(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】カラーフィルタ基板、その製造方法及び表示パネル
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20240702BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240702BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G02F1/1335 505
G02F1/1343
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571286
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 CN2022097648
(87)【国際公開番号】W WO2023221199
(87)【国際公開日】2023-11-23
(31)【優先権主張番号】202210527304.8
(32)【優先日】2022-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.9-2,Tangming Rd,Guangming New District,Shenzhen,Guangdong,China 518132
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 黎▲セン▼
【テーマコード(参考)】
2H092
2H148
2H291
【Fターム(参考)】
2H092GA11
2H092JA24
2H092NA25
2H092PA08
2H092PA09
2H148BC02
2H148BC06
2H148BC12
2H148BD10
2H148BD11
2H148BE02
2H148BE22
2H148BG02
2H148BH28
2H291FA02Y
2H291FA16Y
2H291FB04
2H291FB23
2H291FC10
2H291FC33
2H291FD22
2H291FD26
2H291GA04
2H291GA19
2H291LA40
(57)【要約】
本願は、カラーフィルタ基板、その製造方法及び表示パネルを提供し、カラーフィルタ基板は、カラーフィルタ層を含み、カラーフィルタ層は、ベース基板に分布する複数のカラーレジストユニットを含み、隣接する2つのカラーレジストユニットの間に交差領域が形成される。カラーフィルタ層は、カラーフィルタ基板にある電極として直接機能することができ、つまり、カラーフィルタ基板を製造する際に、導電膜層の製造ステップを省略することにより、カラーフィルタ基板の製造効率を高めるとともに、カラーフィルタ基板の製造コストを低減することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板に設けられたカラーフィルタ層であって、前記ベース基板に分布する複数のカラーレジストユニットを含み、隣接する2つの前記カラーレジストユニットの間に交差領域があるカラーフィルタ層と、を含み、
前記カラーレジストユニットの製造材料は、フォトレジスト材料と導電材料を含む、
カラーフィルタ基板。
【請求項2】
前記導電材料は、導電性ナノ材料、炭素材料又は導電性有機ポリマーのうちの少なくとも1種を含む、
請求項1に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項3】
前記導電材料は、導電性ナノ材料を含み、前記カラーレジストユニットにおける前記導電性ナノ材料の重量百分率は、10wt%~50wt%である、
請求項1に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項4】
前記導電材料は、炭素材料を含み、前記カラーレジストユニットにおける前記炭素材料の重量百分率は、10wt%~50wt%である、
請求項1に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項5】
前記導電材料は、導電性有機ポリマーを含み、前記カラーレジストユニットにおける前記導電性有機ポリマーの重量百分率は、20wt%~50wt%である、
請求項1に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項6】
前記導電性有機ポリマーは、ポリチオフェン、ポリアセチレン又はポリアニリンのうちの少なくとも1種を含む、
請求項5に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項7】
前記ベース基板に設けられたブラックマトリクスであって、複数の開口領域と、それぞれが隣接する2つの前記開口領域の間に位置する複数の遮光領域とを含むブラックマトリクスをさらに含み、
各前記カラーレジストユニットは、各前記開口領域に設けられ、隣接する2つの前記カラーレジストユニットは、前記遮光領域の前記ベース基板から離れた側に交差領域を形成する、
請求項1に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項8】
各前記遮光領域の幅は、前記ベース基板に近接する端から前記ベース基板から離間する端に向かって徐々に小さくなる、
請求項7に記載のカラーフィルタ基板。
【請求項9】
アレイ基板、液晶層及びカラーフィルタ基板を含み、
前記液晶層は、前記アレイ基板と前記カラーフィルタ基板との間に設けられ、
前記カラーフィルタ基板は、
ベース基板と、
前記ベース基板に設けられたカラーフィルタ層であって、前記ベース基板に分布する複数のカラーレジストユニットを含み、隣接する2つの前記カラーレジストユニットの間に交差領域があるカラーフィルタ層と、を含み、
前記カラーレジストユニットの製造材料は、フォトレジスト材料と導電材料を含む、
表示パネル。
【請求項10】
前記導電材料は、導電性ナノ材料、炭素材料又は導電性有機ポリマーのうちの少なくとも1種を含む、
請求項9に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記導電材料は、導電性ナノ材料を含み、前記カラーレジストユニットにおける前記導電性ナノ材料の重量百分率は、10wt%~50wt%である、
請求項9に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記導電材料は、炭素材料を含み、前記カラーレジストユニットにおける前記炭素材料の重量百分率は、10wt%~50wt%である、
請求項9に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記導電材料は、導電性有機ポリマーを含み、前記カラーレジストユニットにおける前記導電性有機ポリマーの重量百分率は、20wt%~50wt%である、
請求項9に記載の表示パネル。
【請求項14】
前記導電性有機ポリマーは、ポリチオフェン、ポリアセチレン又はポリアニリンのうちの少なくとも1種を含む、
請求項13に記載の表示パネル。
【請求項15】
前記カラーフィルタ基板は、前記ベース基板に設けられたブラックマトリクスであって、複数の開口領域と、それぞれが隣接する2つの前記開口領域の間に位置する複数の遮光領域とを含むブラックマトリクスをさらに含み、
各前記カラーレジストユニットは、各前記開口領域に設けられ、隣接する2つの前記カラーレジストユニットは、前記遮光領域の前記ベース基板から離れた側に交差領域を形成する、
請求項9に記載の表示パネル。
【請求項16】
各前記遮光領域の幅は、前記ベース基板に近接する端から前記ベース基板から離間する端に向かって徐々に小さくなる、
請求項15に記載の表示パネル。
【請求項17】
前記アレイ基板には、各前記カラーレジストユニットに一対一対応する画素電極が設けられ、前記アレイ基板における前記カラーレジストユニットの投影面積は、前記画素電極の投影面積よりも大きい、
請求項9に記載の表示パネル。
【請求項18】
ベース基板を提供するステップと、
前記ベース基板にカラーフィルタ層を設けるステップであって、前記カラーフィルタ層は、複数のカラーレジストユニットを含み、隣接する2つの前記カラーレジストユニットの間に交差領域が形成され、前記カラーレジストユニットの製造材料は、フォトレジスト材料と導電材料を含むステップと、を含む
カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項19】
前記ベース基板にカラーフィルタ層を設けるステップは、
前記ベース基板にカラーレジスト材料層をコーティングするステップであって、前記カラーレジスト材料層は、カラーレジストユニットを形成する表示領域と、隣接する2つの表示領域の間に設けられた交差領域とを含むステップと、
グレートーンマスクを用いてカラーレジスト材料層を露光するステップであって、前記グレートーンマスクは、前記表示領域に対応する透光領域と前記交差領域に対応する半透光領域とを含むステップと、
露光後のカラーレジスト材料層に対して現像処理を行うステップと、を含む、
請求項18に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項20】
前記ベース基板にカラーフィルタ層を設けるステップは、
前記ベース基板に、遮光領域と開口領域を含むブラックマトリクスを設けるステップと、
前記ブラックマトリクスに、遮光領域に交差領域を形成するカラーレジスト材料層をコーティングするステップと、
フォトマスクを用いて前記カラーレジスト材料層を露光するステップと
露光後のカラーレジスト材料層に対して現像処理を行うステップと、を含む、
請求項18に記載のカラーフィルタ基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示技術の分野に関し、特にカラーフィルタ基板、その製造方法及び表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)は、薄型化、節電、無放射などの多くのメリットを持っており、広く使用されている。例えば、液晶テレビ、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、デジタルカメラ、コンピュータ画面又はノートパソコンの画面などに使用されている。一般に、液晶表示パネルは、カラーフィルタ基板(Color Filter、CF)、薄膜トランジスタアレイ基板(Thin Film Transistor、TFT)、及びカラーフィルタ基板と薄膜トランジスタアレイ基板との間に挟まれた液晶層から構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アレイ基板に画素電極が設けられ、カラーフィルタ基板に導電膜層が設けられることにより、アレイ基板とカラーフィルタ基板との間に液晶の配向を制御可能な電界が形成される。しかしながら、カラーフィルタ基板に導電膜層を設けると、カラーフィルタ基板の製造プロセスサイクルが長くなり、製造効率に影響を与える。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の実施例は、カラーフィルタ基板に導電膜層を設けると、カラーフィルタ基板の製造プロセスサイクルが長くなり、製造効率に影響を与えるという課題を解決する、カラーフィルタ基板、その製造方法及び表示パネルを提供する。
【0005】
第1様態では、本願の実施例によれば、
ベース基板と、
ベース基板に設けられたカラーフィルタ層であって、ベース基板に分布する複数のカラーレジストユニットを含み、隣接する2つのカラーレジストユニットの間に交差領域があるカラーフィルタ層と、を含み、カラーレジストユニットの製造材料は、フォトレジスト材料と導電材料を含む、カラーフィルタ基板が提供される。
【0006】
第2様態では、本願の実施例によれば、
アレイ基板、液晶層及びカラーフィルタ基板を含み、
液晶層は、アレイ基板とカラーフィルタ基板との間に設けられ、
カラーフィルタ基板は、
ベース基板と、
ベース基板に設けられたカラーフィルタ層であって、ベース基板に分布する複数のカラーレジストユニットを含み、隣接する2つのカラーレジストユニットの間に交差領域があるカラーフィルタ層と、を含み、カラーレジストユニットの製造材料は、フォトレジスト材料と導電材料を含む、表示パネルが提供される。
【0007】
第3様態では、本願の実施例によれば、
ベース基板を提供するステップと、
ベース基板にカラーフィルタ層を設けるステップであって、カラーフィルタ層は、複数のカラーレジストユニットを含み、隣接する2つのカラーレジストユニットの間に交差領域が形成され、カラーレジストユニットの製造材料は、フォトレジスト材料と導電材料を含むステップと、を含むカラーフィルタ基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本願の実施例に係るカラーフィルタ基板において、カラーレジストユニットをフォトレジスト材料と導電材料で製造することにより、カラーレジストユニットが導電性を有し、隣接する2つのカラーレジストユニットごとに交差領域をさらに形成することにより、複数のカラーレジストユニットが電気的導通を形成することができる。このようにして、カラーフィルタ層は、カラーフィルタ基板にある電極として直接機能することができ、カラーフィルタ基板とアレイ基板との間に電界を形成して液晶層の液晶の配向を制御することもできる。つまり、カラーフィルタ基板を製造する際に、導電膜層の製造ステップを省略することにより、カラーフィルタ基板の製造プロセスサイクルを短縮し、カラーフィルタ基板の製造効率を高めるとともに、カラーフィルタ基板の製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本願の実施例に係るカラーフィルタ基板の概略断面図である。
【
図3】本願の実施例におけるブラックマトリクスの概略断面図である。
【
図4】本願の実施例におけるカラーフィルタ層の露光過程の概略図である。
【
図5】本願の実施例に係るカラーフィルタ基板の製造方法の工程を示す概略図である。
【
図6】本願の実施例に係るカラーフィルタ基板の製造方法の工程を示す詳細図である。
【
図7】本願の実施例に係るカラーフィルタ基板の製造方法の工程を示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は、本願の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をしない前提で得られる全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0011】
本願の実施例によれば、カラーフィルタ基板100の製造プロセスサイクルを短縮し、製造効率を高めるために、カラーフィルタ基板100、その製造方法及び表示パネルが提供される。以下、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、従来技術の表示パネルの断面概略図である。
図1に示すように、一般に、液晶表示パネルは、カラーフィルタ基板100(Color Filter、CF)、薄膜トランジスタアレイ基板200(Thin Film Transistor、TFT)、カラーフィルタ基板100と薄膜トランジスタアレイ基板200との間に挟まれた液晶(Liquid Crystal、LC)、及び封止剤(Sealant)から構成され、その成形プロセスは、一般的には、前期のアレイ基板200とカラーフィルタ基板100の製造プロセス(薄膜、黄色光、エッチング及び膜剥離)、中期のセル(Cell)製造プロセス(TFT基板とCF基板の貼り合わせ)及び後期のモジュール組立製造プロセス(駆動ICとプリント配線基板の圧着)を含む。ここで、前期のアレイ基板200の製造プロセスにおいて、主にアレイ基板200とカラーフィルタ基板100を形成することにより、液晶分子の動きを容易に制御し、中期のセル製造プロセスにおいて、主にアレイ基板200とカラーフィルタ基板100との間に液晶を添加し、後期のモジュール組立製造プロセスにおいて、主に駆動ICの圧着とプリント配線基板の整合を行って、液晶分子の回転を駆動して、画像を表示する。
【0013】
色フィルタ基板、すなわちカラーフィルタ基板100は、液晶ディスプレイの重要な構成部分である。カラーフィルタ基板100の従来の製造方法は、ベース基板10にブラックマトリクス30(Black Mater、BM)を形成してから、カラーレジスト層(赤色カラーレジスト、緑色カラーレジスト、及び青色カラーレジストを含む)を形成することである。カラーレジスト層には、導電膜層を形成して、アレイ基板200にある画素電極40との間に電界を形成することにより、電界内の液晶分子の動きを制御する必要がある。導電膜層の形成により、カラーフィルタ基板100の製造プロセスサイクルが長くなり、カラーフィルタ基板100の製造効率が低下する。
【0014】
図2は、本願の実施例に係るカラーフィルタ基板100の概略断面図である。
図2に示すように、本願の実施例に係るカラーフィルタ基板100は、ベース基板10と、前記ベース基板10に設けられたカラーフィルタ層であって、前記ベース基板10に分布する複数のカラーレジストユニット20を含み、隣接する2つの前記カラーレジストユニット20の間に交差領域21があるカラーフィルタ層と、を含み、前記カラーレジストユニット20の製造材料は、フォトレジスト材料と導電材料を含む。
【0015】
具体的には、本実施例において、ベース基板10は、透明ガラス基板であってもよく、透明フレキシブル基板であってもよく、ここでは限定しない。カラーレジストユニット20は、カラーレジスト材料層に対してコーティング、露光、現像処理を行うことにより作成される。カラーレジスト材料層は、少なくともフォトレジスト材料と導電材料を混合して形成されることにより、カラーレジストユニット20が単色スペクトルを透過する特性を有するだけでなく、導電性能を有する。例えば、カラーレジストユニット20は、一般に、赤色カラーレジストユニット20、緑色カラーレジストユニット20及び青色カラーレジストユニット20を含み、各種類のカラーレジストユニット20は、対応する赤色スペクトル、緑色スペクトル及び青色スペクトルを透過することができる。3色のカラーレジストユニット20は、いずれも複数であり、かつベース基板10に複数の画素グループを構成し、各画素グループは、赤色カラーレジストユニット20、緑色カラーレジストユニット20及び青色カラーレジストユニット20を含む。
【0016】
隣接する2つのカラーレジストユニット20の間に交差領域21があり、すなわち、隣接する2つのカラーレジストユニット20は、交差領域21で互いに当接し、互いに重なるか又は互いに交差し、隣接する2つのカラーレジストユニット20が交差領域21で接触すればよい。カラーレジストユニット20の製造材料が導電材料を含むため、隣接する2つのカラーレジストユニット20は交差領域21で電気的導通を形成し、すなわち、カラーフィルタ層のカラーレジストユニット20は2つずつ電気的導通を形成することにより、カラーフィルタ層全体は導電性能を有する。導電性能を有するカラーフィルタ層は、導電膜層として用いることにより、カラーフィルタ層がアレイ基板200にある画素電極40との間に電界を形成して、液晶層300の液晶分子の動きを制御することができる。これにより、カラーフィルタ基板100を製造する際に、導電膜層の製造プロセスを省略することにより、カラーフィルタ基板100の全体的な製造プロセスサイクルを短縮し、カラーフィルタ基板100の製造効率を高めることができる。
【0017】
カラーレジストユニット20の製造材料は、フォトレジスト材料と導電材料を含み、フォトレジスト材料の主成分は、溶剤、顔料、分散剤、モノマー、重合体及び光開始剤などである。フォトレジスト材料により、カラーレジストユニット20は自然光のスペクトルの一部を吸収し、それと一致する単色スペクトルのみを透過させ、混色における原色を形成する。導電材料により、カラーレジストユニット20が導電性を有し、導電材料は、具体的には導電性ナノ材料、炭素材料又は導電性有機ポリマーのうちの少なくとも1種であってもよく、他のタイプの導電材料であってもよい。
【0018】
導電膜層の導電性は、その電気伝導率の厚さに関係し、電気伝導率が高いほど、また厚さが大きいほど、導電性に優れている。従来技術のカラーフィルタ基板100は、導電膜層として、一般にITO膜層を選択し、その厚さを一般的に0.09~0.15ミクロンに制御することにより、ITO膜層が十分な電気伝導率を有する。本願の実施例におけるカラーフィルタ基板100において、カラーフィルタ層の光透過性を保証するために、カラーフィルタ層の厚さを1.0~2.5ミクロンに制御し、つまり、カラーレジストユニット20の電気伝導率はITO膜層の1/10程度に達すれば、ITO膜層と同じ導電効果を達成することができる。
【0019】
例示的には、前記導電材料は、導電性ナノ材料を含み、前記カラーレジストユニット20における前記導電性ナノ材料の重量百分率は、10wt%~50wt%であり、例えば、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%又は50wt%であってもよい。導電性ナノ材料は、例えば、銀ナノワイヤであってもよく、銀ナノワイヤは、銀の優れた導電性に加えて、ナノスケールのサイズ効果により、優れた光透過性、耐屈曲性を有する。したがって、銀ナノワイヤをフォトレジスト材料に混合すると、カラーレジストユニット20が導電性を有するだけでなく、光透過性への影響を低減することができる。カラーレジストユニット20における導電性ナノ材料の重量百分率を10wt%~50wt%に設定すると、カラーレジストユニット20が十分な電気伝導率を有するだけでなく、導電性ナノ材料の割合が高すぎてカラーレジストユニット20の光透過性に影響を与えることを回避することができる。
【0020】
例示的には、前記導電材料は、炭素材料を含み、前記カラーレジストユニット20における前記炭素材料の重量百分率は、10wt%~50wt%であり、例えば、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%又は50wt%であってもよい。炭素材料は、具体的にはナノ炭素材料であってもよく、例えば、カーボンナノバルーン、グラフェン、カーボンナノチューブなどである。ナノ炭素材料は、カラーレジストユニット20の電気伝導率を改善することにより、カラーフィルタ層は導電性を有するだけでなく、光透過性を有する。前記カラーレジストユニット20における炭素材料の重量百分率を10wt%~50wt%に設定すると、カラーレジストユニット20が十分な電気伝導率を有するだけでなく、炭素材料の割合が高すぎてカラーレジストユニット20の光透過性に影響を与えることを回避することができる。
【0021】
例示的には、前記導電材料は、導電性有機ポリマーを含み、前記カラーレジストユニット20における前記導電性有機ポリマーの重量百分率は、20wt%~50wt%であり、例えば、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%又は50wt%であってもよい。導電性有機ポリマー、すなわち導電性高分子は、例えば、ポリチオフェンPEDOT、ポリアセチレン、ポリアニリンのうちの少なくとも1種であってもよい。導電性有機ポリマーは、フォトレジスト材料との適合性が高く、カラーレジストユニット20の光透過性と色への影響を低減することにより、カラーレジストユニット20の光透過性を保証することができる。前記カラーレジストユニット20における導電性有機ポリマーの重量百分率を20wt%~50wt%に設定すると、カラーレジストユニット20が十分な電気伝導率を有するだけでなく、導電性有機ポリマーの割合が高すぎてカラーレジストユニット20の光透過性に影響を与えることを回避することができる。
【0022】
隣接する2つのカラーレジストユニット20に交差領域21があり、異なる色のカラーレジストユニット20は、交差領域21で混合して新しい色を形成し、ランダム散乱光は混色後の交差領域21から出射することができないため、ランダム散乱光を遮断することができる。従って、カラーフィルタ基板100に、ランダム散乱光を遮断するためのブラックマトリクス30を設けなくてもよい。しかしながら、同じ色の隣接する2つのカラーレジストユニット20について、交差領域21で混合して新しい色を形成することができないため、ランダム散乱光を遮断しにくい。当該問題を解決するために、同じ色の隣接する2つのカラーレジストユニット20の間の交差領域を遮断するように、遮光構造、例えばブラックマトリクス30を設ける必要がある。
【0023】
図3は、本願の実施例におけるブラックマトリクス30の概略断面図である。例示的に、
図2及び
図3に示すように、前記カラーフィルタ基板100は、前記ベース基板10に設けられたブラックマトリクス30であって、複数の開口領域31と、それぞれが隣接する2つの前記開口領域31の間に位置する複数の遮光領域32とを含むブラックマトリクス30をさらに含み、各前記カラーレジストユニット20は、各前記開口領域31に設けられ、隣接する2つの前記カラーレジストユニット20は、前記遮光領域32の前記ベース基板10から離れた側に交差領域21を形成する。
【0024】
ブラックマトリクス30の作用は、液晶層300からのランダム散乱光を遮断し、サブ画素間の混色を防止し、かつ周囲光が薄膜トランジスタアレイ基板200のチャネルに照射することを防止することである。カラーフィルタ基板100を製造する際に、一般に、ブラックマトリクス30を製造してから、各カラーレジストユニット20がブラックマトリクス30の各開口領域31内に位置するように、ブラックマトリクス30にカラーフィルタ層を製造する。ブラックマトリクス30は、黒色材料のコーティング-露光-現像処理のプロセスにより製造され、カラーレジストユニット20は、カラーレジスト材料のコーティング-露光-現像処理のプロセスにより製造される。なお、カラーレジスト材料をコーティングする過程において、隣接する2つのカラーレジストユニット20のカラーレジスト材料をいずれもブラックマトリクス30の遮光領域32にコーティングして、交差領域21を形成し、露光過程に当該交差領域21を保留するために、それに応じてフォトマスク50を調整する必要がある。
【0025】
例えば、
図4は、本願の実施例におけるカラーフィルタ層の露光過程の概略図である。
図4に示すように、フォトマスク50は、グレートーンマスク50を用いることができ、グレートーンマスク50は透光領域51と半透光領域52を有し、透光領域51をブラックマトリクス30の開口領域31に対応させることにより、露光-現像処理後にカラーレジストユニット20を形成することができ、半透光領域52をブラックマトリクス30の遮光領域32に対応させることにより、露光過程に交差領域21を固化し、かつ交差領域21の一部の厚さを減少させて、現像処理後に交差領域21を保留するだけでなく、交差領域21の厚さを減少させて、カラーフィルタ基板100の全体的な厚さに対する影響を低減することができる。
【0026】
交差領域21を保留する別の方式では、フォトマスク50は、一般的なフォトマスク50であってもよく、すなわち、透光領域と遮光領域のみを含み、透光領域はブラックマトリクス30の開口領域31に対応し、表示パネルでは、ブラックマトリクス30の開口領域31は、アレイ基板200にある画素電極40に一対一対応し、かつ開口領域31の投影面積は画素電極40の投影面積と同じである。したがって、フォトマスク50を用いて露光する過程において、フォトマスク50の透光領域の面積を適切に増加させることにより、フォトマスク50の透光領域がブラックマトリクス30の開口領域31よりも大きくすることができる。このようにして、露光過程において、ブラックマトリクス30の一部の遮光領域32も露光されて、カラーレジスト材料の露光面積を増加させることができ、最終的にアレイ基板200におけるカラーレジストユニット20の投影面積は、ブラックマトリクス30の開口領域31と画素電極40の投影面積よりも大きく、つまり、ブラックマトリクス30の遮光領域32におけるカラーレジストユニット20の交差領域21は固化して保留される。
【0027】
例示的に、
図2及び
図3に示すように、各前記遮光領域32の幅は、前記ベース基板10に近接する端から前記ベース基板10から離間する端に向かって徐々に小さくなる。このようにして、カラーフィルタ基板100における遮光領域32の投影面積に影響を与えず、つまり、遮光領域32のランダム散乱光に対する遮光面積に影響を与えないだけでなく、隣接する2つのカラーレジストユニット20が遮光領域32で交差領域21をよりスムーズに形成することができ、カラーフィルタ層全体の導電性を保証する。
【0028】
図5は、本願の実施例に係るカラーフィルタ基板100の製造方法の工程を示す概略図である。例示的に、
図5に示すように、本願の実施例によれば、前述したカラーフィルタ基板100を製造する、カラーフィルタ基板100の製造方法であって、
ベース基板10を提供するS100と、
前記ベース基板10にカラーフィルタ層を設けるステップS200であって、前記カラーフィルタ層は、複数のカラーレジストユニット20を含み、隣接する2つの前記カラーレジストユニット20の間に交差領域21が形成され、前記カラーレジストユニット20の製造材料は、フォトレジスト材料と導電材料を含むステップS200と、を含むカラーフィルタ基板100の製造方法が提供される。
【0029】
ステップS100では、ベース基板10に対して初期洗浄を行う。ここでの初期洗浄は、ベース基板10を洗浄槽に入れ、化学的又は物理的方法でベース基板10の表面のほこり又は不純物を除去し、これらのほこり又は不純物が後続の製造プロセスに影響を与えることを防止し、さらに洗浄されたベース基板10にクロムスパッタリングを行って、ベース基板10の性能を向上させる。
【0030】
ステップS200では、カラーレジスト材料のコーティング、露光、現像処理のプロセスステップによりカラーレジストユニット20を形成することができ、カラーレジスト材料にはフォトレジスト材料と導電材料が混合される。カラーレジスト材料は、カラーフィルタ基板100を製造する前に予め準備して、カラーフィルタ層の製造効率を高めることができる。カラーレジストユニット20は、赤、緑、青の3色を含み、3色のカラーレジストユニット20は、材料が実質的に同じであり、顔料で相違する。実際の製造過程において、一般に、そのうちの1色のカラーレジストユニット20を製造してから、順に第2色、第3色のカラーレジストユニット20を製造する。
【0031】
図6は、本願の実施例に係るカラーフィルタ基板100の製造方法の工程を示す詳細図である。例示的に、
図6に示すように、前記ベース基板10にカラーフィルタ層を設けるステップは、
前記ベース基板10にカラーレジスト材料層をコーティングするステップS210であって、前記カラーレジスト材料層は、カラーレジストユニット20を形成する表示領域と、隣接する2つの表示領域の間に設けられた交差領域21とを含むステップS210と、
グレートーンマスク50を用いてカラーレジスト材料層を露光するステップS220であって、前記グレートーンマスク50は、前記表示領域に対応する透光領域51と前記交差領域21に対応する半透光領域52を含むステップS220と、
露光後のカラーレジスト材料層に対して現像処理を行うステップS230と、を含む。
【0032】
ステップS220では、グレートーンマスク50は、透光領域51と半透光領域52を含み、透光領域51をブラックマトリクス30の開口領域31に対応させることにより、露光-現像処理後にカラーレジストユニット20を形成することができ、半透光領域52をブラックマトリクス30の遮光領域32に対応させることにより、露光過程において交差領域21の一部を固化し、かつ交差領域21の一部の厚さを減少させて、現像処理後に交差領域21を保留するだけでなく、交差領域21の厚さを減少させて、カラーフィルタ基板100の全体的な厚さに対する影響を低減することができる。本実施例において、交差領域21の一部を保留することは、露光現像処理過程においてカラーフィルタ基板100の厚さ方向から交差領域21の厚さを減少させ、減少した交差領域21が依然として隣接する2つのカラーレジストユニット20を効果的に接続することを意味する。
【0033】
ステップS230では、露光後のカラーレジスト材料層に対して現像処理を行った後、固化されたカラーレジストユニット20を得ることができ、交差領域も露光過程において部分的に固化されるため、交差領域21の一部も現像処理後に効果的に保留することができる。
【0034】
図7は、本願の実施例に係るカラーフィルタ基板100の製造方法の工程を示す詳細図である。例示的に、
図7に示すように、前記ベース基板10にカラーフィルタ層を設けるステップは、
前記ベース基板10に、遮光領域32と開口領域31を含むブラックマトリクス30を設けるステップS240と、
前記ブラックマトリクス30に、遮光領域32に交差領域21を形成するカラーレジスト材料層をコーティングするステップS250と、
フォトマスク50を用いて前記カラーレジスト材料層を露光するステップS260と、
露光後のカラーレジスト材料層に対して現像処理を行うステップS270と、を含む。
【0035】
ステップS240では、ブラックマトリクス30は、黒色材料のコーティング、露光、現像処理のプロセスステップにより形成することができる。ブラックマトリクス30の作用は、液晶層300からのランダム散乱光を遮断し、サブ画素間の混色を防止し、かつ周囲光が薄膜トランジスタアレイ基板200のチャネルに照射することを防止することである。カラーフィルタ基板100を製造する際に、一般に、ブラックマトリクス30を製造してから、各カラーレジストユニット20がブラックマトリクス30の各開口領域31内に位置するように、ブラックマトリクス30にカラーフィルタ層を製造する。なお、ステップS250では、隣接する2つのカラーレジストユニット20のカラーレジスト材料をいずれもブラックマトリクス30の遮光領域32にコーティングして、交差領域21を形成し、ステップS260では当該交差領域21を保留するために、それに応じてフォトマスク50を調整する必要がある。1種の調整方式について、上記ステップ210~230の実施例を参照することができる。
【0036】
フォトマスク50の別の調整方式では、フォトマスク50は、一般的なフォトマスク50であってもよく、すなわち、透光領域と遮光領域のみを含み、透光領域はブラックマトリクス30の開口領域31に対応し、表示パネルでは、ブラックマトリクス30の開口領域31は、アレイ基板200にある画素電極40に一対一対応し、かつ開口領域31の投影面積は画素電極40の投影面積と同じである。したがって、フォトマスク50を用いて露光する過程において、フォトマスク50の透光領域の面積を適切に増加させることにより、フォトマスク50の透光領域がブラックマトリクス30の開口領域31よりも大きくすることができる。このようにして、露光過程において、ブラックマトリクス30の一部の遮光領域32も露光されて、カラーレジスト材料の露光面積を増加させることができ、最終的にアレイ基板200におけるカラーレジストユニット20の投影面積は、ブラックマトリクス30の開口領域31と画素電極40の投影面積よりも大きく、つまり、ブラックマトリクス30の遮光領域32におけるカラーレジストユニット20の交差領域21は固化して保留される。
【0037】
ステップ270では、露光後のカラーレジスト材料層に対して現像処理を行った後、固化されたカラーレジストユニット20を得ることができ、交差領域も露光過程において固化されるため、交差領域21も現像処理後に効果的に保留される。
【0038】
本願の実施例によれば、アレイ基板200、液晶層300及び前述したカラーフィルタ基板100を含み、前記液晶層300が、前記アレイ基板200と前記カラーフィルタ基板100との間に設けられた表示パネルがさらに提供される。表示パネルは、電子ペーパー、携帯電話、タブレットコンピュータ、テレビ、ディスプレイ、ノートパソコン、デジタルフォトフレーム、ナビゲーターなどの表示機能を有する任意の製品又は部材であってもよい。
【0039】
例示的には、前記アレイ基板200には各前記カラーレジストユニット20に一対一対応する画素電極40が設けられ、前記アレイ基板200における前記カラーレジストユニット20の投影面積は、前記画素電極40の投影面積よりも大きい。表示パネルでは、ブラックマトリクス30の開口領域31は、アレイ基板200にある画素電極40に一対一対応し、かつ開口領域31の投影面積は、画素電極40の投影面積と同じである。したがって、フォトマスク50を用いて露光する過程において、フォトマスク50の透光領域の面積を適切に増加させることにより、フォトマスク50の透光領域がブラックマトリクス30の開口領域31よりも大きくすることができる。このようにして、露光過程において、ブラックマトリクス30の一部の遮光領域32も露光されて、カラーレジスト材料の露光面積を増加させることができ、最終的にアレイ基板200におけるカラーレジストユニット20の投影面積は、ブラックマトリクス30の開口領域31と画素電極40の投影面積よりも大きく、つまり、ブラックマトリクス30の遮光領域32におけるカラーレジストユニット20の交差領域21は固化して保留される。
【0040】
本願の実施例に係るカラーフィルタ基板100において、カラーレジストユニット20をフォトレジスト材料と導電材料で製造することにより、カラーレジストユニット20が導電性を有し、隣接する2つのカラーレジストユニット20ごとに交差領域21をさらに形成することにより、複数のカラーレジストユニット20電気的導通を形成することができる。このようにして、カラーフィルタ層は、カラーフィルタ基板100にある電極として直接機能することができ、カラーフィルタ基板100とアレイ基板200との間に電界を形成して液晶層300の液晶の配向を制御することもできる。つまり、カラーフィルタ基板100を製造する際に、導電膜層の製造ステップを省略することにより、カラーフィルタ基板100の製造プロセスサイクルを短縮し、カラーフィルタ基板100の製造効率を高めるとともに、カラーフィルタ基板の製造コストを低減することができる。
【0041】
上記実施例において、各実施例の記載についてそれぞれ重点が置かれ、ある実施例で詳しく説明していない部分については、他の実施例の関連部分の記載を参照されたい。
【0042】
本願の説明において、用語「第1」、「第2」は、目的を説明するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示するか又は示唆し、或いは指示された技術的特徴の数を暗示的に指示すると理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、1つ以上の前記特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。
【0043】
以上、本願の実施例に係るカラーフィルタ基板について詳細に説明した。本明細書において具体例を用いて本願の原理及び実施形態を解説したが、以上の実施例の説明は、本願の方法及びその主旨の理解を容易にするためのものに過ぎず、また、当業者であれば、本願の思想をもとにして、具体的な実施形態及び応用の範囲に対して変更を加えることができるだろう。以上より、本明細書の内容は、本願を限定するものと理解すべきではない。
【国際調査報告】