(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ガラス面上に形成された導体のための電気接続構造
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20240628BHJP
H01R 11/22 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R11/22 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502102
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2022069804
(87)【国際公開番号】W WO2023285626
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(71)【出願人】
【識別番号】524016703
【氏名又は名称】クラウケ スロバキア エス.アール.オー.
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】スクノールヒ, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】マジカット, ユライ
(72)【発明者】
【氏名】マジタン, グスタフ
(72)【発明者】
【氏名】クラフスキー, ヨゼフ
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AA30
5E223AB01
5E223BA07
5E223BA10
5E223BB12
5E223BB21
5E223CB31
5E223CB38
5E223DA33
5E223EC63
5E223EC75
(57)【要約】
本発明は、ガラス面(1)上に形成された導体(2)と、導体(2)の少なくとも一部を覆うように設けられた蓋部材(4)を有し、蓋部材(4)とガラス面(1)との間に空洞(9)を形成し、空洞(9)と連通する挿入スロット(5)を有するハウジング(3)と、挿入スロット(5)に挿入された、弾性を有する導電性材料から作られた接続部材(7)とを備え、接続部材が、空洞(9)内で弾性変形することによって、導体(2)を押圧し、それによって、接続部材及び導体が電気的に接続される、ガラス面(1)上に形成された導体のための電気接続構造に関する。本発明によると、蓋部材(4)は、その開位置において、15~135°、より好ましくは、30°~70°、より一層好ましくは35°~55°のガラス面(1)と蓋部材との間の角度(α)を形成する、取り外し可能な板状天井を備える。
【選択図】
図3a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス面(1)上に形成された導体のための電気接続構造であって、前記電気接続構造が、
ガラス面(1)上に形成された導体(2)と、
前記導体(2)の少なくとも一部を覆うように設けられた蓋部材(4)を有し、前記蓋部材(4)と前記ガラス面(1)との間に空洞(9)を形成し、前記空洞(9)と連通する挿入スロット(5)を有するハウジング(3)と、
前記挿入スロット(5)に挿入された、弾性を有する導電性材料から作られた接続部材(7)と
を備え、
前記接続部材が、前記空洞(9)内で弾性変形することによって、前記導体(2)を押圧し、それによって、前記接続部材及び前記導体が電気的に接続される、電気接続構造において、
前記蓋部材(4)が、その開位置において、15~135°の前記ガラス面(1)と前記蓋部材との間の角度(α)を形成する、取り外し可能な板状天井(4’)を備える
ことを特徴とする、
ガラス面(1)上に形成された導体のための電気接続構造。
【請求項2】
前記角度(α)が、30°~70°、好ましくは35°~55°である、
請求項1に記載のガラス面上に形成された導体のための電気接続(100)構造。
【請求項3】
前記ガラス上に形成された導体が、蒸着された、印刷された、若しくは接着された金属、金属化合物、金属合金、焼き付けられた銀ペースト、又は導電性ポリマーを含有する、
請求項1又は2に記載のガラス面上に形成された導体のための電気接続(100)構造。
【請求項4】
前記ハウジングの底部が、粘着剤又は接着剤によって前記ガラス上に固定される、
請求項1~3のいずれか一項に記載のガラス面上に形成された導体のための電気接続構造(100)。
【請求項5】
前記蓋部材及び前記接続部材がそれぞれ、互いに嵌合又は係合する構造を有する、
請求項1に記載のガラス面上に形成された導体のための電気接続構造(100)。
【請求項6】
前記接続部材の一端が弾性を有し、
前記接続部材の他端が、リード線に接続されるコネクタのための雄タイプ又は雌タイプ端子である、
請求項1~5のいずれか一項に記載のガラス面上に形成された導体のための電気接続構造(100)。
【請求項7】
前記接続部材の一端が弾性を有し、
前記接続部材の他端が、かしめによってリード線と接続される、
請求項1~5のいずれか一項に記載のガラス面上に形成された導体のための電気接続構造(100)。
【請求項8】
前記導体と接触する前記接続部材の接触部の表面に金属メッキが施される、
請求項1~7のいずれか一項に記載のガラス面上に形成された導体のための電気接続構造(100)。
【請求項9】
前記導体が、焼き付けられた銀ペーストである、
請求項1~8のいずれか一項に記載のガラス面上に形成された導体のための電気接続構造。
【請求項10】
前記導体が、自動車用窓ガラス上に形成される、
請求項1~9のいずれか一項に記載のガラス面上に形成された導体のための電気接続構造(100)。
【請求項11】
前記電気接続構造が、自動車用窓ガラスの内面に形成される、
請求項1~10のいずれか一項に記載のガラス面上に形成された導体のための電気接続構造(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス面上に形成された導体とリード線とを電気的に接続する、ガラス面上に形成された導体のための電気接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の自動車用窓ガラスにはさまざまな機能が付与されている。特に、後部窓ガラスには、ガラス面上に焼き付けられた銀ペーストを形成することによって、たとえば、AM、FM、若しくはTV波を受信するためのアンテナ機能、又は、窓ガラスの曇りを取り除くための防曇機能が付与されている。これらの機能を発揮するために、焼き付けられた銀ペーストから作られるバスバー部を介して電気を供給する必要がある。バスバー部にPA又はPVタイプの自動車用平型雄端子として示される形状を有する端子をはんだ付けし、リード線に接続されたコネクタをこの端子に接続することによって、電気の供給は実現されている。
【0003】
今日、端子を有する従来の構造は、焼き付けられた銀ペーストにはんだ付けされて、リード線と接続される。この場合、焼き付けられた銀ペースト及びリード線は、コネクタをリード線と接続し、コネクタを端子と接続することによって接続することができる。さらに、コネクタに設けられたスイッチを押すことによって、コネクタは、端子から取り外すことができる。
【0004】
端子ははんだ付けによって焼き付けられた銀ペーストに取り付けられるので、はんだ付けする際、熱衝撃によりガラスの強度を低下させるおそれがあった。
【0005】
さらに、欧州でのELV(使用済み車両)指令、並びに、WHEE&RoHS(廃棄電気電子機器、及び電気電子機器に対する特定有害物質の使用の制限)指令のように、たとえば、多くの国で、鉛を含有するはんだの使用に対する規則が検討されており、鉛を含有するはんだの使用は不可能になってきている。
【0006】
さらに、端子は剥き出しの状態でバスバー部に取り付けられているので、外観に影響を与え、意匠の改善が求められている。
【0007】
それゆえ、はんだを使用しない端子の接続方法が求められており、提案もされている。たとえば、米国特許第4707591号明細書は、自動車のボディフランジに取り付けられ、コイルばねを有する接触子に、ガラス面のバスバー部を押し付け、それらが電気的に接続するようにコイルばねの反力によりバスバー部と強固に接触させる方法を開示している。
【0008】
さらに、特開平10-40977号公報は、ガラス面上のバスバー部にベース部材を接合し、バスバー部に介在端子を接触させ、介在端子の上に加圧部材を配置し、蓋部材をベース部材に嵌合することにより、介在端子が加圧部材の押圧力によりバスバー部に圧接、保持され、バスバー部に電気的に接続する方法を開示している。
【0009】
しかしながら、米国特許第4707591号明細書に記載の発明によると、接触子をボディフランジに取り付けるためボディの構造が複雑になり、ガラス板の丸みに個体差があるため、バスバー部に対して接触子を押し付ける度合いが変わり、ボディの設計を複雑にしていた。さらに、ボディとの短絡も考慮する必要があった。
【0010】
特開平10-40977号公報に記載の発明は、ボディを使用していないため、米国特許第4707591号明細書に記載の発明のような問題はない。しかしながら、構造が多くの部品から構成され、その組立てが複雑であるため、コストが高くなり、介在端子の挿入及び引き抜きが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの状況の下、本発明の目的は、はんだ付けを必要とすることなくガラス面上に形成された導体をリード線と電気的に接続し、少ない部品から構成され、差し込み中にガラスを傷つける危険性がなく、省スペース且つ低コストを実現する、ガラス面上に形成された導体のための電気接続構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の問題を解決するために、ガラス面上に形成された導体と、導体の少なくとも一部を覆うように設けられた蓋部材を有し、蓋部材とガラス面との間に空洞を形成し、空洞と連通する挿入スロットを有するハウジングと、挿入スロットに挿入された、弾性を有する導電性材料から作られた接続部材とを備え、接続部材が、空洞内で弾性変形することによって、導体を押圧し、それによって、接続部材及び導体が電気的に接続される、ガラス面上に形成された導体のための電気接続構造を提供する。
【0013】
よって、本発明は、ハウジングが、その開位置において、15~135°、より好ましくは30°~70°、より一層好ましくは35°~55°のハウジングの底部と上蓋部との間の角度(α)を形成する、取り外し可能な上蓋部を備えることを提案する。本発明は、ガラス面上に開くことができる蓋部材を設け、蓋部材によって形成される空洞に接続部材を弾性変形するように挿入し、接続部材でガラス面上に形成された導体を押圧してそれらを電気的に接触させるという考え方に基づいている。上記の構成ははんだ付けを必要としないので、はんだを使用することによるさまざまな問題を解決でき、部品の交換も容易である。
【0014】
さらに、ガラス面上に形成された導体のための電気接続構造が、その開位置において、30°~70°、好ましくは35°~55°のハウジングの底部と上蓋部との間の角度(α)を形成する、取り外し可能な上蓋部を備えることが好ましい。
【0015】
さらに、ガラス上に形成された導体が、蒸着された、印刷された、若しくは接着された金属、金属化合物、金属合金、焼き付けられた銀ペースト、又は、導電性ポリマーを含有することが好ましい。
【0016】
さらに、ハウジングの底部が、粘着剤又は接着剤によってガラス上に固定されることが好ましい。
【0017】
さらに、蓋部材と接続部材とは互いに嵌合又は係合する構造をそれぞれに有することが好ましい。ハウジングの蓋部材と接続部材とが互いに嵌合又は係合することにより、外力による接続部材の分離を防止でき、接続部材と導体との接続を安定させることができる。
【0018】
さらに、接続部材は、一方の端部が弾性を有し、他方の端部がリード線に接続されているコネクタ用の雄型又は雌型の端子であることが好ましい。接続部材が従来使用される雄型又は雌型の端子を有する場合、リード線側の従来のコネクタを使用することができ、新たな部品の調達又は設備投資が不要である。
【0019】
或いは、接続部材の一方の端部が弾性を有し、接続部材の他方の端部がかしめによりリード線に接続されていてもよい。接続部材が直接リード線に接続される場合、部品数を減少させることができ、コストを低く抑えることができる。
【0020】
さらに、導体と接触する接続部材の接触部の表面にメッキが施されていることが好ましい。接続部材にメッキを施すことにより、導体との接続を長期間にわたり安定させることができる。
【0021】
さらに、導体は好ましくは、焼き付けられた/焼成された銀ペーストであり、導体は好ましくは、車両用窓ガラス上に形成される。多くの車両用窓ガラスに設けられた焼き付けられた銀ペース卜から作られる導体は、はんだ付けによって端子と接続されるため、本発明の構成を適用させることにより、はんだを使用することによるさまざまな問題を解決することができる。
【0022】
本発明は、はんだ付けを使用しないガラス面上の導体への電気接続構造を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】従来のコネクタを使用する本発明のある実施形態を示す斜視図である。
【
図3a-3b】それぞれ、本発明のある実施形態を示す、斜視図及び
図3aの線A-A’に沿った断面図である。
【
図4a-4b】それぞれ、端子部材が挿入スロットに挿入された状態における、斜視図及び
図3の線A-A’に沿った断面図であり、取り外し可能な板状天井は開位置にある。
【
図5a-5b】それぞれ、端子部材が空洞に挿入された状態における、斜視図及び
図3の線A-A’に沿った断面図であり、取り外し可能な板状天井は閉位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで、本発明のある実施形態について図を使用して説明する。
【0025】
図1は、従来のリード線側のコネクタをそのまま使用する実施形態1の例を示す斜視図であり、
図2は、
図1の線A-A’に沿った断面図である。
図1及び2に示されるように、実施形態1は、導体2がその上に形成されたガラス板1と、導電性材料から作られた端子部材3と、端子部材3を加圧して係合保持し、導体2の少なくとも一部を覆うようにガラス面1及び/又は導体2に接着層4を介して接合される蓋部材5と、リード線6の端部に接続された端子部材3に対するコネクタ7とで構成される。
【0026】
ガラス面1及び/又は導体2に接着層4を介して接合される蓋部材5は、板状天井8と、天井8の周縁から垂直に延在し、接着層4を介してガラス面1及び/又は導体2に接合される側壁9と、天井8の側壁9側の面の中央に突起を有する嵌合部10と、側壁9の一部に門状切欠きを設けて形成された、端子部材3を蓋部材5に挿入するための挿入スロット11とで構成される。
【0027】
端子部材3の一端は、PA又はPBタイプの端子12で構成され、端子部材3の他端は、導体2と接触する接触部13と、弾性を有する弾性部14と、蓋部材5の嵌合部10と嵌合することにより蓋部材5を位置決めし且つ蓋部材5を保持するための嵌合孔15を有する挿入部16とで構成される。
【0028】
弾性部14の弾性は、導体2に対して垂直方向に弾性を有するように実質的に先端のとがった断面形状を有する挿入部16を形成することによって得ることができる。さらに、弾性部14の自由空間での高さは、蓋部材5と導体2との間に形成される空洞17の高さよりも高い。
【0029】
弾性部14の弾性は、端子部材3と蓋部材5とを接続するために使用される。弾性部14の高さが挿入スロット11の高さより低くなるまで弾性部14を弾性変形させながら挿入部16を挿入スロット11に押し込み、蓋部材5の嵌合部10と挿入部16の嵌合孔15とが嵌合し固定される。嵌合は位置決めとして働き、挿入部16は、弾性部14の反力によって、導体2及び天井8に対して押圧され、それによって、挿入部16は、蓋部材5との嵌合から外れない。さらに、接触部13は弾性部14の反力により導体2に強固に押し付けられ、それによって、安定した接続を得ることができる。したがって、本発明の構成にすることにより、はんだを使用せずに導体2と端子部材3とを電気的に接続させることができる。
【0030】
一方、線6側のコネクタ7は、従来使用されている自動車のためのタイプのぎぼし形雌端子に準拠する雌タイプコネクタである。このコネクタを端子部材3の端子12と接続することにより、リード線6とガラス板1上の導体2とを接続することができる。
【0031】
図3Aは、本発明による実施形態の例を示す斜視図であり、
図3Bは、接続要素7の挿入部材72が部分的に挿入されている状態における、
図3の線B-B’に沿った断面図である。同じ参照番号が、
図1又は2と共通する部品のために使用される。
図3~5に示されるように、この実施形態は、導体2がその上に形成されたガラス板1と、導電性材料から作られた、線6の端部に設けられた接続部材7と、導体2上に接続要素7を押圧することでガラス板1の表面又は/及び導体2に接合される、接続部材7を押圧して係止するための蓋部材4とを示す。
【0032】
ガラス板1の表面又は/及び導体2に接着層24を介してその底部23で接合されるハウジング3の蓋部材4は、板状天井4と、天井4(蓋部材)の周縁から垂直に延在し、接着層24を介してガラス板1の表面及び/又は導体2に接合される側壁29と、側壁29の一部に門状切欠きを設けて形成され、接続部材7の挿入部材71の蓋部材4への挿入を可能にする挿入スロット5と、挿入スロット5の高さを蓋部材4とガラス板1との間に形成される空洞9の高さより低くすることで形成される蓋部材側係合部とで構成される。
【0033】
本発明によると、導体2の少なくとも一部を覆うように設けられるハウジング3の蓋部材4は、ハウジング3の蓋部材4とガラス面1との間に空洞9を形成し、ハウジング3は、空洞9と連通する挿入スロット5を有し、弾性を有する導電性材料から作られる接続部材7は、挿入スロット5に挿入される。接続部材は、空洞9内で弾性変形することによって、導体2を押圧し、それによって、接続部材及び導体が電気的に接続される。
【0034】
本発明によると、ハウジング3の蓋部材4は、その開位置において、15~135°、より好ましくは30°~70°、より一層好ましくは35°~55°のハウジングの底部と上蓋部との間の角度(α)を形成する、取り外し可能な板状天井を備える。よって、本発明により、取り外し可能な板状天井をピックアンドプレイスする必要がないため、加工性は向上する。よって、接続部材を配置して、ハウジングの蓋部材を閉じるために必要な時間は減少し、時間及びコストの削減につながる。
【0035】
接続部材7の一端は、一端にかしめによってリード線6と接続されるかしめ部(波形)8を有し、且つ、他端に板状部を有する挿入部材71を備える。ガラス1に接合された挿入部材71は、導体2と接触している接触部72と、弾性を有する弾性部73で構成される。
【0036】
弾性部73の弾性は、導体2に対して垂直方向に弾性を有するように実質的に先端のとがった断面形状を有する挿入部材71を形成することによって得ることができる。さらに、自由空間における弾性部材73の高さは、ハウジング3の蓋部材4と導体2との間に形成される空洞9の高さより高い。
【0037】
接続部材7と蓋部材4とを接続するために、弾性部73の弾性、及び、蓋の取り外し可能な板天井4による端子部材71への圧力が使用される。弾性部73の高さが挿入スロット5の高さより低くなるまで弾性部73を弾性変形させながら挿入部材71を挿入スロット5に押し込み、蓋部材側係合部4と接続部材7の端子側係合部71とが係合される。挿入後、挿入部材71は、弾性部73の反力によって、導体2及び天井4に対して押圧され、それによって、挿入部材71は、蓋部材4との嵌合から外れない。さらに、接触部72は、弾性部73の反力により導体2に強固に押し付けられ、それが安定した接続を提供する。したがって、本発明の構成により、はんだを使用することなく導体2と接続部材23とが電気的に接続される。
【0038】
本発明によると、蓋部材4及び接続要素7の端子部材71及び接続部材7の形状及びサイズは、上記の形状及びサイズに限定されない。たとえば、蓋部材4の外部形状は、外力が蓋部材4に加えられたとして外力から免れるために、又は、それらのデザインを改善するために、丸形であってもよい。さらに、蓋部材4は、複数の端子部材を挿入することができる構造を有してもよい。さらに、蓋部材4及び接続部材25のそれぞれの嵌合及び係合構造は、上記の構造に限定されない。
【0039】
蓋部材4の材料は、特に限定されず、耐久性又は接着層24を形成する接着材料との接着性を考慮して決定される。たとえば、ポリアミド樹脂が挙げられる。さらに、製造方法は、切削加工、射出成型であってもよく、特に限定されない。
【0040】
接着層24は、たとえば、両面接着材料(両面テープ)、熱硬化性接着剤、又は熱可塑性プラスチック接着剤であってもよい。接続部材7の弾性に対し、長期の使用に十分な耐久性を有するものを選択しなければならない。両面接着材料が使用される場合、接着層の厚さは、弾性部73の弾性を使用できる範囲で接続部材7のサイズを考慮して決定される。接着剤を使用する場合は、導体2上に流れ出ることを防ぐように、又は、接続部材7、導体2、及びそれらの間の接触に影響を与えるガスの発生を防ぐように注意が払われる。したがって、生産性及び作業性を考慮すると両面接着材料がより好ましい。
【0041】
接続部材7の材料は、導電性材料である限り、特に限定されない。しかしながら、長期安定度又は導体2との相性を考慮すると、少なくとも接触部33には、銀、錫、又はニッケルなどの金属のメッキをすることが好ましい。特に、これらの導体2と接触する接触部72は、金属メッキを施すのが好ましい。金属メッキは、導体2の材料及び廃棄の際の環境に対する影響を考慮することが好ましい。特に、導体2が銀ペーストを焼き付けて形成される導体の場合には、銀メッキが好ましい。
【実施例】
【0042】
ここで、実施例について具体的に説明する。実施例1は先行技術の例であり、実施例2は本発明による例である。
【0043】
従来のコネクタとしての実施例1
図1及び2に示される形状を有する蓋部材5は、18mm×12mmのサイズ及び4mmの厚さを有するポリアミド樹脂を切削することによって製作された。さらに、接着層4として、蓋部材5の接合面に対応する形状に切削された厚さ0.4mmの両面接着テープ(住友スリーエム株式会社製)が使用され、ガラス板1上に銀ペーストを焼き付けることによって形成される導体2の所定の位置に蓋部材5を接合する。
【0044】
端子部材3は、厚さ0.3mmのベリリウム銅から作られた挿入部と、挿入部に溶接された厚さ0.8mmの青銅から作られた端子部12とを備える。端子部12は、自動車用PAタイプ平形雄端子(ショルダあり)に準拠するサイズを有する。挿入部は、幅4.5mm、長さ10mmであり、自由空間での高さは3.0mmである。
【0045】
端子部材3は、弾性部14の高さが挿入スロット11における蓋部材5の高さより低くなるまで、且つ、蓋部材5の嵌合部10と挿入部16の嵌合孔15とが嵌合し固定されるまで、弾性部14を弾性変形させながら挿入部16を押し込むことによって、挿入スロット11に挿入された。
【0046】
この状態で導体2と端子部材3との接触抵抗を測定したところ、0.005Ω以下であり、従来例と比較しても、実用には十分であり、接触抵抗は、環境試験を通しても良好なままであった。
【0047】
本発明による実施例2
図3~5に示される形状を有するハウジング3の蓋部材4は、16mm×15mmのサイズ及び2.6mmの厚さを有するポリアミド樹脂を切削することによって製作された。さらに、接着層24として、蓋部材25の接合面に対応する形状に切削された厚さ0.4mmの両面接着テープが使用され、ガラス板1上に銀ペーストを焼き付けることによって形成される導体2の所定の位置に蓋部材25を接合する。
【0048】
接続部材7は、厚さ0.2mmのベリリウム銅から作られた挿入部材71と、挿入部材に溶接された厚さ0.3mmの青銅から作られたかしめ部8とを備える。挿入部材71は、幅4.3mm、長さ10mmであり、自由空間での高さは2.5mmである。さらに、かしめ部8は、長さ10mm、幅約3.5mmであり、リード線26とともにかしめられたときの高さは約3mmである。本発明によると、挿入部材71は、(好ましくは、銀又は金又はニッケル及び錫でメッキされた)ステンレス鋼から作られてもよく、又は、ベリリウム銅又はジルコニウム銅から作られてもよい。
【0049】
接続部材7は、弾性部73の高さが挿入スロット5における蓋部材4の高さより低くなるまで、且つ、蓋部材側係合部及び挿入部材71が係合するまで、弾性部73を弾性変形させながら挿入部材71を配置することによって、空洞9に、及び、蓋部材4の挿入スロット5に挿入された。その開位置における取り外し可能な板状天井4は、簡単な方法で、
図4a及び4bに示されるように、空洞9に、及び、挿入スロット5に、接続部材7を挿入することを可能にする。
図4Aに示されるように、取り外し可能な板状天井(4’)は、その開位置において、50°~60°のガラス面(1)と蓋部材との間の角度(α)を形成する。ガラス面(1)と蓋部材との間の開位置角度(α)が、15~135°、より好ましくは、30°~70°、より一層好ましくは35°~55°であってもよいことが理解される。
【0050】
接続部材7が、空洞9に、及び、蓋部材4の挿入スロット5に挿入されると、取り外し可能な板状天井4は押し下げられ、
図5a及び5bに示されるように、蓋部材4を閉じる。挿入後、接続部材7は、弾性部73の反力によって、導体2及び天井4に対して押圧され、それによって、挿入部材71は、蓋部材4との嵌合から外れない。さらに、接触部72は、弾性部34の反力により導体2に強固に押し付けられ、それが安定した接続を提供する。したがって、本発明の構成により、はんだを使用することなく導体2と接続部材7とが電気的に接続される。
【0051】
本発明の1つの実施形態によると、蓋部材4は、その側壁44に切欠き45を有し、蓋部材の板状天井4には、板状天井28を閉位置に維持するために、切欠き44に係合されるよう設計された突起(ロック要素)46が設けられており、接続部材7と導体2との接触を適切に維持する。切欠き及び突起は嵌合するように設計されることが理解される。
【0052】
この状態で導体2と接続部材7との接触抵抗を測定したところ、0.005Ω以下であり、従来例と比較しても、実用には十分であり、接触抵抗は、環境試験を通しても良好なままであった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明したように、本発明は以下の効果を提供する。蓋部材は、前もって導体に接合される。したがって、端子部材を挿入するだけで、端子部材は、端子部材の弾性により、導体に対して押圧することができ、安定した電気接続を実現する。さらに、蓋部材が取り外し可能な板天井を備えるので、端子部材は、非常に簡単に蓋部材に挿入することができ、導体と効率的に接触することができる。さらに、構造が単純で、少数の部品で構成されるので、作業を簡略化でき、コストを低く維持することができ、接続構造が小型であるので空間を節約することができる。
【0054】
さらに、ガラス面上に形成された導体との電気接続を、はんだを使用することなく実現することができるので、はんだの廃棄プロセスを考慮する必要がなくなり、それは、廃棄プロセスのためのコストの削減に寄与し、はんだ付けによって引き起こされる熱衝撃によるガラスの強度の低下を防ぐ。さらに、はんだ付けの場合のように端子が剥き出しになることがないので、外観を改善することができる。
【国際調査報告】