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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】扇風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
F04D29/28 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503442
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2022069119
(87)【国際公開番号】W WO2023001597
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/107480
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】リン フ‐ラング
(72)【発明者】
【氏名】グ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー ビング
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ハイヤン
(72)【発明者】
【氏名】タン リーチャン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ウェイチョン
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB47
3H130AC26
3H130BA87C
3H130BA95C
3H130CB06
3H130DD01Z
3H130EB01C
3H130EB04C
3H130EC08C
3H130ED04C
(57)【要約】
本開示の実施形態は扇風機を提供する。扇風機は、ベースと、ベースに固定的に配置されたシャフトと、ベース上に且つシャフトの周囲に固定的に配置された固定子アセンブリであって、半径方向内向きの突起を含む、固定子アセンブリと、ファンブレードアセンブリとを含み、ファンブレードアセンブリは、ベアリングを受けるベアリングシートであって、ベアリングを介して、ファンブレードアセンブリがシャフト上で回転可能に配置されている、ベアリングシートと、ベアリングシートから半径方向外向きに突き出て、且つ扇風機の動作中に、軸方向において半径方向内向きの突起によって阻止されるように配置されている突起リングとを含む。半径方向内向きの突起及びベアリングシートに形成された突起リングを用いて、扇風機が動的状態(例えば、扇風機がマスクに取り付けられて、マスクの着用者と常時動く可能性のある場合)になっていても、ファンブレードアセンブリがシャフトから落下することがなく、これにより扇風機の安定性が向上する。更にこれにより、扇風機の適用範囲が広くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに固定的に配置されたシャフトと、
前記ベース上に、且つ前記シャフトの周囲に固定的に配置された固定子アセンブリであって、半径方向内向きの突起を含む、固定子アセンブリと、
ファンブレードアセンブリとを含む、扇風機であって、
前記ファンブレードアセンブリは、
ベアリングを受けるベアリングシートであって、前記ベアリングを介して、前記ファンブレードアセンブリが前記シャフト上で回転可能に配置されている、ベアリングシートと、
前記ベアリングシートから半径方向外向きに突き出て、且つ前記扇風機の動作中に、軸方向において前記半径方向内向きの突起によって阻止されるように配置されている突起リングとを含む、
扇風機。
【請求項2】
前記半径方向内向きの突起又は前記突起リングの少なくとも1つは弾性で、前記ファンブレードアセンブリを所定の位置に設置することを可能にする、請求項1に記載の扇風機。
【請求項3】
前記半径方向内向きの突起は、円周方向に均等に分布し且つ所定の距離間隔で配置される複数のサブ突起を含む、請求項2に記載の扇風機。
【請求項4】
前記半径方向内向きの突起は、半径方向内向きに先細になっている、請求項1に記載の扇風機。
【請求項5】
前記ベースから離れた前記半径方向内向きの突起の少なくとも表面が傾斜している、請求項4に記載の扇風機。
【請求項6】
前記ベースに面している前記突起リングの表面は、前記突起リングの軸方向の厚さが半径方向外向きに減少するように傾斜している、請求項4に記載の扇風機。
【請求項7】
前記ベースは、前記シャフトの周囲に配置された固定子シートを含み、
前記固定子アセンブリは、前記固定子シートに取り付けられ、コイルによって巻かれたコイルシートを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の扇風機。
【請求項8】
前記半径方向内向きの突起は、前記コイルシート上に形成されている、請求項7に記載の扇風機。
【請求項9】
前記ファンブレードアセンブリは更に、
前記ファンブレードアセンブリが回転するときに空気流を提供する複数のファンブレードと、
前記複数のファンブレードを配置するために、前記ベアリングシートの周囲に固定的に配置された回転子本体と、
を含む、請求項7に記載の扇風機。
【請求項10】
前記突起リングは、前記ベアリングシートの外側周辺部に一体に形成されている、請求項9に記載の扇風機。
【請求項11】
前記ファンブレードアセンブリは更に、前記回転子本体上に、且つ前記コイルシートを囲んで配置され、通電された前記コイルによって発生した磁場と相互作用して前記ファンブレードアセンブリを回転するように駆動する複数の磁石を含む、請求項7に記載の扇風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
扇風機は、環境制御及び個人の熱的快適性、車両エンジン冷却システム、機械冷却システム、換気、ガス抽出、風力選別、除塵、乾燥、並びに火を起こすための通気などの用途のために空気流を生成するために使用される動力機械である。扇風機は、通常、ブレードの回転装置を含む。ブレード及びハブの回転アセンブリは、インペラ、回転子、又はランナーと呼ばれる。通常、これは空気流を誘導したり、ファンブレードに物が接触しないようにすることで安全性を高める得る何らかの形のハウジング又はケースに含まれている。ほとんどのファンは電気モータで駆動されるが、油圧モータ、ハンドクランク、内燃エンジンなどの他の動力源を使用することもできる。
【0003】
扇風機のファンブレード及びシャフトの配置に関して、扇風機は2つのタイプに分けられ、1つは通常構造であり、もう1つは逆構造である。通常構造では、シャフトは、例えば成形によって、ファンブレードの回転中心に固定的に配置されている。ファンブレード付きシャフトは、ベース上のベアリングベースに固定的に取り付けられたベアリングを介してベース上に回転可能に配置されている。通常構造と比較して、逆構造では、ファンブレードはベースに固定的に配置されたシャフト上に回転可能に配置されている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、逆構造の扇風機を提供する。
【0005】
第1の態様では、扇風機が提供される。扇風機は、ベースと、ベースに固定的に配置されたシャフトと、ベース上に、且つシャフトの周囲に固定的に配置された固定子アセンブリであって、半径方向内向きの突起を含む、固定子アセンブリと、ファンブレードアセンブリとを含み、ファンブレードアセンブリは、ベアリングを受けるベアリングシートであって、ベアリングを介して、ファンブレードアセンブリがシャフト上で回転可能に配置されている、ベアリングシートと、ベアリングシートから半径方向外向きに突き出て、且つ扇風機の動作中に、軸方向において半径方向内向きの突起によって阻止されるように配置されている突起リングとを含む。
【0006】
半径方向内向きの突起及びベアリングシートに形成された突起リングを用いて、扇風機が動的状態(例えば、扇風機がマスクに取り付けられて、マスクの着用者と常時動く可能性のある場合)になっていても、ファンブレードアセンブリがシャフトから落下することがなく、これにより扇風機の安定性が向上する。更にこれにより、扇風機の適用範囲が広くなる。
【0007】
いくつかの実施形態では、半径方向内向きの突起又は突起リングの少なくとも1つが弾性で、ファンブレードアセンブリを所定の位置に設置することを可能にする。このアレンジメントにより、ファンブレードアセンブリのシャフトへの設置が容易になる。
【0008】
いくつかの実施形態では、半径方向内向きの突起は、円周方向に均等に分布し、且つ所定の距離間隔で配置される複数のサブ突起を含む。サブ突起を使用すると、半径方向内向きの突起を弾性的に変形させるために必要な力を低減でき、これにより、ファンブレードアセンブリの設置を更に容易にできる。更に、変形を容易にするために半径方向内向きの突起の厚さを損なう必要がなく、これにより、扇風機の動作中に、突起リングが半径方向内向きの突起によって常に阻止されることが保証される。
【0009】
いくつかの実施形態では、半径方向内向きの突起は半径方向内向きに先細になる。このアレンジメントにより、ファンブレードアセンブリのシャフトへの設置が更に容易にできる。
【0010】
いくつかの実施形態では、ベースから離れた半径方向内向きの突起の少なくとも表面が傾斜している。
【0011】
いくつかの実施形態では、ベースに面している突起リングの表面が、突起リングの軸方向の厚さが半径方向外向きに減少するように傾斜している。このアレンジメントにより、ファンブレードアセンブリのシャフトへの設置が更に容易にできる。
【0012】
いくつかの実施形態では、ベースはシャフトの周囲に配置された固定子シートを含み、固定子アセンブリは固定子シートに取り付けられ、コイルによって巻かれたコイルシートを含む。このようにして、固定子アセンブリをより簡単なやり方でベースに固定的に配置できる。
【0013】
いくつかの実施形態では、半径方向内向きの突起はコイルシートに形成される。このアレンジメントにより、扇風機の構造変化を最小限に抑えて、扇風機の改良のためのコストを削減できる。
【0014】
いくつかの実施形態では、ファンブレードアセンブリは更に、ファンブレードアセンブリが回転したときに空気流を提供する複数のファンブレードと、複数のファンブレードを配置するために、ベアリングシートの周囲に固定的に配置された回転子本体とを含む。このアレンジメントにより、ファンブレードアセンブリの製造が容易にし得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、突起リングはベアリングシートの外側周辺部に一体に形成されている。このアレンジメントにより、扇風機の構造変化を最小限に抑えて、扇風機の改良のためのコストを削減できる。
【0016】
いくつかの実施形態では、ファンブレードアセンブリは更に、回転子本体上に、且つコイルシートを囲んで配置されて、通電されたコイルによって発生した磁場と相互作用してファンブレードアセンブリを回転するように駆動する複数の磁石を含む。
【0017】
なお、上記発明の概要は、本開示の実施形態の重要又は絶対不可欠な特徴を特定することを意図したものでも、本開示の範囲を限定するために使用されることを意図したものでもないことを理解されたい。本開示の他の特徴については、以下の説明により容易に理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示の上記及び他の目的、特徴及び利点は、添付図面と併せて本開示の例示的な実施形態をより詳細に描写することにより、より明らかになるであろう。本開示の例示的な実施形態では、同じ参照番号は通常、同じ構成要素を表す。
【0019】
図1図1は、先行技術の通常構造の扇風機の側面断面図を示す。
図2図2は、先行技術の逆構造の扇風機の側面断面図を示す。
図3図3は、本開示の実施形態による扇風機の側面断面図を示す。
図4図4は、図3に示す扇風機の一部Aの拡大図を示す。
【0020】
図面全体を通して、同じ又は類似の参照記号を使用して、同じ又は類似の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
いくつかの例示的な実施形態を参照して本開示について説明する。なお、これらの実施形態は、主題の範囲の制限を示唆するものではなく、当業者が本開示をよりよく理解し、したがって実施できるようにする目的でのみ説明されていることを理解されたい。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「含む」及びその変形は、「含む」を意味する開放用語として理解されるものとするが、これに限定されない。用語「~に基づいて」は、「~に少なくとも部分的に基づいて」と理解されるものとする。用語「一実施形態」及び「実施形態」という用語は、「少なくとも1つの実施形態」と理解されるものとする。用語「別の実施形態」は、「少なくとも1つの他の実施形態」と理解されるものとする。用語「第1」、「第2」などは、異なる又は同じ物体を指す場合がある。他の定義(明示的及び暗黙的)は以下のとおりである。用語の定義は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、説明全体を通じて一貫している。
【0023】
機械的には、扇風機は、空気流を生成するために使用される回転羽根又はブレードを含む。扇風機は、ファンブレードが回転すると、大容量及び低圧(ただし、大気圧よりも高い)で空気流を生成する。通常、通常構造の扇風機のファンブレード104’は、ファンブレードアセンブリの回転中心に固定的に配置されたシャフト102’と共にモールドされている。次に、図1に示すように、シャフト102’は、ベアリングシート内に取り付けられたベアリング105’を介してベース又は基板上に回転可能に配置される。
【0024】
扇風機の通常構造では、構造強度や安定回転などの必要性のために、図1に示すように、ファンブレードアセンブリにモールドされたシャフト102’の一部の長さD1と、ベアリングシートの下部にあるシャフト102’の長さD2とは、所定の閾値長さよりも大きくする必要がある。これにより、扇風機の厚さが大きくなり、特定の状況や用途での扇風機の使用が制限される。
【0025】
少なくとも扇風機をより薄くするために、図2に示すような扇風機の逆構造が開発された。通常構造と比較して、逆構造の扇風機100’は、ベース101’に固定的に配置されたシャフト102’を含む。つまり、扇風機100’のファンブレードアセンブリ104’はシャフト102’で成形されていない。ファンブレードアセンブリ104’は、ベアリング1045’を受けるためのベアリングシート1044’を含み、これを介してファンブレードアセンブリ104’がシャフト102’に回転可能に配置される。
【0026】
逆構造の扇風機100’では、前述の長さD1及びD2は不要になる。このようにして、扇風機を薄くすることができる。これにより、厚さやスペースの要件が厳しいメモ帳などの用途や状況で扇風機を使用できる。このような状況及び用途では、扇風機は通常、動作中に扇風機が通常静止している静止状態にある。
【0027】
例えば、着用者の呼吸を容易にするためにマスクに扇風機を使用する用途では、扇風機は通常、動的状態にある。例えば、着用者は、逆構造の扇風機が付いたマスクを着用しながら歩いたり走ったりする場合がある。しかし、ファンブレードアセンブリに制限がないため、着用者が歩いたり走ったりしたときに、ファンブレードアセンブリが必要な位置からずれたり、シャフトから落下したりする危険性があり、扇風機の故障や着用者への危害を引き起こす可能性がある。
【0028】
上記及び他の潜在的な問題を少なくとも部分的に対処するために、本開示の実施形態は、逆構造の扇風機を提供する。次に、図3及び図4を参照して、いくつかの例示的な実施形態について説明する。
【0029】
図3及び図4に示すように、一般的に、本開示の実施形態による扇風機100は、ベース101、シャフト102、固定子アセンブリ103、及びファンブレードアセンブリ104を含む。扇風機100は、シャフト102がベース101に固定的に配置された逆構造を使用している。ベース101は、扇風機100の固定部品である。いくつかの実施形態では、ベース101は、扇風機100のハウジングの一部であり、空気流を容易にするための通気孔又は開口部を含む。いくつかの実施形態では、その上に配置されたシャフト102の他に、ベース101は更に、シャフト102の周囲に配置された固定子シート1011を含む。固定子シート1011は、例えば、モールドなどによってベース101の他の部分と一体的に形成され、ベース101及び扇風機100全体の構造強度を向上させることができる。いくつかの代替実施形態では、固定子シート1011とベース101の他の部分とは別々に形成され、一緒に組み立てられてもよい。
【0030】
固定子アセンブリ103は、固定子シート1011上に、且つシャフト102の周囲に取り付けられる。固定子アセンブリ103は、コイル1033で巻かれたコイルシート1032を含む。コイル1033は、通電時に変化する磁場を発生し、これは、ファンブレードアセンブリ104上に配置された複数の磁石1046によって発生された磁場と相互作用して、ファンブレードアセンブリ104を回転させる。このようにして、ファンブレードアセンブリ104は空気流を提供する。ファンブレードアセンブリ104は、ベアリング1045を受けるためのベアリングシート1044を含み、これを介してファンブレードアセンブリ104がシャフト102に回転可能に配置される。
【0031】
ベアリングシート1044の他に、いくつかの実施形態では、ファンブレードアセンブリ104は更に、ファンブレードアセンブリ104が回転したときに空気流を提供する複数のファンブレード1041と、回転子本体1043とを含む。回転子本体1043は、ハブとしても知られており、ベアリングシート1044の周囲に固定的に配置されており、その上に配置された複数のファンブレード1041のために使用される。例えば、いくつかの実施形態では、回転子本体1043とベアリングシート1044とは、例えば、モールドによって一体的に形成され得る。ファンブレード1041は、例えば、金属材料又は任意の適切な材料で作られており、回転子本体1043上に配置される。いくつかの代替実施形態では、ファンブレード1041も、回転子本体1043及びベアリングシート1044と一体に形成されてもよい。
【0032】
従来の解決策と比較して、少なくともファンブレードアセンブリ104がシャフト102から落下するのを防ぐために、固定子アセンブリ103は半径方向内向きの突起1031を含み、ファンブレードアセンブリ104はベアリングシート1044から半径方向外向きに突き出る突起リング1042を含む。突起リング1042は、扇風機100の作動中に、軸方向において半径方向内向きの突起1031によって阻止されるように配置されている。このようにして、扇風機100が動的状態(例えば、扇風機100がマスクに取り付けられて、マスクの着用者と常時動く可能性のある場合)になっていても、ファンブレードアセンブリ104がシャフト102から落下することはない。つまり、扇風機100は、動的状態で安全且つ確実に使用できる。これにより、扇風機100の適用範囲が広くなる。
【0033】
いくつかの実施形態では、図3及び図4に示すように、半径方向内向きの突起1031は、コイルシート1032上に形成され得る。例えば、固定子シート1011を軸方向に延在しているコイルシート1032の一部が、半径方向内向きに、つまり、シャフト102に向かって、固定子シート1011を超えて半径方向内向きに突き出て半径方向内向きの突起1031を一体的に形成する。このアレンジメントにより、半径方向内向きの突起1031及びコイルシート1032の強度が確保される。いくつかの代替実施形態では、半径方向内向きの突起1031を、個別に製造し、コイルシート1032の半径方向外側の表面に取り付けることもできる。例えば、いくつかの代替実施形態では、半径方向内向きの突起1031は、ファンブレードアセンブリ104をシャフト102に所定の位置に設置した後、コイルシート1032の半径方向外側の表面に取り付ける弾性リングでもよい。弾性リングは、固定子シート1011を超えて半径方向に延在して、突起リング1042の障害物を提供できる。この配置により、扇風機100を改良するためのコストを更に削減できる。
【0034】
なお、半径方向内向きの突起1031がコイルシート1032上に形成又は配置されている上記実施形態は、単に説明のためのものであり、本開示の範囲に関する制限を示唆するものではないことを理解されたい。任意の他の適切な配置や構造も可能である。例えば、いくつかの代替実施形態では、半径方向内向きの突起1031も固定子シート1011上に形成又は配置されることがある。このようにして、扇風機100の製造をより柔軟にできる。
【0035】
いくつかの実施形態では、突起リング1042は、図4に示すように、ベアリングシート1044の外側周辺部に一体的に形成され得る。このアレンジメントにより、扇風機100の構造変化を最小限に抑えて、扇風機100の改良のためのコストを削減できる。いくつかの代替実施形態では、突起リング1042もまた、ベアリングシート1044の外側周辺部に取り付けられる弾性リングである。以下、主に、突起リング1042がベアリングシート1044に一体的に形成され、半径方向内向きの突起1031がコイルシート1032に一体的に形成されている実施形態を使用して、本開示の発明的概念を説明する。なお、他の配置も類似しており、以下では個別に説明しないことを理解されたい。
【0036】
更に、突起リング1042がベアリングシート1044に形成され、半径方向内向きの突起1031がコイルシート1032に形成されている状態で、ファンブレードアセンブリ104が回転すると、ファンブレードアセンブリ104によって提供される空気流と固定子シート1011内に形成される負圧とにより、ファンブレードアセンブリ104及び突起リング1042が、半径方向内向きの突起1031から軸方向に離れるようにされ、これにより、扇風機の動作中に、半径方向内向きの突起1031と突起リング1042とが接触しないようにされる。このようにして、扇風機100をスムーズに動作させることができる。
【0037】
シャフト102へのファンブレードアセンブリ104の設置を容易にするために、いくつかの実施形態では、半径方向内向きの突起1031及び/又は突起リング1042が弾性であり得る。つまり、半径方向内向きの突起1031及び/又は突起リング1042は変形可能であり、変形後に元の形に復元可能である。このようにすると、ファンブレードアセンブリ104をシャフト102に設置させるときに、半径方向内向きの突起1031及び/又は突起リング1042が変形して、ファンブレードアセンブリ104が所定の位置に設置されることを可能にする。ファンブレードアセンブリ104が所定の位置に設置されると、半径方向内向きの突起突起1031及び/又は突起リング1042は元の形状に戻り、これにより、突起リング1042は、半径方向内向きの突起1031によって阻止される。
【0038】
いくつかの実施形態では、ファンブレードアセンブリ104の設置を容易にしながら、扇風機100の動作中に突起リング1042が常に半径方向内向きの突起1031によって阻止されることを確実にするために、半径方向内向きの突起1031に複数のサブ突起が含まれている場合があり得る。複数のサブ突起は円周方向に均等に分布し、所定の距離間隔で配置される。
【0039】
サブ突起を使用すると、中断なしで円周方向に延在する半径方向内向きの突起1031のアレンジメントと比較して、半径方向内向きの突起1031を弾性的に変形させるために必要な力を低減でき、これにより、ファンブレードアセンブリ104の設置を更に容易にできる。更に、変形を容易にするために半径方向内向きの突起1031の厚さを損なう必要がなく、これにより、扇風機100の動作中に、突起リング1042が半径方向内向きの突起1031によって常に阻止されることが保証される。
【0040】
いくつかの実施形態では、半径方向内向きの突起1031は、半径方向内向きに先細になり得る。例えば、いくつかの実施形態では、ベース101から離れた半径方向内向きの突起1031の少なくとも表面が、先細になった半径方向内向きの突起1031になるように傾斜している。このようにして、ファンブレードアセンブリ104をシャフト102により簡単に設置できる。
【0041】
いくつかの実施形態では、ベース101に面している突起リング1042の表面が、突起リング1042の軸方向の厚さが半径方向外向きに減少するように傾斜し得る。このようにして、ファンブレードアセンブリ104をシャフト102に設置する際に、突起リング1042及び半径方向内向きの突起1031の傾斜面がガイドとなり、ファンブレードアセンブリ104の設置を更に容易にする。
【0042】
本開示の上記の詳細な実施形態は、本開示の原理を例示又は説明するためのものであり、本開示を制限するものではないことを理解すべきである。したがって、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することのない修正、同等の代替案、及び改良などは、本開示の保護範囲内に含まれるものとする。一方、本開示の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲及び境界又は範囲及び境界の同等物に該当する全てのバリエーション及び修正を対象とすることを目的としている。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】