IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アクト、アイデンティティ、テクノロジー、リミテッドの特許一覧

特表2024-524727チップモジュールおよびチップモジュールを形成する方法
<>
  • 特表-チップモジュールおよびチップモジュールを形成する方法 図1
  • 特表-チップモジュールおよびチップモジュールを形成する方法 図2
  • 特表-チップモジュールおよびチップモジュールを形成する方法 図3
  • 特表-チップモジュールおよびチップモジュールを形成する方法 図4
  • 特表-チップモジュールおよびチップモジュールを形成する方法 図5
  • 特表-チップモジュールおよびチップモジュールを形成する方法 図6
  • 特表-チップモジュールおよびチップモジュールを形成する方法 図7
  • 特表-チップモジュールおよびチップモジュールを形成する方法 図8
  • 特表-チップモジュールおよびチップモジュールを形成する方法 図9
  • 特表-チップモジュールおよびチップモジュールを形成する方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】チップモジュールおよびチップモジュールを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240628BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H01L23/12 N
G06K19/077 196
G06K19/077 212
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502463
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 CN2022104250
(87)【国際公開番号】W WO2023284616
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/222,560
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524019586
【氏名又は名称】アクト、アイデンティティ、テクノロジー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ACT IDENTITY TECHNOLOGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】チェン、カン
(57)【要約】
チップモジュール(40a,40b,62)であって、集積回路(IC)チップ(34,64)と、複数のホール(28)を備えた第1の可撓性の基材層(18)と、複数のホール(26)を備えた第2の接着基材層(16)と、導電性材料から成る第3の基材層(14)とを含み、第2の基材層が、第1の基材層と第3の基材層との間に挟まれ、かつ第1の基材層および第3の基材層に位置固定的に係合させられており、第1の基材層のホールと、第2の基材層のホールとが、ICチップの少なくとも一部をそれぞれ収容する複数のキャビティ(12,66)を形成するために互いに整列させられている、チップモジュール(40a,40b,62)が開示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップモジュールであって、
集積回路(IC)チップと、
少なくとも部分的に可撓性材料から成る、第1のホールを備えた第1の基材層と、
少なくとも部分的に接着材料から成る、第2のホールを備えた第2の基材層と、
少なくとも部分的に導電性材料から成る第3の基材層と
を含み、
前記第2の基材層が、前記第1の基材層と前記第3の基材層との間に挟まれ、かつ前記第1の基材層および前記第3の基材層に固定的に係合させられており、
前記第1の基材層の前記第1のホールと、前記第2の基材層の前記第2のホールとが、第1のキャビティを形成するために互いに整列させられており、かつ
前記第1のキャビティ内に、少なくとも前記ICチップの第1の部分が収容されている、
チップモジュール。
【請求項2】
前記第3の基材層が、少なくとも部分的に銅から成っている、請求項1記載のチップモジュール。
【請求項3】
前記第3の基材層に前記ICチップを電気的に接続するために、前記第3の基材層が、前記ICチップの脚部に係合する少なくとも1つのスリットを含む、請求項1または2記載のチップモジュール。
【請求項4】
前記第1のホールと前記第2のホールとが、実質的に同一のサイズおよび同一の形状である、請求項1から3までのいずれか1項記載のチップモジュール。
【請求項5】
前記第1の基材層が、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)および/またはガラス強化エポキシ積層材料から成っている、請求項1から4までのいずれか1項記載のチップモジュール。
【請求項6】
少なくとも部分的に接着材料から成る、第3のホールを備えた第4の基材層と、第4のホールを備えた第5の基材層とをさらに含む、請求項1から5までのいずれか1項記載のチップモジュール。
【請求項7】
前記第3のホールと前記第4のホールとが、第2のキャビティを形成するために互いに整列させられており、該第2のキャビティ内に、少なくとも前記ICチップの第2の部分が収容されている、請求項6記載のチップモジュール。
【請求項8】
前記第3のホールと前記第4のホールとが、実質的に同一のサイズおよび同一の形状である、請求項7記載のチップモジュール。
【請求項9】
前記第5の基材層が、導電性材料から成っているか、または導電性材料により電気鍍金されている、請求項6から8までのいずれか1項記載のチップモジュール。
【請求項10】
前記チップモジュールが、角柱、円柱または楕円柱の形状である、請求項1から9までのいずれか1項記載のチップモジュール。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の少なくとも1つのチップモジュールを含む、チップモジュールカードインレイ。
【請求項12】
前記チップモジュールが、第6の基材層の第5のホール内に収容されている、請求項11記載のチップモジュールカードインレイ。
【請求項13】
前記第6の基材層が、第7の基材層と第8の基材層との間に挟まれ、かつ前記第7の基材層および前記第8の基材層に固定的に係合させられている、請求項12記載のチップモジュールカードインレイ。
【請求項14】
前記チップモジュールが、少なくとも1つの導電性ワイヤに電気的に接続されている、請求項11から13までのいずれか1項記載のチップモジュールカードインレイ。
【請求項15】
チップモジュールを形成する方法であって、
少なくとも部分的に可撓性材料から成る、複数の第1のホールを備えた第1の基材層を準備することと、
少なくとも部分的に接着材料から成る、複数の第2のホールを備えた第2の基材層を準備することと、
少なくとも部分的に導電性材料から成る第3の基材層を準備することと、
複数の第1のキャビティを形成するために、前記第1の基材層の前記第1のホールを、前記第2の基材層の前記第2のホールに整列させることと、
前記第2の基材層を前記第1の基材層と前記第3の基材層との間に挟むことと、
第1の積層構造体を形成するために、前記第1の基材層と、前記第2の基材層と、前記第3の基材層とを固定的に係合させることと、
前記第1の積層構造体の前記第1のキャビティのうちの1つのキャビティ内に、少なくとも集積回路(IC)チップの第1の部分を固定的に係合させることと、
前記ICチップに固定的に係合させられた前記第1の積層構造体から少なくとも1つのチップモジュールを切り出すことと
を含む、方法。
【請求項16】
前記第3の基材層が少なくとも部分的に銅から成っている、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記第3の基材層に前記ICチップを電気的に接続するために、前記ICチップの脚部を前記第3の基材層の少なくとも1つのスリットに係合させることを含む、請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
前記第1のホールと前記第2のホールとが、実質的に同一のサイズおよび同一の形状である、請求項15から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前記ICチップの前記第1の部分と前記第1のキャビティとの間の空間の少なくとも一部に接着材を充填することをさらに含む、請求項15から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記第1の基材層が、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)および/またはガラス強化エポキシ積層材料から成っている、請求項15から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
少なくとも部分的に接着材料から成る、複数の第3のホールを備えた第4の基材層と、複数の第4のホールを備えた第5の基材層とを準備することをさらに含む、請求項15から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
複数の第2のキャビティを形成するために、前記第4の接着基材層の前記第3のホールを前記第5の基材層の前記第4のホールに整列させることと、前記第2のキャビティのうちの1つのキャビティ内に、少なくとも前記ICチップの第2の部分を位置決めすることとをさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記第3のホールと前記第4のホールとが、実質的に同一のサイズおよび同一の形状である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記第5の基材層が、導電性材料から成っているか、または導電性材料により電気鍍金されている、請求項21から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
第2の積層構造体を形成するために、前記第4の接着基材層および前記第5の基材層を前記第1の積層構造体に固定的に係合させることをさらに含む、請求項21から24までのいずれか1項記載の方法。
【請求項26】
チップモジュールカードインレイを形成する方法であって、請求項15から24までのいずれか1項記載の方法により少なくとも1つのチップモジュールを形成することを含む、方法。
【請求項27】
前記チップモジュールを、第6の基材層の第5のホール内に位置決めすることを含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記第6の基材層を、第7の基材層と第8の基材層との間に挟むことと、前記第6の基材層と、前記第7の基材層と、前記第8の基材層とを互いに固定的に係合させることとを含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記チップモジュールを、少なくとも1つの導電性ワイヤに電気的に接続することを含む、請求項26から28までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、集積回路(IC)チップモジュールのようなチップモジュール、このようなチップモジュールを備えたチップモジュールカードインレイ、このようなチップモジュールを形成する方法およびこのようなチップモジュールカードインレイを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
チップモジュールカードインレイは、スマートカード、例えばクレジットカード、身分証明書等の製造のために頻繁に使用される。このようなカードは頻繁に使用されており、ユーザによって持ち歩かれ、または使用される場合に、反ったり曲がったりしてしまう。カードのこのような反りおよび曲げは、カードの構造的な完全性および適切な機能に不都合な影響を与えてしまう。さらに、スマートカード産業における従来のチップモジュールは、平坦で均一な上面を提供しておらず、このことは、チップモジュールカードインレイおよびスマートカードの製造プロセスに不都合な影響を与える。特に、チップモジュールは従来、チップオンボード法におけるように、2つの高さの段付き構造体であるか、または平坦ではない上部ハウジングを備えて形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、上述の欠点が軽減されるか、または少なくとも当業界および一般の人々に対して有用な代替手段を提供する、チップモジュール、チップモジュールカードインレイ、チップモジュールを形成する方法およびチップモジュールカードインレイを形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明の第1の態様によれば、チップモジュールであって、集積回路(IC)チップと、少なくとも部分的に可撓性材料から成る、第1のホールを備えた第1の基材層と、少なくとも部分的に接着材料から成る、第2のホールを備えた第2の基材層と、少なくとも部分的に導電性材料から成る第3の基材層とを含み、上記第2の基材層が、上記第1の基材層と上記第3の基材層との間に挟まれ、かつ上記第1の基材層および上記第3の基材層に位置固定的に係合させられており、上記第1の基材層の上記第1のホールと、上記第2の基材層の上記第2のホールとが、第1のキャビティを形成するために互いに整列させられており、かつ上記第1のキャビティ内に、少なくとも上記ICチップの第1の部分が収容されているチップモジュールが提供される。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、少なくとも1つのチップモジュールを含むチップモジュールカードインレイであって、上記チップモジュールが、集積回路(IC)チップと、少なくとも部分的に可撓性材料から成る、第1のホールを備えた第1の基材層と、少なくとも部分的に接着材料から成る、第2のホールを備えた第2の基材層と、少なくとも部分的に導電性材料から成る第3の基材層とを含み、上記第2の基材層が、上記第1の基材層と上記第3の基材層との間に挟まれて、かつ上記第1の基材層および上記第3の基材層に位置固定的に係合させられており、上記第1の基材層の上記第1のホールと、上記第2の基材層の上記第2のホールとが、第1のキャビティを形成するために互いに整列させられており、上記第1のキャビティ内に、少なくとも上記ICチップの第1の部分が収容されている、チップモジュールカードインレイが提供される。
【0006】
本発明の第3の態様によれば、チップモジュールを形成する方法であって、少なくとも部分的に可撓性材料から成る、複数の第1のホールを備えた第1の基材層を準備することと、少なくとも部分的に接着材料から成る、複数の第2のホールを備えた第2の基材層を準備することと、少なくとも部分的に導電性材料から成る第3の基材層を準備することと、複数の第1のキャビティを形成するために、上記第1の基材層の上記第1のホールを上記第1の基材層の上記第2のホールに整列させることと、上記第2の基材層を上記第1の基材層と上記第3の基材層との間に挟むことと、第1の積構造体を形成するために、上記第1の基材層と、上記第2の基材層と、上記第3の基材層とを位置固定的に係合させることと、上記第1の積層構造体の上記第1のキャビティのうちの1つのキャビティ内に、少なくとも集積回路(IC)チップの第1の部分を位置固定的に係合させることと、上記ICチップに位置固定的に係合させられた第1の積層構造体から少なくとも1つのチップモジュールを切り出すこととを含む、方法が提供される。
【0007】
本発明の第4の態様によれば、少なくとも1つのチップモジュールを形成することを含む、チップモジュールカードインレイを形成する方法であって、少なくとも部分的に可撓性材料から成る、複数の第1のホールを備えた第1の基材層を準備するステップと、少なくとも部分的に接着材料から成る、複数の第2のホールを備えた第2の基材層を準備することと、少なくとも部分的に導電性材料から成る第3の基材層を準備することと、複数の第1のキャビティを形成するために、上記第1の基材層の上記第1のホールを上記第1の基材層の上記第2のホールに整列させることと、上記第2の基材層を上記第1の基材層と上記第3の基材層との間に挟むことと、第1の積構造体を形成するために、上記第1の基材層と上記第2の基材層と上記第3の基材層とを位置固定的に係合させることと、集積回路(IC)チップの少なくとも第1の部分を、上記第1の積層構造体の上記第1のキャビティの1つのキャビティ内に位置固定的に係合させることと、上記ICチップに位置固定的に係合させられた上記積層構造体から少なくとも1つのチップモジュールを切り出すこととを含む、方法が提供される。
【0008】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら単に例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の1つの実施形態による、チップモジュールおよびチップモジュールカードインレイを形成するために適した、5つの基材層から形成された1本のチップハウジングキャリアを示す斜視図である。
図2図1に示した1本のチップハウジングキャリアの分解斜視図である。
図3図1に示した1本のチップハウジングキャリアを形成する5つの基材層を示す平面図である。
図4】フリップ集積回路(IC)チップを示す正面図である。
図5図1に示した1本のチップハウジングキャリアと、図4に示したフリップICチップとからチップモジュールを形成するステップを示す図である。
図6図5で形成されたチップモジュールからチップモジュールカードインレイを形成するステップを示す図である。
図7図5で形成されたチップモジュールからチップモジュールカードインレイを形成するステップを示す別の図である。
図8図5で形成されたチップモジュールからチップモジュールカードインレイを形成するステップを示すさらに別の図である。
図9図5で形成されたチップモジュールからチップモジュールカードインレイを形成するステップを示すさらに別の図である。
図10】本発明の1つの実施形態によるチップモジュールカードインレイを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態の説明
図1は、本発明の1つの実施形態による、チップモジュールおよびチップモジュールカードインレイを形成するための、5つの基材層から形成された1本のチップハウジングキャリア10を示している。チップハウジングキャリア10は、細長い形状であり、リールの形態に巻成されていてよく、したがってチップモジュールおよびチップモジュールカードインレイを形成する後続のステップのために繰り出される。チップハウジングキャリア10に沿って複数のキャビティ12が形成されている。キャビティ12は、正方形、長方形または円形の横断面形状を有していてよい。図1に例として示したように、キャビティ12は3つの列で配置されているが、チップハウジングキャリア10が別の個数の列のキャビティ12を備えて形成されてもよいことを理解されたい。
【0011】
図2は、図1に示した1本のチップハウジングキャリア10の分解斜視図である。本実施形態によるチップハウジングキャリア10は、互いに上下に積み重ねられた5つの基材層14,16,18,20,22から成っている。本発明によれば、チップハウジングキャリア10は、異なる個数の基材層から形成されていてもよく、例えば、単に基材層14,16,18から形成されていてもよいことを理解されたい。
【0012】
5つの基材層14,16,18,20,22が、図3では個別に示されている。基材層14は、銅(または別の導電性材料)から成っている。基材層14の長さに沿って3列のスリット24が形成されている。基材層14の上には、基材層16が設けられており、基材層16は、その長さに沿った3列のホール26を備えている。基材層16は、接着材料から成っている。基材層16の上には、基材層18が設けられており、基材層18は、その長さに沿った3列のホール28を備えている。基材層18は、可撓性であり、例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)および(例えば、難燃性であるエポキシ樹脂バインダを有するガラス繊維織布から構成された複合材料である「FR-4」のような)ガラス強化エポキシ積層材料のうちの1種または複数種の材料のような、可撓性材料から成っている。
【0013】
基材層18の上には、基材層20が設けられており、基材層20は、その長さに沿って3列のホール30を備えている。基材層20は、接着材料から成っている。基材層20の上には、基材層22が設けられており、基材層22は、3列のホール32を備えている。基材層22は、1種以上の導電性材料、例えば銅およびニッケルから成っているか、または1種以上の導電性材料により電気鍍金されている。
【0014】
それぞれの基材層16,18,20,22のホール26,28,30,32は、同一のサイズおよび同一の形状を有していて、基材層16,18,20,22が適切に組み立てられて互いに上下に積み重ねられている場合に、それらの基材層16,18,20,22のそれぞれのホール26,28,30,32が互いに整列させられていて、これによりこれらのホール26,28,30,32が集合的に基材層16を通って基材層22にまで延びる複数のキャビティ12を形成するように、配置されている。それぞれのスリット24が、互いに整列させられたホール26,28,30,32の列により形成された各キャビティ12の下に位置決めされているように、基材層16は、基材層14の下側に位置決めされ、かつこの基材層14に接触している。
【0015】
図4は、集積回路(IC)チップ34を示している。ICチップ34は、非接触チップまたは別のタイプのチップであってよい。エレクトロニクス製造において、集積回路(IC)パッケージングは、半導体デバイス製造の最終段階であり、この最終段階では、半導体材料のブロックが、物理的な損傷および腐食を阻止する支持ケース(「パッケージ」としても知られる)内に封止されている。パッケージを形成するために使用される一般的なプラスチックは、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(「epoxy-cresol-novolac」とも呼ばれる)である。ICチップ34では、導電性の2つの脚部36が、ICチップ34のパッケージ38から延び出ているものとして示されている。
【0016】
図5を参照すると、図5は、基材層14が底部を形成している状態で、それぞれの基材層16,18,20,22のホール26,28,30,32の整列により形成された複数のキャビティ12を備えた1本のチップハウジングキャリア10を示している。基材層14,16,18,20,22は、積層構造体であるチップハウジングキャリア10を形成するために、互いに位置固定的に係合するように積層させられている。ICチップ34は、脚部36(ひいてはICチップ34)と基材層14との間で電気的かつ物理的な接続が確立されるように脚部36が基材層14に接触した状態で、ICチップ34が完全にキャビティ12内に収容されるように、複数のキャビティ12のうちの1つのキャビティ内に位置決めされている。基材層16,18,20,22のホール26,28,30,32の整列により形成されたキャビティ12の深さは、ICチップ34の全高h以上であり、ICチップ34の一部はホール26,28によって形成されるキャビティ内に収容され、ICチップ34の別の一部はホール30,32によって形成されるキャビティ内に収容されている。
【0017】
ICチップ34がキャビティ12内に収容されると(かつICチップ34の脚部36が基材層14に物理的および電気的に接続されると)、接着材(グルー)が、キャビティ12内の、ICチップ34によって占められていない任意の空間に充填されるので、これによりキャビティ12内およびチップハウジングキャリア10内でのICチップ34の位置固定的な係合を強化することができる。
【0018】
ICチップ34がチップハウジングキャリア10のキャビティ12内に位置固定的に係合させられ、かつ収容されている場合に、複数のチップモジュール40a,40bを、例えばダイカットによってチップハウジングキャリア10から切り出すことができる。チップモジュール40b,40cのそれぞれは、基材層14,16,18,20,22内に位置固定的に収容され係合させられたICチップ34を備え、この場合に基材層14は、ICチップ34の脚部36に位置固定的に係合させられている。チップモジュール40b,40cのそれぞれの形状は、互いに異なっており、ここでチップモジュール40bは、概して長方形の角柱形状であり、チップモジュール40cは、概して楕円柱形状である。一般的に言えば、本発明によるチップモジュール40a,40bは、いずれも比較的短い厚み/高さの角柱、円柱または楕円柱の形状であり、より詳細には、直角柱、直円柱または直楕円柱の形状であってよい。チップモジュール40aの対向する2つの主面(これらの主面のうち一方の主面41aのみが図5に示されている)は、平坦であり、同一の形状であり、互いに平行である。同様に、チップモジュール40bの対向する2つの主面(これらの主面のうち1つの主面のみが図5に示されている)は、平坦であり、同一の形状であり、互いに平行である。したがって、チップモジュール40a,40bは、2つの高さの段付き構造体ではなく、または従来のチップモジュールの場合のように、平坦ではない上部ハウジングを備えて形成されていない。
【0019】
図6図9は、チップモジュール40aを例として使用しながら、チップモジュールカードインレイを形成するステップを示している。
【0020】
図6に示したように、チップモジュール40aは、基材層44のホール42内に位置決めされており、基材層44は、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)またはグリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)のようなプラスチック材料から成っていてよい。慣用の2つの高さの段付き構造体のチップモジュールの場合、2つの高さの互いに異なる形状の要求を満たすために、少なくとも2つのこのような基材層(「補償層」とも呼ばれる)が必要である。他方では、本発明によるチップモジュールは、角柱、円柱または楕円柱、より具体的には直角柱、直円柱または直楕円柱の形状であり得るので、ただ1つの補償層しか必要ではない。このことは、(以下に説明する)チップモジュールカードインレイの製造および続くスマートカードの製造を容易にする。
【0021】
さらに図7に示されているように、(例えば、銅から成る)導電性ワイヤ46が基材層44の主面48に埋め込まれている。ワイヤ46は、例えば、アンテナを形成するために、数回湾曲して、基材層44の主面48に埋め込まれていてよい。ワイヤ46の2つの自由端は、例えば熱接着によって、チップモジュール40aに接合されている。
【0022】
基材層44は、2つの保護基材層50,52の間に挟まれている。2つの基材層50,52は、PC、PVCまたはPETGから成っていてよい。次いで、このように互いに積み重ねられた基材層44,50,52は、積層構造体であるチップモジュールカードインレイ54を形成するために、基材層44,50,52に位置固定的に係合するように積層させられる。
【0023】
図10は、チップモジュール62を備えたチップモジュールカードインレイ60の断面図を示している。チップモジュール62は、それぞれの基材層16,18のホール26,28の整列により形成されたキャビティ66内に収容されているICチップ64を有している。ICチップ64の脚部36は、基材層16の上の基材層14に物理的かつ電気的に接続されている。したがって、基材層16は、基材層14と基材層18との間に挟まれ、かつ基材層14および基材層18に位置固定的に係合させられている。
【0024】
チップモジュール62は、内側基材層70のホール68内に収容されており、(銅から作製され得る)導電性ワイヤ72から形成されたアンテナに(例えば、ボンディングによって)電気的に接続される。内側基材層70は、2つの外側基材層74,76間に挟まれている。基材層70,74,76は積層されており、したがって、積層構造体のチップモジュールカードインレイ60を形成するために、互いに位置固定的に係合させられている。基材層16,18のホール26,28の整列によって形成されたキャビティ66の深さは、ICチップ64の全高以上である。
【0025】
上記は本発明を実施することができる例を例示し、記載したものにすぎず、本発明の趣旨から逸脱することなしに修正および/または変更を加えてよいことを理解されたい。
【0026】
明確にするために、別々の実施形態に関連して説明された発明の特定の特徴は、1つの実施形態において組み合わせて提供されてもよいことも理解されるべきである。逆に、簡潔さのために、1つの実施形態の文脈で説明した本発明の様々な特徴を、別々に、または任意の適切な部分的な組み合わせにおいて提供することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】