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特表2024-524886脂肪を担体として用いプロバイオティクスでドライキブルをコーティングする方法、及びかかる方法によって作製されたコーティングされたキブル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】脂肪を担体として用いプロバイオティクスでドライキブルをコーティングする方法、及びかかる方法によって作製されたコーティングされたキブル
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/18 20160101AFI20240702BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20240702BHJP
   A23K 50/42 20160101ALI20240702BHJP
【FI】
A23K10/18
A23K20/158
A23K50/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576129
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 IB2022055359
(87)【国際公開番号】W WO2022263976
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,103
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】フィリピ, アイヴァン
(72)【発明者】
【氏名】コエーリョ, タレス
(72)【発明者】
【氏名】シャーフ, ジョン
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA02
2B005AA06
2B005LA06
2B005LB06
2B005MB02
2B005MB09
2B150AA06
2B150AB20
2B150AC03
2B150AC06
2B150AC07
2B150AC08
2B150AC24
2B150AE06
2B150AE12
2B150BE04
2B150CD02
2B150CE02
2B150CE04
2B150CE05
2B150CE11
2B150CE12
2B150CJ02
2B150CJ08
2B150DA35
2B150DA37
2B150DA56
2B150DA57
2B150DE01
2B150DH35
(57)【要約】
ペットフード製品を作製する方法は、次の工程:(a)1つ以上のプロバイオティクスを含有する粉末と(b)液体脂肪の第1の部分とを、高剪断ミキサーを使用して混合して、液体脂肪の第1の部分中に分散された1つ以上のプロバイオティクスを含有する液体混合物を形成する工程と、液体脂肪の第2の部分と液体混合物とを混合して、1つ以上のプロバイオティクスと液体脂肪の第1の部分及び第2の部分とを含有するコーティング組成物を形成する工程と、バッチ又は連続コーティング装置を使用してコーティング組成物で食品キブルをコーティングして、ペットフード製品を形成する工程と、を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットフード製品を作製する方法であって、次の工程:
(a)1つ以上のプロバイオティクスを含む粉末と、(b)液体脂質の第1の部分とを高剪断ミキサーを使用して混合して、前記液体脂質の第1の部分中に分散された前記1つ以上のプロバイオティクスを含む液体混合物を形成する工程と;
前記液体混合物をデイタンクへと移送する工程と;
前記デイタンクから下流かつコータから上流の流体ライン内の位置で静的ミキサーを使用して、液体脂質の第2の部分と前記デイタンクからの前記液体混合物とを混合して、前記1つ以上のプロバイオティクスと前記液体脂質の第1の部分及び第2の部分とを含むコーティング組成物を形成する工程と;
前記コータを使用して前記コーティング組成物で食品キブルをコーティングして、前記ペットフード製品を形成する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
(a)1つ以上のプロバイオティクスを含む粉末と、(b)液体脂質の第1の部分とを混合する前記工程が、前記高剪断ミキサーを有して構成されたバッチタンクを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高剪断ミキサーが、前記バッチタンク内に構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記高剪断ミキサーが、前記バッチタンクとインラインで構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記コータが、バッチコータである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記コータが、連続コータである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記デイタンクが、撹拌機及び再循環ループを備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記再循環ループが、ポンプを備え、かつ前記液体混合物の再循環が、前記ポンプを使用する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記食品キブルの前記コーティングが、前記コータを使用して前記食品キブル上に前記コーティング組成物を噴霧する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
脂質貯蔵タンクを更に含み、前記脂質貯蔵タンクが、前記液体脂質の第1の部分を供給し、かつ前記方法が、前記液体脂質の第1の部分を前記脂質貯蔵タンクから前記バッチタンクへと移送する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記脂質貯蔵タンクがまた、前記液体脂質の第2の部分も供給し、かつ前記方法が、前記液体脂質の第2の部分を前記脂質貯蔵タンクから、前記デイタンクから下流かつ前記静的ミキサーから上流の前記流体ライン内の前記位置へと移送する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記液体脂質の第2の部分と前記デイタンクからの前記液体混合物との組合せが、前記流体ラインにおける前記静的ミキサー中で均質化に供されて、前記コーティング組成物を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記液体混合物中の前記1つ以上のプロバイオティクスの濃度が、約1.5%~約15%である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記コーティング組成物が、前記液体脂質の第1の部分及び第2の部分によって規定される総脂質体積を有し、かつ前記高剪断ミキサー内で前記粉末と混合される前記液体脂質の第1の部分が、前記コーティング組成物の総脂質体積の約1%~約95%である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記液体脂質が、脂肪である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記脂肪が、有機酸を含む酸性化された脂肪である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記液体脂質が、油である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記液体脂質が、獣脂、鶏脂、食用ラード、植物油、又はこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
計量フィーダ又は手動フィーダを使用して、前記粉末を前記バッチタンク又は前記高剪断ミキサーへと投入する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上のプロバイオティクスを含む前記粉末が、任意の他の活性成分を含有しない、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記液体脂質の第1の部分及び第2の部分が、前記液体脂質の第1の部分及び第2の部分中に他の原材料を一切含まずに、前記バッチタンク及び前記流体ラインへとそれぞれ投入される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記液体混合物中のプロバイオティクス濃度を示す、前記流体ラインにおける流量計からのデータに基づいて、第1の投入ポンプによって前記流体ライン内への又は前記流体ラインを通る前記液体混合物の流速を制御する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記液体混合物の前記流速及び前記液体脂質の第2の部分の前記流速により、前記コーティング組成物中の前記1つ以上のプロバイオティクスの濃度が、前記1つ以上のプロバイオティクスの予め定められた目標濃度に実質的に等しくなるように、第2の投入ポンプによって前記流体ライン内への又は前記流体ラインを通る前記液体脂質の第2の部分の流速を制御する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の方法によって作製された、コーティングされたペットフードキブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は2021年6月16日に出願された米国特許仮出願第63/211103号の権益及び優先権を主張するものであり、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]プロバイオティクスは、もともと熱及び水分に感受性である生きた微生物である。微生物は、押出及びレトルトなどのHTST(高温/短時間)操作を含むペットフード加工条件に耐えることができない。この問題に対処する1つの方法は、粉末消化物とプロバイオティクスとのドライコーティングブレンドを使用することである。しかしながら、乾燥消化物は、液体消化物よりも著しく高価である。更に、この方法にはばらつきがある可能性があり、場合によっては、目標量への到達を確保するために過剰量での使用が必要とされる。
【0003】
[発明の概要]
[0003]出願人は、プロバイオティクスを脂質に組み入れた後で食用製品のコーティングに使用することで、生細胞に追加の保護を加えて時期尚早な発芽を防止することを認識した。追加的な利点は、最終製品におけるプロバイオティクスの回収率である。このプロセスは、特に工業規模の用途において、どのようにしてプロバイオティクスを脂質中に均一に分布させ続けるかに挑戦する。例えば、ドライペットフードの工場では、コーティングプロセスで必要とされる脂質の総体積は50ガロン/分(gpm)を超える可能性があり、かつ凝集、脂質分解、及び/又は一貫した投入なしに、プロバイオティクスを長期間にわたり懸濁状態で維持する効率的なブレンドは、非実用的であり得る。
【0004】
[0004]本開示は、概して、1つ以上のプロバイオティクスを含むコーティング組成物で食品キブルをコーティングする方法に関する。より具体的には、本開示は、液体脂質の第1の部分を用いて1つ以上のプロバイオティクスの濃縮分散液を調製する工程と、次いで、1つ以上のプロバイオティクスの濃縮分散液と液体脂質の第2の部分とを混合してコーティング組成物を形成する工程と、を含む方法を対象とし、前記コーティング組成物は食品キブルに噴霧することができる。
【0005】
[0005]したがって、本開示の一態様は、(a)1つ以上のプロバイオティクスを含む粉末と、(b)液体脂質の第1の部分とを高剪断ミキサーを使用して混合して、液体脂質の第1の部分中に分散された1つ以上のプロバイオティクスを含む液体混合物を形成する工程を含む、ペットフード製品を作製する方法である。本方法はまた、液体混合物をデイタンクへと移送する工程を含み得る。本方法は、液体脂質の第2の部分をデイタンクからの液体混合物とインラインで混合して、コーティング組成物を形成する工程を更に含んでもよい。液体脂質の第2の部分とデイタンクからの液体混合物との混合は、デイタンクから下流かつコータから上流の流体ラインで行われてもよく、かつ静的ミキサーを使用して均一なブレンドを促進してもよい。本方法は、食品キブルをコーティング組成物でコーティングして、ペットフード製品を形成する工程を更に含んでもよい。
【0006】
[0006]本開示の別の態様は、本明細書に開示された方法によって作製された、コーティングされたペットフードキブルである。
【0007】
[0007]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の利点は、食品キブル上に1つ以上のプロバイオティクスを含む、均一で一貫したコーティングである。
【0008】
[0008]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、1つ以上のプロバイオティクスを含む組成物で食品キブルをコーティングする、経時的に安定な方法である。
【0009】
[0009]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、最終食品製品(例えば、食品キブル)中のプロバイオティクスの、予め定められた最小濃度を確保することである。
【0010】
[0010]本開示によって提供される1つ以上の実施形態の別の利点は、過剰量の使用を必要とせずに、最終食品製品(例えば、食品キブル)中のプロバイオティクスの、予め定められた最小濃度を確保して、コスト削減を実現することである。
【0011】
[0011]追加の特徴及び利点を本明細書に記載する。これらは、以降の発明を実施するための形態及び図面から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本明細書に開示されるシステムの一実施形態の基本的なプロセスフロー図である。
図2a図2a及び図2bは、本明細書に開示される実施例1.1について、脂質試料中に回収されたプロバイオティクスの量を示すグラフである。
図2b図2a及び図2bは、本明細書に開示される実施例1.1について、最終製品中で回収されたプロバイオティクスの量を示すグラフである。
図3a図3a及び図3bは、本明細書に開示される実施例1.4について、最終製品中に回収されたプロバイオティクスの量を示すグラフである。
図3b図3a及び図3bは、本明細書に開示される実施例1.4について、脂質中に回収されたプロバイオティクスの量を示すグラフである。
図4a図4a及び図4bは、本明細書に開示される実施例1.4について、最終製品中に回収されたプロバイオティクスの量を示すグラフである。
図4b図4a及び図4bは、本明細書に開示される実施例1.4について、脂質試料中に回収されたプロバイオティクスの量を示すグラフである。
図5a図5a及び5bは、本明細書に開示される実施例1.5について、脂質試料及び酸性化脂質試料中に回収されたプロバイオティクスの量、並びにBC30及びカルスポリン(登録商標)のそれぞれの組成物のpHを示すグラフである。
図5b図5a及び5bは、本明細書に開示される実施例1.5について、脂質試料及び酸性化脂質試料中に回収されたプロバイオティクスの量、並びにBC30及びカルスポリン(登録商標)のそれぞれの組成物のpHを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0017]本開示及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」には、別段の指示がない限り、複数の参照物も含まれる。したがって、例えば、「化合物(a compound)」又は「化合物(the compound)」への言及は、単一の化合物、及びまた2つ以上の化合物も含む。
【0014】
[0018]用語「含む/備える(comprise)」、「含む/備える(comprises)」、及び「含んでいる/備えている(comprising)」は、排他的なものではなく、他を包含し得るものとして解釈されるべきである。同様にして、用語「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは他を包含し得るものであると解釈されるべきである。しかしながら、本明細書において開示される組成物には、具体的に開示されない任意の要素が存在しない場合がある。したがって、「含む/備える(comprising)」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている構成要素「から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態、及び特定されている構成要素「からなる(consisting of)」実施形態の開示を含む。同様にして、本明細書で開示される方法には、本明細書において具体的に開示されない任意の工程が存在しない場合がある。したがって、「含む/備える(comprising)」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている工程「から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態、及び特定されている工程「からなる(consisting of)」実施形態の開示を含む。本明細書で開示される任意の実施形態は、本明細書で開示される任意の他の実施形態と組み合わせることができる。
【0015】
[0019]「X又はYのうち少なくとも1つ」及び「X及び/又はY」の文脈でそれぞれ使用される「少なくとも1つ」及び「及び/又は」という用語は、「YなしのX」又は「XなしのY」又は「XとYの両方」と解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、特に用語のリストが続く場合の「例」及び「など」という用語は、単に解説および例示のためのものであり、排他的又は包括的であると見なされるべきではない。
【0016】
[0020]本明細書に記載する全ての百分率は、別途記載のない限り、組成物の総重量によるものである。本明細書で使用するとき、「約」は、ある数値範囲の数字、例えば、参照する数字の-10%~+10%、好ましくは参照する数字の-5%~+5%以内、より好ましくは参照する数字の-1%~+1%以内、最も好ましくは参照する数字の-0.1%~+0.1%以内の範囲の数字を指すものと理解されたい。
【0017】
[0021]用語「食品」、「食品製品」、及び「食品組成物」とは、動物による摂取を意図し、その動物に少なくとも1種の栄養素を提供する、製品又は組成物を意味する。用語「動物」又は「ペット」は、本開示によって提供される食品組成物及び食品製品から利益を得るか、又はこれらを楽しむことができる任意の動物を意味する。ペットは、鳥類、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヤギ、オオカミ、ネズミ、ヒツジ、又はブタ等の動物であり得る。ペットは、任意の好適な動物であり得、本開示は、特定のペット動物に限定されない。用語「コンパニオンアニマル」とは、イヌ又はネコを意味する。
【0018】
[0022]用語「ペットフード」は、ペットに摂取されるように配合された任意の組成物を意味する。「ドライ」フード組成物は、10重量%未満の水分及び/又は0.64未満の水分活性を有し、好ましくは両方を有する。「セミモイスト」フード組成物は、11重量%~20重量%の水分及び/又は0.64~0.75の水分活性を有し、好ましくは両方を有する。「ウェット」フード組成物は、20重量%超の水分及び/又は0.75を超える水分活性を有し、好ましくは両方を有する。
【0019】
[0023]「キブル」とは、ペレットの形状又は他のいずれかの形状を有し得る、ドライペットフードの片である。キブルの非限定例としては、粒子状のもの;ペレット;ペットフード、脱水肉、肉類似物、野菜、及びこれらの組み合わせの小塊;並びに肉若しくは野菜のジャーキー、ローハイド、及びビスケットなどのペットスナックが挙げられる。本開示は、キブルの特定の形態に限定されない。
【0020】
[0024]「プロバイオティクス」は、宿主の健康又は幸福(well-being)に有益に働く微生物細胞調製物又は微生物細胞成分を意味する。(Salminen S、Ouwehand A.Benno Y.et al.、「Probiotics:how should they be defined」、Trends Food Sci.Technol.、1999:10 107-10)。
【0021】
[0025]本明細書で使用される「脂質」という用語は、水に不溶性であるが、非極性有機溶媒に可溶性である、有機化合物のクラスを指す。非限定的な例としては、脂肪及び油が挙げられる。場合によっては、「脂質」及び「脂肪」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0022】
[0026]本明細書で開示される方法及び組成物並びに他の進歩は、当業者により認識されるとおり変更可能であるので、特定の方法、手順、及び試薬に限定されるものではない。更に、本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を記載することのみを目的とするものであり、開示又は請求の範囲を制限するものではない。
【0023】
[0027]別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語、専門用語、並びに頭字語は、本開示の分野の当業者により、又は用語が用いられている分野において、一般的な理解がなされている意味を有している。本明細書に記載のものと類似する又は等価の任意の組成物、方法、製品、又はその他の手法若しくは材料を使用できるが、例示的な装置、方法、製品、又はその他の手法若しくは材料を本明細書において記載する。
【0024】
[0028]以下、本開示によって提供される実施形態について説明する。本開示の一態様は、ペットフード製品を作製する方法であって、本方法は、(a)1つ以上のプロバイオティクスを含む粉末と、(b)液体脂質の第1の部分とを高剪断ミキサーを使用して混合して、液体脂質の第1の部分中に分散された1つ以上のプロバイオティクスを含む液体混合物を形成する工程を含む。
【0025】
[0029]本方法は、液体混合物をデイタンクへと移送する工程を更に含む。
【0026】
[0030]本方法は、デイタンクから下流かつコータから上流の流体ライン内の位置で、液体脂質の第2の部分と液体混合物とを混合して、1つ以上のプロバイオティクスと液体脂質の第1の部分及び第2の部分とを含むコーティング組成物を形成する工程を更に含む。
【0027】
[0031]本方法は、コータを使用してコーティング組成物で食品キブルをコーティングして、ペットフード製品を形成する工程を更に含む。
【0028】
[0032]いくつかの実施形態では、(a)1つ以上のプロバイオティクスを含む粉末と、(b)液体脂質の第1の部分とを混合する工程は、高剪断ミキサーを有して構成されたバッチタンクを備えている。いくつかの実施形態では、高剪断ミキサーは、バッチタンク内に構成されている。他の実施形態では、高剪断ミキサーは、バッチタンクとインラインで構成されている。
【0029】
[0033]いくつかの実施形態では、食品キブルをコーティング組成物でコーティングする工程は、バッチコータを含む。いくつかの実施形態では、コーティング組成物で食品キブルをコーティングする工程は、連続コータを含む。
【0030】
[0034]いくつかの実施形態では、デイタンクは、撹拌機及び再循環ループを備えている。一実施形態では、再循環ループは、ポンプを備えており、かつ液体混合物の再循環は、ポンプを使用する工程を含む。
【0031】
[0035]いくつかの実施形態では、食品キブルのコーティングは、コータを使用して食品キブル上にコーティング組成物を噴霧する工程を含む。
【0032】
[0036]いくつかの実施形態では、脂質の主貯蔵タンクは、液体脂質の第1の部分を供給し、本方法は、液体脂質の第1の部分を主要脂質貯蔵タンクからバッチタンクへと移送する工程を含む。いくつかの実施形態では、脂質の主貯蔵タンクは、液体脂質の第2の部分もまた供給する(例えば、液体脂質の第1の部分及び第2の部分は、獣脂(tallow)、鶏脂、食用ラード、植物油、又はこれらの混合物などの、脂質タンクによって供給される同じ種類の脂質である)。そのような実施形態では、本方法は、液体脂質の第2の部分を、脂質の主貯蔵タンクから、デイタンクから下流かつ静的ミキサーから上流の流体ライン内の位置へと移送する工程を含む。
【0033】
[0037]いくつかの実施形態では、液体脂質の第2の部分の組合せ、及び液体混合物は、流体ラインにおける静的ミキサー中で均質化に供されて、コーティング組成物を形成する(例えば、バッチタンク及び/又はデイタンクから下流、かつコータから上流)。
【0034】
[0038]いくつかの実施形態では、液体混合物中の1つ以上のプロバイオティクスの濃度は、約1.5%~約15%である。
【0035】
[0039]いくつかの実施形態では、コーティング組成物は、液体脂質の第1の部分及び第2の部分によって規定される総脂質体積を有し、かつ粉末と混合される液体脂質の第1の部分は、コーティング組成物の総脂肪体積の約1%~約95%である。
【0036】
[0040]いくつかの実施形態では、本方法は、計量フィーダ又は手動フィーダを使用して、粉末を、バッチタンク又は高剪断ミキサーのうち少なくとも1つへと投入する工程を含む。
【0037】
[0041]いくつかの実施形態では、1つ以上のプロバイオティクスを含む粉末は、粉末形態の追加の活性成分を含有する。非限定的な例としては、粉末消化物、ピロリン酸四ナトリウム(TSPP)、テクスチャード・ベジタブル・プロテイン(texturized vegetable protein、TVP)、乾燥ホウレンソウ、チアシード、古穀物(例えば、キビ、キヌア、スペルト、アマランス、又はテフ)、ソバ、ソルガム、乾燥動物消化物(DAD)、酵母、種子、全卵、卵黄、初乳、オート麦、マッシュルーム、ビタミン類、ミネラル類、着色剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
[0042]一実施形態では、粉末は、他の活性成分を一切含有しない。別の実施形態では、粉末は、1つ以上のプロバイオティクスから本質的になる。
【0039】
[0043]いくつかの実施形態では、液体脂質の第1の部分及び第2の部分は、液体脂質(すなわち、純粋な脂質)の第1の部分及び第2の部分中に他の原材料を一切含まずに、バッチタンク及び流体ラインへとそれぞれ投入される。いくつかの実施形態では、本方法は、液体混合物中のプロバイオティクス濃度を示す、流体ラインにおける流量計からのデータに基づいて、第1の投入ポンプによって、流体ライン内への又は流体ラインを通る液体混合物の流速を制御する工程を更に含む。いくつかの実施形態では、本方法は、液体混合物の流速及び液体脂肪の第2の部分の流速により、コーティング組成物中の1つ以上のプロバイオティクスの濃度が、1つ以上のプロバイオティクスの予め定められた目標濃度に実質的に等しくなるように、第2の投入ポンプによって、流体ライン内への又は流体ラインを通る液体脂肪の第2の部分の流速を制御する工程を含む。
【0040】
[0044]本開示の別の態様は、本明細書に開示された任意の方法によって作製された、コーティングされたペットフードキブルである。
【0041】
[0045]本明細書で後に開示される実験的研究は、プロバイオティクスを脂肪中に組み入れること、及びキブルをコーティングするためにかかる混合物を用いることが実現可能な解決策であり、かつ最終製品中の生細胞の優れた回収率について一貫した結果をもたらすことを示した。この方法はまた、経時的に安定であり、かつプロバイオティクスでキブルを均一にコーティングすることができる。
【0042】
[0046]一実施形態では、システムは、プロバイオティクスを脂質(例えば、バッチタンク)でバッチ処理するための専用タンクを有する。プロバイオティクスを脂質中に分散させるために、タンク内に高剪断ミキサーが構成される。高剪断ミキサーは、溶液中の固体を効率的に均質化及び懸濁することができる。1つ以上のプロバイオティクスを含む粉末は、ホッパー及び計量フィーダ、例えば重量減少フィーダ又は重量測定フィーダなどを使用してバッチタンクへと供給される。あるいは、手動フィーダが使用される。
【0043】
[0047]別の実施形態では、プロバイオティクスと脂質との混合は、バッチタンクとインラインで構成された高剪断ミキサー内で行われる。このような実施形態では、高剪断ミキサーはインラインミキサーであり、かつミキサーを介してバッチタンクから高速度で液体を再循環させる。このミキサーは粉末が供給されるホッパーを有しており、ホッパーの底部の弁が開いたときに、粉末は液体流へと押し込まれる。粉末及び液体がミキサーの高剪断ゾーンへと真っ直ぐに導入(introduced straight into)されると、これらは機械的剪断及び水圧剪断を使用して即時に組み合わされる。いくつかの実施形態では、高剪断ミキサー内の流速は、500lb/分と高い。このような実施形態では、高剪断ミキサーをバッチタンクの近くに構成することが有利である。
【0044】
[0048]バッチタンクは、ポンプを備える再循環ループを更に備えてもよい。再循環ループは、脂肪中のプロバイオティクス分散のため、プロバイオティクスの沈降及び凝集を最小限に抑える追加の移動源を提供する。両方のシナリオにおける混合時間は、生細胞の完全性及び混合均一性を保証するために、最大10分及び最小30秒までで制限され得る。
[0049]いくつかの実施形態では、液体脂質の第1の部分と混合された1つ以上のプロバイオティクスは、バッチタンク内で形成された約1.5重量%~約15.0重量%の液体混合物であるが、しかしより高い濃度もまた企図される。溶液中のプロバイオティクスの最大濃度を使用してタンクサイズを規定することができ、高濃度溶液は必要な流速を減少させ、その結果、より小さいサイズのタンクを使用することができる。
【0045】
[0050]プロバイオティクス成分は、ペットによる飲食に好適であり、かつペットの消化管内の微生物バランスを改善するのに有効な、又はペットに対して疾患若しくは状態の緩和若しくは予防などの他の利益のために有効な、1つ以上の細菌微生物を含み得る。様々なプロバイオティクス微生物が当技術分野で公知である。特定の実施形態では、プロバイオティクス成分は、バチルス属(Bacillus)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)(例えば、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)DSM10663及びエンテロコッカス・フェシウムSF68)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ロイコノストロク属(Leuconostroc)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、及びこれらの混合物の細菌、酵母、又は微生物から選択され得る。他の実施形態では、プロバイオティクスは、ビフィドバクテリウム属、ラクトバチルス属、及びこれらの組合せから選択されてもよい。バチルス属のものは胞子を形成し得る。
【0046】
[0051]いくつかの実施形態では、プロバイオティクスは、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)GBI-30(BC30)を含む。BC30は、保護胞子を形成する能力を有する、安定なプロバイオティクス細菌B.コアグランスの株である。このシェル(This shell)は、過酷な製造方法及び原材料の保存可能期間の延長に耐える能力を与える。BC30はGaneden Inc.から市販されており、米国食品医薬品局(U.S Food and Drug administration:FDA)によって安全(GRAS)だと一般に認識されており、最小濃度150億(1.5E+10)cfu/グラム及び保存可能期間24ヶ月を有する。
【0047】
[0052]いくつかの実施形態では、プロバイオティクスは、全天然(all-natural)バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)(細菌C-3102)であるカルスポリン(登録商標)などのバチルス・スブチリスを含み、かつラクトバチルス属及びビフィドバクテリウム属のような有益な腸内生物を増加させることが調査研究で示されている。過去には、プロバイオティクスは飼料生成において不安定であるという欠点を有しており、この問題は胞子形成プロバイオティクスによって対処された。B.スブチリスC-3102が胞子に変わると、胞子の周囲にはタンパク質の二層が形成され、これらの層が環境ストレス要因から細菌を保護することで、細菌は非常に熱安定性になり、生存性を低下させることなく最大90℃(194°F)で容易にペレット化させることができる。B.スブチリスC-3102は、Quality Technology International,Inc.から市販されており、10億CFU/g~300億(3.00 E+10)CFU/gの濃度を有し、未開封のバッグでは最大36ヶ月、及び開封済みのバッグでは最大6ヶ月の保存可能期間を有し、米国食品医薬品局(FDA)によって一般に安全(GRAS)だと認識されている。他の実施形態では、プロバイオティクスは胞子を形成しない。
【0048】
[0053]用語「コロニー形成単位(CFU)」とは、生存可能な細菌又は真菌の数の尺度である。生細胞だけでなく死細胞もまた含む直接顕微鏡法計数とは異なり、CFUは生細胞を計数する。CFUは、通常、CFUを含む材料の単位当たりのCFUとして得られる。したがって、CFUは、通常、コロニー形成単位を含む物質のCFU/L又はCFU/gで得られる。CFU材料は、通常、既知量を好適な液体に懸濁することによって評価される。次いで、この液体を、好適な増殖培地である液体を用いて更に希釈し、例えば、プレート又は好適な代替の透明寒天に播種することができる。例えば、二十四(24)時間の培養後に、寒天培地上に形成されたコロニーの数により、その物質のCFUを計算することができる。
【0049】
[0054]プロバイオティクス(複数可)と脂質との濃縮混合物は、脂質の別の部分を供給する脂質パイプラインと組み合わせることができる。一実施形態では、プロバイオティクスの濃縮混合物の希釈は、コータ装置の直前で行われる。静的ミキサーを使用して、プロバイオティクス脂質混合物を主要ラインからの追加の脂質とブレンドすることができる。コータ用のプロセッサ又はコントローラは、両方の流れからの流速を調整して、目標量のプロバイオティクス及び脂質を送り込むことができる。一実施形態では、本方法は、バッチプロセスである。この実施形態では、バッチタンクは、主要ラインからの追加の脂質と直接組み合わされるプロバイオティクス脂質混合物を供給する。別の実施形態では、本方法は、連続プロセスである。この実施形態では、バッチタンクからのプロバイオティクス脂質混合物を、デイタンクに移送する。デイタンクは、次いで主要ラインからの追加の脂質と組み合わせてコーティング組成物を形成する、プロバイオティクス脂質混合物のための連続リザーバとして機能する。
【0050】
[0055]プロバイオティクスを含むペットフード配合物は、最終製品中の生細胞の最小量を保証すべきであり、そうでなければ、消費者にとってプロバイオティクスの利益は効果的ではない。したがって、投入システムは、好ましくは正確で安定している。本開示によるシステムは、プロバイオティクスを脂肪でバッチ処理するための専用タンクを有する。高剪断ミキサーは、組合せを効率的に混合することができるが、固体沈降を回避するために、ポンプ及び再循環ループをバッチタンク及び/又はデイタンクに使用して、溶液をタンクに再循環させ続けることができる。
【0051】
[0056]図1は、本開示の一実施形態によるシステム100の概略図を示す。いくつかの実施形態では、脂質の主貯蔵タンク110は、純粋な脂質、例えば、1つ以上の脂質からなる組成物で充填されている。脂質タンク110からの脂質をバッチタンク120へと移送して、プロバイオティクスと組み合わせることができる。バッチタンク内のプロバイオティクス及び脂質のバッチ処理が完了したら(例えば、プロバイオティクス及び脂質をバッチタンクに投入し、高剪断ミキサーがプロバイオティクスの均一な脂質中分散液を生成する)、分散液を、デイタンク125に移送する。デイタンク125は、コーティングプロセスに使用するのための、一貫した濃度でのプロバイオティクスのリザーバを提供する。デイタンク125は、撹拌機126を備えており、かつポンプ128を備えた再循環ループ127を有して構成されており、プロバイオティクスがプロセスの間に脂質中に分散したままであることを確保する。
【0052】
[0057]いくつかの実施形態では、脂質は、脂肪又は油を含む。脂肪の非限定的な例としては、動物性脂肪、例えば、牛肉脂肪、豚肉脂肪、家禽脂肪が挙げられる。油の非限定的な例としては、植物油、例えばトウモロコシ油、ヒマワリ油、紅花油、ナタネ油、大豆油、オリーブ油、並びに一価不飽和脂肪酸及び多価不飽和脂肪酸が豊富な他の油などが挙げられ、中鎖トリグリセリドを使用することができる。
【0053】
[0058]いくつかの実施形態では、有機酸(例えば、乳酸)による脂質の酸性化は、接触面上の病原体及びバイオフィルムを防ぐことができ、かつ酸性化は、穏やかな加熱及び撹拌と組み合わせて使用して、最終製品の汚染のリスクを制御することができる。有機酸の非限定的な例としては、コハク酸、ピルビン酸、フマル酸、アジピン酸、グルコノ-5-ラクトン、酒石酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、脂質は、酸性化されない。
【0054】
[0059]脂質及びプロバイオティクスの必要量は、製品のニーズ(例えば、脂質の必要量)、最終製品中のプロバイオティクスの目標量、及び機器の制限に基づいて計算することができる。非限定的な例として、キブル速度は約60lb/分に固定することができ、最終製品のプロバイオティクス要件は約0.0279%とすることができ、製品は約7.5重量%の脂肪でコーティングすることができる。この例では、バッチタンク120における濃度にかかわらず、静的ミキサー130後の溶液は、最終製品中の目標濃度を達成するために、典型的には約0.4%プロバイオティクスである。コータ140の制御は、デイタンク125からの流速を調整するように変更することができる。
【0055】
[0060]システム100の非限定的な例示的実施形態が以降に続く。いくつかの実施形態では、システム100は、プロバイオティクスの担体として脂質を使用するためにドライペットフードの工場で実施することができる。システム100は、例えば、各々が約30~1000lb/分のキブル速度で動作する、1つ以上のコータ140を備えることができる。いくつかの実施形態では、システムは、1つのコータを備える。別の実施形態では、システムは、2つのコータを備える。更に別の実施形態では、システムは、3つのコータを備える。
【0056】
[0061]システム100は、バッチ処理及び移送のシーケンスを実行することによって、プロセスの第1の部分を実行し得る。方法の第1の部分では、バッチタンク120内で目標濃度まで脂質及びプロバイオティクスをバッチ処理することができる。一実施形態では、バッチタンク120は、円形断面、自立屋根、及び/又は排水用の円錐形底部のうち1つ以上を有する。非限定的な例として、バッチタンク120は、約60ガロン(約227L)を保持することができ、及び/又はステンレス鋼で作られる。
【0057】
[0062]いくつかの実施形態では、バッチタンク120は、タンクレベルアラーム及び合計機に入力を提供する、3つのロードセルに取り付けられる。重量合計機への入力は、流量計によって測定された脂質流速を含み得る。バッチタンク120は、例えば、供給弁を閉じ、システム100(例えば、排出ポンプ、ロスインウエイト(LIWフィーダ)、及び/又は撹拌機のうち1つ以上)を停止するための入力信号を提供することによって、オーバーフローを防止するための高レベルプローブを有することが好ましい。追加的又は代替的に、ロードセルは、好ましくは、高レベル及び低レベルを監視する。低低レベル(low-low level)プローブは、流体が内部にない状態で撹拌機が作動するのを防止し、及び/又は溶液を排出するときにポンプを停止することができる。
【0058】
[0063]一実施形態では、バッチタンク120は、高剪断ミキサー122を備えている。高剪断混合は、典型的には、1つの相又は原材料(本明細書では、1つ以上のプロバイオティクス)を主要連続相(本明細書では、液体脂肪の第1の部分)中に分散させるために使用される。液体混合物を収容するバッチタンク120、又は液体混合物が通過するパイプのいずれかに、ステータとして知られる固定要素又はロータ及びステータのアレイと共に、ロータ又はインペラを使用して、剪断をもたらしてもよい。高剪断ミキサー122は、任意の好適な装置であってもよい。例えば、高剪断ミキサー122は、ロータステータ高剪断ミキサーであってもよい。
【0059】
[0064]高剪断混合は、連続インラインミキサー(例えば、パイプ内)を使用して、およそ5,000~500,000s-1、5,000~400,000s-1、又は5,000~200,000s-1の剪断速度でおよそ1~600秒間行ってもよい。高剪断混合は、およそ5,000~500,000s-1、5,000~400,000s-1、又は5,000~200,000s-1の剪断速度を用いて、およそ1~300秒間行ってもよい。高剪断混合は、およそ5,000~500,000s-1、5,000~400,000s-1、又は5,000~200,000s-1の剪断速度を用いて、およそ1~60秒間行ってもよい。高剪断混合は、およそ5,000~500,000s-1、5,000~400,000s-1、又は5,000~200,000s-1の剪断速度を用いて、およそ30秒間行ってもよい。一実施形態では、高剪断混合は、およそ50,000s-1の剪断速度を用いておよそ5秒間行ってもよい。
【0060】
[0065]高剪断混合は、バッチ又は半連続ミキサー(例えば、バッチタンク120内)を使用して、およそ5,000~500,000s-1、5,000~400,000s-1、又は5,000~200,000s-1の剪断速度でおよそ0.5~10分間行ってもよい。高剪断混合は、およそ5,000~500,000s-1、5,000~400,000s-1、又は5,000~200,000s-1の剪断速度を用いて、およそ1~5分間行ってもよい。高剪断混合は、およそ5,000~500,000s-1、5,000~400,000s-1、又は5,000~200,000s-1の剪断速度を用いて、およそ0.5~1分間行ってもよい。高剪断混合は、およそ5,000~500,000s-1、5,000~400,000s-1、又は5,000~200,000s-1の剪断速度を用いて、およそ0.5分間行ってもよい。一実施形態では、高剪断混合は、およそ50,000s-1の剪断速度を用いておよそ1分間行ってもよい。
【0061】
[0066]いくつかの実施形態では、バッチタンク120は、過熱及び潜在的なプロバイオティクスの損失(probiotics losses)を監視及び防止するために、温度センサと関連付けられる。再循環ループ内のパイプは、目標圧力を一定に保つための圧力調整器を有し得る。ミキサーは専用の構造体で支持することができる。任意選択的に、タンクは、温度の低下を防ぐために加熱ブランケットで断熱される。
【0062】
[0067]概して、バッチシーケンスは脂質供給制御弁の開放から始まる。自動オン/オフ制御弁は、例えば、バッチタンク120内のオーバーフローを防止するために、高高レベル(high-high level)プローブ及びロードセルと連動させることができる。脂質充填プロセスが終了したときに、供給弁を閉じる、撹拌機を高速で始動させる、及び/又は目標量のプロバイオティクス粉末を添加するためにLIWフィーダを始動させる、1つ以上の操作を行うことができる。
【0063】
[0068]粉末がバッチタンク120内の脂質に添加された後、プロセッサは、撹拌機を停止することができる(例えば、添加が完了した後の予め定められた期間の後、例えば約3分後など)。撹拌機の停止後、タンク排出弁を開くことができ、ポンプを高速で作動させて溶液をデイタンク125に移送させて、液体混合物を再循環させることができる。脂質レベルが低低レベルプローブに達したときに、プロセッサは移送ポンプを停止させることができる(例えば、脂質レベルが低低レベルプローブに達した後の予め定められた期間の後)。脂質/プロバイオティクスの移送が終了した後、排出弁を閉じることができ、システム100は、新しいバッチシーケンスの要求があるまでアイドルモードに入ることができる。
【0064】
[0069]方法の第2の部分はデイタンクシーケンスを含んでもよい。例えば、脂質/プロバイオティクスの溶液をデイタンク125へと移送するシーケンスにおいて、デイタンク125内のレベルが低低プローブに到達したときに、再循環ポンプを直接応答(例えば、実質的に即座に)で始動させてもよい。バッチ移送シーケンスが終了したときに、デイタンク125内のコンベンショナル式の撹拌機を、好ましくは高速で運転することができる。脂質及びプロバイオティクスの懸濁液は、デイタンク125内で一定の動きに保たれることで、固体を懸濁状態に保ち、固体沈降を回避してもよい。
【0065】
[0070]デイタンク125からコータ140への脂質/プロバイオティクス溶液の移送は、排出オン/オフ弁を開くことによって開始することができる。いくつかの実施形態では、例えば、各液体コータ140へと送り込まれる流速を調整するために、1つ以上の更なるプロセス制御弁を開くことができる。いくつかの実施形態では、脂質タンク110の脂質ループ111から来る純粋な脂質は、制御弁によって投入して、デイタンク125から出る流れと組み合わせることができる。両方のパイプが、コータの脂質滴下管の近くに配置された静的ミキサー130より前で互いに接続されてもよい。
【0066】
[0071]本明細書で開示されるペットフードは、イヌ又はネコなどのペットによる飲食のために調整された任意の食品配合物であり得る。一実施形態では、ペットフードにより、米国飼料検査官協会(Association of American Feed Control Officials:AAFCO)によって規定され、かつ組成物が対象とする動物の種類(例えばイヌ又はネコ)に応じた、完全栄養が提供される。
【0067】
[0072]ペットフードは、乳化した肉などの肉を含んでもよい。好適な肉の例としては、家禽肉、牛肉、豚肉、ラム肉、及び魚が挙げられ、特にペットに好適なそれらの種類の肉が挙げられる。肉は、臓物を含む、屠体の何らかの余剰部分(additional parts of an animal)を含んでもよい。肉のいくらか又は全てを、1つ以上のミートミールとして、すなわち、乾燥し、挽いて、実質的に均一なサイズの粒子群を形成し、かつAAFCOが規定した肉として提供してもよい。追加的又は代替的に、エンドウ豆タンパク質、トウモロコシタンパク質(例えば、挽いたトウモロコシ又はトウモロコシグルテン)、小麦タンパク質(例えば、挽いた小麦又は小麦グルテン)、大豆タンパク質(例えば、大豆粕、大豆濃縮物、又は大豆分離物)、及び米タンパク質(例えば、挽いた米又は米グルテン)などの植物性タンパク質を使用することができる。
【0068】
[0073]本明細書で開示されるペットフードは、植物油、風味剤、着色剤、又は水のうちの1つ以上を含んでもよい。好適な植物油の非限定例としては、大豆油、トウモロコシ油、綿実油、ヒマワリ油、キャノーラ油、落花生油、及び紅花油などが挙げられる。
【0069】
[0074]好適な風味剤の非限定例としては、酵母、獣脂、レンダリングしたアニマルミール(例えば、家禽肉、牛肉、ラム肉、及び豚肉)、香料の抽出物又はブレンド(例えば、グリルした牛肉)、及び動物消化処理物などが挙げられる。好適な着色剤の非限定例としては、青色1号、青色2号、緑色3号、赤色3号、赤色40号、黄色5号、及び黄色6号などのFD&C着色料;カラメル色素、アナトー、クロロフィリン、コチニール、ベタニン、ウコン、サフラン、パプリカ、リコピン、ニワトコジュース、パンダン、及びチョウマメなどの天然着色剤;二酸化チタン;並びに当業者に既知の任意の好適な食品着色料が挙げられる。
【0070】
[0075]本明細書で開示のペットフードは、任意選択的に、デンプン、湿潤剤、口腔ケア成分、保存料、アミノ酸、繊維、プレバイオティクス、糖類、動物油、アロマ、他の油などの更なる原材料を、植物油、塩類、ビタミン類、ミネラル類、プロバイオティクス微生物、生物活性分子若しくはこれらの組合せに対して追加して、又は代替として含んでもよい。
【0071】
[0076]好適なデンプンの非限定例としては、例えば、トウモロコシ、コメ、小麦、大麦、オート麦、ジャガイモ、エンドウマメ、豆類、キャッサバなどの穀物類、及びこれらの穀物類の混合物が挙げられ、好適なデンプンは、任意の穀粉に少なくとも部分的に含まれ得る。好適な湿潤剤の非限定例としては、塩、糖類、プロピレングリコール、並びにグリセリン及びソルビトールなどの多価グリコールなどが挙げられる。好適な口腔ケア成分の非限定例としては、クロロフィルを含有するアルファルファ栄養濃縮物、重曹、ホスフェート(例えば、リン酸三カルシウム、酸性ピロホスフェート、ピロリン酸四ナトリウム、メタホスフェート、及びオルトホスフェート)、ペパーミント、クローブ、パセリ、及び生姜などが挙げられる。好適な保存料の非限定例としては、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、メチルパラヒドロキシ安息香酸ナトリウム(sodium methyl para-hydroxybenzoate)、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0072】
[0077]本明細書で開示されるペットフード組成物におけるそれぞれの追加の原材料の具体的な量は、第1の食材及び任意の第2の食材に含まれる成分;動物の種;動物の年齢、体重、健康状態、性別、及び食生活;動物による飲食速度;フード製品を動物に投与する目的などの様々な因子に応じたものとなる。したがって、成分、及びその量は非常に様々であり得る。
【実施例
【0073】
[0079]以下の非限定的な例は、本明細書に開示される組成物及び方法を更に裏付ける。
[0080]実施例1:原材料及び投入
[0081]実験的試験に使用した第1の配合では、キブルはペットフードの約90.25重量%とし、脂肪はペットフードの約7.25重量%とし、粉末プロバイオティクスはペットフードの約2.50重量%とした(すなわち、2.47重量%の動物消化物粉末及び0.03重量%のBC30粉末)。実験的試験に使用した第2の配合では、キブルはペットフードの約90.25重量とし、脂肪はペットフードの約9.5重量%とし、液体プロバイオティクスはペットフードの約2.00重量%とし、粉末プロバイオティクスはペットフードの約0.03重量%とした。この研究はまた、プロバイオティクスの回収率における、酸性化された脂肪(例えば、乳酸を含む脂肪)の影響を評価した。
【0074】
[0082]CFU/gの最小量は、ヒトの食品要求量(food requirements)に基づいて定め、かつ1.90E+09CFU/lb又は4.18E+06CFU/g(6.62log10)を有するように設定した。分析プロセスにおける変動性が0.5logであることから、最終製品中のプロバイオティクスの最小量は6.12log10と設定した。
【0075】
[0083]表1a及び表1bは、最終製品及び脂肪ブレンド中のプロバイオティクスの割合を推定するために使用した計算を示す。これらの割合を試行の基準とした。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
[0086]脂肪中のプロバイオティクスの分散を評価し、最大濃度を定め、工場条件をシミュレートするために、試行を実施した。乳酸でコーティングしたキブルを用いた試験をバッチコータ及び連続コータにおいて実施し、様々な脂肪レベル及びプロバイオティクスレベルでプロセスを検証した。
【0079】
[0087]1.1 高剪断ミキサー及び連続コータの試行
[0088]獣脂を含む様々な濃度のプロバイオティクスを調製して、分散液の均一性を評価した。得られた組成物を使用して、連続コータでキブルをコーティングした。プロバイオティクスを脂肪中に組み込むために高剪断ミキサーを必要とした。試験におけるプロバイオティクスの濃度は、脂肪重量で1%~10%まで変動し、35lbの獣脂を有するバケット中でバッチ処理した。混合時間は3分として設定したが、わずか数秒の操作後に、粉末は溶液に完全に組み込まれ、タンクの底部に沈殿はなかった。
【0080】
[0089]純粋なBC30粉末中のプロバイオティクスのコロニー数を参照として使用し、試験の目標値を計算した。この場合において、獣脂又はキブル中に回収されるプロバイオティクスの予想量は、次の表2に示すように純粋な粉末中に見出される値の割合である。
【0081】
【表3】
【0082】
[0091]濃縮溶液は7.60E+8CFU/g又は8.88Log(CFU/g)を有していた。この濃縮溶液をタンクに放出し、希釈して、脂肪中のプロバイオティクス濃度を0.4%にした。5分間隔で収集した試料の希釈溶液中のBC30の回収率を図2aに示す。
【0083】
[0092]試験の配合には、0.4%のプロバイオティクスを添加した7.25%の脂肪を使用した。この混合物により、最終製品における正しい量(right amount)、すなわち0.0279%又は6.6log10のプロバイオティクスを目標とすることが可能であった。連続コータを試験に使用した。図2bは、最終製品におけるBC30回収率の結果を示す。試料の平均は7.0log(CFU/g)であった。
【0084】
[0093]試験は、プロバイオティクスを脂肪中に組み込んで該混合物を生成物のコーティングに使用することが実行可能であることを示した。キブル中のプロバイオティクスの回収率は、最低保証配合レベルである6.2logを上回った。試験はプロバイオティクスをバッチ処理するための1つのタンクを有していた。
【0085】
[0094]1.2 連続プロセスの試行
[0095]先の試行で試験したプロセスは一貫した結果をもたらし、最終製品中のプロバイオティクス回収率は良好であった。様々な脂肪速度を扱い、様々なサイズのタンクを使用するために、方法をより柔軟に変更した。
【0086】
[0096]システムは2つのタンク:プロバイオティクスを脂肪中で目標濃度に希釈した第1のタンク(「バッチタンク」)及び脂肪のみの第2のタンクを有した。バッチタンクと組み合わせた脂肪タンクは、配合で必要とされる目標量の脂肪及びプロバイオティクスを送り込む。以前の試行では、最大10%のプロバイオティクス濃度を試験し、この試行では0.88%及び3.23%の濃度を試験した。均一な混合物を得るために、高剪断ミキサーを使用して、バケット中でプロバイオティクスを脂肪とバッチ処理して、プロバイオティクス粉末を脂肪中に組み込んだ。この混合物を、脂肪を予め充填したバッチタンクに導入した。バッチタンクの上部に取り付けた撹拌機を使用して、粒子を懸濁状態で維持した。
【0087】
[0097]次いで、両方のタンクからの流れを一緒に合わせ、静的ミキサーに通してブレンドを均質化した。両方のタンク内の流速はプロセッサによって制御し、様々なキブル速度、脂肪速度、タンク内のプロバイオティクス濃度、及び最終製品中のプロバイオティクスの割合について調整することができた。システムは、プロバイオティクスが混合された脂肪をバッチタンクに充填し続けるように連続的に機能することができる。
【0088】
[0098]最終製品は、4.18E+06CFU/g又は6.62Log10を有するように配合した。この配合は、最小許容量を超えるプロバイオティクス0.5Log10に相当する。必要なコーティング及びプロバイオティクスの量を表3に示す。プロバイオティクス速度は脂肪速度の0.3843%である。試行では、連続コータは60lb/分のキブル速度で動作した。
【0089】
【表4】
【0090】
[0100]バッチタンクにおける流速は、タンク内のプロバイオティクスの実際の濃度、この場合は0.88%、及びコーティング中のプロバイオティクスの必要量(0.03843%)に基づいて計算した。
【0091】
[0101]希釈式を用い、次の方法でバッチタンクにおいて必要とされる流速を規定することが可能である。
バッチタンク(lb/分)=(コーティング中のプロバイオティクス%/タンク中のプロバイオティクス%)×総流速
バッチタンク(lb/分)=(0.3843/0.88)×4.8199=2.105lb/分
【0092】
[0102]脂肪貯蔵タンク内の流速は次の方法で計算される:
脂質タンク(lb/分)=総脂質+プロバイオティクス-バッチタンク
脂質タンク(lb/分)=4.8199-2.105=2.7149lb/分
【0093】
[0103]プロバイオティクスの投入が正しいかどうかを確認するために、バッチタンクからの1b/分でのプロバイオティクスの量を計算した。バッチタンクは、脂肪で希釈した0.88%のプロバイオティクスを収容し、プロバイオティクスの流速は0.0185lb/分であり、これらは、表3に示す値と一致する。
【0094】
[0104]この試行では2つの異なる濃度のプロバイオティクスを使用した。第1の試験では、高剪断ミキサーを使用して1.96%のプロバイオティクスを脂肪中にブレンドし、後に、バッチタンク中の溶液を放出して0.88%の目標濃度に達した。濃縮試料から試料を採取した。この場合の濃縮試料は、高剪断ミキサー、バッチタンク(これもまた、デイタンクをシミュレートした)、及び静的ミキサー(脂肪タンクからの流れと組み合わせた)を使用して、プロバイオティクスを脂肪とブレンドしたバケットとした。その後、この方法をより高い濃度で繰り返した。この場合は、高剪断ミキサーを使用して6.97%のBC30を脂肪と一緒に組み込み、次いで、バッチタンクで3.23%に希釈し、静的ミキサー後に0.38%の希釈率で希釈した。各試料の予想値は、次の表4に示すように、純粋なBC30粉末中のCFU/gに基づいて計算した。
【0095】
【表5】
【0096】
[0106]キブルを上記のコーティング組成物でコーティングした。キブルにおけるプロバイオティクスの回収率は平均6.94Log10であった。目標は、5.60E+10CFU/g(純粋なBC30)の0.0279%として定めた。この値は7.2Log10に等しい。下側の仕様限界を6.12と定める。タンク内のプロバイオティクス濃度は結果に影響を及ぼさなかった。
【0097】
[0107]1.3 試行:バッチコータでの試験
[0108]脂肪中に分散した(乳酸で酸性化された)プロバイオティクスでコーティングしたキブル、及び粉末とブレンドしたプロバイオティクスでコーティングしたキブルにおける、プロバイオティクス回収率を比較することを目的とした。試行は、バッチコータにおいて、ネコ用キブルを使用して行った。表5は各試験の目標値及び実測値を示す。
【0098】
【表6】
【0099】
[0110]酸性化された脂肪を有する試料の回収率は、ほぼ目標値以上であった。粉末消化物でコーティングした試料の回収率は、目標よりわずかに低かった。
【0100】
[0111]1.4 試行:連続コータでの試験
[0112]試行では、脂肪中にプロバイオティクスを回収する方法、及び最終製品中にプロバイオティクスを回収する方法を評価した。この試行では、1つのタンクは工場からの脂肪ラインをシミュレートし、1つはバッチタンクをシミュレートする。バッチタンクでは、プロバイオティクス及び脂肪の予めブレンドされた濃縮溶液を、獣脂重量で1%の目標濃度まで希釈した。1つの配合はBC30を含有し、1つはカルスポリン(登録商標)を含有した。
【0101】
[0113]BC30による第1の試験は、6.98の目標値(図3a)と比較して、6.77~7.15の範囲のLog(CFU/g)値で、最終製品中のプロバイオティクスの許容可能な回収率を示した。試料はわずかに負の傾向のラインを示した。この傾向は、試行の終了時に脂肪中のプロバイオティクスの濃度が低かったことを示し得る。脂肪中のプロバイオティクスの計算量は8.06logであり、試料の平均値は1.25logで目標を下回った(図3b)。
【0102】
[0114]この試行の第2の試験では、カルスポリン(登録商標)でコーティングされたキブルにおけるプロバイオティクスの回収方法を評価した。回収率は予想されたレベルよりもわずかに低かった(図4a)。脂肪中のプロバイオティクスの回収率は、BC30よりもカルスポリン(登録商標)を用いた場合に良好であったが、しかし、予想されるレベルを依然として下回っていた(図4b)。
【0103】
[0115]1.5 試行:インライン高剪断ミキサーの試験
[0116]高剪断ミキサーの使用による脂肪内部での粉末の均一な分布の促進についての評定を評価した。ミキサーはインラインミキサーとし、かつ、このミキサーを介してバッチタンクから高速度で液体を再循環させた。混合機は、粉末が供給されるホッパーを有して構成されており、ホッパーの底部の弁を開いたときに、全ての粉末が液体流中に押し込まれた。粉末及び液体をミキサーの高剪断ゾーンに直接導入すると、粉末及び液体は、強力な機械的剪断及び水圧的剪断によって瞬時に組み合わされた。ミキサーは最大500lb/分の流速を処理することができる。
【0104】
[0117]タンクは、加熱された壁と、上蓋上のコンベンショナル式の撹拌機とを備え、90Galの容量を有していた。全ての試験において、タンクには、1%~2%のプロバイオティクスの450lbの脂肪を充填した。プロバイオティクス生存における、酸性化された脂肪の効果もまた評価した。
【0105】
[0118]図5a及び図5bは、通常の脂肪及び酸性化された脂肪におけるプロバイオティクスの回収率の比較、並びに各試験のpH差を示す。pH低下はわずかであり、酸性化された脂肪と細胞が接触していた時間は20分間未満であった。
【0106】
[0119]1.6 試行:システムの処理能力
[0120]このプロセスは以前の試行と本質的に同じとしたが、1つのポンプはバッチタンクに流体を再循環させるための専用とし、第2のポンプを投入に使用した。再循環ポンプは最高速度で作動し、約15lb/minでポンピングした。同時の再循環と混合との組合せは、固体を懸濁状態に保った。試行の終わりまでにタンクの内壁及び底部に蓄積した固体は最小量であった。ループにボール弁を設置し、背圧弁として使用した。再循環ポンプ及び投入ポンプを手動で目標流速に調整した。
【0107】
[0121]試行結果は一貫しており、かつ計算された目標値に近い最終製品におけるプロバイオティクス回収率を示した。損失は0~0.24Log10まで変動した。
【0108】
[0122]最終製品中のプロバイオティクスの回収率の平均損失はわずか0.12logであった。
【0109】
[0123]第2の試験では、BC30の担体として鶏脂を使用した。この試行の結果、最終製品中のプロバイオティクスの回収率が最も高く、最も安定した方法であった。
【0110】
[0124]この試行はまた、プロバイオティクスの回収率における、酸性化された脂肪の影響を評価した。乳酸の1%IN溶液を含む脂肪はpHを0.03上昇させた。
【0111】
[0125]カルスポリン(登録商標)を用いた試験はまた、最終製品においてほぼ目標の回収率を示した。プロバイオティクスの担体としての酸性化されたラードの使用は、通常のラードでコーティングされた試料と比較して、大きな差を示さなかった。
【0112】
[0126]表6及び表7は、それぞれ、上記のBC30及びカルスポリン(登録商標)実施例からの結果の要約を示し、かつプロバイオティクスの配合投入レベル、及びプロバイオティクス目標を計算する方法に関する情報を含む。
【0113】
【表7】
【0114】
【表8】
【0115】
[0129]本明細書の開示は、キブルをプロバイオティクスでコーティングするための新規な方法を記載する。一実施形態では、本開示は、粉末消化物の代わりにプロバイオティクス担体として脂肪を用いる方法を記載する。この方法は、イヌ用配合物において、液体動物消化物を用いて適用することができた。
【0116】
[0130]このシステムは、脂肪中へのプロバイオティクスの均一な分布を促進し、また分布を懸濁状態に保つのに有効である。溶液をタンク内に数時間保持したが、結果の変動は観察されなかった。コータの制御を変更して、2つの異なる流れからの流れを調整し、最終製品中のプロバイオティクス数を正確にした。この方法は、異なる粉末及び粘度の取り扱い、及び広い動作範囲での実行に際し充分に汎用性がある。
【0117】
[0131]試験で使用した様々な脂肪は、最終製品中のプロバイオティクスの回収率に影響せず、酸性化された脂肪を担体として用いることもなかった。BC30又はカルスポリン(登録商標)でコーティングされたキブルの生細胞の回収率に差は観察されず、コーティングされたキブルにおけるプロバイオティクスの平均損失は0.13Log10(CFU/g)であった。胞子形成プロバイオティクスは、熱、水分、及び低pHに感受性である;プロバイオティクスを脂肪に封入(encapsulating)することは、不活性な胞子の発芽を刺激することを有意に防止することに寄与する。しかしながら、プロバイオティクスを工場で長時間ノミナル温度165°F(74℃)の脂肪溶液中に置くと、プロバイオティクスの損失が生じるおそれがある。
【0118】
[0132]本明細書で述べる現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。そのような変更及び修正は、本主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、なされ得る。したがって、このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
【国際調査報告】