(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(54)【発明の名称】連続可変式変速機ドライブシステム
(51)【国際特許分類】
B62M 9/04 20060101AFI20240628BHJP
B62M 17/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
B62M9/04 C
B62M17/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522720
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2022055940
(87)【国際公開番号】W WO2023275706
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ZA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523487911
【氏名又は名称】トーカ・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス・ヤコーブス・ノーデ
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・ジェームズ・トンプソン
(57)【要約】
本発明は、連続可変式変速機ドライブシステム(1)を提供する。この連続可変式変速機ドライブシステム(1)は、中央摩擦駆動ディスク(27)と、駆動ディスク(27)の2つの両側面(30)に対してクランプ固定された2つのローラ(159、203)であって、ローラ(159、203)の外方リム(169、205)が、駆動ディスク(27)と摩擦駆動接触状態にあり、ローラ(159、203)が、歯車比を変更するためにディスクの半径にわたり可動である、2つのローラ(159、203)と、ローラ(159、203)を駆動するためにローラ(159、203)に対して連結された入力駆動シャフト(15)と、駆動シャフト(15)に関連付けられ、駆動シャフト(15)に対する入力トルクに比例する可変クランプ力で駆動ディスク(27)の周囲に2つのローラ(159、203)を強制的にクランプ固定するように構成された、ヒンジクランプアセンブリ(21、23)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動歯車比制御を遂行するための自動連続可変式変速機(CVT)ドライブシステム(1)であって、
中央摩擦駆動ディスク(27)と、
前記駆動ディスク(27)の2つの両側面(30)に対してクランプ固定された2つの整列されたデュアル駆動ローラ(159、203)であって、前記デュアル駆動ローラの外方リム(169、205)が、駆動ディスク(27)と摩擦駆動接触状態にあり、前記ローラ(159、203)は、歯車比を変更するために前記ディスクの半径にわたり軸方向におよび同期的に可動である、2つの整列されたデュアル駆動ローラ(159、203)と、
前記ローラ(159、203)をそれぞれ逆の回転方向に駆動するために前記ローラ(159、203)に対して連結されたシングル入力駆動シャフト(15)と、
前記駆動シャフト(15)に機械的に関連付けられ、駆動シャフト(15)に対する入力トルクに比例する可変クランプ力で前記駆動ディスク(27)の周囲に前記2つのローラ(159、203)を強制的にクランプ固定するように構成された、ヒンジクランプアセンブリ(21、23)と
を備える、自動連続可変式変速機(CVT)ドライブシステム(1)。
【請求項2】
前記ローラ(159、203)の回転軸が、相互に平行であり、前記駆動ディスク(27)の回転軸に対して垂直である、請求項1に記載のドライブシステム(1)。
【請求項3】
前記第1のローラ(159)は、第1のローラシャフト(173)の一方の端部にて支持され、前記第1のローラシャフト(173)は反対側の端部が第1のローディングカム(163)および同心状下部歯車(161)で終端し、前記第2のローラ(203)は、第2の平行なローラシャフト(195)の一方の端部にて支持され、前記前記第2のローラ(203)は反対側の端部が上部歯車(197)で終端し、前記第1のローラシャフト(173)の前記下部歯車(161)は、前記第2のローラシャフト(195)の前記上部歯車(197)に噛合される、請求項2に記載のドライブシステム(1)。
【請求項4】
前記システムは、トルク応答ローディングカムユニット(19)を備え、前記トルク応答ローディングカムユニット(19)は、第2のローディングカム(221)を備え、前記第2のローディングカム(221)は、軸方向に摺動可能であり、前記駆動シャフト(15)により駆動され、前記第1のローラシャフト(173)の相補的に構成された前記第1のローディングカム(163)に係合し、前記第2のローディングカム(221)および前記第1のローディングカム(163)は、前記駆動シャフト(15)に対して入力トルクが導入されると、軸方向力により軸方向において離間されるように付勢される、請求項3に記載のドライブシステム(1)。
【請求項5】
前記ローディングカムユニット(19)は、前記第2の軸方向ローディングカム(221)が貫通して延在するカムプレート(223)と、前記第2のローディングカム(221)に対して平行に前記カムプレート(223)から延在する少なくとも1つのウェッジ(227)とをさらに備え、前記ローディングカム(221)が回転することにより前記ウェッジ(227)が回転される、請求項4に記載のドライブシステム(1)。
【請求項6】
前記カムプレート(223)は、実質的に菱形のプレートであり、前記ローディングカムユニット(19)は、前記カムプレート(223)から相互に対して平行に延在する2つの側方に離間されたウェッジ(225、227)を備える、請求項5に記載のドライブシステム(1)。
【請求項7】
前記クランプアセンブリ(21、23)は、前記第2のローディングカム(221)および前記ウェッジ(225、227)が回転することにより、軸方向力が、前記ヒンジクランプアセンブリ(21、23)の圧力下において前記ローラ(159、203)を共に付勢するクランプ力へと変換されるように、前記ローディングカムユニット(19)の相補的に構成された前記ウェッジ(225、227)と摺動係合状態に構成されるウェッジ(51)を備える、請求項6に記載のドライブシステム(1)。
【請求項8】
前記上部クランプユニット(21)は、2つのクランプウェッジ(51)を備え、各クランプウェッジ(51)は、上部表面(83)および下部表面(85)を画定し、前記上部表面(83)と前記下部表面(85)との間に角度θを有し、前記ローディングカムユニット(19)の前記ウェッジ(225、227)のそれぞれが、下部面(253)および上部面(255)を画定し、前記上部面(255)と前記下部面(253)との間に角度βを有し、それにより前記ローディングカムユニット(19)が回転することによって、前記ローディングカムユニット(19)の上部ウェッジ(225)および下部ウェッジ(227)の前記下部表面(253)は、前記上部クランプユニット(21)のクランプウェッジ(51)の前記下部表面(85)上で摩擦摺動される、請求項7に記載のドライブシステム(1)。
【請求項9】
前記システムは、前記ローディングカムユニット(19)の相互に連係するウェッジ(225、227)とクランピングアセンブリ(21、23)のウェッジ(51)との間の境界面に一連のローラ(300)を備えることにより、前記ウェッジ同士の間の摺動摩擦力の損失を軽減することによって、カム軸方向力のクランプ力への変換を向上させる、請求項8に記載のドライブシステム(1)。
【請求項10】
前記第1のローディングカム(163)は、3つの同一の周方向に均等に離間された軸方向に突出するカムローブ(187)を備え、各カムローブ(187)は、第1のカム面(189)および第2のカム面(191)を画定し、前記第1のカム面(189)および前記第2のカム面(191)は、m/回転の単位を有するある特定のリードを規定する螺旋表面を有し、第1のカム面(189)および第2のカム面(191)の螺旋表面回転方向は、相互に逆方向である、請求項9に記載のドライブシステム(1)。
【請求項11】
前記クランプアセンブリ(21、23)は、スイベルピン(53)の周囲にて相互に枢動連結される上部クランプユニット(21)および下部クランプユニット(23)を備える、請求項10に記載のドライブシステム(1)。
【請求項12】
前記下部クランプユニット(23)は、前記クランプユニット(23)を貫通して延在する2つの細長い平行ボア(121、131)を備え、前記上部クランプユニット(21)は、前記クランプユニット(21)を貫通して延在するシングルボア(59)を備え、前記下部クランプユニット(23)および前記上部クランプユニット(21)は、前記下部クランプユニット(23)のボア(121)が、前記上部クランプユニット(21)のボア(59)に同心状に整列され、前記下部クランプユニット(23)のボア(131)が、ボア(121)および(59)の両方に対して平行に延在するように、相互に対して枢動連結される、請求項11に記載のドライブシステム(1)。
【請求項13】
前記第2のローラシャフト(195)は、前記下部クランプユニット(23)のボア(121)および前記上部クランプユニット(21)の前記ボア(59)を貫通して延在し、前記第1のローラシャフト(173)は、前記下部クランプユニット(23)のボア(131)を貫通して延在する、請求項12に記載のドライブシステム(1)。
【請求項14】
前記第2のローディングカム(221)が回転することにより、前記カムウェッジ(225、227)は、前記上部クランプユニット(21)および前記下部クランプユニット(23)に対して作用して、前記ローラシャフト(173、195)の一方の端部にて前記クランプユニット(21、23)および前記ローラシャフト(173、195)を付勢して離間させ、前記ローラシャフト(173、195)の反対側の端部にてクランプ力の下で前記ローラ(159、203)を共に付勢する、請求項13に記載のドライブシステム(1)。
【請求項15】
前記駆動ディスク(27)は、前記ローラ(159、203)の半径よりも少なくとも25%大きな最小ディスク半径を有する、請求項14に記載のドライブシステム(1)。
【請求項16】
前記駆動ディスク(27)は、約248mmの直径を有し、前記ローラ(159、203)は、約36mmの直径を有する、請求項15に記載のドライブシステム(1)。
【請求項17】
前記ローラ(159、203)に対する前記クランプ力は、前記ローラ(159、203)間の接線方向駆動力よりも約10倍大きく、前記駆動ディスク(27)は、0.1の摩擦係数を有する、請求項16に記載のドライブシステム(1)。
【請求項18】
前記システムは、前記駆動シャフト(15)に対して回転力を印加するために前記駆動シャフト(15)に対して連結されたモータを備える、請求項17に記載のドライブシステム(1)。
【請求項19】
前記システムは、前記システム(1)の構成要素を収容するようにおよびすべての回転構成要素に対するトラクション流体油を収容するように設計された、ならびに前記駆動ディスク(27)と前記ローラ(159、203)との間の相対変速比移動を可能にするように設計された、ケーシングユニット(28)を備える、請求項18に記載のドライブシステム(1)。
【請求項20】
前記ローラ(159、203)と前記駆動ディスク(27)との間のCVT摩擦駆動接触が、線接触であり、前記トラクション流体中で潤滑化され、それにより接触応力が低下し、出力密度が上昇する、請求項19に記載のドライブシステム(1)。
【請求項21】
前記システムは、回生制動を行うことが可能な自動歯車比制御を遂行するために自転車上において使用するのに適するものであり、前記駆動シャフト(15)は、自転車クランクユニット(3)と前記ローラ(159、203)との間に延在し、前記自転車クランクユニット(3)および前記ローラ(159、203)に対してそれぞれ両端部において連結される、請求項20に記載のドライブシステム(1)。
【請求項22】
添付の図面を参照として本明細書において実質的に図示および例示されるような、請求項1に記載のドライブシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪を駆動するための自動連続可変式変速機を実現するための連続可変式変速機(CVT)ドライブシステムを提供する。このシステムは、とりわけ自転車ドライブトレインとして、スクータ、モーターサイクル、3輪車、ATV(全地形型車両)における変速機として、例えば洗濯機などの家庭用電気器具に組み込むための変速機として、および圧縮機の比率/速度制御を目的として、用途が見出されることが予期される。しかし、他の用途も排除しない。
【背景技術】
【0002】
現行において、自転車は、複数のドライブトレインシステムを採用しており、これらのドライブトレインシステムには、ほとんどの自転車で使用される周知の変速ギアシステムが含まれる。電動自転車(e-バイク)が世に出たことにより、ペダルを介した人力を電気モータによる動力と組み合わせる必要が生じるため、自転車ドライブトレインに対する要件は変化した。電気モータの導入により可能となった典型的な特徴としては、乗り手が必要とする場合の回生制動およびパワーアシストが含まれる。変速ギアシステムは、回生制動に対応できない。一方で例えばピニオンギアボックスおよびローロフハブギアボックスなどの他の変速機システムは、回生制動を行うことが可能なマルチレシオトランスミッションによるソリューション(すなわち最大14段変速)を提供する。しかし、これらの2つの変速機システムは、クランクとハブとの間に駆動ベルトまたはチェーンを依然として必要とするものであり、この駆動ベルトまたはチェーンは、一般的に包囲されず、環境に対して露出され、メンテナンスを必要とする。これらの変速ギアシステムにおけるメンテナンスは、さらに大きな課題である。理想的にはCVT変速機により典型的に実現される無限数の変速比によって、理想的なソリューションが提供される。Nuvinci CVT変速機と呼ばれる、かような1つの先行技術のCVTシステムは、ハブ変速機として生産されてきたが、相対的に高重量であり、機械効率が低く、トルクに限度があり、変速比幅に限度があるという欠点を有する。さらに、かような先行技術のCVTシステムは、いずれの変速比においても最大入力トルクを制御できないという欠点を有する。本発明は、自転車およびe-バイクに対して理想的な変速機を提供するために、上記の課題を解決することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
次に、本発明の連続可変式変速機(CVT)ドライブシステムが自転車ドライブトレインに対して適用される実施形態を、もっぱら例としておよび添付の図面を参照として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1A】本発明による自転車ドライブトレインの一方の回転角度における斜視図である。
【
図1B】本発明による自転車ドライブトレインの反対の回転角度における斜視図である。
【
図3A】上部クランプユニットの分解側方斜視図である。
【
図3B】上部クランプユニットの分解側方斜視図である。
【
図4A】下部クランプユニットの分解側方斜視図である。
【
図4B】下部クランプユニットの分解側方斜視図である。
【
図5A】それぞれ反対の回転角度における下部ローラユニットの2つの斜視図である。
【
図5B】それぞれ反対の回転角度における上部ローラユニットの2つの斜視図である。
【
図6A】ローディングカムユニットのある回転角度における斜視図である。
【
図6B】ローディングカムユニットの反対の回転角度における斜視図である。
【
図6C】ローディングカムユニットの側面図である。
【
図6D】ローディングカムユニットの断面図である。
【
図7】RH比におけるCVTユニットの断面図である。
【
図8A】ケーシングユニットのある回転角度における斜視図である。
【
図8B】ケーシングユニットの反対の回転角度における斜視図である。
【
図11】自転車ドライブトレインの種々の構成要素部品が組み立てられる様式を示す図である。
【
図12】自転車ドライブトレインの種々の構成要素部品が組み立てられる様式を示す図である。
【
図13】ローディングカムユニットおよびクランピングアセンブリの相互に連係するウェッジ同士の間の摩擦力がその境界面にローラを導入することによって低下した、代替的な一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1に示すように、本発明による連続可変式変速機(CVT)ドライブシステムは、参照数字(1)で示される。この連続可変式変速機ドライブシステム(1)は、クランクユニット(3)、中間シャフトユニット(5)、およびCVTユニット(7)を備える。
【0006】
クランクユニット(3)は、クランクシャフト(9)を備える。このクランクシャフト(9)は、両端部にて2つの逆方向に向いた自転車ペダルアーム(11)に対してそれぞれ装着される。これらの自転車ペダルアーム(11)は、ペダルアーム(11)の端部同士が相互から180°離れた状態で配向されるように、クランクシャフト(9)に対して連結される。笠歯車(13)が、これら2つのペダルアーム(11)の中間部においてクランクシャフト(9)に対して装着される。クランクシャフト(9)は、自転車の設計において一般的であるように、各ペダルアーム(11)に隣接する自転車フレーム(図示せず)の中に回転可能に支持される。
【0007】
中間シャフトユニット(5)は、クランクユニット(3)とCVTユニット(7)との間に延在し、これらのクランクユニット(3)およびCVTユニット(7)を連結する。中間シャフトユニット(5)は、スプライン駆動シャフト(15)を備え、このスプライン駆動シャフト(15)は、一方の端部が笠歯車ピニオン(17)で終端する。ピニオン(17)は、クランクユニット(3)の笠歯車(13)に係合および噛合する。スプライン駆動シャフト(15)およびピニオン(17)は、自転車フレーム(図示せず)内において軸受(図示せず)により回転可能に支持される。
【0008】
CVTユニット(7)-
図2
CVTユニット(7)は、
図2に示され、ローディングカムユニット(19)、上部クランプユニット(21)、下部クランプユニット(23)、上部ローラユニット(155)、下部ローラユニット(157)、ディスクユニット(25)、およびケーシングユニット(28)を備える。ケーシングユニット(28)は、
図2では隠れており、
図1において見ることができる。
【0009】
ディスクユニット(25)-
図2Aおよび
図2C
ディスクユニット(25)は、円形の中央摩擦駆動ディスク(27)を備える、中央ボア(35)が、この駆動ディスク(27)を貫通して延在する。中央摩擦駆動ディスク(27)は、2つの両面に位置するトラクション駆動表面(30)を画定する。4つの皿穴(37)が、中央ボア(35)の周囲において均等に離間される。ディスクユニット(25)は、中央ハブ(29)をさらに備え、中央ハブ(29)は、中央ボア(35)を貫通して延在する中空シャフト(39)と、中空シャフト(39)から径方向外方に延在する円形ハブフランジ(43)とを備え、ハブフランジ(43)は、駆動ディスク(27)に対して押圧される。4つの皿ねじ(31)が、ハブフランジ(43)と、駆動ディスク(27)の皿穴(37)とを貫通して延在して、中央ハブ(29)を定位置に固定する。2つの玉軸受(33)が、駆動ディスク(27)の各側において中空シャフト(39)上に位置し、中空シャフト(39)は、一方の玉軸受(33a)と同一平面内に配置され、他方の玉軸受(33b)を越えて突出する。
【0010】
上部クランプユニット(21)-
図3Aおよび
図3B
図3Aおよび
図3Bにおいて最もよく示される上部クランプユニット(21)は、上部クランプフレーム(49)、2つのクランプウェッジ(51)、スイベルピン(53)、および2つのニードル軸受(55)を備える。
【0011】
上部クランプフレーム(49)は、中空の円筒状本体(57)を備える。この円筒状本体(57)は、一方の端部が2つの実質的に平坦状のレッグ(65)で終端し、これらの2つの実質的に平坦状のレッグ(65)は、円筒状本体(57)の径方向対向側から相互に平行に延在する。実質的に半円形のブリッジ(73)が、これらのレッグ(65)の側壁部に対して連結され、これらのレッグ(65)の側壁部同士の間に延在して、レッグ(65)とブリッジ(73)と円筒状本体(57)との間に実質的にU字形状の空洞部(79)を画定する。ボア(59)が、円筒状本体(57)を貫通して延在し、小径ステップ(63)を画定する。円筒状本体(57)は、この小径ステップ(63)にて平坦状のレッグ(65)となり延在する。細長リブ(67)が、円筒状本体(57)およびブリッジ(73)から径方向外方に、ならびに円筒状本体(57)およびブリッジ(73)の長さにわたり、平坦状のレッグ(65)に対して平行な面内において延在する。これらのレッグの対向側に位置する側壁部(61)のそれぞれが、側壁部(61)中に延在するポケット(60)を備える。2つの整列された穴(69)が、スイベルピン(53)を貫通させて収容するために、平坦状のレッグ(65)のそれぞれを貫通して延在する。
【0012】
スイベルピン(53)は、ピン長さの中間部に半円形切欠部(91)を備える。組立て構成においては、スイベルピン(53)は、スイベルピン(53)の両端部が平坦状のレッグ(65)と同一平面内に位置し、ピン(53)がボア(59)の長軸に対して垂直方向に配向されるように、穴(69)を貫通して配置される。
【0013】
各クランプウェッジ(51)は、上部表面(83)および下部表面(85)を備え、上部表面(83)と下部表面(85)との間の角度は、θとする。上部表面(83)は、ウェッジ(51)から突出する隆起成形部(87)と、ウェッジ(51)を貫通して突出する複数の軽量化穴(89)とを備える。
【0014】
上部クランプユニット(21)の組立て構成において、ニードル軸受(55)は、ステップ(63)に対接して中央ボア(59)内において相互に隣接して配置され、スイベルピン(53)は、切欠部(91)が中央ボア(59)と同心状になるように、穴(69)を貫通して配置される。クランプウェッジ(51)は、その上部表面(83)が平行なレッグ(65)の側壁部(61)に押圧された状態で配置され、一方でウェッジ(51)の隆起成形部(87)は、ポケット(60)に対合することにより、レッグ(65)上にクランプウェッジ(51)を固定する。上部クランプユニット(21)の形状および特徴部の他のものについては、重量および強度を最適化するものとして設計され、以降においては論じない。
【0015】
下部クランプユニット(23)-
図4Aおよび
図4B
図4Aおよび
図4Bの分解図において最も明確に見ることができる下部クランプユニット(23)は、下部クランプフレーム(93)、2つのニードル軸受(95)、上部玉軸受(97)、下部玉軸受(99)、上部C字クリップ(101)、下部C字クリップ(103)、およびワッシャ(105)を備える。
【0016】
下部クランプフレーム(93)は、より短い上部セクション(119)と、より長い実質的に平行な下部セクション(129)とを備え、スロット(139)、上部セクション(119)と下部セクション(129)との間に画定される。スロット(139)は、半円形の切欠部(141)で終端する。上部セクション(119)および下部セクション(129)は、一方の端部において共通前方面(109)で終端するが、上部セクション(119)は、その反対側の端部にて後方面(123)で終端する。後方面(123)は、その両側に傾斜面(125)を備える。下部セクション(129)は、その反対側の端部にて後方面(133)で終端し、上部面(137)を画定する。ボア(121)が、上部セクション(119)を貫通して延在し、上部軸受ポケット(111)およびC字クリップ溝(113)が、ボア(121)と同心状に前方面(109)中に座ぐり加工され、上部玉軸受(97)を収容するように構成される。非円形ボア(131)が、下部セクション(129)を貫通して延在し、下部軸受ポケット(115)およびC字クリップ溝(117)が、ボア(131)と同心状に前方面(109)中に座ぐり加工され、下部玉軸受(99)を収容するように構成される。
【0017】
穴(127)が、傾斜面(125)を貫通して、面(123)に対して平行かつボア(121)および(131)のボア軸に対して垂直な方向へと延在する。細長リブ(135)が、実質的に下部セクション(129)の長さにわたって延在し、2つのより短いリブ(143)が、下部セクション(129)の対向側から相互に対して平行に、下部セクション(129)の長さにわたって部分的に延在する。面(133)が、親ねじ構成要素(149)を備え、親ねじ穴(151)が、親ねじと噛合するようにこの親ねじ構成要素(149)を貫通して延在する。軸受ポケット(153)は、ボア(131)および軸受ポケット(115)と同心状に面(133)中に座ぐり加工される。下部クランプユニット(23)の形状および特徴部の他のものについては、重量および強度を最適化するものとして設計され、以降においては論じない。
【0018】
下部クランプユニット(23)の組立て構成において、玉軸受(97)が、溝(113)内へのC字クリップ溝(101)の係合により軸受ポケット(111)内に固定され、玉軸受(99)が、溝(117)内へのC字クリップ溝(103)の係合により軸受ポケット(115)内に固定され、その一方でワッシャ(105)が、軸受ポケット(115)内でC字クリップ溝(103)に対接して配置される。ニードル軸受(95)同士が、軸受ポケット(153)内において相互に隣接して配置される。
【0019】
下部ローラユニット(157)-
図5A
図5Aに示す下部ローラユニット(157)は、中空の細長い第1のローラシャフト(173)を備え、ボア(171)が、このシャフト(173)を貫通して延在する。シャフト(173)は、その一方の端部が下部ローラ(159)で終端し、その反対側の端部が下部歯車(161)ニードルスラスト軸受(165)、およびローディングカム(163)で終端する。
【0020】
下部ローラ(159)は、トラクション駆動ディスク(167)を備え、周囲トラクション駆動リム(169)および中央穴が、ボア(171)と同心状に整列される。
【0021】
シャフト(173)は、ローラキャリーシャフトセクション(177)を備える。このローラキャリーシャフトセクション(177)は、より小径の中間シャフトセクション(179)へとステップを成して細くなり、さらにステップ(180)にてさらに小径の軸受キャリーシャフトセクション(181)へとステップを成して細くなる。
【0022】
ローディングカム(163)は、3つの同一の、周方向において均等に離間された、軸方向に突出するカムローブ(187)を備える。各カムローブ(187)は、外部面(183)、内部面(185)、第1のカム面(189)、および第2のカム面(191)を備える。カム面(189)および(191)は、m/回転の単位を有するある特定のリードを規定する螺旋表面を有し、カム面(189)および(191)の螺旋表面回転方向は、相互に逆方向である。
【0023】
下部歯車(161)は、平歯車であり、ローディングカム(163)と共に軸受キャリーシャフトセクション(181)に対して装着される。ニードルスラスト軸受(165)は、軸受キャリーシャフトセクション(181)の周囲に回転可能に配置される。
【0024】
上部ローラユニット(155)-
図5B
図5Bに示す上部ローラユニット(155)は、中空の細長シャフト(195)を備え、ボア(207)が、このシャフト(195)を貫通して延在する。シャフト(195)は、その一方の端部が上部ローラ(203)で終端し、反対側の端部が上部歯車(197)およびC字クリップ(219)で終端する。上部歯車(197)および下部歯車(161)は、同一個数の歯および同一幅を有する。
【0025】
上部ローラ(155)は、トラクション駆動ディスク(204)を備え、周囲トラクション駆動リム(205)および中央穴が、ボア(207)に同心状に整列される。
【0026】
シャフト(195)は、ローラキャリーシャフトセクション(213)を備える。このローラキャリーシャフトセクション(213)は、より小径の中間シャフトセクション(215)へとステップを成して細くなり、さらにステップ(216)にてさらに小径の軸受キャリーシャフトセクション(217)へとステップを成して細くなる。
【0027】
ローディングカムユニット(191)-
図6A~
図6D
図6A~
図6Dに示すローディングカムユニット(19)は、カムプレート(223)と、カムプレート(223)に対して連結されカムプレート(223)を貫通して延在するローディングカム(221)と、カムプレート(223)に対して連結されカムプレート(223)を貫通して延在する2つのウェッジ(225、227)とを備える。
【0028】
カムプレート(223)は、前方面(269)、後方面(271)、カム収容中央穴(265)、および2つの横方向に離間されたウェッジアームキャリー穴(267)を備える、実質的に菱形のプレートである。
【0029】
ローディングカム(221)は、中空カムシャフト(233)を備える。中空カムシャフト(233)は、カムプレート(223)のカム収容中央穴(265)を貫通して延在し、スプライン中央ボア(235)を備える。さらに、ローディングカム(221)は、カムシャフト(233)から延在する、3つの同一の、周方向に均等に離間された、軸方向突出カムローブ(241)を備える。ニードルスラスト軸受(229)が、ローディングカム(221)とカムプレート(223)との中間に位置決めされる。各カムローブ(241)が、外部面(237)、内部面(239)、第1のカム面(243)、および第2のカム面(245)を備える。カム面(243)および(245)はそれぞれ、m/回転の単位を有するある特定のリードを規定する螺旋表面を有し、カム面(243)および(245)の螺旋表面回転方向は、相互に逆方向である。カムシャフト(233)からカムローブ(241)への移行部に、ステップ(247)が画定される。
【0030】
ローディングカムユニット(19)は、2つの細長ウェッジキャリーアーム(249)を備え、これらの細長ウェッジキャリーアーム(249)は、カムローブ(241)と同一方向においてカムプレート(223)から相互に対して平行に延在する。ウェッジキャリーアーム(249)は、カムプレート(223)のウェッジアームキャリー穴(267)を貫通して突出し、ナット(231)を貫通してカムプレート(223)に対して固定される。各ウェッジキャリーアーム(249)は、その自由端部がウェッジ(225、227)で終端する。各ウェッジ(225、227)は、下部面(253)および上部面(255)を備え、リブ(257)が、上部面(255)から延在する。下部面(253)および上部面(255)は、それらの間に角度βを画定する(角度βは角度θと同一であってもよい)。各ウェッジキャリーアーム(249)は、ウェッジ(225、227)に類似した細長切欠部(259)を備える。各ウェッジ(225、227)は、これらのウェッジを貫通して延在する複数の軽量化穴(258)を備える。
【0031】
ローディングカムユニット(19)の組立て構成において、ローディングカム(221)は、カムプレート(223)内に回転可能に配置され、カムシャフト(233)は、中央穴(265)を貫通して延在する。一方で、スラストニードル軸受(229)は、カムシャフト(233)の周囲に回転可能に配置され、カムプレート(223)の後方面(271)とローディングカム(221)との間に挟まれる。上部ウェッジ(225)および下部ウェッジ(227)は、カムプレート(223)内に配置され、それぞれのシャフト(249)が、カムプレート(223)内に固定され、ウェッジ(225、227)は、切欠部(259)が、相互に対面し、2つのシャフト(249)の軸を貫通する面に対して垂直を成すように配向される。
【0032】
組み立てられたCVTユニット(7)-
図7
図7は、本発明の組み立てられたCVTユニット(7)の断面図を示す。下部クランプユニット(23)および上部クランプユニット(21)は、下部クランプユニット(23)の上部セクション(119)の中央ボア(121)が上部クランプユニット(21)の中央ボア(59)と同心状になるような配向で、上部クランプユニット(21)の空洞部(79)内に上部セクション(119)を配置することによって組み立てられる。この組立体は、上部クランプユニットの穴(69)および下部クランプユニット(23)の穴(127)を貫通して延在するスイベルピン(53)によって、定位置に固定される。
【0033】
上部ローラユニット(155)は、中央ボア(121)およびボア(59)を貫通して延在するように、下部クランプユニット(23)内に回転可能に配置される。上部ローラユニット(155)の一方の端部においては、軸受キャリーシャフトセクション(217)が、玉軸受(97)内に配置され、C字クリップ(201)により定位置に固定される一方で、上部ローラユニット(155)の他方の端部においては、ローラキャリーシャフトセクション(213)が、ニードル軸受(55)内に配置される。
【0034】
下部ローラユニット(157)は、非円形ボア(131)を貫通して延在するように、下部クランプユニット(23)内に回転可能に配置される。下部ローラユニット(157)の一方の端部においては、ローラキャリーシャフトセクション(177)が、2つのニードル軸受(95)内に配置される一方で、下部ローラユニット(157)の他方の端部においては、軸受キャリーシャフトセクション(181)が、玉軸受(99)の側部がステップ(180)に圧接することにより下部ローラユニット(157)が一方の軸方向において固定されるように、玉軸受(99)内に配置される。下部ローラユニット(157)を他方の軸方向において固定するためには、ニードルスラスト軸受(165)が、ワッシャ(105)に回転可能に係合される。
【0035】
下部歯車(161)(下部ローラユニット(157)の)および上部歯車(197)(上部ローラユニット(155)の)は、相互に噛合し、相互を駆動し得る。
【0036】
ローディングカムユニット(19)は、上部ウェッジ(225)および下部ウェッジ(227)の両下部表面(253)がクランプウェッジ(51)の下部表面(85)上で摺動する一方で(
図3を参照)、ローディングカムユニット(19)の上部表面(255)および隆起リブ(257)が下部クランプユニット(23)の相補形状リブ(143)上で摺動するように、シャフト(233)がシャフト(179)(下部ローラユニット(157)の)の中央ボア(171)と同心状に整列された状態において軸方向に摺動可能に配置される。
【0037】
ローディングカム(221)(ローディングカムユニット(19)の)のカムローブ(241)は、
図7において最も明確に示されるように、ローディングカム(163)(下部ローラユニット(157)の)のカムローブ(187)同士の間に配置される。ローディングカム(221)および(163)は、同一の螺旋状リードおよび同一のカムローブ(241、187)を有してもよい。ローディングカム(221)のスプライン中央ボア(235)は、中間シャフト(5)の相補形状スプライン駆動シャフト(15)に軸方向に摺動可能に係合される。
【0038】
CVTユニット(7)機能
ペダル(図示せず)を介してペダルアーム(11)に対して人力を印加すると、クランクユニット(3)は、矢印(10)の方向に回転する(
図1Aを参照)。結果として、笠歯車(13)が、ピニオン(17)を介して中間シャフト(5)を駆動し、その一方でスプライン駆動シャフト(15)が、スプライン中央ボア(235)を介して矢印(12)の方向にローディングカム(221)を駆動する。ローディングカム(221)(ローディングカムユニット(19)の)の第1のカム面(243)が、ローディングカム(163)(下部ローラユニット(157)の)の第2のカム面(191)に係合し、トルクが印加されることにより、2つのローディングカム(221)および(163)は、作動中のローディングカムと同様に一方の軸方向において相互に押し離される力を被る。したがって、ローディングカムユニット(19)は、矢印(14)の方向への力を被り(
図7を参照)、この力により、上部ウェッジ(225)および下部ウェッジ(227)は、上部クランプユニット(21)および下部クランプユニット(23)を矢印(16)および(18)のそれぞれの方向において相互から離れるように付勢する(
図7を参照)。
【0039】
上部クランプユニット(21)および下部クランプユニット(23)が、スイベルピン(53)の周囲において共に効率的にヒンジ動作することにより、上部クランプユニット(21)および下部クランプユニット(23)のそれぞれの他方の端部は、矢印(20)および(22)のそれぞれの方向へと共に付勢される。この力は、トラクション駆動ディスク(203、167)へと伝達され、次いでこれらのトラクション駆動ディスク(203、167)は、それらの間にディスクユニット(25)のトラクション駆動表面(30)をクランプ固定して、トラクション駆動ディスク(203、167)と駆動ディスク(27)との間においてトラクション駆動を確立する。この場合に、トラクション駆動リム(205、169)は、トラクション駆動表面(30)とトラクション駆動接触状態にある。
【0040】
同時に、これが行われている間に、ローディングカム(221)は、ローディングカム(163)を駆動し、さらにローディングカム(163)は、このローディングカム(163)に対して装着された駆動ディスク(167)を、ならびに歯車(161)および(197)の噛合により駆動ディスク(203)を駆動する。ディスクユニット(25)は、自転車車輪に対して連結されてもよい。動作の最中に、ディスクユニット(25)の軸は、トラクション駆動ディスク(203、167)の軸により画定される面と合致し、一方でトラクション駆動表面(30)は、面(137)に対して平行に留まる。
【0041】
典型的には回生制動の最中に発生するものであるが(以降の章でさらに詳細に提示されるように)、荷重条件下においてディスクユニット(25)とクランク(3)との間のトルクが反転されると、ローディングカム(163)はローディングカム(221)を駆動し、カム表面(245、189)同士が係合し、二方向軸方向ローディングカム設計の実地において一般的であるように、一方でシステムが上述と同一の力を被る。
【0042】
比率変更機能
中間駆動シャフト(15)とディスクユニット(25)との機械的比率を変更するために歯、ディスクユニット(25)の軸とトラクション駆動ディスク(203、167)との間の距離が、
図2でRLとして示される数値から
図7のRHの数値まで変更される。この場合に、駆動ディスク(27)は、円形切欠部(141)までスロット(139)内へと移動し、したがってトラクション駆動接触点を駆動ディスク(27)のリム付近から駆動ディスク(27)の軸付近へと移動させて、比率変更を生じさせる。
【0043】
ケーシングユニット(28)-
図8
ケーシングユニット(28)(
図8に図示)の目的は、駆動ディスク(27)とトラクション駆動ディスク(203、167)との間のRLからRHへの相対変速比移動を可能にしつつ、CVTユニット(7)の構成要素を上述の構成に保持することである。ケーシングユニット(28)のもう1つの機能は、あらゆる回転構成要素上のトラクション流体オイルを囲むことを可能にする筐体を提供することである。
【0044】
ケーシングユニット(28)は、薄壁本体(273)を備える。この薄壁本体(273)は、外部リブ(275、277)と、軸受ポケット(279、281)と、CVT出力開口(283)と、CVT入力開口(285)と、レシオ開口(289)を備える、リブ(275、277)と平行に配置されたレシオルーブフォーメーション(287)とを備える。さらにケーシングユニット(28)は、オイルシール(291)を備える。ケーシングユニット(28)の内部において、リブ(275、277)は、スロット(293、295)をそれぞれ形成し、オイルシール(291)は、軸受ポケット(281)の外方側部に配置される。
【0045】
組み立てられたCVTユニット(7)においては、2つの軸受(33)が、軸受ポケット(279、281)内に配置され、一方でシャフト(39)が、開口(283)を貫通して延在し、シール(291)が、開口(283)を封止する。リブ(67、135)が、スロット(295、293)内にそれぞれ摺動可能に配置されて、RLからRHへの上記の変速比移動の最中に関連構成要素を案内する。一方で、ケーシングユニット(28)の内部は、この移動を可能にするのに十分な空間を有する。開口(285)により、CVTユニット(7)は、スプライン駆動シャフト(15)を介して入力を受領することができる。この開口には任意の適切なシール/手段が使用されてもよく、または本発明の自転車ドライブトレイン(1)の全体がケーシングユニット(28)内に囲まれてもよい。
【0046】
親ねじを備えるサーボユニット(297)(
図1を参照)が、ケーシングユニット(28)に対して装着されてもよい。一方で、親ねじは、レシオ開口(289)を貫通してチューブ(287)まで延在し、同時にねじ山付き穴(151)に挿通されることにより、任意の適切な手段を介してサーボ(297)を操作する場合にRLからRHへのCVTユニット(7)変速比の調節が行われる。
【0047】
ケーシングユニット(28)の残りの部分は、適切に形状設定され、典型的には金属/アルミニウムシートもしくは炭素繊維から、またはCVTユニット(7)に油密筐体を与えるための任意の適切な材料から製造される。ケーシングユニット(28)は、製造を容易化するための複数のセクションを有してもよく、また以降の章においてさらに詳細に示されるように設置される自転車フレームまたはサスペンションの一部を構成してもよい。
【0048】
自転車組込み実施形態A-
図9
自転車(299)において具現化した本発明の自転車ドライブトレイン(1)の第1の実施形態が、
図9に示される。この実施形態は、本発明の自転車ドライブトレイン(1)、第1の電気モータユニット(301)、および第2の電気モータユニット(303)を備える。自転車(299)は、部分フレーム(305)、フォーク(306)、前輪(307)、および後輪(309)を備える。(自転車(299)は、本発明の自転車ドライブトレイン(1)を組み込んだ場合に可能である構成の実例を示すために、基本パーツのみで図示され、したがって、他の特徴は図示しない)。この実施形態では、ケーシングユニット(28)は、自転車(299)のフレーム(305)の一部またはリアサスペンション(図示せず)を構成し得る一方で、ハブ(29)は、後輪(309)と同心状であり、後輪(309)に装着および一体化され得る。
【0049】
自転車(299)が電動自転車であるこの実施形態Aにおいて、第1の電気モータユニット(301)は、電気モータ(311)および笠歯車(313)が装着された状態で組み込まれてもよく、一方で笠歯車(313)は、笠歯車(13)と噛合および係合される。第2の電気モータユニット(303)は、電気モータ(315)を備えて組み込まれてもよく、第2の電気モータユニット(303)に装着された平歯車(317)が、中間歯車(321)を介してより大きな平歯車(319)を駆動する一方で、第2の電気モータユニット(303)は、スプライン駆動シャフト(15)に対して装着される。上記のモータユニットはいずれも、各モータユニットからCVTユニット(7)を経由し後輪(309)に電気駆動を提供するために使用されてもよく、または上記のモータユニットの両方が使用されてもよい。
【0050】
自転車組込み実施形態B-
図10
自転車(299)において具現化した本発明の自転車ドライブトレイン(1)の第2の実施形態が、
図10に示される。この実施形態は、
図9の実施形態1と同一の構成要素を備えるが、以下の相違点を伴う。この実施形態では、CVTユニット(7)は、ディスクユニット(25)がフレームトライアングル(323)内に配置されるように配向される。さらに、この実施形態は、ハブ(29)から後輪(309)への伝動装置(例えばベルトまたはチェーンの形態の)を必要とする。この実施形態Bでは、CVTユニット(7)は、クランクユニット(3)の付近にも配置され、より短いスプライン駆動シャフト(15)を必要とする。電気モータユニット(301、303)は、干渉し合うため、一方のみまたは他方のみの使用が可能である。リアサスペンションが使用される場合には、典型的にはハイピボットサスペンションが使用される。
【0051】
代替的な実施形態
CVTユニット(7)およびクランクユニット(3)は、クランクユニット(3)から後輪(309)に駆動力を提供するために、自転車(299)内において任意の適切な構成および位置において構成されてもよい点を理解されたい。例えば、ディスクユニット(25)は、クランクユニット(3)と同心状に構成されてもよく、また上記の実施形態Bの場合と同様に後輪(309)に対する追加的な駆動力を必要とすることがある。
【0052】
上記の実施形態のいずれにおいても、両方向への駆動が、すなわち後輪(309)から任意のモータユニット(301、303)への(回生制動の実施)駆動および各モータユニット(301、303)から後輪(309)への(乗り手への電動アシストの実施)駆動が可能である点を理解されたい。上記の両駆動方向において、乗り手からの駆動力は、CVTユニット(7)を経由して伝達され、およびしたがってCVTユニット(7)は、例えば回生制動もしくは乗り手の快適性、またはCVTユニット(7)により実現されるような自転車(299)の機械駆動変速比による影響を被る任意の特徴などを最適化するように、変速比を調節することができる。
【0053】
フリーホイーリング
自転車(299)が移動している最中にペダルアーム(11)を停止状態にさせておくことを可能にするために、一方向クラッチ、スプラグ、または歯止めが、笠歯車(13)とクランクシャフト(9)との間に組み込まれてもよい。代替的には、一方向クラッチ、スプラグ、または歯止めが、スプライン駆動シャフト(15)と笠歯車ピニオン(17)との間に組み込まれてもよい。しかし、この場合には、モータユニット(301)を用いての回生制動は可能ではないため、モータユニット(303)のみを使用することができる。
【0054】
レシオアクチュエーション
上述のように、変速比は、サーボモータ(297)を介して変更され得る。このサーボモータは、自動制御システムおよび適切なアルゴリズムにより制御され得るが、これは、例えば
・乗り手入力:心拍数、体力レベル、モード設定(例えばスポーツまたはエコノミー)
・地形/環境入力:標高、勾配、路面条件、気温、風
・バッテリ:充電レベル、行程終了までの距離
などを入力として受領し得る。
【0055】
自転車ドライブトレイン(1)の無限変速比調節が可能であることにより、リアルタイム連続変速比調節が可能となり、上述のパラメータは、ブルートゥース(登録商標)、GPS、wi-fi等を介してリアルタイムで自動的に制御され得る点を理解されたい。また、レシオアクチュエーションは、例えば既存の市販の自転車においてみられる先行技術のシフターケーブルシステムなどを介して手動によりおよび機械的に調節されてもよい。これは、既存の多段変速自転車システムにおいて一般的であるように、固定の変速比に相当する固定数の増分でRLからRHへ自転車ドライブトレイン(1)を動かし得る。また、自転車ドライブトレイン(1)は、eバイクおよび電気システムを伴わない標準的な自転車に対しても適用され得るものであり、完全に機械的な方式にて乗り手による制御が行われ得るものである点を理解されたい。
【0056】
サスペンション能力
実施形態AおよびBならびに上述の他の実施形態において、自転車ドライブトレイン(1)は、リアサスペンションに対する完全な適合性を有し、実施形態Aの場合においては、自転車ドライブトレイン(1)は、リアサスペンションアームkの一部を構成して、クランクの周囲において枢動し得る。第2の実施形態Bの例においては、ゼローデ自転車において実装されるような肺ピボットサスペンションが使用され得る。
【0057】
効率の最適化による無制限トルク
ローディングカムシステムを備えることにより、自転車ドライブトレイン(1)は、クランクおよび/またはモータトルクに直接関連する最適化された力によってディスク(203)および(167)の間に駆動ディスク(27)をクランプ固定することのみによって、最適な効率を実現しトルク制限を解消する。一方で変速比はRLからRHへ変更される。さらに、ディスク(203、167)の一定の入力径によって、上記のことがさらに促進される。なぜならば、所与のクランクおよび/またはモータトルクに対するリム(205、169)に対する接線方向トラクション駆動力が一定に留まるからである。
【0058】
トラクション駆動流体は、市販のSantotrac50もしくは35Aであってもよく、または任意の他の適切なトラクション駆動流体であってもよい。市販のトラクション流体は、典型的には高圧化において2つの焼入鋼表面の間に約0.1の摩擦係数を確立し、したがってローラに対するクランプ力は、接線方向トラクション駆動力よりも約10倍高いことが必要となる。
図11は、24mmの最小径を有するディスクを示しており、この最小径は、ローラの径が18mm(直径36mm)である場合にこのローラ径よりも約25%大きい。
【0059】
図13は、ローディングカムユニット(19)およびクランピングアセンブリ(21、23)の連係するウェッジ同士の間の摩擦力が、この境界面にローラ(300)を導入することによって低下した、代替的な一実施形態を示す。これにより、実質的にすべてのカム軸力がクランプ力へと変換されるより効率的なシステムが可能となる。一方で、これらのローラがない場合には、摺動摩擦力の損失が生じる。クランプユニット(21)は、半円形形状部を備えて相補的切欠部(89)と対合するように修正され、ウェッジ(225、227)および切欠部(89)は、それらの端部にてローラの逃げを回避するように適合化される。
【符号の説明】
【0060】
1 連続可変式変速機ドライブシステム、自転車ドライブトレイン
3 クランクユニット、クランク
5 中間シャフトユニット、中間シャフト
7 CVTユニット
9 クランクシャフト
11 自転車ペダルアーム
13 笠歯車
15 スプライン駆動シャフト、中間駆動シャフト
17 笠歯車ピニオン
19 ローディングカムユニット
21 上部クランプユニット
23 下部クランプユニット
21、23 クランピングアセンブリ
25 ディスクユニット
27 中央摩擦駆動ディスク
28 ケーシングユニット
29 中央ハブ
30 トラクション駆動表面
33a 玉軸受
33b 玉軸受
35 中央ボア
37 皿穴
39 中空シャフト
43 円形ハブフランジ
49 上部クランプフレーム
51 クランプウェッジ
53 スイベルピン
55 ニードル軸受
57 円筒状本体
59 中央ボア
60 ポケット
61 側壁部
63 小径ステップ
65 レッグ
67 細長リブ
69 穴
73 ブリッジ
79 空洞部
83 上部表面
85 下部表面
87 隆起成形部
89 軽量化穴、相補的切欠部
91 半円形切欠部
93 下部クランプフレーム
95 ニードル軸受
97 上部玉軸受
99 下部玉軸受
101 上部C字クリップ
103 下部C字クリップ
105 ワッシャ
109 共通前方面
111 上部軸受ポケット
113 C字クリップ溝
115 下部軸受ポケット
117 C字クリップ溝
119 上部セクション
121 中央ボア
123 後方面
125 傾斜面
127 穴
129 下部セクション
131 非円形ボア
133 後方面
135 細長リブ
137 上部面
139 スロット
141 円形切欠部
143 リブ
149 親ねじ構成要素
151 親ねじ穴、ねじ山付き穴
153 軸受ポケット
155 上部ローラユニット、上部ローラ
159 下部ローラ
161 下部歯車
163 ローディングカム
165 ニードルスラスト軸受
167 トラクション駆動ディスク
169 周囲トラクション駆動リム
171 ボア
173 第1のローラシャフト
177 ローラキャリーシャフトセクション
179 中間シャフトセクション
180 ステップ
181 軸受キャリーシャフトセクション
183 外部面
185 内部面
187 カムローブ
189 第1のカム面
191 第2のカム面
191 ローディングカムユニット
195 細長シャフト
197 上部歯車
201 C字クリップ
203 上部ローラ、トラクション駆動ディスク
205 周囲トラクション駆動リム
207 ボア
213 ローラキャリーシャフトセクション
215 中間シャフトセクション
216 ステップ
217 軸受キャリーシャフトセクション
219 C字クリップ
221 ローディングカム
223 カムプレート
225 上部ウェッジ
227 下部ウェッジ
229 スラストニードル軸受、ニードルスラスト軸受
231 ナット
233 中空カムシャフト
235 スプライン中央ボア
237 外部面
239 内部面
241 軸方向突出カムローブ
243 第1のカム面
245 第2のカム面、カム表面
247 ステップ
249 細長ウェッジキャリーアーム、シャフト
253 下部表面、下部面
255 上部表面、上部面
257 隆起リブ
258 軽量化穴
259 細長切欠部
265 カム収容中央穴
267 ウェッジアームキャリー穴
269 前方面
271 後方面
273 薄壁本体
275 外部リブ
279 軸受ポケット
281 軸受ポケット
283 CVT出力開口
285 CVT入力開口
287 レシオルーブフォーメーション、チューブ
289 レシオ開口
291 オイルシール
293 スロット
295 スロット
297 サーボモータ、サーボユニット、サーボ
299 自転車
300 ローラ
301 第1の電気モータユニット
303 第2の電気モータユニット
305 部分フレーム
306 フォーク
307 前輪
309 後輪
311 電気モータ
313 笠歯車
315 電気モータ
317 平歯車
319 平歯車
321 中間歯車
323 フレームトライアングル
【国際調査報告】