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特表2024-524694置換心臓弁インプラントを圧縮するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】置換心臓弁インプラントを圧縮するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501960
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022036770
(87)【国際公開番号】W WO2023287752
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/221,121
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ローナン、デクラン
(72)【発明者】
【氏名】オコナー、ティム
(72)【発明者】
【氏名】ラードナー、ジョン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB04
4C097CC05
4C097DD02
4C097DD06
4C097DD09
4C097EE02
4C097EE06
4C097EE08
4C097EE11
4C097EE13
4C097SB01
(57)【要約】
置換心臓弁インプラントを圧縮するための装置は、外面および管状部材のルーメンを形成する内面を有する壁を有する管状部材を含み得、内面は、遠位方向に半径方向内側へ向かうテーパを有するテーパ部分と、テーパ部分から半径方向内側に突出する複数の可撓性アームとを含む。複数の可撓性アームは、付勢されていない形態において、内面から半径方向内側に、内面から管状部材の中心長手方向軸までの距離の少なくとも50%突出し得る。複数の可撓性アームは、置換心臓弁インプラントが管状部材を通過する際に、置換心臓弁インプラントの複数のリーフレットを半径方向内側に押し込むように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換心臓弁インプラントを圧縮するための装置であって、
壁を有する管状部材であって、前記壁は、外面と、前記管状部材のルーメンを形成する内面とを有しており、前記内面は、遠位方向に半径方向内側へ向かうテーパを有するテーパ部分を含んでいる、前記管状部材と、
前記テーパ部分から半径方向内側に突出する複数の可撓性アームと、を備え、
前記複数の可撓性アームは、付勢されていない形態において、前記内面から半径方向内側に、前記内面から前記管状部材の中心長手方向軸までの距離の少なくとも50%突出している、装置。
【請求項2】
前記複数の可撓性アームは、付勢されていない形態において、前記内面から半径方向内側に、前記内面から前記管状部材の前記中心長手方向軸までの距離の少なくとも75%突出している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の可撓性アームは、前記管状部材の前記壁に固定的に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の可撓性アームは、モノフィラメントポリマー材料から形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の可撓性アームは、前記管状部材とは異なる材料から形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記管状部材の前記外面に形成されたねじ山に係合するように構成されたねじ付きナットと、
環状リングと、前記環状リングから半径方向内側に延在する複数の延長部材とを含むプッシュ部材と、をさらに備え、
前記環状リングは、前記管状部材の前記外面上を摺動するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記管状部材は、前記壁を貫通して延在する複数の長手方向スロットを含んでおり、
前記複数の延長部材は、前記環状リングが前記管状部材の前記外面上を摺動するときに、前記複数の長手方向スロットを通って前記管状部材の前記ルーメン内に延びる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
置換心臓弁システムであって、
拡張可能なフレームワークと、前記拡張可能なフレームワークに固定された複数のリーフレットとを含む置換心臓弁インプラントと、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置と、を備え、
前記複数の可撓性アームは、前記置換心臓弁インプラントが前記管状部材を通過する際に、前記複数のリーフレットを半径方向内側に押し込むように構成されている、置換心臓弁システム。
【請求項9】
前記複数の可撓性アームは、前記管状部材の中心長手方向軸の周りに周方向に等間隔に離間されている、請求項8に記載の置換心臓弁システム。
【請求項10】
前記複数の可撓性アームは、互いに約120度離間されている、請求項9に記載の置換心臓弁システム。
【請求項11】
前記複数のリーフレットの各々は、前記置換心臓弁インプラントが前記管状部材を通過する際に、前記複数の可撓性アームのうちの1つのみによって係合される、請求項8に記載の置換心臓弁システム。
【請求項12】
前記複数のリーフレットは、複数の交連において前記拡張可能なフレームワークに固定されているとともに、前記複数の交連の間に延在する自由縁部を含んでおり、周方向に隣接する交連の間で、前記置換心臓弁インプラントは、前記複数のリーフレットの前記自由縁部の半径方向外側の長手方向位置において前記拡張可能なフレームワークが設けられていない、請求項8に記載の置換心臓弁システム。
【請求項13】
置換心臓弁インプラントを圧縮する方法であって、
前記置換心臓弁インプラントの流入端を、前記置換心臓弁インプラントを圧縮するための装置に挿入するステップと、前記装置は、
壁を有する管状部材であって、前記壁は、外面と、前記管状部材のルーメンを形成する内面とを有しており、前記内面は、遠位方向に半径方向内側へ向かうテーパを有するテーパ部分を含んでいる、前記管状部材と、
前記テーパ部分から半径方向内側に突出する複数の可撓性アームと、を備えており、
環状リングおよび前記環状リングから半径方向内側に延在する複数の延長部材を含むプッシュ部材を、前記複数の延長部材が前記置換心臓弁インプラントの複数の交連に係合するまで、前記管状部材の近位端上で摺動させるステップと、
前記管状部材の近位端上にねじ付きナットを配置するステップと、前記ねじ付きナットは、前記管状部材の前記外面に形成されたねじ山に係合するように構成されており、
前記ねじ付きナットを前記管状部材に沿って遠位に前進させて、前記プッシュ部材を前記管状部材に沿って遠位に移動させるステップと、を含み、前記プッシュ部材が、前記管状部材の前記ルーメン内で前記置換心臓弁インプラントを遠位に前進させる、方法。
【請求項14】
前記置換心臓弁インプラントが前記複数の可撓性アームを通過して前進すると、前記複数の可撓性アームが、前記置換心臓弁インプラントの拡張可能なフレームワークから半径方向内側に前記置換心臓弁インプラントの複数のリーフレットを押し込む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の可撓性アームの各々は、前記複数の延長部材のうちの周方向に隣接する2つの延長部材の間に周方向に配置されている、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療デバイス、システム、ならびに医療デバイスおよび/またはシステムを製造および/または使用するための方法に関する。より詳細には、本開示は、置換心臓弁インプラントを圧縮するための装置のための改良された設計、およびその装置を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用途、例えば血管内使用のために多種多様な体内医療装置が開発されてきた。これらの装置のいくつかは、ガイドワイヤ、カテーテル、医療装置送達システム(例えば、ステント、グラフト、置換弁など)などを含む。これらの装置は、様々な異なる製造方法のいずれか1つによって製造され、様々な方法のいずれか1つに従って使用することができる。既知の医療装置および方法の各々は、特定の利点および欠点を有する。代替的な医療装置、並びに医療装置を製造および使用する代替的な方法を提供する継続的な必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
一実施例では、置換心臓弁インプラントを圧縮するための装置は、壁を有する管状部材を備え得、壁は、外面および管状部材のルーメンを形成する内面を有しており、内面は、遠位方向に半径方向内側へ向かうテーパを有するテーパ部分と、テーパ部分から半径方向内側に突出する複数の可撓性アームとを含む。複数の可撓性アームは、付勢されていない形態において、内面から半径方向内側に、内面から管状部材の中心長手方向軸までの距離の少なくとも50%突出している。
【0004】
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、複数の可撓性アームは、付勢されていない形態において、内面から半径方向内側に、内面から管状部材の中心長手方向軸までの距離の少なくとも75%突出している。
【0005】
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、複数の可撓性アームは、管状部材の壁に固定的に取り付けられている。
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、複数の可撓性アームは、モノフィラメントポリマー材料から形成されている。
【0006】
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、複数の可撓性アームは、管状部材とは異なる材料から形成されている。
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、装置は、管状部材の外面に形成されたねじ山に係合するように構成されたねじ付きナットと、環状リングおよび環状リングから半径方向内側に延在する複数の延長部材を備えるプッシュ部材とをさらに備え得る。環状リングは、管状部材の外面上を摺動するように構成されている。
【0007】
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、管状部材は、壁を貫通して延在する複数の長手方向スロットを含む。複数の延長部材は、環状リングが管状部材の外面上を摺動するときに、複数の長手方向スロットを通って管状部材のルーメン内に延びる。
【0008】
本明細書に記載の任意の例に対して付加的に、または代替的に、置換心臓弁システムは、拡張可能なフレームワークおよび拡張可能なフレームワークに固定された複数のリーフレットを含む置換心臓弁インプラントと、置換心臓弁インプラントを圧縮するための装置とを備え得る。本装置は、壁を有する管状部材を備え得、壁は、外面および管状部材のルーメンを形成する内面を有しており、内面は、遠位方向に半径方向内側へ向かうテーパを有するテーパ部分と、テーパ部分から半径方向内側に突出する複数の可撓性アームとを含む。複数の可撓性アームは、置換心臓弁インプラントが管状部材を通過する際に、複数のリーフレットを半径方向内側に押し込むように構成されている。
【0009】
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、複数の可撓性アームは、管状部材の中心長手方向軸の周りに周方向に等間隔に離間されている。
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、複数の可撓性アームは、互いに約120度離間されている。
【0010】
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、複数のリーフレットの各々は、置換心臓弁インプラントが管状部材を通過する際に、複数の可撓性アームのうちの1つのみによって係合される。
【0011】
本明細書に説明される任意の例に対して付加的に、または代替的に、複数のリーフレットは、複数の交連において拡張可能なフレームワークに固定されているとともに、複数の交連の間に延在する自由縁部を含んでおり、周方向に隣接する交連の間で、置換心臓弁インプラントは、複数のリーフレットの自由縁部の半径方向外側の長手方向位置において拡張可能なフレームワークが設けられていない。
【0012】
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、置換心臓弁インプラントを圧縮する方法は、
置換心臓弁インプラントの流入端を、置換心臓弁インプラントを圧縮するための装置に挿入するステップであって、装置は、
壁を有する管状部材であって、壁は、外面および前記管状部材のルーメンを形成する内面を有しており、内面は、遠位方向に半径方向内側へ向かうテーパを有するテーパ部分を含んでいる、管状部材と、
前記テーパ部分から半径方向内側に突出する複数の可撓性アームと、を備えており、
環状リングおよび環状リングから半径方向内側に延在する複数の延長部材を含むプッシュ部材を、複数の延長部材が置換心臓弁インプラントの複数の交連に係合するまで、管状部材の近位端上で摺動させるステップと、
管状部材の近位端上にねじ付きナットを配置するステップと、ねじ付きナットは、管状部材の外面に形成されたねじ山に係合するように構成されており、
ねじ付きナットを管状部材に沿って遠位に前進させて、プッシュ部材を管状部材に沿って遠位に移動させるステップと、を含み、プッシュ部材が、管状部材のルーメン内で置換心臓弁インプラントを遠位に前進させる。
【0013】
本明細書に記載の任意の例に対して付加的に、または代替的に、置換心臓弁インプラントが複数の可撓性アームを通過して前進すると、複数の可撓性アームが、置換心臓弁インプラントの拡張可能なフレームワークから半径方向内側に置換心臓弁インプラントの複数のリーフレットを押し込む。
【0014】
本明細書に記載の任意の例に対して付加的に、または代替的に、複数の可撓性アームの各々は、複数の延長部材のうちの周方向に隣接する2つの延長部材の間に周方向に配置されている。
【0015】
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、複数の延長部材は、管状部材に形成された複数の長手方向スロットを貫通して半径方向内側に延びる。
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、複数の長手方向スロットは、管状部材の近位端から管状部材の遠位端に向かって延在する。
【0016】
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、複数の可撓性アームの各々は、複数の長手方向スロットのうちの周方向に隣接する2つの長手方向スロットの間に周方向に配置されている。
【0017】
本明細書に記載される任意の例に加えて、または代替的に、置換心臓弁インプラントを管状部材のルーメン内で遠位に前進させることによって、置換心臓弁インプラントが半径方向に圧縮される。
【0018】
本明細書に記載される任意の例に対して付加的に、または代替的に、複数の可撓性アームは、管状部材のルーメン内で管状部材の内面から遠位方向に延在している。
いくつかの実施形態、態様、および/または例の上記の概要は、本開示の開示される各実施形態または全ての実装形態を説明することを意図していない。以下の図面および「発明を実施するための形態」は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示は、添付の図面に関連して以下の「発明を実施するための形態」を考慮することにより、より完全に理解することができる。
図1】置換心臓弁インプラントの選択された態様を示す図である。
図2図1の置換心臓弁インプラントを圧縮するための装置の選択された態様を示す図である。
図3図2の装置の選択された態様を示す断面図である。
図4図2の装置の選択された態様を示す端面図である。
図5図2の装置の選択された態様を示す分解図である。
図6】置換心臓弁システムの選択された態様を示す分解図である。
図7】置換心臓弁インプラントを圧縮する方法の態様を示す図である。
図8】置換心臓弁インプラントを圧縮する方法の態様を示す図である。
図9】置換心臓弁インプラントを圧縮する方法の態様を示す図である。
図10】置換心臓弁インプラントを圧縮する方法の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の態様は、様々な修正形態および代替形態に適用可能であるが、その詳細が図面において例として示されており、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、本開示の態様を記載された特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。逆に、本発明は、本開示の趣旨および範囲内に入る全ての修正形態、均等物、および代替形態を包含するものである。
【0021】
以下の説明は、図面を参照して読まれるべきであり、図面は、必ずしも縮尺通りではないが、同様の参照番号は、いくつかの図を通して同様の要素を示す。詳細な説明および図面は、開示を限定するものではなく、例示することを意図している。当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、記載および/または図示された様々な要素を様々な組合せおよび構成で配置することができることを認識するであろう。発明を実施するための形態および図面は、本開示の例示的な実施形態を示す。しかしながら、明確性および理解の容易さの観点から、全ての特徴および/または要素が各図面に示されていない場合がある。
【0022】
以下に定義される用語については、特許請求の範囲または本明細書の他の箇所において異なる定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
本明細書において、全ての数値は、明示的に示されているか否かにかかわらず、用語「約」によって修飾されると仮定する。数値の文脈における「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等である(例えば、同じ機能または結果を有する)と考えるであろう数の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語は、最も近い有効数字に丸められた数を含むことができる。「約」という用語の他の(例えば、数値以外の文脈における)使用は、別段の指定がない限り、本明細書の文脈から理解され、本明細書の文脈と一致するような、それらの通常の慣習的な定義を有すると仮定され得る。
【0023】
端点による数値範囲の記載は、端点を含むその範囲内の全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
様々な構成要素、特徴および/または仕様に関するいくつかの適切な寸法、範囲および/または値が開示されているが、本開示によって触発された当業者であれば、所望の寸法、範囲および/または値が明示的に開示されたものから逸脱し得ることを理解するであろう。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容が明らかに他のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるとき、「または」という用語は、内容が明らかに他のことを示さない限り、「および/または」を含む意味で一般に使用される。理解を容易にするために、本開示のいくつかの特徴は、それらの特徴が開示される実施形態内で複数であり得るまたは反復され得る場合であっても、単数形で説明されることがあることに留意されたい。特徴の各例は、反対のことが明確に述べられていない限り、単数の開示を含み、かつ/またはそれによって包含され得る。簡略化および明確化のために、開示の全ての要素が必ずしも各図に示されている、または以下で詳細に説明されるわけではない。しかしながら、以下の説明は、反対のことが明確に述べられていない限り、2つ以上存在する構成要素のいずれか、および/または全てに等しく適用され得ることが理解されるであろう。更に、明確化のために、いくつかの要素または特徴の例全てが各図に示されているわけではない。
【0025】
「近位」、「遠位」、「前進」、「後退」、それらの変化形などの相対的な用語は、概して、装置のユーザ/オペレータ/マニピュレータに対する様々な要素の位置、方向、および/または動作に関して考慮されてもよく、「近位」および「後退」は、ユーザにより近いことまたはユーザに向かうことを示しまたは指し、「遠位」および「前進」は、ユーザからより遠いことまたはユーザから離れることを示すまたは指す。場合によっては、「近位」および「遠位」という用語は、本開示の理解を容易にするために任意に割り当てられることがあり、そのような場合は、当業者には容易に明らかになるであろう。「上流」、「下流」、「流入」、および「流出」などの他の相対的な用語は、身体管腔、血管などの管腔内、または装置内の流体流の方向を指す。「軸方向」、「周方向」、「長手方向」、「横方向」、「半径方向」などの更に他の相対的な用語および/またはそれらの変化形は、一般に、開示される構造または装置の中心長手方向軸に対する方向および/または向きを指す。
【0026】
「範囲」という用語は、当該範囲または寸法が、記載または特定された寸法の最小測定値を意味すると理解され得る「最小」を付けられない限りまたは「最小」として特定されない限り、記載または特定された寸法の最大測定値を意味すると理解され得る。例えば、「外側範囲」は外側寸法を意味すると理解されてもよく、「半径方向範囲」は半径方向寸法を意味すると理解されてもよく、「長手方向範囲」は長手方向寸法を意味すると理解され得る。「範囲」の各事例は異なる場合があり(例えば、軸方向、長手方向、横方向、半径方向、周方向など)、個々の使用の文脈から当業者には明らかであろう。一般に、「範囲」は、意図された用途に従って測定された可能な最大寸法と考えることができ、一方、「最小範囲」は、意図された用途に従って測定された可能な最小寸法と考えることができる。場合によっては、「範囲」は、一般に、平面および/または断面内で直交して測定され得るが、特定の文脈から明らかになるように、限定はされないが、角度的に、半径方向に、周方向に(例えば、弧に沿って)など、異なるように測定され得る。
【0027】
「モノリシック」および「単体」という用語は、一般に、単一の構造若しくはベースユニット/要素から作製されるまたはそれからなる、1つまたは複数の要素を指すものとする。モノリシックおよび/または単体要素は、複数の別個の構造または要素を一緒に組み立てることまたは別様に接合することによって作製される構造および/または特徴を除外するものとする。
【0028】
「経大動脈弁移植」および「経カテーテル的大動脈弁移植」という用語は、互換的に使用されることがあり、それぞれ、頭字語「TAVI(transcatheter aortic valve implantation t)」を用いて参照されることがある。「経大動脈弁置換術」および「経カテーテル的大動脈弁置換術」という用語は、互換的に使用されることがあり、それぞれ、頭字語「TAVR(transcatheter aortic valve replacement)」を用いて参照されることがある。
【0029】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、説明される実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、全ての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、または特性を含まなくてもよいことを示すことに留意されたい。更に、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態に言及しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されているか否かにかかわらず、反対のことが明確に述べられていない限り、他の実施形態に関連して特定の特徴、構造、または特性に影響を及ぼすことは、当業者の知識の範囲内であろう。すなわち、以下で説明される様々な個々の要素は、特定の組合せで明示的に示されていなくても、当業者によって理解されるように、他の追加の実施形態を形成するために、または説明される実施形態を補完および/または強化するために、互いに組合せ可能または配置可能であると考えられる。
【0030】
明確化の目的で、明細書および/または特許請求の範囲の全体にわたって、明細書および/または特許請求の範囲の様々な特徴を命名および/または区別するために、特定の識別数値命名法(例えば、第1、第2、第3、第4など)を使用する場合がある。数値命名法は、限定を意図するものではなく、単なる例示であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、簡潔性および明確性のために、以前に使用された数値命名法の変更およびそれからの逸脱が行われる場合がある。すなわち、「第1の」要素として識別される特徴は、後に、「第2の」要素、「第3の」要素などと称されることがある、または完全に省略されることがある、および/または異なる特徴が「第1の」要素と称されることがある。各例における意味および/または名称は、当業者には明らかであろう。
【0031】
心臓血管系に影響を及ぼす疾患および/または病態は、世界中で蔓延している。従来、心臓血管系の治療は、系の影響を受けた部分に直接アクセスすることによって行われることが多かった。例えば、1つ以上の冠動脈の閉塞の治療は、従来、冠動脈バイパス手術を使用して治療されていた。容易に理解され得るように、このような治療法は、患者にとってとても侵襲的であり、かなりの回復時間および/または処置を必要とする。より最近では、例えば、閉塞した冠動脈に経皮的カテーテルを介してアクセスし、治療できる侵襲性の低い治療法(例えば、血管形成術)が開発されている。このような治療法は、患者および臨床医の間で広く受け入れられている。
【0032】
一部の哺乳動物(例えば、ヒトなど)の心臓は、4つの心臓弁、すなわち、三尖弁、肺動脈弁、大動脈弁、および僧帽弁を含む。いくつかの比較的一般的な病態は、心臓内の弁のうちの1つ以上の非効率性、非有効性、若しくは完全な不全を含み得る、またはこれらの結果であり得る。例えば、大動脈弁または僧帽弁の不全は人体に深刻な影響を及ぼし、適切に対処しなければ重篤な健康状態や死につながる可能性がある。欠陥のある心臓弁の治療は、この治療に、欠陥のある心臓弁の修復または完全な置換が必要となることが多いという点で、別の課題を招く。このような治療法は、患者にとって非常に侵襲的となり得る。心臓血管系を診断、治療、および/または修復するために、心臓血管系の一部に医療用インプラントを準備および/または送達するために使用され得る装置、システム、および/または方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される装置、システム、および/または方法は、欠陥のある心臓弁(例えば、大動脈弁、僧帽弁等)を診断、治療、および/または修復するための処置の前および/または間に使用され得る。加えて、置換心臓弁インプラントは、経皮的に送達され得るため、患者に対してはるかに低侵襲性であり得る。本明細書で開示される装置、システム、および/または方法はまた、以下で説明されるような他の望ましい特徴および/または利点を提供し得る。
【0033】
理解を容易にするために、本開示の特定の特徴は、それらの特徴が開示された1つまたは複数の実施形態内で複数であるか、または繰り返され得るとしても、単数形で説明される場合もあることに留意されたい。特徴の各事例は、明示的に反対の記載がない限り、単数または複数の開示を含み、かつ/または単数または複数の開示に包含され得る。例えば、「リーフレット(leaflet)」、「ルーメン(lumen)」、または他の特徴への言及は、前記特徴のうちの1つを超える全ての事例および量に等しく言及され得る。従って、以下の説明は、明示的に反対の記載がない限り、置換心臓弁インプラントおよび/または装置内に2つ以上存在する構成要素のいずれか、および/または全てに等しく適用され得ることが理解されるであろう。
【0034】
加えて、任意の所与の図において、いくつかの特徴は、明瞭化および/または簡略化のために、図示されない場合があるか、または概略的に図示されている場合があることに留意されたい。いくつかの構成要素および/または方法ステップに関する追加の詳細は、他の図においてより詳細に図示されている場合がある。装置および/またはシステムは、解剖学的構造内のいくつかの場所に種々の医療デバイスを準備し、かつ/または送達するために使用され得る。少なくともいくつかの実施形態では、装置および/またはシステムは、置換大動脈心臓弁を準備および/または送達するために使用されることができ、簡潔にするために、その状況において本明細書で説明され得る。しかしながら、これは、僧帽弁置換術、弁修復術など、あるいは他の同様の介入を含む他の介入にも装置および/またはシステムを使用することができるため、限定することを意図していない。
【0035】
図1は、置換心臓弁インプラント100の選択された態様を示す。置換心臓弁インプラント100は、任意の種類の心臓弁(例えば、僧帽弁、大動脈弁等)とすることができることを理解されたい。使用時、置換心臓弁インプラント100は、哺乳動物の心臓に(例えば、外科的に、または経カテーテル送達を通して)埋め込むことができる。置換心臓弁インプラント100は、流入端から流出端への置換心臓弁インプラント100を通る一方向の流れを可能にするように構成することができる。
【0036】
置換心臓弁インプラント100は、いくつかの実施形態では、実質的に円筒形であり得る中央ルーメンを形成する拡張可能なフレームワーク102を含み得る。中央ルーメンに面する拡張可能なフレームワーク102および他の構成要素の側は、ルーメン表面またはルーメン側と称され得る。拡張可能なフレームワーク102および他の構成要素の反対側(例えば、中央ルーメンから見て外側を向く側)は、反ルーメン側表面または反ルーメン側と称されることができる。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワーク102は、実質的に円形の断面を有し得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワーク102は、非円形(例えば、D字形、楕円形など)の断面を有することができる。いくつかの実施形態では、非円形の拡張可能なフレームワークは、体内の僧帽弁または別の非円形弁を修復するために使用することができる。金属および金属合金、複合材料、セラミック、ポリマーなどを含むがこれらに限定されない、拡張可能なフレームワーク102を形成するために使用され得る材料のいくつかの適切であるが非限定的な例を以下に説明する。
【0037】
拡張可能なフレームワーク102は、複数のフレーム支柱を含み得る。フレーム支柱は、フレームワークまたは格子構造を形成し得る。いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワーク102は、フレーム支柱の間に開放空間または隙間を形成し得る。しかしながら、他の実施形態では、拡張可能なフレームワーク102は、そのような開放空間を含み得ない。
【0038】
いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワーク102および/またはフレーム支柱は、下側クラウン106、上側クラウン108、および複数の安定化アーチ110を形成し得る。いくつかの実施形態では、下側クラウン106は、拡張可能なフレームワーク102および/または置換心臓弁インプラント100の流入端に配置され得、かつ/またはその流入端に対応し得る。いくつかの実施形態では、上側クラウン108および/または複数の安定化アーチ110は、拡張可能なフレームワーク102および/または置換心臓弁インプラント100の流出端に配置され得、かつ/またはその流出端に対応し得る。
【0039】
置換心臓弁インプラント100は、中央ルーメン内に配置された複数のリーフレット104を含み得る。複数のリーフレット104の各々は、拡張可能なフレームワーク102に結合された根元縁部と、接合領域に沿って他のリーフレットの接合縁部と接合するために根元縁部に対して移動可能な自由縁部(例えば、接合縁部)とを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のリーフレット104は、互いに一体的に形成することができ、その結果、複数のリーフレット104は、単一の一体ユニットおよび/またはモノリシックユニットとして形成される。いくつかの実施形態では、「根元縁部」は、例えば、複数のリーフレット104が拡張可能なフレームワーク102上の定位置に形成される等の場合に、形成された縁部であり得る。いくつかの実施形態では、複数のリーフレット104は、内側スカート112および/または外側スカート114、ベース構造、ライナなどの他の構造と一体的に形成され得、それらの状況では、「根元縁部」は、切断または別様に分割された縁部ではなく、むしろ、複数のリーフレット104の各々がそれらの他の構造と接触する自由縁部とは反対側の場所である。
【0040】
複数のリーフレット104の自由縁部は、閉鎖位置において互いに接合するように移動して、置換心臓弁インプラント100を通過して流体が流れるのを実質的に制限し得る。具体的には、複数のリーフレット104は、置換心臓弁インプラント100の中央ルーメンを充填または閉鎖するように接合し、それによって、上流方向または逆行性方向への流体の流れを妨げ得る。複数のリーフレット104の自由縁部は、置換心臓弁インプラント100を通る流体の流れを許容にするために、開位置において互いに離れるように移動し得る。具体的には、複数のリーフレット104は、置換心臓弁インプラント100の中央ルーメンを開くように互いに離れて移動し得、それによって、下流方向または順行性方向への流体の流れを許容する。図1において、複数のリーフレット104は、複数のリーフレット104が流体の流れによって付勢されていない(unbiased)ときに移動し得る開位置または部分的に開位置(例えば、中立位置)にある状態で示されている。
【0041】
複数のリーフレット104の各々は、2つの接続部分をさらに含み得る。1つの接続部分は、接続部分が複数の交連(commissures)116において拡張可能なフレームワーク102に接触または隣接するように、その個々のリーフレットの自由縁部のいずれかの端部上に配置され得る。いくつかの実施形態では、複数のリーフレット104は、拡張可能なフレームワーク102に複数の交連116において固定され、かつ/または取り付けられ得る。複数のリーフレット104の自由縁部は、複数の交連116の間に延在し得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、複数の交連116は、複数の安定化アーチ110の基部に配置され得る。いくつかの実施形態では、複数の交連116の各々は、複数の安定化アーチ110の周方向に隣接する安定化アーチを共に結合し得る。いくつかの実施形態では、複数の交連116は、複数の安定化アーチ110の遠位に、かつ上側クラウン108の近位に配置され得る。少なくともいくつかの実施形態では、複数の交連116の周方向に隣接する交連の間で、置換心臓弁インプラント100は、複数のリーフレット104の自由縁部の半径方向外側の長手方向位置において拡張可能なフレームワーク102が設けられていない。従って、複数のリーフレット104の自由縁部は、複数のリーフレット104が開き、かつ/または閉じるときに、拡張可能なフレームワーク102と直接接触し得ない。
【0043】
いくつかの実施形態では、複数のリーフレット104の複数の接続部分は、交連取付タブと称され得る。いくつかの実施形態では、接続部分は、拡張可能なフレームワーク102を通って形成され、かつ/または延在する接続開口部内に少なくとも部分的に配置されており、それによって、複数のリーフレット104を拡張可能なフレームワーク102に結合または取り付けることができる。いくつかの実施形態では、接続部分は、それらの個々のリーフレットからの突起であり得る。いくつかの実施形態では、接続部分は、リーフレットおよび接続部分が単一の一体部品および/またはモノリシック部品または構造であるように、その個別のリーフレットと一体的に形成され得る。いくつかの実施形態では、リーフレットの接続部分は、例えば、接続開口部が拡張可能なフレームワーク102を貫通して完全に延在する等の場合、接続開口部を通って完全に延在することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、接続部分は、例えば、支柱および/または拡張可能なフレームワーク102が接続開口部を形成しない場所で接続部分が支柱に接触する等の場合、拡張可能なフレームワーク102の一部を取り囲み得る。いくつかの実施形態では、複数のリーフレット104および/または接続部分は、縫合糸、接着剤、または他の適切な方法を使用して、拡張可能なフレームワーク102に取り付けられ得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、置換心臓弁インプラント100は、内側スカート112を含み得る。いくつかの実施形態では、内側スカート112は、実質的に管状の形状を形成し得る。内側スカート112は、拡張可能なフレームワーク102のルーメン表面上に配置され得る。内側スカート112は、置換心臓弁インプラント100を通って流れる血液などの流体を複数のリーフレット104に向けて方向付け得る。内側スカート112は、流体が置換心臓弁インプラント100の中央ルーメンを通って流れることを確実にするとともに、複数のリーフレット104が閉位置にあるときに、流体が複数のリーフレット104の周囲に流れないことを確実にし得る。
【0046】
内側スカート112は、内側スカート112から1つまたは複数の接続開口部内に延在する接続突起を含み得る。いくつかの実施形態では、接続突起は、支柱および/または拡張可能なフレームワーク102の一部の周囲に延在し得る。いくつかの実施形態では、接続突起は、支柱の一部の周囲に延在するとともに、1つまたは複数の接続開口部の中に延在し得る。いくつかの実施形態では、接続突起は、拡張可能なフレームワーク102と相互作用して、表面積接触構造および/または形状嵌め込み構造によって内側スカート112を拡張可能なフレームワーク102に取り付けるか、または結合し得る。いくつかの実施形態では、接続突起は、縫合糸、接着剤、または他の適切な方法を使用して、拡張可能なフレームワーク102に取り付けられ得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、置換心臓弁インプラント100は、外側スカート114を含むことができる。いくつかの実施形態では、外側スカート114は、実質的に管状の形状を形成し得る。いくつかの実施形態では、外側スカート114は、拡張可能なフレームワーク102の反ルーメン側表面上に配置され得る。いくつかの実施形態では、外側スカート114は、血液などの流体が置換心臓弁インプラント100および/または拡張可能なフレームワーク102の周囲に流れるのを防止するために、拡張可能なフレームワーク102と血管壁との間に配置され得る。外側スカート114は、流体が置換心臓弁インプラント100を通って流れることを確実にするとともに、例えば、複数のリーフレット104が閉位置にあるときに流体の流れを停止することができることを確実にする等のために、流体が置換心臓弁インプラント100の周囲に流れないことを確実にし得る。
【0048】
外側スカート114は、外側スカート114から1つまたは複数の接続開口部内に延在する接続突起を含み得る。いくつかの実施形態では、接続突起は、支柱および/または拡張可能なフレームワーク102の一部の周囲に延在し得る。いくつかの実施形態では、接続突起は、支柱および/または拡張可能なフレームワーク102の一部の周囲に延在するとともに、1つまたは複数の接続開口部内に延在し得る。いくつかの実施形態では、接続突起は、拡張可能なフレームワーク102と相互作用して、例えば、表面積接触構造または形状嵌め込み構造等によって外側スカート114を拡張可能なフレームワーク102に取り付けるか、または結合し得る。いくつかの実施形態では、接続突起は、縫合糸、接着剤、または他の適切な方法を使用して、拡張可能なフレームワーク102に取り付けられ得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、複数のリーフレット104は、熱可塑性ポリマーなどのポリマーから構成され得る。いくつかの実施形態では、複数のリーフレット104は、少なくとも50重量パーセントのポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のリーフレット104は、ウシ心膜または他の生体組織から形成され得る。他の構成および/または材料も企図される。
【0050】
いくつかの実施形態では、内側スカート112は、熱可塑性ポリマーなどのポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、内側スカート112は、少なくとも50重量パーセントのポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、外側スカート114は、熱可塑性ポリマーなどのポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、外側スカート114は、少なくとも50重量パーセントのポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、複数のリーフレット104、内側スカート112、および/または外側スカート114のうちの1つまたは複数は、同一ポリマーまたは複数のポリマーから形成され得る。いくつかの実施形態において、ポリマーはポリウレタンであり得る。ポリマー、複合材などを含むがこれらに限定されない、内側スカート112および/または外側スカート114を形成するために使用され得る材料のいくつかの適切であるが非限定的な例が、以下に説明される。
【0051】
いくつかの実施形態において、内側スカート112は、下側クラウン106および/または上側クラウン108に結合され得る。いくつかの実施形態では、内側スカート112は、上側クラウン108のみに結合され得る。いくつかの実施形態において、外側スカート114は、下側クラウン106および/または上側クラウン108に結合され得る。いくつかの実施形態では、外側スカート114は、下側クラウン106のみに結合され得る。いくつかの実施形態では、複数のリーフレット104は、複数の安定化アーチ110がある位置またはその直下の位置で、かつ上側クラウン108の上方の位置で、拡張可能なフレームワーク102に結合され得る。
【0052】
図2図4は、置換心臓弁インプラント100を圧縮するための装置200の選択された態様を示す。装置200は、管状部材210を含み得、管状部材210は、外面214と、管状部材210のルーメン218を形成する内面216とを有する壁212を有しており、管状部材210は、図2に示すように、管状部材210の近位端204から管状部材210の遠位端206まで延在している。いくつかの実施形態では、装置200および/または管状部材210は、管状部材210の外面214に形成された雄ねじを含み得る。金属および金属合金、複合材料、セラミック、ポリマーなどを含むがこれらに限定されない、管状部材210を形成するために使用され得る材料のいくつかの適切であるが非限定的な例を以下に説明する。いくつかの実施形態では、管状部材210は、ポリマー材料から形成され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、装置200および/または管状部材210は、外面214から内面216まで管状部材210の壁212内に形成され、かつ/または壁212を貫通して延在する複数の長手方向スロット222を含み得る。いくつかの実施形態では、複数の長手方向スロット222は、管状部材210の近位端204から管状部材210の遠位端206に向かって延在し得る。いくつかの実施形態では、複数の長手方向スロット222は、管状部材210の最近位表面から始まり、かつ/または管状部材210の最近位表面から管状部材210の遠位端206に向かって延在し得る。いくつかの実施形態では、装置200および/または管状部材210は、管状部材210の壁212および/または外面214に形成された複数の凹部224を含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、複数の凹部224は、遠位方向において半径方向内側にテーパ状であり得る。例えば、複数の凹部224の遠位端は、複数の凹部224の近位端よりも外面214からより大きい距離だけ半径方向内側に延在し得る。いくつかの実施形態では、複数の凹部224の近位端は、管状部材210の近位端204の遠位にあり得る。いくつかの実施形態では、複数の凹部224の近位端は、管状部材210の中間領域内に配置され得、複数の凹部224の遠位端は、管状部材210の遠位領域内に配置され得る。他の構成も企図される。
【0054】
少なくともいくつかの実施形態では、管状部材210の内面216は、図3の断面図に示すように、遠位方向に半径方向内側に向かうテーパを有するテーパ部分230を含み得る。装置200は、管状部材210の内面216のテーパ部分230から半径方向内側に突出する複数の可撓性アーム240を含み得る。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、2つの可撓性アーム、3つの可撓性アーム、4つの可撓性アーム、または別の適切な数の可撓性アームを含み得る。いくつかの実施形態では、可撓性アームの数は、複数のリーフレット104におけるリーフレットの数の倍数であり得る。例えば、複数のリーフレット104が3つのリーフレットを含む場合、複数の可撓性アーム240は、3つの可撓性アーム、6つの可撓性アームなどを含み得る。他の構成も企図される。金属および金属合金、複合材料、セラミック、ポリマー等を含むがこれらに限定されない、複数の可撓性アーム240を形成するために使用され得る材料のいくつかの適切であるが非限定的な例を以下に説明する。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、ポリマー材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、モノフィラメントポリマー材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、管状部材210とは異なる材料から形成され得る。他の構成も企図される。
【0055】
いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、管状部材210の中心長手方向軸202の周りに周方向に間隔を置いて配置され得る。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、管状部材210の中心長手方向軸202の周りに周方向に等間隔に離間され得る。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、例えば、図4に示すように、互いに約120度離間され得る。等間隔および不等間隔などの他の構成および/または間隔も企図される。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240の各々は、複数の長手方向スロット222のうちの2つの周方向に隣接する長手方向スロットの間に周方向に配置され得る。明らかになるように、いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240の可撓性アームの量および/または隣接する可撓性アーム間の間隔、ならびに他の要素、構造、および/または特徴は、複数のリーフレット104内のリーフレットの数に関連し得、かつ/または依存し得る。
【0056】
複数の可撓性アーム240は、管状部材210の壁212に取り付けられ得、かつ/または固定され得る。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、管状部材210の壁212に固定的に取り付けられ得る。例えば、複数の可撓性アーム240は、管状部材210の壁212に接着結合され得るか、または複数の可撓性アーム240は、管状部材210の壁212に溶接され得る。他の構成も企図される。
【0057】
いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、付勢されていない形態において、複数の可撓性アーム240が管状部材210に取り付けられ、かつ/または固定される位置において、管状部材210の内面216から半径方向内側に、管状部材210の内面216から管状部材210の中心長手方向軸202までの距離の少なくとも50%突出し得る。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、付勢されていない形態において、複数の可撓性アーム240が管状部材210に取り付けられ、かつ/または固定される位置において、管状部材210の内面216から半径方向内側に、管状部材210の内面216から管状部材210の中心長手方向軸202までの距離の少なくとも75%突出し得る。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、付勢されていない形態において、複数の可撓性アーム240が管状部材210に取り付けられ、かつ/または固定される位置において、管状部材210の内面216から半径方向内側に、管状部材210の内面216から管状部材210の中心長手方向軸202までの距離の少なくとも80%突出し得る。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、付勢されていない形態において、複数の可撓性アーム240が管状部材210に取り付けられ、かつ/または固定される位置において、管状部材210の内面216から半径方向内側に、管状部材210の内面216から管状部材210の中心長手方向軸202までの距離の少なくとも85%突出し得る。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、付勢されていない形態において、複数の可撓性アーム240が管状部材210に取り付けられ、かつ/または固定される位置において、管状部材210の内面216から半径方向内側に、管状部材210の内面216から管状部材210の中心長手方向軸202までの距離の少なくとも90%突出し得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、付勢されていない形態において、管状部材210のルーメン218内で遠位方向に管状部材210の内面216から延在し得る。これは、図3において最も明確に確認され得る。しかしながら、他の構成も企図される。例えば、いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、付勢されていない形態において、管状部材210の中心長手方向軸202に対して直角に内面216から半径方向内側に延在し得る。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、付勢されていない形態において、湾曲し得、かつ/または円弧を形成し得る。いくつかの実施形態では、複数の可撓性アーム240は、付勢されていない形態において、実質的に直線状であり得る。
【0059】
図5に示すように、置換心臓弁インプラント100を圧縮するための装置200は、プッシュ部材250をさらに含み得、プッシュ部材250は、環状リング252と、環状リング252から半径方向内側に延在する複数の延長部材254とを備える。少なくともいくつかの実施形態では、複数の延長部材254は、自由端まで半径方向内側に延在し得る。いくつかの実施形態では、複数の延長部材254の自由端は、環状リング252の中心および/または環状リング252の中心軸の周りに互いに間隔を置いて配置され得る。プッシュ部材250および/または環状リング252は、管状部材210の外面214および/または管状部材210の雄ねじ上を摺動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、複数の延長部材254は、プッシュ部材250および/または環状リング252が管状部材210の外面214および/または管状部材210の雄ねじ上を摺動するときに、複数の長手方向スロット222を通って管状部材210のルーメン218内に延びることができる。金属および金属合金、複合材料、セラミック、ポリマーなどを含むがこれらに限定されない、プッシュ部材250を形成するために使用され得る材料のいくつかの適切であるが非限定的な例を以下に説明する。いくつかの実施形態では、プッシュ部材250は、ポリマー材料から形成され得る。
【0060】
置換心臓弁インプラント100を圧縮するための装置200は、管状部材210の外面214に形成された雄ねじと係合するように構成された雌ねじを有するねじ付きナット260をさらに含み得る。ねじ付きナット260は、管状部材210の周りを回転するように構成され得る。管状部材210の周りのねじ付きナット260の回転は、ねじ付きナット260を管状部材210の外面214に沿って遠位に移動および/または前進させ得る。金属および金属合金、複合材料、セラミック、ポリマーなどを含むがこれらに限定されない、ねじ付きナット260を形成するために使用され得る材料のいくつかの適切であるが非限定的な例を以下に説明する。いくつかの実施形態では、ねじ付きナット260は、ポリマー材料から形成され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、プッシュ部材250およびねじ付きナット260は、同じ材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、プッシュ部材250およびねじ付きナット260は、異なる材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、プッシュ部材250および/またはねじ付きナット260は、管状部材210と同じ材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、プッシュ部材250および/またはねじ付きナット260は、管状部材210とは異なる材料から形成され得る。
【0062】
図6は、置換心臓弁システムの態様を示す分解図である。少なくともいくつかの実施形態では、置換心臓弁システムは、置換心臓弁インプラント100と、置換心臓弁インプラント100を圧縮するための装置200とを含み得る。置換心臓弁インプラント100は、図示されるように装置200内に挿入され得る。
【0063】
図6のシステムは、置換心臓弁インプラント100を圧縮する方法において使用され得る。方法は、概して図6に示されるように、置換心臓弁インプラント100を圧縮するために、拡張可能なフレームワーク102の流入端および/または置換心臓弁インプラント100を装置200の管状部材210のルーメン218内に挿入するステップを含み得る。方法は、複数の延長部材254が置換心臓弁インプラント100の複数の交連116に係合するまで、プッシュ部材250を管状部材210の近位端204上で摺動させるステップを含み得る。プッシュ部材250および/または環状リング252が、管状部材210と係合し、かつ/または管状部材210上を前進すると、複数の安定化アーチ110は、複数の延長部材254が複数の交連116と整列するように、複数の延長部材254の間に配置され得る。複数の延長部材254は、環状リング252が管状部材210の外面214上を摺動する際に、複数の長手方向スロット222内を前進し、かつ/または複数の長手方向スロット222を通って延び得る。
【0064】
プッシュ部材250は、管状部材210のルーメン218を通して置換心臓弁インプラント100を押すように構成され得る。複数の延長部材254は、プッシュ部材250が管状部材210を通って置換心臓弁インプラント100を押すときに、置換心臓弁インプラント100の複数の交連116に係合し、かつ/または複数の交連116に対して押すように構成され得る。置換心臓弁インプラント100が管状部材210のルーメン218を通って遠位に押され、かつ/または前進させられると、管状部材210の内面216および/またはテーパ部分230によって、図7に示されるように、拡張可能なフレームワーク102および/または置換心臓弁インプラント100が送達形態に向けて半径方向内側に徐々に圧縮される。
【0065】
方法は、管状部材210の近位端204上にねじ付きナット260を配置するステップを含み得る。本明細書で説明するように、ねじ付きナット260は、管状部材210の外面214に形成された雄ねじと係合するように構成された雌ねじを含み得る。ねじ付きナット260は、管状部材210の周りを回転するように構成され得、そのようにすることによって、ねじ付きナット260を管状部材210の遠位端206に向かって前進させ得る。いくつかの実施形態では、管状部材210の周りのねじ付きナット260の時計回りの回転によって、近位から遠位に見たときに、ねじ付きナット260が管状部材210に沿って遠位に前進し得る。ねじ付きナット260の遠位表面は、プッシュ部材250および/または環状リング252の近位表面に係合するように構成され得る。
【0066】
方法は、ねじ付きナット260を管状部材210に沿って、かつ/または管状部材210上を遠位に前進させて、プッシュ部材250を管状部材210に沿って遠位に移動させるステップを含み得、プッシュ部材250は、管状部材210のルーメン218内で置換心臓弁インプラント100を遠位に前進させる。置換心臓弁インプラント100を管状部材210のルーメン218および/またはテーパ部分230内で遠位に前進させることによって、拡張可能なフレームワーク102および/または置換心臓弁インプラント100が半径方向に圧縮され得る。
【0067】
置換心臓弁インプラント100が管状部材210のルーメン218および/またはテーパ部分230を通って前進して複数の可撓性アーム240を通過すると、図8および図9に示すように、複数の可撓性アーム240は、置換心臓弁インプラント100が管状部材210を通過する際に、置換心臓弁インプラント100の複数のリーフレット104を拡張可能なフレームワーク102および/または置換心臓弁インプラント100の複数の交連116から半径方向内側に押し込むように構成され得る。図8および図9には、より明確にするために、プッシュ部材250およびねじ付きナット260が示されておらず、図8は、部分断面図で示されており、図9は、図8に示された位置におけるシステムの端面図である。
【0068】
図9に示すように、複数の可撓性アーム240の各々は、複数の長手方向スロット222のうちの周方向に隣接する2つの長手方向スロットの間に周方向に配置され得る。従って、プッシュ部材250の複数の延長部材254が複数の長手方向スロット222を通って延びているため、複数の可撓性アーム240の各々は、複数の延長部材254のうちの周方向に隣接する2つの延長部材の間に周方向に配置され得る。複数のリーフレット104および/または複数のリーフレット104の自由縁部は、複数の可撓性アーム240と整列され得る。上側クラウン108が複数の可撓性アーム240を通過して移動すると、複数の可撓性アーム240は、置換心臓弁インプラント100が管状部材210のルーメン218内で遠位に前進するときに、複数のリーフレット104に係合し得る。
【0069】
少なくともいくつかの実施形態では、複数のリーフレット104の各々は、図9に示されるように、置換心臓弁インプラント100が管状部材210のルーメン218を通過する際に、複数の可撓性アーム240のうちの1つのみによって係合され得る。いくつかの実施形態では、複数のリーフレット104の各々は、リーフレットの数の倍数である数の可撓性アーム(例えば、3つのリーフレットおよび6つの可撓性アーム等)を有する実施形態等において、複数の可撓性アーム240のうちの2つ以上によって係合され得る。他の構成も企図される。図9に示すように、複数の可撓性アーム240は、拡張可能なフレームワーク102および/または置換心臓弁インプラント100が送達形態に向けて半径方向に圧縮される際に、複数のリーフレット104を半径方向内側に折り畳むように構成され得るか、または折り畳むのを補助するように構成され得る。置換心臓弁インプラント100の流入端が管状部材210の遠位端206から出ると、拡張可能なフレームワーク102および/または置換心臓弁インプラント100は、図10に示すように、送達形態の状態であり得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、拡張可能なフレームワーク102および/または置換心臓弁インプラント100は、非拘束形態における約23ミリメートル(mm)、約25mm、約27mm、約30mm等の外径から、送達形態における約10mm、約9mm、約8mm、約7mm、約6mm等に半径方向に圧縮され得る。他の構成も企図される。
【0071】
本明細書に開示される装置および/またはシステムの種々の構成要素ならびにその種々の要素のために使用することができる材料は、医療デバイスと一般的に関連する材料を含み得る。説明を簡単にするために、以下の説明はシステムに言及する。しかしながら、これは、本明細書に説明されるデバイスおよび方法を限定することを意図するものではなく、説明は、拡張可能なフレームワーク、内側スカート、外側スカート、複数のリーフレット、管状部材、プッシュ部材、ねじ付きナット、複数の可撓性アーム、および/またはそれらの要素もしくは構成要素等であるが、これらに限定されない、本明細書に開示される他の要素、部材、構成要素、またはデバイスに適用され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、システムおよび/またはその構成要素は、金属、金属合金、ポリマー(そのいくつかの例が以下に開示される)、金属-ポリマー複合材料、セラミック、それらの組み合わせ等、または他の適切な材料から作製され得る。
【0073】
いくつかの適切なポリマーの他の例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン社から入手できるDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチック社から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステルベースのコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタル酸塩および/または他のポリエステルエラストマー(デュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標)等)、ポリアミド(例えば、バイヤー社から入手可能なDURETHAN(登録商標)、またはエルフ・アトケム社から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストマポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば、商品名PEBAX(登録商標)で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、MARLEX(登録商標)高密度ポリエチレン、MARLEX(登録商標)低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えば、REXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えば、KEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン-12(EMSアメリカン・グリロン社から入手可能なGRILAMID(登録商標)等)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリ(スチレン-b-イソブチレン-b-スチレン)(例えば、SIBSおよび/またはSIBS50A)、ポリカーボネート、ポリカーボネート、ポリイソブチレン(PIB)、ポリイソブチレンポリウレタン(PIBU)、ポリウレタンシリコーンコポリマー(例えば、アオルテック・バイオマテリアル社からのElast-Eon(登録商標)またはアドバンソース・バイオマテリアル社からのChronoSil(登録商標))、アイオノマ、生体適合性ポリマー、他の適切な材料、またはそれらの混合物、組み合わせ、コポリマー、ポリマー/金属複合材等を含み得る。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマー(LCP)とブレンドされ得る。例えば、混合物は最大約6%のLCPを含有することができる。
【0074】
好適な金属および金属合金のいくつかの例としては、304V、304Lおよび316LVステンレス鋼などのステンレス鋼;軟鋼;線形弾性および/または超弾性ニチノールなどのニッケル-チタン合金;ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)などのUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル-銅合金(例えば、MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのUNS:R30035など)、ニッケル-モリブデン合金(例えば、HASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)などのUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステンまたはタングステン合金などの他のニッケル合金など;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003など);白金富化ステンレス鋼;チタン;プラチナ;パラジウム;金;これらの組み合わせ;または任意の他の好適な材料が挙げられる。
【0075】
少なくともいくつかの実施形態では、そのシステムおよび/または構成要素の一部または全部はまた、放射線不透過性材料がドープされてもよく、放射線不透過性材料で作製されてもよく、あるいは放射線不透過性材料を含み得る。放射線不透過性材料は、医療処置中に蛍光透視画面上または別の画像技術で比較的明るい画像を生成することができる材料であると理解される。この比較的明るい画像は、その位置を決定する際にシステムのユーザを支援する。放射線不透過性材料のいくつかの例としては、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填材が装填されたポリマー材料などが挙げられるが、これらに限定されない。更に、同じ結果を達成するために、他の放射線不透過性マーカーバンドおよび/またはコイルが、システムの設計に組み込まれてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、ある程度の磁気共鳴像(MRI)適合性が、本明細書中に開示されるシステムおよび/または他の要素に付与される。例えば、システムおよび/またはその構成要素若しくは一部は、画像を実質的に歪ませず、実質的なアーチファクト(例えば、画像内のギャップ)を生じさせない材料で作製され得る。例えば、特定の強磁性材料は、MRI画像にアーチファクトを生じさせる可能性があるため、適切でない場合がある。システムまたはその一部はまた、MRI機器が撮像することができる材料から作製され得る。これらの特性を示すいくつかの材料としては、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003など)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えば、MP35-N(登録商標)などのUNS:R30035など)、ニチノールなど、およびその他が挙げられる。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステムおよび/または他の要素は、構造上または構造内に配置される織物材料を含み得る。織物材料は、組織の内部増殖を促進するように適合されたポリマー材料または生体材料などの生体適合性材料から構成され得る。いくつかの実施形態では、織物材料は、生体吸収性材料を含み得る。適切な織物材料のいくつかの例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、ePTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系材料、ポリエステル、ポリウレタンおよび/またはこれらのブレンドまたは組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるシステムおよび/または他の要素は、テキスタイル材料を含み得る、および/またはテキスタイル材料から形成され得る。好適なテキスタイル材料のいくつかの例としては、平坦であり得る、成形され得る、撚りが施され得る、テクスチャ加工され得る、予備収縮され得る、または未収縮であり得る合成糸が挙げられ得る。本開示での使用に好適な合成生体適合性糸としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステルを含むポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリメチルアセテート(polymethylacetates)、ポリアミド、ナフタレンジカルボン酸誘導体、天然絹、およびポリテトラフルオロエチレンが挙げられるが、これらに限定されない。更に、合成糸の少なくとも1つは、金属糸、ガラス若しくはセラミック糸、または繊維であり得る。有用な金属糸としては、ステンレス鋼、白金、金、チタン、タンタル、若しくはNi-Co-Cr系合金から作製された、またはステンレス鋼、白金、金、チタン、タンタル、若しくはNi-Co-Cr系合金を含有する糸が挙げられる。糸は、炭素繊維、ガラス繊維、またはセラミック繊維を更に含み得る。望ましくは、糸は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリナフタレン、ポリテトラフルオロエチレンなどを含むがこれらに限定されない熱可塑性材料から作製される。糸は、マルチフィラメントタイプ、モノフィラメントタイプ、またはスパンタイプのものであり得る。選択される糸のタイプおよびデニールは、生体適合性かつ植え込み型の補綴物、より具体的には、望ましい特性を有する血管構造を形成するように選択され得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書中に開示されるシステムおよび/または他の要素は、適切な治療薬を含み得るおよび/または適切な治療薬で処理され得る。適切な治療薬のいくつかの例としては、抗血栓剤(へパリン、へパリン誘導体、ウロキナーゼ、およびPPack(デキストロフェニルアラニンプロリンアルギニンクロロメチルケトン)など);増殖抑制剤(エノキサパリン、アンジオペプチン、平滑筋細胞増殖を遮断することのできるモノクローナル抗体、ヒルジン、およびアセチルサリチル酸など);抗炎症剤(デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、およびメサラミンなど);抗腫瘍剤/抗増殖剤/抗有糸分裂剤(パクリタキセル、5-フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、エンドスタチン、アンギオスタチン、およびチミジンキナーゼ阻害剤など);麻酔剤(リドカイン、ブピバカイン、およびロピバカインなど);抗凝固剤(D-Phe-Pro-Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、へパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体拮抗薬、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、およびダニ抗血小板ペプチドなど);血管細胞成長促進剤(増殖因子阻害剤、増殖因子受容体拮抗剤、転写活性化因子、および翻訳促進剤など);血管細胞増殖阻害剤(増殖因子阻害剤、増殖因子受容体拮抗剤、転写抑制剤、翻訳抑制剤、複製阻害剤、阻害抗体、増殖因子に対する抗体、増殖因子と細胞毒素とからなる二官能性分子、抗体と細胞毒素とからなる二官能性分子など);コレステロール低下剤;血管拡張剤;および内因性血管作動性機構に干渉する薬剤が挙げられ得る。
【0080】
本開示は、多くの点で例示にすぎないことを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、詳細に、特に形状、サイズ、および工程の構成に関して変更を行うことができる。これは、適切な範囲で、1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかを他の実施形態で使用することを含むことができる。本開示の範囲は、当然のことながら、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
図1
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【国際調査報告】