(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】ビエッティ結晶性ジストロフィー治療のための遺伝子組換アデノ随伴ウイルスベクター
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20240628BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20240628BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20240628BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240628BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240628BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/864 100Z
C12N7/01
A61P21/04
A61K35/76
A61K48/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502112
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2022106089
(87)【国際公開番号】W WO2023284873
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/106619
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524016965
【氏名又は名称】シャンハイ ヴァイタルゲン バイオファーマ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グオ ルゥ
(72)【発明者】
【氏名】タオ イェジョン
(72)【発明者】
【氏名】ティアン シン-シェイ
(72)【発明者】
【氏名】チュー ビン
(72)【発明者】
【氏名】リ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヂュー シー
(72)【発明者】
【氏名】チャオ シャオピン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA41
4C084NA14
4C084ZA941
4C084ZA942
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA41
4C087NA14
4C087ZA94
(57)【要約】
【要約】
【課題】ビエッティ結晶性ジストロフィー治療のための遺伝子組換アデノ随伴ウイルスベクターを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明では、所定の遺伝子発現抑制配列と関連付けた CYP4V2をエンコードしたコドン最適化配列から成る組換アデノ随伴ベクター、及び、ビエッティ結晶性ジストロフィー (BCD) の治療におけるこれの使用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2~17からなる配列群から選択され、かつヒトCYP4V2ポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列を有する、単離された核酸分子。
【請求項2】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号8、9、15、16及び17から選択される、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項3】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号8又は配列番号16である、請求項2に記載の単離された核酸分子。
【請求項4】
CYP4V2をエンコードするヌクレオチド配列の5’末端と機能的に連結されたプロモーターを更に有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の単離された核酸分子。
【請求項5】
前記プロモーターがCAGプロモーターである、請求項4に記載の単離された核酸分子。
【請求項6】
CYP4V2をエンコードするヌクレオチド配列の3’末端にポリアデニレーション配列を更に有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の単離された核酸分子。
【請求項7】
前記ポリアデニレーション配列がウシ成長ホルモン(bGH)polyA、合成 polyA(SPA)、又は雑種ウイルス(SV40) polyA、より好ましくはSV40 polyAである、請求項6に記載の単離された核酸分子。
【請求項8】
ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調整エレメント(WPRE)を更に有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の単離された核酸分子。
【請求項9】
(a)又は(b)を更に有する、請求項1~8のいずれかに一項に記載の単離された核酸分子。
(a) 配列番号18~34のいずれか一つのヌクレオチド配列、又は、
(b) 配列番号18~34のいずれか一つに対する相同性が少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%であるヌクレオチド配列。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の核酸分子を有する、組換AAVベクター。
【請求項11】
一個又は二個の逆位末端配列(ITR)を有する、請求項10に記載の組換AAVベクター。
【請求項12】
二個のAAV2 ITRを有する、請求項11に記載の組換AAVベクター。
【請求項13】
AAVカプシドにパッケージングされた、請求項10~12のいずれか一項に記載の組換AAVベクターを有する、ウイルス粒子。
【請求項14】
前記AAVカプシドがAAV8カプシドである、請求項13に記載のウイルス粒子。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載のウイルス粒子、及び医薬上許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項16】
ビエッティ結晶性ジストロフィー(BCD)の治療用又は予防用の医薬品の製造における、請求項10~12のいずれか一項に記載の組替AAVベクターの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示では、発現カセット、及びCYP4V2をエンコードした核酸を有する遺伝子組替アデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを提供し、更に、rAAVベクターを有するウイルス粒子、当該ウイルス粒子の構成、及びこの用途を提供する。
【背景技術】
【0002】
ヒト遺伝子障害の治療においては、近年の進歩から、遺伝子療法が非常に有望であることが分かっている[1]。6,000以上の遺伝病がこれまでに報告されており[2]、ゲノム配列技術の更なる開示によりその数は増えるばかりである[3]。これまでより安全な導入ベクター及び近年に見られる遺伝子編集技術により、このような遺伝病に対する治療法の選択肢が大いに改善された。その結果、治療ベクターにより運搬される外因性 DNA で欠損遺伝子を補足するか、又は遺伝子編集により元の位置で永久補正することができる[4]。但し、こういった有望な見通しがあるにも関わらず、治療可能な遺伝障害の数がそれほど増えていないのが現状である[5]。これは、ヒトに変換可能な動物モデルが無いことがその主因であり、そのため遺伝子療法の効果を評価することができない[6]。
【0003】
常染色体劣勢遺伝の疾病であるビエッティ結晶性ジストロフィー(BCD、MIM 210370)に関して最初に言及したのが、1937 年に黄白色の結晶析出を患者の眼底にはっきりと確認したイタリアの眼科医 G. B. ビエッティであったため、同医師の名前がついている[7]。BCD は、欧州において非症候性の網膜色素変性症(RP)全体の3% までを占め、非症候性の常染色体劣性遺伝 RP の 10 % までを占めている[8]。BCD は、東アジア、特に中国でよく見られるが、遺伝子突然変異が 2 万人に 1 人の割合で起こると言われている[9]。
【0004】
遺伝学上、BCD の原因が染色体 4q35 と関連していることが、2000 年に確認された[8]。2004 年には、チトクロム P450 スーパーファミリーの一員である CYP4V2 が疾病を発現させる BCD 遺伝子であることが明らかになった[10]。 網膜及び角膜内の結晶析出に加え、BCD 患者の血清内に改変脂肪酸組成も確認することができたが、これは、脂質代謝の調節不全を示唆するものであった[11&12]。更に、BCD 患者が 20 歳から 40 歳の間に失明や夜盲症が発現し、50 歳から 60 歳までには法的盲にまで進んでしまう[11]。遺憾ながら、BCD の発見から 80 年が経った現在でも、失明にまで至る当該重病に対して、その治療法は未だに見つかっていない。
【0005】
AAV は、その長期的な導入遺伝子発現が実証されていることから、BCD 等の遺伝子障害の治療に適した手段として今日優先されている。
【0006】
CN111733174B は AAV ベクターにパッケージング可能な構成を提供し、また、BCD 治療のための CYP4V2 及び RdCVF のコード配列を有する。
【0007】
CN109136266A では、rAAV により CYP4V2 を発現させる構成も提供している。そのパッケージング プラスミドにおいては、短鎖ペプチド C9 をエンコードした配列を挿入することで、ヒト RPE 細胞膜上の CD59 抗原との特異結合を可能にする。更に、HRH ペプチドをエンコードした配列を CYP4V2 コード配列と共に挿入して VEGF を阻害する。
【0008】
CN111733174B 及び CN109136266A は、共に野生型コード配列 CYP4V2 を使用している。
【0009】
以上から、現在、効率的且つ安全に BCD 患者の CYP4V2 遺伝子機能を復元する遺伝子療法組成物の改善技術及び方法が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の発明者は、コドン最適化コード配列 CYP4V2 から成る rAAV ベクター及び遺伝子発現調節配列の一定の組み合わせを開発し、これにより過去に発表した形態[13] と比較して発現レベルが有意に向上したため(最高26.1 倍まで)、本発明を完了した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従い、本開示は、第一に、配列番号 2~17 から成るグループから選択したヌクレオチド配列を有し、又、ヒト CYP4V2 をエンコードする、単離された核酸分子に関するものである。好ましい実例において、ヌクレオチド配列は配列番号 8、9、15、16、及び 17 から選択している。更に好ましい実例においては、ヌクレオチド配列は配列番号 8 又は配列番号 16 である。このうち最も好ましいヌクレオチド配列は配列番号16 である。
【0012】
本開示において、第一に、上記の単離された核酸分子は、更に、CYP4V2 をエンコードしたヌクレオチド 5’ と機能上リンクされたプロモーターを有する。このプロモーターは、配列番号 35 の CAG プロモーターであることが好ましい。
【0013】
一実施例において、単離された核酸分子は、更に、CYP4V2 ポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列の 3’ にポリアデニレーション配列を含む。このポリアデニレーション配列は、ウシ成長ホルモン polyA、 合成 polyA (SPA)、若しくは雑種ウイルス 40 (SV40)であることが好ましい。更に望ましいのは、SV40 polyA である。
【0014】
他実施例において、単離された核酸は、更にウッドチャック CYP4V2 コード配列と SV40 polyA 配列の間にあるチャック肝炎ウイルス転写後調整エレメント (WPRE) を含む。
【0015】
望ましい一実施例において、この単離核酸分子は以下を含む。
【0016】
(a) 配列番号 18~34 のいずれか一のヌクレオチド配列、若しくは、
(b) 配列番号 18~34 に対する相同性が少なくとも 85 %、90 %、95 %、96 %、97 %、98 %、若しくは 99 % のヌクレオチド配列。
【0017】
本開示では、第二に、第一に提供した核酸分子を構成する組換 AAV (rAAV) ベクターを提供する。
【0018】
一実施例において、rAAV ベクターは少なくとも ITR 一個を有し、二個有することが望ましい。好ましい実施例において、当該二個の ITR は、 AAV2 ITR 由来である。
【0019】
本開示にて第三に提供するのは、第二に提供した組換 AAV ベクターウイルス粒子、並びに、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAV2.7m8、AAVAnc80L65、及びそのバリアントから選択した AAV カプシドである。ここで、当該カプシドは AAV8 であることが好ましい。
【0020】
本開示にて第四に提供するのは、第三に提供したウイルス粒子並びに医薬上許容可能な賦形剤を含む医薬組成物である。
【0021】
本開示にて第五に提供するのは、ビエッティ結晶性ジストロフィー (BCD) 若しくは網膜色素上皮症 (RPE) 萎縮症系のその他疾病を治療する又は予防するため、薬品メーカーによる、薬品製造過程での rAAV ベクター使用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、CMV-hCyp4v2 (上部)及び CAG-hCyp4v2 (BCD1、下部)の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、HEK293 内の CAG-hCyp4v2 (BCD1)構成と比較した CMV-hCyp4v2 構成の CYP4V2 導入遺伝子の発現レベルを示すヒストグラムである。
【
図3】
図3は、HEK293 細胞内の構成 BCD1~BCD17 における CYP4V2 導入遺伝子の発現率に関する評価を示すものである。
【
図4】
図4は、ARPE-19 細胞内の構成 BCD1~BCD17 における CYP4V2 導入遺伝子の発現率に関する評価を示すものである。
【
図5A-5B】
図5A~5Bは、ウェスタンブロット (A) 並びにヒストグラム (B) による HEK293 細胞内の構成 BCD8、BCD9、BCD15、BCD16、及び BCD17 における CYP4V2 導入遺伝子の発現率を示すものである。
【
図6A-6B】
図6A~6Bは、ウェスタンブロット (A) 並びにヒストグラム (B) による ARPE-19 細胞内の構成 BCD8、BCD9、BCD15、BCD16、及び BCD17 における CYP4V2 導入遺伝子の発現率を示すものである。
【
図7A-7B】
図7A~7Bは、ウェスタンブロット (A) 並びにヒストグラム (B) により変換された ARPE-19 細胞内の構成 AAV8~BCD1、AAV8~BCD8、及び AAV8~BCD16 における CYP4V2 導入遺伝子タンパク質の発現率を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本書に別段の断りがない限り、本書で使用する技術・科学用語は、本発明の分野における当業者が通常理解できる意味を有する。
【0024】
本書で使用した通り、添付の請求項を含み、文脈から別段の断りが明示されない限り、「一つ」、「一個」、及び 「その」 等の表現は、これらの複数形も含むものとする。
【0025】
本開示の文脈において、別段の断りがない限り、「を有する」、及び、「を含む」、「から成る」 等の表現の変化形は、そのアミノ酸配列、ヌクレオチド配列、特性、段階、群等の、記述された部分を含むことが暗に理解されるものとし、アミノ酸配列、ヌクレオチド配列、特性、及び段階等、その他の部分の除外を理解させるものではない。本書で 「を有する」 の表現、又はこれの変化形である 「から成る」、「を含む」、或いは 「から構成される」 若しくはこれに相当する変化形と置き換えることができる。「を有する」 の表現が、 「から成る」 を含む場合の実施例もある。
【0026】
省略形「CYP4V2」は、チトクロム P450 ファミリーのサブファミリー V のメンバー 2 を意味し、これは、代謝経路内における種々の基盤の酸化に関わるチトクロム P450 ヘム チオレートタンパク質スーパーファミリーの CYP4V2 タンパク質の遺伝子コードである。遺伝子 CYP4V2 内の欠陥が BCD 及び眼底ジストロフィーの原因となることが知られている。本書で言述する CYP4V2 は、別段の断りがない限り、本開示におけるヒト CYP4V2 を意味する。
【0027】
CYP4V2 タンパク質をエンコードする単離された核酸。
本開示では、CYP4V2 タンパク質、特にヒト CYP4V2 タンパク質のヌクレオチド配列コードから成る、単離された核酸配列を提供している。「単離された核酸」 とは、ポリヌクレオチドの一部若しくは全体から隔離された DNA 又は RNA を意味し、このヌクレオチド内では、単離されたポリヌクレオチドが自然に存在するか、或いは自然に結合しないヌクレオチドと関連している。一定のヌクレオチド配列を 「有する」 単離された核酸分子には、一定の配列の他に、列挙された核酸配列のコード領域の発現を制御する、機能上関連づけたた制御配列を含むことができる。コドンの縮退により、当業者であれば、一定のアミノ酸配列が異なるヌクレオチド配列によりコーディング可能であることが理解できる。
【0028】
本開示の CYP4V2 のヌクレオチド配列コーディングはコドン最適化及びスクリーニングの対象となっており、その結果、コドン最適化の無い野生型のコーディング配列と比較し、発現率が改善される。
【0029】
例えば、コドン最適化を行なった CYP4V2 コーディング配列では、HEK293 細胞及び ARPE-19 細胞内 CYP4V2 タンパク質の発現率に関するウェスタンブロット分析により、野生型コーディング配列と比較して約 2 倍、約 3 倍、約 4 倍、約 5 倍、約 10 倍、約 15 倍、若しくは約 20 倍の発現率を実現することができる。
【0030】
コドン最適化を行なった CYP4V2 のコーディング配列に CpG 番号及び減らした CpG アイランド数又はこのいずれかを含むことが望ましい。例えば、このコドン最適化を行なったコーディング配列に含まれるのは、100 CpG 以下、70 CpG 以下、20 CpG 以下、15 CpG 以下、10 CpG 以下、5 CpG 以下、若しくは 0 CpG である。例えば、このコドン最適化を行なったコーディング配列は、CpG アイランドを含まない。「CpG アイランド」 とは、長さが少なくとも 200 bp の DNA 領域、50 % 以上の GC 比、及び 60 % 以上の CpG 観察値・期待値比を意味する。
【0031】
例えば、コドン最適化を行なったコーディング配列において、配列番号 1 に示す通り、CYP4V2 の野生型コーディング配列と比較して、配列相同性は 80 % 未満である。二種の配列間の相同性比は、本分野で既に使用しているプログラムのいずれかにより求めることができる。配向パラメータや相同性定義の差異により、二種配列間の相同性比の算出は、使用したプログラムにより異なる場合がある。本開示においては、blastn を使用して二種配列間の相同性比を算出し、「類似性の高い配列 (MegaBLAST)」 モードを特に選択した。
【0032】
コドン最適化を行なったコーディング配列は、配列番号 2~17 に示したヌクレオチド配列から成るグループから選択することができる。このコドン最適化を行なったコーディング配列は、配列番号 8、9、15、16、及び 17 のいずれか一であることが望ましい。コドン最適化を行なったコーディング配列のうち更に望ましいのは、 配列番号 16 である。
【0033】
核酸分子内にある制御配列は、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニレーション配列、及び翻訳終止信号の内一以上から選択することができる。本開示における制御配列には、コーディング配列の発現効率において想定外の効果を生む組み合わせもある。
【0034】
本開示におけるプロモーターは、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、若しくは細胞種特異性プロモーターのいずれであってもよい。例えば、このプロモーターは RPE 細胞特異性プロモーターであってもよく、CYP4V2 の天然プロモーターであってもよい。より好ましい実施例において、このプロモーターは配列番号 35 の配列を持つ CAG プロモーターである。CAG プロモーターは、哺乳類発現ベクターにおいて高い遺伝子発現率を繰る、強固な構成的プロモーターである。CAG プロモーターは、サイトメガロウイルス (CMV) の早期エンハンサー エレメント、ニワトリベタアクチン遺伝子の第一エクソン及び第一イントロン及びウサギ ベタグロービン遺伝子のスプライス アクセプターから選択したプロモーターを含む。
【0035】
これを発見した科学者の名が付いたコザック共通配列 (コザック配列) は、タンパク質翻訳開始点として自然に機能する、殆どの真核性 mRNA 転写産物に存在する核酸モチーフである[14]。コザック配列により、タンパク質が正しく翻訳され、タンパク質の発現が向上する。
【0036】
更に、本開示における核酸は、プロモーター・コーディング配列間に挿入されたイントロンも含む。当業者等が周知の通り、真核内遺伝子の発現を向上させるイントロンも存在する。本開示におけるこのイントロンは、CYP4V2 遺伝子の自然発生イントロンの一部を成すこともできる。
【0037】
本開示のポリアデニレーション配列は、bGH polyA、SPA、若しくは SV40 polyA[15] のいずれであってもよいが、好ましいのは SV40 polyA である。polyA のいずれも、DNA 配列であるウッドチャック肝炎ウイルスの転写後調節エレメント (WPRE)[16] と組み合わせることが可能であるが、これにより転写時に立体構造が作られて発現率が向上し、WPRE-bGH polyA、WPRE-SPA、若しくは WPRE-SV40 poly A としてそれぞれ設定される。
【0038】
本開示の望ましい実施例において、核酸配列は CAG プロモーターのヌクレオチド配列エンコーディング、コザック配列、 CYP4V2 遺伝子のコドン最適化コーディング配列、及び WPRE-SV40 polyA を含む。例えば、単離された核酸の配列は、配列番号 18~34 のいずれか一のヌクレオチド配列を含む。更に望ましい実施例において、この単離された核酸の配列は、配列番号 25、26、32、33、 及び 34 のいずれか一のヌクレオチド配列を含む。最も望ましい実施例において、単離された核酸の配列は、配列番号 33 を含む。
【0039】
rAAV ベクター及びウイルス粒子
本開示における核酸分子は、rAAV 粒子を得て治療対象者に提供するため、組換 AAV ベクターに組み入れることができる。
【0040】
挿入した上記ヌクレオチド配列に加え、rAAV ベクターは一本鎖形態である。この rAAV ベクターは、通常、挿入したヌクレオチド配列の両端に二個の逆位末端配列 (ITR) を有する。本開示の ITR は、AAV セロタイプから派生したいずれの ITR でもよい。AAV ITR セロタイプを参照する場合、「から派生した」 の表現は、ITR が、特定のセロタイプ若しくはそれから派生し変更を加えたバリアントの ITR であってよいということを示す。本開示の望ましい実施例において、rAAV ベクターは AAV2 から派生した二個の ITR から成る[17]。例えば、rAAV ベクターは二個の AAV2 ITR を有するか、又は、野生型 AAV2 ITR 及び C 領域若しくは C’ 領域の無い AAV2 ITR のバリアントを有する。野生型 AAV2 ITR は、挿入したヌクレオチド配列の 5’ に配置し、その一方で AAV2 ITR バリアントは挿入したヌクレオチド配列の 3’ に配置する場合がある。その逆も可能である。
【0041】
rAAV ゲノムは、AAV カプシドにパッケージングした。このカプシドは、 当業者が周知の又は将来特性が明らかになるであろう AAV セロタイプのいずれかから派生したものでよい。このカプシド及び ITS は、同じ AAV セロタイプ若しくは異なる AAV セロタイプから派生したものでよい。当該のカプシドは、眼への提供 (網膜下、硝子体内、又は眼球内への提供等) に適したものであることが望ましい。ある実施例において、この AAV ベクターは、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAV2.7m8、若しくは AAVAnc80L65 セロタイプのカプシド又はそのバリアントから成る。
【0042】
本開示の望ましい実施例において、この rAAV は、AAV セロタイプのカプシドを八個有する[18]。ssAAV8 による視細胞及び網膜色素上皮細胞(RPE)の変換は、ssAAV2 や ssAAV5 による変換より効率の高いことが実証されている。カプシドタンパク質に誘導され、当該ウイルスは対象細胞を変換し、続いて、CYP4V2 遺伝子及び制御エレメントを有する導入済みゲノムが対象 RPE に放出される。放出された rAAV ゲノムはその安定性を持続し、宿主ゲノムから独立しているため、治療対象者において CYP4V2 機能タンパク質を安定的に生成することが可能となる。
【0043】
医薬組成物
「医薬組成物」 という用語は、対象者への提供に適した組成物を意味する。本開示の医薬組成物は、単離された核酸、本開示の rAAVベクター若しくはウイルス粒子、及び薬学上許容可能な賦形剤である。薬学上許容可能な従来賦形剤は当業者が周知のものであり、固体・液体のいずれでもよい。
【0044】
治療用途
rAAV、ウイルス粒子、若しくは本開示の組成物は、CYP4V2 突然変異に関連のある BCD の治療や予防に使用可能である。更に、この rAAV、ウイルス粒子、若しくは本開示の組成物は、眼底ジストロフィー等の、網膜色素上皮 (RPE) 萎縮関連の他状態や疾病の治療や予防にも効果を示す。
【0045】
「治療する」、「治療の」、又は 「治療」 の表現は、BCD の症状若しくは RPE 萎縮関連の状態や疾病の治癒又は少なくともその軽減を含む。
【0046】
投与
本書における 「投与」 及び 「投与した」 の用語は、動物やヒト、又は細胞、組織、臓器、生体体液等の対象に適用した場合、外因性の医薬用、治療用、診断用薬剤の、若しくは組成物が対象、細胞、組織、臓器、或いは生体体液と接触することを意味する。「投与」 という用語は、試薬、診断用・結合用化合物或いは他細胞による、生体外及びエクスビボでの、細胞等の治療も含む。
【0047】
本開示において、本発明の上記ウイルス粒子又は医薬組成物は、網膜下注射等の眼球内で適用することが望ましい。
【0048】
例
例 1. プロモーターの選択
発明者等は、ITR 二個、CMV プロモーター一個、野生型 CYP4V2 CDS 一個、及び SV40 polyA から成る CYP4V2 発現 AAV ベクターを最初に準備した[13]。CMV プロモーターにより発現が抑制されるという報告があることから[19]、その後、CMV プロモーターを CAG プロモーターに替えたため、「CAG-hCyp4v2 (BCD1)」 という新しいベクターを使用することになった。その結果、CYP4V2 タンパク質の発現率が著しく向上した (図 1、下部)。
【0049】
例 2. コドン最適化による Cyp4v2 発現率の向上
導入遺伝子の構成により CYP4V2 タンパク質の発現率を向上させることができるため、CYP4V2 コーディング配列をコドン最適化しヒト細胞内でのコドン使用頻度を高めた。更に、TLR9 を媒介とする生体外の免疫応答の可能性を最小限に抑えるため、変更コーディング配列の GC 含有物や CpG アイランド数を削減した。上記の要件に基づき、十種の異なるコーディング配列 (配列番号 2~17) の設計、合成、及び CAG プロモーターへのクローン作成を行ない、導入遺伝子の構成を更に十六個得た (BCD2~BCD17)。以下の図 1 は、配列番号 2~17 の CpG 番号、 CpG アイランド番号、及び、野生型配列に対するこれ等の配列相同性を示す。
【0050】
表 1. GC 含有物・ CpG アイランド番号、及び、コドン最適化した配列十六個の配列と野生型コーディング配列との相同性比較
【0051】
例 3. HEK293 細胞及び ARPE-19 細胞の遺伝子導入、並びに、発現率の検出
HEK293 細胞及び ARPE-19 細胞を DMEM + 10% FBS に維持し、TrypLE により 3 日毎に通過させた。遺伝子導入の前日、1 × 105 細胞/cm2 の密度で HEK293 細胞を 24 穴プレートに植え付け、その一方で、7 × 104 細胞/cm2 の密度で ARPE-19 細胞を 24 穴プレートに植え付けた。プラスミドは、使用説明書に基づいて、リポフェクタミン 3000 導入剤 (インビトロジェン、L3000008) で遺伝子導入を行なった。遺伝子導入 72 時間後に、これらの細胞は、 プロテアーゼ阻害薬の反応混液 (Roche、04693159001) 及び SDS-PAGE添加液(Cowin Bio、CW0027)を用い 12,000 rpm で 10 分間攪拌を行ない、RIPA 溶解バッファー (碧云天生物、P0013C) 内に採取し、95°C で 15 分間変性を行い、12,000 rpm で 10分間遠心分離機にかけた。上澄を 4 %~10 % の SDS-PAGE ゲル (Cowin Bio、 CW0022M)で分離し、0.45 μm の NC 転写膜 (Merck、HATF00010) 上に写した。
【0052】
CYP4V2 並びにハウスキーピング遺伝子 GAPDH の発現率は、ヒト CYP4V2(Sigma、 HPA029122)及び GAPDH (Abcam、ab8245) に対するそれぞれの抗体を用いて検出した。帯域内の灰色の値を算出し BCD1 に対して正規化した。
【0053】
繰り返し実験を行なった結果、HEK293 細胞 (図 3) 及び ARPE-19(図 4)評価で確認された通り、検査を行なったコドン最適化ベクター十六個では、遺伝子導入の構成 BCD8、BCD9、BCD15、BCD16、及び BCD17 により CYP4V2 タンパク質が多量発現することが確認された。これに伴い、遺伝子導入の構成 BCD8、BCD9、BCD15、BCD16、及び BCD17 を、BCD1 を対照として用いて更なる評価対象として選択した。 ウェスタン ブロット (WB) の結果は、図 5 及び図 6 の上部に示した。全帯域における灰色の値の算出、分析、BCD1 への正規化を行なった (図 5 及び図 6 の下部)。
【0054】
ウェスタン ブロットの結果から、HEK293 細胞内で最も高い CYP4V2 タンパク質の出現率が BCD8 で観察でき (図 5)、ARPE-19 細胞内で最も高い CYP4V2 タンパク質の出現率が BCD16 で観察できた (図 6)。
【0055】
この後、BCD1、BCD8、及び BCD16 を複製欠損 AAV8 にそれぞれパッケージングした。ヒドロキシ尿素 2 mM の条件下、MOI = 5 × 105 で ARPE-19 を変換するため、AAV8-BCD1、AAV8-BCD8、及び AAV8-BCD16 ウイルス粒子を用いた。
【0056】
AAV 変換の実験では、AAV8-BCD16 で最も高い発現率を示すことが確認された (図 7)。
【0057】
参考文献
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【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2~17からなる配列群から選択され、かつヒトCYP4V2ポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列を有する、単離された核酸分子。
【請求項2】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号8、9、15、16及び17から選択される、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項3】
前記ヌクレオチド配列が、配列番号8又は配列番号16である、請求項2に記載の単離された核酸分子。
【請求項4】
CYP4V2をエンコードするヌクレオチド配列の5’末端と機能的に連結されたプロモーターを更に有する、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項5】
前記プロモーターがCAGプロモーターである、請求項4に記載の単離された核酸分子。
【請求項6】
CYP4V2をエンコードするヌクレオチド配列の3’末端にポリアデニレーション配列を更に有する、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項7】
前記ポリアデニレーション配列がウシ成長ホルモン(bGH)polyA、合成 polyA(SPA)、又は雑種ウイルス(SV40) polyA、より好ましくはSV40 polyAである、請求項6に記載の単離された核酸分子。
【請求項8】
ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調整エレメント(WPRE)を更に有する、請求項1に記載の単離された核酸分子。
【請求項9】
(a)又は(b)を更に有する、請求項1に記載の単離された核酸分子。
(a) 配列番号18~34のいずれか一つのヌクレオチド配列、又は、
(b) 配列番号18~34のいずれか一つに対する相同性が少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%であるヌクレオチド配列。
【請求項10】
請求項1に記載の核酸分子を有する、組換AAVベクター。
【請求項11】
一個又は二個の逆位末端配列(ITR)を有する、請求項10に記載の組換AAVベクター。
【請求項12】
二個のAAV2 ITRを有する、請求項11に記載の組換AAVベクター。
【請求項13】
AAVカプシドにパッケージングされた、請求項10に記載の組換AAVベクターを有する、ウイルス粒子。
【請求項14】
前記AAVカプシドがAAV8カプシドである、請求項13に記載のウイルス粒子。
【請求項15】
請求項13に記載のウイルス粒子、及び医薬上許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項16】
ビエッティ結晶性ジストロフィー(BCD)の治療用又は予防用の医薬品の製造における、請求項10に記載の組替AAVベクターの使用。
【国際調査報告】