(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】エネルギ蓄積器の車両フレームへの固定装置
(51)【国際特許分類】
B62J 43/20 20200101AFI20240628BHJP
B62M 6/90 20100101ALI20240628BHJP
【FI】
B62J43/20
B62M6/90
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501934
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2022069483
(87)【国際公開番号】W WO2023285471
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021207465.0
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】フィン ニューマン
(57)【要約】
本発明は、エネルギ蓄積器(101)を車両フレームに固定する装置に関する。装置は、ガイド溝(203)と、ガイド溝(203)に形状結合的に係合するように構成された1つまたは複数の溝付きブロック(201)と、を有する。装置は、1つまたは複数のクランプ手段(205)を備える。クランプ手段(205)は、少なくとも部分的にガイド溝(203)内に配置され、それぞれ、溝付きブロック(201)との接触によって弾性的に変形可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギ蓄積器(101)を車両フレームに固定する装置であって、ガイド溝(203)と、前記ガイド溝(203)に形状結合的に係合するように構成された1つまたは複数の溝付きブロック(201)と、を有する装置において、
1つまたは複数のクランプ手段(205)を備え、前記クランプ手段(205)は、少なくとも部分的に前記ガイド溝(203)内に配置され、それぞれ、溝付きブロック(201)との接触によって弾性的に変形可能であることを特徴とする、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記クランプ手段(301)は、それぞれ、エラストマーからなることを特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置において、レール(207)を備え、前記溝付きブロック(201)は前記レール(207)に固定されていることを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の装置において、
前記クランプ手段(301)は、それぞれの前記溝付きブロック(201)によって、前記ガイド溝(203)の経路に対して直交するように変形可能であることを特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の装置であって、
前記ガイド溝(203)内に配置されたすくなくとも1つのイジェクトおよびストップカム(303)を備え、
前記イジェクトおよびストップカム(303)は、第1溝付きブロック(201、305)に対する停止部を構成し、前記停止部は、前記第1溝付きブロック(201、305)が前記ガイド溝(203)内を第1方向に移動する可能性を制限し、
前記イジェクトおよびストップカム(303)は斜面を備え、前記斜面は、第2溝付きブロック(201、307)を、前記ガイド溝(203)内で反対方向に移動する際に、少なくとも部分的に前記移動の方向に対して直交して摺動させるように構成されている、装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の装置において、
前記イジェクトおよびストップカム(303)は、クランプ手段と一体に統合されていることを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリを自転車フレームに固定するための装置は、従来技術から既知である。これらの装置では、バッテリは、形状結合的に自転車フレームに固定することができる。ガイド溝を用いて、エネルギ蓄積器を、対応して形成されたホルダに挿入することができる。そのような装置は、FR3091690A1に開示されている。
【0003】
ガイド溝の形状結合的な接続は、エネルギ蓄積器が自転車フレームにおいてがたつかないように、可及的に遊びがないようにしなければならない。自転車フレームに避けられない公差に関連する寸法偏差がある場合、これによって、今度はバッテリが、移動させにくくなる、または詰まったりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、エネルギ蓄積器を車両フレームにがたつくことなく固定することである。この課題は、請求項1に記載の装置によって解決される。好適な発展形態は、従属請求項に含まれており、以下の説明からあきらかになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による装置は、エネルギ蓄積器を車両フレーム固定する役割を果たす。車両フレームは、好適には、自転車フレームである。エネルギ蓄積器は、好適には、電気補助モータに駆動エネルギを供給するバッテリ、すなわち充電式電気エネルギ蓄積器として構成されている。
【0007】
装置はガイド溝を含む。溝は、表面の細長いくぼみである。表面の他のくぼみと比較して、これは、溝の経路に沿って断面が変化しないことを特徴とする。したがって、溝の経路を描く曲線に直交するように配向された切断面と比較して、この断面は不変である。
【0008】
ガイド溝は、溝付きブロックと称される1つまたは複数の固定手段を収容するように構成されている。ガイド溝および溝付きブロックの断面は、ガイド溝と溝付きブロックとの間が形状結合的に接続するように、相互に調整されている。
【0009】
ガイド溝と溝付きブロックとの間の形状結合的な接続によって、ガイド溝とそれぞれの溝付きブロックとの間の、ガイドの経路を描く曲線に直交する相対移動が防止される。ガイド溝および溝付きブロックは、曲線の方向に互いに対して移動可能である。
【0010】
好適には、溝付きブロックは、断面において溝のネガ形状を構成する。同様に好適には、各溝付きブロックの少なくとも1つの部分は、ガイド溝に係合し、ガイド溝と形状結合的に接続するように構成され、円筒体として形成されている。その基底面は、溝の断面に対応する。
【0011】
本発明によれば、装置はまた、1つまたは複数のクランプ手段を含む。これらは、少なくとも部分的に、好適には完全に、ガイド溝内に配置されている。溝付きブロックがガイド溝内で移動することによって、クランプ手段は、それぞれ、溝付きブロックと接触する。
【0012】
クランプ手段は、少なくとも部分的に弾性的に変形可能である。これが、クランプ手段が溝付きブロックと接触した際に、弾性的に変形することにつながる。弾性的な変形によって、クランプ手段は、それぞれの溝付きブロックに力を加える。これによって、クランプ手段が、それぞれの溝付きブロックとガイド溝との間でクランプされる。ガイド溝と溝付きブロックとの間に存在する可能性のある遊びは、このようにして排除される。これによって、エネルギ蓄積器をがたつくことなく固定することができる。
【0013】
好適な発展形態において、クランプ手段は、それぞれ、エラストマーからなる。これには、エラストマーが比較的費用対効果に優れ、クランプ手段の単純な構造を可能にするという利点がある。
【0014】
ガイド溝は、車両フレームの部分とすることができ、一方、溝付きブロックは、エネルギ蓄積器に取り付けられている、またはエネルギ蓄積器の部分である。しかしながら、好適には、ガイド溝は、エネルギ蓄積器の部分であり、一方、溝付きブロックは、車両フレームに固定されている、または車両フレームの部分である。
【0015】
好適な発展形態によれば、溝付きブロックが固定されるレールが提供される。これによって、溝付きブロックも車両フレームに固定されている。更なる発展形態によるレールを用いて固定することは、安定性の理由から、薄壁の車両フレームに特に有利である。また、溝付きブロックをレールに事前に組み付けて、溝付きレールを有するレールを事前に組み立てられた状態で車両に取り付けることも可能である。したがって、公差に関連する車両フレーム寸法偏差は、溝付きブロックの互いに対する位置に影響を及ぼさない。
【0016】
好適には、クランプ手段は、以下のように発展的に構成されている。すなわち、クランプ手段は、それぞれの溝付きブロックによって、ガイド溝の経路に対して、またはガイド溝の経路を描く曲線に対して直交するように変形可能である。したがって、それぞれのクランプ手段の変形の方向と曲線とは、互いに直交するように配向されている。これによって、それぞれのクランプ手段の変形から生じる力も、この曲線に直交するように作用する。したがって、この力は、ガイド溝内の溝付きブロックの移動につながらない。その代わりに、クランプ手段とそれぞれの溝付きブロックとの間には、摩擦結合的な接続がある。この摩擦結合的な接続は、ガイド溝内のクランプ手段の移動を抑える。
【0017】
好適には、装置は、少なくとも1つのイジェクトおよびストップカムで発展的に構成されている。これは、少なくとも部分的にガイド溝内に配置されている。イジェクトおよびストップカムとは、第1溝付きブロックに対する停止部を構成する手段として理解されるべきである。停止部は、第1溝付きブロックが移動する可能性を制限し、これによってガイド溝内の残りの溝付きブロックが第1方向へ移動する可能性も制限する。この手段は、ガイド溝の経路またはガイド溝の経路を描く曲線に対する斜面、すなわち、直交せず、また平行でない面を備える。この面は、第1溝付きブロックとは異なる第2溝付きブロックを、ガイド溝内で反対方向に、すなわち第1方向とは反対の方向に移動する際に、少なくとも部分的に移動の方向に対して直交して、ひいては少なくとも部分的に溝の経路または溝の経路を描く曲線に対して直交して摺動させるように構成されている。この面は、特に平坦な表面とすることができる。
【0018】
更なる発展形態によるイジェクトおよびストップカムによって、エネルギ蓄積器は、溝付きブロックがガイド溝に対して第1方向に移動する際に、終了位置に固定される。エネルギ蓄積器が終了位置から反対方向に移動されると、イジェクトおよびストップカムの斜面は、第2溝付きブロックと接触し、その結果、エネルギ蓄積器が、移動の方向に対して直交するように摺動する。これによって、エネルギ蓄積器の取り外しが容易になる。
【0019】
好適には、クランプ手段は、本発明による弾性的な変形が終了位置で生じるように配置されている。これによって、エネルギ蓄積器は、がたつくことなく終了位置に固定されている。さらに、エネルギ蓄積器は、終了位置において、好適には電気的に接触される。その結果、モータ、特に上述の補助モータに電気エネルギが供給される。
【0020】
発展形態では、少なくとも1つのイジェクトおよびストップカムは、クランプ手段と一体に統合されている。これによって、特に単純な構造が生じる。
【0021】
本発明の好適な実施形態は、図面に示されている。一致する符号は、同一の、または機能的に同一の特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ガイドレールを有する自転車用バッテリの図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示すバッテリ101は、固定装置103を用いて自転車フレームに固定することができる。固定は、バッテリ101を固定装置103に挿入し、
図1で見て、右に移動させることによって行われる。
【0024】
固定装置103は、
図2の部分の図に示される溝付きブロック201を含む。バッテリ101を自転車フレームに固定するために、溝付きブロック201は、バッテリ101によって構成されたガイド溝203に係合する。溝付きブロック201は、ガイド溝203内部で移動可能である。
【0025】
クランプ手段205は、ガイド溝203の基部に配置されている。これらは、溝付きブロック201と接触する際に弾性的に変形可能である。溝付きブロック201とガイド溝203の基部との間の距離は、それぞれ、ガイド溝203の基部に対するクランプ手段205の高さよりも、量D1だけ小さい。これによって、溝付きブロック201がそれぞれのクランプ手段205の上に、またはクランプ手段205がそれぞれの溝付きブロック201の下に押されるときに、上述のクランプ手段205の弾性的な変形が起こる。
【0026】
溝付きブロック201は、レール207に固定されている。
【0027】
図3に示されるクランプ手段301は、イジェクトおよびストップカム303と一体に形成されている。
図3において、さらに、2つの溝付きブロック201も示されている。バッテリ101が、
図3で見て右に移動されると、
図3で見て右側に示される溝付きブロック305が、クランプ手段301と摩擦結合的に接続する。その結果、クランプ手段301が、第1溝付きブロック305と接触して弾性的に変形する。次いで、イジェクトおよびストップカム303によって構成された停止部は、第1溝付きブロック305に当接し、バッテリ101が更に右に移動することを防止する。
【0028】
左側に移動すると、イジェクトおよびストップカム303の斜面は、左側に示される第2溝付きブロック307に当接する。そして、この斜面で、イジェクトおよびストップカム303は第2溝付きブロック307おいて摺動する。その結果、バッテリ101が、移動の方向に直交するように、固定装置103からイジェクトされる。
【0029】
図4は、ストップカム401を示す。これは、第1溝付きブロック305に対する停止部を構成する。
図4に示されるように、バッテリ101が誤った位置で固定装置103に挿入されると、ストップカム401が第1溝付きブロック305に当接する。ストップカム401によって、バッテリ101がこの位置から固定装置103に押し込まれることを、防止することができる。
【符号の説明】
【0030】
101 バッテリ
103 固定装置
201 溝付きブロック
203 ガイド溝
205 クランプ手段
207 固定
301 クランプ手段
303 イジェクトおよびストップカム
305 溝付きブロック
307 溝付きブロック
401 ストップカム
【国際調査報告】