(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】漏れ検出装置
(51)【国際特許分類】
G01M 3/20 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
G01M3/20 A
G01M3/20 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573641
(86)(22)【出願日】2022-05-31
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2022064685
(87)【国際公開番号】W WO2022263163
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102021115664.5
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523025551
【氏名又は名称】インフィコン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨルン・リービッヒ
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA44
2G067BB02
2G067BB22
2G067CC04
2G067CC11
2G067DD02
2G067DD27
(57)【要約】
ガス検知器(12)、真空ポンプ(14)、検査対象物用のポート(22)、及びポートとガス検知器(12)及び真空ポンプ(14)とを接続するガス管路を備えた漏れ検出装置(10)において、ポート(16)は、ポート(16)を選択的に開閉するための制御可能な隔離弁(20)を有していること、及び、ポート(16)での圧力を測定するための圧力測定装置(24)が設けられており、接続管(18)は、周囲の雰囲気からポート(16)へのガスのパルス状の流入を選択的に換気するための制御可能な換気弁(V3、V3a)を有しており、漏れ検出装置(10)は、換気弁が開かれる前の第1の時点(t1)においてポート(16)での圧力p(t1)を測定した後、換気弁をパルス状に開放して再び閉鎖し、少なくとも換気弁が閉じられた後の第2の時点t2>t1において、ポート(16)での圧力p(t2)を測定し、測定された圧力(p(t1)、p(t2))に基づいて、隔離弁(20)が開いているか、又は閉じているかを判断するように構成されていることを特徴とする漏れ検出装置(10)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス検知器(12)、真空ポンプ(14)、検査対象物用のポート(22)、及び前記ポートと前記ガス検知器(12)及び前記真空ポンプ(14)とを接続するガス管路を備えた漏れ検出装置(10)において、
前記ポート(16)は、前記ポート(16)を選択的に開閉するための制御可能な隔離弁(20)を有していること、及び、
前記ポート(16)での圧力を測定するための圧力測定装置(24)が設けられており、接続管(18)は、周囲の雰囲気から前記ポート(16)へガスを選択的にパルス状に流入させるための制御可能な換気弁(V3、V3a)を有しており、漏れ検出装置(10)は、換気弁が開かれる前の第1の時点t1において前記ポート(16)での圧力p(t1)を測定した後、前記換気弁をパルス状に開放して再び閉鎖し、少なくとも前記換気弁が閉じられた後の第2の時点t2>t1において、前記ポート(16)での圧力p(t2)を測定し、測定された圧力p(t1)、p(t2)に基づいて、前記隔離弁(20)が開いているか、又は閉じているかを判断するように構成されていることを特徴とする漏れ検出装置(10)。
【請求項2】
圧力p(t1)、p(t2)の測定値を記録し、前記換気弁(V3、V3a)を制御し、前記隔離弁の閉鎖状態の判断を自動的に行う評価ユニットを有することを特徴とする請求項1に記載の漏れ検出装置(10)。
【請求項3】
前記換気弁(V3、V3a)がスロットル(26)を介して接続管(18)に接続されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の漏れ検出装置(10)。
【請求項4】
ガス検知器(12)が質量分析計であり、真空ポンプ(14)が少なくとも2つのポンプ段を有する高真空ポンプであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の漏れ検出装置(10)。
【請求項5】
第1の換気弁(V3)及び/又は第2の換気弁(V3a)が、雰囲気に対する開口部を有しており、前記開口部は、雰囲気から漏れ検出装置(10)への粒子の侵入を減少させる細孔フィルタで閉鎖されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の漏れ検出装置(10)。
【請求項6】
ガス検知器(12)と、真空ポンプ(14)と、検査対象物(22)用のポート(16)と、前記ポート(16)を前記ガス検知器(12)及び前記真空ポンプ(14)に接続する接続管(18)と、を有する漏れ検出装置(10)を換気するための方法であって、以下のステップ:
‐第1の時点t1において前記ポート(16)での圧力p(t1)を測定するステップ、
‐周囲の雰囲気又はガス供給部から前記ポート(16)にガスをパルス状に供給するステップ、
‐前記ポート(16)へのガス供給後、少なくとも第2の時点t2>t1において圧力p(t2)を測定するステップ、
‐前記ポート(16)で測定された圧力p(t1)、p(t2)の測定値に基づいて、前記ポート(16)と前記検査対象物(22)との間の接続のために設けられ、前記ポート(16)に接続された隔離弁(20)の閉鎖状態を判断するステップ、
を有することを特徴とする方法。
【請求項7】
隔離弁(20)の閉鎖状態を判断するために、圧力p(t1)の測定値と圧力p(t2)の測定値との差が算出され、前記差が閾値以上である場合は、前記隔離弁(20)は閉じられているとみなされ、前記差が閾値未満であれば前記隔離弁(20)は開かれているとみなされることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
隔離弁(20)の閉鎖状態を判断するために、圧力測定値pを有する測定信号の一定期間における推移が、例えば信号推移の勾配及び/又は曲率を決定することによって決定され、評価されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
隔離弁(20)の閉鎖状態を判断するために、圧力測定値pを有する測定信号の一定期間における推移の数学的な微分が、例えば信号推移の一次導関数及び/又はさらなる導関数の決定によって決定され、評価されることを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
差が閾値以上である場合、及び/又は隔離弁(20)が閉じていると見なされる場合、前記ポート(16)が自動的に換気されることを特徴とする、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
差が閾値未満である場合、及び/又は隔離弁(20)が開いているとみなされる場合、前記ポート(16)が換気されないことを特徴とする、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ポート(16)へのガスの供給が、圧力p(t2)の測定の前、かつ、圧力p(t1)の測定の後で、数秒の短い時間にわたって、好ましくは1秒未満にわたって行われることを特徴とする、請求項6から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
圧力p(t2)の測定が、ポート(16)の換気後、少なくとも50ミリ秒、かつ、1秒未満の時間内で行われることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
隔離弁(20)が閉じられていると見なされる場合、漏れ検出装置(10)の換気が、ポート(16)での2つの圧力p(t1)、p(t2)の測定の間の、前記ポート(16)へのガスの供給とは異なる弁で行われることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置又は方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏れ検出装置及び漏れ検出装置を換気するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物の気密性を検査するための漏れ検出装置は、一般に、質量分析計であり得るガス検知器と真空ポンプとを有しており、真空ポンプは、質量分析計の場合には、2段ターボ分子ポンプであり、その高真空ポンプ段が質量分析計を真空にし、その補助真空ポンプ段が検査対象物のポートを真空にする。ポートは接続管を介してガス検知器及び真空ポンプに接続されている。
【0003】
検査対象物はポートに接続され、真空ポンプで真空にされる。検査対象物が密閉されていない場合、検査対象物の外側からガスが漏れ口を通って検査対象物内に到達し、そこからガス検知器に供給され、ガス検知器によって検知される。このような漏れ検出装置を換気するために、真空ポンプ、ガス検知器、検査対象物用のポートの間の接続管には、換気弁が設けられている。換気は、例えば、検査対象物がポートから分離される前に行う方が良い。とは言え、検査対象物の換気も不利になることがある。これによって、検査対象物内の圧力が変化し、検査対象物の内部が汚染される可能性があるからである。したがって、検査対象物が依然としてガス伝導状態でポートに接続されている場合、漏れ検出装置を換気することは可能な限り回避すべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、より安全で改善された換気が可能な漏れ検出装置を提供することにある。また、漏れ検出装置を換気するための対応する方法も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る漏れ検出装置は、請求項1の特徴によって定義される。本発明に係る方法は、請求項5の特徴によって定義される。
【0006】
ポート又はポートとガス検知器及び真空ポンプとを接続する接続管には、ポートでの圧力を測定するように構成された圧力測定装置が設けられている。接続管にはさらに、選択的に制御可能である換気弁も設けられている。圧力測定装置を用いて、ポートでの圧力p(t1)が測定され、その後、換気弁がパルス状に短時間開かれ、その後再び閉じられるので、短いパルスが持続する間、周囲の雰囲気からのガスが接続管及びポートに流入する。接続管及びポートは、漏れ検出装置の入口領域と称され得る。この際、空気又はガスの入口領域への流入は、換気弁を通じて、数百ミリ秒、好ましくは1秒未満又は500ミリ秒未満の短時間にわたって行われる。ガスが流入した後、ポートでの圧力p(t2)が測定される。圧力p(t2)の測定は、好ましくは換気の後数百ミリ秒後、好ましくは50ミリ秒から1秒の間、好ましくは換気の後約200ミリ秒後に行われる。測定された圧力p(t1)、p(t2)に基づいて、ポートに接続された隔離弁の閉鎖状態が自動的に判断される。隔離弁は、ポートと検査対象物との間のガス伝導接続に設けられている。
【0007】
隔離弁が閉じている場合、ポートには隔離弁が開いている場合とは異なる圧力p(t1)、p(t2)が生じる。ポートに接続される体積は隔離弁が閉じている場合よりも大きいからである。これは、圧力p(t1)、p(t2)に基づいて自動的に判断され得る。
【0008】
好ましくは、換気弁を通じた漏れ検出装置の自動換気は、隔離弁が閉じていると認識された場合にのみ行われる。したがって、隔離弁が開いていると認識された場合、漏れ検出装置の自動換気は停止される。
【0009】
閉鎖状態を認識するために、有利には、2つの圧力p(t1)、p(t2)の測定値の差が算出され得る。差が所定の又は調整可能な閾値以上である場合、隔離弁は閉じているとみなされ、漏れ検出装置の換気が行われ得る。差が閾値より小さい場合、換気弁は開いているとみなされ、漏れ検出装置の換気は、好ましくは自動的に防止又は停止される。
【0010】
代替的又は付加的に、隔離弁の閉鎖状態の判断は、例えば、信号推移の勾配及び/又は曲率の決定によって、一定期間にわたる圧力センサの測定信号の推移に基づいて行われ得る。代替的又は付加的に、隔離弁の閉鎖状態の判断は、例えば、信号推移の一次導関数及び/又はさらなる導関数の決定によって、一定期間にわたる圧力センサの測定信号の推移の数学的な微分に基づいて行われ得る。この際、導関数の閾値との比較が行われ得る。
【0011】
本発明に係る方法は、有利には、隔離弁が閉じている場合にのみ換気を可能にするために、漏れ検出装置の使用者が、例えば対応するキー又は操作要素を操作することによって、漏れ検出装置の換気を開始した後で実施される。
【0012】
以下において、図を参照して本発明の実施例をより詳細に説明する。図は、実施例の概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
漏れ検出装置10は、質量分析計の形態であるガス検知器12と、ガス検知器12を真空にするためにガス検知器12に接続される2段式の真空ポンプ14と、を有している。ポート16は、接続管18を介して真空ポンプ14及びガス検知器12にガス伝導するように接続されており、第1のポンプ段は、補助真空ポンプを形成し、ポート16及びポート16に接続された検査対象物22を真空にするために接続管18を介して設けられており、他方、高真空ポンプの形態である第2のポンプ段の中間ガス入口も、検査対象物22からのガスを対向流において質量分析計に流入させるために、接続管18を介してポート16に接続されている。
【0015】
接続管18は、漏れ検出装置10を換気するための換気弁V3に接続されている。換気弁V3は雰囲気に対して開放されている。本発明は、ポート16を検査対象物22に接続するガス伝導接続に設けられた、ポート16に接続された隔離弁20が、検査対象物22の換気を防止するために閉鎖されていることが認識された場合にのみ、弁V3が漏れ検出装置を完全に換気するために開放され、開放され得ると規定している。有利には、漏れ検出装置10内及び検査対象物22内への雰囲気からの粒子の侵入を減少させるために、雰囲気に対して開放されている第1の換気弁V3及び/又は第2の換気弁V3aの端部には、図示されていない細孔フィルタが設けられている。
【0016】
このために、図示していない制御評価装置が設けられており、制御評価装置は、ガス伝導接続及びポート16に接続された圧力測定装置24と、第1の換気弁V3と、スロットル26を介して同様に接続管18及びポート16に接続された第2の換気弁V3aと、に電子的に接続されている。漏れ検出装置10の使用者が、例えば漏れ検出装置10の対応するキー又は制御盤を操作することによって、第1の換気弁V3を開く電子命令を生成した後、ポート16での圧力p(t1)がまず圧力測定装置24によって測定される。この際、ポンプポートに対して全ての弁は閉じられているか、又は予め閉じられる。次に、第2の換気弁V3aが数百ミリ秒の間の短時間、自動的に開かれた後、再び閉じられる一方で、第1の換気弁V3は引き続き閉じられており、これによって、ポート16に短いガスパルスが供給される。第2の換気弁V3aの閉鎖から約200ミリ秒後に、ポート16での圧力p(t2)が圧力測定装置24を用いて測定される。
【0017】
次に、評価装置を用いて、2つの圧力p(t1)、p(t2)の測定値の差が算出され、算出された差p(t2)-p(t1)は、所定の閾値と比較される。閾値は、予め決定されていてよい、及び/又は、オペレータによって予め選択され得る。閾値は、予想される圧力上昇から決定される。予想される圧力上昇は、スロットル26を通るコンダクタンス又はガスフローQ、閉じた弁20とV1との間のセグメントにおける接続管18の体積V、及び弁V3aの開放時間tから導出される。予想される圧力上昇は以下のように算出される:
【0018】
【0019】
好ましくは、閾値は予想される圧力上昇の約半分、すなわちガスフローQ=1mbar・l/s、体積1L、弁開放時間t=100msの場合、約0.05mbarである。
【0020】
差が閾値を超えるか、又は閾値に等しい場合、隔離弁20は自動的に、閉じられているとみなされる。閾値を超える大きな差は、つまり、ポート16を超える体積が小さいことを示している。他方、差が閾値を下回る場合、ポート16を超える体積が大きいことを示し、評価装置は自動的に隔離弁20が開いていると見なす。この場合、隔離弁20が開いているにもかかわらず、第1の換気弁V3の開放が阻止されるか、又は第1の換気弁V3の開放が実際に行われるべきかどうかが使用者に問われる。隔離弁20が閉じていると認識された場合、第1の換気弁V3は自動的に開かれる。
【0021】
図示されていない別の実施形態例では、ポート16の換気は、2つの圧力p(t1)、p(t2)の測定の間に、漏れ検出装置10の換気と同じく第1の換気弁V3を用いて行われる。この場合、別個の第2の換気弁V3aは必要ない。
【0022】
したがって、本発明は、隔離弁20が開いていて、検査対象物22が接続されている場合に、漏れ検出装置10の過誤による換気を防止し、これによって、検査対象物22の換気を防止する。このために、ポート16で圧力p(t1)を測定した後、ポート16で第2の圧力p(t2)を測定する前に、ポート16のいわば試験的な換気が行われる。試験的な換気とそれに伴うポート16での圧力上昇とに基づいて、隔離弁20の閉鎖状態が決定され、これによって、隔離弁20が閉じている場合にのみ、漏れ検出装置10の換気が許容される。
【符号の説明】
【0023】
10 漏れ検出装置
12 ガス検知器
14 真空ポンプ
16 ポート
18 接続管
20 隔離弁
22 検査対象物
24 圧力測定装置
26 スロットル
p(t1)、p(t2) 圧力
Q ガスフロー
t 弁の開放時間
V3 第1の換気弁
V3a 第2の換気弁
【図】
【国際調査報告】