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特表2024-524746マイクロブレードを有するブレード配列
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】マイクロブレードを有するブレード配列
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/24 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
F04D29/24 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503781
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2022069793
(87)【国際公開番号】W WO2023001699
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021118564.5
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591040649
【氏名又は名称】カーエスベー ソシエタス ヨーロピア ウント コンパニー コマンディート ゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】KSB SE & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ヤンジッチ,ボリス
(72)【発明者】
【氏名】ラング,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA02
3H130AB22
3H130AB46
3H130AC30
3H130BA96C
3H130BA98C
3H130CB01
3H130CB19
3H130EA02C
3H130EA07C
3H130EB05C
3H130ED04C
(57)【要約】
本発明は、ブレード配列を有する遠心ポンプに関する。ブレード配列は、ブレードが配置されるキャリアユニット(1)を有し、該ブレードはセグメント(3)に細分される。キャリアユニット(1)は、径方向に互いに隣接する環状部分(2)に分割される。環状部分(2)におけるセグメント(3)は、互いにオフセットして配置される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレード配列を有する遠心ポンプであって、前記ブレード配列は、ブレードが配置されるキャリアユニット(1)を有し、
前記ブレードはセグメント(3)に細分され、
前記キャリアユニット(1)は、径方向に互いに隣接する環状部分(2)に分割され、
前記セグメント(3)は、前記環状部分(2)において互いにオフセットして配置されることを特徴とする遠心ポンプ。
【請求項2】
前記キャリアユニット(1)は、2個より多い、好ましくは3個より多い、特に4個より多い環状部分(2)、および/または、10個未満、好ましくは8個未満、特に6個未満の環状部分(2)を有することを特徴とする、請求項1に記載の遠心ポンプ。
【請求項3】
全ての前記環状部分(2)は、環状幅(4)が同じになるように設計されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の遠心ポンプ。
【請求項4】
前記環状部分(2)の環状幅(4)が異なるように設計されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の遠心ポンプ。
【請求項5】
環状幅(4)は、キャリアユニット半径(5)の5%より大きい、好ましくは10%より大きい、特に15%より大きい、および/または、45%未満、好ましくは40%未満、特に30%未満であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項6】
前記セグメント(3)は、前記環状部分(2)内に配置されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項7】
前記セグメント(3)は、少なくとも2つの前記環状部分(2)にわたって配置されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項8】
前記環状部分(2)における前記セグメント(3)の配置に応じて、前記セグメント(3)は、中間セグメント(7)および/または吸引エッジセグメント(6)および/または圧力エッジセグメント(8)として設計されることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項9】
前記セグメント(3)は、前記キャリアユニット(1)の子午線方向に配置されることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項10】
前記セグメント(3)は、直線形状および/または半径方向外側に湾曲した形状を有することを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項11】
前記セグメント(3)は、マイクロブレードとして設計されることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項12】
前記セグメント(3)は、前記キャリアユニット半径(5)の5%より大きく、好ましくは10%より大きく、特に15%以上より大きく、および/または、50%未満、好ましくは45%未満、特に35%未満の長さを有することを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項13】
前記キャリアユニット(1)は、10個より多く、好ましくは15個より多く、特に20個より多いセグメントを有することを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項14】
前記ブレード配列は、カバーシュラウド(17)を有することを特徴とする、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。
【請求項15】
前記セグメント(3)は、前記キャリアユニット(1)および/または前記カバーシュラウド(17)と一体に形成されることを特徴とする、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の遠心ポンプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あるブレード配列を有する遠心ポンプに関し、このブレード配列はブレードが配置されるキャリアユニットを有するものである。
【背景技術】
【0002】
遠心ポンプの主要な構成要素はインペラであり、力学的エネルギーを運動量として圧送される流体に伝達する。インペラの形状は、流れがポンプからどのように流出するかを決定する。インペラの設計に関しては、クローズド形状、セミオープン形状、オープン形状、または、カバーシュラウド及びリアシュラウドの有無で区別される。クローズドインペラの場合、インペラブレードは両側でそれぞれのシュラウドに接続されている。インペラは、インペラ内の流線の進行によって、さまざまなインペラ形状に分類することができる。ラジアルインペラ、セミアキシャルインペラ、アキシャルインペラ、ペリフェラルインペラなどに区別される。
【0003】
遠心ポンプはガイド装置を有することが多い。ガイド装置は、通常、複数のガイドブレードを有し、2つのガイドブレードの間にはポンプ媒体のための複数のガイドチャネルを形成する。このようなガイド装置は、ディフューザとして設計されることも可能である。インペラから流出したポンプ媒体はガイド装置に流入する。ガイド装置では、運動エネルギーが圧力エネルギーに変換される。さらに、媒体の偏向が発生する。渦(ボルテックス)は、後続のインペラへの流入のため減少しうる。
【0004】
遠心ポンプの複数のブレードは、固定されてまたは調節可能にインペラに接続され、機械的動力をポンプ動力に変換するための、または、速度エネルギーを圧力エネルギーに変換するための最も重要な構造的要素である。
【0005】
流れ方向において、ブレードは吸引端と呼ばれる前縁と、一般的に圧力端と呼ばれる後縁によって区切られ、流れ方向に対し横方向(交差方向)において、ブレードは、内側についてはハブまたはインナーカバーシュラウドによって区切られ、外側についてはポンプケーシングまたはアウターカバーシュラウドによって区切られる。
【0006】
インペラにおけるブレードに対して垂直な相対速度の法線成分が存在しないため、ブレード表面は、互いに限りなく接近した流線からなる流れ面を表す。
【0007】
ブレード入口とブレード出口における流線上の速度三角形は、ブレードの厚さを考慮し、ブレードの形状を実質的に規定する。ブレード入口とブレード出口の間のブレード中心線の進行は、メディアンライン(median line)と呼ばれる。メディアンラインは円弧で表されることが多いが、放物線、S字形、その他の解析曲線でも表される。
【0008】
原則として、ブレード入口は、渦の発生がなく衝撃のない流入を提供するように設計される。出口におけるブレード角度は、特に達成すべきポンプ揚程に応じて、多少急勾配になる。ラジアルインペラのブレードの角度は、一般的に90度未満である。この場合、ブレードは、後方湾曲型と呼ばれる。半径方向に終端するブレードは、90度のブレード角度であることを特徴とし、前方湾曲型ブレードは、90度よりも大きいブレード角度であることを特徴とする。
【0009】
ブレードの最小厚さは、鋳鉄製で約3mm、鋳鋼製で約4mmであり、鋼板製ブレードの挿入や溶接などの特殊な場合には、さらに薄いブレード厚さを実現することも可能である。
【0010】
ブレードとブレード形状の設計は、継続的な研究開発の対象である。この点に関して、独国特許出願公開第102015212203号は、ブレードが束状構造に配置される遠心ポンプ用のインペラを記載する。広く妨げにならない経路を確保しながらポンプ容量の増大を実現する。
【0011】
独国特許出願公開第102015213451号は外形を記載しており、この外形は、負のブレード入口角度を有する特徴的なメディアンラインと、厚さ分布または滴型形状側面とを重ね合わせることで製造される。これにより、ブレード側面に均等に負荷が分散される。
【0012】
また、独国特許出願公開第102011007907号もブレードの外形について記載しており、その外形によりブレードは均一な荷重を受ける。これは、0度未満の角度で始まる非常に湾曲したブレードの外形によって実現される。
【0013】
上記の例は、一般に、遠心ポンプ用の既存のインペラの問題点を解決するものである。このような開発は、まず高価であり、大量生産の場合にのみ望ましい収益性を達成する。各々の用途に対する解決策、特に各々のポンプ圧の最適化を大規模に検討することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、最適化された流量制御を備える遠心ポンプを特定することである。ここでは、顧客のニーズにあわせたインペラの個々の形態を可能にすることが必要である。さらに、インペラの簡易的で費用対効果の高い製造を可能にすることが必要である。これに加えて、できるだけ簡単な方法でインペラを取り付け、使用後に簡単にリサイクル可能である必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、本発明により、請求項1に記載のブレード配列を有する遠心ポンプによって達成される。好ましい変形例は、従属請求項、明細書および図面に記載される。
【0016】
本発明によると、ブレードは複数のセグメントに細分され、キャリアユニットは径方向に互いに隣接する環状部分に分割される。これらのセグメントは、前記環状部分においてお互いにオフセットして配置される。したがって、本発明によると、これらのセグメントは、マイクロブレードとして形成することが可能である。少数のマクロブレードを多数のマイクロブレードに置き換えるとともに、好ましくは、従来から製造されているインペラまたはガイド装置のキャリアユニットのジェネレーティブプロセス(生成プロセス、generative process)においてマイクロブレードを形成することによって、効率的かつ経済的な方法で、個々に適したポンプ圧を有するブレード配列を実現可能である。
【0017】
大まかに言うと、ブレード配列は、遠心ポンプなどの流体機械におけるエネルギー伝達またはエネルギー変換のための配置であると理解される。これに関して、ブレード配列は、ガイド装置および/またはインペラとして設計可能である。このようなガイド装置および/またはインペラは、半径方向に互いに隣接する環状部分に分割され、この環状部分にセグメントが配置される。これらのセグメントは、理想的にはマイクロブレードとして設計される。
【0018】
本発明によると、セグメントは互いにオフセットして配置される。本発明の有利な変形例では、セグメントは円周方向に互いにオフセットして配置され、これにより、圧送される流体がセグメントからセグメントへ半径方向に流れ、運動量の伝達を受ける。
【0019】
本発明の別の変形例において、セグメント化されたブレードは、単に隙間によって隔てられている。コンピュータ支援による流れ最適化の結果に応じて、セグメントは全く異なる方法で配置可能であり、特に対称的または非対称的に配置可能であり、同じ長さおよび曲率を有するように設計可能であり、または長さおよび曲率に関して同じであるか、または全く異なるように設計可能である。
【0020】
より優れた構造のために、キャリアユニットは、2個より多く、好ましくは3個より多く、特に4個より多い環状部分、および/または10個未満、好ましくは8個未満、特に6個未満の環状部分に分割される。
【0021】
キャリアユニットを環状部分に分割することにより、好ましくは、キャリアユニットにおけるジェネレーティブプロセスによって形成されるセグメントの最適な配列を、コンピュータ支援方式において容易に実現可能である。この目的のために、環状幅は、ポンプ圧の各々の最適化に応じて、すべての環状部分について同じまたは異なるように設計される。
【0022】
本発明によると、環状幅は、キャリアユニット半径の5%より大きく、好ましくは10%より大きく、特に15%より大きく、および/または45%未満、好ましくは40%未満、特に30%未満である。これにより、インペラまたはガイド装置の大きさおよびポンプ圧力装置の個々の設計に応じて、環状部分を使用してセグメントを理想的に配置および構成可能である。
【0023】
セグメントは、好ましくは環状部分内に配置される。ここで、セグメントは環状部分の環状幅全体にわたって延在してもよく、また隣接する環状部分から間隔をあけて環状部分内に配置されていてもよい。
【0024】
あるいは、セグメントは、少なくとも2つの環状部分にわたって延在してもよい。セグメントの大きさや長さに応じて、セグメントの長さは、いずれの場合も2つの環状部分にわたって最大50%まで延在する。
【0025】
本発明によると、環状部分の配置に応じて、セグメントは、中間セグメントおよび/または吸引エッジセグメントおよび/または圧力エッジセグメントとして設計される。特に、セグメントの形状、曲率角度、長さ、高さ、厚さは、それぞれの場合において決定された荷重状況に応じて個別に適合可能である。理想的には、セグメントは、環状部分の割り当てに応じて個々に設計され得る。さらに、個々のセグメントを流れの状況に応じて個別に適合させ、最適化することも考えられる。
【0026】
好ましくは、セグメントはキャリアユニットにおいて子午線方向に配列される。ここでは、セグメントは、一列に配列され、および/または互いにオフセットされて配列されてもよい。理想的には、セグメントは直線形状および/または半径方向外側に湾曲する形状を有する。ここでは、すべてのセグメントは同様の曲率を有してもよく、1つの環状部分内において同様の曲率を有してもよく、または、ポンプ圧の個々の構成に応じて、全く異なる方法で設計されてもよい。
【0027】
本発明の特に有利な変形例では、セグメントはマイクロブレードとして設計される。その結果、流体への運動量の伝達と力学的動力の伝達が特に効率的に実現される。
【0028】
本発明によると、セグメントは、キャリアユニット半径の5%より大きく、好ましくは10%より大きく、特に15%より大きい長さ、および/または50%未満、好ましくは45%未満、特に35%未満の長さを有する。短く設計することにより、セグメントは特に理想的な形態でマイクロブレードの形状を実現する。
【0029】
キャリアユニットは、10個より多い、好ましくは15個より多い、特に20個より多いセグメントを有する。少数のマクロブレードをそれぞれのポンプの圧に応じて個別に適合される多数の小さなマイクロブレードに置き換えることで、それぞれの用途に特に最適化された遠心ポンプを製造することが可能である。
【0030】
本発明によると、汎用的に製造されたセグメントは、従来から製造されているブレード配列のキャリアユニットに適用される。これについてはオープンインペラを参照する。本発明によるとクローズドインペラも同様である。この場合、セグメントが配置されるキャリアユニットは、カバーシュラウドを有する。さらに、セグメントを有するブレード配置は、ガイド装置、好ましくはディフューザとして設計することも可能である。
【0031】
好ましくは、キャリアユニットは、セグメントと一体に形成されるか、閉じたブレード配置の場合には、カバーシュラウドと一体に形成されるか、それらの両方である。キャリアユニットおよび/またはカバーシュラウドは、例えば、鋳造部品として従来技術により製造されるものであってよい。ジェネレーティブプロセスを使用して、セグメントをキャリアユニットに適用可能であり、これにより、遠心ポンプの一体型部品が製造される。本発明の代替的な変形例では、ブレード配置は、すべて鋳造部品として製造してもよい。
【0032】
本発明によると、ブレード配置は、統合製造装置によって革新的なプロセスにおいて製造可能である。ここで、キャリアユニットおよび/またはカバーシュラウドは、一次形成および/または切断工程を使用して製造される。特定の用途と圧力要件に応じて、小さなセグメント形態、特にマイクロブレードの形態におけるブレードの最適な設計と配置は、コンピュータ支援シミュレーションを使用して決定される。シミュレーションの結果は、ブレード配置の3D-CADデータセットとなり、統合製造装置は、ジェネレーティブデザインを使用してキャリアユニットにセグメントを正確に配置する。
【0033】
ジェネレーティブデザイン(生成デザイン、generative design)という用語は、材料が各層毎に適用され、それによって三次元構成部品が製造されるすべての製造工程を含む。層構造は、所定の寸法と形状に従って、1つまたは複数の液体または固体の材料を用いてコンピュータ制御で実現される。製造中に物理的または化学的硬化または溶接プロセスが行われる。3D印刷の代表的な材料は、プラスチック材料、合成樹脂、セラミック、金属、カーボン、グラファイト材料である。
【0034】
生成マニュファクチャリングプロセスまたは付加的マニュファクチャリング(additive manufacturing)プロセスは、材料を各層毎に適用して三次元要素を製造するプロセスを意味すると理解される。本発明によると、セグメントは、生成マニュファクチャリングプロセスにおいて形成される。ビルドアップ溶接としても知られる選択的レーザー溶接およびクラッディングを使用してセグメントを形成する。溶融可能なプラスチック材料の適用と組み合わせた冷却ガス噴霧および押出成形もまた、本発明の代替的変形例において適用可能なプロセスである。
【0035】
生成的に製造されたセグメントは、特に高性能で薄肉設計である点で有利である。数値流体力学(CFD)によって流れが最適化された微細セグメントは、運動量を実質的に損失なく、特に効率的な方法で流体に伝達する。セグメントの複雑な構造は、渦の形成や流れの剥離を防ぎ、また、構成部品の質量が少ないことが特徴である。
【0036】
選択的レーザー溶接では、まずビルドアップ材料の層をベースに塗布するプロセスに従って、セグメントを製造する。セグメントを製造するためのビルドアップ材料は、好ましくは金属粉末粒子からなる。本発明の変形例では、鉄含有および/またはコバルト含有粉末粒子がセグメント製造に用いられる。クロム、モリブデン、またはニッケルなどの添加物が含まれている可能性がある。金属ビルドアップ材料は、粉末状の薄い層としてプレートに塗布される。次に、放射線を使用し、それぞれの場合における必要な個所において粉末材料を局所的に完全に溶融させ、固化後に、固体材料層が形成される。次に、ベースを一層分の厚さ下げて再度、粉末粒子を塗布する。このサイクルは、すべての層が溶融するまで繰り返され、完成されたセグメントが製造される。本発明によると、これにより、特に高性能で、流れが最適化されるように設計されたブレードの外形が形成される。
【0037】
個々のパワー層からセグメントを生成するレーザービームは、例えば、放射線として使用可能である。レーザービームを照射するためのデータは、3D-CAD本体に基づいてソフトウェアで生成される。選択的なレーザー溶融の代替として、電子ビーム(EB)を使用してもよい。
【0038】
肉盛溶接またはクラッディングにおいて、溶接によってベース構造を被覆するプロセスに従ってセグメントが製造される。ここで、肉盛溶接は、ワイヤまたは粉末状の溶加材を使用して体積を増加させ、特に、セグメントの高性能で流れに最適化された形状を実現する。
【0039】
リアシュラウドおよび/またはカバーシュラウドは、一次成形プロセスまたはサブトラクティブマニュファクチャリングプロセスによって製造可能である。一次成形プロセスは、幾何学的に定義された形状を有する中実体を、非晶質材料から製造するマニュファクチャリングプロセスの主要なグループである。一次成形プロセスは、中実体の初期形状を製造し、材料の結合を作り出す。一次成形プロセスにおいて、塑性変形可能な材料で作られたブランクは、ブランクから材料を除去することなく異なる形状に具体的な加工を行う。サブトラクティブマニュファクチャリングプロセスでは、材料はワークピースから除去される。チップは主に、生成された構成要素に加えて製造されるのが一般的である。カバーシュラウドは、好ましくは鋳造材料から製造される。
【0040】
特に好ましい変形例では、セグメントは、流量が最適化された方法で製造され、複数のセグメントは、最適なポンプ圧に従ってキャリアユニット上に配置される。
【0041】
前述の説明にかかわらず、本発明は単段遠心ポンプに限定されるものではなく、特に、多段遠心ポンプにも適用される。各ポンプ段に対して個々に最適化された方法で配置されたセグメントは、従来から製造されている任意のキャリアユニットに形成可能であるので、本発明によるインペラまたは本発明によるガイド装置は、特に適用性があることが特徴である。
【0042】
本発明のさらなる特徴および利点は、図面を参照した例示的な実施形態の説明および図面自体に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】球形のケーシングを有する遠心ポンプの断面図を示す。
図2】キャリアユニットとセグメントを備えたブレード配列の平面図を示す。
図3】異なる環状部分とセグメントを有するブレード配列の平面図を示す。
図4】複数の環状部分にわたってセグメントを備えたブレード配列の平面図を示す。
図5】半径方向に湾曲したセグメントを有するブレード配列の平面図を示す。
図6】異なる長さを有する半径方向に湾曲したセグメントを有するブレードの平面図を示す。
図7】セグメントを備えたインペラとガイド装置の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、一例として、球形ケーシング14を備えた遠心ポンプの断面図である。媒体は、吸込口11を介して遠心ポンプに流入し、シャフト12に回転自在に固定されたインペラ15を介して運動エネルギーが作用し、圧力ノズル13を介してポンプケーシングから流出する。ベアリングキャリアカバー10は、駆動方向においてポンプ室を閉じている。
【0045】
インペラ15は、ブレードで占められたキャリアユニット1を備える。キャリアユニット1は、ブレードおよびカバーシュラウド17と一体に形成され、クローズドインペラ15として設計される。インペラ15の周囲にはガイド装置18が配置され、このガイド装置がインペラ15からの吐出流を収集し、運動エネルギーを圧力エネルギーに変換する。
【0046】
図2は、キャリアユニット半径5を有する遠心ポンプ用のインペラの形態におけるブレード配列を備えるキャリアユニット1を示す。キャリアユニット1は、3つの環状部分2に細分されており、各環状部分2は互いに直接隣接している。すべての環状部分2は同じ環状幅4を有する。線状セグメント3は環状部分2内に配置され、環状部分2から環状部分2へ互いにオフセットして配置される。
【0047】
本発明の変形例では、セグメント3の外形は、環状部分2における位置に応じて適合される。この点に関して、最も内側の環状部分2におけるセグメント3は吸引エッジセグメント6として設計され、中間の環状部分2におけるセグメント3は中間エッジセグメント7として設計され、外側の環状部分2におけるセグメント3は圧力エッジセグメント8として設計される。
【0048】
図3は、異なる環状幅4を有する環状部分2を有する遠心ポンプ用のインペラの形態におけるブレード配置を備えるキャリアユニット1を示す。セグメント3は、環状部分2内の中央に配置されており、セグメント3の長さは、それぞれの環状幅4に応じて調整される。セグメント3は、環状部分2におけるそれらの位置に応じて互いにオフセットして配置される。
【0049】
図4は、同じ環状幅4を有する環状部分2を有するキャリアユニット1を示す。セグメント3は、環状部分2内に配置されるとともに、複数の環状部分にわたって配置される。セグメント3は互いにオフセットされ、キャリアユニット1において非連続的に配置されている。
【0050】
図5は、半径方向に湾曲したセグメント3を有するキャリアユニット1を示す。セグメント3は環状部分2内に配置されており、環状部分2の環状端部からの間隔はすべてのセグメント3について同じになるように設計されている。セグメント3は、キャリアユニット1において子午線方向(Meridianrichtung angeordnet)に配置される。
【0051】
図6は、複数の環状部分2に部分的に重なって半径方向に湾曲したセグメント3を有するキャリアユニット1を示す。ここで、セグメント3の曲率は、それぞれの環状部分2に応じて個別に適合される。
【0052】
図7は、インペラ15とガイド装置18の平面図を示す。インペラ15とガイド装置18は、いずれもキャリアユニット1を有し、このキャリアユニット1は、それぞれ環状部分2に細分され、半径方向に湾曲したセグメント3が配置される。セグメント3は環状部分2内に配置され、環状部分2の環状端からの間隔はすべてのセグメント3について同じになるように設計される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】