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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】反転装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240628BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501877
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 CN2022099497
(87)【国際公開番号】W WO2023284484
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110790558.4
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ワン ホ
(72)【発明者】
【氏名】リー ヤジョウ
(72)【発明者】
【氏名】ジャア ショオナ
(72)【発明者】
【氏名】タオ シァオフォン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ホイ
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA37
5F131CA09
5F131CA15
5F131DA32
5F131DA35
5F131DA36
5F131DA37
5F131DA42
5F131DA52
5F131DA53
5F131DA54
5F131DA62
5F131DA63
5F131EA06
5F131EA13
5F131EA14
5F131EA15
5F131EA24
5F131EB32
5F131EB55
5F131EB62
5F131EB64
5F131EB66
(57)【要約】
【概要】本発明は、ブラケット本体と、回転駆動装置と、クランプ装置とを備え、ブラケット本体の2つの側壁の内側面には複数の仕切板が形成され、隣接する2つの仕切板の間にはそれぞれウエハを載置するためのキャリアスロットが形成され、ブラケット本体の2つの側壁の外側面には回転軸が形成されている反転装置である。また、回転駆動装置は、ブラケット本体を回転駆動するために少なくとも1つの回転軸に接続され、クランプ装置はブラケット本体の側壁に配置され、キャリアスロットに配置されたウエハを押圧または解放するために使用される。また、ウエハを保持するブラケット本体にクランプ装置を配置することにより、ブラケット本体が回転してもウエハはクランプ装置により固定され、ウエハがブラケット本体と共に姿勢を変化する際に、ウエハがブラケット本体内で揺動することにより生じる破損や表面の傷を効果的に防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの側壁の内側面に複数の仕切板が形成され、隣り合う仕切板の間にウエハを載置するキャリアスロットが形成され、前記2つの側壁の外側面に複数の回転軸が形成されている、ブラケット本体と、
少なくとも1つの前記回転軸に接続され、前記ブラケット本体を回転駆動する回転駆動装置と、
前記ブラケット本体の側壁に配置され、前記キャリアスロットに置かれた前記ウエハを押したり解放したりするために使用されるクランプ装置と、
を備えた、反転装置。
【請求項2】
前記クランプ装置は、
前記ブラケット本体の側壁に固定されたハウジングと、
前記ハウジングの一端にあり、ガス源に接続するために使用されるガスポートと、
前記ハウジング内に摺動可能に配置され、前記ガス源によって駆動力が与えられたピストンと、
前記ハウジング内に摺動可能に配置され、一端が前記ピストンに固定的に接続された伸縮ロッドと
前記ハウジングの他端に配置され、前記ピストンおよび前記伸縮ロッドをリセットするために前記伸縮ロッドの他端に接続されたリセットスプリングと、
前記ハウジングの一側に配置され、前記伸縮ロッドの長さ方向に沿って等間隔に配置された、複数の制限スロットと、
一端が前記伸縮ロッドに固定され、他端が対応する前記制限スロットを通過し、前記伸縮ロッドによって駆動されて前記制限スロット内をスライドして、前記キャリアスロットに配置された前記ウエハを押圧または解放する、複数の制限ロッドと、
を備えた、請求項1に記載の反転装置。
【請求項3】
前記クランプ装置は、前記ハウジング内に溜まった液体を回収して排出する液体排出室をさらに備えた、請求項2に記載の反転装置。
【請求項4】
前記クランプ装置は、前記伸縮ロッドの変位を計測する変位センサをさらに備えた、請求項2に記載の反転装置。
【請求項5】
前記ブラケット本体の前記仕切板には、前記制限ロッドを収容する収容溝が設けられている、請求項2に記載の反転装置。
【請求項6】
前記ブラケット本体の前記キャリアスロットの底部には、複数の液体排出孔が設けられている、請求項1に記載の反転装置。
【請求項7】
搬入口が設けられたボックス本体を、更に備えた、請求項1に記載の反転装置。
【請求項8】
前記ボックス本体の後壁に配置された排気装置をさらに備え、前記排気装置は、空気の流れ方向に沿って順に配置された、第1排気プレート、第2排気プレート、集液キャビティ、及び、排気口、を備え、前記第1排気プレートには複数の第1通気孔が設けられ、前記第2排気プレートには複数の第2通気孔が設けられ、前記第1排気プレートと前記第2排気プレートとの間には空間が確保され、前記複数の第1通気孔と前記複数の第2通気孔とは千鳥状に配置され、前記排気口はファンを接続するように構成されている、請求項7に記載の反転装置。
【請求項9】
前記第2通気孔および前記排気口は、ともに斜め上方に向けて配置されている、請求項8に記載の反転装置。
【請求項10】
前記第1排気プレートは、前記第2排気プレートに対して傾斜して配置されている、請求項8に記載の反転装置。
【請求項11】
前記集液キャビティの底部には、液体排出口が設けられている、請求項8に記載の反転装置。
【請求項12】
昇降機構をさらに備え、前記昇降機構は、昇降ロッドと、前記昇降ロッドに固定された支持台とを備え、前記支持台は、前記昇降ロッドに駆動されて上下動し、ロボットから前記ブラケット本体への前記ウエハの搬送を支援するために使用される、請求項1に記載の反転装置。
【請求項13】
前記ブラケット本体の周囲に配置され、前記ブラケット本体に保持された前記ウエハに液体を噴射する複数のノズルをさらに備えた、請求項1に記載の反転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造には複数の異なる工程があり、各工程ではそれぞれの処理目的を達成するためにウエハの載置姿勢が異なっている。例えば、半導体プロセスのライン幅が継続的に縮小するにつれて、ウエハ表面の清浄度に対する要求はますます高くなっており、ウエハ表面の洗浄効果と効率とのバランスをとるために、技術者はバッチ洗浄と単一洗浄とを組み合わせた洗浄装置を開発した。すなわち、バッチ式洗浄装置と単一洗浄装置とが同じ装置内に統合されている。バッチ式洗浄装置ではウエハを垂直姿勢で洗浄槽に浸漬して洗浄処理を行うのに対し、単一洗浄装置ではウエハを水平姿勢で保持して洗浄処理を行うことがよく知られている。多くのロボットは把持機能のみを備えており、垂直または水平姿勢でウエハを容易に掴むことはできるが、反転機能を実現することができないため、ロボットに反転機能を構成すると、ロボットの構造と動作が複雑になる。そのため、通常、異なる姿勢のウエハ搬送工程には反転装置が配置されており、中間プラットフォームとして、異なるプロセスに適応してウエハの載置姿勢を変更し、ロボットによる搬送を容易にすることができるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図1に示すように、ロボット101は、前工程終了後のウエハ103を把持し、反転機構110のウエハホルダ111に搬送する。反転機構110はさらに、収容キャビティ113およびドライバ115を含んでいる。ウエハホルダ111は収容キャビティ113内に設置され、ドライバ115が、ウエハホルダ111を収容キャビティ113内で回転駆動することにより、ウエハホルダ111に保持されたウエハ103が垂直姿勢から水平姿勢に変換される。次に、別のロボット102が、収容キャビティ113に設けられた搬入口114を通って水平姿勢で反転機構110からウエハ103を取り出し、次の工程に搬送する(図2参照)。
【0004】
図3に示すように、ウエハホルダ111には、1つまたは2つ以上のウエハ103を収容するための1つまたは複数のグループのキャリアスロット112が設けられている。キャリアスロット112の幅は、ウエハ103の搬入出を容易にするため、ウエハ103の厚さよりも広く設定されており、一般に幅は4mm程度、ウエハ103の厚さは0.7mm程度である。ウエハが垂直姿勢から水平姿勢に回転するとき、ウエハの厚さはキャリアスロット112の幅よりも小さいため、回転プロセス中、ウエハはそれ自体の作用によりキャリアスロット112内で揺れる。重力(図3の矢印で示す方向を指す)の影響により、ウエハの表面に傷が生じ、さらには破損が発生することがある。
【0005】
本発明の目的は、バッチ洗浄と単一洗浄を組み合わせた洗浄装置において、ウエハ搬送中にウエハの姿勢が変化する際にウエハの揺れにより傷や破片が発生する課題を解決できる反転装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記および他の関連する目的を達成するために、本発明は、以下を備える反転装置を開示する。
2つの側壁の内側面に複数の仕切板が形成され、隣り合う仕切板の間にウエハを載置するキャリアスロットが形成され、該2つの側壁の外側面に複数の回転軸が形成されている、ブラケット本体と、
少なくとも1つの前記回転軸に接続され、前記ブラケット本体を回転駆動する回転駆動装置と、
前記ブラケット本体の側壁に配置され、前記キャリアスロットに置かれた前記ウエハを押したり解放したりするために使用されるクランプ装置と、
を備えた、反転装置。
【0007】
好ましくは、上記反転装置において、クランプ装置は、
前記ブラケット本体の側壁に固定されたハウジングと、
前記ハウジングの一端にあり、ガス源に接続するために使用されるガスポートと、
前記ハウジング内に摺動可能に配置され、前記ガス源によって駆動力が与えられたピストンと、
前記ハウジング内に摺動可能に配置され、一端が前記ピストンに固定的に接続された伸縮ロッドと、
前記ハウジングの他端に配置され、前記ピストンおよび前記伸縮ロッドをリセットするために前記伸縮ロッドの他端に接続されたリセットスプリングと、
前記ハウジングの一側に配置され、前記伸縮ロッドの長さ方向に沿って等間隔に配置された、複数の制限スロットと、
一端が前記伸縮ロッドに固定され、他端が対応する前記制限スロットを通過し、前記伸縮ロッドによって駆動されて前記制限スロット内をスライドし、前記キャリアスロットに配置された前記ウエハを押圧または解放する、複数の制限ロッドと、を備えている。
【0008】
好ましくは、上記反転装置において、クランプ装置は、前記ハウジング内に溜まった液体を回収して排出する液体排出室をさらに備えている。
【0009】
好ましくは、上記反転装置において、クランプ装置は、前記伸縮ロッドの変位を計測する変位センサをさらに備えている。
【0010】
好ましくは、上記反転装置において、前記ブラケット本体の前記仕切板には、前記制限ロッドを収容する収容溝が設けられている。
【0011】
好ましくは、上記反転装置において、前記ブラケット本体の前記キャリアスロットの底部には、複数の液体排出孔が設けられている。
【0012】
好ましくは、上記反転装置は搬入口が設けられたボックス本体を、更に備えている。
【0013】
好ましくは、上記反転装置は、前記ボックス本体の後壁に配置された排気装置をさらに備え、前記排気装置は、空気の流れ方向に沿って順に配置された、第1排気プレート、第2排気プレート、集液キャビティ、及び、排気口、を備え、前記第1排気プレートには複数の第1通気孔が設けられ、前記第2排気プレートには複数の第2通気孔が設けられ、前記第1排気プレートと前記第2排気プレートとの間には空間が確保され、前記複数の第1通気孔と前記複数の第2通気孔とは千鳥状に配置され、前記排気口はファンを接続するように構成されている。
【0014】
好ましくは、上記反転装置において、前記第2通気孔および前記排気口は、ともに斜め上方に向けて配置されている。
【0015】
好ましくは、上記反転装置において、前記第1排気プレートは、前記第2排気プレートに対して傾斜して配置されている。
【0016】
好ましくは、上記反転装置において、前記集液キャビティの底部には、液体排出口が設けられている。
【0017】
好ましくは、上記反転装置は昇降機構をさらに備え、前記昇降機構は、昇降ロッドと、前記昇降ロッドに固定された支持台とを備え、前記支持台は、昇降ロッドに駆動されて上下動し、ロボットから前記ブラケット本体へのウエハの搬送を支援する。
【0018】
好ましくは、上記反転装置は、前記ブラケット本体の周囲に配置され、前記ブラケット本体に保持されたウエハに液体を噴射する複数のノズルをさらに備えている。
【0019】
上述したように、本発明によって提供される反転装置は、以下の有利な効果を有する。
【0020】
本発明では、ウエハを保持するためのブラケット本体にクランプ装置が配置され、ブラケット本体が回転するときにウエハがクランプ装置によって固定されるため、ウエハがブラケット本体とともに姿勢を変えるときのウエハの揺れを効果的に防止することができる。そのため、ウエハがブラケット本体と一緒に姿勢を変える際に、破損やウエハ表面に傷が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の特徴および特性は、以下の実施形態および添付の図面によってさらに説明される。
図1図1は、背景技術における反転機構におけるウエハ反転および搬送プロセスを示す。
図2図2は、背景技術における反転機構におけるウエハ反転および搬送プロセスを示す。
図3図3は、従来技術におけるウエハホルダの概略図である。
図4図4は、本発明に係るフリップブラケットの概略図である。
図5図5は、本発明に係るブラケット本体の概略図である。
図6図6は、本発明に係るクランプ装置の概略図である。
図7図7は、本発明に係るクランプ装置の断面図である。
図8図8は、本発明に係るフリップブラケットの断面図である。
図9図9は、図8のA点の部分拡大図である。
図10図10は、本発明に係るフリップブラケットの別の断面図である。
図11図11は、図10のB点の部分拡大図である。
図12図12は、本発明に係るフリップブラケットが垂直姿勢から水平姿勢に回転する際の変形を示す概略図である。
図13図13は、本発明に係る反転装置の概略図である。
図14図14は、本発明に係る反転装置の上部にウエハが移送される様子を示す概略図である。
図15図15は、図14に示す反転装置の断面図である。
図16図16は、本発明に係るフリップブラケットにウエハを移送するプロセスを示す図である。
図17図17は、本発明に係るフリップブラケットにウエハを移送するプロセスを示す図である。
図18図18は、本発明に係るフリップブラケットにウエハを移送するプロセスを示す図である。
図19図19は、本発明に係るウエハが傾斜姿勢にあるときの反転装置の断面図である。
図20図20は、本発明に係るウエハが水平姿勢にあるときの反転装置の断面図である。
図21図21は、本発明に係るロボットがウエハを水平に取り出すときの反転装置の断面図である。
図22図22は、本発明に係る反転装置のボックス本体の概略図である。
図23図23は、本発明に係る反転装置のボックス本体の断面図である。
図24図24は、本発明に係る反転装置のボックス本体の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、具体例を通じて本発明の実施形態を説明するが、当業者であれば本明細書に開示された内容から本発明の他の利点や機能を容易に理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施形態で具体化または適用することもでき、本明細書の詳細は、本発明の精神から逸脱することなく、異なる観点および応用に基づいて変更または修正することができる。
【0023】
実施形態で提供される図は、本発明の基本的な概念を概略的に示しているだけであることに留意されたい。なお、図は本発明に関係する構成要素のみを示しており、実装時の実際の構成要素の数、形状、寸法に基づいて描かれたものではない。実際の実装における各構成要素の形状、数量、割合は、任意に変更可能であり、構成要素の配置もより複雑になる場合もある。
【0024】
図4を参照すると、本発明のフリップブラケット200の全体構造が示されている。フリップブラケット200は、主にブラケット本体210とクランプ装置220とを備える。クランプ装置220は、ブラケット本体210に保持されたウエハ201を固定または解放するために、締結具によってブラケット本体210に固定されている。
【0025】
図5に示すように、ブラケット本体210は、第1側壁211と第2側壁212とを有する。第1側壁211及び第2側壁212の内側面には、複数の仕切板213が形成されており、隣接する2つの仕切板213の間には、キャリアスロット215が形成されており、キャリアスロット215の幅は、ウエハ201の厚さよりも大きくなっており、ウエハ201の取り出し及び載置が容易になっている。第1側壁211および第2側壁212の外側面には回転軸217が形成されており、少なくとも1つの回転軸217は回転駆動装置(図示せず)に接続されており、回転駆動装置によりフリップブラケット200を回転させ、ブラケット本体210に保持されたウエハ201の載置姿勢を変化させる。
【0026】
各キャリアスロット215の底部はくり抜かれており、具体的には、キャリアスロット215の底部には、複数の液体排出孔216が設けられており、ウエハ201の反転プロセス中に、ウエハ201に試薬を噴霧する必要があるプロセスにおいて、液体排出孔216は、キャリアスロット215内の残留液体を迅速に排出するのに役立ち、キャリアスロット215内の液体の蓄積および吸着した粒子などによるウエハ201の表面の汚染を回避する。
【0027】
図6および図7は、本発明のクランプ装置220の構造を示す。ハウジング221の一端にはガスポート222が設けられており、ガスポート222の入口端はガス源に接続されている。ガスポート222の出口端にはピストン223が配置されている。ピストン223は、ガス源によって提供されるガス駆動力の作用下でハウジング221内をスライドすることができる。伸縮ロッド224の一端は、ピストン223に固定的に接続されており、ピストン223によって駆動されてハウジング221内でスライドすることができる。伸縮ロッド224の他端とハウジング221との間にはリセットスプリング225が配置されており、ガス源が遮断されると、リセットスプリング225の作用により伸縮ロッド224およびピストン223がリセットされる。ハウジング221の一側面には複数の制限溝226が設けられており、複数の制限溝226は伸縮ロッド224の長さ方向に沿って等間隔に配置されている。複数の制限溝226に対応して、複数の制限ロッド227が伸縮ロッド224の一方の側に配置され、各制限ロッド227の自由端はそれぞれ対応する制限溝226を通過してブラケット本体210内に延びている。ブラケット本体210の仕切板213には、制限ロッド227を収容する収容溝214が設けられている。伸縮ロッド224の移動により、複数の制限ロッド227が制限溝226内で移動し、制限ロッド227がウエハ201を押圧または解放する。
【0028】
図8および図9は、ウエハ201を押圧する本発明のクランプ装置220の概略図を示している。ガス源がオンになると、ピストン223が伸縮ロッド224を押してウエハ201側にスライドされ、伸縮ロッド224に設けられた制限ロッド227が収容溝214の外へ移動し、徐々にウエハ201の表面に近づく。これにより、複数のウエハ201が仕切板213の同じ側に同時に押し付けられ、ウエハ201がキャリアスロット215内に固定され、複数のウエハ201が同じ間隔に保たれることにより、その後のロボットによるウエハ201の取り出し作業を容易にすることができる。図10および図11は、本発明によるクランプ装置220が、ウエハ201を解放する様子を示す概略図である。ガス源が遮断されると、リセットスプリング225の作用によりピストン223および伸縮ロッド224がウエハ201から離れる方向にスライドし、伸縮ロッド224に設けられた制限ロッド227は、ウエハ201の表面から徐々に離れ、初期位置に戻る。制限ロッド227が初期位置に戻ると、制限ロッド227は、仕切板213に設けられた収容溝214内に完全に収容され、ウエハ201の載置時や取出し時に制限ロッド227がキャリアスロット215内に突出したり、制限ロッド227と干渉して破片や傷が発生したりすることを防止できる。
【0029】
伸縮ロッド224の移動位置の精度を検出するために、クランプ装置220には、伸縮ロッド224の変位を測定するための変位センサ228がさらに設けられ、クランプ装置220の通常の動作がさらに保証される。
【0030】
図12に、本実施形態においてウエハ201を垂直姿勢から水平姿勢に回転させる模式図を示す。フリップブラケット200は、ウエハ201を垂直姿勢で受け取った後、回転前にガス源がONされ、図9に示すように、制限ロッド227が同期して複数のウエハ201を仕切板213の同じ側に押し付け、その後、回転駆動装置によりフリップブラケット200が水平姿勢に回転駆動されるため、回転過程におけるキャリアスロット215内でのウエハ201の揺れや衝突が回避される。ウエハ201が水平姿勢に反転された後、ガス源が遮断され、図11に示すように、制限ロッド227がリセットされてウエハ201を開放した後、ロボットによってウエハ201がフリップブラケット200から取り出される。
【0031】
一例として、クランプ装置220は、液体排出室230をさらに備える。液体排出室230には、排出口231が設けられている。液体排出室230は、主にハウジング221内に溜まった液体を収集して排出するために使用され、特にリセットスプリング225の設置位置に残留する液体を排出する。再び、図6および図7に示すように、ハウジング221には液体排出室230が設けられており、液体排出室230の内部にはリセットスプリング225の設置位置と液体排出室230とを連通する貫通孔232が設けられている。クランプ装置220内に侵入した液体は、液体排出室230を通じて適時排出することができる。一部のプロセスでは、ウエハ201の表面を処理するために、ウエハ201の反転中に、ウエハ201の表面に薬液を噴霧する必要がある。例えば、洗浄プロセスにおいて、ウエハ201が反転する際、パーティクル汚染を低減するために、ウエハ201の表面に所定の厚さの水膜が確実に形成されるように、純水を噴霧する必要がある。本実施形態では、クランプ装置220のハウジング221が備える制限溝226と、ブラケット本体210が備える収容溝214とが、ブラケット本体210およびクランプ装置220の内部に交換流路を形成しており、薬液は、ブラケット本体210に保持されたウエハ201に向けて噴射されるが、薬液の一部が交換流路を通ってクランプ装置220に侵入することは避けられない。リセットスプリング225の設置位置にある液体を排出できないと、液体がある程度溜まると大きな水圧が発生してクランプ装置220が故障し、制限ロッド227は、ガス源がオンにされた後、ウエハ201を押すことができなくなる。
【0032】
図13は、本発明による反転装置300の全体図を示している。反転装置300は、反転ブラケット310を含む。反転ブラケット310の構造は、フリップブラケット200の構造と同じであり、両方ともブラケット本体311とクランプ装置312を含むため、ここでは詳細は再度説明しない。この実施形態では、反転装置300は、ボックス本体320をさらに含んでいる。ボックス本体320の上部開口部は、ウエハ301を受け入れるように構成されている。ボックス本体320の前壁には、ウエハ301を取り出すための搬入口321が設けられている。搬入口321にはドアプレート322が配置され、ドアプレート322は、シリンダ323によって駆動されて搬入口321を開閉する。反転ブラケット310は支持アーム302を介してボックス本体320に設置され、ボックス本体320の側壁には反転ブラケット310を回転駆動する回転駆動装置313が組み込まれている。ボックス本体320の上部には、反転ブラケット310の周囲に、反転ブラケット310内に保持されたウエハ301に霧状の液体を噴霧するための複数のノズル324が設けられている。
【0033】
一例として、反転装置300には、ウエハ301を搬送するための昇降機構330も設けられている。図14および図15に示すように、昇降機構330は、昇降ロッド331と、昇降ロッド331の下端に固定された支持台332とを備えている。支持台332の底面には、ウエハ301を保持するための位置決めスロット333が配置されている。再び図14を参照すると、第1ロボット303は、洗浄槽から数枚のウエハ301を掴み、ウエハ301を反転装置300の上部に移送する。この場合、ブラケット本体311は垂直姿勢にあり、昇降ロッド331は支持台332を上昇させる。支持台332上の位置決めスロット333は、ブラケット本体311のキャリアスロットと1対1に対応している。図16図18は、ウエハ301が支持台332から反転ブラケット310に移送されるプロセスを示す。まず、第1ロボット303がウエハ301を支持台332上に載置し、その後、第1ロボット303が取り除かれる。ウエハ301は、支持台332とともに下降する過程で、ブラケット本体311のキャリアスロットに徐々に配置される。ウエハ301が反転ブラケット310に位置決めされた後、支持台332は下降を続けてウエハ301から離れ、支持台332から反転ブラケット310へのウエハ301の移載が完了する。
【0034】
ウエハ301が反転ブラケット310に移送された後、クランプ装置312がウエハ301を仕切板の同じ側に押し付けて、ウエハ301が反転ブラケット310上に整然と等間隔に配置されるようにする。他方、反転ブラケット310が回転するときに、ウエハ301がキャリアスロット内でぐらつかないように、ウエハ301はキャリアスロット内に固定される。続いて、回転駆動装置313により反転ブラケット310が回転駆動され、ウエハ301が垂直姿勢から水平姿勢に変更される。図20に示すように、反転ブラケット310の回転中、ノズル324は霧状の液体を連続的に噴射してウエハ301の表面に所定の厚さの液膜を形成し、ウエハ301の表面を変色させることなく保護する。ウエハ301が水平姿勢に回転された後、クランプ装置312はウエハ301を解放する。搬入口321が開放され、図21に示すように、第2ロボット305がボックス本体320内に水平方向に進入し、水平姿勢でウエハ301を取り出す。ウエハ301を水平回転させる前は、ウエハ301は若干傾いた姿勢で停止しており、ウエハ301は回転する。図19に示すように、傾斜角度を調整することでウエハ301の表面に形成される液膜の厚さが調整され、ウエハ301の表面が十分に濡れた状態になる。
【0035】
再び、図13を参照すると、ボックス本体320には、処理雰囲気の清浄度や湿度を維持するための排気装置340がさらに設けられている。排気装置340は、工場の排気システムに接続する必要があり、液体が排気システムに吸い込まれないようにする必要がある。そうしないと、排気ダクトやファンに腐食や損傷が発生する可能性がある。ノズル324が、霧状の液体を連続的に噴射するため、ボックス本体320内及びその周辺の処理ガスは湿度が高く、これに基づき、本実施形態では、ボックス本体320に配置された排気装置340が気液分離機能を有し、排気システムへの液体の吸い込みを防止している。
【0036】
図22は、本発明によるボックス本体320の概略図を示している。排気装置340は、ボックス本体320の後壁に取り付けられている。図23および図24に示すように、排気装置340は、空気の流れ方向に沿って順に配置された、第1排気プレート341、第2排気プレート342、集液キャビティ343、及び排気口344を備えている。排気口344は、工場の排気システムのファンに接続するように構成されている。この実施形態では、第2排気プレート342とボックス本体320の後壁とが一体に形成されているが、他の実施形態では、第2排気プレート342が独立した部材であってもよい。第1排気プレート341には、複数の第1通気孔341aが設けられている。第2排気プレート342には、複数の第2通気孔342aが設けられている。第1排気プレート341と第2排気プレート342との間には空間が確保されており、具体的には、第1排気プレート341が第2排気プレート342に対して傾斜して配置されており、第1通気孔341aと第2通気孔342aとが千鳥状に、すなわち、第1通気孔341aと第2通気孔342aとが重ならないように配置されている。第1通気孔341aから流出した空気流は、第2通気孔342aを直接流れるのではなく、まず第2排気プレート342の非多孔質領域に流れる。空気流は、第2排気プレート342の非多孔質領域に衝突し、これによって空気速度が低下し、空気流に捕捉された液体の一部を第2排気プレート342に沿って流動させることができ、その後、空気流は第2通気孔342aに流れる。したがって、第1通気孔341aと第2通気孔342aとの千鳥配置設計は、気流速度を低下させ、気流経路を変更し、多量の液体を包んだ空気流が工場の排気システムに直接吸引され、ファンまたは排気ダクトを腐食させ、損傷させることを回避できるだけでなく、空気流が排気装置340を流れる時間を延長し、気液分離の時間を延長し、排気システムに流入する液体の量を減少させることができる。
【0037】
一例として、第2通気孔342aと排気口344の両方が斜め上方に向けて配置されることで、気液分離がさらに促進され、排気システムに流入する液体の量が低減される。また、ボックス本体320及び集液キャビティ343の底部には、回収した液体を排出するための液体排出口(345a、345b)がそれぞれ設けられている。
【0038】
本発明の反転装置は反転ブラケットを備え、反転ブラケットはブラケット本体とクランプ装置とを備え、クランプ装置はウエハを保持するブラケット本体上に配置され、ウエハはクランプ装置によって固定される。反転ブラケットが回転するときに、ウエハが反転ブラケット内でぐらつくのを効果的に回避でき、反転ブラケットとともにウエハの姿勢が変化するときに破損やウエハ表面の傷が発生しない。
【0039】
上述した実施形態は当業者が本発明を実現又は使用するためのものであり、本発明の本旨及び原理から外れることなく当業者は様々な変更又は修正を行うことができるものであり、上述した実施形態は様々な変更又及び修正がされてよい。したがって、本発明の保護範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴の最大範囲は特許請求の範囲にしたがうべきである。
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【国際調査報告】