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特表2024-524693標的化血栓溶解薬送達のためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】標的化血栓溶解薬送達のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/70 20160101AFI20240628BHJP
   A61M 5/00 20060101ALI20240628BHJP
   A61M 25/14 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61B90/70
A61M5/00 500
A61M25/14 514
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501958
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 US2022037175
(87)【国際公開番号】W WO2023288005
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/222,342
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】ソワーズ、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】マクラフリン、ウィリアム ロバート
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン、デバン
(72)【発明者】
【氏名】マイゼナー、アンソニー ケイ.
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066LL30
4C267AA01
4C267AA08
4C267AA31
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB08
4C267BB10
4C267BB27
4C267BB45
4C267CC08
4C267GG16
(57)【要約】
カテーテルの開通性を回復するための装置及び方法。装置は、カテーテルを通って挿入されるように構成された長尺状部材を備えることができる。長尺状部材は、カテーテル閉塞物への化学薬品の直接送達を容易にし、且つ/又は閉塞物に近接した化学薬品の撹拌を容易にすることができる。本明細書で開示されるカテーテル又はカテーテルシステムは、閉塞物を除去するための装置を備える。カテーテルから閉塞物を除去するための装置は、カテーテル管腔を通って挿入されるように構成された長尺状部材であって、近位端部と遠位端部とを画定する、長尺状部材と、近位端部に隣接して長尺状部材と結合された撹拌アクチュエータとを備えることができ、アクチュエータの動作により、遠位端部に隣接する流体の撹拌が引き起こされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル管腔から閉塞物を除去するための器具であって、前記器具は、
前記カテーテル管腔に挿入されるように構成された長尺状部材と、
前記長尺状部材の近位端部に隣接して前記長尺状部材と結合された撹拌アクチュエータとを備え、前記撹拌アクチュエータの動作により、前記長尺状部材の遠位端部に隣接する流体の撹拌が引き起こされる、器具。
【請求項2】
前記流体は、前記閉塞物を分解するように構成された化学薬品を含み、前記カテーテルの前記閉塞物に隣接して配置される、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記化学薬品は、血栓溶解薬を含む、請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記閉塞物は、前記カテーテル管腔の遠位端部を越えて延在する、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記閉塞物は、フィブリンシースの一部を含む、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記撹拌は、前記長尺状部材の前記遠位端部の長手方向又は側方方向の変位を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の器具。
【請求項7】
前記撹拌は、前記長尺状部材の前記遠位端部の回転を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の器具。
【請求項8】
前記撹拌アクチュエータは、電気機械装置である、請求項1~7のいずれか1項に記載の器具。
【請求項9】
前記撹拌は、前記遠位端部の長手方向の振動を含む、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記撹拌は、前記遠位端部の側方方向の振動を含む、請求項8又は9に記載の器具。
【請求項11】
前記振動は、超音波周波数を有する、請求項9又は10に記載の器具。
【請求項12】
前記長尺状部材は、前記長尺状部材の前記遠位端部に、前記長尺状部材から離れるように延びる1つ以上の突起を備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の器具。
【請求項13】
前記カテーテルは、静脈内カテーテルである、請求項1~12のいずれか1項に記載の器具。
【請求項14】
カテーテルから閉塞物を除去するための装置であって、前記装置は、
前記カテーテルの近位端部で前記カテーテルと結合される圧力アクチュエータであって、カテーテル管腔と流体連通する、圧力アクチュエータを備え、
前記圧力アクチュエータは、前記管腔に沿って変動する流体圧力を生成して、前記カテーテルの閉塞物に隣接する流体の撹拌を引き起こすように構成されている、装置。
【請求項15】
前記カテーテルは、静脈内カテーテルである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記流体は、前記閉塞物を分解するように構成された化学薬品を含む、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
前記化学薬品は、血栓溶解薬を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記流体の前記撹拌は、前記カテーテル管腔内で起こる、請求項14~17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記圧力アクチュエータの動作により、前記カテーテル管腔内において正圧及び負圧の少なくともいずれか一方が規定される、請求項14~18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記圧力アクチュエータの動作により、前記正圧と前記負圧との間の前記管腔内の圧力変動が規定される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記圧力アクチュエータは、電気機械装置である、請求項14~20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
静脈内カテーテルであって、前記静脈内カテーテルは、
外側管腔を画定する外側長尺状管状部材であって、前記外側管腔は前記外側部材の近位端部と遠位端部との間に延びる、外側長尺状管状部材と、
内側管腔を画定する内側長尺状管状部材であって、前記内側管腔は前記内側部材の近位端部と遠位端部との間に延びる、内側長尺状管状部材と、
前記内側部材のポート付き部分に沿って配置された複数のサイドポートであって、前記内側管腔と流体連通している複数のサイドポートと、を備え、
前記内側部材は、前記外側管腔内に配置され、前記外側部材に対して遠位位置と近位位置との間で変位可能であり、
前記複数のサイドポートは、前記内側部材が前記近位位置にあるときには前記外側部材によって覆われ、前記内側部材が前記遠位位置にあるときには露出される、静脈内カテーテル。
【請求項23】
前記内側部材は、前記遠位位置と前記近位位置との間に連続的に配置可能である、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記内側部材は、前記外側部材から取り外し可能である、請求項22又は23に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記内側管腔は、前記内側管腔を通して患者と流体が交換され得るように、前記内側部材の前記遠位端部において開いている、請求項22~24のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記内側部材は、前記外側部材に対して遠位方向に変位されて前記複数のサイドポートのうちの1つ以上を露出させるように構成されている、請求項22~25のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項27】
カテーテルから閉塞物を除去するための器具であって、前記器具は、
カテーテル管腔に挿入されるように構成された長尺状部材であって、近位端部と遠位端部とを画定する、長尺状部材と、
前記遠位端部に隣接して前記長尺状部材と結合された膨張可能なバルーンであって、前記膨張可能なバルーンと前記近位端部との間に延びる第1の管腔と流体連通している、膨張可能なバルーンと、
前記長尺状部材のポート付き部分に沿って配置された複数のサイドポートであって、前記サイドポートは、前記複数のサイドポートと前記近位端部との間に延びる第2の管腔と流体連通している、複数のサイドポートと、を備える、器具。
【請求項28】
前記カテーテルは、静脈内カテーテルである、請求項27に記載の器具。
【請求項29】
前記ポート付き部分は、前記膨張可能なバルーンより近位に配置されている、請求項27又は28に記載の器具。
【請求項30】
前記遠位端部は、前記遠位端部が前記ポート付き部分に沿って配置されるように、前記閉塞物を貫くように構成されている、請求項27~29のいずれか1項に記載の器具。
【請求項31】
前記長尺状部材は、前記近位端部で第1の流体装置と結合されるように構成されており、前記第1の流体装置は、前記膨張可能なバルーンを膨張又は収縮させるように構成されている、請求項27~30のいずれか1項に記載の器具。
【請求項32】
前記長尺状部材は、前記近位端部で第2の流体装置と結合されるように構成されており、前記第2の流体装置は、前記第2の管腔を通して化学薬品を投与するように構成されている、請求項27~31のいずれか1項に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的化血栓溶解薬送達のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
長期カテーテルは、カテーテルの開通性を低減又は破壊する閉塞又は閉塞物を生じやすい可能性がある。例えば、中心静脈カテーテルの閉塞はカテーテル留置の1~2年以内に患者の14~36パーセントで起こることが報告されている。閉塞は、機械的閉塞、薬剤や非経口栄養の沈殿、又は血栓性の原因から生じる可能性がある。カテーテルはまた、カテーテル先端のまわりにフィブリンシースが形成することによって閉塞されるようになる場合があり、フィブリンシースの形成は、血栓性閉塞の最も一般的な原因のうちの1つであることが報告されている。管腔内の凝血塊は、すべてのカテーテル閉塞の5~25%を占め、完全なカテーテル閉塞を引き起こし得る。
【0003】
一般的な方法は、疑わしい血栓性閉塞を血栓溶解薬で治療することである。現在の推奨としては、血栓溶解薬をカテーテル管腔内に少なくとも30分の滞留時間で投与すること、及び必要により反復投与することが挙げられる。120分以上の滞留時間は一般的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書に記載のシステム、装置、及び方法は、カテーテル閉塞物の除去を支援し、カテーテルの開通性を回復し得る。より詳細には、これらのシステム、装置、及び方法は、閉塞物の位置での血栓溶解薬の投与を支援し、閉塞物の貫通を支援し、血流への血栓溶解薬の喪失を防止し、且つ/又は血栓溶解薬と接する閉塞物の表面積を増大させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡単に要約すると、本明細書では、静脈内カテーテルなどのカテーテルから閉塞物を除去するための器具が開示される。この器具は、カテーテル管腔に挿入されるように構成された長尺状部材であって、カテーテル管腔は近位端部と遠位端部とを画定する長尺状部材を有する、長尺状部材と、近位端部に隣接して長尺状部材と結合された撹拌アクチュエータとを備える。撹拌アクチュエータは、長尺状部材の遠位端部に隣接する流体の撹拌を引き起こす。
【0006】
長尺状部材の遠位端部は管腔内に配置され得、流体はカテーテルの閉塞物に隣接して配置され得る。流体は、閉塞物を分解するように構成された化学薬品を含むことができ、化学薬品は血栓溶解薬を含む。閉塞物は管腔内に配置されることがあり、流体の撹拌は管腔内で起こり得る。いくつかの実施形態において、閉塞物がフィブリンシースを含む場合などには、閉塞物は、カテーテルの遠位先端を越えて延在し、閉塞物がカテーテルを完全に閉塞することがある。
【0007】
撹拌アクチュエータは、電気機械装置であってもよく、撹拌は、長尺状部材の遠位端部の長手方向及び/又は側方方向の振動を含み得る。いくつかの実施形態において、振動は、超音波周波数を有し得る。長尺状部材は、遠位端部に長尺状部材から離れるように延びる1つ以上の突起を備え得る。
【0008】
本明細書では、静脈内カテーテルであり得るカテーテルから閉塞物を除去するための装置も開示される。装置は、圧力アクチュエータを備え、圧力アクチュエータは、圧力アクチュエータがカテーテル管腔と流体連通するように、カテーテルの近位端部でカテーテルと結合される。圧力アクチュエータは、管腔に沿って変動する流体圧力を生成して、カテーテルの閉塞物に隣接する流体の撹拌を引き起こす。流体は、閉塞物を分解するように構成された化学薬品を含み、化学薬品は、血栓溶解薬を含み得る。流体の撹拌は、管腔内で起こり得る。
【0009】
圧力アクチュエータは、電気機械装置であり得る。圧力アクチュエータの動作により、管腔内において正圧及び/又は負圧が規定され得る。動作により、正圧と負圧との間の管腔内の圧力変動も引き起こされ得る。
【0010】
本明細書では、静脈内カテーテルであり得るカテーテルも開示される。このカテーテルは、外側管腔を画定する外側長尺状管状部材であって、外側管腔は外側部材の近位端部と遠位端部との間に延びる、外側長尺状管状部材と、内側管腔を画定する内側長尺状管状部材であって、内側管腔は内側部材の近位端部と遠位端部との間に延びる、内側長尺状管状部材とを備える。内側部材は、内側部材のポート付き部分に沿って配置された複数のサイドポートを備え、これらのポートは内部管腔と流体連通している。内側部材は外側管腔内に配置され、内側部材は、外側部材に対して遠位位置と近位位置との間で変位可能である。内側部材が近位位置にあるときには、ポートは外側部材によって覆われ、内側部材が遠位位置にあるときには、ポートは露出される。内側部材は、遠位位置と近位位置との間に連続的に配置可能であり得、内側部材は、外側部材から取り外し可能であり得る。内側管腔はまた、遠位端部で開放されていてもよく、内側管腔を通して患者と流体が交換され得る。
【0011】
使用の際、化学薬品は、内側管腔を通ってカテーテルの閉塞物に向かって投与されて閉塞物に接し得る。流体は、閉塞物を分解するように構成された化学薬品を含むことができ、化学薬品は、血栓溶解薬を含み得る。さらなる使用の際、内側部材は、外側部材に対して遠位方向に変位されてサイドポートを露出させ、化学薬品は、サイドポートを通って投与されて内側部材の外部で閉塞物に接し得る。化学薬品はまた、内側部材の遠位端部を越えて延在する閉塞物及び/又は内側部材の外面に沿って近位に延在する閉塞物に接し得る。サイドポートを通って投与された化学薬品はまた、閉塞物の外面に沿って閉塞物に接し得る。
【0012】
本明細書では、静脈内カテーテルであり得るカテーテルから閉塞物を除去するための別の器具も開示される。この器具は、カテーテル管腔を通って挿入されるように構成された長尺状部材を備え、長尺状部材は、近位端部と遠位端部とを画定する。膨張可能なバルーンは、遠位端部に隣接して長尺状部材と結合され、バルーンは、バルーンと長尺状部材の近位端部との間に延びる第1の管腔と流体連通している。長尺状部材のポート付き部分に沿って、複数のサイドポートが配置されており、サイドポートは、サイドポートと長尺状部材の近位端部との間に延びる第2の管腔と流体連通している。
【0013】
ポート付き部分は、バルーンより近位に配置されている。長尺状部材の遠位端部は、使用の際(i)閉塞物がポート付き部分の近位端部と遠位端部との間に配置され、(ii)1つ以上のサイドポートが閉塞物より遠位に配置され、且つ/又は(iii)1つ以上のサイドポートが閉塞物より近位に配置されるように、カテーテルの閉塞物を貫いて延びるように構成されている。いくつかの実施形態において、バルーンは、膨張時にカテーテル管腔を横切って広がる。
【0014】
使用の際、長尺状部材は、第1の流体装置が第1の管腔と流体連通するように、近位端部で第1の流体装置と結合され得る。第1の流体装置は、バルーンを膨張及び収縮させるように構成されている。
【0015】
使用の際、長尺状部材は、第2の流体装置が第2の管腔と流体連通するように、近位端部で第2の流体装置と結合され得る。第2の流体装置は、第2の管腔を通して化学薬品を投与するように構成されている。使用の際、化学薬品は、サイドポートを通って投与されて、ポート付き部分に沿って、近位端部分及び遠位端部分を含む閉塞物と接することができる。使用の際、第2の流体装置は、サイドポートを通して化学薬品を吸引及び再投与して、化学薬品を撹拌するように操作され得、器具は、管腔内で長手方向に変位されて化学薬品を撹拌する。
【0016】
使用の際、器具は、管腔内で近位方向に変位されて、閉塞物をバルーンと接触させ、且つ/又は閉塞物の1つ以上の部分をカテーテル管腔に沿って近位方向に変位させ得る。
本明細書では、カテーテルの開通性を回復する方法も開示される。この方法は、カテーテル管腔を通して化学薬品を投与することであって、化学薬品は管腔の閉塞物を分解するように構成されている、投与することと、化学薬品を撹拌して閉塞物の分解を増進することとを含む。
【0017】
化学薬品を撹拌することは、カテーテル管腔内に長尺状部材を挿入することを含んでもよく、長尺状部材の遠位端部を変位させて撹拌を引き起こすことを含んでもよい。撹拌することは、長尺状部材の遠位端部を振動させることを含み得る。
【0018】
この方法のいくつかの実施形態において、長尺状部材は、部材管腔を備え、化学薬品を投与することは、部材管腔を通して化学薬品を投与することを含み得る。長尺状部材は、複数のサイドポートを備えてもよく、化学薬品を投与することは、サイドポートを通して化学薬品を投与することを含み得る。サイドポートを通して化学薬品を投与することはまた、化学薬品を閉塞物の近位側及び遠位側に投与することも含み得る。
【0019】
この方法のいくつかの実施形態において、長尺状部材を挿入することは、長尺状部材の遠位先端で閉塞物を貫くことを含み得る。いくつかの実施形態において、化学薬品を撹拌することは、化学薬品の圧力を変動させることを含む。
【0020】
また本明細書では、カテーテルシステムも開示される。カテーテルシステムは、近位端部と遠位端部との間に延びるカテーテル管腔を画定するカテーテルと、カテーテル管腔を通って挿入されるように構成された長尺状部材とを備え、長尺状部材は、近位部材端部と遠位部材端部とを画定する。長尺状部材は、カテーテルの閉塞物を除去するための1つ以上の動作を実施するように構成されている。
【0021】
動作は、閉塞物に接して配置された化学薬品を撹拌することを含んでもよく、化学薬品を撹拌することは、遠位部材端部を変位させること、及び/又は遠位部材端部を振動させることを含む。
【0022】
動作は、長尺状部材の第1の部材管腔を通して化学薬品を投与することを含み得る。いくつかの実施形態において、長尺状部材は、長尺状部材のポート付き部分に沿って延在する複数のサイドポートを備え、動作は、サイドポートを通して化学薬品を投与することを含む。動作は、閉塞物の遠位側に化学薬品を投与することをさらに含んでもよい。
【0023】
この方法のいくつかの実施形態において、長尺状部材は、遠位端部に膨張可能なバルーンを備え、動作は、閉塞物の遠位側でバルーンを膨張させることを含む。
本明細書で提供される概念のこれら及び他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面及び以下の説明を考慮すれば、当業者にはより明らかになるであろう。
【0024】
本開示のより具体的な説明は、添付の図面に示されるその特定の実施形態を参照することにより行われる。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示し、したがって、その範囲を限定するものとみなされないことを理解されたい。本発明の例示的な実施形態は、添付の図面の使用を通じて更に具体的且つ詳細に記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】いくつかの実施形態による、カテーテル閉塞物の除去に使用するための医療器具の第1の実施形態の側面断面図。
図2】いくつかの実施形態による、カテーテル閉塞物の除去に使用するための医療器具の第2の実施形態の側面断面図。
図3】いくつかの実施形態による、閉塞物除去の特徴を備えたカテーテルの側面断面図。
図4A】いくつかの実施形態による、カテーテル閉塞物の除去に使用するための医療器具の第3の実施形態の側面断面図。
図4B】いくつかの実施形態による、図4Aの医療器具の一部の詳細断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離することができ、任意選択的に、本明細書に開示される他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴と組み合わせる又は置換することができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0027】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書に提供される概念の範囲を限定するものではないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、全般的に、特徴又は工程の群内の異なる特徴若しくは工程を区別又は識別するために使用され、連続的又は数値的な限定を提供するものではない。例えば、「第1の」、「第2の」、及び「第3の」特徴又は工程は、その順序で必ずしも現れる必要はなく、そのような特徴又は工程を含む特定の実施形態は、3つの特徴又は工程に必ずしも限定される必要はない。例えば「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」などのラベルは、便宜的に使用されるものであり、例えば、任意の特定の固定された位置、向き、又は方向を示唆することを意図するものではない。その代わりに、そのようなラベルは、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するように使用される。単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈で別段の明確な指示のない限り、複数形の参照を含む。「含む(including)」、「有する(has)」、及び「有する(having)」という語は、特許請求の範囲を含む本明細書で使用する場合、「含む(comprising)」という語と同じ意味を有する。更に、「又は」及び「及び/又は」という用語は、本明細書で使用する場合、包括的又は任意の1つの若しくは任意の組み合わせを意味するものと解釈されるものとする。一例として、「A、B又はC」又は「A、B及び/又はC」は、「以下、すなわち、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びB、A及びC、B及びC、並びにA、B及びC、のいずれか」を意味する。この定義の例外は、要素、構成要素、機能、工程、又は行為の組み合わせが何らかの方法で本質的に相互に排他的である場合にのみ生じる。
【0028】
「に接続される」及び「に結合され」という語句は、機械的、電気的、磁気的、電磁的、流体的、信号的、通信的(無線を含む)、及び熱的相互作用を含む、2つ以上の実体間の任意の形態の相互作用を指す。2つの構成要素は、互いに直接接触していなくても、互いに接続又は結合され得る。例えば、2つの構成要素は、中間構成要素を介して互いに結合され得る。
【0029】
本明細書で開示するいずれの方法も、記載の方法を実施するための1つ以上のステップ又は行為を含む。方法ステップ及び/又は行為は、互いに入れ替えることができる。換言すると、ステップ又は行為の特定の順序が実施形態の適切な動作に必要とされない限り、特定のステップ及び/又は行為の順序及び/又は使用は変更されてもよい。さらに、本明細書に記載される方法のサブルーチン又は一部のみが、本開示の範囲内の独立した方法である場合がある。別様に述べると、いくつかの方法は、より詳細な方法に記載されるステップの一部のみを含む場合がある。
【0030】
「近位」及び「遠位」という方向を示す用語は、本明細書では医療装置における反対の位置を指すために使用される。装置の近位端部は、装置がエンドユーザによって使用されているときにエンドユーザに最も近い装置の端部として定義される。遠位端部は、装置の長手方向に沿って近位端部と反対側の端部、又はエンドユーザから最も遠い端部である。
【0031】
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
図1は、カテーテル10を塞ぐ閉塞物20を除去するための医療器具100の第1の例示的な実施形態を示す。器具100は、(i)カテーテル10の管腔13を通って挿入され、且つ(ii)カテーテル10の近位端部12と遠位端部11との間に延びるように構成された、長尺状シャフト110を備える。カテーテル10は、静脈内カテーテルであり得る。
【0032】
閉塞物20は、カテーテル管腔13の部分閉塞又は完全閉塞を規定し得る。いくつかの実施形態において、閉塞物20又はその一部は、カテーテル管腔13内に配置される場合がある。他の実施形態では、閉塞物20は、遠位端部11を覆うことがある。いくつかの実施形態において、閉塞物20は、カテーテル10の外側に沿って近位に延在することがあり、閉塞物20は、例えばフィブリンシースを含み得る。閉塞物20は、流体沈澱物からなるか、又は管腔13内での若しくは遠位端部11に隣接した血栓の形成によって生じる場合がある。
【0033】
器具100は、閉塞物20に近接して管腔13内に配置された化学薬品30の撹拌131を規定するように構成されている。シャフト110は、シャフト110の近位端部112で撹拌アクチュエータ120(アクチュエータ)と結合されている。アクチュエータ120は、シャフト110の遠位端部111の撹拌運動を引き起こす。撹拌は、長手方向及び/又は側方(later)方向における遠位端部111の振動運動を含み得る。いくつかの実施形態において、撹拌は、シャフト110の回転を含み得る。シャフト110は、化学薬品30の撹拌131を支援するために1つ以上の突起114を備え得る。突起114としては、遠位端部111が変位されるときに撹拌131を支援するように適切に形作られた、柱、フィン、フラップ、又は任意の突起が挙げられ得る。
【0034】
アクチュエータ120は、電気機械装置であり得る。いくつかの実施形態において、撹拌運動は、シャフト110の振動を含む場合があり、振動は、超音波範囲内の周波数(すなわち約20キロヘルツを超える周波数)を有し得る。いくつかの実施形態において、アクチュエータ120は、手動操作されるように構成されてもよい。したがって、アクチュエータ120は、臨床医により手動で規定されるシャフト110の撹拌運動を容易にするために、プランジャ、クランク、又は任意の他の適当な物理的インターフェースを備え得る。
【0035】
化学薬品30は、閉塞物20の固形性(solid nature)を溶解させる、分解する、又はそうでなければ破壊するように構成され得る。したがって、閉塞物20の分解は、閉塞物20の表面に近接する化学薬品30の化学反応によって容易にされ得る。化学反応の速度(すなわち分解速度)は、閉塞物20に対する化学薬品30の拡散速度によって制限され得る。いくつかの例では、分解速度は、閉塞物20の表面に近接する化学薬品30の拡散の減少により、経時的に低下し得る。したがって、閉塞物20の表面に近接する化学薬品30の撹拌によって、閉塞物20の表面に近接する化学薬品30の拡散速度を回復させる、維持する、又はそうでなければ高めることができ、それによって閉塞物20の分解速度が高められる。要約すると、閉塞物20に近接する化学薬品30の撹拌131により、閉塞物20を除去しカテーテル10の開通性を回復するのに必要な時間が削減され得る。いくつかの実施形態において、撹拌131により、閉塞物20を物理的に破壊(例えば分断)することができ、分解プロセスがさらに増進される。
【0036】
使用の際、臨床医は、カテーテル10の管腔13を通して化学薬品30を閉塞物20に投与し得る。臨床医は、次に器具100(又はより詳細にはシャフト110)をカテーテル10の管腔13に挿入し、シャフト110の遠位端部111が閉塞物20に近接して配置されるように、シャフト110を前進させ得る。次に、臨床医は、閉塞物20が適切に分解されるまで、アクチュエータ120を操作して撹拌131を引き起こし得る。臨床医は、次にシャフト110をカテーテル10から抜去し得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、シャフト110の遠位端部111は、その上に(例えば粉末又はゲルの形態で)堆積された化学薬品30を備える。化学薬品30が遠位端部111上に粉末形態で堆積される実施形態では、粉末は、管腔13に投与された流体に混合及び/又は溶解し得る。
【0038】
器具100は、カテーテル10とともに使用するための独立型の装置を規定し得る。他の実施形態では、器具100又はその1つ以上の構成要素は、カテーテル10と組み合わせられてカテーテルシステムを規定し得る。
【0039】
図2は、カテーテル10から閉塞物20を除去するための医療器具(又は装置)200の第2の例示的な実施形態を示す。器具200は、圧力ポート221を介してカテーテル10の近位端部12でカテーテル10に結合可能な圧力アクチュエータ220(例えば液圧駆動体)を備える。
【0040】
圧力アクチュエータ220は、カテーテル10の管腔13に沿った変動圧力/振動圧力225を規定するように構成されている。変動圧力225は、閉塞物20に近接する化学薬品30の撹拌231を引き起こす。圧力アクチュエータ220はまた、化学薬品30などの流体をカテーテル管腔13に沿って遠位に変位させて且つ/又は投与して、化学薬品30を閉塞物20に近接して送達するように構成され得る。
【0041】
いくつかの実施形態において、圧力アクチュエータ220は、圧力変動を発生させるために臨床医によって手動操作されるように構成され得る。したがって、圧力アクチュエータ220は、臨床医が圧力変動225を手動で発生させることができるようにするために、プランジャ、クランク、又は任意の他の適当な物理的なインターフェースを備え得る。例えば、圧力アクチュエータ220はシリンジであってもよく、手動操作は、シリンジのプランジャを押すこと及び/又は引くことを含んでもよい。他の実施形態では、アクチュエータ220は、例えば、シリンダ内の往復動プランジャなどの電気機械装置であってもよい。圧力変動225は、(i)正圧範囲(すなわち大気圧より高い圧力範囲)、(ii)負圧範囲(すなわち大気圧より低い圧力範囲)、又は(iii)正圧範囲及び負圧範囲の双方にわたって起こり得る。
【0042】
上述した撹拌131と同様に、閉塞物20の表面に近接する化学薬品30の撹拌231により、分解速度を回復させる、維持する、又はそうでなければ高めることができる。要約すると、閉塞物20に近接する化学薬品30の撹拌231により、閉塞物20を除去しカテーテル10の開通性を回復するのに必要な時間が削減され得る。いくつかの実施形態において、撹拌231により、閉塞物20の表面に隣接した局所的な流体流226が誘発されて閉塞物20を物理的に破壊(例えば分断)することができ、それにより分解プロセスがさらに増進される。
【0043】
使用の際、臨床医は、カテーテル10の管腔13を通して化学薬品30を閉塞物20に投与し得る。臨床医は、次に圧力アクチュエータ220を近位端部12においてカテーテル10に結合し得る。次に、臨床医は、閉塞物20が適切に分解されるまで、圧力アクチュエータ220を作動させて撹拌231を引き起こし得る。臨床医は、次に圧力アクチュエータ220をカテーテル10から切り離し得る。
【0044】
図3は、カテーテル300の閉塞物20を除去するための特徴及び機能性を備えたカテーテル300の例示的な実施形態を示す。カテーテル300は、遠位端部311と近位端部312との間に延びる管腔313を画定する内側管状部材310を備える。カテーテル300は、外側管状部材320(例えば外側カテーテル)をさらに備え、外側管状部材320は、外側部材320の遠位端部321と近位端部322との間に延びる外側管腔323を画定する。外側部材320が内側管状部材310に対して遠位位置と近位位置との間で連続的に変位可能となるように、内側部材310は、外側部材320の管腔323内に摺動可能に配置される。
【0045】
いくつかの実施形態において、外側部材320は、独立型のカテーテルとして機能するように構成され得る。換言すると、外側部材320は、例えば中心静脈カテーテルなどのカテーテルであってもよい。このような実施形態では、内側管状部材310は、外側管状部材に挿入される別個の装置であり得る。
【0046】
内側部材310は、内側部材310のポート付き部分314に沿って延在する複数のサイドポート(又はチャネル)330を備える。サイドポート330は、内側部材310の管状壁315を通って延びている。ポート付き部分314は、外側部材320に対して、(i)外側部材320が遠位位置に配置されたときには、遠位端部322がポート付き部分314を越えて遠位に延び、そのためサイドポートが外側部材320によって閉鎖/閉塞されるように配置され、(ii)外側部材320が近位位置に配置されたときには、遠位端部322がポート付き部分314より近位に配置され、そのためサイドポート330が開放する(つまり、外側部材320によって覆われなくなる)ように配置される。要約すると、外側部材320は、遠位位置に配置されたときには、すべてのサイドポート330を閉塞し得る。外側部材320を遠位位置から後退させるにつれて、外側部材320が近位位置に配置されるまで、覆われなくなる/開放されたサイドポート330の数が多くなり、近位位置でサイドポート330のすべてが覆われなくなる/開放される可能性がある。代わりに、サイドポート330が覆われなくなる/開放されるように、内側部材310が連続的に挿入されてもよい。
【0047】
使用の際、サイドポート330を通して投与された化学薬品30は、閉塞物20の複数の位置で閉塞物に接し得る。いくつかの例では、閉塞物20は、外側部材320及び/又は内側部材310を含むカテーテル300の外側に沿って近位に延在し得る。このような場合には、サイドポート330を通して投与された化学薬品30は、カテーテル300の外側に沿って近位に導かれ、カテーテル300の外側に沿って近位方向に沿って配置された閉塞物20の一部に接し得る。いくつかの実施形態では、閉塞物20は、ポート付き部分314に沿って近位に延在する場合がある。したがって、サイドポート330を通して投与された化学薬品30は、閉塞物20の環状内側面に沿って閉塞物20に接し得る。
【0048】
カテーテル300の閉塞物20の場合、カテーテル300(より詳細には内側管状部材310)は、近位端部312で流体装置(例えばプランジャ341を有するシリンジ340)と、シリンジ340が管腔313と流体連通するように結合され得、シリンジ340は化学薬品30を収容し得る。このような場合、臨床医は、プランジャ341を押して、管腔313を通して化学薬品30を閉塞物20に投与し得る。外側管状部材320が遠位位置から離れるように変位される場合、化学薬品30は、開放されたサイドポート330を通って管腔313から流出して、閉塞物20の外面21を化学薬品30に晒すことができる。外面21を晒すことにより、閉塞物20の分解が増進され得る。
【0049】
いくつかの例では、臨床医は、プランジャを後退させて、化学薬品30を管腔313内において近位方向に変位させ得る。さらなる例では、臨床医は、プランジャ341を繰り返し押したり後退させたりして、閉塞物20に隣接する化学薬品30を撹拌し得る。撹拌により、分解速度がさらに高められ得る。
【0050】
図4Aは、カテーテル10の閉塞物20を除去するための医療器具400の第3の例示的な実施形態を示す。器具400は、(i)カテーテル10の管腔13を通って挿入され、且つ(ii)カテーテル10の近位端部12と遠位端部11との間に延びるように構成された、長尺状二管腔(bi-luminal)管状部材410を備える。カテーテル10は、静脈内カテーテルであり得る。器具400は、化学薬品30を管腔13内の閉塞物20に送達するように構成されている。より詳細には、器具400は、化学薬品30を閉塞物20の近位側及び遠位側の双方に送達するように構成されている。
【0051】
図4Bは、管状部材410の一部の詳細断面図である。図4A及び図4Bを参照すると、管状部材410は、遠位端部411と近位端部412とを画定する。第1の管腔413及び第2の管腔414は、管状部材410に沿って延びている。管状部材410は、第1の脚部410A及び第2の脚部410Bを画定するように、近位端部412に隣接する分岐部416を備える。第1の管腔413は第1の脚部410Aに沿って延び、第2の管腔414は第2の脚部410Bに沿って延びる。管状部材410の遠位先端419は、管状部材410が閉塞物20の開口部21を通って延ばされ得るように、閉塞物20を貫くように構成されている。
【0052】
器具400は、遠位端部411に隣接して管状部材410と結合された膨張可能なバルーン420を備える。器具400はまた、第1の脚部410Aと結合された第1の流体装置、例えば第1のプランジャ431を備えた第1のシリンジ430を備えることができる。バルーン420は、第1の管腔413を介して第1の流体装置430と流体結合されている。シリンジ430の動作により、バルーン420の膨張及び収縮がもたらされる。膨張状態において、バルーン420は、カテーテル管腔13を横切って広がることができ、いくつかの実施形態では、カテーテル管腔13の断面を充填し得る。弁435は、第1の脚部410Aに沿って第1の管腔413と同一直線上に配置されて、管腔413を通じた流体の流れを選択的に許容及び防止し得る。
【0053】
複数のサイドポート440は、管状部材410のポート付き部分441に沿ってバルーン410より近位に延在する。第2の流体装置、例えば第2のプランジャ451を備えた第2のシリンジ450は、第2の脚部410Bと結合され得る。サイドポート440は、それぞれ、第2の管腔414を介して第2のシリンジ450と流体結合されている。第2のシリンジ430の動作により、ポート440を通る流体の流れがもたらされる。いくつかの実施形態において、第2のシリンジ450は、化学薬品30を収容することができ、第2のプランジャ451を押すことによって、化学薬品30がサイドポート440を通って投与され得る。サイドポート440がバルーン420より近位に配置されており、且つバルーン420がカテーテル管腔420を横切って広がることができるため、バルーン420は、化学薬品30が患者の血流中に失われるのを妨げることができる。
【0054】
使用法として、カテーテル管腔13の閉塞物20の場合、臨床医は、器具400(又はより詳細には管状部材410)をカテーテル10の管腔13に挿入し、管状部材410の遠位端部411が閉塞物20に近接して配置されるように管状部材410を前進させ得る。次に、臨床医は、管状部材410をさらに前進させて、遠位先端419で閉塞物20を貫いて、閉塞物20を通って管状部材410を前進させ得る。臨床医は、バルーン420が閉塞物20より遠位に位置するように、管状部材410を配置し得る。臨床医は、閉塞物20がポート付き部分441に沿って、つまりポート付き部分の近位端部と遠位端部との間に配置されるように、管状部材410をさらに配置し得る。臨床医は、バルーン420がカテーテル管腔13を横切って広がるように、第1のプランジャ431を押してバルーン420を膨張させ得る。バルーンを膨張させたまま、臨床医は、弁435を閉鎖してバルーン420内の膨張圧をロックし得る。次に、臨床医は、第2のプランジャ451を押して、サイドポート440を通して化学薬品30を投与し得る。投与された化学薬品30は、閉塞物20の近位側及び/又は遠位側で閉塞物20に接し得る。化学薬品30はまた、開口部21に沿って閉塞物20に接し得る。閉塞物20の十分な分解後、臨床医は、弁435を開放し、第1のプランジャ431を後退させてバルーン20を収縮させ得る。臨床医は、管状部材410をカテーテル管腔13から引き抜き得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、臨床医は、第2のプランジャ451を後退させて、サイドポート440を通して化学薬品30を吸引してもよい。臨床医はまた、第2のプランジャ451を繰り返し押したり後退させたりして、閉塞物20に隣接する化学薬品30を撹拌し得る。さらなる実施形態において、臨床医は、管状部材410をカテーテル管腔13に沿って長手方向に変位させて、化学薬品30を撹拌し得る。撹拌により、分解速度がさらに高められ得る。いくつかの例では、臨床医は、バルーン420を膨張させた状態で管状部材410を近位方向に変位させて、閉塞物20の任意の残った破片又は部分をカテーテル管腔13から引きずり出すことができる。
【0056】
器具400は、カテーテル10とともに使用するための独立型の装置を規定し得る。他の実施形態では、器具400又はその1つ以上の構成要素は、カテーテル10と組み合わせられてカテーテルシステムを規定し得る。
【0057】
当業者であれば、これ以上の詳述がなくても、前述の説明を使用して、本発明をその最大限まで利用することができると考えられる。本明細書に開示される特許請求の範囲及び実施形態は、単なる説明及び例示であり、本開示の範囲を一切限定するものではないと解釈されるべきである。当業者であれば、本開示の助けを借りて、本明細書の開示の基本原則から逸脱することなく、上記の実施形態の細部に変更を施すことができることは明らかであろう。換言すれば、上記説明に具体的に開示された実施形態の様々な修正及び改良は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。更に、本明細書に開示される方法の工程又は動作の順序は、本開示の範囲から逸脱することなく当業者によって変更され得る。換言すれば、工程又は動作の特定の順序が実施形態の適切な動作のために必要でない限り、特定の工程又は動作の順序又は使用は変更され得る。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
【国際調査報告】