(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】多粒子医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4015 20060101AFI20240628BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240628BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240628BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240628BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240628BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240628BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240628BHJP
【FI】
A61K31/4015
A61P25/08
A61K9/20
A61K9/14
A61K47/38
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/04
A61K47/36
A61K47/32
A61K47/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504161
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2022070585
(87)【国際公開番号】W WO2023002004
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524029091
【氏名又は名称】ノイラックスファーム、ファーマスーティカルズ、ソシエダッド、リミターダ
【氏名又は名称原語表記】NEURAXPHARM PHARMACEUTICALS, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デヴェンドラ、リドゥカー
(72)【発明者】
【氏名】カルメン、ウベダ、ペレス
(72)【発明者】
【氏名】イグナシオ、ディエス、マルティン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD22
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD45
4C076DD47
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE32
4C076EE36
4C076EE38
4C076FF33
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC08
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA52
4C086NA20
4C086ZA06
(57)【要約】
本発明は、改変放出層により被覆される、レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む即時放出コアを含んでなる多粒子組成物の形態での経口用固体医薬組成物、本発明の組成物の調製するための方法、および治療におけるその使用を提供する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩と、希釈剤、結合剤、流動促進剤および滑沢剤から選択される1つまたは複数の賦形剤とを含んでなる複数の個別即時放出コアを含んでなる多粒子医薬組成物であって、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも約50%が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を20℃での2%(w/w)水溶液において有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、エチルセルロースのヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が約4:1~約20:1であり、かつ、前記組成物がミニ錠剤、ペレットおよび/または顆粒の形態、好ましくはミニ錠剤の形態である、多粒子医薬組成物
【請求項2】
すべての個別即時放出コアの少なくとも約90%、好ましくは約100%が、エチルセルロースと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる前記混合物により被覆される、請求項1に記載の多粒子組成物。
【請求項3】
エチルセルロースのヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が約5:1~約18:1、好ましくは約8:1~約15:1、より好ましくは約11:1~約15:1、一層より好ましくは約12.5:1である、請求項1または2に記載の多粒子組成物。
【請求項4】
エチルセルロースと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる前記被覆混合物がさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸、エチレングリコール、グリコール、1,2-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、スチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール20、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ソルビトールラクタート、エチルラクタート、ブチルラクタート、エチルグリコラート、ジブチルセバカート、アセチルトリブチルシトラート、トリエチルシトラート、アセチルトリエチルシトラート、トリブチルシトラートおよびアリルグリコレート、および/またはそれらの混合物を含む群から選択される可塑剤、好ましくは、中鎖トリグリセリド、オレイン酸、および/またはそれらの混合物から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムおよび/またはそれらの混合物を含む群から選択される安定剤、好ましくは、水酸化アンモニウムから選択される安定剤とを含んでなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の多粒子組成物。
【請求項5】
前記被覆層が、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する、請求項1~4のいずれか一項に記載の多粒子組成物。
【請求項6】
前記希釈剤が、セルロース誘導体、例えば、セルロース粉末、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど;天然デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなど;アルファ化デンプンおよびそれらの混合物から選択され、好ましくは前記希釈剤が、メチルセルロース、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースから選択されるセルロース誘導体;アルファ化デンプンおよび/またはそれらの混合物であり、より好ましくは微結晶セルロースである、請求項1~5のいずれか一項に記載の多粒子組成物。
【請求項7】
前記結合剤が、ポビドン、コポビドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ポリエチレンオキシド、アルギン酸、修飾トウモロコシデンプンおよび/またはそれらの混合物から選択され、好ましくは、ポビドン、コポビドンおよび/またはそれらの混合物から選択され、より好ましくはコポビドンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の多粒子組成物。
【請求項8】
前記滑沢剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、鉱油、ステアリン酸および/またはそれらの混合物から選択され、好ましくは、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛および/またはそれらの混合物から選択され、より好ましくはステアリン酸マグネシウムである、請求項1~7のいずれか一項に記載の多粒子組成物。
【請求項9】
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩と、必要に応じて、希釈剤、結合剤、流動促進剤および滑沢剤からなる群から選択される1つまたは複数の賦形剤とを含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)のすべてが、エチルセルロースと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースのヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が約8:1~約15:1であり、
前記被覆層が、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する、請求項1~8のいずれか一項に記載の多粒子組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の多粒子医薬組成物において、レベチラセタムを、約1000mg、約1500mg、約2000mgまたは約3000mgの量で含有する投薬形を提供するために十分である量で当該組成物の粒子のいくつかを含んでなる、患者に投与されるための投薬形の形態である、多粒子医薬組成物。
【請求項11】
サシェ(sachet)に詰められる、請求項1~10のいずれか一項に記載の多粒子医薬組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の多粒子医薬組成物を調製する方法であって、
i)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を提供する工程、
ii)必要に応じて、前記レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を希釈剤と約1分~約10分、より好ましくは約2分~約7分、一層より好ましくは約5分間にわたって混合する工程、
iii)必要に応じて、工程ii)から生じる混合物を、結合剤を含む溶液とともに顆粒にする工程、
iv)必要に応じて、工程(i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程(ii)および工程(iii)から生じる製造物を好ましくは約55℃~70℃の温度で、好ましくは約60℃~約65℃の温度で、より好ましくは約60℃の温度で乾燥する工程、
v)必要に応じて、工程(i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程(ii)、工程(iii)および工程(iv)から生じる製造物を流動促進剤と、好ましくは約5分~約30分、より好ましくは10分~20分、一層より好ましくは約15分間にわたって混合する工程、
vi)必要に応じて、工程(i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程(ii)、工程(iii)および工程(iv)から生じる製造物を滑沢剤と、好ましくは約1分~約10分、より好ましくは約2分~約7分、一層より好ましくは約5分間にわたって混合する工程、
vii)必要に応じて、工程(i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程(ii)、工程(iii)、工程(iv)、工程(v)および工程(vi)から生じる製造物を圧縮する工程、
viii)工程(i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程(ii)、工程(iii)、工程(iv)、工程(v)、工程(vi)および工程(vii)から生じる製造物を、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの粘度を20℃での2%(w/w)水溶液において有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆し、さらには、エチルセルロースのヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が約4:1~約20:1であり、
ix)工程viii)から生じる被覆された混合物を好ましくは約15℃~約30℃の温度で、より好ましくは20℃~25℃の温度で硬化させる工程
を含んでなる、方法。
【請求項13】
工程ii)、工程iii)、工程iv)、工程v)、工程vi)および工程vii)が行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
てんかんの処置に使用するための、請求項1~11のいずれか一項に記載の多粒子医薬組成物。
【請求項15】
1日に1回の投与方針における、請求項14に記載の多粒子医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、放出調整層により被覆される、レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む即時放出コアを含んでなる多粒子組成物の形態での経口用固体医薬組成物、本発明の組成物を調製するための方法、および治療におけるその使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
レベチラセタムは(S)-2-(2-オキソピロリジン-1-イル)ブタンアミドのIUPAC化学名を有しており(式(1))、UCBによって開発された薬物であって、てんかんを単独療法として、または併用でそのどちらでも処置するための、Keppra(登録商標)の商標名で販売されている薬物である。
【化1】
【0003】
正確な作用機構は正しくは理解されておらず、だが、レベチラセタムが脳においてシナプス小胞タンパク質SV2Aへの結合を介して作用すると考えられている。レベチラセタムは経口投与時には迅速かつほぼ完全に吸収され、最大血漿中濃度におよそ1時間後に達し、血漿タンパク質への結合は最小限である。
【0004】
てんかんは、てんかん発作、すなわち、脳におけるニューロンの異常な過剰放電から生じるその臨床的な症状発現によって特徴づけられる慢性状態である。てんかん発作は、3つのカテゴリー、すなわち、痙攣性または非痙攣性の症状発現を引き起こしかねない焦点発作、全身発作および非分類てんかん発作に分類することができ、また、意識が(完全にまたは部分的に)損なわれかねない。
【0005】
慢性状態として、てんかんは多くの患者では薬物療法を生涯にわたって必要とする。この点に関して、単回服用レジメンが、患者コンプライアンスを増大させるために、同様にまた、身体における薬物の定常レベルを保ち、それによって薬物レベルにおける望ましくない変動を回避するために好都合である。
【0006】
レベチラセタムについての標準的な初期薬量学は1日に2回の500mgであり、これは許容度および臨床応答に基づいて、1日に2回の1500mgにまで増大することができる。欧州において、レベチラセタムが、(異なる強度での)様々な錠剤の形態で、注入用溶液として、および経口用溶液として利用可能である。レベチラセタムの長期放出処方物が、米国ではKeppra(登録商標)XRとして利用可能であるにもかかわらず、欧州では利用できない。
【0007】
Keppra XRは、錠剤コアが、親水性の速度制御ポリマー(例えば、高粘度ヒプロメロースなど)を含むマトリックス錠剤であるフィルム被覆された錠剤の形態で、500mgおよび750mgの強度で利用可能である。しかしながら、これらの錠剤は、割れたり、砕けたりしてはならないため、用量の容易な小分けを許しておらず、また、そのサイズが、患者のコンプライアンスについての問題を、例えば、小児集団において引き起こすことがある。そのうえ、この錠剤の経口投与の後では、レベチラセタムの苦味を、レベチラセタム活性薬物自体のかすかな匂いおよび苦味に起因して経験することがある。
【0008】
国際公開WO2006/088864(A1)は、2つ以上のレベチラセタム投薬形を逐次的に投与することによってもたらされる血漿中プロファイルに類似する血漿中プロファイルをもたらすことが可能である、レベチラセタムを含む制御放出組成物を開示する。しかしながら、実験結果も、実施例も、この文献には提供されていない。
【0009】
国際公開WO2009/069089(A1)には、被覆された錠剤の形態でのレベチラセタム制御放出処方物が開示される。開示に従う錠剤の様々な実施例が提供され、しかし、それらにおいて、高用量の錠剤(例えば、1000mg)は、とりわけ小児集団では患者コンプライアンスに対する障害となり得る大きな錠剤をもたらすことを認めることができる。
【0010】
米国特許出願公開第2011/0217374号(A1)は、第1の有効成分を含む、疎水性ポリマーにより被覆される持続放出部分と、第2の有効成分を含む即時放出部分とを含むことによって、迅速かつ長時間作用する特性を同時に有する組成物を開示する。
【0011】
米国特許出願公開第2010/0172979号(A1)には、コアが、有効成分(例えば、レベチラセタムなど)と、蝋賦形剤とを含み、その多くがその物理的特性(すなわち、融点)のために特定の取り扱いおよび/またはプロセス条件を必要とする、制御放出処方物が開示される。
【0012】
国際公開WO2011/107855(A2)は、a)密封被覆によって囲まれる不活性なペレットと、b)薬学的有効成分を1つまたは複数の薬学的に許容可能な賦形剤とともに含む、前記密封被覆された不活性なペレットを囲む薬物層と、c)速度制御ポリマーを含む、前記薬物層を囲む被覆層とを含んでなり、持続放出ペレットが、緩衝剤の有無によらず維持される好適なpHで懸濁媒体において、他の薬学的に許容可能な賦形剤に加えて、粘度調整剤または懸濁化剤または増粘剤または懸濁安定剤とともに懸濁される、味覚遮蔽された持続放出型の経口用液体懸濁剤形に関する。
【0013】
国際出願公開WO2014/025593(A1)は、1日に1回の投薬方針を可能にするための延長放出レベチラセタム医薬組成物に関する。開示された組成物は、放出調整剤ポリマーによりさらに被覆され得る、放出調整剤を有するリザーバー微粒子に依拠している。
【0014】
上記にもかかわらず、治療方針に関する患者のコンプライアンスを、患者におけるレベチラセタムの治療レベルを維持しながら容易な投与スケジュール(例えば、1日に1回の投与など)と一緒に、その安易な投与および容易な薬量学妥当性に起因して改善することができる、レベチラセタムを含む医薬組成物の開発が依然として求められている。
【発明の概要】
【0015】
本発明者らは、1日に1回の治療方針のために好適である、レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む即時放出コアを含んでなる多粒子組成物であって、前記コアが、エチルセルロースと、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含む混合物により被覆され、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、約1mPa・s~約1,000mPa・sの粘度を有する、多粒子組成物を開発した。
【0016】
第1の態様において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記即時放出コアa)の少なくとも50%が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆される、多粒子医薬組成物に関する。
【0017】
第2の態様において、本発明は、第1の態様による固体医薬組成物を調製するための方法を提供する。
【0018】
第3の態様において、本発明は、てんかんの処置における使用のための第1の態様による多粒子組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】Keppra(登録商標)による参照処置と比較して実施例1による組成物の平均血漿中濃度を示すグラフである。
【
図2】Keppra(登録商標)による参照処置と比較して実施例4による組成物の平均血漿中濃度を示すグラフである。
【
図3】Keppra(登録商標)による参照処置と比較して実施例5による組成物の平均血漿中濃度を示すグラフである。
【
図4】Keppra(登録商標)による参照処置と比較して実施例6による組成物の平均血漿中濃度を示すグラフである。
【
図5】Keppra(登録商標)による参照処置と比較して実施例1による組成物の平均血漿中濃度を示すグラフである。
【
図6】実施例1~6で得られたミニ錠剤の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
定義
用語「約」は、本明細書中で使用される場合、値の統計学的に意味のある範囲(典型的には10%以内)を示す。そのような範囲は、所与の値または範囲の測定および/または決定のために使用される標準的な方法に典型的な実験誤差の範囲内にあることが可能である。1つの実施形態において、範囲は、示された値の5%以内である。別の実施形態において、範囲は、示された値の1%以内である。さらに別の実施形態において、範囲は、示された値の0.5%以内である。
【0021】
用語「薬学上許容可能な」は、本明細書中で使用される場合、妥当な医学的判断の範囲内において、過度な毒性、刺激、アレルギー性応答または他の問題的な合併症を伴わない動物(特にヒト)の組織との接触のために好適であり、かつ合理的な利益/リスク比に見合うそのような化合物、材料、組成物および/または投薬形を示す。
【0022】
用語「処置する」(treating)は、本明細書中で使用される場合、別途示されている場合を除き、疾患または障害の改善、治癒、および/または治癒の維持(すなわち、疾患または障害の再発の防止または遅延)を包含する。障害が生じた後での処置は、当該障害および/またはその関連症状を軽減すること、緩和すること、改善すること、または完全に排除すること、当該障害が悪化することを防止すること、進行速度を遅くすること、あるいは当該障害が最初に排除されると、当該障害が再び生じることを防止すること(すなわち、再発を防止すること)を目的とする。
【0023】
用語「長期放出」は、本明細書中で使用される場合、即時放出投薬形について観察される放出速度と比較して薬物物質の放出速度を引き延ばすために意図的に改変される投薬形を示す。長期放出投薬における放出パターンは、即時放出を模倣するバースト効果で始まり、その後に、投薬形における残りの薬物物質のより遅い放出が続く場合がある。
【0024】
用語「即時放出」は、本明細書中で使用される場合、パドル試験(50rpm)を使用して25℃の水において、活性な医薬成分の少なくとも80%を30分以内に放出する医薬処方物を示す。
【0025】
用語「多粒子医薬組成物」は、本明細書中で使用される場合、多数の固体単位物の形態における医薬組成物、例えば、ペレット、ミニ錠剤、顆粒および/またはそれらの混合物などの形態における医薬組成物を示す。
【0026】
用語「ペレット」は、本明細書中で使用される場合、90マイクロメートル~2000マイクロメートルのサイズを有し、微細な粉末または顆粒の凝集によって好ましくは製造される、易流動性の実質的に球状の微粒子を示す。
【0027】
本発明の実施形態において、用語「ミニ錠剤」は、圧縮によって製造される、すなわち、小さいサイズの錠剤加圧成形に合うように改造される従来の打錠機で製造することができる、典型的には≦3mmの直径、好ましくは3mm以下の直径、より好ましくは2.5mm以下の直径、一層より好ましくは約2.0mm~少なくとも1.0mmの間の直径を有する固体の医薬用投薬形を示す。ミニ錠剤は、平らな円形、両凸型円形、楕円型凸形および円筒形から選択されるいずれかの一般的な錠剤形状で、好ましくは両凸型円形形状で圧縮されることがある。前記ミニ錠剤の形状が
図6に示される。
【0028】
本発明の別の実施形態において、用語「ミニ錠剤」は、表面積が20mm2未満であり、好ましくは16~18mm2であり、より好ましくは12~15mm2であり、容積が10mm3未満であり、好ましくは7~10mm3であり、より好ましくは4~6mm3である、圧縮によって製造される固体形態を示す。
【0029】
用語「顆粒」は、本明細書中で使用される場合、取扱いに耐えるために十分に堅固であるより大きい粒子を形成するように凝集している粉末粒子を含む、不規則な形状である固体の医薬品剤形を示す。
【0030】
用語「被覆」は、本明細書中で使用される場合、少なくとも1つの溶液被覆物、分散被覆物または懸濁被覆物の基体への付着および/または吸着、好ましくは均一な付着および/または吸着を示す。基体上の被覆物は、どのような厚さであってもよい。好ましくは、被覆物は、基体に施される薄い均一な薄膜である。薄い均一な薄膜は、「フィルム被覆」または/および「孤立フィルム被覆」または/および「外面フィルム被覆」のタイプであることが可能である。
【0031】
用語「硬化させる」は、本明細書中で使用される場合、どのような方法によってであれ、例えば、冷却および/または乾燥などによる物理的または化学的な硬化(hardening)のプロセスを示す。特に、被覆混合物の物理的硬化(フィルム被覆)が本発明の多粒子医薬組成物の即時放出コアに適用される。
【0032】
用語「薬学上許容可能な塩」は、本明細書中で使用される場合、化合物の比較的非毒性の無機および有機の酸付加塩または塩基付加塩を示す。これらの塩は、化合物の最終的な単離および精製の期間中にその場で、あるいは別個にその遊離塩基/酸形態での精製された化合物を好適な有機または無機の酸/塩基と反応させ、このようにして形成される塩を単離することによって調製することができる。
【0033】
用語「生物学的同等性」は、本明細書中で使用される場合、別の医薬製造物(1つまたは複数)と薬学的に同等である、あるいは別の医薬製造物(1つまたは複数)に対して薬学的に代替となる医薬製造物を示し、それらの生物学的利用能が、同じ条件のもとでの同じモル用量の投与の後における吸収の速度(Cmaxおよびtmax)および程度(曲線下面積)の点では、それらの効果が本質的に同じであると予想され得るような程度に類似している。比較されている製造物の間で、AUC0-tとCmaxとの間の比の90%信頼区間が80~125%の範囲にあるならば、このことが証明されると見なされる。
【0034】
発明の詳細な説明
本発明の発明者らは、意外にも、レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含んでなる即時放出コアを、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆することにより、1日に1回の服用レジメンのために好適である改変された放出を有する経口用の固体医薬組成物を調製することが可能となることを見出した。
【0035】
注目すべきことに、本発明による組成物は、Keppra(登録商標)を用いたレベチラセタムについて現在推奨されている1日に2回の投薬により達成されるレベチラセタムの血漿中濃度と同一である、1日に1回の服用方針でのレベチラセタムの血漿中濃度の維持を可能にしている。さらに、本発明の組成物は、エタノールに曝されたときには過量放出(dose dumping)に対する抵抗性を示す。
【0036】
したがって、本発明の第1の態様は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記即時放出コアa)の少なくとも約50%が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆される、多粒子医薬組成物に関する。
【0037】
本発明の実施形態において、即時放出コアは固体である。
【0038】
本発明の実施形態において、本発明の医薬組成物は蝋賦形剤を含まない。より具体的には、本発明の医薬組成物は、カルナウバ蝋、植物蝋、果実蝋、微結晶蝋(「石油蝋」)、蜜蝋(白色または漂白、および黄色)、炭化水素蝋、パラフィン蝋、セチルエステル蝋、非イオン性乳化蝋、アニオン性乳化蝋、カンデリラ蝋、脂肪アルコール(例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコールまたはセトステアリルアルコール)、水素化植物油、水素化ひまし油、脂肪酸(例えば、ステアリン酸など)、脂肪酸エステル(脂肪酸グリセリド(モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド)が含まれる)、約3000を超える数平均分子量Mnの分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)(例えば、PEG3350、PEG4000、PEG4600、PEG6000、およびPEG8000)、または前述の蝋賦形剤のうちの少なくとも1つを含む組み合わせからなる群から選択される賦形剤をどのようなものであれ含まない。
【0039】
本発明の実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、80mPa・s~120mPa・sの間の粘度を有し、好ましくは約100mPa・sの粘度を有する。
【0040】
本発明の実施態様において、エチルセルロースは、400mPa・s~1500mPa・sの間の粘度を有する。
【0041】
本発明の実施形態において、被覆混合物は、100gの即時放出コアあたり9~14gの間に含まれる、(乾燥物として表される)被覆溶液の量で使用される。
【0042】
本発明の実施形態において、即時放出コアは、レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩、溶媒和物、水和物、結晶形もしくは非結晶形を含み、好ましくは、即時放出コアは結晶性レベチラセタムを含む。患者への投与のために調製される最終的な投薬形は、250mg~約3000mgの間の量で最終的な投薬形に存在し得るレベチラセタムを含む様々な粒子(好ましくはミニ錠剤)から構成される本発明の多粒子組成物を含む。例えば、レベチラセタムは、約250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、1075mg、1100mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350mg、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、1500mg、1525mg、1550mg、1575mg、1600mg、1625mg、1650mg、1675mg、1700mg、1725mg、1750mg、1775mg、1800mg、1825mg、1850mg、1875mg、1900mg、1925mg、1950mg、1975mg、2000mg、2025mg、2050mg、2075mg、または3000mgのいずれかの量で最終的な投薬形に存在し得る。1つの実施形態において、レベチラセタムは約1000mgの量で最終的な投薬形に存在し得る。1つの実施形態において、レベチラセタムは約1500mgの量で最終的な投薬形に存在し得る。1つの実施形態において、レベチラセタムは約2000mgの量で最終的な投薬形に存在し得る。1つの実施形態において、レベチラセタムは約3000mgの量で最終的な投薬形に存在し得る。
【0043】
好都合には、本発明のレベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアは、好ましくはミニ錠剤の形態であり、良好な化学的特性および機械的特性、例えば、良好な均一性、破砕性、硬度(砕けにくい)、および成功した被覆適用のために好適な崩壊時間などを示す。
【0044】
加えて、投薬形は本発明の多粒子組成物を好ましくはミニ錠剤の形態で含み、その結果、前記投薬形が数個のミニ錠剤を含み、投薬形におけるレベチラセタムの総量が、約1000mg、1500mg、2000mgまたは3000mgのレベチラセタムとなるであろう。レベチラセタムが、数個の被覆されたミニ錠剤を含む投薬形の形態であるときには、多量のレベチラセタム、例えば、約1000mg、1500mg、2000mgまたは3000mgなどの多量のレベチラセタムを、患者がレベチラセタムの苦味、望ましくない味に気付くことなく、また、薬物の苦味または不快な味を遮蔽するために組成物に甘味剤または香味剤を加える必要性を回避して、患者への経口投与によって服用させることが可能である。
【0045】
第1の態様の実施形態において、即時放出コアの少なくとも約55%が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含む混合物により被覆され、好ましくは約少なくとも60%、より好ましくは約少なくとも65%、より好ましくは約少なくとも70%、より好ましくは約少なくとも、より好ましくは約少なくとも75%、より好ましくは約少なくとも80%、より好ましくは約少なくとも85%、より好ましくは約少なくとも90%、より好ましくは約少なくとも95%、より好ましくは約少なくとも99%、一層より好ましくはすべて(100%)の即時放出コアが被覆される。典型的には、被覆層は、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する。第1の態様の実施形態において、被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約4:1~約20:1の間に含まれ、好ましくは約5:1~約18:1に含まれ、より好ましくは約8:1~約15:1に含まれ、一層より好ましくは約11:1~約15:1に含まれ、一層より好ましくは約12.5:1である。
【0046】
当業者は、エチルセルロースが様々な形態で、また、種々の商標名のもとで、例えば、Aqualon(商標)、Aquacoat(登録商標)、Ethocel(商標)、Surelease(登録商標)などの商標名で入手可能であることを認識している。好ましくは、本発明の組成物のためのエチルセルロースは、エチルセルロース(例えば、Surelease(登録商標)E-7-19029、Surelease(登録商標)E-7-19030、Surelease(登録商標)E-7-19040など、好ましくはSurelease(登録商標)E-7-19040)の水性分散物である(この水性分散物は、中鎖トリグリセリド、オレイン酸および水酸化アンモニウムを含む、エチルセルロースの25%(w/w)の水性分散物である)。これらの好ましいSurelease(登録商標)エチルセルロースは、pH非依存性の薬物放出を得ることを可能にする。
【0047】
本発明の文脈において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは粘度が約1mPa・s~約1,000mPa・sの間である。好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは粘度が約5mPa・s~約400mPa・sの間、より好ましくは約50mPa・s~約250mPa・sの間、一層より好ましくは約70mPa・s~約200mPa・sの間、最も好ましくは約80mPa・s~約120mPa・sの間である。示される粘度値は、USP法に従って測定される20℃でのヒドロキシプロピルメチルセルロースの2%(w/w)水溶液の測定粘度に対応する。好ましいヒドロキシプロピルメチルセルロースが、Methocel(商標)として(Dow Chemicalsから)、またはBenecel(商標)として(Ashlandから)市販されている、E5LV、E15LV、E50LVおよびK100LV(好ましくはK100LV)として規格づけされるセルロースエーテルからなる群から選択される。
【0048】
第1の態様の実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、粘度が、(USP法に従って測定される)20℃での2%(w/w)水溶液において、約80mPa・s~約120mPa・sの間である。
【0049】
第1の態様の実施形態において、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる被覆混合物はさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸、エチレングリコール、グリコール、1,2-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、スチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール20、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ソルビトールラクタート、エチルラクタート、ブチルラクタート、エチルグリコラート、ジブチルセバカート、アセチルトリブチルシトラート、トリエチルシトラート、アセチルトリエチルシトラート、トリブチルシトラートおよびアリルグリコレート、ならびに/またはそれらの混合物を含む群から選択される可塑剤、好ましくは、中鎖トリグリセリド、オレイン酸、および/またはそれらの混合物から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムおよび/またはそれらの混合物を含む群から選択される安定剤、好ましくは、水酸化アンモニウムから選択される安定剤とを含む。
【0050】
用語「中鎖トリグリセリド」または用語「MCT」は、グリセロールとC6~C12脂肪酸とのトリエステルを示し、前記脂肪酸の例として、カプロン酸(C6)、カプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)およびラウリン酸(C12)が挙げられる。MCTの3つの脂肪酸残基は同じであること、または異なっていることが可能であり、好ましくは、2つの異なる脂肪酸残基が存在する。好ましい中鎖トリグリセリドがカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドである(これは、Stelliesters(登録商標)MCT 65/35、Estasan(登録商標)、Crodamol(登録商標)GTC/C、Miglyol(登録商標)812または810、およびNeobee(登録商標)M5として上市されている)。
【0051】
第1の態様の実施形態において、被覆混合物はラウリル硫酸ナトリウムを含まない。
【0052】
本発明の多粒子組成物は、ミニ錠剤、ペレット、顆粒および/またはそれらの混合物の形態であること、好ましくはミニ錠剤の形態であることが可能である。ミニ錠剤、ペレット、顆粒および/またはそれらの混合物は、スティックパックと比較してより大きい充填容積を有するため、比較的多数のミニ錠剤を詰めるためにより好適であるカプセルまたはサシェ(sachet)およびスティックパックに充填するために、好ましくはサシェに充填するために使用することができる。
【0053】
第1の態様の実施形態において、多粒子医薬組成物の即時放出コアは固体の即時放出コアであり、好ましくはミニ錠剤の形態である固体の即時放出コアである。本発明の多粒子組成物はさらに、薬学上許容可能な賦形剤を含む場合がある。好適な賦形剤には、結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、着色剤、香味剤または可塑剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
好ましくは、多粒子組成物はラクトースまたはグルテンのどちらも含有しない。第1の態様のさらなる実施形態において、本発明の組成物におけるレベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩の重量での割合が組成物の総重量に対して約60重量%~約90重量%であり、好ましくは約70重量%~約80重量%であり、より好ましくは約73重量%~78重量%である。
【0055】
第1の態様の実施形態において、本発明の組成物におけるレベチラセタムの重量での割合が組成物の総重量に対して約60重量%~約90重量%であり、好ましくは約70重量%~約80重量%であり、より好ましくは約73重量%~78重量%である。
【0056】
第1の態様の実施形態において、レベチラセタムを含む即時放出コアはさらに、希釈剤、結合剤、流動促進剤(glidants)および滑沢剤からなる群から選択される1つまたは複数の賦形剤を含む。
【0057】
第1の態様の実施形態において、即時放出コアはさらに、セルロース誘導体、例えば、セルロース粉末、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど;天然デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなど;アルファ化デンプンおよびそれらの混合物からなる群から選択される希釈剤を含む;好ましくは、希釈剤は、メチルセルロース、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースから選択されるセルロース誘導体;アルファ化デンプンおよび/またはそれらの混合物である;より好ましくは、希釈剤は微結晶セルロースである。典型的には、希釈剤は、組成物の総重量に対して約4重量%~約15重量%の量、好ましくは約7重量%~約12重量%の量、より好ましくは約8重量%~約10重量%の量で存在することができる。
【0058】
第1の態様の実施形態において、即時放出コアはさらに、ポビドン、コポビドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ポリエチレンオキシド、アルギン酸、修飾トウモロコシデンプンおよび/またはそれらの混合物からなる群から選択される結合剤を含む;好ましくは、結合剤は、ポビドン、コポビドンおよび/またはそれらの混合物から選択される;より好ましくは、結合剤はコポビドンである。典型的には、結合剤は、組成物の総重量に対して約0.5重量%~約5重量%の量、好ましくは約1重量%~約3重量%の量、一層より好ましくは約1.5重量%~約2重量%の量で存在することができる。
【0059】
第1の態様の実施形態において、即時放出コアはさらに、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、トウモロコシデンプン、コロイド状二酸化ケイ素、シリコンヒドロゲル、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、鉱油および/またはそれらの混合物からなる群から選択される流動促進剤を含み、好ましくはタルクを含む。典型的には、流動促進剤は、組成物の総重量に対して約0.5重量%~約5重量%の量、好ましくは約1重量%~3重量%の量、より好ましくは約2重量%の量で存在することができる。
【0060】
第1の態様の実施形態において、即時放出コアはさらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、鉱油、ステアリン酸および/またはそれらの混合物からなる群から選択される滑沢剤、好ましくは、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛および/またはそれらの混合物から選択される滑沢剤、より好ましくはステアリン酸マグネシウムを含む。典型的には、滑沢剤は、組成物の総重量に対して約0.1重量%~約2重量%の量、好ましくは約0.3重量%~約1.5重量%の量、より好ましくは約0.5重量%~約1.0重量%の量、一層より好ましくは約0.5重量%の量で存在することができる。
【0061】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも約50%、好ましくは約少なくとも約60%、より好ましくは約少なくとも65%、より好ましくは約少なくとも70%、より好ましくは約少なくとも75%、より好ましくは約少なくとも80%、より好ましくは約少なくとも約85%、より好ましくは約少なくとも約90%、より好ましくは約少なくとも約95%、より好ましくは約少なくとも約99%、一層より好ましくはすべて(100%)が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約4:1~約20:1、好ましくは約5:1~約18:1、より好ましくは約8:1~約15:1、より好ましくは約11:1~約15:1、一層より好ましくは約12.5:1である、多粒子医薬組成物に関する。
【0062】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも約50%、好ましくは約少なくとも約60%、より好ましくは約少なくとも65%、より好ましくは約少なくとも70%、より好ましくは約少なくとも75%、より好ましくは約少なくとも80%、より好ましくは約少なくとも約85%、より好ましくは約少なくとも約90%、より好ましくは約少なくとも約95%、より好ましくは約少なくとも約99%、一層より好ましくはすべて(100%)が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約8:1~約15:1、好ましくは約11:1~約15:1で含まれる、多粒子医薬組成物に関する。
【0063】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも約50%、好ましくは約少なくとも約60%、より好ましくは約少なくとも65%、より好ましくは約少なくとも70%、より好ましくは約少なくとも75%、より好ましくは約少なくとも80%、より好ましくは約少なくとも85%、より好ましくは約少なくとも90%、より好ましくは約少なくとも95%、より好ましくは約少なくとも99%、一層より好ましくはすべて(100%)が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約12.5:1である、多粒子医薬組成物に関する。
【0064】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも約90%が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約4:1~約20:1の間に含まれ、好ましくは約5:1~約18:1に含まれ、より好ましくは約8:1~約15:1に含まれ、より好ましくは約11:1~約15:1に含まれ、一層より好ましくは約12.5:1である、多粒子医薬組成物に関する。
【0065】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも約90%が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約12.5:1である、多粒子医薬組成物に関する。
【0066】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)のすべてが、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約4:1~約20:1の間、好ましくは約5:1~約18:1の間、より好ましくは約8:1~約15:1の間、より好ましくは約11:1~約15:1の間、一層より好ましくは約12.5:1である、
多粒子医薬組成物に関する。
【0067】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)のすべてが、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約12.5:1である、多粒子医薬組成物に関する。
【0068】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも50%、好ましくは約少なくとも60%、より好ましくは約少なくとも65%、より好ましくは約少なくとも70%、より好ましくは約少なくとも、より好ましくは約少なくとも75%、より好ましくは約少なくとも80%、より好ましくは約少なくとも85%、より好ましくは約少なくとも90%、より好ましくは約少なくとも95%、より好ましくは約少なくとも99%、一層より好ましくはすべて(100%)が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約8:1~約15:1の間、より好ましくは約11:1~約15:1の間であり、前記被覆混合物がさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸および/またはそれらの混合物から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウムから選択される安定剤とを含む、多粒子医薬組成物に関する。
【0069】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも50%、好ましくは約少なくとも60%、より好ましくは約少なくとも65%、より好ましくは約少なくとも70%、より好ましくは約少なくとも、より好ましくは約少なくとも75%、より好ましくは約少なくとも80%、より好ましくは約少なくとも85%、より好ましくは約少なくとも90%、より好ましくは約少なくとも95%、より好ましくは約少なくとも99%、一層より好ましくはすべて(100%)が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約12.5:1であり、前記被覆混合物がさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸および/またはそれらの混合物から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウムから選択される安定剤とを含む、多粒子医薬組成物に関する。
【0070】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも90%が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約4:1~約20:1の間、好ましくは約5:1~約18:1の間、より好ましくは約8:1~約15:1の間、より好ましくは約11:1~約15:1の間、一層より好ましくは約12.5:1であり、前記被覆混合物がさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸および/またはそれらの混合物から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウムから選択される安定剤とを含む、多粒子医薬組成物に関する。
【0071】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)のすべてが、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約4:1~約20:1の間、好ましくは約5:1~約18:1の間、より好ましくは約8:1~約15:1の間、より好ましくは約11:1~約15:1の間、一層より好ましくは約12.5:1であり、前記被覆混合物がさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸および/またはそれらの混合物から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウムから選択される安定剤とを含む、多粒子医薬組成物に関する。
【0072】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも90%が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約8:1~約15:1の間に、より好ましくは約11:1~約15:1の間であり、前記被覆混合物がさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸および/またはそれらの混合物から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウムから選択される安定剤とを含み、前記被覆層が、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する、多粒子医薬組成物に関する。
【0073】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記即時放出コアa)の少なくとも90%が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約12.5:1である、前記被覆混合物がさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸および/またはそれらの混合物から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウムから選択される安定剤とを含み、前記被覆層が、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する、多粒子医薬組成物に関する。
【0074】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)のすべてが、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約8:1~約15:1の間、より好ましくは約11:1~約15:1間であり、前記被覆混合物がさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸および/またはそれらの混合物から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウムから選択される安定剤とを含み、前記被覆層が、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する、多粒子医薬組成物に関する。
【0075】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記即時放出コアa)のすべてが、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約12.5:1である、前記被覆混合物がさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸および/またはそれらの混合物から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウムから選択される安定剤とを含み、前記被覆層が、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する、多粒子医薬組成物に関する。
【0076】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩と、必要に応じて、希釈剤、結合剤、流動促進剤、滑沢剤から選択される1つまたは複数の賦形剤とを含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも約90%が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約8:1~約15:1の間、より好ましくは約11:1~約15:1の間である、多粒子医薬組成物に関する。
【0077】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩と、必要に応じて、希釈剤、結合剤、流動促進剤、滑沢剤から選択される1つまたは複数の賦形剤とを含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも約90%が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約12.5である、多粒子医薬組成物に関する。
【0078】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩と、必要に応じて、希釈剤、結合剤、流動促進剤、滑沢剤から選択される1つまたは複数の賦形剤とを含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも約90%が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約8:1~約15:1の間、より好ましくは約11:1~約15:1間であり、前記被覆層が、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する、多粒子医薬組成物に関する。
【0079】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩と、必要に応じて、希釈剤、結合剤、流動促進剤、滑沢剤から選択される1つまたは複数の賦形剤とを含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)の少なくとも約90%が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約12.5:1であり、前記被覆層が、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する、多粒子医薬組成物に関する。
【0080】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩と、必要に応じて、希釈剤、結合剤、流動促進剤、滑沢剤から選択される1つまたは複数の賦形剤とを含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)のすべてが、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約8:1~約15:1の間、より好ましくは約11:1~約15:1の間であり、前記被覆層が、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する、多粒子医薬組成物に関する。
【0081】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩と、必要に応じて、希釈剤、結合剤、流動促進剤、滑沢剤から選択される1つまたは複数の賦形剤とを含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)のすべてが、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約12.5:1であり、前記被覆層が、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する、多粒子医薬組成物に関する。
【0082】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩と、必要に応じて、希釈剤、結合剤、流動促進剤、滑沢剤から選択される1つまたは複数の賦形剤とを含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)のすべてが、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約8:1~約15:1の間、より好ましくは約11:1~約15:1の間であり、前記被覆混合物がさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸および/またはそれらの混合物から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウムから選択される安定剤とを含み、前記被覆層が、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する、多粒子医薬組成物に関する。
【0083】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩と、必要に応じて、希釈剤、結合剤、流動促進剤、滑沢剤から選択される1つまたは複数の賦形剤とを含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアa)のすべてが、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約12.5:1であり、前記被覆混合物がさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸および/またはそれらの混合物から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウムから選択される安定剤とを含み、前記被覆層が、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する、多粒子医薬組成物に関する。
【0084】
第1の態様の実施形態において、必要に応じた1つまたは複数の賦形剤が存在し、希釈剤が微結晶セルロースであり、結合剤がコポビドンであり、流動促進剤がタルクであり、滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである。
【0085】
第1の態様の実施形態において、本発明は、
a)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩と、希釈剤、結合剤、流動促進剤および滑沢剤から選択される1つまたは複数の賦形剤とを含む複数の個別即時放出コアを含んでなり、
b)前記個別即時放出コアの少なくとも約90%、好ましくは前記個別即時放出コアa)のすべて(100%)が、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆され、さらには、エチルセルロースのヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が約4:1~約20:1の間、好ましくは約5:1~約18:1の間、より好ましくは約8:1~約15:1の間、より好ましくは約11:1~約15:1の間、一層より好ましくは約12.5:1である、多粒子医薬組成物であって、ミニ錠剤、ペレットおよび/または顆粒の形態、好ましくはミニ錠剤の形態である、多粒子医薬組成物に関する。
【0086】
第2の態様において、本発明は、第1の態様の多粒子組成物を調製するための方法であって、下記の工程:
i)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を提供する工程、
ii)必要に応じて、レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を希釈剤と約1分~約10分、好ましくは約2分~約7分、より好ましくは約5分間にわたって混合する工程、
iii)必要に応じて、工程ii)から生じる混合物を、結合剤を含む溶液とともに顆粒にする工程、
iv)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)および工程iii)から生じる製造物を好ましくは約55℃~70℃の温度で、好ましくは約60℃~約65℃の温度で、より好ましくは約60℃の温度で乾燥する工程、
v)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)および工程iv)から生じる製造物を流動促進剤と、好ましくは約5分~約30分、より好ましくは約10分~約20分、一層より好ましくは約15分間にわたって混合する工程、
vi)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)、工程iv)もしくは工程v)から生じる製造物を滑沢剤と、約1分~約10分、好ましくは約2分~約7分、より好ましくは約5分間にわたって混合する工程、
vii)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)、工程iv)、工程v)および工程vi)から生じる製造物を圧縮する工程、
viii)工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)、工程iv)、工程v)、工程vi)および工程vii)から生じる製造物を、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆する工程、
ix)工程viii)の被覆された製造物を約15℃~約30℃の温度で、好ましくは約20℃~約25℃の温度で硬化させる工程
を含んでなる方法に関する。
【0087】
第2の態様の実施形態において、方法は、
i)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を提供する工程、
ii)必要に応じて、レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を希釈剤と約5分間にわたって混合する工程、
iii)必要に応じて、工程ii)から生じる混合物を、結合剤を含む溶液とともに顆粒にする工程、
iv)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)および工程iii)から生じる製造物を約60℃~約65℃の温度で乾燥する工程、
v)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)および工程iv)から生じる製造物を流動促進剤と約10分~約20分、混合する工程、
vi)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)、工程iv)もしくは工程v)から生じる製造物を滑沢剤と約5分間にわたって混合する工程、
vii)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)、工程iv)、工程v)および工程vi)から生じる製造物を圧縮する工程、
viii)工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)、工程iv)、工程v)、工程vi)および工程vii)から生じる製造物を、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆する工程、
ix)工程viii)の被覆された製造物を約20℃~約25℃の温度で硬化させる工程
を含んでなる。
【0088】
第2の態様の実施形態において、方法は、
i)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を提供する工程、
ii)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩と、希釈剤とを約5分間にわたって混合する工程、
iii)工程i)から生じる製造物を、結合剤を含む溶液とともに顆粒にする工程、
iv)工程ii)から生じる製造物を約60℃の温度で乾燥させる工程、
v)工程iii)から生じる製造物を流動促進剤と約15分間にわたって混合する工程、
vi)工程iv)から生じる製造物を滑沢剤と約5分間にわたって混合する工程、
vii)工程v)から生じる製造物を圧縮する工程、
viii)工程vi)からの製造物を、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆する工程、
ix)工程vii)の製造物を約20℃~約25℃の温度で硬化させる工程
を含んでなる。
【0089】
第2の態様の実施形態において、被覆層は、組成物の総重量に対して約5重量%~約20重量%、好ましくは組成物の総重量に対して約7重量%~約15重量%、より好ましくは約8重量%~約13重量%、より好ましくは約9重量%~約12重量%、最も好ましくは約11.5重量%に相当する。
【0090】
第2の態様の実施形態において、方法は、
i)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を提供する工程、
ii)必要に応じて、レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を希釈剤と約2分~約7分、混合する工程、
iii)必要に応じて、工程ii)から生じる混合物を、結合剤を含む溶液とともに顆粒にする工程、
iv)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)および工程iii)から生じる製造物を約60℃~約65℃の温度で乾燥する工程、
v)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)および工程iv)から生じる製造物を流動促進剤と約10分~約20分、混合する工程、
vi)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)、工程iv)もしくは工程v)から生じる製造物を滑沢剤と約2分~約7分、混合する工程、
vii)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)、工程iv)、工程v)および工程vi)から生じる製造物を圧縮する工程、
viii)工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)、工程iv)、工程v)、工程vi)および工程vii)から生じる製造物を、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆する工程であって、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約8:1~約15:1の間に含まれ、好ましくは約11:1~約15:1に含まれ、より好ましくは約12.5:1である、工程、
ix)工程viii)の被覆された製造物を約20℃~約25℃の温度で硬化させる工程
を含んでなる。
【0091】
第2の態様の実施形態において、方法は、
i)レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を提供する工程、
ii)必要に応じて、レベチラセタムまたはその薬学上許容可能な塩を希釈剤と約5分間にわたって混合する工程、
iii)必要に応じて、工程ii)から生じる混合物を、結合剤を含む溶液とともに顆粒にする工程、
iv)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)および工程iii)から生じる製造物を約60℃の温度で乾燥する工程、
v)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)および工程iv)から生じる製造物を流動促進剤と約15分間にわたって混合する工程、
vi)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)、工程iv)もしくは工程v)から生じる製造物を滑沢剤と約5分間にわたって混合する工程、
vii)必要に応じて、工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)、工程iv)、工程v)および工程vi)から生じる製造物を圧縮する工程、
viii)工程i)から生じる製造物、または工程が存在するときには、工程ii)、工程iii)、工程iv)、工程v)、工程vi)および工程vii)から生じる製造物を、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含んでなる混合物により被覆する工程であって、前記被覆混合物におけるエチルセルロースの、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースに対する重量比が、約8:1~約15:1の間に含まれ、好ましくは約11:1~約15:1に含まれ、より好ましくは約12.5:1である、工程、
ix)工程viii)の被覆された製造物を約20℃~約25℃の温度で硬化させる工程
を含んでなる。
【0092】
第2の態様の実施形態において、非被覆の即時放出コアが所望されるならば、工程viii)および工程ix)は行われない。
【0093】
第2の態様の実施形態において、工程ii)、工程iii)、工程iv)、工程v)、工程vi)および工程vii)が行われる(すなわち、存在する)。
【0094】
第2の態様の実施形態において、工程ii)~工程ix)が行われる(すなわち、存在する)。
【0095】
第2の態様の実施形態において、工程ii)の希釈剤は、セルロース誘導体、例えば、セルロース粉末、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど;天然デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなど;アルファ化デンプンおよびそれらの混合物から選択される;好ましくは、希釈剤は、メチルセルロース、微結晶セルロース、ケイ化微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースから選択されるセルロース誘導体;アルファ化デンプンおよび/またはそれらの混合物であり、好ましくは微結晶セルロースである。
【0096】
第2の態様の実施形態において、工程iii)の結合剤は、ポビドン、コポビドン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ポリエチレンオキシド、アルギン酸、修飾トウモロコシデンプンおよび/またはそれらの混合物から選択され、好ましくは、ポビドン、コポビドンおよび/またはそれらの混合物から選択され、好ましくはコポビドンである。
【0097】
第2の態様の実施形態において、工程v)の流動促進剤は、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、トウモロコシデンプン、コロイド状二酸化ケイ素、シリコンヒドロゲル、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、鉱油および/またはそれらの混合物から選択され、好ましくはタルクである。
【0098】
第2の態様の実施形態において、工程vi)の滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸グリセリル、鉱油、ステアリン酸および/またはそれらの混合物から選択され、好ましくは、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛および/またはそれらの混合物から選択され、より好ましくはステアリン酸マグネシウムである。
【0099】
第2の態様の実施形態において、結合剤はコポビドンであり、希釈剤は微結晶セルロースであり、流動促進剤はタルクであり、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0100】
第2の態様の実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、粘度が、(USP法に従って測定される)20℃での2%(w/w)水溶液において、約80mPa・s~約120mPa・sの間である。
【0101】
第2の態様の実施形態において、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含む工程vii)の被覆混合物はさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸、エチレングリコール、グリコール、1,2-ブチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、スチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール20、モノプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ソルビトールラクタート、エチルラクタート、ブチルラクタート、エチルグリコラート、ジブチルセバカート、アセチルトリブチルシトラート、トリエチルシトラート、アセチルトリエチルシトラート、トリブチルシトラートおよびアリルグリコレート、ならびに/またはそれらの混合物を含む群から選択される可塑剤、好ましくは、中鎖トリグリセリド、オレイン酸、および/またはそれらの混合物から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムおよび/またはそれらの混合物を含む群から選択される安定剤、好ましくは、水酸化アンモニウムおよび/またはその混合物から選択される安定剤とを含む。
【0102】
第2の態様の実施態様において、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースとを含む工程vii)の被覆混合物はさらに、I)中鎖トリグリセリド、オレイン酸および/またはそれらの混合物を含む群から選択される可塑剤と、II)水酸化アンモニウムから選択される安定剤とを含む。
【0103】
1つの実施形態において、工程viii)の被覆混合物は、多孔パンコーティング方法または流動層コーティング方法によって、好ましくは、小粒子の被覆のための一般に使用されている技術である流動層コーティング方法によって塗布されることがある。
【0104】
本発明の第1および/または第2の態様の実施形態において、多粒子組成物はミニ錠剤の形態である。第3の態様において、本発明は、てんかんの処置における使用のための第1の態様による多粒子組成物に関する。
【0105】
第3の態様の実施形態において、第1の態様による組成物は、てんかんを1日に1回の投与方針で処置する際の使用のためのものである。1つの実施形態において、本発明の多粒子組成物は、てんかんを処置するための1日に1回の投与のために、約1000mg、1500mg、2000mgまたは3000mgの投薬量強度のレベチラセタムを含む。
【実施例】
【0106】
実験
一般的方法
多媒体溶解試験
溶解試験を、欧州薬局方に記載されるバスケット法に従って下記のように行った:
・装置:850-DSサンプリングステーションと統合される、Agilent Technologies 708-DS;
・撹拌速度:100rpm
・温度:37℃±0.5℃
【0107】
サンプルをバスケットに入れ、その後、750mLのHCl(0.1N)において2時間、続いて900mLのpH4.5の酢酸緩衝液において2時間、最後に900mLのpH6.8またはpH6.0のリン酸緩衝液において8時間、100rpmで撹拌する。代替では、最後の段階を完全溶解まで行うことができる。
【0108】
リン酸緩衝液(pH6.0)の調製:6.8gのリン酸二水素カリウムと、0.2gの水酸化ナトリウムとを1000mLの脱イオン水に溶解する。必要であれば、1Nの水酸化ナトリウムによりpH6.0に調節する。
リン酸緩衝液(pH6.8)の調製:6.8gのリン酸二水素カリウムと、0.896gの水酸化ナトリウムとを900mLの脱イオン水に溶解する。必要であれば、pH6.8にリン酸または水酸化ナトリウムにより調節する。
【0109】
アルコール過量放出アッセイ:サンプルをバスケットに入れ、その後、対応するエタノール%(v/v)の存在下、750mLのHCl(0.1N)または900mLのリン酸緩衝液(pH6.0)において100rpmで撹拌し、サンプルを15分毎に採取する。
【0110】
HPLC法
溶解試験で放出される有効成分の量を下記のような高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって求める:
HPLCシステム:ポンプ、ダイオードアレイ検出器およびオートサンプラーを備える、Agilent 1260 Infinity II。
カラム:Kromasil C18 5μm、150×4.6mm
オーブン温度:20℃
波長:230nm
溶離液:85%緩衝剤溶液(pH5.5):15%アセトニトリル
流速:1.0mL/分
注入体積:5μL
【0111】
緩衝剤溶液(pH5.5):0.26gのリン酸二水素カリウムを1000mLの水に溶解する。0.1Mの水酸化カリウムによりpH5.5に調節する。0.45μmのフィルターでろ過する。
標準溶液:約0.15mg/mLの正確に計算された濃度を含有するレベチラセタム水溶液を調製する。
試験溶液:少なくとも5つのサシェを選び、重量を測定し、平均重量を計算する。ミニ錠剤を粉砕して、微細な均一粉末にする。溶媒における粉末の溶液を約0.15mg/mLのレベチラセタムの濃度で調製する。30分間撹拌する。遠心分離する。
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
すべての実施例を、非被覆コアの重量が5mgであるミニ錠剤の形態で調製した。実施例6については、ミニ錠剤コアの10%が非被覆のままにされ、それによって、90%の被覆されたミニ錠剤と、10%の非被覆のミニ錠剤との組み合わせとした。得られたミニ錠剤は両凸型円形形状を有する。
【0116】
ミニ錠剤を下記のように調製した:
i)微結晶セルロースPH101と、レベチラセタムとを0.8mmのふるいに通してふるい分けした。
ii)微結晶セルロースPH101と、レベチラセタムとを高剪断造粒機において5分間にわたって混合した。
iii)コポビドンを、プロペラ撹拌機による撹拌を行いながら精製水に溶解した。
iv)工程ii)から生じる混合物を、工程iii)から生じるコポビドン溶液を使用して高剪断造粒機において顆粒にした。
v)工程iv)から生じる顆粒を約60℃~65℃の温度で流動床乾燥機において乾燥した。
vi)工程v)から生じる乾燥させた顆粒を、0.8mmのステンレススチールふるいに通す選別ミルを使用してふるい分けした。
vii)タルクをコンテナミキサーにおいて15分間、工程vi)から生じる顆粒に加えた。
viii)ステアリン酸マグネシウムをコンテナミキサーにおいて5分間、工程vii)から生じる混合物に加えた。
ix)工程viii)から生じる混合物を、5mg重量のそれぞれのミニ錠剤を得る2mmマルチユニットパンチを使用する錠剤圧縮機で圧縮した。
x)工程ix)から生じるミニ錠剤を、エチルセルロースと、約1mPa・s~約1,000mPa・sの間の粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース、または実施例2ではグアーガムとの水における懸濁物により被覆した。
xi)工程x)から生じるミニ錠剤を室温で硬化させた。
【0117】
実施例1~6で得られた、直径が2mmの、白色または灰白色の円形両凸型の機能的な被覆されたミニ錠剤は、0.71~0.75g/mlの嵩密度、および1.33~1.41ml/gの見かけ体積を示した。見かけ体積を、ミニ錠剤の嵩密度(すなわち、1gのミニ錠剤あたりのmlでの単位)を考慮して計算した。
【0118】
【0119】
認められ得るように、グアーガムを、粘度が約1mPa・s~約1,000mPa・sの間に含まれるヒドロキシプロピルメチルセルロースの代わりに含有する実施例2は、レベチラセタムのpH依存的な放出を示し、これに対して、実施例1および実施例3はpH非依存的な遊離プロフィルを示し、これは、市販の参照製造物であるKeppra XR(登録商標)について観察される溶解プロフィルと一致している。
【0120】
実施例7.安定性実験
調製時(0日目)、ならびに40℃/75%相対湿度(RH)で3ヶ月後および6ヶ月後、そして25℃/60%RHで12ヶ月後の条件での実施例1による組成物の安定性データが下記に示される。
【0121】
上記の一般的方法に従う溶解試験(多媒体溶解試験:HCl(0.1N)で2時間、その後、pH4.5の酢酸緩衝液で2時間、続いて、完全溶解までpH6.8のリン酸緩衝液)。
【0122】
【0123】
実施例1による組成物をさらに、レベチラセタム含有量、および貯蔵条件の期間中に生じていたかもしれない不純物または分解産物について評価した。安定性試験後におけるレベチラセタム含有量および関連不純物の(一般的方法に従う)HPLC分析。
【0124】
【0125】
表5から認められ得るように、本発明による錠剤は、溶解プロフィルが0日目とほぼ同一であるため、加速貯蔵条件のもとでの6ヶ月の貯蔵の後でさえ良好な安定性を示す。加えて、組成物は、表6に示されるように、レベチラセタム分解の優れた防止能を示した。
【0126】
実施例8.アルコール誘発過量放出
本発明による組成物を、レベチラセタムの全量または著しい一部の短期間における意図されない迅速な放出に対するその抵抗性を求めるために試験した。試験を様々な割合のエタノールの存在下で実施し、異なるpHで行った。
【0127】
【0128】
表7において認められ得るように、実施例1の組成物は、レベチラセタムを媒体に著しく放出することなく(有効成分の50%未満の遊離)、20%に至るまでの増大するアルコール濃度に耐えることができる。
【0129】
実施例9.インビボ薬物動態学アッセイ
インビボ研究を、実施例1、実施例4、実施例5および実施例6に従って配合されるレベチラセタムの血漿中濃度を、即時放出レベチラセタム錠剤のKeppra(登録商標)による参照処置と比較して評価するために、健康なヒト志願者において実施した。
【0130】
研究を、絶食条件下での経口投与による、健康なヒト(男女)志願者に対する非盲検、4期間、4方向クロスオーバー、ブロックランダム化単回服用生物学的同等性として設計した。参加者には1000mgのレベチラセタムを経口により与えた。即時放出錠剤については、Keppra(登録商標)錠剤を、1日に2回(午前中に1回、および夕方に、すなわち、午前中の投与の12時間後に1回)の500mgの推奨薬量学に従って与えた。実施例1、実施例4、実施例5および実施例6による長期放出処方物を単回服用として午前中に投与した。
【0131】
レベチラセタムの平均血漿中レベルを、それぞれの参加者から採血される血液サンプルから、MS/MS検出を用いる検証済みHPLC法を使用して求めた。
【0132】
結果が、
図1、
図2、
図3および
図4に示される。グラフにおいて認められ得るように、実施例1、実施例4、実施例5および実施例6による処方物の単回服用により得られるレベチラセタムの平均血漿中濃度はそれぞれ、Keppra(登録商標)による1日に2回の摂取により達成されるレベチラセタムレベルに匹敵する対象の血漿におけるレベチラセタムレベルを維持し、かつ/または達成している。
【0133】
このことから明らかに、本発明による組成物は、レベチラセタムについての単回服用薬量学方針に好適であることが示される。
【0134】
実施例10.インビボ多回服用生物学的同等性研究
インビボ研究を、実施例1に従って配合される長期放出レベチラセタム(試験=サシェにおけるレベチラセタムの1000mg延長放出ミニ錠剤、これを絶食条件で午前中に3000mgの服用として摂取させた)と、対応する服用量の参照薬用製造物(Keppra(登録商標)500mg即時放出型フィルム被覆錠剤、これを絶食条件で1日に2回、それぞれの処置日に投与した:午前中での1回目の服用(3錠のKeppra(登録商標)500mg錠剤)、および午前中の服用の12時間後における夕方での2回目の服用(3錠のKeppra(登録商標)500mg錠剤)との間における定常状態の生物学的同等性を明らかにするために、健康なヒト志願者において実施した。研究を、連続する5日間にわたる絶食条件下での投与による、ヒト志願者に対する非盲検、2期間、2方向クロスオーバー、ブロックランダム化多回服用生物学的同等性ピボタル研究として設計した。生物学的同等性の評価は、それぞれの参加者から採血される血液サンプルから、MS/MS検出を用いる検証済みHPLC法を使用して求められるレベチラセタムの血漿中薬物レベルに基づいた。
【0135】
結果が表8および
図5に示される。認められ得るように、実施例1によるレベチラセタム処方物の3000mgの服用量と、参照処方物の対応する服用量とは、絶食条件における多数回の服用の後のレベチラセタムの吸収程度(AUC0-tau)に関して生物学的同等である。
【0136】
【国際調査報告】