(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ウェルツ酸化物からハロゲン化物を除去する方法
(51)【国際特許分類】
C22B 3/12 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
C22B3/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552316
(86)(22)【出願日】2023-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 KR2023007052
(87)【国際公開番号】W WO2023234623
(87)【国際公開日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0132507
(32)【優先日】2022-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519197594
【氏名又は名称】高麗亞鉛株式会社
【氏名又は名称原語表記】KOREA ZINC CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ホン シク
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,ジェ フン
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA09
4K001AA10
4K001AA20
4K001AA30
4K001BA05
4K001CA08
4K001DB08
4K001DB14
(57)【要約】
本開示は、ハロゲン化物を含むウェルツ酸化物(Waelz oxide)からハロゲン化物を除去するための方法に関する。このような方法によれば、ウェルツ酸化物に含まれるハロゲン化物、特に常圧条件で除去が難しく、不溶性で存在するCaF
2のような不溶性フッ化物を効果的に除去することができ、これにより有価金属の回収工程で電解液に存在するフッ素または塩素の濃度調節のための追加工程を減らし費用を減少させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化物を含むウェルツ酸化物からハロゲン化物を除去する方法であり、
ウェルツ酸化物を含むウェルツ酸化物ケーキをアルカリと共に加圧条件で加熱してハロゲン化物を除去する加圧アルカリ洗浄工程を含む、ハロゲン化物除去方法。
【請求項2】
前記加圧アルカリ洗浄工程から得られたケーキを水と攪拌してハロゲン化物を除去するリパルプ工程をさらに含む、請求項1に記載のハロゲン化物除去方法。
【請求項3】
前記加圧アルカリ洗浄工程において、アルカリは、ソーダ灰または苛性ソーダである、請求項1または2に記載のハロゲン化物除去方法。
【請求項4】
前記ソーダ灰の量が、前記ウェルツ酸化物ケーキ1トン当たり100kg~300kgである、請求項3に記載のハロゲン化物除去方法。
【請求項5】
前記加圧アルカリ洗浄工程において、加圧圧力は、2~3気圧である、請求項1または2に記載のハロゲン化物除去方法。
【請求項6】
前記加圧アルカリ洗浄工程において、反応温度は、140℃~160℃である、請求項1に記載のハロゲン化物除去方法。
【請求項7】
前記リパルプ工程は、50℃~70℃の水と攪拌して行われる、請求項2に記載のハロゲン化物除去方法。
【請求項8】
前記リパルプ工程から脱ハロゲン化されたケーキを回収するリパルプケーキ回収工程をさらに含む、請求項2に記載のハロゲン化物除去方法。
【請求項9】
(1)ウェルツ酸化物を含むウェルツ酸化物ケーキをアルカリと共に加圧条件で加熱する加圧アルカリ洗浄工程と、
(2)前記加圧アルカリ洗浄工程から得られたケーキを水と攪拌するリパルプ工程と、
(3)前記リパルプ工程から得られたケーキを回収するリパルプケーキ回収工程と、
(4)酸溶解工程および電解工程を経て有価金属を回収する工程と、を含む、ウェルツ酸化物から有価金属を回収する方法。
【請求項10】
有価金属は、亜鉛、鉛、鉄、または銅である、請求項9に記載のウェルツ酸化物から有価金属を回収する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハロゲン化物を含むウェルツ酸化物(Waelz Oxide)からハロゲン化物を除去するための方法に関する。また、本開示はハロゲン化物が除去されたウェルツ酸化物ケーキから有価金属を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェルツプロセス(Waelz process)は、ウェルツキルン(Waelz kiln)と呼ばれるロータリーキルンを使用して電気炉粉塵等の製鋼工場の廃棄物またはその他リサイクル物質から酸化物ケーキを得る方法を称する。この工程で得られる酸化物をウェルツ酸化物といい、普通は亜鉛またはその他の有価金属がかなり濃縮されている。
【0003】
ウェルツ酸化物のような原料を使用した有価金属回収工程(例:亜鉛回収工程)は硫酸のような酸での溶解過程、溶解液を電解液として使用する電解過程を経るようになる。このような原料が電解過程で有価金属回収を目的に直接使用されるためには、原料内のフッ素(F)と塩素(Cl)の含量が高くてはならない。電解液にこのような成分が蓄積されれば、電極の腐食と電流効率低下等の問題を発生させるためである。ウェルツ酸化物を有価金属回収工程の原料として使用する場合に、このような原料には、ハロゲン化物、特に製鋼粉塵から運搬(carry over)されたり、ウェルツ酸化物の製造時に原料に存在するPbF2またはZnF2のようなフッ化物が存在する。このようなフッ化物は、ウェルツ酸化物製造工程でCaOと反応して不溶性フッ化物であるCaF2を生成するため、後工程でCaF2を除去しなければならないという問題が発生する。このような問題を解決するために、ウェルツ酸化物内に存在するハロゲン化物を除去するための様々な方法が使用されている。
【0004】
その方法として、常圧条件でソーダ灰(Na2CO3)を用いてハロゲン化物を除去する常圧アルカリ洗浄(alkali washing)工程、ウェルツ酸化物溶解液にCaCO3、Ca(OH)2および硫酸アルミニウム(Al2(SO4)3)を投入することによるフッ素(F)の選択的沈殿工程等がある。
【0005】
常圧アルカリ洗浄工程の場合に、水溶性で存在する塩素(Cl)の除去率は99%以上であるが、フッ素の場合は、不溶性であるCaF2で存在し、元材1トン当たり300kgのソーダ灰を投入してもフッ素の除去率は約69%に留まる問題点がある。
【0006】
フッ素の選択的沈殿工程はウェルツ酸化物を常圧条件でアルカリ洗浄したケーキを亜鉛電解排液(Zn Spent)に溶解した後、CaCO3、Ca(OH)2、および硫酸アルミニウムを投入して選択的にフッ素を沈殿させるため、溶解液のうちのフッ素を約56mg/Lまで除去することが可能である。しかし、CaCO3、Ca(OH)2、硫酸アルミニウムの投入により多量の石膏(CaSO4)が発生するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、上記のような問題点を解決するために創案されたものであり、本開示ではウェルツ酸化物からフッ素の除去率を高めることを目的とする。
【0008】
本開示はまた、ウェルツ酸化物の処理時に石膏が多量に発生するという問題を解決することを目的とする。
【0009】
本開示はまた、オートクレーブを用いた加圧アルカリ洗浄方法を用いてウェルツ酸化物からハロゲン化物を除去する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一実施態様は、ハロゲン化物を含むウェルツ酸化物からハロゲン化物を除去する方法であり、ウェルツ酸化物を含むウェルツ酸化物ケーキをアルカリと共に加圧条件で加熱してハロゲン化物を除去する加圧アルカリ洗浄工程を含むハロゲン化物除去方法に関する。
【0011】
本開示の一実施態様による方法は、加圧アルカリ洗浄工程を通じてウェルツ酸化物のうち、常圧アルカリ洗浄工程では除去し難いハロゲン化物、特に、不溶性で存在するフッ素(F)をオートクレーブを用いて加圧条件で除去することができる。
【0012】
一実施態様において、ハロゲン化物除去方法は、加圧アルカリ洗浄工程から得られたケーキを水と攪拌してハロゲン化物を除去するリパルプ工程をさらに含んでいてもよい。このような工程を通じて加圧アルカリ洗浄工程から得られたケーキに残っている残余水溶性ハロゲン化物を水で除去することができる。
【0013】
一実施態様において、加圧アルカリ洗浄工程において、アルカリは、ソーダ灰または苛性ソーダであってもよい。
【0014】
一実施態様において、ソーダ灰の量は、前記ウェルツ酸化物ケーキ1トン当たり100kg~300kgであってもよい。
【0015】
一実施態様において、加圧アルカリ洗浄工程において、加圧圧力は、2~3気圧であってもよい。
【0016】
一実施態様において、加圧アルカリ洗浄工程において、反応温度は、140℃~160℃であってもよい。
【0017】
一実施態様において、加圧アルカリ洗浄工程は、1時間~3時間行われてもよい。
【0018】
一実施態様において、リパルプ工程は、50℃~70℃の水と攪拌して行われてもよい。
【0019】
一実施態様において、リパルプ工程は、1時間~2時間行われてもよい。
【0020】
一実施態様において、ハロゲン化物は、フッ素または塩素のうち少なくとも一つ以上であってもよい。
【0021】
一実施態様において、加圧アルカリ洗浄工程は、オートクレーブで行われてもよい。
【0022】
一実施態様において、ハロゲン化物除去方法は、リパルプ工程から脱ハロゲン化されたケーキを回収するリパルプケーキ回収工程をさらに含んでいてもよい。
【0023】
本開示の一実施態様は、ウェルツ酸化物から有価金属を回収する方法に関するものであり、上記方法は、(1)ウェルツ酸化物を含むウェルツ酸化物ケーキをアルカリと共に加圧条件で加熱する加圧アルカリ洗浄工程と、(2)前記加圧アルカリ洗浄工程から得られたケーキを水と攪拌するリパルプ工程と、(3)前記リパルプ工程から得られたケーキを回収するリパルプケーキ回収工程と、(4)酸溶解工程および電解工程を経て有価金属を回収する工程とを含んでいてもよい。
【0024】
一実施態様において、有価金属は、亜鉛、鉛、鉄、または銅であってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本開示の一実施態様による方法は、ウェルツ酸化物に含まれるハロゲン化物の除去率を増加させることができ、加圧条件で反応を行うことにより投入される副原料の使用量を減少させることができる。また、本開示の方法によれば、常圧アルカリ洗浄工程と異なってフッ素をさらに除去するための過程が必要でなく、石膏のような副産物が発生しないため、副産物を処理するための費用を減少させることができる。
【0026】
本開示の一実施態様による方法は、ウェルツ酸化物に含まれるハロゲン化物、特に常圧条件で除去が難しく、不溶性で存在するCaF2のような不溶性フッ化物を効果的に除去することができ、これにより有価金属の回収工程で電解液に存在するフッ素または塩素の濃度調節のための追加工程を減らし費用を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本開示の一実施態様によるハロゲン化物除去方法を図式化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本文書に記載された多様な実施態様または実施例は、本開示の技術的思想を明確に説明する目的で例示されたものであり、これを特定の実施形態に限定しようとするものではない。本開示の技術的思想は、本文書に記載された各実施態様または実施例の多様な変更、均等物、代替物および各実施態様または実施例の全部または一部から選択的に組み合わせられた実施態様または実施例を含んでいる。
【0029】
本開示の一実施態様は、ハロゲン化物を含むウェルツ酸化物からハロゲン化物を除去する方法に関する。
【0030】
本開示において「ウェルツ酸化物」は、一般にウェルツ工程またはウェルツ方法の主生成物を意味する。ここで、「ウェルツ工程」または「ウェルツ方法」は、一般に、例えば亜鉛を含有した電気炉の製鋼粉塵のような亜鉛含有残余物質を回転管炉または回転炉内で再処理するための冶金方法を意味する。本開示において、ウェルツ酸化物は、亜鉛酸化物(ZnO)を主成分として含んでいてもよい。本開示において、ウェルツ酸化物は、鉛、鉄、銅、またはこれらの酸化物を含んでいてもよい。それ以外に、ウェルツ酸化物は、一般に、フッ素(例:フルオリンまたはフルオリド)または塩素のようなハロゲン化物を含み得、さらに鉛等のその他有害な汚染物を含んでいてもよい。
【0031】
一実施態様において、ハロゲン化物除去方法は、ウェルツ酸化物を含むケーキをアルカリと共に加圧条件で加熱してハロゲン化物を除去する加圧アルカリ洗浄工程(S100)を含んでいる。一実施態様において、加圧アルカリ洗浄工程(S100)はウェルツ酸化物を含むウェルツ酸化物ケーキをアルカリと共に攪拌して行われるものであってもよい。このような加圧アルカリ洗浄工程(S100)は常圧アルカリ洗浄条件では除去し難いハロゲン化物を予め除去する工程であり、特にCaF2のようにウェルツ酸化物内に不溶性で存在するフッ素を約90%以上除去または精製することができる。
【0032】
加圧アルカリ洗浄工程(S100)が行われる原理は、下の反応式1の通りである。
【0033】
CaF2+Na2CO3=2NaF+CaCO3…(反応式1)
【0034】
一実施態様において、アルカリは、ソーダ灰または苛性ソーダであってもよい。ソーダ灰は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)を意味し、特に炭酸ナトリウム無水物であってもよい。苛性ソーダは、水酸化ナトリウム(NaOH)を意味する。一実施態様において、アルカリは、ウェルツ酸化物を含むケーキ1トン当たり100kg~300kgの量で工程に投与され得る。また、この工程に投与されるアルカリの量は、好ましくはウェルツ酸化物ケーキ1トン当たり、120kg~250kg、さらに好ましくは150kg~200kgであってもよい。
【0035】
一実施態様において、加圧アルカリ洗浄工程(S100)の加圧圧力は、2~3気圧であってもよい。
【0036】
一実施態様において、加圧アルカリ洗浄工程(S100)の反応温度は、140℃~160℃で行われてもよい。
【0037】
一実施態様において、加圧アルカリ洗浄工程(S100)は、1時間~3時間行われ得る。また、この実行時間は、好ましくは1.5時間~3時間、さらに好ましくは2時間~3時間であってもよい。
【0038】
一実施態様において、ハロゲン化物除去方法は加圧アルカリ洗浄工程(S100)から得られたケーキを水と攪拌してハロゲン化物を除去するリパルプ工程(S200)をさらに含んでいてもよい。リパルプ工程(S200)は、加圧アルカリ洗浄工程(S100)で除去することができず、ケーキに残余する水溶性ハロゲン化物を除去または精製する工程である。
【0039】
一実施態様において、リパルプ工程(S200)は、50℃~70℃の水と攪拌して行われるものであってもよい。また、この温度は、好ましくは55℃~70℃であり、さらに好ましくは60℃~70℃であってもよい。
【0040】
一実施態様において、リパルプ工程(S200)は、1時間~2時間行われ得る。また、この時間は、好ましくは1.5時間~2時間であってもよい。
【0041】
それぞれの一実施態様において、加圧アルカリ洗浄工程(S100)またはリパルプ工程(S200)で工程を行う条件(例:アルカリ投与量、圧力、温度、または時間)が、各条件の最小数値未満の場合に、ハロゲン化物が充分除去されないことがあり、最大数値超過の場合には、工程の効率性または経済性に悪い影響を及ぼす可能性がある。
【0042】
一実施態様において、ハロゲン化物は、フッ素および/または塩素であってもよい。ウェルツ酸化物に含まれるハロゲン化物は多様な形態で存在し得、フッ素および/または塩素原子が化合物として含まれ得る形態であれば制限されずに採用可能である。
【0043】
一実施態様において、加圧アルカリ洗浄工程(S100)はオートクレーブで行われ得る。オートクレーブは垂直型オートクレーブまたは水平型オートクレーブであってもよい。垂直型オートクレーブは工程液が注入される注入口、工程液が排出される排出口、工程液に酸素を供給する酸素注入口、工程液を混合する攪拌機、外部シェル、耐酸性レンガ層、耐酸性金属層およびキャップリングを含んでいてもよい。
【0044】
一実施態様において、ハロゲン化物除去方法は、リパルプ工程(S200)から脱ハロゲン化されたケーキを回収するリパルプケーキ回収工程(S300)をさらに含んでいてもよい。
【0045】
本開示の一実施態様は、(1)ウェルツ酸化物を含むケーキをアルカリと共に加圧条件で加熱する加圧アルカリ洗浄工程(S100)と、(2)加圧アルカリ洗浄工程(S100)から得られたケーキを水と攪拌するリパルプ工程(S200)と、(3)リパルプ工程(S200)から得られたケーキを回収するリパルプケーキ回収工程(S300)とを含み、(4)酸溶解工程および電解工程を経て有価金属を回収する工程を含む、ウェルツ酸化物から有価金属を回収する方法に関するものであってもよい。一実施態様において、有価金属は、亜鉛、鉛、鉄、または銅であってもよい。
【0046】
以下、実施例を挙げ本開示の構成および効果をより具体的に説明する。しかし、これらの実施例は本開示に対する理解を助けるために例示の目的だけで提供されたものに過ぎず、本開示の範疇および範囲が下記の実施例によって制限されるわけではない。
【0047】
[実施例1]
フッ素0.25%、塩素7.55%を含むウェルツ酸化物(Waelz Oxide)を原料として使用した。加圧アルカリ洗浄工程で原料180g/Lを水に混合し、ソーダ灰(Na2CO3)をウェルツ酸化物原料1トン当たり120kg投入した。このように準備された混合液をオートクレーブ内部で140℃で加熱し2時間攪拌しながら反応させた。
【0048】
加圧アルカリ洗浄工程(S100)からケーキを得た。このように得られたケーキをリパルプ工程(S200)で150g/Lの量で60℃の水に混合し2時間攪拌してハロゲン化物を除去した。
【0049】
加圧アルカリ洗浄工程後に得られたケーキと、リパルプ工程で得られたケーキに含まれるフッ素と塩素の含量を、燃焼イオンクロマトグラフィシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック社;モデル名:AQF-2100H)で測定した。
【0050】
[実施例2]
加圧アルカリ洗浄工程でソーダ灰投入量を投入されるケーキ1トン当たり150kgに調節したことを除いては、実施例1と同一の方法で実験した。
【0051】
[実施例3]
加圧アルカリ洗浄工程でソーダ灰投入量を投入されるケーキ1トン当たり200kgに調節したことを除いては、実施例1と同一の方法で実験した。
【0052】
[実施例4]
加圧アルカリ洗浄工程で反応温度を150℃に調節したことを除いては、実施例1と同一の方法で実験した。
【0053】
[実施例5]
加圧アルカリ洗浄工程で反応温度を150℃に調節し、かつ、ソーダ灰投入量を投入されるケーキ1トン当たり150kgに調節したことを除いては、実施例1と同一の方法で実験した。
【0054】
[実施例6]
加圧アルカリ洗浄工程で反応温度を150℃に調節し、かつ、ソーダ灰投入量を投入されるケーキ1トン当たり200kgに調節したことを除いては、実施例1と同一の方法で実験した。
【0055】
[実施例7]
加圧アルカリ洗浄工程で反応温度を160℃に調節したことを除いては、実施例1と同一の方法で実験した。
【0056】
[実施例8]
加圧アルカリ洗浄工程で反応温度を160℃に調節し、かつ、ソーダ灰投入量を投入されるケーキ1トン当たり150kgに調節したことを除いては、実施例1と同一の方法で実験した。
【0057】
[実施例9]
加圧アルカリ洗浄工程で反応温度を160℃に調節し、ソーダ灰投入量を投入されるケーキ1トン当たり200kgに調節したことを除いては、実施例1と同一の方法で実験した。
【0058】
[比較例1]
アルカリ洗浄工程で常圧条件で反応温度を80℃に調節し、ソーダ灰投入量を投入されるケーキ1トン当たり150kgに調節したことを除いては、実施例1と同一の方法で実験した。
【0059】
[比較例2]
アルカリ洗浄工程で常圧条件で反応温度を85℃に調節し、かつ、ソーダ灰投入量を投入されるケーキ1トン当たり150kgに調節したことを除いては、実施例1と同一の方法で実験した。
【0060】
[比較例3]
アルカリ洗浄工程で常圧条件で反応温度を90℃に調節し、かつ、ソーダ灰投入量を投入されるケーキ1トン当たり150kgに調節したことを除いては、実施例1と同一の方法で実験した。
【0061】
[比較例4]
アルカリ洗浄工程で常圧条件で反応温度を95℃に調節し、かつ、ソーダ灰投入量を投入されるケーキ1トン当たり150kgに調節したことを除いては、実施例1と同一の方法で実験した。
【0062】
上記実施例ならびに比較例の、反応条件と、ケーキ内に存在するフッ素および塩素の含量とを、下の表1に示す。
【表1】
【0063】
表1によれば、本開示の一実施態様によって加圧アルカリ洗浄工程を行った場合に、ウェルツ酸化物に存在するフッ素の含量が少なくとも略80%減少した。一方、常圧条件でアルカリ洗浄工程を行う場合には、ウェルツ酸化物に存在するフッ素の含量が略50%減少し、これは従来の工程が不溶性CaF2で存在するフッ素を効果的に除去できないということを表す。また、本開示の一実施態様によって加圧アルカリ洗浄工程後にリパルプ工程を行った場合に、フッ素含量がさらにさらに減少することを確認できる。さらに、表1によれば、本開示の一実施態様によって加圧アルカリ洗浄工程後にリパルプ工程を行った場合には、最終塩素の含量はアルカリ洗浄ケーキの含量と比較して少なくとも80%減少した。一方、常圧条件でアルカリ洗浄工程を行った後にリパルプ工程を行った場合には、最終塩素含量は、アルカリ洗浄ケーキと比較して殆ど減少しなかった。
【0064】
最終的に、本開示の一実施態様による方法によれば、原料であるウェルツ酸化物に存在するフッ素の含量を約85%~約90%除去することができ、塩素の含量を約99%除去することができた。このような結果は、本開示の一実施態様による方法により、ウェルツ酸化物に含まれるハロゲン化物を顕著かつ効果的に除去することができることを表す。
【0065】
本明細書においては、本発明を一部実施例と関連して説明したが、本発明が属する技術分野の通常の技術者が理解できる本発明の精神および範囲を逸脱しない範囲において、多様な変形および変更がなされ得る点を理解すべきである。また、そのような変形および変更は、本明細書に添付された特許請求の範囲内に属すると考えられるべきである。
【国際調査報告】