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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】保護ヘルメット
(51)【国際特許分類】
   A42B 3/12 20060101AFI20240628BHJP
   A42B 3/32 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A42B3/12
A42B3/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502425
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 IB2022056521
(87)【国際公開番号】W WO2023286018
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102021000018902
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502016471
【氏名又は名称】アルパインスターズ リサーチ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョバンニ マッツァローロ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト パリセンティ
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107BA03
3B107CA02
3B107DA03
3B107DA18
(57)【要約】
外側シェルと外側シェルの内側に配置された衝撃吸収ライナーと保護ヘルメットの使用中にユーザーの頭部と接触するように衝撃吸収ライナーの内面に配置された快適ライナーとを備える保護ヘルメットに関する。快適ライナーは少なくとも1つの接続要素で衝撃吸収ライナーに結合された少なくとも1つの頬パッドを備える。少なくとも1つの接続要素は、衝撃吸収ライナーに設けられた対応する凹部に互いに挿入されるか、または解放されるように適合された第1の構成と、凹部内にクランプされるように適合された第2の構成との間を移動するために弾性変形可能である。保護ヘルメットは当該少なくとも1つの接続要素に接続された解放装置を備える。解放装置は、作動するときに少なくとも1つの接続要素をその第2の構成から第1の構成に移動させるために少なくとも1つの接続要素を弾性変形させ、それにより少なくとも1つの頬パッドを衝撃吸収ライナーから解放できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側シェル(10)と、
前記外側シェル(10)の内側に配置された衝撃吸収ライナー(12)と、
保護ヘルメット(1)の使用中に、ユーザーの頭部と接触するように、前記衝撃吸収ライナー(12)の内面に配置された快適ライナー(14)であって、前記快適ライナー(14)は、少なくとも1つの接続要素(22)によって前記衝撃吸収ライナー(12)に結合される少なくとも1つの頬パッド(16)を備え、前記少なくとも1つの接続要素(22)は、前記衝撃吸収ライナー(12)に設けられた対応する凹部(24)に互いに挿入されるか、または解放されるように適合された第1の構成と、前記凹部(24)内にクランプされるように適合された第2の構成との間を移動するために弾性変形可能である、快適ライナー(14)と、
を備え、
保護ヘルメット(1)は、前記少なくとも1つの接続要素(22)に接続された解放装置(30)を備えることを特徴とし、前記解放装置(30)は、作動するときに、前記少なくとも1つの接続要素(22)を、前記第2の構成から前記第1の構成に移動させるために、前記少なくとも1つの接続要素(22)を弾性変形させることができ、それにより、前記少なくとも1つの頬パッド(16)を前記衝撃吸収ライナー(12)から解放することができる、保護ヘルメット(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの頬パッド(16)は、パッド層(18)およびパッドバックプレート(20)を含み、前記少なくとも1つの接続要素(22)が、前記パッド層(18)とは反対の方向に、前記パッドバックプレート(20)から突出することを特徴とする、請求項1に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの接続要素(22)は、前記衝撃吸収ライナー(12)に設けられた対応する嵌合凹部(24)内にクランプされるように設計されたスナップフィット装置であることを特徴とする、請求項1または2に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの接続要素(22)は、前記嵌合凹部(24)内に設けられた対応する窪み部(28)に入り込んで捕捉されるように設計された外側に突出する部分(26)を有する本体(25)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項5】
前記突出する部分(26)は、その前端に向かって先細りであることを特徴とする、請求項4に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項6】
前記解放装置(30)は、前記突出する部分(26)の近傍で、前記少なくとも1つの接続要素(22)に接続されていることを特徴とする、請求項4に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの接続要素(22)は、片持ち梁式スナップフィット装置であることを特徴とする、請求項3に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの接続要素(22)は、U字型の片持ち梁式スナップフィット装置であり、前記本体(25)は、ベース部分(34)において、互いに接続された第1のアーム(31)および第2のアーム(32)を備え、前記突出する部分(26)は、前記第2のアーム(32)に設けられていることを特徴とする、請求項4および7に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項9】
前記第1のアーム(31)は、前記頬パッド(16)の前記ベースプレート(20)に堅く接続され、前記少なくとも1つの接続要素(22)の前記ベース部分(34)に向かって前記ベースプレート(20)から延在し、前記第2のアーム(32)は、前記ベースプレート(20)に設けられた溝(36)に向かって前記ベース部分(34)から延在し、前記第2のアーム(32)の端部(38)は、応力が作用したときに、前記溝(36)内で自由に振動することができることを特徴とする、請求項8に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項10】
前記突出する部分(26)は、前記ベース部分(34)の近傍で、前記第2のアーム(32)の上に設けられ、前記解放装置(30)は、前記第2のアーム(32)の前記端部(38)の近傍で、前記少なくとも1つの接続要素(22)に接続されることを特徴とする、請求項9に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項11】
前記凹部(24)が、前記少なくとも1つの接続要素(22)の前記突出高さに対応する深さを有することを特徴とする、請求項1に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項12】
前記解放装置(30)は、前記少なくとも1つの接続要素(22)に接続された第1の端部(33;33a、33b、33c)、および前記少なくとも1つの頬パッド(16)の下部に位置するように設計された第2の端部(35)を有する、ストラップを備えることを特徴とする、請求項1に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項13】
前記解放装置(30)の前記第2の端部(35)は、作動要素(42)が設けられていることを特徴とする、請求項12に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの頬パッド(16)は、複数の接続要素(22)が設けられ、前記解放装置(30)は、対応する複数のストラップ(30a、30b、30c)を備え、前記複数のストラップ(30a、30b、30c)は、異なる接続要素(22)に接続されたそれらの第1の端部と、単一の作動要素(42)を備えた単一のストラップ(30)に結合されるように互いに接続されたそれらの第2の端部と、を有することを特徴とする、請求項12に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項15】
前記解放装置(30)は、前記パッドバックプレート(20)と前記パッド層(18)との間に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項16】
前記パッドバックプレート(20)は、前記解放装置(30)と係合するのに適合した案内手段(44)を備え、前記案内手段(44)は、前記第1の端部(33a、33b、33c)と、前記第2の端部(35)との間に備えられた前記解放装置(30)の前記部分を案内する機能を有することを特徴とする、請求項3および請求項12に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項17】
前記案内手段(44)は、前記接続要素(22)の弾性変形を引き起こす方向(R1、R2、R3)に沿って、前記少なくとも1つの接続要素(22)に、前記解放装置(30)のタブ(42)に加えられる引張力(P)を向け、このような弾性変形が、前記窪み部(28)から前記対応する突出する部分(26)の解放を引き起こすことを特徴とする、請求項16に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項18】
前記案内手段(44)は、アーチ要素または案内ピンから構成されることを特徴とする、請求項16に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項19】
前記案内手段(44)は、前記解放装置(30)を収容するように設計された1つ以上のボーデンケーブルから構成され、前記ボーデンケーブルは、前記パッドバックプレート(20)に固定されていることを特徴とする、請求項16に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項20】
前記パッドバックプレート(20)は、ポリマー剛性材料で作成されていることを特徴とする、請求項2に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項21】
前記タブ(42)に加えられる前記引張力(F)は、前記接続要素(22)の前記第1のアーム(31)に向かって、前記第2のアーム(32)の曲げを引き起こし、このような曲げが、前記窪み部(28)から前記突出する部分(26)の解放を引き起こすことを特徴とする、請求項8および17に記載の保護ヘルメット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護ヘルメットに関する。より具体的には、本発明は、例えばオートバイ、モトクロス、カーレース、サイクリング、およびスキーなどのスポーツ活動用の保護ヘルメットに関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野でよく知られているように、スポーツ活動中に使用される保護ヘルメットは、一般に、外側シェル、衝撃吸収ライナー、および快適ライナーの3つの主要な構成要素に基づいている。
【0003】
外側シェルは、例えば、ポリカーボネートまたは繊維強化ポリマーのような熱可塑性ポリマーなどの剛性素材で作成されており、ヘルメットユーザーの頭部を衝撃から保護する機能を有する。
【0004】
外側シェルは、また、事故の場合に、ヘルメットに作用する衝撃力をヘルメットの第2の構成要素である衝撃吸収ライナーに伝達することによって、少なくとも部分的に分散させるのにも適している。
【0005】
衝撃吸収ライナーは、外側シェルの内側に隣接して配置されており、ユーザーの頭の形状に合わせてドーム型になっている。
【0006】
衝撃吸収ライナーの機能は、事故時に発生する衝撃力を吸収し、それにより、ユーザーの頭部を保護することである。
【0007】
一般に、衝撃吸収ライナーは、例えば、発泡ポリスチレンのような比較的剛い材料で作成されている。
【0008】
第3の構成要素は、ユーザーの頭に面する衝撃吸収ライナーの表面に配置される快適ライナーである。
【0009】
快適ライナーは、通常、柔らかいフォームと布素材の組み合わせで作成されており、比較的剛い衝撃吸収ライナーにユーザーの頭が直接接触するのを避けることで、ヘルメットを快適にする機能を有する。
【0010】
通常、快適ライナーは、取り外し可能な締結手段によって、衝撃吸収ライナーに取り外し可能に結合される内部パッドを備える。
【0011】
これらの内部パッドは、一定期間の使用後にパッドを清掃または洗浄して交換できるようにするメンテナンス上の理由のため、および事故の場合にユーザーの首に牽引力を加えることなくヘルメットを取り外すことができるようにする安全上の理由のため、両方の理由により、衝撃吸収ライナーから取り外し可能である。
【0012】
特に、ユーザーの顔の側面に接触するように設計された頬パッドを廃止することにより、ユーザーの頭部からのヘルメットの脱着が容易となる。
【0013】
しかし、ヘルメットを着用しているときに頬パッドが外れてユーザーの邪魔になることを避けるため、ヘルメットと頬パッドの間のしっかりとした接続を確保する必要があるように、一般に、頬パッドは、プラスチックまたは金属のスナップによってヘルメットに固定されているから、ユーザーがヘルメット装着している際に頬パッドを取り外すことは、緊急時に容易ではない。
【0014】
頬パッドおよびヘルメットとの間の固定手段の例は、下記の特許文献1で提供されている。
【0015】
特に、特許文献1は、頬パッドを衝撃吸収ライナーに取り付けるように設計された凹凸係合機構を開示している。このような機構は、好ましくは、頬パッドの後部の係合ピンと、衝撃吸収ライナーのノッチ付き係合穴とを含む。
【0016】
頬パッドが引張部材によってヘルメットの内側から外側に引っ張られるとき、係合ピンは、係合穴の切欠きを通って係合穴の外側に移動する。
【0017】
このような解決策は、たとえ高く評価されても、いくつかの欠点を有する。
【0018】
まず、頬パッドを取り外すために、ユーザーは、係合ピンが取り付けられているフレームを弾性変形させる必要がある。
【0019】
実際のところ、このような変形がなければ、フレームは、係合ピンを中心に適切に回転することが不可能となる。
【0020】
また、係合ピンがノッチ付き係合穴から不用意に抜けることを防止するために、傾斜面が係合穴の底部に設けられている。
【0021】
したがって、係合ピンをノッチ付き係合穴から外すために、係合ピンを下方向だけでなく、傾斜面に沿ってヘルメットの内側に向けて移動させる必要がある。
【0022】
ヘルメットがユーザーによって着用されると、この動きがユーザーの頭によって妨げられる。
【0023】
また、事故が発生し、ユーザーが何らかの怪我を負った場合には、ヘルメットが、通常、ユーザーの頭にぴったりとフィットするという事実を考慮すると、そのような操作は、負傷したユーザーの頭部を動かす可能性があるという危険がある。
【0024】
機械的締結手段によってヘルメットの内側に締結された頬パッドのさらなる例が、下記の特許文献2に開示されている。
【0025】
特に、特許文献2は、第1および第2の締結要素を備え、それによって、緩衝パッドが衝撃吸収ライナーに接続される取り外しユニットを提供するヘルメットを開示している。
【0026】
第1の締結要素は、ピンで構成され、一方、第2の締結要素は、レセプタクルシートからヘルメットの下縁部に向かって延在する横スロットに接続されるレセプタクルシートで構成される。
【0027】
緩衝パッドは、中間プラグイン接続方向に対して、垂直に配向された解放方向に沿って、引張要素によって除去ユニットに作用することによって、衝撃吸収ライナーから解放され得る。
【0028】
特に、引張要素によって及ぼされる解放力は、横スロットに沿って配向される必要がある。
【0029】
また、このシステムは、いくつかの欠点を有する。
【0030】
1つ目は、予想どおり、頬パッドは、解放力が横スロットに沿った方向にある場合にのみヘルメットから解放され得ることである。
【0031】
しかしながら、頬パッドがヘルメットに適用されるとき、横スロットは見えないため、ユーザーは、横スロットに正確に沿って解放力を向けることが困難である。
【0032】
したがって、頬パッドをヘルメットから取り外すのは、容易ではない。
【0033】
仮に、ヘルメットが負傷したライダーにより着用されるときに、頬パッドが取り外される必要がある場合、明らかに、このような困難は、さらに大きくなる。
【0034】
さらに、頬パッドが緊急事態で解放されなければならない場合、係合ピンと横スロットの間の摩擦を克服し、ピンをシートから取り外せるようにするために、無視できない牽引力が、引張要素に加えられる必要がある。
【0035】
したがって、そのような牽引力が、安全性の観点から問題が生じる可能性を伴って、少なくとも部分的にユーザーの首に伝達され得るリスクは、存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】欧州特許第2022358号明細書
【特許文献2】国際公開第2019/162073号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
したがって、本発明の主な目的は、既知の保護ヘルメットに関して、上述した欠点を克服するか、少なくとも軽減するように設計された保護ヘルメットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0038】
より具体的には、本発明の主な目的は、簡素化された装置によってヘルメットに接続可能な頬パッドを有する保護用ヘルメットを提供することである。
【0039】
本発明の別の目的は、特に、緊急時にヘルメットから簡単かつ容易に取り外すのに適した頬パッドを有する保護ヘルメットを提供することである。
【0040】
本発明のさらなる目的は、緊急時にヘルメットから解放するために必要な牽引力を軽減する頬パッドを有する保護ヘルメットを提供することである。
【0041】
最後に、本発明の目的は、異なる方向に沿った解放力によって解放することが可能である頬パッドを有する保護ヘルメットを提供することである。
【0042】
上述の目的、および以下の説明からよりよく明らかになる他の目的は、請求項1に記載の保護ヘルメットによって達成される。
【0043】
本発明の利点および特徴は、添付の図面に示される、限定的ではないが好ましい保護ヘルメットの実施形態に関する以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明による保護ヘルメット(一部を切り取った状態)の斜視図を概略的に示している。
図2】本発明の一実施形態による保護ヘルメットの頬パッドの背面斜視図を示している。
図3】収容コネクタが見えるヘルメットの衝撃吸収ライナーの一部の詳細図を示している。
図4】頬パッドのバックプレートが、ヘルメットの衝撃吸収ライナーに固定されている、図3と同様の図を示している。
図5】操作ストラップを備えた頬パッドのバックプレートを示している。
図6】操作ストラップを備えた頬パッドのバックプレートを示している。
図7図4の線VII-VIIに沿った概略断面図である。
図8図7の文字Aによって特定される詳細の拡大図を示している。
図8A図8の分解図である。
図9図7と同様の図であるが、異なる構成で頬パッドと衝撃吸収ライナーとの間の接続手段を示している。
図10図9の文字Bよって特定される詳細の拡大図を示している。
図11図7および図9と同様の図であるが、さらなる構成における頬パッドと衝撃吸収ライナーとの間の接続手段を示している。
図12図11の文字Cによって特定される詳細の拡大図を示している。
図13図5と同様であるが、異なる実施形態に関する図を示している。
図14A】頬パッドを衝撃吸収ライナーから取り外すために引張力がどのように向けられ得るかを概略的に示している。
図14B】頬パッドを衝撃吸収ライナーから取り外すために引張力がどのように向けられ得るかを概略的に示している。
図14C】頬パッドを衝撃吸収ライナーから取り外すために引張力がどのように向けられ得るかを概略的に示している。
図15】頬パッドを衝撃吸収ライナーから解放する間に、解放力および引張力がどのように作用し得るかを概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明による保護ヘルメットの以下の説明では、「弾性変形可能要素」として、加えられた力に対する反応として、その形状を変化させることができる要素を示す。この形状の変化は一時的なものにすぎず、力が解放されると要素の変形前の形状が復元される。
【0046】
さらに、「頂上部」として、通常の使用中に地面から比較的遠いヘルメットの部分または構成要素が示され、「下部」として、比較的地面に近い部分または構成要素が示されるであろう。
【0047】
さらに、「内側」として、通常の使用中にユーザーの頭部に比較的近いヘルメットの部分または構成要素が示され、「外側」として、比較的遠い部分または構成要素が示されるであろう。
【0048】
添付の図面を参照すると、本発明による保護ヘルメットの一例が全体として参照番号1で示されている。前記保護ヘルメット1は、特に、オートバイの運転者による使用に適している。それにもかかわらず、以下の説明からより明らかになるように、保護ヘルメット1は、サイクリスト、スキーヤー、またはユーザーの頭部を効果的に保護しなければならない他の分野でも有利に使用することが可能である。
【0049】
図1に示すように、保護ヘルメット1は、好ましくは、例えば、ポリカーボネートや繊維強化ポリマーのような熱可塑性ポリマーなどの剛性材料で作成されている外側シェル10を備えている。外側シェル10は、ユーザーの頭の上にフィットするようにドーム形状であることが好ましい。
【0050】
保護ヘルメット1は、外側シェル10の前部開口部上に突出するように、外側シェル10に取り外し可能に結合されるように設計されたバイザー2を備えることが可能である。
【0051】
図1に示される保護ヘルメット1には、チンガード3も設けられている。しかしながら、本発明の教示は、チンガードを備えていないヘルメット、すなわち、いわゆる「ジェットヘルメット」にも有利に適用することが可能である。
【0052】
図1に示すように、保護ヘルメット1は、外側シェル10の内側に配置された衝撃吸収ライナー12も備える。
【0053】
詳細には、衝撃吸収ライナー12は、衝撃エネルギーを吸収し、ユーザーの頭部に追加の保護を提供するために、外側シェル10の内部を裏打ちするように設計されている。
【0054】
好ましくは、衝撃吸収ライナー12は、例えば発泡ポリスチレン、ポリプロピレン、またはポリウレタンなどの発泡高分子材料で作成される。
【0055】
さらに、保護ヘルメット1は、保護ヘルメット1の使用中に、ユーザーの頭部と接触するように、衝撃吸収ライナー12の内面に配置された快適ライナー14を備える。快適ライナー14は、合成発泡体で作成することが可能であり、例えば、肌に優しい布地で覆われたポリウレタン発泡体パッドとすることが可能である。
【0056】
快適ライナー14は、少なくとも1つの頬パッド16を備える。好ましくは、保護ヘルメット1は、保護ヘルメット1のいずれかの内側に配置されるように設計された2つの頬パッド16を備える。
【0057】
快適ライナー14は、ヘルメットの後下部の周りに延在する円筒形のフォーム片の形態である、さらなるパッド、いわゆる「ネックロールパッド」を備えることが可能である。このようなパッドは、同封の図には示されていないが、快適ライナー14の一体部分であるか、または快適ライナーに永久的に固定された別個の構成要素である。
【0058】
各頬パッド16は、パッド層18およびパッドバックプレート20を含み得る(図2を参照)。
【0059】
パッドバックプレート20は、ポリマー材料で作成されることが好ましい。より好ましくは、パッドバックプレート20は、剛性ポリマー材料から作成される。パッドバックプレート20は、機械的固定手段、例えば、ステッチまたは接着材料によってパッド層18に固定することが可能である。
【0060】
各頬パッド16は、少なくとも1つの接続要素22によって、衝撃吸収ライナー12に結合される。好ましくは、当該接続要素22は、パッド層18とは反対の方向にパッドバックプレート20から突出する。
【0061】
当該接続要素22は、衝撃吸収ライナー12(図3を参照)に設けられた対応する凹部24に挿入または解放される第1の構成と、当該凹部24内にクランプされる第2の構成との間を移動するために弾性変形可能である。
【0062】
本発明によれば、保護ヘルメット1は、接続要素22に接続された解放装置30を備える。特に、解放装置30は、作動されるとき、この要素を第2の構成から第1の構成に移動させるために、接続要素22を弾性変形させることができ、それにより、頬パッド16を衝撃吸収ライナー12から解放することができる(図9~12を参照)。
【0063】
以下の説明から明らであろうように、接続要素22が第2の構成にあるときに、対応する凹部24内で、接続要素22をしっかりとクランプするは、保護ヘルメットの通常の使用中に、頬パッド16の衝撃吸収ライナー12への確実な接続が保証される。
【0064】
同時に、解放装置30と弾性変形可能な接続要素22との組み合わせは、保護ヘルメット1から頬パッド16を取り外すことができるようにするために、必要なときにいつでも接続要素22を第1の構成に容易に移動させることができる。
【0065】
特に、緊急事態中に、弾性変形可能な接続要素22と組み合わせた解放装置30を設けることは、負傷したユーザーの首にストレスを与えることなく、保護ヘルメット1の内側から頬パッド16を取り外すことができる。
【0066】
さらに、以下で詳細に説明するように、既知の解決策とは対照的に、解放装置30は、いかなる制限もなく異なる方向に沿って配向可能である引張力をそれに及ぼすことによって作動させることが可能である。
【0067】
有利には、接続要素22は、パッドバックプレート20と一体である。あるいは、接続要素22は、固定手段によってパッドバックプレート20に固定することが可能である。
【0068】
好ましくは、各頬パッド16には、パッドバックプレート20上で互いに間隔を空けて3つの接続要素22が設けられる(例えば、図2を参照)。有利には、接続要素22は、パッドバックプレート20の外周の近傍に配置される。
【0069】
しかしながら、接続要素22の数および位置は、特定の必要に応じて変更することが可能である。
【0070】
好ましくは、同封の図5~12に示されるように、接続要素22は、衝撃吸収ライナー12に設けられた対応する嵌合凹部24内にクランプされるように設計されたスナップフィット装置である。
【0071】
有利には、接続要素22は、嵌合凹部24に設けられた対応する窪み部28に入り込んで捕捉されるように設計された、外側に突出する部分26、例えば、フックまたはスタッドを有する本体25を備える(例えば、図8Aを参照)。
【0072】
好ましくは、外側に突出する部分26は、その前端、すなわちパッドバックプレート20からの遠位端に向かって先細りになっている。
【0073】
頬パッド16を衝撃吸収ライナー12に結合する間、接続要素22の本体25は、凹部24の内面に接触し、凹部24の内面に沿って摺動する。
【0074】
このような摺動は、突出する部分26のテーパ形状と組み合わさり、突出する部分26を一時的に内側に曲げる要因となる。
【0075】
凹部24内への接続要素22の挿入が完了すると、突出する部分26は、対応する窪み部28内に捕らえられることによって、実質的に応力のない状態に戻り、したがって、その初期形状に戻ることができる(例えば、図8を参照)。
【0076】
このようにして、接続要素22は、凹部24内にしっかりとクランプされ、したがって頬パッド16は、衝撃吸収ライナー12に堅固に接続される。
【0077】
解放装置30は、突出する部分26の近傍で接続要素22に接続されることが好ましい。解放装置30動作させることによって、突出する部分26を窪み部28から外し、接続要素22を凹部24から解放できるように、突出する部分26を内側に曲げることが可能である。
【0078】
有利には、接続要素22は、片持ち梁式スナップフィット装置とすることが可能である。より好ましくは、接続要素22は、U字型の片持ち梁式スナップフィット装置とすることが可能である。
【0079】
本実施形態では、接続要素22の本体25は、ベース部分34において互いに接続された第1のアーム31と第2のアーム32とを備える。突出する部分26は、第2のアーム32に設けられることが好ましい。
【0080】
第1のアーム31は、頬パッド16のベースプレート20に堅く接続されており、ベースプレート20からスナップ装置22のベース部分34に向かって延在している。
【0081】
次に、第2のアーム32は、応力が作用したときに、第2のアーム32の端部38が、当該溝36の中で自由に振動できるように、スナップ装置22のベース部分34からベースプレート20に設けられた溝36に向かって延在している。
【0082】
同封の図に示すように、U字型の片持ち梁式スナップフィット装置22は、第2のアーム32が水平面に関して第1のアーム31の上に位置する状態で、対応する凹部24内に挿入されるように設計されている。
【0083】
したがって、解放装置30がユーザーによって作動されるとき、第2のアーム32は、第1のアーム31に向かって曲がる傾向がある(図9~10を参照)。
【0084】
このように、ベース部分34は、接続要素22の曲げ剛性が抵抗となり、接続要素22の第2のアーム32の端部38に作用する力が荷重であるレバーの支点として機能する。
【0085】
凹部24は、実質的に、衝撃吸収ライナー12の内面から外側シェルに向かって延在する止まり穴から構成される。
【0086】
好ましくは、凹部24の深さは、接続要素22の突出高さに対応する。接続要素22の「突出高さ」とは、接続要素22の半径方向最外側部分とパッドバックプレート20に近い接続要素の部分との間の半径方向距離を意味する。
【0087】
有利には、凹部24は、ヘルメット1の下縁部11を通過する平面Sに対して傾斜した平面T上に位置する(図7を参照)。
【0088】
このようにして、頬パッド16を衝撃吸収ライナー12から解放することが容易になる。
【0089】
有利には、凹部24は、接続要素22の凹部24への挿入を容易にするために、面取りされた縁29によって画定された進入開口部27を有する。
【0090】
好ましくは、凹部24は、衝撃吸収ライナー12に堅く固定された保持要素40の内側に設けられる。保持要素40は、接着剤によって、または衝撃吸収ライナーのインモールドプロセス中に、衝撃吸収ライナー12に固定することが可能である。
【0091】
解放装置30は、好ましくは、接続要素22に接続された第1の端部33と、頬パッド16の下部に位置するように設計された第2の端部35とを有するストラップまたはコードを備える。このようにして、保護ヘルメット10が使用されるときに、第2の端部35は、保護ヘルメット10の下縁部11の外側に配置することが可能である(図4を参照)。
【0092】
好ましくは、解放装置30の第2の端部35は、衝撃吸収ライナー12から頬パッド16を取り外すことを可能にするために、ユーザーが容易に到達することが可能である、タブまたはフックのような作動要素42が設けられる(例えば、図6を参照)。
【0093】
頬パッド16が2つ以上の接続要素22を設けている場合、解放装置30は、接続要素22の数に応じて2つ以上のストラップまたはコード30a、30b、30cを備える。
【0094】
当該ストラップまたはコードは、異なる接続要素22に接続されたそれぞれの第1の端部33a、33b、33cと、単一の作動要素42を備えた単一のストラップ30に結合されるように互いに接続されたそれらの第2の端部と、を有する(例えば、図4および7を参照)。
【0095】
同封の図に示すように、解放装置30は、好ましくは、パッドバックプレート20とパッド層18との間に配置される。
【0096】
有利には、解放装置30は、解放装置30の一部が頬パッドの2つの構成要素の間に詰まる可能性を回避するために、パッドバックプレート20とパッド層18との間に配置された空の空間内に配置される。
【0097】
好ましくは、例えば、図4に示すように、パッドバックプレート20は、その内面上に、解放装置30と係合するのに適した案内手段44を備える。
【0098】
案内手段44は、接続要素22に接続された第1の端部33a、33b、33cと頬パッド16の下端に設けられた第2の端部35との間に備えられた解放装置30の部分を案内する機能を有する。
【0099】
図6に示すように、案内手段44を設けることは、単一のタブ42によって接続要素22に接続された様々なストラップを作動させることを可能にし、対応する凹部24から接続要素22を解放できるようにするために、タブ42に加えられる引張力Pが各接続要素22に適切に伝達され得ることが保証される。
【0100】
図示の実施形態を参照すると、案内手段44は、接続要素22の曲げ、すなわち弾性変形を引き起こす、解放装置30のタブ42に加えられる引張力Pを、矢印R1、R2、R3で示す方向に沿って接続要素22に向ける。このような曲げにより、対応する突出する部分26が窪み部28から外れることになる。
【0101】
接続要素がU字型の片持ち梁式スナップフィット装置22の場合、窪み部28から突出する部分26を解放できるようにするために、接続要素22の第1のアーム31に向かって第2のアーム32の曲げを引き起こす、案内手段44によってタブ42に加えられる引張力Pは、解放方向R1、R2、R3に沿って接続要素22に伝達される。
【0102】
このようにして、図14a、14b、14cおよび15に概略的に示されているように、案内手段44を設けることは、有利なことに、引張力Pの方向に関する制限をなくすことができる。
【0103】
実際のところ、案内手段44によって、タブ42に加えられる引張力Pは、たとえ、異なる方向に沿って向けられたとしても(図14a、14b、14cを参照)、常に、解放方向Rに沿って伝達され、凹部からの接続要素22の解放を可能にする。つまり、引張力Pの方向と解放する力Rの方向が分離される。
【0104】
さらに、案内手段44(図15を参照)によって、引張力Pは、解放力Rが存在する平面に対して異なる平面に沿って方向付けることも可能である。その結果、特に、緊急事態における頬パッドの解放が非常に簡単になる。
【0105】
同封の図に示すように、案内手段44は、解放装置30と係合するように設計されたアーチ要素から構成することが可能である。あるいは、案内手段44は、案内ピンから構成することも可能である。
【0106】
さらなる実施形態(図13を参照)では、案内手段44は、解放装置30を収容するように設計された1つ以上のボーデンケーブルから構成することが可能である。
【0107】
解放装置30が、2つ以上のストラップまたはコード30a、30b、30cを備える場合、各ストラップまたはコードは、別個のボーデンケーブルに収容されることになるであろう。
【0108】
ボーデンケーブルは、パッドバックプレート20に固定されることが好ましい。
【0109】
以下、衝撃吸収ライナー12から頬パッド16を解放できるようにするための解放装置30の動作は、接続要素22がU字型の片持ち梁式スナップフィット装置の形態である実施形態を参照して説明されるであろう。
【0110】
それにも関わらず、以下の注記は、開示前に他の実施形態に対しても有効である。
【0111】
頬パッド16を保護ヘルメット1の内側に固定するために、ユーザーは、接続要素22が対応する凹部24に面するように頬パッド16を配置する必要がある。接続要素22は、それらの第2の構成と実質的に一致する応力のない構成にある。
【0112】
その後、わずかに押す力によって、接続要素22は、凹部24の開口部27を通して嵌合凹部24の内側に挿入することが可能である。このような挿入は、それらの第1の構成を想定する、接続要素22の弾性変形を引き起こす。
【0113】
特に、このような挿入は、突出する部分26が凹部24の内側に挿入されることを可能にするために、接続要素22の第1のアーム31に向かって第2のアーム32の曲げを引き起こす。
【0114】
挿入が完了するとき、すなわち、接続要素22がそれらの嵌合凹部24内に完全に収容されるとき、接続要素22は、突出する部分26が窪み部28と係合するために、その初期形状を復元することができ、凹部24内で接続要素22をクランプすることを保証する。
【0115】
ヘルメットから頬パッドを取り外すには、ユーザーは、特定の方向に引張力Pを強制することなく、解放装置30のタブ42を頬パッド16の下部に向かって引っ張らなければならない。
【0116】
実際のところ、タブ42に加えられる引張力Pは、接続要素22の第2のアーム32の曲げを引き起こす解放力R1、R2、R3が生成されるために、いずれにしても接続要素22に伝達される(図14a、14b、14cおよび15を参照)。
【0117】
したがって、接続要素22は、接続要素22を凹部24から解放できるようにするために、第2のアーム32が曲がった後、突出する部分26が、もはや対応する窪み部28には係合されない、第1の構成で移動する(図9~12を参照)。
【0118】
タブ42に引張力Pを維持することにより、ヘルメットの下端に向かう力は、次に、頬パッドをヘルメットから取り外すことを可能にする、頬パッドの下方の移動を引き起こすであろう。
【0119】
本発明がどのようにして所定の目的を達成できるかは、もう明らかである。
【0120】
接続要素22と解放装置30の相互配置は、ヘルメットの通常の使用の間だけでなく、緊急の場合にも、ヘルメットから頬パッドを容易に取り外すことができる。
【0121】
さらに、接続要素と解放装置との間の接続は、軽減された引張力を解放装置に加えることにより、頬パッドをヘルメットから取り外すことができる。実際のところ、解放装置の接続要素への接続は、レバーを実現する。
【0122】
さらに、接続要素、解放装置および案内手段の間の相互配置は、いかなる制限もなく、異なる方向に向けることが可能である引張力を加えることによって、頬パッドをヘルメットから解放することができる。
【0123】
最後に、解放装置は、簡素化された構造を有しており、ユーザーによって簡単に操作することが可能である。
【0124】
上述の保護ヘルメットの実施形態に関して、当業者は、特定の要件を満たすために、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、記載された要素に修正を加え、および/または記載された要素を同等の要素に置き換え得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図8A
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側シェル(10)と、
前記外側シェル(10)の内側に配置された衝撃吸収ライナー(12)と、
保護ヘルメット(1)の使用中に、ユーザーの頭部と接触するように、前記衝撃吸収ライナー(12)の内面に配置された快適ライナー(14)であって、前記快適ライナー(14)は、少なくとも1つの接続要素(22)によって前記衝撃吸収ライナー(12)に結合される少なくとも1つの頬パッド(16)を備え、前記少なくとも1つの接続要素(22)は、前記衝撃吸収ライナー(12)に設けられた対応する凹部(24)に互いに挿入されるか、または解放されるように適合された第1の構成と、前記凹部(24)内にクランプされるように適合された第2の構成との間を移動するために弾性変形可能である、快適ライナー(14)と、
を備え、
保護ヘルメット(1)は、前記少なくとも1つの接続要素(22)に接続された解放装置(30)を備えることを特徴とし、前記解放装置(30)は、作動するときに、前記少なくとも1つの接続要素(22)を、前記第2の構成から前記第1の構成に移動させるために、前記少なくとも1つの接続要素(22)を弾性変形させることができ、それにより、前記少なくとも1つの頬パッド(16)を前記衝撃吸収ライナー(12)から解放することができる、保護ヘルメット(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの頬パッド(16)は、パッド層(18)およびパッドバックプレート(20)を含み、前記少なくとも1つの接続要素(22)が、前記パッド層(18)とは反対の方向に、前記パッドバックプレート(20)から突出することを特徴とする、請求項1に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの接続要素(22)は、前記衝撃吸収ライナー(12)に設けられた対応する前記凹部(24)内にクランプされるように設計されたスナップフィット装置であることを特徴とする、請求項1または2に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの接続要素(22)は、前記凹部(24)内に設けられた対応する窪み部(28)に入り込んで捕捉されるように設計された外側に突出する部分(26)を有する本体(25)を備えることを特徴とする、請求項3に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項5】
前記突出する部分(26)は、その前端に向かって先細りであることを特徴とする、請求項4に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項6】
前記解放装置(30)は、前記突出する部分(26)の近傍で、前記少なくとも1つの接続要素(22)に接続されていることを特徴とする、請求項4に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの接続要素(22)は、片持ち梁式スナップフィット装置であることを特徴とする、請求項3に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの接続要素(22)は、U字型の片持ち梁式スナップフィット装置であり、前記本体(25)は、ベース部分(34)において、互いに接続された第1のアーム(31)および第2のアーム(32)を備え、前記突出する部分(26)は、前記第2のアーム(32)に設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項9】
前記第1のアーム(31)は、前記頬パッド(16)のパッドバックプレート(20)に堅く接続され、前記少なくとも1つの接続要素(22)の前記ベース部分(34)に向かって前記パッドバックプレート(20)から延在し、前記第2のアーム(32)は、前記パッドバックプレート(20)に設けられた溝(36)に向かって前記ベース部分(34)から延在し、前記第2のアーム(32)の端部(38)は、応力が作用したときに、前記溝(36)内で自由に振動することができることを特徴とする、請求項8に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項10】
前記突出する部分(26)は、前記ベース部分(34)の近傍で、前記第2のアーム(32)の上に設けられ、前記解放装置(30)は、前記第2のアーム(32)の前記端部(38)の近傍で、前記少なくとも1つの接続要素(22)に接続されることを特徴とする、請求項9に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項11】
前記凹部(24)が、前記少なくとも1つの接続要素(22)の突出高さに対応する深さを有することを特徴とする、請求項1に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項12】
前記解放装置(30)は、前記少なくとも1つの接続要素(22)に接続された第1の端部(33;33a、33b、33c)、および前記少なくとも1つの頬パッド(16)の下部に位置するように設計された第2の端部(35)を有する、ストラップを備えることを特徴とする、請求項1に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項13】
前記解放装置(30)の前記第2の端部(35)は、作動要素(42)が設けられていることを特徴とする、請求項12に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの頬パッド(16)は、複数の接続要素(22)が設けられ、前記解放装置(30)は、対応する複数のストラップ(30a、30b、30c)を備え、前記複数のストラップ(30a、30b、30c)は、異なる接続要素(22)に接続されたそれらの第1の端部と、単一の作動要素(42)を備えた単一のストラップ(30)に結合されるように互いに接続されたそれらの第2の端部と、を有することを特徴とする、請求項12に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項15】
前記解放装置(30)は、前記パッドバックプレート(20)と前記パッド層(18)との間に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項16】
前記パッドバックプレート(20)は、前記解放装置(30)と係合するのに適合した案内手段(44)を備え、前記案内手段(44)は、第1の端部(33a、33b、33c)と、第2の端部(35)との間に備えられた前記解放装置(30)の部分を案内する機能を有することを特徴とする、請求項2または15に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項17】
前記案内手段(44)は、前記接続要素(22)の弾性変形を引き起こす方向(R1、R2、R3)に沿って、前記少なくとも1つの接続要素(22)に、前記解放装置(30)のタブ(42)に加えられる引張力(P)を向け、このような弾性変形が、窪み部(28)から前記対応する突出する部分(26)の解放を引き起こすことを特徴とする、請求項16に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項18】
前記案内手段(44)は、アーチ要素または案内ピンから構成されることを特徴とする、請求項16に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項19】
前記案内手段(44)は、前記解放装置(30)を収容するように設計された1つ以上のボーデンケーブルから構成され、前記ボーデンケーブルは、前記パッドバックプレート(20)に固定されていることを特徴とする、請求項16に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項20】
前記パッドバックプレート(20)は、ポリマー剛性材料で作成されていることを特徴とする、請求項2に記載の保護ヘルメット(1)。
【請求項21】
前記タブ(42)に加えられる前記引張力()は、前記接続要素(22)の第1のアーム(31)に向かって、第2のアーム(32)の曲げを引き起こし、このような曲げが、前記窪み部(28)から前記突出する部分(26)の解放を引き起こすことを特徴とする、請求項17に記載の保護ヘルメット(1)。
【国際調査報告】