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特表2024-524761パワー半導体コンポーネント、およびパワー半導体コンポーネントの経年劣化を検出するための方法
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  • 特表-パワー半導体コンポーネント、およびパワー半導体コンポーネントの経年劣化を検出するための方法 図1
  • 特表-パワー半導体コンポーネント、およびパワー半導体コンポーネントの経年劣化を検出するための方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】パワー半導体コンポーネント、およびパワー半導体コンポーネントの経年劣化を検出するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/11 20060101AFI20240628BHJP
   G01N 29/48 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G01N29/11
G01N29/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504527
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2022068252
(87)【国際公開番号】W WO2023006338
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】102021208252.1
(32)【優先日】2021-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】オーバーディーク,カール
(72)【発明者】
【氏名】リーファー,マヌエル
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AB07
2G047AC10
2G047BA01
2G047BC03
2G047BC07
2G047GG20
2G047GG28
2G047GG33
(57)【要約】
ヒートシンク(101)と、それぞれ接続領域(105、106、107)を用いてヒートシンク(101)に配置されている3つのハーフブリッジモジュール(102、103、104)とを備えるパワー半導体コンポーネント(100)において、少なくとも1つの超音波センサ(108)と、少なくとも1つのMEMSセンサ(109)とを有し、少なくとも1つの超音波センサ(108)と少なくとも1つのMEMSセンサ(109)とが、ヒートシンク(101)の反対側に配置されていることを特徴とするパワー半導体コンポーネント(100)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシンク(101)と、それぞれ接続領域(105、106、107)を用いて前記ヒートシンク(101)に配置されている3つのハーフブリッジモジュール(102、103、104)とを備えるパワー半導体コンポーネント(100)において、少なくとも1つの超音波センサ(108)と、少なくとも1つのMEMSセンサ(109)とを有し、前記少なくとも1つの超音波センサ(108)と前記少なくとも1つのMEMSセンサ(109)とが、前記ヒートシンク(101)の反対側に配置されていることを特徴とするパワー半導体コンポーネント(100)。
【請求項2】
各ハーフブリッジモジュール(102、103、104)に超音波センサ(108)が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のパワー半導体コンポーネント(100)。
【請求項3】
各ハーフブリッジモジュール(102、103、104)にMEMSセンサ(109)が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のパワー半導体コンポーネント(100)。
【請求項4】
前記接続領域(105、106、107)が導電性ペーストを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のパワー半導体コンポーネント(100)。
【請求項5】
前記ヒートシンク(101)が銅を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のパワー半導体コンポーネント(100)。
【請求項6】
前記パワー半導体コンポーネントが、少なくとも1つの超音波センサと、少なくとも1つのMEMSセンサとを有し、前記少なくとも1つの超音波センサと前記少なくとも1つのMEMSセンサとが、ヒートシンクの反対側に配置されており、前記ヒートシンクと、接続領域によって前記ヒートシンクに配置されている3つのハーフブリッジモジュールとを備えたパワー半導体コンポーネントの経年劣化を検出するための方法(200)であって、
前記少なくとも1つの超音波センサを用いて超音波信号を送出するステップ(210)と、
前記少なくとも1つのMEMSセンサを用いて超音波信号を受信するステップ(220)と、
評価ユニットを用いて、前記MEMSセンサによって受信された前記超音波信号を評価するステップ(230)と
を備えた、前記評価ユニットが、少なくとも1つの基準値が記憶されているメモリを有し、前記受信された超音波信号と前記基準値との差が算定され、前記差が特定の閾値を超えた場合、経年劣化がある、
方法(200)。
【請求項7】
前記パワー半導体コンポーネントが3つの超音波センサを有する方法において、経年劣化を検出するために、異なる時点に超音波信号が送出され、特定の時点に、前記3つの超音波センサのうちの単一の超音波センサの超音波信号が送出されることを特徴とする、請求項6に記載の方法(200)。
【請求項8】
超音波信号が同じレベルで送出されることを特徴とする、請求項7に記載の方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワー半導体コンポーネント、およびパワー半導体コンポーネントの経年劣化を検出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ内のパワー半導体コンポーネントは、老化プロセスを受ける。老化プロセスは、例えば構造および接続技法における亀裂または接触損失として現れる。
これらの老化プロセスを特定できるようにするために、ジャンクション温度または導通損失など様々な熱的または電気的補助変数の算定が知られている。ここで、欠点は、これらの間接パラメータの特定が複雑であり、それ自体が誤りを有する可能性があり、それにより測定が不正確になることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、これらの欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
パワー半導体コンポーネントは、ヒートシンクと、それぞれ接続領域を用いてヒートシンクに配置されている3つのハーフブリッジモジュールとを含む。本発明によれば、パワー半導体コンポーネントは、少なくとも1つの超音波センサと、少なくとも1つのMEMSセンサとを有し、少なくとも1つの超音波センサと少なくとも1つのMEMSセンサとが、ヒートシンクの反対側に配置されている。
【0005】
ここで、利点は、接触損失による構造および接続技法の劣化を直接測定することができることである。
さらなる発展形態では、各ハーフブリッジモジュールに超音波センサが配置されている。
【0006】
さらなる形態では、各ハーフブリッジモジュールにMEMSセンサが配置されている。
ここで、利点は、複数のアクチュエータおよびセンサの分散された位置決めにより、パワー半導体コンポーネント内のあらゆる伝送経路を観察することができ、経年劣化をより正確に位置特定できることである。
【0007】
一形態では、接続領域は導電性ペーストを含む。
さらなる発展形態では、ヒートシンクは銅を含む。
パワー半導体コンポーネントが、少なくとも1つの超音波センサと、少なくとも1つのMEMSセンサとを有し、少なくとも1つの超音波センサと少なくとも1つのMEMSセンサとがヒートシンクの反対側に配置されており、そのヒートシンクと、接続領域によってヒートシンクに配置されている3つのハーフブリッジモジュールとを備えたパワー半導体コンポーネントの経年劣化を検出するための本発明による方法は、少なくとも1つの超音波センサを用いて超音波信号を送出するステップと、少なくとも1つのMEMSセンサを用いて超音波信号を受信するステップとを含む。本方法は、評価ユニットを用いて、MEMSセンサによって受信された超音波信号を評価するステップを含み、評価ユニットが、少なくとも1つの基準値が記憶されているメモリを有し、受信された超音波信号と基準値との差が特定され、差が特定の閾値を超えた場合、経年劣化が突き止められる。
【0008】
ここで、利点は、低い製造コストで、パワー半導体コンポーネント内の経年劣化を特定することができることである。
1つの発展形態では、パワー半導体コンポーネントが3つの超音波センサを含み、経年劣化を検出するために、異なる時点に超音波信号が送出され、特定の時点に、3つの超音波センサのうちの単一の超音波センサの超音波信号が送出される。言い換えると、3つの超音波センサは、異なる時点で、例えば交番して超音波信号を送出する。
【0009】
ここで、利点は、パワー半導体コンポーネント全体の経年劣化を観察できることである。
さらなる形態では、超音波信号が同じレベルで送出される。
【0010】
ここで、利点は、信号処理が簡単なことである。
さらなる利点は、例示的実施形態の以下の説明および従属請求項から明らかになる。
以下、好ましい実施形態および添付図面を用いて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】パワー半導体コンポーネントを示す図である。
図2】パワー半導体コンポーネントの経年劣化を検出する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、ヒートシンク101と、3つのハーフブリッジモジュール102、103、104とを備えたパワー半導体コンポーネント100を示す。3つのハーフブリッジモジュール102、103、104は、接続領域105、106、107を介してヒートシンク101に配置されている。パワー半導体コンポーネント100は、送信ユニットとして機能する少なくとも1つの超音波センサ108と、受信ユニットとして機能する少なくとも1つのMEMSセンサ109とを有する。少なくとも1つの超音波センサ108と少なくとも1つのMEMSセンサ109とは、ヒートシンク101の反対側に配置されている。ヒートシンク101は、例えば銅を有する。接続領域105、106、107は、例えば、導電性ペースト、ボンディング接続、またははんだ接続を含む。パワー半導体コンポーネント100は、例えば、パワーモジュールまたはB6ブリッジである。
【0013】
1つの例示的実施形態では、各ハーフブリッジモジュール102、103、104に超音波センサ108が配置されている。MEMSセンサ109が、ヒートシンク101の反対側に配置されており、ゲートドライバの一部である。言い換えると、パワー半導体コンポーネント100内に、複数の送信ユニットと1つの受信ユニットが配置されている。
【0014】
さらなる例示的実施形態では、各ハーフブリッジモジュール102、103、104にMEMSセンサ109が配置されている。超音波センサ108が、ヒートシンク101の反対側に配置されている。言い換えると、パワー半導体コンポーネント100内に、複数の受信ユニットと1つの送信ユニットが配置されている。
【0015】
図2は、図1に示されるパワー半導体コンポーネントの経年劣化を検出するための本発明による方法200を示す。方法200はステップ210から始まり、ステップ210で、少なくとも1つの超音波センサを用いて超音波信号が送出される。次のステップ220で、送出され、パワー半導体コンポーネントの内部構造によって偏向または反射された超音波信号が、少なくとも1つのMEMSセンサによって受信または捕捉される。ここで、偏向または反射された超音波信号は、周波数応答が変化されている。次のステップ230で、MEMSセンサによって受信された超音波信号が、評価ユニットを用いて評価される。評価ユニットは、少なくとも1つの基準値が記憶されているメモリを有する。これに関し、基準値は、例えば、パワー半導体コンポーネントの製造方法の終了時の測定値、または較正データから求められ、新品のパワー半導体コンポーネントの既知の特徴的な周波数曲線を有する。評価時、周波数領域で、受信された超音波信号と基準値との差が特定される。代替として、受信された超音波信号と基準値との振幅に関する差を特定されてもよい。その差が特定の閾値を超えた場合、経年劣化がある。閾値を超えない場合、許容可能な偏差である。
【0016】
1つの例示的実施形態では、パワー半導体コンポーネントは、3つの超音波センサを備える。ここで、3つの超音波センサは、互いに時間的にずれて異なる時点に送信する。これにより、パワー半導体コンポーネントの様々な個別コンポーネント間の界面の状態を判断し、経年劣化を正確に位置特定することができる。
【0017】
さらなる例示的実施形態では、超音波信号が、3つの超音波センサによって同じレベルで送出される。
パワー半導体コンポーネントは、例えば、駆動用インバータ用のパワーモジュールや、ディスクリート部品に使用される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシンク(101)と、それぞれ接続領域(105、106、107)を用いて前記ヒートシンク(101)に配置されている3つのハーフブリッジモジュール(102、103、104)とを備えるパワー半導体コンポーネント(100)において、少なくとも1つの超音波センサ(108)と、少なくとも1つのMEMSセンサ(109)とを有し、前記少なくとも1つの超音波センサ(108)と前記少なくとも1つのMEMSセンサ(109)とが、前記ヒートシンク(101)の反対側に配置されていることを特徴とするパワー半導体コンポーネント(100)。
【請求項2】
各ハーフブリッジモジュール(102、103、104)に超音波センサ(108)が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のパワー半導体コンポーネント(100)。
【請求項3】
各ハーフブリッジモジュール(102、103、104)にMEMSセンサ(109)が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のパワー半導体コンポーネント(100)。
【請求項4】
前記接続領域(105、106、107)が導電性ペーストを含むことを特徴とする、請求項に記載のパワー半導体コンポーネント(100)。
【請求項5】
前記ヒートシンク(101)が銅を含むことを特徴とする、請求項に記載のパワー半導体コンポーネント(100)。
【請求項6】
前記パワー半導体コンポーネントが、少なくとも1つの超音波センサと、少なくとも1つのMEMSセンサとを有し、前記少なくとも1つの超音波センサと前記少なくとも1つのMEMSセンサとが、ヒートシンクの反対側に配置されており、前記ヒートシンクと、接続領域によって前記ヒートシンクに配置されている3つのハーフブリッジモジュールとを備えたパワー半導体コンポーネントの経年劣化を検出するための方法(200)であって、
前記少なくとも1つの超音波センサを用いて超音波信号を送出するステップ(210)と、
前記少なくとも1つのMEMSセンサを用いて超音波信号を受信するステップ(220)と、
評価ユニットを用いて、前記MEMSセンサによって受信された前記超音波信号を評価するステップ(230)と
を備えた、前記評価ユニットが、少なくとも1つの基準値が記憶されているメモリを有し、前記受信された超音波信号と前記基準値との差が算定され、前記差が特定の閾値を超えた場合、経年劣化がある、
方法(200)。
【請求項7】
前記パワー半導体コンポーネントが3つの超音波センサを有する方法において、経年劣化を検出するために、異なる時点に超音波信号が送出され、特定の時点に、前記3つの超音波センサのうちの単一の超音波センサの超音波信号が送出されることを特徴とする、請求項6に記載の方法(200)。
【請求項8】
超音波信号が同じレベルで送出されることを特徴とする、請求項7に記載の方法(200)。
【国際調査報告】