(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】モジュール式の生産設備でアラームを管理するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/042 20060101AFI20240702BHJP
G05B 19/18 20060101ALI20240702BHJP
G05B 19/4069 20060101ALI20240702BHJP
G05B 19/048 20060101ALI20240702BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G05B19/042
G05B19/18 X
G05B19/4069
G05B19/048
G05B19/418 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023573280
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2022062815
(87)【国際公開番号】W WO2022248228
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ボテロ ハルブラウブ,アンドレス
(72)【発明者】
【氏名】ハインザーリング,ティル
(72)【発明者】
【氏名】モールマイヤー,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】シェンク,ティム
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥッツ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンヘリンガー,クリストフ
【テーマコード(参考)】
3C100
3C269
5H220
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA56
3C100AA57
3C100BB13
3C269AB01
3C269BB11
3C269EF42
3C269EF48
3C269MN02
3C269MN40
3C269PP02
5H220AA04
5H220BB09
5H220BB17
5H220CC09
5H220CX01
5H220HH04
5H220HH05
5H220JJ12
5H220JJ15
5H220JJ16
5H220JJ51
(57)【要約】
モジュール式の生産設備でのアラームの管理においてアラーム管理を自動化するために、モジュール式の生産設備(PRAL)であって、たとえば産業用自動化設備であり、その製造者非依存的なモジュール式の構成と稼働のために、「プロセス機器アセンブリ<PEA>」モジュール(PEA-MD)が、プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)によって制御されて、およびプロジェクト化可能なPEAシミュレーション(PEA-SM)を用いてシミュレートされて、特にVDI/VDE/NAMUR2658規格に準拠して、標準化されたプロセス・オーケストレーション(PO)の過程で、「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)によりPEAモジュール記述のために生産設備(PRAL)へ統合されるモジュール式の生産設備(PRAL)に関して、マネジメント管理において、-生産設備の考えられるエラー事例(FHLF)の惹起されたエラー(FHL)に関わるモジュール式の生産設備のすべての状態をバーチャルに進行させてシミュレートすること、-その際に発生するシミュレーションエラー(SMF)を、たとえばシグナリングによりラベリングするアラームによって、アラームメッセージ(AM)の形態で付随的に記録すること、アラームメッセージプロトコル(AMP)を作成すること、ならびにまたは、アラームチェーン(AMK)を識別すること及びアラームチェーン(AMK)におけるアラーム関連性(AZH)を判定すること、を提案する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式の生産設備でアラームを管理するための方法であって、生産設備(PRAL)の製造者非依存的なモジュール式の構成と稼働のために、「プロセス機器アセンブリ<PEA>」モジュール(PEA-MD)が、プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)によって制御されて、およびプロジェクト化可能なPEAシミュレーション(PEA-SM)を用いてシミュレートされて、特にVDI/VDE/NAMUR2658規格に準拠して、標準化されたプロセス・オーケストレーション(PO)の過程で、「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)によりPEAモジュール記述のために前記生産設備(PRAL)へ統合される、方法において、
a)前記生産設備(PRAL)の潜在的な、保存された、または読出可能な複数のエラー事例(FHLF)に関連する、複数の対応するエラー(FHL)に関して、その際各々のエラー事例に対する前記対応するエラーが、相応のPEAモジュールアクティベーション(PEA-MA)によって前記PEAシミュレーション(PEA-SM)においてバーチャルに惹起され、
b)それぞれバーチャルに惹起されるエラーに帰属するシミュレーション事例が、前記PEAシミュレーション(PEA-SM)によってシミュレートされ、当該シミュレートではそのつど少なくとも1つのシミュレーションエラー(SMF)が判定され、
c)前記プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)によって前記シミュレーションエラー(SMF)が認識され、引き続いて当該プログラミング可能なPEA制御部がシミュレーションエラーベースのすべての切換操作をそのプログラミングに応じて実行し、
d)認識された各々のシミュレーションエラー(SMF)についてアラームチェーン追跡のための、少なくとも1つのアラームメッセージ(AM)が、前記PEA制御部(PEA-ST)によって生成され、
e)すべてのエラー事例(FHLF)について生成されたアラームメッセージ(AM)が検出され、アラームメッセージプロトコル(AMP)の作成によってアラームメッセージ(AM)が記録され、
f)前記アラームメッセージプロトコル(AMP)が分析され、この分析に基づいてアラームチェーン(AKE)が識別され、または、アラームチェーン(AKE)が識別されて前記アラームチェーン(AKE)におけるアラーム関連性(AZH)が判定され、
g)分析結果(AEG)および/または判定結果(EEG)が、前記PEAモジュール記述への埋め込みのために、前記「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)へ伝送される、
ことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記方法ステップa)、e)f)およびg)は、コンピュータで実施されて実行される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法ステップa)、e)f)およびg)は、生産設備テストシステム(PRAL-TS)によって、たとえば「ファクトリー・アクセプタンス・ツール<FAT>」によって、実行される
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記生産設備(PRAL)は産業用自動化設備である
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
モジュール式の生産設備でアラームを管理するためのシステム(SYS)であって、
-生産設備(PRAL)の製造者非依存的なモジュール式の構成および稼働のための「プロセス機器アセンブリ<PEA>」モジュール(PEA-MD)を有し、
-プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)を有し、当該PEA制御部(PEA-ST)は、たとえば型式SIMATIC S7-1500の、「メモリプログラマブル制御<SPS>」プラットフォーム(SPS-PF)で、実行可能であり、当該PEA制御部(PEA-ST)によって、前記PEAモジュール(PEA-MD)が制御され、
-プロジェクト化可能なPEAシミュレーション(PEA-SM)を有し、当該PEAシミュレーション(PEA-SM)は、たとえば型式SIMITの、シミュレーションプラットフォーム(SPF)で、実行可能であり、当該PEAシミュレーション(PEA-SM)を用いて、前記PEAモジュール(PEA-MD)がシミュレートされ、と、
-「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)を有し、
当該「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)によって、前記PEAモジュール(PEA-MD)が、特にVDI/VDE/NAMUR2658規格に準拠して、標準化されたプロセス・オーケストレーション(PO)の過程で、PEAモジュール記述のために前記生産設備(PRAL)に統合される、
システム(SYS)において、
a)前記生産設備(PRAL)の潜在的な、保存された、または読出可能な複数のエラー事例(FHLF)に関連する、複数の対応するエラー(FHL)をバーチャルに惹起するためのアラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)であって、各々のエラー事例に対する前記対応するエラーが相応のPEAモジュールアクティベーション(PEA-MA)によって前記PEAシミュレーション(PEA-SM)においてバーチャルに惹起される、アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)、と、
b)それぞれバーチャルに惹起されるエラーに帰属するシミュレーション事例をシミュレートし、その際にそのつど少なくとも1つのシミュレーションエラー(SMF)を判定する、前記PEAシミュレーション(PEA-SM)と、
c)前記シミュレーションエラー(SMF)を認識し、引き続いてシミュレーションエラーベースのすべての切換操作をそのプログラミングに応じて実行する、前記プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)と、
d)認識された各々のシミュレーションエラー(SMF)についてアラームチェーン追跡のために、少なくとも1つのアラームメッセージ(AM)を生成する前記プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)と、
e)すべてのエラー事例(FHLF)について生成されたアラームメッセージ(AM)を、検出し、アラームメッセージプロトコル(AMP)に記録し、前記アラームメッセージプロトコル(AMP)をアラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)に伝送する、前記アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)と、
f)前記アラームメッセージプロトコル(AMP)を分析し、この分析に基づいてアラームチェーン(AKE)を識別し、または、アラームチェーン(AKE)を識別して前記アラームチェーン(AKE)におけるアラーム関連性(AZH)を判定する、前記アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)と、
g)分析結果(AEG)および/または判定結果(EEG)を、前記PEAモジュール記述への埋め込みのために、前記「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)に伝送する、前記アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)と、
を特徴とする、システム。
【請求項6】
コンピュータで実施されるツール(CIW)、特にたとえばAPPとして構成されるコンピュータプログラム製品(CPP)、であって、プログラムモジュール(PGM)のプロセッサ可読の制御プログラムコマンドが保存されており不揮発性の読取可能なメモリ(SP)と、前記プログラムモジュール(PGM)の制御プログラムコマンドを実行する、前記メモリ(SP)と接続されたプロセッサ(PZ)とを有し、前記プログラムモジュール(PGM)はアラーム管理の過程で前記アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)および前記アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)を含む、コンピュータで実施されるツール(CIW)
を特徴とする、請求項5に記載のシステム(SYS)。
【請求項7】
前記アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)と前記アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)が含まれている生産設備テストシステム(PRAL-TS)を、たとえば「ファクトリー・アクセプタンス・ツール<FAT>」を、
特徴とする、請求項5または6に記載のシステム(SYS)。
【請求項8】
前記生産設備(PRAL)は産業用自動化設備である
ことを特徴とする、請求項5から7のいずれか1項に記載のシステム(SYS)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載されている、モジュール式の生産設備でアラームを管理するための方法、および、請求項5の前提部分に記載されている、モジュール式の生産設備でアラームを管理するためのシステム、に関する。
【背景技術】
【0002】
モジュール式の生産設備(英:modular production installations、独:modulare Produktionsanlagen)は、製造工学およびプロセス工学で適用されることが増えており、製造工学およびプロセス工学と、モジュール式の自動機械とがネットワーク化される。モジュール式の構成により、新しい設備だけでなく既存の設備の改修にあたっても、計画時間やエンジニアリングコストを明らかに削減することができる。とりわけ「古い」設備の改修作業に関しては、機械停止時間だけでなく「タイム・トゥ・マーケット」の時間も短縮することが重視される場合に、迅速な実行が主要な役割を果たす。モジュール式の自動化という観点でのモジュールエンジニアリングは、これまで可能ではなかったが、それは、さまざまに異なる製造者の制御部を生産設備で使用することができなかったからである。
【0003】
しかしながら、一貫したモジュールエンジニアリングとモジュール自動化とを可能にするために、VDI/VDE/Namurガイドライン2658によって「プロセス機器アセンブリ(英:Process Equipment Assembly)<PEA>」モジュールで標準が定義されており、この標準によってPEAモジュール自動化を製造者非依存的に記述することができ、異なる製造者のPEAモジュールをPEA制御部とともにプロセス・オーケストレーションの過程で「プロセス・オーケストレーション・レイヤ<POL>」へと統合することができる。このときPEAモジュールの統合は「モジュールタイプパッケージ<MTP>」を通じて行われ、これはPEA製造者によって作製されるものであり、これにより「プロセス機器アセンブリ<PEA>」の必要なすべての情報、構造記述としてのPEAオペレータディスプレイ、カプセル化されたプロセス機能性としてのサービス、および、たとえばアラームアスペクトや診断アスペクトなどが記述される。
【0004】
これに加えてモジュール式の生産設備では、アラーム管理が重要さを増しつつある。設備構造がしばしば変更され、そのため、経験の積み重ねが難しくなっているからである。それを改善する1つの可能性は、同じくVDI/VDE/NAMUR2658規格に定義されている、アラームチェーン(英:alarm chains、独:Alarmketten)を記述するためのモデルである。このモデルは、モジュール内部のアラームチェーンを記述し、生産設備制御部だけでなく生産設備の運営者にもアラームチェーンを提供するために、PEAモジュールによって利用することができる。しかしそのためには、PEA製造者がまずアラームチェーンを判定することが必要であり、その後に、判定されたアラームチェーンを標準化されたフォーマットに変換しなければならない。
【0005】
これを実現するための1つの可能性は、PEA製造者が、自身の専門知識によっておよびアラームチェーンを手動式に導き出すことによって、これを判定し、次いで、標準に準拠して手動式に検出を行うことにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基づく課題は、モジュール式の生産設備でのアラーム管理が自動化される、モジュール式の生産設備でアラームを管理するための方法およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の前提部分に定義されている方法を前提としたうえで、請求項1の特徴部分に記載されている特徴によって解決される。
【0008】
それに加えてこの課題は、請求項5の前提部分に定義されているシステムを前提としたうえで、請求項5の特徴部分に記載されている特徴によって解決される。
【0009】
独立請求項1および5に記載の発明の基づく思想は、モジュール式の生産設備に関して、たとえば産業用自動化設備(請求項4および8参照)に関して、その製造者非依存的なモジュール式の構成と稼働のために、「プロセス機器アセンブリ<PEA>」モジュール(PEA-MD)がプログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)によって制御されて、およびプロジェクト化可能なPEAシミュレーション(PEA-SM)によってシミュレートされて、特にVDI/VDE/NAMUR2658規格に準拠して、標準化されたプロセス・オーケストレーション(PO)の過程で、「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)によりPEAモジュール記述のために生産設備(PRAL)へ統合され、アラーム管理において、
-生産設備の考えられうるエラー事例の惹起(トリガー)されたエラーに関わるモジュール式の生産設備のすべての状態をバーチャルに進行させてシミュレートし、
-その際に発生するシミュレーションエラーを、たとえば信号発生により、分からせるアラームによって、アラームメッセージの形態で付随的に記録し、アラームメッセージプロトコルを作成し、
-アラームメッセージプロトコルからアラームチェーンを識別する、または、アラームチェーンを識別し、アラームチェーンにおけるアラーム関連性を判定する、
ことにある。
【0010】
具体的には、アラーム管理は次の7つの措置で構成される:
(1)生産設備の潜在的な既知の呼出し可能な複数のエラー事例に関して複数の対応するエラーがバーチャルに惹起され(トリガされ)、その際、各々のエラー事例について、エラーが、相応のPEAモジュールアクティベーションによって、PEAシミュレーションにおいてバーチャルに惹起され、
(2)それぞれバーチャルに惹起されるエラーに帰属するシミュレーション事例が、PEAシミュレーションによってシミュレートされ、その際にそのつど少なくとも1つのシミュレーションエラーが判定され、
(3)プログラミング可能なPEA制御部によってシミュレーションエラーが認識され、引き続いてPEA制御部がシミュレーションエラーベースのすべての切換操作をそのプログラミングに応じて実行し、
(4)認識された各々のシミュレーションエラーについてアラームチェーン追跡(英:alarm chain tracing、独:Alarmkettenverfolgung)のための、少なくとも1つのアラームメッセージがPEA制御部によって生成され、
(5)すべてのエラー事例について生成されたアラームメッセージが検出され、アラームメッセージプロトコルの作成によってアラームメッセージが記録され、
(6)アラームメッセージプロトコルが分析され、この分析に基づいてアラームチェーンが識別され、または、アラームチェーンが識別されてアラームメッセージにおけるアラーム関連性が判定され、
(7)分析結果および/または判定結果が、PEAモジュール記述への埋め込みのために「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズムに伝送される。
【0011】
このようにしてアラーム管理システムで、アラーム管理措置(1)および(5)をアラームチェーン追跡コンポーネントにおいて実行し、アラーム管理措置(2)をPEAシミュレーションの間に、たとえば型式SIMITの、シミュレーションプラットフォームで実行し、アラーム管理措置(3)および(4)をPEA制御の過程で、たとえば型式SIMATIC S7-1500の、「メモリプログラマブル制御<SPS>」プラットフォームで実行し、アラーム管理措置(6)および(7)をアラームチェーン分析コンポーネントにおいて実行することができる。
【0012】
アラームチェーン追跡コンポーネントとアラームチェーン分析コンポーネントは、その際、好ましくは、
-請求項6に従い、モジュール式の生産設備でのアラーム管理の過程において、コンピュータで実施されるツール(英:computer-implemented tool、独:computerimplementiertes Werkzeug)の読取可能な不揮発性メモリに制御プログラムコマンドを有するプログラムモジュールの構成要素であり、このツールは好ましくはたとえばAPPとして構成されるコンピュータプログラム製品であり、メモリのほかに、プログラムモジュールの制御プログラムコマンドを実行する、メモリと接続されたプロセッサを有し、および/または、
-請求項7に従い、たとえば「ファクトリー・アクセプタンス・ツール<FAT>」などの、生産設備テストシステムに含まれる。
【0013】
たとえばアラームチェーントレーサーとして構成されるアラームチェーン追跡コンポーネントは、それぞれ個々のエラーシナリオの的確なコンフィグレーションと再現のために利用され、PEA制御部により生成されて維持されるアラームメッセージによって発生するすべてのアラームを、その時間的な順序で検出して記録する。すべてのエラーシナリオが完了した後、アラームメッセージが記録されたアラームメッセージプロトコルが、アラームチェーン追跡コンポーネントないしアラームチェーントレーサーから、たとえばアラームチェーンアナライザーとして構成されている、分析コンポーネントに転送される。このアラームチェーン分析コンポーネントないしアラームチェーンアナライザーが、アラームメッセージプロトコルを分析し、そこからアラームチェーンを識別し、その際にVDI/VDE/NAMUR2658規格に基づき識別されたアラームチェーンを、PEAモジュール記述へのアラームチェーンの埋め込みのために「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズムへと伝送する。
【0014】
このようにして実行されるアラーム管理は、次のような特徴を有するという利点がある。
-アラームチェーンが自動式に検出され、正しいフォーマットで保存される。
-アラームチェーンが完全に検出される。その理由は、センサおよびアクチュエータならびにプロセッサ、およびエミュレートされたPEAオートメーションからなるモデルで構成される生産設備のデジタルツインを用いて、すべてのエラー状態がPEAシミュレーションでシミュレートされることによって、「真の」生産設備のアラームチェーンと同一のアラームチェーンが、惹起されるからである。
-線形アラームチェーンだけでなく連鎖アラームチェーンも決定することができる。
-「プログラマブル・ロジック・コントローラ<PLC>」でPLCコードに変更が行われた場合、このことは、上述した自動式のアラーム管理措置をあらためて1回実行することを必要とするのみで、行われた変更によって何が変化したのか、どのような影響をそれが有するのか、を手動式に分析することを必要としない。
【0015】
本発明のその他の利点は、ただ1つの図面を参照して行う本発明の2つの実施例についての以下の説明から明らかとなる。図面は次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、モジュール式の生産設備でアラームを管理するためのシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面は、たとえば産業用自動化設備として構成されるモジュール式の生産設備PRALでアラームを管理するためのシステムSYSを示している。アラーム管理のために、システムSYSは次のシステムコンポーネントを有している、つまり、
(i)生産設備PRALの製造者非依存的なモジュール式の構成および稼働のための「プロセス機器アセンブリ<PEA>」モジュールPEA-MD、を有している、
(ii)<PEA>モジュールPEA-MDを制御するプログラミング可能なPEA制御PEA-STを実行可能である、たとえば型式SIMATIC S7-1500の、「メモリプログラマブル制御<SPS>」プラットフォームSPS-PF、を有している、
(iii)たとえば型式SIMITの、シミュレーションプラットフォームSPF、を有しており、当該シミュレーションプラットフォームSPFでは、(たとえばアラーム管理について)プロジェクト化可能な、<PEA>モジュールPEA-MDをシミュレートするPEAシミュレーションPEA-STが実行可能であり、当該シミュレーションプラットフォームSPFは、SPS-プラットフォームSPS-PFと機能的・双方向に接続されている、
(iv)「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)を有しており、当該「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)によって、PEAモジュールPEA-MDが、好ましくはVDI/VDE/NAMUR2658規格に準拠して、標準化されるプロセス・オーケストレーションの過程で、PEAモジュール記述のために生産設備PRALに統合される、そして、
(v)生産設備テストシステムPRAL-TS、たとえば「ファクトリー・アクセプタンス・ツール<FAT>」を有しており、当該生産設備テストシステムPRAL-TSには、
-オプション「A」に従い、アラームチェーン追跡コンポーネントAKVKと、アラームチェーン分析コンポーネントAKAKとが含まれており、これらがアラーム管理のために機能的に協同作用する、または、
-オプション「B」に従い、プログラムモジュールPGMのプロセッサ可読の制御プログラムコマンドが保存されている不揮発性の読取可能なメモリSPと、プログラムモジュールPGMの制御プログラムコマンドを実行する、メモリSPと接続されたプロセッサPZとを備えるコンピュータで実施されるツールCIWであって、たとえば好ましくはAPPとして構成されるコンピュータプログラム製品CPPであるコンピュータで実施されるツールCIWが、プログラムモジュールPGMは、アラーム管理の過程で機能的に協同作用するアラームチェーン追跡コンポーネントAKVKおよびアラームチェーン分析コンポーネントAKAKを含む。
【0018】
オプション「A」に従えば、アラームチェーン追跡コンポーネントAKVKとアラームチェーン分析コンポーネントAKAKは、システムSYSのハードウェアコンポーネント(ハードウェアシステムコンポーネント)であるのに対し、オプション「B」に従えば、アラームチェーン追跡コンポーネントAKVKとアラームチェーン分析コンポーネントAKAKは、システムSYSのソフトウェアコンポーネント(ソフトウェアシステムコンポーネント)として、APPとして構成されてコンピュータで実施されるツールCIWの、ないしはコンピュータプログラム製品CPPの、プログラムモジュールPGMに含まれる。
【0019】
両方のケースにおいて、図面に示すように、ハードウェアシステムコンポーネントまたはソフトウェアシステムコンポーネントとして構成されるアラームチェーン追跡コンポーネントAKVKおよびアラームチェーン分析コンポーネントAKAKは、生産設備テストシステムPRAL-TSの構成要素である。あるいは、明示的には示していないが、ハードウェアシステムコンポーネントまたはソフトウェアシステムコンポーネントをアラーム管理の過程で、生産設備テストシステムPRAL-TSから自律して作動させることも十分に可能である。
【0020】
このようなアラーム管理および標準化されたプロセス・オーケストレーションPOの間に、アラーム管理のためのアラームチェーン追跡コンポーネントAKVKで、アラームチェーン追跡コンポーネントAKVKに保存されている、またはこれから呼出し可能である、複数の対応するエラーFHLを含む、生産設備PRALの、考慮の対象となるまたは潜在的な、すべてのエラー事例FHLFに関して、「エラー<FHL>アラームメッセージ<AM>サイクル」の枠内で、各々のエラー事例について相応のエラーが相応のPEAモジュールアクティベーションPEA-MAにより、シミュレーションプラットフォームSPFでのPEAシミュレーションPEA-SMにおいてバーチャルに惹起される。
【0021】
シミュレーションプラットフォームSPFのPEAシミュレーションPEA-SMが、これに続いて、「エラー<FHL>アラームメッセージ<AM>サイクル」の枠内で、それぞれバーチャルに惹起されたエラーに帰属するシミュレーション事例をシミュレートし、その際に、それぞれ少なくとも1つのシミュレーションエラーSMFを判定する。
【0022】
SPSプラットフォームSPS-PFのプログラミング可能なPEA制御部PEA-STが、同じく「エラー<FHL>アラームメッセージ<AM>サイクル」の枠内で、シミュレーションプラットフォームSPFのPEAシミュレーションPEA-SMとの機能的・双方向の接続を介してシミュレーションエラーSMFを認識し、これに続いて、すべてのシミュレーションエラーベースの切換操作を、そのプログラミングに応じて実行する。次いで、プログラミング可能なPEA制御部PEA-STが、実行されたミュレーションエラーベースの切換操作に基づいて、アラームチェーン追跡のために、各々の認識されたシミュレーションエラーSMFについて、少なくとも1つのアラームメッセージAMを生成する。
【0023】
次いで、「エラー<FHL>アラームメッセージ<AM>サイクル」の枠内で、アラームチェーン追跡コンポーネントAKVKが、すべてのエラー事例FHLFについて生成されたアラームメッセージAMを検出し、これらをアラームメッセージプロトコルAMPに記録し、アラームメッセージプロトコルAMPをアラームチェーン分析コンポーネントAKAKに伝送する。
【0024】
アラームチェーン分析コンポーネントAKAKにおいて、アラームメッセージプロトコルAMPがまず分析され、次いで、この分析に基づいて、アラームチェーンAKEが識別される。
【0025】
その代替として、アラームチェーン分析コンポーネントAKAKにおいて、同じくアラームメッセージプロトコルAMPがまず分析され、次いで、この分析に基づいて、同じくアラームチェーンAKEが識別され、追加的に、アラームチェーンAKEにおけるアラーム関連性AZHが判定されることも、可能である。
【0026】
このような分析の結果として、または分析と判定の結果として、アラームチェーン分析コンポーネントAKAKは、分析結果AEGおよび/または判定結果EEGを生成し、これをPEAモジュール記述への埋め込みのために「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズムMTP-MCへ伝送する。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式の生産設備でアラームを管理するための方法であって、生産設備(PRAL)の製造者非依存的なモジュール式の構成と稼働のために、「プロセス機器アセンブリ<PEA>」モジュール(PEA-MD)が、プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)によって制御されて、およびプロジェクト化可能なPEAシミュレーション(PEA-SM)を用いてシミュレートされ
て標準化されたプロセス・オーケストレーション(PO)の過程で、「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)によりPEAモジュール記述のために前記生産設備(PRAL)へ統合され
、
-前記生産設備(PRAL)の潜在的な、保存された、または読出可能な複数のエラー事例(FHLF)に関連する、複数の対応する
バーチャルに惹起されるエラー(FHL)に関して
、各々のエラー事例に対する前記対応するエラーが、相応のPEAモジュールアクティベーション(PEA-MA)によって前記PEAシミュレーション(PEA-SM)においてバーチャルに惹起され、
-それぞれバーチャルに惹起されるエラーに帰属するシミュレーション事例が、前記PEAシミュレーション(PEA-SM)によってシミュレートされ、
その際、そのつど少なくとも1つのシミュレーションエラー(SMF)が判定され、
-前記プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)によって前記シミュレーションエラー(SMF)が認識され、引き続いて当該プログラミング可能なPEA制御部がシミュレーションエラーベースのすべての切換操作をそのプログラミングに応じて実行
する、
方法において、
a)
前記PEA制御部(PEA-ST)によって、認識された各々のシミュレーションエラー(SMF)についてアラームチェーン追跡のための、少なくとも1つのアラームメッセージ(AM)が
、生成され
ること、
b)
アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)によって、すべてのエラー事例(FHLF)について生成されたアラームメッセージ(AM)が検出され、アラームメッセージプロトコル(AMP)の作成
と共にアラームメッセージ(AM)が記録され
ること、
c)
アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)によって、前記アラームメッセージプロトコル(AMP)が分析され、この分析に基づいてアラームチェーン(AKE)
の識別が行われ、または、アラームチェーン(AKE)が識別されて前記アラームチェーン(AKE)におけるアラーム関連性(AZH)
の判定
が行われること、
d)
前記アラームチェーン(AKE)の前記識別での分析結果(AEG)および/または
前記アラームチェーン(AKE)における前記アラーム関連性(AZH)の前記判定での判定結果(EEG)が、前記PEAモジュール記述への埋め込みのために、前記「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)へ伝送される
こと、
を特徴とする、方法。
【請求項2】
バーチャルにエラー惹起をすること、アラームメッセージ検出及びアラームメッセージ記録をすること、並びに、アラームチェーン識別を用いて又はアラームチェーン識別及びアラーム関連性判定を用いてアラームメッセージプロトコル分析をすること、がコンピュータで実施されて実行される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
バーチャルにエラー惹起をすること、アラームメッセージ検出及びアラームメッセージ記録をすること、並びに、アラームチェーン識別を用いて又はアラームチェーン識別及びアラーム関連性判定を用いてアラームメッセージプロトコル分析をすること、が生産設備テストシステム(PRAL-TS)によって、たとえば「ファクトリー・アクセプタンス・ツール<FAT>」によって、実行される
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記生産設備(PRAL)は産業用自動化設備である
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセス・オーケストレーション(PO)が、VDI/VDE/NAMUR2658規格
に準拠して、標準化されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
モジュール式の生産設備でアラームを管理するためのシステム(SYS)であって、
-生産設備(PRAL)の製造者非依存的なモジュール式の構成および稼働のための「プロセス機器アセンブリ<PEA>」モジュール(PEA-MD)を有し、
-プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)を有し、当該PEA制御部(PEA-ST)は、たとえば型式SIMATIC S7-1500の、「メモリプログラマブル制御<SPS>」プラットフォーム(SPS-PF)で、実行可能であり、当該PEA制御部(PEA-ST)によって、前記PEAモジュール(PEA-MD)が制御され、
-プロジェクト化可能なPEAシミュレーション(PEA-SM)を有し、当該PEAシミュレーション(PEA-SM)は、たとえば型式SIMITの、シミュレーションプラットフォーム(SPF)で、実行可能であり、当該PEAシミュレーション(PEA-SM)を用いて、前記PEAモジュール(PEA-MD)がシミュレートされ、と、
-「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)を有し、
当該「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)によって、前記PEAモジュール(PEA-MD)が
、標準化されたプロセス・オーケストレーション(PO)の過程で、PEAモジュール記述のために前記生産設備(PRAL)に統合され
、
-前記PEAシミュレーション(PEA-SM)を有し、当該PEAシミュレーション(PEA-SM)では、前記生産設備(PRAL)の潜在的な、保存された、または読出可能な複数のエラー事例(FHLF)に関連する、複数の対応するエラー(FHL)
に関して、各々のエラー事例に対する前記対応するエラーが相応のPEAモジュールアクティベーション(PEA-MA)によっ
てバーチャルに惹起され
、
-前記PEAシミュレーション(PEA-SM)を有し、当該前記PEAシミュレーション(PEA-SM)がそれぞれバーチャルに惹起されるエラーに帰属するシミュレーション事例をシミュレートし、その際にそのつど少なくとも1つのシミュレーションエラー(SMF)を判定
し、
-
前記プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)を有し、当該前記プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)が前記シミュレーションエラー(SMF)を認識し、引き続いてシミュレーションエラーベースのすべての切換操作をそのプログラミングに応じて実行する
、
システム(SYS)において、
a)認識された各々のシミュレーションエラー(SMF)についてアラームチェーン追跡のために、少なくとも1つのアラームメッセージ(AM)を生成する前記プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)と、
b)すべてのエラー事例(FHLF)について生成されたアラームメッセージ(AM)を、検出し、アラームメッセージプロトコル(AMP)に記録し、前記アラームメッセージプロトコル(AMP)をアラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)に伝送する、
アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)と、
c)前記アラームメッセージプロトコル(AMP)を分析し、この分析に基づいてアラームチェーン(AKE)を識別し、または、アラームチェーン(AKE)を識別して前記アラームチェーン(AKE)におけるアラーム関連性(AZH)を判定する、前記アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)と、
d)
前記アラームチェーン(AKE)の前記識別での分析結果(AEG)および/または
前記アラームチェーン(AKE)における前記アラーム関連性(AZH)の前記判定での判定結果(EEG)を、前記PEAモジュール記述への埋め込みのために、前記「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)に伝送する、前記アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)と、
を特徴とする、システム。
【請求項7】
コンピュータで実施されるツール(CIW
)であって、プログラムモジュール(PGM)のプロセッサ可読の制御プログラムコマンドが保存されており不揮発性の読取可能なメモリ(SP)と、前記プログラムモジュール(PGM)の制御プログラムコマンドを実行する、前記メモリ(SP)と接続されたプロセッサ(PZ)とを有し、前記プログラムモジュール(PGM)はアラーム管理の過程で前記アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)および前記アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)を含む、コンピュータで実施されるツール(CIW)
を特徴とする、請求項
6に記載のシステム(SYS)。
【請求項8】
前記アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)と前記アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)が含まれている生産設備テストシステム(PRAL-TS)を、たとえば「ファクトリー・アクセプタンス・ツール<FAT>」を、
特徴とする、請求項
6または
7に記載のシステム(SYS)。
【請求項9】
前記生産設備(PRAL)は産業用自動化設備である
ことを特徴とする、請求項
6から
8のいずれか1項に記載のシステム(SYS)。
【請求項10】
前記アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)が、各々のエラー事例について、前記対応するエラー(FHL)を、相応のPEAモジュールアクティベーション(PEA-MA)によって、バーチャルに惹起する、
ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム(SYS)。
【請求項11】
前記プロセス・オーケストレーション(PO)が、VDI/VDE/NAMUR2658規格に準拠して、標準化されている、
ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム(SYS)。
【請求項12】
前記コンピュータで実施されるツール(CIW)が、たとえばAPPとして構成されたコンピュータプログラム製品(CPP)である、
ことを特徴とする、請求項7に記載のシステム(SYS)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載されている、モジュール式の生産設備でアラームを管理するための方法、および、請求項5の前提部分に記載されている、モジュール式の生産設備でアラームを管理するためのシステム、に関する。
【背景技術】
【0002】
モジュール式の生産設備(英:modular production installations、独:modulare Produktionsanlagen)は、製造工学およびプロセス工学で適用されることが増えており、製造工学およびプロセス工学と、モジュール式の自動機械とがネットワーク化される。モジュール式の構成により、新しい設備だけでなく既存の設備の改修にあたっても、計画時間やエンジニアリングコストを明らかに削減することができる。とりわけ「古い」設備の改修作業に関しては、機械停止時間だけでなく「タイム・トゥ・マーケット」の時間も短縮することが重視される場合に、迅速な実行が主要な役割を果たす。モジュール式の自動化という観点でのモジュールエンジニアリングは、これまで可能ではなかったが、それは、さまざまに異なる製造者の制御部を生産設備で使用することができなかったからである。
【0003】
しかしながら、一貫したモジュールエンジニアリングとモジュール自動化とを可能にするために、VDI/VDE/Namurガイドライン2658によって「プロセス機器アセンブリ(英:Process Equipment Assembly)<PEA>」モジュールで標準が定義されており、この標準によってPEAモジュール自動化を製造者非依存的に記述することができ、異なる製造者のPEAモジュールをPEA制御部とともにプロセス・オーケストレーションの過程で「プロセス・オーケストレーション・レイヤ<POL>」へと統合することができる。このときPEAモジュールの統合は「モジュールタイプパッケージ<MTP>」を通じて行われ、これはPEA製造者によって作製されるものであり、これにより「プロセス機器アセンブリ<PEA>」の必要なすべての情報、構造記述としてのPEAオペレータディスプレイ、カプセル化されたプロセス機能性としてのサービス、および、たとえばアラームアスペクトや診断アスペクトなどが記述される。
【0004】
これに加えてモジュール式の生産設備では、アラーム管理が重要さを増しつつある。設備構造がしばしば変更され、そのため、経験の積み重ねが難しくなっているからである。それを改善する1つの可能性は、同じくVDI/VDE/NAMUR2658規格に定義されている、アラームチェーン(英:alarm chains、独:Alarmketten)を記述するためのモデルである。このモデルは、モジュール内部のアラームチェーンを記述し、生産設備制御部だけでなく生産設備の運営者にもアラームチェーンを提供するために、PEAモジュールによって利用することができる。しかしそのためには、PEA製造者がまずアラームチェーンを判定することが必要であり、その後に、判定されたアラームチェーンを標準化されたフォーマットに変換しなければならない。
【0005】
これを実現するための1つの可能性は、PEA製造者が、自身の専門知識によっておよびアラームチェーンを手動式に導き出すことによって、これを判定し、次いで、標準に準拠して手動式に検出を行うことにある。
【0006】
特許文献1より、モジュール式の技術システムをコンピュータ支援式にシミュレートする方法および装置が既知であり、モジュール式の技術システムのそれぞれの実際のモデルについて、対応するバーチャルモデルが生起される。このバーチャルモデルは、モジュール固有のプロセスを制御するための制御部と、モジュール固有のプロセスをシミュレートするための割り当てられたモデルタイプ情報を含む少なくとも1つのモジュール固有のシミュレーションモデルと、を含んでいる。バーチャルモデルは、モジュール固有のシミュレーションモデルを用いて制御部によって制御されるモジュール固有のプロセスを模倣するようにおよび/または実際のモデルの制御部を模倣するように、調整されており、それはモジュール式の技術システムのコンピュータ支援式のシミュレーションのためにデータコンテナとして提供される。この既知の方法またはシステムは、特に、モジュール式のプロセス設備のバーチャルな運用開始を可能にする。その際、特に、さまざまな操作行為、さまざまなシステム仕様、および/または、エラーシナリオを再現することができる。
【0007】
IEEE刊行物である非特許文献1より、履歴上のアラーム部分シーケンスの認識を、アラーム洪水を分析するための手法に利用することが既知である。この場合、制約がある従来の手法と比較して、これを克服するために新たな種類の取り組みが提示されており、この取り組みは、アラーム事象(アクティベーションと正常状態への復帰)の間の時間的な間隔において異常値を認識することと、アラームの同時アクティベーション条件と、を利用する。この取り組みは、プロセス自動化における参照基準として「テネシー・イーストマン・プロセス(英:Tennessee Eastman Process)」に依拠している。そこでは、さまざまな出所に由来する定量的および定性的な情報を利用したうえで、複雑な産業プロセスでアラーム管理手法を開発、評価するための適切なデータセットを提供するという意図が追求されている。さらに、提案されている方式では、総合的性能とロバスト性のために追加の情報を統合するのが好ましいことが示されている。従って、提案されている方式は、原因障害がアクティブである段階と、その終了に続く正常化段階とを含めて、関連し合う履歴上の異常な状況のより正確な認識を可能にする。さらに、提案されている方式が有する利点は、これまでの手法における取り組みと比較したとき、アラーム回数、伝搬速度、状況の持続時間、および因果的に独立した2つの状況の間の時間的距離によって、検知結果が影響をさほど受けないことにある。
【0008】
IEEE刊行物である非特許文献2より、モジュール式のプロセス設備でのサービスのオーケストレーションが既知であり、プロセス産業で高まっている柔軟性要求を考慮に入れるために、プロセス設備のモジュール化が1つの取り組みであるとみなされている。その場合、生産のより高い柔軟性を実現するために、各モジュールがモジュール式のプロセス設備にまとめられるが、その理由は、従来の分散型の制御システムは、生産システムの適切な柔軟性をサポートしないからである。モジュールはプロセス機能をサービスとしてカプセル化することが企図される。サービス(業務)は、状態ベースの制御によって呼出し可能かつ制御可能であることが企図される。提案されているオーケストレーションは、定義された状態モデルに基づくサービス(業務)の状態ベースの制御のための取り組みを含んでおり、当該状態モデルは、2つの事例研究と2つの異なる実装化とでテストされたものである。これは、たとえばMatlab(登録商標)、Simulink(登録商標)、Stateflow(登録商標)をベースとするシミュレーション環境と、ポンプおよび制御部の産業用の実装化である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3 650 970号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】MANCA GIANLUCA ET AL: “Detection of Historical Alarm Subsequences Using Alarm Events and a Coactivation Constraint”, IEEE ACCESS, IEEE, USA, Vol. 9, 2021年3月22日 (2021/03/22), 46851-46873頁
【非特許文献2】BLOCH, HENRY ET AL: “Orchestration of Services in Modular Process Plants”, IECON 2018 - 44TH ANNUAL CONFERENCE OF THE IEEE INDUSTRIAL ELECTRONICS SOCIETY, IEEE, 2018年10月21日 (2018/10/21), 2935-2940頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の基づく課題は、モジュール式の生産設備でのアラーム管理が自動化される、モジュール式の生産設備でアラームを管理するための方法およびシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、請求項1の前提部分に定義されている方法を前提としたうえで、請求項1の特徴部分に記載されている特徴によって解決される。
【0013】
それに加えてこの課題は、請求項5の前提部分に定義されているシステムを前提としたうえで、請求項5の特徴部分に記載されている特徴によって解決される。
【0014】
独立請求項1および5に記載の発明の基づく思想は、モジュール式の生産設備に関して、たとえば産業用自動化設備(請求項4および8参照)に関して、その製造者非依存的なモジュール式の構成と稼働のために、「プロセス機器アセンブリ<PEA>」モジュール(PEA-MD)がプログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)によって制御されて、およびプロジェクト化可能なPEAシミュレーション(PEA-SM)によってシミュレートされて、特にVDI/VDE/NAMUR2658規格に準拠して、標準化されたプロセス・オーケストレーション(PO)の過程で、「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)によりPEAモジュール記述のために生産設備(PRAL)へ統合され、アラーム管理において、
-生産設備の考えられうるエラー事例の惹起(トリガー)されたエラーに関わるモジュール式の生産設備のすべての状態をバーチャルに進行させてシミュレートし、
-その際に発生するシミュレーションエラーを、たとえば信号発生により、分からせるアラームによって、アラームメッセージの形態で付随的に記録し、アラームメッセージプロトコルを作成し、
-アラームメッセージプロトコルからアラームチェーンを識別する、または、アラームチェーンを識別し、アラームチェーンにおけるアラーム関連性を判定する、
ことにある。
【0015】
具体的には、アラーム管理は次の7つの措置で構成される:
(1)生産設備の潜在的な既知の呼出し可能な複数のエラー事例に関して複数の対応するエラーがバーチャルに惹起され(トリガされ)、その際、各々のエラー事例について、エラーが、相応のPEAモジュールアクティベーションによって、PEAシミュレーションにおいてバーチャルに惹起され、
(2)それぞれバーチャルに惹起されるエラーに帰属するシミュレーション事例が、PEAシミュレーションによってシミュレートされ、その際にそのつど少なくとも1つのシミュレーションエラーが判定され、
(3)プログラミング可能なPEA制御部によってシミュレーションエラーが認識され、引き続いてPEA制御部がシミュレーションエラーベースのすべての切換操作をそのプログラミングに応じて実行し、
(4)認識された各々のシミュレーションエラーについてアラームチェーン追跡(英:alarm chain tracing、独:Alarmkettenverfolgung)のための、少なくとも1つのアラームメッセージがPEA制御部によって生成され、
(5)すべてのエラー事例について生成されたアラームメッセージが検出され、アラームメッセージプロトコルの作成によってアラームメッセージが記録され、
(6)アラームメッセージプロトコルが分析され、この分析に基づいてアラームチェーンが識別され、または、アラームチェーンが識別されてアラームメッセージにおけるアラーム関連性が判定され、
(7)分析結果および/または判定結果が、PEAモジュール記述への埋め込みのために「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズムに伝送される。
【0016】
このようにしてアラーム管理システムで、アラーム管理措置(1)および(5)をアラームチェーン追跡コンポーネントにおいて実行し、アラーム管理措置(2)をPEAシミュレーションの間に、たとえば型式SIMITの、シミュレーションプラットフォームで実行し、アラーム管理措置(3)および(4)をPEA制御の過程で、たとえば型式SIMATIC S7-1500の、「メモリプログラマブル制御<SPS>」プラットフォームで実行し、アラーム管理措置(6)および(7)をアラームチェーン分析コンポーネントにおいて実行することができる。
【0017】
アラームチェーン追跡コンポーネントとアラームチェーン分析コンポーネントは、その際、好ましくは、
-請求項6に従い、モジュール式の生産設備でのアラーム管理の過程において、コンピュータで実施されるツール(英:computer-implemented tool、独:computerimplementiertes Werkzeug)の読取可能な不揮発性メモリに制御プログラムコマンドを有するプログラムモジュールの構成要素であり、このツールは好ましくはたとえばAPPとして構成されるコンピュータプログラム製品であり、メモリのほかに、プログラムモジュールの制御プログラムコマンドを実行する、メモリと接続されたプロセッサを有し、および/または、
-請求項7に従い、たとえば「ファクトリー・アクセプタンス・ツール<FAT>」などの、生産設備テストシステムに含まれる。
【0018】
たとえばアラームチェーントレーサーとして構成されるアラームチェーン追跡コンポーネントは、それぞれ個々のエラーシナリオの的確なコンフィグレーションと再現のために利用され、PEA制御部により生成されて維持されるアラームメッセージによって発生するすべてのアラームを、その時間的な順序で検出して記録する。すべてのエラーシナリオが完了した後、アラームメッセージが記録されたアラームメッセージプロトコルが、アラームチェーン追跡コンポーネントないしアラームチェーントレーサーから、たとえばアラームチェーンアナライザーとして構成されている、分析コンポーネントに転送される。このアラームチェーン分析コンポーネントないしアラームチェーンアナライザーが、アラームメッセージプロトコルを分析し、そこからアラームチェーンを識別し、その際にVDI/VDE/NAMUR2658規格に基づき識別されたアラームチェーンを、PEAモジュール記述へのアラームチェーンの埋め込みのために「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズムへと伝送する。
【0019】
このようにして実行されるアラーム管理は、次のような特徴を有するという利点がある。
-アラームチェーンが自動式に検出され、正しいフォーマットで保存される。
-アラームチェーンが完全に検出される。その理由は、センサおよびアクチュエータならびにプロセッサ、およびエミュレートされたPEAオートメーションからなるモデルで構成される生産設備のデジタルツインを用いて、すべてのエラー状態がPEAシミュレーションでシミュレートされることによって、「真の」生産設備のアラームチェーンと同一のアラームチェーンが、惹起されるからである。
-線形アラームチェーンだけでなく連鎖アラームチェーンも決定することができる。
-「プログラマブル・ロジック・コントローラ<PLC>」でPLCコードに変更が行われた場合、このことは、上述した自動式のアラーム管理措置をあらためて1回実行することを必要とするのみで、行われた変更によって何が変化したのか、どのような影響をそれが有するのか、を手動式に分析することを必要としない。
【0020】
本発明のその他の利点は、ただ1つの図面を参照して行う本発明の2つの実施例についての以下の説明から明らかとなる。図面は次のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、モジュール式の生産設備でアラームを管理するためのシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面は、たとえば産業用自動化設備として構成されるモジュール式の生産設備PRALでアラームを管理するためのシステムSYSを示している。アラーム管理のために、システムSYSは次のシステムコンポーネントを有している、つまり、
(i)生産設備PRALの製造者非依存的なモジュール式の構成および稼働のための「プロセス機器アセンブリ<PEA>」モジュールPEA-MD、を有している、
(ii)<PEA>モジュールPEA-MDを制御するプログラミング可能なPEA制御PEA-STを実行可能である、たとえば型式SIMATIC S7-1500の、「メモリプログラマブル制御<SPS>」プラットフォームSPS-PF、を有している、
(iii)たとえば型式SIMITの、シミュレーションプラットフォームSPF、を有しており、当該シミュレーションプラットフォームSPFでは、(たとえばアラーム管理について)プロジェクト化可能な、<PEA>モジュールPEA-MDをシミュレートするPEAシミュレーションPEA-STが実行可能であり、当該シミュレーションプラットフォームSPFは、SPS-プラットフォームSPS-PFと機能的・双方向に接続されている、
(iv)「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)を有しており、当該「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)によって、PEAモジュールPEA-MDが、好ましくはVDI/VDE/NAMUR2658規格に準拠して、標準化されるプロセス・オーケストレーションの過程で、PEAモジュール記述のために生産設備PRALに統合される、そして、
(v)生産設備テストシステムPRAL-TS、たとえば「ファクトリー・アクセプタンス・ツール<FAT>」を有しており、当該生産設備テストシステムPRAL-TSには、
-オプション「A」に従い、アラームチェーン追跡コンポーネントAKVKと、アラームチェーン分析コンポーネントAKAKとが含まれており、これらがアラーム管理のために機能的に協同作用する、または、
-オプション「B」に従い、プログラムモジュールPGMのプロセッサ可読の制御プログラムコマンドが保存されている不揮発性の読取可能なメモリSPと、プログラムモジュールPGMの制御プログラムコマンドを実行する、メモリSPと接続されたプロセッサPZとを備えるコンピュータで実施されるツールCIWであって、たとえば好ましくはAPPとして構成されるコンピュータプログラム製品CPPであるコンピュータで実施されるツールCIWが、プログラムモジュールPGMは、アラーム管理の過程で機能的に協同作用するアラームチェーン追跡コンポーネントAKVKおよびアラームチェーン分析コンポーネントAKAKを含む。
【0023】
オプション「A」に従えば、アラームチェーン追跡コンポーネントAKVKとアラームチェーン分析コンポーネントAKAKは、システムSYSのハードウェアコンポーネント(ハードウェアシステムコンポーネント)であるのに対し、オプション「B」に従えば、アラームチェーン追跡コンポーネントAKVKとアラームチェーン分析コンポーネントAKAKは、システムSYSのソフトウェアコンポーネント(ソフトウェアシステムコンポーネント)として、APPとして構成されてコンピュータで実施されるツールCIWの、ないしはコンピュータプログラム製品CPPの、プログラムモジュールPGMに含まれる。
【0024】
両方のケースにおいて、図面に示すように、ハードウェアシステムコンポーネントまたはソフトウェアシステムコンポーネントとして構成されるアラームチェーン追跡コンポーネントAKVKおよびアラームチェーン分析コンポーネントAKAKは、生産設備テストシステムPRAL-TSの構成要素である。あるいは、明示的には示していないが、ハードウェアシステムコンポーネントまたはソフトウェアシステムコンポーネントをアラーム管理の過程で、生産設備テストシステムPRAL-TSから自律して作動させることも十分に可能である。
【0025】
このようなアラーム管理および標準化されたプロセス・オーケストレーションPOの間に、アラーム管理のためのアラームチェーン追跡コンポーネントAKVKで、アラームチェーン追跡コンポーネントAKVKに保存されている、またはこれから呼出し可能である、複数の対応するエラーFHLを含む、生産設備PRALの、考慮の対象となるまたは潜在的な、すべてのエラー事例FHLFに関して、「エラー<FHL>アラームメッセージ<AM>サイクル」の枠内で、各々のエラー事例について相応のエラーが相応のPEAモジュールアクティベーションPEA-MAにより、シミュレーションプラットフォームSPFでのPEAシミュレーションPEA-SMにおいてバーチャルに惹起される。
【0026】
シミュレーションプラットフォームSPFのPEAシミュレーションPEA-SMが、これに続いて、「エラー<FHL>アラームメッセージ<AM>サイクル」の枠内で、それぞれバーチャルに惹起されたエラーに帰属するシミュレーション事例をシミュレートし、その際に、それぞれ少なくとも1つのシミュレーションエラーSMFを判定する。
【0027】
SPSプラットフォームSPS-PFのプログラミング可能なPEA制御部PEA-STが、同じく「エラー<FHL>アラームメッセージ<AM>サイクル」の枠内で、シミュレーションプラットフォームSPFのPEAシミュレーションPEA-SMとの機能的・双方向の接続を介してシミュレーションエラーSMFを認識し、これに続いて、すべてのシミュレーションエラーベースの切換操作を、そのプログラミングに応じて実行する。次いで、プログラミング可能なPEA制御部PEA-STが、実行されたミュレーションエラーベースの切換操作に基づいて、アラームチェーン追跡のために、各々の認識されたシミュレーションエラーSMFについて、少なくとも1つのアラームメッセージAMを生成する。
【0028】
次いで、「エラー<FHL>アラームメッセージ<AM>サイクル」の枠内で、アラームチェーン追跡コンポーネントAKVKが、すべてのエラー事例FHLFについて生成されたアラームメッセージAMを検出し、これらをアラームメッセージプロトコルAMPに記録し、アラームメッセージプロトコルAMPをアラームチェーン分析コンポーネントAKAKに伝送する。
【0029】
アラームチェーン分析コンポーネントAKAKにおいて、アラームメッセージプロトコルAMPがまず分析され、次いで、この分析に基づいて、アラームチェーンAKEが識別される。
【0030】
その代替として、アラームチェーン分析コンポーネントAKAKにおいて、同じくアラームメッセージプロトコルAMPがまず分析され、次いで、この分析に基づいて、同じくアラームチェーンAKEが識別され、追加的に、アラームチェーンAKEにおけるアラーム関連性AZHが判定されることも、可能である。
【0031】
このような分析の結果として、または分析と判定の結果として、アラームチェーン分析コンポーネントAKAKは、分析結果AEGおよび/または判定結果EEGを生成し、これをPEAモジュール記述への埋め込みのために「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズムMTP-MCへ伝送する。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式の生産設備でアラームを管理するための方法であって、
前記生産設備(PRAL)の製造者非依存的なモジュール式の構成と稼働のために、「プロセス機器アセンブリ<PEA>」モジュール(PEA-MD)が、プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)によって制御されて、およびプロジェクト化可能なPEAシミュレーション(PEA-SM)を用いてシミュレートされて標準化されたプロセス・オーケストレーション(PO)の過程で、「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)によりPEAモジュール記述のために前記生産設備(PRAL)へ統合され、
-前記生産設備(PRAL)の潜在的な、保存された、または読出可能な複数のエラー事例(FHLF)に関連する、複数の対応するバーチャルに惹起されるエラー(FHL)に関して、各々のエラー事例に対する前記対応するエラーが、相応のPEAモジュールアクティベーション(PEA-MA)によって前記PEAシミュレーション(PEA-SM)においてバーチャルに惹起され、
-それぞれバーチャルに惹起されるエラーに帰属するシミュレーション事例が、前記PEAシミュレーション(PEA-SM)によってシミュレートされ、その際、そのつど少なくとも1つのシミュレーションエラー(SMF)が判定され、
-前記プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)によって前記シミュレーションエラー(SMF)が認識され、引き続いて当該プログラミング可能なPEA制御部がシミュレーションエラーベースのすべての切換操作をそのプログラミングに応じて実行する、
方法において、
a)前記PEA制御部(PEA-ST)によって、認識された各々のシミュレーションエラー(SMF)についてアラームチェーン追跡のための、少なくとも1つのアラームメッセージ(AM)が、生成されること、
b)アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)によって、すべてのエラー事例(FHLF)について生成されたアラームメッセージ(AM)が検出され、アラームメッセージプロトコル(AMP)の作成と共にアラームメッセージ(AM)が記録されること、
c)アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)によって、前記アラームメッセージプロトコル(AMP)が分析され、この分析に基づいてアラームチェーン(AKE)の識別が行われ、または、アラームチェーン(AKE)が識別されて前記アラームチェーン(AKE)におけるアラーム関連性(AZH)の判定が行われること、
d)前記アラームチェーン(AKE)の前記識別での分析結果(AEG)および/または前記アラームチェーン(AKE)における前記アラーム関連性(AZH)の前記判定での判定結果(EEG)が、前記PEAモジュール記述への埋め込みのために、前記「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)へ伝送されること、
を特徴とする、方法。
【請求項2】
バーチャルにエラー惹起をすること、アラームメッセージ検出及びアラームメッセージ記録をすること、並びに、アラームチェーン識別を用いて又はアラームチェーン識別及びアラーム関連性判定を用いてアラームメッセージプロトコル分析をすること、がコンピュータで実施されて実行される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
バーチャルにエラー惹起をすること、アラームメッセージ検出及びアラームメッセージ記録をすること、並びに、アラームチェーン識別を用いて又はアラームチェーン識別及びアラーム関連性判定を用いてアラームメッセージプロトコル分析をすること、が生産設備テストシステム(PRAL-TS)によって
、実行される
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記生産設備(PRAL)は産業用自動化設備である
ことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記プロセス・オーケストレーション(PO)が、VDI/VDE/NAMUR2658規格に準拠して、標準化されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
モジュール式の生産設備でアラームを管理するためのシステム(SYS)であって、
-
前記生産設備(PRAL)の製造者非依存的なモジュール式の構成および稼働のための「プロセス機器アセンブリ<PEA>」モジュール(PEA-MD)を有し、
-プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)を有し、当該PEA制御部(PEA-ST)は
、「メモリプログラマブル制御<SPS>」プラットフォーム(SPS-PF)で、実行可能であり、当該PEA制御部(PEA-ST)によって、前記PEAモジュール(PEA-MD)が制御され、
-プロジェクト化可能なPEAシミュレーション(PEA-SM)を有し、当該PEAシミュレーション(PEA-SM)は
、シミュレーションプラットフォーム(SPF)で、実行可能であり、当該PEAシミュレーション(PEA-SM)を用いて、前記PEAモジュール(PEA-MD)がシミュレートされ、と、
-「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)を有し、
当該「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)によって、前記PEAモジュール(PEA-MD)が、標準化されたプロセス・オーケストレーション(PO)の過程で、PEAモジュール記述のために前記生産設備(PRAL)に統合され、
-前記PEAシミュレーション(PEA-SM)を有し、当該PEAシミュレーション(PEA-SM)では、前記生産設備(PRAL)の潜在的な、保存された、または読出可能な複数のエラー事例(FHLF)に関連する、複数の対応するエラー(FHL)に関して、各々のエラー事例に対する前記対応するエラーが相応のPEAモジュールアクティベーション(PEA-MA)によってバーチャルに惹起され、
-前記PEAシミュレーション(PEA-SM)を有し、当該前記PEAシミュレーション(PEA-SM)がそれぞれバーチャルに惹起されるエラーに帰属するシミュレーション事例をシミュレートし、その際にそのつど少なくとも1つのシミュレーションエラー(SMF)を判定し、
-前記プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)を有し、当該前記プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)が前記シミュレーションエラー(SMF)を認識し、引き続いてシミュレーションエラーベースのすべての切換操作をそのプログラミングに応じて実行する、
システム(SYS)において、
a)認識された各々のシミュレーションエラー(SMF)についてアラームチェーン追跡のために、少なくとも1つのアラームメッセージ(AM)を生成する前記プログラミング可能なPEA制御部(PEA-ST)と、
b)すべてのエラー事例(FHLF)について生成されたアラームメッセージ(AM)を、検出し、アラームメッセージプロトコル(AMP)に記録し、前記アラームメッセージプロトコル(AMP)をアラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)に伝送する、アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)と、
c)前記アラームメッセージプロトコル(AMP)を分析し、この分析に基づいてアラームチェーン(AKE)を識別し、または、アラームチェーン(AKE)を識別して前記アラームチェーン(AKE)におけるアラーム関連性(AZH)を判定する、前記アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)と、
d)前記アラームチェーン(AKE)の前記識別での分析結果(AEG)および/または前記アラームチェーン(AKE)における前記アラーム関連性(AZH)の前記判定での判定結果(EEG)を、前記PEAモジュール記述への埋め込みのために、前記「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)に伝送する、前記アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)と、
を特徴とする、システム。
【請求項7】
コンピュータで実施されるツール(CIW)であって、プログラムモジュール(PGM)のプロセッサ可読の制御プログラムコマンドが保存されており不揮発性の読取可能なメモリ(SP)と、前記プログラムモジュール(PGM)の制御プログラムコマンドを実行する、前記メモリ(SP)と接続されたプロセッサ(PZ)とを有し、前記プログラムモジュール(PGM)はアラーム管理の過程で前記アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)および前記アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)を含む、コンピュータで実施されるツール(CIW)
を特徴とする、請求項6に記載のシステム(SYS)。
【請求項8】
前記アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)と前記アラームチェーン分析コンポーネント(AKAK)が含まれている生産設備テストシステム(PRAL-TS)を
、
特徴とする、請求項6または7に記載のシステム(SYS)。
【請求項9】
前記生産設備(PRAL)は産業用自動化設備である
ことを特徴とする、請求項
6に記載のシステム(SYS)。
【請求項10】
前記アラームチェーン追跡コンポーネント(AKVK)が、各々のエラー事例について、前記対応するエラー(FHL)を、相応のPEAモジュールアクティベーション(PEA-MA)によって、バーチャルに惹起する、
ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム(SYS)。
【請求項11】
前記プロセス・オーケストレーション(PO)が、VDI/VDE/NAMUR2658規格に準拠して、標準化されている、
ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム(SYS)。
【請求項12】
前記コンピュータで実施されるツール(CIW)が、
コンピュータプログラム製品(CPP)である、
ことを特徴とする、請求項7に記載のシステム(SYS)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
図面は、たとえば産業用自動化設備として構成されるモジュール式の生産設備PRALでアラームを管理するためのシステムSYSを示している。アラーム管理のために、システムSYSは次のシステムコンポーネントを有している、つまり、
(i)生産設備PRALの製造者非依存的なモジュール式の構成および稼働のための「プロセス機器アセンブリ<PEA>」モジュールPEA-MD、を有している、
(ii)<PEA>モジュールPEA-MDを制御するプログラミング可能なPEA制御PEA-STを実行可能である、たとえば型式SIMATIC S7-1500の、「メモリプログラマブル制御<SPS>」プラットフォームSPS-PF、を有している、
(iii)たとえば型式SIMITの、シミュレーションプラットフォームSPF、を有しており、当該シミュレーションプラットフォームSPFでは、(たとえばアラーム管理について)プロジェクト化可能な、<PEA>モジュールPEA-MDをシミュレートするPEAシミュレーションPEA-SМが実行可能であり、当該シミュレーションプラットフォームSPFは、SPS-プラットフォームSPS-PFと機能的・双方向に接続されている、
(iv)「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)を有しており、当該「モジュールタイプパッケージ<MTP>」メカニズム(MTP-MC)によって、PEAモジュールPEA-MDが、好ましくはVDI/VDE/NAMUR2658規格に準拠して、標準化されるプロセス・オーケストレーションの過程で、PEAモジュール記述のために生産設備PRALに統合される、そして、
(v)生産設備テストシステムPRAL-TS、たとえば「ファクトリー・アクセプタンス・ツール<FAT>」を有しており、当該生産設備テストシステムPRAL-TSには、
-オプション「A」に従い、アラームチェーン追跡コンポーネントAKVKと、アラームチェーン分析コンポーネントAKAKとが含まれており、これらがアラーム管理のために機能的に協同作用する、または、
-オプション「B」に従い、プログラムモジュールPGMのプロセッサ可読の制御プログラムコマンドが保存されている不揮発性の読取可能なメモリSPと、プログラムモジュールPGMの制御プログラムコマンドを実行する、メモリSPと接続されたプロセッサPZとを備えるコンピュータで実施されるツールCIWであって、たとえば好ましくはAPPとして構成されるコンピュータプログラム製品CPPであるコンピュータで実施されるツールCIWが、プログラムモジュールPGMは、アラーム管理の過程で機能的に協同作用するアラームチェーン追跡コンポーネントAKVKおよびアラームチェーン分析コンポーネントAKAKを含む。
【国際調査報告】