IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サングロー パワー サプライ カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-太陽光発電システム及び制御方法 図1
  • 特表-太陽光発電システム及び制御方法 図2
  • 特表-太陽光発電システム及び制御方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】太陽光発電システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240628BHJP
【FI】
H02M7/48 S
H02M7/48 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502220
(86)(22)【出願日】2022-04-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 CN2022088674
(87)【国際公開番号】W WO2023077741
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111308573.7
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515249628
【氏名又は名称】サングロー パワー サプライ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】スン, シュアイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒー, アンラン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ペン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ジーチェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, シュエビン
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA01
5H770AA29
5H770CA01
5H770CA05
5H770DA24
5H770DA30
5H770HA02W
5H770HA02Y
5H770HA03W
(57)【要約】
本出願は、太陽光発電システム及び制御方法を提供し、マスタDC/DCコンバータ(101)の負出力端はN線に接続され、マスタDC/ACコンバータ(201)の負入力端はN線に接続され、スレーブDC/DCコンバータ(102)の負入力端はマスタDC/DCコンバータ(101)の負出力端に接続され、スレーブDC/DCコンバータ(102)の正入力端はマスタDC/DCコンバータ(101)の正出力端に接続され、スレーブDC/DCコンバータ(102)の正出力端はN線に接続され、スレーブDC/DCコンバータ(102)の負出力端はスレーブDC/ACコンバータ(202)の負出力端に接続され、スレーブDC/ACコンバータ(202)の正出力端はN線に接続され、マスタDC/ACコンバータ(201)はスレーブDC/ACコンバータ(202)に電流指令値及びマスタDC/ACコンバータ(201)の入力電圧を送信し、スレーブDC/ACコンバータ(202)は、スレーブDC/ACコンバータ(202)の入力電圧、電流指令値、及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように出力電流を制御し、消費電力を低減することを含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電システムであって、
マスタDC/DCコンバータ、スレーブDC/DCコンバータ、マスタDC/ACコンバータ、及びスレーブDC/ACコンバータを含み、
前記マスタDC/DCコンバータの入力端は、太陽光発電アレイに接続するために使用され、前記マスタDC/DCコンバータの正出力端は、前記マスタDC/ACコンバータの正入力端に接続され、前記マスタDC/DCコンバータの負出力端は、N線に接続され、前記マスタDC/ACコンバータの負入力端は、前記N線に接続され、
前記スレーブDC/DCコンバータの負入力端は、前記マスタDC/DCコンバータの負出力端に接続され、前記スレーブDC/DCコンバータの正入力端は、前記マスタDC/DCコンバータの正出力端に接続され、前記スレーブDC/DCコンバータの正出力端は、前記N線に接続され、前記スレーブDC/DCコンバータの負出力端は、前記スレーブDC/ACコンバータの負出力端に接続され、前記スレーブDC/ACコンバータの正出力端は、前記N線に接続され、
前記マスタDC/ACコンバータは、スレーブDC/ACコンバータに電流指令値及び前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧を送信するために使用され、
前記スレーブDC/ACコンバータは、前記スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、前記電流指令値、及び前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、前記N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、出力電流を制御するために使用される、
ことを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項2】
前記スレーブDC/ACコンバータは、具体的には、前記N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、前記スレーブDC/ACコンバータの入力電圧と前記電流指令値との両方に比例し、前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧に反比例するように出力電流を制御するために使用される、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記スレーブDC/ACコンバータは、具体的には、出力電流をU2*I1/U1に制御するために使用され、U2は、前記スレーブDC/ACコンバータの入力電圧であり、U1は、前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧であり、I1は、前記電流指令値である、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記マスタDC/ACコンバータがその出力電力を制限していない場合、前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧はプリセット値である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記マスタDC/ACコンバータが出力電力を制限している場合、前記マスタDC/ACコンバータは、前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧を収集し、収集した前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧を前記スレーブDC/ACコンバータに送信し、又は、前記スレーブDC/ACコンバータは、前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧を直接収集する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記太陽光発電システムが電力を制限しておらず、前記スレーブDC/ACコンバータが、前記マスタDC/ACコンバータとの通信異常を検出した場合、前記スレーブDC/ACコンバータは、前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧、前記N線の電流、前記スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、及び前記スレーブDC/ACコンバータの出力電力に基づいて、電流指令値を取得し、前記電流指令値に基づいて、前記N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、前記スレーブDC/ACコンバータの出力電流を制御するために使用される、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項7】
前記太陽光発電システムが電力を制限しており、前記スレーブDC/ACコンバータが、前記マスタDC/ACコンバータから送信された前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧を受信していない場合、前記スレーブDC/ACコンバータは、前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧、前記N線の電流、前記スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、及び前記スレーブDC/ACコンバータの出力電力に基づいて、電流指令値を取得し、前記電流指令値に基づいて、前記N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、前記スレーブDC/ACコンバータの出力電流を制御するために使用される、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項8】
前記太陽光発電システムに低電圧ライドスルー又は高電圧ライドスルーが発生した場合、前記マスタDC/ACコンバータは、前記マスタDC/ACコンバータを制御して第1の無効電力を出力させ、前記スレーブDC/ACコンバータを制御して第2の無効電力を出力させるために使用される、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項9】
太陽光発電システムの制御方法であって、
前記太陽光発電システムは、マスタDC/DCコンバータ、スレーブDC/DCコンバータ、マスタDC/ACコンバータ、及びスレーブDC/ACコンバータを含み、前記マスタDC/DCコンバータの入力端は、太陽光発電アレイに接続するために使用され、前記マスタDC/DCコンバータの正出力端は、前記マスタDC/ACコンバータの正入力端に接続され、前記マスタDC/DCコンバータの負出力端は、N線に接続され、前記マスタDC/ACコンバータの負入力端は、前記N線に接続され、前記スレーブDC/DCコンバータの正入力端は、前記マスタDC/DCコンバータの負出力端に接続され、前記スレーブDC/DCコンバータの負入力端は、前記マスタDC/DCコンバータの正出力端に接続され、前記スレーブDC/DCコンバータの正出力端は、前記N線に接続され、前記スレーブDC/DCコンバータの負出力端は、前記スレーブDC/ACコンバータの負出力端に接続され、前記スレーブDC/ACコンバータの正出力端は、前記N線に接続され、
前記マスタDC/ACコンバータがスレーブDC/ACコンバータに電流指令値及び前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧を送信するように制御し、
前記スレーブDC/ACコンバータが前記スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、前記電流指令値、及び前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、前記N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、出力電流を制御するように制御する、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、前記電流指令値、及び前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて出力電流を制御することは、具体的には、
前記N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、前記スレーブDC/ACコンバータの入力電圧と前記電流指令値との両方に比例し、前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧に反比例するように、出力電流を制御すること、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記マスタDC/ACコンバータがその出力電力を制限していない場合、前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧をプリセット値に制御すること、
をさらに含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記マスタDC/ACコンバータが出力電力を制限している場合、
前記マスタDC/ACコンバータによって、前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧を収集し、収集した前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧を前記スレーブDC/ACコンバータに送信すること、
をさらに含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
前記太陽光発電システムが電力を制限しておらず、前記スレーブDC/ACコンバータが、前記マスタDC/ACコンバータから送信された前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧を受信していない場合、
前記スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、前記電流指令値、及び前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、前記N線の電流がプリセット電流より小さくなるように出力電流を制御することは、具体的には、
前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧、前記N線の電流、前記スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、及び前記スレーブDC/ACコンバータの出力電力に基づいて電流指令値を取得し、前記電流指令値に基づいて、前記N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、前記スレーブDC/ACコンバータの出力電流を制御するために使用されること、
を含むことを特徴とする請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記太陽光発電システムが電力を制限しており、前記スレーブDC/ACコンバータが、前記マスタDC/ACコンバータから送信された前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧を受信していない場合、
前記スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、前記電流指令値、及び前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、前記N線の電流がプリセット電流より小さくなるように出力電流を制御することは、具体的には、
前記マスタDC/ACコンバータの入力電圧、前記N線の電流、前記スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、及び前記スレーブDC/ACコンバータの出力電力に基づいて電流指令値を取得し、前記電流指令値に基づいて、前記N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、前記スレーブDC/ACコンバータの出力電流を制御すること、
を含むことを特徴とする請求項9~12のいずれか1項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年11月05日にて中国国家知識産権局に提出された出願番号が202111308573.7であって、出願の名称が「太陽光発電システム及び制御方法」である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容を援用により本出願に組み込む。
[技術分野]
本出願は、太陽光発電技術分野に関し、特に太陽光発電システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、太陽光発電はますます注目を集めており、電圧レベルはますます高くなっている。太陽光発電とは、太陽光発電アレイが直流電力を出力し、インバータを介して交流電力に変換した後、オングリッドを行ったり、負荷に供給したりするものである。
【0003】
従来の太陽光発電システムにおける直流母線は、直流正母線及び直流負母線を含み、つまり、インバータの正入力端は、直流正母線に接続され、インバータの負入力端は、直流負母線に接続される。直流正母線と直流負母線との間の電圧はインバータの入力電圧とする。太陽光発電システム全体の電圧レベルは、直流正母線電圧と直流負母線電圧との間の最大電圧であり、安全規格もこの電圧レベルに応じて設計される。
【0004】
安全規格の基準を満たすために、インバータの入力電圧、即ち、直流側電圧が安全規格の要求を超えてはならず、そうでなければ、人身やデバイスに損傷を与えることになり、特に、インバータ内部のパワーデバイスについて、各パワーデバイスに対応する耐電圧要求があり、その耐電圧を超えると、破壊されて損傷する。太陽光発電システムの電圧レベルが高くなれば、パワーデバイスの耐電圧は新たなチャレンジであり、パワーデバイスのタイプ選択は、ますます難しくなる。
【0005】
現在、3本の直流母線を備えた太陽光発電システムがあり、2つのインバータを含み、第1のインバータの入力端は、直流正母線とN線に接続され、第2のインバータの入力端は、N線と直流負母線に接続される。このように、電圧レベルを向上させることができるが、インバータにとって、安全規格の要求が変わらない。しかし、N線の損失を低減するためには、N線の電流をできるだけ小さくまたは無電流に制御する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、上記の技術的課題を解決するために、N線に流れる電流を非常に小さく制御し、消費電力を低減することができる太陽光発電システム及び制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本出願の実施例により提供される技術案は、次の通りである。
本出願は、太陽光発電システムを提供し、マスタDC/DCコンバータ、スレーブDC/DCコンバータ、マスタDC/ACコンバータ、及びスレーブDC/ACコンバータを含み、
マスタDC/DCコンバータの入力端は、太陽光発電アレイに接続するために使用され、マスタDC/DCコンバータの正出力端は、マスタDC/ACコンバータの正入力端に接続され、マスタDC/DCコンバータの負出力端は、N線に接続され、マスタDC/ACコンバータの負入力端は、N線に接続され、
スレーブDC/DCコンバータの負入力端は、マスタDC/DCコンバータの負出力端に接続され、スレーブDC/DCコンバータの正入力端は、マスタDC/DCコンバータの正出力端に接続され、スレーブDC/DCコンバータの正出力端は、N線に接続され、スレーブDC/DCコンバータの負出力端は、スレーブDC/ACコンバータの負出力端に接続され、スレーブDC/ACコンバータの正出力端は、N線に接続され、
マスタDC/ACコンバータは、スレーブDC/ACコンバータに電流指令値及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧を送信するために使用され、
スレーブDC/ACコンバータは、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、電流指令値、及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、出力電流を制御するために使用される。
【0008】
好ましくは、スレーブDC/ACコンバータは、具体的には、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧と電流指令値との両方に比例し、マスタDC/ACコンバータの入力電圧に反比例するように、出力電流を制御するために使用される。
【0009】
好ましくは、スレーブDC/ACコンバータは、具体的には、出力電流をU2*I1/U1に制御するために使用され、U2は、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧であり、U1は、マスタDC/ACコンバータの入力電圧であり、I1は、電流指令値である。
【0010】
好ましくは、マスタDC/ACコンバータがその出力電力を制限していない場合、マスタDC/ACコンバータの入力電圧はプリセット値である。
【0011】
好ましくは、マスタDC/ACコンバータが出力電力を制限している場合、マスタDC/ACコンバータは、マスタDC/ACコンバータの入力電圧を収集し、収集したマスタDC/ACコンバータの入力電圧をスレーブDC/ACコンバータに送信し、又は、スレーブDC/ACコンバータは、マスタDC/ACコンバータの入力電圧を直接収集する。
【0012】
好ましくは、太陽光発電システムが電力を制限しておらず、スレーブDC/ACコンバータが、マスタDC/ACコンバータとの通信異常を検出した場合、スレーブDC/ACコンバータは、マスタDC/ACコンバータの入力電圧、N線の電流、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、及びスレーブDC/ACコンバータの出力電力に基づいて電流指令値を取得し、電流指令値に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、スレーブDC/ACコンバータの出力電流を制御するために使用される。
【0013】
好ましくは、太陽光発電システムが電力を制限しており、スレーブDC/ACコンバータが、マスタDC/ACコンバータから送信されたマスタDC/ACコンバータの入力電圧を受信していない場合、スレーブDC/ACコンバータは、マスタDC/ACコンバータの入力電圧、N線の電流、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、及びスレーブDC/ACコンバータの出力電力に基づいて電流指令値を取得し、電流指令値に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、スレーブDC/ACコンバータの出力電流を制御するために使用される。
【0014】
好ましくは、太陽光発電システムに低電圧ライドスルー又は高電圧ライドスルーが発生した場合、マスタDC/ACコンバータは、マスタDC/ACコンバータを制御して第1の無効電力を出力させ、スレーブDC/ACコンバータを制御して第2の無効電力を出力させるために使用される。
【0015】
本出願は、太陽光発電システムの制御方法をさらに提供し、太陽光発電システムは、マスタDC/DCコンバータ、スレーブDC/DCコンバータ、マスタDC/ACコンバータ、及びスレーブDC/ACコンバータを含み、マスタDC/DCコンバータの入力端は、太陽光発電アレイに接続するために使用され、マスタDC/DCコンバータの正出力端は、マスタDC/ACコンバータの正入力端に接続され、マスタDC/DCコンバータの負出力端は、N線に接続され、マスタDC/ACコンバータの負入力端は、N線に接続され、スレーブDC/DCコンバータの正入力端は、マスタDC/DCコンバータの負出力端に接続され、スレーブDC/DCコンバータの負入力端は、マスタDC/DCコンバータの正出力端に接続され、スレーブDC/DCコンバータの正出力端は、N線に接続され、スレーブDC/DCコンバータの負出力端は、スレーブDC/ACコンバータの負出力端に接続され、スレーブDC/ACコンバータの正出力端は、N線に接続され、マスタDC/ACコンバータがスレーブDC/ACコンバータに電流指令値及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧を送信するように制御することと、スレーブDC/ACコンバータがスレーブDC/ACコンバータの入力電圧、電流指令値、及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、出力電流を制御するように制御するステップと、を含む。
【0016】
好ましくは、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、電流指令値、及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて出力電流を制御することは、具体的には、
N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧と電流指令値との両方に比例し、マスタDC/ACコンバータの入力電圧に反比例するように出力電流を制御することを含む。
【0017】
好ましくは、マスタDC/ACコンバータがその出力電力を制限していない場合、マスタDC/ACコンバータの入力電圧をプリセット値に制御することをさらに含む。
【0018】
好ましくは、マスタDC/ACコンバータが出力電力を制限している場合、マスタDC/ACコンバータによってマスタDC/ACコンバータの入力電圧を収集し、収集したマスタDC/ACコンバータの入力電圧をスレーブDC/ACコンバータに送信することをさらに含む。
【0019】
好ましくは、太陽光発電システムが電力を制限しておらず、スレーブDC/ACコンバータが、マスタDC/ACコンバータから送信されたマスタDC/ACコンバータの入力電圧を受信していない場合、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、電流指令値、及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、出力電流を制御することは、具体的には、
マスタDC/ACコンバータの入力電圧、N線の電流、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、及びスレーブDC/ACコンバータの出力電力に基づいて電流指令値を取得し、電流指令値に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、スレーブDC/ACコンバータの出力電流を制御するために使用されるステップを含む。
【0020】
好ましくは、太陽光発電システムが電力を制限しており、スレーブDC/ACコンバータが、マスタDC/ACコンバータから送信されたマスタDC/ACコンバータの入力電圧を受信していない場合、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、電流指令値、及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、出力電流を制御するは、具体的には、
マスタDC/ACコンバータの入力電圧、N線の電流、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、及びスレーブDC/ACコンバータの出力電力に基づいて電流指令値を取得し、電流指令値に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、スレーブDC/ACコンバータの出力電流を制御することを含む。
【0021】
上記の技術案から分かるように、本出願は、以下の有益な効果を有する。
N線の電流を小さく、あるいはゼロにするためには、DC/ACコンバータの出力電力とスレーブDC/ACコンバータの出力電力が等しくなる必要があり、スレーブDC/ACコンバータの出力電力はマスタDC/ACコンバータの出力電力に追従する。消費電力を無視すれば、マスタDC/ACコンバータの出力電力は入力電力に等しく、スレーブDC/ACコンバータの出力電力は入力電力に等しく、マスタDC/ACコンバータの入力電力は、スレーブDC/ACコンバータの入力電力に等しいので、マスタDC/ACコンバータの出力電力とスレーブDC/ACコンバータの出力電力とが等しくなるように制御することによって、N線の電流をプリセット電流より小さいように制御することができる。具体的には、マスタDC/ACコンバータは、スレーブDC/ACコンバータに電流指令値及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧を送信し、スレーブDC/ACコンバータは、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、電流指令値、及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように出力電流を制御し、N線の電流が小さいほどN線での消費電力が小さくなり、例えば、N線の電流が最小であればゼロに制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本出願の実施例又は先行技術における技術案をより明確に説明するために、実施例又は先行技術の説明において使用する必要がある図面を以下に簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労力をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】本出願の実施例により提供される太陽光発電システムの概略図である。
図2】本出願の実施例により提供される別の太陽光発電システムの概略図である。
図3】本出願の実施例により提供される太陽光発電システムの制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本出願の実施例により提供される技術案をより理解するのを助けるために、本出願の実施例により提供される方法を紹介する前に、本出願の実施例に係る技術案の適用シーンを紹介する。
[システム実施例]
【0024】
図1を参照して、当該図は、本出願の実施例により提供される太陽光発電システムの概略図である。
【0025】
本実施例により提供される太陽光発電システムは、2つの直流/直流(DC/DC,Direct Current)コンバータ及び2つのインバータを含み、2つのインバータは、第1のインバータ及び第2のインバータを含み、各インバータは、1つの直流/交流(DC/AC,Altering Current)コンバータを含む。
【0026】
2つのDC/DCコンバータは、マスタDC/DCコンバータ100とスレーブDC/DCコンバータ102を含み、2つのDC/ACコンバータは、マスタDC/ACコンバータ201とスレーブDC/ACコンバータ202を含む。
【0027】
2つのDC/DCコンバータは、コンバイナボックス1000に統合されて配置することができる。コンバイナボックス1000の入力端は、太陽光発電アレイに接続される。本出願の実施例では、当該太陽光発電システムがコンバイナボックスを含むかどうかを限定することなく、コンバイナボックスを含まなくてもよく、2つのDC/DCコンバータは独立して存在してもよい。
【0028】
当該太陽光発電システムは、従来の太陽光発電システムがBUS+及びBUS-の2本の母線のみを含むのに対して、直流正母線BUS+、直流負母線BUS-、及びN線の3本の母線を含むことで、従来の太陽光発電システムとは異なる。本出願により提供される太陽光発電システムが3本の母線を含む利点は、電圧レベルを2倍にすることができるが、コンバータにおける各デバイスの耐電圧を増加させることはなく、即ち、2本の母線を持つ太陽光発電システムにおけるデバイス、例えばIGBTを使用し続けることができる。例えば、BUS+の電圧は正1500Vであり、BUS-の電圧は負1500Vであり、太陽光発電システム全体の電圧レベルは3000Vである。
【0029】
図1に示すように、マスタDC/DCコンバータ101の入力端は太陽光発電アレイに接続するために使用され、即ち、マスタDC/DCコンバータ101の正入力端は太陽光発電アレイの正極PV+に接続するために使用され、マスタDC/DCコンバータ101の負入力端は太陽光発電アレイの負極PV-に接続するために使用される。
【0030】
本出願の実施例では、マスタDC/DCコンバータ101の数は特に限定されず、図1は、マスタDC/DCコンバータ101と太陽光発電アレイとの接続関係を概略的に説明したものに過ぎず、本出願の実施例により提供される太陽光発電システムは複数のマスタDC/DCコンバータ101を含んでもよく、各マスタDC/DCコンバータ101の入力端は、対応する太陽光発電アレイに接続され、複数のマスタDC/DCコンバータ101の出力端は、並列に接続されてもよい。
【0031】
マスタDC/DCコンバータ101の正出力端は、マスタDC/ACコンバータ201の正入力端に接続され、マスタDC/DCコンバータ101の負出力端は、N線に接続され、マスタDC/ACコンバータ201の負入力端は、N線に接続され、
スレーブDC/DCコンバータ102の負入力端は、マスタDC/DCコンバータ101の負出力端に接続され、スレーブDC/DCコンバータ102の正入力端は、マスタDC/DCコンバータ101の正出力端に接続され、スレーブDC/DCコンバータ102の正出力端はN線に接続され、スレーブDC/DCコンバータ102の負出力端はスレーブDC/ACコンバータ202の負出力端に接続され、スレーブDC/ACコンバータ202の正出力端はN線に接続される。同様に、本出願の実施例では、スレーブDC/DCコンバータ102の数も特に限定されず、1つであってもよいし、複数であってもよい。複数のDC/DCコンバータ102である場合、複数のDC/DCコンバータ102の出力端も並列に接続される。
【0032】
当該太陽光発電システムがN線を含むため、N線を比較的細くするためには、N線の電流をできるだけ小さく制御し、即ち、N線の電流がプリセット電流より小さい必要があり、プリセット電流は実際の必要に応じて設定することができ、例えば、N線の電流を0に制御し、即ち、N線は電流が流れず、この時の消費電力が最も低い。しかし、実際には一般的に様々な誤差が存在し、プリセット電流は0より大きい比較的小さい電流であってもよい。N線の電流が小さくなると、比較的細いケーブルを使用できるだけでなく、消費電力を低減することができる。
【0033】
本出願の実施例はN線での電流を0に制御する技術案を提供し、まず、スレーブDC/DCコンバータ102の出力電力をマスタDC/DCコンバータ101の出力電力の半分にする必要があり、図1から分かるように、スレーブDC/ACコンバータ202の入力電力は、スレーブDC/DCコンバータ102の出力電力であり、マスタDC/ACコンバータ201の入力電力とスレーブDC/ACコンバータ202の入力電力が等しい場合、N線での電流は0であり、また、2つのインバータの入力電力の和は、マスタDC/DCコンバータ101の出力電力に由来するため、消費電力を無視すれば、マスタDC/DCコンバータ101の出力電力はスレーブDC/ACコンバータ202の入力電力の2倍となり、また、DC/ACコンバータ202の入力電力はスレーブDC/DCコンバータ102の出力電力と等しいため、スレーブDC/DCコンバータ102の出力電力はマスタDC/DCコンバータ101の出力電力の半分となる。
【0034】
本出願の実施例では、マスタDC/DCコンバータ101及びスレーブDC/DCコンバータ102におけるDC/DCコンバータの回路トポロジは限定されず、例えばコンバイナボックスの電気エネルギー変換効率を高めるために、スレーブDC/DCコンバータ102は、準共振ソフトスイッチコンバータを採用することができる。
【0035】
インバータは、最大電力点追跡(MPPT,Maximum Power Point Tracking)及び一時的な動作状況下での高速な応答を迅速に行う必要があるため、スレーブDC/DCコンバータ102の制御応答速度及び信頼性に対して高い要求が提出される。本出願は、コンバイナボックス内のスレーブDC/DCコンバータ102の電力制御を簡略化し、後段インバータを利用して、スレーブDC/DCコンバータ102の入力電圧と出力電圧との電圧差を制御して、スレーブDC/DCコンバータ102の電力の高速制御を実現し、一方、スレーブDC/DCコンバータ102の制御は、固定周波数及び固定デューティサイクル方式を採用して、太陽光発電システムの制御複雑さを最大限に低減することができる。同時に、中性線(N線)を流れる電流がプリセット電流より小さいか、または非常に小さいことを実現することができ、中性線の線径を小さくすることができ、つまり、非常に細くすることができ、それにより、太陽光発電所全体の建設コストを低減することができる。
【0036】
制御複雑さを低減するために、本出願は、マスタDC/ACコンバータ201によって全体の制御を実現し、N線の電流を0にすることを実現し、以下に図面を結合して具体的な動作原理を詳細に紹介する。
【0037】
マスタDC/ACコンバータ201及びスレーブDC/ACコンバータ202にはいずれもコントローラが設けられており、具体的な動作時には、マスタDC/ACコンバータ201のコントローラとスレーブDC/ACコンバータ202のコントローラとが相互作用することにより、マスタDC/ACコンバータ201によるスレーブDC/ACコンバータ202の制御を実現し、N線の電流がプリセット電流より小さいことを実現するためには、マスタDC/ACコンバータ201の出力電力とスレーブDC/ACコンバータ202の出力電力が等しくなる必要があり、マスタDC/ACコンバータ201が制御を実現する場合、スレーブDC/ACコンバータ202の出力電力をマスタDC/ACコンバータ201の出力電力に追従させることを理解すべきである。消費電力を無視すれば、マスタDC/ACコンバータ201の出力電力は入力電力に等しく、スレーブDC/ACコンバータ202の出力電力は入力電力に等しく、即ち、マスタDC/ACコンバータ201の出力電力がスレーブDC/ACコンバータ202の出力電力に等しい場合、マスタDC/ACコンバータ201の入力電力はスレーブDC/ACコンバータ202の入力電力に等しく、従って、マスタDC/ACコンバータ201の出力電力がスレーブDC/ACコンバータ202の出力電力と等しいように制御することにより、N線の電流がプリセット電流より小さいように制御することができる。
【0038】
マスタDC/ACコンバータ201は、スレーブDC/ACコンバータ202に電流指令値I1及びマスタDC/ACコンバータ201の入力電圧U1を送信するために使用され、この時、正常動作モードであり、即ち、太陽光発電システムは電力出力制限を行わず、この時、MPPTを行うために、U1はプリセット値であり、I1はU1に基づいて得られた値である。
【0039】
スレーブDC/ACコンバータ202は、電流指令値I1、スレーブDC/ACコンバータ202の入力電圧U2、及びマスタDC/ACコンバータ201の入力電圧U1に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、スレーブDC/ACコンバータ202の出力電流I2を制御するために使用される。
【0040】
U2は、スレーブDC/ACコンバータ202の実際入力電圧であり、サンプリングにより得ることができる。
【0041】
以下は具体的な実現形態を紹介し、スレーブDC/ACコンバータ202は、具体的には、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、スレーブDC/ACコンバータ202の入力電圧U2と電流指令値I1との両方に比例し、マスタDC/ACコンバータ201の入力電圧U1に反比例するように出力電流を制御するために使用される。
【0042】
スレーブDC/ACコンバータ202は、具体的には、自身の出力電流をU2*I1/U1に制御するために使用され、ただし、U2はスレーブDC/ACコンバータの入力電圧であり、U1はマスタDC/ACコンバータ201の入力電圧であり、I1は電流指令値である。
【0043】
以下は、スレーブDC/ACコンバータ202の出力電流がU2*I1/U1である場合、N線の電流が0になる原理を具体的に紹介する。
【0044】
マスタDC/ACコンバータ201とスレーブDC/ACコンバータ202との間で情報インタラクションが行われ、マスタDC/ACコンバータ201が電力を制限していない場合、自身の出力電力がP1であり、自体の入力電圧をU1に制御するとともに、スレーブDC/ACコンバータ202に電流指令値I1を送信し、スレーブDC/ACコンバータ202は、マスタDC/ACコンバータ201の電流指令値I1を受信し、自身の出力電流がI1に等しくなるように制御し、この時、スレーブDC/ACコンバータ202の入力電圧は非制御状態にあり、例えば電圧値はU2であり、且つU2<U1である。この時、マスタDC/DCコンバータ101は、自身の入力電圧をV1に制御し、V1は太陽光発電アレイの最大電力点に対応する電圧であり、この時、N線には小さな電流(その大きさは
【数1】

である)が流れており、スレーブDC/ACコンバータ202が自身の出力電流を
【数2】

に制御する場合、この時、N線の電流はプリセット電流より小さくてもよい。
【0045】
以下は、以上の式の導出過程を紹介する。
【0046】
BUS+を流れる電流は
【数3】

であり、この時、マスタDC/ACコンバータ201とスレーブDC/ACコンバータ202の出力電流が一致してともにI1となり、マスタDC/ACコンバータ201とスレーブDC/ACコンバータ202の電力も一致してともにP1となる。BUS-を流れる電流は
【数4】

であり、N線の電流IはBUS+を流れる電流からBUS-を流れる電流を差し引いたものであるので、
【数5】

である。
【0047】
N線の電流を0、即ち、
【数6】

に制御する場合、
【数7】

であるため、マスタDC/ACコンバータ201の電力をスレーブDC/ACコンバータ202の電力より大きく、即ちP1>P2であるように制御する必要がある。同様に、交流側電力によって
【数8】

が得られ、上式に代入すれば、
【数9】

が得られる。
【数10】

は交流出力電圧である。
【0048】
以上は、太陽光発電システムが電力を制限していない場合のN線の電流に対する制御方式を紹介したが、以下は、太陽光発電システムが電力出力を制限している場合、N線の電流が0であることを実現する制御方式を紹介する。以下は、当該太陽光発電システムにおけるマスタDC/ACコンバータによりスレーブDC/ACコンバータの動作を制御することを例として続いて紹介する。
太陽光発電システムが電力を制限している場合と電力を制限していない場合の違いは、電力を制限している場合、インバータは、最大電力で追踪する電力に応じて出力することができず、太陽光発電所から送信された電力指令に応じて出力する必要があり、即ち、出力電力は電力制限値以下である必要があり、この時、マスタDC/ACコンバータの入力電圧はプリセット値ではなく、即ちマスタDC/ACコンバータは自身の入力電圧を制御せず、例えば、電力を制限している場合、マスタDC/ACコンバータの出力電力はP2である。電力を制限していない場合の各パラメータと区別するために、電力を制限している場合、マスタDC/ACコンバータの入力電圧はU3である。マスタDC/ACコンバータがスレーブDC/ACコンバータに送信する電流指令値はI2であり、スレーブDC/ACコンバータはマスタDC/ACコンバータの電流指令値を受信し、その出力電流をI2に制御し、この時スレーブDC/ACコンバータの入力電圧は非制御状態にあり、U4でスレーブDC/ACコンバータの入力電圧を示し、且つU4はU3より小さい。この時、マスタDC/DCコンバータはその出力電圧をV2に制御し、V2は、太陽光発電アレイの最大電力点に対応する電圧V1に等しなく、N線の電流は
【数11】

であり、スレーブDC/ACコンバータがその出力電流を
【数12】

に制御する場合、この時、N線の電流はプリセット電流より小さい。即ち、電力を制限している場合、スレーブDC/ACコンバータの出力電流は、依然として、マスタDC/ACコンバータの入力電圧に電流指令値を乗じて、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧で除算するように制御され、具体的なパラメータ値のみは電力を制限していない場合から変化する。例えば、電力を制限していない場合、マスタDC/ACコンバータの入力電圧は、プリセット値U1であり、マスタDC/ACコンバータがその出力電力を制限する場合、マスタDC/ACコンバータの入力電圧を制御せず、マスタDC/ACコンバータは自身の入力電圧を収集してスレーブDC/ACコンバータに送信し、また、スレーブDC/ACコンバータはマスタDC/ACコンバータの入力電圧を直接収集してもよい。電力を制限している場合、スレーブDC/ACコンバータの出力電流の導出過程について、上記の電力を制限していない場合と類似し、以上の導出過程を参照することができ、ここで繰り返し説明しない。
【0049】
以上は、マスタDC/ACコンバータがスレーブDC/ACコンバータを制御することを紹介したが、実際に動作している場合、両者の間の通信に異常が発生する可能性があるため、以下は、特別な動作状況、即ち、マスタDC/ACコンバータとスレーブDC/ACコンバータとの間の通信に異常が発生したり、通信しなかったりした場合の制御方式について紹介する。
【0050】
マスタDC/ACコンバータとスレーブDC/ACコンバータとの間に通信障害、即ち通信異常が発生しているため、マスタDC/ACコンバータは、電流指令値及び自身の入力電圧をスレーブDC/ACコンバータに送信することができず、即ち、スレーブDC/ACコンバータは、マスタDC/ACコンバータから送信された電流指令値及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧を受信することができない。従って、スレーブDC/ACコンバータは、マスタDC/ACコンバータの入力電圧及び電流指令値しか取得できず、例えば、マスタDC/ACコンバータの入力電圧を収集することができる。また、スレーブDC/ACコンバータは、N線の電流、即ちIを収集することができる。スレーブDC/ACコンバータは、自身の入力電圧を収集することもでき、即ち、スレーブDC/ACコンバータは、自身の入力電圧、マスタDC/ACコンバータの入力電圧、及びN線の電流に基づいて、自身の出力電流の制御を実現することができ、即ち、電流指令値を取得することができる。即ち、太陽光発電システムが電力を制限していない場合、スレーブDC/ACコンバータがマスタDC/ACコンバータとの通信異常を検出した場合、例えば、マスタDC/ACコンバータから送信されたマスタDC/ACコンバータの入力電圧を受信していない場合、スレーブDC/ACコンバータはマスタDC/ACコンバータの入力電圧、N線の電流、及びスレーブDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて電流指令値を取得し、電流指令値に基づいて、N線の電流Iがプリセット電流より小さくなるように、スレーブDC/ACコンバータの出力電流を制御する。
マスタDC/ACコンバータとスレーブDC/ACコンバータとの通信が正常である場合と区別するために、以下、各パラメータは、以上の実施例におけるパラメータとは異なる表記を使用する。マスタDC/ACコンバータは、電力を制限していない場合、入力電圧をU5に制御し、スレーブDC/ACコンバータは、N線の電流I及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧U5を収集することができ、スレーブDC/ACコンバータ自身の出力電力はP3であり、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧はU6であり、且つ、U6はU5より小さく、同時に、スレーブDC/ACコンバータはIに基づいて、その電力制御指令
【数13】

を得て、
【数14】

である。スレーブDC/ACコンバータは、電力制御指令
【数15】

に基づいて電流指令値
【数16】

を得て、ただし、
【数17】

は交流出力電圧である。各コンバータは三相であるので、電力は三相電力の和であるため、電力と電圧に基づいて電流を得る場合、各相の電流指令値を得るには3で割る必要がある。
【0051】
次に、以上のスレーブDC/ACコンバータがIに基づいてその電力制御指令を得る手順を紹介する。スレーブDC/ACコンバータがマスタDC/ACコンバータの電力に追従することが必要であるため、まず、マスタDC/ACコンバータの電力取得手順を紹介し、スレーブDC/ACコンバータの電力とマスタDC/ACコンバータの電力は等しければよい。
【数18】
【0052】
以上の3つの式から、
【数19】

を得ることができる。従って、スレーブDC/ACコンバータの電力は、
【数20】

である。
【0053】
以上、マスタDC/ACコンバータとスレーブDC/ACコンバータとの間の通信が異常で電力制限がない場合の制御方式を紹介したが、次にマスタDC/ACコンバータとスレーブDC/ACコンバータとの間の通信が異常で電力制限がある場合の制御方式を紹介する。
【0054】
2つのインバータ間の通信が異常である場合、スレーブDC/ACコンバータの制御方式は変わらず、依然として、N線の電流I及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧U7を収集するとともに、自身の入力電圧U8を収集することを理解すべきである。
【0055】
マスタDC/ACコンバータは、電力制限を行う場合、例えば、出力電力をP2に制限し、その入力電圧は、U7であり、スレーブDC/ACコンバータは、N線の電流Iを収集し、スレーブDC/ACコンバータの出力電力は、P4であり、その入力電圧は、U8であり、且つ、U7がU8より小さく、同時に、スレーブDC/ACコンバータは、収集したN線の電流Iに基づいてその出力電力の制御指令
【数21】

を得て、
【数22】

である。スレーブDC/ACコンバータは、電力制御指令に基づいて、電流指令値である
【数23】

を取得し、ただし、
【数24】

は交流出力電圧である。各コンバータは三相であるので、電力は三相電力の和であるため、電力と電圧に基づいて電流を得る場合、各相の電流指令値を得るには3で割る必要がある。電力制限がある場合、以上の電力を制限していない場合の制御方式と類似しており、式の導出過程は以上の説明を参照して、ここでは説明を繰り返さないことを理解すべきである。
【0056】
次に、太陽光発電システムの別の特別な状況を紹介する。電力網に低電圧ライドスルーが発生したり、高電圧ライドスルーが発生したりする場合、電力網に対して無効電力の補償が必要となるため、インバータは無効電力を出力する必要があり、例えば、マスタDC/ACコンバータは第1の無効電力Q1を出力し、スレーブDC/ACコンバータは第2の無効電力Q2を出力し、無効電力の出力はN線の電流の大きさに影響しないため、2つのインバータは任意に無効電力の大きさを割り当てることができ、Q1はQ2と等しくてもよく、等しくなくてもよい。例えば、1つのインバータで全ての無効電力を負担し、負担する必要がある無効電力に応じて必要な無効電流の大きさを得ることができる。1つの可能な実現形態は、マスタDC/ACコンバータが無効電力を出力し、スレーブDC/ACコンバータが無効電力を出力しなくてもよい。無効補償を行う場合、マスタDC/ACコンバータは、スレーブDC/ACコンバータが負担する必要がある無効電流の大きさを任意に割り当てることができる。
【0057】
また、2つのインバータによる無効電力の制御は、他の動作シーンにも適用可能であり、以上の電圧ライドスルーシーンに限定されない。
以上の実施例により提供される太陽光発電システムに基づいて、本出願は太陽光発電システムの制御方法をさらに提供し、以下に図面を結合して詳細に紹介する。
[方法実施例]
【0058】
図3を参照して、当該図は本出願の実施例により提供される太陽光発電システムの制御方法のフローチャートである。
【0059】
本実施例により提供される太陽光発電システムの制御方法は、太陽光発電システムに適用され、太陽光発電システムは、マスタDC/DCコンバータ、スレーブDC/DCコンバータ、マスタDC/ACコンバータ、及びスレーブDC/ACコンバータを含み、マスタDC/DCコンバータの入力端は、太陽光発電アレイに接続するために使用され、マスタDC/DCコンバータの正出力端は、マスタDC/ACコンバータの正入力端に接続され、マスタDC/DCコンバータの負出力端は、N線に接続され、マスタDC/ACコンバータの負入力端は、N線に接続され、スレーブDC/DCコンバータの負入力端は、マスタDC/DCコンバータの負出力端に接続され、スレーブDC/DCコンバータの正入力端は、マスタDC/DCコンバータの正出力端に接続され、スレーブDC/DCコンバータの正出力端は、N線に接続され、スレーブDC/DCコンバータの負出力端は、スレーブDC/ACコンバータの負出力端に接続され、スレーブDC/ACコンバータの正出力端は、N線に接続され、
当該方法は、次のステップを含む。
S301:マスタDC/ACコンバータがスレーブDC/ACコンバータに電流指令値及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧を送信するように制御する
S302:スレーブDC/ACコンバータがスレーブDC/ACコンバータの入力電圧、電流指令値、及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、出力電流を制御するように制御する。
【0060】
マスタDC/ACコンバータ201及びスレーブDC/ACコンバータ202にはいずれもコントローラが設けられており、具体的な動作時には、マスタDC/ACコンバータ201のコントローラとスレーブDC/ACコンバータ202のコントローラとが相互作用することにより、マスタDC/ACコンバータ201によるスレーブDC/ACコンバータ202の制御を実現し、N線の電流がプリセット電流より小さいことを実現するためには、マスタDC/ACコンバータ201の出力電力とスレーブDC/ACコンバータ202の出力電力が等しくなる必要があり、マスタDC/ACコンバータ201が制御を実現する際に、スレーブDC/ACコンバータ202の出力電力をマスタDC/ACコンバータ201の出力電力に追従させることができる。消費電力を無視すれば、マスタDC/ACコンバータ201の出力電力は入力電力に等しく、スレーブDC/ACコンバータ202の出力電力は入力電力に等しく、即ち、マスタDC/ACコンバータ201の出力電力がスレーブDC/ACコンバータ202の出力電力に等しい場合、マスタDC/ACコンバータ201の入力電力は、スレーブDC/ACコンバータ202の入力電力に等しく、従って、マスタDC/ACコンバータ201の出力電力がスレーブDC/ACコンバータ202の出力電力と等しいように制御することにより、N線の電流を0に制御することができる。
【0061】
N線の電流がプリセット電流より小さいことを実現するためには、マスタDC/ACコンバータの出力電力とスレーブDC/ACコンバータの出力電力が等しくなる必要があり、スレーブDC/ACコンバータの出力電力がマスタDC/ACコンバータの出力電力に追従する。具体的には、マスタDC/ACコンバータは、スレーブDC/ACコンバータに電流指令値及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧を送信し、スレーブDC/ACコンバータは、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、電流指令値、及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように出力電流を制御し、N線の電流がプリセット電流より小さい場合、N線での消費電力を低減することができる。
【0062】
具体的な実現形態であって、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、電流指令値、及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて出力電流を制御することは、具体的には、
N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧と電流指令値との両方に比例し、マスタDC/ACコンバータの入力電圧に反比例するように出力電流を制御することを含む。
【0063】
また、マスタDC/ACコンバータがその出力電力を制限していない場合、本実施例により提供される方法は、マスタDC/ACコンバータの入力電圧をプリセット値に制御することをさらに含む。
【0064】
マスタDC/ACコンバータが出力電力を制限している場合、本実施例により提供される方法は、マスタDC/ACコンバータによりマスタDC/ACコンバータの入力電圧を収集し、収集したマスタDC/ACコンバータの入力電圧をスレーブDC/ACコンバータに送信することをさらに含む。
【0065】
太陽光発電システムが電力を制限しておらず、スレーブDC/ACコンバータが、マスタDC/ACコンバータから送信されたマスタDC/ACコンバータの入力電圧を受信していない場合、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、電流指令値、及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、出力電流を制御することは、具体的には、
マスタDC/ACコンバータの入力電圧、N線の電流、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、及びスレーブDC/ACコンバータの出力電力に基づいて電流指令値を取得し、電流指令値に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、スレーブDC/ACコンバータの出力電流を制御するために使用されること、を含む。
【0066】
太陽光発電システムが電力を制限しており、スレーブDC/ACコンバータが、マスタDC/ACコンバータから送信されたマスタDC/ACコンバータの入力電圧を受信していない場合、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、電流指令値、及びマスタDC/ACコンバータの入力電圧に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、出力電流を制御することは、具体的には、
マスタDC/ACコンバータの入力電圧、N線の電流、スレーブDC/ACコンバータの入力電圧、及びスレーブDC/ACコンバータの出力電力に基づいて電流指令値を取得し、電流指令値に基づいて、N線の電流がプリセット電流より小さくなるように、スレーブDC/ACコンバータの出力電流を制御すること、を含む。
【0067】
なお、本明細書では、「包括」、「含む」という用語、又はそれらの他の任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しており、これにより、一連の要素を含む手順、方法、製品、又はデバイスは、それらの要素だけでなく、明示的にリストされていない他の要素も含み、又はそのような手順、方法、製品、又はデバイスに固有の要素も含むようにする。これ以上の制限がない場合、「1つを含む」という表現によって定義される要素は、前記要素を含む手順、方法、製品、又はデバイスに別の同じ要素が存在することを排除しない。
【0068】
開示された実施例の上記の説明は、本出願によるこれらの実施例の様々な変更を当業者が実現または使用できるようにすることは当業者にとって明らかであり、本明細書で定義された一般的な原理は、本願の精神または範囲を逸脱することなく、他の実施形態で実現することができる。従って、本出願は、本明細書に示されるこれらの実施例に制限されることはなく、本明細書に開示される原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲に適合しなければならない。

図1
図2
図3
【国際調査報告】