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特表2024-524825工業用噴霧のための有機溶媒系再帰反射性組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】工業用噴霧のための有機溶媒系再帰反射性組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20240702BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240702BHJP
   C09D 7/43 20180101ALI20240702BHJP
   C09D 5/33 20060101ALI20240702BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20240702BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240702BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20240702BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20240702BHJP
   B05D 1/36 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/61
C09D7/43
C09D5/33
C09K3/00 R
B05D7/24 301M
B05D1/02 Z
B05D5/06 B
B05D7/24 303B
B05D7/24 303E
B05D1/36 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023571150
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2022063157
(87)【国際公開番号】W WO2022243230
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】21174391.9
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522166275
【氏名又は名称】インク インベント アイピー ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】INK INVENT IP B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】クノート, ヤックス アルテュール
(72)【発明者】
【氏名】メイネン, ポール ヴィレム
(72)【発明者】
【氏名】ケレス, ハラルド ポール
(72)【発明者】
【氏名】ミュイス, フィリップス ヤコブ
(72)【発明者】
【氏名】クノート, メンノ アルテュール
(72)【発明者】
【氏名】スボティック‐ガルイェル, イヴァナ
(72)【発明者】
【氏名】シュライパー, ラモン マリア ヘンリクス
【テーマコード(参考)】
4D075
4J038
【Fターム(参考)】
4D075AA86
4D075AA90
4D075DB20
4D075DC01
4D075DC05
4D075DC11
4D075EA07
4D075EA33
4D075EB39
4D075EB52
4D075EB56
4D075EB57
4D075EC03
4D075EC04
4D075EC11
4D075EC24
4D075EC30
4D075EC33
4D075EC35
4D075EC52
4D075EC53
4D075EC54
4J038DG001
4J038HA486
4J038KA06
4J038KA08
4J038KA09
4J038KA12
4J038MA14
4J038MA15
4J038NA19
(57)【要約】
本発明は、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物であって、第2のブルックフィールド粘度ηが第1のブルックフィールド粘度ηより少なくとも2倍低いことを条件として、0.2から8Pa・sの間の0.5rpmの剪断速度でのη、及び80から450mPa・sの間にある20rpmの剪断速度でのηを有し、組成物の総重量を基準にして、25~75重量%の有機溶媒;1~85重量%の球状ガラスビーズ;0.15~1.2重量%の増粘剤;並びに0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり;ブルックフィールド粘度η及びηは直径8.25cmを有する600mlのビーカー中25℃の温度で#2スピンドルを用いて測定される、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物であって、第2のブルックフィールド粘度ηが第1のブルックフィールド粘度ηより少なくとも2倍低いことを条件として、0.2から8Pa・sの間の0.5rpmの剪断速度でのη、及び80から450mPa・sの間にある20rpmの剪断速度でのηを有し、前記組成物の総重量を基準にして、
25~75重量%の有機溶媒;
1から150μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び1.5から2.8の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する1~85重量%の球状ガラスビーズ;
0.15~1.2重量%の増粘剤;並びに
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり;
前記ブルックフィールド粘度η及びηは直径8.25cmを有する600mlのビーカー中25℃の温度で#2スピンドルを用いて測定される、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項2】
前記組成物の総重量を基準にして、
25~68重量%の有機溶媒;
5から150μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び1.5から2.8の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する20~70重量%の球状ガラスビーズ;
0.15~1.2重量%の増粘剤;並びに
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなる、請求項1に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項3】
ηがηより少なくとも2倍低いことを条件として、ηが0.25から5Pa・sの間にあり、ηが100から425mPa・sの間にあり、好ましくはηがηより少なくとも2倍低いことを条件として、ηは0.26から2.5Pa・sの間にあり、ηは110から400mPa・sの間にあり、より好ましくはηがηより少なくとも2倍低いことを条件として、ηは0.27から2Pa・sの間にあり、ηは120から350mPa・sの間にある、請求項1又は2に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項4】
直径8.25cmを有する600mlのビーカー中25℃の温度で#3スピンドルを用いて測定される、第5のブルックフィールド粘度ηが第4のブルックフィールド粘度ηより少なくとも2倍低いことを条件として、0.25から5Pa・sの間の0.5rpmの剪断速度でのη、及び80から450mPa・sの間の20rpmの剪断速度でのηを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項5】
前記球状ガラスビーズが、
(i)2.0から2.8の間、好ましくは2.1から2.4の間;又は
(ii)1.7から2.1の間、好ましくは1.8から2.0の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項6】
前記球状ガラスビーズが、1から100μmの間、1から75μmの間、1から50μmの間、1から45μmの間、1から40μmの間又は1から35μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項7】
前記球状ガラスビーズが、5から100μmの間、5から75μmの間、5から50μmの間、5から45μmの間、5から40μmの間又は5から35μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項8】
前記球状ガラスビーズの少なくとも一部が、アルミニウムコーティングを用いて半球状にコーティングされた、請求項1~7のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項9】
前記有機溶媒が、脂肪族及び芳香族溶媒、ケトン、エステル、グリコエーテル、アルコール、ハロゲン化炭化水素及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項10】
前記増粘剤が、(変性)水素化ヒマシ油、粘土、変性粘土、スルホン酸カルシウム複合体、有機親和性フィロシリケート、シリカゲル、合成無定形シリカ、アクリル酸型ゲル化剤、変性セルロース系材料、ポリ尿素分散体、尿素変性ポリアミドの溶液、ポリウレタン分散体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項11】
前記有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物の総重量を基準にして、0.20~1.18重量%、好ましくは0.25~1.15重量%、より好ましくは0.30~1.10重量%の増粘剤を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項12】
前記1種又は複数のさらなる成分が、泡制御剤、発光剤、UV吸収剤、結合剤及び樹脂、防腐剤、染料及び硬化開始剤からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製のための方法であって、
(i)前記有機溶媒、前記球状ガラスビーズ、前記増粘剤及び任意選択の前記1種又は複数のさらなる成分を容器に添加するステップ;並びに
(ii)ステップ(i)で得られた混合物を、好ましくは15から70℃の間の温度で、好ましくは5から60分の間の期間、撹拌又は均質化するステップを含む方法。
【請求項14】
再帰反射性層を用いて基材をコーティングする方法であって、
a)基材を用意するステップ;
b)任意選択でステップ(a)の前記基材にプライマー層を塗布するステップ;
c)任意選択で、ステップ(a)の前記基材又はステップ(b)の前記プライマー層に有色の基層を塗布するステップ;
d)ステップ(a)の基材又はステップ(b)若しくは(c)の層上に請求項1~12のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物を噴霧するステップ;
e)ステップ(d)で得られた再帰反射性層を用いてコーティングされた前記基材を乾燥及び/又は硬化するステップ;並びに
f)任意選択でステップ(e)で得られた前記再帰反射性層を用いてコーティングされた前記乾燥基材を、1種又は複数のさらなる透明コーティング層を用いてコーティングし、続いて乾燥及び/又は硬化するステップを含む方法。
【請求項15】
前記有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物が、カーテンコーティングを使用して、スプレーガン、高速ロータリーベル、高速回転ディスクを使用して又は噴射剤を含むスプレー缶を使用してステップ(d)で基材上に噴霧される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(d)がn個の層をもたらすn回の後続の噴霧ステップを包含し、x番目の層は、x-1番目の層の上に少なくとも部分的に塗布され、ここで、xは2からnの間の整数であり、nは2から5の間の整数である、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
請求項14~16のいずれか一項に記載の方法によって入手可能な再帰反射性層を用いてコーティングされた基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は有機溶媒系再帰反射性組成物及びその調製の方法に関する。本発明は、さらに前記有機溶媒系再帰反射性組成物を使用し再帰反射性層を用いて基材をコーティングする方法、及び前記方法によって入手可能な再帰反射性層を用いてコーティングされた基材に関する。
【0002】
[発明の背景]
再帰反射性塗料、インク及びコーティングは、様々な用途で使用される。例えば、暗い条件下で道路標識、道路マーカー、布地、自動車などの視認性を改善するために。塗料、インク及びコーティングは、典型的には、特定の屈折率を有する球状ガラスビーズを添加することにより再帰反射特性が付与される。再帰反射は、球状ガラスビーズの上表面を通る入射光の屈折、球状ガラスビーズの下内側表面からの内部反射、及びその後、衝突する光が来た方向に戻って球状ガラスビーズの上表面から出る際の光の屈折のタンデム型作用により生じる。
【0003】
国際公開第2004/017104号は、再帰反射性微小球体、結合剤系、及び再帰反射性組成物を基準として約2~約5重量%の量の少なくとも2種のチキソトロピー剤を含むチキソトロピーブレンドを含む再帰反射性組成物を開示している。再帰反射性組成物は、塗料、インク及びコーティングとして使用されることが意図され、噴射剤を用いてエアロゾルアプリケータを使用して基材に塗布される。国際公開第2004/017104号の表1は、組成物中の成分の種類の、典型的で好ましい量を開示している。国際公開第2004/017104号の実施例1は、組成物を開示し、ここで、溶媒は定義されていない脂肪族又は芳香族ナフサであり、固体樹脂顆粒は定義されていないアクリル型であり、第1のチキソトロープ剤は定義されていないポリ尿素型であり、第2のチキソトロープ剤は定義されていないスルホン酸カルシウム複合体である。実施例1の組成物が持つ粘度は、25℃でブルックフィールド#3スピンドルを用いて測定して、0.5rpmで9000から30000cps、20rpmで600から1900cpsの間にある。
【0004】
国際公開第00/42113号は、液体キャリア媒体中にマイクロビーズを含む再帰反射性インクに関する。インクは布地へのスクリーン印刷用に意図される。国際公開第00/42113号は、スクリーン印刷インクの粘度が、10rpmで回転する#5スピンドルを使用して、ブルックフィールド粘度計を用いて測定して室温で10~30Pa・sであることを開示している。表1~4及び6に開示されたインクは、水、増粘剤及びガラスビーズを含む。粘度は、ブルックフィールド粘度計を用いて10rpmで回転する#5スピンドルを使用して測定して室温で12.3~32Pa・sである。スクリーン印刷は、封鎖するステンシルによってインクが不浸透性になった区域以外において、基材の上にペースト状インクを転写するためにメッシュが使用される印刷技法である。開いたメッシュ開口部をインクで充填するために、スクリーンを横切ってブレード又はスクィージーを動かし、次いで、逆方向のストロークによって、スクリーンを接触線に沿って基材に瞬間的に触れさせる。これによってインクで基材を濡らし、ブレードが通過した後、スクリーンが跳ね返ると、メッシュ開口部からインクが引き抜かれる。一般に、印刷分野の当業者にとって公知であるように、基材にそれらを塗布するために使用される技法が別個であるために、スクリーン印刷インク、及び専門的又は工業用の(高速)噴霧用のインクのレオロジー特性は根本的に異なる。スクリーン印刷インクは、専門的な又は工業用の(高速)噴霧には適切ではない。
【0005】
良好な安定性、噴霧可能性を有し、良好な印刷又はコーティング品質が結果として得られる再帰反射性組成物を開発することは、再帰反射性粒子-例えば、通常流体担体の密度より実質上高い密度を有する球状ガラスビーズ-を維持することが必要とされるレオロジー改質剤は、均質に流体担体全体に分布し、噴霧中にレオロジー挙動に悪影響を及ぼすので、難題である。
【0006】
様々な基材に、好ましくは専門的又は工業用の(高速)噴霧を使用して容易に塗布することができ、改善された品質を有する再帰反射性層又はコーティングをもたらす、十分に安定である再帰反射性インク、コーティング及び塗料が必要とされている。
【0007】
したがって、塗料、インク又はコーティングとして様々な基材に専門的又は工業的に塗布することができ、専門的な又は工業用の(高速)噴霧などの噴霧によって基材に塗布することができ、十分な安定性又は保存寿命を有する再帰反射性組成物を提供することが本発明の目的である。
【0008】
塗料、インク又はコーティングとして専門的な又は工業用の(高速)噴霧などの噴霧によって様々な基材に専門的又は工業的に塗布することができ、結果として改善された印刷又はコーティング品質、例えば層の良好な若しくは改善された均質性又は平滑性が得られる再帰反射性組成物を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0009】
[発明の概要]
本発明者らは、予想外にも先行技術の組成物と比較して、高い剪断速度及び低濃度の増粘剤でより低い粘度を有する剪断減粘挙動を示す有機溶媒系再帰反射性組成物を使用することによって、1つ又は複数の目的を満たすことができることを確証した。
【0010】
したがって、第1の態様において、本発明は、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物であって、第2のブルックフィールド粘度ηが第1のブルックフィールド粘度ηより少なくとも2倍低いことを条件として、0.2から8Pa・sの間の0.5rpmの剪断速度でのη、及び80から450mPa・sの間にある20rpmの剪断速度でのηを有し、組成物の総重量を基準にして、
25~75重量%の有機溶媒;
1から150μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50及び1.5から2.8の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する1~85重量%の球状ガラスビーズ;
0.15~1.2重量%の増粘剤;並びに
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり;
ブルックフィールド粘度η及びηは直径8.25cmを有する600mlのビーカー中25℃の温度で#2スピンドルを用いて測定される、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物を提供する。
【0011】
本発明者らは、この有機溶媒系再帰反射性組成物が、例えば各種基材に専門的な又は工業用の(高速)噴霧を使用して塗布することができ、優れた印刷又はコーティング品質を有する再帰反射性コーティング層が結果として得られることを確証した。
【0012】
削減された量の増粘剤、及び20rpmの剪断速度で低下した粘度によって、再帰反射性層の改善された均質性及び平滑性が得られ、とりわけ「オレンジピール」のより少ない層が得られる。削減された量の増粘剤は、高い剪断速度(噴霧条件に代表的)だけでなく、低い剪断速度(安定性に関連する)でも粘度を低下させる。本発明者らは、予想外にも再帰反射性層の改善された均質性及び平滑性を得るのに必要な削減された量の増粘剤は、十分な安定性又は保存寿命を有する有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物を提供するのになお適切であることを見いだした。
【0013】
第2の態様において、本明細書において定義される有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物の調製のための方法であって、
(i)有機溶媒、上文に定義される球状ガラスビーズ、上文に定義される増粘剤、及び上文に定義される任意選択の1種又は複数のさらなる成分を容器に添加するステップ;並びに
(ii)ステップ(i)で得られた混合物を、好ましくは15から70℃の間の温度で、好ましくは5から60分の間の期間、撹拌又は均質化するステップを含む方法が提供される。
【0014】
第3の態様において、本発明は、再帰反射性層を用いて基材をコーティングする方法を提供し、前記方法は、
a)基材を用意するステップ;
b)任意選択でステップ(a)の基材にプライマー層を塗布するステップ;
c)任意選択で、しかし好ましくはなく、ステップ(a)の基材又はステップ(b)のプライマー層に有色基層を塗布するステップ;
d)上文に定義される有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物をステップ(a)の基材上に、又はステップ(b)若しくは(c)の層上に噴霧するステップ;
e)ステップ(d)で得られた再帰反射性層を用いてコーティングされた基材を乾燥及び/又は硬化するステップ;並びに
f)任意選択でステップ(e)で得られた再帰反射性層を用いてコーティングされた乾燥基材を、1種又は複数のさらなる透明コーティング層を用いてコーティングし、続いて乾燥及び/又は硬化するステップを含む。
【0015】
第4の態様において、本発明は、本明細書において定義される基材をコーティングするための方法によって得られた、又は入手可能な再帰反射性層を用いてコーティングされた基材に関する。
【0016】
定義
本明細書において使用される「オレンジピール」という用語は、平滑なフィルム層に流れ出したインクの失敗によって引き起こされた、オレンジピールのテクスチャーを思い出させる粒状の画像を特徴とする斑点状の印刷欠陥を指す。
【0017】
本発明の有機溶媒系組成物の文脈における「剪断減粘挙動」という用語は、組成物が、最初静的状況で、剪断速度にかけられたときの粘度の低下に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1a】本発明による組成物及び比較組成物を使用して調製された再帰反射性コーティングの平滑性/オレンジピールを描く。
図1b】本発明による組成物及び比較組成物を使用して調製された再帰反射性コーティングの平滑性/オレンジピールを描く。
図1c】本発明による組成物及び比較組成物を使用して調製された再帰反射性コーティングの平滑性/オレンジピールを描く。
図1d】本発明による組成物及び比較組成物を使用して調製された再帰反射性コーティングの平滑性/オレンジピールを描く。
図1e】本発明による組成物及び比較組成物を使用して調製された再帰反射性コーティングの平滑性/オレンジピールを描く。
図1f】本発明による組成物及び比較組成物を使用して調製された再帰反射性コーティングの平滑性/オレンジピールを描く。
図1g】本発明による組成物及び比較組成物を使用して調製された再帰反射性コーティングの平滑性/オレンジピールを描く。
図1h】本発明による組成物及び比較組成物を使用して調製された再帰反射性コーティングの平滑性/オレンジピールを描く。
【詳細な説明】
【0019】
第1の態様において、本発明は、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物であって、第2のブルックフィールド粘度ηが第1のブルックフィールド粘度ηより少なくとも2倍低いことを条件として、0.2から8Pa・sの間の0.5rpmの剪断速度でのη、及び80から450mPa・sの間にある20rpmの剪断速度でのηを有し、組成物の総重量を基準にして、
25~75重量%の有機溶媒;
1から150μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50及び1.5から2.8の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する1~85重量%の球状ガラスビーズ;
0.15~1.2重量%の増粘剤;並びに
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり;
ブルックフィールド粘度η及びηは直径8.25cmを有する600mlのビーカー中25℃の温度で#2スピンドルを用いて測定される、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物に関する。
【0020】
非常に好ましい実施形態において、第1の態様は、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物であって、第2のブルックフィールド粘度ηが第1のブルックフィールド粘度ηより少なくとも2倍低いことを条件として、0.2から8Pa・sの間の、0.5rpmの剪断速度でのη、及び80から450mPa・sの間にある、20rpmの剪断速度でのηを有し、組成物の総重量を基準にして、
25~68重量%の有機溶媒;
5から150μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び1.5から2.8の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する20~70重量%の球状ガラスビーズ;
0.15~1.2重量%の増粘剤;並びに
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり;
ブルックフィールド粘度η及びηは、直径8.25cmを有する600mlのビーカー中25℃の温度で#2スピンドルを用いて測定される、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物に関する。
【0021】
安定性
好ましい実施形態において、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物は、少なくとも12時間、より好ましくは少なくとも1日間、さらにより好ましくは少なくとも2日間、少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも6か月間、少なくとも1年間、少なくとも2年間安定であり、目視及び触覚的検査で沈降及び分離を観察することができない場合、安定と考えられる。好ましい実施形態において、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物は少なくとも24時間噴霧安定である。組成物は、再混合なしでそれを噴霧することができる場合、噴霧安定性であると考えられる。
【0022】
有機溶媒
本明細書において使用される「有機溶媒」という用語は、有機溶媒、又は3重量%未満の水、好ましくは2重量%未満の水、より好ましくは1重量%未満の水、さらにより好ましくは0.5重量%未満の水を含む、(最も好ましくは無水の)、有機溶媒の混合物に関係する。
【0023】
好ましい有機溶媒は、脂肪族及び芳香族溶媒、ケトン、エステル、グリコエーテル、アルコール、ハロゲン化炭化水素及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。非常に好ましい有機溶媒は、キシレン(異性体の混合物)、トルエン、エチルベンゼン、ナフサ、1,2,4-トリメチルベンゼン、メシチレン、n-プロピルベンゼン、酢酸イソペンチル、n-酢酸ブチル、(2-メトキシメチルエトキシ)プロパノール、酢酸2-ブトキシエチル、酢酸2-メチルブチル、イソブタノール、1-ブタノール、1-エトキシプロパン-2-オール、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン、酢酸2-メトキシ-1-メチルエチル、4,6-ジメチル-ヘプタン-2-オン、4-メチル-2-ペンタノン、1-メトキシ-2-プロパノール、酢酸1-メトキシ-2-プロピル、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール、2-ブトキシエタノール、5-メチルヘキサン-2-オン、酢酸エチル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0024】
非常に好ましい実施形態において、有機溶媒の量は、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして25~68重量%である。
【0025】
好ましい実施形態において、有機溶媒の量は、有機溶媒系の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして、27~65重量%、より好ましくは30~60重量%、さらにより好ましくは35~58重量%である。
【0026】
実施形態において、有機溶媒の量は、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして25~66重量%、25~62重量%、25~60重量%、25~58重量%又は25~56重量%である。
【0027】
他の実施形態において、有機溶媒の量は、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして28~68重量%、30~68重量%、32~68重量%、34~68重量%、36~68重量%、38~68重量%又は40~68重量%である。
【0028】
さらに他の実施形態において、有機溶媒の量は、有機溶媒系の再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして、28~75重量%、30~75重量%、32~75重量%、34~75重量%、36~75重量%、38~75重量%又は40~75重量%である。
【0029】
球状ガラスビーズ
上文に定義されたように、589nmの波長λで測定される球状ガラスビーズの屈折率は、1.5から2.8の間にある。
【0030】
好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、
(a)2.0から2.8、好ましくは2.1から2.4の間の;又は
(b)1.7から2.1、好ましくは1.8から2.0の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する。
【0031】
好ましい実施形態において、本明細書において使用される「球状ガラスビーズ」中の「ガラス」という用語は、酸化物でできた非晶質の無定形固体及び透明な材料を指す。他の実施形態において、「球状ガラスビーズ」中の「ガラス」という用語は、酸化物ででき、多少の微小結晶度を含有する固体及び透明な材料を指す。球状ガラスビーズの屈折率は、ガラスの密度と密接に関係するが、関係は線形ではない。ガラスの性質のために、密度はおよそその組成物の加法的関数である。1.5から2.8の間の屈折率を有する球状ガラスビーズの密度は、通常2.5から4.5g/cmの間で変動する。
【0032】
ガラスに使用することができる酸化物は、シリコン、ホウ素、アルミニウム、ナトリウム、バリウム、バナジウム、チタン、ランタン、ストロンチウム、ジルコニウム、カリウム、マグネシウム、鉄、カルシウム、亜鉛、リチウム、バリウム及び鉛の酸化物である。球状ガラスビーズは、例えばシリカ(SiO)、酸化ホウ素(B)、五酸化リン(P)、五酸化バナジウム(V)、三酸化二ヒ素(As)、酸化ゲルマニウム(GeO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化カリウム(KO)、酸化鉄(Fe)、酸化鉛(PbO)、酸化バリウム(BaO)、チタン酸バリウム(BaTiO)、酸化チタン(TiO)、酸化リチウム(LiO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化ランタン(La)及び酸化ジルコニウム(ZrO)の種々の組み合わせを含み得る。シリカ及び酸化ホウ素は一般に密度が最も低い。これらの酸化物の大きい重量パーセントを含有するガラスは、したがって、一般に低い屈折率を有するガラスビーズをもたらす。屈折率は、高分子量を有する酸化物の添加により増加させることができる。好ましくは、球状ガラスビーズはPbOを含まない。
【0033】
1.5~2.51の範囲の屈折率を有するガラスビーズ及び酸化物の観点でのそれらの組成が、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2014/109564号に開示されている。2.15を超える屈折率を有する、PbOを含まない透明ガラスビーズが、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,082,427号に開示されている。
【0034】
球状ガラスビーズは、透明性を維持する限り、有色球状ガラスビーズであってもよい。有色透明ガラスで作製された有色球状ガラスビーズ、及び同心の透明有色コーティングが施された球状ガラスビーズの両方が、本発明に包含される。色は、酸化物の組成によってもたらされた自然の色であってもよく、又は、特定の色を有する成分を添加することによって意図的に選択されてもよい。高い屈折率及び高い透明性を有する有色ガラスビーズが、国際公開第2014/109564号に開示されている。
【0035】
したがって、実施形態において、球状ガラスビーズの少なくとも一部は有色透明ガラスで作製された球状ガラスビーズであり、及び/又は、球状ガラスビーズの少なくとも一部は同心の透明有色コーティングが施されている。
【0036】
球状ガラスビーズは、レーザー回折により測定される中央粒径D50を有する。したがって、中央粒径D50は、体積分布に基づく体積中央値である。中央粒径D50は、球状ガラスビーズの集団の半分がそれ未満に収まる直径である。この体積中央粒径は、当技術分野においてしばしばDv50又はDv0.5と呼ばれる。
【0037】
非常に好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、5から150μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する。
【0038】
実施形態において、球状ガラスビーズは、25から100μmの間、好ましくは30から75μmの間、より好ましくは35から50μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する。
【0039】
好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、5から100μmの間、例えば5から75μmの間、5から50μmの間、5から45μmの間、5から40μmの間又は5から35μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する。
【0040】
非常に好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、1から100μmの間、例えば1から75μmの間、1から50μmの間、1から45μmの間、1から40μmの間、1から35μmの間、1から30μmの間、1から25μmの間、1から20μmの間、1から15μmの間、又は1から10μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する。
【0041】
なお別の実施形態において、球状ガラスビーズは、25から150μmの間、例えば50から150μmの間、75から150μmの間、100から150μmの間、110から150μmの間、又は115から150μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する。
【0042】
直径D10及びD90はそれぞれ、当技術分野においてしばしばDv10又はDv0.1及びDv90又はDv0.9と呼ばれる。D10直径は、球状ガラスビーズの集団の10%がそれ未満に収まる直径である。同様に、D90直径は、球状ガラスビーズの集団の90%がそれ未満に収まる直径である。
【0043】
レーザー回折により測定される球状ガラスビーズの粒子サイズ分布のスパンは、以下により定義される。
【0044】
【数1】
【0045】
別の実施形態において、球状ガラスビーズは、15から100μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、例えば0から1.5の間、0から1の間、0から0.5の間、0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0046】
なお別の実施形態において、球状ガラスビーズは、30から75μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、例えば0から1.5の間、0から1の間、0から0.5の間、0から0.2の間、又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0047】
別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、15から50μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、例えば0から1.5の間、0から1の間、0から0.5の間、0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0048】
なお別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、1から35μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、例えば0から1.5の間、0から1の間、0から0.5の間、0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0049】
なお別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、5から35μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、例えば0から1.5の間、0から1の間、0から0.5の間、0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0050】
なお別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、10から25μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、例えば0から1.5の間、0から1の間、0から0.5の間、0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0051】
なお別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、1から25μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50及び0から1.9の間、例えば0から1.5の間、0から1の間、0から0.5の間、0から0.2の間、又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0052】
なお別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、1から15μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、例えば0から1.5の間、0から1の間、0から0.5の間、0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0053】
なお別の好ましい実施形態において、球状ガラスビーズは、1から10μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び0から1.9の間、例えば0から1.5の間、0から1の間、0から0.5の間、0から0.2の間又は0から0.1の間のスパンを有する。
【0054】
当業者により理解されるように、スパン=0は、単分散球状ガラスビーズに対応する。
【0055】
好ましい実施形態において、球状ガラスビーズの少なくとも一部は、光反射コーティングで、好ましくは半球状アルミニウムコーティング(HAC)を用いて半球状にコーティングされている。別の実施形態において、球状ガラスビーズの少なくとも一部は、フッ素化学的にコーティングされている。
【0056】
非常に好ましい実施形態において、球状ガラスビーズの量は、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして20~70重量%である。
【0057】
好ましい実施形態において、球状ガラスビーズの量は、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして23~68重量%、より好ましくは25~65重量%、よりさらに好ましくは28~63重量%である。
【0058】
実施形態において、球状ガラスビーズの量は、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして20~65重量%、20~63重量%、20~60重量%、20~57重量%、20~54重量%、20~52重量%又は20~50重量%である。
【0059】
実施形態において、球状ガラスビーズの量は、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして、1~80重量%、1~78重量%、1~76重量%、1~74重量%、1~72重量%、1~70重量%又は1~68重量%である。
【0060】
他の実施形態において、球状ガラスビーズの量は、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして22~70重量%、24~70重量%、26~70重量%、27~70重量%、28~70重量%、29~70重量%又は30~70重量%である。
【0061】
さらに他の実施形態において、球状ガラスビーズの量は、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして2~85重量%、5~85重量%、8~85重量%、10~85重量%、12~85重量%、14~85重量%又は16~85重量%である。
【0062】
有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の特定の用途は、球状ガラスビーズの最適の屈折率を決定する。組成物が乾燥した環境において、又は乾燥条件下で再帰反射性を示すことになる基材上に塗布される場合、また、再帰反射性球状ガラスビーズの塗布層がさらなる層によってコーティングされない場合、589nmの波長λで測定される球状ガラスビーズの屈折率は、1.8から2.8の間にあってもよい。
【0063】
実施形態において、本明細書において定義される有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、1.8から2.0の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する球状ガラスビーズを含む。
【0064】
他方では、組成物が湿潤環境において、又は湿潤条件下で再帰反射性を示すことになる基材上に塗布されることになる場合、又は、再帰反射性球状ガラスビーズの塗布層が1つ又は複数のさらなる透明層によってコーティングされる場合、589nmの波長λで測定される球状ガラスビーズの屈折率は、好ましくは2.0から2.8の間、より好ましくは2.2から2.4の間にある。乾燥及び湿潤条件の両方の下の再帰反射性を示すことになる組成物、及び、再帰反射性球状ガラスビーズの塗布層が1つ又は複数のさらなる透明層によってコーティングされるか、コーティングされない場合、異なる屈折率、及び任意選択で異なるサイズを有する異なるタイプのガラスビーズを含むことができる。実施形態において、本明細書において定義される有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、2.0から2.8の間、好ましくは2.2から2.4の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する球状ガラスビーズを含む。
【0065】
別の実施形態において、本明細書において定義される有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、少なくとも2つのタイプの球状ガラスビーズを含み、少なくとも1つのタイプの球状ガラスビーズは、1.8及び2.0未満の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有し、球状ガラスビーズの少なくとも1つのさらなるタイプは、2.0から2.8の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する。
【0066】
増粘剤
有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は増粘剤を含む。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、増粘剤は、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物中の球状ガラスビーズ及び任意選択でさらなる微粒子物質の沈殿及び/又は沈降を制限又は低減し、その結果、組成物は容易に再懸濁することができると考えられる。さらに、やはりいかなる理論にも束縛されることを望まないが、増粘剤は、剪断減粘挙動を有する有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を提供すると考えられる。
【0067】
好ましい実施形態において、増粘剤は、異なる増粘剤の混合物を包含する。
【0068】
有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物において使用することができる増粘剤の好ましい例は、(変性)水素化ヒマシ油、粘土、変性粘土、スルホン酸カルシウム複合体、有機親和性フィロシリケート、シリカゲル、合成無定形シリカ、アクリル酸型ゲル化剤、変性セルロース系材料、ポリ尿素分散体、尿素変性ポリアミドの溶液、ポリウレタン分散体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0069】
変性粘土の例は、ベントン(BENTONE)(登録商標)LT及びベントン(登録商標)38(Elementis Global)を含む。シリカゲルの例は、HDK(登録商標)N20(Wacker Chemical Corporation)及びアエロジル(AEROSIL)(登録商標)(Evonik)を含む。有機親和性フィロシリケートの例はClaytone 40(Byk)である。変性水素化ヒマシ油の例はエフカ(Efka)(登録商標)RM 1900(BASF)である。水素化ヒマシ油の例はエフカ(登録商標)RM 1920(BASF)である。イソブタノール/モノフェニルグリコール中の尿素変性無極性ポリアミドの溶液の例は、Rheobyk-431(Byk)である。イソブタノール/ソルベントナフサ中の中極性の尿素変性ポリアミドの溶液の例は、Rheobyk-430(Byk)である。合成無定形シリカの例はゼオシクス(Zeothix)(登録商標)(Huber)である。
【0070】
好ましい実施形態において、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物において、2種の増粘剤が、より好ましくは
有機親和性フィロシリケート及び変性水素化ヒマシ油;又は
スルホン酸カルシウム複合体及びポリ尿素分散体が使用される。
【0071】
好ましい実施形態において、増粘剤の量は、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして、0.20~1.18重量%、より好ましくは0.25~1.15重量%、さらにより好ましくは0.30~1.10重量%である。
【0072】
実施形態において、増粘剤の量は、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして、0.15~1.18重量%、0.15~1.15重量%又は0.15~1.10である。
【0073】
他の実施形態において、増粘剤の量は、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の総重量を基準にして、0.20~1.20重量%、0.30~1.20重量%、0.40~1.20重量%、0.45~1.20重量%又は0.50~1.20重量%である。
【0074】
有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物中の有機溶媒の量は独立して指定される。増粘剤が例えば溶媒中の分散体の形で適用される場合、上文に定義される増粘剤の量は増粘剤の乾燥重量に関係する。
【0075】
さらなる成分
上文に記載されるように、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物は、0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分を含む。当業者によって認識されるように、「さらなる」成分は、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物において定義される他の成分とは異なる。言いかえれば、さらなる成分は、球状ガラスビーズ、増粘剤及び有機溶媒を含まない。
【0076】
好ましい実施形態において、さらなる1種又は複数の成分は、泡制御剤、発光剤、UV吸収剤、結合剤及び樹脂、防腐剤、染料、顔料及び硬化開始剤からなる群から選択される。
【0077】
有機溶媒に基づく組成物に適切な結合剤及び樹脂は、一般に当業者に公知である。結合剤又は樹脂は放射線硬化性であってもよい。結合剤又は樹脂が放射線硬化性である場合、さらなる成分は、光開始剤又は熱開始剤などの硬化開始剤を含むことができる。
【0078】
実施形態において、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物は、1種又は複数のさらなる成分の一部として、5から50μmの間の平均直径、1μm未満の厚さ、及び少なくとも10のアスペクト比(薄片直径/厚さ)を有する合成顔料薄片を含み、前記合成顔料薄片は(A)、(B)、(C)又はそれらの組み合わせから選ばれる:
(A) 任意選択で金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO、B、GeO、MgF、合金、希土類化合物からなる群から選択される、1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた金属薄片又は合成雲母薄片;
(B) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO、B、GeO、合金、希土類化合物からなる群から選択された1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、Al、SiO、ガラス、セラミック、グラファイト又は雲母小板を含む薄片;
(C) 金属酸化物、金属、金属硫化物、亜酸化チタン、酸窒化チタン、FeO(OH)、SiO、B、GeO、合金、希土類化合物からなる群から選択される1種又は複数の成分の少なくとも1つの層を用いてコーティングされ、任意選択で1種又は複数の着色剤及び結合剤を含む外側層を用いてコーティングされた、TiO、ZrO、SiO、SnO、In、ZnO及び酸化鉄からなる群から選択された1種又は複数の成分を用いてドープされたAl小板を含む薄片。
【0079】
「平均直径」という用語は合成顔料薄片の文脈において中央粒径D50を指す。
【0080】
当業者によって認識されるように、「合成顔料薄片」中の「合成」という用語は、顔料薄片が天然に存在する顔料薄片ではなく、化学的に製造された顔料薄片、又は化学的/物理的に加工された、天然に存在する顔料薄片であることを意味する。合成色素薄片を使用する利点の1つは、非常に平滑な表面を有し、その結果として反射性を増加させることができることである。
【0081】
本明細書において使用される「薄片」又は「小板」という用語は、大きい表面積及び薄い厚さを有する顔料の形状を指す。通常、薄片又は小板は、最大の寸法(すなわち最も小さな寸法(すなわち厚さ)によって除された表面の最大の直径)として定義されるそれらの「アスペクト比」を特徴とする。本明細書において使用される合成顔料薄片は、少なくとも10、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも20のアスペクト比を有する。
【0082】
好ましい実施形態において、合成薄片の平均直径は、6~45μm、より好ましくは7~35μm、さらにより好ましくは8~25μm、なおより好ましくは9~20μm、最も好ましくは10~16μmである。
【0083】
好ましい実施形態において、合成薄片の厚さは、10nmから800nmの間、より好ましくは15nmから600nmの間にある。別の好ましい実施形態において、合成薄片の厚さは、10から200nmの間、より好ましくは10から150nmの間、さらにより好ましくは10から100nmの間、なおより好ましくは10から50nmの間にある。
【0084】
実施形態において、1種又は複数のさらなる成分の量は、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物の総重量を基準にして、0~25重量%、0~20重量%、0~15重量%、0~12重量%、0~10重量%、0~8重量%、0~6重量%、又は0~5重量%である。
【0085】
他の実施形態において、1種又は複数のさらなる成分の量は、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物の総重量を基準にして0.1~23重量%、0.5~17重量%又は1~15重量%である。
【0086】
有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物中の有機溶媒の量は独立して指定される。1種又は複数のさらなる成分が、例えば溶媒中の溶液、懸濁液又は分散体の形で適用される場合、上文に定義された1種又は複数のさらなる成分の量は、乾燥重量、すなわち1種又は複数のさらなる成分の、溶媒なしの重量に関係する。
【0087】
レオロジー挙動
有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物は剪断減粘挙動を有する。これは、静的な/安定な状況が、それをある特定の増加した剪断速度にかけることにより乱されると、組成物の粘度が低下することを意味する。
【0088】
上文に定義されるように、本明細書において定義される有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物は、直径8.25cmを有する600mlのビーカー中で#2スピンドルを用いて25℃の温度で測定して、第2のブルックフィールド粘度ηが第1のブルックフィールド粘度ηより少なくとも2倍低いことを条件として、0.2~8Pa・sの間の、0.5rpmの剪断速度でのη、及び80から450mPa・sの間にある、20rpmの剪断速度でのηを有する。
【0089】
好ましい実施形態において、ηがηより少なくとも2倍低いことを条件として、ηは0.25から5Pa・sの間にあり、ηは100から425mPa・sの間にある。別の好ましい実施形態において、ηがηより少なくとも2倍低いことを条件として、ηは0.26から2.5Pa・sの間にあり、ηは110から400mPa・sの間にある。なお別の好ましい実施形態において、ηがηより少なくとも2倍低いことを条件として、ηは0.27から2Pa・sの間にあり、ηは120から350mPa・sの間にある。
【0090】
有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物の0.5rpmの剪断速度で求められる第1の粘度ηは、球状ガラスビーズ及び任意選択のさらなる微粒子材料を十分に長い期間懸濁状態に維持するのに十分である。20rpmの剪断速度は、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物を基材に塗布することができる(工業用)噴霧条件として典型的である。第2の粘度ηは、容易に噴霧することができる有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物を提供するのに十分に低い。
【0091】
好ましい実施形態において、本明細書において定義される有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物は、直径8.25cmを有する600mlのビーカー中で25℃の温度で#5スピンドルを用いて測定される、1.5Pa・s未満、より好ましくは1.3Pa・s未満、さらにより好ましくは1.1Pa・s未満、例えば1.0Pa・s未満、0.8Pa・s未満、又は0.6Pa・s未満の10rpmの剪断速度での第3のブルックフィールド粘度ηを有する。
【0092】
別の好ましい実施形態において、本明細書において定義される有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物は、第5のブルックフィールド粘度ηが第4のブルックフィールド粘度ηより少なくとも2倍低いことを条件として、直径8.25cmを有する600mlのビーカー中25℃の温度で#3スピンドルを用いて測定される、0.25から5Pa・sの間の0.5rpmの剪断速度でのη、及び80から450mPa・sの間の20rpmの剪断速度でのηを有する。
【0093】
なお別の好ましい実施形態において、本明細書において定義される有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物は、第5のブルックフィールド粘度ηが第4のブルックフィールド粘度ηより少なくとも2倍低いことを条件として、直径8.25cmを有する600mlのビーカー中25℃の温度で#3スピンドルを用いて測定される、0.30から3Pa・sの間の、0.5rpmの剪断速度でのη、及び100から425mPa・sの間の、20rpmの剪断速度でのηを有する。
【0094】
なお別の好ましい実施形態において、本明細書において定義される有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物は、第5のブルックフィールド粘度ηが第4のブルックフィールド粘度ηより少なくとも2倍低いことを条件として、0.35から2.5Pa・sの間の、0.5rpmの剪断速度でのη、及び110から400mPa・sの間の、20rpmの剪断速度でのηを有する。
【0095】
有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物の調製の方法
概して言えば、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の成分は任意の順序で添加することができる。しかしながら、増粘した組成物中では均質に成分を分布させることがより困難になるので、少なくとも有機溶媒に球状ガラスビーズを添加した後、プロセスの終わりに増粘剤を添加することが好ましい。
【0096】
好ましい実施形態において、増粘剤は、有機溶媒及び球状ガラスビーズを混合した後に添加される。別の好ましい実施形態において、増粘剤は、有機溶媒、球状ガラスビーズ及び任意のさらなる成分を混合した後に添加される。有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物中の空気泡の包含を回避するために、撹拌又は均質化は、好ましくは低い剪断速度で遂行される。
【0097】
第2の態様において、本明細書において定義される有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製のための方法であって、
(i)有機溶媒、上文に定義される球状ガラスビーズ、上文に定義される増粘剤及び上文に定義される任意選択の1種又は複数のさらなる成分を容器に添加するステップ;並びに
(ii)ステップ(i)で得られた混合物を、好ましくは15から70℃の間の温度で、好ましくは5から60分の間の期間撹拌又は均質化するステップを含む方法が提供される。
【0098】
しかしながら、異なる成分の添加もまた方法の異なる段階で遂行されてもよい。結果的に、実施形態において、本明細書において定義される有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法が提供され、前記方法は、
(i)有機溶媒、上文に定義される球状ガラスビーズ、上文に定義される増粘剤の少なくとも一部、及び任意選択で上文に定義される1種又は複数のさらなる成分の一部を、容器に添加するステップ;
(ii)好ましくは15から70℃の間の温度で、好ましくは5から60分の間の期間、ステップ(i)で得られた混合物を撹拌又は均質化するステップ;
(iii)上文に定義される1種又は複数のさらなる成分の少なくとも一部をステップ(ii)又は(iii)で得られた組成物に添加し、任意選択で上文に定義される増粘剤の一部を添加し、任意選択で有機溶媒を添加するステップ;並びに
(iv)ステップ(iii)で得られた混合物を、好ましくは15から70℃の間の温度で、好ましくは5から60分の間の期間、撹拌又は均質化するステップを含む。
【0099】
実施形態において、一方でステップ(i)及び(ii)を遂行する間の時間、他方では、ステップ(iii)及び(iv)は、数日又は数か月、又はさらに長くてもよい。
【0100】
有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製のための方法はまた、最終の有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物が上文に定義される組成物及び特性をなお有することを条件として、上文に定義される組成物及び特性を有する中間の有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の生成、続いて別の組成物を添加し混合して最終の有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を得るステップを包含してもよい。
【0101】
結果的に、実施形態において、本明細書において定義される有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製の方法が提供され、前記方法は、
(i)有機溶媒、上文に定義される球状ガラスビーズ、上文に定義される増粘剤の少なくとも一部及び任意選択で上文に定義される1種又は複数のさらなる成分の一部を容器に添加するステップ;
(ii)ステップ(i)で得られた混合物を、好ましくは15から70℃の間の温度で、好ましくは5から60分の間の期間撹拌又は均質化して、上文に定義される有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の組成物及び特性を有する中間の有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を得るステップ;
(iii)上文に定義される1種又は複数のさらなる成分の少なくとも一部をステップ(ii)で得られた中間の有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物に添加し、任意選択で上文に定義される増粘剤の一部を添加し、任意選択で有機溶媒を添加するステップ;並びに
(iv)ステップ(iii)で得られた混合物を好ましくは15から70℃の間の温度で、好ましくは5から60分の間の期間撹拌又は均質化して、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を得るステップを含む。
【0102】
実施形態において、一方でステップ(i)及び(ii)を遂行する間の時間、他方では、ステップ(iii)及び(iv)は、数日又は数か月、又はさらに長くてもよい。
【0103】
基材にコーティングする方法
第3の態様において、本発明は、再帰反射性層を用いて基材にコーティングする方法に関係し、前記方法は、
a)基材を用意するステップ;
b)任意選択でステップ(a)の基材にプライマー層を塗布するステップ;
c)任意選択で、しかし好ましくはなく、ステップ(a)の基材又はステップ(b)のプライマー層に有色基層を塗布するステップ;
d)上文に定義される有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物をステップ(a)の基材上に、又はステップ(b)若しくは(c)の層上に噴霧するステップ;
e)ステップ(d)で得られた再帰反射性層を用いてコーティングされた基材を乾燥及び/又は硬化するステップ;並びに
f)任意選択でステップ(e)で得られた再帰反射性層を用いてコーティングされた乾燥基材を、1種又は複数のさらなる透明コーティング層を用いてコーティングし、続いて乾燥及び/又は硬化するステップを含む。
【0104】
有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を噴霧するステップ(d)は、1ステップで単層を、又は後続の噴霧ステップで互いの上に多重層を噴霧することを含むことができる。後続の層は、好ましくは「ウェットオンウェット」で塗布され、これは、後続の層が、少なくとも一部ないし事実上全部の有機溶媒を蒸発させ、しかし(完全には)硬化していない先の層の上に塗布されることを意味する。これは、後続の層が「ウェットオンウェット」で塗布された場合でも、中間の乾燥ステップが、後続の層の塗布間で塗布されることを意味する。
【0105】
層の中間の乾燥は、通常、20から30℃の間の温度で約2~15分間遂行される。
【0106】
また、後続の層を塗布する前に先の層を完全に乾燥及び/又は硬化することも可能である。層の完全な乾燥及び/又は硬化は、通常約60℃の温度で約20分間、又は大気中約20℃の温度で30分間、遂行される。好適な乾燥条件を選ぶことは当業者の技術内にある。
【0107】
実施形態において、ステップ(d)は、複数の層、例えば2、3、4又は5つの層を噴霧するステップを包含する。
【0108】
実施形態において、ステップ(d)は、n個の層をもたらすn回の後続の噴霧ステップを包含し、ここで、x番目の層は、x-1番目の層の上に少なくとも部分的に塗布され、xは2からnの間の整数であり、nは2から5の間の整数である。
【0109】
好ましい実施形態において、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物は、ステップ(d)において基材1m当たり100~800gの量で、より好ましくは基材1m当たり100~400gの量で塗布される。
【0110】
実施形態において、ステップ(b)は遂行されない。非常に好ましい実施形態において、ステップ(c)は遂行されない。
【0111】
コーティングされる基材の幾何形状は、噴霧によりそれをコーティングすることができる限り、すなわち、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の小滴が基材の表面に到達し得る限りいかなる意味においても限定されない。実施形態において、基材は平らである。他の実施形態において、基材は曲がっている。さらなる実施形態において、基材は平らな部分及び曲線部分を含む。
【0112】
本発明者らは、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物を、例えば各種基材に専門的な又は工業用の(高速)噴霧を使用して塗布して、均質性及び広角度での再帰反射性などの優れた印刷又はコーティング品質を有する再帰反射性コーティング層をもたらすことができることを確証した。有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物が鉛直に位置する基材の表面に塗布されるとき、また基材の表面が下から噴霧されてすら、これらの結果もまた得ることができる。
【0113】
再帰反射性コーティング層に1つ又は複数のさらなる透明コーティング層が提供される場合(すなわち、上文に定義される基材をコーティングする方法のステップ(f)が遂行される)、高い平滑性及び改善された清掃可能性を有する再帰反射性層が得られる。
【0114】
好ましい実施形態において、基材は布地、皮革、金属、コンクリート、ゴム、プラスチック、炭素繊維、及びそれらの組み合わせから選ばれる。本明細書において使用される布地は、織った又は編んだ布地織物、例えば綿、ポリエステル、ナイロン、絹、ウール、ビスコース及びアクリルを包含する。
【0115】
基材が製造された材料の種類に関係なく、基材は、衣服、交通標識、自動車のシャシー又は車体、自転車フレーム、道路、舗道及びガードレールからなる群から選択することができる。
【0116】
本発明による再帰反射性コーティングが設けられる基材は、ステップ(f)において1種又は複数のさらなる透明コーティング層が設けられてもよい。これらの1種又は複数のさらなる透明コーティング層は、擦過及び/又は湿分に対して再帰反射性層を保護する役目をすることができる。なおその上に、特定のマット又は輝き/光沢のある外観を有する再帰反射性層を用いてコーティングされた基材を提供するために、それらを使用することができる。1種又は複数のさらなる透明コーティング層は有色であってもよい。任意選択のステップ(f)において塗布された1つ又は複数のさらなる透明コーティング層は、液体コーティング層、粉末コーティング層又はそれらの組み合わせを含んでもよく、それは、続いて硬化又は乾燥される。
【0117】
1つ又は複数のさらなる透明コーティング層が、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の層にステップ(f)で塗布される場合、有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物のこの層は通常完全には硬化されない。好適な乾燥条件を選ぶことは当業者の技術内にある。
【0118】
ステップ(c)の噴霧は好ましくは、カーテンコーティング、スプレーガン、高速ロータリーベル、高速回転ディスクを使用して、又は噴射剤を含むスプレー缶を使用して遂行される。好ましい実施形態において、噴霧は噴射剤を使用せずに遂行される。
【0119】
第4の態様において、本発明は、上文に定義される方法によって得られた、又は入手可能な再帰反射性層を用いてコーティングされた基材に関係する。再帰反射性層を用いてコーティングされた基材はマット又は輝きの外観を有することができる。
【0120】
好ましい実施形態において、再帰反射性層を用いてコーティングされた、好ましくは1つ又は複数のさらなる透明コーティング層を用いてコーティングされた基材(すなわち、上文に定義される基材をコーティングする方法のステップ(e)が遂行される。)は、コーティング基材の垂直から0から80°の間、例えば0から78°の間、0から75の間、0から70°の間、0から65°の間、0から60の間、0から55°の間、0から50°の間、0から45°の間及び0から40°の間の任意の角度での再帰反射性層の再帰反射を示す。再帰反射性層のこの再帰反射は、眼の視線が実質上トーチのビームと一致するトーチのビームを再帰反射性層に向けることにより、及び再帰反射が観察されるかを視覚的に判定することによって求められる。実験はコーティングされた基材の垂直な0の角度で開始し、その後に、再帰反射がもはや識別されなくなるまで、角度は徐々に増加させられる。
【0121】
したがって、本発明は、上記に論じられたある特定の実施形態を参照して記載されている。これらの実施形態が、当業者に周知の様々な修飾及び代替形態を受け入れやすいことは認識されよう。
【0122】
さらに、本明細書及びその特許請求の範囲を正しく理解するために、「含む」という動詞及びその活用形は、その単語の後にくる項目が含まれるが、具体的に言及されていない項目が除外されないことを意味するように、非制限的な意味で使用されることを理解すべきである。さらに、不定冠詞「a」又は「an」による要素の言及は、文脈上明確にその要素が1つのみ存在すると解すべき場合を除いて、その要素の2つ以上が存在する可能性を除外しない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【実施例
【0123】
プロトコル粘度の測定
25℃の温度でブルックフィールドアメテック(Brookfield Ametek)(登録商標)DV2T粘度計を使用し、操作指示書に従って種々の標準化されたスピンドル(#2、#3及び#5;LV-2、LV-3及びLV-5、ブルックフィールドアメテック(登録商標)から得られた。)を使用して粘度を測定した。8.25cmの直径を有する平底の600mlの平型Griffinビーカー中で保護脚を使用しないで測定を遂行した。粘度を測定する前に、試料を25℃の温度にし、撹拌を使用して均質化した。
【0124】
実施例1
本発明による4種の組成物(試料2、4、5及び7)、及び4種の比較組成物(試料1、3、6及び8)をkgスケールで調製した。以下の成分を使用した。
【0125】
球状ガラスビーズ:
マイクロガラスビーズ(RI 2.2)、589nmの波長λで測定して約2.2の屈折率を有し、レーザー回折を用いて測定して26.56μmの中央粒径D50、19.77μmのD10直径及び32.41μmのD90直径、及び約4.5g/cmの比重を有するJianxi Sunflex Light Retroreflective Material Co,Ltd.から得られた。これらの球状ガラスビーズは、TiO、BaO、CaO、SiO及びZnOを含む。
【0126】
Jianxi Sunflex Light Retroreflective Material Co,Ltd.から得られたマイクロガラスビーズ(RI 1.9、HAC)、589nmの波長λで測定して約1.9の屈折率を有し、レーザー回折を用いて測定して38.22μmの中央粒径D50、34.86μmのD10直径及び43.04μmのD90直径並びに約4.2g/cmの比重を有する半球状にアルミニウムコーティングしたガラスビーズ。これらの球状ガラスビーズはTiO、BaO、SiO、CaO及びAlを含む。
【0127】
有機溶媒
クロマックスXB165 Centari 6000 Low Emission Binder(Axalta)の溶媒部分、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、酢酸イソペンチル、酢酸n-ブチル、イソブタノール及び酢酸2-メトキシ-1-メチルエチルを含む有機溶媒の混合物
有機溶媒の混合物、例えばキシレン、エチルベンゼン、ナフサ、1,2,4-トリメチルベンゼン、メシチレン、n-プロピルベンゼン、酢酸イソペンチル、n-酢酸ブチル、酢酸2-メチルブチル及び4-メチル-2-ペンタノンを含む、クロマックス XB383(Axalta)
クロマックスAU370/イムロン(Imron)(登録商標)700ポリウレタンシンナー(Axalta)、キシレン、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、エチルベンゼン、酢酸イソペンチル、酢酸2-メチルブチル及びトルエンを含む
Avatar T-4500(Global Refinish Trading Center,Cyprusから得られた)、アクリレートシンナー、ジメチルベンゼン(異性体の混合物)、酢酸n-ブチル、酢酸1-メトキシ-2-プロピル、エチルベンゼン及び2-(2-ブトキシエトキシ)エタノールを含む
Schlenk Metallic Pigments GmbHから得られたアクアメット(Aquamet)(登録商標)CP-BG/8500/60の溶媒部分、ブチルグリコール
【0128】
さらなる成分
クロマックス XB165 Centari 6000 Low Emission Binderの結合剤部分
アクアメット(登録商標)CP-BG/8500/60の固体部分、Schlenk Metallic Pigments GmbHから得られた、約16μmの平均直径及び厚さ<1μmを有する、シリカコーティングされたアルミニウム薄片。
キシラリック(登録商標)T61-10 WNT Micro Silver、Merck KGaAから得られた、8から14μmの間の平均直径、及び厚さ<1μmを有する、コーティングされた酸化アルミニウム薄片。
【0129】
増粘剤
エフカ(登録商標)RM 1900、BASFから得られた、変性水素化ヒマシ油、微細粉末、増粘剤
エフカ(登録商標)RM 1920、BASFから得られた、水素化ヒマシ油、微細粉末、増粘剤
【0130】
Claytone 40、Bykから得られた、有機親和性フィロシリケート、増粘剤
本発明による4種の組成物(試料2、4、5及び7)、及び4種の比較組成物(試料1、3、6及び8)を、以下の順序で成分を容器(3.5リットル)に添加することにより調製した。
(1)有機溶媒、例えばAvatar T-4500を室温(約20℃)で添加し、500rpmで撹拌を開始するステップ;
(2)少なくとも5分間500rpmで混合しながら室温(約20℃)でガラスビーズを添加するステップ;
(3)室温(約20℃)で第1の増粘剤、例えばClaytone 40を、1300rpmで少なくとも5分間混合しながら添加し、空気泡を導入せずに、2000rpmにrpmをゆっくり増加させるステップ;
(4)さらなる増粘剤、例えばエフカ(登録商標)RM 1900及び/又はエフカ(登録商標)RM 1920を添加し、引き続き1800rpmで少なくとも45分間撹拌し、さらに、必要な場合、空気泡を導入せずにrpmをゆっくり増加させるステップ;
(5)さらなる成分、例えばクロマックス XB165及び顔料薄片を2000rpmで混合しながら添加し、2000rpmで少なくとも15分間混合し続けるステップ;並びに
(6)任意選択で追加の増粘剤を添加し、続いて約1800rpmでさらに15分間撹拌するステップ。
【0131】
異なる成分の量を表1に列挙する。
【0132】
【表1】

【0133】
上文に定義されるプロトコルを使用し、ブルックフィールド粘度計を用いて10rpmで回転する#5スピンドルを使用し25℃の温度で、ブルックフィールド粘度計を用いて0.5及び20rpmで回転する#3スピンドルを使用し25℃の温度で、0.5及び20rpmで回転する#2スピンドルを用いて25℃の温度で、表1中の組成物の粘度を測定した。結果を表2、3及び4に示す。表3及び4に示すように、本発明による有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物及び比較組成物は、剪断減粘挙動を示す。
【0134】
【表2】
【0135】
10rpmで回転する#5スピンドルを用いて測定される本発明による組成物の結果として得られたブルックフィールド粘度は、したがって480から840mPa・sの間にあり、国際公開第00/42113号に開示されているスクリーン印刷(インク)に必要とされるより低い値より、はるかに低い。
【0136】
【表3】
【0137】
0.5及び20rpmで回転する#3スピンドルを用いて測定される本発明による組成物の結果として得られたブルックフィールド粘度は、したがってそれぞれ0.48から1.44Pa・sの間、及び126から378mPa・sの間にあり、国際公開第2004/017104号に指定されているより低い値より、はるかに低い。
【0138】
【表4】
【0139】
再懸濁後のある特定の時間後に、試料が沈降、離液又は分離(相又はそれ以外)を示すかどうかの視覚及び触覚的検査をすることによって表1中の組成物の安定性を求めた。表5を参照されたい。
【0140】
【表5】
【0141】
実施例2
実施例1の表1中の組成物を、1.3mmのノズルを備えたスプレーガン(DeVILBISS HVLP,DV1-C1 Plus)を使用して、垂直の黒色バー(0.3cm幅)を有する平らなねずみ色がかった金属試験プレート(10.5×14.9cm、154.2cmの実効表面積を有する)に表面全体にわたって室温(約20℃)で塗布した。スプレーガンは、金属試験プレートから30cm離して位置決めし、1.9バールの圧力を印加した。1つの層を塗布した。大気中約20℃の温度で30分間、層を乾燥し硬化させた。乾燥し硬化した塗布層の重量[g/m]を求めた(表6を参照されたい)。
【0142】
【表6】
【0143】
乾燥した後、コーティング品質を視覚的に検査した。本発明による比較例及び実施例の両方の総体の(中心から離れた)再帰反射性、及び再帰反射の最大角[°]は、良好であると考えられた。
【0144】
再帰反射の最大角[°]は、眼の視線が実質上トーチのビームと一致するトーチのビームを再帰反射性層に向けることにより、及び再帰反射が観察されるか否かを視覚的に判定することによって求められる。実験は、コーティングされた基材の垂直な0の角度で開始し、その後に、再帰反射がもはや識別されなくなるまで、角度を徐々に増加させる。
【0145】
ある角度の下で格子を通してコーティング層の表面上に光を向けることによって、またコーティング層の表面によって反射した格子の画像の鮮鋭度を観察することによって、コーティング層の平滑性又は「オレンジピール」を評価した。コーティング層の表面によって反射された格子の画像が鮮鋭であるほど、表面が平滑であり、オレンジピールは少ない。
【0146】
図1a~1hに、比較例1、実施例2、比較例3、実施例4及び5、比較例6、実施例7及び比較例8の順序で結果を提示する。図1a~1hにはっきり見ることができるように、本発明による実施例は、対応する比較例よりはるかに平滑な表面を有し、すなわちオレンジピールは少ない。この点で、比較例1(図1a)の結果は、実施例2(図1b)と比較されるべきであり、比較例3(図1c)の結果は実施例4(図1d)と比較されるべきであり、比較例6(図1f)の結果は実施例5(図1e)と比較されるべきであり、比較例8(図1h)の結果は実施例7(図1g)と比較されるべきである。本発明による実施例すべては、対応する比較例より、約25℃及び20rpmで#2スピンドルを使用する、はるかに低いブルックフィールド粘度を有する。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図1h
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物であって、第2のブルックフィールド粘度ηが第1のブルックフィールド粘度ηより少なくとも2倍低いことを条件として、0.2から8Pa・sの間の0.5rpmの剪断速度でのη、及び80から450mPa・sの間にある20rpmの剪断速度でのηを有し、前記組成物の総重量を基準にして、
25~75重量%の有機溶媒;
1から150μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び1.5から2.8の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する1~74重量%の球状ガラスビーズ;
0.15~1.2重量%の増粘剤;並びに
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなり;
前記ブルックフィールド粘度η及びηは直径8.25cmを有する600mlのビーカー中25℃の温度で#2スピンドルを用いて測定される、有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項2】
前記組成物の総重量を基準にして、
25~68重量%の有機溶媒;
5から150μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50、及び1.5から2.8の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する20~70重量%の球状ガラスビーズ;
0.15~1.2重量%の増粘剤;並びに
0~30重量%の1種又は複数のさらなる成分からなる、請求項1に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項3】
ηがηより少なくとも2倍低いことを条件として、ηが0.25から5Pa・sの間にあり、ηが100から425mPa・sの間にあり、好ましくはηがηより少なくとも2倍低いことを条件として、ηは0.26から2.5Pa・sの間にあり、ηは110から400mPa・sの間にあり、より好ましくはηがηより少なくとも2倍低いことを条件として、ηは0.27から2Pa・sの間にあり、ηは120から350mPa・sの間にある、請求項1又は2に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項4】
直径8.25cmを有する600mlのビーカー中25℃の温度で#3スピンドルを用いて測定される、第5のブルックフィールド粘度ηが第4のブルックフィールド粘度ηより少なくとも2倍低いことを条件として、0.25から5Pa・sの間の0.5rpmの剪断速度でのη、及び80から450mPa・sの間の20rpmの剪断速度でのηを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項5】
前記球状ガラスビーズが、
(i)2.0から2.8の間、好ましくは2.1から2.4の間;又は
(ii)1.7から2.1の間、好ましくは1.8から2.0の間の、589nmの波長λで測定される屈折率を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項6】
前記球状ガラスビーズが、1から100μmの間、1から75μmの間、1から50μmの間、1から45μmの間、1から40μmの間又は1から35μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項7】
前記球状ガラスビーズが、5から100μmの間、5から75μmの間、5から50μmの間、5から45μmの間、5から40μmの間又は5から35μmの間の、レーザー回折を用いて測定される中央粒径D50を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項8】
前記球状ガラスビーズの少なくとも一部が、アルミニウムコーティングを用いて半球状にコーティングされた、請求項1~7のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項9】
前記有機溶媒が、脂肪族及び芳香族溶媒、ケトン、エステル、グリコエーテル、アルコール、ハロゲン化炭化水素及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項10】
前記増粘剤が、(変性)水素化ヒマシ油、粘土、変性粘土、スルホン酸カルシウム複合体、有機親和性フィロシリケート、シリカゲル、合成無定形シリカ、アクリル酸型ゲル化剤、変性セルロース系材料、ポリ尿素分散体、尿素変性ポリアミドの溶液、ポリウレタン分散体及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項11】
前記有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物の総重量を基準にして、0.20~1.18重量%、好ましくは0.25~1.15重量%、より好ましくは0.30~1.10重量%の増粘剤を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項12】
前記1種又は複数のさらなる成分が、泡制御剤、発光剤、UV吸収剤、結合剤及び樹脂、防腐剤、染料及び硬化開始剤からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、コーティング又は塗料組成物の調製のための方法であって、
(i)前記有機溶媒、前記球状ガラスビーズ、前記増粘剤及び任意選択の前記1種又は複数のさらなる成分を容器に添加するステップ;並びに
(ii)ステップ(i)で得られた混合物を、好ましくは15から70℃の間の温度で、好ましくは5から60分の間の期間、撹拌又は均質化するステップを含む方法。
【請求項14】
再帰反射性層を用いて基材をコーティングする方法であって、
a)基材を用意するステップ;
b)任意選択でステップ(a)の前記基材にプライマー層を塗布するステップ;
c)任意選択で、ステップ(a)の前記基材又はステップ(b)の前記プライマー層に有色の基層を塗布するステップ;
d)ステップ(a)の基材又はステップ(b)若しくは(c)の層上に請求項1~12のいずれか一項に記載の有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物を噴霧するステップ;
e)ステップ(d)で得られた再帰反射性層を用いてコーティングされた前記基材を乾燥及び/又は硬化するステップ;並びに
f)任意選択でステップ(e)で得られた前記再帰反射性層を用いてコーティングされた前記乾燥基材を、1種又は複数のさらなる透明コーティング層を用いてコーティングし、続いて乾燥及び/又は硬化するステップを含む方法。
【請求項15】
前記有機溶媒系再帰反射性インク、塗料又はコーティング組成物が、カーテンコーティングを使用して、スプレーガン、高速ロータリーベル、高速回転ディスクを使用して又は噴射剤を含むスプレー缶を使用してステップ(d)で基材上に噴霧される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(d)がn個の層をもたらすn回の後続の噴霧ステップを包含し、x番目の層は、x-1番目の層の上に少なくとも部分的に塗布され、ここで、xは2からnの間の整数であり、nは2から5の間の整数である、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
請求項14~16のいずれか一項に記載の方法によって入手可能な再帰反射性層を用いてコーティングされた基材。
【国際調査報告】