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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】拡張垂直軸風車
(51)【国際特許分類】
   F03D 3/04 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
F03D3/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522006
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 SG2021050357
(87)【国際公開番号】W WO2022271078
(87)【国際公開日】2022-12-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523478540
【氏名又は名称】ジーヴィーダブリューティー エナジー プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GVWT ENERGY PTE LTD
【住所又は居所原語表記】100 Cecil Street, #08-01/02, The Globe, Singapore S069532 (SG)
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァズ,ガイ アンドリュー
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA12
3H178AA43
3H178BB31
3H178CC22
3H178DD12Z
3H178DD27Z
3H178DD30Z
(57)【要約】
支持構造体、ロータアセンブリ、および関節案内翼アセンブリを備える拡張垂直軸風車が本明細書で開示される。支持構造体は、中央中空を画定し、外側部分、および中央中空の外周を形成する内側部分を有する。ロータアセンブリは、支持構造体の内側部分に可動連結されることで、支持構造体の内側部分から支持されて中央中空の外周に沿って第1の軸線周りにロータアセンブリの変位を可能にするように構成される。関節案内翼アセンブリは、支持構造体を取り囲むように支持構造体の外側部分に連結され、関節案内翼アセンブリは、複数の関節案内翼を備え、複数の関節案内翼は、自身に衝突する流体をロータアセンブリに向けて案内することによって第1の軸線周りにロータアセンブリを回転変位させるように配置可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張垂直軸風車であって、
第1の軸線を画定する支持構造体であって、前記第1の軸線を取り囲む外側部分を有する、支持構造体と、
前記支持構造体に可動連結されるロータアセンブリであって、前記第1の軸線周りの当該ロータアセンブリの回転変位が可能となるよう前記支持構造体に支持されるように構成される、ロータアセンブリと、
前記支持構造体を取り囲むように前記支持構造体に連結される関節案内翼アセンブリであって、複数の関節案内翼を備え、前記複数の関節案内翼は、当該複数の関節案内翼に衝突する流体を前記ロータアセンブリに向けて案内することによって前記ロータアセンブリを前記第1の軸線周りに回転変位させるように配置可能である、関節案内翼アセンブリと、
を備え、
前記関節案内翼アセンブリは、
内側部分および外側部分を有するリグ構造体であって、前記内側部分および前記外側部分は、前記リグ構造体の両端を形成し、前記リグ構造体は、リグ平面、および前記リグ構造体の前記内側部分に隣接する翼軸線を画定し、前記リグ平面と前記ロータアセンブリとの角度は、前記翼軸線周りに変更可能であり、前記内側部分は、前記外側部分よりも前記ロータアセンブリの近くに配置され、前記リグ構造体は、前記支持構造体に回転連結するために前記リグ構造体の前記内側部分に構成される一対のリグ継ぎ手、および前記一対のリグ継ぎ手から延びる一対の柱を備える、リグ構造体と、
前記リグ構造体に連結され、溝を衝突流体の流れに提供する形状になっている羽根であって、前記溝は、前記リグ平面から画定される深さを有し、前記羽根は、前記リグ構造体132の前記外側部分から前記内側部分に向かって延びて排出口を画定する内縁で終端し、前記羽根は、前記リグ構造体の前記内側部分と前記外側部分との間に延びる本体セグメント、および前記羽根の前記本体セグメントの対向する辺から延びて前記一対の柱のそれぞれに連結される2つの側面セグメントを有する、羽根と、
を備え、
前記羽根の前記本体セグメントは、実質的に平面で実質的に硬く、前記羽根に衝突する前記流体は、前記溝に集められ、そこから放出するための前記排出口から前記ロータアセンブリに向かうように方向転換され、前記ロータアセンブリに向けられる前記流体の質量流量および流れ方向のうちの少なくとも一方は、前記翼軸線周りの前記リグ平面と前記ロータアセンブリとの間の前記角度によって決定される、拡張垂直軸風車。
【請求項2】
前記羽根の本体構造体は、前記羽根とともに形成される複数の補強材であって、前記溝を形成し、前記本体セグメントの形状を画定して前記本体セグメントを実質的に平面に保持する、複数の補強材を備える、請求項1に記載の拡張垂直軸風車。
【請求項3】
前記一対の柱のそれぞれは、前記一対の柱のそれぞれから延びる少なくとも1つの片持ち梁化通路であって、前記リグ平面に実質的に直交して前記一対の柱全体にわたって前記羽根からの前記流体の漏出を低減する、少なくとも1つの片持ち梁化通路を有する、請求項2に記載の拡張垂直軸風車。
【請求項4】
前記リグ構造体は、前記リグ構造体の前記外側部分に隣接する前記一対の柱の間に延びるフィンアセンブリをさらに備え、
前記フィンアセンブリは、前記リグ構造体の前記内側部分の外側に向く外面、および前記羽根への前記流体の案内および前記フィンアセンブリ全体にわたる前記羽根からの前記流体の漏出低減のうちの少なくとも一方のために前記リグ平面との勾配を形成する内面を有する、請求項2に記載の拡張垂直軸風車。
【請求項5】
前記フィンアセンブリの前記内面は、平面状および湾曲状の一方である、請求項4に記載の拡張垂直軸風車。
【請求項6】
前記リグ構造体は、プーリーシステムおよび一対のクロスバーを備え、
前記クロスバーのそれぞれは、前記一対の柱の一方に実質的に直交して構成され、前記一対の柱の両端は、前記翼軸線周りで前記一対の柱の角度位置決めをアクチュエータによって制御するために前記プーリーシステムを介して前記アクチュエータに連結され、その結果として前記羽根と前記ロータアセンブリとの間の空間的構成を制御する、請求項4に記載の拡張垂直軸風車。
【請求項7】
前記羽根は、前記一対の柱のそれぞれに摺動可能に連結され、折り畳むために前記リグ構造体の前記外側部分に向かって摺動変位可能である、請求項2に記載の拡張垂直軸風車。
【請求項8】
前記ロータアセンブリは、上方内側案内レールと下方内側案内レールとの間に延びる複数のロータブレードを備え、
前記複数のロータブレードのそれぞれは、前記複数のロータブレードの長さに沿ってロータ軸線を画定し、前記複数のロータブレードのそれぞれの前記ロータ軸線は、前記第1の軸線と実質的に平行であり、前記複数のロータブレードのそれぞれは、前記ロータ軸線周りに配置され、前記羽根の前記排出口から排出される流体および周囲の空気のうちの少なくとも一方に対する最適な角度を提供することによって揚力を生成する、請求項1に記載の拡張垂直軸風車。
【請求項9】
生成された前記揚力は、前記第1の軸線周りの前記ロータアセンブリの変位および変位への寄与のうちの一方のためであり、それによって前記ロータアセンブリに連結される少なくとも1つの発電機を動作させて前記少なくとも1つの発電機から電気エネルギーを生成する、請求項8に記載のロータアセンブリ。
【請求項10】
前記支持構造体および前記ロータアセンブリのそれぞれは、前記第1の軸線に沿って第1の端部と第2の端部との間に延びる管状形状を有し、前記ロータアセンブリは、前記支持構造体と同心に構成される、請求項1に記載の拡張垂直軸風車。
【請求項11】
前記支持構造体は、前記支持構造体の前記第1の端部にある上方環状構造体および前記支持構造体の前記第2の端部にある下方環状構造体、ならびに前記上方環状構造体および前記下方環状構造体を空間的に相互にずらすための複数の棒を備え、前記上方環状構造体および前記下方環状構造体は、トラス構造体から形成されている、請求項10に記載の拡張垂直軸風車。
【請求項12】
前記関節案内翼アセンブリは、複数の外側案内レールを備え、前記支持構造体は、それぞれが前記複数の外側案内レールのうちの1つに対応する複数の外側経路を画定するように配置される複数の外側回転要素を備え、
前記複数の外側案内レールは、前記複数の外側回転要素と係合することによって前記関節案内翼アセンブリを前記支持構造体に可動連結し、前記複数の外側案内レールのそれぞれが前記複数の外側経路のうちの前記対応する1つに沿って進むことを可能にする、請求項10に記載の拡張垂直軸風車。
【請求項13】
前記関節案内翼アセンブリは、
前記支持構造体と同心に構成される外側フレームと、
前記第1の軸線周りに前記関節案内翼アセンブリの角度位置決めを行うために前記外側フレームに連結されるラックおよびピニオンのアセンブリと、
をさらに備える、請求項12に記載の拡張垂直軸風車。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には気流/流体流からエネルギーを得る際に用いる垂直軸風車の拡張に関する。
【背景技術】
【0002】
風力エネルギーは古代以来、機械に動力を供給するために用いられている。それ以来、風力のようなより環境に優しく再生可能な動力を生成する必要性は、より差し迫ったものになっており、電力を生成するために風車が開発されている。
【0003】
異なる風車の設計が、異なる想定および用途で用いるために開発されている。例えば、風車は、風見のブレードが水平または垂直に配置されるシャフトの軸線周りに回転するかどうかに応じて分類される場合がある。水平軸風車(Horizontal axis wind turbine、HAWT)は、より効率的であることが多いため、一般に配備され易い傾向にある。これは、風流の方向と直交する方向にブレードが回転することにより、回転中の全サイクルにわたってエネルギーを受け取る結果である。しかし、水平軸風車は、特にタワーおよびブレードのシアの高さ、大きさ、および重量においてさまざまな欠点を抱えているため、設置、動作、およびメンテナンスが極めて高価となる。また、水平軸風車は風に向かって注意深い位置決めを必要とし、25種類の風が速さおよび方向において変わりやすい状況では良好に機能する可能性が低い。また、そのような風車は、視覚的、ならびに野生生物から無線信号の送信に至る、あらゆることに問題を生じる可能性がある。
【0004】
典型的な垂直軸風車(Vertical Axis Wind Turbine、VAWT)は、垂直に配置され、垂直軸線周りに円形に配置された「ブレード」を有する。VAWTという名前はこれに由来する。VAWTのブレードは、航空機の翼に倣った形状のブレード外形を有する。風が「ブレードのアセンブリ」に向かって吹くと、2種類の力、すなわち揚力および牽引力がブレードによって生成される。航空機の翼に倣ってブレードを形成する目的は、ブレードが垂直軸線周りに円形経路を周回する際にロータブレードに対する気流が生成する引っ張り力および押し力から、揚力を生成することである。ブレードが速く動く程、生成される揚力は大きくなる。理想的には、より高速でブレードのアセンブリを回転させるために、ブレードに対する「引っ張りおよび押し」の両方の力を利用する。
【0005】
空中を通って動くブレードの速さ、もしくは速度が、それによって生成される揚力の量を決定する。簡単に言えば、より高いブレードの速度はより大きな揚力をもたらし、より大きな揚力がブレードのアセンブリの回転力を活用する機会を提供することによってトルクを生成する。オルタネータに機械的に連結されている場合、トルクは電気に変換される。線形オルタネータが使用される場合、機械的接続ではなく近接の電磁接続が存在し、やはり電気を生成する。したがって、それぞれのブレードに対して相対的速さおよび相対的迎え角でブレードに作用する周囲の風は、装置上で力の複雑な「ダンス」を開始してブレードを動かし、次にブレードは電気を生成する目的でトルクを生成するということができる。
【0006】
本質的に、ブレードに対する空気/風の方向の相対的速さおよび相対的迎え角は、VAWTの電力出力への最も重要な寄与のうちの2つであり、機械的および電磁的構成も全体的なシステムの効率性に寄与する。
【0007】
関節案内翼を用いてブレードへの風流をより良く案内し、VAWTの効率性を向上させることが開示されている。しかし、平面のみを有する関節案内翼を用いると、多くの場合、関節案内翼の平面に衝突する風の一定量が、意図したブレードに向かう流れの方向から離れて拡散してしまう。したがって、上記の問題に対処するため、関節案内翼に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様によれば、第1の軸線を画定する支持構造体であって、第1の軸線を取り囲む外側部分を有する、支持構造体と、支持構造体に可動連結されるロータアセンブリであって、第1の軸線周りのロータアセンブリの回転変位が可能となるよう支持構造体に支持されるように構成される、ロータアセンブリと、支持構造体を取り囲むように支持構造体に連結される関節案内翼アセンブリであって、複数の関節案内翼を備え、複数の関節案内翼は、複数の関節案内翼に衝突する流体をロータアセンブリに向けて案内することにより、第1の軸線周りにロータアセンブリを回転変位させるように配置可能である、関節案内翼アセンブリと、を備える拡張垂直軸風車が開示される。関節案内翼アセンブリは、内側部分および外側部分を有するリグ構造体であって、内側部分および外側部分は、リグ構造体の両端を形成し、リグ構造体は、リグ平面、およびリグ構造体の内側部分に隣接する翼軸線を画定し、リグ平面とロータアセンブリとの角度は、翼軸線周りに変更可能であり、内側部分は、外側部分よりもロータアセンブリの近くに配置され、リグ構造体は、支持構造体に回転連結するためにリグ構造体の内側部分に構成される一対のリグ継ぎ手、および一対のリグ継ぎ手から延びる一対の柱を備える、リグ構造体と、リグ構造体に連結され、溝を衝突流体の流れに提供する形状になっている羽根であって、溝は、リグ平面から画定される深さを有し、羽根は、リグ構造体の外側部分から内側部分に向かって延びて排出口を画定する内縁で終端し、羽根は、リグ構造体の内側部分と外側部分との間に延びる本体セグメント、および羽根の本体セグメントの対向する辺から延びて一対の柱のそれぞれに連結される2つの側面セグメントを有する、羽根と、を備える。羽根の本体セグメントは、実質的に平面で実質的に硬く、羽根に衝突する流体は、溝に集められ、そこから放出するための排出口からロータアセンブリに向かうように方向転換され、ロータアセンブリに向けられる流体の質量流量および流れ方向のうちの少なくとも一方は、翼軸線周りのリグ平面とロータアセンブリとの間の角度によって決定される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一態様による、フィンアセンブリおよび片持ち梁化通路を備える拡張垂直軸風車の関節案内翼の例示的な部分斜視図を示す。
図2】フィンアセンブリおよび片持ち梁化通路を備えない図1の関節案内翼の例示的な部分正面図を示す。
図3】関節案内翼のフィンアセンブリおよび片持ち梁化通路が存在しない、本発明の一態様による拡張垂直軸風車の例示的な部分斜視図を示す。
図4】関節案内翼のフィンアセンブリ、片持ち梁化通路、および羽根が存在しない、図3の拡張垂直軸風車の例示的な部分斜視図を示す。
図5図3の拡張垂直軸風車の支持構造体の部分斜視図を示す。
図6図5の支持構造体の一セグメントの部分斜視図を示す。
図7図3の拡張垂直軸風車のロータアセンブリの平面図を示す。
図8図7のロータアセンブリの斜視図を示す。
図9図5の支持構造体の内側回転要素の部分接写斜視図を示す。
図10図7の上方内側案内レールを用いて構成される内側回転要素の部分正面図を示す。
図11】フィンアセンブリを備え、片持ち梁化通路を備えない図1の関節案内翼の部分平面図を示す。
図12】フィンアセンブリを備え、片持ち梁化通路を備えない図1の関節案内翼の別の部分平面図を示す。
図13】フィンアセンブリおよび片持ち梁化通路の両方を備える図1の関節案内翼の部分平面図を示す。
図14】2つの側面セグメントと接する1つの本体セグメントを備えた図1の関節案内翼を平面上に広げたときの羽根の部分平面図を示す。
図15】フィンアセンブリを備え、片持ち梁化通路を備えない図1の関節案内翼の正面図を示す。
図16】それぞれの関節案内翼が風の全体的な方向に対して第1の全体配置(全体配置「A」)にあるときの、拡張垂直軸風車の平面視構成を示す。
図17】それぞれの関節案内翼が風の全体的な方向に対して第2の全体配置(全体配置「B」)にあるときの、拡張垂直軸風車の平面視構成を示す。
図18】それぞれの関節案内翼が風の全体的な方向に対して第3の全体配置(全体アセンブリ「A」および「B」のハイブリッド)にあるときの、拡張垂直軸風車の平面視構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明は、典型的な非拡張VAWTの電力出力を20倍以上増大させるため、ロータブレードのアセンブリに対する相対的速さおよび相対的迎え角を実質的に大きくすることによる関節案内翼の形態での拡張を提案する。より大きな拡張であれば、電力出力を50倍増大させることができる。この発明は、風の取り込みを拡大および最適化し、空気の気流、運動量、圧力、速度、および塊、風車全体の周りのロータブレードのアセンブリに対する迎え角、ならびにタービン全体の背後の圧力を管理するための付属品を備える関節案内翼アセンブリの使用を提案する。本発明の設計は、ロータブレードに対する風の運動エネルギーを増大させ、類似の大きさの非拡張VAWTによる電力出力を20倍~50倍増大させる。これは、95%の電力生成のコスト削減につながる可能性がある。より大きなモデルを実装して、より高い電力出力を供給してもよい。
【0011】
図1図18を参照して、本発明の例示的な一実施形態である拡張垂直軸風車20を以下に説明する。拡張垂直軸風車20は、支持構造体22、ロータアセンブリ24、および関節案内翼アセンブリ26を備えることが好ましい。拡張垂直軸風車20内で、支持構造体22は、第1の軸線28、および第1の軸線28と同一空間にある中央中空30を画定する。支持構造体22は、外側部分32、および中央中空30の外周を形成する内側部分34を有する。ロータアセンブリ24は、支持構造体22に可動連結され、中央中空30の外周に沿った第1の軸線28周りのロータアセンブリ24の回転変位を可能にするよう支持構造体22に支持されるように構成される。
【0012】
ロータアセンブリ24は、支持構造体22に可動連結されることが好ましい。というのも、それによってロータアセンブリ24の重量を支持構造体22の内側部分34全体に分配することが可能になるからである。これは、第1の軸線28と同一空間にあり、第1の軸線28と平行であり、ロータアセンブリ24の心棒として機能する中央の円柱部またはシャフト(図示せず)からロータアセンブリ24を支持すると、結果としてロータアセンブリ24の全重量が中央円柱部に集中するのとは対照的である。さらに、ロータアセンブリ24を中央円柱部から片持ち梁化すると、重量および慣性の偏心をもたらす可能性があり、使用中の不均一なまたは早期の摩損、ならびに当該中央円柱部におけるロータアセンブリ24の静的および動的な不均衡によって生じる不具合の一因となる場合がある。
【0013】
関節案内翼アセンブリ26を支持構造体22の外側部分32に連結することで、関節案内翼アセンブリ26が支持構造体22を取り囲むことが可能になる。関節案内翼アセンブリ26は、複数の関節案内翼36を備え、複数の関節案内翼36は、自身に衝突する流体をロータアセンブリ24に向けて案内することによって第1の軸線28周りにロータアセンブリ24を回転変位させるように配置可能である。次に、ロータアセンブリ24は、例えばオルタネータまたは類似のエネルギー変換システムの使用を通して、エネルギーを得ることができる。
【0014】
(支持構造体)
支持構造体22およびロータアセンブリ24のそれぞれは、第1の軸線に沿って第1の端部38と第2の端部40との間に延びる管形状を有することが好ましい。これにより、ロータアセンブリ24を支持構造体22と同心に構成することが可能になる。支持構造体22の組み立ておよびその後のメンテナンスを容易にするために、支持構造体22は、第1の軸線28周りに複数のセグメント42に分離され、複数のセグメント42のそれぞれは、第1の端部38と第2の端部40との間に延びる。複数のセグメント42のそれぞれは、構造的に独立しており、独立型トラス構造モジュールを形成するように組み立てられることが好ましい。複数のセグメント42のそれぞれは、恒久的に相互連結されたチャネル、管、シャフト、外形、またはこれらの任意の組み合わせから組み立てられることが好ましい。複数のセグメント42の相互連結は、接合、固定、例えばボルトおよびナット、ならびに溶接のうちの1つ、または2つ以上の組み合わせによって達成できる。その際、複数のセグメント42は、例えば溶接によって恒久的に、あるいは、例えば継ぎ手および留め具を用いることによって取り外し可能に、相互連結される。運送、組み立て、およびメンテナンスを簡単にするため、支持構造体22は複数のセグメント42のうちの6つを含み、これらから形成されることが好ましい。
【0015】
支持構造体22は、自身の第1の端部38における上方環状構造体43aと、第2の端部40における下方環状構造体43bと、をさらに備えることが好ましい。支持構造体22は、上方環状構造体43aおよび下方環状構造体43bを上方環状構造体43aおよび下方環状構造体43bに対して空間的に相互にずらすための複数の棒43cを、さらに備える。
【0016】
(ロータアセンブリ)
ロータアセンブリ24は、複数の内側案内レール44を備え、支持構造体22は、複数の内側案内レール44を動作的に補完するための複数の内側回転要素46を備える。複数の内側回転要素46は、それぞれが複数の内側案内レール44のうちの1つに対応する複数の内側経路を画定するように配置される。これにより、複数の内側案内レール44が複数の内側回転要素46と係合可能になることで、ロータアセンブリ24を支持構造体22に可動連結し、複数の内側案内レール44のそれぞれを複数の内側経路のうちの対応する1つに沿って進ませることが可能になる。
【0017】
複数の内側案内レール44は、相互連結されて剛直な本体を形成する。複数の内側回転要素46のそれぞれは、支持構造体22の内側部分に連結された心棒にブッシュおよびベアリングのうちの1つとともに配置されたポリマー車輪、エラストマー車輪、および金属車輪のうちの1つであることが好ましい。複数の内側回転要素46のそれぞれは、耐摩耗性ゴムもしくは金属の層、ボールベアリングもしくはローラベアリングのアセンブリ、ならびにゴム層およびベアリングアセンブリに接するエラストマー層を備えることがさらに好ましい。複数の内側回転要素46は、複数の内側経路のうちの対応する1つを横断する複数の内側案内レール44のそれぞれの動きを実質的に妨げるように配置されることがさらに好ましい。
【0018】
複数の内側案内レール44のそれぞれは、無端円形ループを形成するように形成された1つまたは複数の長手管状セグメントから形成されることが好ましい。支持構造体22とロータアセンブリ24との間の遊びおよび捻じれ歪みを低減するために、複数の内側案内レール44は、少なくとも上方内側案内レール50および下方内側案内レール52にグループ分けされ、互いから空間的にずれている。上方内側案内レール50は、ロータアセンブリ24の第1の端部38に向かって配置されている複数の内側案内レール44のうちの少なくとも1つを備え、下方内側案内レール52は、ロータアセンブリ24の第2の端部40に向かって配置されている複数の内側案内レール44のうちの少なくとも1つを備える。追加のグループの複数の内側案内レール44を使用して上方内側案内レール50と下方内側案内レール52との間に配置してもよい。
【0019】
複数の内側経路のそれぞれは、実質的に平面状であり、複数の回転要素の集合54によって画定されることが好ましい。回転要素の集合54のそれぞれは、複数の内側回転要素46のうちの少なくとも1つを備える。上方内側案内レール50および下方内側案内レール52のそれぞれは、内側案内レール44によって形成される空間的にずれた2つの円およびこれらの円の間に延びる締め具を含む端面視断面を有することが好ましい。締め具が水平位置に配置された状態では、断面は、締め具の両端に配置されている左側円および右側円を示す。回転要素の集合54のそれぞれは、6つの回転要素を有し、3つが6時、9時、および12時の位置で左側円と境接するように配置される一方、別の3つは12時、3時、および6時の位置で右側円と境接することが好ましい。それぞれの回転要素の集合54のこの構成により、複数の内側経路のそれぞれを横断する断平面全体にわたる上方内側案内レール50および下方内側案内レール52のそれぞれの動きは大幅に低減されるが、複数の内側経路に沿った断平面への変位は依然として許容される。
【0020】
線形オルタネータは、ロータアセンブリ24および支持構造体22に連結され、ロータアセンブリ24および支持構造体22の間に介在するように構成されて、線形オルタネータが、ロータアセンブリ24と支持構造体22の間の相対変位から電力を生成することが好ましい。
【0021】
(ロータブレード)
ロータアセンブリ24は、上方内側案内レール50と下方内側案内レール52との間に延びる複数のロータブレード58を備える。複数のロータブレード58のそれぞれは、自身の長さに沿ってロータ軸線60を画定する。複数のロータブレード58のそれぞれのロータ軸線60は、第1の軸線28と実質的に平行である。複数のロータブレード58のそれぞれは、実質的に剛直であり、塑性変形に達することなく拡張垂直軸風車20の定格の屈曲および捻じれに耐えるのに十分な強度を有する。
【0022】
複数のロータブレード58のそれぞれは、単一の構造部品から形成される。あるいは、複数のロータブレード58のそれぞれは、複数の相互連結された構造セグメントから形成される。複数のロータブレードのそれぞれは、上方内側案内レール50および下方内側案内レール52に回転可能に連結されて、複数のロータブレードのそれぞれが自身のロータ軸線周りに回転変位することを可能にする。
【0023】
複数のロータブレード58のそれぞれで、上方ロータ継ぎ手62がロータブレード58の一方の端部を上方内側案内レール50に連結する一方、下方ロータ継ぎ手はロータブレード58の他方の端部を下方内側案内レール52に連結する。
【0024】
(関節案内翼アセンブリ)
関節案内翼アセンブリ26が複数の外側案内レールを備える一方、支持構造体22は複数の外側回転要素を備え、複数の外側回転要素のそれぞれは、複数の外側案内レールのうちの1つに対応し、複数の外側案内レールのうちの1つを自身に沿って通す複数の外側経路を画定するように配置される。使用時に、複数の外側案内レールは、複数の外側回転要素と係合することによって関節案内翼アセンブリ26を支持構造体22に可動連結し、複数の外側案内レールのそれぞれが複数の外側経路のうちの対応する1つに沿って進むことを可能にする。
【0025】
複数の外側案内レールは、相互連結されて剛直な本体を形成する。複数の外側回転要素のそれぞれは、支持構造体22の内側部分に連結された心棒にブッシュおよびベアリングのうちの1つとともに配置されたポリマー車輪、エラストマー車輪、および金属車輪のうちの1つであることが好ましい。複数の外側回転要素のそれぞれは、耐摩耗性ゴムもしくは金属の層、ボールベアリングもしくはロールベアリングのアセンブリ、ならびにゴム層およびベアリングアセンブリに接するエラストマー層を備えることがさらに好ましい。複数の外側回転要素は、複数の外側経路のうちの対応する1つを横断する複数の外側案内レールのそれぞれの動きを実質的に妨げるように配置されることが、さらに好ましい。
【0026】
複数の外側案内レールのそれぞれは、無端円形ループを形成する形状の1つまたは複数の長手管状セグメントから形成されることが好ましい。支持構造体22と関節案内翼アセンブリ26との間の遊びおよび捻じれ歪みを低減するために、複数の外側案内レールは、少なくとも上方外側案内レールおよび下方外側案内レールにグループ分けされ、互いから空間的にずれている。上方外側案内レールは、支持構造体22の第1の端部38に向かって配置されている複数の外側案内レールのうちの少なくとも1つを備える一方、下方外側案内レールは、支持構造体22の第2の端部40に向かって配置されている複数の内側案内レールのうちの少なくとも1つを備える。追加のグループの複数の外側案内レールを使用して上方外側案内レールと下方外側案内レールとの間に配置してもよい。
【0027】
関節案内翼アセンブリ26は、上方外側案内レールおよび下方外側案内レールのうち隣接する1つの弓状物に沿って延びる外側ラック、ならびに外側アクチュエータを備える。外側ラックは、ピニオン、かさ歯車、およびウォーム歯車のうち外側アクチュエータによって駆動される1つと係合可能であることで、第1の軸線28周りに関節案内翼アセンブリ26の角度位置決めを行うための外側アクチュエータによる制御を可能にする。あるいは、第1の軸線28周りに関節案内翼アセンブリ26の角度位置決めを行うために、外側アクチュエータによって駆動される線形変位段を使用してもよい。
【0028】
関節案内翼アセンブリ26は、複数の外側案内レールを相互連結して上方外側案内レールを下方外側案内レールから空間的にずらす外側フレーム94をさらに備える。外側フレーム94は、外側構造体の少なくとも一部を内側に囲うように構成される複数の相互連結された構造セグメントから形成されることが好ましい。複数の関節案内翼26は、外側フレーム94に回転可能に連結され、第1の軸線28周りに空間的に分散されている。ラックおよびピニオンのアセンブリは、第1の軸線28周りに関節案内翼アセンブリ26の角度位置決めを行うために外側フレーム94に連結されてもよい。
【0029】
(リグ構造体)
複数の関節案内翼36のそれぞれは、ロータアセンブリ24および羽根128を用いて構成可能なリグ構造体126を備える。リグ構造体26は、自身の両端を形成する内側部分130および外側部分132を有する。リグ構造体126の内側部分130は、リグ構造体126の外側部分132よりもロータアセンブリ24の近くに配置される。リグ構造体126は、リグ平面134および翼軸線135を画定する。リグ平面134がロータアセンブリ24とともに確立する角度は、翼軸線135周りに変更可能である。羽根128は、リグ構造体126に連結されることで、衝突流体の流れに溝136を提供する形状になっている。衝突流体は、風、水、または任意の種類の流体のうちの1つまたは組み合わせであってもよい。この例示的な実装形態では、流体は空気、より具体的には風と解釈される。
【0030】
羽根128は、可撓性材料から形成されて、衝突流体による溝136の変位をリグ平面134全体にわたって可能にする。溝136は、リグ平面134から画定される深さ140を有する。羽根128は、リグ構造体126の外側部分132から内側部分130に向かって延び、排出口144が画定される内縁142で終端する。羽根128に衝突する流体は、溝136に集められ、排出口144からロータアセンブリ24に向かうように方向転換される。
【0031】
リグ構造体126は、リグ構造体126の内側部分130に構成される一対のリグ継ぎ手148、ならびに一対のリグ継ぎ手148から延びる一対の柱、具体的には第1の柱150および第2の柱152を備える。一対のリグ継ぎ手148は、リグ構造体126を支持構造体22、好ましくは支持構造体22の外側フレーム94に回転連結して、翼軸線135周りにかつ支持構造体22に対して関節案内翼を枢支することを可能にするためのものである。
【0032】
棒43c、第1の柱150、および第2の柱152のそれぞれは、トラス構造体から形成されることが好ましい。しかし、中実芯、中空芯、またはフレームベースの構造を有する他の種類の細長い構造体の使用も、棒43c、第1の柱150、および第2の柱152を形成または組み立てる際に使用することを妨げられない。例えば、第1の柱150および第2の柱152のそれぞれは、三角形の断面形状を有する管状シャフトまたはトラス構造体から形成される。
【0033】
羽根128は、第1の柱150および第2の柱152にそれぞれ連結された上縁156および下縁158を有する。羽根128は、第1の柱150および第2の柱152に摺動可能に連結されることが好ましい。これにより、リグ構造体126の外側部分132に向かう伸張状態から格納状態に羽根128を折り畳むことが可能になる。第1の柱150および第2の柱152のそれぞれは、屈曲を可能にするように組み立てられることが好ましい。したがって、トラス構造体の代替形態として、第1の柱150および第2の柱152は、第1の柱150および第2の柱152の揺動を可能にするため、H形/I形鋼梁、細長複合材料、または類似の構造体で組み立て可能である。
【0034】
第1の柱150および第2の柱152のそれぞれは、プーリーラインアセンブリを備え、プーリーラインアセンブリを使用して、伸張状態と折り畳み状態との間で羽根128の展開を制御できる。プーリーラインアセンブリは、それぞれのプーリーラインアセンブリに動きを伝えるように動作可能な独立した上方クランクおよび下方クランクまたは共通クランクに連結することができる。クランクは、手動であってもよく、またはモータに連結して動作させることもできる。
【0035】
(マンドレルによる畳み込み)
リグ構造体126は、リグ構造体126の外側部分132に向かって畳み込まれる際に羽根128を受容するため、リグ構造体126の外側部分132に沿って形成された締め具構造体160およびマンドレル162をさらに備える。マンドレル162は、第1の柱150および第2の柱に沿って羽根128を摺動させてマンドレル162に格納する間、複数の関節案内翼36のそれぞれが動作を停止することを可能にする。締め具構造体160は、実質的にC字チャネルであり、C字チャネルの開口部がリグ構造体126の内側部分130に向くように配置されることが好ましい。さらに、C字チャネルは、内部に格納された羽根128を流体に関連する脅威から遮蔽するために内部にマンドレル162を収容する形状および大きさになっている。締め具構造体160は、リグ構造体126の外側部分132における第1の柱150と第2の柱152との間の距離を画定する。これにより、第1の柱150および第2の柱152がリグ構造体126の内側部分130から外側部分132に向かって空間的に分岐すること、または外側に末広になることが、可能になる。その結果として、リグ構造体126の外側部分132における第1の柱150と第2の柱152との間の距離は、リグ構造体126の内側部分130における第1の柱150と第2の柱152との間の距離より大きい。羽根128は、可撓性材料、例えば織物、デニム生地、ポリマーメッシュ、セルロースメッシュ、金属メッシュ、またはこれらの任意の組み合わせから形成される。羽根128が伸張状態にあるとき、リグ構造体126の内側部分130に近いほど溝136の深さ140は増大する。
【0036】
(羽根)
羽根128は、リグ構造体126の内側部分130と外側部分132との間に延びる本体セグメント164、ならびに、一対の柱150/152のそれぞれに連結するために羽根128の本体セグメント164の対向する辺167から延びる2つの側面セグメント166を備える。好ましくは、羽根128の本体セグメント164は、実質的に平面で実質的に硬く、羽根128に衝突する流体は、溝136に集められ、そこから放出するための排出口144からロータアセンブリ24に向かうように方向転換される。ロータアセンブリ24に向けられる流体の質量流量および流れ方向のうちの少なくとも1つは、角度、具体的には翼軸線135周りのリグ平面134とロータアセンブリ24との間の翼角174によって決定される。本体セグメント164および2つの側面セグメント166のそれぞれは、実質的に直線的な形状であることが好ましい。羽根128は、マンドレル162に畳み込まれて格納される際に羽根128が崩れるのを最小限にするために、実質的に矩形または四角形の形状を有することが好ましい。リグ構造体126の外側部分132および内側部分130で第1の柱150と第2の柱152との間の距離に差があることにより、本体セグメント164と両方の側面セグメント166との間をつなぐ領域に羽根128が形作られ折り畳まれて、排出口144を形成して形作ることが可能になる。
【0037】
リグ構造体126は、溝136を形成するために羽根128とともに形成された複数の補強材をさらに備える。本体セグメント164および2つの側面セグメント166を実質的に直線的に形成すること、ならびに複数の補強材を用いること、の少なくとも一方により、使用時に本体セグメント164を実質的に剛直かつ平面に保持することが可能になる。複数の補強材のそれぞれは細長く、羽根128の中間セグメント170に沿ってリグ構造体126の外側部分132から内側部分130に向かって空間的に相互にずれている。複数の補強材のそれぞれは、リグ構造体126の外側部分132と内側部分130との間に延びている。複数の補強材のそれぞれは、羽根128の中間セグメント170を収納し屈曲させるため、弾性的に付勢されるように形作られ形成される。さらに、複数の補強材が配置されて自身に平行な折り畳み線を画定し、その上に衝突する流体に提供されると、羽根128が折り畳み線に沿って実質的に捻じれ、羽根128の溝140をさらに形成することを可能にする。
【0038】
第1の柱150および第2の柱152のそれぞれは、第1の柱150および第2の柱152のそれぞれから外側に延びてリグ平面134に対して傾いた羽根128の一部に張り出す一対の片持ち梁化通路172を備える。第1の柱150および第2の柱152のそれぞれにおける一対の片持ち梁化通路172は、一対の柱150/152全体にわたって羽根からの流体漏出を低減するようになっている。
【0039】
第1の柱150および第2の柱152が一対のリグ継ぎ手で外側フレーム94に回転可能に連結されることで、ロータアセンブリ24を基準にして翼軸線135周りのリグ平面34の翼角174を変更することが可能になる。翼軸線135は、一対のリグ継ぎ手148に実質的に隣接して、または同一空間内に、画定される。具体的には、翼角174は、ロータアセンブリ24の外周に外接する基準円の正接を基準とする。リグ構造体126は、一対のクロスバー176、アクチュエータ、例えばリニアモータおよび回転モータ、ならびに連結アセンブリを備え、翼軸線135周りで第1の柱150および第2の柱152に変位を伝える。クロスバー176のそれぞれは、一対の柱の一方に実質的に直交して配置されるように構成され、一対の柱の両端は、翼軸線135周りで一対の柱の角度位置決めをアクチュエータによって制御するために連結アセンブリによってアクチュエータに連結される。連結アセンブリは、一対のクロスバー176を介してアクチュエータならびに第1の柱150および第2の柱152の間に介在するプーリーアセンブリ、並進リンク機構、および複数の歯車のうちの少なくも1つである。また、クロスバー176は、自身のそれぞれの両端を外側フレーム94または外側フレーム94の境接面と境接させる大きさおよび配置とされて、翼軸線135周りのリグ構造体126の角変位を制限し、ひいては使用時において隣接する関節案内翼36間の衝突を防止する。
【0040】
(フィンアセンブリ)
リグ構造体は、リグ構造体26の外側部分32に隣接する一対の柱150/152の間に延びるフィンアセンブリ182をさらに備えることが好ましい。フィンアセンブリ182は、リグ構造体126の内側部分130の外側に向く外面184と、羽根への流体の案内およびフィンアセンブリ182全体にわたる羽根128からの流体の漏出低減のうちの少なくとも一方のためにリグ平面134との勾配をそれぞれが形成する2つの内面186と、を有することが好ましい。フィンアセンブリ182の内面186は、平面状および湾曲状の一方であることが好ましい。フィンアセンブリ182は、締め具構造体160のC字チャネルと一体に形成されることが好ましい。
【0041】
一実装形態では、関節案内翼アセンブリ26は、支持構造体22に対して第1の軸線28周りに回転変位可能ではない。他の実装形態では、関節案内翼アセンブリ26は、支持構造体22に対して第1の軸線28周りに回転変位可能になるように適合させることができる。
【0042】
(例示的な実装形態)
本発明の例示的な一実装形態では、基本的な関節案内翼アセンブリ26は、上部および底部に水平構造部材を備え、一対の水平案内翼を第1の柱150および第2の柱152から適合させる。一式の水平案内翼は、垂直中心軸、具体的には第1の軸線28周りに回転するロータブレード58のアセンブリを収容する支持構造体22に枢支される。関節案内翼アセンブリ28の枢支端には、業界標準の装置、例えば油圧ドラムもしくはウィンチが設けられ、関節案内翼アセンブリ28を関節接合し、または左から右にヨーイングさせて、最善の迎え角を達成する。
【0043】
上部および底部の一対の水平案内翼の間には、羽根128が吊るされる。羽根128は、UV抵抗性の羽根128布で構成されることが好ましいが、羽根128布に限定されない。変形例には、金属性材料または複合材料が含まれ得る。羽根128は、シャベル(scoop)のような形状に設計され、外端はタイトで、ロータアセンブリ24に近い開口部には排出口を備える。羽根128は、展開または格納できる。必要であれば、所望に応じてロータアセンブリ24の近くに羽根128を引き寄せてもよい。必要でなければ、羽根128を引き抜くか、筐体内に畳み込み、回転マンドレルで羽根128布を巻き取って締め具構造体160のC字チャネルから適合された羽根ブーム筐体に収納する。
【0044】
羽根128は、真っすぐな背面外形を有し、羽根128から流れて排出口を出る空気の塊の運動量を最大限にする滑り効果を創出するように設計される。というのも、これによってロータアセンブリ24への気流の速度が増大するからである。
【0045】
風の取り込みを最大限にするために、それぞれの関節案内翼アセンブリ28は、水平案内翼に沿って両側で水平に延びる片持ち梁化通路を使用し、水平案内翼全体にわたって流れる空気に対する抵抗を提供する。片持ち梁化通路は、本質的に、風の取り込みを効果的に向上させる深さを羽根128に加える。風取り込み面積が大きいほど気流の塊と運動量は大きくなり、ロータアセンブリ24に向かう空気の速度が高くなる。ロータブレードに向かう空気の速度が高くなるほど生成される揚力は大きくなり、したがって、たとえ風の速さが低くても、より多くの電力がもたらされる。
【0046】
別の実施形態は、上部水平案内翼の外端から底部水平案内翼の外端までの全長に延びている案内翼外側フィンアセンブリ182である。フィンアセンブリ内には「C字」の区域があり、上部外側案内翼および底部外側案内翼の両方を接続している。フィンアセンブリは、最も外側の端部に平らにされた背部を有し、平らにされた背板の両側から外側案内翼へと放射形状のフィンが延びている。「C字」セグメント内には羽根128を畳み込むマンドレルがあり、展開されていないときに羽根128に直射日光が当たらないように保護する。
【0047】
(関節案内翼の実装形態)
関節案内翼アセンブリ26は、好ましくは第1の軸線28周りに等しい角度間隔で配置された6つ~8つの関節案内翼36を備えることができる。入ってくる風の方向に基づいて、複数の関節案内翼36のそれぞれがタービンの風上側で受け止めた空気を案内して成形し、複数のロータアセンブリ24に向けて排出して、複数のロータアセンブリ24を変位させるように機能してもよい。用いられない関節案内翼36は、自身の羽根128を崩して畳み込むことによって「動作を停止」する。
【0048】
また、溝136により、その内部の空気圧を蓄積して、排出口144から排出される空気の質量流量を増加させることが可能になる。さらなる支援が第1の柱150および第2の柱152のそれぞれにおける一対の片持ち梁化通路172によって提供され、羽根128の上縁156および下縁158からの空気の漏出が低減され、ひいては溝136からの圧力損失が軽減される。ロータブレード58のそれぞれは、翼弦に沿ってロータブレード58の前縁から後縁に延びる低圧面および高圧面を有するように形成される。風または流体がロータブレード58に向けられると、低圧面に沿って低圧ゾーンが創出され、これがロータブレード58に揚力を提供する。
【0049】
ロータブレード58は、周囲の風の状況に曝されるだけではない。関節案内翼36の表面形状、例えば翼角を操作して、風の速さ、具体的には関節案内翼36から排出された空気の質量流量を増加させ、排出される風/空気がロータブレード58にぶつかる角度を最適化することにより、排出された風のロータブレードに対する迎え角を制御することができる。これらにより、ロータブレード58は、周囲の風の速さよりも高い速さで変位することが可能になる。さらに、これによってロータブレード58の周囲の風のみへの依存度が低減され、周囲の風によって創出される予期しない力も低減される。また、伸張された、または展開された羽根128を備える関節案内翼36によって提供される風取り込み面積は、ロータアセンブリ24の風取り込み面積よりもはるかに大きく、したがってブレードアセンブリを回転させるはるかに大きな力を提供する。
【0050】
また、関節案内翼は、拡張装置、例えば「通路」、具体的には片持ち梁化通路172を有して風を取り込むことにより、羽根筐体が取り付けられている関節案内翼の外端での著しい損失も低減する。羽根128は、平らな背面、具体的には羽根128の本体セグメント164を有する形状になっていることにより、運動量が増大した状態で羽根から空気を滑り落とすことができ、これによって速度が増大する。羽根排出口を出る速度の増大は、ロータブレード58に作用させることを目的としている。
【0051】
ロータアセンブリ24は、複数の空気力学的に形成された垂直ブレードを備える。それぞれのロータブレード58は、ロータアセンブリ58の構成要素であって、複数のレールまたはモノレールアセンブリを用いて形成できる一式のレールによって支持されるコネクタハブを備える。これらのレールは、レールガイドアセンブリによって定位置に保持され、支持される。レールガイドアセンブリは、例えば機械的車輪で支持されてもよく、または磁気によって空中浮揚してもよい。
【0052】
この発明では、拡張垂直軸風車20は6つの関節案内翼36を有してもよい。この構成では、6つの関節案内翼36のうちの2つが、ロータアセンブリ58を回転させる一次駆動力を形成する。3つ以上の関節案内翼36の使用が、複雑な風の状況では想定される。
【0053】
6つの関節案内翼36の構成では、6つの棒148の構成が好ましく、8つの関節案内翼36の構成では、8つの棒148の構成が好ましい。垂直軸風ロータアセンブリの円周方向の同心リングに配置された好ましい関節案内翼36が全体として回転する場合は、必要とされる棒148はより少ない。
【0054】
この発明では、羽根を出てロータアセンブリに作用する空気の増大した容積および速さが、ロータアセンブリ58の高い回転の速さの駆動力となる。この発明において、それぞれのロータブレードの高い速さは、羽根によって創出される空気の増大した速さおよび体積によって生成される力によるものである。
【0055】
回転の速さのこの増大が、周囲の風の速度への依存の代わりとなる。第1の軸線281周りに回転するより高速のロータブレード58によって生成される揚力は、ロータアセンブリが周囲の風の速さに依存する場合の揚力よりもかなり大きい。6つの羽根/関節案内翼36の構成のこの具体的な例では、周囲の速度が3m.s.であるときに、それぞれ200m2の面積で排出口を出る空気の速度は5m.s.である。この増大した空気の速度は、20m.s.の速度でロータブレードアセンブリを動かすのに十分な力を有する。周囲の空気の速さに依存する場合よりもはるかに高速である。
【0056】
回転の速さにおけるこの増大により、ロータブレード58のより高いブレードの速度によるより大きな揚力、および周囲の風にあまり影響されない迎え角によるより予測可能な揚力が提供される。相対的な周囲の強風は、周囲の風によって生じる正接力によってロータアセンブリ58全体の効率性を損なう可能性がある。これらの正接風力は、ロータアセンブリの速度が周囲の風の速度よりもはるかに高ければ、低減される。これは、超音速戦闘機に作用する風に類似し、第1次世界大戦の遅い複葉機に作用する風と比較すれば、実質的に取るに足りない。この発明は、典型的な垂直空気風車における非効率性を低減する。
【0057】
(全体配置)
図16に示す拡張垂直軸風車20の全体配置「A」では、関節案内翼アセンブリ26は、風上側の圧力を増大させる空気を取り込んでVAWTへの気流および対気速度を増大させるように、伸張されている。
【0058】
図17に示す全体配置「B」では、関節案内翼アセンブリ26は、風の方向に対して後方の位置に伸張され、風をそらしてVAWTの風下側に低い圧力を形成させる。低い圧力が生じるとVAWTは電気掃除機のように機能し、空気を吹き出すのではなく空気を吸い上げることになる。これにより、VAWTへの、そしてVAWTを通る、風上側からの気流が増大する。これの繰り返しによって、構造体にかかる応力は全体配置「A」におけるよりも低くなり、拡張垂直軸風車20の設計の限界を超える条件にはより好適となるであろう。
【0059】
全体配置「A」は2m/s~18m/sの風速に適しており、全体配置「B」は18m/s~30m/sの風速に適していると想定される。選択肢は、全体配置「A」および全体配置「B」に限定されない。というのも、風速および変化する気象条件に応じて多数の他の選択肢があるからである。他の配置では、全体配置は、図18に示すように、ロータアセンブリ24に対する圧力条件を調和するように実装されてもよい。
【0060】
本開示の具体的な実施形態の態様は、既存の垂直軸風車に関連する少なくとも1つの態様、問題、限界、および/または欠点に対処する。特定の実施形態に関連する特徴、態様、および/または利点を本開示で説明したが、他の実施形態も同様の特徴、態様、および/または利点を示す可能性があり、本開示の範囲に包含されるためにすべての実施形態が同様の特徴、態様、および/または利点を必ずしも示す必要はない。当業者は、上記で開示した構造、構成要素、またはそれらの代替物のいくつかを所望のように組み合わせて代替的な構造、構成要素、および/または用途とできることを、理解するであろう。さらに、当業者は、以下の特許請求の範囲のみによって限定される本開示の範囲内で、開示されたさまざまな実施形態のさまざまな変形、変更、および/または改良を行うことができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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【国際調査報告】