(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】風力タービンのためのパワートレインアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F03D 80/50 20160101AFI20240628BHJP
F03D 13/20 20160101ALI20240628BHJP
【FI】
F03D80/50
F03D13/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503545
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 DK2022050043
(87)【国際公開番号】W WO2023001348
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514130633
【氏名又は名称】ヴェスタス ウィンド システムズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ラングヴァルト クローグ,ラース
(72)【発明者】
【氏名】マニク,ヘンリック ザール
(72)【発明者】
【氏名】ブロージ,ロルフ ナイボルグ
(72)【発明者】
【氏名】グンドゥズ,ムスタファ
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA43
3H178BB77
3H178BB79
3H178CC25
3H178DD03Z
3H178DD12Z
3H178DD67Z
(57)【要約】
内部容積を画定する外側カバーを含み、該外側カバー内にパワートレインアセンブリが収容される、風力タービンナセルは、共通の回転軸上で整列された入力軸及び出力軸を含むギアボックスと、該ギアボックスの出力軸に接続された発電機と、を備える。該発電機は、内部チャンバ内に、径方向外側位置にあるステータ、及び径方向内側位置にあるロータを取り囲む発電機キャビネットを含み、該ロータは、共通の回転軸を中心に回転可能とされる。該ロータは、ロータ支持フレームに結合された円筒形フィールド構造物と、第1固定アレイによってギアボックスの出力軸に結合されたギアボックス接続フランジと、を有し、発電機キャビネットは、メンテナンス要員が内部チャンバの内部に完全にアクセスすることを可能にする開口部を備え、内部チャンバは、メンテナンス要員が内部チャンバの完全な内部位置から、ギアボックス出力軸をギアボックス接続フランジに結合する少なくとも第1固定アレイにアクセスすることを可能にするように構成される。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部容積を画定する外側カバーを含み、該外側カバー内にパワートレインアセンブリが収容される、風力タービンナセルであって、
共通の回転軸(R)上で整列された入力軸(33)及び出力軸(31)を含むギアボックス(22)と、
前記ギアボックスの前記出力軸に接続された発電機(24)であって、該発電機は、内部チャンバ(97)内に、径方向外側位置にあるステータ(38)及び径方向内側位置にあるロータ(70)を取り囲む発電機キャビネット(81)を含み、該ロータは、前記共通の回転軸を中心に回転可能であり、
ロータ支持フレーム(72)に結合された円筒形フィールド構造物(74)と、
第1固定アレイ(84)によって前記ギアボックスの出力軸に結合されたギアボックス接続フランジ(80)と、を有し、
前記発電機キャビネット(81)は、メンテナンス要員が前記内部チャンバ(97)の内部に完全にアクセスすることを可能にする開口部(121)を備え、前記内部チャンバは、メンテナンス要員が前記内部チャンバ(97)の完全な内部位置から、前記ギアボックスの出力軸(31)をギアボックス接続フランジ(80)に結合する少なくとも第1固定アレイ(84)にアクセスすることを可能にするように構成される、風力タービンナセル。
【請求項2】
前記ロータは、前記ギアボックス接続フランジ(80)を前記ロータ支持フレーム(72)に連結する第2固定アレイ(106)をさらに含み、前記内部チャンバ(97)は、メンテナンス要員が前記内部チャンバ内から前記第2固定アレイ(106)にアクセスできるように構成されている、請求項1に記載の風力タービンナセル。
【請求項3】
前記第1固定アレイ(84)は、関連するピッチ円直径(D1)を有し、前記第2固定アレイ(106)は、関連するピッチ円直径(D3)を有し、前記第1固定アレイ(84)のピッチ円直径(D1)は、前記第2固定アレイ(106)のピッチ円直径(D3)より小さい、請求項2に記載の風力タービンナセル。
【請求項4】
前記ロータ支持フレーム(72)は、タイロッドシステムにテンションを与えるように構成された複数のタイロッドテンショナ(88)を含む前記タイロッドシステム(86)によって、ロータ接続フランジ(82)において前記円筒形フィールド構造物(74)に結合され、前記内部チャンバ(97)は、メンテナンス要員が前記内部チャンバ内から前記タイロッドテンショナにアクセスできるように構成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の風力タービンナセル。
【請求項5】
前記タイロッドシステム(86)は、前記円筒形フィールド構造物(74)に回転バランスを与えるように構成された複数のバランス調整マス(87)を含み、前記内部チャンバ(97)は、メンテナンス要員が前記内部チャンバ内から前記バランス調整マス(87)にアクセスできるように構成されている、請求項4に記載の風力タービンナセル。
【請求項6】
前記ロータ(70)は、駆動リングギア(112)をさらに含み、前記内部チャンバ(97)は、メンテナンス要員が前記内部チャンバ内から前記駆動リングギア(112)にアクセスできるように構成されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の風力タービンナセル。
【請求項7】
前記円筒形フィールド構造物(74)は、2mより大きいロータ内径を規定している、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の風力タービンナセル。
【請求項8】
前記ギアボックスは、少なくとも2段を有する遊星ギアボックスである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の風力タービンナセル。
【請求項9】
前記ギアボックス接続フランジ(80)は、第1の直径(D1)を規定し、前記タイロッドシステム(86)は、直径(D2)を規定し、前記第1の直径(D1)は、前記第2の直径(D2)より小さい、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の風力タービンナセル。
【請求項10】
前記第1の直径(D1)は、0.7mより小さく、前記第2の直径(D2)は、2mより大きい、請求項9に記載の風力タービンナセル。
【請求項11】
前記ロータ支持フレーム(72)の前記ロータ接続フランジ(82)は、回転軸に沿って、前記ロータ支持フレーム(72)の最大外径の少なくとも25%の距離だけ前記ギアボックス接続フランジ(80)から離間している、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の風力タービンナセル。
【請求項12】
前記ロータ支持フレーム(72)の前記ロータ接続フランジ(82)は、回転軸に沿って、前記ギアボックス接続フランジ(80)から0.7mより小さい距離だけ離間している、請求項11に記載の風力タービンナセル。
【請求項13】
前記ロータ支持フレーム(72)の前記ロータ接続フランジ(82)は、回転軸(R)に沿って、前記ロータ接続フランジの内径の20%から60%、好ましくは20%から40%の距離だけ前記ギアボックス接続フランジ(80)から離間している、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の風力タービンナセル。
【請求項14】
前記ロータ接続フランジ(82)及び前記ギアボックス接続フランジ(80)は、互いに平行な平面内に延在する、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の風力タービンナセル。
【請求項15】
前記ロータ支持フレーム(72)は、前記ロータ接続フランジ(82)と前記ギアボックス接続フランジ(80)との間に延在する遷移セクション(90)をさらに含む、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の風力タービンナセル。
【請求項16】
前記遷移セクション(90)は、30度より小さい円錐角(B)を画定する略切頭円錐形の部分(92)を含む、請求項15に記載の風力タービンナセル。
【請求項17】
前記ロータ支持フレーム(72)は、複数のアクセス開口(100)を含む、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の風力タービンナセル。
【請求項18】
前記アクセス開口(100)は、少なくとも100cm
2、好ましくは少なくとも200cm
2の開口を画定する、請求項17に記載の風力タービンナセル。
【請求項19】
前記アクセス開口(100)は、前記遷移セクション(90)の軸方向に面した端面部分(94)に画定される、請求項17又は18に記載の風力タービンナセル。
【請求項20】
前記アクセス開口(100)は、発電機特徴である、i)迷流電流保護システム、ii)前記ギアボックス出力軸に関連する一つ以上の回転センサ構成要素、iii)加速度計システム、iv)温度センサ、及びv)ピッチチューブシール構成要素、の内の少なくとも一つへのアクセスを提供する、請求項17乃至19のいずれか1項に記載の風力タービンナセル。
【請求項21】
前記発電機キャビネット(81)の開口部(121)を覆うクロージャ(120)をさらに含み、前記クロージャは、メンテナンス要員が前記開口部(121)を介して前記内部チャンバ(97)の内部全体にアクセスするために開くことができる、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の風力タービンナセル。
【請求項22】
タワーと、前記タワーの頂部に支持された請求項1乃至21のいずれか1項に記載の風力タービンナセルと、を含む風力タービン。
【請求項23】
風力タービンのナセル内で風力タービンのパワートレインを保守する方法であって、
前記パワートレインは、共通の回転軸(R)上で整列された入力軸(33)及び出力軸(31)を含むギアボックス(22)と、前記ギアボックスの前記出力軸に接続された発電機(24)とを含み、該発電機は、発電機キャビネット内へのメンテナンス要員のアクセスを可能にする内部チャンバ(97)を画定する前記発電機キャビネット(81)であって、半径方向外側位置でステータ(38)を収容し、半径方向内側位置でロータ(70)を収容する発電機キャビネット(81)を含み、前記ロータは共通の回転軸を中心に回転可能であり、前記ロータは、ロータ支持フレーム(72)に結合された円筒形界フィールド構造物(74)と、第1固定アレイ(84)によって前記ギアボックスの前記出力軸に結合するギアボックス接続フランジ(80)とを含み、
前記方法は、
発電機キャビネット(81)によって画定された開口部(121)を介して前記発電機(24)の前記内部チャンバ(97)にアクセスすることと、
前記内部チャンバ(97)の完全に内側の位置から保守作業を行うことと、を含む方法。
【請求項24】
前記保守する方法は、i)前記ギアボックス接続フランジ(80)を前記ロータ支持フレーム(72)に結合する第2固定アレイ(106)、ii)ロータ支持フレーム(70)を円筒形フィールド構造物(74)に結合するタイロッドシステム(86)、iii)円筒形フィールド構造物(74)に回転バランスを与えるように構成された複数のバランス調整マス(87)、及び駆動リングギア(112)の少なくとも1つを、前記内部チャンバの完全に内側の位置からメンテナンス要員によって保守することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記発電機(24)の前記内部チャンバにアクセスすることは、前記発電機キャビネット(81)の開口部(121)を覆うクロージャ(120)を開放することにより、前記内部チャンバ(97)にアクセスするための前記開口部(121)を露出させること、を含む、請求項23又は24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に風力タービンのためのパワートレインアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンは、多数のロータブレードを有する大きなロータを用いて、風からの運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。典型的な水平軸風車(HAWT)は、塔と、塔の上のナセルと、ナセルに取り付けられたロータハブと、ロータハブに結合された複数の風力タービンのロータブレードとを含む。風の方向に応じて、ナセルを回転させるヨーシステムとブレードを回転させるピッチシステムによって、ナセルとロータブレードは、回転され、最適な方向に向かわされる。
【0003】
ナセルは、例えば、メインロータシャフト、ギアボックス及び発電機を含む風力タービンの多くの機能的構成要素と、ロータにおける機械エネルギーを電力網に供給するための電気エネルギーに変換する変換装置とを収容する。ギアボックスは、低速メインシャフトの回転速度を上げ、ギアボックス出力シャフトを駆動する。ギアボックス出力シャフトは、次に、ギアボックス出力シャフトの回転を電気に変換する発電機を駆動する。発電機によって生成された電気は、適切な消費者、例えば、電力網配電システムに供給される前に、必要に応じて変換され得る。ギアボックスを使用しない、いわゆる「ダイレクトドライブ」風力タービンも知られている。ダイレクトドライブ風力タービンでは、発電機はメインロータシャフトによって直接駆動される。
【0004】
通常、風力タービンの発電機は、内部ロータアセンブリを取り囲む外部ステータアセンブリからなるIPM(内部永久磁石)電気機械である。IPM内部ロータアセンブリは、典型的には、中心軸に支持された複数の環状永久磁石パッケージを含むリング状構造から構成される。ギアボックス出力軸は、ロータアセンブリの中心軸と接触する。
【発明の概要】
【発明が解決し要素する課題】
【0005】
WO2020/143888A1は、風力タービンの発電機として使用するための特定のタイプのIPM電気機械を示している。この例では、リング状構造は、その一端が環状支持フレームによって支持されている。ロータアセンブリに中心ハブを持たないことは、コスト及び重量の低減、冷却空気流の改善など、多くの重要な利点をもたらす。発電機の中心に供給される冷却空気は、軸方向及び半径方向に自由に流れ、ロータ及びそのすぐ近くに位置する発電機部品を効果的に冷却することができる。しかしながら、例えば、アセンブリの保守性を高めるために、この設計をさらに改良することが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、上述した問題の1つ又は複数に対する解決策を提供することである。
【0007】
本発明の一態様によれば、内部容積を画定する外側カバーを含み、該外側カバー内にパワートレインアセンブリが収容される、風力タービンナセルであって、共通の回転軸上で整列された入力軸及び出力軸を含むギアボックスと、該ギアボックスの出力軸に接続された発電機であって、該発電機は、内部チャンバ内に、径方向外側位置にあるステータ及び径方向内側位置にあるロータを取り囲む発電機キャビネットを含み、該ロータは、共通の回転軸を中心に回転可能である、風力タービンナセルを提供する。該ロータは、ロータ支持フレームに結合された円筒形フィールド構造物と、第1固定アレイによってギアボックスの出力軸に結合されたギアボックス接続フランジと、を有し、ジェネレータキャビネットは、メンテナンス要員が内部チャンバの内部に完全にアクセスすることを可能にする開口部を備え、該内部チャンバは、メンテナンス要員が該内部チャンバの完全な内部位置から、ギアボックス出力軸をギアボックス接続フランジに結合する少なくとも第1固定アレイにアクセスすることを可能にするように構成される。
【0008】
本発明の利点は、パワートレインアセンブリが、特に保守プロセスを容易にするように構成された発電機に結合されたギアボックスを含むことである。通常、発電機に結合されたギアボックスを含むパワートレイン・システムは、すべての保守を発電機の外部のアクセスポイントから実行する必要がある。しかしながら、本発明のパワートレインアセンブリでは、発電機キャビネットは、保守技術者が発電機キャビネットの完全に内側の位置から発電機システムの様々な構成要素にアクセスするために完全に登り入ることができる内部チャンバを画定する。これは、保守担当者の全身が内部チャンバ内に位置するときに完全なアクセスが可能であるため、発電機の外部から構成要素にアクセスする必要がないことを意味する。これは、公知のシステムでは不可能である。
【0009】
一実施形態では、ギアボックスは、少なくとも2段の遊星ギアボックスである。これは、ギアボックスと発電機とがインライン位置に配置される特にスペース効率の高いシステムを提供する。
【0010】
第1固定アレイに加えて、内部チャンバは、ギアボックス接続フランジをロータ支持フレームに結合する第2固定アレイ、タイロッドシステム、ロータのバランスマス、駆動リングギア、等の他の構成要素に、メンテナンス要員が完全に内側からアクセスできるように構成することができる。
【0011】
有用に、円筒形フィールド構造によって画定されるロータ内径は、メンテナンス要員のためのスペースを提供するために、2mより大きく、又は2.2mよりも大きくすることさえできる。
【0012】
発電機キャビネット及びロータは、メンテナンス要員のための内部スペースを最大化するように有利に構成することができる。例えば、ロータ支持フレームのロータ接続フランジは、回転軸に沿って、ロータ支持フレームの最大外径の少なくとも25%である距離だけ、ギアボックス接続フランジから離間することができる。ギアボックス接続フランジは、第1の直径を画定することができ、ここで、タイロッドシステムは、第2の直径を画定することができ、第1の直径は、第2の直径よりも小さく、第1の直径は、0.7mよりも小さく、第2の直径は、2mよりも大きくすることができ、ロータ支持フレームのロータ接続フランジは、回転軸に沿って、ロータ接続フランジの内径の20%から60%、好ましくは、20%から40%の距離だけ、ギアボックス接続フランジから離間される。
【0013】
一実施形態では、ロータ支持フレームは、アクセス開口を画定することができる。これらの開口は、ロータ支持フレームの外側の構成要素にアクセスするために特に有用である。例えば、アクセス開口は、発電機構成要素の、i)迷走電流保護システム、ii)ギアボックス出力シャフトに関連する1つ以上の回転センサ構成要素、iii)加速度計システム、iv)温度センサ、及びv)ピッチチューブシール構成要素の少なくとも1つへのアクセスを提供することができる。好ましい実施形態では、開口を介したアクセスは、前述の構成要素のうちの少なくとも2つ、及び前述の構成要素のうちの少なくとも3つに達成することができる。
【0014】
本発明は、上述のタワー及びナセルを含む風力タービンを包含する。
【0015】
本発明はまた、風力タービンのナセル内の風力タービンパワートレインを保守する方法にも及び、該パワートレインは、共通の回転軸上で整列された入力軸及び出力軸を含むギアボックスと、該ギアボックスの該出力軸に接続された発電機とを含み、該発電機は、発電機キャビネット内へのメンテナンス要員のアクセスを可能にする内部チャンバを画定する発電機キャビネットであって、半径方向外側位置でステータを収容し、半径方向内側位置でロータを収容する発電機キャビネットを含み、ロータは、共通の回転軸を中心に回転可能であり、該ロータは、ロータ支持フレームに結合された円筒形界フィールド構造物と、第1固定アレイによってギアボックスの出力軸に結合するギアボックス接続フランジ(80)とを含み、内部チャンバは、発電機キャビネット内へのメンテナンス要員のアクセスを可能にする。該方法は、発電機キャビネットによって画定された開口部を介して発電機の内部チャンバにアクセスすることと、内部チャンバの完全に内側の位置から保守作業を行うことと、を含む。
【0016】
特に有益な態様では、保守作業は、i)ギアボックス接続フランジをロータ支持フレームに連結する第2固定アレイ、ii)ロータ支持フレームを円筒形フィールド構造物に連結するタイロッドシステム、iii)円筒形フィールド構造物に回転バランスを与えるように構成された複数のバランス調整マス、及びiv)駆動リングギアの少なくとも1つを、内部チャンバの完全に内側の位置からメンテナンス要員によって保守することを含むことができる。
【0017】
発電機キャビネットは、発電機保守キャビネットによって形成された開口部を内部チャンバ内に選択的に閉鎖するように構成された1つ以上の閉鎖要素を備えることができる。したがって、発電機キャビネットは、サービスエンジニアが必要なときにアクセスすることができるサービス目的のための通常は閉鎖された環境をもたらす。アクセスが安全な条件下でのみ可能であることを確実にするために、適切なアクセス制御システムを閉鎖装置に関連付けることができる。したがって、閉鎖された環境は、サービスエリアを汚染からより容易に遠ざけることができることを意味する。
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を例示のみとして説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】既知の風力タービン構成を示す正面図概略図である。
【
図2】
図1の風力タービンのナセル内に収容され得る例示的なパワートレイン構成要素の図である。
【
図3】軸方向に間隔を置いた位置で示される、ギアボックスに結合された発電機を含む既知の構成の切断図である。
【
図4】
図3の既知の発電機の発電機ロータアセンブリを非駆動端から見た斜視図である。
【
図5】
図4に示される発電機ロータアセンブリを駆動端から見た斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る発電機ロータアセンブリの縦断面図であり、発電機サービスキャビネット内に配置された部分概略図である。発電機ロータアセンブリは、ロータ支持ハブ又はフレームに嵌合され、前の図に示すように発電機内で使用することができる円筒形フィールド構造物を含む。
【
図7】発電機サービスキャビネットを分離した
図6の発電機ロータアセンブリの斜視図である。
【
図8】
図6の発電機ロータアセンブリの別の正面斜視図であるが、円筒形フィールド構造物は省略されている。
【
図9】非駆動端から見た
図7の発電機ロータアセンブリの斜視図である。
【
図10】それぞれの発電機キャビネット内の
図6から
図9の発電機ロータアセンブリの端面図であり、内部構成部品にアクセスするために支持フレーム内に立っている保守技術者を示している。
【
図11】
図10と同様の端面図を示しているが、
図11aはアクセスドアが閉じた状態を示し、
図11bは開いた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的な実施形態について説明するが、特許請求の範囲に規定される本発明の概念を完全に理解するために、多数の特徴を詳細に説明する。しかしながら、本発明を具体的な詳細なしに実施することができ、場合によっては、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知の方法、技術、及び構造が詳細に説明されていないことは、当業者には明らかであろう。
【0021】
本発明は、一般に、発電機及びそれが接続される関連ギアボックスの保守性に関連するいくつかの利点を有する発電機構成に関する。特に、発電機構成は、発電機の一部又は全部を分解することなく様々な種類の調整を行うことを可能にする、風力タービンナセルの制限内において重要な利点である発電機内部への改良されたアクセスをメンテナンス技術者に提供する。
【0022】
本発明の実施形態を適切な状況に置くために、最初に、本発明の実施形態による発電機ロータアセンブリを実装することができる典型的な水平軸風力タービン(HAWT)を示す
図1を参照する。この特定の画像は陸上の風力タービンを示しているが、同様の特徴が洋上の風力タービンにも見られることが理解されよう。さらに、風力タービンは「水平軸」と呼ばれるが、実際の目的では、強風の際にロータブレードと風力タービンタワーとの間の接触を防ぐために、軸は通常わずかに傾斜していることが当業者には理解されよう。
【0023】
風力タービン1は、タワー2と、ヨーシステムによってタワー2の頂部に回転可能に結合されたナセル4と、ナセル4に取り付けられたロータハブ8と、ロータハブ8に結合された複数の風力タービンロータブレード10とを含む。ナセル4とロータブレード10は、ヨーシステムによって回転され、風の方向に向けられる。
【0024】
ナセル4は、発電機、ギアボックス、及びロータブレーキアセンブリを含む風力タービンの多くの機能的構成要素と、風の機械的エネルギーを電力網に供給するための電気エネルギーに変換する変換装置とを収容する。
図2は、ナセル4内のレイアウトの一例を示しており、そのレイアウトは、メインベアリングハウジング20、ギアボックス22、及び発電機24を通って延びるメインシャフト26を含む。メインシャフト26は、ロータ8に接続され、ロータ8によって駆動され、ギアボックス22に入力駆動を提供する。集合的に、これらの構成要素は、風力タービンのパワートレインとみなすことができる。ギアボックス22は、内部ギア(図示せず)を介して低速メインシャフトの回転速度を上げ、ギアボックス出力シャフトを駆動する。ギアボックス出力シャフトは、ギアボックス出力シャフトの回転を電気に変換する発電機24を駆動する。発電機24によって生成された電気は、適切な消費者、例えば電力網配電システムに供給される前に、必要に応じて他の構成要素(図示せず)によって変換されてもよい。
【0025】
ギアボックス22と発電機24とは、一体化されたユニットとして互いに結合されてもよい。
図3は、発電機24をより詳細に示している。最初にギアボックス22を参照すると、ギアボックスハウジングは、図示された実施形態で使用される特定のタイプのギアボックスである遊星ギアボックスのために、形状が概ね円筒形である。当業者であれば知っているように、遊星ギアボックスは、中央の太陽ギアの周りに配置された一連の遊星ギアを備え、これらの遊星ギアは、全体として、周囲を取り囲むリングギア内に配置される。ギアボックスの一般的な構成は、入力軸及び出力軸が共通の軸上に配置されるようになっている。リングギア、遊星ギア、及び太陽ギア間の歯数の比が、ギアボックスのギア比を決定する。明確にするために、ギアボックスの詳細は、本発明の主要な事項ではないので、ここではこれ以上詳細に説明しない。他のギアボックス構成を使用することもできるが、現在のところ、遊星ギアボックスは、風力タービンナセルの制限に適合する洗練された解決策を提供すると考えられている。このような遊星ギアボックスは、複数の遊星ギア段、例えば、1つ、2つ又は3つの遊星ギア段を含むことができる。
【0026】
さらに
図3の切断図を参照するが、
図4及び
図5も参照すると、発電機24は、内部ロータアセンブリ32を囲む外部ステータアセンブリ30を有するIPM(内部永久磁石)電気機械である。ステータアセンブリ30は、ステータ巻線38、ステータコア40、及びステータ巻線38及びステータコア40を囲み支持するステータフレーム(図示せず)を含む。しかしながら、本発明は特定のタイプのステータに限定されないことに留意されたい。特に、
図3に示す発電機24の内部構成は、ここでは例として提供され、本発明の適切な文脈を与えるために提供される。
図3から
図5の発電機ロータ32の特定の構成は、本発明の一部を構成するものではなく、
図6から
図11を参照して後述するように、本発明の一実施形態による発電機ロータの構成をよりよく理解するために提供される。
【0027】
ギアボックス22は、発電機24のロータアセンブリ32に接続する出力軸31を介して発電機24に結合される。したがって、ギアボックスの出力軸31の長軸は、発電機24の回転軸を規定する。特に、ギアボックスは、ギアボックス出力軸31と同軸に整列された入力軸33も含む。発電機ロータアセンブリ32は、発電機22内のそのままの状態を
図3の断面図において示されているが、
図4及び
図5では分離して示されている。
【0028】
発電機ロータアセンブリ32は、駆動端34及び非駆動端36を有する。駆動端34は、ギアボックス22の方を向き、非駆動端36は、ギアボックス22から離れる方を向いている。発電機ロータアセンブリ32の非駆動端36は、
図4に示され、発電機ロータアセンブリ32の駆動端34は、
図5に示されている。
【0029】
発電機ロータアセンブリ32は、中空の中央領域を画定し、回転軸の周りを回転するように配置された円筒リング構造物40を含む。円筒リング構造物40は、永久磁石パッケージを収容する複数の中実円形ロータバー42を含む。したがって、リング構造物40は、使用時に発電機の回転磁界を生成する役割を果たす。ここでは、バー42は、等しい円周及び厚さを有するものとして示されているが、これは変化し得る。バー42は、回転軸の周りに同軸に配置され、組み立てられたときに、バー42の配置は、中央中空領域を有する円筒構造を画定するようになっている。バー42は、バー42の各対の間にギャップが画定されるように、等しい距離だけ離れて配置される。これらのギャップにより、発電機の中心に供給される空気が、ロータ構造物を通って流れ、発電機ロータアセンブリ及びロータアセンブリ32の半径方向外側に位置する部分を含む発電機の他の部品を冷却することを可能とする。この空気流は、ロータアセンブリ32の構造及び支持を提供するために中央ハブが必要とされないという事実によってさらに強化される。
【0030】
円筒リング構造物40は、ロータ支持フレーム50に接続される。ロータ支持フレーム50は、
図4に最もよく示されている半径方向外側の第1接続フランジ52と、
図5に最もよく示されている半径方向内側の第2接続フランジ54とを含む。第1接続フランジ52は、バー42をロータ支持フレーム50に接続する働きをするので、「ロータ接続フランジ」とみなすことができ、第2接続フランジ54は、ロータ支持フレーム50をギアボックス出力軸31に結合する働きをするので、「ギアボックス接続フランジ」とみなすことができる。
図5では、支持フレーム50をギアボックス出力軸31に固定するために使用される一組の接続ボルト56が、第2接続フランジ54から垂直に延びているのが見える。
【0031】
支持フレーム50及び円筒リング構造物40は、複数のタイロッド58(
図4及び
図5にはそのうちの2つのみが示されている)によって互いに接続されており、これらのタイロッドは、バー42のそれぞれの穴を通って軸方向に延び、支持フレーム50のロータ接続フランジ52を介して固定されている。ボルトのような適切な機械的固定具が、各タイロッド58の端部に設けられており、締められて、バー42のパッケージを圧縮状態におき、これにより円筒リング構造物40を一体ユニットとして支持フレーム50にしっかりと固定する。
【0032】
ロータ接続フランジ52及びギアボックス接続フランジ54は、軸方向に面した表面であり、ロータ軸に沿って互いに平行であるが間隔を置いたそれぞれの平面内に延びていることに留意されたい。この点に関して、ギアボックス接続フランジ54は、円筒リング構造物によって規定される中空の内部領域内に幾分延びている。さらに、ギアボックス接続フランジ54の円周は、ロータ接続フランジ52よりも小さい。
【0033】
支持フレーム50は、ロータ接続フランジ52とギアボックス接続フランジ54との間に延びる遷移セクション69をさらに含む。遷移セクション60は、略切頭円錐形であり、ロータ軸に対して急角度で延びている。ここに示すように、遷移セクション60は、ロータ軸に対して約70度から80度の角度を画定する。換言すれば、遷移セクション60は、約140度から160度の円錐角を有する。
【0034】
発電機が組み立てられると、発電機ロータアセンブリ32は、外部ステータ30によって取り囲まれる。次に、ロータアセンブリ32とステータ30の両方が、
図3によって最もよく理解される発電機ハウジング又はキャビネット68によって取り囲まれる。
【0035】
上記のような発電機ロータアセンブリ32の既知の構成に関して、この構成は、発電機の設計及び効率に関して様々な利点を提供するが、課題も提示することを理解されたい。例えば、発電機の内部へのアクセスが制限されているため、保守エンジニアが発電機の内部にアクセスして内部コンポーネントをチェックし、必要に応じて修復措置を講じることが問題となる。
【0036】
本発明の実施形態は、これらの問題に対処する発電機ロータアセンブリの改善された構成を含む。以下、残りの図を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0037】
図示された実施形態は、上述した発電機ロータアセンブリ32の既知の構成と機能的に等価である発電機ロータアセンブリ70を提供する。しかしながら、本発明の実施形態は、本説明においてさらに詳細に説明するように、いくつかの有利な態様を与える。
【0038】
図6は、発電機ハウジング又は「キャビネット」81の周囲の構成要素に関して発電機ロータアセンブリ70を部分概略図で示しているが、
図7から
図9は、発電機キャビネット81から分離された発電機ロータアセンブリ70を示している。この時点で、図示された実施形態の発電機ロータアセンブリ70は、先に説明したものと多くの類似点を共有しているので、ここでは相違点のみに焦点を当てることに留意されたい。
【0039】
大まかに言えば、発電機ロータアセンブリ70は、使用中に回転磁界を生成するために磁石キャリアとして作用する円筒形フィールド構造物74を支持するロータ支持フレーム72を含む。円筒形フィールド構造物74の構成は、
図3から
図5を参照して説明したものと同等であるため、このアセンブリに関するさらなる詳細な説明は省略される。
【0040】
発電機ロータアセンブリ70は、駆動端76と非駆動端78とを含む。駆動端76は、ギアボックス22の出力駆動軸77に接続可能であり、非駆動端78は、ギアボックス22から遠位にある。実質的に、発電機ロータアセンブリ70は、非駆動端がベアリングによって回転可能に支持されていないため、片持ち式の方法でギアボックス出力軸77から回転可能に吊り下げられていると考えることができる。
【0041】
本質的に、ロータ支持フレーム72は、ギアボックス出力軸77を円筒形フィールド構造物74に連結する手段を提供する。この目的のために、ロータ支持フレーム72は、ギアボックス接続フランジ80及びロータ接続フランジ82を含む。
【0042】
ギアボックス接続フランジ80及びロータ接続フランジ82は、両方とも、発電機ロータアセンブリ70の回転軸Rに垂直に配向され、その軸に沿って互いに間隔を置いて配置された軸方向に面する表面である。したがって、両方のフランジ80,82は、図示の実施形態では、回転軸Rに垂直な平面内に延在する。
【0043】
ギアボックス接続フランジ80は、環状の固定スロット構成84を備え、これを介して、ロータ支持フレーム70は、一組の適切なボルト(不図示)によってギアボックス出力軸77に接続可能である。したがって、固定スロット構成84は、
図10に「D1」として示される第1のピッチ円直径を規定する。
【0044】
ロータ接続フランジ82は、ギアボックス接続フランジ80と同軸であり、より大きな直径を有する。ロータ接続フランジ82は、前の実施形態のように、円筒形フィールド構造物74の個々のバーを通って延びる複数の円周方向に間隔を置いて配置されたタイロッド88を備えるタイロッドシステム86によって、円筒形フィールド構造物74に固定される。したがって、タイロッド88の円形配列は、
図6にD2として示される第2のピッチ円直径を規定する。図示されるように、第1のピッチ円直径は、第2のピッチ円直径D2よりも小さい。図示される実施形態では、第1のピッチ円直径D1は、第2のピッチ円直径D2の約30%である。
【0045】
好的には、タイロッドシステム86は、円筒形フィールド構造物74の回転バランスを調整するためのバランス調整手段を含む。バランス調整手段は、ロータ接続フランジ82と六角ナットのようなタイロッド締結具89との間に捕捉されるシム又はワッシャを追加することによって達成することができる。タイロッド88の緊張(tension)は、円筒形フィールド構造物74に圧縮力を加えるそれぞれの締結具89を適切に回転させることによって達成することができ、一方、回転バランスの調整は、最適な回転バランスが得られるまで、タイロッド88のアレイの周りにバランス調整シムを追加又は除去することによって達成することができる。
【0046】
遷移セクション90は、ギアボックス接続フランジ80とロータ接続フランジ82との間に延びる。遷移セクション90の機能は、ロータ支持フレーム72に剛性を与える一方で、ロータ接続フランジ82とギアボックス接続フランジ80とを間隔を置いた関係に維持し、構造物を通る良好な空気流を促進することである。
【0047】
図から容易に理解できるように、遷移セクション90は、二つの主要部分、すなわち、第1の切頭円錐形部分92と第2の軸方向に面する表面部分94とを含む。切頭円錐形部分92は、ロータ接続フランジ82に近接しており、軸方向に面する表面部分94は、ギアボックス接続フランジ80に近接している。
【0048】
切頭円錐形部分92は、回転軸に対して浅い角度で配向されているため、比較的平坦な複数の領域96(明確にするために、そのすべてが図に表示されているわけではない)を含む。各領域96は、回転軸に対して比較的浅い角度で軸方向に延びているため、それらは、ロータ支持フレーム72内でメンテナンス技術者を支持するのに適した領域を提供する。したがって、各領域96は、ステッピング領域とみなすことができる。図示の実施形態では、全部で9つのステッピング領域96がある。
【0049】
各ステッピング領域96は、補強リブ又はウェブ98によって隣接する領域と区別される。補強リブ98は、遷移セクションの剛性に寄与する。ここで、ステッピング領域96は、比較的薄い板状の部分として具体化される。
【0050】
ここで、図示された実施形態は複数のステッピング領域96を含むが、これは必須ではなく、その代わりに、遷移セクション90は、遷移セクション90の周りに実質的に途切れることなく円周方向に延びる曲面を画定する単一の連続したステッピング領域のみを含む、任意の数のステッピング領域を画定してもよいことを理解されたい。
【0051】
図11に見られるように、ステッピング領域96は、ロータ支持フレーム72、したがって発電機キャビネット81によっても囲まれた内部チャンバ97内でメンテナンス技術者を支持するのに十分に平坦な有利に安定した表面又はプラットフォームを提供する。この態様は、ロータ支持フレームの様々な他の態様、特にその内部寸法によっても利益を受ける。例えば、ロータ接続フランジの内径は、1.8mよりも大きいが、2.0mよりも大きくすることができ、あるいは2.2mよりも大きくすることさえできる。これは、ロータ支持フレーム72内でメンテナンス技術者に適切なヘッドルームを提供する。この態様は、ロータアセンブリ内の空間の大きさを制限する回転軸に対してはるかに急な角度を規定する、
図3から
図5の遷移セクション60を観察することによってさらに理解することができる。さらに、遷移セクション60によって提供される急な表面は、メンテナンス技術者が快適に又は安全に立つことができない。
【0052】
ロータ支持フレーム72のさらに有益な態様はロータ接続フランジ82とギアボックス接続フランジ80との間の軸方向寸法である。図示の実施形態では、「A」で示される寸法(
図6参照)は、ロータ接続フランジ82とギアボックス接続フランジ80との間の回転軸に沿った長さを示す。寸法Aは、好ましくは0.5mより大きく、ロータ支持フレーム72の内部チャンバ97に有用な「深さ」を与え、メンテナンス要員を完全に内部に収容する。さらに好ましくは、寸法Aは0.6mより大きい。
【0053】
ロータ支持フレーム72の内部チャンバ97の深さは、ステッピング領域96の浅い角度によっても恩恵を受ける。
図6に見られるように、ステッピング領域96は、回転軸に平行な線に対して30度より小さい角度を画定する。この角度は、
図6において「B」として示される。別の言い方をすれば、遷移セクション90の一部は、60度より小さい円錐角度を画定する。切頭円錐形部分がロータ軸Rと画定する浅い角度は、円筒形フィールド構造物74の内部チャンバ97の深さに寄与する。
【0054】
上述したように、ロータ支持フレーム70の内部容積97の内部寸法、その内径及び深さ「A」の両方により、メンテナンス技術者は、その内部に登って、その様々な構成要素及び発電機に関連する他の構成要素にアクセスすることができる。これは、発電機のメンテナンス性がかなり向上することを意味するので、重要な利点である。
【0055】
ステッピング領域96を画定するだけでなく、遷移セクション90は、軸方向に面する表面部分94をさらに含む。軸方向に面する表面部分94は、遷移セクション90の外側表面が約90度回転して、回転軸Rに対して実質的に垂直な平坦な端面を提供するように、遷移セクション90の駆動端76を画定する。有利なことに、補強リブ98は、回転軸と整列した方向にステッピング領域96に沿って延び、ステッピング領域96と軸方向に面する表面部分94との間に広がる。
【0056】
軸方向に面する表面部分94は、軸方向に面する表面部分94の深さを貫通する一連のアクセス開口100のアレイを備えている。
【0057】
アクセス開口100は、この実施形態では円形配列で配置され、角度的に等間隔である。図示された実施形態では、全部で九つのアクセス開口100があり、ステッピング領域96ごとに一つの構成で配置されている。アクセス開口100の円形配列は、ステッピング領域96の半径方向内側にあり、ギアボックス接続フランジ80の半径方向外側にある。この意味で、ギアボックス接続フランジ80とステッピング領域96との間に半径方向に配置されていると考えることができる。
【0058】
アクセス開口100は、ロータ支持フレーム72を通ってのアクセスを可能にし、メンテナンス技術者が、例えば、ベアリングセンサー(温度センサ及び加速度計)やロータリーエンコーダのようなギアボックス出力シャフトの構成要素を監視するような一連の作業を行うことができるようにする。この目的のために、アクセス開口は、メンテナンス技術者が開口の一つを介して手を伸ばし、必要なだけ到達することができるような適切な断面積であるべきである。この目的のために、アクセス開口の各々は、少なくとも100cm2の開口面積を提供すべきであることが想定される。必要に応じて、より大きなサイズは、少なくとも200cm2のような利点を有し、これは、より大きな到達用通過面積を提供し、開口を通しての視認性を改善する。
【0059】
ロータ支持フレーム70は、ギアボックス出力シャフトと円筒形フィールド構造物74との間を接続し、駆動を伝達する単一の構成要素として機能するが、図示された実施形態では、好的に、ロータ支持フレーム72は、ここではそれぞれ102及び104と表示された少なくとも第1及び第2の構成要素を含む。必要に応じて、該構成要素は、例えば、適切な等級の鋼から鋳造されてもよい。第1の構成要素102は、第2の構成要素の半径方向内側にあり、両構成要素は共に円筒形フィールド構造物74のハブとして機能する。したがって、第1の構成要素102は、「内側ハブ構成要素」102とみなすことができ、したがって、第2の構成要素104は、「外側ハブ構成要素」104とみなすことができる。
【0060】
図から分かるように、ギアボックス接続フランジ80は、内側ハブ構成要素102の一部であり、遷移セクション90及びロータ接続フランジ82を画定する外側ハブ構成要素104とは別個である。二つの構成要素102,104は、アクセス開口100の半径方向外側にあるボルトの円形アレイ106で接続される。注目すべきことに、円形アレイ106は、
図6にD3と記されたピッチ円直径を有する。円形アレイ106のピッチ円直径D3は、固定アレイ84のピッチ円直径D1よりも大きい。このようにして、少なくとも二つの構成要素からロータ支持フレーム72を製造することは、製造上の利点を提供する。さらに、この構成は、発電機に関連する構成要素への便利なアクセスを可能にする。例えば、ロータアセンブリ70が回転及び半径方向の動きに対してロックされると、内側ハブ構成要素102をロータ支持フレーム72から分解することが可能である。したがって、内側ハブ構成要素102は、ロータ支持フレーム72をギアボックス出力軸77に接続するボルトの円形アレイ84を取り外すことによって、ギアボックスから取り外すことができ、これにより、発電機の完全な分解を必要とせずに、ギアボックス22に関連するベアリングカセット(不図示)へのアクセス、メンテナンス、及び取り外し/交換を可能にする。
【0061】
ロータ支持フレーム72は、延長部110をさらに備える。延長部110は、ロータ接続フランジ82の非駆動側の外縁から延び、円筒形である。延長部110の軸方向寸法は、円筒形フィールド構造物74の軸方向長さの約半分である。図示の実施形態では、延長部110は、ロータ接続フランジ82の外径とほぼ等しい直径を有する薄壁円筒形とされる。
【0062】
延長部110の非駆動端はまた、一つ以上の駆動モータ114と係合するリングギア112を支持する。ここでは、リングギア112は、ボルトリング111で延長部110にボルト止めされて示されている。リングギア112及び駆動モータ114は、メンテナンス中に発電機ロータアセンブリ70の回転方向を制御することができる手段を提供する。例えば、メンテナンス技術者は、発電機を特定の位置に回転させる必要がある発電機の特定の部分にアクセスする必要があるかもしれない。リングギア112及び駆動モータ114は、発電機ロータアセンブリ70を介してギアボックス及びメインシャフトを回転させる手段も提供する。したがってリングギア110の軸方向寸法は、リングギア112の必要な位置に基づいて少なくとも部分的に決定されると考えることができる。図示の実施形態では、延長部分110は又、複数の空気流開口部115を画定する。空気流開口部115は、原理的には任意の形状をとることができるが、ここに示すように、延長部分110の周りに円周方向に分布し、空気が外側方向に半径方向に流れることを可能にする複数の開口部115がある。空気流開口部115は、完全に開放されるように構成することができ、又は、破片又は緩んだ部品が開口部115を通過できないことを確実にするために、グリルのような有孔カバーを設けることができる。延長部分110に画定された空気流開口部115に加えて、ロータ支持フレーム72は、第1の空気流開口部115と比較して半径方向内側の位置に配置された第2の空気流開口部116(
図8及び
図9に最もよく示されている)も備えている。第2の空気流開口部116は、遷移セクション90の周りに円周方向に分布し、この実施形態では等角間隔で配置されている。より具体的には、各開口部116は、遷移セクション90がロータ接続フランジ82内に鋭く曲がって画定されるエルボに配置されている。各開口部116は又、遷移セクション90に沿って軸方向にそれぞれの開口部116から短い距離だけ延びる関連ガイドチャネル117を備えている。ガイドチャネル117は、遷移セクション90の表面に凹部又はノッチとして形成されている。第2の空気流開口部116の数は重要ではないが、図示の実施形態では、各ステッピング領域96に対して二つの開口部116がある。第2の空気流開口部116は、アクセス開口部100と比較して半径方向外側位置にあることに留意されたい。両組の開口部100,116は、空気流の利点を提供する。しかしながら、両開口部100,116のセットを離間した半径方向位置に設けることにより、ロータ支持フレームを通過する空気のより均一な流れが促進される。
【0063】
延長部分110は又、ボルトリング111に固定され、したがってリングギア112に対して半径方向外側位置にあるブレーキディスク118を支持する。ブレーキディスク118は、発電機サービスキャビネット81に取り付けられ、
図10に最もよく示されている一組のブレーキアクチュエータ119によって作用される。
【0064】
上記の議論から、図示された実施形態における発電機ロータアセンブリの様々な態様の構成は、発電機の様々な構成要素、特に発電機ロータアセンブリの保守性を高めることが理解されよう。例えば、ロータ支持フレーム72の内部容積の寸法は、メンテナンス技術者が発電機内部にアクセスできることを意味する。これは、以下の目的の少なくとも一つのために有用であり得る。第1に、タイロッドシステム86、関連するテンションナット89、及びバランス調整マス87に対して360度のアクセスが可能とし、技術者が発電機内部の単一の位置にいながら、ロータ支持フレーム72の全周についてこれらの構成要素に適切な調整を加えることができるようになっている。これは、機械を分解することなく迅速に調整を行うことができるので、大きな利点を与える。さらに、発電機内部の技術者は、ギアボックス接続フランジ80を遷移セクション90に接続するボルトの円形アレイ106に対して360度のアクセスができ、また、ロータ支持フレーム72をギアボックス出力シャフトに接続するボルトの円形アレイ84に対して360度のアクセスができ、これにより、これらのボルト接続の検査を迅速に行うことができ、これは、保守検査プロセス中に大きな利点となる。また、上述のように、これにより、内側ハブ構成要素102を取り外して、ギアボックス軸77へのアクセスが達成でき、それにより、ベアリングカセットの取り外し及び交換が可能となる。さらに、発電機内部の大きな空間は、技術者に対し、リングギア112と延長部分110との間のボルト接続への360度のアクセスを可能とする。また、リングギア112に係合する駆動モータ114に対しての同様のアクセスも可能とする。図に記載して図示した様々な構成要素に加えて、アクセス開口100及びロータ支持フレーム72の一般的な構成は、他の内部の発電機構成要素、例えば、メンテナンス中にロータを半径方向の動きに対してロックするために設けられた半径方向ロータロックシステム、軸方向の動きに対してロータをロックするために設けられた軸方向ロータロックシステム、迷走電流保護システム、ギアボックス出力軸上に設けられてもよいロータリーエンコーダ、ギアボックス出力軸上及び他の場所に配置されてもよい加速度計及び温度センサのような他のセンサシステム、メンテナンス中にロータに制動力を加えるために設けられたブレーキディスク構成要素、及びロータハブに配置された液圧式ピッチングシステムに液圧及び/又は電力を供給するためにパワートレインアセンブリの中心を通って延びるピッチチューブ構成要素に適切なシールを与えるために設けられたピッチチューブシール部品へ、のアクセスを容易にすることも理解されるべきである。
【0065】
全体として考えると、ロータ支持フレーム72の構成は、その内部に比較的開放された容積を提供し、その容積は、様々な保守活動を行うことができる人がアクセスできるように有利な大きさ及び形状とされる。したがって、その容積は、保守要員を収容するような大きさ及び形状とされる発電機内部の保守室を画定すると考えることができる。これは、様々な構成要素へのアクセスが発電機の外部からのみ達成されるか、又は内部構成要素の相対的な配置により発電機内部からのアクセスが制限される公知のアプローチとは対照的である。
【0066】
有利なことに、発電機ロータアセンブリ70の内部の開放された容積は、より保護的な環境を提供するように密閉することができるが、必要な場合には保守要員へのアクセスを可能にする。
図11a及び
図11bに示すように、発電機サービスキャビネット81の背面には、ドア又はハッチ等のクロージャ120を設けることができる。クロージャ120は、発電機ロータアセンブリ70が収容される内部チャンバへの発電機キャビネット81の開口部121を覆う単一のドアパネルであってもよい。あるいは、クロージャ120は、複数のパネルを備えてもよい。図に示すように、クロージャ120は、二つのドアパネル122,124を備えている。これらのドアパネル122,124は、開放を可能にする任意の適切な方法で取り付けられてもよい。例えば、ドアパネル122,124は、発電機内部へのアクセスが必要な場合に、パネルの一方又は両方をキャビネット開口部から持ち上げることを可能にする締結システムによって取り付けられてもよい。あるいは、ドアパネル122,124の一方又は両方は、発電機サービスキャビネット81に接続されたままであるが、必要に応じてアクセスを得るために移動することができるように、ヒンジで連結されてもよい。
図11bは、ヒンジ固定を有するドアパネル124の一方を示しており、他のドアパネル122も同様の固定を有してもよいことが理解されよう。
【0067】
有益なことに、クロージャ120は、発電機の内部容積を包囲し、これは、内部環境が、発電機が設置されるナセルの全体的な内部から分離されることを意味する。
【0068】
エンクロージャ120は、保守目的のために、発電機の内部容積への単一のサービス入口点を提供することができるという点で、さらなる利点を達成する。これは、保守のための制御された進入を可能にするために、閉鎖を単一の安全機構で実施することができることを意味する。安全機構は、キーパッド、フィンガースキャナ、又は他のアクセス制御技術によることができる。好ましくは、一つ又は複数の他の安全手段又はインターロックが作動されること、例えば、ロータが固定されるようにロータがロックされたこと、及び適切な電気システムが不作動にされたことにより、保守要員が発電機の内部にアクセスすることに関連する電気的リスクがないことを安全機構が検出した場合にのみ、筐体を介したアクセスが許可される。
【0069】
発電機内部の内部容積は、十分なスペースを有するサービス室として提供されるので、この領域は、上述したように、発電機に関連する多数の構造及びシステムにアクセスするための専用の作業スペースとして設計することができる。例えば、床カバーをサービス室に設置して、落下した物品を捕捉することができ、それにより、発電機内部の部品を失うリスクを回避することができる。さらに、サービス室の閉鎖された環境は、クロージャ120により、サービス室からアクセス可能な領域を可能な限り清浄な状態に維持することができることを意味し、これは、ナセルの境界を十分に清浄にすることを要求するよりも、小規模で達成することが容易である。
【0070】
添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、上述の特定の実施例に多くの変更を加えることができる。一実施形態の特徴は、他の実施形態においても、そのような実施形態への追加として、またはその代替として使用することができる。
【国際調査報告】