(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】MOR受容体アゴニストの薬学的に許容できる塩、その多形体及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20240628BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20240628BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240628BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240628BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240628BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C07D487/04 138
C07D487/04 CSP
A61K31/4439
A61P43/00 111
A61P25/04
A61P29/00
A61P37/02
A61P1/00
A61P25/00
A61P13/00
A61P15/00
A61P9/00
A61P11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502238
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 CN2022105473
(87)【国際公開番号】W WO2023284788
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110788712.4
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520415971
【氏名又は名称】上海海雁医薬科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HAIYAN PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY CO., LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】517202157
【氏名又は名称】ヤンツェー リバー ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】1 South Yangtze River Road Taizhou,Jiangsu,225321 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】但招陵
(72)【発明者】
【氏名】江涛涛
(72)【発明者】
【氏名】王吉標
(72)【発明者】
【氏名】強金磊
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB03
4C086GA13
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA03
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA08
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZC41
(57)【要約】
MOR受容体アゴニストの薬学的に許容できる塩及びその多形体、使用を開示する。具体的に、(4S,6S)-6-イソプロピル-N-(2-((R)-9-(ピリジン-2-イル)-6-オキサスピロ[4.5]デカン-9-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-b]ピラゾール-4-アミンの薬学的に許容できる塩及びその多形体並びに使用を開示する。なお、該化合物を含む薬学的に許容できる塩またはその薬物組成物及びその使用を更に開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式X化合物の薬学的に許容できる塩であって、前記式X化合物は以下の構造を有し、
【化1】
ただし、前記薬学的に許容できる塩は、マレイン酸塩、L-酒石酸塩またはコハク酸塩である、式X化合物の薬学的に許容できる塩。
【請求項2】
前記式X化合物の薬学的に許容できる塩は多形体であり、
前記多形体は、
X線粉末回折パターンは少なくとも10.06±0.2、10.45±0.2、11.13±0.2、13.03±0.2、16.81±0.2、17.29±0.2、19.45±0.2、20.05±0.2、24.04±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある、結晶型Aである式X化合物のマレイン酸塩のA型結晶、
X線粉末回折パターンは少なくとも13.82±0.2、14.87±0.2、20.55±0.2、23.15±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある、結晶型Bである式X化合物のL-酒石酸塩のB型結晶、
X線粉末回折パターンは少なくとも6.52±0.2、10.37±0.2、10.84±0.2、13.66±0.2、14.11±0.2、15.61±0.2、17.35±0.2、20.92±0.2、23.20±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある、結晶型C-1である式X化合物のコハク酸塩のC-1型結晶、及び
X線粉末回折パターンは少なくとも9.67±0.2、12.55±0.2、13.66±0.2、14.26±0.2、14.92±0.2、15.70±0.2、17.05±0.2、17.56±0.2、21.46±0.2、23.12±0.2、37.51±0.2、43.64±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある、結晶型C-2である式X化合物のコハク酸塩のC-2型結晶、
のうちのいずれかの結晶型から選ばれる、請求項1に記載の式X化合物の薬学的に許容できる塩。
【請求項3】
前記結晶型AのX線粉末回折パターンは基本的に
図1のように特徴づけられ、
前記結晶型BのX線粉末回折パターンは基本的に
図4のように特徴づけられ、
前記結晶型C-1のX線粉末回折パターンは基本的に
図7のように特徴づけられ、
前記結晶型C-2のX線粉末回折パターンは基本的に
図8のように特徴づけられる、請求項2に記載の式X化合物の薬学的に許容できる塩。
【請求項4】
前記結晶型BのX線粉末回折パターンはさらに、10.41±0.2、15.75±0.2、16.28±0.2、17.21±0.2、17.63±0.2、19.98±0.2、20.22±0.2、21.08±0.2、22.22±0.2、24.56±0.2、28.91±0.2から選ばれる回折角2θ(°)値での2つ以上のピークを含む、請求項2に記載の式X化合物の薬学的に許容できる塩。
【請求項5】
前記結晶型Bは、
(i)示差走査熱量分析スペクトル中で、ピーク値の温度は143.31±2℃であり、前記示差走査熱量分析スペクトルは基本的に
図5のように特徴づけられる特徴、
(ii)熱重量分析スペクトルは基本的に
図6のように特徴づけられる特徴、及び
(iii)赤外スペクトル図は基本的に
図15のように特徴づけられる特徴から選ばれる1つまたは複数をさらに含む、請求項2に記載の式X化合物の薬学的に許容できる塩。
【請求項6】
式X化合物の薬学的に許容できる塩の調製方法であって、
式X化合物、酸及び溶媒を混合し、造塩反応を行い、式X化合物の薬学的に許容できる塩を調製するステップを含み、
ただし、前記式X化合物は以下の構造を有し、
【化2】
前記酸はマレイン酸、L-酒石酸及びコハク酸から選ばれる、式X化合物の薬学的に許容できる塩の調製方法。
【請求項7】
式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体の調製方法であって、
(i)式X化合物、酸及び溶媒を混合し、造塩反応を行い、反応液を取得するステップと、
(ii)前記反応液を結晶化処理して、前記多形体を調製するステップと、を含み、
ただし、前記式X化合物は以下の構造を有し、
【化3】
前記酸は、マレイン酸、L-酒石酸及びコハク酸から選ばれる、式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体の調製方法。
【請求項8】
前記酸と前記式X化合物のモル比は(1.1~1.3):1であり、好ましくは1.2:1である、請求項6または7に記載の調製方法。
【請求項9】
式X化合物、酸及び溶媒を混合して造塩反応を行うステップは、
式X化合物、酸及び溶媒を混合した後、温度が25℃~55℃の条件下で5~120min反応させ、次に、温度が25℃~45℃の条件下で5~120min反応させ、さらに、温度が25℃~35℃の条件下で5~120min反応させる、請求項6または7に記載の調製方法。
【請求項10】
降温、懸濁液振とうまたは反溶媒の添加の方法により前記結晶化処理を行い、または自然降温の方法により前記結晶化処理を行う、請求項7に記載の調製方法。
【請求項11】
前記多形体は結晶型Aであり、前記酸はマレイン酸であり、前記溶媒はアセトニトリル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、n-ヘプタンまたはその組み合わせであり、または
前記多形体は結晶型Bであり、前記酸はL-酒石酸であり、前記溶媒はアセトニトリル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、n-ヘプタンまたはその組み合わせであり、または
前記多形体は結晶型C-1であり、前記酸はコハク酸であり、前記溶媒はアセトンであり、または
前記多形体は結晶型C-2であり、前記酸はコハク酸であり、前記溶媒は酢酸エチルである、請求項7に記載の調製方法。
【請求項12】
前記多形体は結晶型Bであり、前記結晶化処理のステップは、
前記反応液を-10℃~10℃まで降温し、固体を収集するステップと、
前記固体を第2の溶媒に溶解し、降温方式によって結晶化し、前記結晶型Bを調製するステップとを含み、前記第2の溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、アセトン、n-ヘプタン及びメチルtert-ブチルエーテルから選ばれる、請求項7に記載の調製方法。
【請求項13】
前記第2の溶媒はアセトニトリルであり、前記固体を前記第2の溶媒に溶解し、降温方式によって結晶化し、前記結晶型Bを調製するステップは、
30℃~70℃の条件下で、前記固体をアセトニトリルに溶解し、ほぼ飽和溶液を調製し、ろ過し、濾液を収集するステップと、
前記濾液にアセトニトリルを添加し、-10℃~20℃まで降温し、析出した結晶を収集し、結晶型Bを取得するステップと、を含む、請求項12に記載の調製方法。
【請求項14】
前記多形体は請求項2~5のいずれか1項に記載の多形体である、請求項7~13のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項15】
薬物組成物であって、
(a)請求項1に記載の式X化合物の薬学的に許容できる塩、請求項2~5のいずれか1項に記載の多形体、または請求項6に記載の調製方法によって調製される式X化合物の薬学的に許容できる塩、または請求項7~14のいずれか1項に記載の調製方法によって調製される多形体、及び
(b)薬学的に許容される担体、を含む、薬物組成物。
【請求項16】
請求項1に記載の式X化合物の薬学的に許容できる塩、請求項2~5のいずれか1項に記載の多形体、または請求項6に記載の調製方法によって調製される式X化合物の薬学的に許容できる塩、または請求項7~14のいずれか1項に記載の調製方法によって調製される多形体、または請求項15に記載の薬物組成物の、MOR受容体アゴニストによって媒介された関連疾患を予防及び/又は治療する薬物の調製における使用。
【請求項17】
前記MOR受容体アゴニストによって媒介された関連疾患は疼痛、免疫機能障害、炎症、食管逆流、神経と精神疾患、泌尿と生殖器疾患、心血管疾患及び呼吸器疾患から選ばれる、請求項16に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は医薬技術分野に関し、具体的に、本願はMOR受容体アゴニストの薬学的に許容できる塩、その多形体及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オピオイド受容体は、Gタンパク質共役受容体(G protein coupled receptor、GPCR)の重要なクラスであり、内因性オピオイドペプチド及びオピオイド薬物結合の標的であり、内因性オピオイドペプチドは哺乳動物の体内で日然に生成するオピオイド様活物質である。現在知られている内因性オピオイドペプチドは、エンケファリン、エンドルフィン、ダイノルフィン及びネオフテニンの幾つかの種類に大別される。中枢神経系には、μ(MOR)、δ(DOR)、κ(KOR)受容体など、対応するオピオイド受容体が存在する。研究によると、内因性オピオイドペプチド鎮痛作用の強弱は、主にオピオイド受容体の発現量に依存し、オピオイド受容体はオピオイド薬物及び内因性オピオイドペプチド鎮痛作用の標的となる。
【0003】
現在の研究では、GPCRは、Gタンパク質経路とβ-arrestin経路の2つの主要な経路を介して生理学的機能を媒介及び調節することが考えられる。従来のGPCRアゴニストが受容体と結合した後、カルシウムイオンなどのセカンドメッセンジャー系、アデニル酸シクラーゼ(adenyl cyclase、AC)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(mitogen-activated protein kinases、MAPK)等を含むGタンパク質シグナル経路を活性化するが、β-arrestin嗜好性リガンドは主にβ-arrestin経路を活性化する。β-arrestinで媒介したGPCR反応は主に、以下の3つの側面があり、1)負性調節因子として、Gタンパク質共役受容体キナーゼ(GRK)と作用し、GPCRsに受容体脱感作反応を起こさせ、Gタンパク質シグナル伝達を中止し、2)足場タンパク質(scaffold protein)として、エンドサイトーシスタンパク質を動員し、GPCRエンドサイトーシスを誘導し、3)アダプタータンパク質として、GPCR下流シグナル分子と複合体を形成し、MAPK、Srcタンパク質チロシンキナーゼ及びAktなどのシグナル伝達分子をGタンパク質非依存的に活性化する。リガンド刺激Gタンパク質シグナル及び/又はβ-arrestinシグナルの違いにより、最終的にGPCRのリガンド特異的細胞生物学的効果を決定する。
【0004】
MORは内因性エンケファリンやモルヒネなどのオピオイド鎮痛薬の作用標的である。初期の研究によると、内因性エンケファリンとオピオイド薬物エトルフィンはGタンパク質刺激して受容体エンドサイトーシスを引き起こす可能性があるが、モルヒネは完全に受容体的エンドサイトーシスをまったく引き起こしく、これは、モルヒネがMORリン酸化を刺激する能力は弱すぎて、微量のβ-arrestinをに動員できないためである(Zhangなど、Proc Natl Acad Sci USA,1998,95(12):7157-7162)。このようなリガンドはβ-arrestin経路ではなく、完全にGタンパク質シグナル経路を介してその生理学的機能を発揮する。研究によると、β-arrestin2遺伝子ノックアウトマウスにモルヒネを注射した後、Gタンパク質シグナルによって媒介される鎮痛効果がより強く、且つ維持時間がより長い(Bohnなど、Science、1999年)ことが分かった。これから分かるように、このようなリガンドの負性β-arrestin嗜好性がより強く、ひいてはβ-arrestinで媒介される受容体脱感作を逃れることができれば、Gタンパク質シグナル伝達時間が長くなり、より強力な鎮痛作用が生じる。
【0005】
現在開示されているMO6Rアゴニスト特許出願は、WO2017106547、WO2017063509、WO2012129495、WO2017106306などを含む。
【0006】
オピオイド薬物の長期使用は耐性や呼吸抑制、便秘などの副作用を生じるが、これらの副作用はβ-arrestinの機能と密接に関連していることが証明されている。オピオイド薬物の副作用を軽減するために、MORの負性β-arrestin嗜好性リガンドに基づいて薬物を設計し、β-arrestinで媒介される副作用を低減させ、治療効果を高めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のような背景に基づいて、開発されたMOR受容体アゴニストの遊離塩基の物性がよくない場合、薬物のさらなる開発を促進するように、MOR受容体アゴニストの薬学的に許容できる塩、その多形体をさらに開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の第1の態様では、式X化合物の薬学的に許容できる塩、式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体を提供し、
【0009】
【0010】
ただし、前記薬学的に許容できる塩はマレイン酸塩、L-酒石酸塩及びコハク酸塩から選ばれる。
【0011】
いくつかの実施手段において、前記式X化合物の薬学的に許容できる塩及び式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体は無水形態、水和物形態または溶媒和物形態である。
【0012】
いくつかの実施手段において、前記多形体は、式X化合物のマレイン酸塩のA型結晶、即ち結晶型Aであり、そのX線粉末回折パターンは、少なくとも10.06±0.2、10.45±0.2、11.13±0.2、13.03±0.2、16.81±0.2、17.29±0.2、19.45±0.2、20.05±0.2、24.04±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0013】
いくつかの実施手段において、前記多形体は、式X化合物のマレイン酸塩のA型結晶、即ち結晶型Aであり、そのX線粉末回折パターンは、少なくとも10.06±0.2、10.45±0.2、11.13±0.2、13.03±0.2、16.81±0.2、17.29±0.2、19.45±0.2、20.05±0.2、24.04±0.2、37.51±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0014】
いくつかの実施手段において、前記結晶型AのX線粉末回折パターンは、11.98±0.2、14.19±0.2、15.79±0.2、18.52±0.2、20.95±0.2、21.97±0.2、25.57±0.2から選ばれる回折角2θ(°)値での2つ以上のピークをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施手段において、前記結晶型AのX線粉末回折パターンは、11.98±0.2、14.19±0.2、15.79±0.2、18.52±0.2、20.95±0.2、21.97±0.2、25.57±0.2、43.66±0.2から選ばれる回折角2θ(°)値での2つ以上のピークをさらに含む。
【0016】
いくつかの実施手段において、前記結晶型AのX線粉末回折パターンは、10.06±0.2、10.45±0.2、11.13±0.2、11.98±0.2、13.03±0.2、14.19±0.2、15.79±0.2、16.81±0.2、17.29±0.2、18.52±0.2、19.45±0.2、20.05±0.2、20.95±0.2、21.97±0.2、24.04±0.2、25.57±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0017】
いくつかの実施手段において、前記結晶型AのX線粉末回折パターンは、10.06±0.2、10.45±0.2、11.13±0.2、11.98±0.2、13.03±0.2、14.19±0.2、15.79±0.2、16.81±0.2、17.29±0.2、18.52±0.2、19.45±0.2、20.05±0.2、20.95±0.2、21.97±0.2、24.04±0.2、25.57±0.2、37.51±0.2、43.66±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0018】
いくつかの実施手段において、前記結晶型AのX線粉末回折パターンは表A1に示す2θ(°)値にピークがあり、各ピークの相対強度を表A1に示す。
【0019】
【0020】
いくつかの実施手段において、前記結晶型AのX線粉末回折パターンは基本的に
図1のように特徴づけられる。
【0021】
いくつかの実施手段において、前記結晶型Aは無水形態である。
【0022】
いくつかの実施手段において、前記結晶型Aはさらに、
(i)示差走査熱量分析スペクトル中で、ピーク値の温度は177.62±2℃であり、いくつかの実施例において、その示差走査熱量分析スペクトルは基本的に
図2のように特徴づけられる特徴、
(ii)熱重量分析スペクトルは基本的に
図3のように特徴づけられる特徴から選ばれる1つまたは複数をさらに含む。
【0023】
いくつかの実施手段において、前記多形体は式X化合物のL-酒石酸塩のB型結晶であり、即ち結晶型Bであり、そのX線粉末回折パターンは、少なくとも13.82±0.2、14.87±0.2、20.55±0.2、23.15±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0024】
いくつかの実施手段において、前記多形体は式X化合物のL-酒石酸塩のB型結晶、即ち結晶型Bであり、そのX線粉末回折パターンは、少なくとも13.82±0.2、14.87±0.2、20.55±0.2、23.15±0.2、38.00±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0025】
いくつかの実施手段において、前記結晶型BのX線粉末回折パターンは、10.41±0.2、15.75±0.2、16.28±0.2、17.21±0.2、17.63±0.2、19.98±0.2、20.22±0.2、21.08±0.2、22.22±0.2、24.56±0.2、28.91±0.2から選ばれる回折角2θ(°)値での2つ以上のピークをさらに含む。
【0026】
いくつかの実施手段において、前記結晶型BのX線粉末回折パターンは、10.41±0.2、15.75±0.2、16.28±0.2、17.21±0.2、17.63±0.2、19.98±0.2、20.22±0.2、21.08±0.2、22.22±0.2、24.56±0.2、28.91±0.2、44.21±0.2から選ばれる回折角2θ(°)値での2つ以上のピークをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施手段において、前記結晶型BのX線粉末回折パターンは、10.41±0.2、13.82±0.2、14.87±0.2、15.75±0.2、16.28±0.2、17.21±0.2、17.63±0.2、19.98±0.2、20.22±0.2、20.55±0.2、21.08±0.2、22.22±0.2、23.15±0.2、24.56±0.2、28.91±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0028】
いくつかの実施手段において、前記結晶型BのX線粉末回折パターンは、10.41±0.2、13.82±0.2、14.87±0.2、15.75±0.2、16.28±0.2、17.21±0.2、17.63±0.2、19.98±0.2、20.22±0.2、20.55±0.2、21.08±0.2、22.22±0.2、23.15±0.2、24.56±0.2、28.91±0.2、38.00±0.2、44.21±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0029】
いくつかの実施手段において、前記結晶型BのX線粉末回折パターンは、表B1に示す2θ(°)値にピークがあり、各ピークの相対強度を表B1に示す。
【0030】
【0031】
いくつかの実施手段において、前記結晶型BのX線粉末回折パターンは基本的に
図4のように特徴づけられる。
【0032】
いくつかの実施手段において、前記結晶型Bは無水形態である。
【0033】
いくつかの実施手段において、前記結晶型Bはさらに、
(i)示差走査熱量分析スペクトル中で、ピーク値の温度は143.31±2℃であり、いくつかの実施例において、その示差走査熱量分析スペクトルは基本的に
図5のように特徴づけられる特徴、
(ii)熱重量分析スペクトルは基本的に
図6のように特徴づけられる特徴から選ばれる1つまたは複数をさらに含む。
【0034】
いくつかの実施手段において、前記結晶型Bの赤外スペクトルは約3457 cm-1、3073 cm-1、2959 cm-1、2873 cm-1、1716 cm-1、1589 cm-1、1571 cm-1、1468 cm-1、1440 cm-1、1377 cm-1、1287 cm-1、1131 cm-1、1105 cm-1、1062 cm-1、799 cm-1に吸収ピークがある。
【0035】
いくつかの実施手段において、前記結晶型Bの赤外スペクトル図は基本的に
図15のように特徴づけられる。
【0036】
いくつかの実施手段において、前記多形体は式X化合物のコハク酸塩のC-1型結晶、即ち結晶型C-1であり、そのX線粉末回折パターンは少なくとも6.52±0.2、10.37±0.2、10.84±0.2、13.66±0.2、14.11±0.2、15.61±0.2、17.35±0.2、20.92±0.2、23.20±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0037】
いくつかの実施手段において、前記多形体は式X化合物のコハク酸塩のC-1型結晶、即ち結晶型C-1であり、そのX線粉末回折パターンは少なくとも6.52±0.2、10.37±0.2、10.84±0.2、13.66±0.2、14.11±0.2、15.61±0.2、17.35±0.2、20.92±0.2、23.20±0.2、37.51±0.2、43.61±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0038】
いくつかの実施手段において、前記結晶型C-1のX線粉末回折パターンは、19.33±0.2、25.09±0.2から選ばれる回折角2θ(°)値でのピークをさらに含む。
【0039】
いくつかの実施手段において、前記結晶型C-1のX線粉末回折パターンは、6.52±0.2、10.37±0.2、10.84±0.2、13.66±0.2、14.11±0.2、15.61±0.2、17.35±0.2、19.33±0.2、20.92±0.2、23.20±0.2、25.09±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0040】
いくつかの実施手段において、前記結晶型C-1のX線粉末回折パターンは、6.52±0.2、10.37±0.2、10.84±0.2、13.66±0.2、14.11±0.2、15.61±0.2、17.35±0.2、19.33±0.2、20.92±0.2、23.20±0.2、25.09±0.2、37.51±0.2、43.61±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0041】
いくつかの実施手段において、前記結晶型C-1のX線粉末回折パターンは、表(C-1)に示す2θ(°)値にピークがあり、各ピークの相対強度を表(C-1)に示す。
【0042】
【0043】
いくつかの実施手段において、前記結晶型C-1のX線粉末回折パターンは基本的に
図7のように特徴づけられる。
【0044】
いくつかの実施手段において、前記多形体は式X化合物のコハク酸塩のC-2型結晶、即ち結晶型C-2であり、そのX線粉末回折パターンは少なくとも37.51±0.2、43.64±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0045】
いくつかの実施手段において、前記結晶型C-2のX線粉末回折パターンは、9.67±0.2、12.55±0.2、13.66±0.2、14.26±0.2、14.92±0.2、15.70±0.2、17.05±0.2、17.56±0.2、21.46±0.2、23.12±0.2から選ばれる回折角2θ(°)値の2つ以上のピークをさらに含む。
【0046】
いくつかの実施手段において、前記結晶型C-2のX線粉末回折パターンは、9.67±0.2、12.55±0.2、13.66±0.2、14.26±0.2、14.92±0.2、15.70±0.2、17.05±0.2、17.56±0.2、21.46±0.2、23.12±0.2、37.51±0.2、43.64±0.2の回折角2θ(°)値にピークがある。
【0047】
いくつかの実施手段において、前記結晶型C-2のX線粉末回折パターンは、表(C-2)に示す2θ(°)値にピークがあり、各ピークの相対強度を表(C-2)に示す。
【0048】
【0049】
いくつかの実施手段において、前記結晶型C-2のX線粉末回折パターンは基本的に
図8のように特徴づけられる。
【0050】
いくつかの実施手段において、前記結晶型C-2は無水形態である。
【0051】
いくつかの実施手段において、前記結晶型C-2はさらに、
(i)示差走査熱量分析スペクトル中で、ピーク値の温度は117.14±2℃であり、いくつかの実施例において、その示差走査熱量分析スペクトルは基本的に
図9のように特徴づけられる特徴、
(ii)熱重量分析スペクトルは基本的に
図10のように特徴づけられる特徴から選ばれる1つまたは複数をさらに含む。
【0052】
本願の第2の態様では、式X化合物の薬学的に許容できる塩の調製方法を提供し、
式X化合物、酸及び溶媒を混合し、造塩反応を行い、式X化合物の薬学的に許容できる塩を取得するS100を含む。
ここで、式X化合物は以下の構造を有し、
【0053】
【0054】
前記酸はマレイン酸、L-酒石酸及びコハク酸から選ばれる。
【0055】
本願の第3の態様では、式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体の調製方法を提供し、
式X化合物、酸及び溶媒を混合し、造塩反応を行い、反応液を取得するS210と、
反応液を結晶化処理して、多形体を取得するS220と、を含み、
ここで、式X化合物は以下の構造を有し、
【0056】
【0057】
前記酸はマレイン酸、L-酒石酸及びコハク酸から選ばれる。
【0058】
いくつかの実施手段において、ステップS210では、酸と式X化合物のモル比は、約(1.1-1.3):1であり、他のいくつかの手段では1.2:1である。
【0059】
いくつかの実施手段において、ステップS210では、式X化合物、酸及び溶媒を混合した後、温度が約25℃-約55℃の条件下で約5-120min反応させ、次に、温度が約25℃-約45℃の条件下で約5-120min反応させ、さらに、温度が約25℃-約35℃の条件下で約5-120min反応させる。
【0060】
いくつかの実施手段において、ステップS210では、式X化合物、酸及び溶媒を混合した後、温度が約50℃の条件下で約60min反応させ、次に、温度が約40℃の条件下で約60min反応させ、さらに、温度が約30℃の条件下で約60min反応させる。
【0061】
いくつかの実施手段において、ステップS220では、降温、懸濁液振とうまたは反溶媒添加の方法によって結晶化処理を行う。
【0062】
いくつかの実施手段において、ステップS220では、自然降温の方法によって結晶化処理を行う。
【0063】
いくつかの実施手段において、ステップS210における溶媒は、アセトニトリル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン及びn-ヘプタンの中の1種又は複数種から選ばれる。
【0064】
いくつかの実施手段において、多形体は結晶型Aであり、酸はマレイン酸であり、ステップS210における溶媒はアセトニトリル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン及びn-ヘプタンの中の1種又は複数種であり、他のいくつかの手段では酢酸エチルである。
【0065】
いくつかの実施手段において、多形体は結晶型Bであり、酸はL-酒石酸であり、ステップS210における溶媒はアセトニトリル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン及びn-ヘプタンの中の1種又は複数種であり、他のいくつかの手段ではアセトンである。
【0066】
いくつかの実施手段において、多形体は結晶型C-1であり、酸はコハク酸であり、ステップS210における溶媒はアセトンである。
【0067】
いくつかの実施手段において、多形体は結晶型C-2であり、酸はコハク酸であり、ステップS210における溶媒は酢酸エチルである。
【0068】
いくつかの実施手段において、多形体は本願の第1の態様に記載の多形体である。
【0069】
本願の第4の態様は、結晶型Aの調製方法を提供し、
式X化合物、マレイン酸及び溶媒を混合し、造塩反応を行い、反応液を取得するS310と、
反応液に降温、揮発、懸濁液振とうまたは反溶媒添加の結晶化処理を行うS320と、を含む。
【0070】
いくつかの実施手段において、ステップS310では、溶媒はアセトニトリル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、n-ヘプタンの中の1種又は複数種から選ばれる。
【0071】
いくつかの実施手段において、ステップS310では、溶媒は酢酸エチルである。
【0072】
いくつかの実施手段において、ステップS320では、自然降温の方法によって結晶型Aを取得する。
【0073】
本願の第5の態様では、結晶型Bの調製方法を提供し、
式X化合物、L-酒石酸及び溶媒を混合し、造塩反応を行い、反応液を取得するS410と、
反応液に降温、懸濁液振とうまたは反溶媒添加の結晶化処理を行うS420と、を含む。
【0074】
いくつかの実施手段において、ステップS420では、降温または懸濁液振とうによって結晶化処理を行う。
【0075】
いくつかの実施手段において、ステップS410では、前記溶媒は、アセトニトリル、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、n-ヘプタンの中の1種又は複数種から選ばれる。
【0076】
いくつかの実施手段において、ステップS420では、反応液を結晶化処理した後に得られた生成物を第2の溶媒に再度溶解し、降温方式によって結晶化処理を行い、結晶型Bを取得する。前記第2の溶媒は、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、メチルtert-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、n-ヘプタン及びその組み合わせから選ばれる。
【0077】
いくつかの実施手段において、ステップS420では、
反応液を約-10℃~約10℃に降温し、固体が析出した後に固体を収集するS421と、
固体を第2の溶媒に溶解し、降温方式によって結晶化し、前記結晶型Bを調製するS422と、を含む。
【0078】
いくつかの実施手段において、第2の溶媒はアセトニトリルであり、ステップS422は、
約30-70℃(いくつかの実施手段では60℃である)の条件下で、固体をアセトニトリルに溶解し、ほぼ飽和溶液を調製し、ろ過し、濾液を収集するS4221と、
濾液にアセトニトリルを添加し、約-10℃~約20℃まで降温し、結晶が析出し、析出した結晶を収集し、結晶型Bを取得するS4222と、を含む。
【0079】
本願の第6の態様では、結晶型C-1の調製方法を提供し、
式X化合物、コハク酸及び溶媒を混合し、造塩反応を行い、反応液を取得するS510と、
反応液に降温、揮発、懸濁液振とうまたは反溶媒添加の結晶化処理を行うS520と、を含む。
【0080】
いくつかの実施手段において、ステップS510では、溶媒はアセトンから選ばれる。
【0081】
いくつかの実施手段において、ステップS520では、降温の方法によって結晶化処理を行う。
【0082】
本願の第7の態様では、結晶型C-2の調製方法を提供し、
式X化合物、コハク酸及び溶媒を混合し、造塩反応を行い、反応液を取得するS610と、
反応液に降温、揮発、懸濁液振とうまたは反溶媒添加の結晶化処理を行うS620と、を含む。
【0083】
いくつかの実施手段において、ステップS610では、溶媒は酢酸エチルから選ばれる。
【0084】
いくつかの実施手段において、ステップS620では、降温の方法によって結晶化処理を行う。
【0085】
本願の第8の態様では、薬物組成物を提供し、前記薬物組成物は、
(a)本願の第1の態様に記載の式X化合物の薬学的に許容できる塩または式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体、第2の態様に記載の調製方法によって調製された式X化合物の薬学的に許容できる塩、第3の態様に記載の調製方法によって調製された式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体、第4の態様に記載の調製方法によって調製された結晶型A、第5の態様に記載の調製方法によって調製された結晶型B、第6の態様に記載の調製方法によって調製された結晶型C-1、または第7の態様に記載の調製方法によって調製された結晶型C-2、及び
(b)薬学的に許容される担体を含む。
【0086】
本願の第9の態様では、本願の第1の態様に記載の式X化合物の薬学的に許容できる塩または式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体、第2の態様に記載の調製方法によって調製された式X化合物の薬学的に許容できる塩、第3の態様に記載の調製方法によって調製された式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体、第4の態様に記載の調製方法によって調製された結晶型A、第5の態様に記載の調製方法によって調製された結晶型B、第6の態様に記載の調製方法によって調製された結晶型C-1、第7の態様に記載の調製方法によって調製された結晶型C-2、または本願の第8の態様に記載の薬物組成物の、MOR受容体アゴニストによって媒介された関連疾患を予防及び/又は治療する薬物の調製における使用を提供する。
【0087】
いくつかの実施手段において、前記MOR受容体アゴニストによって媒介された関連疾患は疼痛、免疫機能障害、炎症、食管逆流、神経と精神疾患、泌尿と生殖器疾患、心血管疾患及び呼吸器疾患から選ばれる。
【0088】
いくつかの実施手段において、前記MOR受容体アゴニストによって媒介された関連疾患は疼痛である。
【0089】
いくつかの実施手段において、前記疼痛は術後疼痛、癌による疼痛、神経因性疼痛、外傷性疼痛及び炎症による疼痛から選ばれる。
【0090】
いくつかの実施手段において、前記癌による疼痛の中の癌症は、乳がん、子宮内膜癌、子宮頸がん、皮膚癌、前立腺癌、卵巣癌、卵管腫瘍、卵巣瘤、血友病及び白血病から選ばれる。
【0091】
本願の第10の態様では、MOR受容体アゴニストによって媒介された関連疾患を予防及び/又は治療する方法を提供し、必要な患者に治療有効量の、第1の態様に記載の式X化合物の薬学的に許容できる塩または式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体、第2の態様に記載の調製方法によって調製された式X化合物の薬学的に許容できる塩、第3の態様に記載の調製方法によって調製された式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体、第4の態様に記載の調製方法によって調製された結晶型A、第5の態様に記載の調製方法によって調製された結晶型B、第6の態様に記載の調製方法によって調製された結晶型C-1、第7の態様に記載の調製方法によって調製された結晶型C-2、または本願の第8の態様に記載の薬物組成物を投与するステップを含む。
【0092】
理解すべきものとして、本願の範囲内で、本願の上記各技術的特徴と、以下(実施例)に具体的に説明する各技術的特徴とは互いに組み合わせることができ、新しいまたは好ましい技術的解決手段を構成する。スペースの都合上、ここでは繰り返さない。
【0093】
本願の式X化合物の薬学的に許容できる塩及びその多形体は良好な物理化学的安定性だけでなく、体内体外関連薬理活性も良好であるため、薬物として開発される可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】本願の実施例2による結晶型AのX線粉末回折パターンである。
【
図2】本願の実施例2による結晶型Aの示差走査熱量分析スペクトルである。
【
図3】本願の実施例2による結晶型Aの熱重量分析スペクトルである。
【
図4】本願の実施例3aによる結晶BのX線粉末回折パターンである。
【
図5】本願の実施例3aによる結晶Bの示差走査熱量分析スペクトルである。
【
図6】本願の実施例3aによる結晶Bの熱重量分析スペクトルである。
【
図7】本願の実施例4による結晶型C-1のX線粉末回折パターンである。
【
図8】本願の実施例5による結晶型C-2のX線粉末回折パターンである。
【
図9】本願の実施例5による結晶型C-2の示差走査熱量分析スペクトルである。
【
図10】本願の実施例5による結晶型C-2の熱重量分析スペクトルである。
【
図12】結晶型Aの7日間と30日間の60℃と40℃の75%RH条件下でのX線粉末回折パターンである。
【
図13】結晶型Bの7日間と30日間の60℃と40℃の75%RH条件下でのX線粉末回折パターンである。
【
図14】結晶型C-1の7日間と30日間の60℃と40℃の75%RH条件下でのX線粉末回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0095】
広範かつ詳細な研究の後、発明者は、cAMPに対して高い抑制活性、及び高いEmax値、及びβ-arrestinに対して低いEmax値を有し、偏向性に優れている式X化合物を発見した。これに基づいて、さらなる研究によって、式X化合物の薬学的に許容できる塩及びその一連の多形体を意外に発見しており、これらの塩及びその多形体は良好な物理化学的安定性を有するだけでなく、良好な体内体外関連薬理活性を有するため、さらに薬物として開発される可能性がある。
【0096】
式X化合物
本願では、式X化合物は(4S,6S)-6-イソプロピル-N-(2-((R)-9-(ピリジン-2-イル)-6-オキサスピロ[4.5]デカン-9-イル)エチル)-5,6-ジヒドロ-4H-ピロロ[1,2-b]ピラゾール-4-アミンであり、cAMPに対して高い抑制活性、及びβ-arrestinに対して低いEmax値を有し、偏向性に優れている。
【0097】
本願は、式X化合物の薬学的に許容できる塩及び式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体をさらに含み、ここで、薬学的に許容できる塩はマレイン酸塩、L-酒石酸塩及びコハク酸塩から選ばれる。本願では、多形体は式X化合物の薬学的に許容できる塩(例えばマレイン酸塩、L-酒石酸塩またはコハク酸塩)及びその様々な溶媒和物の多形体を含み、同一の塩または溶媒和物の異なる多形体をさらに含む。本願の多形体は結晶型A、結晶型B、結晶型C-1、結晶型C-2を含む(これらに限定されない)。
【0098】
多形体
固体はアモルファス形態と結晶形態を含む。結晶形態の場合、分子は3次元格子サイト内に局在化される。化合物は溶液またはスラリーから結晶化し、それは異なる空間格子配列結晶(このような性質は「多結晶型現象」と呼ばれる)で、異なる結晶形態を有する結晶を形成することができ、この様々な結晶形態は「多形体」と呼ばれる。所定の物質の異なる多形体は1つまたは複数の物理的特性(例えば溶解度と溶解速度、真比重、結晶形、堆積方式、流動性及び/又は固体安定性)において互いに異なることができる。
【0099】
結晶化
溶液を操作することにより、目的化合物の溶解度限界を超え、生産規模の結晶化を完成することができる。これは、複数の方法によって完成することができ、例えば、相対的高い温度で化合物を溶解してから、溶液を飽和限界以下まで冷却する。または沸騰、常圧蒸発、真空乾燥またはその他のいくつかの方法によって液体の体積を減少する。抗溶媒または低い溶解度の溶媒を有する化合物またはそのような溶媒の混合物を添加することにより、目的化合物の溶解度を低下させることができる。他の選択可能な方法は、溶解度を低下させるように、pH値を調整することである。結晶化の詳細な説明について、Crystallization,第3版,J W Mullens, Butterworth-Heineman Ltd.、1993, ISBN 0750611294を参照する。
【0100】
本願に記載の「懸濁液振とう」とは、式X化合物と対応する酸または対応する酸の溶液を適切な溶媒中で混合して濁った液を形成した後、振とうして結晶を得る方法を指す。適切な溶媒は水または有機溶媒であってもよい。
【0101】
本願に記載の「ゆっくりと揮発」とは、式X化合物の薬学的に許容できる塩を含む溶液または式X化合物と対応する酸を含む溶液を一定の温度で溶媒をゆっくりと揮発し、結晶を取得する方法を指す。
【0102】
本願に記載の「反溶媒添加」または「反溶媒を添加」とは、式X化合物のある溶液に他の適切な溶媒を添加して析出することによって結晶を取得する方法を指す。
【0103】
本願は、塩の形成と結晶化が同時に起こる技術であり、即ち塩が反応媒体中で原料より溶解度が小さい場合、適切な酸またはアルカリを添加すると、所望の塩の直接結晶化が起こる。同様に、最終的に所望の形態で反応物よりも溶解度が小さい媒体中で、合成反応の完成は最終生成物を直接結晶化させることができる。
【0104】
結晶化の最適化には、必要な形態の結晶を種結晶として結晶媒体に接種することが含まれる。また、多くの結晶化方法は上記手段の組み合わせを採用する。一実施例は、高温で興味のある化合物を溶媒に溶解し、続いて、系がちょうど飽和レベル以下になるように制御して適切な体積の抗溶媒を添加することである。このとき、必要な形態の種結晶(種結晶の完全性を保持)を添加して、系を冷却して結晶化を完成させる。
【0105】
本明細書に使用されるように、「室温」(RT)という用語は、一般的に約4-30℃を指し、いくつかの実施例において約20±5℃を指す。
【0106】
多形体の同定と性質
前記式X化合物の多形体及びその調製過程は、以下のような多種の方式と装置を用いてテスト、研究することができる。
【0107】
X線粉末回折
本願の式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体は、特定の結晶型形態を有し、X線粉末回折パターン(XRPD)中で特定の特徴ピークを有する。いくつかの実施例において、XRPDパターンはARL Equinox3000 X線粉末回折分析装置で採集し、XRPDパラメータを下表に示す。
【0108】
【0109】
X線粉末回折パターンでは、各ピークの位置は2θ(o)によって決定される。異なる装置及び/又は条件によって生成されるデータはわずかに異なり、各ピークの位置と相対強度は変化することを理解できる。当業者は、XRPDパターンに従って結晶型を判定する場合、回折角度が低いピーク及びその強度、ピーク形の完全性などの要素は相対的に参考的な意義があり、本願の結晶型は上記装置を使用してテストする場合、回折角度が高い2θ(°)値の37.5-38と43.5-44の両方の範囲にブランク金属ディスクの強いバックグラウンドピーク(1、4、7及び8の同じ位置はピークに対応する)が現れることを理解すべきである。本願では、各結晶型は、そのピーク高ささが最も高い回折ピークをベースピークとして、その相対強度を100%と定義し、I0とし、ピークの強度の分割は、各位置上のピークの近似的な大きさのみを反映している。(結晶型Aの2θ(o)値が17.29のピークはベースピークであり、結晶型Bの2θ(o)値が13.82のピークはベースピークであり、結晶型C-1の2θ(o)値が14.11のピークはベースピークであり、結晶型C-2の2θ(o)値が37.51のピークはベースピークである)、他の各ピークはそのピーク高さとベースピークのピーク高さの比をその相対強度I/I0とし、各ピークの相対強度の分割定義を下表に示す。
【0110】
【0111】
示差走査熱量測定(DSC)と熱重量分析(TGA)
DSCとTGAスペクトルはそれぞれDSC25A示差走査熱量測定装置とTGA550熱重量分析装置で採集され、テストパラメータを下記表に示す。
【0112】
【0113】
上記装置の作用と同様な他のタイプの装置を使用したり、または本願に使用されるものと異なるテスト条件を使用したりする場合、別の数値が得られる可能性があるため、引用された数値は絶対的な数値とみなされてはならないことを理解できる。
【0114】
装置の誤差や操作者の違いから、当業者は、以上の結晶の物理的性質を特徴づけるパラメータにはわずかな違いがある可能性があるため、上記のパラメータは、本願のいくつかの実施例による多形体の特徴づけを補助するためのものに過ぎず、本願の多形体に対する制限とみなされてはならないことを理解できる。
【0115】
赤外スペクトル(IR)
Agilent Cary 630 FTIR赤外線分光器を使用して、固体KBr打錠法でテストした。
【0116】
式X化合物の薬物組成物及びその使用
通常、本願の式X化合物またはその薬学的に許容される塩は、1種または複数種の医薬担体と適切な剤形を形成して投与することができる。これらの剤形は経口、直腸投薬、局部投薬、口腔内投薬及びその他の非消化管投与(例えば、皮下、筋肉、静脈等)に適する。例えば、経口投薬に適する剤形は、カプセル、錠剤、顆粒剤及びシロップなどを含む。これらの製剤に含まれる本願の化合物は、固体粉末または顆粒、水性または非水性液体中の溶液または懸濁液、油中水や水中油の乳剤などであってもよい。上記剤形は、活性化合物と1種または複数種の担体または補助材とを汎用の薬剤学的方法で調製することができる。上記の担体は、活性化合物または他の補助材と互換性がある必要がある。固体製剤の場合、よく使用される無毒担体はマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、グルコース、スクロース等を含むが、これらに制限されない。液体製剤に使用される担体は、水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エチレングリコール及びポリエチレングリコールなどがある。活性化合物は上記担体と溶液または懸濁液を形成することができる。
【0117】
本願の組成物は医学実践規範に適合するように調製し、定量し、投与する。投与化合物の「有効量」は治療対象の具体的な病態、治療対象の個体、病態の原因、薬物の標的点及び投薬方式などの要素によって決定される。
【0118】
本願は、本願の第1の態様に記載の式X化合物の薬学的に許容できる塩、または式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体の、MOR受容体アゴニストによって媒介された関連疾患を予防及び/又は治療する薬物を調製するために使用される。前記MOR受容体アゴニストによって媒介された関連疾患は疼痛、免疫機能障害、炎症、食管逆流、神経及び精神疾患、泌尿と生殖器疾患、心血管疾患と呼吸器疾患から選ばれる。前記疼痛は、術後疼痛、癌による疼痛、神経因性疼痛、外傷性疼痛と炎症による疼痛から選ばれる。前記癌による疼痛中の癌症は、乳がん、子宮内膜癌、子宮頸がん、皮膚癌、前立腺癌、卵巣癌、卵管腫瘍、卵巣瘤、血友病及び白血病から選ばれる。
【0119】
本明細書に使用されるように、「治療有効量」とは、ヒト及び/又は動物に対して機能または活性を発生させ、且つヒト及び/又は動物に受け入れられる量を指す。
【0120】
本明細書に使用されるように、「薬学的に許容される担体」とは、無毒、不活性、固体、半固体の物質または液体充填機、希釈剤、封止材料または補助製剤またはいかなる種類の補助材を指し、患者と互換性があり、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトであり、試薬の活性を中止することなく、活性試薬を目的の標的点に輸送するのに適する。
【0121】
本明細書に使用されるように、「患者」とは、動物を指し、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。「哺乳動物」という用語とは、猫、犬、ウサギ、熊、キツネ、オオカミ、サル、鹿、ネズミ、豚、ヒトなどを含む温血脊椎類哺乳動物である。
【0122】
本明細書に使用されるように、「治療」とは、進行の軽減、遅延、減衰、予防、または既存の疾患または病態(例えば癌)の維持を意味する。治療はさらに疾患または病態の1つまたは複数の症状を治癒し、その進行を予防し、またはある程度軽減することも含まれる。
【0123】
本願の薬物組成物に含まれる式X化合物の薬学的に許容できる塩、または式X化合物の薬学的に許容できる塩の多形体の治療有効量は約0.1mg/Kg-約5g/kg(体重)である。
【実施例】
【0124】
具体的な実施例
以下、具体的な実施例を結合して、本願を更に説明する。理解すべきものとして、これらの実施例は、本願を説明するためにのみ使用され、本願の範囲を制限するためのものではない。以下の実施例に具体的な条件が示されない実験方法は、通常、従来の条件に従うか、またはメーカーが推奨する条件に従う。特に明記しない限り、パーセントと部数は重量で計算される。
【0125】
試薬と装置
本願の下記実施例において、化合物の構造と純度は核磁気共鳴(1H NMR)及び/又は液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)によって決定される。1HNMR:BrukerAVANCE-400核磁気共鳴装置、内部標準はテトラメチルシラン(TMS)である。LC-MS:Agilent 1290 HPLC System/6130/6150 MS液体クロマトグラフィー質量分析装置(メーカー:Agilent)、カラムWaters BEH/CHS、50×2.1mm、1.7μm。
【0126】
単結晶検査は、ブルック社D8 venture X線単結晶回折装置を用いてテストする。高速液体クロマトグラフィー(pre-HPLC):GX-281(メーカー:Gilson)を調製する。
【0127】
ISCO Combiflash-Rf75またはRf200型自動カラム通過装置、Agela 4g、12g、20g、40g、80g、120gディスポーザブルシリカゲルカラムを採用する。
【0128】
以下の実施例に公知の出発物質は、本分野において公知の方法で採用または従うことによって合成することができ、またはABCR GmbH&Co.KG、Acros Organics、Aldrich Chemical Company、韶遠化学技術(Accela ChemBio Inc)と達瑞化学品などの会社から購買することができる。
【0129】
実施例では特に明記していないが、反応はすべて窒素ガスまたはアルゴンガス雰囲気下で行った。本明細書に使用されるように、DCEは1,2-ジクロロエタンであり、THFはテトラヒドロフランであり、EAは酢酸エチルであり、PEは石油エーテルであり、DCMはジクロロメタンであり、n-BuLiはn-ブチルリチウムであり、HATUは2-(7-アゾベンゾトリアゾール)-N,N,N’,N’-テトラメチル尿素ヘキサフルオロリン酸塩であり、DMFはジメチルホルムアミドであり、DMSOはジメチルスルホキシドであり、DIEAまたはDIPEAはN,N-ジイソプロピルエチルアミンであり、DBUは1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカン-7-エンであり、DIBAL-Hは水素化ジイソブチルアルミニウムである。アセトニトリルはACNであり、メタノールはMeOHであり、エタノールはEtOHであり、イソプロパノールはIPAであり、アセトンはACEであり、酢酸エチルはEAであり、メチルtert-ブチルエーテルはMTBEであり、テトラヒドロフランはTHFであり、水はH2Oである。
【0130】
中間体1a
【0131】
【0132】
(R)-2-(9-(ピリジン-2-イル)-6-オキサスピロ[4.5]デシル-9-イル)アセトニトリル(11g、43mmol、上海予成医薬科技有限公司から購入、CAS番号1401031-38-6)をDCM(100ml)溶液に溶解し、-78℃で水素化ジイソブチルアルミニウム溶液(1.0M、86ml)を滴下し、-78℃で1時間撹拌する。反応液に硫酸ナトリウム十水和物(30g)を添加し、室温で半時間撹拌し、ろ過し、濾液を減圧濃縮して黄色油状中間体を取得する。中間体をエタノール(100ml)溶液に溶解し、塩酸(6N、100ml)溶液を添加し、100℃で36時間撹拌する。減圧濃縮し、分取液体クロマトグラフィーで得られた残留物を精製し、(R)-2-(9-(ピリジン-2-イル)-6-オキサスピロ[4.5]デシル-9-イル)アセトアルデヒド1a(6.5g)を取得し、収率は59%である。MSm/z(ESI): 260.2[M+1]。
【0133】
中間体1b
【0134】
【0135】
ステップ1:3Lの単口フラスコにトリエチルホスホニルアセテート(476mL、2.4mol)、DBU(365g、2.4mol)、塩化リチウム(127g、3mol)及びアセトニトリル(1.2L)を添加し、アルゴンガス保護下で室温で20分間撹拌する。0℃(内部温度)まで冷却し、イソブチルアルデヒド(144g、2mol)をゆっくりと滴下する。室温で12時間撹拌する。LCMSは反応が完全であることを示すと、ろ過し、濾過ケーキをEAで2回洗浄(100mL)する。水(1L)を添加し、EAで2回抽出(1.5L)し、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、無水塩化ナトリウムで乾燥し、スピン乾燥して化合物1b-1(175g、無色液体)を取得する。
【0136】
ステップ2:化合物1b-1(300g、2.1mol)を入れた3L単口フラスコにDMF(1L)を添加し、撹拌下で、炭酸カリウム(579g、4.2mol)、ピラゾール(287g、4.2mol)を添加し、65℃で、18時間撹拌し、LC-MSは反応が完全であることを示すと、直接スピン乾燥し、残りの固体をアセトニトリル(150ml)でパルプ化し、ろ過して白色固体を取得する。ろ過して、濾過ケーキをEAで(500mL×2)洗浄する。飽和食塩水で(300mL×3)洗浄し、無水塩化ナトリウムで乾燥し、スピン乾燥し、カラムクロマトグラフィーで精製し(PEの5%のEAは移動相である)化合物1b-2(258g、Y:58%、無色液体)を取得する。MSm/z(ESI):211.1[M+1]。
【0137】
ステップ3:水(200mL)を水酸化カリウム(133g、3.32mol)に添加して溶解し、(5℃)まで予冷する。3Lフラスコに化合物1b-2(465g、2.21mol)、メタノール(0.5L)、THF(0.5L)を添加し、さらに予冷した水酸化カリウム水溶液を添加し、2時間撹拌し、濃塩酸でpHを約3に調整し、DCMで抽出し(800ml×2)、すべての有機相を合併し、飽和食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して化合物1b-3(410.5g、Y:100%、白色固体)を取得する。MSm/z(ESI):183.1[M+1]。
【0138】
ステップ4:窒素ガス保護下で、三口フラスコ(500mL)に化合物1b-3(10.2g、0.055mol)、THF(200mL)を添加し、-75℃まで降温する。2.5Mのn-ブチルリチウム(55mL、0.137mol)のTHF溶液をゆっくりと滴下し、滴下が完了し、-10℃までゆっくりと昇温し、3時間撹拌し続ける。飽和塩化アンモニウムでクエンチャーし、水(100mL)を添加し、EA(400ml×2)で抽出し、有機相を合併し、飽和食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して茶色い液体を得る。カラムクロマトグラフィーで精製し(PEの30%のEAは移動相である)化合物1b-4(4g、Y:22.2%、白色固体)を取得し、MSm/z(ESI):165.1[M+1]。
【0139】
ステップ5:化合物1b-4(17g、103.5mmol)を250(mL)トルエンに溶解し、(R)-2-メチルプロパン-2-スルフェンアミド(18.8g、155mmol)とテトライソプロピルチタネート(117g、414mmol)を添加し、110℃で16時間撹拌して反応させる。室温まで冷却し、反応液に80mLの水、600mLのDCMを添加し、ろ過し、濾過ケーキをDCM(100mL)で洗浄し、分層し、有機相を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水塩化ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、濃縮物をカラムクロマトグラフィーで精製し(PEの30%のEAは移動相である)化合物1b(20.3g、Y:73.5%、茶色い液体)を取得する。MSm/z(ESI):268.1[M+1]。
【0140】
化合物1e
【0141】
【0142】
化合物1d(0.11g、0.67mmol)をジクロロメタン(8ml)に溶解し、0℃でトリエチルアミン(0.2g、2mmol)と4-ブロモベンゼンスルホニルクロリド(0.204g、0.804mmol)を添加し、0℃で1時間撹拌し、ジクロロメタン(10ml)を添加し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水塩化ナトリウムで乾燥し、有機相を減圧濃縮し、分取液体クロマトグラフィーで得られた残留物を精製し、白色固体である4-ブロモ-N-((4S,6S)-6-イソプロピル-5,6-ジヒドロ-4H-ピロール[1,2-b]ピラゾール-4-イル)フェニルスルホンアミド1e(0.06g)を取得し、収率が23.3%である。MSm/z(ESI):384.1[M+1]。
【0143】
化合物1eの単結晶の調製:少量の化合物1eを取り、小さなビーカーに入れ、酢酸エチルで溶解し、薄膜で小さなビーカーを密封し、薄膜にいくつかの小さな穴を開ける。石油エーテルを大きいビーカーに入れ、小さなビーカーを大きいビーカーに入れ、大きいビーカーを密封し、室温で結晶を静置し、溶液から結晶を析出した。ブルック社D8 venture X線単結晶回折装置によって該結晶に単結晶X-ray分析を行い、その絶対配置が(4S、6S)配置であることが確認され、その構造を
図11に示す。このため、化合物1dは化合物1eの単結晶構造によりその絶対配置が(4S、6S)配置であると推定することができる。
【0144】
【0145】
実施例1 式X化合物の調製
【0146】
【0147】
ステップ1:単口フラスコに化合物1b(0.39g、1.45mmol)、メタノール(5mL)を添加し、0℃まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(0.11g、2.9mmol)をゆっくりと添加する。室温で1.5時間撹拌する。0℃まで冷却し、20ミリリットルの氷水を添加し、DCMで洗浄して抽出(50mL×2)する。飽和食塩水で洗浄し(20mL)、無水塩化ナトリウムで乾燥し、スピン乾燥し、分取クロマトグラフィーで(分取条件、分取カラム:21.2×250mm C18カラム、系:10mM NH4HCO3 H2O、波長:254/214nm、勾配:28%-30%アセトニトリル変化)で調製して、単一ジアステレオマー化合物1c(150mg、収率:38.4%、白色固体、保留時間が9.5min)を取得し、MSm/z(ESI):270.0[M+1]。
【0148】
ステップ2:単口フラスコに化合物1c(120mg、0.45mmol)、メタノール(3mL)を添加し、0℃まで冷却し、メタノール塩酸ガス(1.2mL、4.5mmol、4mol/L)をゆっくりと添加した。室温で1.5時間撹拌する。飽和炭酸水素ナトリウムでpHを約8に調整し、DCMで抽出(50ml×2)し、すべての有機相を合併し、飽和食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して化合物1d(70mg、収率:95.12%、黄色液体)を取得する。MSm/z(ESI):166.1[M+1]。
【0149】
ステップ3:化合物1d(50mg、0.3mmol)を(5mL)メタノールに溶解し、化合物1a(78.3mg、0.3mmol)とシアノ水素化ホウ素ナトリウム(94mg、1.5mmol)を添加し、20℃で3時間撹拌して反応させる。反応液に20mLの水を添加し、DCM(30mL×2)で抽出し、無水塩化ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、濃縮物を分取クロマトグラフィーで精製(分取カラム:21.2×250mm C18カラム、系:10mM NH4HCO3 H2O波長:254/214 nm、勾配:30%-60%アセトニトリル変化)し、式X化合物(10.12mg、収率:8.26%)を取得し、白色固体である。式X化合物の絶対配置は化合物1eの絶対配置によって推定して決定される。
MSm/z(ESI):409.2[M+1];1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.51 (ddd, J = 4.9, 1.8, 0.8 Hz, 1H), 7.79 - 7.71 (m, 1H), 7.50 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 7.41 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.22 (ddd, J = 7.5, 4.9, 1.0 Hz, 1H), 5.87 (dd, J = 1.9, 0.6 Hz, 1H), 4.07 (ddd, J = 21.0, 11.7, 6.2 Hz, 2H), 3.81 - 3.69 (m, 2H), 2.73 - 2.58 (m, 2H), 2.52 (dd, J = 14.0, 2.3 Hz, 1H), 2.48 - 2.35 (m, 2H), 2.12 - 1.97 (m, 2H), 1.95 - 1.82 (m, 2H), 1.78 - 1.65 (m, 3H), 1.64 - 1.36 (m, 5H), 1.14 - 1.04 (m, 1H), 0.99 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.79 - 0.65 (m, 4H).
【0150】
実施例2 マレイン酸塩の調製
減量法により500mgの式X化合物を秤量して20mlのガラス製サンプル瓶に添加し、10mLの酢酸エチルを添加し、超音波で溶解させた後、酸塩基モル比が1.2:1の比で1moL/Lのマレイン酸溶液を添加し、50℃で1h反応し、加熱温度を40℃まで調整して1h撹拌し続き、加熱温度を30℃まで再度調整して1h撹拌し、最終的に加熱を閉じ、一晩撹拌した。反応が終了した後、0℃までゆっくりと降温し、固体の沈殿が増加し、遠心分離により固体を得て、溶媒を揮発させてマレイン酸塩の固体生成物が得られ、結晶性粉末であり、結晶型Aとして定義され、得られた結晶型AのX線粉末回折パターンを
図1に示(2θ角が図に示される)し、示差走査熱量分析スペクトルと熱重量分析スペクトルをそれぞれ
図2と3に示し、ここで、吸熱ピークは177.62℃であり、150℃まで加熱して3.282%減量した。
【0151】
実施例3a L-酒石酸塩の調製
減量法により300mgの式X化合物を秤量して20mlのガラス製サンプル瓶に添加し、1.5mLアセトンを添加し、超音波で溶解させた後、酸塩基モル比が1.2:1の比で1moL/LのL-酒石酸溶液を添加し、50℃で1h反応させ、加熱温度を40℃まで調整して1h撹拌し続き、加熱温度を30℃まで再度調整して1h撹拌し、最終的に加熱を閉じ、一晩撹拌した。反応が終了した後、0℃までゆっくりと降温し、固体の沈殿が増加し、遠心分離により固体を得て、溶媒を揮発させて式X化合物のL-酒石酸塩の固体生成物aが得られる。約40-50mgの固体生成物aをガラス製バイアルに秤量し、60℃の水浴条件で適量なアセトニトリルを添加し、撹拌してそれを溶解させてほぼ飽和溶液を得て、ろ過した後に清澄溶液にさらに20-200μμLの対応する溶媒であるアセトニトリルを添加し、加熱ボタンを閉じ、それをゆっくりと降温させ、室温まで降温した後、氷浴条件下で4℃程度まで降温し続き、懸濁液を収集して12000r/min条件下で15min遠心し、上澄み液を注ぎ出し、固体を室温条件下で一晩ゆっくりと揮発させ、収集してL-酒石酸塩の固体生成物bが得られ、当該固体生成物bが結晶性粉末であり、結晶型Bとして定義される。得られた結晶型BのX線粉末回折パターンを
図4に示(2θ角が図に示される)し、示差走査熱量分析スペクトルと熱重量分析スペクトルをそれぞれ
図5と6に示し、ここで、吸熱ピークは143.31℃であり、0.700%減量した。赤外スペクトルを
図15に示す。
【0152】
HPLCによって結晶型BのL-酒石酸含有量を測定し、酒石酸の実測含有量:26.0%、酒石酸理論含有量:26.9%である。酒石酸の含有量は理論値と一致し、結果から、式X化合物とL-酒石酸の造塩比が1:1であることが証明される。
【0153】
実施例3b L-酒石酸塩の調製
異なる溶媒系を用いて合計6つの25℃懸濁液振とう試験を設置した。それぞれ約20mgの実施例3aで得られた固体生成物aをガラス製バイアル内に秤量し、1mLの表1中の有機試薬を添加し、キャップを閉め、封口膜で封口して液体の揮発を防止し、25℃、25r/min条件下で振とうして取り出し、4℃、14000r/min条件下で15min遠心し、上澄み液を注ぎ出し、固体を室温条件下で一晩ゆっくりと揮発させ、収集して固体生成物を取得してXRPDテストを行う。テスト結果を表1に示す。
【0154】
【0155】
実施例3c L-酒石酸塩の調製
異なる溶媒系を用いて合計6つの50℃懸濁液振とう試験を設置した。それぞれ約20mgの実施例3aで得られた固体生成物aをガラス製バイアル内に秤量し、1mLの表2中の有機試薬を添加し、キャップを閉め、封口膜で封口して液体の揮発を防止し、50℃、225r/min条件下で1日間振とうして取り出し、4℃、14000r/min条件下で15min遠心し、上澄み液を注ぎ出し、固体を室温条件下で一晩ゆっくりと揮発させ、収集して固体生成物を取得してXRPDテストを行う。テスト結果を表2に示す。
【0156】
【0157】
実施例4 コハク酸塩の調製
減量法により200mgの式X化合物を秤量して20mlのガラス製サンプル瓶に添加し、10mLのアセトンを添加し、超音波で溶解させた後、酸塩基モル比が1.2:1の比で1moL/Lのコハク酸溶液を添加し、50℃で1h反応させ、加熱温度を40℃まで調整して1h撹拌し続き、加熱温度を30℃まで再度調整して1h撹拌し、最終的に加熱を閉じ、一晩撹拌した。反応が終了した後、0℃までゆっくりと降温し、固体の沈殿が増加し、遠心分離により固体を得て、溶媒を揮発させてコハク酸塩固体生成物が得られ、結晶性粉末であり、結晶型C-1として定義される。得られた結晶型C-1のX線粉末回折パターンを
図7に示す(2θ角が図に示される)。
【0158】
実施例5 コハク酸塩の調製
減量法により300mgの式X化合物を秤量して20mlのガラス製サンプル瓶に添加し、1.5mLの酢酸エチルを添加し、超音波で溶解させた後、酸塩基モル比が1.2:1の比で1moL/Lのコハク酸溶液を添加し、50℃で1h反応させ、加熱温度を40℃まで調整して1h撹拌し続き、加熱温度を30℃まで再度調整して1h撹拌し、最終的に加熱を閉じ、一晩撹拌した。反応が終了した後、0℃までゆっくりと降温し、固体の沈殿が増加し、遠心分離により固体を得て、溶媒を揮発させてコハク酸塩の固体生成物が得られ、結晶性粉末であり、結晶型C-2として定義される。得られた結晶型C-2のX線粉末回折パターンを
図8に示し(2θ角が図に示される)、示差走査熱量分析スペクトルと熱重量分析スペクトルをそれぞれ
図9と10に示し、ここで、吸熱ピークは117.14°Cであり、120℃まで加熱して2.717%減量した。
【0159】
実施例6 溶解度の測定
それぞれ10mgのマレイン酸塩結晶型A、L-酒石酸塩結晶型B、コハク酸塩結晶型C-1及び結晶型C-2サンプルを秤量し、それぞれ1mlの溶媒を添加し、室温でサンプルのpH4.5(醋酸-酢酸ナトリウム系)、pH6.8(リン酸二水素ナトリウム-水酸化ナトリウム系)の緩衝液及び水中での溶解度をテストする。現象を観察し、テスト結果を表3に示し(濃度の単位はmg/mlである)。
【0160】
【0161】
実施例7 安定性実験
それぞれ適量なマレイン酸塩結晶型A、L-酒石酸塩結晶型B及びコハク酸塩結晶型C-1サンプルを秤量して60℃条件及び40℃の75%RH条件下で放置し、同時に他のグループのサンプルを対照として5℃条件下で密封して保存し、7日と30日目にそれぞれ結晶型と純度変化を検出する。
図12~
図14から分かるように、結晶型A、結晶型B及び結晶型C-1の物理安定性が良好である。表4から分かるように、結晶型A、結晶型B及び結晶型C-1の化学安定性が良好である。
【0162】
【0163】
実施例8 吸湿性実験
《中国薬局2020版4部9103薬物吸湿性試験ガイドライン》に従ってマレイン酸塩結晶型A、L-酒石酸塩結晶型B、コハク酸塩結晶型C-1及び結晶型C-2サンプルの吸湿性を試験し、結果から、RHが95%の条件下で、結晶型C-1と結晶型C-2はわずかに吸湿性を有し、結晶型Aはわずかに吸湿性を有し、結晶型Bはわずかに吸湿性を有する。
【0164】
実施例9 生物学的試験
以下の試験例で使用される細胞株はPathHunter(R) CHO-K1 OPRM1 β-Arrestin Cell Lineであり、ソース:DiscoverX、番号:93-0213C2、ロット番号:13K0402。
【0165】
使用される試薬、そのサプライヤー、製品番号及び保存温度は以下の通りである。
Assay CompleteTM Cell Culture Kit 107、DiscoverX、92-3107G、-20℃;
AssayCompleteTM Thawing Reagent、DiscoverX、92-4002TR、-20℃;
AssayCompleteTM Cell Detachment Reagent、DiscoverX、92-0009、-20℃;
Assay CompleteTM Cell Plating Reagent、DiscoverX、93-0563R2、-20℃;
PathhunterDetection Kit、DiscoverX、93-0001、-20℃;
PBS(1×)0.0067M(PO4)、Hyclone、SH30256.01、4℃;
DMSO、Sigma、D5879-100ML、常温;
NKH477、Sigma、1603、-20℃;
IBMX、Tocris、I5879、-20℃。
【0166】
使用される装置、その型番及びサプライヤーは以下の通りである。
Countsatr BioMed、IM1200、ALIT;
Microscope、IX51、OLYMPUS;
Centrifuge、5804、Eppendorf;
Thermostatic Water Bath、DK-S420、ShanghaiShenxian thermostatic equipment factory;
Cell Incubator、3111、Thermo;
Biological Safety Cabinet、BSC-1300IIA2、AIRTECH;
OptiPlate-384White Opaque、6007290、Perkin Elmer;
Multimode plate Reader、Victor X5、PerkinElmer;
Culture Plate-384 White Opaque, TC-treated、6007680、PerkinElmer。
【0167】
(1) HTRF-cAMP細胞実験
【0168】
実験方法及びステップ
【0169】
一、細胞蘇生
1、蘇生液を4℃の冷凍庫から取り出して37℃の水浴鍋中に15分間予熱する。
2、液体窒素タンクからP6世代細胞を取り出し、凍結した細胞凍結保存管を37℃の水浴鍋に迅速に入れて、小さな氷結晶または細胞が完全に融解するのを見るまで30秒から1分間軽く揺らす。
3、70%のアルコールで徹底的に消毒して拭く。
4、凍結保存液を遠心除去して、予め予熱した新鮮な蘇生液で細胞を再懸濁する。
a、3mlの予め予熱した細胞蘇生液を15mlの遠心管に吸い取る。
b、1300rpmで3分間遠心する。
c、上澄み凍結保存液を除去し、4mlの予熱した蘇生液で細胞を再懸濁する。
5、細胞懸濁液をT25の細胞培養フラスコに移して、37℃、5%のCO2で24時間培養する。
6、24時間培養した後、細胞培養フラスコ中の蘇生液を予熱した細胞培地に変更する。
【0170】
二、細胞継代
1、T25培養フラスコ中での細胞の成長密度>70%である場合、細胞消化液で細胞を消化継代培養する。
a、培養フラスコ中の培地を吸出し、4mlの予め予熱したPBSを添加し、軽く揺らし細胞を潤洗し、PBSを捨てる。
b、1mlの細胞消化液を吸い取って、T25培養フラスコに添加する。
c、培養フラスコを繰り返し揺らして消化液が培養フラスコを完全に覆い、37℃、5%のCO2インキュベーターに5分間入れた。
d、細胞培養フラスコを取り出し、顕微鏡で細胞を観察し、細胞が分離されるかどうかを確認する。
e、3mlの予熱した細胞培地を添加し、消化を終止する。
f、細胞培地で培養フラスコを繰り返して軽く洗い流し、細胞懸濁液を15mlの遠心管に収集する。
g、1300rpmで3分間遠心し、上澄みを除去する。
h、3mlの細胞培地で再懸濁する。
2、1:3の比で細胞継代(各フラスコに1mlの細胞再懸濁液+3mlの細胞培地を添加し、T25フラスコに移る)。
【0171】
三、細胞のプレートへの接種
1、細胞がP8世代まで継代するまで、細胞継代ステップa-hを繰り返す。細胞を計数し、次に、2×/1mMのIBMX stimulation buffer液で細胞を再懸濁し、細胞密度が1.2*10^6/mlになり、
2、マルチチャンネルピペットを使用して、1.2*10^6/mlの細胞溶液を、ウェルあたり10μlの体積(即ちウェルあたり12000個の細胞)で384ウェルプレート内に接種する。
【0172】
四、c-AMP試験
1、関連試薬を配置し、薬物希釈配置表にしたがって、化合物を配置する。
a、1×Stimulation buffer液:1mlの5×Stimulation buffer保存液を4mlの蒸留水に添加し、均一に混合する。
b、2×1mM IBMX stimulation buffer液5ml:10ulの500mMIBMX保存液を取って4990μl細胞培地に添加し、軽く吹き打って均一に混合する。
【0173】
c、陽性薬モルヒネの勾配希釈配置表:
【0174】
【0175】
d、化合物希釈の前に、化合物をDMSOで溶解し、蓄積濃度を10mMとする。
【0176】
【0177】
e、50uM NK477 1ml:1μlの50mMNKH477保存液を999μl 1×Stimulation buffer液に添加し、振とうして均一に混合する。
f、検出試薬
A.cAMP-Cryptate(donor,lyophilized)反応液:1mlの5×cAMP-Cryptate保存液を4mlの1×Lysis&Detection Buffer液に添加し、軽く均一に混合する。
B.Anti-cAMP-d2(acceptor,lyophilized)反応液:1mlの5×Anti-cAMP-d2保存液を4mlの1×Lysis&Detection Buffer液に添加し、軽く均一に混合する。
2、cAMP試験ステップ
a、ウェルあたり、12000個の細胞を10μlの2×IBMX stimulation緩衝液に接種する。
b、各ウェルの細胞に8μlの化合物サンプル希釈液を添加する。
c、ウェルあたりに調製した2μlの10×NKH477液を添加する。
d、37℃で45minsインキュベートする。
e、10μlのcAMP-d2と10μlの抗cAMP Cryptate反応液を添加する。
f、室温で60mins遮光でインキュベートする。
g、HTRFによりプレートを読み取る。
3、RFU検出プレートを読み取り
60分間インキュベートした後、すべてのサンプルは均一時間分解蛍光法によりリードプレートを検出する。
【0178】
データ分析
データを多機能プレートリーダーに接続されたパソコンにおける対応するソフトウェアから導出し、665nmと620nmの2つのシグナル値を含む。比の計算式:比=665nmシグナル値/620nmシグナル値×10000。GraphPad Prismソフトウェアを用いてデータを分析する。最適フィッティング曲線にはlog(agonist)vs.responseを選択し、コンピュータ補助投与量-反応曲線の非線形回帰分析方式を利用して化合物のEC50値を決定し、pEC50=-logEC50(EC50値の単位がモルである)であり、%モルヒネの最大効果値=(化合物サンプル比-空孔比)/TOP×100(備考:TOP値はモルヒネサンプル比率-空孔比後にソフトウェアGraphpad Prism分析でフィッティングした曲線Top値である)である。結果を表5に示す。
【0179】
【0180】
ここで、対照化合物D1の構造は以下に示され、CN111662284Aに記載されている方法によって調製することができる。
【0181】
【0182】
(2)β-Arrestin細胞実験
【0183】
実験方法及びステップ
一、細胞蘇生
1、蘇生液を4℃の冷凍庫から取り出して37℃の水浴鍋中に15分間予熱する。
2、液体窒素タンクからP6世代細胞を取り出し、凍結した細胞凍結保存管を37℃の水浴鍋に迅速に入れて、小さな氷結晶または細胞が完全に融解するのを見るまで30秒から1分間軽く揺らす。
3、70%のアルコールで徹底的に消毒して拭く。
4、凍結保存液を遠心除去して、予め予熱した新鮮な蘇生液で細胞を再懸濁する。
a、3mlの予め予熱した細胞蘇生液を15mlの遠心管に吸い取る。
b、1300rpmで3分間遠心する。
c、上澄みを除去し、4mlの予熱した蘇生液で細胞を再懸濁する。
5、細胞懸濁液をT25の細胞培養フラスコに移して、37℃、5%のCO2で24時間培養する。
6、24時間培養した後、細胞培養フラスコ中の蘇生液を予熱した細胞培地に変更する。
【0184】
二、細胞継代
1、T25培養フラスコ中での細胞の成長密度>70%である場合、細胞消化液で細胞を消化継代培養する。
a、培養フラスコ中の培地を吸出し、4mlの予め予熱したPBSを添加し、軽く揺らし細胞を潤洗し、PBSを捨てる。
b、1mlの細胞消化液を吸い取って、T25培養フラスコに添加する。
c、培養フラスコを繰り返し揺らして消化液が培養フラスコを完全に覆い、37℃、5%のCO2インキュベーターに5分間入れた。
d、細胞培養フラスコを取り出し、顕微鏡で細胞を観察し、細胞が分離されるかどうかを確認する。
e、3mlの予熱した細胞培地を添加し、消化を終止する。
f、細胞培地で培養フラスコを繰り返して軽く洗い流し、細胞懸濁液を15mlの遠心管に収集する。
g、1300rpmで3分間遠心し、上澄みを除去する。
h、3mlの細胞培地で再懸濁する。
2、1:3の比で細胞継代(各フラスコに1mlの細胞再懸濁液+3mlの細胞培地を添加し、T25フラスコに移る)。
3、P8世代まで継代するまで、細胞継代ステップa-hを繰り返す。
【0185】
三、細胞のプレートへの接種
1、ピペットで20μlの細胞懸濁液を取って細胞カウンターで細胞数を測定する。
2、1300rpmで3分間遠心し、細胞を沈殿する。
3、上澄みを除去し、細胞濃度が2×105/mlになるように対応する細胞接種液を添加する。
4、マルチチャンネルピペットを使用し、実験設計に応じて、2×105/mlの細胞溶液を、ウェルあたり20ulの体積(即ちウェルあたり4000個の細胞)で384ウェルプレート内に接種する。
5、細胞を接種した84ウェルプレートを37℃、5%のCO2インキュベーターで24h培養する。
【0186】
四、β-arrestin試験
1、以下の希釈表に従って化合物を配置する。
a.陽性薬モルヒネの勾配希釈配置表:
【0187】
【0188】
d、化合物希釈の前に、化合物をDMSOで溶解し、蓄積濃度を10mMとする。
【0189】
【0190】
2、5μlの上記調製した各化合物サンプル希釈液を384ウェルプレートに添加する。
3、サンプルを入れた後、384ウェルプレートを37℃に戻し、5%のCO2インキュベーターで90分間培養する。
【0191】
五、相対光単位値(RLU)検出
1、化合物のインキュベートが終了する前に、以下の比でWorking Detection溶液(遮光を注意してください)を配置する。次に各ウェルに12.5μlを添加し、遮光で、常温で、ロッキングベッドで1hインキュベートする。
【0192】
【0193】
2、化合物のインキュベートが終了し、各ウェルに12.5μlの上記作動液を添加し、遮光で、常温で、80rpmでロッキングベッドで1hインキュベートする。
3、インキュベートが終了し、多機能プレートリーダーを用いてプレートを読み取る。
【0194】
データ分析
データを多機能プレートリーダーに接続されたパソコンにおける対応するソフトウェアから導出し、GraphPad Prismソフトウェアを用いてデータを分析する。最適フィッティング曲線にはlog(agonist)vs.responseを選択し、コンピュータ補助投与量-反応曲線の非線形回帰分析方式を利用して化合物のEC50値を決定し、pEC50=-logEC50(EC50値の単位がモルである)であり、%モルヒネの最大効果値=(化合物サンプルのRLU値-空孔のRLU値)/TOP×100(備考:TOP値はモルヒネサンプルのRLU値-空孔のRLU値後にソフトウェアGraphpad Prism分析でフィッティングした曲線Top値である)である。結果を表6に示す。
【0195】
【0196】
表5と表6から分かるように、対照化合物D1と比べて、式X化合物はcAMPに対してより高い抑制活性、及びより高いEmax値を有する。なお、式X化合物はβ-arrestinに対してより低いEmax値を有し、偏向性により優れている。
【0197】
本願で言及されたすべての文献は、各文献が単独で参考として引用されるように、本願で参考として引用される。なお、理解すべきものとして、本願の上記の述べた内容を読んだ後、当業者は本願に様々な変更または修正を加えることができ、これらの等価の形態も同様に本願の添付された特許請求に限定される範囲に落ちる。
[関連出願の相互参照]
【0198】
本願は、2021年07月13日に中国特許局に提案された、出願番号が2021107887124、発明名称が「MOR受容体アゴニストの薬学的に許容できる塩、その多形体及びその使用」の中国特許出願の優先権を主張し、その全部内容は援用により本願に組み込まれる。
【国際調査報告】