(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】腫瘍治療フィールドを発生させる伝導性パッド、ならびに、その生産および使用の方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/40 20060101AFI20240628BHJP
A61N 1/06 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
A61N1/40
A61N1/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503750
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 IB2022000412
(87)【国際公開番号】W WO2023002250
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・デスローリアーズ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB04
4C053BB22
4C053DD08
4C053LL12
(57)【要約】
TTフィールドを送達するためのシステムおよび方法が本明細書で説明されている。システムは、電界発生器を含み、電界発生器は、50kHzから500kHzの周波数を有する信号を発生させ、第1のリードおよび第2のリードに連結されている。第1のパッドは、第1のリードに連結されており、伝導性発泡体および第1の伝導性ゲルを含む。伝導性発泡体は、第1の伝導性リードから信号を受け取り、少なくとも伝導性材料を含む固体の連続相材料を含む。複数のポケットは、伝導性発泡体の全体を通して散在されている。第1の伝導性ゲルは、伝導性発泡体に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されている。第2のリードは、電界発生器に連結されており、第2のパッドは、第2のリードに連結されている。第2のパッドは、第2の伝導性ゲルエレメントに接続されている第2の電極エレメントを有しており、第2の伝導性リードから信号を受け取る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の身体にTTフィールドを送達するためのシステムであって、
50kHzから500kHzの範囲の周波数において交流電流波形を有する電気信号を発生させるように構成されている電界発生器と、
前記電界発生器に電気的に連結されている第1の伝導性リードであって、前記電気信号を伝達するように構成されている、第1の伝導性リードと、
前記第1の伝導性リードに連結されている第1のパッドであって、前記第1のパッドは、伝導性発泡体および第1の伝導性ゲルエレメントを有しており、前記伝導性発泡体は、前記第1の伝導性リードから前記電気信号を受け取り、前記伝導性発泡体は、固体の連続相材料を有しており、前記固体の連続相材料は、伝導性材料から構築されているか、または、前記連続相材料に取り付けられているか、吸収されているか、もしくは吸着されている伝導性材料を有しているかの少なくとも1つであり、前記伝導性発泡体は、前記固体の連続相材料の全体を通して散在された複数のポケットを画定しており、前記第1の伝導性ゲルエレメントは、前記伝導性発泡体に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されている、第1のパッドと、
前記電界発生器に電気的に連結されている第2の伝導性リードであって、前記電気信号を伝達するように構成されている、第2の伝導性リードと、
前記第2の伝導性リードに連結されている第2のパッドであって、前記第2のパッドは、第2の電極エレメントを有しており、前記第2の伝導性リードから前記電気信号を受け取り、前記第2の電極エレメントは、第2の伝導性ゲルエレメントに接続されている、第2のパッドと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記固体の連続相材料の前記伝導性材料は、銀を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のパッドは、少なくとも1つの電極層および誘電体層をさらに含み、前記誘電体層は、前記少なくとも1つの電極層と前記伝導性発泡体との間に位置決めされている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電極層は、複数の空間的に配設された電極エレメントを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記誘電体層は、複数の空間的に配設された誘電体エレメントを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記誘電体エレメントは、可撓性のポリマー材料を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記誘電体エレメントは、セラミック材料を含む、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のパッドは、少なくとも1つの電極層を含み、前記少なくとも1つの電極層は、誘電材料が前記電極層と前記伝導性発泡体との間に位置決めされていない状態で、前記伝導性発泡体と電気的に連結されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項9】
電極層は、前記伝導性発泡体と接触している電極エレメントを含む、請求項1、2、および8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
ブロッキングキャパシターをさらに含み、前記ブロッキングキャパシターは、前記伝導性発泡体と回路を成しており、前記伝導性発泡体の中の直流電流の発生を防止するように動作可能である、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ブロッキングキャパシターは、前記電界発生器および前記第1の伝導性リードのうちの少なくとも1つの中に一体化されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記伝導性発泡体は、皮膚に面する表面を含み、前記第1のパッドは、前記伝導性発泡体の前記皮膚に面する表面をカバーする伝導性布をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のパッドの温度を測定するように構成されている1つまたは複数の温度センサーをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
制御ボックスをさらに含み、前記制御ボックスは、前記1つまたは複数の温度センサーをモニタリングし、前記温度が快適性閾値を超える場合には、前記電界発生器をターンオフするように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記快適性閾値は、摂氏約39度から摂氏約42度の間の値になるように選択される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の伝導性ゲルエレメントは、前記ポケットの少なくともいくつかの中に位置決めされている、請求項1から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記伝導性発泡体は、皮膚に面する表面を有しており、前記第1の伝導性ゲルエレメントは、前記伝導性発泡体の前記皮膚に面する表面の上に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されている、請求項1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
トップコート層と、
固体の連続相材料を有する伝導性発泡体であって、前記固体の連続相材料は、伝導性材料から構築されているか、または、前記固体の連続相材料の上に取り付けられているか、吸収されているか、もしくは吸着されている伝導性材料を有しているかの少なくとも1つであり、前記伝導性発泡体は、前記固体の連続相材料の全体を通して散在された複数のポケットを画定しており、前記伝導性発泡体は、前記トップコート層に隣接しており、前記伝導性発泡体の材料は、皮膚に面する表面を有している、伝導性発泡体と、
前記伝導性発泡体に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されている、伝導性ゲルエレメントと、
を含む、パッド。
【請求項19】
前記固体の連続相材料は、銀を含む、請求項18に記載のパッド。
【請求項20】
少なくとも1つの電極層および誘電体層をさらに含み、前記誘電体層は、前記少なくとも1つの電極層と前記伝導性発泡体との間に位置決めされている、請求項18または19に記載のパッド。
【請求項21】
前記電極層は、複数の空間的に配設された電極エレメントを含む、請求項20に記載のパッド。
【請求項22】
前記誘電体層は、複数の空間的に配設された誘電体エレメントを含む、請求項20または21に記載のパッド。
【請求項23】
前記誘電体エレメントは、可撓性のポリマー材料を含む、請求項22に記載のパッド。
【請求項24】
前記誘電体エレメントは、セラミック材料を含む、請求項22または23に記載のパッド。
【請求項25】
少なくとも1つの電極層をさらに含み、前記少なくとも1つの電極層は、誘電材料が前記電極層と前記伝導性発泡体との間に位置決めされていない状態で、前記伝導性発泡体と電気的に連結されている、請求項18または19に記載のパッド。
【請求項26】
前記電極層は、前記伝導性発泡体と接触している電極エレメントを含む、請求項25に記載のパッド。
【請求項27】
前記伝導性ゲルエレメントは、前記ポケットの少なくともいくつかの中に位置決めされている、請求項18から26のいずれか一項に記載のパッド。
【請求項28】
前記伝導性発泡体は、皮膚に面する表面を有しており、前記伝導性ゲルエレメントは、前記伝導性発泡体の前記皮膚に面する表面の上に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されている、請求項18から27のいずれか一項に記載のパッド。
【請求項29】
少なくとも2つの伝導性領域を患者の皮膚に適用するステップと、
前記少なくとも2つの伝導性領域を前記患者に適用する前または後に、前記伝導性領域を電界発生器に連結するステップであって、前記電界発生器は、50kHzから500kHzの範囲の周波数において交流電流波形を有する電気信号を発生させるように構成されており、それぞれの伝導性領域は、伝導性発泡体および伝導性ゲルエレメントを有しており、前記伝導性発泡体から前記伝導性ゲルエレメントへ電流を供給するようになっており、前記伝導性発泡体は、固体の連続相材料を有しており、前記固体の連続相材料は、伝導性材料から構築されているか、または、前記固体の連続相材料に取り付けられているか、吸収されているか、もしくは吸着されている伝導性材料を有しているかの少なくとも1つであり、前記伝導性発泡体は、前記固体の連続相材料の全体を通して散在された複数のポケットを画定しており、前記伝導性ゲルエレメントは、前記固体の連続相材料に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されており、前記少なくとも2つの伝導性領域の中の前記伝導性発泡体は、前記電界発生器に電気的に連結されており、前記電気信号を受け取ると、前記伝導性ゲルエレメントに電流を供給し、前記伝導性ゲルエレメントは、患者の皮膚と容量的に連結されているおよび電気的に連結されている、のうちの少なくとも1つである、ステップと、
前記電界発生器を作動させ、前記伝導性領域に前記電気信号を供給し、それによって、前記伝導性ゲルエレメントを通して前記患者に電流を供給するステップと、
を含む、方法。
【請求項30】
前記伝導性ゲルエレメントは、前記ポケットの少なくともいくつかの中に位置決めされている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記伝導性発泡体は、皮膚に面する表面を有しており、前記伝導性ゲルエレメントは、前記伝導性発泡体の前記皮膚に面する表面の上に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されている、請求項29または30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照/参照による組み込み]
この非仮出願は、2021年6月21日に出願された米国仮出願第63/224,241号の利益を主張する。上記の出願の内容全体は、その全体が明示的に参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
腫瘍治療フィールド(TTフィールド(TTFields)またはTTF:Tumor Treatingフィールド(TTFs))は、有糸分裂を破壊することによって固形腫瘍をターゲットとする、中間周波数範囲(たとえば、50kHz~1MHz、たとえば、50~500kHzなど)の中の低強度(たとえば、1~3V/cm)交流電界である。この非侵襲性の治療は、固形腫瘍をターゲットとし、たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9において説明されている。TTフィールドは、典型的に、治療される腫瘍の中に垂直のフィールドを発生させる2対のトランスデューサーアレイを通して送達される。これらの対のそれぞれを構成するトランスデューサーアレイは、治療されている身体パーツの両側に位置決めされている。より具体的には、OPTUNE(登録商標)システムに関して、トランスデューサーアレイの一方の対の電極が、腫瘍の左右(LR: left and right)に位置付けされ、トランスデューサーアレイの他方の対の電極が、腫瘍の前後(AP: anterior and posterior)に位置付けされる。TTフィールドは、多形性膠芽腫(GBM)の治療のために承認されており、たとえば、OPTUNE(登録商標)システム(Novocure Limited, St. Helier, Jersey)を介して送達され得、それは、患者の剃毛された頭部の上に設置されるトランスデューサーアレイを含む。より最近では、TTフィールド療法は、悪性胸膜中皮腫(MPM)のための化学療法との併用療法として承認されており、身体の他のパーツにおける腫瘍の治療においても利用される可能性がある。
【0003】
OPTUNE(登録商標)デバイスにおいてTTフィールドの送達のために使用されるそれぞれのトランスデューサーアレイは、1セットの非伝導性のセラミックディスク電極を含み、それらは、伝導性医療用ゲルの層を通して患者の皮膚(たとえば、それに限定されないが、GBMの治療のための患者の剃毛された頭部など)に連結される。セラミックディスク電極を形成するために、伝導性層は、非伝導性のセラミック材料の上部表面の上に形成されている。非伝導性のセラミック材料の底部表面は、伝導性医療用ゲルに連結されている。非伝導性のセラミック材料は、直流信号が誤って患者に非意図的に伝送されることをブロックされることを保証するための安全特徴である。
【0004】
伝導性層と伝導性医療用ゲルとの間に非伝導性のセラミック材料を間置することによって、先行技術のシステムは、患者が保護されたままになることを保証すると考えられた。医療用ゲルの目的は、身体の輪郭にマッチするように変形すること、および、アレイと皮膚との間の良好な電気的接触を提供することである。そうであるので、ゲルインターフェースは、皮膚との橋絡を生じ、干渉を低減させる。デバイスは、2~4日にわたって患者によって連続的に着用され、その後に、衛生的なケアおよび再剃毛(必要な場合)のために除去され、新しいセットのアレイの再適用がそれに続くということを意図している。そうであるので、医療用ゲルは、一度に2~4日の期間にわたって患者の皮膚のエリアと実質的に連続的に接触したままであり、より多くの医療用ゲルがそれに適用される前に、皮膚のそのエリアがカバーされず環境に露出される短い時間の期間のみが存在している。
【0005】
TTフィールドを異なる方向に印加するための1つのアプローチは、所定の時間の期間にわたって第1のセットの電極の間にフィールドを印加し、次いで、所定の時間の期間にわたって第2のセットの電極の間にフィールドを印加し、次いで、長期の持続期間にわたって(たとえば、数日または数週間の期間にわたって)そのサイクルを繰り返すということである。
【0006】
TTフィールドを発生させるために、電流が、トランスデューサーアレイのそれぞれの電極に印加される。所定の時間の期間にわたる電流の印加は、それぞれの電極が温まることおよび最終的には熱くなることを引き起こし、したがって、患者にとって不快であるかまたは痛みを伴うようになることを引き起こす。トランスデューサーアレイの所望の温度を維持するために、印加される電流は低下させられ、より弱いTTフィールドを結果として生じさせ、または、トランスデューサーアレイはパワーオフされ、したがって、治療の持続期間を短縮する。追加的に、先行技術は、リジッドのおよび/または非可撓性の材料(たとえば、セラミックなど)から作製された電極を教示しており、それは、患者に輪郭を合わせない。
【0007】
トランスデューサーアレイのこの加熱に起因して、より強力なTTフィールドを発生させながらトランスデューサーアレイの温度を低減させる新しい改善されたアレイアッセンブリが望まれている。本開示が関するのは、それを生産および使用するそのようなアッセンブリおよび方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7016725号
【特許文献2】米国特許第7089054号
【特許文献3】米国特許第7333852号
【特許文献4】米国特許第7565205号
【特許文献5】米国特許第8244345号
【特許文献6】米国特許第8715203号
【特許文献7】米国特許第8764675号
【特許文献8】米国特許第10188851号
【特許文献9】米国特許第10441776号
【特許文献10】米国特許第7805201号
【特許文献11】米国特許出願第17/313114号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Eilon D. Kirsonら、Disruption of Cancer Cell Replication by Alternating Electric Fields, Cancer Res. 2004 64:3288-3295
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
より強力なTTフィールドを発生させながらトランスデューサーアレイの温度を低減させる課題は、被検者の身体にTTフィールドを送達するためのシステムであって、50kHzから500kHzの範囲の周波数において交流電流波形を有する電気信号を発生させるように構成されている電界発生器と;電界発生器に電気的に連結されている第1の伝導性リードであって、電気信号を伝達するように構成されている、第1の伝導性リードと;第1の伝導性リードに連結されている第1のパッドであって、第1のパッドは、伝導性発泡体および第1の伝導性ゲルエレメントを有しており、伝導性発泡体は、第1の伝導性リードから電気信号を受け取り、伝導性発泡体は、固体の連続相材料を有しており、固体の連続相材料は、伝導性材料から構築されているか、または、連続相材料に取り付けられているか、吸収されているか、もしくは吸着されている伝導性材料を有しているかの少なくとも1つであり、伝導性発泡体は、固体の連続相材料の全体を通して散在された複数のポケットを画定しており、第1の伝導性ゲルエレメントは、伝導性発泡体に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されている、第1のパッドと;電界発生器に電気的に連結されている第2の伝導性リードであって、電気信号を伝達するように構成されている、第2の伝導性リードと;第2の伝導性リードに連結されている第2のパッドであって、第2のパッドは、第2の電極エレメントを有しており、第2の伝導性リードから電気信号を受け取り、第2の電極エレメントは、第2の伝導性ゲルエレメントに接続されている、第2のパッドとを含む、システムによって解決される。
【0011】
伝導性発泡体の余分な表面積は、電極エレメントの縁部を越えて延在する可能性のある平面的なエリアの観点と、発泡体の多孔性セル構造によって提供される追加的な表面積の観点の両方から、電極エレメントのエリアから熱を消散させるためのメカニズムを提供し、それによって、患者の皮膚の上の不快な熱の問題を低減させる。そして、これは、選択された温度快適性閾値の中に留まりながら、より強力なTTフィールドの使用を可能にする。
【0012】
本明細書に説明されている主題の1つまたは複数の実装形態の詳細は、添付の図面および下記の説明において記載されている。主題の他の態様、特徴、および利点は、明細書、図面、および特許請求の範囲から明らかになることとなる。
【0013】
添付の図面(それは、本明細書の中に組み込まれており、本明細書の一部を構成している)は、本明細書で説明されている1つまたは複数の実装形態を図示しており、本説明とともにこれらの実装形態を説明している。図面は、縮尺通りに描かれることを意図しておらず、図の特定の特徴および特定の視点は、明確性および簡潔性のために、誇張して示され、縮尺通りに示され、または、概略的に示されている可能性がある。すべてのコンポーネントが、すべての図面においてラベル付けされているとは限らない可能性がある。図の中の同様の参照番号は、同じまたは類似のエレメントまたは機能を表して参照する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】生体組織に適用されているような電極の概略ダイアグラムの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】本開示にしたがって構築されたTTフィールドを発生させるように構成されている電子的なデバイスの例示的な実施形態を示す図である。
【
図3】本開示にしたがって構築されたパッドの例示的な実施形態のブロック図である。
【
図4】本開示にしたがって構築されたパッドの別の例示的な実施形態のブロック図である。
【
図5】本開示にしたがって構築されたアレイアッセンブリの例示的な実施形態の断面を示す図である。
【
図6】本開示にしたがって構築された電極エレメントの例示的な実施形態の断面図である。
【
図7】本開示にしたがって構築されたファブリック層の例示的な実施形態の上面図である。
【
図8】本開示にしたがって構築された発泡体層の例示的な実施形態の断面ダイアグラムである。
【
図9】本開示にしたがって構築されたアレイアッセンブリの別の例示的な実施形態の断面を示す図である。
【
図10】本開示にしたがって構築されたパッドの例示的な実施形態の断面ダイアグラムである。
【
図11】本開示にしたがって構築されたパッドの例示的な実施形態の上面図である。
【
図12】TTフィールドを患者に適用するために電子的装置を使用するプロセスの例示的な実施形態のプロセスフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
例示的な言語および結果によって本発明概念の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明概念は、その適用において、以下の説明において記載されている構造の詳細およびコンポーネントの配置に限定されないということが理解されるべきである。本発明概念は、他の実施形態であることが可能であり、または、さまざまな方式で実践もしくは実施されることが可能である。そうであるので、本明細書で使用されている言語は、可能な限り広い範囲および意味を与えられることを意図しており、実施形態は、例示的であること(網羅的でないこと)を意味している。また、本明細書で用いられている言い回しおよび専門用語は、説明の目的のためのものであり、限定するものとして見なされるべきではないということが理解されるべきである。
【0016】
見出しは、便宜のためだけに提供されており、いかなる様式によっても本発明を限定するように解釈されるべきではない。任意の見出しの下でまたは本開示の任意の部分に図示されている実施形態は、同じもしくは任意の他の見出しの下でまたは本開示の他の部分に図示されている実施形態と組み合わせられ得る。すべての可能なその変形例における本明細書で説明されているエレメントの任意の組み合わせは、本明細書において別段の指示がない限り、または、文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【0017】
文脈によって別段の要求がない限り、単数の用語は、複数形を含むものとし、複数の用語は、単数形を含むものとする。
【0018】
本出願の任意の部分において参照されているすべての特許、公開特許出願、および非特許公報は、それぞれの個々の特許または公報が具体的におよび個別に参照により組み込まれていることが示されている場合と同じ程度に、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれている。
【0019】
本明細書で開示されている組成物、アッセンブリ、システム、キット、および/または方法のすべては、本開示に照らして過度の実験なしに作製および実行され得る。方法の請求項が、特許請求の範囲または明細書において、ステップが特定の順序に限定されるべきであるということを具体的に述べていない場合、いかなる点においても、順序が推論されることを決して意図するものではない。これは、ステップの配置または動作フローに関する論理の事項、文法的組織もしくは句読点から導出される平易な意味、または、本明細書に説明されている実施形態の数もしくはタイプを含む、解釈の任意の可能な非明示的な根拠についても同様である。
【0020】
本開示にしたがって利用されているように、以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0021】
「a」または「an」という用語の使用は、特許請求の範囲および/または明細書において「含む(comprising)」という用語とともに使用されるときに、「1つの」を意味することが可能であるが、「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」、および、「1つまたは2つ以上の」の意味とも一貫している。「複数」という用語は、「2つ以上」を指す。
【0022】
加えて、「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という用語の使用は、X単独、Y単独、およびZ単独、ならびに、X、Y、およびZの任意の組み合わせを含むことが理解されることとなる。序数の専門用語(たとえば、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」など)の使用は、2つ以上の項目の間を区別する目的だけのためのものであり、たとえば、任意のシーケンスまたはある項目に対する別の項目の順序もしくは重要性、または、任意の追加の順序を暗示することを意味していない。
【0023】
特許請求の範囲における「または」という用語の使用は、選択肢のみを指すように明示的に示されていない限り、または、選択肢が相互に排他的でない限り、包括的な「および/または」を意味するように使用される。
【0024】
本明細書で使用されているときに、TTフィールド(TTフィールド(TTFields)またはTTF(TTF(s)))という用語は、Paltiによる特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献10、および特許文献5(それらの文献のそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれている)に、および、Kirsonによる刊行物(非特許文献1を参照)に説明されているように、電極を介して伝導性媒体(たとえば、人間の身体など)に適用されるときに、たとえば、腫瘍を治療するために使用され得る中周波数(約50kHz~1MHz、より好ましくは、約50kHz~500kHz)の低強度(たとえば、1~4V/cm)交流電界を指す。TTフィールドは、癌細胞に特異的に影響を与える能力を有することが示されており、他の使用法の中でも、癌を治療するのに役立つ。TTフィールド療法は、再発性膠芽腫(GBM)のための承認された単一治療であり、新しく診断されたGBM患者のための、化学療法との承認された併用療法である。
【0025】
本明細書で使用されているように、TT信号という用語は、伝導性媒体(たとえば、人間の身体など)に適用された電極によって受け取られるときに、上記に説明されているTTフィールドを電極が発生させることを引き起こす電気信号である。TT信号は、AC電気信号であることが多い。
【0026】
本明細書で使用されているように、「パッド」という用語は、電界発生器からTT信号を受け取るときにTTフィールドを発生させるために、被検者の身体の一部の上に設置されるように構成されている1つまたは複数の伝導性材料を指す。
【0027】
ここで本発明概念を見てみると、その特定の非限定的な実施形態は、システム、および、システムを実装する方法を含み、システムは、50kHzから500kHzの範囲の周波数において交流電流波形を有する電気信号を発生させるように構成されている電界発生器と;電界発生器に電気的に連結されている第1の伝導性リードであって、第1の伝導性リードに電気的に連結されているパッドおよび/またはトランスデューサーアレイに電気信号を伝達するように構成されている、第1の伝導性リードとを含む。本開示のさまざまな態様が、下記に詳細に提供されている。
【0028】
ここで図面を参照すると、および、とりわけ
図1を参照すると、外部TTフィールド(たとえば、約100kHzから約300kHzの周波数範囲にある交流フィールド)の影響の下にある分裂細胞10の例示的な実施形態がその中に示されており、外部TTフィールドは、一般的に、線14によって示されており、マイナスの電荷を有する第1の電極18a、および、プラスの電荷を有する第2の電極18bによって発生させられる。非常に強力な双極子モーメントを有することが知られている微小管22がさらに示されている。この強力な分極は、微小管22ならびに他の極性高分子(および、特に、細胞10またはその周囲の中に特定の配向を有するもの)を、電界を受けやすいものにする。微小管22のプラスの電荷は、2つの中心小体26に位置付けされており、一方では、2セットの負極が、分裂細胞10の中心30、および、細胞膜への微小管22の取り付けのポイント34にある。電荷の場所は、ダブル双極子のセットを形成し、したがって、異なる方向の電界を受けやすい。1つの実施形態では、細胞は、エレクトロポレーションを経験し、すなわち、DNAまたは染色体は、細胞膜の中に細孔を簡潔に開けるために電気のパルスを使用して、細胞の中へ導入される。
【0029】
ここで
図2を見てみると、腫瘍細胞を有利に破壊することが見出されている上記に説明されているTTフィールドは、電子的装置50によって発生させられ得る。
図2は、電子的装置50の簡単な概略ダイアグラムであり、その主要なコンポーネントを示している。電子的装置50は、電界発生器54および1対の伝導性リード58(第1の伝導性リード58aおよび第2の伝導性リード58bを含む)を含む。第1の伝導性リード58aは、第1の端部62aおよび第2の端部66aを含む。第2の伝導性リード58bは、第1の端部62bおよび第2の端部66bを含む。第1の伝導性リード58aの第1の端部62aは、電界発生器54に伝導的に取り付けられており、第2の伝導性リード58bの第1の端部62bは、電界発生器54に伝導的に取り付けられている。電界発生器54は、出力として波形またはパルスの列の形状の望ましい電気信号(TT信号)を発生させる。第1の伝導性リード58aの第2の端部66aは、パッド70aに接続されており、第2の伝導性リード58bの第2の端部66bは、パッド70bに接続されている。パッド70aとパッド70bの両方は、電気信号(たとえば、TT信号、波形)によって活性化させられる。電気信号によって活性化させられるパッド70aおよびパッド70bは、パッド70aとパッド70bとの間に電流が流れることを引き起こす。電流は、電界(すなわち、TTフィールド)を発生させ、電界は、所定の周波数および振幅を有しており、パッド70aとパッド70bとの間に発生させられることとなる。
【0030】
図2に示されている電子的装置50は、2つのパッド70(パッド70aおよびパッド70b)のみを含み、いくつかの実施形態において、電子的装置50は、3つ以上のパッド70を含むことが可能である。
【0031】
電界発生器54は、約50kHzから約500kHzの(好ましくは、約100kHzから約300kHzの)範囲の周波数において交流電圧波形を発生させる(すなわち、TTフィールド)。必要とされる電圧は、治療エリアの中の組織における電界強度が約0.1V/cmから約10V/cmの範囲にあるようなものである。このフィールドを実現するために、パッド70aまたはパッド70bのそれぞれにおける2つの導体18(たとえば、
図6の導体188、または、
図5において下記に詳細に説明されている電極層162)の間の電位差は、システムコンポーネントの相対インピーダンスによって決定され、たとえば、それぞれのコンポーネントの上の電界の割合は、そのコンポーネントのインピーダンスが合計回路インピーダンスによって割られることによって与えられる。
【0032】
ある特定の(しかし、非限定的な)実施形態において、パッド70aおよびパッド70bは、患者のターゲット領域の中に交流電流およびフィールドを発生させる。ターゲット領域は、典型的に、少なくとも1つの腫瘍を含み、交流電流およびフィールドの発生は、腫瘍の成長を選択的に破壊するかまたは抑制する。交流電流およびフィールドは、腫瘍の成長を選択的に破壊するかまたは抑制する任意の周波数において(たとえば、TTフィールドの任意の周波数においてなど)発生させられ得る。
【0033】
ある特定の(しかし、非限定的な)実施形態において、交流電流およびフィールドは、2つ以上の異なる周波数において課され得る。2つ以上の周波数が存在しているときに、それぞれの周波数は、上記の値のいずれか、または、上記の値のいずれかからの範囲、または、上記の値のうちの2つの間に入る2つの整数を組み合わせた値から選択される。本明細書で使用されているように、交流電界は、電界またはTTフィールドと称され得る。
【0034】
電界(すなわち、TTフィールド)分布を最適化するために、パッド70aおよびパッド70b(1対のパッド)は、1対のパッド70aおよび70bが使用されることとなる用途に応じて異なって構成され得る。本明細書で説明されているように、1対のパッド70aおよび70bは、患者に外部から適用され、すなわち、一般的に、患者の皮膚に適用され、電流および電界(TTフィールド)を印加し、それによって、患者の組織に電流を発生させるようになっている。一般的に、1対のパッド70aおよび70bは、ユーザーによって患者の皮膚の上に設置され、電界が治療エリアの中の患者組織を横切って発生させられるようになっている。外部から印加されるTTフィールドは、たとえば、皮膚腫瘍の治療および皮膚表面の近くの病変の治療など、局所的なタイプまたは幅広く分配されるタイプのものであることが可能である。
【0035】
1つの実施形態では、ユーザーは、医師、看護師、療法士、または、医師、看護師、もしくは療法士のインストラクションの下で行動する他の人などのような、医療専門家であることが可能である。別の実施形態では、ユーザーは、患者であることが可能であり、すなわち、患者(および/またはヘルパー)は、彼らの治療エリアの上にパッド70aおよびパッド70bを設置することが可能である。
【0036】
随意的に、および、別の例示的な実施形態によれば、電子的装置50は、制御ボックス74と、制御ボックス74に連結されている温度センサー78とを含み、それらは、治療エリアにおいて過度の加熱を発生させないように、電界の振幅を制御するために含まれている。
【0037】
制御ボックス74が含まれているときに、制御ボックス74は、たとえば、電界発生器54の出力を制御し、ユーザーによって予め設定される値において出力が一定のままになることを引き起こす。代替的に、制御ボックス74は、治療エリアの過度の加熱を引き起こさない最大の値に出力を設定する。上記のケースのいずれにおいても、制御ボックス74は、(温度センサー78によってセンシングされるような)治療エリアの温度が予め設定された限界値を超えるときに、警告などを発することが可能である。温度センサー78は、パッド70aまたはパッド70bに機械的に接続され、および/または、その他の方法で関連付けられ得、パッド70aまたはパッド70bのうちのいずれか一方または両方において、治療エリアの温度をセンシングするようになっている。1つの実施形態では、制御ボックス74は、温度センサー78によってセンシングされる温度が快適性閾値を満たすかまたは超える場合には、電界発生器54によって発生させられるTT信号のパワーをターンオフするかまたは減少させることが可能である。1つの実施形態では、快適性閾値は、パッド70aおよびパッド70bを使用している間に患者が不快になることとなる温度である。1つの実施形態では、快適性閾値は、摂氏40度における温度または約摂氏40度における温度である。1つの実施形態では、快適性閾値は、摂氏約39度から摂氏42度の間の温度であり、または、摂氏約39度から摂氏42度の間の特定の選択された温度である。
【0038】
伝導性リード58は、可撓性の金属シールドを備えた標準的な隔離された導体であり、好ましくは、接地されており、それによって、伝導性リード58によって発生させられる任意の電界の広がりを防止する。パッド70aおよびパッド70bは、治療エリアにおいて、および、治療を集中させるためにその治療エリアのみにおいて、所望の構成、方向、および強度のTTフィールドを発生させるために、特定の形状および位置決めを有することが可能である。
【0039】
全体としての電子的装置50およびその個々のコンポーネントの仕様は、TTフィールドの周波数において、誘電的特性ではなく「オームの法則にしたがう」特性にしたがって、生物系が挙動するという事実によって大きく影響を及ぼされる。
【0040】
1つの実施形態では、患者を通過するDC電圧またはDCオフセット電圧に起因する任意の電流から患者を保護するために、リード58aおよび58bは、DC電流がパッド70aおよびパッド70bへ通ることを阻止するためのDCブロッキングコンポーネント(たとえば、ブロッキングキャパシター82aおよびブロッキングキャパシター82bなど)を含むことが可能である。理論に縛られることなく、本発明者は、ここで、DCブロッキングコンポーネントは、安全上の理由から重要であるが、患者インターフェースに(すなわち、トランスデューサーアレイの電極の中に)位置付けされる必要はなく、または、さらに言えば、上記に説明されている非伝導性のセラミックディスクである必要はないと考える。ブロッキングキャパシター82aおよび82bは、AC電圧をパッド70aおよびパッド70bに渡し、また、電界発生器54によって発生させられるかまたはその他の方法で電気信号の中に存在している任意のDC電圧またはDCオフセットが患者に渡ることまたは患者を通過することを防止する。DC電圧は、患者に印加されるときに、TTフィールドのパワーに寄与するという利益なしに、電気分解またはパッド70aおよびパッド70bの過度の加熱などのような、望ましくない結果を有する可能性がある。したがって、ブロッキングキャパシター82aおよび82bは、DCオフセットまたはDC電圧に起因する電気分解を防止することが可能である。1つの実施形態では、ブロッキングキャパシター82aおよび82bは、無極性のキャパシターである。1つの実施形態では、ブロッキングキャパシター82aおよび82bは、約1μFの静電容量を有している。1つの実施形態では、ブロッキングキャパシターは、KEMET Electronics Corporation(Fort Lauderdale, FL, USA)による「Goldmax, 300 Series, Conformally Coated, X7R Dielectric, 25-250VDC(Commercial Grade)」の有鉛の(leaded)無極性のセラミックキャパシターである。
【0041】
患者を電界発生器54から電気的に隔離することは、非常に重要である可能性があり、したがって、ブロッキングキャパシター82aおよび/またはブロッキングキャパシター82bを電界発生器54の外側に提供することは、患者の安全を強化する。ブロッキングキャパシター82aおよびブロッキングキャパシター82bは、リード58aおよび58bのコンポーネントであるか、または、他の実施形態では、導体188(
図6を参照)または電極エレメント136(
図9を参照)と電界発生器54との間の任意の位置における追加的なコンポーネントであることが可能である。たとえば、ブロッキングキャパシター82aおよび82bは、リード58a(または、58b)の第1の端部62a(または、62b)と電界発生器54との中間にあるか、または、リード58a(または、58b)の第2の端部66a(または、66b)とパッド70a(または、70b)との中間にあることが可能である。ブロッキングキャパシター82aおよび82bは、パッド70aおよびパッド70bから遠隔に提供され得、患者の安全を依然として提供することが可能であるということを本発明者は考えている。他の実施形態において、ブロッキングキャパシター82aおよびブロッキングキャパシター82bは、導体188または電極エレメント136の非患者側に位置付けされ得る。
【0042】
他の実施形態において、ブロッキングキャパシター82aおよびブロッキングキャパシター82bは、電界発生器54のコンポーネントであることが可能であり、すなわち、ブロッキングキャパシター82aおよびブロッキングキャパシター82bは、電界発生器54の中へ一体化され得、電気信号がリード58aおよび58bの中へ通される前に、電気信号がブロッキングキャパシター82aおよび82bをそれぞれ通過するようになっている。代替的に、ブロッキングキャパシター82aおよび82bは、パッド70aおよびパッド70bのコンポーネント、リード58aおよび58bのコンポーネント、または、ゲル層158(
図10を参照)と電界発生器54との間の任意の位置における追加的なコンポーネントであることが可能である。
【0043】
ここで
図3を参照すると、本開示にしたがって構築されたパッド70の例示的な実施形態のダイアグラムが、ここで示されている。パッド70は、1つまたは複数の電極エレメント104を含む。
図3に示されているように、それぞれのパッド70は、1セットの1つまたは複数の電極エレメント104として構成されている。パッド70は、容量的に連結されている電極エレメント104を利用することが可能である。
図3に示されている例では、パッド70は、フレックスワイヤー108を介して相互接続されている(および、伝導性リード58を介して電界発生器に接続されている)複数の電極エレメント104(たとえば、直径に関して約2cm)として構成されている。それぞれの電極エレメント104は、セラミックディスクおよび電極層(
図6に関して下記に説明されている)を含むことが可能である。1つの実施形態では、パッド70は、外側周辺縁部132を含む。
【0044】
パッド70のための代替的な構築が使用され得、それは、たとえば、ディスク形状のセラミックエレメント、ディスク形状でないセラミックエレメント、および、電極層と複数の平坦な導体188(
図6を参照)の上のパッド70の皮膚に面する表面との間に位置決めされている非セラミック誘電材料を含む。複数の平坦な導体の上に位置決めされている非セラミック誘電材料の例は、プリント回路基板のパッドの上に配設されているポリマーフィルム、または、金属の平坦なピースの上に配設されているポリマーフィルムを含む。容量的に連結されていない電極エレメント104を利用するパッド70も使用され得る。この状況では、トランスデューサーアレイのそれぞれの電極エレメント104は、絶縁誘電体層が電極エレメント104と身体との間に配設されていない状態で、人の身体に対して設置されるように構成されている伝導性材料の領域を使用して実装されることとなる。伝導性材料の例は、伝導性フィルム、伝導性ファブリック(たとえば、ファブリック層150、
図5を参照)、および伝導性発泡体(たとえば、発泡体層154、
図5を参照)を含む。パッド70を実装するための他の代替的な構築も、それらが人の身体にTTフィールドを送達することができる限り、使用され得る。随意的に、ゲル層158が、本明細書で説明されている実施形態のいずれかにおいて(
図6を参照)、パッド70と人の身体との間に配設され得る。
【0045】
ここで
図4を参照すると、パッド70cの例示的な実施形態の上面図が、ここで示されている。パッド70cは、パッド70aまたはパッド70bの例示的な実施形態である。パッド70cは、上面124、底面128(パッド70dに関して
図10に示されている)、外側周辺縁部132、および、外側周辺縁部132によって境界を定められた電極エレメント136を提供され得る。示されているように、パッド70cは、伝導性リード58の第2の端部66に接続されている。パッド70cは、患者の一部分(たとえば、患者の頭部、患者の膝、または患者の肘などの一部分など)に適応することができるように十分な可撓性を有するように構築されている。また、パッド70cは、電極エレメント136が連続的になり、外側周辺縁部132まで延在するように構築され得る。示されている例では、パッド70cは、長方形形状、または、丸みを帯びた頂点を有する実質的に長方形形状を備えて提供されている。しかし、パッド70cは、任意のタイプの形状(たとえば、多角形、円形、または風変わりな形状など)を備えて提供され得るということが理解されるべきである。さらに、パッド70cは、特定の患者の特定のパーツにカスタムフィットされるように、使用時点においてカットおよび/または形状決めされるように構築され得る。
【0046】
1つの実施形態では、パッド70cは、上面124として耐久性トップコート層140を提供されている。耐久性トップコート層140は、織られていない非伝導性のファブリックであることが可能である。耐久性トップコート層140は、パッド70cのための安全な取り扱い表面を提供し、パッド70cの上面124から電極エレメント136を電気的に隔離する。いくつかの実施形態において、耐久性トップコート層140は、患者の皮膚の色にマッチするかまたは近似するように着色されている。
【0047】
1つの実施形態では、耐久性トップコート層140は、「通気性がある」ことが可能であり、すなわち、耐久性トップコート層140は、下記に説明されているように、パッド70cの他の層への空気フローを可能にするために上面124から底面128へ延在する1つまたは複数の穿孔などを含む。1つまたは複数の穿孔は、1つまたは複数の他の穿孔と同じまたは異なる寸法を有することが可能であり、同様に、1つまたは複数の他の穿孔と同じまたは異なる形状を有することが可能である。
【0048】
ここで
図5を参照すると、本開示にしたがって構築されたアレイアッセンブリ144の例示的な実施形態の断面が、ここで示されている。アレイアッセンブリ144は、一般的に、1つまたは複数の層(ファブリック層150、発泡体層154、ゲル層158、電極層162、耐久性トップコート層140、および圧縮層170を含む)を含む。1つの実施形態では、発泡体層154、ゲル層158、電極層162、および耐久性トップコート層140は、組み合わせて、パッド70と称され得る。1つの実施形態では、ファブリック層150は、伝導性ファブリック(たとえば、
図7に示されており、より詳細に下記に議論されているファブリック層150など)である。いくつかの実施形態において、アレイアッセンブリ144は、電極層162とゲル層158との間に配設されている誘電体層192を含む。
【0049】
発泡体層154は、固体の連続相材料を含み、固体の連続相材料は、固体の連続相材料の全体を通して散在される複数のポケットを画定する。1つの実施形態では、固体の連続相材料は、伝導性材料から作製されているか、伝導性材料に取り付けられているか、または、固体の連続相材料の上に吸着された伝導性材料を有している。1つの実施形態では、伝導性材料は、銀、銅、スズ、アルミニウム、チタン、プラチナ、炭素、それらの合金、および/または、それらのいくつかの組み合わせのうちの1つまたは複数から選択される。1つの実施形態では、発泡体層154は、パッド70が使用時にあるときに患者の皮膚に向けて配設されている皮膚に面する表面156を含む。
【0050】
1つの実施形態では、発泡体層154の皮膚に面する表面156は、ファブリック層150と接触していることが可能である。この実施形態では、ファブリック層150は、発泡体層154の皮膚に面する表面156の少なくとも一部分をカバーすることが可能である。たとえば、ファブリック層150は、皮膚に面する表面156の少なくとも一部分を直接的にカバーすることが可能であり、たとえば、皮膚に面する表面156は、ファブリック層150と直接的に接触している。しかし、他の実施形態では、ファブリック層150は、皮膚に面する表面156の少なくとも一部分を間接的にカバーすることが可能であり、たとえば、パッド70の1つまたは複数の層は、皮膚に面する表面156とファブリック層150との間に配設され得る(たとえば、保護層176(
図5)など)。
【0051】
1つの実施形態では、発泡体層154は、伝導性発泡体である。発泡体層154(それは、伝導性発泡体である)は、発泡体層154に取り付けられている伝導性材料を有することが可能であり、または、発泡体の固体の連続相の上に吸着された伝導性材料を有することが可能である。1つの実施形態では、伝導性材料は、銀、銅、スズ、アルミニウム、チタン、プラチナ、炭素、それらの合金、および/または、それらのいくつかの組み合わせのうちの1つまたは複数から選択される。
【0052】
1つの実施形態では、発泡体層154は、銀発泡体である。銀発泡体は、約99.99%を超える純度、および、約85%を超える気孔率を有することが可能である。銀発泡体の例示的な実施形態は、MTI Corporation(Richmond、CA、USA)によって販売されている銀発泡体(品番MF-AgFom);Stanford Advanced Materials(LakeForest、CA、USA)によって販売されているSV1972 Silver Foam;MedOnTheGo.com(Alpharetta、GA、USA)によって販売されているMepilex Ag Molnlycke 278200;Ferris Manufacturing(FortWorth、TX、USA)によって製造されているSilver Foam Dressing PolyMem MAX;Ferris Manufacturingによって製造されているFerris PolyMem Silver WIC Silver Cavity Wound Filler;または、ConvaTec(Reading、England、U.K.)からのAQUACEL Ag Foamを含むことが可能である。
【0053】
伝導性発泡体(たとえば、銀発泡体など)は、(発泡体のサイズ/面積の観点から)選択され、電極エレメントの外側縁部を越えて、または、電極層の外側縁部を越えて延在するように位置決めされ得、パッドの外側縁部まで、または、それを越えて延在することが可能である。伝導性発泡体の余分な表面積は、電極エレメントの縁部を越えて延在する可能性のある平面的なエリアの観点と、発泡体の多孔性セル構造によって提供される追加的な表面積の観点の両方から、電極エレメントのエリアから熱を消散させるためのメカニズムを提供し、それによって、患者の皮膚の上の不快な熱の問題を低減させる。そして、これは、選択された温度快適性閾値の中に留まりながら、より強力なTTフィールドの使用を可能にする。代替的に、本発明構築体の利点は、TTフィールドがパワーダウンまたはターンオフされる必要がある時間の低減において現実化され得、連続的な治療のより長い持続期間を可能にすることができる。
【0054】
1つの実施形態では、発泡体層154は、約1mmから約2mmの間の厚さになっている。いくつかの実施形態において、発泡体層154は、2mmよりも大きくなっているかまたは1mmよりも小さくなっていることが可能である。発泡体層154の厚さは、たとえば、所望の圧縮性、可撓性、耐久性、伝導性、および/もしくは伸縮性、または、それらのいくつかの組み合わせに基づいて選択され得る。
【0055】
1つの実施形態では、発泡体層154は、強力な生体適合性を有しており、アレイアッセンブリ144の他の層またはコンポーネントとの低い反応性を有している。1つの実施形態では、発泡体層154は、オープンセル発泡体から構成されており、一方では、他の実施形態では、発泡体層154は、クローズドセル発泡体から構成されており、または、オープンセル発泡体とクローズドセル発泡体の両方のさまざまな量から構成されている。
【0056】
1つの実施形態では、誘電体層192が存在しない場合、発泡体層154は、電極層162に電気的に連結されている。
【0057】
1つの実施形態では、ゲル層158は、発泡体層154と電極層162との間に配設され得る(
図5を参照)。1つの実施形態では、ゲル層158は、ゲル(たとえば、伝導性ゲル、ヒドロゲル、または伝導性ヒドロゲルなど)を含む。1つの実施形態では、ゲル層158は、発泡体層154に適用される。発泡体層154(その中に形成された複数のポケットを有している)は、複数のポケットのうちの1つまたは複数の中に(または、さらにはその大部分の中に)ゲル層158の一部分を受け入れることが可能である。
【0058】
1つの実施形態では、ゲル層158は、発泡体層154の皮膚に面する表面156の上に配設されている。1つの実施形態では、発泡体層154がゲル層158を吸収または吸着するときに、ゲル層158は、発泡体層154の皮膚に面する表面156とその反対側の両方にあると考えられ得る。
【0059】
1つの実施形態では、ゲル層158は、約1000分の10インチ(10milまたは0.254mm)から1000分の20インチ(20milまたは0.508mm)の間の厚さになっている。1つの実施形態では、ゲル層158は、発泡体層154と接触しており、発泡体層154と接触している状態で重合され得る。1つの実施形態では、ゲル層158は、液体ヒドロゲルとして発泡体層154に適用されており、それは、次いで硬化され(または、重合され)、発泡体層154の上に半固体のゲル層158を形成し、発泡体層154の複数のポケットの中へ埋め込まれる。
【0060】
1つの実施形態では、ゲル層158は、電気伝導を可能にするためにその中に自由イオンの供給源を提供するバルク電子輸送剤を有する伝導性ゲルを含む。1つの実施形態では、ゲル層158は、主に伝導性ゲルまたは半固体の伝導性ゲルから形成されている。存在するときには、ゲルの中の自由イオンの供給源は、ゲルの中で実質的に自由に浮遊することができる自由イオンの供給源としての役割を果たす任意の塩または他の物質であることが可能であり、自由イオンは、電気を伝導させる役割を果たし、したがって、インピーダンスを低減させる。1つの実施形態では、ゲル層158は、ポリマーヒドロゲルを含む。1つの実施形態では、ゲル層158は、接着剤特性を有している。
【0061】
バルク電子輸送剤は、伝導性ゲルの電気伝導率および/または熱伝導率を強化することができる任意の物質であることが可能である。特定の非限定的な実施形態において、バルク電子輸送剤は、1つまたは複数のイオン化合物、1つもしくは複数の金属、または1つもしくは複数の非金属、および、それらの任意の組み合わせを含む。特定の非限定的な実施形態において、バルク電子輸送剤は、非晶質炭素および/または結晶性炭素を含む。本開示にしたがって利用され得るバルク電子輸送剤の特定の(しかし、非限定的な)例は、カーボンブラック、グラフェン、およびグラファイトを含む。
【0062】
1つの実施形態では、ゲル層158は、下記に説明されているように、主に伝導性ゲルまたは半固体の伝導性ゲルから形成されている。ゲル層158は、アレイアッセンブリ144が本開示にしたがって機能することを可能にする任意の形態になっていることが可能である。ゲル層158が十分な厚さのものであり、ゲル層158が治療の間に乾燥しない限りにおいて、ゲル層158の正確な厚さは重要でない。好ましくは、ゲル層158は、高い伝導性を有しており、粘着性があり、長期の時間の期間にわたって生体適合性である。1つの適切なゲルは、AG603 Hydrogelであり、それは、AmGel Technologies, 1667 S. Mission Road, Fallbrook, Calif. 92028-4115, USAから入手可能である。本明細書で教示されているゲル層158は、「Conductive Pad Generating Tumor Treating Field and Methods of Production and Use Thereof」という標題の特許文献11に詳細に開示されているような、修正されたヒドロゲル(それは、穿孔だけでなく、凹部、突出部なども含む)とともに使用され得、その文献は、その全体が本明細書に組み込まれている。
【0063】
伝導性ゲルは、組成物が本開示にしたがって機能することを可能にする任意の形態になっていることが可能である。たとえば(限定としてではないが)、伝導性ゲルは、ヒドロゲルまたはヒドロコロイドの形態になっていることが可能である。
【0064】
ある特定の(しかし、非限定的な)実施形態において、伝導性ゲルは無菌である。加えて、特定の非限定的な実施形態において、伝導性ゲルは、ガンマ線またはエチレンオキシドガスを含む殺菌条件に露出されるときに、実質的に劣化しないこととなる。
【0065】
伝導性ゲルは、伝導性ゲルが本開示にしたがって機能することを可能にする任意の親水性のポリマーから形成され得る。たとえば(限定としてではないが)、伝導性ゲルは、ポリアクリル酸ゲル、ポビドンゲル、またはセルロースゲルであることが可能である。加えて、伝導性ゲルは、キトサン、アルギン酸塩、アガロース、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲン、ラミニン、マトリゲル、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ポリ-1-リシン、プロテオグリカン、フィブリン糊、人工組織および/または天然組織の脱細胞化によって作製されたゲル、ならびに、それらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことが可能である。さらに、伝導性ゲルは、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-カプロラクトン(PCL)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、メチルメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PolyHEMA)、ポリ(グリセロールセバケート)、ポリウレタン、ポリ(イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、または、それらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことが可能である。
【0066】
特定の非限定的な実施形態において、伝導性ゲルは、以下の化学的なおよび構造的な特徴/特性:約1nmから約200nmの範囲にあるポリマー鎖長さ;約0.1mMから約1Mの範囲にある濃度で存在する自由塩;約6から約8の範囲にあるpH;約100Ohm-in未満の体積抵抗率;少なくとも約100g/インチの皮膚接着レート;および、約10milから約50milの範囲にある厚さのうちの1つまたは複数を含む。
【0067】
加えて、患者の皮膚への伝導性ゲル組成物の長時間露出を所与として、伝導性ゲルは、体温(たとえば、約34℃から約44℃の範囲にある)での使用のために最適化されるべきである。
【0068】
伝導性ゲルのポリマーは、伝導性ゲル組成物が本明細書で説明されているように機能することを可能にする任意のポリマー鎖長さを提供され得る。たとえば(限定としてではないが)、ポリマー鎖長さは、約1nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、約10nm、約15nm、約20nm、約25nm、約30nm、約35nm、約40nm、約45nm、約50nm、約55nm、約60nm、約65nm、約70nm、約75nm、約80nm、約85nm、約90nm、約95nm、約100nm、約105nm、約110nm、約115nm、約120nm、約125nm、約130nm、約135nm、約140nm、約145nm、約150nm、約155nm、約160nm、約165nm、約170nm、約175nm、約180nm、約185nm、約190nm、約195nm、約200nm、およびそれ以上、ならびに、上記の値のうちの任意の2つを組み合わせた範囲(たとえば、約3nmから約175nmの範囲、約5nmから約150nmの範囲、または、約10nmから約125nmの範囲、約15nmから約100nmの範囲など)、および、上記の値のうちの2つの間に入る2つの整数を組み合わせた範囲(たとえば、約3nmから約157nmの範囲など)にあることが可能である。
【0069】
他の非限定的な実施形態において、ポリマー鎖長さの範囲は、交流電界の周波数に依存する。たとえば(限定としてではないが)、ポリマー鎖長さの範囲は、交流電界の周波数の範囲に基づき得る。非限定的な例は、交流電界が約50kHzから約150kHzの範囲の周波数を有するときには約5nmから約50nmの範囲、交流電界が約150kHzから約300kHzの範囲の周波数を有するときには約50nmから約100nmの範囲などを含む。
【0070】
特定の非限定的な実施形態において、伝導性ゲルは、既存のゲル組成物と比較して、減少されたポリマー鎖長さおよび追加された自由塩のうちの少なくとも1つを有している。ポリマー鎖長さの減少、および、自由塩濃度の増加は、伝導性ゲルによって引き起こされる皮膚炎症の発生を低減させながら、伝導性ゲルの伝導性をさらに強化する。特定の(しかし、非限定的な)実施形態において、伝導性ゲルは、伝導性ゲルの中への組み込みを介して存在する、または、多層のゲル(たとえば、二重層のゲル)の1つの層として存在する、自由塩を含む。「自由塩」という用語は、塩イオンを指しており、それは、重合化された鎖構造の一部として組み込まれているのではなく、伝導性ゲルの中に実質的に自由に浮遊しており、したがって、それは、自由イオンの供給源であり、自由イオンは、電気を伝導し、したがって、インピーダンスを低減させる。
【0071】
自由塩が伝導性ゲルの中に存在しているときに、自由塩は、伝導性ゲルの中に実質的に自由に浮遊することができる自由イオンの供給源としての役割を果たす任意の塩または他の物質であることが可能であり、自由イオンは、電気を伝導させる役割を果たし、したがって、インピーダンスを低減させる。ある特定の(しかし、非限定的な)実施形態において、伝導性ゲルの中に存在している自由塩は、塩化物イオン、クエン酸塩イオン、銀イオン、ヨウ化物イオンなど、または、良好な導体であることが知られている任意の他のイオンの供給源である。本開示にしたがって利用され得る自由塩の非限定的な例は、カリウム(K)、アンモニウム(NH4+)、ナトリウム(Na)、硝酸塩、および重炭酸塩などを含有する塩であることが可能である。本開示にしたがって利用され得る自由塩の特定の非限定的な例は、NaCl、KCl、CaCl2、MgCl2、ZnCl2、ヨウ化銀(AgI)、クエン酸二水素銀(SDC)、クエン酸二水素ナトリウム、および、それらの組み合わせなどである。
【0072】
ゲルの中に存在している自由塩は、伝導性ゲル組成物が本明細書で説明されているように機能することを可能にする任意の濃度によって提供され得る。たとえば(限定としてではないが)、自由塩濃度は、少なくとも約0.1mM、約0.5mM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、約90mM、約95mM、約100mM、約150mM、約200mM、約250mM、約300mM、約350mM、約476mM、約450mM、約576mM、約550mM、約676mM、約650mM、約776mM、約750mM、約876mM、約850mM、約976mM、約950mM、約1M、またはそれ以上、ならびに、任意の上記の値のうちの任意の2つを組み合わせた範囲(たとえば、約0.1mMから約100mMの範囲、約1mMから約50mMの範囲など)、および、上記の値のうちの2つの間に入る2つの整数を組み合わせた範囲(たとえば、約12mMから約550mMの範囲など)であることが可能である。
【0073】
他の非限定的な実施形態において、自由塩濃度は、交流電界の周波数に依存する。たとえば(限定としてではないが)、自由塩濃度の範囲は、交流電界の周波数の範囲に基づき得る。非限定的な例は、交流電界が約50kHzから約150kHzの範囲の周波数を有するときには約0.1mMから約50mMの範囲、交流電界が約150kHzから約300kHzの範囲の周波数を有するときには約50mMから約100mMの範囲などを含む。
【0074】
伝導性ゲルは、伝導性ゲルへの長時間露出のときに患者の皮膚を損傷させないかまたは皮膚の化学的な炎症を引き起こさない任意のpHによって提供され得る。たとえば(限定としてではないが)、伝導性ゲルは、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、および、上記の値のいずれかから形成された範囲(たとえば、約6から約8の範囲、約6.5から約7.5の範囲など)のpHを有することが可能である。
【0075】
伝導性ゲルは、ゲルの伝導性を最大化する任意のレベルの体積抵抗率によって提供され得る。たとえば(限定としてではないが)、伝導性ゲルは、約100Ohm-in未満、約95Ohm-in未満、約90Ohm-in未満、約85Ohm-in未満、約80Ohm-in未満、約75Ohm-in未満、約70Ohm-in未満、約65Ohm-in未満、約60Ohm-in未満、約55Ohm-in未満、約50Ohm-in未満、約45Ohm-in未満、約40Ohm-in未満、約35Ohm-in未満、約30Ohm-in未満、約25Ohm-in未満、約20Ohm-in未満、約15Ohm-in未満、約10Ohm-in未満、またはそれ以下、ならびに、上記の値のいずれかから形成された範囲(たとえば、約10Ohm-inから約100Ohm-inの範囲など)、および、上記の値のうちの2つの間に入る2つの整数を組み合わせた範囲(たとえば、約13Ohm-inから約96Ohm-inの範囲など)の体積抵抗率を有することが可能である。
【0076】
伝導性ゲルは、伝導性ゲルが本開示にしたがって機能することを可能にする任意の皮膚接着レートによって提供され得る。たとえば(限定としてではないが)、ゲルの皮膚接着レートは、少なくとも約100g/インチ、少なくとも約110g/インチ、少なくとも約120g/インチ、少なくとも約130g/インチ、少なくとも約140g/インチ、少なくとも約150g/インチ、少なくとも約160g/インチ、少なくとも約170g/インチ、少なくとも約180g/インチ、少なくとも約190g/インチ、少なくとも約200g/インチ、少なくとも約210g/インチ、少なくとも約220g/インチ、少なくとも約230g/インチ、少なくとも約240g/インチ、少なくとも約250g/インチ、少なくとも約260g/インチ、少なくとも約270g/インチ、少なくとも約280g/インチ、少なくとも約290g/インチ、少なくとも約300g/インチ、またはそれ以上、ならびに、上記の値のいずれかの範囲(約120g/インチから約300g/インチの範囲など)、および、上記の値のうちの2つの間に入る2つの整数を組み合わせた範囲(たとえば、約115g/インチから約295g/インチの範囲など)にあることが可能である。
【0077】
伝導性ゲルは、伝導性ゲルが本開示にしたがって機能することを可能にする任意の厚さによって提供され得る。本開示にしたがって利用され得る厚さの非限定的な例は、約1mil、約5mil、約10mil、約15mil、約20mil、約25mil、約30mil、約35mil、約40mil、約45mil、約50mil、約55mil、約60mil、約65mil、約70mil、約75mil、約80mil、約85mil、約90mil、約95mil、約100mil、またはそれ以上、ならびに、上記の値のうちの任意の2つを組み合わせた範囲(たとえば、約10milから約50milの範囲など)、および、上記の値のうちの2つの間に入る2つの整数を組み合わせた範囲(たとえば、約12milから約48milの範囲など)を含む。
【0078】
ある特定の(しかし、非限定的な)実施形態において、伝導性ゲルは、少なくとも約6カ月の保存可能期間を有している。たとえば(限定としてではないが)、伝導性ゲルは、少なくとも約9カ月または少なくとも約12カ月の保存可能期間を有している。
【0079】
1つの実施形態では、ゲル層158は、発泡体層154の中へおよび発泡体層154の全体を通して埋め込まれている。たとえば、発泡体層154が非伝導性発泡体である場合には、埋め込まれたゲル層158は、発泡体層154がゲル層158とファブリック層150との間で伝導性になることを引き起こすことが可能であり、それによって、電気信号(たとえば、TTフィールド信号など)が非伝導性発泡体を通過することを可能にする。1つの実施形態では、ゲル層158は、発泡体層154を通って延在し、ファブリック層150にさらに接触することが可能である。
【0080】
1つの実施形態では、電極層162は、ゲル層158と接触している。1つの実施形態では、
図5に示されているように、電極層162は、
図3に関して上記に説明されているように、パッド70の中の構成要素である。この実施形態では、それぞれの電極エレメント104は、互いに空間的に配設されており、ゲル層158と耐久性トップコート層140との間に配設されており、ゲル層158と耐久性トップコート層140の両方と接触している。いくつかの実施形態において、パッド70は、耐久性トップコート層140およびゲル層158の表面積よりも小さい表面積を有することが可能であり、それによって、耐久性トップコート層140の少なくとも一部分がゲル層158の一部分と接触することを引き起こす。電極エレメント104の実施形態のより詳述されたダイアグラムが、
図6に示されている。
【0081】
1つの実施形態では、電極層162の電極エレメント104は、下記に説明されているような誘電体層192を含まない。これらの実施形態では、電極エレメント104は、発泡体層154と接触していることが可能である。さらに、電極エレメント104は、発泡体層154と電気的接触をしていることが可能であり、発泡体層154が電界発生器54からTT信号を受け取るようになっている。
【0082】
1つの実施形態では、アレイアッセンブリ144は、圧縮層170を含む。圧縮層170は、アレイアッセンブリ144が患者の上に設置されているときに、パッド70と患者の皮膚との間に圧縮を引き起こすように動作可能な外部被覆であることが可能である。1つの実施形態では、圧縮層170は、衣類(たとえば、シャツ、下着、またはパンツ)の形態になっている。この実施形態では、ファブリック層150は、圧縮層170に縫い付けられるかまたはその他の方法で貼り付けられ得、患者が衣類を脱いだりまたは着たりするときに、パッド70が圧縮層170に対して実質的に移動しないようになっている。1つの実施形態では、圧縮層170は、非伝導性である。
【0083】
1つの実施形態では、圧縮層170およびファブリック層150は、一緒に縫い付けられ、ポケットを形成している。この実施形態では、ユーザー(たとえば、患者または医療提供者など)は、ポケットの中へパッド70を設置することが可能である。いくつかの実施形態において、ポケットは、次いで、たとえばボタンまたは面ファスナーなどによって閉じられ得る。
【0084】
1つの実施形態では、パッド70は、除去可能な保護層176をさらに含む。除去可能な保護層176は、パッド70が圧縮層170およびファブリック層150とは別個に構築されることおよび後の時点で一緒に設置されてアレイアッセンブリ144を形成することを可能にする。ファブリック層150と圧縮層170との間にパッド70を設置するステップは、治療現場において患者または医療提供者によって達成され得、または、アレイアッセンブリ144の製造業者によって達成され得る。
【0085】
1つの実施形態では、誘電体層192が、パッド70の中に提供されている。誘電体層192は、1つまたは複数の誘電材料から構築されており、絶縁体として機能する。いくつかの実施形態において、誘電体層192は、セラミック材料を含む。他の実施形態において、誘電体層192は、可撓性である。いくつかの好適な実施形態において、誘電体層192は、ポリ(フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-クロロトリフルオロエチレン)および/またはポリ(フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン-1-クロロフルオロエチレン)を含む。それらの2つのポリマーは、「Poly(VDF-TrFE-CtFE)」および「Poly(VDF-TrFE-CFE)」とそれぞれ略される。これらの実施形態は、これらの材料の誘電率が40のオーダーであるので、とりわけ有利である。TTフィールドは誘電体層192を通して容量的に連結されているので、および、静電容量は誘電体層192の厚さに反比例しているので、誘電体層192は、好ましくは、可能な限り薄くなっている(たとえば、10μm未満または5μm未満)。他方では、誘電体層192は、薄くなり過ぎないべきである。その理由は、それが、製造性を害し、層の構造的な完全性を損ない、AC信号が印加されるときに誘電破壊のリスクを生じさせる可能性があるからである。いくつかの好適な実施形態において、誘電体層192は、少なくとも1μmの厚さを有している。いくつかの好適な実施形態において、誘電体層192は、1~3μmの間の厚さになっており(たとえば、約2μm)、それは、上記に述べられているパラメーター間の良好なバランスを提供する。好ましくは、誘電体層192の厚さは、均一である。しかし、代替的な実施形態において、厚さは、不均一であることも可能である。
【0086】
随意的に、セラミックナノ粒子が、Poly(VDF-TrFE-CtFE)および/またはPoly(VDF-TrFE-CFE)の中へ混合され得る。随意的に、これらのセラミックナノ粒子は、チタン酸バリウムおよびチタン酸バリウムストロンチウムのうちの少なくとも1つを含むことが可能である。
【0087】
代替的な実施形態において、Poly(VDF-TrFE-CtFE)および/またはPoly(VDF-TrFE-CFE)から誘電体層192を形成する代わりに、高い誘電率および/または高いレベルの静電容量を提供する異なるポリマーが使用され得る。これらの異なるポリマーに関する要件は、以下の通りである:(1)50kHzから500kHzの間の少なくとも1つの周波数において、ポリマー層は、少なくとも20の誘電率を有している;(2)誘電体層192は、20ミクロン未満の厚さを有している;および、(3)誘電体層192の厚さにその誘電強度を乗じたものは、少なくとも200Vである。Poly(VDF-TrFE-CtFE)および/またはPoly(VDF-TrFE-CFE)の代わりに使用され得る代替的なポリマーの例は、以下のものを含む:(1)Poly(VDF-TrFE)、P(VDF-HFP)、PVDFのうちの少なくとも1つの中へ混合されたセラミックナノ粒子;ならびに、(2)Poly(VDF-TrFE)、P(VDF-HFP)、PVDF(ここで、Poly(VDF-TrFE)、P(VDF-HFP)、およびPVDFは、それぞれ、ポリ(フッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)、およびポリ(フッ化ビニリデン)である)のうちの少なくとも1つの中へ混合されたチタン酸バリウムおよび/またはチタン酸バリウムストロンチウムセラミックナノ粒子。
【0088】
いくつかの好適な実施形態において、誘電体層192の厚さは、10μm未満であり、いくつかの好適な実施形態において、誘電体層192の厚さは、5μm未満である。いくつかの好適な実施形態において、誘電体層192の厚さにその誘電強度を乗じたものは、少なくとも476Vである。いくつかの好適な実施形態において、誘電体層192は、200kHzにおいて測定される少なくとも20の誘電率を有している。
【0089】
ここで
図6を参照すると、本開示にしたがって構築された電極アッセンブリ180の例示的な実施形態の断面図が、ここで示されている。
図6に示されているように、電極アッセンブリ180は、少なくとも1つの電極エレメント104を含む。電極エレメント104は、
図6に示されているように、少なくとも1つの導体188および誘電体層192を含み、随意的に、少なくとも1つの非伝導層184をさらに含むことが可能である(それは、たとえば、耐久性トップコート層140であることが可能である)。1つの実施形態では、誘電体層192は、高静電容量層である。1つの実施形態では、電極アッセンブリ180は、少なくとも部分的にそれを通して配設されている少なくとも1つの随意的な開口部196をさらに含む。1つの実施形態では、電極アッセンブリ180は、「Apparatus and Method for Treating a Tumor or the Like」という標題の特許文献2に開示されているように構築され得、その文献の内容全体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0090】
ここで
図7を参照すると、本開示にしたがって構築されたファブリック層150の例示的な実施形態の上面図が、ここで示されている。一般的に、ファブリック層150は、1つまたは複数の伝導性スレッド224a~224nに接続されている非伝導性スレッド220を含む。たとえば、非伝導性スレッド220は、伝導性スレッド224a、伝導性スレッド224b、および伝導性スレッド224cとして
図7に示されている1つまたは複数の伝導性スレッド224a~224nと織り合わせられ得る。伝導性スレッド224a~224nのそれぞれは、非伝導性スレッド220とともに織られ得る。1つの実施形態では、伝導性スレッド224a~224nは、ファブリック層150を横切って延在しており、ファブリック層150を横切って実質的に連続的な伝導性領域を生成させるようになっている。ファブリック層150は、複数の穿孔228を含むことが可能であり、複数の穿孔228は、ファブリック層150の隣接して配設された非伝導性スレッド220および/または伝導性スレッド224の間のスペースによって形成され得る。
【0091】
1つの実施形態では、ファブリック層150は、発泡体層154の皮膚に面する表面156の少なくとも一部分をカバーしている。他の実施形態において、ファブリック層150は、発泡体層154の皮膚に面する表面156の全体をカバーしている。随意的に、除去可能な保護層176は、ファブリック層150とおよび発泡体層154の皮膚に面する表面156との間に存在することが可能である(
図5を参照)。
【0092】
非伝導性スレッド220および伝導性スレッド224は、織られたフォーマットまたは織られていないフォーマットで一緒に接続され得る。織られていないフォーマットでは、非伝導性スレッド220および伝導性スレッド224は、非伝導性スレッド220および伝導性スレッド224を機械的に、熱的に、または化学的に絡ませることによって結合され得る。非伝導性スレッド220および伝導性スレッド224は、ファブリック層150が平坦になるかまたはタフティッド状(tufted)になるような様式で、一緒に結合され得る。ファブリック層150は、伝導性スレッド224および随意的に非伝導性スレッド220を有する任意のタイプのファブリック(たとえば、織られたファブリック、織られていないファブリック、もしくはニットファブリック、または、それらの任意の組み合わせなど)から構築され得る。
【0093】
1つの実施形態では、非伝導性スレッド200のための材料は、望ましい特性(たとえば、それに限定されないが、強力な生体適合性、および、
図5に示されているようなパッド70の他の層またはコンポーネントとの低い反応性など)を有する任意の非伝導性材料から選択され得る。
【0094】
1つの実施形態では、ファブリック層150は、接着剤特性を有しており、ファブリック層150が、患者の上の特定の場所に設置されているときに、その特定の場所に留まる傾向を有するようになっている。いくつかの実施形態において、ファブリック層150は、圧縮層170とともに、患者の身体の一部分の上に、しっかりと、囲む様式で、および、フォームフィッティング様式でフィットするようにサイズ決めされており、ファブリック層150と患者の皮膚との間の電気伝導率を維持するようになっている。ファブリック層150は、圧縮層170とともに、タイトフィッティングガーメントまたはブレースとして使用するのに適切な構成へと形成され得る。たとえば、圧縮層170は、チューブ状の構成へと形成され得、膝ブレースとして使用され得、膝ブレースは、ファブリック層150が患者の膝の上に設置されているときに、患者の膝を取り囲む。別の実施形態では、圧縮層170は、一方の端部に取り付けメカニズム(たとえば、バックル、または、面ファスナー(Velcro(登録商標))など)を有するベルト状の構成へと形成され得、それは、圧縮層170の少なくとも一部分と患者との間にファブリック層150を備えたバックブレースとして使用するのに適切である。ファブリック層150および圧縮層170は、パッド70を受け入れるように動作可能なポケットを形成するように縫い合わせられ得る。したがって、パッド70は、患者に対して適切な場所に保持され得る。
【0095】
1つの実施形態では、伝導性スレッド224は、伝導性材料から構築され得、伝導性材料は、非伝導性スレッド220に結合され得、および/または、非伝導性スレッド220とともに織られることができ、ならびに、伝導性スレッド224に沿って伝導性を損なうことなく、複数の歪みに耐えることができる。たとえば、伝導性スレッド224は、望ましい特性(たとえば、それに限定されないが、高い伝導性、強力な生体適合性、および、アレイアッセンブリ144の他の層またはコンポーネントとの低い反応性など)を有する任意の伝導性材料から選択され得る。1つの実施形態では、伝導性スレッド224は銀、銅、スズ、アルミニウム、チタン、プラチナ、炭素、それらの合金、および/または、それらのいくつかの組み合わせのうちの1つまたは複数によって作製されるか、それと結合されているか、または、それによってコーティングされた伝導性材料から選択される。1つの実施形態では、伝導性スレッド224は、TTフィールドを発生させるのに適切な電圧およびアンペア数の伝導性を支持するのに十分な、および、アレイアッセンブリ144の可撓性の輪郭矯正を引き起こすのに十分な厚さのものである。
【0096】
図7は、3つの伝導性スレッド224a~224cを示しているが、しかし、ファブリック層150の中の伝導性スレッド224の数は、3つよりも多くなっていることもまたは3つよりも少なくなっていることも可能であるということが理解される。さらに、伝導性スレッド224a~224nは、非伝導性スレッド220とともにファブリック層150の中に実質的に均一に空間的に配設されているように示されているが、伝導性スレッド224a~nは、ファブリック層150の非伝導性スレッド220間に通され、縫い付けられ、または、その他の方法で配設され得るということが理解される。1つの実施形態では、ファブリック層150は、非伝導性スレッド220を含まない。
【0097】
ここで
図8を参照すると、本開示にしたがって構築された発泡体層154の例示的な実施形態のダイアグラムが、ここで示されている。上記に説明されているように、発泡体層154は、固体の連続相材料239と、固体の連続相材料239の全体を通して散在された1つまたは複数のポケット240とを含むことが可能である。1つまたは複数のポケット240のそれぞれは、ポケット240a~240cによって示されているように、発泡体層154の表面(たとえば、皮膚に面する表面156など)の上にあることが可能であり、または、ポケット240dによって示されているように、発泡体層254の内部にあることが可能である。皮膚に面する表面156の上のポケット240a~240cは、部分的に露出され得(たとえば、ポケット240cなど)、半露出され得(たとえば、ポケット240bなど)、または、大部分が露出され得る(たとえば、ポケット240aなど)。
【0098】
1つの実施形態では、それぞれのポケット240は、約80milから約120milの間の直径を有している。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のポケット240は、120milよりも大きい直径を有している。
【0099】
さらに、ゲル層158が発泡体層154の皮膚に面する表面156の上に配設されているときのゲル層158が、
図8に示されている。示されているように、ゲル層158は、発泡体層154によって吸収または吸着され得、発泡体層154の内部にあるポケット240(たとえば、ポケット240dなど)がゲル層158からのゲルによって少なくとも部分的に充填されるようになっている。追加的に、ポケット240aおよびポケット240cは、ゲル層158からのゲルを有するものとして示されている。しかし、いくつかの事例において、ゲル層158の製造または特性に起因して、ポケット240bによって示されているように、すべてのポケット240がゲル層158からのゲルによって充填されるとは限らない可能性がある。いくつかのケースでは、1つまたは複数のポケット240は、ゲル層158からのゲルによって部分的に充填され得る。
【0100】
1つの実施形態では、ゲル層158は、液体ゲル(たとえば、液体ヒドロゲルなど)として発泡体層154に適用され、それが発泡体層154に適用された後に硬化または重合される。
【0101】
ここで
図9を参照すると、本開示にしたがって構築されたアレイアッセンブリ250の例示的な実施形態の断面が、ここで示されている。アレイアッセンブリ250は、電極エレメント104によって形成された電極層162を有するパッド70が、電極エレメント136によって形成された電極層162を有するパッド70cであるということを除いて、アレイアッセンブリ144(
図5を参照、および、同様のラベル付けがなされている)と同様に構築され得る。
【0102】
ここで
図10を参照すると、本開示にしたがって構築されたパッド70dの例示的な実施形態の断面ダイアグラムが、ここで示されている。パッド70dは、一般的に、発泡体層154に接続されている伝導性リード58の第2の端部66を含む。この実施形態では、発泡体層154は、TTフィールドを発生させるように動作可能な電界発生器54からのTTフィールド信号を受け取る伝導性発泡体である。パッド70aおよびパッド70bのうちの1つまたは複数は、パッド70dによって置換され得る。
【0103】
この実施形態では、パッド70dは、ゲル層158をさらに含むことが可能であり、ゲル層158は、発泡体層154の皮膚に面する表面156の上に配設され得る。上記により詳細に議論されているように、ゲル層158は、発泡体層154の中へ吸収または吸着され得、発泡体層154が発泡体層154の中の複数のポケット240の中にゲル層158の少なくとも一部分を含むようになっている。
【0104】
ここで
図11を参照すると、本開示にしたがって構築されたパッド70eの例示的な実施形態の上面図のダイアグラムが、ここで示されている。パッド70eは、発泡体層154が1つまたは複数の多角形形状274へと形状決めされているということを除いて、パッド70、パッド70c、またはパッド70dのうちの1つと同様に構築され得る。
図11に示されている多角形形状274は、正(等辺)六角形として示されているが、しかし、他の実施形態では、発泡体層154は、6つの辺よりも少ないまたは多い数の辺を有する他の多角形へと形状決めされ得る。たとえば、発泡体層154は、たとえば、三角形、正方形、または五角形へと形状決めされ得る。他の実施形態において、多角形形状274は、七角形、八角形、九角形、十角形、または、さらに多い数の辺を有する他の多角形であることが可能である。
【0105】
1つの実施形態では、多角形形状274は、パッド70eの中で1回または複数回繰り返され得る。いくつかの実施形態において、パッド70eは、第1の形状を有する第1の多角形形状274と、第2の形状を有する第2の多角形形状とを含むことが可能であり、ここで、第1の形状と第2の形状とは異なる。
【0106】
1つの実施形態では、それぞれの多角形形状274は、空間的に配設されており、非伝導性(または、誘電体)材料によって互いに分離されている。しかし、いくつかの実施形態において、それぞれの多角形形状274は、空間的に配設されており、伝導性材料によって互いに分離されている。
【0107】
1つの実施形態では、パッド70のそれぞれの電極エレメント104は、多角形形状274の中に配設されている。この実施形態では、それぞれの電極エレメント104は、多角形形状274の中心に配設され得、もしくは、別の電極エレメント104から特定の距離に配設され得、または、その両方であり得る。
【0108】
1つの実施形態では、それぞれの多角形形状274は、パッド70eが、患者の頭部に設置されるときに、その患者の頭部に輪郭を合わせるようにサイズ決めされている。いくつかの実施形態において、それぞれの多角形形状274は、約1インチよりも大きく約2インチよりも小さい直径を有している。他の実施形態において、それぞれの多角形形状は、約2インチよりも大きく約4インチよりも小さい直径を有している。1つの実施形態では、すべての多角形形状274は、おおよそ同じサイズであるが、他の実施形態では、1つまたは複数の多角形形状274は、同じサイズではない。
【0109】
図11に示されている1つの実施形態では、それぞれの多角形形状274は、パッド70eの中に均一に配設されているが、しかし、他の実施形態では、それぞれの多角形形状274は、パッド70eの中に均一に配設されていない。追加的に、いくつかの実施形態において、多角形形状274は、正(または、等辺)多角形ではなく、2つ以上の辺が長さに関して不等である多角形であってもよく、または、代替的にもしくは追加的に、丸みを帯びた頂点を有していてもよい。追加的に、いくつかの実施形態において、多角形形状274は、凸形多角形形状の代わりに凹形多角形を含む。
【0110】
ここで
図12を参照すると、患者にTTフィールドを印加するために電子的装置50を使用するプロセス300の例示的な実施形態が、ここで示されている。プロセス300は、一般的に、2つのパッドを患者の皮膚に適用するステップ(ステップ304)と、所定の時間の期間にわたって、約50kHzから約500kHzの範囲の周波数を有する交流電界(TTフィールド)を発生させるステップ(ステップ308)とを含む。
【0111】
1つの実施形態では、2つのパッドを患者の皮膚に適用するステップ(ステップ304)は、パッド70、パッド70a、パッド70b、パッド70c、パッド70d、またはパッド70eのうちの1つまたは複数を選択するステップと、選択されたパッドを患者の皮膚に適用するステップとを含む。
【0112】
1つの実施形態では、2つのパッドを患者の皮膚に適用するステップ(ステップ304)は、2つ以上のパッドを患者の皮膚に適用するステップを含む。いくつかの実施形態において、患者の皮膚に適用されるパッド70の数は、ユーザーによって(たとえば、医療専門家などによって)決定されるような療法的な利益を有するTTフィールドを印加するために必要とされるパッド70の数によって決定される。
【0113】
2つのパッドを適用するステップ(ステップ304)は、ユーザーによって実施され得る。1つの実施形態では、選択されたパッドを患者の皮膚に適用する前に、患者の皮膚は、クリーニングされることを必要とする可能性がある(たとえば、それに限定されないが、必要な場合には、異物または生物学的物質の皮膚のクレンジング、および皮膚の剃毛など)。
【0114】
交流電界(TTフィールド)を発生させるステップ(ステップ308)は、電界発生器54によって実施され得、また、ユーザーまたは制御ボックス74によって実施される動作によってインスタンス化され得る。1つの実施形態では、ステップ308は、2回以上実施され得、ステップ308が第1の時間に実施される時間の期間は、ステップ308が第2の時間に実施される時間の期間(または、第2の時間を超える他の時間の期間)と同じであってもよくまたは異なっていてもよい。
【0115】
いくつかの実施形態において、ステップ308は、プロセス300が繰り返される前に1回だけ実施される。プロセス300が繰り返されるそれぞれの時間の間に時間期間が存在していることが可能である。プロセス300が繰り返されるたびに、時間期間は、以前の時間期間と同じであってもよくまたは異なっていてもよい。プロセス300が繰り返されるたびに、選択されたパッドは、患者の皮膚の上の同じ位置にまたは異なる位置に設置され得る。
【0116】
1つの実施形態では、所定の時間の期間にわたって約50kHzから約500kHzの範囲の周波数を有する交流電界(TTフィールド)を発生させるステップ(ステップ308)の前に、ユーザーは、選択されたパッドを電界発生器54に接続する(または、電気的に連結する)。
【0117】
本発明概念の非限定的な例示的実施形態
例示的実施形態1. 被検者の身体にTTフィールドを送達するためのシステムであって、50kHzから500kHzの範囲の周波数において交流電流波形を有する電気信号を発生させるように構成されている電界発生器と;電界発生器に電気的に連結されている第1の伝導性リードであって、電気信号を伝達するように構成されている、第1の伝導性リードと;第1の伝導性リードに連結されている第1のパッドであって、第1のパッドは、伝導性発泡体および第1の伝導性ゲルエレメントを有しており、伝導性発泡体は、第1の伝導性リードから電気信号を受け取り、伝導性発泡体は、固体の連続相材料を有しており、固体の連続相材料は、伝導性材料から構築されているか、または、連続相材料に取り付けられているか、吸収されているか、もしくは吸着されている伝導性材料を有しているかの少なくとも1つであり、伝導性発泡体は、固体の連続相材料の全体を通して散在された複数のポケットを画定しており、第1の伝導性ゲルエレメントは、伝導性発泡体に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されている、第1のパッドと;電界発生器に電気的に連結されている第2の伝導性リードであって、電気信号を伝達するように構成されている、第2の伝導性リードと;第2の伝導性リードに連結されている第2のパッドであって、第2のパッドは、第2の電極エレメントを有しており、第2の伝導性リードから電気信号を受け取り、第2の電極エレメントは、第2の伝導性ゲルエレメントに接続されている、第2のパッドと;を含む、システム。
【0118】
例示的実施形態2. 固体の連続相材料の伝導性材料は、銀を含む、例示的実施形態1に記載のシステム。
【0119】
例示的実施形態3. 第1のパッドは、少なくとも1つの電極層および誘電体層をさらに含み、誘電体層は、少なくとも1つの電極層と伝導性発泡体との間に位置決めされている、例示的実施形態1または2に記載のシステム。
【0120】
例示的実施形態4. 電極層は、複数の空間的に配設された電極エレメントを含む、例示的実施形態3に記載のシステム。
【0121】
例示的実施形態5. 誘電体層は、複数の空間的に配設された誘電体エレメントを含む、例示的実施形態3に記載のシステム。
【0122】
例示的実施形態6. 誘電体エレメントは、可撓性のポリマー材料を含む、例示的実施形態5に記載のシステム。
【0123】
例示的実施形態7. 誘電体エレメントは、セラミック材料を含む、例示的実施形態5または6に記載のシステム。
【0124】
例示的実施形態8. 第1のパッドは、少なくとも1つの電極層を含み、少なくとも1つの電極層は、誘電材料が電極層と伝導性発泡体との間に位置決めされていない状態で、伝導性発泡体と電気的に連結されている、例示的実施形態1または2に記載のシステム。
【0125】
例示的実施形態9. 電極層は、伝導性発泡体と接触している電極エレメントを含む、例示的実施形態1、2、および8のいずれか一項に記載のシステム。
【0126】
例示的実施形態10. ブロッキングキャパシターをさらに含み、ブロッキングキャパシターは、伝導性発泡体と回路を成しており、伝導性発泡体の中の直流電流の発生を防止するように動作可能である、例示的実施形態1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【0127】
例示的実施形態11. ブロッキングキャパシターは、電界発生器および第1の伝導性リードのうちの少なくとも1つの中に一体化されている、例示的実施形態10に記載のシステム。
【0128】
例示的実施形態12. 伝導性発泡体は、皮膚に面する表面を含み、第1のパッドは、伝導性発泡体の皮膚に面する表面をカバーする伝導性布をさらに含む、例示的実施形態1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【0129】
例示的実施形態13. 第1のパッドの温度を測定するように構成されている1つまたは複数の温度センサーをさらに含む、例示的実施形態1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【0130】
例示的実施形態14. 制御ボックスをさらに含み、制御ボックスは、1つまたは複数の温度センサーをモニタリングし、温度が快適性閾値を超える場合には、電界発生器をターンオフするように構成されている、例示的実施形態13に記載のシステム。
【0131】
例示的実施形態15. 快適性閾値は、摂氏約39度から摂氏約42度の間の値になるように選択される、例示的実施形態14に記載のシステム。
【0132】
例示的実施形態16. 第1の伝導性ゲルエレメントは、ポケットの少なくともいくつかの中に位置決めされている、例示的実施形態1から15のいずれか一項に記載のシステム。
【0133】
例示的実施形態17. 伝導性発泡体は、皮膚に面する表面を有しており、第1の伝導性ゲルエレメントは、伝導性発泡体の皮膚に面する表面の上に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されている、例示的実施形態1から16のいずれか一項に記載のシステム。
【0134】
例示的実施形態18. トップコート層と;固体の連続相材料を有する伝導性発泡体であって、固体の連続相材料は、伝導性材料から構築されているか、または、固体の連続相材料の上に取り付けられているか、吸収されているか、もしくは吸着されている伝導性材料を有しているかの少なくとも1つであり、伝導性発泡体は、固体の連続相材料の全体を通して散在された複数のポケットを画定しており、伝導性発泡体は、トップコート層に隣接しており、伝導性発泡体材料は、皮膚に面する表面を有している、伝導性発泡体と;伝導性発泡体に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されている伝導性ゲルエレメントと;を含む、パッド。
【0135】
例示的実施形態19. 固体の連続相材料は、銀を含む、例示的実施形態18に記載のパッド。
【0136】
例示的実施形態20. 少なくとも1つの電極層および誘電体層をさらに含み、誘電体層は、少なくとも1つの電極層と伝導性発泡体との間に位置決めされている、例示的実施形態18または19に記載のパッド。
【0137】
例示的実施形態21. 電極層は、複数の空間的に配設された電極エレメントを含む、例示的実施形態20に記載のパッド。
【0138】
例示的実施形態22. 誘電体層は、複数の空間的に配設された誘電体エレメントを含む、例示的実施形態20または21に記載のパッド。
【0139】
例示的実施形態23. 誘電体エレメントは、可撓性のポリマー材料を含む、例示的実施形態22に記載のパッド。
【0140】
例示的実施形態24. 誘電体エレメントは、セラミック材料を含む、例示的実施形態22または23に記載のパッド。
【0141】
例示的実施形態25. 少なくとも1つの電極層をさらに含み、少なくとも1つの電極層は、誘電材料が電極層と伝導性発泡体との間に位置決めされていない状態で、伝導性発泡体と電気的に連結されている、例示的実施形態18または19に記載のパッド。
【0142】
例示的実施形態26. 電極層は、伝導性発泡体と接触している電極エレメントを含む、例示的実施形態25に記載のパッド。
【0143】
例示的実施形態27. 伝導性ゲルエレメントは、ポケットの少なくともいくつかの中に位置決めされている、例示的実施形態18から26のいずれか一項に記載のパッド。
【0144】
例示的実施形態28. 伝導性発泡体は、皮膚に面する表面を有しており、伝導性ゲルエレメントは、伝導性発泡体の皮膚に面する表面の上に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されている、例示的実施形態18から27のいずれか一項に記載のパッド。
【0145】
例示的実施形態29. 少なくとも2つの伝導性領域を患者の皮膚に適用するステップと;少なくとも2つの伝導性領域を患者に適用する前または後に、伝導性領域を電界発生器に連結するステップであって、電界発生器は、50kHzから500kHzの範囲の周波数において交流電流波形を有する電気信号を発生させるように構成されており、それぞれの伝導性領域は、伝導性発泡体および伝導性ゲルエレメントを有しており、伝導性発泡体から伝導性ゲルエレメントへ電流を供給するようになっており、伝導性発泡体は、固体の連続相材料を有しており、固体の連続相材料は、伝導性材料から構築されているか、または、固体の連続相材料に取り付けられているか、吸収されているか、もしくは吸着されている伝導性材料を有しているかの少なくとも1つであり、伝導性発泡体は、固体の連続相材料の全体を通して散在された複数のポケットを画定しており、伝導性ゲルエレメントは、固体の連続相材料に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されており、少なくとも2つの伝導性領域の中の伝導性発泡体は、電界発生器に電気的に連結されており、電気信号を受け取ると、伝導性ゲルエレメントに電流を供給し、伝導性ゲルエレメントは、患者の皮膚と容量的に連結されているおよび電気的に連結されている、のうちの少なくとも1つである、ステップと;電界発生器を活性化させ、伝導性領域に電気信号を供給し、それによって、伝導性ゲルエレメントを通して患者に電流を供給するステップと;を含む、方法。
【0146】
例示的実施形態30. 伝導性ゲルエレメントは、ポケットの少なくともいくつかの中に位置決めされている、例示的実施形態29に記載の方法。
【0147】
例示的実施形態31. 伝導性発泡体は、皮膚に面する表面を有しており、伝導性ゲルエレメントは、伝導性発泡体の皮膚に面する表面の上に取り付けられているか、吸収されているか、または吸着されている、例示的実施形態29または30に記載の方法。
【0148】
上記の説明から、本明細書で開示および特許請求されている本発明概念は、目的を果たすために、ならびに、本明細書で述べられている利点および本発明において固有のものを得るために十分に適合されているということが明確である。本発明概念の例示的な実施形態が、この本開示の目的のために説明されてきたが、多数の変更が行われ得、それは、当業者が容易に考え付くこととなり、本明細書で開示および特許請求されている本発明概念の精神の中で達成されるということが理解されることとなる。
【0149】
先述の説明は、図示および説明を提供するが、網羅的であることを意図しておらず、または、開示されている正確な形態に発明概念を限定することを意図していない。修正および変形が、上記の教示に照らして可能であり、または、本開示に記載されている方法論の実践から獲得され得る。
【0150】
特徴およびステップの特定の組み合わせが、特許請求の範囲に記載され、および/または、明細書に開示されているとしても、これらの組み合わせは、本開示を限定することを意図していない。実際に、これらの特徴およびステップの多くは、具体的に特許請求の範囲に記載されていない方式、および/または、明細書に開示されていない方式で組み合わせられ得る。下記に列挙されているそれぞれの従属請求項は、1つの他の請求項のみに直接的に従属している可能性があるが、本開示は、請求項のセットのなかのすべての他の請求項との組み合わせたそれぞれの従属請求項を含む。
【0151】
同様に、上記に列挙されているそれぞれの例示的実施形態は、1つの他の例示的実施形態のみに直接的に従属している可能性があるが、本開示は、本明細書で開示されている本発明概念のそれぞれのモードに関して、例示的実施形態のセットの中のすべての他の例示的実施形態と組み合わせたそれぞれの例示的実施形態を含む。
【0152】
本出願において使用されているいかなるエレメント、行為、またはインストラクションも、好適な実施形態の外側でそのように明示的に説明されていない限り、本発明にとって重要または必須なものとして解釈されるべきではない。さらに、「に基づいて」という語句は、そうでないことが明示的に述べられていない限り、「に少なくとも部分的に基づいて」を意味することが意図されている。
【符号の説明】
【0153】
10 細胞
14 外部TTフィールド
18a 第1の電極
18b 第2の電極
22 微小管
26 中心小体
30 中心
34 取り付けのポイント
50 電子的装置
54 電界発生器
58 伝導性リード
58a 第1の伝導性リード
58b 第2の伝導性リード
62a 第1の端部
62b 第1の端部
66 第2の端部
66a 第2の端部
66b 第2の端部
70 パッド
70a パッド
70b パッド
70c パッド
70d パッド
70e パッド
74 制御ボックス
78 温度センサー
82a ブロッキングキャパシター
82b ブロッキングキャパシター
104 電極エレメント
108 フレックスワイヤー
124 上面
128 底面
132 外側周辺縁部
136 電極エレメント
140 耐久性トップコート層
144 アレイアッセンブリ
150 ファブリック層
154 発泡体層
156 皮膚に面する表面
158 ゲル層
162 電極層
170 圧縮層
176 保護層
180 電極アッセンブリ
184 非伝導層
188 導体
192 誘電体層
196 開口部
220 非伝導性スレッド
224a~224n 伝導性スレッド
228 穿孔
239 固体の連続相材料
240 ポケット
240a~240d ポケット
250 アレイアッセンブリ
274 多角形形状
【国際調査報告】