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特表2024-524718フルオロポリマーを含まないポリマー加工助剤
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  • 特表-フルオロポリマーを含まないポリマー加工助剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】フルオロポリマーを含まないポリマー加工助剤
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/00 20190101AFI20240628BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20240628BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20240628BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20240628BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B29C48/00
C08L23/06
C08L71/02
C08K3/26
C08K3/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502235
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 IB2022055379
(87)【国際公開番号】W WO2023285888
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/221,729
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505382548
【氏名又は名称】ノバ ケミカルズ(インターナショナル)ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テイラー、ジャレッド
(72)【発明者】
【氏名】ティクイシス、トニー
(72)【発明者】
【氏名】チスホルム、ピー.スコット
(72)【発明者】
【氏名】オービー、ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】チェクニタ、ダグラス
【テーマコード(参考)】
4F207
4J002
【Fターム(参考)】
4F207AA04
4F207AA05
4F207AA07
4F207AA08
4F207AB16
4F207AR15
4F207KA01
4F207KA17
4F207KK12
4J002BB031
4J002BB042
4J002CH023
4J002DE106
4J002DE287
4J002GT00
(57)【要約】
ポリマー加工助剤(PPA)は、フルオロポリマーの非存在下で押出されるポリオレフィンのメルト欠陥を低減する。ポリマー加工助剤は、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコールを高圧低密度ポリエチレン(LDPE)と共に含み、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)のような熱可塑性ポリオレフィンのメルト欠陥を十分に低減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性組成物押出物を調製する方法であって、熱可塑性組成物を溶融押出プロセスで押出するステップを含み、熱可塑性組成物が、i)線状ポリエチレン;ii)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~4,000百万分率の少なくとも1種のポリエチレングリコール;及びiii)(線状ポリエチレン及び高圧低密度ポリエチレンLDPEの総重量を基準にして)3.0~15.0重量パーセントの高圧低密度ポリエチレンLDPEを含み、
線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HDPE、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、
溶融押出プロセスがフルオロポリマーの非存在下で行われる、
上記方法。
【請求項2】
線状ポリエチレンが酸化亜鉛を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
線状ポリエチレンがハイドロタルサイトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
高圧低密度ポリエチレンLDPEが少なくとも2.5g/10分のメルトインデックスIを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
高圧低密度ポリエチレンLDPEが2.5~10.0g/10分のメルトインデックスIを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
線状ポリエチレンがLLDPEである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
LLDPEが、10分当たり0.1~5.0グラムのメルトインデックスIを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
LLDPEが0.910~0.936g/cmの密度を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
LLDPEが、重合したエチレン並びに1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される1種以上のアルファオレフィンを含むエチレンコポリマーである、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、20,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、20,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び15,000~25,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び250,000~350,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
熱可塑性組成物が、(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の少なくとも1種のポリエチレングリコールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
溶融押出プロセスが、線状ポリエチレンから本質的になる熱可塑性組成物を用いて行われる場合にはメルトフラクチャー欠陥を有する熱可塑性組成物押出物を生成する剪断速度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
i)線状ポリエチレン;ii)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~4,000百万分率の少なくとも1種のポリエチレングリコール;及びiii)(線状ポリエチレン及び高圧低密度ポリエチレンLDPEの総重量を基準にして)3.0~15.0重量パーセントの高圧低密度ポリエチレンLDPEを含む、押出可能な熱可塑性組成物であって、
押出可能な熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、
線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HDPE、及びこれらの混合物からなる群から選択される、
上記押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項20】
線状ポリエチレンが酸化亜鉛を含む、請求項19に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項21】
線状ポリエチレンがハイドロタルサイトを含む、請求項19に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項22】
高圧低密度ポリエチレンLDPEが少なくとも2.5g/10分のメルトインデックスIを有する、請求項19に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項23】
高圧低密度ポリエチレンLDPEが2.5~10.0g/10分のメルトインデックスIを有する、請求項19に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項24】
線状ポリエチレンがLLDPEである、請求項19に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項25】
LLDPEが、10分当たり0.1~5.0グラムのメルトインデックスIを有する、請求項24に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項26】
LLDPEが0.910~0.936g/cmの密度を有する、請求項24に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項27】
LLDPEが、重合したエチレン並びに1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される1種以上のアルファオレフィンを含むエチレンコポリマーである、請求項24に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項28】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、20,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである、請求項19に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項29】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである、請求項19に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項30】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである、請求項19に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項31】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、20,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、請求項19に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項32】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び15,000~25,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、請求項19に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項33】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、請求項19に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項34】
少なくとも1種のポリエチレングリコールが、2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び250,000~350,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、請求項19に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項35】
熱可塑性組成物が(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の少なくとも1種のポリエチレングリコールを含む、請求項19に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項36】
熱可塑性組成物押出物を調製する方法であって、
a)線状ポリエチレンをi)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~4,000百万分率の少なくとも1種のポリエチレングリコール及びii)(線状ポリエチレン及び高圧低密度ポリエチレンLDPEの総重量を基準にして)3.0重量パーセント~15.0重量パーセントの高圧低密度ポリエチレンLDPEと合わせることにより熱可塑性組成物を調製するステップと、
b)熱可塑性組成物を溶融押出プロセスで押出するステップと
を含み、
線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HDPE、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、
溶融押出プロセスがフルオロポリマーの非存在下で行われる、
上記方法。
【請求項37】
線状ポリエチレンが酸化亜鉛を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
線状ポリエチレンがハイドロタルサイトを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
熱可塑性組成物押出物を調製する方法であって、熱可塑性組成物を溶融押出プロセスで押出するステップを含み、熱可塑性組成物が、i)線状ポリエチレン;ii)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール;及びiii)15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールを含み、
線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HDPE、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、
溶融押出プロセスがフルオロポリマーの非在下で行われる、
上記方法。
【請求項40】
線状ポリエチレンが酸化亜鉛を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
線状ポリエチレンがハイドロタルサイトを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
線状ポリエチレンがLLDPEである、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
LLDPEが、10分当たり0.1~5.0グラムのメルトインデックスIを有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
LLDPEが0.910~0.936g/cmの密度を有する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
LLDPEが、重合したエチレン並びに1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される1種以上のアルファオレフィンを含むエチレンコポリマーである、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
第1のポリエチレングリコールが2,000~8,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
第1のポリエチレングリコールが2,000~5,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
第1のポリエチレングリコールが約3,350g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項49】
第2のポリエチレングリコールが15,000~25,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項50】
第2のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項51】
第2のポリエチレングリコールが約35,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項52】
第1のポリエチレングリコールが2,000~8,000g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項53】
第1のポリエチレングリコールが2,000~5,000g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項54】
第1のポリエチレングリコールが約3,350g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールが約35,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項39に記載の方法。
【請求項55】
熱可塑性組成物が、(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の第1のポリエチレングリコール及び(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2000百万分率の第2のポリエチレングリコールを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項56】
溶融押出プロセスが、線状ポリエチレンから本質的になる熱可塑性組成物を用いて行われる場合にはメルトフラクチャー欠陥を有する熱可塑性組成物押出物を生成する剪断速度で行われる、請求項39に記載の方法。
【請求項57】
i)線状ポリエチレン;ii)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール;及びiii)15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールを含む、押出可能な熱可塑性組成物であって、
押出可能な熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、
線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HDPE、及びこれらの混合物からなる群から選択される、
上記押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項58】
線状ポリエチレンが酸化亜鉛を含む、請求項57に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項59】
線状ポリエチレンがハイドロタルサイトを含む、請求項57に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項60】
線状ポリエチレンがLLDPEである、請求項57に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項61】
LLDPEが、10分当たり0.1~5.0グラムのメルトインデックスIを有する、請求項60に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項62】
LLDPEが0.910~0.936g/cmの密度を有する、請求項60に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項63】
LLDPEが、重合したエチレン並びに1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される1種以上のアルファオレフィンを含むエチレンコポリマーである、請求項60に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項64】
第1のポリエチレングリコールが2,000~8,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項57に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項65】
第1のポリエチレングリコールが2,000~5,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項57に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項66】
第1のポリエチレングリコールが約3,350g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項57に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項67】
第2のポリエチレングリコールが15,000~25,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項57に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項68】
第2のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項57に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項69】
第2のポリエチレングリコールが約35,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項57に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項70】
第1のポリエチレングリコールが2,000~8,000g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mwを有する、請求項57に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項71】
第1のポリエチレングリコールが2,000~5,000g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項57に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項72】
第1のポリエチレングリコールが約3,350g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールが約35,000g/molの重量平均分子量Mを有する、請求項57に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項73】
熱可塑性組成物が、(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の第1のポリエチレングリコール及び(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の第2のポリエチレングリコールを含む、請求項57に記載の押出可能な熱可塑性組成物。
【請求項74】
熱可塑性組成物押出物を調製する方法であって、
a)線状ポリエチレンをi)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール;及びii)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2000百万分率の15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールと合わせることにより熱可塑性組成物を調製するステップと、
b)熱可塑性組成物を溶融押出プロセスで押出するステップと
を含み、
線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HDPE、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、
溶融押出プロセスがフルオロポリマーの非存在下で行われる、
上記方法。
【請求項75】
線状ポリエチレンが酸化亜鉛を含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
線状ポリエチレンがハイドロタルサイトを含む、請求項74に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フッ素化されたアルケンベースのフルオロポリマーの非存在下で十分に機能する、熱可塑性ポリオレフィンの押出のための加工助剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンポリマーの押出中サメ皮、ヘビ革及びオレンジの皮といわれるものを含めて表面欠陥が生じ得、各々のタイプの表面欠陥は一般にポリマーメルトのレオロジーに関連する。生じ得る表面欠陥の特にひどい形態は、ポリオレフィンポリマーの表面における剪断速度が、ポリマーの表面が断裂し始めるほど充分に高いときに生じると考えられる「メルトフラクチャー(melt fracture)」である。即ち、押出されたポリマーの表面の、ポリマーメルトの本体に対する滑りがある。一般に表面は押出物の本体に追随するほど十分に速く流れることができず、メルトの断裂が起こり、その結果押出物ポリマーに対して表面特性のひどい損失が生じる。
【0003】
米国特許第3,125,547号は、ポリエチレン押出物上に速い押出速度で滑らかな表面を提供する、ポリエチレンと少量のフルオロポリマーとのブレンドを開示している。
【0004】
米国特許第3,222,314号は、印刷に適したヒートシール可能なフィルムを提供する、ポリエチレンと低分子量のポリエチレングリコールとのブレンドを開示している。
【0005】
米国特許第4,013,622号はポリエチレンフィルムの製造中の「破断」の発生を低減する低分子量のポリエチレングリコールの使用を教示している。同様に、米国特許第4,540,538号は(i)ポリエチレングリコール;(ii)ヒンダードフェノール系酸化防止剤;及び(iii)選択された無機の粘着防止剤物質の組合せの使用によりポリオレフィンのフィルムへの押出中ピンストライピング(pinstriping)を低減し得ることを教示している。
【0006】
更なる特許がポリオレフィンの押出における加工助剤としてのポリアルキレンオキシドとフルオロカーボンポリマーの組合せの使用に関連している。これらの特許には、ポリオレフィン及び加工助剤を含む組成物を開示し特許請求の範囲に記載する米国特許第4,855,360号並びに加工助剤自体を特許請求の範囲に記載する米国特許第5,015,693号が含まれる。これらの特許は、フルオロカーボンポリマーと組み合わせた比較的低分子量の(例えば、約400Da~約20,000Daの分子量を有する)ポリエチレングリコールのポリマー加工助剤としての使用を立証し、更に、フルオロポリマーの非存在下ではこれらのポリエチレングリコールがメルト欠陥(melt defect)を低減するのに非常に有効ではなかったことを示している。
【0007】
米国特許第6,294,604号はフルオロポリマー、ポリエチレングリコール、及び酸化マグネシウムの組合せのポリマー加工添加剤パッケージとしての使用を記載している。
【0008】
フルオロエラストマー及びフルオロポリマーは高価な材料であるのでそれらの使用を避けるのは経済的インセンティブがある。更に、フルオロポリマーの生産時に使用される、例えば、ペルフルオロオクタンスルホナート及びペルフルオロオクタン酸のような全フッ素置換されたアルカン及び全フッ素置換された界面活性剤化合物は考えられる環境への負の影響のためにますます認識され続けている。
【0009】
米国特許出願公開第2005/0070644号において、本発明者らは、高分子量のポリエチレングリコール、特に20,000g/molより大きい分子量を有するPEGが、フルオロポリマーの非存在下でのポリオレフィンの押出中メルトフラクチャーを低減することを開示した。
【0010】
米国特許第10,982,079号も、加えたフルオロポリマーの非存在下でのポリマー加工助剤の性能を詳述している。ポリマー加工助剤は、カルボン酸、スルホン酸、又はアルキル硫酸の金属塩を含ませたために改良された熱安定性を有する高分子量のポリエチレングリコールを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは今回、中程度又は低分子量のものの1種でもポリエチレングリコールと高圧重合法で作成された低密度ポリエチレンとの組合せが、フルオロポリマーの非存在下でのポリオレフィンの押出中ポリマー加工助剤として十分に機能することを報告する。
【0012】
本開示はフッ素化されたアルケンベースのポリマー加工助剤に代わる有用な代替手段を提供する。
【0013】
1つの実施形態は、熱可塑性組成物押出物を調製する方法であって、熱可塑性組成物を溶融押出プロセスで押出するステップを含み、熱可塑性組成物が、i)線状ポリエチレン;ii)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~4,000百万分率の少なくとも1種のポリエチレングリコール;及びiii)(線状ポリエチレン及び高圧低密度ポリエチレンLDPEの総重量を基準にして)3.0~15.0重量パーセントの高圧低密度ポリエチレンLDPEを含み、線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HPDE、及びこれらの混合物からなる群から選択され、熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、溶融押出プロセスがフルオロポリマーの非存在下で行われる、方法である。
【0014】
1つの実施形態は、熱可塑性組成物押出物を調製する方法であって、a)線状ポリエチレンをi)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~4,000百万分率の少なくとも1種のポリエチレングリコール及びii)(線状ポリエチレン及び高圧低密度ポリエチレンLDPEの総重量を基準にして)3.0重量パーセント~15.0重量パーセントの高圧低密度ポリエチレンLDPEと合わせることにより熱可塑性組成物を調製するステップと、b)熱可塑性組成物を溶融押出プロセスで押出するステップとを含み、線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HPDE、及びこれらの混合物からなる群から選択され、熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、溶融押出プロセスがフルオロポリマーの非存在下で行われる、方法である。
【0015】
1つの実施形態は、i)線状ポリエチレン;ii)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~4,000百万分率の少なくとも1種のポリエチレングリコール;及びiii)(線状ポリエチレン及び高圧低密度ポリエチレンLDPEの総重量を基準にして)3.0~15.0重量パーセントの高圧低密度ポリエチレンLDPEを含む押出可能な熱可塑性組成物であって、押出可能な熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HPDE、及びこれらの混合物からなる群から選択される、押出可能な熱可塑性組成物である。
【0016】
1つの実施形態において、少なくとも1種のポリエチレングリコールは20,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである。
【0017】
1つの実施形態において、少なくとも1種のポリエチレングリコールは少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである。
【0018】
1つの実施形態において、少なくとも1種のポリエチレングリコールは25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである。
【0019】
本開示の1つの実施形態において、少なくとも1種のポリエチレングリコールは比較的低い分子量を有する第1のポリエチレングリコール、及び比較的高い分子量を有する第2のポリエチレングリコールである。
【0020】
代替的実施形態は、熱可塑性組成物押出物を調製する方法であって、熱可塑性組成物を溶融押出プロセスで押出するステップを含み、熱可塑性組成物が、i)線状ポリエチレン;ii)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール;及びiii)15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールを含み、線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HPDE、及びこれらの混合物からなる群から選択され、熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、溶融押出プロセスがフルオロポリマーの非存在下で行われる、方法である。
【0021】
代替的実施形態は、i)線状ポリエチレン;ii)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール;及びiii)15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールを含む押出可能な熱可塑性組成物であって、押出可能な熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HPDE、及びこれらの混合物からなる群から選択される、押出可能な熱可塑性組成物である。
【0022】
代替的実施形態は、熱可塑性組成物押出物を調製する方法であって、a)線状ポリエチレンをi)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール;及びii)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールと合わせるステップと、b)熱可塑性組成物を溶融押出プロセスで押出することにより熱可塑性組成物を調製するステップとを含み、線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HPDE、及びこれらの混合物からなる群から選択され、熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、溶融押出プロセスがフルオロポリマーの非存在下で行われる、方法である。
【0023】
1つの実施形態において溶融押出プロセスは、線状ポリエチレンから本質的になる熱可塑性組成物を用いて実施される場合にはメルトフラクチャー欠陥を有する熱可塑性組成物押出物を生成する剪断速度で実施される。
【0024】
1つの実施形態において、線状ポリエチレンは酸化亜鉛(ZnO)を含む。
【0025】
1つの実施形態において、線状ポリエチレンはハイドロタルサイトを含む。
【0026】
複数の実施形態において、線状ポリエチレンは式:[M2+ 1-x3+ (OH)x+[(An-x/n・mHO]x-[式中、M2+は二価のMg、Ni、Zn、Cu、又はMnであり、M3+は三価のAl、Fe、又はCrであり、An-は例えば、CO 2-、又はSO 2-、NO 2-、Cl1-、又はOH1-のようなアニオンであり、xは0.1~0.5である]を有するハイドロタルサイトを含む。
【0027】
1つの実施形態において、線状ポリエチレンは式:MgAl(OH)16CO・nHOを有するハイドロタルサイトを含む。
【0028】
1つの実施形態において、線状ポリエチレンはミネラルハイドロタルサイト(MgAl(OH)16CO・4HO)を含む。
【0029】
1つの実施形態において、線状ポリエチレンはヒンダードフェノール一次酸化防止剤、及びリン含有二次酸化防止剤を含む。
【0030】
1つの実施形態において、高圧低密度ポリエチレンLDPEは10分当たり少なくとも2.5グラムのメルトインデックスIを有する。
【0031】
1つの実施形態において、高圧低密度ポリエチレンLDPEは10分当たり2.5~10.0グラムのメルトインデックスIを有する。
【0032】
1つの実施形態において、線状ポリエチレンはLLDPEである。
【0033】
1つの実施形態において、LLDPEは10分当たり0.1~5.0グラムのメルトインデックスIを有する。
【0034】
1つの実施形態において、LLDPEは10分当たり0.5~5.0グラムのメルトインデックスIを有する。
【0035】
1つの実施形態において、LLDPEは0.910~0.936g/cmの密度を有する。
【0036】
1つの実施形態において、LLDPEは重合したエチレン並びに1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される1種以上のアルファオレフィンを含むエチレンコポリマーである。
【0037】
1つの実施形態において、第1のポリエチレングリコールは20,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する。
【0038】
1つの実施形態において、第1のポリエチレングリコールは10,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する。
【0039】
1つの実施形態において、第1のポリエチレングリコールは2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0040】
1つの実施形態において、第1のポリエチレングリコールは2,000~8,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0041】
1つの実施形態において、第1のポリエチレングリコールは2,000~5,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0042】
1つの実施形態において、第2のポリエチレングリコールは少なくとも25,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0043】
1つの実施形態において、第2のポリエチレングリコールは少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0044】
1つの実施形態において、第2のポリエチレングリコールは25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0045】
1つの実施形態において、第2のポリエチレングリコールは15,000~25,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0046】
1つの実施形態において、第2のポリエチレングリコールは250,000~350,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む熱可塑性組成物をインフレーションフィルムライン溶融押出プロセスで押出する際に溶融押出欠陥を除去する様々なポリマー加工助剤の能力を評価する実験(例12、13、14及び15)の結果を示すグラフである。これらの実験において3インチの直径のダイを備えた単層インフレーションフィルムラインを使用した。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「モノマー」は、それ自身又は他のモノマーと化学的に反応し化学的に結合した状態になってポリマーを形成し得る小さい分子を意味する。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「α-オレフィン」又は「アルファ-オレフィン」は3~20個の炭素原子を含有する線状の炭化水素鎖を有しその鎖の一端に二重結合を有するモノマーを記載するために使用され、等価な用語は「線状のα-オレフィン」である。アルファ-オレフィンはまたコモノマーといってもよい。
【0050】
本明細書で使用される場合、用語「ポリエチレン」又は「エチレンポリマー」は、エチレンポリマーを作成するのに使用される具体的な触媒又は具体的なプロセスに関係なくエチレンモノマー及び場合により1種以上の更なるモノマーから生成する巨大分子をいう。ポリエチレンの技術分野では1種以上の更なるモノマーは「コモノマー(単数又は複数)」とよばれることが多く、典型的にはα-オレフィンが含まれる。用語「ホモポリマー」は一般に1種類だけのモノマーを含有するポリマーをいう。用語「コポリマー」は2種類以上のモノマーを含有するポリマーをいう。一般的なポリエチレンの種類としては高圧低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE);中密度ポリエチレン(MDPE);線状低密度ポリエチレン(LLDPE);及び超低密度ポリエチレン(VLPDE:very low density polyethylene)又は超低密度ポリエチレン(ULPDE:ultralow density polyethylene)があり、これらはプラストマー及びエラストマーとしても知られている。用語ポリエチレンはまたエチレンに加えて2種以上のコモノマーを含み得るポリエチレンターポリマーも包含する。用語ポリエチレンはまた、上に記載したポリエチレンタイプの組合せ又はブレンドも含む。
【0051】
用語「フルオロポリマー」は本開示においてフッ素化されたオレフィンのホモポリマー及びコポリマーを意味する。フッ素化されたオレフィンは少なくとも1:2、又は一部の実施形態において、少なくとも1:1のフッ素原子対炭素の比を有し得る。ホモポリマーには、例えば、フッ化ビニリデン及びフッ化ビニルから誘導されるものが含まれる。コポリマーには、例えばフッ化ビニリデン及び、例えばヘキサフルオロプロピレンのようにフッ素化されていることができるか、又は例えばプロピレンのようにフッ素化されていないことができる1種以上の更なるオレフィンから誘導されるものが含まれる。本開示で使用される用語「フルオロポリマー」の非限定例には、例えば、米国特許第2,968,649号;同第3,051,677号;同第3,318,854号;同第5,015,693号;同第4,855,360号;米国特許第5,710,217号;米国特許第6,277,919号;米国特許第7,375,157号;及び米国特許出願公開第2010/0311906号に記載されているものが含まれる。市販されているフルオロポリマーの幾つかの例には、例えば、商品名「DYNAMAR(登録商標)FX 9613」及び「DYNAMAR FX 9614」で入手可能なヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデンのコポリマー;並びに商品名「DYNAMAR FX 5911」及び「DYNAMAR FX 5912」で入手可能なフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、及びヘキサフルオロプロピレンのコポリマーが含まれる。他の市販されているフルオロポリマーには、いずれも様々なグレードで入手可能な「VITON(登録商標)A」、「VITON FREEFLOW(商標)」、「DAI-EL(登録商標)」、及び「KYNAR(登録商標)」が含まれる。
【0052】
本開示で、用語ポリアルキレンオキシド、ポリ(オキシアルキレン)、及びポリアルキレングリコールは同義で使用される。従って、用語ポリエチレンオキシド、ポリ(オキシエチレン)、及びポリエチレングリコールも同義で使用され;用語ポリプロピレンオキシド、ポリ(オキシプロピレン)及びポリプロピレングリコールも同様である。
【0053】
用語「フィルム」は本明細書において、1つ以上のダイ開口部を通したポリマーの押出により形成された1つ以上の層を有するフィルムを意味して使用されている。用語「フィルム構造」は、フィルムが1つより多くの層を有する(即ちフィルム構造は少なくとも2つの層、少なくとも3つの層、少なくとも4つの層、少なくとも5つの層、等を有し得る)ことを含めて使用されている。
【0054】
「アルキル基」及び接頭辞「alk-」は他に断らない限り30個以下の炭素を有する直鎖及び分岐鎖の両方の基並びに環式の基を含む。環式基は単環式又は多環式であることができ、一部の実施形態において、3~10個の環炭素原子を有する。
【0055】
例えばアルキル、アルキレン、又はアリールアルキレンに関して「1つ以上のエーテル結合により中断された」という表現は官能基の両側にアルキル、アルキレン、又はアリールアルキレンの部分を有することを意味する。-O-で中断されたアルキレンの一例は-CH-CH-O-CH-CH-である。
【0056】
用語「アリール」は、本明細書で使用される場合、例えば1、2、又は3つの環を有し、場合により少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、S、又はN)を環内に含有してもよく、場合により4個以下の炭素原子を有する1つ以上のアルキル基(例えば、メチル又はエチル)、4個以下の炭素原子を有するアルコキシ、ハロ(即ち、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード)、ヒドロキシ、又はニトロ基を含めて5つ以下の置換基により置換されてもよい炭素環式の芳香環又は環系を包含する。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル並びにフリル、チエニル、オキサゾリル、及びチアゾリルがある。「アリールアルキレン」はアリール基が結合している「アルキレン」部分を意味する。「アルキルアリーレン」はアルキル基が結合している「アリーレン」部分を意味する。
【0057】
本開示の実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出はポリマー加工助剤(PPA)を使用することによって改良される(「支援される」)。
【0058】
本開示の実施形態において、ポリマー加工助剤の1種以上の成分は、熱可塑性ポリオレフィンと混ぜ(例えば予め混合し)又は予めブレンドし(例えばドライブレンド又はメルトブレンドし)、続いてポリオレフィンの押出をすることができる。
【0059】
本開示の実施形態において、ポリマー加工助剤の1種以上の成分は熱可塑性ポリオレフィンと共に押出機に供給することができる。
【0060】
本開示の実施形態において、ポリマー加工助剤の1種以上の成分を熱可塑性ポリオレフィンに加えてポリマー加工助剤の1種以上の成分を含有するポリオレフィンのマスターバッチを調製することができる。次いで得られたポリオレフィンマスターバッチを使用して、ポリマー加工助剤の1種以上の成分を任意の従来方法で、ポリオレフィンの押出の前に熱可塑性ポリオレフィンに導入する(例えばドライブレンド又はメルトブレンドする)か又はポリオレフィンの押出中に(例えばポリオレフィンと共に押出機に供給する)ことができる。
【0061】
ポリマー加工助剤
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)少なくとも1種のポリアルキレングリコール(PAG)ともいわれるポリ(オキシアルキレン)ポリマー及びii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0062】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)少なくとも1種のポリエチレングリコール(PEG)ともいわれるポリ(オキシエチレン)ポリマー及びii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0063】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)20,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコール(PEG)ともいわれるポリ(オキシエチレン)ポリマー及びii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0064】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコール(PEG)ともいわれるポリ(オキシエチレン)ポリマー及びii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0065】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコール(PEG)ともいわれるポリ(オキシエチレン)ポリマー及びii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0066】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)少なくとも1種のポリプロピレングリコール(PPG)ともいわれるポリ(オキシプロピレン)ポリマー及びii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0067】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)比較的低分子量のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;ii)比較的高分子量のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0068】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)比較的低分子量のポリ(オキシエチレン)ポリマー;ii)比較的高分子量のポリ(オキシエチレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0069】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)比較的低分子量のポリ(オキシプロピレン)ポリマー;ii)比較的高分子量のポリ(オキシプロピレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0070】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)25,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;ii)少なくとも25,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0071】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)10,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;ii)15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0072】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;ii)15,000~25,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0073】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;ii)25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0074】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;ii)250,000~350,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0075】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)10,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;ii)少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0076】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)20,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;ii)少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシアルキレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0077】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)25,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー;ii)少なくとも25,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0078】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)10,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー;ii)15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0079】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー;ii)15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0080】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー;ii)15,000~25,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0081】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー;ii)25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0082】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー;ii)250,000~350,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0083】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)10,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー;ii)少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0084】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)20,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー;ii)少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマー;及びiii)高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。
【0085】
本開示の代替的実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)第1の比較的低分子量のポリ(オキシアルキレン)ポリマー及びii)第2の比較的高分子量のポリ(オキシアルキレン)ポリマーを含む。
【0086】
本開示の代替的実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)第1の比較的低分子量のポリ(オキシエチレン)ポリマー及びii)第2の比較的高分子量のポリ(オキシエチレン)ポリマーを含む。
【0087】
本開示の代替的実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)10,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー及びii)15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマーを含む。
【0088】
本開示の代替的実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)10,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー及びii)250,000~350,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマーを含む。
【0089】
本開示の代替的実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)2,000~10,000の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー及びii)15,000~25,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマーを含む。
【0090】
本開示の代替的実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)2,000~10,000の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー及びii)15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマーを含む。
【0091】
本開示の代替的実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)2,000~10,000の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー及びii)25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマーを含む。
【0092】
本開示の代替的実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)2,000~10,000の重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー及びii)250,000~350,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマーを含む。
【0093】
本開示の代替的実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)2,000~8,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー、又は2,000~5000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー;及びii)15,000~25,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマー、又は25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマーを含む。
【0094】
本開示の代替的実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、i)約3,350g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリ(オキシエチレン)ポリマー及びii)約35,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリ(オキシエチレン)ポリマーを含む。
【0095】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリマーの押出を支援するのに使用されるポリマー加工助剤(PPA)は、ペルフルオロアルカン化合物、フルオロエラストマー、及びフルオロポリマーが実質的に存在しないことを更に特徴とする。
【0096】
本開示の1つの実施形態は、押出可能な熱可塑性組成物中にペルフルオロアルカン化合物、フルオロエラストマー、及びフルオロポリマーが実質的に存在しないことを特徴とする。
【0097】
本開示の1つの実施形態は、熱可塑性組成物押出物を調製する方法であって、熱可塑性組成物を溶融押出プロセスで溶融押出するステップを含み、熱可塑性組成物がペルフルオロアルカン化合物、フルオロエラストマー、及びフルオロポリマーが実質的に存在しないことを特徴とし、溶融押出プロセスがペルフルオロアルカン化合物、フルオロエラストマー、及びフルオロポリマーの非存在下で行われる、方法である。
【0098】
本開示の実施形態において、溶融押出プロセスにはフィルム押出、押出ブロー成形、射出成形、パイプ押出、ワイヤ押出、ケーブル押出、及びファイバー押出が含まれ、全て当業者には周知である。
【0099】
ポリ(オキシアルキレン)ポリマー
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は少なくとも1種のポリアルキレングリコール(PAG)又はポリアルキレンオキシドともいわれるポリ(オキシアルキレン)ポリマーを含む。
【0100】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は少なくとも1種のポリエチレングリコール又はポリエチレンオキシドともいわれるポリ(オキシエチレン)ポリマーを含む。
【0101】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は少なくとも1種のポリプロピレングリコール又はポリプロピレンオキシドともいわれるポリ(オキシプロピレン)グリコールを含む。
【0102】
ポリ(オキシアルキレン)ポリマーは、本開示の実施形態において、式A[(OROR[式中、Aは典型的には1つ以上のエーテル結合により中断されたアルキレンであり、yは2又は3であり、(ORは複数(x)のオキシアルキレン基ORを有するポリ(オキシアルキレン)鎖であり、各々のRは独立してC~Cアルキレン、一部の実施形態においてC~Cアルキレンであり、Rは水素、アルキル、アリール、アリールアルケニル、アルキルアリーレニル、-C(O)-アルキル、-C(O)-アリール、-C(O)-アリールアルケニル、又は-C(O)-アルキルアリーレニルであり、-C(O)-はORのOに結合する]で表すことができる。
【0103】
本開示の1つの実施形態において、ポリ(オキシアルキレン)ポリマーは本開示の実施形態において、式A[(OROR[式中、Aは典型的には1つ以上のエーテル結合により中断されたアルキレンであり、yは2又は3であり、(ORは複数(x)のオキシアルキレン基ORを有するポリ(オキシアルキレン)鎖であり、各々のRは独立してC~Cアルキレン、一部の実施形態においてC~Cアルキレンであり、Rは水素、アルキル、アリール、アリールアルケニル、アルキルアリーレニル、-C(O)-アルキル、-C(O)-アリール、-C(O)-アリールアルケニル、又は-C(O)-アルキルアリーレニルであり、-C(O)-はORのOに結合する]により表すことができる。
【0104】
本開示の1つの実施形態において、ポリ(オキシアルキレン)ポリマーは各々のRが-CHCH-であるポリ(オキシエチレン)ポリマー(本開示においてポリエチレングリコールともよばれる)のようなホモポリマー、又は各々のRが-C-であるポリ(オキシプロピレン)ポリマーのようなホモポリマーであることができる。
【0105】
本開示のもう1つ別の実施形態において、ポリ(オキシアルキレン)ポリマーは、ランダムに分布したオキシアルキレン基の鎖を含む(例えば、-OC-及び-OC-単位を含むコポリマー)か、又は繰返しオキシアルキレン基の交互ブロックを有する(例えば、(-OC-)及び(-OC-)ブロックを含み、a+bがxであるコポリマー)ポリ(オキシアルキレン)ポリマーである。
【0106】
ランダムに分布したか、又は(-OC-)及び(-OC-)の交互単位又は(-OC-)及び(-OC-)のブロックを含むポリ(オキシアルキレン)コポリマーは時々「ポロキサマー」とよばれ、商品名PLURONIC(登録商標)、KOLLIPHOR(登録商標)及びSYNPERONIC(登録商標)で市販されている。
【0107】
本開示の一部の実施形態において、Aはエチレン、-CH-CH(-)-CH-(グリセロール由来)、CHCHC(CH-)(1,1,1-トリメチロールプロパン由来)、ポリ(オキシプロピレン)、-CHCH-O-CHCH-、又は-CHCH-O-CHCH-O-CHCH-である。
【0108】
本開示の一部の実施形態において、Rは水素、メチル、ブチル、フェニル、ベンジル、アセチル、ベンゾイル、又はステアリルである。
【0109】
本開示の他の実施形態において、ポリ(オキシアルキレン)ポリマーは、例えば、ジカルボン酸及び式A[(OROR[式中、A、R、及びxは上で定義した通りであり、Rは水素であり、yは2である]により表されるポリ(オキシアルキレン)ポリマーから調製されるポリエステルである。
【0110】
本開示の1つの実施形態において、重量でポリ(オキシアルキレン)ポリマーの主割合は繰返しオキシアルキレン基(OR)である。
【0111】
本開示の1つの実施形態において、ポリ(オキシアルキレン)ポリマーはポリエチレングリコール(PEG)である。ポリエチレングリコール(PEG)は式H(O-CHCH-)OHにより表すことができる。多くのポリエチレングリコール、並びにそのエーテル、及びそのエステルは市販されており、全て本開示の実施形態において使用されることが考えられる。
【0112】
ポリエチレングリコール(PEG)のようなポリアルキレングリコールの重量平均分子量(例えばM及びM)は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(即ち、サイズ排除クロマトグラフィー)により狭い分子量分布のポリ(オキシアルキレン)ポリマー(例えばポリエチレングリコール)を標準として用いて当技術分野で公知の技術で測定することができる。
【0113】
本開示の実施形態において、ポリアルキレングリコール(PAG)はポリアルキレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが少なくとも約20,000g/mol、又は少なくとも約30,000g/mol、又は少なくとも約40,000g/mol、又は少なくとも約50,000g/mol、又は少なくとも約60,000g/molであるようなxの値を有する。
【0114】
本開示の実施形態において、ポリアルキレングリコール(PAG)はポリアルキレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが約500,000g/mol、又は約450,000g/mol、又は約400,000g/mol、又は約350,000g/mol、又は約300,000g/molの上限を有するようなxの値を有する。
【0115】
本開示の実施形態において、ポリアルキレングリコール(PAG)はポリエチレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが約60,000g/mol~約500,000g/mol、又は約75,000g/mol~約500,000g/mol、又は約60,000g/mol~約450,000g/mol、又は約75,000g/mol~約450,000g/mol、又は約80,000g/mol~約500,000g/mol、又は約80,000g/mol~約450,000g/mol、又は約85,000g/mol~約500,000g/mol、又は約60,000g/mol~約400,000g/mol、又は約60,000g/mol~約350,000g/mol、又は約70,000g/mol~約400,000g/mol、又は約70,000g/mol~約350,000g/mol、又は約100,000g/mol~約350,000g/mol、又は約150,000g/mol~約350,000g/mol、又は約200,000g/mol~約350,000g/mol、又は約250,000g/mol~約350,000g/molであるようなxの値を有する。
【0116】
本開示の実施形態において、ポリアルキレングリコール(PAG)はポリアルキレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが20,000g/mol未満、又は15,000g/mol未満、又は10,000g/mol未満、又は5,000g/mol未満であるようなxの値を有する。
【0117】
本開示の実施形態において、ポリアルキレングリコール(PAG)はポリアルキレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが約200g/mol~約20,000g/mol、又は約400g/mol~約15,000g/mol、又は約400g/mol~約10,000g/mol、又は約400g/mol~約7,500g/mol、又は約400g/mol~約5,000g/molであるようなxの値を有する。
【0118】
本開示の実施形態において、ポリアルキレングリコール(PAG)はポリアルキレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが約1,000g/mol~約20,000g/mol、又は約2,000g/mol~約20,000g/mol、又は約1,000g/mol~約15,000g/mol、又は約2,000g/mol~約15,000g/mol、又は約1,000g/mol~約10,000g/mol、又は約2,000g/mol~約10,000g/molであるようなxの値を有する。
【0119】
本開示の実施形態において、ポリアルキレングリコール(PAG)はポリアルキレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが約10,000g/mol~約50,000g/mol、又は約15,000g/mol~約50,000g/mol、又は約20,000g/mol~約50,000g/mol、又は約25,000g/mol~約50,000g/mol、又は約20,000g/mol~約40,000g/mol、又は約25,000g/mol~約35,000g/mol、又は約15,000g/mol~約35,000g/mol、又は約15,000g/mol~約30,000g/mol、又は約15,000g/mol~約25,000g/molであるようなxの値を有する。
【0120】
本開示の実施形態において、ポリエチレングリコール(PEG)はポリエチレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが少なくとも約20,000g/mol、又は少なくとも約30,000g/mol、又は少なくとも約40,000g/mol、又は少なくとも約50,000g/mol、又は少なくとも約60,000g/molであるようなxの値を有する。
【0121】
本開示の実施形態において、ポリエチレングリコール(PEG)はポリエチレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが約500,000g/mol、又は約450,000g/mol、又は約400,000g/mol、又は約350,000g/mole、又は約300,000g/molの上限を有するようなxの値を有する。
【0122】
本開示の実施形態において、ポリエチレングリコール(PEG)はポリエチレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが約60,000g/mol~約500,000g/mol、又は約75,000g/mol~約500,000g/mol、又は約60,000g/mol~約450,000g/mol、又は約75,000g/mol~約450,000g/mol、又は約80,000g/mol~約500,000g/mol、又は約80,000g/mol~約450,000g/mol、又は約85,000g/mol~約500,000g/mol、又は約60,000g/mol~約400,000g/mol、又は約60,000g/mol~約350,000g/mol、又は約70,000g/mol~約400,000g/mol、又は約70,000g/mol~約350,000g/mol、又は約100,000g/mol~約350,000g/mol、又は約150,000g/mol~約350,000g/mol、又は約200,000g/mol~約350,000g/mol、又は約250,000g/mol~約350,000g/molであるようなxの値を有する。
【0123】
本開示の実施形態において、ポリエチレングリコール(PEG)はポリエチレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが20,000g/mol未満、又は15,000g/mol未満、又は10,000g/mol未満、又は5,000g/mol未満であるようなxの値を有する。
【0124】
本開示の実施形態において、ポリエチレングリコール(PEG)はポリエチレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが約200g/mol~約20,000g/mol、又は約400g/mol~約15,000g/mol、又は約400g/mol~約15,000g/mol、又は約400g/mol~約10,000g/mol、又は約400g/mol~約7,500g/mol、又は約400g/mol~約5,000g/molであるようなxの値を有する。
【0125】
本開示の実施形態において、ポリエチレングリコール(PEG)はポリエチレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが約1,000g/mol~約20,000g/mol、又は約2,000g/mol~約20,000g/mol、又は約1,000g/mol~約15,000g/mol、又は約2,000g/mol~約15,000g/mol、又は約1,000g/mol~約10,000g/mol、又は約2,000g/mol~約10,000g/molであるようなxの値を有する。
【0126】
本開示の実施形態において、ポリエチレングリコール(PEG)はポリエチレングリコールポリマーの重量平均分子量Mが約10,000g/mol~約50,000g/mol、又は約15,000g/mol~約50,000g/mol、又は約20,000g/mol~約50,000g/mol、又は約25,000g/mol~約50,000g/mol、又は約20,000g/mol~約40,000g/mol、又は約25,000g/mol~約35,000g/mol、又は約15,000g/mol~約35,000g/mol、又は約15,000g/mol~約30,000g/mol、又は約15,000g/mol~約25,000g/molであるようなxの値を有する。
【0127】
本開示の1つの実施形態において、ポリエチレングリコール(PEG)は少なくとも20,000g/mol、又は少なくとも25,000g/molの重量平均分子量を有する。
【0128】
本開示の1つの実施形態において、ポリエチレングリコール(PEG)は約20,000g/mol~約50,000g/molの重量平均分子量を有する。
【0129】
本開示の実施形態において、ポリエチレングリコール(PEG)は約100,000g/mol~約500,000g/mol、又は約150,000g/mol~約450,000g/mol、又は約200,000g/mol~約400,000g/molの重量平均分子量を有する。
【0130】
本開示の1つの実施形態において、商標carboで市販されているポリエチレングリコール(PEG)はポリマー加工助剤として使用される。
【0131】
本開示の1つの実施形態において、商標CARBOWAX(登録商標)又はPLURIOL(登録商標)で市販されているポリエチレングリコール(PEG)はポリマー加工助剤として使用される。
【0132】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリアルキレングリコールを含む。
【0133】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含む。
【0134】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、ここで第1のポリエチレングリコールは10,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールは25,000g/molより大きい重量平均分子量Mを有する。
【0135】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、ここで第1のポリエチレングリコールは25,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールは少なくとも25,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0136】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、ここで第1のポリエチレングリコールは25,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールは少なくとも250,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0137】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、ここで第1のポリエチレングリコールは10,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールは少なくとも250,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0138】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、ここで第1のポリエチレングリコールは約2,000~約10,000g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールは約25,000~約350,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0139】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、ここで第1のポリエチレングリコールは約2,000~約10,000g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールは約15,000~約50,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0140】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、ここで第1のポリエチレングリコールは約2,000~約10,000g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールは約15,000~約25,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0141】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、ここで第1のポリエチレングリコールは約2,000~約10,000g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールは約25,000~約50,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0142】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、ここで第1のポリエチレングリコールは約2,000~約10,000g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールは約250,000~約350,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0143】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、ここで第1のポリエチレングリコールは10,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールは10,000g/molより大きい重量平均分子量Mを有する。
【0144】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、ここで第1のポリエチレングリコールは約10,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールは少なくとも約50,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0145】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mwの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、少なくとも2種のポリエチレングリコール間の重量平均分子量Mの差は範囲内に包含されるあらゆる部分範囲及び範囲内のあらゆる値を含めて2:1~100,000:1の範囲である。例えば、本開示の実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、少なくとも2種のポリエチレングリコール間の重量平均分子量Mの差は5:1~100,000:1、又は2:1~1000:1、又は5:1~1000:1、又は2:1~500:1、又は5:1~500:1、又は2:1~100:1、又は5:1~100:1の範囲である。
【0146】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを含み、異なるMの少なくとも2種のポリエチレングリコールは、範囲内に包含されるあらゆる部分範囲及び範囲内のあらゆる値を含めて1:99~99:1のモル比で存在する。例えば、本開示の実施形態において、ポリマー加工助剤は異なる重量平均分子量Mの少なくとも2種のポリエチレングリコールを5:95~95:5、又は10:90~90:10、又は20:80~80:20、又は25:75~75:25、又は35:65~65:35、又は40:60~60:40、又は約50:50のモル比で含む。
【0147】
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤(PPA)として使用されるポリアルキレングリコール(PAG)の量又はポリエチレングリコール(PEG)の量は(線状ポリエチレンのような熱可塑性ポリオレフィンの重量を基準にして)範囲内のあらゆる部分範囲及び範囲内のあらゆる値を含めて重量で100~5,000百万分率である。所与の押出プロセスに対して更に最適化されたPPA添加レベル及び範囲は当業者が容易に決定できる。例えば、ある特定の実施形態において、ポリマー加工助剤(PPA)として使用されるポリアルキレングリコール(PAG)の量又はポリエチレングリコール(PEG)の量は(線状ポリエチレンのような熱可塑性ポリオレフィンの重量を基準にして)重量で100~4,000百万分率、又は重量で100~3,000百万分率、又は重量で200~3,000百万分率、又は重量で100~2,000百万分率、又は重量で200~2,000百万分率、又は重量で300~2,000百万分率、又は重量で400~2,000百万分率、又は重量で200~1,500百万分率、又は重量で300~1,500百万分率、又は重量で400~1,500部、又は重量で200~1,200部、又は重量で300~1,200百万分率、又は重量で400~1,200百万分率である。
【0148】
本開示の1つの実施形態において、ポリアルキレングリコール(PAG)又はポリエチレングリコール(PEG)は、PAG又はPEGを含有するマスターバッチ製剤を用いて熱可塑性ポリオレフィン(例えば線状ポリエチレン)に加える。用語マスターバッチは当業者に周知である。一般に、用語「マスターバッチ」は、添加剤、例えばPEGを少量の所与の熱可塑性樹脂(例えば線状ポリエチレン)との最初の溶融混合と、それに続く、得られた「マスターバッチ」と熱可塑性樹脂(例えば線状ポリマー)の残りのバルクとのブレンド(例えば溶融混合又はドライブレンド)の実施をいう。
【0149】
本開示の実施形態において、約0.1~約15.0重量パーセント、又は約0.5~約15.0重量パーセント、又は約0.5~約10.0重量パーセント、又は約0.1~約10.0重量パーセント、又は約0.1~約7.5重量パーセント、又は約0.5~約7.5重量パーセント又は約0.5~約5.0重量パーセント、又は約0.1~約5.0重量パーセント、又は約1.0~約15.0重量パーセント、又は約1.0~約5.0重量パーセント、又は約1.0~約7.5重量パーセント、又は約1.0~約5.0重量パーセント、又は約0.1~約2.5重量パーセント、又は約0.5~約2.5重量パーセントのマスターバッチをバルクのポリマーとのブレンドに使用する(マスターバッチの重量パーセントはマスターバッチとバルクのポリマーの合わせた重量を基準とする)。
【0150】
本開示の実施形態において、(例えば線状ポリエチレンの)マスターバッチは範囲内の部分範囲及び範囲内のあらゆる数を含めて(マスターバッチの重量を基準にして)重量で500~50,000百万分率の範囲の量のPAG又はPEGを含有し得る。例えば、本開示の更なる実施形態において、マスターバッチは(マスターバッチの重量を基準にして)重量で500~40,000ppm、又は500~35,000ppm、又は500~40,000ppm、又は500~25,000ppm、又は1,000~40,000ppm、又は1,000~35,000ppm、又は1,000~30,000ppm、又は1,000~25,000百万分率、又は5,000~25,000ppm、又は1,000~20,000ppm、又は2,000~20,000ppm、又は3,000~20,000、又は4,000~20,000ppm、又は5,000~20,000ppm、又は5,000~17,500、又は5,000~15,000又は5,000~12,500ppm、又は2,500~15,000ppm、又は5,000~15,000ppm、又は7,500~15,000ppm、又は7,500ppm~12,500ppm、又は5,000~50,000ppm、又は7,500~50,000ppm、又は10,000~50,000ppm、又は10,000~35,000ppm、又は10,000~25,000ppm、又は5,000~35,000ppm、又は5,000~30,000ppm、又は5,000~25,000ppm、又は15,000~30,000ppm、又は17,500~27,500ppm、又は20,000~25,000ppmの範囲の量のPAG又はPEGを含有し得る。
【0151】
ポリマー加工助剤(PPA)として使用されるポリアルキレングリコール又はポリエチレングリコールは半固体若しくは粘稠な液体の形態で、又は粉末、ペレット、若しくは顆粒として使用し得る。
【0152】
高圧低密度ポリエチレン(LDPE)
本開示の1つの実施形態において、ポリマー加工助剤は高圧低密度ポリエチレンLDPEを含む。
【0153】
本開示において、高圧低密度ポリエチレン(LDPE)はエチレンホモポリマーであり、エチレンのフリーラジカル単独重合により調製される。
【0154】
理論により縛られることは望まないが、LDPEは高い程度のいわゆる長鎖の分岐(主要なポリマー骨格と同じくらい長くてもよい)を有し、これがLDPEに線状でない微細構造を付与する。従って、高圧低密度ポリエチレン(LDPE)は、以下で更に記載するように、エチレン重合触媒を用いて作成され、線状ポリマー微細構造を有する線状ポリエチレンと区別される。本開示で使用される高圧低密度ポリエチレンLDPEの更なる記載は2005年3月18日創刊、Kirk-Othmer化学技術百科事典(the Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)のNorma Maraschinによる「低密度ポリエチレン(polyethylene,low density)」と題する章に見られ、その記載は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0155】
本開示の実施形態において、高圧低密度ポリエチレン(LDPE)は管型反応器又はオートクレーブ反応器で調製される。
【0156】
管型反応器は連続モード且つ高い圧力及び温度で作動する。管型反応器の典型的な作動圧力は2000~3500バールである。作動温度は140~340℃の範囲であることができる。反応器は大きい長さ対直径の比(例えば、400~40,000)を有するように考案され、細長いコイルの形状をとる多数の反応ゾーンを有し得る。最適な熱伝達を提供するために高いガス速度(少なくとも10m/s)が使用される。多ゾーン系に対する変換率は典型的には。1回のパスに付き22~30%であるが36~40%ほどに高いことができる。管型反応器は異なる温度を有する異なる反応ゾーンへのモノマー又は開始剤の添加のための多数の注入点を有し得る。
【0157】
オートクレーブ反応器は2~20の長さ対直径の比を有し得、単一段階又は多段階であり得る。典型的には、低温のエチレンは高温の反応ゾーンに通され、変換率は入ってくるエチレンガスとオートクレーブ反応器の温度との温度差により制御され得る。変換率は通常オートクレーブ反応器では、重合熱を除去する能力がより高い管型反応器より低く、1回のパスに付き23%以下である。オートクレーブ反応器に対する典型的な作動圧力は1,100~2,000バールである。平均の作動温度は220~300℃であるが、温度は340℃ほど高いことができる。
【0158】
広範な開始剤を各々の型の反応器で使用してエチレンのフリーラジカル重合を開始させ得る。開始剤には酸素又は1種以上の有機過酸化物、例えば限定されないがジ-tert-ブチルペルオキシド、クミルペルオキシド(cumuyl peroxide)、tert-ブチル-ペルオキシピバラート、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、ペルオキシピバル酸tert-アミル、tert-ブチル-ペルオキシ-2-エチルヘキサノアート、及び過酸化デカノイルが含まれ得る。連鎖移動試薬も各々の型の反応器でポリマーメルトインデックスを制御するのに使用し得る。連鎖移動試薬には限定されることはないがプロパン、n-ブタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレン、1-ブテン、及びイソブチレンが含まれる。
【0159】
本開示の実施形態において、LDPEは範囲内の部分範囲又は範囲内のあらゆる値を含めて約0.910g/cm~約0.940g/cmの密度を有する。例えば、本開示の実施形態において、LDPEは約0.914g/cm~約0.930g/cm、又は約0.916g/cm~約0.930g/cm、又は約0.920g/cm~約0.940g/cm、又は約0.920g/cm~約0.930g/cmの密度を有する。
【0160】
複数の実施形態において、本開示で使用されるLDPEは0.1~20.0g/10分、又は0.1~15.0g/10分、又は0.1~10.0g/10分のメルトインデックスIを有する。
【0161】
複数の実施形態において、本開示で使用されるLDPEは少なくとも1.0g/10分、又は少なくとも2.0g/10分、又は少なくとも2.5g/10分、又は少なくとも3.0g/10分のメルトインデックスIを有する。
【0162】
複数の実施形態において、本開示で使用されるLDPEは1.0~10.0g/10分、又は1.5~10.0g/10分、又は2.0~10g/10分、又は2.5~10.0g/10分、又は3.0~10.0g/10分、又は3.5~10.0g/10分、又は4.0~10.0g/10分、又は2.5~9.0g/10分、又は2.5~8.5g/10分、又は2.5~8.0g/10分、又は3.0~9.0g/10分、又は3.0~8.5g/10分、又は3.0~8.0g/10分、又は3.5~9.0g/10分、又は3.5~8.5g/10分、又は3.5~8.0g/10分、又は4.0~9.0g/10分、又は4.0~8.5g/10分又は4.0~8.0g/10分のメルトインデックスIを有する。
【0163】
複数の実施形態において、本開示で使用されるLDPEは1.0g/10分未満のメルトインデックスIを有する。かかるLDPEは「frac melt」LDPE材料といわれ得る。更なる実施形態において、本開示で使用されるLDPEは0.01~1.0g/10分、又は0.01~1.0g/10分未満のメルトインデックスIを有する。
【0164】
本開示の実施形態において、高圧低密度ポリエチレン(LDPE)は異なる密度及び/又は異なるメルトインデックスIを有するLDPE材料のブレンドである。
【0165】
1つの実施形態において、低密度ポリエチレンLDPEは管型反応器で作成されたLDPE及びオートクレーブ反応器で作成されたLDPEのブレンドである。
【0166】
1つの実施形態において、LDPEポリマーブレンドは異なる高圧LDPE(例えば管型反応器で生成したLDPEとオートクレーブ反応器で生成したLDPE)を物理的にブレンドすることにより調製される。物理的にブレンドするとは、2以上の個々のエチレンホモポリマーが重合反応ゾーンから取り出された後混合されるプロセスを含むことを意図する。個々のLDPEの物理的なブレンドは、ドライブレンド(例えばタンブルブレンド)、押出ブレンド(同時押出)、溶液ブレンド、メルトブレンド又はその他当業者に公知のあらゆる類似のブレンド技術により達成し得る。
【0167】
分子量分布(MWD)ともいわれる多分散性M/Mは重量平均分子量Mを数平均分子量Mで割った値として定義される。LDPEのMWDは、本開示の実施形態において、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)-粘度測定法により決定され得る。GPC-粘度測定技術はASTM D6474-99の方法に基づき、デュアル屈折計/粘度計検出器システムを使用してポリマーサンプルを分析する。この手法は固有粘度のオンライン定量を可能にし、当業者に周知である。
【0168】
本開示の実施形態において、LDPEは約5.0より大きいMWDを有する。本開示の実施形態において、LDPEは約8.0~約30.0のMWDを有する。
【0169】
LDPE又はそのブレンドの分子量は更に単峰性、二峰性又は多峰性として記載することができる。用語「単峰性」を使用することにより、分子量分布が分子量分布曲線において1つだけ最大を有することができるということを意味する。分子量分布曲線はASTM D6474-99の方法に従って作成することができる。用語「二峰性」を使用することにより、分子量分布が分子量分布曲線において2つの極大を有するということができることを意味する。用語「多峰性」はかかる曲線における2つより多くの極大の存在を意味する。
【0170】
本開示の実施形態において、使用されるLDPEは単峰性、二峰性又は多峰性の分子量分布を有する。
【0171】
本開示の1つの実施形態において、使用されるLDPEは管型反応器で作成され、多峰性の分子量分布を有する。
【0172】
本開示の実施形態において、使用されるLDPEはオートクレーブ反応器で作成され、二峰性又は多峰性の分子量分布を有する。
【0173】
本開示の1つの実施形態において、LDPEのブレンドが使用され、そのブレンドは多峰性の分子量分布を有する。
【0174】
本開示の実施形態においてLDPEを安定化するための酸化防止剤パッケージは、当技術分野で周知であり、フェノール系及びホスファイト化合物を含み得る。本開示の実施形態においてLDPEに加え得るフェノール系及びホスファイト安定剤の2つの非限定例はそれぞれ商品名IRGANOX(登録商標)1076及びIRGAFOS(登録商標)168として販売されている。フェノール系化合物は時に「一次」酸化防止剤といわれることがある。ホスファイト化合物は時に「二次」酸化防止剤といわれることがある。
【0175】
本開示の実施形態において、LDPE中に存在する酸化防止剤のレベルは(LDPEの重量を基準にして)重量で0~2,000百万分率、ppmである。更なる実施形態において、LDPE中に存在する酸化防止剤の量は(LDPEの重量を基準にして)重量で0~1000ppm、又は0~500ppm、又は0~300ppmである。
【0176】
本開示の実施形態において、LDPEは粉末、ペレット、顆粒の形態で、又はその他あらゆる押出可能な形態で使用し得る。
【0177】
本開示において、ポリマー加工助剤として使用されるLDPEの量はバルクの熱可塑性ポリオレフィン材料(例えば線状ポリエチレン)の重量に対して比較的低い。従って、本開示の実施形態において、LDPEは範囲内の部分範囲及び範囲内のあらゆる値を含めてLDPE及びバルクの熱可塑性ポリオレフィン(例えば線状ポリオレフィン)の総重量の1.0~25.0重量パーセントとなる量で使用される。例えば、本開示の実施形態において、LDPEの量はLDPE及び熱可塑性ポリオレフィン(例えば線状ポリエチレン)の総重量の1.0~20.0重量パーセント、又は3.0~20.0重量パーセント、又は5.0~20.0重量パーセント、又は5.0~15.0重量パーセント、又は5.0~12.5重量パーセント、又は7.5~12.5重量パーセント、又は7.5~15.0重量パーセント、又は7.5~20.0重量パーセント、又は3.0~17.5重量パーセント、又は3.0~15.0重量パーセント、又は3.0~12.5重量パーセント、又は2.5~20.0重量パーセント、又は2.5~15.0重量パーセント、又は2.5~12.5重量パーセント、又は0より大きく20.0重量パーセントまで、又は0より大きく15.0重量パーセントまで、又は0より大きく12.5重量パーセントまでを構成する。
【0178】
熱可塑性ポリオレフィン(例えば線状ポリエチレン)
本開示は一般に押出可能な熱可塑性ポリオレフィンに有用であるが、1つの実施形態において、本開示は線状ポリエチレンの押出を改良するのに特によく適している。
【0179】
本開示の1つの実施形態において、押出可能な又は押出された熱可塑性組成物(「押出物」)は線状ポリエチレン;ポリエチレングリコールのような少なくとも1種のポリアルキレングリコール;及びLDPEを含むが、フルオロエラストマー、フルオロポリマー、及び他の全フッ素置換されたアルカン誘導体を実質的に含まない。
【0180】
本開示の代替的実施形態において、押出可能な又は押出された熱可塑性組成物(「押出物」)は線状ポリエチレン;2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール;15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールを含むが、フルオロエラストマー、フルオロポリマー、及びその他の全フッ素置換されたアルカン誘導体を実質的に含まない。
【0181】
「実質的に含まない」とは、フルオロエラストマー、フルオロポリマー、及びその他の全フッ素置換されたアルカン誘導体が、溶融押出プロセス中熱可塑性組成物のメルト欠陥(例えばメルトフラクチャー)性能を改良することができる量未満の量で存在することを意味する。本開示の実施形態において、フルオロエラストマー、フルオロポリマー、及びその他の全フッ素置換されたアルカン誘導体は押出可能な又は押出された熱可塑性組成物の約1重量パーセント未満、又は約0.5重量パーセント未満、又は0.1重量パーセント未満、又は500百万分率未満、又は100ppm未満、又は90ppm未満、又は75ppm未満、又は50ppm未満、又は25ppm未満、又は10ppm未満、又は約0重量パーセント、又は約0ppmである。
【0182】
本開示の1つの実施形態において、押出可能な又は押出された熱可塑性組成物(「押出物」)中の主要又は優勢な成分は線状ポリエチレンである。複数の実施形態において、かかる「押出物」は線状ポリエチレンを押出物組成物の少なくとも約70重量%、又は少なくとも約75重量%、又は少なくとも約80重量%、又は少なくとも約85重量%の量で含む。
【0183】
押出可能な又は押出された熱可塑性組成物(「押出物」)は、本開示の実施形態において、1種より多くの異なる種類の線状ポリエチレンの混合物を含み得る。
【0184】
線状ポリエチレンは、(大量の長鎖の分岐の存在のおかげで)分岐ポリマー微細構造を有する高圧低密度ポリエチレンLDPEと違っており、高圧フリーラジカル重合プロセスで作成される。線状ポリエチレンは遷移金属ベースのオレフィン重合触媒を用いて作成され、線状ポリマー微細構造を有する。
【0185】
線状ポリエチレンの調製に使用されるオレフィン重合触媒は当技術分野でよく知られている:線状ポリエチレンはいわゆるシングルサイト重合触媒、又はマルチサイト重合触媒を用いて作成することができる。Ziegler-Natta触媒及びPhillips(クロムベースの)触媒のようなマルチサイト重合触媒は当業者に周知である。メタロセン触媒、幾何拘束型触媒、ホスフィンイミン触媒、及び四座配位子を有する触媒のようなシングルサイト触媒も当業者に周知である。
【0186】
線状ポリエチレンには、米国特許第3,645,992号に記載されているような均一に分岐した線状のエチレンポリマー;米国特許第4,076,698号に記載されているような不均一に分岐した線状のエチレンポリマー;及び米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号、同第5,582,923号、及び同第5,733,155号に記載されている、長鎖の分岐(しかしLDPEより少ない長鎖の分岐)を含有し、時に「実質的に線状のエチレンポリマー」といわれることがある均一に分岐した線状のエチレンポリマー;及び/又はこれらのブレンドが含まれる。
【0187】
用語「均一に分岐した」とは、α-オレフィンコモノマーがコポリマー分子内にランダムに分布しており、実質的に全てのコポリマー分子が同じエチレン-対-α-オレフィンモノマー比を有する線状のエチレンコポリマーを意味し、当該エチレンコポリマーは、例えば、約50重量パーセントより大きく、又は一部の実施形態においては約75重量パーセントより大きい、又は約80重量パーセントより大きい、又は約90重量パーセントより大きい組成分布指数CDBI50により示されるように比較的狭い短鎖分岐分布により特徴付けられる。均一に分岐したエチレンコポリマーは一般にシングルサイトオレフィン重合触媒を用いて調製される。
【0188】
用語「不均一に分岐した」は本明細書で、例えば、約75重量パーセント未満、又は一部の実施形態においては約50重量パーセント未満の組成分布指数CDBI50により示されるように比較的広い短鎖分岐分布により特徴付けられる線状のエチレンコポリマーを指して使用されている。不均一に分岐したエチレンコポリマーは一般にマルチサイトオレフィン重合触媒を用いて調製される。
【0189】
本開示の実施形態において、線状ポリエチレンは一般式CH=CHR[式中のRは水素又はアルキル基である]を有する重合した単位を含むエチレンホモポリマー及びコポリマーから選択される。本開示の実施形態において、Rは10個以下の炭素原子を有する炭化水素基である。本開示の他の実施形態において、Rは1~6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、例えばフェニル基(即ちアルファオレフィンとしてのスチレン)のような芳香族の基、又はn-ヘキシル基(即ちアルファオレフィンとしての1-オクテン)であり得る。
【0190】
本開示の実施形態において、線状ポリエチレンはエチレンホモポリマー又はエチレンコポリマーである。
【0191】
本開示の実施形態において、エチレンコポリマーは重合したエチレン及びC~C12アルファオレフィンを含む群から選択される1種又は1種より多くの重合したアルファオレフィンを含む。
【0192】
本開示の実施形態において、エチレンコポリマーは重合したエチレン及びC~C12アルファオレフィンを含む群から選択される1種又は1種より多くの重合したアルファオレフィンを含み、重合したエチレンはエチレンコポリマーの少なくとも85重量パーセントを占める。
【0193】
本開示の実施形態において、エチレンコポリマーは重合したエチレン及びC~C12アルファオレフィンを含む群から選択される1種又は1種より多くの重合したアルファオレフィンを含み、重合したエチレンはエチレンコポリマーの少なくとも90重量パーセントを含む。
【0194】
本開示の実施形態において、エチレンコポリマーは重合したエチレン及びプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、4-メチル-1-ペンテン、及び1-オクタデセンを含む群から選択される1種又は1種より多くの重合したアルファオレフィンを含む。
【0195】
本開示の実施形態において、エチレンコポリマーは重合したエチレン及び1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンを含む群から選択される1種又は1種より多くの重合したアルファオレフィンを含む。
【0196】
本開示の実施形態において、エチレンコポリマーは重合したエチレン並びに1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンを含む群から選択される1種又は1種より多くのアルファオレフィンを含み、重合したエチレンはエチレンコポリマーの少なくとも85重量パーセントを占める。
【0197】
本開示の実施形態において、エチレンコポリマーは重合したエチレン並びに1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンを含む群から選択される1種又は1種より多くの重合したアルファオレフィンを含み、重合したエチレンはエチレンコポリマーの少なくとも90重量パーセントを占める。
【0198】
線状ポリエチレンは1種以上のオレフィン重合触媒を用いることにより、気相重合、スラリー相重合又は溶液相重合のような任意の従来公知の方法で調製し得る。
【0199】
気相重合法において、遷移金属重合触媒は適切な担体物質に固定化し得、得られる微粒子状の触媒を流動床重合法で使用し得る。一般に、流動床気相重合反応器はモノマー及び他の少なくとも部分的に気体状である任意選択の成分の流れにより流動化されるポリマー及び触媒粒子の「床」を使用する。熱は床を通って流れるモノマー(及び任意選択のコモノマー(単数又は複数))の重合のエンタルピーにより作成する。未反応のモノマー及び他の任意選択の気体状成分は流動床を出、この熱を除去するために冷却系と接触する。モノマー、及び任意選択の他の成分(例えば凝縮可能な液体)を含む冷却された気体流は次いで、「構成」モノマーと一緒に重合ゾーンを通って再循環されて先のパスで重合したものと置き換わる。同時に、ポリマー生成物が反応器から抜き出される。当業者には了解されるように、重合床の「流動化された」性質は反応の熱を均等に分配/混合することにより局部的な温度勾配の形成を最小にする助けになる。
【0200】
複数の実施形態において、気相プロセスの反応器圧力はほぼ大気圧~約600Psigで変化し得る。別の実施形態において、圧力は約100psig(690kPa)~約500psig(3448kPa)の範囲であることができる。更に別の実施形態において、圧力は約200psig(1379kPa)~約400psig(2759kPa)の範囲であることができる。また更に別の実施形態において、圧力は約250psig(1724kPa)~約350psig(2414kPa)の範囲であることができる。
【0201】
スラリー相重合法において、遷移金属重合触媒は適切な担体物質に固定化し得、得られる微粒子状の触媒をスラリー相重合プロセスに使用し得る。スラリー相重合プロセスはアルカン(例えばイソアルカンを含む)、芳香族又はシクロアルカンのような炭化水素希釈剤の存在下で行われる。希釈剤はまた共重合に使用されるアルファオレフィンコモノマーであってもよい。幾つかの非限定アルカン希釈剤にはプロパン、ブタン(即ちノルマルブタン及び/又はイソブタン)、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン及びオクタンが含まれる。モノマーは希釈剤に可溶性(又はそれと混和性)であり得るが、ポリマーは(重合条件下で)そうではない。複数の実施形態において、重合温度は約5℃~約200℃、又は約120℃未満、又は約10℃~約100℃である。反応温度は、エチレン又はアルファオレフィンのホモポリマー又はコポリマーが固体粒子の形態で生成するように選択される。反応圧力は希釈剤及び反応温度の選択に影響される。例えば、複数の実施形態において、圧力はイソブタンを希釈剤として使用したときの15~45気圧(約220~660psi又は約1500~約4600kPa)からプロパンを使用したときのおよそ二倍(即ち30~90気圧-約440~1300psi又は約3000-9100kPa)までの範囲であり得る。スラリー法での圧力はエチレン及び/又はアルファオレフィンの少なくとも一部が液体相で重合するように充分に高く保たれなければならない。反応は典型的には、内部撹拌機(例えば羽根車)及び少なくとも1つの沈降脚を有するジャケット付き閉鎖型ループ反応器で行われる。触媒、モノマー及び希釈剤は液体又は懸濁液として反応器に供給される。スラリーは反応器を通って循環し、ジャケットを使用して反応器の温度を制御する。一連のレットダウンバルブを通ってスラリーは沈降脚に入り、次いで圧力が下がって希釈剤及び未反応のモノマーをフラッシュし、ポリマーを一般にサイクロンで回収する。希釈剤及び未反応のモノマーは回収され、リサイクルされて反応器に戻される。
【0202】
エチレン及びアルファオレフィンのようなオレフィンの重合又は共重合のための溶液重合法は当技術分野で周知である。溶液プロセスは一般に得られるポリオレフィンが使用する重合条件下で可溶性である不活性な炭化水素溶媒の存在下で行われる。本開示の1つの実施形態において、溶液相重合プロセスで使用される溶媒は非置換でもC1~4アルキル基により置換されていてもよいC5~12炭化水素からなる群から選択され、ペンタン、メチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及び水素添加ナフサのような炭化水素溶媒が含まれる。本開示の実施形態において使用するのに適しており、市販されている溶媒の別の例は「Isopar E」(C8~12脂肪族溶媒、Exxon Chemical Co.)である。従来の溶液プロセスの重合温度は約80℃~約300℃であり得る。本開示の1つの実施形態において、溶液プロセスの重合温度は約120℃から約250℃である。溶液プロセスにおける重合圧力は「中圧法」でよく、反応器内の圧力は約6,000psi(約42,000キロパスカル又はkPa)未満であることを意味する。本開示の1つの実施形態において、溶液プロセスにおける重合圧力は約10,000~約40,000kPa、又は約14,000~約22,000kPa(即ち約2,000psi~約3,000psi)であり得る。
【0203】
溶液重合において、モノマーは反応器に供給される前に溶媒に溶解/分散する(又は気体状のモノマーの場合モノマーは反応混合物に溶解するように反応器に供給され得る)。混合する前に、溶媒及びモノマーは一般に水、酸素又は金属不純物のような潜在的な触媒毒を除去するために精製される。フィードストックの精製は当技術分野の標準的な実施に従い、例えばモレキュラーシーブ、アルミナ床及び酸素除去触媒がモノマーの精製に使用される。溶媒自体(例えばメチルペンタン、シクロヘキサン、ヘキサン又はトルエン)も同様に処理し得る。
【0204】
フィードストックは反応器に供給する前に加熱又は冷却され得る。
【0205】
一般に、オレフィン重合触媒成分(例えばオレフィン重合触媒分子、イオン性活性化剤及び場合によりアルキルアルミノキサン)は反応のための溶媒に予め混合してもよいし、又は別個の流れとして溶液相重合反応器に供給してもよい。幾つかの場合、予め混合することは反応に入る前に触媒成分の反応時間を提供するので望ましいであろう。かかる「インライン混合」技術は米国特許第5,589,555号に記載されている。
【0206】
溶液相重合プロセスは1つ以上の撹拌槽反応器(例えば連続撹拌槽反応器)、ループ反応器などで行うことができ、これらの反応器は互いに直列又は並列に構成することができる。
【0207】
本開示の実施形態において使用される周知の線状ポリエチレンの例には、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び超低密度ポリエチレン(VLDPE)が含まれる。
【0208】
本開示において、高密度ポリエチレン(HDPE)はエチレンホモポリマー又は(例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、及び/又は1-オクテンのような)別のアルファオレフィンとのエチレンコポリマーであり、約0.949g/cm以上の密度を有する。複数の実施形態において、HPDEは少なくとも0.950g/cm、又は少なくとも0.951g/cm、又は少なくとも0.952g/cm、又は少なくとも0.953g/cmの密度を有するエチレンホモポリマー又は(例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、及び/又は1-オクテンのような)別のアルファオレフィンとのエチレンコポリマーである。複数の実施形態において、HPDEは約0.950g/cm~約0.970g/cm、又は約0.950g/cm~約0.965g/cmの密度を有するエチレンホモポリマー又は(例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、及び/又は1-オクテンのような)別のアルファオレフィンとのエチレンコポリマーである。
【0209】
本開示において、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)はエチレンホモポリマー又は(例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、及び/又は1-オクテンのような)別のアルファオレフィンとのエチレンコポリマーであり、範囲内の部分範囲又は範囲内のあらゆる値を含めて約0.910g/cm~約0.940g/cmの密度を有する。本開示の実施形態において、LLDPEは0.910~0.936g/cm、又は0.912~0.936g/cm、又は0.910~0.932g/cm、又は0.912~0.932g/cmの密度を有する。
【0210】
本開示において、中密度ポリエチレン(MDPE)は(例えば、1-ブテン、1-ヘキセン、及び/又は1-オクテンのような)別のアルファオレフィンとのエチレンコポリマーであり、範囲内の部分範囲又は範囲内のあらゆる値を含めて約0.940g/cm~約0.949g/cmの密度を有する。
【0211】
本開示において、超低密度ポリエチレンは別のアルファオレフィン(例えばプロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、及び/又は1-オクテン)とのエチレンコポリマーであり、約0.910g/cm未満の密度を有し、いわゆるエラストマー及びプラストマーを含み得る。複数の実施形態において、VLDPEは約0.880g/cm~約0.910g/cm、又は約0.880g/cm~約0.905g/cm、又は約0.880g/cm~約0.902g/cmの密度を有する(例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン 1-ヘキセン、及び/又は1-オクテンのような)別のアルファオレフィンとのエチレンコポリマーである。
【0212】
本開示の実施形態において、線状ポリエチレンは0.900~0.955g/cm、又は0.900~0.950g/cmの密度を有する。
【0213】
本開示の1つの実施形態において、線状ポリエチレンは線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0214】
使用する重合法及びオレフィン重合触媒の種類に応じて、本開示の実施形態において、線状ポリエチレンは範囲内のあらゆる部分範囲又は範囲内のあらゆる値を含めて少なくとも約10,000g/mol、及び約1,500,000g/mol以下の重量平均分子量Mを有し得る。例えば、更なる実施形態において、線状ポリエチレンは約50,000~約1,000,000g/mol、又は約100,000~約1,000,000g/mol、又は約75,000~約750,000g/mol、又は約100,000~約750,000g/mol、又は約75,000~約500,000g/mol、又は約100,000~約500,000g/mol、又は約50,000~約350,00g/mol、又は約75,000~約350,000g/mol、又は約100,000~約350,000g/mol、又は約50,000~約300,000g/mol、又は約75,000~約300,000g/mol、又は約100,000~約300,000g/mol、又は約50,000~約250,000g/mol、又は約75,000~約250,000g/mol、又は約100,000~約250,000g/molの重量平均分子量Mを有する。
【0215】
本開示の実施形態において、線状ポリエチレンは範囲内の部分範囲又は範囲内のあらゆる値を含めて約2.0~約12.0の分子量分布M/Mを有する。例えば、本開示の実施形態において、線状ポリエチレンは約2.0~約10.0、又は約2.0~約8.0、又は約2.0~約5.0のM/M値を有する。
【0216】
本開示の実施形態において、線状ポリエチレンはASTM D1238,Condition Eにより190℃で決定されるメルトインデックスIにより特徴付けられる。本開示の実施形態において、線状ポリエチレンは範囲内のあらゆる部分範囲又は範囲内のあらゆる値を含めて0.1~20.0g/10分のメルトインデックスIを有する。例えば、本開示の実施形態において、線状ポリエチレンは0.1~15.0g/10分、又は0.1~10.0g/10分、又は0.3~15.0g/10分、又は0.3~10.0g/10分、又は0.1~5.0g/10分又は0.3~5.0g/10分、又は0.5~15.0g/10分、又は0.5~10.0g/10分、又は0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有する。
【0217】
本開示の実施形態において、LLDPE、MDPE、HPDE、VLPDE及びこれらの混合物からなる群から選択される線状ポリエチレンは粉末、ペレット、顆粒の形態、又はその他あらゆる押出可能な形態で使用し得る。
【0218】
本開示の実施形態において、線状ポリエチレンはLLDPEである。
【0219】
本開示の実施形態において、線状ポリエチレンは0.1~10.0g/10分、又は0.5~5.0g/10分のメルトインデックスIを有するLLDPEである。
【0220】
本開示の1つの実施形態において、線状ポリエチレンは約0.910g/cm~約0.936g/cmの密度及び0.1~10.0g/10分のメルトインデックスIを有するLLDPEである。
【0221】
本開示の1つの実施形態において、線状ポリエチレンは約0.910g/cm~約0.936g/cmの密度及び0.1~5.0g/10分のメルトインデックスIを有するLLDPEである。
【0222】
本開示の実施形態において、線状ポリエチレンは範囲内の部分範囲又は範囲内のあらゆる値を含めて約2.0~約12.0の分子量分布M/Mを有するLLDPEである。例えば、本開示の実施形態において、LLDPEは約2.0~約10.0、又は約2.0~約8.0、又は約2.0~約5.0のM/M値を有する。
【0223】
本開示の一部の実施形態において、線状ポリエチレンは3.0重量パーセント(wt%、線状ポリマー及びLDPEの総重量を基準にして)未満と定義される少量の、約1.0g/10分未満のメルトインデックスを有する高圧低密度ポリエチレンLDPEを含む。本開示の一部の実施形態において、均一に分岐した線状ポリエチレンは3.0重量パーセント(wt%、線状ポリマー及びLDPEの総重量を基準にして)未満と定義される少量の、約1.0g/10分未満のメルトインデックスを有する高圧低密度ポリエチレンLDPEを含む。理論により縛られることは望まないが、約1.0g/10分未満のメルトインデックスを有する少量のLDPEの存在は様々な最終用途に有用であり得る。
【0224】
本開示は、パイプ又は異形の部品のような押出部品が溶融したプラスチックを成形ダイに通して押出することにより調製される)異形押出及びフィルム押出(プラスチックフィルムが溶融したプラスチックをスリット又は環状ダイに通して押出することにより調製される)のような広範な押出プロセスにおける熱可塑性組成物の押出に関する。
【0225】
本開示の1つの実施形態において、例えば、「インフレーションフィルム」押出プロセスのようなフィルム押出プロセスが使用される。かかるインフレーションフィルム押出プロセスは後に実施例欄でより詳細に記載する。
【0226】
フィルム用途の場合、本開示の1つの実施形態において、透明又は比較的透明な押出フィルムを作成するためにポリオレフィン(例えば線状ポリエチレン)に顔料又は充填剤を加えないのが好ましい。ワイヤ及びケーブル(電気又は光)のような他の用途では、本開示の1つの実施形態において、ポリオレフィン(例えば線状ポリエチレン)はカーボンブラック及びその他の補助剤のような顔料/充填剤を含有し得る。
【0227】
本開示において使用される線状ポリエチレンのような熱可塑性ポリオレフィンは更に充填剤、酸化防止剤(例えば一次及び場合により二次酸化防止剤)、顔料、乳白剤、モノステアリン酸グリセロールのような帯電制御剤、脂肪酸エステルのような潤滑剤、光安定剤(例えばヒンダードアミン光安定剤)、酸化亜鉛、粘着防止剤及びその他の補助剤を含み得る。粘着防止剤(例えばシリカ又はタルク)及び/又はヒンダードアミン光安定剤を使用するときは当業者に知られているようにこれらがポリオレフィンを含む押出組成物の表面外観に悪影響を与えることがあるので幾らか注意をしなければならない。
【0228】
本開示の実施形態において、酸化防止剤(一次酸化防止剤単独又は場合により二次酸化防止剤と組み合わせた一次酸化防止剤)がポリオレフィン(例えば線状ポリエチレン)に添加され、約0.01~約2重量パーセント、又は約0.01~約1重量パーセントの量で加えられる。
【0229】
1つの実施形態において、線状ポリエチレンは一次酸化防止剤、及び二次酸化防止剤を含む。
【0230】
1つの実施形態において、線状ポリエチレンはヒンダードフェノール一次酸化防止剤、及びリンを含有する二次酸化防止剤を含む。
【0231】
複数の実施形態において、線状ポリエチレンのような熱可塑性ポリオレフィンに添加し得る添加剤、例えば、一次酸化防止剤;二次酸化防止剤;UV吸収剤及び光安定剤;ポリアミド安定剤;基本的補助安定剤;成核剤;スリップ剤;充填剤、粘着防止剤、及び補強材、並びに様々な更なる多岐にわたる添加剤に関する更なる記載は以下に提供される。
【0232】
本開示の実施形態において、熱可塑性ポリオレフィン(例えば線状ポリエチレン)に加えられる添加剤は(熱可塑性ポリオレフィンの重量を基準にして)100~5,000ppm、又は100~3,000ppm、又は200~3,000ppm、又は200~2,000ppm、又は300~1,500ppm、又は400~1,200ppmの量で使用し得る。
【0233】
一次酸化防止剤
本開示の実施形態において、一次酸化防止剤は例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール;2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4イソブチルフェノール;2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノール;2-(アルファ-メチルシクロヘキシル)-4,6 ジメチルフェノール;2,6-ジ-オクタデシル-4-メチルフェノール;2,4,6,-トリシクロヘキシルフェノール;及び2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシメチルフェノールのようなアルキル化モノ-フェノール(本明細書で「ヒンダードフェノール一次酸化防止剤」とも記載される)から選択される。本開示の実施形態において使用することができる適切なヒンダードフェノール系酸化防止剤はBASF Corporationにより商標IRGANOX(登録商標)1010(CAS登録番号6683-19-8)及びIRGANOX 1076(CAS登録番号2082-79-3)で販売されている。
【0234】
本開示の実施形態において、一次酸化防止剤は例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール;2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン;2,5-ジ-tert-アミル-ヒドロキノン;及び2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノールのようなアルキル化ヒドロキノンから選択される。
【0235】
本開示の実施形態において、一次酸化防止剤は例えば、2,2’-チオ-ビス-(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール);2,2’-チオ-ビス-(4-オクチルフェノール);4,4’-チオ-ビス-(6-tertブチル-3-メチルフェノール);及び4,4’-チオ-ビス-(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)のようなヒドロキシル化チオジフェニルエーテルから選択される。
【0236】
本開示の実施形態において、一次酸化防止剤は例えば、2,2’-メチレン-ビス-(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール);2,2’-メチレン-ビス-(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール);2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-(アルファ-メチルシクロヘキシル)フェノール);2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-シクロヘキシル(cyclohexyi)フェノール);2,2’-メチレン-ビス-(6-ノニル-4-メチルフェノール);2,2’-メチレン-ビス-(6-ノニル-4メチルフェノール);2,2’-メチレン-ビス-(6-(アルファ-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール);2,2’-メチレン-ビス-(6-(アルファ,アルファ-ジメチルベンジル)-4-ノニル-フェノール);2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2’-エチリデン-ビス-(6-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール);4,4’メチレン-ビス-(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-メチレン-ビス-(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール);1,1-ビス-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェノール)ブタン 2,6-ジ-(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール;1,1,3-トリス-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン;1,1-ビス-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ2-メチルフェニル)-3-ドデシル-メルカプトブタン;エチレングリコール-ビス-(3,3,-ビス-(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)-ブチラート)-ジ-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルペニル(penyl))-ジシクロペンタジエン;ジ-(2-(3’-tert-ブチル-2’ヒドロキシ-5’メチルベンジル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェニル)テレフタラート;及びエチリデンビス-2,4-ジ-t-ブチルフェノールモノアクリル酸エステルのようなビスフェノールのモノアクリル酸エステルのような他のフェノール系のようなアルキリデン-ビスフェノールから選択される。
【0237】
本開示の実施形態において、一次酸化防止剤は例えば、1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン;ビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド;イソオクチル 3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-メルカプトアセタート;ビス-(4-tert-ブチル-3ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオール-テレフタラート;1,3,5-トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4,10 ヒドロキシベンジル)イソシアヌラート;1,3,5-トリス-(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌラート;ジオクタデシル 3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホナート;モノエチル 3,5-ジ-tertブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホナートのカルシウム塩;及び1,3,5-トリス-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌラートのようなベンジル化合物から選択される。
【0238】
本開示の実施形態において、一次酸化防止剤は例えば、4-ヒドロキシ-ラウリン酸アニリド;4-ヒドロキシ-ステアリン酸アニリド;2,4-ビス-オクチルメルカプト-6-(3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-s-トリアジン;及びオクチル-N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-カルバマートのようなアシルアミノフェノール(acvlaminophenol)から選択される。
【0239】
本開示の実施形態において、一次酸化防止剤はベータ-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-プロピオン酸の例えば、メタノール;ジエチレングリコール;オクタデカノール;トリエチレングリコール;1,6-ヘキサンジオール;ペンタエリトリトール;ネオペンチルグリコール;トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌラート;チジエチレングリコール(thidiethyleneglycol);及びジヒドロキシエチルシュウ酸ジアミドのような一価又は多価アルコールとのエステルから選択される。
【0240】
本開示の実施形態において、一次酸化防止剤は例えば、N,N’-ジ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)-ヘキサメチレンジアミン;N,N’-ジ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン;及びN,N’-ジ(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)-ヒドラジンのようなベータ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)-プロピオン酸のアミドから選択される。
【0241】
本開示の実施形態において、一次酸化防止剤は(熱可塑性ポリオレフィンの重量を基準にして)100~5,000ppm、又は100~3,000ppm、又は200~3,000ppm、又は200~2,000ppm、又は300~1,500ppm、又は400~1,200ppmの量で使用し得る。
【0242】
二次酸化防止剤
本開示の実施形態において、二次酸化防止剤は例えば、亜リン酸トリフェニル;亜リン酸ジフェニルアルキル;亜リン酸フェニルジアルキル;トリス(ノニル-フェニル)ホスファイト[WESTON(登録商標)399、SI Groupから入手可能];亜リン酸、混合2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェニル及び4-(1,1-ジメチルプロピル)フェニルトリエステル[WESTON 705,CAS Reg.No.939402-02-5、SI Groupから入手可能];亜リン酸トリラウリル;亜リン酸トリオクタデシル;ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト;トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト[IRGAFOS(登録商標)168、BASFから入手可能];ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト;2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル-2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールホスファイト;ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト[IRGAFOS 38、BASFから入手可能];2,2’,2”-ニトリロnitrilo[トリエチルトリス(3,3’5,5’-テトラ-tert-ブチル-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル)ホスファイト[IRGAFOS 12、BASFから入手可能];ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイトトリステアリルソルビトールトリホスファイト;テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4’-ビフェニレンジホスホナート;6-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ]-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(dioxaphospepin)[SUMILIZER(登録商標)GP];ビス(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファート;ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファート;ジステアリルペンタエリトリトールジホスファート;ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファート;ビス(2,4 ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト[ULTRANOX(登録商標)626、SI Groupから入手可能];ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルペニル(penyl))ペンタエリトリトールジホスファイト;ビスイソデシルオキシ-ペンタエリトリトールジホスファイト;ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト;ビス(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト;テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)4,4’-ビフェニレン(bipheylene)-ジホスホナイト[IRGAFOS P-EPQ、BASFから入手可能];ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト[DOVERPHOS(登録商標)S9228-T又はDOVERPHOS S9228-CT]及びPEPQ(CAS Reg.No.119345-01-06)市販されているジホスホナート;又はこれらの混合物のようなホスファイト及びホスホナイト(本明細書で「リン含有二次酸化防止剤」とも記載される)から選択される。本開示の実施形態において、二次酸化防止剤はDOVERPHOS LGP-11、DOVERPHOS LGP-12及びDOVERPHOS LGP-12LVから選択される。
【0243】
本開示の実施形態において、二次酸化防止剤はアルキルフェノールを含まないポリマー性ポリホスファイトから選択され、その例は米国特許第8,563,637号に開示されている。
【0244】
本開示の実施形態において、二次酸化防止剤は例えば、ベータチオジプロピオン酸のエステルのような過酸化物捕捉剤から選択される。ベータチオジプロピオン酸エステルはラウリル、ステアリル、ミリスチル又はトリデシルエステルからなる群から選択され得る。ある特定の実施形態において二次酸化防止剤として使用されるその他の過酸化物捕捉剤はメルカプトベンズイミダゾール;又は2-メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩;亜鉛-ジブチルジチオカルバマート;ジオクタデシルジスルフィド;及びペンタエリトリトテトラキス-(ベータ-ドデシルメルカプト)-プロピオナートからなる群から選択され得る。
【0245】
本開示の実施形態において、二次酸化防止剤は例えば、N,N-ジベンジルヒドロキシルアミン;N,N-ジエチルヒドロキシルアミン;N,N-ジオクチルヒドロキシルアミン;N,N-ジラウリルヒドロキシルアミン;N,N-ジテトラデシルヒドロキシルアミン;N,N-ジヘキサデシルヒドロキシルアミン;N,N-ジオクタデシルヒドロキシルアミン;N-ヘキサデシル-N-オクタデシルヒドロキシルアミン;N-ヘプタデシル-N-オクタデシルヒドロキシルアミン;及び水素化獣脂アミンから誘導されたN,N-ジアルキルヒドロキシルアミンのようなヒドロキシルアミン及びアミンオキシドから選択される。類似のアミンオキシドも適している。本開示の実施形態において使用し得るヒドロキシルアミンの市販されている例はIRGASTAB(登録商標)042(BASF)として販売されているN,N-ジ(アルキル)ヒドロキシルアミンであり、これはN,N-ジ(水素化)獣脂アミンの直接酸化により調製されると報告されている。
【0246】
本開示の実施形態において、二次酸化防止剤は例えば、N-ベンジル-アルファ-フェニルニトロン;N-エチル-アルファ-メチルニトロン;N-オクチル-アルファ-ヘプチルニトロン;N-ラウリル-アルファ-ウンデシルニトロン;N-テトラデシル-アルファ-トリデシルニトロン;N-ヘキサデシル-アルファ-ペンタデシルニトロン;N-オクタデシル-アルファ-ヘプタデシルニトロン;N-ヘキサデシル-アルファ-ヘプタデシルニトロン;N-オクタデシル-アルファ-ペンタデシルニトロン;N-ヘプタデシル-アルファ-ヘプタデシルニトロン;N-オクタデシル-アルファ-ヘキサデシルニトロン;及び水素化獣脂アミンから誘導されたN,N-ジアルキルヒドロキシルアミンから誘導されたニトロンのようなニトロンから選択される。
【0247】
本開示の実施形態において、二次酸化防止剤はまた(熱可塑性ポリオレフィンの重量を基準にして)100~5,000ppm、又は100~3,000ppm、又は200~3,000ppm、又は200~2,000ppm、又は300~1,500ppm、又は400~1,200ppmの量で使用し得る。
【0248】
UV吸収剤及び光安定剤
本開示の実施形態において、UV吸収剤又は光安定剤は例えば、5’-メチル-;3’,5’-ジ-tert-ブチル-;5’-tert-ブチル-;5’(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-;5-クロロ-3’,5’-ジ-tert-ブチル-;5-クロロ-3’-tert-ブチル-5’-メチル-;3’-sec-ブチル-5’-tert-ブチル-;4’-オクトキシ,3’,5’-ジ-tert-アミル-;及び3’,5’-ビス-(アルファ,アルファ-ジメチルベンジル)誘導体のような2-(2’-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾールから選択される。
【0249】
本開示の実施形態において、UV吸収剤又は光安定剤は例えば、4-ヒドロキシ-;4-メトキシ-;4-オクトキシ;4-デシルオキシ-;4-ドデシルオキシ-;4-ベンジルオキシ-;4,2’,4’-トリヒドロキシ-;及び2’-ヒドロキシ-4,4’-ジメトキシ誘導体のような2-ヒドロキシ-ベンゾフェノンから選択される。
【0250】
本開示の実施形態において、UV吸収剤又は光安定剤は例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-セバカート;ビス-5(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)-セバカート;n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロン酸ビス(1,2,2,6,6,-ペンタメチルピペリジル)エステル;1-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシ-ピペリジン及びコハク酸の縮合生成物;N,N’-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-ヘキサメチレンジアミン及び4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-s-トリアジンの縮合生成物;トリス-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジル)-ニトリロトリアセタート、テトラキス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタン-テトラ-炭酸(arbonic acid);及び1,1’(1,2-エタンジイル)-ビス-(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)のような立体障害アミンから選択される。これらのアミンは典型的には、HALS(Hindered Amines Light Stabilizing:ヒンダードアミン系光安定剤)とよばれ、ブタンテトラカルボン酸2,2,6,6-テトラメチルピペリジノールエステルを含む。かかるアミンにはジ(1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバカート;1-ヒドロキシ 2,2,6,6-テトラメチル-4-ベンズオキシピペリジン;1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ)-ピペリジン(piperdine);及びN-(1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-4-イル)-エプシロンカプロラクタムのようなヒンダードアミンから誘導されたヒドロキシルアミンが含まれる。本開示の実施形態において使用し得る適切な市販のHALSには商標CHIMASSORB(登録商標)119;CHIMASSORB 944;CHIMASSORB 2020;TINUVIN(登録商標)622及びTINUVIN 770でBASFから、またCYASORB(登録商標)UV 3346、CYASORB UV 3529、CYASORB UV 4801、及びCYASORB UV 4802でSolvayから販売されているものがある。本開示の他の実施形態において、1種より多くのHALSの混合物の使用も考えられる。
【0251】
本開示の実施形態において、UV吸収剤又は光安定剤は、例えば、サリチル酸フェニル;4-tertブチルフェニル-サリチラート;サリチル酸オクチルフェニル;ジベンゾイルレゾルシノール;ビス-(4-tert-ブチルベンゾイル)-レゾルシノール;ベンゾイルレゾルシノール;2,4-ジ-tert-ブチル-フェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾアート;及びヘキサデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾアートのような置換及び非置換安息香酸のエステルから選択される。
【0252】
本開示の実施形態において、UV吸収剤又は光安定剤は、例えば、アルファ-シアノ-ベータ,ベータ-ジフェニルアクリル酸-エチルエステル又はイソオクチルエステル;アルファ-カルボメトキシ-ケイヒ酸(cinnarnic acid)メチルエステル;アルファ-シアノ-ベータ-メチル-p-メトキシ-ケイヒ酸メチルエステル又はブチルエステル;アルファ-カルボメトキシ-p-メトキシ-ケイヒ酸メチルエステル;及びN-(ベータ-カルボメトキシ-ベータ-シアノ-ビニル)-2-メチル-インドリンのようなアクリラートから選択される。
【0253】
本開示の実施形態において、UV吸収剤又は光安定剤は、例えば、場合によりn-ブチルアミン、トリエタノールアミン又はN-シクロヘキシル-ジエタノールアミンのような追加の配位子を有する2,2’-チオ-ビス(4-(1,1,1,3-テトラメチルブチル)-フェノール)のニッケル錯体、例えば1:1又は1:2錯体;ニッケルジブチルジチオカルバマート;4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルホスホン酸モノアルキルエステル、例えばメチル、エチル、又はブチルエステルのニッケル塩;2-ヒドロキシ-4-メチル-ペニル(penyl)ウンデシルケトキシムのようなケトキシムのニッケル錯体;及び場合により追加の配位子を含む1-フェニル-4-ラウロイル-5-ヒドロキシ-ピラゾールのニッケル錯体のようなニッケル化合物から選択される。
【0254】
本開示の実施形態において、UV吸収剤又は光安定剤は、例えば、4,4’-ジ-オクチルオキシ-オキサニリド;2,2’-ジ-オクチルオキシ-5’,5’-ジtert-ブチルオキサニリド;2,2’-ジ-ドデシルオキシ-5’,5’ジ-tert-ブチル-オキサニリド;2-エトキシ-2’-エチル-オキサニリド;N,N’-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)-オキサラミド;2-エトキシ-5-tert-ブチル-2’-エチルオキサニリド及びその2-エトキシ-2’-エチル-5,4-ジ-tert-ブチルオキサニリドとの混合物;及びオルト-及びパラ-メトキシ並びにo-及びp-エトキシ-二置換オキサニリドの混合物のようなシュウ酸ジアミドから選択される。
【0255】
本開示の実施形態において、UV吸収剤又は光安定剤は、例えば、2,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-4-(2-ヒドロキシ-4オクチルオキシフェニル)-s-トリアジン;2,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-4-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-s-トリアジン;5,2,4-ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)-6-(4-クロロフェニル)-s-トリアジン;2,4-ビス(2-ヒドロキシ4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-6-(4-クロロフェニル)-s-トリアジン;2,4-ビス(2ヒドロキシ4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-6-フェニル-s-トリアジン;2,4-ビス(2-ヒドロキシ4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-s-トリアジン;2,4-ビス(2-ヒドロキシ4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-6-(4-ブロモ-フェニル)-s-トリアジン;2,4-ビス(2-ヒドロキシ4-(2-アセトキシエトキシ)フェニル)-6-(4-クロロフェニル)-s-トリアジン;及び2,4-ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1-s-トリアジンのようなヒドロキシフェニル-s-トリアジンから選択される。
【0256】
ポリアミド安定剤
本開示の実施形態において、ポリアミド安定剤は例えば、ヨウ化物及び/又はリン化合物及び二価のマンガンの塩と組み合わせた銅塩から選択される。
【0257】
基本的補助安定剤
本開示の実施形態において、基本的補助安定剤は、例えば、メラミン;ポリビニルピロリドン;ジシアンジアミド;シアヌル酸トリアリル;尿素誘導体;ヒドラジン誘導体;アミン;ポリアミド;ポリウレタン;高級脂肪酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えば、ステアリン酸Ca、ステアロイル乳酸カルシウム、乳酸カルシウム、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Mg、リシノール酸Na及びパルミチン酸K;アンチモンピロカテコラート又は亜鉛ピロカテコラートから選択され、中和剤、例えば酸化亜鉛、ハイドロタルサイト及び合成ハイドロタルサイト;及びLi、Na、Mg、Ca、Alヒドロキシカルボナートを含む。
【0258】
複数の実施形態において、ハイドロタルサイトは式:[M2+ 1-x3+ (OH)x+[(An-x/n・mHO]x-[式中、M2+は二価のMg、Ni、Zn、Cu、又はMnであり、M3+は三価のAl、Fe、又はCrであり、An-は例えばCO 2-、又はSO 2-、NO 2-、Cl1-、又はOH1-のようなアニオンであり、xは0.1~0.5である]を有する。1つの実施形態において、ハイドロタルサイトは式:MgAl(OH)16CO・nHOを有する。1つの実施形態において、ハイドロタルサイトはミネラルハイドロタルサイト(MgAl(OH)16CO・4HO)である。本開示の実施形態において使用し得るハイドロタルサイトには一般的な商品名DHT-4(登録商標)(A、C、又はV)、ZHT-4V(登録商標)HYCITE(登録商標)713、及びAC-207(商標)で市販されている物質が含まれる。
【0259】
成核剤
用語「成核剤」は、本明細書で使用される場合、有核ポリオレフィン組成物を調製する当業者にその従来の意味を伝えることを意図し、即ち、ポリマーメルトが冷却されるにつれてポリマーの結晶化挙動を変化させる添加剤を意味する。
【0260】
成核剤の概観は米国特許第5,981,636号、同第6,465,551号及び同第6,599,971号にあり、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0261】
市販されており、熱可塑性ポリオレフィン(例えば線状ポリエチレン)に添加し得る成核剤はジベンジリデンソルビトール(sorbital)エステルである。熱可塑性ポリオレフィン(例えば線状ポリエチレン)に添加し得る成核剤の更なる例には、米国特許第5,981,636号に開示されている環状の有機構造体(及びその塩、例えばジナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプテンジカルボキシラート);米国特許第5,981,636号に開示されている構造体の飽和体(米国特許第6,465,551号に開示されている;Zhaoら, to Milliken);米国特許第6,599,971号に開示されているヘキサヒドロフタル酸構造(又は「HHPA」構造)を有するある種の環状ジカルボン酸の塩(Dotsonら, to Milliken);及びリン酸エステル、例えば米国特許第5,342,868号に開示されているもの及び旭電化工業株式会社により商品名NA-11及びNA-21で販売されているもの、環状ジカルボキシラート及びその塩、例えば米国特許第6,599,971に開示されているHHPA構造の二価の金属又は半金属塩(特に、カルシウム塩)が含まれる。明確にするために、HHPA構造は環内に6個の炭素原子及び環構造の隣接する原子上の置換基である2つのカルボン酸基をもつ環構造を含む。環内の他の4個の炭素原子は米国特許第6,599,971号に開示されているように置換されていてもよい。一例は1,2-シクロヘキサンジカルボン酸カルシウム塩(CAS登録番号491589-22-1)である。熱可塑性ポリオレフィン(例えば線状ポリエチレン)に添加し得る成核剤の尚更なる例には国際公開第2015042561号、国際公開第2015042563号、国際公開第2015042562号及び国際公開第2011050042に開示されているものがある。
【0262】
本開示の1つの実施形態において、使用する成核剤の量は比較的小さく、(熱可塑性ポリオレフィンの重量を基準にして)100~3000重量百万分率であるので、当業者には了解されるように、成核剤が確実に十分に分散するように幾らか注意するべきである。本開示の1つの実施形態において、成核剤は混合を容易にするために微細に分割された形態(50ミクロン未満、殊に10ミクロン未満)で熱可塑性ポリオレフィン(例えば線状ポリエチレン)に添加する。この種の「物理的なブレンド」(即ち成核剤及び固体形態の樹脂の混合物)は、一部の実施形態において、成核剤の「マスターバッチ」の使用にとって好ましい(用語「マスターバッチ」は添加剤、この場合は成核剤と少量の熱可塑性ポリオレフィンとの最初の溶融混合と、その後の、「マスターバッチ」と熱可塑性ポリオレフィン残りのバルクとの溶融混合の実施をいう)。
【0263】
本開示の1つの実施形態において、成核剤のような添加剤は「マスターバッチ」によって熱可塑性ポリオレフィンに添加することができ、用語「マスターバッチ」は添加剤(例えば成核剤)と少量の熱可塑性ポリオレフィンとの最初の溶融混合と、それに続く、「マスターバッチ」と熱可塑性ポリオレフィンの残りのバルクとの溶融混合の実施を意味する。
【0264】
複数の実施形態において、成核剤、又は成核剤の混合物は熱可塑性ポリオレフィンの重量を基準にして50~5,000ppm、又は100~4,000ppm、又は200~4,000ppm、又は100~3000ppm、又は200~3,000ppm、又は100~2,000ppm、又は200~2,000ppm、又は500~5,000ppm、又は500~4,000ppm、又は500~3,000ppm、又は500~2,000ppm又は500~1,500ppmの量で添加する。
【0265】
スリップ剤
本開示の実施形態において、スリップ剤はオレアミド;エルカミド;ステアラミド;及びベヘナミドから選択される。
【0266】
充填剤、粘着防止剤、及び補強材
本開示の実施形態において、充填剤、粘着防止剤、又は補強材は炭酸カルシウム;珪藻土;天然及び合成シリカ;ケイ酸塩;ガラス繊維;アスベスト;タルク;カオリン;雲母;硫酸バリウム;金属酸化物及び水酸化物;カーボンブラック;及びグラファイトから選択される。
【0267】
存在する場合、本開示の一部の実施形態において、充填剤は熱可塑性ポリオレフィン(例えば線状ポリエチレン)に(熱可塑性ポリオレフィンの重量を基準にして)約50重量パーセント以下、又は約30重量パーセント以下、又は約20重量パーセント以下、又は約10重量パーセント以下の量で組み込まれ得る。
【0268】
その他様々な添加剤
本開示の実施形態において、その他の種々雑多な添加剤は可塑剤;エポキシ化植物油、例えばエポキシ化ダイズ油;潤滑剤;乳化剤;顔料;蛍光増白剤;防炎剤;帯電防止剤;防曇剤;発泡剤;及びチオ相乗剤(thiosynergist)、例えばジラウリルチオジプロピオナート又はジステアリルチオジプロピオナートから選択される。
【0269】
溶融押出
本開示による押出可能な組成物は、任意の1つの又は様々な方法で調製することができる。1つの実施形態において、ポリマー加工助剤成分は溶融押出プロセス中に熱可塑性ポリオレフィンと混合することができる。代替的実施形態において、ポリマー加工助剤成分の1種以上をいわゆる「マスターバッチ」としてポリオレフィンと配合することができる。かかるマスターバッチは有用な希釈量の1種以上のポリマー加工助剤成分を送達するのに使用し得る。マスターバッチは押出品への溶融押出プロセスで押出のためのバルクの熱可塑性ポリオレフィンに添加し得る。
【0270】
押出される熱可塑性ポリオレフィン及びポリマー加工助剤成分は、例えば、ポリマー加工助剤成分を熱可塑性ポリオレフィン内に均一に分配させる配合ミル、BANBURY(登録商標)ミキサー、又は混合押出機を用いるような当業者に周知のブレンド手段のいずれかを用いて混合することができる。かかる混合はポリオレフィンの融点、又は軟化点を超える温度で行い得、又はかかる混合は単に固体の熱可塑性ポリオレフィンをポリマー加工助剤成分とドライブレンド混合することであってもよい。
【0271】
1つの実施形態において、本開示の押出可能な熱可塑性組成物は溶融押出プロセスにおいて最終の押出の前に熱可塑性ポリオレフィン(例えば線状ポリエチレン)をポリマー加工助剤とメルトブレンドすることにより調製される。
【0272】
本開示の押出可能な熱可塑性組成物を作成するのに使用することができる幾つかの方法がある。1つの実施形態において、全ての成分がタンブルブレンダーのような適切な装置で所望の重量比でドライブレンドされる。得られたドライブレンドは次いで押出機のような適切な装置で融解させる。代替的実施形態において、幾らかの熱可塑性ポリオレフィン及びポリマー加工助剤又はその他の添加剤を含めた他の成分を用いてマスターバッチを調製することができよう。かかる1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンマスターバッチはその後押出機に供給され、例えばバルクのポリオレフィン、ポリマー加工助剤又は他の添加剤を含む他の成分と所望の通りメルトブレンドされる。更に別の実施形態において、押出可能な熱可塑性組成物を作成するのに使用される成分の各々を直接計量して溶融押出プロセスに使用される押出機に入れてもよい。
【0273】
溶融押出プロセスは当業者に周知である。本開示の実施形態で使用される押出機は二軸又は単軸押出機でよい。二軸押出機が使用される場合同方向回転モード(即ち両方のスクリューが同じ方向に回転する)又は逆回転モード(即ちスクリューは反対の方向に回転する)で作動し得る。
【0274】
溶融押出プロセスでの押出機の作動の具体的な条件は他の押出機と異なる。押出機間の変動は通常当業者に良く知られた日常の最適化方法により解消し得る。本開示の1つの実施形態において、実験室規模の二軸押出機は次の1組の条件内で作動する:バレルが約180~210℃、又は約190~200℃の温度に加熱され;スクリュー速度が約50~約150rpm、又は約100~約130rpmで作動する。あらゆる具体的な押出機の作動の特定の条件は先の1組の条件を考慮して当業者により通常の試験で容易に決定することができる。押出機は典型的には、熱可塑性組成物をストランドとして押出し、これは次に冷却され、フィルム押出での使用のような後の使用のためにペレットに切断される。最終の押出に使用される押出機も単軸又は二軸押出機であり得る。ダイはスロットダイであってもよいし、又は安定な空気の泡の回りにポリオレフィンのフィルムを押出する環状のリングダイであってもよい。フィルムは気泡の上又は回りを通過した後つぶれる。
【0275】
押出機及びその作動の具体的な詳細は当業者に公知である。典型的な押出機はシリンダー又は「バレル」内で回転する1つ(又は2つ)のねじスクリューを含有する。熱可塑性ポリオレフィンはスクリューの回転により生じる応力によりバレルとスクリューの間で剪断される。加えて、押出機のバレルは加熱され得る。剪断及び/又は熱が熱可塑性ポリオレフィンを融解せしめ、ねじスクリューの作用がそれを押出機の長さに沿って運ぶ。溶融した熱可塑性ポリオレフィン押出物は次いでダイを通して押出されて所望のプラスチック部品を形成する。
【0276】
本開示の実施形態において、ポリマー加工助剤は熱可塑性ポリオレフィンの熱可塑性ポリオレフィン押出物への溶融押出中に使用される。
【0277】
本開示の実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの熱可塑性ポリオレフィン押出物への溶融押出中のポリマー加工助剤の使用は熱可塑性ポリオレフィンの押出中のメルト欠陥を減らす。
【0278】
本開示の1つの実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの熱可塑性ポリオレフィン押出物への溶融押出中のポリマー加工助剤の使用は、ポリマー加工助剤の非存在下で熱可塑性ポリオレフィン押出物にメルト欠陥が発生する剪断速度と比較して、溶融押出プロセスが熱可塑性ポリオレフィン押出物内のメルト欠陥なしに作動し得る剪断速度を増大する。
【0279】
本開示の実施形態において、熱可塑性ポリオレフィンの熱可塑性ポリオレフィン押出物への溶融押出中のポリマー加工助剤の使用は、ポリマー加工助剤の非存在下で熱可塑性ポリオレフィン押出物にメルト欠陥が発生する剪断速度と比較して、溶融押出プロセスが熱可塑性ポリオレフィン押出物内のメルト欠陥なしに作動し得る剪断速度を少なくとも10パーセント、又は少なくとも25パーセント、又は少なくとも50パーセント、又は少なくとも75パーセント、又は少なくとも100パーセント、又は少なくとも200パーセント、又は少なくとも300パーセント、又は少なくとも400パーセント、又は少なくとも500パーセント増大する。
【0280】
本開示の1つの実施形態は、線状ポリエチレンの押出中のメルト欠陥を低下させる方法であって、線状ポリエチレンをi)少なくとも1種のポリエチレングリコール、及びii)高圧低密度ポリエチレンLDPEと合わせて押出可能な熱可塑性組成物を得るステップと、その熱可塑性組成物を押出するステップとを含む、方法である。
【0281】
本開示の1つの実施形態は、熱可塑性組成物の押出中のメルト欠陥を低下させる方法であって、線状ポリエチレンをi)少なくとも1種のポリアルキレングリコール及びii)高圧低密度ポリエチレンLDPEと合わせて熱可塑性組成物を得るステップと、その熱可塑性組成物を溶融押出するステップとを含む、方法である。
【0282】
本開示の代替的実施形態は、線状ポリエチレンの押出中のメルト欠陥を低下させる方法であって、線状ポリエチレンをi)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及びii)15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールと合わせて押出可能な熱可塑性組成物を得るステップと、熱可塑性組成物を押出するステップとを含む、方法である。
【0283】
以下の実施例はこの開示の選択された実施形態を説明する目的で提示され、提示された実施例は提示される特許請求の範囲を限定しないと理解される。
【実施例
【0284】
ポリマー特性決定及び試験方法
試験する前に、各々のポリマー試料を少なくとも24時間23±2℃及び50±10%の相対湿度で調整し、後の試験は23±2℃及び50±10%の相対湿度で行った。ここで、用語「ASTM条件」は23±2℃及び50±10%の相対湿度に維持された実験室を意味し、試験した試料は試験する前少なくとも24時間この実験室で調整した。ASTMは米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)を意味する。
【0285】
密度
ポリマー(例えば線状ポリエチレン又はLDPE)密度はASTM D792-13 (2013年11月1日)を用いて決定した。
【0286】
メルトインデックス
ポリエチレンメルトインデックスはASTM D1238(2013年8月1日)を用いて決定した。メルトインデックスI、I、I10及びI21をそれぞれ2.16kg、6.48kg、10kg及び21.6kgの重量を用いて190℃で測定した。
【0287】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
ポリエチレンサンプル(ポリマー)溶液(1~3mg/mL)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)中で加熱し、輪の上で4時間150℃でオーブン中で回転することにより調製した。ポリマーを酸化的分解反応に対して安定化するために酸化防止剤(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT))を混合物に加えた。BHT濃度は250ppmであった。ポリマー溶液を、140℃で、4つのSHODEX(登録商標)カラム(HT803、HT804、HT805及びHT806)を備えたPL 220高温クロマトグラフィー装置で、TCBを流量1.0mL/分の移動相として、示差屈折率(DRI)を濃度検出器として用いてクロマトグラフィーにかけた。BHTを250ppmの濃度で移動相に加えてGPCカラムを酸化的分解反応から保護した。サンプル注入容積は200μLであった。GPCカラムは狭い分布のポリスチレン標準で較正した。ポリスチレン分子量はASTM標準試験法D6474-12(2012年12月)に記載されているMark-Houwink式を用いてポリエチレン分子量に変換した。GPCの生のデータはCIRRUS(登録商標)GPCソフトウェアで処理してモル質量平均(M、M、M)及びモル質量分布(例えば多分散度M/M)を得た。ポリエチレン業界で、GPCと等価な一般に使用される用語はSEC、即ちサイズ排除クロマトグラフィーである。
【0288】
溶融押出
ポリオレフィン押出物のメルト欠陥を低減する際のポリマー加工助剤(「PPA」)の性能は押出機ダイにおける剪断速度により影響されることが観察されている。ダイでの剪断速度の評価のための一般に受け入れられている式は、式1:
(1) γ=2Q(S+2)/ρπd2D
[式中、γ=剪断速度(逆数の秒、s-1);ρ=ポリマーメルトの密度;S=1/べき乗指数;d=ダイギャップ幅;D=ダイ直径;Q=ポリマーの質量流量]
で示される。
【0289】
溶融したポリエチレンに対する密度の一般に受けられている評価は1立方センチメートル当たり0.76グラム(g/cm)であり、この値を全ての計算に使用した。べき乗指数に対して一般に受けられている値は0.5であり、この値を全ての計算に使用した。
【0290】
実施例セットA
「半商業的」大きさのインフレーションフィルムライン(Battenfeld Gloucester Engineering Company、Gloucester, Mass.製)を使用して、ポリマー加工助剤(PPA)として高圧線状低密度ポリエチレンLDPEと共にポリエチレングリコール(「PEG」)を添加することの有効性を決定した。
【0291】
線状ポリエチレンを含む混和物又はマスターバッチに使用したPEGは約3350g/molの重量平均分子量Mを有するPEG 3350、又はPEG 3350と約300,000g/molの重量平均分子量Mを有するPEG 300Kの混合物であった。PEG 3350及びPEG 300KはそれぞれClariant及び住友精化株式会社から市販されており、それぞれPolyglykol 3350及びPEO-1の商品名で販売されている。
【0292】
線状ポリエチレンとの混和物に使用した高圧低密度ポリエチレンLDPEは高圧管型反応器で作成されたエチレンホモポリマーであった。使用したLDPEは4.6g/10分のメルトインデックス及び0.920g/cmの密度を有するLA-0522-A、又は0.25g/10分のメルトインデックス及び0.920g/cmの密度を有していたLF-Y320-Aであり、両方ともNOVA Chemicals Corporationから市販されている。
【0293】
本実施例で使用した線状ポリエチレンはNOVA Chemicals Corporationにより商品名FP120(又はFP120-A)で販売されている0.920g/cmの密度及び約1.0g/10分のメルトインデックスIを有する線状低密度ポリエチレンLLDPEであった。FP120はエチレン及び1-オクテンのコポリマーであり、Ziegler-Natta触媒を用いて溶液相重合法で作成される。
【0294】
線状ポリエチレンFP120は従来の一次酸化防止剤(ヒンダードフェノール=750ppm IRGANOX 1076);従来の二次酸化防止剤(ホスファイト=500ppm IRGAFOS 168);及びハイドロタルサイト(800ppm)を含有していた。ここでppm、又は百万分率は線状ポリエチレンの重量を基準にする。線状ポリエチレンFP120-Aは従来の一次酸化防止剤(ヒンダードフェノール=750ppm IRGANOX 1076);従来の二次酸化防止剤(ホスファイト=500ppm IRGAFOS 168);ハイドロタルサイト(800ppm);及び190ppmの酸化亜鉛(ZnO)を含有していた。ここで、ppm、又は百万分率は線状ポリエチレンの重量を基準にしている。
【0295】
実験において、線状ポリエチレン(例えばFP120-A)は少なくとも500ppm(線状ポリエチレンの重量を基準にした重量で)のポリエチレングリコール(PEG)と予め配合した(例えば押出機/ペレタイザーで溶融配合した)。溶融押出プロセス中線状ポリエチレン内に存在するポリグリコールの量は2重量パーセント(precent)の適当なポリエチレングリコールを含有する線状ポリエチレンのマスターバッチを加えることにより更に増大することができた。高圧線状低密度ポリエチレンLDPEを予め配合した線状ポリエチレンと混ぜ(例えばドライブレンドし)、得られた熱可塑性ポリオレフィン組成物をGloucester溶融押出インフレーションフィルムラインに供給した。
【0296】
Gloucesterインフレーションフィルムラインは1時間当たり100ポンドより大きい標準産出量を有し、50馬力モーターを具備していた。供給スクリューは2.5インチの直径及び長さ/直径(L/D)比24/1を有していた。供給スクリューはバリア設計であり、スクリューの端に混合エレメントが装着されている。フィルム気泡は冷気を用いて冷却された空気であり、ラインは2/1~4/1のブローアップ比(BUR)で作動した。インフレーションフィルムラインは4インチの直径の環状ダイを装着していた。2つのダイピンを利用して実験のために35又は85ミルのダイギャップとした。各々の実験で、フィルムラインの産出速度を最小レベルの39lbs/時間(剪断速度35s-1、85ミルのダイギャップ及び210s-1、35ミルのダイギャップ)から最大の129lbs/時間(剪断速度116s-1、85ミルのダイギャップ及び684s-1、35ミルのダイギャップ)まで10lb/時間ずつ増大した。産出速度が増大するにつれて、溶融押出ラインオペレーターは、フィルムが、透明で欠陥を含まない表面を有するフィルムから、柔らかいメルトフラクチャー(オレンジの皮)又は硬いメルトフラクチャー(サメ肌)のダイライン、かすみバンド又は小さいバンドとして現れる表面欠陥の明白なサインを有するフィルムに遷移した産出速度を認めた。用語メルトフラクチャーは当業者に周知である。メルトフラクチャーが最初に観察された剪断速度は表1に注記されており、メルトフラクチャーが一旦観察された後は更に増大させなかった。
【0297】
押出可能な熱可塑性組成物に使用した成分及び溶融押出プロセスの詳細を表1に示す。
【表1-1】

【表1-2】
【0298】
表1のデータは、線状ポリエチレン並びにPEG及びLDPEの両方を含む熱可塑性組成物が線状ポリエチレン単独、又はポリマー加工助剤として低分子量PEGのみが存在する線状ポリエチレンを含有する組成物より高い産出速度/剪断速度でメルトフラクチャーなしに押出することができたことを示している。表1のデータは更に、より高いメルトインデックスIを有するLDPE(例えば4.6g/10分のメルトインデックスを有するLA-0522-A)の使用が、より低いメルトインデックスIを有するLDPE(例えば0.25g/10分のメルトインデックスを有するLF-Y320-A)の使用よりメルトフラクチャーを低減するのにより良好に機能することを示している。
【0299】
実施例セットB
インフレーションフィルム押出のための押出可能な熱可塑性組成物を、Leistritz二軸ペレタイザーで穏やかな条件下窒素パージにより(条件については表2参照)線状ポリエチレンをポリマー加工助剤及び他の添加剤と共に溶融配合することにより調製した。
【表2】
【0300】
線状ポリエチレンと共に混和物中に使用したフルオロポリマー加工助剤は3Mから市販されているDYNAMAR FX 5929Mであった。
【0301】
線状ポリエチレンと共に混和物中に使用したPEGは、約3350g/molの重量平均分子量Mを有するPEG 3350と約35,000g/molの重量平均分子量Mを有するPEG 35000との1:1ブレンドであった。PEG 3350及びPEG 35000はClariantから市販されており、それぞれPolyglykol 3350及びPolyglykol 35000の商品名で販売されている。
【0302】
本実施例で使用した線状ポリエチレンはNOVA Chemicalsにより商品名VPsK914(又はVPsK914-A、又はVPsK914-A04、又はVPsK914-C)で販売されている0.913g/cmの密度及び約0.85g/10分のメルトインデックスIを有する線状低密度ポリエチレンLLDPEであった。VPsK914はエチレン及び1-オクテンのコポリマーであり、デュアル反応器シングルサイト触媒及びZiegler-Natta触媒技術を用いて溶液相重合プロセスで作成される。
【0303】
線状ポリエチレンVPsK914は従来の一次酸化防止剤(ヒンダードフェノール=350ppm IRGANOX 1076);従来の二次酸化防止剤(ホスファイト=500ppm IRGAFOS 168);スペシャルティー酸化防止剤(500ppm SUMILIZER(登録商標)GP);及びハイドロタルサイト(800ppm)を含有していた。ここでppm、又は百万分率は線状ポリエチレンの重量を基準にする。
【0304】
3インチの直径のダイを備えた単層インフレーションフィルムライン(Ontario, CAを基盤とするMacro Engineering & Technology Inc.により製造)を使用して、押出物からメルト欠陥を除去する際のポリマー加工助剤(PPA)としてのポリエチレングリコール(PEG)及びLDPEの添加の有効性を決定した。
【0305】
3インチMacroインフレーションフィルムラインは1時間当たり60ポンドより大きい標準産出量を有し、15馬力のモーターを具備していた。供給スクリューは1.5インチの直径及び長さ/直径(L/D)比24/1を有していた。供給スクリューはバリア設計であり、スクリューの端に混合エレメントが装着されている。フィルム気泡は冷気を用いて冷却された空気であり、ラインは2/1~4/1のブローアップ比(BUR)で作動した。インフレーションフィルムラインは3インチの直径の環状ダイを装着していた。2つのダイピンを利用して実験のために35のダイギャップとした。
【0306】
例12においては、線状ポリエチレンVPsK914-Aを1,000ppm(線状ポリエチレンの重量を基準にした重量で)のフルオロポリマー加工助剤(3M DYNAMAR FX 5929M)と予め配合し(例えば押出機/ペレタイザーで溶融配合し)、次いでインフレーションフィルムラインで溶融押出した。
【0307】
例13においては、線状ポリエチレンVPsK914-Aを、1,000ppm(線状ポリエチレンの重量を基準にした重量で)のPEG 3350とPEG 35000との1:1ブレンドと予め配合し(例えば押出機/ペレタイザーで溶融配合し)、次いでインフレーションフィルムラインで溶融押出した。
【0308】
例14においては、線状ポリエチレンVPsK914-Aを、1,000ppm(線状ポリエチレンの重量を基準にした重量で)のPEG 3350とPEG 35000との1:1ブレンド並びに5重量パーセント(線状ポリエチレン及びLDPEの総重量を基準にして)の高圧低密度ポリエチレン(NOVAPOL(登録商標)LA-0522-A、0.920g/cmの密度及び4.6g/10分のメルトインデックスIを有する)と予め配合し(例えば押出機/ペレタイザーで溶融配合し)、次いでインフレーションフィルムラインで溶融押出した。
【0309】
例15では、線状ポリエチレンVPsK914-AをPPAと予め配合しなかった。VPsK914-Aをインフレーションフィルムラインで溶融押出した。
【0310】
インフレーションフィルムラインでのメルトフラクチャー除去実験中、押出機を1時間当たり約65ポンド(約460s-1の剪断速度に相当)の質量流量「照準点」で作動した。用語「メルトフラクチャー」は当業者に周知であり、一般に柔らかいメルトフラクチャー(オレンジの皮)又は硬いメルトフラクチャー(サメ肌)のダイライン、かすみバンド又は小さいバンドとして現れる表面欠陥の明白なサインを有するフィルムに関する。表現「メルトフラクチャーの除去」とは透明で欠陥を含まない表面を有するフィルムを意味する。
【0311】
押出可能な熱可塑性組成物に使用した成分及び溶融押出プロセスの詳細を表3に示す。
【表3】
【0312】
標的の熱可塑性組成物の添加前に、あらゆるポリマー加工助剤を含まず30~40%の珪藻土を含有する樹脂を用いてインフレーションフィルムラインをパージしてダイを磨耗により清浄にした。パージに続いて、メルトインデックス0.8g/10分のPPAを含まないLLDPEを導入して、フィルムの幅全体にわたって100%硬いメルトフラクチャーを有する押出物を生成させた(例えばサメ肌と同様な外観の粗い表面欠陥を有するフィルムを生成させた)。次に、標的の熱可塑性組成物を導入し、これを時間ゼロと記録した。標的の熱可塑性組成物を一定の条件下で押出し、押出フィルムの見本を10分毎に集めて見本の幅の百分率としてメルトフラクチャー欠陥を測定した。溶融押出プロセスを各々の実験に対して80分続け、メルトフラクチャー百分率を10分間隔で記録した。メルトフラクチャー百分率がゼロに達したときに熱可塑性組成物押出物はメルトフラクチャーが除去されたと考えられた。メルトフラクチャー除去実験の結果を図1に示す。
【0313】
図1に示されたデータから当業者には観察されるように、線状ポリエチレン、PEG混合物(PEG 3350及びPEG 35000の1:1混合物)及びLDPEを含む熱可塑性組成物は約30分後メルトフラクチャーを除去し始め、約70分以内にメルトフラクチャーを殆ど完全に除去することができた。これは、線状ポリエチレン並びにエラストマー性のフルオロポリマー及びポリエチレングリコール(DYNAMAR FX 5929Mはポリエチレングリコールとの混合物として販売されているフルオロエラストマー性のポリマーである)の両方をPPAとして含む熱可塑性組成物と同様であった。図1のデータはまた、PEG 3350及びPEG 35000の混合物がそれ自体ポリマー加工助剤として幾らかの有効性を有するが、メルトフラクチャーの除去はLDPE材料も含まれるときほど有効ではなかったことも示している。
【0314】
本開示の非限定実施形態を以下に示す:
【0315】
実施形態A. 熱可塑性組成物押出物を調製する方法であって、熱可塑性組成物を溶融押出プロセスで押出するステップを含み、熱可塑性組成物が、i)線状ポリエチレン;ii)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~4,000百万分率の少なくとも1種のポリエチレングリコール;及びiii)(線状ポリエチレン及び高圧低密度ポリエチレンLDPEの総重量を基準にして)3.0~15.0重量パーセントの高圧低密度ポリエチレンLDPEを含み、
線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HPDE、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、
溶融押出プロセスがフルオロポリマーの非存在下で行われる、
方法。
【0316】
実施形態B. 線状ポリエチレンが酸化亜鉛を含む、実施形態Aの方法。
【0317】
実施形態C. 線状ポリエチレンがハイドロタルサイトを含む、実施形態A又はBの方法。
【0318】
実施形態D. 高圧低密度ポリエチレンLDPEが少なくとも2.5g/10分のメルトインデックスIを有する、実施形態A、B、又はCの方法。
【0319】
実施形態E. 高圧低密度ポリエチレンLDPEが2.5~10.0g/10分のメルトインデックスIを有する、実施形態A、B、又はCの方法。
【0320】
実施形態F. 線状ポリエチレンがLLDPEである、実施形態A、B、C、D、又はEの方法。
【0321】
実施形態G. LLDPEが10分当たり0.1~5.0グラムのメルトインデックスIを有する、実施形態Fの方法。
【0322】
実施形態H. LLDPEが0.910~0.936g/cmの密度を有する、実施形態F、又はGの方法。
【0323】
実施形態I. LLDPEが重合したエチレン並びに1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される1種以上のアルファオレフィンを含むエチレンコポリマーである、実施形態F、G、又はHの方法。
【0324】
実施形態J. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが20,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、又はIの方法。
【0325】
実施形態K. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、又はIの方法。
【0326】
実施形態L. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが20,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、又はIの方法。
【0327】
実施形態M. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、又はIの方法。
【0328】
実施形態N. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが約2,000~約10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び約15,000~約25,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、又はIの方法。
【0329】
実施形態O. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが約2,000~約10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び約25,000~約50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、又はIの方法。
【0330】
実施形態P. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが約2,000~約10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び約250,000~約350,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、又はIの方法。
【0331】
実施形態Q. 熱可塑性組成物が(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の少なくとも1種のポリエチレングリコールを含む、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、又はPの方法。
【0332】
実施形態R. 溶融押出プロセスが、線状ポリエチレンから本質的になる熱可塑性組成物を用いて行われる場合にはメルトフラクチャー欠陥を有する熱可塑性組成物押出物を生成する剪断速度で行われる、実施形態A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、P、又はQの方法。
【0333】
実施形態S. i)線状ポリエチレン;ii)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~4,000百万分率の少なくとも1種のポリエチレングリコール;及びiii)(線状ポリエチレン及び高圧低密度ポリエチレンLDPEの総重量を基準にして)3.0~15.0重量パーセントの高圧低密度ポリエチレンLDPEを含む、押出可能な熱可塑性組成物であって、
押出可能な熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、
線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HPDE、及びこれらの混合物からなる群から選択される、
押出可能な熱可塑性組成物。
【0334】
実施形態T. 線状ポリエチレンが酸化亜鉛を含む、実施形態Sの押出可能な熱可塑性組成物。
【0335】
実施形態U. 線状ポリエチレンがハイドロタルサイトを含む、実施形態S又はTの押出可能な熱可塑性組成物。
【0336】
実施形態V. 高圧低密度ポリエチレンLDPEが少なくとも2.5g/10分のメルトインデックスIを有する、実施形態S、T、又はUの押出可能な熱可塑性組成物。
【0337】
実施形態W. 高圧低密度ポリエチレンLDPEが2.5~10.0g/10分のメルトインデックスIを有する、実施形態S、T、又はUの押出可能な熱可塑性組成物。
【0338】
実施形態X. 線状ポリエチレンがLLDPEである、実施形態S、T、U、V、又はWの押出可能な熱可塑性組成物。
【0339】
実施形態Y. LLDPEが10分当たり0.1~5.0グラムのメルトインデックスIを有する、実施形態Xの押出可能な熱可塑性組成物。
【0340】
実施形態Z. LLDPEが0.910~0.936g/cmの密度を有する、実施形態X、又はYの押出可能な熱可塑性組成物。
【0341】
実施形態AA. LLDPEが重合したエチレン並びに1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される1種以上のアルファオレフィンを含むエチレンコポリマーである、実施形態X、Y、又はZの押出可能な熱可塑性組成物。
【0342】
実施形態BB. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが20,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである、実施形態S、T、U、V、W、X、Y、Z、又はAAの押出可能な熱可塑性組成物。
【0343】
実施形態CC. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである、実施形態S、T、U、V、W、X、Y、Z、又はAAの押出可能な熱可塑性組成物。
【0344】
実施形態DD. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが20,000g/mol未満の重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び少なくとも50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、実施形態S、T、U、V、W、X、Y、Z、又はAAの押出可能な熱可塑性組成物。
【0345】
実施形態EE. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有するポリエチレングリコールである、実施形態S、T、U、V、W、X、Y、Z、又はAAの押出可能な熱可塑性組成物。
【0346】
実施形態FF. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが約2,000~約10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び約15,000~約25,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、実施形態S、T、U、V、W、X、Y、Z、又はAAの押出可能な熱可塑性組成物。
【0347】
実施形態GG. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが約2,000~約10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び約25,000~約50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、実施形態S、T、U、V、W、X、Y、Z、又はAAの押出可能な熱可塑性組成物。
【0348】
実施形態HH. 少なくとも1種のポリエチレングリコールが約2,000~約10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール、及び約250,000~約350,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールである、実施形態S、T、U、V、W、X、Y、Z、又はAAの押出可能な熱可塑性組成物。
【0349】
実施形態II. 熱可塑性組成物が(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の少なくとも1種のポリエチレングリコールを含む、実施形態S、T、U、V、W、X、Y、Z、AA、BB、CC、DD、EE、FF、GG、又はHHの押出可能な熱可塑性組成物。
【0350】
実施形態JJ. 熱可塑性組成物押出物を調製する方法であって、
a)線状ポリエチレンをi)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~4,000百万分率の少なくとも1種のポリエチレングリコール及びii)(線状ポリエチレン及び高圧低密度ポリエチレンLDPEの総重量を基準にして)3.0重量パーセント~15.0重量パーセントの高圧低密度ポリエチレンLDPEと合わせることにより熱可塑性組成物を調製するステップと、
b)熱可塑性組成物を溶融押出プロセスで押出するステップと
を含み、
線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HPDE、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、
溶融押出プロセスがフルオロポリマーの非存在下で行われる、
方法。
【0351】
実施形態KK. 線状ポリエチレンが酸化亜鉛を含む、実施形態JJの方法。
【0352】
実施形態LL. 線状ポリエチレンがハイドロタルサイトを含む、実施形態JJ又はKKの方法。
【0353】
実施形態MM. 熱可塑性組成物押出物を調製する方法であって、熱可塑性組成物を溶融押出プロセスで押出するステップを含み、熱可塑性組成物が、i)線状ポリエチレン;ii)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール;及びiii)15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールを含み、
線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HPDE、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、
溶融押出プロセスがフルオロポリマーの非存在下で行われる、
方法。
【0354】
実施形態NN. 線状ポリエチレンが酸化亜鉛を含む、実施形態MMの方法。
【0355】
実施形態OO. 線状ポリエチレンがハイドロタルサイトを含む、実施形態MM、又はNNの方法。
【0356】
実施形態PP. 線状ポリエチレンがLLDPEである、実施形態MM、NN、又はOOの方法。
【0357】
実施形態QQ. LLDPEが10分当たり0.1~5.0グラムのメルトインデックスIを有する、実施形態PPの方法。
【0358】
実施形態RR. LLDPEが0.910~0.936g/cmの密度を有する、実施形態PP又はQQの方法。
【0359】
実施形態SS. LLDPEが重合したエチレン並びに1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される1種以上のアルファオレフィンを含むエチレンコポリマーである、実施形態PP、QQ、又はRRの方法。
【0360】
実施形態TT. 第1のポリエチレングリコールが2,000~8,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、又はSSの方法。
【0361】
実施形態UU. 第1のポリエチレングリコールが2,000~5,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、又はSSの方法。
【0362】
実施形態VV. 第1のポリエチレングリコールが約3,350g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、又はSSの方法。
【0363】
実施形態WW. 第2のポリエチレングリコールが15,000~25,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、又はSSの方法。
【0364】
実施形態XX. 第2のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、又はSSの方法。
【0365】
実施形態YY.第2のポリエチレングリコールが約35,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、又はSSの方法。
【0366】
実施形態ZZ. 第1のポリエチレングリコールが2,000~8,000g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、又はSSの方法。
【0367】
実施形態AAA. 第1のポリエチレングリコールが2,000~5,000g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、又はSSの方法。
【0368】
実施形態BBB. 第1のポリエチレングリコールが約3,350g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールが約35,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、又はSSの方法。
【0369】
実施形態CCC. 熱可塑性組成物が(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の第1のポリエチレングリコール及び(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の第2のポリエチレングリコールを含む、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WW、XX、YY、ZZ、AAA、又はBBBの方法。
【0370】
実施形態DDD. 溶融押出プロセスが、線状ポリエチレンから本質的になる熱可塑性組成物を用いて行われる場合にはメルトフラクチャー欠陥を有する熱可塑性組成物押出物を生成する剪断速度で行われる、実施形態MM、NN、OO、PP、QQ、RR、SS、TT、UU、VV、WW、XX、YY、ZZ、AAA、BBB、又はCCCの方法。
【0371】
実施形態EEE. i)線状ポリエチレン;ii)2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール;及びiii)15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールを含む、押出可能な熱可塑性組成物であって、
押出可能な熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、
線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HPDE、及びこれらの混合物からなる群から選択される、
押出可能な熱可塑性組成物。
【0372】
実施形態FFF. 線状ポリエチレンが酸化亜鉛を含む、実施形態EEEの押出可能な熱可塑性組成物。
【0373】
実施形態GGG. 線状ポリエチレンがハイドロタルサイトを含む、実施形態EEE又はFFFの押出可能な熱可塑性組成物。
【0374】
実施形態HHH. 線状ポリエチレンがLLDPEである、実施形態EEE、FFF、又はGGGの押出可能な熱可塑性組成物。
【0375】
実施形態III. LLDPEが10分当たり0.1~5.0グラムのメルトインデックスIを有する、実施形態HHHの押出可能な熱可塑性組成物。
【0376】
実施形態JJJ. LLDPEが0.910~0.936g/cmの密度を有する、実施形態HHH又はIIIの押出可能な熱可塑性組成物。
【0377】
実施形態KKK. LLDPEが重合したエチレン並びに1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される1種以上のアルファオレフィンを含むエチレンコポリマーである、実施形態HHH、III、又はJJJの押出可能な熱可塑性組成物。
【0378】
実施形態LLL. 第1のポリエチレングリコールが2,000~8,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態EEE、FFF、GGG、HHH、III、JJJ、又はKKKの押出可能な熱可塑性組成物。
【0379】
実施形態MMM. 第1のポリエチレングリコールが2,000~5,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態EEE、FFF、GGG、HHH、III、JJJ、又はKKKの押出可能な熱可塑性組成物。
【0380】
実施形態NNN. 第1のポリエチレングリコールが約3,350g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態EEE、FFF、GGG、HHH、III、JJJ、又はKKKの押出可能な熱可塑性組成物。
【0381】
実施形態OOO. 第2のポリエチレングリコールが15,000~25,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態EEE、FFF、GGG、HHH、III、JJJ、又はKKKの押出可能な熱可塑性組成物。
【0382】
実施形態PPP. 第2のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態EEE、FFF、GGG、HHH、III、JJJ、又はKKKの押出可能な熱可塑性組成物。
【0383】
実施形態QQQ. 第2のポリエチレングリコールが約35,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態EEE、FFF、GGG、HHH、III、JJJ、又はKKKの押出可能な熱可塑性組成物。
【0384】
実施形態RRR. 第1のポリエチレングリコールが2,000~8,000g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態EEE、FFF、GGG、HHH、III、JJJ、又はKKKの押出可能な熱可塑性組成物。
【0385】
実施形態SSS. 第1のポリエチレングリコールが2,000~5,000g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールが25,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態EEE、FFF、GGG、HHH、III、JJJ、又はKKKの押出可能な熱可塑性組成物。
【0386】
実施形態TTT. 第1のポリエチレングリコールが約3,350g/molの重量平均分子量Mを有し、第2のポリエチレングリコールが約35,000g/molの重量平均分子量Mを有する、実施形態EEE、FFF、GGG、HHH、III、JJJ、又はKKKの押出可能な熱可塑性組成物。
【0387】
実施形態UUU. 熱可塑性組成物が(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の第1のポリエチレングリコール及び(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の第2のポリエチレングリコールを含む、実施形態EEE、FFF、GGG、HHH、III、JJJ、KKK、LLL、MMM、NNN、OOO、PPP、QQQ、RRR、SSS、又はTTTの押出可能な熱可塑性組成物。
【0388】
実施形態VVV. 熱可塑性組成物押出物を調製する方法であって、
a)線状ポリエチレンをi)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の2,000~10,000g/molの重量平均分子量Mを有する第1のポリエチレングリコール;及びii)(線状ポリエチレンの重量を基準にして)200~2,000百万分率の15,000~50,000g/molの重量平均分子量Mを有する第2のポリエチレングリコールと合わせることにより熱可塑性組成物を調製するステップと、
b)熱可塑性組成物を溶融押出プロセスで押出するステップと
を含み、
線状ポリエチレンがLLDPE、MDPE、VLDPE、HPDE、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
熱可塑性組成物がフルオロポリマーを実質的に含まず、
溶融押出プロセスがフルオロポリマーの非存在下で行われる、
方法。
【0389】
実施形態WWW. 線状ポリエチレンが酸化亜鉛を含む、実施形態VVVの方法。
【0390】
実施形態XXX. 線状ポリエチレンがハイドロタルサイトを含む、実施形態VVV又はWWWの方法。
【産業上の利用可能性】
【0391】
フルオロポリマーの非存在下で押出されるポリオレフィンのメルトフラクチャー欠陥を低減するポリマー加工助剤(PPA)が提供される。
図1
【国際調査報告】