(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ハウジング、電池及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01M 50/169 20210101AFI20240702BHJP
H01M 50/159 20210101ALI20240702BHJP
H01M 50/133 20210101ALI20240702BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240702BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240702BHJP
H01M 50/164 20210101ALI20240702BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H01M50/169
H01M50/159
H01M50/133
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/164
H01M10/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560026
(86)(22)【出願日】2022-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 CN2022095568
(87)【国際公開番号】W WO2022267820
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】202121403374.X
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】王冰
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼珂
(72)【発明者】
【氏名】胡海波
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H011BB03
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD13
5H011KK01
5H028AA07
5H028BB05
5H028CC07
5H028EE01
5H028HH05
(57)【要約】
ハウジング、電池及び電子機器であり、電極体を収容するハウジング(10)は、周壁(11)と、第1の蓋板(131)と、を含み、前記周壁(11)に第1の開口(111)が設置され、前記第1の蓋板(131)の周辺に残部(1311)が設置され、前記残部(1311)は、溶融されて溶融縁部を形成し、前記第1の蓋板(131)は、前記溶融縁部(1313)により前記周壁(11)と接合されて前記第1の開口(111)を閉鎖する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体を収容するハウジングであって、
前記ハウジングは、周壁と、第1の蓋板と、を含み、前記周壁に第1の開口が設置され、前記第1の蓋板の周辺に残部が配置され、前記残部は、溶融されて溶融縁部を形成し、前記第1の蓋板は、前記溶融縁部により前記周壁と接合されて前記第1の開口を閉鎖することを特徴とする、ハウジング。
【請求項2】
前記周壁及び前記第1の蓋板の少なくとも一方の材料は、ステンレス鋼であることを特徴とする、請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記周壁の厚さは、30~150μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のハウジング。
【請求項4】
前記残部は、前記第1の蓋板により前記第1の開口をカバーするときの、前記第1の蓋板の前記周壁の周方向に沿って前記周壁の外表面から突出する部分であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項5】
前記残部は、前記周壁の周方向に沿って前記周壁から突出する高さが50μm~300μmであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項6】
前記第1の蓋板には、ボスが設置され、前記ボスの周方向寸法が前記第1の開口の周方向寸法と同じであり、前記第1の蓋板が前記周壁に組み立てられると、前記ボスの周縁が前記周壁に当接することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項7】
前記第1の蓋板は、第1の板体と、第2の板体と、を含み、前記残部は、前記第1の板体に設置され、前記第2の板体は、前記第1の板体に溶接されて前記ボスを形成することを特徴とする、請求項6に記載のハウジング。
【請求項8】
前記残部の厚さは、30μm~300μmであり、前記第1の板体の厚さは、30~200μmであり、前記第2の板体の厚さは、100~500μmであることを特徴とする、請求項7に記載のハウジング。
【請求項9】
前記ハウジングは、第2の蓋板を含み、前記周壁には、前記第1の開口に対向する第2の開口が形成され、前記第2の蓋板は、前記第2の開口をカバーすることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項10】
前記周壁は、略直方体型であり、前記周壁は、対向して設置された2つの第1の側板と対向して設置された2つの第2の側板とを含み、前記第1の開口、第2の開口の面積は、前記第1の側板、第2の側板の面積よりも小さいことを特徴とする、請求項9に記載のハウジング。
【請求項11】
前記周壁には、前記第1の開口及び前記第2の開口まで延びる溶接継目が配置され、前記第1の側板の面積は、前記第2の側板の面積よりも小さく、前記溶接継目は、前記第1の側板に設置されることを特徴とする、請求項10に記載のハウジング。
【請求項12】
前記残部の高さH1、前記溶融縁部の余盛り高さH2、前記溶融縁部の幅W及び前記残部の厚さT2の関係は、H1=(π×(H2+W/2)2-W2)/4T2であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のハウジング。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のハウジングと、電極体と、を含み、前記電極体は、前記ハウジング内に収容され、前記第1の蓋板は、前記溶融縁部により前記周壁と接合されて前記第1の開口を閉鎖することを特徴とする、電池。
【請求項14】
前記溶融縁部は、前記周壁の周方向に沿って突出する余盛り高さが200μmよりも小さいことを特徴とする、請求項13に記載の電池。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の電池を含むことを特徴とする、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年6月23日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202121403374.Xで、出願名称が「ハウジング及び電池」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電池の分野に関し、具体的には、ハウジング、該ハウジングを有する電池及び該電池を有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、電池は、フランジを用いて溶接して閉鎖され、フランジは、組立空間を占め、電池のエネルギー密度を低下させる。
【0004】
例えば、公開番号が「201711165151.2」である発明には、金属ハウジング電池の包装ハウジング及び電池が開示され、該包装ハウジングは、第1のハウジング及び第2のハウジングを含み、第1のハウジングは、頂部と、第1の側壁と、を含み、第1の側壁は、頂部から下向きに延び、外向きに延びる第1のフランジを有し、開口を取り囲み、第2のハウジングは、中間部と、第2のフランジと、を含み、第2のフランジは、中間部から外向きに延び、中間部は、開口を覆い、第1のハウジングの材料と第2のハウジングの材料とは、合金である。セルは、包装ハウジング内に収容され、第1のフランジと第2のフランジとは、溶接されて閉鎖される。
【0005】
このような形式の包装ハウジングは、ハウジングの第1のフランジと第2のフランジとで溶接され、溶接密封の有効性を保証するために、ハウジングのフランジは、組立空間を占め、電池の有効容量体積を低減し、電池容量を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の内容は、従来技術における、フランジが電池の組立空間を占めるという技術的課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本願に係る、電極体を収容するハウジングは、周壁と、第1の蓋板と、を含み、前記周壁に第1の開口が設置され、前記第1の蓋板の周辺に残部が設置され、前記残部は、溶融されて溶融縁部を形成し、前記第1の蓋板は、前記溶融縁部により前記周壁と接合されて前記第1の開口を閉鎖する。
【0008】
一実施例では、前記周壁の材料は、ステンレス鋼である。
【0009】
一実施例では、前記周壁の厚さは、30~150μmである。
【0010】
一実施例では、前記第1の蓋板の材料は、ステンレス鋼である。
【0011】
一実施例では、前記残部は、前記第1の蓋板により前記第1の開口をカバーするときの、前記第1の蓋板の前記周壁の周方向に沿って前記周壁の外表面から突出する部分である。
【0012】
一実施例では、前記残部は、前記周壁の周方向に沿って前記周壁から突出する高さが50μm~300μmである。
【0013】
一実施例では、前記残部の厚さは、30~300μmである。
【0014】
一実施例では、前記第1の蓋板には、ボスが設置される。
【0015】
一実施例では、前記ボスの周方向寸法は、前記第1の開口の周方向寸法に合わせ、前記第1の蓋板が前記周壁に組み立てられると、前記ボスの周縁が前記周壁に当接する。
【0016】
一実施例では、前記第1の蓋板は、第1の板体と、第2の板体と、を含み、前記残部は、前記第1の板体に設置され、前記第2の板体は、前記第1の板体に溶接されて前記ボスを形成する。
【0017】
一実施例では、前記第1の板体の厚さは、30~200μmである。
【0018】
一実施例では、前記第2の板体の厚さは、100~500μmである。
【0019】
一実施例では、前記ハウジングは、第2の蓋板を含み、前記周壁には、前記第1の開口に対向する第2の開口が形成され、前記第2の蓋板は、前記第2の開口をカバーする。
【0020】
一実施例では、前記周壁には、前記第1の開口及び前記第2の開口まで延びる溶接継目が設置される。
【0021】
一実施例では、前記周壁は、略直方体型を呈し、対向して設置された2つの第1の側板と対向して設置された2つの第2の側板とを含み、前記第1の開口、第2の開口の面積は、前記第1の側板、第2の側板の面積よりも小さい。
【0022】
一実施例では、前記周壁には、前記第1の開口及び前記第2の開口まで延びる溶接継目が設置され、前記第1の側板の面積は、前記第2の側板の面積よりも小さく、前記溶接継目は、前記第1の側板に設置される。
【0023】
一実施例では、前記残部の高さH1、前記溶融縁部の余盛り高さH2、前記溶融縁部の幅W及び前記残部の厚さT2の関係は、H1=(π×(H2+W/2)2-W2)/4T2である。
【0024】
別の態様では、本願に係る電池は、上記ハウジングと、電極体と、を含み、前記電極体は、前記ハウジング内に収容され、前記第1の蓋板は、前記溶融縁部により前記周壁と接合されて前記第1の開口を閉鎖する。
【0025】
一実施例では、前記溶融縁部は、前記周壁の周方向に沿って突出する。
【0026】
一実施例では、前記溶融縁部は、前記周壁の周方向に沿って突出する余盛り高さが200μmよりも小さい。
【0027】
一実施例では、前記溶融縁部は、少なくとも部分的に前記周壁の外側面に貼り付けられる。
【0028】
一実施例では、前記周壁の前記第1の蓋板に向かう端部は、前記溶融縁部と前記ボスとの間に位置する。
【0029】
さらに別の態様では、本願に係る電子機器は、前述した電池を含む。
【発明の効果】
【0030】
以上より、本願は、ハウジング及び電池を提供し、該ハウジングは、周壁と、第1の蓋板と、を含み、周壁には、第1の開口が設置され、第1の蓋板の周辺には、必要に応じて寸法が所定の残部が設置され、第1の蓋板と周壁とが閉鎖されるとき、残部は、溶融されて必要な寸法の溶融縁部を形成し、該電池において、第1の蓋板は、溶融縁部により周壁と接合されて第1の開口を閉鎖し、第1の蓋板と周壁との封止を実現し、かつ溶融縁部が大きすぎる空間を占めることなく、電池全体のエネルギー密度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本願の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになり、理解されやすくなる。
【
図1】本願の一実施形態に係るハウジングの斜視図である。
【
図2】
図1に示されたハウジングの組立概略図である。
【
図4】
図1に示されたハウジングの封止概略図である。
【
図6】本願の一実施形態に係る電池の斜視図である。
【
図7】
図1に示されたハウジングの第1の蓋板の上面図である。
【
図9】本願の別の実施形態に係るハウジングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の素子、或いは同一又は類似の機能を有する素子を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものに過ぎず、本願を解釈するためのものであり、本願を限定するものとして理解すべきではない。
【0033】
なお、本願の説明において、用語「上」、「下」などで示された方位又は位置関係は、図面に示された方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され操作されなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものとして理解すべきではない。
【0034】
実施例を詳細に説明する前に、本願は、本願の後文又は図面に説明された詳細な構造又は素子配列に限定されないことを理解されたい。本願は、他の方式で実現された実施例であってもよい。本明細書で使用された言い回し及び用語は、単に説明するためのものであり、限定的に解釈するためのものではないことを理解されたい。本明細書で使用された「含む」、「含有する」、「有する」などの類似した言い回しは、その後に列挙された事項、その均等物及びその他の付加事項を含むことを意味する。特に、「ある素子」を説明する場合、本願では、該素子の数が1つに限定されず、複数であってもよい。
【0035】
本願は、ハウジング10と、該ハウジング10を有する電池20とを提供する。
【0036】
図1に示すように、本願に係る、電極体を収容するハウジング10は、周壁11と、第1の蓋板131と、を含み、周壁11に第1の開口111が設置され、第1の蓋板131は、第1の開口111をカバーする。
【0037】
図2及び
図3に示すように、第1の蓋板131の周辺には、残部1311が設置され、残部1311は、周壁11の寸法(周壁11の厚さT1、第1の開口111の寸法)に応じて設置され、残部1311は、第1の蓋板131により第1の開口111をカバーするときの、第1の蓋板131の周壁11の周方向に沿って周壁11から突出する部分であり、理解されるように、「第1の蓋板131の周壁11の周方向に沿って周壁11から突出する部分」は、第1の蓋板131の周壁11の外表面から突出する部分であり、
図3に示すように、残部1311の高さは、H1である。
【0038】
図4及び
図5に示すように、残部1311は、溶融されて溶融縁部1313を形成し、第1の蓋板131は、溶融縁部1313により周壁11と接合される。残部1311は、第1の蓋板131を一回りする溶融縁部1313を形成するように、第1の蓋板131を一回りして設置され、第1の蓋板131と周壁11との間の接続隙間を覆い、第1の蓋板131の周辺は、いずれも溶融縁部1313により周壁11と接合されて第1の開口111を閉鎖する。
【0039】
必要に応じて、第1の蓋板131を製造するときに一部の材料を残部1311として残し、レーザ溶接などの方式によって残部1311を溶融して溶融縁部1313を形成して、第1の蓋板131と周壁11との密封接続を実現し、溶融縁部1313は、周壁11の外表面に対してわずかな余盛り高さH2を有し、フランジにより閉鎖する従来技術と比較して、本願の解決手段は、第1の蓋板131と周壁11との密封を保証する前提で、密封構造が占めた組立空間がより小さく、電池のエネルギー密度を効果的に向上させる。第1の蓋板131の周方向寸法が周壁11の周方向寸法よりも大きいように残部1311を設置することにより、第1の蓋板131と周壁11との組立が容易になり、第1の蓋板131が周壁11に位置決めされるときに周壁11内に落ちることを回避し、プロセスの難易度を低下させ、歩留まりを向上させる。
【0040】
さらに、周壁11の材料は、ステンレス鋼であり、アルミニウムなどの電池ハウジングとして用いられる材料と比較して、ステンレス鋼の強度がより高く、周壁11をより薄くするのに適し、好ましくは、周壁11は、316L型ステンレス鋼である。一実施例では、周壁11の厚さT1は、30~150μmであり、ハウジング10の強度要求を確保するとともに、占めた空間がより小さいため、ハウジング10は、体積がより大きい電極体を収容し、形成された電池の容量を向上させることができる。
【0041】
一実施例では、残部1311は、周壁11の周方向に沿って周壁11から突出する高さH1が50μm~300μmである。
【0042】
第1の開口111の寸法公差は、約±50μmであり、残部1311が周壁11の周方向に沿って周壁11から少なくとも50μm突出することが限定されることにより、第1の蓋板131が周壁11に位置決めされるときに周壁11内に落ちることを回避することができ、第1の蓋板131と周壁11との溶接封止が容易になる。
【0043】
残部1311は、周壁11の周方向に沿って周壁11から300μmを超えて突出すると、寸法が大きすぎる。まず、レーザ光により残部1311を完全に溶融することが困難であり、加工の難易度が上昇し、形成された溶融縁部1313の余盛り高さが大きすぎて、大きい空間を占める。さらに、残部1311を溶融するために、レーザエネルギーを増加させる必要があり、厚さが薄い周壁11に対して、高すぎるレーザエネルギーにより周壁11が熱変形するリスクがあり、ひいては破損に至る。
【0044】
一実施例では、第1の蓋板131の材料は、ステンレス鋼であり、強度がより高く、第1の蓋板131をより薄くして、占めた空間を小さくすることに適し、好ましくは、第1の蓋板131は、316L型ステンレス鋼である。第1の蓋板131及び周壁11は、いずれもステンレス鋼材料を用いると、両者の溶接効果を向上させることができる。
【0045】
図6に示すように、周壁11とは異なり、第1の蓋板131には、ポール1315及び注液孔1317などの構造を形成する必要があり、第1の蓋板131にボス1319を設置して部分的に厚くすることにより、第1の蓋板131の対応する位置での構造強度を向上させ、例えば、ポール1315及び注液孔1317に対応する位置での構造強度を向上させ、それにより、第1の蓋板131が穿孔時に変形することを効果的に防止し、製品の品質を向上させる。
【0046】
さらに、ボス1319は、第1の開口111に適合し、すなわち、ボス1319の形状と第1の開口111の形状が類似し、ボス1319の周方向寸法が第1の開口111の周方向寸法に合わせるため、第1の蓋板131を周壁11に組み立てるときに、ボス1319がガイドとして機能し、ボス1319の周縁は、周壁11に当接し、第1の蓋板131の組立のガイド及び位置決めを実現し、第1の蓋板131と周壁11との溶接に役立つ。理解されるように、「ボス1319の周方向寸法が第1の開口111の周方向寸法に合わせる」ことは、ボス1319の周方向寸法が第1の開口111の周方向寸法よりもわずかに大きく、それに等しく、それよりもわずかに小さいことを含み、例えば、
図1~
図3に示された実施例では、第1の開口111は、長方形であれば、ボス1319も長方形であり、ボス1319の長さ及び幅は、第1の開口111の長さ及び幅の±20μmであり、すなわち、ボス1319及び周壁11の摺動接続又は締まり嵌めによって第1の蓋板131の組立のガイド及び位置決めを実現することができ、本願では、ボス1319の周方向寸法と第1の開口111の周方向寸法との比を限定せず、第1の蓋板131がボス1319によりガイド又は位置決めされることを実現することができればよい。
【0047】
本実施例では、第1の蓋板131の中部には、第1の開口111と比較して形状が類似し、周方向寸法がわずかに大きいボス1319が設置され、ボス1319は、接続部(図示せず)により残部1311と一体に接続されるため、第1の蓋板131の縁部には、周方向に沿って連続する階段構造が形成され、
図2に示すように、第1の蓋板131が周壁11に組み立てられると、ボス1319は、周壁11内に位置し、ボス1319の周縁(すなわち、接続部に垂直な側面)は、周壁11の内側面に当接し、接続部は、周壁11の頂部環状面に当接し、残部1311は、周壁11の外表面から突出し、第1の蓋板131は、周壁11に緊密に接続されることにより、後続の第1の蓋板131と周壁11との溶接の品質を向上させることができる。
【0048】
第1の蓋板131がステンレス鋼などの硬度の高い材料を用いると、加工して上記階段構造を形成するプロセスの難易度が高く、特に厚さが小さい場合、要求に適合する直角構造を加工することが困難である。
図7及び
図8に示すように、第1の蓋板131は、第1の板体13121及び第2の板体13122を含み、残部1311は、第1の板体13121に設置され、第1の板体13121は、第2の板体13122と比較して周方向寸法が大きく、第2の板体13122は、第1の板体13121に溶接されて上記ボス1319を形成する。第2の板体13122を第1の板体13121の中部に溶接することにより、第1の蓋板131の縁部で周方向に沿って連続する階段構造を形成するプロセスの難易度を低下させ、製造コストを効果的に低減し、二層の板体を溶接して形成された階段構造の品質が高く、第1の蓋板131と周壁11との組立効果を向上させる。
【0049】
理解されるように、第1の蓋板131の材料がステンレス鋼であることは、本願の具体的な実施形態に過ぎず、他の実施例では、両者は、異なる材料を用いてもよく、例えば、第1の板体13121の材料は、強度の高いステンレス鋼であり、第2の板体13122の材料は、ニッケルであり、或いは、第1の板体13121の材料は、ステンレス鋼であり、第2の板体13122の材料は、アルミニウムであり、両者は、ニッケルにより溶接されることにより、ニッケルと鋼の使用量を低減して、コストを低減することができる。本願では、第1の板体13121の材料及び第2の板体13122の材料を限定せず、二層の板体を溶接して階段構造を形成すればよい。
【0050】
さらに、第1の板体13121の厚さは、30~200μmであり、薄い厚さで密封を実現することができ、占めた空間を小さくすることができる。第2の板体13122の厚さは、100~500μmであり、好ましくは、200~300μmであり、寸法のより大きいボス1319は、ガイド及び位置決めの効果を向上させ、組立及び位置決めを容易にし、強度を向上させることができる。
【0051】
本実施例では、残部1311の厚さT2は、30μm~300μmである。第1の蓋板131にボス1319が設置され、ボス1319により第1の蓋板131の強度を向上させ、残部1311が組立作用及び後に溶融縁部1313を形成して密封する作用のみを果たすと、より薄くすることができ、例えば、残部1311の厚さT2は、30μmであり、強度要求を確保しながら、より少ない空間を占め、第1の蓋板131が単一の板体であると、全体の厚さが同じ、強度を保証するために、全体を厚くする必要があり、残部1311は、それに応じて大きい厚さを有し、例えば、残部1311の厚さT2は、300μmであり、第1の蓋板131の強度を保証することができるとともに、工程を低減して、加工の難易度を低下させ、製造効率を向上させることができる。
【0052】
図9に示すように、ハウジング10は、第2の蓋板132を含み、周壁11には、第1の開口111に対向する第2の開口112が形成され、すなわち、第1の開口111及び第2の開口112は、周壁11の軸方向に沿ってそれぞれ周壁11の両端に形成され、第2の蓋板132は、第2の開口112をカバーする。理解されるように、第2の蓋板132と周壁11との封止方式及び構造は、第1の蓋板131に類似してもよく、ここでは、説明を省略する。
【0053】
電池のエネルギー密度を向上させるために、周壁11の厚さT1を薄くする必要があり、従来技術において用いられた深絞り方式では、鋼製のハウジングを薄くするときに割れ及びシワが発生しやすく、本実施例では、鋼シート全体を30μm~150μmに引っ張り、30~150μmの鋼シートを筒体に折り曲げて溶接して周壁11を形成しやすく、すなわち、周壁11には、第1の開口111及び第2の開口112まで延びる溶接継目115が設置され、形成された周壁11は、従来の深絞りプロセスが実現しにくい薄いハウジングを実現する。
【0054】
さらに、周壁11は、略直方体型を呈し、周壁11は、対向して設置された2つの第1の側板1171と対向して設置された2つの第2の側板1172とを含み、第1の側板1171と第2の側板1172とは、丸みにより接続され、2つの第1の側板1171及び2つの第2の側板1172は、取り囲んで周壁11の軸方向の両端に形成された第1の開口111及び第2の開口112を形成し、第1の開口111、第2の開口112は、長方形であり、第1の開口111、第2の開口112の面積は、第1の側板1171、第2の側板1172の面積よりも小さく、すなわち、第1の開口111及び第2の開口112は、周壁11が呈した直方体の面積の最も小さい側面に形成されることにより、第1の蓋板131及び第2の蓋板132の電池全体のエネルギー密度に対する影響を低減する。
【0055】
好ましくは、第1の側板1171の面積は、第2の側板1172の面積よりも小さく、溶接継目115は、第1の側板1171に設置されることにより、溶接継目115の余盛り高さの電池の厚さ方向に対する影響を低減する。理解されるように、これは、本願の好ましい実施形態に過ぎず、他の実施例では、溶接継目115は、第2の側板1172に設置されてもよく、第1の側板1171と第2の側板1172との接続箇所に設置されてもよく、周壁11に第1の開口111及び第2の開口112まで延びる溶接継目115が設置されればよく、本願では、溶接継目115の具体的な設置位置を限定しない。
【0056】
図6に示すように、本願に係る電池20は、ハウジング10と、電極体(図示せず)と、を含み、電極体は、ハウジング10内に収容され、第1の蓋板131は、溶融縁部1313により周壁11と接合されて第1の開口111を閉鎖する。
【0057】
溶融縁部1313は、周壁11の周方向に沿って突出する。
【0058】
図3及び
図5に示すように、溶融縁部1313の断面は、扇形に類似し、ハウジング10の材料性能、電池20の内外圧差によって、密封要求を満たす溶融縁部1313の余盛り高さH2及び幅Wが得られる。本実施例では、溶融縁部1313は、周壁11の周方向に沿って突出する余盛り高さH2が200μm未満であり、第1の蓋板131と周壁11との密封接続を保証するとともに、小さい空間のみを占めるため、電池20のエネルギー密度を向上させる。
【0059】
溶融前の残部1311の断面積と溶融後の溶融縁部1313の断面積とがほぼ等しいことに基づいて、残部1311の高さH1、溶融縁部1313の余盛り高さH2、溶融縁部1313の幅W及び残部1311の厚さT2の関係をH1=(π×(H2+W/2)2-W2)/4T2のように確立する。
【0060】
それにより、必要な溶融縁部1313の余盛り高さH2、溶融縁部1313の幅W及び残部1311の厚さT2に基づいて残部1311の高さH1を設計することができる。
【0061】
一実施形態では、溶融縁部1313は、第1の蓋板131の残部1311を溶融して形成され、すなわち、溶融縁部1313と第1の蓋板131とは、一体に接続され、溶融縁部1313は、少なくとも部分的に周壁11の外側面に貼り付けられ、周壁11と第1の蓋板131との接続箇所では、溶融する必要がなく、溶融縁部1313と周壁11との間には、接続界面があり、第1の蓋板131と周壁11とを接続する溶融縁部1313は、第1の蓋板131の残部1311のみを溶融して形成される。
【0062】
図4に示すように、周壁11の第1の蓋板131に向かう端部は、溶融縁部1313とボス1319との間に位置し、周壁11を溶融する必要がなく、周壁11は、溶融縁部1313及びボス1319に挟持された状態にあり、第1の蓋板131と周壁11との間では、溶融縁部1313と周壁11の外側面との接着に加えて、周壁11は、溶融縁部1313及びボス1319により挟持されることにより、第1の蓋板131と周壁11との接続強度を向上させ、両者の間の密封品質をさらに確保する。
【0063】
以上より、本願は、ハウジング及び電池を提供し、該ハウジングは、周壁と、第1の蓋板と、を含み、周壁には、第1の開口が設置され、第1の蓋板の周辺には、必要に応じて寸法が所定の残部が設置され、第1の蓋板と周壁とが封止されるとき、残部は、溶融されて必要な寸法の溶融縁部を形成し、該電池において、第1の蓋板は、溶融縁部により周壁と接合されて第1の開口を閉鎖し、第1の蓋板と周壁との閉鎖を実現し、かつ溶融縁部が大きすぎる空間を占めることなく、電池全体のエネルギー密度を向上させる。
【0064】
また、本願は、前述した電池を含む電子機器をさらに提供する。
【0065】
本明細書に説明された概念は、その精神及び特性から逸脱することなく、他の形態で実施することができる。開示された具体的な実施例は、例示的なものであり、限定的なものではない。したがって、本願の範囲は、前述した説明によりむしろ、添付の特許請求の範囲により決定される。特許請求の範囲の文字通りの意味及び同等の範囲内のいかなる変更は、これらの特許請求の範囲の範囲に属すべきである。
【0066】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体的な例」又は「いくつかの例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書における、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施例又は例を指すとは限らない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【0067】
以上、本願の実施例が示され、説明されたが、理解できるように、上記実施例は、例示的なものであり、本願を限定するものであると理解すべきではなく、当業者であれば、本願の原理及び目的から逸脱することなく、本願の範囲内で上記実施例に対して変更、修正、交換及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0068】
10 ハウジング
11 周壁
111 第1の開口
112 第2の開口
115 溶接継目
1171 第1の側板
1172 第2の側板
131 第1の蓋板
1311 残部
13121 第1の板体
13122 第2の板体
1313 溶融縁部
1315 ポール
1317 注液孔
1319 ボス
132 第2の蓋板
20 電池
T1 周壁の厚さ
T2 残部の厚さ
H1 残部の高さ
H2 溶融縁部の余盛り高さ
W 溶融縁部の幅
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体を収容するハウジングであって、
前記ハウジングは、周壁と、第1の蓋板と、を含み、前記周壁に第1の開口が設置され、前記第1の蓋板の周辺に残部が配置され、前記残部は、溶融されて溶融縁部を形成し、前記第1の蓋板は、前記溶融縁部により前記周壁と接合されて前記第1の開口を閉鎖することを特徴とする、ハウジング。
【請求項2】
前記周壁及び前記第1の蓋板の少なくとも一方の材料は、ステンレス鋼であることを特徴とする、請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記周壁の厚さは、30~150μmであることを特徴とする、請求項
1に記載のハウジング。
【請求項4】
前記残部は、前記第1の蓋板により前記第1の開口をカバーするときの、前記第1の蓋板の前記周壁の周方向に沿って前記周壁の外表面から突出する部分であることを特徴とする、請求項
1に記載のハウジング。
【請求項5】
前記残部は、前記周壁の周方向に沿って前記周壁から突出する高さが50μm~300μmであることを特徴とする、請求項
1に記載のハウジング。
【請求項6】
前記第1の蓋板には、ボスが設置され、前記ボスの周方向寸法が前記第1の開口の周方向寸法と同じであり、前記第1の蓋板が前記周壁に組み立てられると、前記ボスの周縁が前記周壁に当接することを特徴とする、請求項
1に記載のハウジング。
【請求項7】
前記第1の蓋板は、第1の板体と、第2の板体と、を含み、前記残部は、前記第1の板体に設置され、前記第2の板体は、前記第1の板体に溶接されて前記ボスを形成することを特徴とする、請求項6に記載のハウジング。
【請求項8】
前記残部の厚さは、30μm~300μmであり、前記第1の板体の厚さは、30~200μmであり、前記第2の板体の厚さは、100~500μmであることを特徴とする、請求項7に記載のハウジング。
【請求項9】
前記ハウジングは、第2の蓋板を含み、前記周壁には、前記第1の開口に対向する第2の開口が形成され、前記第2の蓋板は、前記第2の開口をカバーすることを特徴とする、請求項
1に記載のハウジング。
【請求項10】
前記周壁は、略直方体型であり、前記周壁は、対向して設置された2つの第1の側板と対向して設置された2つの第2の側板とを含み、前記第1の開口、第2の開口の面積は、前記第1の側板、第2の側板の面積よりも小さいことを特徴とする、請求項9に記載のハウジング。
【請求項11】
前記周壁には、前記第1の開口及び前記第2の開口まで延びる溶接継目が配置され、前記第1の側板の面積は、前記第2の側板の面積よりも小さく、前記溶接継目は、前記第1の側板に設置されることを特徴とする、請求項10に記載のハウジング。
【請求項12】
前記残部の高さH1、前記溶融縁部の余盛り高さH2、前記溶融縁部の幅W及び前記残部の厚さT2の関係は、H1=(π×(H2+W/2)2-W2)/4T2であることを特徴とする、請求項
1に記載のハウジング。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のハウジングと、電極体と、を含み、前記電極体は、前記ハウジング内に収容され、前記第1の蓋板は、前記溶融縁部により前記周壁と接合されて前記第1の開口を閉鎖することを特徴とする、電池。
【請求項14】
前記溶融縁部は、前記周壁の周方向に沿って突出する余盛り高さが200μmよりも小さいことを特徴とする、請求項13に記載の電池。
【請求項15】
請求項
13に記載の電池を含むことを特徴とする、電子機器。
【国際調査報告】