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特表2024-524680固定用量配合カプセル中にカンナビジオールとヒドロキシクロロキンとを含有する組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】固定用量配合カプセル中にカンナビジオールとヒドロキシクロロキンとを含有する組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/05 20060101AFI20240628BHJP
   A61K 31/4706 20060101ALI20240628BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240628BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240628BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240628BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240628BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240628BHJP
【FI】
A61K31/05
A61K31/4706
A61P29/00
A61P43/00 121
A61K9/48
A61K9/20
A61K9/14
A61K47/14
A61K47/44
A61K47/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501866
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 AU2022050731
(87)【国際公開番号】W WO2023283684
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】2021902170
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522135042
【氏名又は名称】インカネックス・ヘルスケア・リミテッド
【住所又は居所原語表記】UNIT 105, 8 CENTURY CIRCUIT, NORWEST, NEW SOUTH WALES 2153, AUSTRALIA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ブリークレイ,マーク・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】レイサム,ジョエル・ブラッドレイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA37
4C076AA54
4C076AA55
4C076AA56
4C076BB01
4C076CC04
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD46
4C076EE42
4C076EE53
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC28
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086NA05
4C086ZB11
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA61
4C206MA63
4C206NA05
4C206ZB11
4C206ZC75
(57)【要約】
本開示は、一般に、カンナビジオール(CBD)またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩との相乗的組み合わせを含む組成物に関し、この組成物により、単一剤形における2つの医薬品有効成分(API)の同時投与が、有益に可能になる。1つの実施形態において、本開示はまた、炎症状態の処置のための方法および組成物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.カンナビジオール(CBD)またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体;および
b.ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩の固形剤形、
を含む組成物であって、
前記CBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体が、第1カプセルに封入され、前記ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩の固形剤形が、第2カプセルに封入され、ここで、前記第2カプセルが、前記第1カプセルに少なくとも部分的に封入されている、組成物。
【請求項2】
前記CBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体が、油、アルコール、プロピレングリコールおよびグリセロールからなる群から選択される液体溶媒に可溶化されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記液体溶媒が、麻の実油、オリーブ油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(MCT)油、ヒマワリ油およびゴマ油からなる群から選択される油である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1カプセルが、ソフトゼラチンカプセルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記第2カプセルが、液体溶媒によって可溶化されないカプセルである、請求項2から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記第2カプセルが、ポリマーカプセル、ソフトゼラチンカプセル、およびセルロースカプセルからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記第2カプセルが、ポリマーカプセルである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記固形剤形が、錠剤、粉末、微小顆粒、ナノ粒子、およびペレットからなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記固形剤形は、錠剤である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記第2カプセルが、前記第1カプセル内に組み込まれている、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記CBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体が、合成化合物である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも約25mgのCBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体を含有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
約25mg~約100mgのCBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体を含有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
約75mgのCBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体を含有する、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも約10mgの前記ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩を含有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
約10mg~約200mgの前記ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩を含有する、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
約20mgの前記ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩を含有する、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
約100mgの前記ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩を含有する、請求項16記載の組成物。
【請求項19】
炎症状態の処置における使用のための、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
炎症状態の処置のための医薬の製造における、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項21】
請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、炎症状態の処置のための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年7月15日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2021902170号からの優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、カンナビジオール(CBD)またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体と、ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩との相乗的組み合わせを含む組成物に関し、この組成物により、単一の剤形における2つの医薬品有効成分(active pharmaceutical ingredient:API)の同時投与が、有益に可能になる。1つの実施形態において、本開示はまた、炎症状態を処置するための組成物の方法および使用に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】豪国仮特許出願第2021902170号
【特許文献2】国際公開第2021/062481号
【特許文献3】米国特許第9,433,584号
【特許文献4】米国特許第10,383,826号
【特許文献5】国際公開第2012/017325号
【特許文献6】米国特許第10189762号
【特許文献7】国際公開第2004/016277号
【特許文献8】米国特許第10,059,682号
【特許文献9】米国特許第2,546,658号
【特許文献10】米国特許第5,314,894号
【特許文献11】PCT/GB2001/000395号
【特許文献12】PCT/GB2002/005499号
【特許文献13】PCT/GB2003/000362号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Lopez-Valero,2018,Biochemical Pharmacology,157:266-274
【非特許文献2】Wassmann,2020,Scientific Reports,10,Article No.4112
【非特許文献3】Remington’s Pharmaceutical Handbook(Mack Publishing Co.,NY,USA)
【非特許文献4】Millarら、2018、Frontiers in Pharmacology、9:1365
【非特許文献5】Tettら、1989、British Journal of Clinical Pharmacology、27:771-779
【非特許文献6】Sanchez and Verpoote,2008,Plant Cell Physiology、49(12):1767-82
【非特許文献7】Feldmanら,1996,Annual Review of Immunology,14:397~440
【非特許文献8】Mclnnesら,2007,Nature Reviews Immunology,7:429~442
【非特許文献9】Tanakaら,2014,Cold Spring Harbor Perspectives in Biology,6:a016292~a016295
【非特許文献10】Woo,2002,Current Rheumatology Reports,4:452~457
【非特許文献11】Kapoorら,2011,Nature Reviews Rheumatology,7:33-42
【非特許文献12】Neurath,2014,Nature Reviews Immunology,14: 329~342
【非特許文献13】Papadakis and Targan,2000,The Annual Review of Medicine,51:289~298
【非特許文献14】Zhang,2007,International Anesthesiology Clinics,45:27~37
【非特許文献15】Busso,2010,Arthritis Research&Therapy,12:206
【非特許文献16】Rodriguez- Pintoら、2014、Immunology Letters、161によって記載されている:200~203
【非特許文献17】Wu and Ho,2003,American Journal of Reproductive Immunology,49:285~296
【非特許文献18】Chung,2001,European Respiratory Journal,18:50s~59s
【非特許文献19】Rincon and Irvin,2012,International Journal of BiologicalSciences,8:1281-1290
【非特許文献20】Thomas,2001,Immunology&Cell Biology,79: 132~140
【非特許文献21】McClainら,1999,in Seminars in Liver Diseases,205~220
【非特許文献22】Kawarataniら,2013,Mediators of Inflammation,2013:495156
【非特許文献23】Jensen、2010、Current Opinions in Investigative Drug Discovery、11:1211-1220
【非特許文献24】Baliwagら,2015,Cytokine、31:781~789
【非特許文献25】Toshitaniら,1993,Journal of Investigative Dermatology、100:299~304
【非特許文献26】Davisら,2011,Journal of Interferon&Cytokine Research,31:781~789
【非特許文献27】The ARDS Definition Task Force(2012,American MedicalAssociation, 307(23): 2526-2234
【非特許文献28】Puybassetら,1998,American Journalof Respiratory and Critical Care Medicine,158(5).1644-1655
【非特許文献29】Blondonnetら,2016、Disease Markers、2016:35101373
【非特許文献30】Des Prezら、2017,Chest,152(6).1151-1158
【非特許文献31】Murrayら、1988、American Review of Respiratory Disease、138(3).720
【非特許文献32】Bernardら、1994、American Journal of Respiratory and CriticalCare Medicine、149:818-824
【非特許文献33】Bestら,1976,Gastroenterology,70: 439-444
【非特許文献34】Lewisら,2008,Inflammatory Bowel Disease,14:1660-1666
【非特許文献35】Sambrookら,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual
【非特許文献36】Ausubelら、1994、Current Protocols in Molecular Biology
【非特許文献37】Gnjaticら,2009,Journal of Immunological Methods,341(50):1-2
【非特許文献38】Bolstadら,2003,Bioinformatics,19(2):185-193
【非特許文献39】Shacklefordら、2002,Toxicologic Pathology,30(1):93-96
【非特許文献40】Antoniouら、2016,Annals of Medicine and Surgery,11:9~15
【非特許文献41】Dielemanら、1998,Clinical Experimental Immunology,114:385-391
【非特許文献42】Liuら(2018,Statistics in Biopharmaceutical Research,10:112-122
【非特許文献43】Hakannssonら、2012、Pulmonary Pharmacology&Therapeutics、25:399-406
【0005】
複数の医薬品有効成分(API)を含有する固定用量配合(fixed dosecombination:FDC)医薬製品は、有効成分が非相溶性である場合、すなわちAPIが所望の濃度レベルで組み合わされると相互に有害に反応する場合、しばしば製剤化が困難となる。FDCはまた、安定性、用量差(dose differential)、物理的・化学的適合性に対処するために、製品の製剤化と製造の最適化を大幅に行う必要がある。
【0006】
カンナビジオール(CBD)を含有するFDCの場合、バイオアベイラビリティの問題、可変的な薬物動態プロファイル、多形の可能性、CBDに関連する薬物間相互作用(drug-drug interactions:DDI)のより高いリスクのために、これらの制約はより大きい負担になり得る。しかし、最近の研究では、CBDが、外傷性脳損傷(例えば、国際公開第2021/062481号)、多形膠芽腫(glioblastoma multiform:GBM;Lopez-Valero,2018,Biochemical Pharmacology,157:266-274)およびグラム陽性細菌感染症(Wassmann,2020,ScientificReports,10,Article No.4112)を含む様々な異なる症状の処置のために他のAPIと相乗効果を発揮し得ることが示されている。
【0007】
ほとんどの場合、CBDと1つ以上の追加のAPIとの間の相乗作用は、2つ以上のAPIが同時に対象に送達される場合に、生じる。当該技術分野における標準的な方法を使用すると、かかる単一剤形またはFDCの製剤化および開発には、APIの薬物動態学的特性が維持(または向上)され、および/または許容可能な保存期間を組成物が有するようにさせる目的で組成物に安定性を付与することを確実にするために、APIの物理的特性、送達モード、組成物の流動特性、賦形剤の適合性、製造における均一性および放出プロファイルについて、広範な検討が必要であると予想される。
【0008】
したがって、物理的・化学的適合性および/または安定性の問題に関係なく、CBDと1つ以上の追加のAPIとを単一の剤形(例えば、FDC)で同時に送達することを可能にする医薬組成物の開発が、依然として急務となっている。
【0009】
(概要)
本開示の一態様において、
a.カンナビジオール(CBD)またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体;および
b.ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩の固形剤形、
を含む組成物であって、
CBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体が、第1カプセルに封入され、ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩の固形剤形が、第2カプセルに封入され、ここで、第2カプセルが、第1カプセルに少なくとも部分的に封入されている、組成物、が提供される。
【0010】
本発明の様々な実施例および実施形態は、以下の図に関して単に非限定的な例として本明細書に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1カプセルと第2カプセルとを含む組成物の概略図であり、第2カプセルはヒドロキシクロロキンの錠剤固形剤形を含み、第1カプセルに封入されている。
【0012】
図2】第1カプセルと第2カプセルとを含む組成物の概略図であり、第2カプセルはヒドロキシクロロキンの粒子の状固形剤形(例えば、粉末、微小顆粒、ナノ粒子)を含む。
【0013】
図3】CBDおよびヒドロキシクロロキンが肺炎マウスの処置に有効であることを示している。(A)偽処置した対照マウスの正常肺組織の写真;(B)ビヒクル対照マウスの肺組織の写真;(C)CBD(1mg/kg)で処置したマウスの肺組織の写真;(D)ヒドロキシクロロキン(2.5mg/kg)で処置したマウスの肺組織の写真;(E)CBD(1mg/kg)およびヒドロキシクロロキン(2.5mg/kg)で処置したマウスの肺組織の写真;(F)CBD(10mg/kg)で処置したマウスの肺組織の写真;(G)ヒドロキシクロロキン(25mg/kg)で処置したマウスの肺組織の写真;および(H)CBD(10mg/kg)およびヒドロキシクロロキン(25mg/kg)で処置したマウスの肺組織の写真。すべての画像は100倍の倍率で示され、ヘマトキシリン・エオジン(H&E)で染色されている。矢印は炎症細胞の浸潤を示す。
【0014】
図4】CBDおよびヒドロキシクロロキンがTNBS誘発大腸炎マウスの処置に有効であることを示している。(A)偽処置した対照マウスの正常結腸組織の写真;(B)ビヒクル対照マウスの結腸組織の写真(「」は粘膜下浮腫における炎症細胞浸潤の領域を示す);(C)CBD(1mg/kg)で処置したマウスの結腸組織の写真(「」は粘膜下浮腫における炎症細胞浸潤領域を示す);(D)ヒドロキシクロロキン(2.5mg/kg)で処置したマウスの結腸組織の写真(「」は軽度の異常、嚢胞状拡張、および異常陰窩の領域を示す);(E)CBD(1mg/kg)およびヒドロキシクロロキン(2.5mg/kg)で処置したマウスの結腸組織の写真(「」は最小限の細胞浸潤の領域を示す)。すべての画像は100倍の倍率で示され、ヘマトキシリン・エオシン(H&E)で染色されている。
【0015】
図5】CBDおよびヒドロキシクロロキンがコラーゲン誘発関節炎のラットの処置に有効であることを示す。(A)偽処置した対照ラットの正常な後肢足首組織の写真;(B)ビヒクル対照ラットの後肢足首組織の写真;(C)CBD(1mg/kg)で処置したラットの後肢足首組織の写真;(D)ヒドロキシクロロキン(2.5mg/kg)で処置したラットの後肢足首組織の写真;(E)CBD(1mg/kg)およびヒドロキシクロロキン(2.5mg/kg)で処置したラットの後肢足首組織の写真。すべての画像は50倍の倍率で示され、ヘマトキシリン・エオジン(H&E)で染色されている。
【0016】
図6】ヒドロキシクロロキン硫酸塩錠200mgおよびヒドロキシクロロキン硫酸塩錠100mgの溶出プロファイルを示す。溶出(%;y軸)とサンプリング時間(分;x軸)のグラフ表示。菱形のデータ点で示した線は、ヒドロキシクロロキン硫酸塩錠200mgを表す。正方形のデータ点で示された線は、ヒドロキシクロロキン硫酸塩錠100mgを表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
別途規定されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるあらゆる材料および方法、ならびにあらゆる材料および方法に類似するまたは同等のものも、本発明を実施するのに使用することができる。
【0018】
本明細書全体で、文脈が別途要求しない限り、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変形は、記載した要素もしくは整数または要素もしくは整数の群の包含を示すが、任意の他の要素もしくは整数または要素もしくは整数の群を除外することを示さないことは理解されよう。
【0019】
句「からなる(consisting of)」は、句「からなる(consisting of)」に続くものはどれでも含み、これらに限定されることを意味する。ゆえに、句「からなる(consistingof)」は、列挙される要素が必要または必須であり、他の要素は存在し得ないことを示す。句「から本質的になる」は、この句の後に列挙される要素を含み、かつ、列挙される要素について本開示で指定される活性または作用に干渉も寄与もしない他の要素に限定されることを意味する。したがって、句「から本質的になる」は、列挙される要素が必要または必須であるが、他の要素は任意であり、列挙された要素の活性または作用に影響を及ぼすかどうかに応じて、存在してもしなくてもよいことを示す。
【0020】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が別途明確に定めない限り複数の態様を含む。ゆえに、例えば、「化合物」への言及は単一の化合物、および2種以上の化合物を含み、「薬剤」への言及は1種の薬剤、および2種以上の薬剤を含むなどである。
【0021】
用語「約」は、当業者により理解され、使用される文脈によってある程度異なる。当業者にとって明らかでない用語が使用される場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約」は特定の用語のプラスまたはマイナス10%までを意味する。
【0022】
本開示は、少なくとも部分的には、カンナビジオール(CBD)またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体およびヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩の単一剤形が、
CBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体を第1カプセルに封入し、
ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩を第2カプセルに封入することによって、
製剤化され得、ここで、第2カプセルは、第1カプセルに少なくとも部分的に封入され、それによって、CBDとヒドロキシクロロキンとの相乗的組み合わせの同時投与が可能になる、という本発明者らの驚くべき発見に基づく。
【0023】
したがって、本明細書に開示される態様において、
a.CBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体;および
b.ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩の固形剤形、
を含む組成物であって、CBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体が、第1カプセルに封入され、ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩の固形剤形が、第2カプセルに封入され、第2カプセルが第1カプセルによって少なくとも部分的に封入されている、組成物、が提供される。
【0024】
組成物
本開示に従えば、当該組成物により、単一の剤形においてこれまで配合されていなかった2つの相乗的な医薬品有効成分(API)の送達が、可能になる。本明細書に記載の組成物により、組み合わせを単一剤形または固定用量配合剤(FDC)に製剤化する能力を制限し得るAPIの不適合性に関連する問題が、有益に回避される。
【0025】
本明細書で使用される「固定用量配合剤」または「FDC」という語句は、カプセルまたは錠剤などの単一の剤形に含まれる2つ以上のAPIの組み合わせを指す。したがって、本明細書に記載される組成物は、FDCとも呼ばれ得る。
【0026】
本明細書に記載の組成物、すなわち、第1カプセルに封入されたCBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体、および第2カプセルに封入されたヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩の固形剤形であって、ここで第2カプセルが第1カプセルに少なくとも部分的に封入されている組成物、の構成により、2つのAPIの間の物的障壁が、もたらされる。本明細書の他の箇所に記載されているように、2つのAPIを物理的に分離することにより、相乗的なFDCを提供する能力を制限する可能性があるCBDとヒドロキシクロロキンとの間の不適合性に関する問題が、回避される。
【0027】
封入は、ゼラチン、デンプン、カラギーナン、ガム、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、他のヒドロキシアルキル化セルロースなどの合成材料を含む当該技術分野で公知の任意のフィルム形成材料を用いて、実現することができる。フィルム形成材料は、通常、水性ベースを有し、摂取可能である。本明細書で使用する場合、「摂取可能」という用語は、ヒトの消化管または水を模擬した条件下で溶解するフィルム形成材料に言及する。
【0028】
1つの実施形態において、第1カプセルは、動物または非動物ベースの材料を含むか、その材料から構成されるか、または実質的にその材料から構成され得る。カプセルに適した非動物性材料は、当業者に知られており、その例示的な例としては、デンプン、カラギーナン、ガム、またはヒドロキシアルキル化セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)およびポリマー(例えば、合成ポリマー)などの合成材料が挙げられる。カプセルに適した動物性材料は当業者に知られており、その例示的な例としては、ハードゼラチンカプセルおよびソフトゼラチンカプセルが挙げられる。
【0029】
1つの実施形態において、第1カプセルは、ソフトゼラチンカプセルである。
【0030】
ソフトゼラチンカプセルまたは「ソフトゲル」は、一般に、主にゼラチン、可塑剤、および水から構成される外殻を含む。ソフトゼラチンカプセルは、経口投与向けに、または直腸もしくは膣用の坐薬として、製薬業界で広く使用されている。その他の用途としては、外用剤や眼科用薬剤などがあり、例えば、化粧品産業では、様々な種類の香水、オイル、シャンプー、スキンクリームなどの専用パッケージとしてソフトゼラチンカプセルが使用されている。ソフトゼラチンカプセルは、様々なサイズおよび形状、例えば、チューブ、楕円形、長円形、チューブおよび星のような他の特別なタイプの形状、で利用可能である。完成したソフトゼラチンカプセルは様々な色にすることができ、ソフトゼラチンカプセルに乳白剤を添加してもよい。
【0031】
ソフトゼラチンカプセルの製造のためのプロセスおよびソフトゼラチンカプセル内へのAPIの封入のためのプロセスは、当業者に公知であり、その例示的な例としては、米国特許第9,433,584号、米国特許第10,383,826号、および国際公開第2012/017325号に記載の方法が挙げられる。
【0032】
1つの実施形態において、ソフトゼラチンカプセルは、ウシゼラチン、ブタゼラチン、魚ゼラチン、およびそれらのブレンドからなる群から選択されるゼラチンを含む。
【0033】
また、本明細書では、ソフトゼラチンカプセルが、デンプン、カラギーナン、ガム、またはヒドロキシアルキル化セルロースなどの合成材料のうちの1つ以上を含み得ることが、企図される。
【0034】
1つの実施形態において、CBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体は、液体溶媒に可溶化される。適切な液体溶媒は、当業者に知られており、その例示としては、油、アルコール(例えば、エタノール)、プロピレングリコールおよびグリセロールが挙げられる。
【0035】
1つの実施形態において、液体溶媒は、麻の実油、オリーブ油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(MCT)油、ヒマワリ油およびゴマ油からなる群から選択される油である。
【0036】
1つの好ましい実施形態において、油は、ゴマ油である。
【0037】
1つの実施形態において、液体溶媒は、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1つ以上の薬剤を、さらに含む。好適な甘味剤としては、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルテーム、またはサッカリンが挙げられる。適切な香味剤としては、ペパーミントオイル、ウィンターグリーンオイル、チェリー香料、オレンジ香料またはラズベリー香料が挙げられる。適切な保存剤としては、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、重亜硫酸ナトリウムまたはブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)が挙げられる。
【0038】
1つの実施形態において、液体溶媒は、BHTをさらに含む。
【0039】
本明細書の他の箇所に記載されているように、当該組成物は、第2APIを封入する第2カプセルによって、第2API(すなわち、ヒドロキシクロロキン)からもう一方のAPI(すなわち、CBD)を、有益に分離する。1つの実施形態では、特定の理論に拘束されることなく、第1APIと第2APIとの分離は、CBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体が可溶化された液体溶媒によって可溶化されない材料、を用いた第2APIの封入に基づいて、実現される。例えば、CBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体は、第2カプセルが可溶化されないようなpH範囲で、製剤化され得る。
【0040】
従って、1つの実施形態において、第2カプセルは、液体溶媒によって可溶化されないカプセルである。
【0041】
第2カプセルは、本明細書の他の箇所に記載されるように、動物または非動物ベースの材料を含むか、その材料から構成されるか、または実質的にその材料から構成され得る。
【0042】
1つの実施形態において、第2カプセルは、ポリマーカプセル、ソフトゼラチンカプセル、およびセルロースカプセルからなる群から選択される。
【0043】
1つの実施形態において、第2カプセルは、ソフトゼラチンカプセルである。
【0044】
別の実施形態では、第2カプセルは、ポリマーカプセルである。
【0045】
適切なポリマーカプセルは、当業者に公知であり、その例示的な例としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースポリマー、ポリ酢酸ビニル、酢酸フタル酸セルロース、セルロースアセテートトリメリテートおよびポリビニルアセテートフタレートを含むカプセルが挙げられる。1つの実施形態において、ポリマーカプセルは、ポリビニルアルコール(例えば、Opadry(登録商標)200)を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、第1カプセルおよび第2カプセルの材料は、同じであり、例えば両方とも、ソフトゼラチンカプセルである。別の実施形態では、第1カプセルおよび第2カプセルの材料は、異なり、例えば、軟ゼラチン第1カプセルおよびポリマー第2カプセルである。
【0047】
別の実施形態では、第2カプセルは、腸溶性カプセルである。
【0048】
本明細書で使用される用語「腸溶性」は、ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩の固形剤形の持続放出、変更放出または制御放出をもたらすためのコーティング材料を意味する。腸溶性カプセルはまた、ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩の固形剤形の胃環境における溶解を防止するために、使用され得る。
【0049】
1つの実施形態において、第2カプセルは、コーティング剤をさらに含む。適切なコーティング剤は当業者に公知であり、その例示的な例としては、シーラント、グレーズ、光沢剤およびシェラックが挙げられる。本明細書で企図されるコーティング剤は、湿気およびファー(far)に対する付加的な機能的バリアを提供する。1つの実施形態において、コーティング剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、マルトデキストリン、デキストロース一水和物および精製ステアリン酸(すなわち、Opaglos(登録商標)2)を含む透明コーティング剤である。
【0050】
本明細書で使用される「固形剤形」という語句は、錠剤、カプレット、顆粒、ナノ粒子、ペレットなどのヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩の任意の固体形態を指す。従って、1つの実施形態において、固形剤形は、錠剤、粉末、微小顆粒、ナノ粒子およびペレットからなる群から選択される。
【0051】
1つの好ましい実施形態において、固形剤形は、錠剤である。
【0052】
「少なくとも部分的に封入された」という語句は、第1カプセルによりヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩の固形剤形が完全または部分的に封入されていること、を指す。第1カプセルおよび第2カプセルの適切な構成は、例えば、製造プロセス、封入材料、およびにCBDとヒドロキシクロロキンの固形剤形との製剤化を参照することによって、当業者によって決定されるであろう。
【0053】
1つの実施形態において、第2カプセルは、第1カプセル内に完全に組み込まれる。例えば、第2カプセルは、図1および図2に示す組成物の概略図に従って完全に組み込まれ得る。
【0054】
1つの好ましい実施形態では、組成物は、経口投与用に製剤化される。
【0055】
経口投与用の組成物は、薬学的にエレガントで嗜好性の高い製剤を製造するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤の群から選択される1種以上の薬剤を、含み得る。適切な甘味剤としては、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルテームまたはサッカリンが挙げられる。適当な崩壊剤としては、トウモロコシデンプン、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸または寒天が挙げられる。適切な香味剤としては、ペパーミントオイル、ウィンターグリーンオイル、チェリー香料、オレンジ香料またはラズベリー香料が挙げられる。適切な保存剤としては、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベンまたは重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。適切な滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムまたはタルクが挙げられる。適切な時間遅延剤(timedelay agent)としては、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルが挙げられる。
【0056】
1つの実施形態において、組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤をさらに含む。
【0057】
適切な薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤は、当業者に公知であり、その例示的な例としては、不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム)、造粒剤および崩壊剤(例えば、トウモロコシデンプンまたはアルギン酸)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンまたはアカシア)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)、および消化管における崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長期間にわたって持続的な作用をもたらすための材料(例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル)が挙げられる。
【0058】
本明細書に開示される組成物は、Remington’s Pharmaceutical Handbook(Mack PublishingCo.,NY,USA)に記載されているような、製薬業界および栄養補助食品業界で周知の従来の方法に従って調製され得る。
【0059】
CBDの経口投与は、有効な投与経路であることが実証されている(Millarらによるレビュー、2018、Frontiersin Pharmacology、9:1365)。同様に、ヒドロキシクロロキンの経口投与も、吸収に有効であり、バイオアベイラビリティが高いことが、実証されている(Tettら、1989、BritishJournal of Clinical Pharmacology、27:771-779)。
【0060】
カンナビジオール
「カンナビジオール」または「CBD」は、Cannabis属の植物によって産生されるカンナビノイドである。CBDは、CB1受容体およびCB2受容体のアゴニストに対するアンタゴニスト活性を有し、CB1受容体およびCB2受容体の逆アゴニストとして作用する。
【0061】
CBDは、大麻植物においてカンナビジオール酸(CBDA)として合成され、これが脱炭酸してCBDになる(表1)。一部の脱炭酸は植物内で起こる可能性もあるが、脱炭酸は通常収穫後に起こり、植物材料を熱にさらすことによって増加する(Sanchezand Verpoote,2008,Plant Cell Physiology、49(12):1767-82)。脱炭酸は、通常、植物材料を乾燥および/または加熱することによって実現される。当業者であれば、CBDAの脱炭酸が促進され得る方法に精通しており、その例示的な例としては、空気乾燥、燃焼、気化、硬化、加熱および焼成が挙げられる。脱炭酸されたCBDは通常、CB1および/またはCB2を含むカンナビノイド受容体に、直接的もしくは間接的に、結合するおよび/または刺激する。
【0062】
CBDは、葉、花または茎を含む任意の適切な植物の部分から抽出され得、当業者に公知の任意の適切な手段によって生成され得る。例えば、CBD抽出物は、超臨界もしくは亜臨界COによる抽出、または加熱ガスによる植物材料の揮発によって生成され得る。植物原料からCBDおよび他のカンナビノイドを抽出するために使用される方法の例示的な例としては、米国特許第10189762号および国際公開第2004/016277号に記載されている方法が挙げられる。
【0063】
1つの実施形態において、本明細書に記載されるCBDは、合成化合物である。
【0064】
合成されたCBDは製薬開発に特に有用であり、汚染物質をほとんど含まない。CBDの合成のための多くの方法が当該技術分野で公知であり、その例示的な例としては、米国特許第10,059,682号に記載されているCBDの合成のための方法が挙げられる。
【0065】
1つの実施形態において、合成されたCBDは、(-)-CBDエナンチオマーを含むか、(-)-CBDエナンチオマーから構成されるか、あるいは本質的に(-)-CBDエナンチオマーから構成される。
【0066】
本開示は、CBDの薬学的に許容される塩または誘導体の使用をさらに企図する。CBDの適切な薬学的に許容される塩または誘導体は、当業者に公知であり、その例示的な例としては、ジヒドロ-およびテトラヒドロ-カンナビジオール誘導体H2-CBDおよびH4-CBD、(-)-ジヒドロ-7-ヒドロキシ-CBDエナンチオマーおよび(+)-ジヒドロ-7-ヒドロキシ-CBDエナンチオマー、ならびに1’、1’-ジメチルヘプチル-CBD誘導体が挙げられる。
【0067】
1つの実施形態では、組成物は、少なくとも約25mg(例えば、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mg、60mg、61mg、62mg、63mg、64mg、65mg、66mg、67mg、68mg、69mg、70mg、71mg、72mg、73mg、74mg、75mg、76mg、77mg、78mg、79mg、80mg、81mg、82mg、83mg、84mg、85mg、86mg、87mg、88mg、89mg、90mg、91mg、92mg、93mg、94mg、95mg、96mg、97mg、98mg、99mg、100mg、101mg、102mg、103mg、104mg、105mg、106mg、107mg、108mg、109mg、110mg、111mg、112mg、113mg、114mg、115mg、116mg、117mg、118mg、119mg、120mg、121mg、122mg、123mg、124mg、125mg、126mg、127mg、128mg、129mg、130mg、131mg、132mg、131mg、134mg、135mg、136mg、137mg、138mg、139mg、140mg、141mg、142mg、143mg、144mg、145mg、146mg、147mg、148mg、149mg、150mg、151mg、152mg、153mg、154mg、155mg、156mg、157mg、158mg、159mg、160mg、161mg、162mg、163mg、164mg、165mg、166mg、167mg、168mg、169mg、170mg、171mg、172mg、173mg、174mg、175mg、176mg、177mg、178mg、179mg、180mg、181mg、182mg、183mg、184mg、185mg、186mg、187mg、188mg、189mg、190mg、191mg、192mg、193mg、194mg、195mg、196mg、197mg、198mg、199mg、200mg、201mg、202mg、203mg、204mg、205mg、206mg、207mg、208mg、209mg、210mg、211mg、212mg、213mg、214mg、215mg、216mg、217mg、218mg、219mg、220mg、221mg、222mg、223mg、224mg、225mg、226mg、227mg、228mg、229mg、230mg、231mg、232mg、233mg、234mg、235mg、236mg、237mg、238mg、239mg、240mg、241mg、242mg、243mg、244mg、245mg、246mg、247mg、248mg、249mg、250mg、251mg、252mg、253mg、254mg、255mg、256mg、257mg、258mg、259mg、260mg、261mg、262mg、263mg、264mg、265mg、266mg、267mg、268mg、269mg、270mg、271mg、272mg、273mg、274mg、275mg、276mg、277mg、278mg、279mg、280mg、281mg、282mg、283mg、284mg、285mg、286mg、287mg、288mg、289mg、290mg、291mg、292mg、293mg、294mg、295mg、296mg、297mg、298mg、299mg、300mg、301mg、302mg、303mg、304mg、305mg、306mg、307mg、308mg、309mg、310mg、311mg、312mg、313mg、314mg、315mg、316mg、317mg、318mg、319mg、320mg、321mg、322mg、323mg、324mg、325mg、326mg、327mg、328mg、329mg、330mg、331mg、332mg、333mg、334mg、335mg、336mg、337mg、338mg、339mg、340mg、341mg、342mg、343mg、344mg、345mg、346mg、347mg、348mg、349mg、350mg、351mg、352mg、353mg、354mg、355mg、356mg、357mg、358mg、359mg、360mg、361mg、362mg、363mg、364mg、365mg、366mg、367mg、368mg、369mg、370mg、371mg、372mg、373mg、374mg、375mg、376mg、377mg、378mg、379mg、380mg、381mg、382mg、383mg、384mg、385mg、386mg、387mg、388mg、389mg、390mg、391mg、392mg、393mg、394mg、395mg、396mg、397mg、398mg、399mg、400mg、401mg、402mg、403mg、404mg、405mg、406mg、407mg、408mg、409mg、410mg、411mg、412mg、413mg、414mg、415mg、416mg、417mg、418mg、419mg、420mg、421mg、422mg、423mg、424mg、425mg、426mg、427mg、428mg、429mg、430mg、431mg、432mg、433mg、434mg、435mg、436mg、437mg、438mg、439mg、440mg、441mg、442mg、443mg、444mg、445mg、446mg、447mg、448mg、449mg、450mg、451mg、452mg、453mg、454mg、455mg、456mg、457mg、458mg、459mg、460mg、461mg、462mg、463mg、464mg、465mg、466mg、467mg、468mg、469mg、470mg、471mg、472mg、473mg、474mg、475mg、476mg、477mg、478mg、479mg、480mg、481mg、482mg、483mg、484mg、485mg、486mg、487mg、488mg、489mg、490mg、491mg、492mg、493mg、494mg、495mg、496mg、497mg、498mg、499mg、500mg、501mg、502mg、503mg、504mg、505mg、506mg、507mg、508mg、509mg、510mg、511mg、512mg、513mg、514mg、515mg、516mg、517mg、518mg、519mg、520mg、521mg、522mg、523mg、524mg、525mg、526mg、527mg、528mg、529mg、530mg、531mg、532mg、533mg、534mg、535mg、536mg、537mg、538mg、539mg、540mg、541mg、542mg、543mg、544mg、545mg、546mg、547mg、548mg、549mg、550mg、551mg、552mg、553mg、554mg、555mg、556mg、557mg、558mg、559mg、560mg、561mg、562mg、563mg、564mg、565mg、566mg、567mg、568mg、569mg、570mg、571mg、572mg、573mg、574mg、575mg、576mg、577mg、578mg、579mg、580mg、581mg、582mg、583mg、584mg、585mg、586mg、587mg、588mg、589mg、590mg、591mg、592mg、593mg、594mg、595mg、596mg、597mg、598mg、599mg、600mg、601mg、602mg、603mg、604mg、605mg、606mg、607mg、608mg、609mg、610mg、611mg、612mg、613mg、614mg、615mg、616mg、617mg、618mg、619mg、620mg、621mg、622mg、623mg、624mg、625mg、626mg、627mg、628mg、629mg、630mg、631mg、632mg、633mg、634mg、635mg、636mg、637mg、638mg、639mg、640mg、641mg、642mg、643mg、644mg、645mg、646mg、647mg、648mg、649mg、650mg、651mg、652mg、653mg、654mg、655mg、656mg、657mg、658mg、659mg、660mg、661mg、662mg、663mg、664mg、665mg、666mg、667mg、668mg、669mg、670mg、671mg、672mg、673mg、674mg、675mg、676mg、677mg、678mg、679mg、680mg、681mg、682mg、683mg、684mg、685mg、686mg、687mg、688mg、689mg、690mg、691mg、692mg、693mg、694mg、695mg、696mg、697mg、698mg、699mg、700mg、701mg、702mg、703mg、704mg、705mg、706mg、707mg、708mg、709mg、710mg、711mg、712mg、713mg、714mg、715mg、716mg、717mg、718mg、719mg、720mg、721mg、722mg、723mg、724mg、725mg、726mg、727mg、728mg、729mg、730mg、731mg、732mg、733mg、734mg、735mg、736mg、737mg、738mg、739mg、740mg、741mg、742mg、743mg、744mg、745mg、746mg、747mg、748mg、749mg、750mg、751mg、752mg、753mg、754mg、755mg、756mg、757mg、758mg、759mg、760mg、761mg、762mg、763mg、764mg、765mg、766mg、767mg、768mg、769mg、770mg、771mg、772mg、773mg、774mg、775mg、776mg、777mg、778mg、779mg、780mg、781mg、782mg、783mg、784mg、785mg、786mg、787mg、788mg、789mg、790mg、791mg、792mg、793mg、794mg、795mg、796mg、797mg、798mg、799mg、800mg、801mg、802mg、803mg、804mg、805mg、806mg、807mg、808mg、809mg、810mg、811mg、812mg、813mg、814mg、815mg、816mg、817mg、818mg、819mg、820mg、821mg、822mg、823mg、824mg、825mg、826mg、827mg、828mg、829mg、830mg、831mg、832mg、833mg、834mg、835mg、836mg、837mg、838mg、839mg、840mg、841mg、842mg、843mg、844mg、845mg、846mg、847mg、848mg、849mg、850mg、851mg、852mg、853mg、854mg、855mg、856mg、857mg、858mg、859mg、860mg、861mg、862mg、863mg、864mg、865mg、866mg、867mg、868mg、869mg、870mg、871mg、872mg、873mg、874mg、875mg、876mg、877mg、878mg、879mg、880mg、881mg、882mg、883mg、884mg、
【0068】
885mg、886mg、887mg、888mg、889mg、890mg、891mg、892mg、893mg、894mg、895mg、896mg、897mg、898mg、899mg、900mg、901mg、902mg、903mg、904mg、905mg、906mg、907mg、908mg、909mg、910mg、911mg、912mg、913mg、914mg、915mg、916mg、917mg、918mg、919mg、920mg、921mg、922mg、923mg、924mg、925mg、926mg、927mg、928mg、929mg、930mg、931mg、932mg、933mg、934mg、935mg、936mg、937mg、938mg、939mg、940mg、941mg、942mg、943mg、944mg、945mg、946mg、947mg、948mg、949mg、950mg、951mg、952mg、953mg、954mg、955mg、956mg、957mg、958mg、959mg、960mg、961mg、962mg、963mg、964mg、965mg、966mg、967mg、968mg、969mg、970mg、971mg、972mg、973mg、974mg、975mg、976mg、977mg、978mg、979mg、980mg、981mg、982mg、983mg、984mg、985mg、986mg、987mg、988mg、989mg、990mg、991mg、992mg、993mg、994mg、995mg、996mg、997mg、998mg、999mg、1000mg、1100mg、1101mg、1102mg、1103mg、1104mg、1105mg、1106mg、1107mg、1108mg、1109mg、1110mg、1111mg、1112mg、1113mg、1114mg、1115mg、1116mg、1117mg、1118mg、1119mg、1120mg、1121mg、1122mg、1123mg、1124mg、1125mg、1126mg、1127mg、1128mg、1129mg、1130mg、1131mg、1132mg、1133mg、1134mg、1135mg、1136mg、1137mg、1138mg、1139mg、1140mg、1141mg、1142mg、1143mg、1144mg、1145mg、1146mg、1147mg、1148mg、1149mg、1150mg、1151mg、1152mg、1153mg、1154mg、1155mg、1156mg、1157mg、1158mg、1159mg、1160mg、1161mg、1162mg、1163mg、1164mg、1165mg、1166mg、1167mg、1168mg、1169mg、1170mg、1171mg、1172mg、1173mg、1174mg、1175mg、1176mg、1177mg、1178mg、1179mg、1180mg、1181mg、1182mg、1183mg、1184mg、1185mg、1186mg、1187mg、1188mg、1189mg、1190mg、1191mg、1192mg、1193mg、1194mg、1195mg、1196mg、1197mg、1198mg、1199mg、1200mg、1201mg、1202mg、1203mg、1204mg、1205mg、1206mg、1207mg、1208mg、1209mg、1210mg、1211mg、1212mg、1213mg、1214mg、1215mg、1216mg、1217mg、1218mg、1219mg、1220mg、1221mg、1222mg、1223mg、1224mg、1225mg、1226mg、1227mg、1228mg、1229mg、1230mg、1231mg、1232mg、1233mg、1234mg、1235mg、1236mg、1237mg、1238mg、1239mg、1240mg、1241mg、1242mg、1243mg、1244mg、1245mg、1246mg、1247mg、1248mg、1249mg、1250mg、1251mg、1252mg、1253mg、1254mg、1255mg、1256mg、1257mg、1258mg、1259mg、1260mg、1261mg、1262mg、1263mg、1264mg、1265mg、1266mg、1267mg、1268mg、1269mg、1270mg、1271mg、1272mg、1273mg、1274mg、1275mg、1276mg、1277mg、1278mg、1279mg、1280mg、1281mg、1282mg、1283mg、1284mg、1285mg、1286mg、1287mg、1288mg、1289mg、1290mg、1291mg、1292mg、1293mg、1294mg、1295mg、1296mg、1297mg、1298mg、1299mg、1300mg、1301mg、1302mg、303mg、1304mg、1305mg、1306mg、1307mg、1308mg、1309mg、1310mg、1311mg、1312mg、1313mg、1314mg、1315mg、1316mg、1317mg、1318mg、1319mg、1320mg、1321mg、1322mg、1323mg、1324mg、1325mg、1326mg、1327mg、1328mg、1329mg、1330mg、1331mg、1332mg、1333mg、1334mg、1335mg、1336mg、1337mg、1338mg、1339mg、1340mg、1341mg、1342mg、1343mg、1344mg、1345mg、1346mg、1347mg、1348mg、1349mg、1350mg、1351mg、1352mg、1353mg、1354mg、1355mg、1356mg、1357mg、1358mg、1359mg、1360mg、1361mg、1362mg、1363mg、1364mg、1365mg、1366mg、1367mg、1368mg、1369mg、1370mg、1371mg、1372mg、1373mg、1374mg、1375mg、1376mg、1377mg、1378mg、1379mg、1380mg、1381mg、1382mg、1383mg、1384mg、1385mg、1386mg、1387mg、1388mg、1389mg、1390mg、1391mg、1392mg、1393mg、1394mg、1395mg、1396mg、1397mg、1398mg、1399mg、1400mg、1401mg、1402mg、1403mg、1404mg、1405mg、1406mg、1407mg、1408mg、1409mg、1410mg、1411mg、1412mg、1413mg、1414mg、1415mg、1416mg、1417mg、1418mg、1419mg、1420mg、1421mg、1422mg、1423mg、1424mg、1425mg、1426mg、1427mg、1428mg、1429mg、1430mg、1431mg、1432mg、1433mg、1434mg、1435mg、1436mg、1437mg、1438mg、1439mg、1440mg、1441mg、1442mg、1443mg、1444mg、1445mg、1446mg、1447mg、1448mg、1449mg、1450mg、1451mg、1452mg、1453mg、1454mg、1455mg、1456mg、1457mg、1458mg、1459mg、1460mg、1461mg、1462mg、1463mg、1464mg、1465mg、1466mg、1467mg、1468mg、1469mg、1470mg、1471mg、1472mg、1473mg、1474mg、1475mg、1476mg、1477mg、1478mg、1479mg、1480mg、1481mg、1482mg、1483mg、1484mg、1485mg、1486mg、1487mg、1488mg、1489mg、1490mg、1491mg、1492mg、1493mg、1494mg、1495mg、1496mg、1497mg、1498mg、1499mg、または1500mg)のCBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体を含有する。
【0069】
1つの実施形態において、組成物は、約25mg~約100mg、好ましくは約25mg、好ましくは約26mg、好ましくは約27mg、好ましくは約28mg、好ましくは約29mg、好ましくは約30mg、好ましくは約31mg、好ましくは約32mg、好ましくは約33mg、好ましくは約34mg、好ましくは約35mg、好ましくは約36mg、好ましくは約37mg、好ましくは約38mg、好ましくは約39mg、好ましくは約40mg、好ましくは約41mg、好ましくは約42mg、好ましくは約43mg、好ましくは約44mg、好ましくは約45mg、好ましくは約46mg、好ましくは約47mg、好ましくは約48mg、好ましくは約49mg、好ましくは約50mg、好ましくは約51mg、好ましくは約52mg、好ましくは約53mg、好ましくは約54mg、好ましくは約55mg、好ましくは約56mg、好ましくは約57mg、好ましくは約58mg、好ましくは約59mg、好ましくは約60mg、好ましくは約61mg、好ましくは約62mg、好ましくは約63mg、好ましくは約64mg、好ましくは約65mg、好ましくは約66mg、好ましくは約67mg、好ましくは約68mg、好ましくは約69mg、好ましくは約70mg、好ましくは約71mg、好ましくは約72mg、好ましくは約73mg、好ましくは約74mg、好ましくは約75mg、好ましくは約76mg、好ましくは約77mg、好ましくは約78mg、好ましくは約79mg、好ましくは約80mg、好ましくは約81mg、好ましくは約82mg、好ましくは約83mg、好ましくは約84mg、好ましくは約85mg、好ましくは約86mg、好ましくは約87mg、好ましくは約88mg、好ましくは約89mg、好ましくは約90mg、好ましくは約91mg、好ましくは約92mg、好ましくは約93mg、好ましくは約94mg、好ましくは約95mg、好ましくは約96mg、好ましくは約97mg、好ましくは約98mg、好ましくは約99mg、またはより好ましくは約100mgのCBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体を、含有する。
【0070】
1つの好ましい実施形態では、組成物は、約75mgのCBDまたはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体を含有する。
【0071】
ヒドロキシクロロキン
「ヒドロキシクロロキン」は、エチル基の代わりにヒドロキシエチル基を有するクロロキンの化学誘導体である。一般に商品名「Plaquenil(登録商標)」で呼ばれるヒドロキシクロロキンは、マラリアの処置に有効であることが知られており、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、シェーグレン症候群の処置にも有効性を示している。機能的には、ヒドロキシクロロキンは抗原提示細胞のリソソームpHを上昇させ、形質細胞様樹状細胞上のToll様受容体の活性化を阻害またはブロックすることが実証されている。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロキシクロロキン」としては、米国特許第2,546,658号に開示されるような2-[[4-[(7-クロロ-4-キノリニル)アミノ]ペンチル]-チルアミノ]エタノールであるラセミ体ヒドロキシクロロキン、または米国特許第5,314,894号に開示されているような単一エナンチオマー「(S)-(+)ヒドロキシクロロキン」または「(R)-(-)ヒドロキシクロロキン」のいずれかが挙げられる。この用語は、ヒドロキシクロロキンの遊離形態、またはヒドロキシクロロキン硫酸塩などのヒドロキシクロロキンの薬学的に許容される塩のいずれかに関連し得る。
【0073】
本開示はさらに、ヒドロキシクロロキンの薬学的に許容される塩の使用を企図する。適切な薬学的に許容される塩は、当業者に公知であり、その例示的な例としては、無機塩基または無機酸および有機塩基または有機酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基または酸から調製される塩またはエステルが挙げられる。
【0074】
1つの実施形態において、薬学的に許容される塩は、ヒドロキシクロロキン硫酸塩である。
【0075】
1つの実施形態では、組成物は、少なくとも約10mg(例えば、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mg、60mg、61mg、62mg、63mg、64mg、65mg、66mg、67mg、68mg、69mg、70mg、71mg、72mg、73mg、74mg、75mg、76mg、77mg、78mg、79mg、80mg、81mg、82mg、83mg、84mg、85mg、86mg、87mg、88mg、89mg、90mg、91mg、92mg、93mg、94mg、95mg、96mg、97mg、98mg、99mg、100mg、101mg、102mg、103mg、104mg、105mg、106mg、107mg、108mg、109mg、110mg、111mg、112mg、113mg、114mg、115mg、116mg、117mg、118mg、119mg、120mg、121mg、122mg、123mg、124mg、125mg、126mg、127mg、128mg、129mg、130mg、131mg、132mg、131mg、134mg、135mg、136mg、137mg、138mg、139mg、140mg、141mg、142mg、143mg、144mg、145mg、146mg、147mg、148mg、149mg、150mg、151mg、152mg、153mg、154mg、155mg、156mg、157mg、158mg、159mg、160mg、161mg、162mg、163mg、164mg、165mg、166mg、167mg、168mg、169mg、170mg、171mg、172mg、173mg、174mg、175mg、176mg、177mg、178mg、179mg、180mg、181mg、182mg、183mg、184mg、185mg、186mg、187mg、188mg、189mg、190mg、191mg、192mg、193mg、194mg、195mg、196mg、197mg、198mg、199mg、200mg、201mg、202mg、203mg、204mg、205mg、206mg、207mg、208mg、209mg、210mg、211mg、212mg、213mg、214mg、215mg、216mg、217mg、218mg、219mg、220mg、221mg、222mg、223mg、224mg、225mg、226mg、227mg、228mg、229mg、230mg、231mg、232mg、233mg、234mg、235mg、236mg、237mg、238mg、239mg、240mg、241mg、242mg、243mg、244mg、245mg、246mg、247mg、248mg、249mg、250mg、251mg、252mg、253mg、254mg、255mg、256mg、257mg、258mg、259mg、260mg、261mg、262mg、263mg、264mg、265mg、266mg、267mg、268mg、269mg、270mg、271mg、272mg、273mg、274mg、275mg、276mg、277mg、278mg、279mg、280mg、281mg、282mg、283mg、284mg、285mg、286mg、287mg、288mg、289mg、290mg、291mg、292mg、293mg、294mg、295mg、296mg、297mg、298mg、299mg、300mg、301mg、302mg、303mg、304mg、305mg、306mg、307mg、308mg、309mg、310mg、311mg、312mg、313mg、314mg、315mg、316mg、317mg、318mg、319mg、320mg、321mg、322mg、323mg、324mg、325mg、326mg、327mg、328mg、329mg、330mg、331mg、332mg、333mg、334mg、335mg、336mg、337mg、338mg、339mg、340mg、341mg、342mg、343mg、344mg、345mg、346mg、347mg、348mg、349mg、350mg、351mg、352mg、353mg、354mg、355mg、356mg、357mg、358mg、359mg、360mg、361mg、362mg、363mg、364mg、365mg、366mg、367mg、368mg、369mg、370mg、371mg、372mg、373mg、374mg、375mg、376mg、377mg、378mg、379mg、380mg、381mg、382mg、383mg、384mg、385mg、386mg、387mg、388mg、389mg、390mg、391mg、392mg、393mg、394mg、395mg、396mg、397mg、398mg、399mg、400mg、401mg、402mg、403mg、404mg、405mg、406mg、407mg、408mg、409mg、410mg、411mg、412mg、413mg、414mg、415mg、416mg、417mg、418mg、419mg、420mg、421mg、422mg、423mg、424mg、425mg、426mg、427mg、428mg、429mg、430mg、431mg、432mg、433mg、434mg、435mg、436mg、437mg、438mg、439mg、440mg、441mg、442mg、443mg、444mg、445mg、446mg、447mg、448mg、449mg、450mg、451mg、452mg、453mg、454mg、455mg、456mg、457mg、458mg、459mg、460mg、461mg、462mg、463mg、464mg、465mg、466mg、467mg、468mg、469mg、470mg、471mg、472mg、473mg、474mg、475mg、476mg、477mg、478mg、479mg、480mg、481mg、482mg、483mg、484mg、485mg、486mg、487mg、488mg、489mg、490mg、491mg、492mg、493mg、494mg、495mg、496mg、497mg、498mg、499mg、500mg、501mg、502mg、503mg、504mg、505mg、506mg、507mg、508mg、509mg、510mg、511mg、512mg、513mg、514mg、515mg、516mg、517mg、518mg、519mg、520mg、521mg、522mg、523mg、524mg、525mg、526mg、527mg、528mg、529mg、530mg、531mg、532mg、533mg、534mg、535mg、536mg、537mg、538mg、539mg、540mg、541mg、542mg、543mg、544mg、545mg、546mg、547mg、548mg、549mg、550mg、551mg、552mg、553mg、554mg、555mg、556mg、557mg、558mg、559mg、560mg、561mg、562mg、563mg、564mg、565mg、566mg、567mg、568mg、569mg、570mg、571mg、572mg、573mg、574mg、575mg、576mg、577mg、578mg、579mg、580mg、581mg、582mg、583mg、584mg、585mg、586mg、587mg、588mg、589mg、590mg、591mg、592mg、593mg、594mg、595mg、596mg、597mg、598mg、599mg、600mg、601mg、602mg、603mg、604mg、605mg、606mg、607mg、608mg、609mg、610mg、611mg、612mg、613mg、614mg、615mg、616mg、617mg、618mg、619mg、620mg、621mg、622mg、623mg、624mg、625mg、626mg、627mg、628mg、629mg、630mg、631mg、632mg、633mg、634mg、635mg、636mg、637mg、638mg、639mg、640mg、641mg、642mg、643mg、644mg、645mg、646mg、647mg、648mg、649mg、650mg、651mg、652mg、653mg、654mg、655mg、656mg、657mg、658mg、659mg、660mg、661mg、662mg、663mg、664mg、665mg、666mg、667mg、668mg、669mg、670mg、671mg、672mg、673mg、674mg、675mg、676mg、677mg、678mg、679mg、680mg、681mg、682mg、683mg、684mg、685mg、686mg、687mg、688mg、689mg、690mg、691mg、692mg、693mg、694mg、695mg、696mg、697mg、698mg、699mg、700mg、701mg、702mg、703mg、704mg、705mg、706mg、707mg、708mg、709mg、710mg、711mg、712mg、713mg、714mg、715mg、716mg、717mg、718mg、719mg、720mg、721mg、722mg、723mg、724mg、725mg、726mg、727mg、728mg、729mg、730mg、731mg、732mg、733mg、734mg、735mg、736mg、737mg、738mg、739mg、740mg、741mg、742mg、743mg、744mg、745mg、746mg、747mg、748mg、749mg、750mg、751mg、752mg、753mg、754mg、755mg、756mg、757mg、758mg、759mg、760mg、761mg、762mg、763mg、764mg、765mg、766mg、767mg、768mg、769mg、770mg、771mg、772mg、773mg、774mg、775mg、776mg、777mg、778mg、779mg、780mg、781mg、782mg、783mg、784mg、785mg、786mg、787mg、788mg、789mg、790mg、791mg、792mg、793mg、794mg、795mg、796mg、797mg、798mg、799mg、800mg、801mg、802mg、803mg、804mg、805mg、806mg、807mg、808mg、809mg、810mg、811mg、812mg、813mg、814mg、815mg、816mg、817mg、818mg、819mg、820mg、821mg、822mg、823mg、824mg、825mg、826mg、827mg、828mg、829mg、830mg、831mg、832mg、833mg、834mg、835mg、836mg、837mg、838mg、839mg、840mg、841mg、842mg、843mg、844mg、845mg、846mg、847mg、848mg、849mg、850mg、851mg、852mg、853mg、854mg、855mg、856mg、857mg、858mg、859mg、860mg、861mg、862mg、863mg、864mg、865mg、866mg、867mg、868mg、869mg、870mg、871mg、872mg、
【0076】
873mg、874mg、875mg、876mg、877mg、878mg、879mg、880mg、881mg、882mg、883mg、884mg、885mg、886mg、887mg、888mg、889mg、890mg、891mg、892mg、893mg、894mg、895mg、896mg、897mg、898mg、899mg、900mg、901mg、902mg、903mg、904mg、905mg、906mg、907mg、908mg、909mg、910mg、911mg、912mg、913mg、914mg、915mg、916mg、917mg、918mg、919mg、920mg、921mg、922mg、923mg、924mg、925mg、926mg、927mg、928mg、929mg、930mg、931mg、932mg、933mg、934mg、935mg、936mg、937mg、938mg、939mg、940mg、941mg、942mg、943mg、944mg、945mg、946mg、947mg、948mg、949mg、950mg、951mg、952mg、953mg、954mg、955mg、956mg、957mg、958mg、959mg、960mg、961mg、962mg、963mg、964mg、965mg、966mg、967mg、968mg、969mg、970mg、971mg、972mg、973mg、974mg、975mg、976mg、977mg、978mg、979mg、980mg、981mg、982mg、983mg、984mg、985mg、986mg、987mg、988mg、989mg、990mg、991mg、992mg、993mg、994mg、995mg、996mg、997mg、998mg、999mg、または1000mg)のヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0077】
1つの実施形態では、組成物は、約10mg~約200mg、好ましくは約10mg、好ましくは約11mg、好ましくは約12mg、好ましくは約13mg、好ましくは約14mg、好ましくは15mg、好ましくは約16mg、好ましくは約17mg、好ましくは約18mg、好ましくは約19mg、好ましくは約20mg、好ましくは約21mg、好ましくは約22mg、好ましくは約23mg、好ましくは約24mg、好ましくは25mg、好ましくは約26mg、好ましくは約27mg、好ましくは約28mg、好ましくは約29mg、好ましくは約30mg、好ましくは約31mg、好ましくは約32mg、好ましくは約33mg、好ましくは約34mg、好ましくは約35mg、好ましくは約36mg、好ましくは約37mg、好ましくは約38mg、好ましくは約39mg、好ましくは約40mg、好ましくは約41mg、好ましくは約42mg、好ましくは約43mg、好ましくは約44mg、好ましくは約45mg、好ましくは約46mg、好ましくは約47mg、好ましくは約48mg、好ましくは約49mg、好ましくは約50mg、好ましくは約51mg、好ましくは約52mg、好ましくは約53mg、好ましくは約54mg、好ましくは約55mg、好ましくは約56mg、好ましくは約57mg、好ましくは約58mg、好ましくは約59mg、好ましくは約60mg、好ましくは約61mg、好ましくは約62mg、好ましくは約63mg、好ましくは約64mg、好ましくは約65mg、好ましくは約66mg、好ましくは約67mg、好ましくは約68mg、好ましくは約69mg、好ましくは約70mg、好ましくは約71mg、好ましくは約72mg、好ましくは約73mg、好ましくは約74mg、好ましくは約75mg、好ましくは約76mg、好ましくは約77mg、好ましくは約78mg、好ましくは約79mg、好ましくは約80mg、好ましくは約81mg、好ましくは約82mg、好ましくは約83mg、好ましくは約84mg、好ましくは約85mg、好ましくは約86mg、好ましくは約87mg、好ましくは約88mg、好ましくは約89mg、好ましくは約90mg、好ましくは約91mg、好ましくは約92mg、好ましくは約93mg、好ましくは約94mg、好ましくは約95mg、好ましくは約96mg、好ましくは約97mg、好ましくは約98mg、好ましくは約99mg、好ましくは約100mg、好ましくは約101mg、好ましくは約102mg、好ましくは約103mg、好ましくは約104mg、好ましくは約105mg、好ましくは約106mg、好ましくは約107mg、好ましくは約108mg、好ましくは約109mg、好ましくは約110mg、好ましくは約111mg、好ましくは約112mg、好ましくは約113mg、好ましくは約114mg、好ましくは約115mg、好ましくは約116mg、好ましくは約117mg、好ましくは約118mg、好ましくは約119mg、好ましくは約120mg、好ましくは約121mg、好ましくは約122mg、好ましくは約123mg、好ましくは約124mg、好ましくは約125mg、好ましくは約126mg、好ましくは約127mg、好ましくは約128mg、好ましくは約129mg、好ましくは約130mg、好ましくは約131mg、好ましくは約132mg、好ましくは約133mg、好ましくは約134mg、好ましくは約135mg、好ましくは約136mg、好ましくは約137mg、好ましくは約138mg、好ましくは約139mg、好ましくは約140mg、好ましくは約141mg、好ましくは約142mg、好ましくは約143mg、好ましくは約144mg、好ましくは約145mg、好ましくは約146mg、好ましくは約147mg、好ましくは約148mg、好ましくは約149mg、好ましくは約150mg、好ましくは約151mg、好ましくは約152mg、好ましくは約153mg、好ましくは約154mg、好ましくは約155mg、好ましくは約156mg、好ましくは約157mg、好ましくは約158mg、好ましくは約159mg、好ましくは約160mg、好ましくは約161mg、好ましくは約162mg、好ましくは約163mg、好ましくは約164mg、好ましくは約165mg、好ましくは約166mg、好ましくは約167mg、好ましくは約168mg、好ましくは約169mg、好ましくは約170mg、好ましくは約171mg、好ましくは約172mg、好ましくは約173mg、好ましくは約174mg、好ましくは約175mg、好ましくは約176mg、好ましくは約177mg、好ましくは約178mg、好ましくは約179mg、好ましくは約180mg、好ましくは約181mg、好ましくは約182mg、好ましくは約183mg、好ましくは約184mg、好ましくは約185mg、好ましくは約186mg、好ましくは約187mg、好ましくは約188mg、好ましくは約189mg、好ましくは約190mg、好ましくは約191mg、好ましくは約192mg、好ましくは約193mg、好ましくは約194mg、好ましくは約195mg、好ましくは約196mg、好ましくは約197mg、好ましくは約198mg、好ましくは約199mg、またはより好ましくは約200mgの、ヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0078】
1つの好ましい実施形態において、組成物は、約20mgのヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0079】
別の好ましい実施形態において、組成物は、約100mgのヒドロキシクロロキンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。
【0080】
1つの実施形態において、本明細書において定義される組成物は、炎症状態の処置における使用のためのものである。
【0081】
炎症状態
本明細書で使用される「炎症状態」という用語は、通常、炎症、または損傷、自己免疫、微生物病原体および/もしくはウイルスによる感染などの有害刺激に対する複雑な生物学的反応を特徴とする状態を指す。炎症状態の臨床的特徴は、侵害刺激(または複数の刺激)によって異なると考えられるが、通常は、罹患した臓器または組織の熱感、疼痛、発赤、腫脹を特徴とする。炎症状態は、急性または慢性であり得る。
【0082】
1つの実施形態において、炎症状態は、炎症性呼吸器状態、炎症性腸疾患および関節炎からなる群から選択される。
【0083】
1つの実施形態において、炎症状態は、炎症性呼吸器状態である。
【0084】
炎症性呼吸器状態は当業者に知られており、その例示的な例としては、ARDS、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)、喘息、気管支炎、気管支拡張症、サルコイドーシスおよび嚢胞性線維症(cystic fibrosis:CF)が挙げられる。
【0085】
1つの実施形態において、炎症性呼吸器状態は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支炎、嚢胞性線維症(CF)および急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)からなる群から選択される。
【0086】
1つの実施形態において、炎症性呼吸器状態は、ARDSである。別の実施形態では、炎症性呼吸器状態は、敗血症関連ARDSである。
【0087】
1つの実施形態において、炎症状態は、炎症性腸疾患である。
【0088】
「炎症性腸疾患」という用語は、消化管の慢性炎症を伴う疾患または障害を指す。このような疾患または障害は当業者に知られており、その例示的な例としては、潰瘍性大腸炎、クローン病が挙げられる。
【0089】
1つの実施形態において、炎症状態は、関節炎である。
【0090】
「関節炎」という用語は、通常、軟骨の喪失も含み得る関節の炎症によって特徴付けられる疾患を指す。かかる疾患は当業者に知られており、その例示的な例としては、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎および強直性脊椎炎が挙げられる。
【0091】
1つの実施形態において、関節炎は、関節リウマチである。
【0092】
1つの実施形態において、炎症状態は、IL-1β、IL-6、TNF-α、IL-1α、IL-12(p70)、IFN-γ、CXCL-1、MCP-1およびMIP-1α、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される炎症性サイトカインのレベルの増加またはアップレギュレーションと関連する。
【0093】
1つの実施形態において、炎症状態は、IL-1β、IL-6およびTNF-α、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される炎症性サイトカインのレベルの増加またはアップレギュレーションと関連する。
【0094】
IL-1β、IL-6、TNF-α、IL-1α、IL-12(p70)、IFN-γ、CXCL-1、MCP-1および/またはMIP-1αのレベルの増加またはアップレギュレーションに関連する炎症状態は、当業者に知られており、その例示的な例としては、関節炎(例えば、以下によって記載される、Feldmanら,1996,AnnualReview of Immunology,14:397~440;Mclnnesら,2007,Nature Reviews Immunology,7:429~442;Tanakaら,2014,ColdSpring Harbor Perspectives in Biology,6:a016292~a016295;Woo,2002,Current RheumatologyReports,4:452~457;Kapoorら,2011,Nature Reviews Rheumatology,7:33-42)、炎症性腸疾患(例えば、Neurath,2014,NatureReviews Immunology,14: 329~342;Papadakis and Targan,2000,TheAnnual Review of Medicine,51:289~298によって記載されている)、疼痛(例えば、Zhang,2007,InternationalAnesthesiology Clinics,45:27~37)、痛風(Busso,2010,Arthritis Research&Therapy,12:206などによって記載されている)、線維筋痛症(Rodriguez-Pintoら、2014、Immunology Letters、161によって記載されている:200~203)、子宮内膜症(例えば、Wu and Ho,2003,AmericanJournal of Reproductive Immunology,49:285~296)、慢性閉塞性肺疾患(例えば、Chung,2001,EuropeanRespiratory Journal,18:50s~59s)、喘息(例えば、Rincon and Irvin,2012,International Journalof Biological Sciences,8:1281-1290;Thomas,2001,Immunology&Cell Biology,79: 132~140), アルコール性肝疾患(例えば、McClainら,1999,inSeminars in Liver Diseases,205~220;Kawarataniら,2013,Mediators of Inflammation,2013:495156)、乾癬/皮膚炎(例えば、Jensen、2010、CurrentOpinions in Investigative Drug Discovery、11:1211-1220;Baliwagら,2015,Cytokine、31:781~789;Toshitaniら,1993,Journalof Investigative Dermatology、100:299~304によって記載されている)、および狼瘡(例えば、Davisら,2011,Journalof Interferon&Cytokine Research,31:781~789)が挙げられる。
【0095】
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
「急性呼吸窮迫症候群」、「成人呼吸窮迫症候群」、または「ARDS」という用語は、本明細書では同義的に使用され、肺胞-毛細血管関門の破壊、肺胞空間へのタンパク質を豊富に含む浮腫液の浸水、および免疫系の刺激による細胞動員によって典型的に特徴づけられる炎症状態を指し得る。ARDSは、肺炎、誤嚥、吸入損傷、溺死寸前、肺挫傷、再灌流肺水腫および脂肪塞栓症などの直接的な肺損傷後に発症し得る。ARDSは、間接的な肺損傷、例えば、敗血症、重度の外傷、急性膵炎、心肺バイパス、大量輸血、および薬物過剰摂取の経過中にも起こり得る。
【0096】
「敗血症関連急性呼吸窮迫症候群」または「敗血症関連ARDS」は、通常、肺感染後または肺外部位での感染後に誘発されるARDSを指す。感染に対する宿主の異常な反応は肺胞-毛細血管関門の破壊を引き起こし、低酸素血症、炎症、および非心原性肺水腫を特徴とする肺損傷を引き起こす。
【0097】
1つの実施形態において、ARDSは、敗血症関連ARDSである。
【0098】
敗血症関連ARDSを引き起こし得る病原体の種類は、当業者には知られており、その例示的な例としては、細菌、例えば、肺炎球菌(Streptococcuspneumonia)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacterbaumannii);真菌、例えば、ニューモシスチス・イロベチイ(Pneumocystis jirovecii)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candidatropicalis)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata);ならびに、ウイルス、例えばサイトメガロウイルス、インフルエンザ、単純ヘルペスウイルス1型、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザ、ヒトメタニューモウイルス、エンテロウイルスおよびコロナウイルスが挙げられる。
【0099】
1つの実施形態において、敗血症関連ARDSは、細菌感染、真菌感染またはウイルス感染によって引き起こされる。1つの実施形態において、細菌感染は、肺炎球菌(Streptococcuspneumoniae)感染、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)感染、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染、およびアシネトバクター・バウマニ(Acinetobacterbaumannii)感染からなる群から選択される。1つの実施形態において、ウイルス感染は、サイトメガロウイルス感染、インフルエンザ感染、単純ヘルペスウイルス1型感染、呼吸器合胞体ウイルス感染、パラインフルエンザ感染、ヒトメタニューモウイルス感染、エンテロウイルス感染およびコロナウイルス感染からなる群から選択される。1つの実施形態において、真菌感染は、ニューモシスチス・イロベチイ(Pneumocystisjirovecii)感染、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)感染、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)感染およびカンジダ・グラブラータ(Candidaglabrata)感染からなる群から選択される。
【0100】
ARDSは、例えば、The ARDS Definition Task Force(2012,American MedicalAssociation, 307(23): 2526-2234)に記載されているBerlin基準を用いて分類することができる。この基準は、呼気終末陽圧(positive end-expiratory pressure:PEEP)の最小レベル5cmHOで測定したときの動脈血酸素分圧と吸気酸素濃度との比に基づいている。ベルリン基準によると、ARDSの重症度は、軽度、中等度、または重度に分類される(表2)。
【0101】
Berlin基準に基づくARDSの分類は、危険因子と、危険因子への曝露期間(すなわち、危険因子への曝露とARDS発症との間の最大期間は7日間)とを考慮して行うこともできる。ARDSの危険因子には、直接的危険因子、すなわち、肺炎、胃内容物の誤嚥、吸入損傷、肺挫傷、肺血管炎および溺水、ならびに間接的危険因子、すなわち、非肺敗血症、多発外傷、膵炎、非心原性ショック、薬物過剰投与および輸血関連急性肺損傷(TRALI)が含まれる。
【0102】
ARDS患者における肺病態の画像化、ARDSに対する炎症マーカーまたは他のバイオマーカーの測定も、ARDSの分類に使用され得る。
【0103】
好適な撮像方法は当業者に知られており、その例示的な例としては、例えば、Puybassetら(1998,American Journalof Respiratory and Critical Care Medicine,158(5).1644-1655)によって記載されているコンピュータ断層撮影法(CT)が挙げられる。同様に、ARDSのための適切な炎症マーカーおよび他のバイオマーカーは、当業者に知られており、その例示的な例としては、例えば、Blondonnetら(2016、DiseaseMarkers、2016:35101373)によってレビューされたバイオマーカーが挙げられる。
【0104】
本発明者らは、驚くべきことに、CBDとヒドロキシクロロキンとが相乗的に作用して、有害刺激に応答する炎症性サイトカインの産生を阻害することを見出した。本発明者らはまた、CBDおよびヒドロキシクロロキンの投与により、COPD、喘息、CFおよびARDSを含む肺炎症に関連する状態を(例えば、ARDSの症状または重症度を軽減または緩和することによって、特に、急性肺炎症反応を軽減し、浮腫を回復させ、肺の損傷を制限することによって)処置できることを、驚くべきことに見出した。
【0105】
炎症状態の処置または予防のための方法
本明細書に開示される態様によれば、本明細書に記載される組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、炎症状態の処置のための方法が、提供される。
【0106】
本開示の別の態様において、炎症状態の処置のための医薬の製造における本明細書に開示される組成物の使用も、提供される。
【0107】
本明細書において、「処置する」、「処置している」、「処置」などの用語は、本明細書で互換的に使用され、対象における炎症状態の1つ以上の症状の重症度を、和らげる、軽減する、緩和する、改善する、あるいは抑制することを意味する。本明細書で使用される「処置する」、「処置している」、「処置」などの用語は、炎症状態が消失するか、またはもはや明らかでなくなるまで対象を処置することを意味するものではないことを理解されたい。処置により、炎症状態の1つ以上の症状の重症度を軽減することもできる。
【0108】
本明細書において、「予防する」、「予防している」、「予防」などの用語は、本明細書で互換的に使用され、疾患の状態の確立を妨げること、あるいはいかなる場合においても状態もしくは疾患またはその他の望ましくない症状の発症もしくは進行を、予防する、妨害する、遅らせる、無効化するもしくは逆転させることを意味する。
【0109】
本明細書で使用される「対象」という用語は、家畜および他の農場動物(ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ブタおよびニワトリなど)、パフォーマンス動物(競走馬など)、愛玩動物(ネコおよびイヌなど)、実験室試験動物およびヒトを含む任意の哺乳動物を指す。1つの実施形態において、対象は、ヒトである。
【0110】
当技術分野で公知の任意の定量的方法または臨床機器によって測定される炎症状態の症状または重症度の変化(例えば、炎症性メディエーターの減少、白血球数および/または好中球浸潤の減少、急性肺炎症反応の減少、浮腫の回復、および肺への損傷の制限)。有益なまたは所望の治療結果は、臨床パラメータを測定することによって定量化することができ、その例示的な例としては、酸素化指数(OI[FIO×平均気道圧×100)/PaO])または酸素化飽和指数(OSI[FIO×平均気道圧×100)/パルスオキシメトリー(SpO)による酸素飽和度]の測定(DesPrezら(2017,Chest,152(6).1151-1158)、The ARDS Definition Task Force(2012、前出)により記載される動脈血酸素分圧と吸入酸素濃度の比(PaO:FiO)の測定、胸部X線撮影による両側肺混濁の検出、Blondonnetら(2016、前出)により記載される免疫学的バイオマーカーの変化したレベルの検出、大腸粘膜の内視鏡的および組織学的評価、ならびに便分析(便潜血スコアおよび便粘稠度を含む)が挙げられる。有益なまたは所望の治療結果の主観的測定はまた、当技術分野で公知の臨床器具を用いて行うことができ、この例示的な例としては、肺損傷スコア(LIS)(Murrayら、1988、AmericanReview of Respiratory Disease、138(3).720)、アメリカ-ヨーロッパコンセンサス会議(AECC)定義(Bernardら、1994、AmericanJournal of Respiratory and Critical Care Medicine、149:818-824)、疾患重症度スコア(例えば、AcutePhysiology and Chronic Health Evaluation II(APACHE II)and Simplified Index ScoreII)、Berlin基準(The ARDS Definition Task Force,2012,前出)、Crohn’sDisease Activity Index(CDAI;Bestら,1976,Gastroenterology,70: 439-444)、MayoScore for Ulcerative Colitis(UC;Lewisら,2008,Inflammatory Bowel Disease,14:1660-1666)などが挙げられる。
【0111】
1つの実施形態において、本明細書に開示される方法は、当該組成物を投与されていない同じ炎症状態の対象と比較して、炎症状態の症状または重症度を、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、またはより好ましくは少なくとも100%減少させる。
【0112】
1つの実施形態において、組成物は、炎症状態の処置または予防における使用のためのものである。
【0113】
1つの実施形態において、組成物は、炎症性呼吸器状態の処置または予防における使用のためのものである。
【0114】
1つの実施形態において、組成物は、ARDS、COPD、喘息、気管支炎、およびCFからなる群から選択される炎症性呼吸器状態の処置または予防における使用のためのものである。
【0115】
1つの実施形態において、組成物は、ARDSの処置または予防における使用のためのものである。
【0116】
1つの実施形態において、組成物は、敗血症関連ARDSの処置または予防における使用のためのものである。
【0117】
1つの実施形態において、組成物は、本明細書の他の箇所に記載されるように、細菌感染、真菌感染、またはウイルス感染によって引き起こされる敗血症関連ARDSの処置または予防における使用のためのものである。
【0118】
1つの実施形態において、組成物は、炎症性腸疾患の処置または予防における使用のためのものである。
【0119】
1つの実施形態において、組成物は、関節炎の処置または予防における使用のためのものである。別の実施形態において、組成物は、関節リウマチの処置または予防における使用のためのものである。
【0120】
本明細書に開示される1つの態様において、炎症状態の処置または予防のための医薬の製造における、本明細書に記載の組成物の使用が提供される。
【0121】
1つの実施形態において、炎症状態は、炎症性呼吸器状態である。
【0122】
1つの実施形態において、炎症性呼吸器状態は、ARDS、COPD、喘息、気管支炎およびCFからなる群から選択される。
【0123】
1つの実施形態において、炎症状態はARDSである。別の実施形態では、ARDSは、敗血症関連ARDSである。
【0124】
別の実施形態では、炎症状態は炎症性腸疾患である。
【0125】
別の実施形態では、炎症状態は、関節炎である。別の実施形態では、関節炎は、関節リウマチである。
【0126】
いくつかの実施形態において、組成物の定期的な再投与は、望ましい治療効果を得るために必要とされ得る。組成物の正確な投与量および投与速度は、対象の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、および食事要件、ならびに組成物の投与と組み合わせてまたは同時に使用される薬物または薬剤などの多くの要因(その例は本明細書の他の箇所に記載される)によって異なる。複数回の投与が必要な場合、毎時、毎日、毎週、毎月、または他の適切な時間間隔で投与するか、あるいは状況の緊急性に応じて投与量を比例的に減少させることができる。
【0127】
1つの実施形態において、組成物は、1日2回投与される。
【0128】
1つの実施形態において、組成物は、少なくとも1週間の期間にわたって、投与される。
【0129】
1つの実施形態において、組成物は、1週間から10週間の期間にわたって(例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、または10週間)、対象に投与される。
【0130】
したがって、1つの実施形態において、組成物は、1から10週間の期間、好ましくは約1週間、好ましくは約2週間、好ましくは約3週間、好ましくは約4週間、好ましくは約5週間、好ましくは約6週間、好ましくは約7週間、好ましくは約8週間、好ましくは約9週間、またはより好ましくは約10週間にわたって、対象に投与される。
【0131】
1つの実施形態において、組成物は、3週間から4週間の期間、対象に投与される。
【0132】
免疫応答を調節するための方法
本明細書に開示される別の態様において、本明細書に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、免疫応答を調節する方法が提供される。
【0133】
当業者であれば、本明細書に開示される方法による免疫応答の調節が、当該技術分野で公知の様々な方法によって決定され得ることを理解するであろう、その例示的な例としては、処置の前後または処置の経過中など、対象におけるサイトカイン産生における変化(例えば、レベル、濃度、比率)を測定することが含まれる。本明細書で使用される「調節」という用語は、例えばサイトカインなどの炎症性メディエーターのレベル、濃度および/または比率の減少または増加によって決定されるような、免疫応答の減少または増加を意味すると理解されるべきである。
【0134】
本明細書において、「レベル」および「量」という用語は、本明細書では互換的に使用され、定量的な量(例えば、モル数または数)、半定量的な量、相対的な量(例えば、クラス内の重量%、もしくはモル%、または比率)、濃度などを指す。したがって、これらの用語は、サンプル中の炎症性メディエーターを含む絶対量または相対量または濃度を包含する。
【0135】
サイトカインなどの炎症性メディエーターは、核酸およびタンパク質ベースのアッセイを含むがこれらに限定されない、任意の適切な技術を用いて定量化または検出することができる。例示的な核酸ベースのアッセイにおいて、核酸は、標準的な方法論に従って生物学的サンプルに含まれる細胞から単離される(Sambrookら,1989,MolecularCloning:A Laboratory Manual;およびAusubelら、1994、Current Protocolsin Molecular Biology)。
【0136】
他の例示的な実施形態では、炎症性メディエーターのタンパク質レベルは、当技術分野で公知のタンパク質ベースのアッセイを用いて測定することができる。例えば、サンプル中の自己抗体のレベルを測定するために、抗体ベースの技術が採用され得、その例示的な例としては、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、免疫組織化学(IHC)、および放射免疫測定法(RIA)などのイムノアッセイが挙げられる。
【0137】
1つの実施形態では、タンパク質発現は、多重化タンパク質発現解析法を用いて測定される。別の実施形態では、多重化タンパク質発現解析法は、タンパク質マイクロアレイまたはLuminex(登録商標)ビーズアレイである。
【0138】
多数のタンパク質の同時検出および/または定量を可能にするタンパク質捕捉アレイも採用され得る。例えば、ユニバーサルタンパク質アレイシステムなどのフィルター膜上の低密度タンパク質アレイにより、標準的なELISA技術および走査型電荷結合素子(CCD)検出器を用いてアレイ化された抗原のイメージングが可能になる。例示的なタンパク質捕捉アレイには、空間的に位置決めされたタンパク質結合分子(すなわち抗原)を有するタンパク質機能アレイが含まれ、タンパク質機能アレイ(protein function array)を構成する抗原に対する特異性を有する自己抗体の広範な並行分析を容易にすることができる。このタイプの分析の中心となるのは、アレイ化された抗原の正しく折りたたまれたタンパク質の確認を保持することである。タンパク質機能アレイは、特異性と許容可能なバックグラウンドという必要な特性を有することが示されており、市販されている(例えば、Sengenics社製)。タンパク質機能アレイを調製するための様々な方法が報告されている(例えば、Gnjaticら,2009,Journalof Immunological Methods,341(50):1-2;PCT/GB0l/00395,PCT/GB02/05499,PCT/GB03/00362を参照)。個々の空間的に異なる機能性タンパク質は、一般的に平面のまたは起伏のある支持体表面に付着される。一般的な物理的支持体としては、スライドガラス、シリコン、マイクロウェル、ニトロセルロースまたはPVDF膜、ならびに磁気マイクロビーズおよび他のマイクロビーズが挙げられる。
【0139】
懸濁液中の粒子も、識別のためにコード化されていれば、アレイの基礎として使用できる。システムには、マイクロビーズ(例えば、Luminex社、Bio-Rad社、NanomicsBiosystems社から入手可能)および半導体ナノ結晶(例えば、Quantum Dotsから入手可能なQDots(商標))のカラーコード化、ならびにビーズ(Smartbeads社から入手可能なUltraPlex(商標))およびマルチメタルマイクロロッド(multimetal microrods)(Surromed社から入手可能なNanobarcodes(商標)粒子)のバーコード化が、含まれる。ビーズはまた、半導体チップ上の平面アレイに組み立てられ得る(例えば、LEAPStechnologyやBioArray Solutionsから入手可能)。粒子が使用される場合、個々のタンパク質捕捉剤(例えば、炎症性メディエーターに対する抗体またはその炎症性メディエーター結合フラグメント)は、通常、アレイの空間的定義または分離をもたらすために個々の粒子に付着される。次いで、粒子は別々に、しかし並行して、例えばマイクロタイタープレートのウェルや別々の試験管などの区画化された様式で、アッセイされ得る。
【0140】
例示的な例では、患者サンプルまたは対照サンプルを、タンパク質またはペプチドの結合に適した条件下でタンパク質機能アレイに送達し、アレイを洗浄して未結合または非特異的に結合したサンプル成分をアレイから除去する。次に、アレイを蛍光標識抗体とともにインキュベートし、アレイ抗原とサンプル中に存在する炎症性メディエーターとの間の相互作用を検出する。アレイの各特徴部に結合したタンパク質またはペプチドの存在または量は、適切な蛍光検出システムを用いて検出される。アレイの特徴部に結合したタンパク質の量は、蛍光強度に比例する。特定の実施形態では、アレイの対照特徴部から得られた局所的なバックグラウンド蛍光が自動的に差し引かれ、アレイの各特徴部の相対蛍光単位(rfu)が記録される。
【0141】
いくつかの実施形態では、タンパク質機能アレイは、Luminexベースのマルチプレックスアッセイであり、これはビーズベースのマルチプレックスアッセイであり、ビーズは特定のスペクトルアドレスを生成するために蛍光色素で内部染色されている。生体分子(オリゴや抗体など)をビーズ表面に結合させて、目的の分析対象物、すなわち炎症マーカー、例えばサイトカインを捕捉することができる。次いで、当業者に公知のフローサイトメトリーまたはその他の適切なイメージング技術を、ビーズの特性評価および分析物の存在の検出に使用することができる。Luminex技術により、非常に少ないサンプル量(例えば、96または384ウェルプレート)で、多数のタンパク質、遺伝子または他の遺伝子発現産物(例えば、100以上、200以上、300以上、400以上)を検出することができる。
【0142】
いくつかの実施形態では、炎症性メディエーターのレベルは、ハウスキーピングバイオマーカーに対して正規化することができる。「ハウスキーピングバイオマーカー」という用語は、バイオマーカーまたはバイオマーカー群(例えば、ポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド)を指し、通常、分析される細胞型または組織において、また評価される条件にわたって一定のレベルで見出される。
【0143】
他の実施形態では、タンパク質アレイを用いて測定される炎症性メディエーターのレベルは、アレイ内およびアレイ間のデータ正規化の両方によって正規化することができる。例えば、タンパク質機能アレイ中の各タンパク質の相対蛍光単位(rfu)の中央値(対照タンパク質のデータを除く)の全体的な中央値を計算し、アレイ上の各タンパク質の4重スポット(quadruplicate spots)の中央値を、各サンプルにおけるアレイ上の全タンパク質の全体の中央値で割ることにより、アレイ内正規化が実現される。アレイ間の正規化は、当該技術分野で公知のバイオインフォマティクスソフトウェアパッケージを使用して達成することができる。例えば、アレイ間の正規化は、Rにおけるnormalize.quantilesパッケージを使用して実現することができる(Bolstadら,2003,Bioinformatics,19(2):185-193)。
【0144】
本明細書の他の箇所に記載されているように、サンプル中の炎症性メディエーターのレベルを分析する方法は、本質的に定量的、半定量的、または定性的であり得ることは、当業者には理解されよう。例えば、定量分析により、通常、適切な誤差範囲(例えば、平均+/-標準偏差)内のサンプル中の炎症性メディエーターの核酸分子またはタンパク質の濃度または数が、得られる。対照的に、半定量的または定性的な分析により、通常、サンプル中の炎症性メディエーターの相対的な量の指標が得られる。このことには、第1サンプル中の炎症性メディエーターの量と第2サンプル中の炎症性メディエーターの量とを比較し、第1サンプルと第2サンプル間の炎症性メディエーターの相対的な量を決定することが含まれ得る。
【0145】
基準値との比較が行われる場合、CBDおよびヒドロキシクロロキンの投与後に対象において免疫応答が調節されたかどうかを判断する目的で適切な比較がなされ得ることを確実にするために、1つ以上の炎症性メディエーターのレベルについてサンプルが評価される方法は、基準値が導出される方法と実質的に同一であるべきであることが、当業者には理解されよう。
【0146】
1つの実施形態において、免疫応答を調節する方法は、基準レベルに対して炎症性メディエーターのレベルを低下させることを含む。
【0147】
1つの実施形態において、炎症性メディエーターは、サイトカインである。
【0148】
本明細書で使用される「サイトカイン」という用語は、細胞に対して様々な作用を及ぼす因子、例えば、成長または増殖を誘導する因子を指し、その例示的な例としては、IL-1β、IL-2、IL-10、IL-12(p70)、IFN-γ、TNF-α、IL-1α、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-12(p40)、IL-13、IL-17A、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、KC、MCP-l(MCAF)、MIP-1α、MIP-1β、RANTESおよびCXCL-1が挙げられる。
【0149】
1つの実施形態において、免疫応答を調節する方法は、IL-1β、IL-6、TNF-α、IL-1α、IL-12(p70)、IFN-γ、CXCL-1、MCP-1およびMIP-1αからなる群から選択される炎症性サイトカインのレベルを、基準レベルに対して低下させることを含む。
【0150】
1つの実施形態において、免疫応答を調節する方法は、IL-1β、IL-6およびTNF-αからなる群から選択される炎症性サイトカインのレベルを、基準レベルに対して低下させることを含む。
【0151】
当業者であれば、本明細書に記載された発明は、具体的に記載されたもの以外の変形および変更の影響を受け得ることを理解するであろう。本発明は、その趣旨および範囲に属するすべてのそのような変形および変更を含むことを理解されたい。本発明はまた、本明細書で個別にまたはまとめて言及または示されるすべてのステップ、特徴、組成物および化合物、ならびにステップまたは特徴の任意の2つ以上の任意のおよびすべての組み合わせを、含む。
【0152】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0153】
本明細書で言及されるすべての特許、特許出願および刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0154】
本明細書で可能となる様々な実施形態は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
【実施例
【0155】
材料
活性剤
カンナビジオール(CBD)およびヒドロキシクロロキン(HCQ)は市販のサプライヤーから購入し、Pharmacology DiscoveryServices Taiwan,Ltd.に提供した。製剤を表3にまとめる。
【0156】
化学品
0.9% NaCl(Sintong Chemical Industry Co.,Ltd,台湾)、Bio-PIex mousecytokine Thl-7plex panel(Bio-Rad、米国)、Bio-PIex mouse cytokine group I 23-plex panel(Bio-Rad、米国)、Lipopolysaccharide(Escherichia coli O55:B5、Sigma L-2880、米国)、MouseD-Dimer(D2D)ELISA kit(MyBioSource、米国)、リン酸緩衝生理食塩水(Sigma、米国)および注射用水(WFI)(Tai-Yu、台湾)。
【0157】
リポ多糖(LPS)誘発敗血症
体重10~20gの雄C57BL/6マウスを使用した。LPS(100μg/100μL/マウス)を静脈内(IV)注射する1時間前に、ビヒクルおよび活性剤(すなわち、CBDおよびヒドロキシクロロキン)を単独または組み合わせて腹腔内(IP)または経口投与した。LPS注射の2時間後、すべてのマウスから心臓穿刺により血液を採取し、血清を処理して、LuminexによるIL-1β、IL-2、IL-10、IL-12(p70)、IFN-γおよびTNF-α用のThl7-plexにプラスして、ELISAによるIL-6およびD-ダイマーか、または、LuminexによるIL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-12(p40)、IL-12(p70)、IL-13、IL-17A、エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、IFN-γ、KC、MCP-l(MCAF)、MIP-1α、MIP-1β、RANTES、およびTNF-α用の23-plexにプラスして、ELISAによるIL-6か、のいずれかを用いてバイオマーカーについてアッセイした。ビヒクル群と処置群との間の比較にはANOVAに続いてDunnett検定を適用した。p<0.05を有意とみなした。
【0158】
相乗効果解析のために、グループ全体の最大値に対して各サイトカインの値を正規化する前に、偽処置マウス(すなわち、LPS注射なし)のサイトカインレベルを用いて、データにベースライン差引を行った。正規化された値を使用して、相対的阻害を算出し、ここで値1は完全な阻害を表し、値0は阻害なしを表す。相乗効果は、本明細書の他の箇所に記載されている統計的方法を用いて計算した。
【0159】
LPS誘発肺炎症
体重10~20gの雄C57BL/B6マウスを用いた。LPS(約80mg/kg)を気管内投与する1時間前に、ビヒクルおよび活性剤(すなわち、CBDおよびヒドロキシクロロキン)を単独または組み合わせて腹腔内(IP)投与した。LPS注射の24時間後、マウスをペントバルビタールで麻酔し、気管カニューレから0.5mLのPBSを2回投与した後、約0.6mLの気管支肺胞洗浄液(BALF)を得た。BALFは、LuminexによってIL-1β、TNF-α、MCP-l(MCAF)およびCXCL-1についてアッセイした。ビヒクル群と処置群との間の比較には、ANOVAに続いてDunnett検定を適用した。p<0.05を有意とみなした。
【0160】
上記のように肺炎を誘発した動物の別の試験群では、終了時に肺を摘出し(肺あたり5葉)、病理組織検査のために10%中性緩衝ホルマリンで固定した。Shacklefordら(2002,ToxicologicPathology,30(1):93-96)によって記載されているように、サンプルを4~6μmで切開し、ヘマトキシリン・エオジン(H&E)で染色して、炎症性病変を検査した。簡単に説明すると、0のスコアは病変がないことを意味し、5のスコアは病変が重度/多数であることを示す。スコアを各動物の葉全体で平均し、次に各処置群の動物全体で平均した。
【0161】
相乗効果解析のために、グループ全体の最大値に対して各サイトカインの値を正規化する前に、偽処置マウス(すなわち、LPS注射なし)のサイトカインレベルを用いて、データにベースライン差引を行った。正規化された値を使用して、相対的阻害を算出し、ここで値1は完全な阻害を表し、値0は阻害なしを表す。相乗効果は、本明細書の他の箇所に記載されている統計的方法を用いて計算した。
【0162】
2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)誘発大腸炎
Antoniouら(2016,Annals of Medicine and Surgery,11:9~15)によって以前に記載されたように、50%エタノール中の2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の大腸内投与によって誘導される大腸炎のinvivoモデルとして、雄BALB/cを使用した。簡単に説明すると、エタノールが腸バリアを破壊し、TNBSが結腸のタンパク質と相互作用できるようにする。TNBSと高分子量タンパク質との相互作用により、TNBSが免疫原性となり、Thlを介した炎症が引き起こされ、不均一な便形成や血便などの症状が引き起こされる。
【0163】
ビヒクルおよび活性剤(すなわち、CBDおよびヒドロキシクロロキン)を、単独または組み合わせて、1日目(すなわち、TNBSの24時間前)から4日目まで(1~4日目)、合計4日間連続で1日1回腹腔内(IP)投与した。TNBSチャレンジ当日(すなわち2日目)には、試験品およびビヒクルを、TNBSの2時間前に投与した。
【0164】
結腸組織を、屠殺時にすべての動物から採取した。結腸サンプルを、肛門から0.5cm、2cm、3.5cmの位置から採取し、ホルマリンで固定した後、パラフィンブロックに包埋した。4マイクロメートルの組織切片を切り出し、Dielemanら(1998,ClinicalExperimental Immunology,114:385-391)の方法に従い、組織学的分析のためにH&Eで染色した。組織学的基準には、粘膜構造の異常、炎症の程度、びらんまたは潰瘍化、上皮再生、および疾患プロセスによる病変の割合が含まれた。採点は観察者の所見に基づき、動物ごとに各結腸から3切片を検査して行った。大腸炎の合計スコア(TotalColitis Index)が加算され、その結果、合わせた組織学的スコアは0から60の範囲となった。
【0165】
その他のエンドポイント測定では、便粘稠度スコア(すなわち、0-正常便、1-軟便だがまだ形成された便、2-非常に軟便、3-下痢)、便潜血スコア(すなわち、0-便潜血陰性、1-便潜血陽性、2-便中に血の痕跡が見える、3-直腸出血)、結腸重量、結腸巨視的損傷スコア(癒着、狭窄、潰瘍・炎症、壁厚の複合)、および結腸組織内のミエロペルオキシダーゼレベルも評価した。これらの各エンドポイントからのデータは、偽処置マウス(すなわち、TNBSなし)の同等の測定値を用いてベースラインから差し引かれ、いずれかの測定値の減少を相対的減少として計算した。相乗効果を、本明細書の別の箇所に記載された統計的方法を用いて計算した。
【0166】
コラーゲン誘発関節炎
雌のLewisラットに、フロイントアジュバントを添加したブタII型コラーゲンを1日目に尾の付け根に皮下注射(0.2mg/0.2mL/ラット)し、関節炎を誘発した。7日目にブースター注射(0.1mg/0.1mL/ラット)を行った。16日目に、ラットを後肢容積に基づいて6群に割り付け、後肢容積が同様に分布するように動物を群に割り当てた。
【0167】
ビヒクル、および、活性剤(すなわち、CBDおよびヒドロキシクロロキン)を、単独または組み合わせて、17日目から30日目まで、すなわち合計14日間連続して、1日1回腹腔内(IP)投与した。
【0168】
1日目、7日目、10日目、14日目、16日目、18日目、20日目、22日目、24日目、26日目、28日目および30日目に、プレシスモメーターを用いて後肢容積を測定し、表16に示される定性的重症度スコアシステムを使用することによって、疾患を評価した。
【0169】
30日目の屠殺後に、すべてのラットから血液を採取し、ELISA法により炎症性サイトカインIL-1β、IL-6、およびTNF-αのレベルを分析した。両後肢を採取し、重量を測定し、組織病理学のためにホルマリン固定した。組織を評価して、表17および表18に示したスコアリングマトリックスに従って、滑膜組織におけるパンヌス形成および単核細胞浸潤による軟骨および骨の破壊を評価した。また、パンヌス形成スコアと単核細胞浸潤スコアとの合計である組織学的総スコアも、算出した。
【0170】
相乗効果分析のために、データは、ビヒクル対照に対する値を正規化する前に、偽処置マウス(すなわち、コラーゲン注射なし)を用いて、データにベースライン差引を行った。相乗作用は、本明細書の他の箇所に記載されている統計的方法を用いて算出した。
【0171】
CBDとヒドロキシクロロキンとの組み合わせの抗炎症活性のin vitro分析
CBDとヒドロキシクロロキンとの組み合わせによる抗炎症活性は、Luminexベースのアッセイを用いて、細菌性リポ多糖(LPS)で刺激したヒト末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cells:PBMC)からのサイトカイン放出を測定することによって評価した。CBDおよびヒドロキシクロロキンの7つの濃度(薬物無添加対照を含む)で併用評価した96ウェルマイクロタイタープレートベースのチェッカーボードアッセイを、薬物-薬物相互作用を測定するために使用した。簡単に説明すると、2人の独立したドナーからの凍結PMBCを解凍し、培養液で希釈し、96ウェルマイクロタイタープレートに播種し、試験化合物を添加する前に37℃、5%COで1時間インキュベートした。試験化合物の添加後、細胞を1時間インキュベーターに戻し、その後LPSをウェルに添加した。プレートを37℃、5%COで24時間インキュベートした。24時間後、細胞培養上清を除去し、製造業者の指示に従ってLuminex法を用いてサイトカインレベルを分析した。すべての値は、さらなる分析の前にビヒクルのバックグラウンドを差し引いた。同じドナーからのPBMCを用いて、3つのプレートを並行してセットアップした。サイトカイン放出の阻害は、無処置対照(すなわち、LPSで刺激したもの)と比較して測定し、3つの複製で平均した。同じプレートセットアップでAlmarBlueを用いた細胞毒性アッセイも並行して行った。
【0172】
統計分析
薬物の相乗効果を、薬剤の組み合わせの予測効果が下記式を用いて計算されるBliss Independence法を用いて、測定した:
predA+B=(E+E)-(E
【0173】
薬物濃度の組み合わせごとの相乗効果の値は、例えば、Liuら(2018,Statistics in BiopharmaceuticalResearch,10:112-122)に記載されているExcess Over Bliss法(観測された阻害と予測された阻害の差)を用いて算出した。ここで、0より大きい値は相乗効果を示し、値が大きいほど相乗効果が強いことを示す。
【0174】
実施例1:CBDとヒドロキシクロロキンとの組み合わせは相乗的に作用してin vitroで炎症反応を調節する
CBDおよびヒドロキシクロロキンは、複数の薬物濃度で相乗的に作用して、炎症性サイトカインIL-1β、IL-6、TNF-α、IL-1α、およびMIP-1αのLPS誘発産生を阻害する。ドナー1からのPBMCを、5μg/mLのCBDと、0.63、1.25、2.5、5および10μg/mLのヒドロキシクロロキンと組み合わせて処置し、その結果を表19に示す。ドナー2からPBMCを、5μg/mLのCBDと0.63、1.25、2.5、5、10および/または20μg/mLのヒドロキシクロロキンとの組み合わせで処置し、その結果を表4に示す。
【0175】
本明細書で示される値は、未処置の対照に対する阻害として表され、すなわち、0の値は、阻害がなく、1の値は、関連サイトカインの放出の完全な阻害を示す。細胞生存率は、表3および表4に示したすべての処置で84%を超えた。
【0176】
実施例2:CBDとヒドロキシクロロキンとの組み合わせは相乗作用してin vivoでの炎症反応を調節する
CBDおよびヒドロキシクロロキンは、複数の薬物濃度で相乗的に作用して、炎症性サイトカインIL-1β、IL-6、IL-12(p70)、IFN-γ、および/またはTNF-αのLPS誘導産生を阻害する(表5~8)。
【0177】
実施例3:CBDとヒドロキシクロロキンとの組み合わせは相乗作用して肺炎症のin vivoモデルにおける免疫応答を調節する
COPDなどの炎症性呼吸器状態(例えば、Hakannssonら、2012、Pulmonary Pharmacology&Therapeutics、25:399-406を参照)で観察される肺炎症の臨床的側面を再現する方法で、マウスに気管内にLPSを投与して肺炎症を誘発した。
【0178】
CBDおよびヒドロキシクロロキンは相乗的に作用し、LPS誘発肺炎マウスのBALFから測定されるように、炎症性サイトカインIL-1β、IL-6、TNF-α、CXCL-1およびMCP-1の産生を複数の濃度で阻害する(表9および表10)。
【0179】
マウスから採取したBALFを、自動血液分析装置を用いて白血球(WBC)数についても分析した。偽処置マウスを用いて細胞数を正規化し、グループ全体の最高値と比較して分析した(表11)。これらのデータは、CBDとヒドロキシクロロキンとの組み合わせが、CBDまたはヒドロキシクロロキン単独よりも、総白血球数および好中球レベルをより大幅に減少させたことを示している。
【0180】
CBDとヒドロキシクロロキンとの組み合わせは、LPS誘発肺炎マウスの肺での炎症性病変の軽減において、同等用量でのCBDまたはヒドロキシクロロキン単独よりも優れていた(表14および表15、図3)。
【0181】
実施例4:CBDとヒドロキシクロロキンとの組み合わせは相乗作用してin vivoで炎症性腸疾患を処置する
CBDおよびヒドロキシクロロキンは、相乗的に作用し、結腸組織中のミエロペルオキシダーゼ(MPO)レベル、便粘稠度スコア、および巨視的損傷スコアを低下させた(表11)。
【0182】
TNBS誘発大腸炎マウスの遠位結腸の大腸炎に対する変化の組織学的分析によって評価したところ、CBDとヒドロキシクロロキンとの組み合わせは、TotalColitis Indexの低下に関して、各薬剤単独よりも優れていることが示された(表12)。代表的な染色切片を図4に示す。CBDとヒドロキシクロロキンとの組み合わせは、いずれかの薬剤を単剤で投与した場合と比較して、体重に対する結腸重量比も改善した(表12)。
【0183】
実施例5:CBDとヒドロキシクロロキンとの組み合わせは相乗作用してin vivoで関節炎を処置する
CBDおよびヒドロキシクロロキンは、それぞれ1mg/kgと2.5mg/kgの用量で相乗的に作用して、24日目の臨床スコアと肉球容積を減少させ、エンドポイント(すなわち30日目)のパンヌス形成と組織学的総スコアも減少させる。臨床スコア、肉球容積、パンヌス形成および組織学的総スコアに対するBliss超過スコアは、それぞれ0.05、0.26、0.30および0.03であった(表19)。
【0184】
CBD1mg/kgとヒドロキシクロロキン2.5mg/kgとの組み合わせは、血清中の炎症性サイトカインIL-1βおよびIL-6のレベルを低下させることにおいて、各薬剤単独よりも優れていることが示された(表20;図5)。
【0185】
ヒドロキシクロロキンは、ヒドロキシクロロキン硫酸塩の形態で関節リウマチの処置に使用されている。しかし、ヒドロキシクロロキンの長期使用は、眼毒性や心臓への影響(心筋症やQT延長など)と関連している。臨床的に、関節リウマチ患者における眼毒性と心影響の最も重要な予測因子は、ヒドロキシクロロキンの累積投与量である。治療効果を維持しながらヒドロキシクロロキンの減量を可能にするCBDの能力を理解するために、1mg/kgのCBDと2.5mg/kgのヒドロキシクロロキン(すなわち低用量HCQ)の組み合わせで得られた結果を、25mg/kgのヒドロキシクロロキン単独(すなわち高用量HCQ)と比較した。1mg/kgのCBDと低用量のHCQとの組み合わせは、単核細胞浸潤を除いて、すべての評価項目にわたって関節炎を軽減する上でより効果的であったか、あるいは同程度に効果的あった(表21)。これらのデータは、CBDとヒドロキシクロロキンとの組み合わせにより、治療効果を犠牲にすることなくヒドロキシクロロキンの投与量を10分の1に減らすことができることを、示している。
【0186】
実施例6:CBDおよびヒドロキシクロロキンを含有する例示的な組成物
本開示による例示的な組成物は、表22および表23の成分を含む。
【0187】
本実施例による第1カプセルおよび第2カプセルは、両方ともソフトゼラチンカプセルである。しかし、本明細書に記載される他の例示的な実施形態は、ソフトゼラチンカプセルである第1カプセルと、ポリマーカプセルである第2カプセルとを含む。
【0188】
本実施例によるヒドロキシクロロキンの固形剤形は、以下:
リン酸カルシウム、二塩基性、無水(UNII:L11K75P92J);
ヒプロメロース2910(6MPA.S)(UNII:0WZ8WG20P6);
ステアリン酸マグネシウム(UNII:70097M6I30);
ポリエチレングリコール400(UNII:B697894SGQ);
ポリソルベート80(UNII:60ZP39ZG8H);
トウモロコシデンプン(UNII:08232NY3SJ);
二酸化チタン(UNII:15FIX9V2JP);
カルナウバロウ(UNII:R12CBM0EIZ)、および
四酸化三鉄(UNII:XM0M87F357)、
を含む多数の不活性成分(すなわち賦形剤)を含有する、固形錠剤である。
【0189】
本明細書の他の箇所に記載されるように、当該組成物は、米国特許第9,433,584号、米国特許第10,383,826号および国際公開第2012/017325号に開示される方法に従って生成され得る。本明細書に記載される例示的な組成物は、カプセルが同じ材料であるヒドロキシクロロキンの錠剤固形剤形(例えば、図1を参照)を含むため、かかる例示的な組成物は、「二重」ソフトゲルカプセル(例えば、米国特許第9,433,584号、第6欄、25~50行を参照)に関する米国特許第9,433,584号および米国特許第10,383,826号に記載される方法に従って、生成され得る。
【0190】
実施例7:固定用量配合製品の製造
CBDを含有するソフトゲルカプセル内に含まれるフィルムコーティングされたヒドロキシクロロキン錠剤を含む例示的な固定用量配合製品(すなわち、組成物)は、ProCaps社(バランキージャ、コロンビア)によって適正製造基準(GMP)認定条件下で製造された。製造工程は3工程:(i)ヒドロキシクロロキンの固形剤形(例えば、錠剤)の製造;(ii)CBDオイル溶液の製造;および(iii)ヒドロキシクロロキンの固形剤形とCBDオイル溶液とをソフトジェルカプセル内で組み合わせること、からなる。
【0191】
ヒドロキシクロロキン硫酸塩錠
各ヒドロキシクロロキン錠剤は、100mgの医薬品有効成分(API)および表24に列挙される不活性成分を含有していた。ヒドロキシクロロキン、リン酸カルシウム、アルファ化デンプンおよび50%のクロスカルメロースナトリウムをまず乾燥粉末としてブレンドした。次に、混合を継続しながら、結合剤として作用するように水を10~15%になるまで添加した。次いで、混合物を40℃に加熱して乾燥し、続いて残りの50%のクロスカルメロースナトリウムを添加し、さらに混合した。次いで、ステアリン酸マグネシウムを添加し、最後の混合ステップを行った。次いで、ブレンドされた粉末を圧縮して、表25に記載された特性を有する錠剤を作製した。
【0192】
次に、ヒドロキシクロロキン錠剤の水への溶解を評価し、USPNo.2装置を用い、パドル50rpm、サンプリング時間5分、10分、15分、20分、30分、45分、および60分、および無限時点で、参照記載薬(RLD)であるPlaquenil(登録商標)(すなわち、ヒドロキシクロロキン硫酸塩200mg)と比較した(図6)。製造されたヒドロキシクロロキン錠剤(すなわち、ヒドロキシクロロキン硫酸塩100mg)とRLDとの間のf2は58であり、2つの錠剤の溶出は同等であり、製造された錠剤は60分でQ≧70%というUSPモノグラフの仕様に適合していることが示された。
【0193】
カンナビジオール(CBD)ゴマ油溶液
CBDゴマ油溶液は、12.5%w/wのCBDおよび0.02%w/vのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含む。BHTを含むゴマ油とBHTを含まないゴマ油を57:43の割合で混合した。次いで、CBDを2回に分けて均等に油に溶かした。目に見える粒子がなくなるまで溶液を混合し、密度を記録した。
【0194】
固定用量配合製品の不活性成分を表24に示す。固定用量配合剤のサンプルを5±3℃、25±2℃/60±5%相対湿度(RH)および40℃/75%RHで保存し、ヒドロキシクロロキン錠の米国薬局方(USP)モノグラフの方法、ならびにCBD、ヒドロキシクロロキンおよび関連物質に対する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析を用いて、0ヶ月、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月および6ヶ月で安定性を評価した。5±3℃、25±2℃/60±5%RHの保存試料を、6ヶ月ごとに24ヶ月間評価する。固定用量配合製品からのCBDおよびヒドロキシクロロキンの溶出も、invitroで評価した。
【0195】
固定用量配合製品
固定用量配合製品は、Salazar Altamaerら(米国特許第9,433,584号)によって記載された方法に従って製造される。簡単に説明すると、ポリマーカプセルで封入された固形用量製剤を含むソフトゲルカプセルは、液体充填ソフトゲルカプセルにおいて製造される。本明細書に記載の固定用量配合製品では、ヒドロキシクロロキン錠剤は、ゴマ油中のCBDのソフトゲルカプセル内に含まれる。得られたソフトゲルカプセルは、サイズ20の長方形ソフトゲルカプセル(すなわち、0.986~1.232cc)である。各ソフトジェルカプセルは、100mgのヒドロキシクロロキン硫酸塩および75mgのCBDを含有する。ソフトゲルカプセルを製造し、放出分析前に周囲温度で保管した。ヒドロキシクロロキン錠剤成分の放出は、ヒドロキシクロロキン硫酸塩錠剤に関するUSPモノグラフの方法を用い、HPLCを用いて不純物を評価しながら行った。CBD不純物は、THCの合成形態であるドロナビノールのUSPモノグラフに記載されているものを基にSCIPharmtechが開発したHPLC法を用いて、評価した。
【0196】
固定用量配合製品の解析データを表26~表28に示す。
【0197】
実施例8:ソフトゲルカプセル固定用量配合製品の安定性
実施例7に記載されたソフトゲルカプセル固定用量併用製品を、ブリスターパックに包装した。5±3℃および25±2℃/60±5%RHの条件下で、最大24ヶ月までの時点における正式な安定性試験が実施する。40℃/75%RHの条件下で、最大6ヵ月までの時点における安定性試験を実施中である。各アッセイにおいて、少なくとも6つの用量単位を試験した。この安定性試験の1ヶ月間のデータを表29に示す。すべての試験結果は、3つの条件すべてにおいて、1ヶ月の時点で許容基準を満たした。
【0198】
まとめ
これらのデータを総合すると、CBDとヒドロキシクロロキンとの組み合わせが相乗作用して、in vitroおよびin vivoで炎症反応を有意に調節することが実証される。これら2つのAPIの同時投与は、CBDを第1カプセルに封入し、ヒドロキシクロロキンの固形剤形を第2カプセルに封入し、これを第1カプセルに組み込むことによって可能になった。従って、本開示は、2つのAPIの物理―化学的適合性および/または安定性の問題に関係なく、CBDとヒドロキシクロロキンとの相乗的組み合わせの同時送達を可能にする組成物を、提供する。
【0199】
表1:カンナビジオールおよび関連カンナビノイド
【表1】
【0200】
表2:動脈血酸素分圧と吸気酸素濃度との比(PaO:FiO)によるARDSの分類
【表2】

呼気終末陽圧(PEEP)または持続気道陽圧(CPAP)≧5cmHOを含む人工呼吸器設定での測定値;PEEP≧5cmHOを含む人工呼吸器設定での測定値。
【0201】
表3:ヒトPBMC(ドナー1)におけるCBDおよびHCQによるIL-1β、IL-6、TNF-α、IL-1α、MIP-1α放出の相乗的阻害
【表3】

FIE:フラクション阻害効果、EOB:Bliss超過
【0202】
表4:ヒトPBMC(ドナー2)におけるCBDおよびHCQによるIL-1β、IL-6、TNF-α、IL-1α、MIP-1α放出の相乗的阻害
【表4】

FIE:フラクション阻害効果、EOB:Bliss超過
【0203】
表5:CBD 10mg/kgおよびHCQ 25mg/kgの投与後のin vivoでの炎症性サイトカイン放出の相乗的阻害
【表5】

EOB:Bliss超過
【0204】
表6:CBD 10mg/kgおよびHCQ 100mg/kgの投与後のin vivoでの炎症性サイトカイン放出の相乗的阻害
【表6】

EOB:Bliss超過
【0205】
表7:CBD 25mg/kgおよびHCQ 25mg/kgの投与後のin vivoでの炎症性サイトカイン放出の相乗的阻害
【表7】

EOB:Bliss超過
【0206】
表8:CBD 25mg/kgおよびHCQ 100mg/kgの投与後のin vivoでの炎症性サイトカイン放出の相乗的阻害
【表8】

EOB:Bliss超過
【0207】
表9:CBD 1mg/kgおよびHCQ 25mg/kgの投与後のin vivo肺炎症モデルにおける炎症性サイトカイン放出の相乗的阻害
【表9】

EOB:Bliss超過
【0208】
表10:CBD 10mg/kgおよびHCQ 25mg/kgの投与後のin vivo肺炎症モデルにおける炎症性サイトカイン放出の相乗的阻害
【表10】

EOB:Bliss超過
【0209】
表11:in vivo肺炎症モデルにおける白血球数の相対的減少
【表11】
【0210】
表12:in vivo大腸炎モデルでのCBD 1mg/kgおよびHCQ 2.5mg/kgの相乗作用
【表12】

EOB:Bliss超過
【0211】
表13:in vivo大腸炎モデルでのCBD 1mg/kgおよびHCQ 2.5mg/kgの総大腸炎指数および体重に対する結腸の比率の相対的減少
【表13】
【0212】
表14:in vivo肺炎症モデルでのCBD1mg/kgおよびHCQ2.5mg/kgの肺病変スコアにおける相対的減少
【表14】
【0213】
表15:in vivo肺炎症モデルでのCBD 10mg/kgおよびHCQ 25mg/kgの肺病変スコアにおける相対的減少
【表15】
【0214】
表16:関節炎のin vivoモデルでの重症度スコアマトリックス
【表16】
【0215】
表17:関節炎のin vivoモデルでのパンヌス形成スコアリングマトリックスによる軟骨および骨の破壊
【表17】
【0216】
表18:関節炎のin vivoモデルでの単核細胞浸潤スコアリングマトリックス
【表18】
【0217】
表19:関節炎のin vivoモデルでのCBD1mg/kgおよびHCQ2.5mg/kgの相乗的活性
【表19】

EOB:Bliss超過
【0218】
表20:関節炎のin vivoモデルでのCBD1mg/kgおよびHCQ2.5mg/kgの血清サイトカインレベルにおける相対的減少
【表20】
【0219】
表21:関節炎のin vivoモデルでの疾患重症度の軽減における、高用量HCQと、CBD1mg/kgを組み合わせた低用量HCQとの比較
【表21】
【0220】
表22:CBDとHCQとを含有する例示的組成物
【表22】
【0221】
表23:CBDとHCQとを含む例示的組成物
【表23】
【0222】
表24:例示的なソフトゲルカプセル固定用量配合製品中の不活性成分のリスト
【表24】
【0223】
表25:例示的なソフトゲルカプセル固定用量配合製品におけるHCQ錠剤の特徴
【表25】
【0224】
表26:例示的なソフトゲルカプセル固定用量配合製品の分析
【表26】

ND=不検出;NMT=以下
【0225】
表27:USPモノグラフUV分光光度法を使用した例示的なソフトゲルカプセル固定用量配合製品からのHCQの溶解
【表27】

IRPM=無限RPMモード;SD=標準偏差
【0226】
表28:USP No.2(パドル装置)を使用した例示的なソフトゲルカプセル固定用量配合製品からのCBDの溶解
【表28】

IRPM=無限RPMモード;Q=溶解した有効成分(すなわちCBD)の量;SD=標準偏差
【0227】
表29:1ヶ月保存後の例示的なソフトゲルカプセル固定用量配合剤の安定性
【表29】

ND=不検出;NMT=以下;Q=溶解した有効成分(すなわち、CBD、HCQ)の量
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図3-5】
図3-6】
図3-7】
図3-8】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図4-5】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図5-5】
図6
【国際調査報告】