(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】動物用飼料添加物の調製におけるフランカルボン酸化合物の使用
(51)【国際特許分類】
A23K 20/121 20160101AFI20240628BHJP
A23K 20/158 20160101ALI20240628BHJP
【FI】
A23K20/121
A23K20/158
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504143
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 CN2022108803
(87)【国際公開番号】W WO2022253361
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202110871702.7
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524028614
【氏名又は名称】アニファ テクノロジーズ ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】彭 険峰
【テーマコード(参考)】
2B150
【Fターム(参考)】
2B150AA01
2B150AA05
2B150AA06
2B150AA07
2B150AB02
2B150DA32
2B150DB01
(57)【要約】
動物生産パフォーマンスを向上させるための動物飼料添加物の調製におけるフランカルボン酸化合物の使用が本発明において開示される。フランカルボン酸化合物は、式(I)
(式中、R
1、R
2及びR
3は、独立して、H又は-COOHである)
に示されるとおりである。本発明で提供されるフランカルボン酸化合物又は飼料で許容されるその塩は、動物飼育試験で家畜、家禽及び水産動物のパフォーマンスを向上させる効果を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物のパフォーマンスを向上させるための動物用飼料のための添加物の調製における、式(I):
【化1】
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、H又は-COOHである)
の化合物、飼料で許容されるその塩又は前記化合物若しくは塩を含む飼料組成物の使用。
【請求項2】
R
1及びR
3のそれぞれは、Hであり、且つR
2は、-COOH;R
1は、-COOHであり、且つR
2及びR
3のそれぞれは、H;又はR
1及びR
3のそれぞれは、-COOHであり、且つR
2は、Hである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記動物用飼料のための前記添加物は、様々な成長段階における家畜、家禽、水産動物又はペット動物用の飼料のための添加物である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記動物用飼料のための前記添加物は、成長促進剤である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
動物のパフォーマンスを向上させるための動物用飼料の調製における、式(I):
【化2】
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、H又は-COOHである)
の化合物、飼料で許容されるその塩又は前記化合物若しくは塩を含む飼料組成物の使用。
【請求項6】
R
1及びR
3のそれぞれは、Hであり、且つR
2は、-COOH;R
1は、-COOHであり、且つR
2及びR
3のそれぞれは、H;又はR
1及びR
3のそれぞれは、-COOHであり、且つR
2は、Hである、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記動物用飼料は、様々な成長段階における家畜、家禽、水産動物又はペット動物のための飼料である、請求項5又は6に記載の使用。
【請求項8】
前記動物用飼料は、動物用飼料のための飼料原料をさらに含む、請求項5に記載の使用。
【請求項9】
前記動物用飼料は、動物用飼料のための追加の添加物をさらに含む、請求項5に記載の使用。
【請求項10】
前記動物用飼料のための前記追加の添加物は、飼料のための栄養添加物、飼料のための非栄養添加物又は飼料のための薬学的添加物である、請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用飼料の分野に関し、特に、動物のパフォーマンスを向上させる動物用飼料のための添加物又は動物用飼料の調製における、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
飼料用添加物とは、飼料用の栄養添加物及び飼料用の非栄養添加物を含む、飼料の加工、製造及び使用中に添加される少量又は微量の物質を意味する。飼料用の非栄養添加物とは、飼料の質及び利用を確保又は改善するために飼料に組み込まれる少量又は微量の物質を意味する。当技術分野で一般的に使用され、飼料の利用を効率的及び安定的に改善し、動物のパフォーマンスを向上させる飼料用の非栄養添加物は、主に高レベルの銅、高レベルの亜鉛、飼料抗生物質、化学合成抗菌剤などを含む。しかし、飼育産業では、これらの物質を長期にわたって使用することで深刻な副作用がある。動物の健康を保護し、飼育産業の製造効率を改善するために、この分野において、効率的であり、安定しており、且つ安全である飼料用の新規な添加物を発見することは、解決すべき喫緊の問題である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
したがって、動物のパフォーマンスを向上させるための動物用飼料のための添加物又は動物用飼料の調製における、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩の使用が本明細書で提供される。
【0004】
一態様では、動物のパフォーマンスを向上させるための動物用飼料のための添加物又は動物用飼料の調製における、式(I):
【化1】
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、H又は-COOHである)
の化合物又は飼料で許容されるその塩の使用が本明細書で提供される。
【0005】
別の態様では、式Iの化合物若しくは飼料で許容されるその塩によって調製される飼料のための添加物又は飼料のための添加物を含む動物用飼料を動物に投与することを含む、動物のパフォーマンスを向上させる方法が本明細書で提供される。
【0006】
別の態様では、式Iの化合物若しくは飼料で許容されるその塩によって調製される飼料のための添加物又は本明細書で提供される飼料のための添加物を含む動物用飼料は、動物のパフォーマンスの向上のために使用するものである。
【0007】
別の態様では、動物のパフォーマンスを向上させるための動物用飼料のための添加物の調製又は動物のパフォーマンスを向上させるための動物用飼料の調製における、式(I)の化合物若しくは飼料で許容されるその塩又はこれらの組み合わせを含む飼料組成物の使用が本明細書で提供される。
【0008】
いくつかの実施形態では、動物用飼料は、動物用飼料のための飼料原料をさらに含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、動物用飼料は、動物用飼料のための追加の添加物をさらに含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、動物用飼料は、動物用飼料のための飼料原料及び追加の添加物をさらに含む。
【0011】
一態様では、飼育動物のパフォーマンスを向上させる方法がさらに提供される。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、本明細書で提供されるフランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を飼育動物に投与すること、例えばフランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を動物用飼料に添加した後、動物に給餌することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、本明細書で提供されるフランカルボン酸の化合物若しくは飼料で許容されるその塩又はこれらの組み合わせを含む飼料組成物を飼育動物に投与することを含む。
【0014】
別の態様では、本明細書で提供されるフランカルボン酸の化合物若しくは飼料で許容されるその塩又はこれらの組み合わせを含む飼料組成物は、動物のパフォーマンスの向上のために使用するものである。
【0015】
いくつかの実施形態では、飼育動物は、様々な成長段階における家畜、家禽、水産動物又はペット動物である。
【0016】
いくつかの実施形態では、飼育動物は、幼年期の家畜又は家禽である。
【0017】
いくつかの実施形態では、ブタなどの家畜について、フランカルボン酸の化合物若しくは飼料で許容されるその塩又はこれらを含む飼料組成物は、500~5000ppm、好ましくは2000ppmの量で動物用飼料に添加される。
【0018】
いくつかの実施形態では、ニワトリなどの家禽について、フランカルボン酸の化合物若しくは飼料で許容されるその塩又はこれらを含む飼料組成物は、200~1000ppm、好ましくは100ppmの量で動物用飼料に添加される。
【0019】
いくつかの実施形態では、ソウギョなどの水産動物について、フランカルボン酸の化合物若しくは飼料で許容されるその塩又はこれらを含む飼料組成物は、100~600ppm、好ましくは500ppmの量で動物用飼料に添加される。
【0020】
本発明と関連する技術的効果は、以下のとおりである。
【0021】
本明細書で提供されるフランカルボン酸の化合物若しくは飼料で許容されるその塩又はこれらを含む飼料組成物は、動物飼育試験で家畜、家禽及び水産動物のパフォーマンスを向上させることができる。
【0022】
本明細書で提供される任意の態様の実施形態のいずれか1つを、他の実施形態と、これらの間で矛盾が生じない限り組み合わせることができる。さらに、本明細書で提供される任意の態様の実施形態のいずれか1つにおいて、技術的特徴のいずれか1つは、他の実施形態における技術的特徴に対して、これらの間で矛盾が生じない限り好適であり得る。
【0023】
本明細書に記載する前述の内容は、本発明の特定の態様を概述するのみであり、これらの態様を限定するものではない。上記の態様及び他の態様を以下でより詳細に記載する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで、本明細書で提供される特定の実施形態を詳細に記載し、これらの例は、添付の構造及び式によって説明される。本開示は、全ての代替形態、変更形態及び均等物を包含することを意図し、これらは、全て添付の特許請求の範囲により定義される本開示の範囲に含まれる。さらに、明確性のために、複数の独立した実施形態において別個に記載される本明細書で開示する特定の技術的特徴は、個別の実施形態を組み合わせて又は任意の好適な部分を組み合わせて提供することができる。
【0025】
本発明の定義及び/又は用語
本明細書で使用する「飼料で許容される塩」とは、本明細書で提供されるフランカルボン酸の化合物及び動物に無毒性である有機若しくは無機塩基又は有機若しくは無機酸により形成される塩を意味する。「飼料で許容される」という用語は、物質又は組成物が化学的又は毒物学的に好適でなければならず、飼料の組成物に対して又は摂取する飼育動物に対して適切でなければならないことを意味する。
【0026】
本明細書で提供される因子への影響に関する研究のための試験条件下での「著しい変化」とは、「試験物品の含有量の測定における5%を超える変化」を意味する。
【0027】
本明細書で使用する「動物」とは、無機物質を有機物質に転換することができず、摂食、消化、吸収、呼吸、循環、排泄、感知、移動及び生殖などの生命活動のために、食物として有機物質のみを用いることができるヒト又は飼育動物を意味する。「飼育動物」という用語は、家禽、家畜、水産動物並びにネコ及びイヌなどのペット動物を含み、飼育のために合法的に捕獲されている他の動物を含む。「家畜」という用語は、例えば、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、シカ及び多くの有用な齧歯類のいずれか1つを意味する。「家禽」という用語は、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、ハトなどを含むことを意図する。「水産動物」という用語は、例えば、魚、エビ、カメ、スッポンなどを含む。
【0028】
本明細書で使用する「飼料のための添加物」又は「飼料用添加物」とは、飼料の加工、製造及び使用中に添加される少量又は微量の物質を意味し、飼料のための栄養添加物及び飼料のための非栄養添加物とも呼ばれ、飼料のための一般的な添加物に分類される。
【0029】
本明細書で使用する「飼料」とは、動物摂取のために工業化によって加工及び製造される製品を意味する。「飼料」又は「動物用飼料」は、別途明記しない限り、動物用飼料のための飼料原料及び動物用飼料のための1種以上の添加物を含む。
【0030】
本明細書で使用する「組成物」とは、本明細書で提供される化合物の1種以上を有効成分として含む一連の化合物を意味する。
【0031】
本明細書で使用する「含んでいる」又は「含む」は、オープンな表現であり、本明細書で明記されているものを含むだけでなく、他の態様を除外しない。
【0032】
本発明のフランカルボン酸の使用
動物のパフォーマンスを向上させるための動物用飼料のための添加物の調製における、式(I):
【化2】
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、H又は-COOHである)
のフランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩の使用が本明細書で提供される。
【0033】
いくつかの実施形態では、動物用飼料のための添加物の調製で使用するフランカルボン酸の化合物は、
【化3】
(化学命名法:2-フランカルボン酸)
であることが好ましい。
【0034】
いくつかの実施形態では、動物用飼料のための添加物の調製で使用するフランカルボン酸の化合物は、
【化4】
(化学命名法:3-フランカルボン酸)
であることが好ましい。
【0035】
いくつかの実施形態では、動物用飼料のための添加物の調製で使用するフランカルボン酸の化合物は、
【化5】
(化学命名法:2,4-フランカルボン酸)
であることが好ましい。
【0036】
フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩は、様々な成長段階における動物のための成長促進剤の調製で使用され、動物は、様々な成長段階における家畜、家禽、水産動物又はペット動物から選択され得る。
【0037】
さらなる実施形態では、家畜として、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、ミンク又はロバが挙げられるが、これらに限定されない。家禽として、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ又はハトが挙げられるが、これらに限定されない。水産動物として、魚、エビ、カメ、カニ、スッポン、食用ガエル、ウナギ又はドジョウが挙げられるが、これらに限定されない。ペット動物として、様々な亜種のイヌ又はネコが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
一実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を、離乳した子ブタの成長パフォーマンスを向上させ得る飼料のための添加物の調製で使用する。
【0039】
別の実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を、中年期のブタの成長パフォーマンスを向上させ得る飼料のための添加物の調製で使用する。
【0040】
別の実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を、ヒヨコの成長パフォーマンスを向上させ得る飼料のための添加物の調製で使用する。
【0041】
別の実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を、魚の成長パフォーマンスを向上させ得る飼料のための添加物の調製で使用する。
【0042】
本発明の飼料組成物
フランカルボン酸の化合物若しくは飼料で許容されるその塩又はこれらの組み合わせと給餌可能な賦形剤とを含み、給餌可能な賦形剤が給餌可能な担体、希釈剤、補助剤若しくはビヒクル又はこれらの組み合わせである、飼料組成物が本明細書で提供される。
【0043】
本明細書で使用する「担体」とは、有機又は無機担体を含み、有効成分を担持し、その分散性を向上させ、良好な化学的安定性及び吸着性を有することができる給餌可能な物質を意味する。有機担体は、多数の粗繊維を含有する素材であり、トウモロコシ粉、トウモロコシの穂軸の粉、小麦ふすま、籾殻粉、脱脂コメヌカ、精米副産物、トウモロコシの茎の粉、落花生の殻の粉などを含むが、これらに限定されない。無機担体は、無機質であり、これは、主にカルシウム塩と酸化ケイ素とに分けられ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、バーミキュライト、ゼオライト、海泡石などを含むが、これらに限定されず、微量元素プレミックスの調製に用いられる。
【0044】
本明細書で使用する「希釈剤」とは、素材に均一に開始添加物を分布させ、高濃度添加物を低濃度プレミックスに希釈する物質を意味し、これは、有機又は無機希釈剤を含む関連物質の物理化学的性質に影響を及ぼすことなく、微量の構成成分を互いに分離させ、有効成分同士の相互作用を低下させて、有効成分の安定性を増加させることができる。有機希釈剤としては、トウモロコシ粉、無発芽トウモロコシ粉、デキストロース(グルコース)、スクロース、ふすま含有セモリナ、炒めた大豆粕、小麦ミドリング、コーングルテンミールなどが挙げられるが、これらに限定されない。無機希釈剤としては、石灰岩、リン酸二水素カルシウム、シェルパウダー、カオリン(ホワイトクレー)、塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用する「アジュバント」とは、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ラウリル硫酸マグネシウム、デンプン、デンプンスラリー、水、無機塩、デキストリン、粉末糖などを含むが、これらに限定されず、物質の固有粘度を下げる湿潤剤、物質同士を結合する結合剤、物質のシート全体を粉砕して多くの微粒子にする崩壊剤、粒子同士の摩擦を減らす歩留向上剤又は素材の固着を防ぐ固着防止剤を意味する。
【0046】
本明細書で使用する「ビヒクル」とは、水、エタノール、グリセリンなどを含むが、これらに限定されず、固体を溶解又は分散させるために必要な溶媒を意味する。
【0047】
いくつかの実施形態では、飼料組成物は、動物用飼料のための追加の添加物及び/又は動物用飼料のための飼料原料をさらに含む。
【0048】
動物用飼料のための添加物は、飼料のための栄養添加物、飼料のための一般的な添加物又は飼料のための薬学的添加物である。
【0049】
飼料のための栄養添加物とは、アミノ酸、アミノ酸塩及びその類似体、ビタミン及びビタミン様物質、無機質成分及びその錯体(キレート)、微生物酵素調製物又は非タンパク質窒素を含み、配合飼料に加えられて、飼料の栄養を整え、飼料の利用を改善し、且つ動物に対して栄養効果を直接発揮する少量又は微量の物質を意味する。
【0050】
飼料用の一般的な添加物は、非栄養添加物とも呼ばれ、成長促進剤、防虫剤、健康管理剤、香味剤及び食品誘引剤、飼料調節剤、飼料調製物、飼料保存剤並びに漢方薬添加物を含み、飼料に添加されることで飼料の利用を改善し、飼料の質及び質を確保し、動物の健康又は代謝に有益となるいくつかの非栄養物質を意味する。
【0051】
いくつかの実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む組成物は、飼料用の栄養添加物、飼料用の非栄養添加物及び飼料用の薬学的添加物の1種以上をさらに含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、動物用飼料のための飼料原料は、穀類及びその加工製品、脂肪種子及びその加工製品、豆果種子及びその加工製品、塊茎、根部及びその加工製品、他の種子、果物製品及びその加工製品、飼料用草、食物繊維及びその加工製品、他の植物、藻類及びその加工製品、乳製品及びその副産物、陸生動物製品及びその副産物、魚、他の水生生体及びその副産物、無機質、微生物発酵製品及び副産物、他の飼料原料を含み、給餌可能な物質を含む。
【0053】
飼料組成物の使用
フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物の使用が本明細書で提供される。
【0054】
いくつかの実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物を動物用飼料のための添加物の調製で使用する。
【0055】
いくつかの実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物を用いることで調製される動物用飼料のための添加物は、家畜、家禽、水産動物又はペット動物のための飼料用の添加物である。
【0056】
特定の実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物を家畜用飼料のための添加物の調製に使用する。家畜としては、様々な成長段階におけるブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、ミンクなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
特定の実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物を家禽用飼料のための添加物の調製に使用する。家禽としては、様々な成長段階におけるニワトリ、アヒル、ガチョウ、ハトなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
特定の実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物を水産動物用飼料のための添加物の調製に使用する。水産動物としては、様々な成長段階における魚、エビ、カニ、スッポン、ウナギなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
特定の実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物をペット動物用飼料のための添加物の調製に使用する。ペット動物としては、飼育されているネコ及びイヌが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
いくつかの実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む組成物から調製した動物用飼料のための添加物は、プレミックス、マルチプレミックス、水溶液又は顆粒である。
【0061】
いくつかの実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物を動物用飼料の調製に使用する。
【0062】
いくつかの実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物を用いることで調製される動物用飼料は、家畜、家禽、水産動物又はペット動物のための飼料である。
【0063】
特定の実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物を家畜用飼料の調製に使用する。家畜としては、様々な成長段階におけるブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、ミンクなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
特定の実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物を家禽用飼料の調製に使用する。家禽としては、様々な成長段階におけるニワトリ、アヒル、ガチョウ、ハトなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
特定の実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物を水産動物用飼料の調製に使用する。水産動物としては、様々な成長段階における魚、エビ、カニ、スッポン、ウナギなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
特定の実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物をペット動物用飼料の調製に使用する。ペット動物としては、飼育されているネコ及びイヌが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
いくつかの実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物から調製される飼料は、単独の飼料、濃縮飼料、配合飼料、マルチプレミックス又は濃縮サプリメントである。
【0068】
特定の実施形態では、配合飼料は、完全配合飼料である。
【0069】
飼育動物のパフォーマンスを向上させる方法
いくつかの給餌実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料のための添加物は、飼料と共に動物に投与され、その動物のパフォーマンスを著しく向上させ得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、飼料のための添加物は、プレミックス、マルチプレミックス、顆粒又は水溶液であり、これは、動物用飼料と混合され、動物により摂取される。
【0071】
動物は、家畜、家禽、水産動物又はペット動物である。
【0072】
特定の実施形態では、家畜としては、様々な成長段階におけるブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、ミンクなどが挙げられるが、これらに限定されない。家禽としては、様々な成長段階におけるニワトリ、アヒル、ガチョウ、ハトなどが挙げられるが、これらに限定されない。水産動物としては、様々な成長段階における魚、エビ、カニ、スッポン、ウナギなどが挙げられるが、これらに限定されない。ペット動物としては、飼育されているネコ及びイヌが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
一実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料のための添加物は、離乳した子ブタに飼料と共に投与され、これは、離乳した子ブタにおいて平均の1日増体重及び飼料転換を著しく向上させ得る。
【0074】
一実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料のための添加物は、飼料と共にブロイラーに投与され、これは、ブロイラーにおける飼料転換率を著しく低下させ、飼料転換を改善する。
【0075】
一実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料のための添加物は、飼料と共に魚に投与される。
【0076】
一実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料のための添加物は、飼料と共に子犬に投与される。
【0077】
別の給餌実施形態では、フランカルボン酸の化合物又は飼料で許容されるその塩を含む飼料組成物は、動物に投与され、その動物のパフォーマンスを著しく向上させ得る。
【0078】
任意選択的に、飼料組成物は、飼料用添加物のプレミックス、飼料用添加物のマルチプレミックス、顆粒又は水溶液であり、これらは飼料と共に動物に投与される。
【0079】
一実施形態では、飼料組成物は、飼料用添加物のプレミックスである。
【0080】
一実施形態では、飼料組成物は、飼料用添加物の複合プレミックスである。
【0081】
任意選択的に、飼料組成物は、濃縮飼料、配合飼料、マルチプレミックス、濃縮サプリメントであり、これらは動物用飼料として、動物により直接消費される。
【0082】
一実施形態では、飼料組成物は、完全配合飼料である。
【0083】
ここで、本明細書で提供される特定の実施形態を詳細に記載し、これらの例は、添付の構造及び式によって説明される。本開示は、全ての代替形態、変更形態及び均等物を包含することを意図し、これらは、添付の特許請求の範囲により定義される本開示の範囲に含まれる。さらに、明確性のために、複数の独立した実施形態において別個に記載され、本明細書で開示する特定の技術的特徴は、個別の実施形態を組み合わせて又は任意の好適な部分を組み合わせて提供することができる。
【0084】
(実施例)
実施例1:離乳した子ブタのパフォーマンスにおけるフランカルボン酸の効果
計120匹の、体重がほぼ同じである65日齢のデュロック-ランドレース-ヨークシャーブタを無作為に4つの群に分けた。オスとメスとを半数ずつ、各群に10匹のブタを入れ、それぞれ3回反復試験を行った。豚小屋及び用具を試験前に消毒した。試験期間中、ブタを同じ給餌及び管理条件下で別個の小屋において飼育した。試験中、試験ブタには、食物及び水を自由に給餌し、1日2回給餌した。試験群を表1に示す。そのうち、I群は、対照群であり、基本の食事のみが給餌された。試験群II、III及びIVには、それぞれ表1に示すフランカルボン酸の化合物2000ppmを含む基本の食事が給餌された。各試験群には、全給餌プロセスで他の酸化防止剤成分及び成長促進剤を加えなかった。試験は、28日間続き、試験ブタのパフォーマンス、例えば各ブタの平均の1日飼料摂取量(ADFI、g/d*ブタ)、平均の1日増体重(ADG、g/d*ブタ)及び飼料転換率(FCR)を計算した。試験結果は、表1に示すとおり「平均」として表す。結果は、フランカルボン酸の化合物を含む基本の食事を給餌した試験群における試験ブタの飼料摂取は著しく影響を受けなかったが、対照群と比較して飼料転換率が約5.6%低下した一方、平均の1日増加が著しく上昇した。
【0085】
【0086】
実施例2:ニワトリ用飼料におけるフランカルボン酸の使用の研究
本実験には、単一因子無作為化デザインを適用した。平均体重が50gである480匹の1日齢のブロイラーを選択し、4つの群に無作為に分けた。各群にオスとメスとを半分ずつ、1試験当たり20匹のイエローフェザーブロイラーを入れ、それぞれ6回反復試験を行った。鶏小屋及び用具を試験前に消毒した。試験期間中、ブロイラーを同じ給餌及び管理条件下でケージにおいて飼育した。基本の食事は、主にトウモロコシ-大豆粕をベースとし、全給餌中に他の酸化防止剤及び成長促進剤を加えなかった。試験群を表2に示す。そのうち、I群は、対照群であり、基本の食事のみが給餌された。試験群II、III及びIVには、それぞれ表2に示すフランカルボン酸の化合物1000ppmを含む基本の食事が給餌された。試験は、20日間続き、試験ブロイラーには食物及び水を自由に給餌し、1日2回給餌した。各反復試験における試験ブロイラーの体重を21日齢の時点で測った(12時間給餌を止め、水分の供給は続ける)。試験ブロイラーの飼料消費を計算し、各ブロイラーの平均の1日飼料摂取量(ADFI、g/d*ブロイラー)、平均の1日増体重(ADG、g/d*ブロイラー)及び飼料転換率(FCR)を計算した。
【0087】
試験結果は、表2に示すとおり、「平均」として表す。結果は、各試験群における試験ニワトリの飼料摂取の効果が顕著でなかったものの、対照群と比較して試験ニワトリの平均の増体重が著しく増加し、飼料転換率が著しく低下した。
【0088】
【0089】
実施例3:魚用飼料におけるフランカルボン酸の使用の研究
(1)実験材料
試験用魚:用いた試験用魚は、健常で活力のある、年齢が同じソウギョの幼魚であり、大型ケージ(4×2×1.5m3)で4週間飼育した後、正式な繁殖試験に用いた。実験系は、小型のフローティングケージ(1.1×1.1×1.1m3のサイズ)であり、各小型ケージに泡立てヘッドが装着され、1日24時間、泡立てを行った。小型ケージ及び一時用ケージを試験施設(3500m2の池、池の深さは約1.5mであった)に入れ、池の水は、完全に通気した低層水であった。試験中、1日間絶食させた240匹のソウギョを3つの群に無作為に分けた。各群に20匹の魚を入れ、4回反復試験を行った。各複製の重量を測り、12個のケージに入れ、それぞれフランカルボン酸の化合物を補充した試験飼料を給餌した。
【0090】
試験飼料:試験飼料を表3の配合に従って調製し、フランカルボン酸の化合物500ppmを表4に従って異なる試験群に加えた。用いた飼料原料を超微細に粉砕した後、Jiangsu Muyang製の押出成形機に通し、3mmの粒径の浮動押出成形飼料を作製した。鋳型のリリース温度は、130℃であり、3%大豆油をオイル注入装置で外側に吹付け、使用のために密閉して冷所に保存した。
【0091】
【0092】
【0093】
(2)実験方法
手順:実験では、人工食物制限給餌を適用し、給餌量を週に1回調節し、各群の給餌レベル(初期体重に基づく)は、厳密に同じであり、1日2回給餌を行い(7:30am及び15:00pm)、合計の給餌量は、1回の試験当たり580gである。試験は、8週間続いた。水の質を試験中に定期的に監視した。全給餌プロセス中、水温は、26.88±3.08℃であり、DO>5.0mgOL-1、pH7.8、アンモニア窒素<0.50mgNL-1であり、亜硝酸塩窒素<0.05mgNL-1であった。
【0094】
パラメーター統計:試験中、各ケージ内の魚の体重を、1日全体にわたって給餌を止めて測り、体重増加(WG、%)、飼料転換率(FCR)及び生存率(SR、%)を以下のとおりに計算した:
体重増加(WG、%)=100×(平均の最終体重-平均の初期体重)/平均の初期体重;
飼料転換率(FCR)=飼料摂取/魚の体重増加;
生存率(SR、%)=100×実験終了時の魚の数/実験開始時の魚の数。
【0095】
(3)実験結果
ソウギョのパフォーマンスにおけるフランカルボン酸の効果の結果を表5に示す。結果は、フランカルボン酸の化合物を添加した試験群が体重増加及び飼料転換率の観点で対照群よりも良好であり、明らかな成長促進効果を有することを示した。さらに、ソウギョの生存率及び低酸素症耐性能力は、試験群で著しく改善した。
【0096】
【0097】
前述の実施例は、単に本発明のいくつかの実施形態を示し、本発明を行うための他の実施形態が存在する。これに対応して、本発明の実施形態は、実施例として記述されるが、本発明の範囲を限定するものとしてみなされてはならず、本発明の範囲内において且つ同じ発明の概念内でなされる変更形態又は特許請求の範囲で付加される均等物でもあり得る。
【0098】
(付記)
(付記1)
動物のパフォーマンスを向上させるための動物用飼料のための添加物の調製における、式(I):
【化6】
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、H又は-COOHである)
の化合物、飼料で許容されるその塩又は前記化合物若しくは塩を含む飼料組成物の使用。
【0099】
(付記2)
R1及びR3のそれぞれは、Hであり、且つR2は、-COOH;R1は、-COOHであり、且つR2及びR3のそれぞれは、H;又はR1及びR3のそれぞれは、-COOHであり、且つR2は、Hである、付記1に記載の使用。
【0100】
(付記3)
前記動物用飼料のための前記添加物は、様々な成長段階における家畜、家禽、水産動物又はペット動物用の飼料のための添加物である、付記1又は2に記載の使用。
【0101】
(付記4)
前記動物用飼料のための前記添加物は、成長促進剤である、付記1又は2に記載の使用。
【0102】
(付記5)
動物のパフォーマンスを向上させるための動物用飼料の調製における、式(I):
【化7】
(式中、R
1、R
2及びR
3のそれぞれは、独立して、H又は-COOHである)
の化合物、飼料で許容されるその塩又は前記化合物若しくは塩を含む飼料組成物の使用。
【0103】
(付記6)
R1及びR3のそれぞれは、Hであり、且つR2は、-COOH;R1は、-COOHであり、且つR2及びR3のそれぞれは、H;又はR1及びR3のそれぞれは、-COOHであり、且つR2は、Hである、付記5に記載の使用。
【0104】
(付記7)
前記動物用飼料は、様々な成長段階における家畜、家禽、水産動物又はペット動物のための飼料である、付記5又は6に記載の使用。
【0105】
(付記8)
前記動物用飼料は、動物用飼料のための飼料原料をさらに含む、付記5に記載の使用。
【0106】
(付記9)
前記動物用飼料は、動物用飼料のための追加の添加物をさらに含む、付記5に記載の使用。
【0107】
(付記10)
前記動物用飼料のための前記追加の添加物は、飼料のための栄養添加物、飼料のための非栄養添加物又は飼料のための薬学的添加物である、付記9に記載の使用。
【国際調査報告】