(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】式I化合物の結晶形およびその製造と使用
(51)【国際特許分類】
C07D 413/14 20060101AFI20240628BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20240628BHJP
A61K 31/422 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
C07D413/14
A61P31/20
A61K31/422
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504190
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2022107465
(87)【国際公開番号】W WO2023001299
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】202110839532.4
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518358228
【氏名又は名称】シャンハイ ジムン バイオファーマ,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI ZHIMENG BIOPHARMA INC.
【住所又は居所原語表記】Room A302, A304, Building 1, 1976 Gaoke Middle Road, China(Shanghai)Pilot Free Trade Zone, Pudong New Area, Shanghai 201210, China
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ガン
(72)【発明者】
【氏名】リャン,ボウ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ヂァオジャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ファンミン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC69
4C086GA07
4C086GA09
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、式I化合物の結晶形およびその製造と使用に関する。具体的に、本発明は、式I化合物の数種の結晶形(特に結晶形A)を公開し、前記結晶形は優れた安定性、吸湿性や純度などの利点があり、式I化合物の後期の薬らしさの促進に重要な意義がある。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I化合物の結晶形であって、
【化1】
以下の群:
1)XRPDスペクトルが、24.052±0.2°、17.967±0.2°、17.352±0.2°、12.414±0.2°、24.399±0.2°、26.578±0.2°、11.764±0.2°、19.16±0.2°、16.423±0.2°、22.67±0.2°、18.269±0.2°、32.318±0.2°、14.924±0.2°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を有する、結晶形A;
2)XRPDスペクトルが、23.947±0.2°、15.861±0.2°、17.109±0.2°、10.066±0.2°、18.738±0.2°、32.151±0.2°、8.812±0.2°、4.645±0.2°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を有する、結晶形B;
3)XRPDスペクトルが、24.324±0.2°、26.505±0.2°、21.737±0.2°、17.783±0.2°、16.018±0.2°、19.383±0.2°、27.214±0.2°、13.234±0.2°、13.446±0.2°、20.4±0.2°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を有する、結晶形D;
4)XRPDスペクトルが、20.115±0.2°、18.287±0.2°、10.002±0.2°、18.969±0.2°、16.607±0.2°、9.132±0.2°、28.238±0.2°、25.243±0.2°、23.626±0.2°、11.745±0.2°、24.022±0.2°、12.538±0.2°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を有する、結晶形E;
5)XRPDスペクトルが、11.228±0.2°、18.503±0.2°、21.753±0.2°、16.737±0.2°、20.331±0.2°、19.21±0.2°、10.153±0.2°、22.536±0.2°、16.05±0.2°、10.749±0.2°、20.687±0.2°、11.851±0.2°、12.692±0.2°、9.246±0.2°、17.255±0.2°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を有する、結晶形F;
6)XRPDスペクトルが、18.452±0.2°、22.004±0.2°、24.202±0.2°、26.664±0.2°、15.905±0.2°、20.186±0.2°、23.922±0.2°、12.411±0.2°、14.045±0.2°、18.872±0.2°、29.075±0.2°、20.847±0.2°、28.137±0.2°、23.682±0.2°、32.077±0.2°、30.333±0.2°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を有する、結晶形G
から選ばれることを特徴とする、前記結晶形。
【請求項2】
前記結晶形AのXRPDスペクトルは、24.052±0.2°、17.967±0.2°、17.352±0.2°、12.414±0.2°、24.399±0.2°、26.578±0.2°、11.764±0.2°、19.16±0.2°、16.423±0.2°、22.67±0.2°、18.269±0.2°、32.318±0.2°、14.924±0.2°からなる群から選ばれる6つまたは6つ以上の2θ値を有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形。
【請求項3】
前記結晶形BのXRPDスペクトルは、23.947±0.2°、15.861±0.2°、17.109±0.2°、10.066±0.2°、18.738±0.2°、32.151±0.2°、8.812±0.2°、4.645±0.2°からなる群から選ばれる6つまたは6つ以上の2θ値を有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形。
【請求項4】
前記結晶形DのXRPDスペクトルは、23.947±0.2°、15.861±0.2°、17.109±0.2°、10.066±0.2°、18.738±0.2°、32.151±0.2°、8.812±0.2°、4.645±0.2°からなる群から選ばれる6つまたは6つ以上の2θ値を有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形。
【請求項5】
前記結晶形EのXRPDスペクトルは、20.115±0.2°、18.287±0.2°、10.002±0.2°、18.969±0.2°、16.607±0.2°、9.132±0.2°、28.238±0.2°、25.243±0.2°、23.626±0.2°、11.745±0.2°、24.022±0.2°、12.538±0.2°からなる群から選ばれる6つまたは6つ以上の2θ値を有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形。
【請求項6】
前記結晶形FのXRPDスペクトルは、11.228±0.2°、18.503±0.2°、21.753±0.2°、16.737±0.2°、20.331±0.2°、19.21±0.2°、10.153±0.2°、22.536±0.2°、16.05±0.2°、10.749±0.2°、20.687±0.2°、11.851±0.2°、12.692±0.2°、9.246±0.2°、17.255±0.2°からなる群から選ばれる6つまたは6つ以上の2θ値を有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形。
【請求項7】
前記結晶形GのXRPDスペクトルは、18.452±0.2°、22.004±0.2°、24.202±0.2°、26.664±0.2°、15.905±0.2°、20.186±0.2°、23.922±0.2°、12.411±0.2°、14.045±0.2°、18.872±0.2°、29.075±0.2°、20.847±0.2°、28.137±0.2°、23.682±0.2°、32.077±0.2°、30.333±0.2°からなる群から選ばれる6つまたは6つ以上の2θ値を有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶形。
【請求項8】
薬物組成物であって、
1)請求項1に記載の1種または複数種の結晶形と、
2)薬学的に許容される担体または賦形剤と
を含むことを特徴とする、前記薬物組成物。
【請求項9】
抗B型肝炎ウイルスの薬物の製造に用いられることを特徴とする、請求項1に記載の結晶形の使用。
【請求項10】
前記薬物は哺乳動物のB型肝炎ウイルス感染の治療に用いられることを特徴とする、請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物化学の分野に関し、具体的に、式I化合物の結晶形およびその製造と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
式Iで表される化合物シリーズはB型肝炎ウイルスヌクレオカプシド阻害剤であり、上海摯盟医薬科技有限公司によって開発され、臨床実験の段階にある新たなB型ウイルス性肝炎の薬物である。現在、市販のB型肝炎の薬物は有限的にB型肝炎ウイルスの複製を抑え、そして肝硬変の進展を遅延させることができるが、慢性B型肝炎を治癒できるものが少ない。式I化合物はHBVのヌクレオカプシドの形成を抑制することによって慢性B型肝炎の機能的治癒率を向上させ、臨床前の研究結果では、優れた安全性および有効性が示された。
【化1】
【0003】
現在、上記式I化合物の結晶形に関する関連報告がなく、さらに当該化合物の薬らしさ、安全性や有効性などを最適化するため、本発明は式I化合物の結晶形およびその製造と使用を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、純度がより高く、薬らしさがより良い式I化合物の結晶形およびその製造と使用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一の側面では、式I化合物の結晶形であって、
【化2】
以下の群から選ばれる結晶形を提供する:
1)XRPDスペクトルが、24.052±0.2°、17.967±0.2°、17.352±0.2°、12.414±0.2°、24.399±0.2°、26.578±0.2°、11.764±0.2°、19.16±0.2°、16.423±0.2°、22.67±0.2°、18.269±0.2°、32.318±0.2°、14.924±0.2°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を有する、結晶形A;
2)XRPDスペクトルが、23.947±0.2°、15.861±0.2°、17.109±0.2°、10.066±0.2°、18.738±0.2°、32.151±0.2°、8.812±0.2°、4.645±0.2°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を有する、結晶形B;
3)XRPDスペクトルが、24.324±0.2°、26.505±0.2°、21.737±0.2°、17.783±0.2°、16.018±0.2°、19.383±0.2°、27.214±0.2°、13.234±0.2°、13.446±0.2°、20.4±0.2°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を有する、結晶形D;
4)XRPDスペクトルが、20.115±0.2°、18.287±0.2°、10.002±0.2°、18.969±0.2°、16.607±0.2°、9.132±0.2°、28.238±0.2°、25.243±0.2°、23.626±0.2°、11.745±0.2°、24.022±0.2°、12.538±0.2°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を有する、結晶形E;
5)XRPDスペクトルが、11.228±0.2°、18.503±0.2°、21.753±0.2°、16.737±0.2°、20.331±0.2°、19.21±0.2°、10.153±0.2°、22.536±0.2°、16.05±0.2°、10.749±0.2°、20.687±0.2°、11.851±0.2°、12.692±0.2°、9.246±0.2°、17.255±0.2°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を有する、結晶形F;
6)XRPDスペクトルが、18.452±0.2°、22.004±0.2°、24.202±0.2°、26.664±0.2°、15.905±0.2°、20.186±0.2°、23.922±0.2°、12.411±0.2°、14.045±0.2°、18.872±0.2°、29.075±0.2°、20.847±0.2°、28.137±0.2°、23.682±0.2°、32.077±0.2°、30.333±0.2°からなる群から選ばれる3つまたは3つ以上の2θ値を有する、結晶形G。
【0006】
もう一つの好適な例において、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、24.052±0.2°、17.967±0.2°、17.352±0.2°、12.414±0.2°、24.399±0.2°、26.578±0.2°、11.764±0.2°、19.16±0.2°、16.423±0.2°、22.67±0.2°、18.269±0.2°、32.318±0.2°、14.924±0.2°からなる群から選ばれる6つまたは6つ以上の2θ値を有する。
【0007】
もう一つの好適な例において、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、24.052±0.2°、17.967±0.2°、17.352±0.2°、12.414±0.2°、24.399±0.2°、26.578±0.2°、11.764±0.2°、19.16±0.2°、16.423±0.2°、22.67±0.2°、18.269±0.2°、32.318±0.2°、14.924±0.2°、18.54±0.2°、25.687±0.2°、27.68±0.2°、9.091±0.2°、21.275±0.2°、28.291±0.2°、27.397±0.2°、35.136±0.2°、33.792±0.2°、23.702±0.2°からなる群から選ばれる10または10以上の2θ値を有する。
【0008】
もう一つの好適な例において、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、24.052±0.2°、17.967±0.2°、17.352±0.2°、12.414±0.2°、24.399±0.2°、26.578±0.2°、11.764±0.2°、19.16±0.2°、16.423±0.2°、22.67±0.2°、18.269±0.2°、32.318±0.2°、14.924±0.2°、18.54±0.2°、25.687±0.2°、27.68±0.2°、9.091±0.2°、21.275±0.2°、28.291±0.2°、27.397±0.2°、35.136±0.2°、33.792±0.2°、23.702±0.2°、23.19±0.2°、27.974±0.2°、31.068±0.2°、29.139±0.2°、31.535±0.2°、34.775±0.2°、19.912±0.2°、36.58±0.2°、30.187±0.2°、33.534±0.2°、16.939±0.2°、16.688±0.2°、38.988±0.2°、22.276±0.2°、34.067±0.2°、34.54±0.2°、35.551±0.2°、8.783±0.2°、28.632±0.2°、37.874±0.2°、30.526±0.2°、33.098±0.2°からなる群から選ばれる10または10以上の2θ値を有する。
【0009】
もう一つの好適な例において、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、24.052±0.2°、17.967±0.2°、17.352±0.2°、12.414±0.2°、24.399±0.2°、26.578±0.2°、11.764±0.2°、19.16±0.2°、16.423±0.2°、22.67±0.2°、18.269±0.2°、32.318±0.2°、14.924±0.2°、18.54±0.2°、25.687±0.2°、27.68±0.2°、9.091±0.2°、21.275±0.2°、28.291±0.2°、27.397±0.2°、35.136±0.2°、33.792±0.2°、23.702±0.2°、23.19±0.2°、27.974±0.2°、31.068±0.2°、29.139±0.2°、31.535±0.2°、34.775±0.2°、19.912±0.2°、36.58±0.2°、30.187±0.2°、33.534±0.2°、16.939±0.2°、16.688±0.2°、38.988±0.2°、22.276±0.2°、34.067±0.2°、34.54±0.2°、35.551±0.2°、8.783±0.2°、28.632±0.2°、37.874±0.2°、30.526±0.2°、33.098±0.2°からなる群の2θ値を有する。
【0010】
もう一つの好適な例において、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、24.052、17.967、17.352、12.414、24.399、26.578、11.764、19.16、16.423、22.67、18.269、32.318、14.924、18.54、25.687、27.68、9.091、21.275、28.291、27.397、35.136、33.792、23.702、23.19、27.974、31.068、29.139、31.535、34.775、19.912、36.58、30.187、33.534、16.939、16.688、38.988、22.276、34.067、34.54、35.551、8.783、28.632、37.874、30.526、33.098からなる群の2θ値を有する。
【0011】
もう一つの好適な例において、前記結晶形AのXRPDスペクトルは、基本的に
図1に示される通りである。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Aは無水結晶形である。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Aの含有量は≦0.5%、好ましくは≦0.2%、より好ましくは≦0.1%である。
【0012】
もう一つの好適な例において、前記結晶形Aは244-248℃に一つの吸熱ピークがある。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Aは、基本的に
図3に示される通りのTGA/DSCチャートを有する。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Aの純度は≧99.5%、好ましくは≧99.7%、より好ましくは≧99.9%である。
【0013】
もう一つの好適な例において、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、23.947±0.2°、15.861±0.2°、17.109±0.2°、10.066±0.2°、18.738±0.2°、32.151±0.2°、8.812±0.2°、4.645±0.2°からなる群から選ばれる6つまたは6つ以上の2θ値を有する。
もう一つの好適な例において、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、23.947±0.2°、15.861±0.2°、17.109±0.2°、10.066±0.2°、18.738±0.2°、32.151±0.2°、8.812±0.2°、4.645±0.2°からなる群の2θ値を有する。
【0014】
もう一つの好適な例において、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、23.947、15.861、17.109、10.066、18.738、32.151、8.812、4.645からなる群の2θ値を含む。
もう一つの好適な例において、前記結晶形BのXRPDスペクトルは、基本的に
図4に示される通りである。
【0015】
もう一つの好適な例において、前記結晶形Bは210℃の前に重量減少が4.7-8%である。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Bは150-165℃および245-250℃にそれぞれ一つの吸熱ピークがあり、ならびに/あるいは
前記結晶形Bは182-192℃に一つの放熱ピークがある。
【0016】
もう一つの好適な例において、前記結晶形Bは、基本的に
図5に示される通りのTGA/DSCチャートを有する。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Bは、溶媒和物である。
【0017】
もう一つの好適な例において、結晶形DのXRPDスペクトルは、24.324±0.2°、26.505±0.2°、21.737±0.2°、17.783±0.2°、16.018±0.2°、19.383±0.2°、27.214±0.2°、13.234±0.2°、13.446±0.2°、20.4±0.2°からなる群から選ばれる6つまたは6つ以上の2θ値を有する。
【0018】
もう一つの好適な例において、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、24.324±0.2°、26.505±0.2°、21.737±0.2°、17.783±0.2°、16.018±0.2°、19.383±0.2°、27.214±0.2°、13.234±0.2°、13.446±0.2°、20.4±0.2°、14.049±0.2°、14.874±0.2°、24.833±0.2°、16.882±0.2°、23.296±0.2°、28.146±0.2°、19.888±0.2°、16.419±0.2°、32.839±0.2°からなる群から選ばれる10または10以上の2θ値を有する。
【0019】
もう一つの好適な例において、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、24.324±0.2°、26.505±0.2°、21.737±0.2°、17.783±0.2°、16.018±0.2°、19.383±0.2°、27.214±0.2°、13.234±0.2°、13.446±0.2°、20.4±0.2°、14.049±0.2°、14.874±0.2°、24.833±0.2°、16.882±0.2°、23.296±0.2°、28.146±0.2°、19.888±0.2°、16.419±0.2°、32.839±0.2°、29.031±0.2°、22.664±0.2°、10.817±0.2°、30.426±0.2°、34.905±0.2°、36.698±0.2°、29.52±0.2°、9.564±0.2°、25.225±0.2°、30.041±0.2°、32.097±0.2°、35.215±0.2°、37.977±0.2°、39.383±0.2°、36.192±0.2°、33.768±0.2°、39.129±0.2°、12.522±0.2°からなる群から選ばれる10または10以上の2θ値を有する。
【0020】
もう一つの好適な例において、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、24.324±0.2°、26.505±0.2°、21.737±0.2°、17.783±0.2°、16.018±0.2°、19.383±0.2°、27.214±0.2°、13.234±0.2°、13.446±0.2°、20.4±0.2°、14.049±0.2°、14.874±0.2°、24.833±0.2°、16.882±0.2°、23.296±0.2°、28.146±0.2°、19.888±0.2°、16.419±0.2°、32.839±0.2°、29.031±0.2°、22.664±0.2°、10.817±0.2°、30.426±0.2°、34.905±0.2°、36.698±0.2°、29.52±0.2°、9.564±0.2°、25.225±0.2°、30.041±0.2°、32.097±0.2°、35.215±0.2°、37.977±0.2°、39.383±0.2°、36.192±0.2°、33.768±0.2°、39.129±0.2°、12.522±0.2°からなる群の2θ値を有する。
【0021】
もう一つの好適な例において、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、24.324、26.505、21.737、17.783、16.018、19.383、27.214、13.234、13.446、20.4、14.049、14.874、24.833、16.882、23.296、28.146、19.888、16.419、32.839、29.031、22.664、10.817、30.426、34.905、36.698、29.52、9.564、25.225、30.041、32.097、35.215、37.977、39.383、36.192、33.768、39.129、12.522からなる群の2θ値を有する。
【0022】
もう一つの好適な例において、前記結晶形DのXRPDスペクトルは、基本的に
図10に示される通りである。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Dは180℃の前に重量減少が16.81%である。
【0023】
もう一つの好適な例において、前記結晶形Dは111-115℃に一つの吸熱ピークがある。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Dは243-250℃に一つの吸熱ピークがある。
【0024】
もう一つの好適な例において、前記結晶形Dは、基本的に
図11に示される通りのTGA/DSCチャートを有する。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Dは、溶媒和物である。
【0025】
もう一つの好適な例において、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、20.115±0.2°、18.287±0.2°、10.002±0.2°、18.969±0.2°、16.607±0.2°、9.132±0.2°、28.238±0.2°、25.243±0.2°、23.626±0.2°、11.745±0.2°、24.022±0.2°、12.538±0.2°からなる群から選ばれる6つまたは6つ以上の2θ値を有する。
【0026】
もう一つの好適な例において、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、20.115±0.2°、18.287±0.2°、10.002±0.2°、18.969±0.2°、16.607±0.2°、9.132±0.2°、28.238±0.2°、25.243±0.2°、23.626±0.2°、11.745±0.2°、24.022±0.2°、12.538±0.2°、21.701±0.2°、14.006±0.2°、30.392±0.2°、29.151±0.2°、27.509±0.2°、16.057±0.2°、21.085±0.2°、19.39±0.2°、22.872±0.2°、22.327±0.2°、6.984±0.2°、26.431±0.2°、12.824±0.2°、26.802±0.2°、15.066±0.2°、33.301±0.2°、38.968±0.2°、10.597±0.2°、31.95±0.2°、32.261±0.2°、30.738±0.2°、33.682±0.2°、15.721±0.2°、37.098±0.2°、25.834±0.2°からなる群から選ばれる10または10以上の2θ値を有する。
【0027】
もう一つの好適な例において、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、20.115±0.2°、18.287±0.2°、10.002±0.2°、18.969±0.2°、16.607±0.2°、9.132±0.2°、28.238±0.2°、25.243±0.2°、23.626±0.2°、11.745±0.2°、24.022±0.2°、12.538±0.2°、21.701±0.2°、14.006±0.2°、30.392±0.2°、29.151±0.2°、27.509±0.2°、16.057±0.2°、21.085±0.2°、19.39±0.2°、22.872±0.2°、22.327±0.2°、6.984±0.2°、26.431±0.2°、12.824±0.2°、26.802±0.2°、15.066±0.2°、33.301±0.2°、38.968±0.2°、10.597±0.2°、31.95±0.2°、32.261±0.2°、30.738±0.2°、33.682±0.2°、15.721±0.2°、37.098±0.2°、25.834±0.2°からなる群の2θ値を有する。
【0028】
もう一つの好適な例において、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、20.115、18.287、10.002、18.969、16.607、9.132、28.238、25.243、23.626、11.745、24.022、12.538、21.701、14.006、30.392、29.151、27.509、16.057、21.085、19.39、22.872、22.327、6.984、26.431、12.824、26.802、15.066、33.301、38.968、10.597、31.95、32.261、30.738、33.682、15.721、37.098、25.834からなる群の2θ値を有する。
【0029】
もう一つの好適な例において、前記結晶形EのXRPDスペクトルは、基本的に
図14に示される通りである。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Eは210℃の前に重量減少が4.69%である。
【0030】
もう一つの好適な例において、前記結晶形Eは110-130℃および140-155℃に吸熱ピークがある。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Eは170-188℃に放熱ピークがある。
【0031】
もう一つの好適な例において、前記結晶形Eは240-250℃に一つの吸熱ピークがある。
もう一つの好適な例において、前記結晶形EのTGA/DSCチャートは、基本的に
図15に示される通りである。
【0032】
もう一つの好適な例において、前記結晶形FのXRPDスペクトルは、11.228±0.2°、18.503±0.2°、21.753±0.2°、16.737±0.2°、20.331±0.2°、19.21±0.2°、10.153±0.2°、22.536±0.2°、16.05±0.2°、10.749±0.2°、20.687±0.2°、11.851±0.2°、12.692±0.2°、9.246±0.2°、17.255±0.2°からなる群から選ばれる6つまたは6つ以上の2θ値を有する。
【0033】
もう一つの好適な例において、前記結晶形FのXRPDスペクトルは、11.228±0.2°、18.503±0.2°、21.753±0.2°、16.737±0.2°、20.331±0.2°、19.21±0.2°、10.153±0.2°、22.536±0.2°、16.05±0.2°、10.749±0.2°、20.687±0.2°、11.851±0.2°、12.692±0.2°、9.246±0.2°、17.255±0.2°からなる群から選ばれる10つまたは10つ以上の2θ値を有する。
【0034】
もう一つの好適な例において、前記結晶形FのXRPDスペクトルは、11.228±0.2°、18.503±0.2°、21.753±0.2°、16.737±0.2°、20.331±0.2°、19.21±0.2°、10.153±0.2°、22.536±0.2°、16.05±0.2°、10.749±0.2°、20.687±0.2°、11.851±0.2°、12.692±0.2°、9.246±0.2°、17.255±0.2°、15.057±0.2°、23.846±0.2°、14.252±0.2°、7.498±0.2°、5.193±0.2°、13.804±0.2°、25.474±0.2°からなる群から選ばれる10または10以上の2θ値を有する。
【0035】
もう一つの好適な例において、前記結晶形FのXRPDスペクトルは、11.228±0.2°、18.503±0.2°、21.753±0.2°、16.737±0.2°、20.331±0.2°、19.21±0.2°、10.153±0.2°、22.536±0.2°、16.05±0.2°、10.749±0.2°、20.687±0.2°、11.851±0.2°、12.692±0.2°、9.246±0.2°、17.255±0.2°、15.057±0.2°、23.846±0.2°、14.252±0.2°、7.498±0.2°、5.193±0.2°、13.804±0.2°、25.474±0.2°からなる群の2θ値を有する。
【0036】
もう一つの好適な例において、前記結晶形FのXRPDスペクトルは、11.228、18.503、21.753、16.737、20.331、19.21、10.153、22.536、16.05、10.749、20.687、11.851、12.692、9.246、17.255、15.057、23.846、14.252、7.498、5.193、13.804、25.474からなる群の2θ値を有する。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Fは210℃の前に2.695%の重量減少がある。
【0037】
もう一つの好適な例において、前記結晶形GのXRPDスペクトルは、18.452±0.2°、22.004±0.2°、24.202±0.2°、26.664±0.2°、15.905±0.2°、20.186±0.2°、23.922±0.2°、12.411±0.2°、14.045±0.2°、18.872±0.2°、29.075±0.2°、20.847±0.2°、28.137±0.2°、23.682±0.2°、32.077±0.2°、30.333±0.2°からなる群から選ばれる6つまたは6つ以上の2θ値を有する。
【0038】
もう一つの好適な例において、前記結晶形GのXRPDスペクトルは、18.452±0.2°、22.004±0.2°、24.202±0.2°、26.664±0.2°、15.905±0.2°、20.186±0.2°、23.922±0.2°、12.411±0.2°、14.045±0.2°、18.872±0.2°、29.075±0.2°、20.847±0.2°、28.137±0.2°、23.682±0.2°、32.077±0.2°、30.333±0.2°からなる群から選ばれる10つまたは10つ以上の2θ値を有する。
【0039】
もう一つの好適な例において、前記結晶形GのXRPDスペクトルは、18.452±0.2°、22.004±0.2°、24.202±0.2°、26.664±0.2°、15.905±0.2°、20.186±0.2°、23.922±0.2°、12.411±0.2°、14.045±0.2°、18.872±0.2°、29.075±0.2°、20.847±0.2°、28.137±0.2°、23.682±0.2°、32.077±0.2°、30.333±0.2°、13.815±0.2°、24.935±0.2°、27.652±0.2°、21.088±0.2°、26.177±0.2°、17.534±0.2°、30.889±0.2°、35.293±0.2°、33.922±0.2°、29.875±0.2°、16.334±0.2°、38.674±0.2°、38.538±0.2°、14.587±0.2°、7.041±0.2°、10.559±0.2°、5.489±0.2°からなる群から選ばれる10または10以上の2θ値を有する。
【0040】
もう一つの好適な例において、前記結晶形GのXRPDスペクトルは、18.452±0.2°、22.004±0.2°、24.202±0.2°、26.664±0.2°、15.905±0.2°、20.186±0.2°、23.922±0.2°、12.411±0.2°、14.045±0.2°、18.872±0.2°、29.075±0.2°、20.847±0.2°、28.137±0.2°、23.682±0.2°、32.077±0.2°、30.333±0.2°、13.815±0.2°、24.935±0.2°、27.652±0.2°、21.088±0.2°、26.177±0.2°、17.534±0.2°、30.889±0.2°、35.293±0.2°、33.922±0.2°、29.875±0.2°、16.334±0.2°、38.674±0.2°、38.538±0.2°、14.587±0.2°、7.041±0.2°、10.559±0.2°、5.489±0.2°からなる群の2θ値を有する。
【0041】
もう一つの好適な例において、前記結晶形GのXRPDスペクトルは、18.452、22.004、24.202、26.664、15.905、20.186、23.922、12.411、14.045、18.872、29.075、20.847、28.137、23.682、32.077、30.333、13.815、24.935、27.652、21.088、26.177、17.534、30.889、35.293、33.922、29.875、16.334、38.674、38.538、14.587、7.041、10.559、5.489からなる群の2θ値を有する。
【0042】
もう一つの好適な例において、前記結晶形GのXRPDスペクトルは、基本的に
図19に示される通りである。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Gは218-222℃および245-250℃に吸熱ピークがあり、ならびに/あるいは
【0043】
前記結晶形Gは220-224℃に一つの鋭い放熱ピークがある。
もう一つの好適な例において、前記結晶形GのTGA/DSCチャートは、基本的に
図20に示される通りである。
もう一つの好適な例において、前記結晶形Gは無水結晶形である。
【0044】
本発明の第二の側面では、薬物組成物であって、
1)本発明の第一の側面に記載の一種または複数種の結晶形と、
2)薬学的に許容される担体または賦形剤と
を含む組成物を提供する。
【0045】
本発明の第三の側面では、本発明の第一の側面に記載の結晶形の使用であって、抗B型肝炎ウイルス薬の製造のための使用を提供する。
もう一つの好適な例において、前記薬物は哺乳動物のB型肝炎ウイルス感染の治療に使用される。
【0046】
もちろん、本発明の範囲内において、本発明の上記の各技術特徴および下記(たとえば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組合せ、新しい、または好適な技術方案を構成できることが理解される。紙数に限りがあるため、ここで逐一説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】
図1は実施例1で得られた結晶形AのXRPDスペクトルである。
【
図2】
図2は結晶形AのPLM画像である(200×)。
【
図3】
図3は結晶形AのTGA/DSCチャートである。
【
図4】
図4は結晶形BのXRPDスペクトルである。
【
図5】
図5は結晶形B(D220-PS-03-A6)のTGA/DSCチャートである。
【
図6】
図6は結晶形B(D220-PS-03-A6)の加熱前後のXRPD比較図である。
【
図7】
図7は結晶形B(D220-PS-03-A6)のH-NMRスペクトルである。
【
図8】
図8は結晶形B(D220-PS-05-A1)のTGA/DSCチャートである。
【
図9】
図9は結晶形B(D220-PS-05-A1)のH-NMRスペクトルである。
【
図10】
図10は結晶形D(D220-PS-08-A17)のXRPDスペクトルである。
【
図11】
図11は結晶形D(D220-PS-08-A17)のTGA/DSCチャートである。
【
図12】
図12は結晶形D(D220-PS-08-A17)の加熱前後のXRPD比較図である。
【
図13】
図13は結晶形D(D220-PS-08-A17)のH-NMRスペクトルである。
【
図14】
図14は結晶形E(D220-PS-06-A1)のXRPDスペクトルである。
【
図15】
図15は結晶形E(D220-PS-06-A1)のTGA/DSCチャートである。
【
図16】
図16および
図17は結晶形E(D220-PS-06-A1)の加熱前後のXRPD比較図である(I/II)。
【
図17】
図16および
図17は結晶形E(D220-PS-06-A1)の加熱前後のXRPD比較図である(I/II)。
【
図18】
図18は結晶形F(D220-PS-06-A1 AFT130)の室温で置いた前後のXRPD比較図である。
【
図21】
図21は結晶形F(D220-PS-06-A1 AFT130)の室温で置いて結晶形Eに転換した場合のTGAチャートである。
【
図22】
図22は結晶形A/B/D/E/F/GのXRPD比較図である。
【
図23】
図23は結晶形A/Gの懸濁競争実験のXRPD比較図である。
【
図24】
図24および
図25は室温臨界水分活性実験で得られた固体のXRPDスペクトルである。
【
図25】
図24および
図25は室温臨界水分活性実験で得られた固体のXRPDスペクトルである。
【
図27】
図27は結晶形AのDVSテスト前後のXRPD比較図である。
【
図28】
図28は結晶形Aの一週間安定性のXRPD比較図である。
【
図29】
図29は結晶形Aの二週間安定性のXRPD比較図である。
【
図30】
図30は式I化合物の6種の結晶形の転換関係図である。
【
図31】
図31はWO2017173999 A1実施例3で得られた化合物IのXRPDスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明者は、長期間にわたって深く研究し、大量のスクリーニング、プロセスの最適化により、純度がより高く、薬らしさがより良い、式I化合物の結晶形を得た。これに基づき、発明者らが本発明を完成した。
【0049】
本明細書で用いられるように、用語「群から選ばれるnまたはn以上の2θ値」とは、nおよびnより大きい任意の正の整数(たとえば、n、n+1、・・・)を含み、ここで、上限のNupは当該群におけるすべての2θピーク値の数である。たとえば、「1つまたは1つ以上」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、…上限Nupの各正の整数のみならず、「2つまたは2つ以上」、「3つまたは3つ以上」、「4つまたは4つ以上」、「5つまたは5つ以上」、「6つまたは6つ以上」、「7つまたは7つ以上」、「8つまたは8つ以上」、「9つまたは9つ以上」、「10または10以上」などの範囲も含む。たとえば、「3つまたは3つ以上」は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、…上限Nupの各正の整数のみならず、「4つまたは4つ以上」、「5つまたは5つ以上」、「6つまたは6つ以上」、「7つまたは7つ以上」、「8つまたは8つ以上」、「9つまたは9つ以上」、「10または10以上」などの範囲も含む。
【0050】
既存技術と比べ、本発明は以下の主な利点を有する。
(1)WO2017173999 A1で公開された化合物と比べ、本発明の結晶形は最も安定した結晶形で、同時に、本発明で開示された結晶化および精製の方法は、コストがより低く、拡大生産の操作過程により有利である。
(2)WO2017173999 A1と比べ、本発明はプロセスを最適化することによって純度が高く、収率が高く、かつ不純物の含有量が顕著に低下した結晶形を得た。
(3)WO2017173999 A1と比べ、それによって得られる無定形の製品は静置の過程において結晶析出のリスクがあり、固形安定性が劣る。本発明によって得られる結晶形は、固形安定性がより高く、長期間の保存により有利である。データからも、当該結晶形は、化学的安定性が良く、保存期間で生じる不純物が少なく、かつ統計学的に有意であることで、原薬の保存期間が長くなる。
【0051】
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常、通常の条件、あるいはメーカーの薦めの条件で行われた。特に断らない限り、%と部は、重量で計算された。
【0052】
別途に定義しない限り、本文に用いられるすべての専門用語と科学用語は、当業者に熟知される意味と同様である。また、記載の内容と類似あるいは同等の方法および材料は、いずれも本発明の方法に用いることができる。ここで記載の好ましい実施方法及び材料は例示のためだけである。
【0053】
共通のテスト方法
粉末X線回折(XRPD)
ブルカーD2型粉末X線回折装置を使用し、環境の条件においてサンプルの粉末X線回折のデータを収集するが、X線放出源の出力が300Wである。サンプル台はバックグラウンド信号がなく、ステップ速度が0.15 s/ステップで、総ステップ数が1837ステップで、ステップ幅が2θ = 0.02oで、電圧が30 kVで、電流が10 mAである。X線管はCuターゲット(Kα)を使用し、Kα2/Kα1強度比が0.50(1.54439 A/1.5406 A)である。
【0054】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
アジレント1260型高速液体クロマトグラフィー(DAD検出器付き)によってサンプルの純度および溶解度のデータを収集する。テスト方法は表A参照する。
【表1】
【0055】
偏光顕微鏡(PLM)
Olympus製のBX53M型偏光顕微鏡によって室温の条件においてサンプルの顕微写真を収集する。
【0056】
熱重量分析(TGA)
TA Discoveryシリーズの熱重量分析装置(TGA)によってサンプルの熱重量データを収集する。数ミリグラムのサンプルをTzeroアルミニウム皿に取り、N2の保護下において室温から400℃に加熱し、N2流速が25 mL/分で、加熱速度が10 ℃/分である。
【0057】
示差走査熱量計(DSC)
TA Discoveryシリーズの示差走査熱量計(DSC)によってサンプルの熱データを収集する。数ミリグラムのサンプルを秤量してTzeroアルミニウム皿に入れ、Tzero密封蓋で密封した。N2の保護下において加熱し、N2流速が50 mL/分で、加熱速度が10 ℃/分である。
【0058】
動的蒸気吸着装置(DVS)
ADVENTUREシリーズの動的蒸気吸着装置(DVS)によってN2保護下においてサンプルの吸湿性のデータを収集する。サンプルの使用量~30 mg。無水結晶形のテスト方法は以下の通りである。
1)相対湿度の増加過程:0%RHから90%RH、速度が10%RH/段階;90%RHから95%RH、速度が5%RH/段階;
2)相対湿度の低下過程:95%RHから90%RH、速度が5%RH/段階;90%RHから5%RH、速度が10%RH/段階。
【0059】
プロント核磁気共鳴スペクトル(H-NMR)
Agilent VNMR 400MRによってサンプルのプロント核磁気共鳴スペクトルのデータを収集する。数ミリグラムのサンプルを取り、DMSO-d
6溶媒において清澄に溶解させ、装置によって検出する。
【化3】
【0060】
原料製造例
実施例A-1 化合物32の合成
【化4】
室温で、オートクレーブに順にトルエン(303 kg)、化合物31(35 kg)およびp-トルエンスルホン酸(7 kg)を入れ、105~115℃に昇温させ、1時間撹拌しながら水分を除去した。60~80℃に降温させ、化合物24(28.33 kg)をオートクレーブに入れ、110~120℃に昇温させ、還流させて水分を除去しながら12時間反応させた。78~80℃に降温させ、余分のp-トルエンスルホン酸(180 g)および化合物24(505 g)を入れて続いて7-8 h加熱して還流させて水分を除去したが、HPLCによるモニタリングで化合物31が完全に転換したことが示された。反応系を50~55℃に降温させ、メタノール(35.4 kg)を入れて2時間撹拌し、降温後、ろ過し、得られたケーキを少量のトルエン/メタノール溶液で洗浄した。ケーキを乾燥した後、40.5 kgの化合物32を得たが、収率が72.5%で、HPLC純度が98%であった。MS:[M+H]
+=551.4/553.4
【0061】
実施例A-2 化合物33の合成
【化5】
室温で、反応フラスコに酢酸エチル(8 L、44.8 V)、化合物32(178.3 g, 1.0 eq.)、トリエチルアミン(80 mL、0.45 V)およびラネーニッケル(48 g, 27%)を入れた。反応系を水素ガスで3回置換し、室温で8 h反応させ、HPLCによるモニタリングで化合物32が完全に転換したことが示された。ろ過し、ろ液を濃縮して160.4 gの化合物33を得た。収率が95.1%で、HPLC純度が98.2%であった。MS:[M+H]
+=521.5/523.5
【0062】
実施例A-3 化合物33の分割
【化6】
5 gのラセミ体の化合物33を取り、キラルクロマトグラフィーカラムによって分割し、メタノールを主要な移動相とした。キラル分割して1.3 gの化合物34(ee>99%)および1.78 gの化合物34-Sを得た。
【0063】
実施例A-4 化合物17の合成
【化7】
ジクロロメタン(6 L)をオートクレーブに入れ、-10℃程度に降温させた。それにトリホスゲン(BTC)170.75 g, 0.58 mol)を入れた。化合物34 (600 g, 1.15 mol)のジクロロメタン(4.8 L)溶液を、ゆっくり上記トリホスゲンのジクロロメタン溶液に滴下した。30分間撹拌した。-5℃以下に維持し、ピリジン(273.07 g, 3.45 mol)のジクロロメタン(1.2 L)溶液を滴下し、滴下完了後、続いて20分間以上撹拌した。-5℃以下に維持し、アンモニア水(0.9 L)を滴下し、続いて少なくとも30分間反応を続けた。
HPLCによるモニタリングで反応が完了した後、水で2回洗浄した後、濃縮した。得られた産物を酢酸エチルで溶解させた後、n-ヘプタンで混ぜた。ケーキを収集し、加熱乾燥して590 gの化合物17を得たが、収率が90.86%で、純度が98.45%であった。MS:[M+H]
+= 563.01/565.02
【0064】
実施例A-5 化合物9の合成
【化8】
化合物17 (190 g, 0.337 mol)をアセトニトリル(1.3 L)に溶解させ、PPTS(すなわち、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム)(42.3 g, 0.168 mol)、 NIS(すなわち、N-ヨードスクシンイミド) (90.88 g, 0.4 mol)を入れた。56℃で一晩反応させた後、固体が大量に析出した。HPLCによる検出で合格した後、20~30℃に降温さえ、それに5%の亜硫酸ナトリウム溶液を入れて洗浄した。吸引ろ過して固体を収集し、得られた固体をMTBE(メチル-t-ブチルエーテル)で洗浄した。加熱乾燥して202 gの化合物9(すなわち、化合物II)を得たが、収率が86.9%で、純度が98.75%であった。MS:[M+H]
+=689.84 /691.84
【0065】
化合物の製造に関するさらなる詳細について、本発明と同日に提出された以下のような出願を参照する。
発明名称:B型肝炎ウイルスヌクレオカプシド阻害剤の製造方法
出願日:2021年07月23日
出願者:上海摯盟医薬科技有限公司
【0066】
結晶形製造例
実施例1 結晶形Aの製造および特徴付け
【化9】
オートクレーブにDMSO(ジメチルスルホキシド)を25.760 kg入れ、窒素ガスの保護において、撹拌を開始した。40℃以下に維持しながらオートクレーブに2.9 kgの化合物IIを入れ、撹拌を続けた。同オートクレーブにDBUを0.74 kg入れた。同オートクレーブに銅粉を0.27 kg入れた。添加完了後、70℃に昇温して8時間以上反応させた。化合物IIが完全に転換したことが検出された後、30℃以下に降温させ、オートクレーブに活性炭素を0.3 kg入れ、30分間撹拌した後、ろ過し、活性炭素および銅粉を除去した。少量のジメチルスルホキシドでケーキを洗浄した。ろ液を合併し、そしてろ液に10%酢酸水溶液を32 kg入れた。添加完了後、40℃以内に維持しながら1時間撹拌した後、ろ過した。少量の飲用水でケーキを洗浄した後、ケーキを収集した。得られたケーキを66 kgの酢酸エチル:テトラヒドロフラン(4:1)混合溶媒で混ぜた後、ろ過し、そして少量のテトラヒドロフランでケーキを洗浄した。ろ液をオートクレーブに移した。得られた溶液をそれぞれ10%酢酸水溶液16.4 kg、1%炭酸カリウム水溶液15 kgおよび5%塩化ナトリウム水溶液15.6 kgで洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し後、ろ過した。ろ液を収集し、溶媒の流出がなくなるまで、減圧で濃縮して有機溶媒を除去した。アセトンを6.8 kg秤量し、溶媒の流出がなくなるまで回転バンド蒸留した。4.6 kgのアセトンを秤量して残留物に入れ、1時間加熱して還流させた。5~10℃に降温させた。1時間撹拌し後、ろ過した。少量のアセトンでケーキを洗浄した。得られた固体の湿潤品を水分≦1%になるまで乾燥させた。化合物Iの粗製品を1.655 Kg得たが、灰黄色から淡黄色の固体粉末であった。収率が70.3%で、純度が99.68%であった。
【0067】
反応フラスコに酢酸6.2 Kgおよび1.655 Kgの化合物Iの粗製品を入れ、溶液が澄清になるまで80±5℃に加熱した。50℃以上でろ過した後、25℃に降温させてろ過した。少量の水でケーキを洗浄した。得られた固体の湿潤品を加熱乾燥し、化合物I(一次精密蒸留)を1.538 Kg得たが、淡黄色からオフホワイト色の固体粉末で、収率が93.1%で、純度が99.9%であった。
【0068】
オートクレーブにアセトン2.432 Kgおよび化合物I(一次精密蒸留)1.538 Kgを入れた。還流まで昇温を開始した。還流を維持しながら1時間撹拌した。降温させてろ過した。少量のアセトンでケーキを洗浄した。得られた固体の湿潤品を加熱乾燥し、化合物Iの結晶形Aの完成品を1.458 Kg得たが、オフホワイト色の固体粉末で、収率が94.8%で、純度が99.90%であった。
【0069】
結果
1)固形の性質において、再現したところ、WO2017173999 A1の実施例3でキラル分割によって得られた化合物Iの白色固体は無定形であった(そのXRPD結果は本発明の
図31を参照する)。
具体的に、WO2017173999 A1の実施例3で製造された化合物Iの白色固体は無定形で、単一の性状が安定した結晶が得られず、その固形安定性が劣る。このような方法によって製造される原薬は、固形安定性の不確定性があり、長期間の保存にもさらなる結晶析出のリスクがある。相応するサンプルの溶解度および生物利用能に不確定性があり、薬らしさが劣る。
【0070】
2)化学純度において、WO2017173999 A1の実施例3で報告された製品の純度が98.47%しかなかった。本発明の実施例1で得られた製品の純度99.90%と比べ、純度の差が大きい。WO2017173999 A1の実施例3の合成における最後の三つの化学工程の中間鄭である3-(4-アセチルアミノ-3-ニトロフェニルエチル)-2-(3-(4-フルオロフェニル)-1-(4-ブロモフェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)オキサゾリジン-4-オン、3-(4-アミノ-3-ニトロフェニルエチル)-2-(1-(4-ブロモフェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)オキサゾリジン-4-オン、2-(1-(4-ブロモフェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(3,4-ジアミノフェニルエチル)オキサゾリン-4-オンは、AMES実験においていずれも陽性と示され、潜在的なリスクがある。原薬におけるこの三つの不純物の残留は原薬の品質に大きく影響する。一方、本発明で公開された結晶形Aおよび製造と精製は有効に関連中間体の使用が避けられ、同時に純度が一般的に99.5%以上、好適に99.90%に達し、有効に様々な有害な不純物の原薬における残留が減少される。
表M-1は実施例1で得られた結晶形Aのテスト結果を示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【0071】
以上の影響要素実験の比較データからわかるように、WO2017173999 A1の実施例3で得られた化合物Iのサンプルの98.47%の純度と比べ、結晶形Aの初期純度(99.75%)のほうが高かった。同時に、高温高湿条件において結晶形Aはいずれも良い化学的安定性を示し、薬らしさが良かった。
図1は実施例1で得られた結晶形AのXRPDスペクトルである。
【0072】
表1-1は結晶形AのXRPDデータのまとめを示し、2θ値の誤差範囲が±0.2°である。
【表5】
【0073】
図2は結晶形AのPLM画像である(200×)。
図2からわかるように、結晶形Aは微小顆粒状であった。
図3は結晶形AのTGA/DSCチャートである。
図3からわかるように、サンプルは分解前に重量減少がほとんどなく、246.2℃(開始温度)に鋭い溶融ピークがある。
以上の結果から、結晶形Aは無水結晶形であることが示された。
【0074】
実施例2 さらなる結晶形のスクリーニング結果の検討
結晶多形スクリーニング
化合物Iの関連性質から、溶媒の種類や温度などの条件を考慮し、計65の結晶形スクリーニング実験を設けた。方法は、貧溶媒添加、気相-固相拡散、気相-液相拡散、緩慢揮発、重合体誘導、室温/50℃撹拌および緩慢降温を含む。具体的な方法の記述は下記の通りである。
もちろん、以下の結晶形スクリーニングに使用された化合物Iはいずれも本発明で示された製造方法によって製造された化合物Iである。
【0075】
貧溶媒添加法
~15 mgの化合物Iのサンプルを秤量し、下記表2における良溶媒を入れ、室温で撹拌して澄清になったストック液を得た。ストック液を分けて20 mLガラス瓶に入れ、磁気撹拌の条件において、固体または溶媒の合計体積が15.0 mLに達するまでガラス瓶に少しずつ0.2~0.5 mLの相応する貧溶媒を入れた。結果(表1)から、貧溶媒添加法では、結晶形A、結晶形B、結晶形AとBのミックス、および結晶形EとAのミックスが得られたことがわかる。
【表6】
【0076】
気相-固相拡散法
4 mLガラス瓶に~12 mgの化合物Iの結晶形Aのサンプルを秤量し、そしてそれを3 mLの揮発しやすい溶媒の入った20 mLガラス瓶に入れた。20 mLガラス瓶を蓋で密封し、室温の条件において約2週間置き、XRPDによって得られた固体を特徴づけた。結果(表2)から、気相-固相拡散法では、結晶形AおよびDが得られたことがわかる。
【表7】
【0077】
気相-液相拡散法
4 mLガラス瓶に~15 mgの化合物Iサンプルを秤量し、下記表4における相応する溶媒の澄清になったサンプルを入れ、そしてそれを4 mLの貧溶媒の入った20 mLガラス瓶に入れた。20 mLガラス瓶を蓋で密封し、固体が析出するまで、室温の条件置においた。得られた固体についてXRPDによる特徴づけを行った。結果(表3)から、気相-液相拡散法では、結晶形AおよびBが得られたことがわかる。
【表8】
【0078】
室温緩慢揮発法
4 mLガラス瓶に~15 mgの化合物Iサンプルを秤量し、下記表5における相応する溶媒を入れて澄清にさせた。密封膜で密封し、そして針で4~6つの孔を開け、室温の条件で緩慢に揮発させた。最終的に得られた固体についてXRPDによる特徴づけを行った。結果(表4)から、室温緩慢揮発法では、三つの結晶形が得られ、それぞれ結晶形A/B/Eであったことがわかる。
【表9】
【0079】
重合体誘導法
4 mLガラス瓶に8-15 mgの化合物Iの結晶形Aのサンプルを秤量し、相応する溶媒を入れて溶解させた。澄清にならなかった場合、懸濁液に対して膜ろ過処理(ナイロン膜、膜孔径0.22μm)を行った。ろ液に1-2 mgの重合体(PVC/PVP 1:1, w/w)を入れた。4 mLガラス瓶を密封膜で密封し、そして密封膜に針で4~6つの孔を開け、室温の条件で緩慢に揮発させた。最終的に得られた固体についてXRPDによる特徴づけを行った。結果(表5)から、重合体誘導法では、結晶形Aしか得られなかったことがわかる。
【表10】
【0080】
室温撹拌法
HPLCバイアルに~15 mgの化合物Iの結晶形Aのサンプルを秤量し、0.4 mLの相応する溶媒を入れ、そして室温の条件において磁気攪拌し、懸濁液を得た。約1週間後、分離して固体についてXRPDによる特徴づけを行った。結果(表6)から、室温撹拌法では、2種類の結晶形が得られ、それぞれ結晶形AおよびDであったことがわかる。
【表11】
【0081】
50℃撹拌法
HPLCガラス瓶アルに~15 mgの化合物Iの結晶形Aのサンプルを秤量し、0.4 mLの相応する溶媒を入れ、そして50℃の条件において磁気攪拌し、懸濁液を得た。3日後、懸濁液における固体についてXRPDによる特徴づけを行った。結果(表7)から、50℃撹拌法では、結晶形Aしか得られなかったことがわかる。
【表12】
【0082】
緩慢降温法
4 mLガラス瓶に~20 mgの化合物Iの結晶形Aのサンプルを秤量し、0.6~0.8 mLの相応する溶媒を入れ、50℃の条件において3時間磁気攪拌し、懸濁液を得た。懸濁液に対して膜ろ過処理(ナイロン膜、膜孔径0.22μm)を行った。ろ液を50℃から緩慢に降温させて5℃まで冷却し、冷却速度が0.1 ℃/minであった。サンプルを5℃の条件において~2日保存した後、-20 ℃にして結晶析出を誘導した。サンプルを-20℃の条件において~5日保存した後、室温で揮発させた。最後に得られた固体についてXRPDによる特徴づけを行った。実験結果(表8)から、緩慢降温法によるスクリーニングでは、結晶形A、BおよびEが得られたことがわかる。
【表13】
すべてのサンプルは緩慢に-20℃に降温した後、澄清になったが、固体は室温で揮発させて得られた。
【0083】
溶媒の名称の和英対照は表Bを参照する。
【表14】
【0084】
結果から、化合物Iは、結晶形スクリーニング実験で発見された4種類(結晶形A/B/D/Eと名付けた)および後の結晶形同定で発見された2種類(結晶形F/Gと名付けた)を含む、計6種類の結晶形があることがわかる。中では、無水結晶形は3種類(結晶形A/F/G)、水和物は1種類(結晶形E)、溶媒和物は2種類(結晶形B/D)ある。スクリーニング実験の結果のまとめは表10を参照する。6種類の結晶形の特徴付けデータのまとめは表11を、XRPD比較図は
図22を参照する。
【表15】
【表16】
【0085】
結晶形B
図4は結晶形BのXRPDスペクトルである。
表1-2は結晶形BのXRPDデータを示し、2θ値の誤差範囲が±0.2°である。
【表17】
【0086】
図5は結晶形B(D220-PS-03-A6)のTGA/DSCチャートである。
図5から、サンプルは210 ℃前に重量減少が4.9%で、151.1 ℃および245.8 ℃(起点)に吸熱ピークがあり、185.3 ℃(起点)に一つの放熱ピークがあったことがわかる。
【0087】
図6は結晶形B(D220-PS-03-A6)の加熱前後のXRPD比較図である。
図6から、N
2の保護下において、結晶形B(D220-PS-03-A6)を170 ℃に加熱して室温に冷却し、無定形になったが、210 ℃に加熱して室温に冷却し、結晶形Aになったことがわかり、DSCでは、第一の吸熱ピークは脱水または脱溶媒で、放熱信号は無定形の再結晶で、第二の吸熱ピークは結晶形Aの融点であることが示された。
【0088】
図7は結晶形B(D220-PS-03-A6)のH-NMRスペクトルである。
図7から、サンプル(D220-PS-03-A6)に4.3%のTolueneがあり、TGAの重量減少に近かったことがわかり、結晶形Bは溶媒和物であることが示された。
【0089】
図8は結晶形B(D220-PS-05-A1)のTGA/DSCチャートである。
図8から、サンプルは210 ℃前に重量減少が7.9%で、153.4 ℃(起点)に一つの吸熱ピークがあったことがわかり、TGA重量減少と合わせ、脱水または脱溶媒と推測され、246.3 ℃(起点)に一つの鋭い吸熱ピークがあることがわかり、溶融と推測された。
【0090】
図9は結晶形B(D220-PS-05-A1)のH-NMRスペクトルである。
図9から、サンプル(D220-PS-05-A1)に6.5 wt%1,4-Dioxaneがあり、TGAの重量減少に近かったことがわかり、結晶形Bは溶媒和物であることが示された。
以上のデータから、結晶形Bは溶媒和物で、かつ類質同形減少が存在する。
【0091】
結晶形D
図10は結晶形D(D220-PS-08-A17)のXRPDスペクトルである。
表1-3は結晶形DのXRPDデータを示し、2θ値の誤差範囲が±0.2°である。
【表18】
【0092】
図11は結晶形D(D220-PS-08-A17)のTGA/DSCチャートである。
図11から、サンプルは180 ℃前に重量減少が16.8%で、113.1 ℃(起点)に吸熱ピークがあったことがわかり、TGA重量減少と合わせ、脱水または脱溶媒と推測され、245.9 ℃(起点)に一つの鋭い吸熱ピークがあることがわかり、溶融と推測された。
【0093】
図12は結晶形D(D220-PS-08-A17)の加熱前後のXRPD比較図である。
図12から、N
2の保護下において、結晶形D(D220-PS-08-17)を150 ℃に加熱して室温に冷却し、結晶形Aになったことわかり、結晶形Dは水和物または溶媒和物であることが示された。
【0094】
図13は結晶形D(D220-PS-08-A17)のH-NMRスペクトルである。
図13から、サンプルに16.6 wt%のCH
3COOHがあり、TGAの重量減少に近かったことがわかり、結晶形Dは酢酸の溶媒和物であることが示された。
【0095】
結晶形E
図14は結晶形E(D220-PS-06-A1)のXRPDスペクトルである。
表1-4は結晶形EのXRPDデータを示し、2θ値の誤差範囲が±0.2°である。
【表19】
【0096】
図15は結晶形E(D220-PS-06-A1)のTGA/DSCチャートである。
図15から、サンプルは210 ℃前に重量減少が4.7%で、115.1℃および145.6℃(起点)に吸熱ピークがあったことがわかり、TGA重量減少と合わせ、段階的脱水または脱溶媒と推測され、172.9℃(起点)に放熱ピークがあったことがわかり、無定形の再結晶と推測され、220.3℃/222.3℃(ピーク値)にそれぞれ吸熱ピーク/放熱ピークがあったことがわかり、固相の転換と推測され、245.9 ℃(起点)に一つの鋭い吸熱ピークがあったことがわかり、融点と推測された。
【0097】
図16および
図17は結晶形E(D220-PS-06-A1)の加熱前後のXRPD比較図である(I/II)。
図16および
図17から、N
2の保護下において、130℃に加熱し、一部が新たな結晶形Fになったことがわかり、結晶形Eは水または溶媒和物であることが示され、170℃に加熱し、サンプルは低結晶度で、210℃に加熱し、サンプルの大半が結晶形Aになり、同時に新たな回折ピークが観察されたことがわかり、結晶形Gと名付け、230℃に加熱し、結晶形Aになったことがわかる。
【0098】
結晶形F
結晶形Fは水和物である結晶形Eを脱水させて得られ、溶液法で得られなかった。N
2の保護下において、結晶形E(D220-PS-06-A1)を130℃に加熱して室温に冷却した後、新たな回折ピークが観察され、結晶形Fと名付けられ、無水結晶形と推測された。
結晶形F(D220-PS-06-A1 AFT130)は室温(18~20 ℃/45~75%RH)で約3日置いて結晶形Eになった(
図18)が、当該結晶形は室温の条件において不安定であることが示された。
【0099】
図21は結晶形F(D220-PS-06-A1 AFT130)の室温で置いて結晶形Eに転換した場合のTGAチャートである。
図21から、210℃前に2.7%の重量減少があったことがわかり、これによって結晶形Eは水和物であることが示された。
表1-5は結晶形FのXRPDデータを示し、2θ値の誤差範囲が±0.2°である。
【表20】
【0100】
結晶形G
結晶形Gは水和物である結晶形Eを脱水させて固相転換で得られ、溶液法で得られなかった。N
2の保護下において、水和物である結晶形Eを210℃に加熱して室温に冷却した後、新たな結晶形Gが得られ、XRPDの結果は
図19を参照する。
表1-6は結晶形GのXRPDデータを示し、2θ値の誤差範囲が±0.2°である。
【表21】
【0101】
図20は結晶形GのTGA/DSCチャートである。
図20から、分解前に重量減少がほとんどなく、220.3℃および222.0℃(ピーク値)にそれぞれ吸熱ピーク/放熱ピークがあり、246.1℃(起点)に一つの鋭い吸熱ピークがあったことがわかる。
図17の結果と合わせ、結晶形Gは無水結晶形であることが示された。
【0102】
図22は結晶形A/B/D/E/F/GのXRPD比較図である。
図22から、化合物Iは、結晶形スクリーニング実験で発見された4種類(結晶形A/B/D/Eと名付けた)および後の結晶形同定で発見された2種類(結晶形F/Gと名付けた)を含む、計6種類の結晶形があることがわかる。中では、無水結晶形は3種類(結晶形A/F/G)、水和物は1種類(結晶形E)、溶媒和物は2種類(結晶形B/D)ある。
【0103】
実施例3 結晶形の関係の研究
無水結晶形の関係の研究
結晶形の研究では、計3種類の無水結晶形が発見され、中では、結晶形Fは室温の条件において不安定で、置いた後、水和物である結晶形Eになった。ほかの無水結晶形の間(結晶形A/G)の安定性の関係を研究するために、室温および60℃の条件においてACNおよびEtOAcを溶媒に選んで懸濁競争実験を設けた。具体的な操作は、4つの過剰量の結晶形Aを4つのHPLCバイアルに秤量し、2つは0.5 mLのACNを入れ、もう2つは0.5 mLのEtOAcを入れ、それぞれ室温および60℃に置いて2時間磁気撹拌し、加熱しておいたナイロン膜(孔径0.22 μm)でろ過して飽和溶液を得た。飽和ろ液に化合物Iの無水結晶形A/Gをそれぞれ~4 mg入れ、室温または60℃で2日磁気撹拌し、固体を遠心分離してXRPDテストに使用した。
【0104】
結果(表1-7)から、室温および60℃の条件において2種類の溶媒の中で得られた固体はいずれも結晶形Aで、結晶形Gが溶融すると再結晶して結晶形Aになったことを合わせ、結晶形Aは結晶形Gよりも熱力学的に安定していることが示され、XRPDの結果は
図23を参照する。
【表22】
【0105】
臨界水分活性の研究
無水結晶形の関係の研究では、化合物Iの無水結晶形Aは室温において最も安定であることが示されたため、結晶形Aと水和物である結晶形Eを選んで臨界水分活性の研究を行った。具体的に、室温の条件において標的の水分活性(awは0/0.2/0.4/0.6/0.8/1.0)のAcetone/H2O混合溶媒を調製して使用に備え、Acetone/H2Oの体積比に相応する系の水分活性は表1-8を参照する。それぞれ~20 mgの結晶形Aのサンプルを秤量して相応する溶媒に入れ、室温で2時間撹拌した後、懸濁液が得られ、ナイロン膜(孔径0.22 μm)でろ過した。~4 mgmの水和物の結晶形Eおよび化合物Iの無水結晶形AをHPLCバイアルに秤量し、相応的に上記ろ液を入れ、室温で3~13日撹拌してXRPDデータを収集した。
【0106】
実験結果(表1-8および
図24/
図25)から、水分活性(a
w)が0~0.8である場合、得られた固体は化合物Iの無水結晶形Aで、水分活性が1.0である場合、得られた固体は水和物の結晶形Eであることが示された。これにより、室温において水分活性が0~0.8である場合、化合物Iの無水結晶形Aがより安定で、水分活性が1.0である場合、水和物である結晶形Eがより安定で、化合物Iの無水結晶形Aおよび水和物である結晶形Eの臨界水分活性が0.8~1.0であることが示された。
【表23】
【0107】
実施例4 薬らしさの研究
吸湿性
DVSによって25℃で化合物Iの無水結晶形Aについて吸湿性の評価を行った。評価前に、化合物Iの無水結晶形Aは、表面に吸着した水または溶媒を除去するため、0%RHの条件においてバランスを取った。
図26から、化合物Iの無水結晶形Aは80%RHの場合、重量増加が0.14%であったことがわかり、サンプルはほとんど吸湿せず、テスト後、サンプルの結晶形が変わらなかったことが示され(
図27)、良い結晶形の安定性があることがわかる。
【0108】
固形安定性
好適な結晶形(化合物Iの無水結晶形A)の固形安定性を評価するために、~20 mgのサンプルをHPLCバイアルに秤量し、開放で1)25 ℃/60%RH、2)40 ℃/75%RH、3)60 ℃の三つの条件において置いた。初期のサンプル、1週間および2週間保存したサンプルについて純度テスト(HPLC)および結晶形テスト(XRPD)を行った。
結果から、結晶形Aは所定の条件において1週間および2週間置いた後、結晶形が変わらず(
図28よび
図29)、純度に明らかな変化がなかったことが示され(表1-9)、結晶形Aは良い固形安定性があることがわかる。
【表24】
【0109】
結果から以下のことがわかる。
1)化合物Iの無水結晶形Aはほとんど吸湿せず、かつDVSテストの前後で結晶形が変わらなかったことで、良い結晶形の安定性があることが証明された。
2)結晶形Aは、25 ℃/60%RH、40 ℃/75%RHおよび60 ℃において開放で2週間置いた後、結晶形と純度はいずれも明らかな変化がなかったことで、良い固形安定性があることが示された。
【0110】
溶解性
室温において、化合物Iの結晶形A(D220-PS-01-A)の以下の21種類の溶媒における概算溶解度をテストした。具体的に、HPLCバイアルに~2 mgの初期試料を秤量し、固体が完全に溶解するか、合計体積が1.0 mLに達するまで、順次に(50/50/200/700 μL)下記表における溶媒を入れた。得られたデータを表1-10にまとめた。
【表25】
【0111】
化合物Iの結晶形Aは水における溶解度が低く、DMSO、DMF、THFおよび酢酸に溶解しやすい。そのため、結晶形Aの精製再結晶プロセスにおいて、酢酸において行うことにした。化合物Iの結晶形Aはアセトンにおける溶解度が中等であるため、構造が類似する不純物および関連中間体が除去されるように、アセトンにおいて混ぜてさらに精製することにした。
【0112】
結論
化合物Iに対して一連の結晶形スクリーニング実験により、3種類の無水結晶形(結晶形A/F/G)、1種類の水和物である結晶形Eおよび2種類の溶媒和物(結晶形B/D)を含む、計6種類の結晶形が発見された。無水結晶形間の関係は熟成/加熱および懸濁競争によって研究した結果、化合物Iの無水結晶形Aは室温(~18 ℃)/60 ℃において最も安定であることが示された。化合物Iの無水結晶形Aおよび水和物である結晶形Eの安定性の関係を異なる水分活性で研究したところ、室温において水分活性が0~0.8である場合、化合物Iの無水結晶形Aがより安定で、水分活性が1.0である場合、水和物である結晶形Eがより安定で、化合物Iの無水結晶形Aおよび水和物である結晶形Eの臨界水分活性が0.8~1.0であることが示された。化合物Iの無水結晶形Aの吸湿性評価では、結晶形Aはほとんど吸湿せず、DVSテストの前後で結晶形が変わらなかったことが示され、同時に、化合物Iの無水結晶形Aの固形安定性評価では、25 ℃/60%RH、40 ℃/75%RHおよび60 ℃において開放で2週間置いた後結晶形と純度はいずれも明らかな変化がなかったことで、良い固形安定性があることが示された。
【0113】
結晶形FおよびGは溶液法では得られず、結晶形Fは室温(18~20 ℃,45%~75%RH)において3日置いて水和物である結晶形Eになったことで、室温において不安定であることが示され、結晶形Gは溶融後、再結晶して結晶形Aになった。結晶形AおよびGに対して懸濁競争を行った結果、室温および60℃においてACNおよびEtOAcの中で結晶形Gはいずれも結晶形Aになったことで、結晶形Aは結晶形Gよりも熱力的に安定していることが示された。
各結晶形間の相互転換の関係は
図30を、条件の説明は表1-11を参照する。
【表26】
【0114】
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、当業者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の形態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるはずである。
【国際調査報告】