(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】加水分解性ヒドロゲル及びその使用
(51)【国際特許分類】
C08G 75/04 20160101AFI20240702BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240702BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240702BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240702BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240702BHJP
A61L 15/22 20060101ALI20240702BHJP
A61L 15/24 20060101ALI20240702BHJP
A61L 15/26 20060101ALI20240702BHJP
A61L 27/16 20060101ALI20240702BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20240702BHJP
A61K 38/00 20060101ALI20240702BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20240702BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240702BHJP
A61K 38/18 20060101ALI20240702BHJP
A61K 31/7042 20060101ALI20240702BHJP
C12N 5/00 20060101ALI20240702BHJP
C08G 65/32 20060101ALI20240702BHJP
B01J 13/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C08G75/04
A61K45/00
A61K47/32
A61K47/34
A61P35/00
A61L15/22 100
A61L15/24 100
A61L15/26 100
A61L27/16
A61L27/18
A61K38/00
A61K35/12
A61K39/395 A
A61K39/395 H
A61K39/395 M
A61K38/18
A61K31/7042
C12N5/00
C08G65/32
B01J13/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572948
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022031095
(87)【国際公開番号】W WO2022251468
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505477235
【氏名又は名称】ジョージア テック リサーチ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア,アンドレス ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】カーネル,マリア エム
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C081
4C084
4C085
4C086
4C087
4G065
4J005
4J030
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA93X
4B065CA44
4C076BB11
4C076CC27
4C076EE16
4C076EE23
4C081AA01
4C081DA04
4C081DA05
4C081DA11
4C081DA12
4C081DB01
4C084AA03
4C084AA17
4C084BA03
4C084DB52
4C084MA66
4C084NA13
4C085AA13
4C085AA14
4C085EE01
4C086AA01
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA66
4C086NA13
4C087AA01
4C087BB63
4C087NA13
4G065AA01
4G065AB10Y
4G065AB38Y
4G065BB08
4G065CA15
4G065DA02
4J005BC00
4J005BD02
4J030BA04
4J030BB06
4J030BF19
4J030BG32
(57)【要約】
本開示は、ヒドロゲル、より具体的には、切断可能なエステル部分を含有する加水分解性ヒドロゲル、並びに組織工学及び治療的送達のような用途におけるそれらの使用を提供する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの少なくとも1つの部分を含有する第1の架橋剤で架橋されたポリマー骨格を含むヒドロゲルであって、
【化1】
式中、
m及びnが、独立して、1又は2であり、
Aが、C
2-C
10アルキルであり、
【化2】
が、前記第1の架橋剤内の前記部分のための結合点である、ヒドロゲル。
【請求項2】
mが、1である、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項3】
mが、2である、請求項1に記載のヒドロゲル。
【請求項4】
nが、1である、請求項1~3のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項5】
nが、2である、請求項1~3のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項6】
Aが、C
2-C
8アルキル、C
2-C
6アルキル、及びC
2-C
4アルキルから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項7】
Aが、C
2アルキルである、請求項1~6のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項8】
前記ポリマー骨格が、ポリ(エチレングリコール)又はその官能化誘導体を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項9】
前記ポリマー骨格が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-アクリレート(PEG-DA)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-アクリレート(PEG-Ac)、ポリ(エチレングリコール)-ジチオール(PEG-diSH)、ポリ(エチレングリコール)ジビニルスルホン(PEG-diVS)、マルチアームポリ(エチレングリコール)ビニルスルホン(PEG-VS)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-メタクリレート(PEG-DMA)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-メタクリレート(PEG-Mac)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-アリルエーテル(PEG-diAE)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-アリルエーテル(PE-AD)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-ビニルエーテル(PEG-diVE)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-ビニルエーテル(PEG-VE)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-マレイミド(PEG-diMI)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-マレイミド(PEG-MI)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-ノルボレン、マルチアームポリ(エチレングリコール)ノルボレン、ポリ(エチレングリコール-ビニルカルボネート、マルチアームポリ(エチレングリコール)-ビニルカルボネート、及びポリエチレングリコールオリゴフマレート、又はそれらの組み合わせから選択されるポリマーを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項10】
前記ポリマー骨格が、マルチアームポリ(エチレングリコール)-マレイミドを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項11】
前記第1の架橋剤が、前記ポリマー骨格と反応することが可能なm+n個の部分を含み、m及びnが、請求項1に定義される通りである、請求項1~10のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項12】
前記第1の架橋剤が、式IIの化合物を含み、
【化3】
式中、
X
1及びX
2が、独立して各出現時に、前記ポリマー骨格と反応することが可能な部分から選択され、
L
1及びL
2が、独立して各出現時に、連結部分から選択され、
m、n、及びAが、請求項1のように定義される、請求項1~11のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項13】
X
1及びX
2が、各々-SHである、請求項12に記載のヒドロゲル。
【請求項14】
L
1及びL
2が、独立して各出現時に、C
1-C
10アルキルから選択される、請求項12又は13に記載のヒドロゲル。
【請求項15】
前記第1の架橋剤が、エチレングリコールビス(メルカプト酢酸塩)を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項16】
前記第1の架橋剤が、加水分解性である、請求項1~15のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項17】
前記ポリマー骨格が、第2の架橋剤で更に架橋される、請求項1~16のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項18】
前記第2の架橋剤が、加水分解的に安定である、請求項17に記載のヒドロゲル。
【請求項19】
前記第2の架橋剤が、ジチオスレイトール(DTT)を含む、請求項17又は18に記載のヒドロゲル。
【請求項20】
前記ヒドロゲルの分解が、前記第1の架橋剤と前記第2の架橋剤とのモル比を変化させることによって調整可能である、請求項17~19のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項21】
前記ヒドロゲルが、注入可能及び/又は移植可能である、請求項1~20のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項22】
前記ヒドロゲルが、膜、スポンジ、ゲル、固体足場、紡績繊維、織布若しくは不織布メッシュ、ナノ粒子、又はマイクロ粒子の形態である、請求項1~21のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項23】
少なくとも1つの細胞を更に含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のヒドロゲル。
【請求項24】
ポリマーを、式Iの少なくとも1つの部分を含む第1の架橋剤と反応させることを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載のヒドロゲルを合成するためのプロセスであって、
【化4】
式中、全ての変数が、請求項1に定義される通りである、プロセス。
【請求項25】
前記第1の架橋剤が、式IIの化合物を含み、
【化5】
式中、
X
1及びX
2が、独立して各出現時に、前記ポリマー骨格と反応することが可能な部分から選択され、
L
1及びL
2が、独立して各出現時に、連結部分から選択され、
m、n、及びAが、請求項1のように定義される、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記第1の架橋剤が、エチレングリコールビス(メルカプト酢酸塩)を含む、請求項24又は25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記ヒドロゲルを第2の架橋剤と反応させることを更に含み、前記第2の架橋剤が、加水分解的に安定である、請求項24~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記第2の架橋剤が、ジチオスレイトール(DTT)を含む、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
請求項1~23のいずれか一項に記載のヒドロゲルと、1つ以上の治療剤と、を含む、治療的送達組成物。
【請求項30】
前記1つ以上の治療剤が、細胞、タンパク質、抗体、核酸、成長因子、又は薬物から選択され得る、請求項29に記載の治療的送達組成物。
【請求項31】
請求項1~23のいずれか一項に記載のヒドロゲルを含む、細胞培養培地。
【請求項32】
請求項1~23のいずれか一項に記載のヒドロゲルを含む、組織足場。
【請求項33】
請求項1~23のいずれか一項に記載のヒドロゲルを含む、バイオリアクタ。
【請求項34】
請求項1~23のいずれか一項に記載のヒドロゲルを含む、創傷包帯。
【請求項35】
組織成長を促進することを必要とする対象においてそれを行う方法であって、
標的部位を識別することと、
前記標的部位に、治療有効量の請求項1~23のいずれか一項に記載のヒドロゲルを投与することと、を含む、方法。
【請求項36】
前記標的部位は、新しい組織の促進が所望される組織欠損を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記標的部位が、画像モダリティを使用して識別される、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記画像モダリティが、CT、MRI、又はX線から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ヒドロゲルが、前記標的部位内に注入又は移植される、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
対象における標的部位に治療剤を送達する方法であって、前記方法が、治療有効量の請求項29又は30に記載の治療的送達組成物を前記標的部位に投与することを含む、方法。
【請求項41】
前記標的部位が、病状又は状態と関連付けられている、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記標的部位が、腫瘍である、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
前記標的部位が、画像モダリティを使用して識別される、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記画像モダリティが、CT、MRI、又はX線から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記ヒドロゲルが、前記標的部位内に注射又は移植される、請求項40~44のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月26日に出願された米国仮特許出願第63/193,211号の優先権の利益を主張するものであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、ヒドロゲル、より具体的には、組織工学及び治療的送達のような用途で使用され得る加水分解性ヒドロゲルに関する。
【背景技術】
【0003】
カーゴ分子及び細胞の放出のための治療的送達機構の進歩は、細胞適合性生体材料及びカプセル化方法の研究によって推進されている。合成ヒドロゲル、架橋ポリマー構造の製造されたネットワークは、成長因子及び細胞産物のような、生体活性物質をカプセル化するために利用されており、細胞挙動を支持及び調節することができる3D構造を生成し、生存能及び生体活性カーゴの有効性に限定された効果を伴う(Guan,X.,Avci-Adali,M.,Alarcin,E.,Cheng,H.,Kashaf,S.S.,Li,Y.,Chawla,A.,Jang,H.L.,&Khademhosseini,A.(2017).Development of hydrogels for regenerative engineering.Biotechnology Journal,12(5),1600394)。これらのヒドロゲルシステムの剛性及びマトリックス完全性などの機械的特性の調整性は、様々なマイクロ環境での使用に柔軟性を提供する(Saxena,S.,Hansen,C.E.,&Lyon,L.A.(2014).Microgel Mechanics in Biomaterial Design.Accounts of Chemical Research,47(8),2426-2434、及びGuan,X.,Avci-Adali,M.,Alarcin,E.,Cheng,H.,Kashaf,S.S.,Li,Y.,Chawla,A.,Jang,H.L.,&Khademhosseini,A.(2017).Development of hydrogels for regenerative engineering.Biotechnology Journal,12(5),1600394)。更に、製造のための分解可能な化学を実施する能力は、非侵襲的再生医療用途のための大きな利点を構成し、分解後として、分解成分は、腎濾過を通じて体外に排泄することができる(Saxena,S.,Hansen,C.E.,&Lyon,L.A.(2014).Microgel Mechanics in Biomaterial Design.Accounts of Chemical Research,47(8),2426-2434、及びUlbrich,K.(1995).Synthesis of novel hydrolytically degradable hydrogels for controlled drug release.Journal of Controlled Release,34(2),155-165)。
【0004】
懸濁液中又は顆粒状バルクヒドロゲルの構築ブロックとしてのいずれかのヒドロゲル微粒子(マイクロゲル)は、その高度に調整可能な機械的特性、注射性、及び高度な組織統合のために、近年、生物医学的応用における魅力的なプラットフォームとして出現している(Daly,A.C.;Riley,L.;Segura,T.;Burdick,J.A.Hydrogel Microparticles for Biomedical Applications.Nat Rev Mater2020,5(1),20-43)。マイクロゲルの物理的特性(例えば、剛性、メッシュサイズなど)に直接連結される設計パラメータのうちの1つは、分解速度である。ポリマーの分解性架橋の機構は、酵素、光分解性、加水分解性、又はこれらの組み合わせに大きく分類することができ、分解速度に対する様々な程度の制御を付与する(Koh,J.;Griffin,D.R.;Archang,M.M.;Feng,A.-C.;Horn,T.;Margolis,M.;Zalazar,D.;Segura,T.;Scumpia,P.O.;Di Carlo,D.Enhanced In Vivo Delivery of Stem Cells Using Microporous Annealed Particle Scaffolds.Small2019,15(39),1903147、Griffin,D.R.;Weaver,W.M.;Scumpia,P.O.;Di Carlo,D.;Segura,T.Accelerated Wound Healing by Injectable Microporous Gel Scaffolds Assembled from Annealed Building Blocks.Nature Mater2015,14(7),737-744、Muir,V.G.;Qazi,T.H.;Shan,J.;Groll,J.;Burdick,J.A.Influence of Microgel Fabrication Technique on Granular Hydrogel Properties.ACS Biomater.Sci.Eng.2021,7(9),4269-4281、Foster,G.A.;Headen,D.M.;Gonzalez-Garcia,C.;Salmeron-Sanchez,M.;Shirwan,H.;Garcia,A.J.Protease-Degradable Microgels for Protein Delivery for Vascularization.Biomaterials2017,113,170-175,Photodegradable Hydrogels for Dynamic Tuning of Physical and Chemical Properties https://www.science.org/doi/10.1126/science.1169494(accessed2021-10-25)、及びCarleton,M.M.;Sefton,M.V.Injectable and Degradable Methacrylic Acid Hydrogel Alters Macrophage Response in Skeletal Muscle.Biomaterials2019,223,119477)。これらの方法の大部分は、空間的にも時間的にも容易に制御されない刺激に依存する(Jo,Y.S.;Gantz,J.;Hubbell,J.A.;Lutolf,M.P.Tailoring Hydrogel Degradation and Drug Release via Neighboring Amino Acid Controlled Ester Hydrolysis.Soft Matter2009,5(2),440-446)。
【0005】
様々なポリマーネットワーク及び架橋構造を使用して、ヒドロゲルの分解性及び拡散性を調節し、このプラットフォームの分解速度及び放出プロファイルの複雑な制御を可能にすることができる(Jain,E.,Hill,L.,Canning,E.,Sell,S.A.,&Zustiak,S.P.(2017)).Control of gelation,degradation and physical properties of polyethylene glycol hydrogels through the chemical and physical identity of the crosslinker.Journal of Materials Chemistry B,5(14),2679-2691)。ヒドロゲルの分解性架橋のためのいくつかの機構が探索されており、酵素、光分解性、エステルベースの加水分解、又はこれらの組み合わせが含まれ、分解速度に対する様々な程度の制御を伴う(Sung,B.,Kim,C.,&Kim,M.-H.(2015).Biodegradable colloidal microgels with tunable thermosensitive volume phase transitions for controllable drug delivery.Journal of Colloid and Interface Science,450,26-33、Stukel,J.,Thompson,S.,Simon,L.,&Willits,R.(2015).Polyethlyene glycol microgels to deliver bioactive nerve growth factor:Microgels to Deliver Bioactive NGF.Journal of Biomedical Materials Research Part A,103(2),604-613、及びKloxin,A.M.,Kasko,A.M.,Salinas,C.N.,&Anseth,K.S.(2009).Photodegradable Hydrogels for Dynamic Tuning of Physical and Chemical Properties.Science,324(5923),59-63)。ますます普及している分解技術は、配列特異的酵素分解に焦点を当てており、それによって放出は、細胞によって行われるタンパク質分解ゲル分解、及び内因性酵素放出に依存する(Kroger,S.M.,Hill,L.,Jain,E.,Stock,A.,Bracher,P.J.,He,F.,&Zustiak,S.P.(2020).Design of Hydrolytically Degradable Polyethylene Glycol Crosslinkers for Facile Control of Hydrogel Degradation.Macromolecular Bioscience,20(10),2000085、及びLueckgen,A.,Garske,D.S.,Ellinghaus,A.,Mooney,D.J.,Duda,G.N.,&Cipitria,A.(2019).Enzymatically-degradable alginate hydrogels promote cell spreading and in vivo tissue infiltration.Biomaterials,217,119294)。ペプチド架橋剤のアミノ酸配列を変更することによって、分解は、カプセル化された細胞のタイプ、並びに予想される移植環境に合わせて調整することができる。この方法は有望性を示しているが、分解は、空間的にも時間的にも容易に制御できない外部刺激に依存している(Jo,Y.S.,Gantz,J.,Hubbell,J.A.,&Lutolf,M.P.(2009).Tailoring hydrogel degradation and drug release via neighboring amino acid-controlled ester hydrolysis.Soft Matter,5(2),440-446)。加えて、製造中に使用される大量の酵素的に切断可能なペプチドリンカーは、これを、臨床的に関連するサイズにスケールアップするための高価な方法にし、分解性ペプチド配列が宿主免疫系によって認識され得るため、免疫原性がある可能性を有する(Griffin,D.R.,Archang,M.M.,Kuan,C.H.,Weaver,W.M.,Weinstein,J.S.,Feng,A.C.,Ruccia,A.,Sideris,E.,Ragkousis,V.,Koh,J.,Plikus,M.V.,Di Carlo,D.,Segura,T.,&Scumpia,P.O.(2020).Activating an adaptive immune response from a hydrogel scaffold imparts regenerative wound healing[Preprint].Bioengineering)。大いに開発されている別の化学は、ヒドロゲルリンカーの光分解切断である。この分解の方法は、製造中の架橋剤としての光開裂性化合物の使用による外部光源に依存する(Ji,H.,Xi,K.,Zhang,Q.,&Jia,X.(2017).Photodegradable hydrogels for external manipulation of cellular microenvironments with real-time monitoring.RSC Advances,7(39),24331-24337、Villiou,M.,Paez,J.I.,&del Campo,A.(2020).Photodegradable Hydrogels for Cell Encapsulation and Tissue Adhesion.ACS Applied Materials&Interfaces,12(34),37862-37872、及びKloxin,A.M.,Kasko,A.M.,Salinas,C.N.,&Anseth,K.S.(2009).Photodegradable Hydrogels for Dynamic Tuning of Physical and Chemical Properties.Science,324(5923),59-63)。光分解性ヒドロゲルは、組織接着などの異なる用途で使用されており、細胞含有ヒドロゲルは、制御された光源を介して解重合され、細胞の即時放出及び組織からの脱結合を可能にする(Villiou,M.,Paez,J.I.,&del Campo,A.(2020).Photodegradable Hydrogels for Cell Encapsulation and Tissue Adhesion.ACS Applied Materials&Interfaces,12(34),37862-37872)。これは、放出速度を制御することができる創傷包帯及び制御された細胞療法治療などの用途に有利である(Villiou,M.,Paez,J.I.,&del Campo,A.(2020).Photodegradable Hydrogels for Cell Encapsulation and Tissue Adhesion.ACS Applied Materials&Interfaces,12(34),37862-37872)。しかしながら、患者のコンプライアンス及び組織深度の制限の必要性を考慮すると、光分解は、長期的なカーゴ放出に関する最良の選択肢ではない可能性がある。
【0006】
インビボでの制御された分解が可能なヒドロゲルに対する明らかな必要性があり、これは、組織工学及び治療的送達用途に有用であり得る。本開示は、他のものと同様に、この必要性に対処する。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、加水分解性であり、かつインビボで制御された分解が可能であるヒドロゲルを提供する。開示されたヒドロゲルは、組織工学、薬物送達、及び再生医療に及ぶ用途において有用であることが証明され得る。PEGベースの分解性架橋剤を使用するものなど、以前に開示された分解性ヒドロゲルと比較して、本開示のヒドロゲルは、それらの増加した疎水性及びよりコンパクトなサイズにより、製造における利点を示す。
【0008】
一態様では、式Iの少なくとも1つの部分を含有する第1の架橋剤で架橋されたポリマー骨格を含むヒドロゲルが提供され、
【化1】
式中、全ての変数が、本明細書で定義される通りである。
【0009】
別の態様では、本明細書に説明されるヒドロゲルを合成するためのプロセスは、ポリマーを、式Iの少なくとも1つの部分を含む第1の架橋剤と反応させることを含む。
【0010】
本明細書に説明されるヒドロゲルと、1つ以上の治療剤と、を含む治療的送達組成物も提供される。対象における標的部位に治療剤を送達する方法も提供され、この方法は、治療有効量の本明細書に説明される治療的送達を標的部位に投与することを含む。
【0011】
本明細書に説明されるヒドロゲルを含む細胞培養培地、組織足場、バイオリアクタ、及び創傷包帯が更に提供される。
【0012】
組織成長を促進することを必要とする対象においてそれを行う方法であって、この方法は、
標的部位を識別することと、
治療有効量の本明細書に説明されるヒドロゲルを標的部位に投与することと、を含む。
【0013】
本開示の1つ以上の実施形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載されている。本開示の他の特色、目的、及び利点は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】加水分解性マイクロゲルが、エステル含有ジチオール架橋剤の添加によって製造され得ることを示す。
図1A)PEG-4MALマクロマーは、線形PEG FITCで修飾され、小さいジチオール分子、DTT、及びEGBMAを含有する連続相を有するフローフォーカシングマイクロ流体チップを通してセグメント化される。これにより、蛍光で追跡することができる単分散マイクロゲルが得られる。スケールバー1mm。
図1B~E)油相中のEGBMA濃度に基づくマイクロゲルのサイズ分布。挿入図は、製造後の個々のマイクロゲルの強度を表し、3つの独立したマイクロ流体走行からプールされた最小n=36の線形PEG-FITCトラッカーを用いたマクロマー骨格の同様の修飾を示す。
図1F~G)水性緩衝液中のマイクロゲルの膨潤は、架橋相中のEGBMAリンカーのモル濃度に直接比例し、1つの試料当たり最小n=6である。
図1H)溶液中の放出されたPEG-FITCの追跡は、マイクロゲル中のEGBMA濃度に依存する。
図1I)テーパーマイクロキャピラリー内での加えられた圧力によって変形したマイクロゲルの3日目の画像。
図1J)様々な濃度のEGBMAで製造された、閉じ込められたマイクロゲルについての、水性緩衝液で3日間インキュベーションした後の剪断応力対ひずみ、n=6、合計60ポイント超。1K)水性緩衝液への異なる時間の曝露後の全てのマイクロゲル配合物の剪断弾性率の定量化、n=6。特に明記しない限り、全てのデータは平均±s.e.m.として提示され、膨潤データは、多重比較のためのTukey補正を用いた混合効果モデルを使用して分析され、剪断弾性率は、多重比較のためのTukey補正を用いた二元配置分散分析により分析された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.0001。
【
図1B】加水分解性マイクロゲルが、エステル含有ジチオール架橋剤の添加によって製造され得ることを示す。
図1A)PEG-4MALマクロマーは、線形PEG FITCで修飾され、小さいジチオール分子、DTT、及びEGBMAを含有する連続相を有するフローフォーカシングマイクロ流体チップを通してセグメント化される。これにより、蛍光で追跡することができる単分散マイクロゲルが得られる。スケールバー1mm。
図1B~E)油相中のEGBMA濃度に基づくマイクロゲルのサイズ分布。挿入図は、製造後の個々のマイクロゲルの強度を表し、3つの独立したマイクロ流体走行からプールされた最小n=36の線形PEG-FITCトラッカーを用いたマクロマー骨格の同様の修飾を示す。
図1F~G)水性緩衝液中のマイクロゲルの膨潤は、架橋相中のEGBMAリンカーのモル濃度に直接比例し、1つの試料当たり最小n=6である。
図1H)溶液中の放出されたPEG-FITCの追跡は、マイクロゲル中のEGBMA濃度に依存する。
図1I)テーパーマイクロキャピラリー内での加えられた圧力によって変形したマイクロゲルの3日目の画像。
図1J)様々な濃度のEGBMAで製造された、閉じ込められたマイクロゲルについての、水性緩衝液で3日間インキュベーションした後の剪断応力対ひずみ、n=6、合計60ポイント超。1K)水性緩衝液への異なる時間の曝露後の全てのマイクロゲル配合物の剪断弾性率の定量化、n=6。特に明記しない限り、全てのデータは平均±s.e.m.として提示され、膨潤データは、多重比較のためのTukey補正を用いた混合効果モデルを使用して分析され、剪断弾性率は、多重比較のためのTukey補正を用いた二元配置分散分析により分析された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.0001。
【
図1C】加水分解性マイクロゲルが、エステル含有ジチオール架橋剤の添加によって製造され得ることを示す。
図1A)PEG-4MALマクロマーは、線形PEG FITCで修飾され、小さいジチオール分子、DTT、及びEGBMAを含有する連続相を有するフローフォーカシングマイクロ流体チップを通してセグメント化される。これにより、蛍光で追跡することができる単分散マイクロゲルが得られる。スケールバー1mm。
図1B~E)油相中のEGBMA濃度に基づくマイクロゲルのサイズ分布。挿入図は、製造後の個々のマイクロゲルの強度を表し、3つの独立したマイクロ流体走行からプールされた最小n=36の線形PEG-FITCトラッカーを用いたマクロマー骨格の同様の修飾を示す。
図1F~G)水性緩衝液中のマイクロゲルの膨潤は、架橋相中のEGBMAリンカーのモル濃度に直接比例し、1つの試料当たり最小n=6である。
図1H)溶液中の放出されたPEG-FITCの追跡は、マイクロゲル中のEGBMA濃度に依存する。
図1I)テーパーマイクロキャピラリー内での加えられた圧力によって変形したマイクロゲルの3日目の画像。
図1J)様々な濃度のEGBMAで製造された、閉じ込められたマイクロゲルについての、水性緩衝液で3日間インキュベーションした後の剪断応力対ひずみ、n=6、合計60ポイント超。1K)水性緩衝液への異なる時間の曝露後の全てのマイクロゲル配合物の剪断弾性率の定量化、n=6。特に明記しない限り、全てのデータは平均±s.e.m.として提示され、膨潤データは、多重比較のためのTukey補正を用いた混合効果モデルを使用して分析され、剪断弾性率は、多重比較のためのTukey補正を用いた二元配置分散分析により分析された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.0001。
【
図1D】加水分解性マイクロゲルが、エステル含有ジチオール架橋剤の添加によって製造され得ることを示す。
図1A)PEG-4MALマクロマーは、線形PEG FITCで修飾され、小さいジチオール分子、DTT、及びEGBMAを含有する連続相を有するフローフォーカシングマイクロ流体チップを通してセグメント化される。これにより、蛍光で追跡することができる単分散マイクロゲルが得られる。スケールバー1mm。
図1B~E)油相中のEGBMA濃度に基づくマイクロゲルのサイズ分布。挿入図は、製造後の個々のマイクロゲルの強度を表し、3つの独立したマイクロ流体走行からプールされた最小n=36の線形PEG-FITCトラッカーを用いたマクロマー骨格の同様の修飾を示す。
図1F~G)水性緩衝液中のマイクロゲルの膨潤は、架橋相中のEGBMAリンカーのモル濃度に直接比例し、1つの試料当たり最小n=6である。
図1H)溶液中の放出されたPEG-FITCの追跡は、マイクロゲル中のEGBMA濃度に依存する。
図1I)テーパーマイクロキャピラリー内での加えられた圧力によって変形したマイクロゲルの3日目の画像。
図1J)様々な濃度のEGBMAで製造された、閉じ込められたマイクロゲルについての、水性緩衝液で3日間インキュベーションした後の剪断応力対ひずみ、n=6、合計60ポイント超。1K)水性緩衝液への異なる時間の曝露後の全てのマイクロゲル配合物の剪断弾性率の定量化、n=6。特に明記しない限り、全てのデータは平均±s.e.m.として提示され、膨潤データは、多重比較のためのTukey補正を用いた混合効果モデルを使用して分析され、剪断弾性率は、多重比較のためのTukey補正を用いた二元配置分散分析により分析された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.0001。
【
図1E】加水分解性マイクロゲルが、エステル含有ジチオール架橋剤の添加によって製造され得ることを示す。
図1A)PEG-4MALマクロマーは、線形PEG FITCで修飾され、小さいジチオール分子、DTT、及びEGBMAを含有する連続相を有するフローフォーカシングマイクロ流体チップを通してセグメント化される。これにより、蛍光で追跡することができる単分散マイクロゲルが得られる。スケールバー1mm。
図1B~E)油相中のEGBMA濃度に基づくマイクロゲルのサイズ分布。挿入図は、製造後の個々のマイクロゲルの強度を表し、3つの独立したマイクロ流体走行からプールされた最小n=36の線形PEG-FITCトラッカーを用いたマクロマー骨格の同様の修飾を示す。
図1F~G)水性緩衝液中のマイクロゲルの膨潤は、架橋相中のEGBMAリンカーのモル濃度に直接比例し、1つの試料当たり最小n=6である。
図1H)溶液中の放出されたPEG-FITCの追跡は、マイクロゲル中のEGBMA濃度に依存する。
図1I)テーパーマイクロキャピラリー内での加えられた圧力によって変形したマイクロゲルの3日目の画像。
図1J)様々な濃度のEGBMAで製造された、閉じ込められたマイクロゲルについての、水性緩衝液で3日間インキュベーションした後の剪断応力対ひずみ、n=6、合計60ポイント超。1K)水性緩衝液への異なる時間の曝露後の全てのマイクロゲル配合物の剪断弾性率の定量化、n=6。特に明記しない限り、全てのデータは平均±s.e.m.として提示され、膨潤データは、多重比較のためのTukey補正を用いた混合効果モデルを使用して分析され、剪断弾性率は、多重比較のためのTukey補正を用いた二元配置分散分析により分析された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.0001。
【
図1F】加水分解性マイクロゲルが、エステル含有ジチオール架橋剤の添加によって製造され得ることを示す。
図1A)PEG-4MALマクロマーは、線形PEG FITCで修飾され、小さいジチオール分子、DTT、及びEGBMAを含有する連続相を有するフローフォーカシングマイクロ流体チップを通してセグメント化される。これにより、蛍光で追跡することができる単分散マイクロゲルが得られる。スケールバー1mm。
図1B~E)油相中のEGBMA濃度に基づくマイクロゲルのサイズ分布。挿入図は、製造後の個々のマイクロゲルの強度を表し、3つの独立したマイクロ流体走行からプールされた最小n=36の線形PEG-FITCトラッカーを用いたマクロマー骨格の同様の修飾を示す。
図1F~G)水性緩衝液中のマイクロゲルの膨潤は、架橋相中のEGBMAリンカーのモル濃度に直接比例し、1つの試料当たり最小n=6である。
図1H)溶液中の放出されたPEG-FITCの追跡は、マイクロゲル中のEGBMA濃度に依存する。
図1I)テーパーマイクロキャピラリー内での加えられた圧力によって変形したマイクロゲルの3日目の画像。
図1J)様々な濃度のEGBMAで製造された、閉じ込められたマイクロゲルについての、水性緩衝液で3日間インキュベーションした後の剪断応力対ひずみ、n=6、合計60ポイント超。1K)水性緩衝液への異なる時間の曝露後の全てのマイクロゲル配合物の剪断弾性率の定量化、n=6。特に明記しない限り、全てのデータは平均±s.e.m.として提示され、膨潤データは、多重比較のためのTukey補正を用いた混合効果モデルを使用して分析され、剪断弾性率は、多重比較のためのTukey補正を用いた二元配置分散分析により分析された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.0001。
【
図1G】加水分解性マイクロゲルが、エステル含有ジチオール架橋剤の添加によって製造され得ることを示す。
図1A)PEG-4MALマクロマーは、線形PEG FITCで修飾され、小さいジチオール分子、DTT、及びEGBMAを含有する連続相を有するフローフォーカシングマイクロ流体チップを通してセグメント化される。これにより、蛍光で追跡することができる単分散マイクロゲルが得られる。スケールバー1mm。
図1B~E)油相中のEGBMA濃度に基づくマイクロゲルのサイズ分布。挿入図は、製造後の個々のマイクロゲルの強度を表し、3つの独立したマイクロ流体走行からプールされた最小n=36の線形PEG-FITCトラッカーを用いたマクロマー骨格の同様の修飾を示す。
図1F~G)水性緩衝液中のマイクロゲルの膨潤は、架橋相中のEGBMAリンカーのモル濃度に直接比例し、1つの試料当たり最小n=6である。
図1H)溶液中の放出されたPEG-FITCの追跡は、マイクロゲル中のEGBMA濃度に依存する。
図1I)テーパーマイクロキャピラリー内での加えられた圧力によって変形したマイクロゲルの3日目の画像。
図1J)様々な濃度のEGBMAで製造された、閉じ込められたマイクロゲルについての、水性緩衝液で3日間インキュベーションした後の剪断応力対ひずみ、n=6、合計60ポイント超。1K)水性緩衝液への異なる時間の曝露後の全てのマイクロゲル配合物の剪断弾性率の定量化、n=6。特に明記しない限り、全てのデータは平均±s.e.m.として提示され、膨潤データは、多重比較のためのTukey補正を用いた混合効果モデルを使用して分析され、剪断弾性率は、多重比較のためのTukey補正を用いた二元配置分散分析により分析された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.0001。
【
図1H】加水分解性マイクロゲルが、エステル含有ジチオール架橋剤の添加によって製造され得ることを示す。
図1A)PEG-4MALマクロマーは、線形PEG FITCで修飾され、小さいジチオール分子、DTT、及びEGBMAを含有する連続相を有するフローフォーカシングマイクロ流体チップを通してセグメント化される。これにより、蛍光で追跡することができる単分散マイクロゲルが得られる。スケールバー1mm。
図1B~E)油相中のEGBMA濃度に基づくマイクロゲルのサイズ分布。挿入図は、製造後の個々のマイクロゲルの強度を表し、3つの独立したマイクロ流体走行からプールされた最小n=36の線形PEG-FITCトラッカーを用いたマクロマー骨格の同様の修飾を示す。
図1F~G)水性緩衝液中のマイクロゲルの膨潤は、架橋相中のEGBMAリンカーのモル濃度に直接比例し、1つの試料当たり最小n=6である。
図1H)溶液中の放出されたPEG-FITCの追跡は、マイクロゲル中のEGBMA濃度に依存する。
図1I)テーパーマイクロキャピラリー内での加えられた圧力によって変形したマイクロゲルの3日目の画像。
図1J)様々な濃度のEGBMAで製造された、閉じ込められたマイクロゲルについての、水性緩衝液で3日間インキュベーションした後の剪断応力対ひずみ、n=6、合計60ポイント超。1K)水性緩衝液への異なる時間の曝露後の全てのマイクロゲル配合物の剪断弾性率の定量化、n=6。特に明記しない限り、全てのデータは平均±s.e.m.として提示され、膨潤データは、多重比較のためのTukey補正を用いた混合効果モデルを使用して分析され、剪断弾性率は、多重比較のためのTukey補正を用いた二元配置分散分析により分析された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.0001。
【
図1I】加水分解性マイクロゲルが、エステル含有ジチオール架橋剤の添加によって製造され得ることを示す。
図1A)PEG-4MALマクロマーは、線形PEG FITCで修飾され、小さいジチオール分子、DTT、及びEGBMAを含有する連続相を有するフローフォーカシングマイクロ流体チップを通してセグメント化される。これにより、蛍光で追跡することができる単分散マイクロゲルが得られる。スケールバー1mm。
図1B~E)油相中のEGBMA濃度に基づくマイクロゲルのサイズ分布。挿入図は、製造後の個々のマイクロゲルの強度を表し、3つの独立したマイクロ流体走行からプールされた最小n=36の線形PEG-FITCトラッカーを用いたマクロマー骨格の同様の修飾を示す。
図1F~G)水性緩衝液中のマイクロゲルの膨潤は、架橋相中のEGBMAリンカーのモル濃度に直接比例し、1つの試料当たり最小n=6である。
図1H)溶液中の放出されたPEG-FITCの追跡は、マイクロゲル中のEGBMA濃度に依存する。
図1I)テーパーマイクロキャピラリー内での加えられた圧力によって変形したマイクロゲルの3日目の画像。
図1J)様々な濃度のEGBMAで製造された、閉じ込められたマイクロゲルについての、水性緩衝液で3日間インキュベーションした後の剪断応力対ひずみ、n=6、合計60ポイント超。1K)水性緩衝液への異なる時間の曝露後の全てのマイクロゲル配合物の剪断弾性率の定量化、n=6。特に明記しない限り、全てのデータは平均±s.e.m.として提示され、膨潤データは、多重比較のためのTukey補正を用いた混合効果モデルを使用して分析され、剪断弾性率は、多重比較のためのTukey補正を用いた二元配置分散分析により分析された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.0001。
【
図1J】加水分解性マイクロゲルが、エステル含有ジチオール架橋剤の添加によって製造され得ることを示す。
図1A)PEG-4MALマクロマーは、線形PEG FITCで修飾され、小さいジチオール分子、DTT、及びEGBMAを含有する連続相を有するフローフォーカシングマイクロ流体チップを通してセグメント化される。これにより、蛍光で追跡することができる単分散マイクロゲルが得られる。スケールバー1mm。
図1B~E)油相中のEGBMA濃度に基づくマイクロゲルのサイズ分布。挿入図は、製造後の個々のマイクロゲルの強度を表し、3つの独立したマイクロ流体走行からプールされた最小n=36の線形PEG-FITCトラッカーを用いたマクロマー骨格の同様の修飾を示す。
図1F~G)水性緩衝液中のマイクロゲルの膨潤は、架橋相中のEGBMAリンカーのモル濃度に直接比例し、1つの試料当たり最小n=6である。
図1H)溶液中の放出されたPEG-FITCの追跡は、マイクロゲル中のEGBMA濃度に依存する。
図1I)テーパーマイクロキャピラリー内での加えられた圧力によって変形したマイクロゲルの3日目の画像。
図1J)様々な濃度のEGBMAで製造された、閉じ込められたマイクロゲルについての、水性緩衝液で3日間インキュベーションした後の剪断応力対ひずみ、n=6、合計60ポイント超。1K)水性緩衝液への異なる時間の曝露後の全てのマイクロゲル配合物の剪断弾性率の定量化、n=6。特に明記しない限り、全てのデータは平均±s.e.m.として提示され、膨潤データは、多重比較のためのTukey補正を用いた混合効果モデルを使用して分析され、剪断弾性率は、多重比較のためのTukey補正を用いた二元配置分散分析により分析された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.0001。
【
図1K】加水分解性マイクロゲルが、エステル含有ジチオール架橋剤の添加によって製造され得ることを示す。
図1A)PEG-4MALマクロマーは、線形PEG FITCで修飾され、小さいジチオール分子、DTT、及びEGBMAを含有する連続相を有するフローフォーカシングマイクロ流体チップを通してセグメント化される。これにより、蛍光で追跡することができる単分散マイクロゲルが得られる。スケールバー1mm。
図1B~E)油相中のEGBMA濃度に基づくマイクロゲルのサイズ分布。挿入図は、製造後の個々のマイクロゲルの強度を表し、3つの独立したマイクロ流体走行からプールされた最小n=36の線形PEG-FITCトラッカーを用いたマクロマー骨格の同様の修飾を示す。
図1F~G)水性緩衝液中のマイクロゲルの膨潤は、架橋相中のEGBMAリンカーのモル濃度に直接比例し、1つの試料当たり最小n=6である。
図1H)溶液中の放出されたPEG-FITCの追跡は、マイクロゲル中のEGBMA濃度に依存する。
図1I)テーパーマイクロキャピラリー内での加えられた圧力によって変形したマイクロゲルの3日目の画像。
図1J)様々な濃度のEGBMAで製造された、閉じ込められたマイクロゲルについての、水性緩衝液で3日間インキュベーションした後の剪断応力対ひずみ、n=6、合計60ポイント超。1K)水性緩衝液への異なる時間の曝露後の全てのマイクロゲル配合物の剪断弾性率の定量化、n=6。特に明記しない限り、全てのデータは平均±s.e.m.として提示され、膨潤データは、多重比較のためのTukey補正を用いた混合効果モデルを使用して分析され、剪断弾性率は、多重比較のためのTukey補正を用いた二元配置分散分析により分析された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.005、****p<0.0001。
【
図2A】接着合図及び炎症シグナルの不在下で、単球とのマイクロゲル共培養が活性化を誘導しないことを示す。インキュベーション後48時間の細胞生存は、共培養における微粒子の存在に起因するいかなる変化も明らかにしない。マーカーCD45、F4/80、CD206の発現は、試験した全ての群にわたって同等であり、d-差し込み図は、共培養における全ての細胞発現F4/80に対するCD206の倍率発現を表す。最小n=6、全てのデータは平均±s.e.m.として提示される。データは、多重比較のためのTukey補正を用いた一元配置分散分析により分析された。
【
図2B】接着合図及び炎症シグナルの不在下で、単球とのマイクロゲル共培養が活性化を誘導しないことを示す。インキュベーション後48時間の細胞生存は、共培養における微粒子の存在に起因するいかなる変化も明らかにしない。マーカーCD45、F4/80、CD206の発現は、試験した全ての群にわたって同等であり、d-差し込み図は、共培養における全ての細胞発現F4/80に対するCD206の倍率発現を表す。最小n=6、全てのデータは平均±s.e.m.として提示される。データは、多重比較のためのTukey補正を用いた一元配置分散分析により分析された。
【
図2C】接着合図及び炎症シグナルの不在下で、単球とのマイクロゲル共培養が活性化を誘導しないことを示す。インキュベーション後48時間の細胞生存は、共培養における微粒子の存在に起因するいかなる変化も明らかにしない。マーカーCD45、F4/80、CD206の発現は、試験した全ての群にわたって同等であり、d-差し込み図は、共培養における全ての細胞発現F4/80に対するCD206の倍率発現を表す。最小n=6、全てのデータは平均±s.e.m.として提示される。データは、多重比較のためのTukey補正を用いた一元配置分散分析により分析された。
【
図2D】接着合図及び炎症シグナルの不在下で、単球とのマイクロゲル共培養が活性化を誘導しないことを示す。インキュベーション後48時間の細胞生存は、共培養における微粒子の存在に起因するいかなる変化も明らかにしない。マーカーCD45、F4/80、CD206の発現は、試験した全ての群にわたって同等であり、d-差し込み図は、共培養における全ての細胞発現F4/80に対するCD206の倍率発現を表す。最小n=6、全てのデータは平均±s.e.m.として提示される。データは、多重比較のためのTukey補正を用いた一元配置分散分析により分析された。
【
図3A】皮下マイクロゲルインプラントの分解が、EGBMAリンカーの濃度に直接比例することを示す。
図3A)近赤外PEGリンカーを用いたマイクロゲル製造及び背側皮下ポケットへの注射のスキーム。注射後及び外植後の異なる時点におけるインプラントポケットの代表的な画像。
図3B)1ヵ月間及び外植後(垂直破線の後の点)の全ての配合物についての平均正規化放射効率。
図3C~E)移植後0日目、9日目、及び25日目の正規化放射効率の定量化。全てのデータは、平均±s.d.として提示され、DTTについては最小n=5人のレシピエント、他の全ての群についてはn=10人。P値は、Dunnett多重比較分析を用いた一元配置分散分析を使用して計算された、**p<0.05、***p<0.0005、****p<0.0001。
【
図3B】皮下マイクロゲルインプラントの分解が、EGBMAリンカーの濃度に直接比例することを示す。
図3A)近赤外PEGリンカーを用いたマイクロゲル製造及び背側皮下ポケットへの注射のスキーム。注射後及び外植後の異なる時点におけるインプラントポケットの代表的な画像。
図3B)1ヵ月間及び外植後(垂直破線の後の点)の全ての配合物についての平均正規化放射効率。
図3C~E)移植後0日目、9日目、及び25日目の正規化放射効率の定量化。全てのデータは、平均±s.d.として提示され、DTTについては最小n=5人のレシピエント、他の全ての群についてはn=10人。P値は、Dunnett多重比較分析を用いた一元配置分散分析を使用して計算された、**p<0.05、***p<0.0005、****p<0.0001。
【
図3C】皮下マイクロゲルインプラントの分解が、EGBMAリンカーの濃度に直接比例することを示す。
図3A)近赤外PEGリンカーを用いたマイクロゲル製造及び背側皮下ポケットへの注射のスキーム。注射後及び外植後の異なる時点におけるインプラントポケットの代表的な画像。
図3B)1ヵ月間及び外植後(垂直破線の後の点)の全ての配合物についての平均正規化放射効率。
図3C~E)移植後0日目、9日目、及び25日目の正規化放射効率の定量化。全てのデータは、平均±s.d.として提示され、DTTについては最小n=5人のレシピエント、他の全ての群についてはn=10人。P値は、Dunnett多重比較分析を用いた一元配置分散分析を使用して計算された、**p<0.05、***p<0.0005、****p<0.0001。
【
図3D】皮下マイクロゲルインプラントの分解が、EGBMAリンカーの濃度に直接比例することを示す。
図3A)近赤外PEGリンカーを用いたマイクロゲル製造及び背側皮下ポケットへの注射のスキーム。注射後及び外植後の異なる時点におけるインプラントポケットの代表的な画像。
図3B)1ヵ月間及び外植後(垂直破線の後の点)の全ての配合物についての平均正規化放射効率。
図3C~E)移植後0日目、9日目、及び25日目の正規化放射効率の定量化。全てのデータは、平均±s.d.として提示され、DTTについては最小n=5人のレシピエント、他の全ての群についてはn=10人。P値は、Dunnett多重比較分析を用いた一元配置分散分析を使用して計算された、**p<0.05、***p<0.0005、****p<0.0001。
【
図3E】皮下マイクロゲルインプラントの分解が、EGBMAリンカーの濃度に直接比例することを示す。
図3A)近赤外PEGリンカーを用いたマイクロゲル製造及び背側皮下ポケットへの注射のスキーム。注射後及び外植後の異なる時点におけるインプラントポケットの代表的な画像。
図3B)1ヵ月間及び外植後(垂直破線の後の点)の全ての配合物についての平均正規化放射効率。
図3C~E)移植後0日目、9日目、及び25日目の正規化放射効率の定量化。全てのデータは、平均±s.d.として提示され、DTTについては最小n=5人のレシピエント、他の全ての群についてはn=10人。P値は、Dunnett多重比較分析を用いた一元配置分散分析を使用して計算された、**p<0.05、***p<0.0005、****p<0.0001。
【
図4A】骨髄細胞の動員及び分極が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって調節されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからの骨髄マーカーCD11b、F4/80、MHCII、及びCD206のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図4B】骨髄細胞の動員及び分極が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって調節されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからの骨髄マーカーCD11b、F4/80、MHCII、及びCD206のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図4C】骨髄細胞の動員及び分極が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって調節されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからの骨髄マーカーCD11b、F4/80、MHCII、及びCD206のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図4D】骨髄細胞の動員及び分極が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって調節されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからの骨髄マーカーCD11b、F4/80、MHCII、及びCD206のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図4E】骨髄細胞の動員及び分極が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって調節されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからの骨髄マーカーCD11b、F4/80、MHCII、及びCD206のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図4F】骨髄細胞の動員及び分極が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって調節されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからの骨髄マーカーCD11b、F4/80、MHCII、及びCD206のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図4G】骨髄細胞の動員及び分極が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって調節されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからの骨髄マーカーCD11b、F4/80、MHCII、及びCD206のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図5A】リンパ球細胞の動員が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって制御されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからのリンパ球マーカーCD3、CD4、CD8、CD25、及びPD-1のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図5B】リンパ球細胞の動員が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって制御されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからのリンパ球マーカーCD3、CD4、CD8、CD25、及びPD-1のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図5C】リンパ球細胞の動員が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって制御されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからのリンパ球マーカーCD3、CD4、CD8、CD25、及びPD-1のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図5D】リンパ球細胞の動員が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって制御されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからのリンパ球マーカーCD3、CD4、CD8、CD25、及びPD-1のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
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図5E】リンパ球細胞の動員が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって制御されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからのリンパ球マーカーCD3、CD4、CD8、CD25、及びPD-1のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図5F】リンパ球細胞の動員が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって制御されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからのリンパ球マーカーCD3、CD4、CD8、CD25、及びPD-1のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図5G】リンパ球細胞の動員が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって制御されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからのリンパ球マーカーCD3、CD4、CD8、CD25、及びPD-1のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図5H】リンパ球細胞の動員が、注射後7日目の合成マイクロゲルインプラントの分解によって制御されることを示す。非分解性及び分解性マイクロゲルの異なる配合物を含有する皮下インプラントポケットからのリンパ球マーカーCD3、CD4、CD8、CD25、及びPD-1のフローサイトメトリー分析及び定量化。全てのデータは、平均±s.e.m.として提示され、最小n=4人のレシピエント。P値は、一元配置分散分析を使用して計算し、誤検出率を制御することによって多重比較のために補正した。
【
図6A】移植可能な合成マイクロゲルに対するサイトカイン応答が動的であり、移植可能な材料の分解電位によって変化し得るIFN-γ応答によって支配されることを示す。
図6A)異なる合成マイクロゲル配合物を受けた動物からのインプラント組織において測定された32個のサイトカインの主成分分析。矢印の色と方向は、PCAの各寸法への寄与を示す。
図6B)測定された全てのサイトカインについてのサイトカイン相関は、ピアソンの相関係数を使用して評価される。
図6C)左:ピアソン相関、デンドログラム、及びサイトカイン名に基づくサイトカインの階層的クラスタリングは、モジュールのメンバーシップを示す。
図6D)IFN-yに対する全てのサイトカインについての相関プロット。
図6E~F)ボックスプロットは、log10スケール上にプロットされた生の値によりGM-CSF及びIL-4のサイトカイン濃度を示す。1人のレシピエント当たり最小n=6。提示されるP値は、推定周辺平均(EMM)比較からのものである。
【
図6B】移植可能な合成マイクロゲルに対するサイトカイン応答が動的であり、移植可能な材料の分解電位によって変化し得るIFN-γ応答によって支配されることを示す。
図6A)異なる合成マイクロゲル配合物を受けた動物からのインプラント組織において測定された32個のサイトカインの主成分分析。矢印の色と方向は、PCAの各寸法への寄与を示す。
図6B)測定された全てのサイトカインについてのサイトカイン相関は、ピアソンの相関係数を使用して評価される。
図6C)左:ピアソン相関、デンドログラム、及びサイトカイン名に基づくサイトカインの階層的クラスタリングは、モジュールのメンバーシップを示す。
図6D)IFN-yに対する全てのサイトカインについての相関プロット。
図6E~F)ボックスプロットは、log10スケール上にプロットされた生の値によりGM-CSF及びIL-4のサイトカイン濃度を示す。1人のレシピエント当たり最小n=6。提示されるP値は、推定周辺平均(EMM)比較からのものである。
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図6C】移植可能な合成マイクロゲルに対するサイトカイン応答が動的であり、移植可能な材料の分解電位によって変化し得るIFN-γ応答によって支配されることを示す。
図6A)異なる合成マイクロゲル配合物を受けた動物からのインプラント組織において測定された32個のサイトカインの主成分分析。矢印の色と方向は、PCAの各寸法への寄与を示す。
図6B)測定された全てのサイトカインについてのサイトカイン相関は、ピアソンの相関係数を使用して評価される。
図6C)左:ピアソン相関、デンドログラム、及びサイトカイン名に基づくサイトカインの階層的クラスタリングは、モジュールのメンバーシップを示す。
図6D)IFN-yに対する全てのサイトカインについての相関プロット。
図6E~F)ボックスプロットは、log10スケール上にプロットされた生の値によりGM-CSF及びIL-4のサイトカイン濃度を示す。1人のレシピエント当たり最小n=6。提示されるP値は、推定周辺平均(EMM)比較からのものである。
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図6D】移植可能な合成マイクロゲルに対するサイトカイン応答が動的であり、移植可能な材料の分解電位によって変化し得るIFN-γ応答によって支配されることを示す。
図6A)異なる合成マイクロゲル配合物を受けた動物からのインプラント組織において測定された32個のサイトカインの主成分分析。矢印の色と方向は、PCAの各寸法への寄与を示す。
図6B)測定された全てのサイトカインについてのサイトカイン相関は、ピアソンの相関係数を使用して評価される。
図6C)左:ピアソン相関、デンドログラム、及びサイトカイン名に基づくサイトカインの階層的クラスタリングは、モジュールのメンバーシップを示す。
図6D)IFN-yに対する全てのサイトカインについての相関プロット。
図6E~F)ボックスプロットは、log10スケール上にプロットされた生の値によりGM-CSF及びIL-4のサイトカイン濃度を示す。1人のレシピエント当たり最小n=6。提示されるP値は、推定周辺平均(EMM)比較からのものである。
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図6E】移植可能な合成マイクロゲルに対するサイトカイン応答が動的であり、移植可能な材料の分解電位によって変化し得るIFN-γ応答によって支配されることを示す。
図6A)異なる合成マイクロゲル配合物を受けた動物からのインプラント組織において測定された32個のサイトカインの主成分分析。矢印の色と方向は、PCAの各寸法への寄与を示す。
図6B)測定された全てのサイトカインについてのサイトカイン相関は、ピアソンの相関係数を使用して評価される。
図6C)左:ピアソン相関、デンドログラム、及びサイトカイン名に基づくサイトカインの階層的クラスタリングは、モジュールのメンバーシップを示す。
図6D)IFN-yに対する全てのサイトカインについての相関プロット。
図6E~F)ボックスプロットは、log10スケール上にプロットされた生の値によりGM-CSF及びIL-4のサイトカイン濃度を示す。1人のレシピエント当たり最小n=6。提示されるP値は、推定周辺平均(EMM)比較からのものである。
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図6F】移植可能な合成マイクロゲルに対するサイトカイン応答が動的であり、移植可能な材料の分解電位によって変化し得るIFN-γ応答によって支配されることを示す。
図6A)異なる合成マイクロゲル配合物を受けた動物からのインプラント組織において測定された32個のサイトカインの主成分分析。矢印の色と方向は、PCAの各寸法への寄与を示す。
図6B)測定された全てのサイトカインについてのサイトカイン相関は、ピアソンの相関係数を使用して評価される。
図6C)左:ピアソン相関、デンドログラム、及びサイトカイン名に基づくサイトカインの階層的クラスタリングは、モジュールのメンバーシップを示す。
図6D)IFN-yに対する全てのサイトカインについての相関プロット。
図6E~F)ボックスプロットは、log10スケール上にプロットされた生の値によりGM-CSF及びIL-4のサイトカイン濃度を示す。1人のレシピエント当たり最小n=6。提示されるP値は、推定周辺平均(EMM)比較からのものである。
【
図7】治療的送達のための分解性液滴マイクロ流体ベースのマイクロゲルを製造するために、加水分解感受性エチレンリンカーが微粒子架橋に使用されることを示す。インビボでのエステルベースの分解によってもたらされる調整性及び分解性は、インプラント部位への免疫細胞の浸潤、及び宿主の免疫分極を調節する。
【
図8】製造後のPEG-4MALマクロマー及びマイクロゲルの
1H NMRスペクトルである。
【
図9A】キャピラリーマイクロメカニクスの実験設定を示す。
図9A)テーパーガラスマイクロピペット(Fivephoton Biochemicals)は、以下の寸法を有した:先端内径=50μm、ベース外径=1.5mm、長さ=5.5cm、テーパースタイル=長い。高精度圧力レギュレータ(Elveflow)は、マイクロゲルを含有するマイクロピペットに圧力を加えた。最適な流動力学を促進するために、マイクロピペットを1%BSAに浸した。マイクロゲルは、外部の加えられた圧力が内部の弾性応力とバランスが取れたときに、平衡に達するまで変形するであろう。マイクロピペット先端下の顕微鏡(EVOS)は、画像(10倍)を取得し、それは、その後ImageJで分析された。
図9B)テーパー領域内のマイクロゲル形状。マイクロゲルは、平均半径、Rバンド、及び平均長さ、Lバンドにより壁と接触した。テーパー角は、θである。圧力pが増加するにつれて、Lバンドが増加し、Rバンドが減少する。弾性特性は、先で説明されるように、これらの測定値から計算された(Wyss et al,Soft Matter,2010)。
図9C)増加する圧力に応答して変形するマイクロゲルの画像シリーズ。
【
図9B】キャピラリーマイクロメカニクスの実験設定を示す。
図9A)テーパーガラスマイクロピペット(Fivephoton Biochemicals)は、以下の寸法を有した:先端内径=50μm、ベース外径=1.5mm、長さ=5.5cm、テーパースタイル=長い。高精度圧力レギュレータ(Elveflow)は、マイクロゲルを含有するマイクロピペットに圧力を加えた。最適な流動力学を促進するために、マイクロピペットを1%BSAに浸した。マイクロゲルは、外部の加えられた圧力が内部の弾性応力とバランスが取れたときに、平衡に達するまで変形するであろう。マイクロピペット先端下の顕微鏡(EVOS)は、画像(10倍)を取得し、それは、その後ImageJで分析された。
図9B)テーパー領域内のマイクロゲル形状。マイクロゲルは、平均半径、Rバンド、及び平均長さ、Lバンドにより壁と接触した。テーパー角は、θである。圧力pが増加するにつれて、Lバンドが増加し、Rバンドが減少する。弾性特性は、先で説明されるように、これらの測定値から計算された(Wyss et al,Soft Matter,2010)。
図9C)増加する圧力に応答して変形するマイクロゲルの画像シリーズ。
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図9C】キャピラリーマイクロメカニクスの実験設定を示す。
図9A)テーパーガラスマイクロピペット(Fivephoton Biochemicals)は、以下の寸法を有した:先端内径=50μm、ベース外径=1.5mm、長さ=5.5cm、テーパースタイル=長い。高精度圧力レギュレータ(Elveflow)は、マイクロゲルを含有するマイクロピペットに圧力を加えた。最適な流動力学を促進するために、マイクロピペットを1%BSAに浸した。マイクロゲルは、外部の加えられた圧力が内部の弾性応力とバランスが取れたときに、平衡に達するまで変形するであろう。マイクロピペット先端下の顕微鏡(EVOS)は、画像(10倍)を取得し、それは、その後ImageJで分析された。
図9B)テーパー領域内のマイクロゲル形状。マイクロゲルは、平均半径、Rバンド、及び平均長さ、Lバンドにより壁と接触した。テーパー角は、θである。圧力pが増加するにつれて、Lバンドが増加し、Rバンドが減少する。弾性特性は、先で説明されるように、これらの測定値から計算された(Wyss et al,Soft Matter,2010)。
図9C)増加する圧力に応答して変形するマイクロゲルの画像シリーズ。
【
図10】全てのマイクロゲル配合物(分解性及び非分解性)で処理されたRAW264.7マクロファージ細胞のインビトロ細胞傷害性を示す。グラフは、Alamar Blueアッセイによって判定される7日間の共培養中の細胞生存率を表す。データは、平均の平均標準偏差を表す(n=4)。一元配置分散分析によって統計的差異は認められなかった。
【
図11A】接着合図及び炎症シグナルの不在下で、単球とのマイクロゲル共培養が活性化を誘導しないことを示す。11A~D)インキュベーション後96時間の細胞生存は、共培養における微粒子の存在に起因するいかなる変化も明らかにしない。マーカーCD45、F4/80、CD206の発現は、試験した全ての群にわたって一貫している。11D-差し込み図は、共培養における全ての細胞発現F4/80に対するCD206の倍率発現を表す。全てのデータは、平均±s.e.mとして提示され、n=3である。データは、多重比較のためのTukey補正を用いた一元配置分散分析により分析された。
【
図11B】接着合図及び炎症シグナルの不在下で、単球とのマイクロゲル共培養が活性化を誘導しないことを示す。11A~D)インキュベーション後96時間の細胞生存は、共培養における微粒子の存在に起因するいかなる変化も明らかにしない。マーカーCD45、F4/80、CD206の発現は、試験した全ての群にわたって一貫している。11D-差し込み図は、共培養における全ての細胞発現F4/80に対するCD206の倍率発現を表す。全てのデータは、平均±s.e.mとして提示され、n=3である。データは、多重比較のためのTukey補正を用いた一元配置分散分析により分析された。
【
図11C】接着合図及び炎症シグナルの不在下で、単球とのマイクロゲル共培養が活性化を誘導しないことを示す。11A~D)インキュベーション後96時間の細胞生存は、共培養における微粒子の存在に起因するいかなる変化も明らかにしない。マーカーCD45、F4/80、CD206の発現は、試験した全ての群にわたって一貫している。11D-差し込み図は、共培養における全ての細胞発現F4/80に対するCD206の倍率発現を表す。全てのデータは、平均±s.e.mとして提示され、n=3である。データは、多重比較のためのTukey補正を用いた一元配置分散分析により分析された。
【
図11D】接着合図及び炎症シグナルの不在下で、単球とのマイクロゲル共培養が活性化を誘導しないことを示す。11A~D)インキュベーション後96時間の細胞生存は、共培養における微粒子の存在に起因するいかなる変化も明らかにしない。マーカーCD45、F4/80、CD206の発現は、試験した全ての群にわたって一貫している。11D-差し込み図は、共培養における全ての細胞発現F4/80に対するCD206の倍率発現を表す。全てのデータは、平均±s.e.mとして提示され、n=3である。データは、多重比較のためのTukey補正を用いた一元配置分散分析により分析された。
【
図12A】log10スケール上にプロットされた生の値によりサイトカイン濃度を示すボックスプロット、及び全ての時点についての推定周辺平均(EMM)比較を提供する。1群当たりn=6。
【
図12B】log10スケール上にプロットされた生の値によりサイトカイン濃度を示すボックスプロット、及び全ての時点についての推定周辺平均(EMM)比較を提供する。1群当たりn=6。
【
図12C】log10スケール上にプロットされた生の値によりサイトカイン濃度を示すボックスプロット、及び全ての時点についての推定周辺平均(EMM)比較を提供する。1群当たりn=6。
【
図12D】log10スケール上にプロットされた生の値によりサイトカイン濃度を示すボックスプロット、及び全ての時点についての推定周辺平均(EMM)比較を提供する。1群当たりn=6。
【
図12E】log10スケール上にプロットされた生の値によりサイトカイン濃度を示すボックスプロット、及び全ての時点についての推定周辺平均(EMM)比較を提供する。1群当たりn=6。
【
図12F】log10スケール上にプロットされた生の値によりサイトカイン濃度を示すボックスプロット、及び全ての時点についての推定周辺平均(EMM)比較を提供する。1群当たりn=6。
【
図13A】log10スケール上にプロットされた生の値によりサイトカイン濃度を示すボックスプロット、及び全ての時点についての推定周辺平均(EMM)比較を提供する。1群当たりn=6。
【
図13B】log10スケール上にプロットされた生の値によりサイトカイン濃度を示すボックスプロット、及び全ての時点についての推定周辺平均(EMM)比較を提供する。1群当たりn=6。
【
図13C】log10スケール上にプロットされた生の値によりサイトカイン濃度を示すボックスプロット、及び全ての時点についての推定周辺平均(EMM)比較を提供する。1群当たりn=6。
【
図13D】log10スケール上にプロットされた生の値によりサイトカイン濃度を示すボックスプロット、及び全ての時点についての推定周辺平均(EMM)比較を提供する。1群当たりn=6。
【
図14】背側皮下空間に注入されたマイクロゲルインプラント後30日目のH&E染色である。
【
図15】注射後30日目の背側マイクロゲルインプラントの免疫組織化学的評価を示す。試料を、panマクロファージマーカーCD68(赤色)及び核マーカーDAPI(青色)について染色した。マイクロゲルエリアは、白い破線で表される。差し込み図は、マイクロゲルを囲むエリアの20倍の代表的な画像を表す。スケールバー、差し込み
図20μm、10倍画像50μm。
【
図16A】インビトロ及びインビボでの分解性ヒドロゲル特性を示す。
図16A)マウスの皮下空間内に移植されたヒドロゲルのインビボでの追跡。
図16B)マイクロゲルの局在化、及び経時的な蛍光強度の変化を実証するIVIS撮像。
【
図16B】インビトロ及びインビボでの分解性ヒドロゲル特性を示す。
図16A)マウスの皮下空間内に移植されたヒドロゲルのインビボでの追跡。
図16B)マイクロゲルの局在化、及び経時的な蛍光強度の変化を実証するIVIS撮像。
【0015】
様々な図面における同様の参照記号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の以下の説明は、その最良の、現在知られている実施形態における本開示の教示を可能にするものとして提供される。前述の説明及び関連する図面に提示された教示の利益を有する、開示された組成物及び方法に関連する技術分野の当業者には、多くの修正及び他の実施形態が思い浮かぶであろう。したがって、本開示が開示される特定の実施形態に限定されず、修正及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。当業者は、本明細書に説明される態様の多くの変形例及び適応例を認識するであろう。これらの変形例及び適応例は、本開示の教示に含まれ、本明細書の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【0017】
具体的な用語が本明細書で用いられるが、それらは、一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定の目的で使用されない。
【0018】
本開示を読むと当業者には明らかであり得るように、本明細書に説明及び例解される個々の実施形態の各々は、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特色から容易に分離、又はそれらと組み合わされ得る個別の成分及び特色を有する。
【0019】
任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。すなわち、特に明記されない限り、本明細書に示される任意の方法又は態様は、そのステップが具体的な順序で実施されることを要求するものとして解釈されることは決して意図されない。したがって、方法請求項は、特許請求の範囲又は明細書において、ステップが具体的な順序に限定されるべきであると具体的に記述しない場合、いかなる点においても、順序が推論されることは決して意図されない。これは、ステップ又は操作フローの配置、文法的な構成若しくは句読点に由来する明白な意味、又は本明細書に説明される態様の数若しくはタイプに関する論理事項を含む、解釈のための任意の可能な非明示的根拠について保持する。
【0020】
本明細書で言及される全ての刊行物は、引用された刊行物に関連する方法及び/又は材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で考察される刊行物は、本出願の出願日前に専らそれらの開示のために提供されている。本明細書におけるいかなるものも、本発明が先行発明によってそのような公開に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。更に、本明細書で提供される刊行物の日付は、実際の刊行日とは異なる場合があり、独立して確認することができる。
【0021】
本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、限定することを意図されないことも理解されるべきである。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、その開示された組成物及び方法が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されるような用語は、本明細書及び関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想的な又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことを更に理解することができる。
【0022】
様々な実施形態を説明する前に、以下の定義が提供され、特に指示されない限り使用されるべきである。追加の用語は、本開示の他の箇所で定義され得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、言及されるように、記載される特色、整数、ステップ、又は成分の存在を特定するとして解釈されるべきであるが、1つ以上の他の特色、整数、ステップ、若しくは成分、又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。更に、「によって(by)」、「comprising(含む)」、「comprises(含む)」、「comprised of(構成される)」、「including(含む)」、「includes(含む)」、「included(含まれた)」、「involving(含む)」、「involves(含む)」、「involved(含まれた)」、及び「such as(など)」という用語の各々は、それらの開かれた、非限定的な意味で使用され、同義的に使用され得る。更に、「comprising(含む)」という用語は、「consisting essentially of(から本質的になる)」及び「consisting of(からなる)」という用語によって包含される例及び態様を含むことが意図される。同様に、「consisting essentially of(から本質的になる)」という用語は、「consisting of(からなる)」という用語によって包含される例を含むことが意図されている。
【0024】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上別段明らかに指示されない限り、複数の指示対象を含む。よって、例えば、「細胞(a cell)」、「組織(a tissue)」、又は「ヒドロゲル(a hydrogel)」への言及は、2つ以上のそのような細胞、組織、又はヒドロゲルなどを含むが、これらに限定されない。
【0025】
比、濃度、量、及び他の数値データは、本明細書において、範囲形式で表すことができることに留意されたい。範囲の各々の終点は、他の終点と関連して、及び他の終点とは独立して、両方とも重要であることを更に理解することができる。本明細書に開示されるいくつかの値が存在し、各値は、値自体に加えて、「約」その特定の値として本明細書に開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」もまた開示される。本明細書では、範囲は、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値まで、のように表現され得る。同様に、値が先行詞「約」の使用により近似値として表される場合、特定の値が更なる態様を形成することを理解することができる。例えば、値「約10」が開示される場合、「10」もまた開示される。
【0026】
範囲が表される場合、更なる態様は、1つの特定の値から、及び/又は他の特定の値までを含む。例えば、記載された範囲が限界の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方又は両方を除く範囲も本開示に含まれ、例えば、「x~y」という句は、「x」~「y」の範囲、並びに「x」よりも大きく、「y」よりも小さい範囲を含む。範囲はまた、上限、例えば、「約x、y、z、又はそれ以下」として表すことができ、「約x」、「約y」、及び「約z」の具体的な範囲、並びに「x未満」、y未満」、及び「z未満」の範囲を含むと解釈されるべきである。同様に、「約x、y、z、又はそれ以上」という句は、「約x」、「約y」、及び「約z」の具体的な範囲、並びに「xよりも大きい」、「yよりも大きい」、及び「zよりも大きい」の範囲を含むと解釈されるべきである。加えて、「x」及び「y」が数値である『約「x」~「y」』という句は、『約「x」~約「y」』を含む。
【0027】
そのような範囲形式は、利便性及び簡潔性のために使用されるため、範囲の限界として明示的に列挙された数値だけを含むのでなく、各数値及びサブ範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される全ての個々の数値又はサブ範囲も含むように柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例解するために、「約0.1%~5%」の数値範囲は、明示的に列挙された約0.1%~約5%の値だけを含むのでなく、個々の値(例えば、約1%、約2%、約3%、及び約4%)、及び示された範囲内のサブ範囲(例えば、約0.5%~約1.1%、約5%~約2.4%、約0.5%~約3.2%、及び約0.5%~約4.4%、並びに他の可能なサブ範囲)も含むと解釈されるべきである。
【0028】
本明細書で使用される場合、「約」、「おおよそ」、「~で、又は約~」、及び「実質的に」という用語は、問題の量又は値が、正確な値、又は特許請求の範囲に列挙されるか、若しくは本明細書で教示される同等の結果又は効果を提供する値であり得ることを意味する。すなわち、量、サイズ、配合、パラメータ、並びに他の量及び特徴は、正確ではなく、かつ正確である必要はないが、同等の結果又は効果が得られるように、所望される際、公差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、及び当業者に既知の他の因子を反映して、近似及び/又はより大きい若しくはより小さい場合があることが理解される。状況によっては、同等の結果又は効果を提供する値は、合理的に判定することができない。そのような場合、本明細書で使用される場合、別段の指示又は推測がない限り、「約」及び「~で、又は約~」は、±10%の変動を示す公称値を意味することが一般に理解される。一般に、量、サイズ、配合、パラメータ、又は他の量若しくは特徴は、そのようであると明示されているかどうかにかかわらず、「約」、「おおよそ」、又は「~で、又は約~」である。定量的値の前に「約」、「おおよそ」、又は「~で、又は約~」が使用されるとき、パラメータはまた、具体的に明記されない限り、具体的な定量的値自体を含むことが理解される。
【0029】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、所望の治療結果を達成するか、又は望ましくない症状に対して効果を有するのに十分であるが、有害な副作用を引き起こすのに概して不十分である量を指す。任意の特定の患者のための具体的な治療有効用量レベルは、治療される障害及び障害の重症度;用いられる具体的な組成物;患者の年齢、体重、全身の健康、性別、及び食事;投与時期;投与経路;用いられる具体的な組成物の排泄率;治療期間;用いられる具体的な組成物と組み合わせて又は同時に使用される薬物、及び医療従事者の知識及び見解内にあり、医学分野において周知であり得る同様の要素を含む、様々な要因に依存するであろう。特定の疾患又は状態を治療する場合、いくつかの事例では、所望の応答は、疾患又は状態の進行を阻害することであり得る。これには、疾患の進行を一時的に減速させることのみが含まれ得る。しかしながら、他の事例では、疾患の進行を永久に停止することが望ましい場合がある。これは、任意の特定の疾患について当業者に既知の定期的な診断方法によって監視することができる。疾患又は状態の治療に対する所望の応答はまた、疾患若しくは状態の発症を遅延させる、又は更に発症を予防することであり得る。
【0030】
例えば、所望の治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルで組成物の用量を開始し、所望の効果が達成されるまで徐々に投与量を増加させることは、十分に当該技術分野の技術の範囲内である。所望される場合、有効な1日用量は、投与のために複数回の用量に分割することができる。結果的に、単回用量組成物は、1日用量を構成するためにそのような量又はその約数を含有することができる。任意の禁忌の事象では、個々の医師によって投与量が調整され得る。本発明の薬理学的薬剤の最大用量(単独で、又は他の治療剤と組み合わせて)、すなわち、健全な医学的判断による最高安全用量が使用されることが一般的に好ましい。しかしながら、当業者は、患者が、医学的理由、心理的理由、又は実質的に任意の他の理由で、より低い用量又は許容用量を主張し得ることを理解するであろう。
【0031】
開示された組成物の治療有効用量に対する応答は、治療又は薬理学的薬剤の投与後の疾患症状の減少又は欠如などの治療又は薬物の生理学的効果を判定することによって測定することができる。他のアッセイは、当業者に既知であり、応答のレベルを測定するために用いることができる。治療の量は、例えば、開示される組成物の量を増加又は減少させることによって、投与される開示される組成物を変化させることによって、投与経路を変化させることによって、投与タイミングを変化させることなどによって変化し得る。投与量は、異なり得、1日又は数日間、1日1回以上の用量投与で投与することができる。ガイダンスは、所与のクラスの医薬品の適切な投与量についての文献で見出すことができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「予防有効量」という用語は、疾患又は状態の発症又は開始を予防するために有効な量を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「予防する(prevent)」又は「予防すること(preventing)」という用語は、特に事前の行為によって、何かが起こるのを妨げる、回避する、排除する、未然に防ぐ、阻止する、又は妨害することを指す。低減させる、阻害する、又は予防するが本明細書で使用される場合、具体的に別段の指示がない限り、他の2つの語の使用もまた、明示的に開示されることが理解される。
【0034】
本明細書で使用される場合、「任意選択的な」又は「任意選択的に」という用語は、その後に説明される事象又は状況が生じ得る、又は生じ得ないことを意味し、この説明には、当該事象又は状況が生じる場合、及び生じない場合が含まれることを意味する。
【0035】
本明細書で同義的に使用される場合、「対象」、「個体」、又は「患者」は、哺乳動物(例えば、ヒト)などの脊椎動物生物を指し得る。「対象」はまた、細胞、細胞集団、組織、器官、又は生物、好ましくはヒト、及びそれらの構成要素を指し得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「治療すること(treating)」及び「治療(treatment)」という用語は、概して、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得ることを指し得る。この効果は、組織欠損などの疾患、症状、又はその状態を予防する、又は部分的に予防するという点で予防的であり得るが、必ずしもそうである必要はない。この効果は、疾患、障害、又は状態に起因する疾患、状態、症状、又は副作用の部分的又は完全な治癒の観点から、治療的であり得る。本明細書で使用される「治療」という用語は、対象、特にヒトにおける障害の任意の治療を含むことができ、以下のうちのいずれか1つ以上を含むことができる:(a)疾患の素因があり得るが、まだそれを有すると診断されていない対象において疾患が発生することを予防すること、(b)疾患を阻害すること、例えば、その発症を阻止すること、並びに(c)疾患を軽減すること、例えば、疾患及び/又はその症状若しくは状態を緩和又は改善すること。本明細書で使用される「治療」という用語は、治療的治療単独、予防的治療単独、又は治療的治療と予防的治療の両方を指し得る。治療を必要とするもの(それを必要とする対象)は、既に疾患を有するもの及び/又は障害を予防するべきものを含むことができる。本明細書で使用される場合、「治療する」という用語は、疾患、障害、又は状態を阻害すること、例えば、その進行を妨げること、並びに疾患、障害、又は状態を軽減すること、例えば、疾患、障害、及び/又は状態の退縮を引き起こすことを含むことができる。疾患、障害、又は状態を治療することは、基礎となる病態生理学が影響を受けない場合であっても、特定の疾患、障害、又は状態の少なくとも1つの症状を改善すること、例えば、鎮痛剤の投与によって、そのような薬剤が疼痛の原因を治療しなくても、対象の疼痛を治療することなど、を含むことができる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「用量」、「単位用量」、又は「投薬量」は、対象での使用に好適な物理的に別個の単位を指し得、各単位は、その投与と関連して所望の応答又は複数の応答を生成するように計算された所定量の開示された化合物及び/又はその薬学的組成物を含有する。
【0038】
本明細書で使用される場合、「治療的」は、疾患、障害、状態、若しくは副作用を治療すること、治癒すること、及び/若しくは改善すること、又は疾患、障害、状態、若しくは副作用の進行速度を減少させることを指し得る。
【0039】
化合物は、標準的な命名法を使用して説明される。特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0040】
本明細書に説明される化合物は、エナンチオマー、エナンチオマーの混合物、ジアステレオマー、互変異性体、ラセメート、及びロタマーなどの他の異性体を、別段の指示がない限り、又は文脈によって除外されない限り、各々が具体的に説明されているかのように含む。本明細書で提供される化合物は、キラル中心を含有し得ることが理解されるべきである。そのようなキラル中心は、(R-)又は(S-)のいずれかの構成であり得る。本明細書に提供される化合物は、鏡像異性体的に純粋であるか、又はジアステレオマー混合物若しくはエナンチオマー混合物のいずれかであり得る。本明細書に提供される化合物のキラル中心は、インビボでエピマー化を受け得ることが理解されるべきである。したがって、当業者は、(R-)形態の化合物の投与は、インビボでエピマー化を受ける化合物については、(S-)形態の化合物の投与と同等であることを認識するであろう。反対の記述がない限り、実線としてのみ示され、くさび又は破線として示されていない化学結合を有する式は、各可能な異性体、例えば、各エナンチオマー、ジアステレオマー、及び メソ化合物、並びにラセミ又はスケールミック(scalemic)混合物などの異性体の混合物を企図する。
【0041】
2つの文字又は記号の間にないダッシュ(「-」)は、置換基の結合点を示すために使用される。例えば、-(C=O)NH2は、ケト(C=O)基の炭素を介して結合している。
【0042】
「置換された」という用語は、本明細書で使用される場合、指定された原子又は基上の任意の1つ以上の水素が、示された基から選択される部分で置き換えられることを意味するが、ただし指定された原子の通常の価を超えておらず、得られる化合物は安定している。例えば、置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、原子上の2つの水素が置き換えられる。例えば、オキソによって置換されたピリジル基は、ピリジンである。置換基及び/又は変数の組み合わせは、このような組み合わせが安定した化合物又は有用な合成中間体をもたらす場合のみ許容される。安定した活性化合物は、単離することができ、かつ少なくとも1ヶ月の保存期間を有する剤形に製剤化することができる化合物を指す。活性化合物の安定した製造中間体又は前駆体は、それが反応又は他の使用に必要な期間内に分解しない場合、安定している。安定した部分又は置換基は、使用に必要な期間内に分解しない、反応しない、又はバラバラにならないものである。不安定な部分の非限定的な例は、ヘテロ原子を不安定な配置で組み合わせるものであり、これは典型的には当業者に既知であり、識別可能である。
【0043】
任意の好適な基は、安定した分子を形成し、本発明の所望の目的を満たす「置換された」又は「任意選択的に置換された」位置に存在し得、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロ環、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロ、ヒドロキシ、ケト、ニトロ、シアノ、アジド、オキソ、シリル、スルホオキソ、スルホニル、スルホン、スルホキシド、スルホニルアミノ、又はチオールを含むが、これらに限定されない。
【0044】
「アルキル」は、直鎖又は分岐の飽和脂肪族炭化水素基である。ある特定の実施形態では、アルキルは、C1-C2、C1-C3、又はC1-C6である(すなわち、アルキル鎖は、長さが1、2、3、4、5、又は6の炭素であり得る)。本明細書で使用される指定範囲は、独立した種として説明される範囲の各メンバーの長さを有するアルキル基を示す。例えば、本明細書で使用されるC1-C6アルキルは、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子を有するアルキル基を示し、これらの各々が独立した種として説明されることを意味することが意図され、本明細書で使用されるC1-C4アルキルは、1、2、3、又は4個の炭素原子を有するアルキル基を示し、これらの各々が独立した種として説明されることを意味することが意図される。C0-Cnアルキルが本明細書で別の基、例えば(C3-C7シクロアルキル)C0-C4アルキル、又は-C0-C4(C3-C7シクロアルキル)と併せて使用される場合、示される基、この場合シクロアルキルは、単一の共有結合(C0アルキル)によって直接結合されるか、又はアルキル鎖、この場合1、2、3、又は4個の炭素原子によって結合されるかのいずれかである。アルキルはまた、-O-C0-C4アルキル(C3-C7シクロアルキル)のように、ヘテロ原子などの他の基を介して結合することもできる。アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルブタン、及び2,3-ジメチルブタンが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、アルキル基は、本明細書に説明されるように任意選択的に置換される。
【0045】
「シクロアルキル」は、飽和単環式又は多環式炭化水素環系である。2つ以上の環で構成されている場合、環は、融合された、又は架橋された様式で一緒に連結され得る。典型的なシクロアルキル基の非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。一実施形態では、シクロアルキル基は、本明細書に説明されるように任意選択的に置換される。
【0046】
「アルケニル」は、鎖に沿った安定点で生じ得る1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基であり、結合の各々は、独立して、シス又はトランスのいずれかである。非限定的な例としては、C2-C4アルケニル及びC2-C6アルケニル(すなわち、2、3、4、5、又は6個の炭素を有する)が挙げられる。本明細書で使用される指定範囲は、アルキル部分について上で説明されるように、独立した種として説明された範囲の各メンバーを有するアルケニル基を示す。アルケニルの例としては、エテニル及びプロペニルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、アルケニル基は、本明細書に説明されるように任意選択的に置換される。
【0047】
「アルキニル」は、鎖に沿った任意の安定点で生じ得る1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基、例えば、C2-C4アルキニル又はC2-C6アルキニル(すなわち、2、3、4、5、又は6個の炭素を有する)である。本明細書で使用される指定範囲は、アルキル部分について上で説明されるように、独立した種として説明された範囲の各メンバーを有するアルキニル基を示す。アルキニルの例としては、エチニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、及び5-ヘキシニルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、アルキニル基は、本明細書に説明されるように任意選択的に置換される。
【0048】
「アルコキシ」は、酸素架橋(-O-)を介して共有結合される、上記で定義されるアルキル基である。アルコキシの例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、2-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、2-ペントキシ、3-ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、n-ヘキソキシ、2-ヘキソキシ、3-ヘキソキシ、及び3-メチルペントキシが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、「アルキルチオ」又は「チオアルキル」基は、硫黄架橋(-S-)を通して共有結合される、示される数の炭素原子を有する、上記で定義されるアルキル基を指す。一実施形態では、アルコキシ基は、本明細書に説明されるように任意選択的に置換される。
【0049】
「アルカノイル」は、カルボニル(C=O)架橋を介して共有結合される、上記に定義されるアルキル基である。カルボニル炭素は、炭素の数に含まれ、例えば、C2アルカノイルは、CH3(C=O)-基である。一実施形態では、アルカノイル基は、本明細書に説明されるように任意選択的に置換される。
【0050】
「ハロ」又は「ハロゲン」は、独立して、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードのいずれかを示す。
【0051】
アリール基は、芳香環又は複数の環に炭素のみを含有する芳香族を示す。一実施形態では、アリール基は、1~3個の別個又は縮合した環を含有し、6~14又は18個の環原子であり、環員としてヘテロ原子を含まない。示される場合、このようなアリール基は、炭素又は非炭素原子若しくは基で更に置換され得る。そのような置換は、例えば、3,4-メチレンジオキシフェニル基を形成するために、N、O、B、P、Si、及びSから独立して選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を任意選択的に含有する4~7員又は5~7員の飽和又は部分的に不飽和の環状基への融合を含み得る。アリール基としては、例えば、フェニル、並びに1-ナフチル及び2-ナフチルを含むナフチルが挙げられる。一実施形態では、アリール基は、ペンダントである。ペンダントリングの例は、フェニル基で置換されたフェニル基である。一実施形態では、アリール基は、本明細書に説明されるように任意選択的に置換される。
【0052】
「複素環」という用語は、飽和及び部分的に飽和したヘテロ原子含有環ラジカルを指し、ヘテロ原子は、N、O、及びSから選択され得る。複素環という用語は、単環式3~12員環、並びに二環式5~16員環系(縮合、架橋、又はスピロ二環式系を含むことができる)を含む。それは、-O-O-、-O-S-、及び-S-S-部分を含有する環を含まない。飽和複素環基の例としては、1~4個の窒素原子を含有する飽和4~7員単環基[例えば、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、アゼチジニル、ピペラジニル、及びピラゾリジニル];1~2個の酸素原子及び1~3個の窒素原子を含有する飽和4~6員単環基[例えば、モルホリニル];並びに1~2個の硫黄原子及び1~3個の窒素原子を含有する飽和3~6員単環基[例えば、チアゾリジニル]が挙げられる。部分的に飽和した複素環ラジカルの例としては、ジヒドロチエニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフリル、及びジヒドロチアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。部分的に飽和した、及び飽和複素環基の例としては、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル、チアゾリジニル、ジヒドロチエニル、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキサニル、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾフリル、イソクロマニル、クロマニル、1,2-ジヒドロキノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリル、2,3,4,4a,9,9a-ヘキサヒドロ-1H-3-アザ-フルオレニル、5,6,7-トリヒドロ-1,2,4-トリアゾロ[3,4-a]イソキノール、3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[1,4]オキサニル、ベンゾ[1,4]ジオキサニル、2,3,-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イソサゾール(isothazol)-6-イル、ジヒドロピラニル、ジヒドロフリル、及びジヒドロチアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。二環式複素環は、複素環式ラジカルがアリールラジカルと融合し、結合点が複素環である基を含む。二環式複素環には、炭素環式ラジカルと融合した複素環式ラジカルも含まれる。代表的な例としては、1~5個の窒素原子を含有する部分的に不飽和の縮合複素環基、例えば、インドリン及びイソインドリン、1~2個の酸素原子及び1~3個の窒素原子を含有する部分的に不飽和の縮合複素環基、1~2個の硫黄原子及び1~3個の窒素原子を含有する部分的に不飽和の縮合複素環基、並びに1~2個の酸素原子又は硫黄原子を含有する飽和縮合複素環基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
「ヘテロアリール」とは、N、O、S、B、及びPから選択される(典型的にはN、O、及びSから選択される)1~4個、又はいくつかの実施形態では1、2、若しくは3個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である、安定した単環式、二環式、又は多環式の芳香環、又はN、O、S、B、若しくはPから選択される1~4個、又はいくつかの実施形態では1~3若しくは1~2個のヘテロ原子を含有し、残りの環原子が炭素である、少なくとも1つの5、6、若しくは7員芳香環を含有する安定した二環又は三環系を指す。一実施形態では、唯一のヘテロ原子は、窒素である。一実施形態では、唯一のヘテロ原子は、酸素である。一実施形態では、唯一のヘテロ原子は、硫黄である。単環式ヘテロアリール基は、典型的には5~6個の環原子を有する。いくつかの実施形態では、二環式ヘテロアリール基は、8~10員のヘテロアリール基、すなわち、1つの5、6、又は7員芳香環が第2の芳香族環又は非芳香族環に融合される8又は10個の環原子を含有する基であり、結合点が、芳香族環である。ヘテロアリール基中のS及びO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は、互いに隣接していない。一実施形態では、ヘテロアリール基中のS及びO原子の総数は、2以下である。別の実施形態では、ヘテロアリール基中のS及びO原子の総数は、1以下である。ヘテロアリール基の例としては、ピリジニル、イミダゾリル、イミダゾピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
一態様では、式Iの少なくとも1つの部分を含有する第1の架橋剤で架橋されたポリマー骨格を含むヒドロゲルが提供され、
【化2】
式中、
m及びnが、独立して、1又は2であり、
Aが、C
2-C
10アルキルであり、
【化3】
が、第1の架橋剤内の部分のための結合点である。
【0055】
式Iのいくつかの実施形態では、mは、1である。式Iのいくつかの実施形態では、mは、2である。式Iのいくつかの実施形態では、nは、1である。式Iのいくつかの実施形態では、nは、2である。
【0056】
式Iのいくつかの実施形態では、Aは、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、C6アルキル、C7アルキル、C8アルキル、C9アルキル、又はC10アルキルから選択される。式Iのいくつかの実施形態では、Aは、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、及び2,3-ジメチルブチルから選択される。
【0057】
いくつかの実施形態では、式Iの部分は、
【化4】
から選択され得る。
【0058】
ポリマー骨格は、ヒドロゲルの調製に使用される任意のポリマー又はポリマーの組み合わせから構成され得る。当該技術分野で知られているように、ヒドロゲルは、1つ以上の多機能分子又はポリマーを架橋することによって形成されるポリマーネットワークである。得られたポリマーネットワークは、親水性であり、水性環境で膨潤するため、ゲル様材料、すなわち、ヒドロゲルを形成する。典型的には、ヒドロゲルは、架橋剤(本明細書に説明される第1の架橋剤など)に結合した骨格を含む。
【0059】
ヒドロゲルは、それらの水不溶性、親水性、高い吸水性、及び膨潤特性によって特徴付けられる。ヒドロゲルの分子成分、単位、又はセグメントは、親水性成分、単位、又はセグメントのかなりの部分、例えば、水素結合することが可能なセグメント、又は酸(例えば、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、スルフィン酸、ホスフィン酸など)、塩基(例えば、アミン基、プロトン受容基など)、又は水に浸したときにイオン特性を発達させる他の基(例えば、スルホンアミド)などのイオン種若しくは解離性種を有することが可能なセグメントなどの親水性成分、単位、又はセグメントによって特徴付けられる。アクリロイル基(及びより低い程度のメタクリロイル基)、並びにオキシアルキレン単位(ポリオキシエチレン鎖及びポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンコポリマー鎖など)を含有する、又はそれにより終端するアクリルポリマー又はポリマー鎖のクラスもまた、親水性ポリマー内に存在し得る親水性セグメントとして十分に認識されている。代表的な水不溶性ポリマー組成物を以下に提供するが、当該技術分野において既知のヒドロゲル材料のクラス全体が、様々な程度に使用され得る。以下に記載され、酸性基を含有するポリマーは、選択肢として、アルカリ金属塩基によりモノマー若しくはポリマー又はその両方のいずれかで部分的又は完全に中和され得る。
【0060】
ポリマー骨格を含み得るいくつかの代表的なポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、それらのコポリマー、及びアルカリ金属及びそのアンモニウム塩;デンプン及びアクリル酸、デンプン及びサポニファイ化されたアクリロニトリル、デンプン及びサポニファイ化されたエチルアクリレートのグラフトコポリマー、並びにサポニファイ化されたアクリレート-酢酸ビニルコポリマー;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルキルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、及びそれらのコポリマー;無水マレイン酸及びアルキルビニルエーテルのコポリマー;並びにアクリロニトリル、アクリレートエステル、酢酸ビニルのサポニファイ化されたデンプングラフトコポリマー、及びアクリル酸、メタクリル酸、及びマレイン酸のデンプングラフトコポリマーのサポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
いくつかの実施形態では、ポリマー骨格は、バイオポリマーを含み得る。いくつかの実施形態では、バイオポリマーは、第1の架橋剤との架橋を可能にする官能性を提供するような様式で官能化又は修飾されている場合がある。使用され得るバイオポリマーの代表的な例としては、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、ヒアルロン酸、エラスチン、ペクチン、アガロース、グリコアミノグリカン、アルギン酸塩、セルロース、DNA、RNA、又はそれらの官能化誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
いくつかの実施形態では、ポリマー骨格は、ポリ(エチレングリコール)又はその官能化誘導体を含む。そのようなポリマー骨格の代表的な例は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-アクリレート(PEG-DA)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-アクリレート(PEG-Ac)、ポリ(エチレングリコール)-ジチオール(PEG-diSH)、ポリ(エチレングリコール)ジビニルスルホン(PEG-diVS)、マルチアームポリ(エチレングリコール)ビニルスルホン(PEG-VS)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-メタクリレート(PEG-DMA)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-メタクリレート(PEG-Mac)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-アリルエーテル(PEG-diAE)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-アリルエーテル(PE-AD)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-ビニルエーテル(PEG-diVE)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-ビニルエーテル(PEG-VE)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-マレイミド(PEG-diMI)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-マレイミド(PEG-MI)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-ノルボレン、マルチアームポリ(エチレングリコール)ノルボレン、ポリ(エチレングリコール-ビニルカルボネート、マルチアームポリ(エチレングリコール)-ビニルカルボネート、及びポリエチレングリコールオリゴフマレートを含むが、これらに限定されないポリマーから形成され得る。
【0063】
いくつかの特定の実施形態では、ポリマー骨格は、マルチアームポリ(エチレングリコール)-マレイミドから形成され得る。
【0064】
上記の例示的なポリマーは、重合中又は重合後のいずれかに、本明細書に説明される第1の架橋剤及び任意選択的に1つ以上の追加の架橋剤を使用して架橋され得る。架橋は、例えば、ラジカル開始剤を介した放射線の存在下での開始によるなど、当業者に知られている方法を使用して行われ得る。
【0065】
第1の架橋剤は、ポリマー骨格と反応することが可能な少なくとも2つの部分を含む。ポリマー骨格自体は、第1の架橋の少なくとも2つの部分と反応して、共有結合を形成するために利用可能な活性基を有する。第1の架橋剤内の式Iの部分の存在は、架橋されると、本明細書に提供されるヒドロゲルの観察された加水分解特性をもたらすことが一般に理解される。
【0066】
いくつかの実施形態では、第1の架橋剤は、式IIの化合物を含み、
【化5】
式中、
X
1及びX
2が、独立して各出現時に、ポリマー骨格と反応することが可能な部分から選択され、
L
1及びL
2が、独立して各出現時に、連結部分から選択され、
m、n、及びAが、請求項1に記載の通りに定義される。
【0067】
式IIのいくつかの実施形態では、mは、1である。式IIのいくつかの実施形態では、mは、2である。式IIのいくつかの実施形態では、nは、1である。式IIのいくつかの実施形態では、nは、2である。
【0068】
式IIのいくつかの実施形態では、Aは、C2アルキル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、C6アルキル、C7アルキル、C8アルキル、C9アルキル、又はC10アルキルから選択される。式IIのいくつかの実施形態では、Aは、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、及び2,3-ジメチルブチルから選択される。
【0069】
いくつかの実施形態では、式IIの化合物は、
【化6】
から選択される。
【0070】
X1及びX2は、各々独立して、ポリマー骨格中に見ることができるような活性基又は部分と反応することが可能な任意の好適な官能基部分であり得る。そのような基の代表的な例としては、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、チオール、カルボン酸、エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、基X1及びX2は、各々独立して、オキシラニル、アクリロイル、又はメタクリロイル基などの重合可能である基を含み得る。特定の実施形態では、X1及びX2は、各々-SHである。
【0071】
L1及びL2は、各々独立して、部分X1及びX2を、それが結合している対応するカルボニル基に共有結合する結合又は任意の他の好適な結合部分を含み得る。いくつかの実施形態では、L1及びL2は、独立して、C1-C6アルキル、C1-C6ヘテロアルキル、C1-C6ハロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C6シクロアルキル、3~8員単環式若しくは二環式複素環、6~10員単環式若しくは二環式アリール、5~10員単環式若しくは二環式ヘテロアリール、又はそれらの任意の好適な組み合わせから選択され得、それらの各々は、本明細書に説明されるように任意選択的に置換され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、L1及びL2は、各々独立して、C1-C10アルキル、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、又はブチレンから選択される。特定の実施形態では、L1及びL2は、各々メチレンである。
【0073】
特定の実施形態では、第1の架橋剤は、エチレングリコールビス(メルカプト酢酸塩)を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、ポリマー骨格は、第2の架橋剤で更に架橋される。そのような実施形態では、第2の架橋剤は、典型的には加水分解的に安定であり、すなわち、第1の架橋剤内に見られる式Iの部分、又はヒドロゲルが使用されることが意図される条件下で加水分解的に切断され得る任意の他の部分を含有しない。特定の実施形態では、第2の架橋剤は、ジチオトレイトール(DTT)を含み得る。
【0075】
第2の架橋剤を含む実施形態では、ヒドロゲルの分解は、第1の架橋剤と第2の架橋剤とのモル比を変化させることによって調整可能であり得る。いくつかの実施形態では、第1の架橋剤と第2の架橋剤とのモル比は、約100:1~約1:100、例えば、約90:1、約80:1、約70:1、約60:1、約50:1、約40:1、約30:1、約25:1、約20:1、約15:1、約10:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:10、約1:15、約1:20、約1:25、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、又は約1:100の範囲であり得る。当業者は、第1の架橋剤と第2の架橋剤とのモル比が高いほど、加水分解が増加し、分解時間が短くなり、第1の架橋剤と第2の架橋剤とのモル比が低いほど、加水分解時間が低くなり、分解時間が長くなることを容易に理解し得る。
【0076】
ヒドロゲルの分解生成物は、実質的に生体適合性であるべきであり、すなわち、ヒドロゲルが配置される部位又は生体の任意の他の部分のいずれかにおいて、生体、又はそうでなければ他の体、組織、又は細胞に実質的に悪影響を及ぼさない。材料の生体適合性を評価するための方法は周知である。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるヒドロゲルは、細胞の機能及び/又は特徴を調節することが可能な生体活性剤を含有し得る。例えば、生体活性剤は、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に分散される細胞の機能及び/又は特徴を調節することが可能であり得る。代替的に、又は追加的に、生体活性剤は、例えば、組織欠損に移植されたヒドロゲルを取り囲む内因性細胞の機能及び/又は特徴を調節し、細胞を欠損内に誘導することが可能であり得る。少なくとも1つの生体活性剤は、例えば、転写因子、分化因子、成長因子、又はそれらの組み合わせをコードするか、又はそれらを含むポリヌクレオチド及び/又はポリペプチドを含むことができる。少なくとも1つの生物活性剤はまた、組織形成、破壊、及び/又は具体的な病状(例えば、がん)を標的とすることが可能な任意の薬剤を含むことができる。そのような生体活性剤の代表的な例としては、走化性薬剤、様々なタンパク質(短期ペプチド、骨形態発生タンパク質(bone morphogenic protein)、コラーゲン、糖タンパク質、及びリポタンパク質など)、細胞付着メディエーター、生物学的に活性なリガンド、インテグリン結合配列、様々な成長及び/又は分化剤、並びにそれらの断片(上皮成長因子(EGF)、肝細胞成長因子(HGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、線維芽細胞成長因子(例えば、bFGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(例えば、IGF-1、IGF-II)及び形質転換成長因子(例えば、TGF-β I-III)など)、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン関連ペプチド、骨形態発生タンパク質(例えば、BMP-2、BMP-4、BMP-6、BMP-7、BMP-12、BMP-13、BMP-14)、転写因子、例えば、ソニックヘッジホッグ、成長分化因子(例えば、GDF5、GDF6、GDF8)、組換えヒト成長因子(MP52及びMP-52バリアントrhGDF-5など)、軟骨由来の形態発生タンパク質(CDMP-1、CDMP-2、CDMP-3)、特定の成長因子の上方調節に影響を及ぼす小分子、テナシン-C、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、フィブロネクチン、デコリン、トロンボエラスチン、トロンビン由来のペプチド、ヘパリン結合ドメイン、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ポリヌクレオチド、DNA断片、DNAプラスミド、MMP、TIMP、干渉RNA分子、例えば、siRNA、オリゴヌクレオチド、タンパクリカン、糖タンパク質、グリコサミノグリカン、及びshRNAをコードするDNAが挙げられるが、限定されない。
【0078】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるヒドロゲルは、状態又は障害を治療する必要がある対象においてそのような治療を行う際に使用され得る治療剤を含有し得る。「治療剤」という用語は、生物(ヒト又は非ヒト動物のいずれか)に投与されるとき、局所的及び/又は全身的作用によって所望の薬理学的、免疫原性、及び/又は生理学的効果を誘導する、任意の合成又は天然に存在する生物学的に活性な化合物又は物質の組成物を含む。したがって、この用語は、タンパク質、ペプチド、ホルモン、核酸、遺伝子構築物などの分子を含む、薬物、ワクチン、及びバイオ医薬品と従来からみなされている化合物又は化学物質を包含する。治療剤の例は、Merk Index(14th Edition)、the Physician’s Desk Reference(64th Edition)、及びThe Pharmacological Basis of Therapeutics(12th Edition)などの周知の参考文献に説明されており、それらは、限定なしに、医薬品、ビタミン、ミネラルサプリメント、疾患若しくは病気の治療、予防、診断、治癒、若しくは緩和に使用される物質、身体の構造若しくは機能に影響を与える物質、又は生理学的環境に配置された後に生物学的に活性若しくはより活性になるプロドラッグを含む。例えば、「治療剤」という用語には、アジュバント、抗生物質及び抗ウイルス剤などの抗感染薬、鎮痛剤及び鎮痛剤の組み合わせ、拒食薬、抗炎症剤、抗てんかん薬、局所及び全身麻酔薬、催眠薬、鎮静剤、抗精神病剤、神経弛緩剤、抗うつ薬、抗不安薬、拮抗薬、神経細胞遮断剤、抗コリン作動剤及びコリン模倣薬、抗ムスカリン剤及びムスカリン剤、抗アンドレナリン薬、抗不整脈薬、抗高血圧剤、ホルモン、及び栄養素、抗関節炎薬、抗ぜんそく剤、抗痙攣薬、アンチスタミン薬、抗嘔吐薬、抗新生物薬、かゆみ止め薬、解熱薬、鎮痙薬、心臓血管製剤(カルシウムチャネルブロッカー、ベータブロッカー、及びベータアゴニストを含む)、抗高血圧薬、利尿薬、血管拡張薬、中枢神経系刺激薬、咳及び風邪の製剤、充血除去薬、診断薬、骨成長刺激薬及び骨吸収阻害剤、免疫抑制薬、筋弛緩薬、精神刺激薬、鎮静薬、精神安定薬、タンパク質、ペプチド、及びそれらの断片(天然に存在するか、化学的に合成されるか、又は組換えて産生されるかにかかわらず)、並びに核酸分子(二本鎖及び一本鎖分子の両方を含むリボヌクレオチド(RNA)又はデオキシリボヌクレオチド(DNA)のいずれかの2つ以上のヌクレオチドのポリマー形態、遺伝子構築物、発現ベクター、アンチセンス分子など)、小分子、及び、例えば、タンパク質及び酵素などの他の生物学的に活性な巨大分子を含むが、これらに限定されない、主要な治療的エリアの全てにおいて使用するための化合物又は組成物が挙げられる。薬剤は、獣医学を含む、医学的用途、及び植物などの農業、並びに他のエリアで使用される生物学的に活性な薬剤であり得る。
【0079】
ヒドロゲルは、注射可能及び/若しくは移植可能であり得、又は膜、スポンジ、ゲル、固体足場、紡績繊維、織られた若しくは不織布メッシュ、ナノ粒子、微粒子、又は任意の他の所望の構成の形態であり得る。
【0080】
別の態様では、ヒドロゲルは、ヒドロゲル上又はヒドロゲル内に分散された少なくとも1つの細胞を含むことができる。例えば、細胞は、ヒドロゲル内に完全に又は部分的に封入され得る。細胞は、例えば、全能性幹細胞、多能性幹細胞、又は万能性幹細胞などの任意の前駆細胞、並びにより分化した細胞を含むそれらの系統子孫細胞のいずれかを含むことができる。細胞は、自己、異種、同種、及び/又は同種であり得る。細胞が自己由来でない場合、免疫拒絶反応を最小限に抑えるために、免疫抑制剤を投与することが望ましい場合がある。用いられる細胞は、一次細胞、拡大細胞、又は細胞株であり得、分裂細胞又は非分裂細胞であり得る。細胞は、ヒドロゲル内への導入又はヒドロゲル上への導入前に、エクスビボで拡大させ得る。例えば、自己細胞は、十分な数の生存細胞を宿主対象から採取することができない場合、この様式で拡大させることができる。代替的に、又は追加的に、細胞は、いくつかの内部構造を有する組織を含む、組織の断片であり得る。細胞は、一次組織外植体及びその調製物、細胞株(形質転換細胞を含む)、又は宿主細胞であり得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、細胞は、全能性幹細胞、多能性幹細胞、及び多能性幹細胞などの任意の前駆細胞、並びにより分化した細胞を含むそれらの系譜子孫細胞のいずれかを指すことができる。「幹細胞」及び「前駆細胞」という用語は、本明細書で同義的に使用される。細胞は、胚組織、胎児組織、又は成人組織に由来し得る。前駆細胞の例としては、全能性幹細胞、万能性幹細胞、間葉系幹細胞(MSC)、造血幹細胞、神経幹細胞、膵臓幹細胞、心臓幹細胞、胚性幹細胞、胚性生殖細胞、神経紋幹細胞、腎臓幹細胞、肝臓幹細胞、肺幹細胞、血管芽細胞、及び内皮前駆細胞を挙げることができる。追加の例示的な前駆細胞としては、脱分化軟骨形成細胞、軟骨形成細胞、臍帯血幹細胞、万能性成体前駆細胞、筋原細胞、骨形成原細胞、腱原細胞、靭帯形成細胞、脂肪生成細胞、及び皮膚原性細胞を挙げることができる。
【0082】
ヒドロゲルは、少なくとも1つの細胞及び/又は生体活性剤で形成することができる。例えば、複数の細胞は、ヒドロゲル上若しくはヒドロゲル内に実質的に均一な様式で分散され得るか、又は代替的に、異なる細胞若しくは同じ細胞の異なる密度及び/若しくは空間分布がヒドロゲルの異なる部分内に分散されるように、分散され得る。細胞は、ポリマー骨格の架橋の前又は後に播種され得る。代替的に、ヒドロゲルは、ポリマー骨格の架橋後に、少なくとも1つの生体活性剤の溶液中でインキュベートすることができる。
【0083】
一般に、細胞は、インビトロ又はインビボでヒドロゲル内に導入される。細胞をヒドロゲルと混合し、細胞生存率を確保するために適切な成長(又は貯蔵)培地中で培養し得る。ヒドロゲルがインビトロでの播種後にインビボでの使用のために移植される場合、例えば、インビボでの適用前のインビトロ培養中において細胞生存率を確保するために、十分な成長培地が供給され得る。ヒドロゲルが移植されると、細胞の栄養要件は、宿主対象の循環流体によって満たすことができる。
【0084】
細胞をヒドロゲル内に導入するために、任意の利用可能な方法が用いられ得る。例えば、細胞は、ヒドロゲル内に(例えば、成長培地と組み合わせて)注入され得るか、又は圧力、真空、浸透、若しくは手動混合などの他の手段によって導入され得る。代替的に、又は追加的に、細胞は、ヒドロゲル上の層であり得るか、又はヒドロゲルは、細胞懸濁液中に浸され、細胞がヒドロゲル内に組み込まれるか、若しくはヒドロゲルに結合するのに十分な条件及び時間の下でそれらを維持することを可能にし得る。一般に、含浸手順中の細胞死を最小限に抑えるために、細胞の過度の手動操作を避けることが望ましい。例えば、いくつかの状況では、細胞をヒドロゲルと手動で混合又は混練することは望ましくない場合があるが、そのようなアプローチは、十分な数の細胞がその手順を生き延びる場合には有用であり得る。細胞はまた、単に所望の細胞の供給源に隣接して対象にヒドロゲルを配置することによって、インビボでヒドロゲル内に導入することができる。生物活性剤は、ヒドロゲルに含有される場合、ヒドロゲルから放出され得、これはまた、局所細胞、循環中の細胞、又は移植部位若しくは注射部位から離れた距離の細胞を動員し得る。
【0085】
ヒドロゲルに導入される細胞の数は、ヒドロゲルの意図される用途及び使用される細胞のタイプに基づいて変化する。例えば、ヒドロゲル内への注入又は混合によって分裂自己細胞が導入されている場合、より少ない数の細胞を使用することができる。代替的に、ヒドロゲル内への注入又は混合によって非分裂細胞が導入されている場合、より多くの数の細胞が必要とされ得る。ヒドロゲルは、細胞を添加する前に、水和状態であるか、又は凍結乾燥状態のいずれかであり得る。例えば、ヒドロゲルは、細胞を再水和させ、ヒドロゲルに細胞を定着させるために、細胞の添加が行われる前に、凍結乾燥状態にあり得る。
【0086】
本明細書に説明されるヒドロゲルは、組織工学、薬物送達用途、及び再生医療を含む様々な生物医学的用途で使用することができる。一例では、本明細書に説明されるヒドロゲルを使用して、対象における組織成長を促進することができる。本方法の1つのステップは、標的部位を識別することを含み得る。標的部位は、新しい組織の促進が所望される組織欠損を含み得る。標的部位はまた、疾患の場所(例えば、腫瘍)を含み得る。組織欠損及び疾患の場所を識別するための方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、CT、MRI、及びX線などの様々な画像モダリティを含み得る。標的部位を識別した後、ヒドロゲルを標的部位に投与することができる。次に、ヒドロゲルをシリンジ又は他の同様のデバイスに装填し、組織欠損内に注入又は移植することができる。組織欠損への注入又は移植時に、ヒドロゲルは、触覚手段を使用して組織欠損の形状に形成され得る。代替的に、ヒドロゲルは、対象への移植の前に特定の形状に形成され得る。移植後、細胞は、ヒドロゲルから組織欠損内に移動し始め、成長因子及び/若しくは分化因子を発現し、並びに/又は細胞の拡大及び分化を促進することができる。加えて、組織欠損におけるヒドロゲルの存在は、組織欠損を取り囲む内因性細胞のヒドロゲル内への移動を促進し得る。移植されると、式Iの部分が、加水分解され得る。この部分の加水分解は、制御された速度で生じることができ、ヒドロゲルの制御された分解をもたらす。この分解は、ヒドロゲルを置き換えるための新しい細胞外マトリックスの細胞成長及び堆積のための空間を作り出すことができる。
【0087】
本明細書で使用される場合、「組織」という用語は、多細胞生物内で実質的に同じ機能及び/又は形態を有する細胞の凝集体を指すことができる。「組織」は、典型的には、同じ起源の細胞の凝集体であるが、異なる起源の細胞の凝集体であり得る。細胞は、実質的に同じ又は実質的に異なる機能を有し得、同じ又は異なるタイプであり得る。「組織」としては、臓器、臓器の一部、骨、軟骨、皮膚、ニューロン、軸索、血管、角膜、筋肉、筋膜、脳、前立腺、乳房、子宮内膜、肺、膵臓、小腸、血液、肝臓、精巣、卵巣、子宮頸部、結腸、胃、食道、脾臓、リンパ節、骨髄、腎臓、末梢血、胚性、又は腹水組織が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0088】
本明細書に説明される方法を実施するためのキットが更に提供される。「キット」とは、少なくとも1つの試薬、例えば、本明細書に説明される組成物のうちのいずれか1つを含む任意の製造物(例えば、パッケージ又は容器)を意図する。本キットは、本明細書に説明される方法を行うためのユニットとして販売促進、流通、又は販売され得る。加えて、本キットは、キット及びその使用のための方法を説明する添付文書を収容することができる。キット試薬のいずれか又は全ては、密封された容器又はパウチなど、外部環境からそれらを保護する容器内に提供することができる。
【0089】
また、1つ以上の容器内に本明細書で開示される組成物を含むキットが開示される。開示されたキットは、任意選択的に、薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤を含むことができる。一実施形態では、キットは、本明細書に説明される1つ以上の他の構成要素、補助剤、又はアジュバントを含む。一実施形態では、キットは、キットの組成物を投与する方法を説明する使用説明書又は包装材料を含む。キットの容器は、任意の好適な材料、例えば、ガラス、プラスチック、金属などのものであり得、任意の好適なサイズ、形状、又は構成のものであり得る。一実施形態では、本明細書に開示される組成剤は、固体としてキット内に提供される。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、液体又は溶液としてキット内に提供される。一実施形態では、キットは、本明細書に説明される組成物を液体又は溶液の形態で含有するアンプル又はシリンジを含む。
【0090】
本開示はまた、本明細書に提供される本発明の以下の実施形態を提供する。
【0091】
実施形態1.式Iの少なくとも1つの部分を含有する第1の架橋剤で架橋されたポリマー骨格を含むヒドロゲルであって、
【化7】
式中、
m及びnが、独立して、1又は2であり、
Aが、C
2-C
10アルキルであり、
【化8】
が、第1の架橋剤内の部分のための結合点である、ヒドロゲル。
実施形態2.mが、1である、実施形態1に記載のヒドロゲル。
実施形態3.mが、2である、実施形態1に記載のヒドロゲル。
実施形態4.nが、1である、実施形態1~3のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態5.nが、2である、実施形態1~3のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態6.Aが、C
2-C
8アルキル、C
2-C
6アルキル、及びC
2-C
4アルキルから選択される、実施形態1~5のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態7.Aが、C
2アルキルである、実施形態1~6のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態8.ポリマー骨格が、ポリ(エチレングリコール)又はその官能化誘導体を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態9.ポリマー骨格が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-アクリレート(PEG-DA)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-アクリレート(PEG-Ac)、ポリ(エチレングリコール)-ジチオール(PEG-diSH)、ポリ(エチレングリコール)ジビニルスルホン(PEG-diVS)、マルチアームポリ(エチレングリコール)ビニルスルホン(PEG-VS)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-メタクリレート(PEG-DMA)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-メタクリレート(PEG-Mac)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-アリルエーテル(PEG-diAE)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-アリルエーテル(PE-AD)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-ビニルエーテル(PEG-diVE)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-ビニルエーテル(PEG-VE)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-マレイミド(PEG-diMI)、マルチアームポリ(エチレングリコール)-マレイミド(PEG-MI)、ポリ(エチレングリコール)-ジ-ノルボレン、マルチアームポリ(エチレングリコール)ノルボレン、ポリ(エチレングリコール-ビニルカルボネート、マルチアームポリ(エチレングリコール)-ビニルカルボネート、及びポリエチレングリコールオリゴフマレート、又はそれらの組み合わせから選択されるポリマーを含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態10.ポリマー骨格が、マルチアームポリ(エチレングリコール)-マレイミドを含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態11.第1の架橋剤が、ポリマー骨格と反応することが可能なm+n個の部分を含み、m及びnが、実施形態1で定義される通りである、実施形態1~10のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態12.第1の架橋剤が、式IIの化合物を含み、
【化9】
式中、
X
1及びX
2が、独立して各出現時に、ポリマー骨格と反応することが可能な部分から選択され、
L
1及びL
2が、独立して各出現時に、連結部分から選択され、
m、n、及びAが、実施形態1のように定義される、実施形態1~11のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態13.X
1及びX
2が、各々-SHである、実施形態12に記載のヒドロゲル。
実施形態14.L
1及びL
2が、独立して各出現時に、C
1-C
10アルキルから選択される、実施形態12又は13に記載のヒドロゲル。
実施形態15.第1の架橋剤が、エチレングリコールビス(メルカプト酢酸塩)を含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態16.第1の架橋剤が、加水分解可能である、実施形態1~15のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態17.ポリマー骨格が、第2の架橋剤で更に架橋される、実施形態1~16のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態18.第2の架橋剤が、加水分解的に安定である、実施形態17に記載のヒドロゲル。
実施形態19.第2の架橋剤が、ジチオトレイトール(DTT)を含む、実施形態17又は18に記載のヒドロゲル。
実施形態20.ヒドロゲルの分解が、第1の架橋剤と第2の架橋剤とのモル比を変化させることによって調整可能である、実施形態17~19のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態21.ヒドロゲルが、注入可能及び/又は移植可能である、実施形態1~20のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態22.ヒドロゲルが、膜、スポンジ、ゲル、固体足場、紡績繊維、織布若しくは不織布メッシュ、ナノ粒子、又はマイクロ粒子の形態である、実施形態1~21のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態23.少なくとも1つの細胞を更に含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載のヒドロゲル。
実施形態24.ポリマーを、式Iの少なくとも1つの部分を含む第1の架橋剤と反応させることを含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載のヒドロゲルを合成するためのプロセスであって、
【化10】
式中、全ての変数が、実施形態1で定義される通りである、プロセス。
実施形態25.第1の架橋剤が、式IIの化合物を含み、
【化11】
式中、
X
1及びX
2が、独立して各出現時に、ポリマー骨格と反応することが可能な部分から選択され、
L
1及びL
2が、独立して各出現時に、連結部分から選択され、
m、n、及びAが、実施形態1のように定義される、実施形態24に記載のプロセス。
実施形態26.第1の架橋剤が、エチレングリコールビス(メルカプト酢酸塩)を含む、実施形態24又は25に記載のプロセス。
実施形態27.ヒドロゲルを第2の架橋剤と反応させることを更に含み、第2の架橋剤が、加水分解的に安定である、実施形態24~26のいずれか1つに記載のプロセス。
実施形態28.第2の架橋剤が、ジチオトレイトール(DTT)を含む、実施形態27に記載のプロセス。
実施形態29.実施形態1~23のいずれか1つに記載のヒドロゲルと、1つ以上の治療剤と、を含む、治療的送達組成物。
実施形態30.1つ以上の治療剤が、細胞、タンパク質、抗体、核酸、成長因子、又は薬物から選択され得る、実施形態29に記載の治療的送達組成物。
実施形態31.実施形態1~23のいずれか1つに記載のヒドロゲルを含む、細胞培養培地。
実施形態32.実施形態1~23のいずれか1つに記載のヒドロゲルを含む、組織足場。
実施形態33.実施形態1~23のいずれか1つに記載のヒドロゲルを含む、バイオリアクタ。
実施形態34.実施形態1~23のいずれか1つに記載のヒドロゲルを含む、創傷包帯。
実施形態35.組織成長を促進することを必要とする対象においてそれを行う方法であって、
標的部位を識別することと、
標的部位に、治療有効量の実施形態1~23のいずれか1つに記載のヒドロゲルを投与することと、を含む、方法。
実施形態36.標的部位は、新しい組織の促進が所望される組織欠損を含む、実施形態35に記載の方法。
実施形態37.標的部位が、画像モダリティを使用して識別される、実施形態35又は36に記載の方法。
実施形態38.画像モダリティが、CT、MRI、又はX線から選択される、実施形態37に記載の方法。
実施形態39.ヒドロゲルが、標的部位内に注入又は移植される、実施形態35~38のいずれか1つに記載の方法。
実施形態40.対象における標的部位に治療剤を送達する方法であって、この方法が、治療有効量の実施形態29又は30に記載の治療的送達組成物を標的部位に投与することを含む、方法。
実施形態41.標的部位が、病状又は状態と関連付けられている、実施形態40に記載の方法。
実施形態42.標的部位が、腫瘍である、実施形態40又は41に記載の方法。
実施形態43.標的部位が、画像モダリティを使用して識別される、実施形態40~42のいずれか1つに記載の方法。
実施形態44.画像モダリティが、CT、MRI、又はX線から選択される、実施形態43に記載の方法。
実施形態45.ヒドロゲルが、標的部位内に注入又は移植される、実施形態40~44のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
本開示のいくつかの実施形態を記載してきた。それにもかかわらず、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われ得ることを理解されたい。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【0093】
非限定的な例解として、本開示のある特定の実施形態の例を以下に示す。
【実施例】
【0094】
以下の実施例は、本明細書に特許請求される組成物、物品、及び/又は方法がどのように作製及び評価されるかの完全な開示及び説明を当業者に提供するために提示され、純粋に本発明の例示であることを意図しており、発明者らが自分たちの発明とみなすものの範囲を限定することを意図していない。数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を保証するように努力がなされてはいるが、いくらかの誤差及び偏差が考慮されるべきである。特に指定しない限り、部(parts)は重量部であり、温度は摂氏であるか又は周囲温度であり、圧力は、大気圧又はその付近である。
【0095】
実施例1.調整可能な機械的特性を有する加水分解性マイクロゲルは、宿主の免疫応答を調節する
エステル含有リンカーの適用は、エステル結合の加水分解切断に基づく分解機構を提供する。分解は、ポリマー含有量、マクロマー分子量、架橋密度、及びエステル不安定リンカーの疎水性によって制御することができる(Jo,Y.S.;Gantz,J.;Hubbell,J.A.;Lutolf,M.P.Tailoring Hydrogel Degradation and Drug Release via Neighboring Amino Acid Controlled Ester Hydrolysis.Soft Matter 2009,5(2),440-446、及び Zustiak,S.P.;Leach,J.B.Hydrolytically Degradable Poly(Ethylene Glycol)Hydrogel Scaffolds with Tunable Degradation and Mechanical Properties.Biomacromolecules 2010,11(5),1348-1357)。酵素分解を伴うヒドロゲルとは対照的に、このアプローチを介して開発されたヒドロゲルは、加水分解を介して分解可能であり、ヒドロゲルの調整可能な物理的、機械的、及び化学的特性にのみ依存する一貫した分解プロファイルを可能にする(Jo,Y.S.;Gantz,J.;Hubbell,J.A.;Lutolf,M.P.Tailoring Hydrogel Degradation and Drug Release via Neighboring Amino Acid Controlled Ester Hydrolysis.Soft Matter2009,5(2),440-446)。バルクゲルは、以前に加水分解性架橋剤で操作されている(Jo,Y.S.;Gantz,J.;Hubbell,J.A.;Lutolf,M.P.Tailoring Hydrogel Degradation and Drug Release via Neighboring Amino Acid Controlled Ester Hydrolysis.Soft Matter 2009,5(2),440-446、及びHunckler,M.D.;Medina,J.D.;Coronel,M.M.;Weaver,J.D.;Stabler,C.L.;Garcia,A.J.Linkage Groups within Thiol-Ene Photoclickable PEG Hydrogels Control In Vivo Stability.Advanced Healthcare Materials 2019,8(14),1900371)が、このモダリティは、マイクロ流体ベースの重合を介して製造されたマイクロゲルにまだ翻訳されていない。
【0096】
ヒドロゲルネットワークに分解性を組み込む能力は、材料の持続性及び機械的特性がインプラントに対する組織応答を調節するため、再生医療及び免疫工学の用途にとって大きい利点を構成する。生体材料に対する免疫応答は、移植された材料が局所組織に組み入れられているか、又は異物応答(FBR)によって隔離されているかにかかわらず、移植された材料の運命を最終的に判定する。最初に、生体材料の移植後、炎症誘発性メディエーターIFNγ及びTNFαによって駆動される炎症性1型傷害応答が、材料の近くで生じる。次いで、再生促進性生体材料が、IL-4シグナル伝達を介したM2(CD206+)マクロファージ分極及びTヘルパー2細胞浸潤を促進する、2型免疫応答への移行を駆動する(再生促進性生体材料足場微小環境を開発するには、Tヘルパー2細胞を必要とするhttps://www.science.org/doi/10.1126/science.aad9272(accessed 2022-02-11))。一方、合成インプラントに対する宿主応答は、典型的には、主に単核食細胞(Sussman,E.M.;Halpin,M.C.;Muster,J.;Moon,R.T.;Ratner,B.D.Porous Implants Modulate Healing and Induce Shifts in Local Macrophage Polarization in the Foreign Body Reaction.Ann Biomed Eng 2014,42(7),1508-1516、及びMikos,A.G.,et al.Host response to tissue engineered devices Adv Drug Deliv Rev 1998,33(1-2):111-139)及び3型免疫応答の実行に関与する他の細胞(Chung,L.;Maestas,D.R.;Lebid,A.;Mageau,A.;Rosson,G.D.;Wu,X.;Wolf,M.T.;Tam,A.J.;Vanderzee,I.;Wang,X.;Andorko,J.I.;Zhang,H.;Narain,R.;Sadtler,K.;Fan,H.;Cihakova,D.;Le Saux,C.J.;Housseau,F.;Pardoll,D.M.;Elisseeff,J.H.Interleukin 17 and Senescent Cells Regulate the Foreign Body Response to Synthetic Material Implants in Mice and Humans.Sci Transl Med 2020,12(539),eaax3799)を活性化する異物応答によって特徴付けられる。活性化マクロファージ及びTh17細胞は、TGFβ及び他の因子を分泌し、それらは、線維芽細胞を動員し、筋線維芽細胞へのそれらの分化を促進し、インプラント表面で線維化を駆動する。最近、様々な表現型の異なる免疫集団の間のより複雑な相互作用が、生体材料に応答して関与している(Doloff,J.C.;Veiseh,O.;de Mezerville,R.;Sforza,M.;Perry,T.A.;Haupt,J.;Jamiel,M.;Chambers,C.;Nash,A.;Aghlara-Fotovat,S.;Stelzel,J.L.;Bauer,S.J.;Neshat,S.Y.;Hancock,J.;Romero,N.A.;Hidalgo,Y.E.;Leiva,I.M.;Munhoz,A.M.;Bayat,A.;Kinney,B.M.;Hodges,H.C.;Miranda,R.N.;Clemens,M.W.;Langer,R.The Surface Topography of Silicone Breast Implants Mediates the Foreign Body Response in Mice,Rabbits and Humans.Nat Biomed Eng 2021,5(10),1115-1130、及びWitherel,C.E.;Sao,K.;Brisson,B.K.;Han,B.;Volk,S.W.;Petrie,R.J.;Han,L.;Spiller,K.L.Regulation of Extracellular Matrix Assembly and Structure by Hybrid M1/M2 Macrophages.Biomaterials 2021,269,120667)。しかしながら、この特徴付けは、ほとんど、マイクロゲルの移植及び局所組織応答に対する分解の影響に関する研究が比較的少ないバルクヒドロゲルインプラントに関するものである。
【0097】
本明細書では、不安定なエチレンリンカー、エチレングリコールビス(メルカプト酢酸塩)(EGBMA)の導入に応じて、モジュラー機械的プロファイル及び分解プロファイルを有する単分散加水分解性マイクロゲルを生成する、フローフォーカシング液滴生成に基づく製造アプローチが提示される。制御されたヒドロゲル分解プロファイルは、連続流相中の非分解性リンカーに様々なモル濃度のEGBMAを添加することを介してヒドロゲル微粒子内のエステル濃度を調整することによって達成することができることが実証されている。EGBMAの添加は、インビトロではマクロファージ分極に影響を及ぼさなかったが、インビボで分解を促進した。加えて、組織応答に対する分解性の影響は、マイクロゲル懸濁液インプラントに特徴付けられる。マイクロゲル懸濁液の分解プロファイルを制御することで、インプラントに対する1型免疫応答を調節することができることが実証されている。
【0098】
エステル含有ジチオール分子の添加は、加水分解性マイクロゲルを生成する
加水分解性マイクロ粒子(すなわち、マイクロゲル)は、以前に報告されているように、フローフォーカシングマイクロ流体デバイスを使用して液滴セグメンテーションによって製造した(Headen,D.M.;Aubry,G.;Lu,H.;Garcia,A.J.Microfluidic-Based Generation of Size-Controlled,Biofunctionalized Synthetic Polymer Microgels for Cell Encapsulation.Advanced Materials 2014,26(19),3003-3008)。PEG-4MALマクロマーを、マイクロ流体デバイス内でセグメンテーションする前に、粒子追跡のためのマイケル型添加を介して線形PEG-FITCで官能化した。水相(官能化マクロマーを含有する)をマイクロ流体デバイスによって生成された液滴にポンピングし、これは、その後、ジチオトレイトール(DTT)及びエチレングリコールビス(メルカプト酢酸塩)(EGBMA)という小さいジチオール分子を含有する油の連続相と共有架橋した。EGBMAの添加は、加水分解的に不安定なエステルリンカー(
図1A及び表1)の組み込みを可能にした。EGBMAの濃度は、連続架橋相で0.25、0.5~1.0mMまで変化させ、DTTの濃度を15mMで一定に保った。マイクロゲルの
1H分子拡散核磁気共鳴(NMR)は、架橋されたPEG-4MALマクロマー内のマレイミド基の不在を明らかにし、マイクロゲル液滴内のマレイミド基が、オンチップ架橋後に効率的に反応することを示した(
図8)。
【表1】
【0099】
200μmノズルを有するデバイスに対する全ての条件について流量を一定に維持することは、架橋相でDTTのみを実施する場合に、直径が平均208μm(CV8%)の単分散マイクロゲル粒子をもたらした(
図1B)。架橋溶液へのEGBMAの添加は、単分散マイクロゲル集団を生成し(
図1C~1E、全ての群についてCV<10%)、マイクロゲルは直径219~270μmの範囲であった。EGBMA架橋マイクロゲルは、DTTのみのマイクロゲルと比較して、製造後4時間で直径が4、10、及び33%大きく、DTT対照と比較して、最高濃度のEGBMA群で著しい膨潤があった(
図1F及び1G、p<0.0001 DTT対1.0mM EGBMA)。PEG-FITCによるマクロマー官能化は、製造後のマイクロゲルの平均蛍光強度測定によって見られるように、群にわたって等価であり(
図1B~1E)、膨潤の差は、架橋のためのマレイミド基の利用可能性ではなく、EGBMAリンカーの存在に起因し得ることを示している。30日目までに、DTT架橋マイクロゲルは、初期のマイクロゲルサイズよりも6%高い平衡サイズに達していたが、不安定な架橋剤の中濃度及び最高濃度を有するEGBMA/DTTマイクロゲルは、それぞれ、それらの初期サイズよりも26%及び46%大きく膨潤していた(
図1G、p=0.01 DTT対0.5mMのEGBMA、p<0.001 DTT対1.0mMのEGBMA)。マイクロゲル分解はまた、PEG-FITCがPEG-4MALマクロマーに共有結合し、EGBMAの加水分解によってのみヒドロゲルネットワークから放出することができるため、溶液中に放出されるPEG-FITCの量を追跡することによって評価した。PEG-FITC放出結果は、膨潤実験と一致し、それによって、1.0mMのEGBMA架橋マイクロゲルは、より低いEGBMA濃度よりも速い速度でPEG-FITCを放出するが、完全に分解不可能な対照は、トラップされたPEG FITCの少量放出に続き、予想されるように溶液中に存在するPEG-FITCの不在が後続する。
【0100】
最後に、得られたマイクロゲルの機械的特性に対するEGBMAの影響は、テーパーマイクロキャピラリーを介した圧力誘発変形によって判定した(Wyss,H.M.;Franke,T.;Mele,E.;Weitz,D.A.Capillary Micromechanics:Measuring the Elasticity of Microscopic Soft Objects.Soft Matter 2010,6(18),4550-4555)(
図9A~9C)。マイクロゲルは、マイクロ毛細血管の端部に位置するマイクロゲルにわたる圧力差によって変形される。圧力差が増加するにつれて、マイクロゲルは、半径方向の圧縮ひずみ及び軸方向の伸びを受ける(
図1I)。剪断応力及びひずみは、マイクロゲルが平衡状態にあるときのテーパー角度、エッジ接触長、及び平均直径を使用して判定することができる(
図1J)。この平衡状態での剪断弾性率Gの計算では、製造後4時間後のマイクロゲルの弾性に差はないことが実証され、試験した全ての群の値は、20~22kPaの範囲であった。溶液中で72時間後、剪断弾性率は、マイクロゲル中のEGBMA濃度の増加に伴って減少し、最も分解性の高いリンカー群(
図1K、p<0.0001対DTT)では、弾性率が20kPa~14kPa(28%低減)に低減した。7日目までに、最も分解性の高いリンカー群では、弾性率が61%(8kPa)減少しており、この挙動は、エステルリンカーの加水分解による架橋密度の低減によって説明される。総合すれば、これらのデータは、製造直後の有効な架橋密度の差を実証していないが、マイクロゲルの弾性特性は、EGBMA加水分解及びネットワーク架橋の喪失に基づく時間依存性の減少を呈する。更に、結果は、物理的及び機械的に均質なマイクロゲルを製造する際のフローフォーカシングマイクロ流体プラットフォームの一貫性の証拠を提供する。
【0101】
マイクロゲル分解及び副産物は、インビトロで単球活性化を誘導しない
EGBMA/DTT架橋ヒドロゲルの加水分解生成物が細胞生存率及び活性化に及ぼす影響を評価するために、RAW264.7マウスマクロファージ細胞株を、異なるマイクロゲル配合物の存在下で7日間にわたって成長させた。マイクロゲルの存在、及び製造副産物(例えば、任意のカプセル化されたDTT、又は加水分解の副産物)は、この細胞株に対して毒性ではなかった(
図10)。これらの結果は、カプセル化された細胞、又は完全に架橋されたマイクロゲルで共培養された細胞のDTT架橋に関連する毒性がないことを実証する以前の研究と一致する(Headen,D.M.;Aubry,G.;Lu,H.;Garcia,A.J.Microfluidic-Based Generation of Size-Controlled,Biofunctionalized Synthetic Polymer Microgels for Cell Encapsulation.Advanced Materials 2014,26(19),3003-3008、Coronel,M.M.;Martin,K.E.;Hunckler,M.D.;Barber,G.;O’Neill,E.B.;Medina,J.D.;Opri,E.;McClain,C.A.;Batra,L.;Weaver,J.D.;Lim,H.S.;Qiu,P.;Botchwey,E.A.;Yolcu,E.S.;Shirwan,H.;Garcia,A.J.Immunotherapy via PD-L1-Presenting Biomaterials Leads to Long-Term Islet Graft Survival.Science Advances 2020、及びHeaden,D.M.;Woodward,K.B.;Coronel,M.M.;Shrestha,P.;Weaver,J.D.;Zhao,H.;Tan,M.;Hunckler,M.D.;Bowen,W.S.;Johnson,C.T.;Shea,L.;Yolcu,E.S.;Garcia,A.J.;Shirwan,H.Local Immunomodulation with Fas Ligand-Engineered Biomaterials Achieves Allogeneic Islet Graft Acceptance.Nature Materials 2018,17(8),732-739)。
【0102】
インビトロで免疫細胞分極に対するマイクロゲルの効果を評価するために、架橋マイクロゲルの異なる配合物を有するC57BL/6Jマウスの骨髄に由来する初代単球を含む共培養システムを設定した。細胞活性化を誘導しないことが示されているため、1つのウェル当たり同様のサイズ(200μm)及び同じ濃度のポリスチレンビーズ(PS)を陰性対照として含めた(Moore,M.W.;Cruz,A.R.;LaVake,C.J.;Marzo,A.L.;Eggers,C.H.;Salazar,J.C.;Radolf,J.D.Phagocytosis of Borrelia Burgdorferi and Treponema Pallidum Potentiates Innate Immune Activation and Induces Gamma Interferon Production.Infection and Immunity 2007,75(4),2046-2062)。更に、マクロファージのバルクPEGヒドロゲルへの曝露が、接着合図及び炎症性シグナルの不在下で、細胞の分極を調節表現型にシフトさせることが示されているため、IL-4分極型M2調節表現型を陽性対照として含めた(Lynn,A.D.;Bryant,S.J.Phenotypic Changes in Bone Marrow Derived Murine Macrophages Cultured on PEG-Based Hydrogels and Activated by Lipopolysaccharide.Acta Biomater 2011,7(1),123-132)。微粒子含有基は、全てのマイクロゲル配合物又はPSとの48時間の共培養後に同様の細胞生存率を呈したが(
図2A)、IL-4の添加は、共培養における細胞数の増加をもたらした。2日間の共培養後、PS又はPEGベースのマイクロゲルの存在下では、CD45、F4/80、及び調節マーカーCD206の発現の変化は観察されなかった(
図2B~2D)。加えて、これらのマーカーの全体的な発現は、4日間の共培養後に同等であった(
図11A~D)。これらの知見は、マイクロゲルの弾性特性及びサイズの変化又は分解生成物が、インビトロでの非炎症状態の下でマクロファージマーカー発現のいかなる表現型変化も誘導しないことを実証する。
【0103】
皮下マイクロゲル移植は、インビボで、制御された分解をもたらす
EGBMA/DTT架橋ヒドロゲルがインビボで分解される能力を試験するために、マイクロゲルを上記のように製造したが、PEG-FITCトラッカーを、インビボでの追跡のための近赤外線染料を含有する、同じ分子量の線形PEGによって置き換えた。マイクロゲルを、アルビノマウスの背中の皮下ポケットに注入した(メラニン色素沈着によるシグナル検出の減衰を回避するため(Curtis,A.;Calabro,K.;Galarneau,J.-R.;Bigio,I.J.;Krucker,T.Temporal Variations of Skin Pigmentation in C57Bl/6 Mice Affect Optical Bioluminescence Quantitation.Mol Imaging Biol 2011,13(6),1114-1123))。マイクロゲルの分解を、インビボ蛍光撮像(IVIS)を介して追跡した(
図3A)。経時的な正規化放射効率追跡は、EGBMA濃度に依存する蛍光シグナルの減少を実証する(
図3B)。特に、DTT架橋群ではシグナル強度の減少が見られたが、強度値は、外植後1日目の値と同等であり、この群では予想されるように分解は見られなかった(
図3B、破線後の外植後の値、p=0.44)。マイクロゲル配合物間の蛍光シグナルの差は、注射後1日目には観察されなかった(
図3C)が、9日目までに、EGBMA架橋剤の中濃度及び最高濃度を含有するマイクロゲル配合物において蛍光シグナルは著しく低かった(
図3D、それぞれ、p=0.008、p=0.0001対DTT)。25日目に、シグナル強度は、元のシグナルの26%、17%、及び12%であり、EGBMAリンカー濃度に直接比例した減少であった(
図3E、p=0.0004、p<0.0001、p<0.0001対DTT)。したがって、IVIS撮像は、EGBMAで架橋されたマイクロゲルがインビボで分解することを確認し、この分解は数週間にわたって生じる。
【0104】
分解特性は、インビボでのマイクロゲルに対する免疫応答を調節する
エステル含有リンカーの膨潤及び加水分解に起因するマイクロゲルの分解及び機械的特性の変化が、インプラントに対する免疫応答に影響を与えると仮定された。4つの異なるマイクロゲル配合物を全て、BALB/cJマウスの皮下背側ポケット内に注入し、マルチパラメトリックフロー分析のために7日目に組織を回収した。この時点は、試験されている材料間の機械的特性及び分解プロファイルの差を実証したために選択された。更に、分解性及び機械的特性の動的変化が細胞環境にどのように影響するかを評価するために、分析は、非分解性(DTT)と3つの異なる分解性配合物との間の比較に焦点を当てた。1.0mMのEGBMAを含有する分解性マイクロゲルと比較して、DTTで架橋されたマイクロゲルでは、骨髄細胞集団(CD45+CD11b+)が注射部位で優勢であった(
図4A~4B、p=0.018)。骨髄区画内の亜集団の表現型決定は、マイクロゲル架橋剤配合物の関数としてF4/80+マクロファージの存在の差を明らかにした(
図4C~4D、p=0.008)。主要組織適合性複合体クラスII(MHCII)の細胞発現に基づいてこの細胞集団の活性化を測定によっては、マイクロゲル配合物間の差は示されなかった(
図4E~4F)が、このマーカーの強度発現は、最高分解性マイクロゲル配合物と比較した場合、DTT架橋群で最大であった(
図4F、p=0.03 DTT対1.0mMのEGBMA)。M1及びM2関連マーカー、CD86及びCD206を使用したマクロファージ分極の更なる分析は、他の全ての分解性配合物と比較して、非分解性DTT群におけるM2分極F4/80発現マクロファージの存在の増加を示し(
図4G)、非分解性非貪食性マイクロゲルに対する組織応答が、この時点でM2様表現型によって支配され、この分極は、材料分解プロファイルによって調節され得ることを示した。マイクロゲル配合物の効果を、次に、注射部位へのT細胞の動員について調べた。DTT架橋マイクロゲルは、分解性マイクロゲルと比較して、より多くの数のCD3+細胞をインプラントポケットに動員した(
図5A~5B)。このリンパ球応答は、非分解性マイクロゲルの存在下で上昇したCD4ヘルパー細胞によって支配された(
図5C~5D)。活性化マーカーCD25及びPD-1(
図5E~5H)の発現は、マイクロゲル配合物によっても影響を受け、これらのマーカーの表面発現の上方調節の増加が、分解性マイクロゲルと比較して、非分解性群で観察された。全体として、DTT群における増加したM2様細胞表現型と組み合わせたCD4細胞の存在の増強は、非分解性PEGベースのマイクロゲルに対する組織応答におけるこれら2つの細胞集団間の相互作用を実証する。更に、機械的特性の変化を含むマイクロゲル分解プロファイルは、生体材料インプラントに対する宿主組織応答を変化させる特殊化された細胞亜集団の動員及び表現型を調節することができる。
【0105】
マイクロゲル誘導性サイトカイン環境は、動的であり、IFN-γ発現によって支配される。
マイクロゲル分解プロファイルとの免疫環境の相互作用をより良く理解するために、多重化技術を実施して、マイクロゲル注射後のT細胞の動員及びマクロファージ分極を調節するサイトカイン及びケモカイン(以下、サイトカインと称する)環境を調べた。加えて、サイトカインと、サイトカイン放出に関するマウス年齢の潜在的な交絡因子との間の高レベルの相関性(分析された最初の時点と最後の時点との間の4週間の差)を考慮して、モジュール式サイトカイン解析方法であるCytoModを実施して、異なる時点で個々のサイトカインを評価することとは対照的に、サイトカインクラスタリングと観察された細胞表現型との間のいくつかの状況を提供した(Cohen,L.;Fiore-Gartland,A.;Randolph,A.G.;Panoskaltsis-Mortari,A.;Wong,S.-S.;Ralston,J.;Wood,T.;Seeds,R.;Huang,Q.S.;Webby,R.J.;Thomas,P.G.;Hertz,T.A Modular Cytokine Analysis Method Reveals Novel Associations With Clinical Phenotypes and Identifies Sets of Co-Signaling Cytokines Across Influenza Natural Infection Cohorts and Healthy Controls.Frontiers in Immunology 2019,10,1338、及びDistinct inflammatory profiles distinguish COVID-19 from influenza with limited contributions from cytokine storm https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abe3024(accessed 2021-10-25))。グループ化サイトカインの主成分分析(PCA)は、サイトカインプロファイルにおいて2つの方向を識別し、サイトカインレベルの変動の大部分が、サイトカインIFN-γ及びIL-2によって一方向に、G-CSFによって直交方向に決定された(
図6A、ベクター方向及び色は、PCAへの寄与を表す)。全ての対象にわたるサイトカイン類似性は、それらのピアソン相関係数(
図6B)によって定義され、それによって、教師なし階層クラスタリングを使用して、5つのサイトカインモジュールを識別した(
図6C)。炎症及びTh分極応答(IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-17、IL-10、IL-6、MIG、RANTES、M-CSF、LIX)に関与するサイトカイン及びケモカインで構成されるモジュール1において、統計的に有意な相関が見られた。サイトカイン特異的スコアを、全ての対象のサイトカインレベルと平均サイトカインマトリックスとの間で計算し、これにより、IFN-γが、以前のPCA分析と一致する駆動サイトカインとして判定された。このモジュール内の相関プロットは、ほとんどのサイトカイン(IL-2、IL-10、IL-6、LIX、M-CSF)とIFN-γとの間の統計的に有意な正の相関を示す。したがって、IFN-γの高発現を有する状態は、高濃度のこれらの他のサイトカインを示す可能性が比較的高かった(
図6D)。
【0106】
評価された全ての時点での全ての状態についての生のサイトカイン値の直接比較は、動的プロファイルを示し、EGBMA含有配合物は、評価されたほとんどのサイトカインについてより低い平均サイトカインレベルを呈した(
図6E~6F、
図12A~12F、
図13A~13D)。非分解性マイクロゲルは、注射後早期にGM-CSF及びG-CSFの発現の増加をもたらした(
図6E、
図12A~12F)。7日目までに、IFN-γ(MIG)によって誘導されるM-CSF及びモノカインなどの免疫細胞動員に関与する他のケモカインの発現は、非分解性対照と比較して、EGBMA分解性リンカーが最も高い群で低減した(
図12A~12F及び13A~13D)。1型関連サイトカインTNF-α及びIFN-γドライバーIL-2の発現も分解性マイクロゲルに曝露した組織において低減した(
図12A~12F及び13A~13D)。注目すべきことに、重要な2型サイトカインIL-4の発現は、マイクロゲル配合物に依存しており、全ての分解性配合物と比較して、非分解性マイクロゲルの全ての時点でより高いレベルのIL-4が観察された(
図6F)。加えて、血管新生因子VEGFの発現の差は、調査した時点では配合物間で観察されなかった(
図12A~12F)。これらの結果は、注射部位における細胞表現型のマルチパラメトリックフロー解析と組み合わせて、PEGベースの非分解性マイクロゲルに対する応答が、2型駆動サイトカインIL-4によるある程度の交差調節を伴い1型免疫によって駆動されることを示す。重要なことに、この応答は、インビボで加水分解する不安定なエステル基の導入によって調節することができる。アルビノマウスの背部におけるマイクロゲル注射に対する組織応答は、概して軽度であり、インプラント周辺を囲む細胞浸潤があった(
図14)。注目すべきことに、インプラントのいずれも、カプセル化又は嚢胞形成の兆候を示さなかった。周囲のマイクロゲルインプラントの周りの細胞堆積は、移植後4週間で、宿主インプラント境界で明らかであった(
図15)。画像の定性的評価は、分解性マイクロゲルの全ての配合物と比較して、非分解性マイクロゲル(DTT)を含有するインプラントのインプラント周辺のより高い細胞密度を明らかにした。panマクロファージマーカーCD68に対する免疫組織化学は、最高濃度のEGBMA(1.0mMのEGBMA)を含有する状態と比較して、DTT並びに0.25mM及び0.5mMのEGBMA条件におけるCD68発現の存在の増加を実証した。これらの結果は、骨髄集団のフローサイトメトリー評価と一致する(
図4A~4G)。
【0107】
考察及び結論
マイクロゲルに分解性を付与する戦略は、ポリマー骨格又は不安定な架橋剤単位中の分解性鎖を利用して、加水分解、酵素反応、又は溶解のいずれかによる切断を可能にしている。これまでに、プロテアーゼ分解性マイクロゲルが、血管新生因子の送達のために生成された(Foster,G.A.;Headen,D.M.;Gonzalez-Garcia,C.;Salmeron-Sanchez,M.;Shirwan,H.;Garcia,A.J.Protease-Degradable Microgels for Protein Delivery for Vascularization.Biomaterials 2017,113,170-175)。これらのマイクロゲルは、液滴マイクロ流体を実施して形成されたが、連続相における架橋ペプチドの限られた溶解性を考慮して、カスタムのマイクロ流体デバイスの設計が必要であった。ここでは、エステル加水分解を利用して、架橋されたPEG-4MALマイクロゲルの分解を調節する製造戦略が提示される。以前のアプローチとは対照的に、この戦略は、不安定な架橋剤ユニットを油架橋相に添加することができるため、非分解性マイクロゲルの製造のために以前に設計された同じマイクロ流体デバイスで実施することができる。したがって、この戦略は、単に架橋供給を調整することによって、マイクロゲル生成物の分解特性の調整を可能にする。
【0108】
ヒドロゲル分解は、膨潤、PEG-FITCタグの放出、及び弾性率を含む物理的及び機械的特性の変化を評価することによってモニタリングした。これらのパラメータの変化は、EGBMA架橋剤含有量、したがって加水分解性基の数に直接関連していた。製造直後、不安定なエステル接合部の最高濃度で合成されたマイクロゲルは、非分解性マイクロゲル対照のサイズの約140%まで膨張したが、この時点で弾性係数の顕著な差は観察されなかった。これは、PEG-4MALマクロマーを完全に放出するためには、複数のエステル結合を切断しなければならないという事実によって説明される。実際、十分な架橋が切断され、PEG-4MALマクロマーが水性媒体に溶解したときに、弾性係数の測定可能な変化が、水性緩衝液中で72時間後に最初に観察された。相違は、時間とともにより顕著であり、EGBMA含有量に直接比例し、このアプローチの調整性を実証した。この実施例では試験されていないが、エステルとチオールとの間の疎水性及び炭素単位の存在が、エステル加水分解の速度に影響を与える可能性があることが知られている(Zustiak,S.P.;Leach,J.B.Hydrolytically Degradable Poly(Ethylene Glycol)Hydrogel Scaffolds with Tunable Degradation and Mechanical Properties.Biomacromolecules 2010,11(5),1348-1357、Jo,Y.S.;Gantz,J.;Hubbell,J.A.;Lutolf,M.P.Tailoring Hydrogel Degradation and Drug Release via Neighboring Amino Acid Controlled Ester Hydrolysis.Soft Matter 2009,5(2),440-446、及びSchoenmakers,R.G.;van de Wetering,P.;Elbert,D.L.;Hubbell,J.A.The Effect of the Linker on the Hydrolysis Rate of Drug-Linked Ester Bonds.Journal of Controlled Release 2004,95(2),291-300)。したがって、エステルとチオール基との間に疎水性分子単位を有するリンカーの実施、又はポリマー密度の変更は、製造技術に明らかな影響を与えることなく、このアプローチによって合成されたヒドロゲルの分解に対する更なる制御を提供し得る。
【0109】
材料分解性は、生体材料プラットフォームに非常に望ましいが、臨床でのそれらの適用性を妨げる、望ましくない毒性及び免疫活性化応答をもたらし得る。この実施例では、試験したマイクロゲル配合物のいずれにおいても細胞生存率に対する顕著な効果は観察されず、マイクロゲル又はそれらの分解副産物の存在が、最大約3つのマイクロゲル/μLの投与量で毒性誘発性細胞死をもたらさないことを実証した。加えて、この実施例で実施されるマイクロゲルのサイズ(>200μm)は、それらがマクロファージによって貪食されるのを防ぐべきであるが(Champion,J.A.;Mitragotri,S.Role of Target Geometry in Phagocytosis.PNAS 2006,103(13),4930-4934)、しかしながら、分解副生成物及び部分的内在化は、マクロファージ分極をもたらす。機械的合図の変化は、M1様マクロファージ活性化に対する効果を実証しているが(Patel,N.R.;Bole,M.;Chen,C.;Hardin,C.C.;Kho,A.T.;Mih,J.;Deng,L.;Butler,J.;Tschumperlin,D.;Fredberg,J.J.;Krishnan,R.;Koziel,H.Cell Elasticity Determines Macrophage Function.PLOS ONE 2012,7(9),e41024、及びFereol,S.;Fodil,R.;Labat,B.;Galiacy,S.;Laurent,V.M.;Louis,B.;Isabey,D.;Planus,E.Sensitivity of Alveolar Macrophages to Substrate Mechanical and Adhesive Properties.Cell Motility 2006,63(6),321-340)、表面化学の変化は、M2様分極に対するより高い影響を有することが示されている(Thiols Decrease Human Interleukin(IL)4 Production and IL-4-Induced Immunoglobulin Synthesis.J Exp Med 1995,182(6),1785-1792、及びLi,Z.;Bratlie,K.M.How Cross-Linking Mechanisms of Methacrylated Gellan Gum Hydrogels Alter Macrophage Phenotype.ACS Appl.Bio Mater.2019,2(1),217-225)。この例では、EGBMA架橋ユニットの存在も、機械的特性の変化も、インビトロでのM2関連CD206マーカー発現に影響を与えなかった。未反応の架橋分子の大部分は、遠心分離/洗浄ステップによってマイクロゲル懸濁液から除去された。更に、実施されたマイクロゲル対細胞比では、溶液中のリンカー分子の濃度は、加水分解により、このマーカー発現に影響を与えなかった。
【0110】
分解性PEGベースのヒドロゲルについて報告されているいくつかの戦略にもかかわらず、インビボでの分解速度が、インビトロでの分解速度と異なる数桁であり得るという報告はほとんどない(Hunckler,M.D.;Medina,J.D.;Coronel,M.M.;Weaver,J.D.;Stabler,C.L.;Garcia,A.J.Linkage Groups within Thiol-Ene Photoclickable PEG Hydrogels Control In Vivo Stability.Advanced Healthcare Materials 2019,8(14),1900371、Amer,L.D.;Bryant,S.J.The in Vitro and in Vivo Response to MMP-Sensitive Poly(Ethylene Glycol)Hydrogels.Ann Biomed Eng 2016,44(6),1959-1969、及びBrowning,M.B.;Cereceres,S.N.;Luong,P.T.;Cosgriff-Hernandez,E.M.Determination of the in Vivo Degradation Mechanism of PEGDA Hydrogels.J Biomed Mater Res A 2014,102(12),4244-4251)。実際、培養物中で急速に分解することが示されているプロテアーゼ切断可能な配合物は、移植後は分解しない(Amer,L.D.,Bryant,S.J.The in Vitro and in Vivo Response to MMP-Sensitive Poly(Ethylene Glycol)Hydrogels.Ann Biomed Eng 2016,44(6),1959-1969)。同様に、分解速度の差は、加水分解においても観察されており、それによって、インビトロでの漸進的な加水分解速度は、インビボで観察された急速な分解と一致しなかった(Hunckler,M.D.;Medina,J.D.;Coronel,M.M.;Weaver,J.D.;Stabler,C.L.;Garcia,A.J.Linkage Groups within Thiol-Ene Photoclickable PEG Hydrogels Control In Vivo Stability.Advanced Healthcare Materials 2019,8(14),1900371)。ここで、近赤外線染料で標識されたマイクロゲルを使用して、DTT/EGBMA架橋マイクロゲルがインビボで分解し、分解時間が数週間に及ぶことが実証された。これは、インビトロでの試験及び他のエステル含有バルクPEGヒドロゲルで観察された分解速度と一致している(Zustiak,S.P.;Leach,J.B.Hydrolytically Degradable Poly(Ethylene Glycol)Hydrogel Scaffolds with Tunable Degradation and Mechanical Properties.Biomacromolecules 2010,11(5),1348-1357)。その後の研究では、生物学的因子(例えば、接着リガンド、カプセル化細胞、又は治療薬)の添加が、これらのマイクロゲルにおけるエステル加水分解の速度をどのように変化させるかを評価することが重要であろう。
【0111】
最後に、分解性の関数としての組織応答を、皮下背側モデルにおいて評価した。この部位は、かなりのマイクロゲルインプラント量を保持することができる、容易にアクセス可能な場所を提供する。更に、複数の独立したマイクロゲル懸濁液を背部の異なる四分円に注入することができるため、それ自体の内部陽性対照と同じ動物の使用を可能にする。マルチパラメトリックフロー解析は、非分解性配合物における、骨髄細胞及びT細胞、特にCD4+の存在の増強を伴う、分解依存性免疫応答を実証し、合成材料インプラントに対する応答を駆動するTヘルパー細胞を示す他の研究と一致する(Chung,L.;Maestas,D.R.;Lebid,A.;Mageau,A.;Rosson,G.D.;Wu,X.;Wolf,M.T.;Tam,A.J.;Vanderzee,I.;Wang,X.;Andorko,J.I.;Zhang,H.;Narain,R.;Sadtler,K.;Fan,H.;Cihakova,D.;Le Saux,C.J.;Housseau,F.;Pardoll,D.M.;Elisseeff,J.H.Interleukin 17 and Senescent Cells Regulate the Foreign Body Response to Synthetic Material Implants in Mice and Humans.Sci Transl Med 2020,12(539),eaax3799、及びChan,T.;Pek,E.A.;Huth,K.;Ashkar,A.A.CD4+T-Cells Are Important in Regulating Macrophage Polarization in C57BL/6 Wild-Type Mice.Cellular Immunology 2011,266(2),180-186)。サイトカイン環境の更なる評価は、免疫応答の多様性及び複雑性に対する更なる洞察を提供した。合成バルクインプラントに対するIL-17駆動の免疫応答の報告(Chung,L.;Maestas,D.R.;Lebid,A.;Mageau,A.;Rosson,G.D.;Wu,X.;Wolf,M.T.;Tam,A.J.;Vanderzee,I.;Wang,X.;Andorko,J.I.;Zhang,H.;Narain,R.;Sadtler,K.;Fan,H.;Cihakova,D.;Le Saux,C.J.;Housseau,F.;Pardoll,D.M.;Elisseeff,J.H.Interleukin 17 and Senescent Cells Regulate the Foreign Body Response to Synthetic Material Implants in Mice and Humans.Sci Transl Med 2020,12(539),eaax3799)とは対照的に、合成マイクロゲル懸濁液の注射が、最大4週間上昇したままであったIFN-γの顕著な発現をもたらすことが見出された。注目すべきことに、サイトカイン相関の教師なしクラスタリングは、サイトカイン通信を駆動する優性応答としてIFN-γを識別した。IFN-γは、1型免疫応答を駆動する正準サイトカインの1つであり(Tuzlak,S.;Dejean,A.S.;Iannacone,M.;Quintana,F.J.;Waisman,A.;Ginhoux,F.;Korn,T.;Becher,B.Repositioning TH Cell Polarization from Single Cytokines to Complex Help.Nat Immunol 2021,22(10),1210-1217)、活性化T細胞によって主に産生され、STAT1リン酸化によってM1分極を促進する(Kak,G.;Raza,M.;Tiwari,B.K.Interferon-Gamma(IFN-γ):Exploring Its Implications in Infectious Diseases.Biomolecular Concepts 2018,9(1),64-79)。マイクロゲル懸濁液の移植直後のマクロファージ細胞応答の評価は、よりM2様表現型に類似する表現型特性(すなわち、CD206発現)を明らかにした。この表現型可塑性は、IFN-γ活性化マクロファージの再分極につながる微小環境の変化を実証する。M1の分極が、IL-4に応答して別個のM2表現型への移行を準備することができることを考慮して、実際にこの再分極が免疫応答における他のサイトカインの存在(すなわち、IL-4の持続性)に起因するかどうかを調査すべきである(O’Brien,E.M.;Spiller,K.L.Pro-Inflammatory Polarization Primes Macrophages to Transition into a Distinct M2-like Phenotype in Response to IL-4.Journal of Leukocyte Biology n/a(n/a))。加えて、これらの研究は、M2分極に向かう遺伝的素因を有することが示されているBALB/cJマウスにおいて行われた。したがって、マイクロゲル誘導性M2表現型は、他の株において試験されるまで、一般化することはできない(Chan,T.;Pek,E.A.;Huth,K.;Ashkar,A.A.CD4+T-Cells Are Important in Regulating Macrophage Polarization in C57BL/6 Wild-Type Mice.Cellular Immunology 2011,266(2),180-186)。
【0112】
1型サイトカインは、局所組織応答の主要な促進因子であるように思われたが、この実施例は、更に調査されるべき相互のIL-4駆動の応答を示す。注射後30日後であっても、IL-4分泌の観察可能な変化は、非分解性インプラントにおいて顕著であった。特に、加水分解性マイクロゲルが、非分解性マイクロゲルと比較して、IL-4分泌の減少及びCD206+マクロファージの存在の対応する低減を経験したという点で、この免疫応答の調節は、マイクロゲルプラットフォームに、ある程度の分解性を付与することによって可能であった。試験した時間枠において完全な分解をもたらさない不安定なエステル架橋剤の最小限の組み込み(すなわち、0.25mMのEGBMA)でさえ、細胞及びサイトカインプロファイルの差を提供し、材料の分解プロファイルが組織応答に大きな影響を与えることを示す。
【0113】
この実施例では調査されていないが、材料の形状、サイズ、表面テクスチャ、剛性、及び電荷などの範囲のパラメータは、宿主-インプラント相互作用、並びにその後のFBRの免疫認識及び発達に影響を与え得る(Doloff,J.C.;Veiseh,O.;de Mezerville,R.;Sforza,M.;Perry,T.A.;Haupt,J.;Jamiel,M.;Chambers,C.;Nash,A.;Aghlara-Fotovat,S.;Stelzel,J.L.;Bauer,S.J.;Neshat,S.Y.;Hancock,J.;Romero,N.A.;Hidalgo,Y.E.;Leiva,I.M.;Munhoz,A.M.;Bayat,A.;Kinney,B.M.;Hodges,H.C.;Miranda,R.N.;Clemens,M.W.;Langer,R.The Surface Topography of Silicone Breast Implants Mediates the Foreign Body Response in Mice,Rabbits and Humans.Nat Biomed Eng 2021,5(10),1115-1130、Veiseh,O.;Doloff,J.C.;Ma,M.;Vegas,A.J.;Tam,H.H.;Bader,A.R.;Li,J.;Langan,E.;Wyckoff,J.;Loo,W.S.;Jhunjhunwala,S.;Chiu,A.;Siebert,S.;Tang,K.;Hollister-Lock,J.;Aresta-Dasilva,S.;Bochenek,M.;Mendoza-Elias,J.;Wang,Y.;Qi,M.;Lavin,D.M.;Chen,M.;Dholakia,N.;Thakrar,R.;Lacik,I.;Weir,G.C.;Oberholzer,J.;Greiner,D.L.;Langer,R.;Anderson,D.G.Size-and Shape-Dependent Foreign Body Immune Response to Materials Implanted in Rodents and Non-Human Primates.Nature Mater 2015,14(6),643-651、及びBlakney,A.K.;Swartzlander,M.D.;Bryant,S.J.The Effects of Substrate Stiffness on the in Vitro Activation of Macrophages and in Vivo Host Response to Poly(Ethylene Glycol)-Based Hydrogels.J Biomed Mater Res A 2012,100(6),1375-1386)。例えば、FBRから球状のアガロースマイクロゲルは、インプラントの形状及びサイズによって調節され、より大きい球状のインプラントは、より小さいインプラントと比較して、より低いFBRを活性化させる(Veiseh,O.;Doloff,J.C.;Ma,M.;Vegas,A.J.;Tam,H.H.;Bader,A.R.;Li,J.;Langan,E.;Wyckoff,J.;Loo,W.S.;Jhunjhunwala,S.;Chiu,A.;Siebert,S.;Tang,K.;Hollister-Lock,J.;Aresta-Dasilva,S.;Bochenek,M.;Mendoza-Elias,J.;Wang,Y.;Qi,M.;Lavin,D.M.;Chen,M.;Dholakia,N.;Thakrar,R.;Lacik,I.;Weir,G.C.;Oberholzer,J.;Greiner,D.L.;Langer,R.;Anderson,D.G.Size-and Shape-Dependent Foreign Body Immune Response to Materials Implanted in Rodents and Non-Human Primates.Nature Mater 2015,14(6),643-651)。同様に、親水性材料を用いたPEGヒドロゲルの化学修飾は、タンパク質吸収及び細胞付着を低減することによって、FBRを調節することができる(Jansen,L.E.;Amer,L.D.;Chen,E.Y.-T.;Nguyen,T.V.;Saleh,L.S.;Emrick,T.;Liu,W.F.;Bryant,S.J.;Peyton,S.R.Zwitterionic PEG-PC Hydrogels Modulate the Foreign Body Response in a Modulus-Dependent Manner.Biomacromolecules 2018,19(7),2880-2888)。剛性などの重要な材料特性は、細胞行動の駆動に大きな影響を与えることがますます認識されている(Blakney,A.K.;Swartzlander,M.D.;Bryant,S.J.The Effects of Substrate Stiffness on the in Vitro Activation of Macrophages and in Vivo Host Response to Poly(Ethylene Glycol)-Based Hydrogels.J Biomed Mater Res A 2012,100(6),1375-1386、及びIrwin,E.F.;Saha,K.;Rosenbluth,M.;Gamble,L.J.;Castner,D.G.;Healy,K.E.Modulus-Dependent Macrophage Adhesion and Behavior.Journal of Biomaterials Science,Polymer Edition 2008,19(10),1363-1382)。PEGヒドロゲルに対する剛性駆動の炎症応答は、以前に報告されており、より硬い表面への免疫細胞接着の増加に関連していると考えられている(Blakney,A.K.;Swartzlander,M.D.;Bryant,S.J.The Effects of Substrate Stiffness on the in Vitro Activation of Macrophages and in Vivo Host Response to Poly(Ethylene Glycol)-Based Hydrogels.J Biomed Mater Res A 2012,100(6),1375-1386)。この応答は、他の生化学的合図とは独立して、機械感受性の一過性受容体電位バニロイド4(TRPV4)に最近起因している(Goswami,R.;Arya,R.K.;Sharma,S.;Dutta,B.;Stamov,D.R.;Zhu,X.;Rahaman,S.O.Mechanosensing by TRPV4 Mediates Stiffness-Induced Foreign Body Response and Giant Cell Formation.)Science Signaling 14(707),eabd4077)。本研究で使用されるマイクロゲルインプラントは、加水分解媒介性分解中に著しく膨潤するため、移植後のサイズにおけるこの動的シフトが、剛性の減少とともに、本実施例で観察される細胞浸潤の調節につながることを除外することはできない。FBRに対するDTT架橋マイクロゲルのサイズの特異な効果を評価するために、これらの2つのパラメータを非分解性インプラントにおいて分離することが興味深いであろう。
【0114】
要約すると、この実施例は、液滴マイクロ流体を介してセグメント化されたPEG-4MALマクロマーから分解性特色を有するマイクロゲルを付与することへの費用対効果の高いアプローチを提示する。エステル不安定な架橋接合部を有するマイクロゲルは、インビトロ及びインビボで容易に分解する。更に、分解プロファイルは、インプラントに対する免疫応答に影響を与え、分解性マイクロゲルが送達されるときに、低減した1型関連サイトカイン及び細胞が存在する。この戦略の単純性及び得られるマイクロゲル集団の加水分解の効率は、このアプローチを再生医療及び薬物送達用途にとって魅力的なものにする。
【0115】
実験
マイクロ流体デバイス製造:PDMSマイクロ流体デバイスを、以前に報告されたように準備した(Headen,D.M.;Aubry,G.;Lu,H.;Garcia,A.J.Microfluidic-Based Generation of Size-Controlled,Biofunctionalized Synthetic Polymer Microgels for Cell Encapsulation.Advanced Materials 2014,26(19),3003-3008)。要するに、PDMSを、マイクロ流体デバイスパターンを有するソフトリソグラフィー及びSU8マスターを使用して成型し、110℃まで20分間加熱した。得られたPDMSマイクロ流体デバイスをウエハから取り出し、スライドガラスに接着させ、70℃で一晩加熱した。
【0116】
PEG-4MALマイクロゲル製造:200μmのノズルを有するフローフォーカシングマイクロ流体デバイスを使用して、ポリマー液滴を形成した。この水相は、以前にチオール-PEG-FITC(1kDa、Nanocs)と反応させた5%w/vのPEG-4Mal(20KDa、Laysan Bio)からなった。共流動シールド相は、2%SPAN80(Sigma)を有する鉱物油(Sigma)からなった。架橋剤相は、15mMの濃度でDTT(Thermo)を有する鉱物油/SPAN80のエマルションを含有した。マイクロゲルを分解可能にするために、様々な量のEGBMA(Sigma)を、0.25、0.5、及び1.0mMの濃度でこの架橋剤相に添加した。製造後、マイクロゲルを遠心分離によって油相から抽出し、2%ウシ血清アルブミン(Sigma)/PBS(corning)溶液で洗浄した。
【0117】
マイクロゲルの定寸及び膨潤:マイクロゲルのサイズに対する架橋相の特徴付けを、Biotek Cytation分光光度計を使用して製造後に測定した。3連で50μLの試料をガラス底部6ウェルプレートに置いた。全ての試料について、各マイクロゲルの定量的蛍光強度を記録した。液滴の直径は、Cytation Genソフトウェアの細胞分析プラグインを使用して測定した。膨潤研究のために、1000個のマイクロゲルを1mLのPBSに入れ、インキュベータに入れた。50μLの試料を毎日採取し、上で説明されるように測定した。FITC追跡研究のために、1000個のマイクロゲルを1mLのPBSに置き、溶液を毎日交換した。収集した上清蛍光を、Cytation3プレートリーダーを使用して測定した。
【0118】
マイクロキャピラリーの機械的試験:マイクロゲルの弾性特性は、圧力駆動のキャピラリーマイクロ工学を使用して判定した(Wyss,H.M.;Franke,T.;Mele,E.;Weitz,D.A.Capillary Micromechanics:Measuring the Elasticity of Microscopic Soft Objects.Soft Matter 2010,6(18),4550-4555)。様々な時点(0日目、3日目、7日目)で、マイクロゲルを、PBS中1%(w/v)BSAで予めコーティングされたテーパーガラスマイクロピペット(Fivephoton Biochemicals)の端部に挿入した。高精度圧力レギュレータ(Elveflow)をマイクロピペットの端部に取り付け、様々な間隔(0、2.5、5、7.5、10、15、20、25、30、40、50、60kPa)で圧力を加えた。マイクロゲルが平衡に達したとき(外部加圧が内部弾性応力と平衡したときにマイクロピペット内で移動しなくなる)、画像を顕微鏡(10倍;EVOS)で取得し、パラメータを、ImageJを使用して測定した。
【0119】
生存率の評価:RAW264.7細胞を10,000個のマイクロゲルと7日間共培養した。細胞代謝活性を、AlamarBlue(Invitrogen)を介して測定した。アッセイは、異なる時点(1、2、4、及び7日)で行った。4時間のインキュベーション後、100μLの上清を96ウェルプレートのウェルに移し、570nm及び600nmの波長でCytation3撮像リーダー(Biotek)を使用してODを測定した。
【0120】
骨髄由来マクロファージの共培養:骨髄は、6週齢の雄C57BL/6Jマウスの大腿骨及び脛骨から単離した。骨を軟組織から洗浄し、片側を切断して、骨髄を露出させ、それらを1.5mLのエッペンドルフチューブに適合するように切断された200μLのピペットチップに反転させた。次いで、骨を10,000xgで15秒間遠心分離して、エッペンドルフチューブの底部で骨髄をペレット化した。骨を廃棄し、次いで、細胞をRBC溶解緩衝液(Biolegend420302)中に再懸濁して、赤血球を除去した。次いで、細胞をMACS緩衝液(DPBS pH7.2、0.5%BSA、2mMのEDTA)で洗浄し、単球単離キット(BM)、マウス(Miltenyi Biotec130-100-629)、及びLSカラム(Miltenyi Biotec130-042-401)を使用して単球を単離した。
【0121】
単球を、10%熱不活性化ウシ胎児血清、1%pen/strep、及び20ng/mLのマウスM-CSF(Biolegend574804)を補充したRPMI1640培地(Gibco11875-085)中で、低接着プレート中で6日間培養した。細胞を採取し、1:10の比率(1つのウェル当たり10,000個の細胞/1000個のマイクロゲル)で、微粒子で播種した。M2対照マクロファージを、20ng/mLのマウスM-CSF及び20ng/mLのマウスIL-4(Biolegend574304)の両方を補充した培地中で培養した。48時間及び96時間の共培養後、細胞を採取し、以下のマーカーを使用して染色した:live dead(Zombie Violet、BioLegend423113)、CD45(PE-Texas Red、BioLegend103146)、CD11b(PercpCy5.5、BioLegend101228)、F4/80(FITC、BioLegend123108)、及びCD206(PECy7、BioLegend141720)。試料をFACS-AriaIIIuフローサイトメーター(BD Biosciences)で分析した。
【0122】
マイクロゲルのマウスへの移植:全ての動物処置は、ジョージア工科大学IACUCによって承認されたプロトコルの下、国立衛生研究所ガイドライン(IACUC承認プロトコル番号A100326)に従って行った。マイクロゲルを、8~12週齢のBALB/cJマウスの表皮下に注射した。100μLの注射は、約3000個の非分解性又は分解性ヒドロゲルからなった。4つの条件全てを、動物間の固有の生物学的差異に起因する任意の変動性を低減するために、独立した部位で同じ動物に注入した。
【0123】
マイクロゲルのインビボ追跡:マクロマーを、AlexaFluor750NHSエステル(Thermo Fisher)で標識された1KDaのPEGで官能化した。製造直後に、3000個のマイクロゲルを100μLの生理食塩水中で、表皮の下に注入した。シグナルの強度及び分布をIVIS SpectrumCT撮像システム(Perkin-Elmer)を使用して縦方向にモニタリングした。Living Imageソフトウェアを使用してデータを分析した。関心領域(ROI)を定義されたポケットエリアに描き、放射効率[p/s/sr]/[μW/cm2]を使用して定量化した。ROIは、全ての時点で各群のポケットについて同じサイズを維持し、各領域についての蛍光シグナルを含有するように適切にサイズ設定して、個々のドナー間の撮像データが時間を超えて比較されることを確実にした。強度測定値は、0日目の値に正規化した。
【0124】
組織応答のマルチパラメトリックフロー分析:組織試料を12mmの生検パンチによって得て、Accumax溶液(Sigma)で、37℃で60分間消化させた。消化した組織を40μmのストレーナーに通し、次いで1×PBSで2回洗浄した。細胞をlive/dead(Zombie violet、BioLegend423113)について洗浄し、染色し、以下の骨髄マーカーで表面染色した:CD45(PE-Texas Red、BioLegend103146)、CD11b(PercpCy5.5、BioLegend101228)、F4/80(FITC、BioLegend123108)、CD11c(BV785、BioLegend117335)、MHCII(APC-Cy7、BioLegend107652)、CD86(APC、BioLegend105012)、CD206(PECy7、BioLegend141720)。並びに、リンパ系マーカー:CD45(BV711、BioLegend)、CD3(BV510、BioLegend100233)、CD4(APC、BioLegend100412)、CD8(PercpCy5.5、BioLegend100732)、CD25(PECy7、BioLegend102016)、PD-1(PE Texas Red、BioLegend135227)。フローサイトメトリーをBD Ariaで行い、FCS expressで分析した。
【0125】
サイトカイン分析:上で説明されるように、マイクロゲルを表皮の下に皮下注射した。設定された時点で、周囲の注射部位における12mmの生検パンチを使用して、組織を除去した。次いで、試料を、プロテアーゼ阻害剤(Thermo)を含有するRIPA緩衝液に入れた。試料を超音波処理し、10,000×gで10分間、4℃で遠心分離して、破片を除去した。上清を液体窒素中で凍結し、分析まで-80℃で保存した。試料は、Milliplex MAP Mouse Cytokine/Chemokine 32-plexアッセイ(Millipore、MCYTMAG)を使用して、Magpix多重化機器(Luminex)上で、製造元の指示に従って分析した。PCAは、Rの「prcomp」機能を使用して全ての試料上で実施し、「factoextra」パッケージを使用して可視化した。サイトカイン相関を、CytoModを使用して調査した(Cohen,L.;Fiore-Gartland,A.;Randolph,A.G.;Panoskaltsis-Mortari,A.;Wong,S.-S.;Ralston,J.;Wood,T.;Seeds,R.;Huang,Q.S.;Webby,R.J.;Thomas,P.G.;Hertz,T.A Modular Cytokine Analysis Method Reveals Novel Associations With Clinical Phenotypes and Identifies Sets of Co-Signaling Cytokines Across Influenza Natural Infection Cohorts and Healthy Controls.Frontiers in Immunology 2019,10,1338、及びDistinct inflammatory profiles distinguish COVID-19 from influenza with limited contributions from cytokine storm https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abe3024(accessed 2021-10-25))。相関分析については、検出下限を下回る値を検出下限に設定した。Log10濃度を有する多変量線形回帰を時間の関数としてモデル化した。Rの「emmeans」パッケージを使用して、条件間の推定周辺平均のペアワイズ差を評価し、Tukeyの方法を使用して、複数の比較を調整した。
【0126】
免疫組織化学:30日目の安楽死の後、周囲の注射部位における12mmの生検パンチを使用して、組織を除去し、次いで、これを10%ホルマリン溶液中で一晩固定した。その後、試料を段階的なエタノール溶液中で脱水処理し、キシレン中で洗浄し、パラフィン包埋した。切片を10μmで切断し、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)、及びマクロファージパンマーカーCD68(abcam、ab125212)のためのIHC、及び核染色(DAPI、Invitrogen D1306)を使用してスライドを染色した。
【0127】
統計分析全ての実験は、生物学的複製物上で行った。各実験グループの試料サイズと、必要に応じて事後検定を伴うグループ間の有意差を判定するために使用される統計的検定は、適切な図の凡例に報告されている。正確なp値又は有意性記号の意味を凡例に示す。Graphpad Prism v9(GraphPad Inc.)を用いてデータを分析した。サイトカイン分析については、濃度データを正規化のために対数変換し、hclust、glm、及びlmmeansパッケージを使用して、分析をRで行った。実験を盲検化せず、無作為化を使用しなかった。
【0128】
実施例2.分解性マイクロゲル
エステル含有リンカーとのヒドロゲル架橋は、エステル結合の加水分解切断に焦点を当てた分解機構を提供する。分解は、エステル不安定リンカーのポリマー含有量、分子量、及び架橋密度によって制御することができる(Zustiak,S.P.,&Leach,J.B.(2010).Hydrolytically Degradable Poly(Ethylene Glycol)Hydrogel Scaffolds with Tunable Degradation and Mechanical Properties.Biomacromolecules,11(5),1348-1357)。酵素依存性ヒドロゲルとは対照的に、このアプローチによって開発されたヒドロゲルは、加水分解によって分解可能であり、ヒドロゲルの調整可能な物理的、機械的、及び化学的特性にのみ依存する制御された一貫した分解プロファイルを可能にする(Sung,B.,Kim,C.,&Kim,M.-H.(2015).Biodegradable colloidal microgels with tunable thermosensitive volume phase transitions for controllable drug delivery.Journal of Colloid and Interface Science,450,26-33、及びStukel,J.,Thompson,S.,Simon,L.,&Willits,R.(2015).Polyethlyene glycol microgels to deliver bioactive nerve growth factor:Microgels to Deliver Bioactive NGF.Journal of Biomedical Materials Research Part A,103(2),604-613)。重要なことに、この分解方法は、システイン末端接着剤又はペプチドの実施を妨げない(Stukel,J.,Thompson,S.,Simon,L.,&Willits,R.(2015).Polyethlyene glycol microgels to deliver bioactive nerve growth factor:Microgels to Deliver Bioactive NGF.Journal of Biomedical Materials Research Part A,103(2),604-613)。薬物送達及び組織工学におけるその使用は、長期的な持続放出プロファイルを提供するのに有効であることが証明されている(Zustiak,S.P.,&Leach,J.B.(2010).Hydrolytically Degradable Poly(Ethylene Glycol)Hydrogel Scaffolds with Tunable Degradation and Mechanical Properties.Biomacromolecules,11(5),1348-1357、Pradal,C.,Grondahl,L.,&Cooper-White,J.J.(2015).Hydrolytically Degradable Polyrotaxane Hydrogels for Drug and Cell Delivery Applications.Biomacromolecules,16(1),389-403、及びDavis K.A.,&Anseth,K.S.(2002).Controlled Release from Crosslinked Degradable Networks;Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,19(4-5),385-424)。本明細書では、我々は、不安定なエチレンリンカーの導入に依存する、調整可能な放出及び分解プロファイルを有する、フローフォーカシング液滴生成に基づく、単分散加水分解性ヒドロゲルを生成する製造機構を提示する。様々な量のエチレンリンカー及び非分解性チオールリンカーの添加を介してヒドロゲル構造の不安定なエステル化学を調整することにより、制御されたヒドロゲル分解プロファイルを開発することができる。加えて、我々は、インビトロ及びインビボでの細胞表現型に対する、機械的特性の変化及び分解性副産物の影響を特徴付ける。
【0129】
方法
マイクロ流体デバイスの製造。PDMSマイクロ流体デバイスは、184シリコーンエラストマー及び184シリコンエラストマー硬化剤の添加から構築した。次いで、シリコーン混合物を、マイクロ流体デバイスパターンからなるシリコンウエハ上に置き、110℃まで20分間加熱した。得られたPDMSマイクロ流体デバイスをウエハから取り出し、スライドガラスに接着させ、70℃で一晩加熱した。
【0130】
4-アームポリ(エチレングリコール)マイクロゲル構造。PEG-4Mal(Laysan Bioからの20KDaの4アーム型ポリエチレングリコール)、PEGビオチン、及びDTT(ジチオスレイトール)を適切な量に秤量した。10mMのDPBS/HEPES(ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水/4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)溶液を作製し、これを使用して、PEGビオチンを懸濁した。次いで、DPBS/HEPES溶液及びPegビオチンからなるこの新しい溶液を使用して、マイクロ流体デバイスへのラインを通って流れるPEG-4Malを再懸濁した。加えて、DTT及びDPBS/HEPES溶液を作製した。2%スパン80/鉱油溶液も作製し、DPBS/HEPES中の395μlのDTTを、5mLの2%スパン80/鉱油溶液に添加した。分解性マイクロゲルについて、計算された濃度の分解性チオールリンカーを、DTT及び2%SPAN80/鉱油の溶液に添加した。溶液の作製に続いて、3つのシリンジポンプを設定し、マイクロ流体デバイスを作製のために準備した。1つのポンプは、デバイスを通ってオイルを押すように設定し(1μl/分)、別のポンプは、デバイスを通ってPEGを押すように設定し(5μl/分)、最後のポンプは、デバイスを通ってDTT溶液を押す(35μl/分)ために使用した。デバイス内の収集浴から収集チューブまでの、dPBS及び1%BSA(ウシ血清アルブミン)で満たされた収集ラインを設定した。デバイスを準備した後、ラインを設定し、3つの溶液をマイクロ流体デバイスに通した。ポンプ及びラインをデバイスに約45分間通した後、収集チューブを遠心分離機に5分間配置し、一連の洗浄を行って、DTT及び油を収集物から除去し、チューブの底部にマイクロゲルを収集させた。
【0131】
マイクロゲルの分解。約200個のマイクロゲルを48ウェルプレートの各ウェルに入れ、数日間にわたってインキュベートした。毎日、各ウェル内のマイクロゲルの数をカウントし、LED顕微鏡を使用して膨潤について分析した。マイクロゲルを分析した後、DPBSを各ウェルに添加し、インキュベータに戻した。
【0132】
タンパク質カプセル化の半定量分析。ウエスタンブロット転写を実行して、ヒドロゲルがタンパク質を捕捉する能力を分析した。ゲル電気泳動及び化学発光撮像の技術を介して、マイクロゲルの半定量的分析を実施して、マイクロゲルが移植の準備ができているかどうかを判定した。
【0133】
マイクロゲルのマウスへの移植。マイクロゲルを8~12週齢のBalb/Cマウスの表皮下に注射した。100uLの注射は、約3000個の非分解性又は分解性ヒドロゲルからなった。非分解性マイクロゲルは、DTT架橋剤からなり、分解性チオールリンカーは有さなかったが、分解性マイクロゲルは、DTT架橋剤と0.25mM、0.5mM、又は1mMのチオールリンカーとの混合物からなった。
【0134】
マイクロゲルの追跡。IVIS撮像システムを使用して、マイクロゲル撮像及びその蛍光を見ることができた。数日間にわたって、マイクロゲルシグナル伝達を追跡し、分解速度について記録した。
【0135】
実施例3.治療的送達のための加水分解性ヒドロゲル
ヒドロゲルは、モジュラー、生体適合性であり、制御可能な機械的特性を有するように設計することができるため、薬物又は生物学的治療剤を送達するための再生医療においてますます使用されている。分解性ヒドロゲルは、ヒドロゲルに組み込まれたペプチドの配列特異的酵素分解を使用して、ますます製造される。この分解方法は細胞適合性であるが、油中のペプチドの溶解度が低く、大量のペプチド溶液の必要性により、マイクロ流体デバイスを用いた単分散分解性ヒドロゲルの合成を制限される。ここで、調整可能な分解を有する加水分解性ヒドロゲルが、内因性刺激(すなわち、加水分解)に対する不安定な化学応答に基づいて報告される。
【0136】
方法
ヒドロゲル粒子(マイクロゲル)を、先で説明されるようにマイクロ流体油中水液滴生成器で製造した(Headen et al.Microsystems&Nanoengineering 4.1(2018):1-9)。ポリマーを、インビトロ追跡用の1kDaのSH-PEG-FITC、又はインビボ撮像用のSH-PEG-AF750で事前に官能化した。マイクロゲルを、ジチオトレイトール(DTT)、又はDTTと分解性リンカーエチレングリコールビス-メルカプトアセテートとの混合物を異なるモル比で含有する溶液で架橋した。マイクロゲルを、インビボ追跡のためにマウスの皮膚の下に注射した。手短に言えば、8~12週齢のBalb/Cマウスに、約3000の非分解性ヒドロゲル(DTT架橋)の100uL又は分解性ヒドロゲル(DTTと0.25mM、0.5mM、又は1mMの分解性リンカーとの混合物)を注射した。
【0137】
結果
マイクロゲルの分解は、dPBS中37℃でのマイクロゲル培養液中の膨潤率及びPEG-FITCリンカーの存在を測定することによって追跡した。膨潤率は、製造時の分解性リンカーのモル濃度に関連することが見出された(
図1F)。高分解性ヒドロゲルは、製造後4時間以内に非分解性ヒドロゲル(p<0.0001)と比較して約40%膨潤した。培養後1ヶ月までに、1mMの分解性ヒドロゲルは、DTT非分解性ヒドロゲルのサイズの60%まで膨張した(P<0.0039)。最初は、DTT、0.25mM群、0.5mM群の間でサイズの差は観察されなかったが、30日目までに、非分解性ゲルと比較してサイズが30%増加した(それぞれp<0.0001、p<0.019)。ヒドロゲルの分解は、PEG-4MAL骨格からのPEG-FITCリンカーの切断をもたらすであろう(
図1B)。したがって、培養物の蛍光強度を経時的に追跡して、溶液中のPEG-FITCの存在を判定した。膨潤研究で観察されたように、より高い蛍光強度は、1mMの分解性ヒドロゲル群にあった(p<0.001対DTT)。最低分解性ゲルをDTT架橋ヒドロゲルと比較した場合、有意差は観察されなかった。インビボ分解を評価するために、マイクロゲルを、IVIS撮像システムを使用してモニタリングした(
図16A~B)。注射直後に、全ての群で強力なシグナルが検出された。1日目までに、シグナルは、全ての群において約38%減衰しており、これは、分解ではなく、製造中の遊離染料の存在に起因し得る。3日目までに、シグナルは、1mMのヒドロゲル群で33%に減少したが、DTT注射部位には一定のシグナルが残っていた。10日目までに、高度に分解可能な群では検出可能なシグナルは観察されなかったが、DTTマイクロゲル群では変化は観察されなかった。
【0138】
結論
マイクロ流体油中水液滴生成器を実施して単分散加水分解性ヒドロゲルを調製することができる。非分解性チオールリンカーとともにエチレンリンカーを実施することで、インビトロ及びインビボで制御可能で持続的な材料分解が可能になる。
【0139】
添付の特許請求の範囲の組成物及び方法は、特許請求の範囲のいくつかの態様の例解として意図されている、本明細書に説明される具体的な組成物及び方法によって範囲が限定されず、機能的に均等である任意の組成物及び方法は、特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図される。組成物及び方法の様々な修正は、本明細書に図示及び説明されるものに加えて、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図される。更に、本明細書に開示される特定の代表的な組成物及び方法ステップのみが具体的に説明されているが、組成物及び方法ステップの他の組み合わせも、具体的に列挙されていなくても、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図される。したがって、ステップ、要素、成分、又は構成要素の組み合わせは、本明細書に明示的に言及され得るが、明示的に述べられていなくても、ステップ、要素、成分、及び構成要素の他の組み合わせが含まれる。
【0140】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語及びその変形は、「含む(including)」という用語及びその変形と同義に使用され、開放的で非限定的な用語である。「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語が、様々な実施形態を説明するために本明細書で使用されているが、本発明のより具体的な実施形態を提供するために、「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに、「本質的にからなる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」という用語を使用することができ、開示もされる。実施例以外、又は示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを表す全ての数は、少なくとも理解されるべきであり、均等論の適用を特許請求の範囲に限定しようとするものではなく、有効数字の数及び通常の四捨五入アプローチに照らして解釈されるべきである。
【国際調査報告】