシャフト116と実質的に位置合わせされる真っすぐな形態にする。アーム110の拡大部114は、ばね180のための後方停止部を形成してもよい。いくつかの例では、拡大部114は、ばね180の一部に係合する凹部を含んでもよい。
【0039】
複数のアーム110が、
図7および
図8に示されるように、側縁が当接した状態で互いに隣接して位置づけられ、ロックリング150の内側にあるとき、各アーム110の側縁は、
図7に示されるように、各アーム110の係合領域112を除く全ての領域において、各シャフト116の長さに沿って隣接するアーム110の側縁部に当接してもよい。
図7および
図8では、内部構造の詳細を示すために、ロックリング150の半分が取り除かれている。互いに隣接するアーム110の切欠き領域117は、
図8に示すように、互いに隣接するアーム110が真っすぐな形態にあるときに開口部119を形成する。開口部119は、ステントホルダ上のピンおよび心臓弁のステント部分上のステントループを受容するように構成されてもよい。いくつかの例では、開口部119は、ステントループを開口部の中に案内するのを助けるために面取りされた導入部120を有してもよい。
【0040】
図9は、1つのアーム110の係合領域112の拡大図であり、切欠き領域117を示している。いくつかの例では、アーム110の端の内面上に保持領域121が形成される。保持領域121は、ステントホルダの形状と一致または嵌合するように成形されてもよい。保持領域121は、位置合わせツール100に対するステントホルダの回転を防止するために、ステントホルダ上のスロットに係合するように構成された内側突出部122を含んでもよい。係合領域112は、係合領域112の自由端からアーム110の拡大部114に向かって延在する長手方向スリット124を有してもよい。長手方向スリット124は、角度付き形態にあるときに係合領域112が拡張することを可能にし得る。ロックリング150を前方ロック位置に移動させることにより、長手方向スリット124が圧縮され、ステントホルダの周囲のアームの係合領域112の内径を減少させてもよい。
【0041】
位置合わせツール100は、ステントまたは人工心臓弁上の末端ステントループをステントホルダ上のピンと位置合わせさせる際にユーザを支援するために使用されてもよい。位置合わせツールの使用方法は、複数の終端ループを有する心臓弁またはステントを、終端ループが配置される複数のピンを有するステントホルダに挿入するステップを含んでもよい。次に、
図10に示すように、上述した位置合わせツール100をステントホルダ190の上に配置することができる。位置合わせツール100は、ステントホルダ上のピンが係合領域112の中の開口部119の中に受容されるように、ロックリング150が第1の後退位置にある状態で、ステントホルダ190の上に配置されてもよい。ロックリングが解放され、ロック位置に移動することが可能になり、各アームの係合領域112をその真っすぐな形態に移動させることによって、ステントホルダ190を固定する。ステントは、ピンの上に位置合わせされたステントループと位置合わせするように移動され得る。次に、ステントをステントホルダ上に圧縮し、ロックリングを位置合わせツール上で後退位置に移動させてステントホルダを解放する。次いで、位置合わせツールは、ステントホルダおよびステントから取り除かれてもよく、ステント装着プロセスが継続される。
【0042】
いくつかの実施形態では、位置合わせツール100(および本明細書に開示されるその変形例、システム、または構成要素)の1つ以上の構成要素は、金属、金属合金、セラミック、ジルコニア、ポリマー(そのいくつかの例が以下に開示される)、金属-ポリマー複合材、それらの組み合わせなど、または他の好適な材料から作製されてもよい。好適な金属および金属合金のいくつかの例としては、444V、444L、および314LVステンレス鋼などのステンレス鋼;軟鋼;線形弾性および/または超弾性ニチノールなどのニッケル-チタン合金;コバルトクロム合金、チタンおよびその合金、アルミナ、ダイヤモンド様コーティング(DLC)または窒化チタンコーティングした金属、ニッケル-クロム-モリブデン合金などの他のニッケル合金(例えば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(商標)などのUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(商標)400、NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(商標)などのUNS:R44035)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)などのUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステンまたはタングステン合金など;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R44003);白金強化ステンレス鋼;チタン;白金;パラジウム;金;これらの組み合わせ;同等のもの;または任意の他の好適な材料が挙げられる。
【0043】
本明細書で示唆されるように、市販のニッケル-チタン合金またはニチノール合金のファミリーの中には、「線形弾性」または「非超弾性」と称されるカテゴリーがあり、これは、従来の形状記憶および超弾性種と化学的に類似し得るが、別個の有用な機械的特性を示し得る。線形弾性および/または非超弾性ニチノールが、その応力/歪み曲線において、超弾性ニチノールが示すような実質的な「超弾性プラトー」または「フラグ領域」を示さないという点で、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは、超弾性ニチノールと区別され得る。代わりに、線形弾性および/または非超弾性ニチノールでは、回復可能な歪みが増加するにつれて、応力は、塑性変形が始まるまで、実質的に線形、またはいくらかであるが必ずしも完全に線形ではない関係で、あるいは少なくとも、超弾性ニチノールで見られ得る超弾性プラトーおよび/またはフラグ領域より線形である関係で、増加し続ける。したがって、本開示の目的のために、線形弾性および/または非超弾性ニチノールはまた、「実質的に」線形弾性および/または非超弾性ニチノールと称されてもよい。
【0044】
また、場合によっては、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは、実質的に弾性のままでありながら(例えば、塑性変形前に)、最大約2~5%の歪みを許容することができるが、超弾性ニチノールは、塑性変形前に最大約8%の歪みを許容することができるという点で、線形弾性および/または非超弾性ニチノールは超弾性ニチノールと区別することができる。これらの材料は両方とも、塑性変形前に約0.2~0.44パーセントの歪みしか許容できないステンレス鋼(その組成に基づいて区別することもできる)などの他の線形弾性材料と区別することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、広い温度範囲にわたって示差走査熱量測定(DSC)および動的金属熱分析(DMTA)分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化を示さない合金である。例えば、いくつかの実施形態では、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金において、約-60℃~約120℃の範囲で、DSCおよびDMTA分析によって検出可能なマルテンサイト/オーステナイト相変化がなくてもよい。したがって、そのような材料の機械的曲げ特性は、全般的に、この広い温度範囲にわたる温度の影響に対して不活性であり得る。いくつかの実施形態では、周囲温度または室温での線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金の機械的曲げ特性は、例えば、それらが超弾性プラトーおよび/またはフラグ領域を示さないという点で、体温での機械的特性と実質的に同じである。例えば、広い温度範囲にわたって、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、その線形弾性および/または非超弾性の性質および/または特性を維持する。
【0046】
いくつかの実施形態では、線形弾性および/または非超弾性ニッケル-チタン合金は、約50~約60重量パーセントニッケルの範囲であってもよく、残りは本質的にチタンである。いくつかの実施形態では、組成は、約54~約57重量パーセントニッケルの範囲である。好適なニッケル-チタン合金の一例は、日本国神奈川県所在の古河テクノマテリアル社から市販されているFHP-NT合金である。他の好適な材料としては、ULTANIUM(商標)(Neo-Metricsから入手可能)およびGUM METAL(登録商標)(Toyotaから入手可能)が挙げられる。いくつかの他の実施形態では、所望の特性を達成するために、超弾性合金、例えば、超弾性ニチノールが使用されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、位置合わせツール100の1つ以上の構成要素(および本明細書に開示されるその変形例、システム、または構成要素)は、ポリマーまたは他の好適な材料から作製されてもよく、またはそれを含んでもよい。好適なポリマーのいくつかの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えば、DuPontから入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、Polyurethane 85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSM Engineering Plasticsから入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステル系コポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタラートおよび/またはDuPontから入手可能なHYTREL(登録商標)などの他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、Bayerから入手可能なDURETHAN(登録商標)またはElf Atochemから入手可能なCRISTAMID(商標))、エラストマーポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、PEBAX(登録商標)の商品名で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、Marlex(登録商標)高密度ポリエチレン、Marlex(登録商標)低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンテレフタレラート(PET)、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン12(EMS American Grilonから入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBSおよび/またはSIBS 50A)、ポリカーボネート、イオノマー、ポリウレタンシリコーンコポリマー(例えば、AorTech BiomaterialsからのElast-Eon(商標)またはAdvanSource BiomaterialsからのChronoSil(商標))、生体適合性ポリマー、他の好適な材料、またはそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材などが挙げられる。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマー(LCP)と混合されてもよい。例えば、混合物は最大約6%のLCPを含有してもよい。
【0048】
本開示は、多くの点で例示的なものにすぎないことを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、詳細に、特に形状、サイズ、およびステップの配置に関して変更を行うことができる。これは、適切な範囲で、他の実施形態で使用される1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含んでもよい。本開示の範囲は、当然ながら、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントを装着するための位置合わせツールであって、
係合領域を含む第1の端および反対側の第2の端を有するシャフトを各々が有する複数のアームであって、各係合領域が、前記シャフトに対する第1の角度付き形態と第2の真っすぐな形態との間で移動可能である、複数のアームと、
前記複数のアームを受容するように構成されたルーメンを有するロックリングであって、各アームの前記係合領域が露出されて前記角度付き形態に付勢される第1の後退位置と前記ロックリングが前記係合領域の少なくとも一部の上に延在して前記係合領域を前記真っすぐな形態に圧縮する第2のロック位置との間で前記アーム上を摺動するように構成されたロックリングと、
前記ロックリングを前記ロック位置に付勢するように構成されたばねと、を備える位置合わせツール。
【請求項2】
各係合領域は、前記係合領域の自由端から前記アームの前記第2の端に向かって延在する長手方向スリットを有し、前記長手方向スリットは、前記角度付き形態にあるときに前記係合領域が拡張することを可能にする、請求項1に記載の位置合わせツール。
【請求項3】
各アームは、前記係合領域の側面に切欠き領域を含み、互いに隣接するアームの前記切欠き領域は、前記互いに隣接するアームが前記真っすぐな形態にあるときに開口部を形成し、前記開口部は、ステントループを受容するように構成される、請求項
1に記載の位置合わせツール。
【請求項4】
前記ロックリングは、前記開口部の上に配置されるように構成された少なくとも1つの拡大レンズを含む、請求項3に記載の位置合わせツール。
【請求項5】
前記ロックリングが透明である、請求項
1に記載の位置合わせツール。
【請求項6】
各アームは、前記シャフトの前記第2の端に拡大部を有し、前記拡大部は、前記ばねの直径よりもさらに半径方向外向きに延在する、請求項
1に記載の位置合わせツール。
【請求項7】
各アームは、前記拡大部から間隔を介して、隆起した横断リブを有する、請求項6に記載の位置合わせツール。
【請求項8】
前記ロックリングは、前記ルーメンの中に延在する後方肩部を含み、前記後方肩部は、前記ロックリングが前記第2のロック位置にあるときに前記横断リブに係合するように構成される、請求項7に記載の位置合わせツール。
【請求項9】
前記ロックリングは、前記ルーメンの中に延在する前方肩部を含み、前記前方肩部は、前記アームに沿って摺動し、前記アームの前記係合領域を前記角度付き形態から前記真っすぐな形態に移動させるように構成される、請求項8に記載の位置合わせツール。
【請求項10】
前記ロックリングは、前記アームの前記係合領域に隣接して配置された前端と、反対側の後端とを有し、前記ロックリングは、前記前端の直径よりも大きい直径を有する拡大されたフレア状の後端を有する、請求項
1に記載の位置合わせツール。
【請求項11】
各係合領域は、ステントホルダと嵌合するように成形された内面を含む、請求項
1に記載の位置合わせツール。
【請求項12】
少なくとも前記複数のアームの前記第2の端において、各アームの側縁が隣接するアームの側縁に当接することによって前記複数のアームを通って延在するチャネルを画定する、請求項1~11のいずれか一項に記載の位置合わせツール。
【請求項13】
各アームの前記側縁は、各アームの前記係合領域を除く全ての領域において、各シャフトの長さに沿って隣接するアームの側縁に当接する、請求項12に記載の位置合わせツール。
【請求項14】
ステントをステントホルダ上に装着するための位置合わせツールであって、
係合領域を含む第1の端および拡大された第2の端を有するシャフトを各々が有する複数のアームであって、各係合領域は、前記シャフトに対する第1の角度付き形態と第2の真っすぐな形態との間で移動可能であり、少なくとも前記拡大された第2の端において各アームの側縁が隣接するアームの側縁に当接してチャネルを画定する、複数のアームと、
前記複数のアームの前記シャフトを受容するように構成されたルーメンを有するロックリングであって、各アームの前記係合領域が露出されて前記角度付き形態に付勢される第1の後退位置と前記ロックリングが前記係合領域の少なくとも一部の上に延在して前記係合領域を前記真っすぐな形態に圧縮する第2のロック位置との間で前記アーム上を摺動するように構成されたロックリングと、
前記ロックリングを前記ロック位置に付勢するように構成されたばねと、を含む位置合わせツール。
【請求項15】
位置合わせツールを使用してステントホルダ上にステントを装着する方法であって、
複数の終端ループを有する前記ステントを、前記終端ループが配置される複数のピンを有する前記ステントホルダに挿入するステップと、
前記位置合わせツールを前記ステントホルダ上に配置するステップであって、前記位置合わせツールは、
係合領域を含む第1の端および反対側の第2の端を有するシャフトを各々が有する複数のアームであって、各係合領域は、前記シャフトに対する第1の角度付き形態と第2の真っすぐな形態との間で移動可能であり、各係合領域は、前記ステントホルダと嵌合するように成形された内面を有し、各アームは、前記係合領域の側面に切欠き領域を含み、互いに隣接するアームの前記切欠き領域は、ステントループおよびピンを受容するように構成された開口部を形成する、複数のアームと、
前記複数のアームを受容するように構成されたルーメンを有するロックリングであって、各アームの前記係合領域が、露出されて前記ステントホルダを受容するための装着ゾーンを形成する前記角度付き形態に付勢される第1の後退位置と、前記ロックリングが、前記係合領域の少なくとも一部の上に延在し、前記係合領域を前記ステントホルダを固定するための前記真っすぐな形態に圧縮する第2のロック位置との間で前記アーム上を摺動するように構成されたロックリングと、
前記ロックリングを前記ロック位置に付勢するように構成されたばねと、を含み、
前記ステントホルダ上の前記ピンが前記係合領域内の前記開口部の中に受容されるように、前記ロックリングが前記第1の後退位置にある状態で、前記位置合わせツールが前記ステントホルダ上に配置される、ステップと、
前記ロックリングを解放して前記ロックリングが前記ロック位置に移動することを可能にし、各アームの前記係合領域をその真っすぐな形態に移動させるステップと、
前記ステントを前進させ、各ピン上に1つのステントループを移動させるステップと、
前記ステントを前記ステントホルダ上に圧縮するステップと、
前記位置合わせツール上の前記ロックリングを前記後退位置に移動させて、前記ステントホルダを解放するステップと、
前記位置合わせツールを前記ステントホルダおよび前記ステントから取り外すステップと、を含む方法。
【国際調査報告】