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特表2024-524896エアロゾル形成装置及びその吸入検出方法、コンピュータ記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】エアロゾル形成装置及びその吸入検出方法、コンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/57 20200101AFI20240702BHJP
   A24F 40/53 20200101ALI20240702BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20240702BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/53
A24F40/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576377
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 CN2022095108
(87)【国際公開番号】W WO2022267806
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】202110713193.5
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519403945
【氏名又は名称】深▲せん▼麦時科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】趙書民
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD06
4B162AD08
4B162AD12
4B162AD13
4B162AD15
4B162AD23
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル形成装置及びその吸入検出方法、コンピュータ記憶媒体を開示する。当該吸入検出方法は、以下を含む。即ち、エアロゾル形成装置の発熱体におけるその時点の温度検出値を取得し、前記その時点の温度検出値及びプリセットされた目標温度に基づきPWM信号のその時点のデューティ比を決定することで、前記発熱体のその時点の発熱パワーを調節する。また、PWM信号のデューティ比を取得し、前記PWM信号のデューティ比に基づいて、その時点における吸入動作の発生有無を特定する。且つ、霧化過程における総吸入回数を統計し、前記総吸入回数が閾値に達したときには、前記エアロゾル形成装置を停止状態とするよう制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成装置の吸入検出方法であって、
霧化過程において、
エアロゾル形成装置の発熱体におけるその時点の温度検出値を取得し、前記その時点の温度検出値及びプリセットされた目標温度に基づきPWM信号のその時点のデューティ比を決定することで、前記発熱体のその時点の発熱パワーを調節し、
PWM信号のデューティ比を取得し、前記PWM信号のデューティ比に基づいて、その時点における吸入動作の発生有無を特定し、
霧化過程における総吸入回数を統計し、前記総吸入回数が閾値に達したときには、前記エアロゾル形成装置を停止状態とするよう制御する、
とのステップを行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
上記の前記PWM信号のデューティ比に基づきその時点における吸入動作の発生有無を特定する際には、
前記PWM信号のデューティ比を濾波し、濾波後のデューティ比を微分することで、前記デューティ比の変動率を取得すること、
前記変動率が第1プリセット値よりも大きい場合には、吸入動作が発生したと特定すること、
前記変動率が第1プリセット値以下の場合には、吸入動作が発生していないと特定すること、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル形成装置の吸入検出方法。
【請求項3】
上記の霧化過程における総吸入回数を統計する際には、
加熱開始信号を受信したときに前記総吸入回数を初期化すること、
霧化過程において、吸入動作の発生を特定した場合、前記総吸入回数を更新すること、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル形成装置の吸入検出方法。
【請求項4】
エアロゾル形成装置の発熱体におけるその時点の温度検出値を取得したあと、更に、前記発熱体の冷間・暖機状態に基づき、前記その時点の温度検出値について補償処理を行うことを含み、
且つ、上記の前記その時点の温度検出値及びプリセットされた目標温度に基づきPWM信号のその時点のデューティ比を決定する際には、補償処理後のその時点の温度検出値及びプリセットされた目標温度に基づきPWM信号のその時点のデューティ比を決定することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル形成装置の吸入検出方法。
【請求項5】
前記プリセットされた目標温度は時間に関連し、且つ、
前記プリセットされた目標温度は、第1段階において、時間の経過に伴って初期温度から第1プリセット温度まで上昇し、第2段階において、前記第1プリセット温度から第2プリセット温度まで低下し、第3段階において、前記第2プリセット温度で安定し、前記第2プリセット温度は前記第1プリセット温度よりも低いことを特徴とする請求項1に記載のエアロゾル形成装置の吸入検出方法。
【請求項6】
前記第1段階の時間は20秒よりも短く、前記第2段階の時間は20秒よりも長く、前記第3段階の時間は200~600秒であることを特徴とする請求項5に記載のエアロゾル形成装置の吸入検出方法。
【請求項7】
更に、
その時点の環境温度検出値を取得し、前記その時点の環境温度検出値に基づき、前記第2プリセット温度について補償処理を行うことを含む、
ことを特徴とする請求項5に記載のエアロゾル形成装置の吸入検出方法。
【請求項8】
制御モジュール、発熱体、電源と前記発熱体の間に接続される電子スイッチ、前記発熱体の温度を検出するための検出モジュールを含むエアロゾル形成装置であって、
前記制御モジュールは、
前記発熱体におけるその時点の温度検出値を取得し、前記その時点の温度検出値及びプリセットされた目標温度に基づきPWM信号のその時点のデューティ比を決定するとともに、前記電子スイッチに前記PWM信号を出力することで、前記発熱体のその時点の発熱パワーを調節するために用いられる温度制御ユニットと、
PWM信号のデューティ比を取得し、前記PWM信号のデューティ比に基づいて、その時点における吸入動作の発生有無を特定するために用いられる吸入検出ユニットと、
霧化過程における総吸入回数を統計し、前記総吸入回数が閾値に達したときに前記エアロゾル形成装置を停止状態とするよう制御するために用いられる停止制御ユニット、を含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
前記吸入検出ユニットは、
前記PWM信号のデューティ比を濾波するために用いられる濾波サブユニットと、
濾波後のデューティ比を微分することで、前記デューティ比の変動率を取得するために用いられる微分サブユニットと、
前記変動率が第1プリセット値よりも大きい場合には吸入動作が発生したと特定し、前記変動率が第1プリセット値以下の場合には吸入動作が発生していないと特定するために用いられる特定サブユニット、を含むことを特徴とする請求項8に記載のエアロゾル形成装置。
【請求項10】
前記停止制御ユニットは、
加熱開始信号を受信したときに前記総吸入回数を初期化し、霧化過程において吸入動作の発生を特定した場合に前記総吸入回数を更新するために用いられる統計サブユニットと、
前記総吸入回数が閾値に達したときに、前記エアロゾル形成装置を停止状態とするよう制御するために用いられる制御サブユニット、を含むことを特徴とする請求項8に記載のエアロゾル形成装置。
【請求項11】
エアロゾル形成装置であって、
エアロゾル形成基質を加熱することでエアロゾルを形成するよう構成される少なくとも1つの発熱素子を含むヒータと、
前記発熱素子に電力を供給するために用いられる電源と、
メモリ及びプロセッサを含み、前記メモリにはコンピュータプログラムが記憶されており、前記プロセッサが、前記コンピュータプログラムを実行する際に、請求項1~7のいずれか1項に記載のエアロゾル形成装置の吸入検出方法を実現する制御回路、を含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
エアロゾル形成装置であって、
メモリ及びプロセッサを含み、前記メモリには少なくとも1つのプログラム命令が記憶されており、前記プロセッサは、前記少なくとも1つのプログラム命令をロードして実行することで、請求項1~7のいずれか1項に記載の吸入検出方法を実現することを特徴とする装置。
【請求項13】
コンピュータ記憶媒体であって、
コンピュータプログラム命令が記憶されており、前記コンピュータプログラム命令は、プロセッサにより実行される際に、請求項1~7のいずれか1項に記載のエアロゾル形成装置の吸入検出方法を実現することを特徴とするコンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化機器の分野に関し、特に、エアロゾル形成装置及びその吸入検出方法、コンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
非燃焼・加熱機器(HNB,heat not burning)は、加熱装置にエアロゾル発生基質(処理済みのタバコ葉製品)を組み合わせた複合機器である。外部の加熱装置は、エアロゾル発生基質がベイパーを発生し得るが燃焼するには不十分な温度(200~350℃)まで高温で加熱する。これにより、タバコ葉を燃焼させないことを前提に、エアロゾル発生基質に乾燥タバコの香りを放出させる。火をつけて吸入する場合、温度は350~600℃の間に達するが、温度がこの区間に達するだけで、燃焼により、例えば、一酸化炭素、ニコチン等のアルカロイド、アミン系、ニトリル系、アルコール系、フェノール系、アルカン、アルデヒド系、窒素酸化物等の非常に多くの有害物質が発生する。一方、非燃焼・加熱方式の場合、温度は300℃程度となり、明らかな火は発生しないため、有害物質が大幅に減少する。HNBは、従来のシガレットを直接燃焼させる代わりに、低温ベーキングによる加熱を採用しており、世界中のますます多くの喫煙者から絶大な支持を受けつつある。これは、世界のタバコ業界における新たなアップグレードの方向を示している。
【0003】
エアロゾル形成装置の霧化過程(例えば、ユーザが1本吸う過程)では、ユーザの違いによって吸入頻度が異なることから、霧化過程全体における総吸入回数(吸入数)もユーザの違いによって異なる。これに対し、従来技術では、毎回の吸入及び総吸入回数のいずれについても検出や記録を行わないため、エアロゾル形成基質(例えば、タバコスティック)中の揮発性化合物の放出が完了していたとしても、ユーザは速やかに知ることができず、ユーザエクスペリエンスに影響を及ぼしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術では吸入動作ごとの検出及び総吸入回数の記録が不可能であるとの点を解決しようとする技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は、以下の通りである。
【0006】
エアロゾル形成装置の吸入検出方法を構成する。当該方法は、霧化過程において以下のステップを行うことを特徴とする。
【0007】
エアロゾル形成装置の発熱体におけるその時点の温度検出値を取得し、前記その時点の温度検出値及びプリセットされた目標温度に基づきPWM信号のその時点のデューティ比を決定することで、前記発熱体のその時点の発熱パワーを調節する。
【0008】
PWM信号のデューティ比を取得し、前記PWM信号のデューティ比に基づいて、その時点における吸入動作の発生有無を特定する。
【0009】
霧化過程における総吸入回数を統計し、前記総吸入回数が閾値に達したときには、前記エアロゾル形成装置を停止状態とするよう制御する。
【0010】
好ましくは、上記の前記PWM信号のデューティ比に基づきその時点における吸入動作の発生有無を特定する際には、前記PWM信号のデューティ比を濾波し、濾波後のデューティ比を微分することで、前記デューティ比の変動率を取得すること、前記変動率が第1プリセット値よりも大きい場合には、吸入動作が発生したと特定すること、前記変動率が第1プリセット値以下の場合には、吸入動作が発生していないと特定すること、を含む。
【0011】
好ましくは、上記の霧化過程における総吸入回数を統計する際には、加熱開始信号を受信したときに前記総吸入回数を初期化すること、霧化過程において、吸入動作の発生を特定した場合、前記総吸入回数を更新すること、を含む。
【0012】
好ましくは、エアロゾル形成装置の発熱体におけるその時点の温度検出値を取得したあと、更に、前記発熱体の冷間・暖機状態に基づき、前記その時点の温度検出値について補償処理を行うことを含む。
【0013】
且つ、上記の前記その時点の温度検出値及びプリセットされた目標温度に基づきPWM信号のその時点のデューティ比を決定する際には、補償処理後のその時点の温度検出値及びプリセットされた目標温度に基づきPWM信号のその時点のデューティ比を決定することを含む。
【0014】
好ましくは、前記プリセットされた目標温度は時間に関連する。且つ、前記プリセットされた目標温度は、第1段階において、時間の経過に伴って初期温度から第1プリセット温度まで上昇し、第2段階において、前記第1プリセット温度から第2プリセット温度まで低下し、第3段階において、前記第2プリセット温度で安定する。前記第2プリセット温度は前記第1プリセット温度よりも低い。
【0015】
好ましくは、前記第1段階の時間は20秒よりも短く、前記第2段階の時間は20秒よりも長く、前記第3段階の時間は200~600秒である。
【0016】
好ましくは、更に、その時点の環境温度検出値を取得し、前記その時点の環境温度検出値に基づき、前記第2プリセット温度について補償処理を行うことを含む。
【0017】
本発明は、更に、制御モジュール、発熱体、電源と前記発熱体の間に接続される電子スイッチ、前記発熱体の温度を検出するための検出モジュールを含むエアロゾル形成装置を構成する。前記制御モジュールは、前記発熱体におけるその時点の温度検出値を取得し、前記その時点の温度検出値及びプリセットされた目標温度に基づきPWM信号のその時点のデューティ比を決定するとともに、前記電子スイッチに前記PWM信号を出力することで、前記発熱体のその時点の発熱パワーを調節するために用いられる温度制御ユニットと、PWM信号のデューティ比を取得し、前記PWM信号のデューティ比に基づいて、その時点における吸入動作の発生有無を特定するために用いられる吸入検出ユニットと、霧化過程における総吸入回数を統計し、前記総吸入回数が閾値に達したときに前記エアロゾル形成装置を停止状態とするよう制御するために用いられる停止制御ユニット、を含む。
【0018】
好ましくは、前記吸入検出ユニットは、前記PWM信号のデューティ比を濾波するために用いられる濾波サブユニットと、濾波後のデューティ比を微分することで、前記デューティ比の変動率を取得するために用いられる微分サブユニットと、前記変動率が第1プリセット値よりも大きい場合には吸入動作が発生したと特定し、前記変動率が第1プリセット値以下の場合には吸入動作が発生していないと特定するために用いられる特定サブユニット、を含む。
【0019】
好ましくは、前記停止制御ユニットは、加熱開始信号を受信したときに前記総吸入回数を初期化し、霧化過程において吸入動作の発生を特定した場合に前記総吸入回数を更新するために用いられる統計サブユニットと、前記総吸入回数が閾値に達したときに、前記エアロゾル形成装置を停止状態とするよう制御するために用いられる制御サブユニット、を含む。
【0020】
本発明は、更に、エアロゾル形成装置を構成する。当該装置は、エアロゾル形成基質を加熱することでエアロゾルを形成するよう構成される少なくとも1つの発熱素子を含むヒータと、前記発熱素子に電力を供給するために用いられる電源と、メモリ及びプロセッサを含み、前記メモリにはコンピュータプログラムが記憶されており、前記プロセッサが、前記コンピュータプログラムを実行する際に、上記で述べたエアロゾル形成装置の吸入検出方法を実現する制御回路、を含む。
【0021】
本発明は、更に、メモリ及びプロセッサを含むエアロゾル形成装置を構成する。前記メモリには少なくとも1つのプログラム命令が記憶されている。前記プロセッサは、前記少なくとも1つのプログラム命令をロードして実行することで、上記いずれかで述べた吸入検出方法を実現する。
【0022】
本発明は、更に、コンピュータ記憶媒体を構成する。前記コンピュータ記憶媒体にはコンピュータプログラム命令が記憶されている。前記コンピュータプログラム命令は、プロセッサにより実行される際に、上記で述べたエアロゾル形成装置の吸入検出方法を実現する。
【0023】
本発明は、更に、エアロゾル形成装置に応用される制御回路を構成する。前記制御回路は、上記で述べたエアロゾル形成装置の吸入検出方法を実行するように構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の技術方案を実施する場合には、PWM方式でエアロゾル形成装置の発熱体の温度を制御する際に、PWM信号のデューティ比を検出することでユーザの吸入動作を識別可能である。そして、霧化過程における総吸入回数をカウントし、総吸入回数が閾値に達したときに停止するよう自動制御する。これにより、電力消費を低下させられるだけでなく、ユーザエクスペリエンスも向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【0026】
図1図1は、本発明におけるエアロゾル形成装置の吸入検出方法の実施例1のフローチャートである。
図2図2は、本発明におけるPWM信号の経時変化の線形グラフである。
図3図3は、本発明におけるPWM信号の初期デューティ比及び濾波後のデューティ比の経時変化の線形グラフである。
図4図4は、本発明におけるPWMのデューティ比の変動率についての経時変化の線形グラフである。
図5図5は、本発明におけるプリセットされた目標温度の経時変化の線形グラフである。
図6図6は、本発明におけるエアロゾル形成装置の実施例1の論理構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施例における図面を組み合わせて、本発明の実施例の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、言うまでもなく、記載する実施例は本発明の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的労働を行わないことを前提に取得するその他全ての実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【0028】
図1は、本発明におけるエアロゾル形成装置の吸入検出方法の実施例1のフローチャートである。霧化過程において、本実施例の吸入検出方法は以下のステップを行う。
【0029】
ステップS10:エアロゾル形成装置の発熱体におけるその時点の温度検出値を取得し、前記その時点の温度検出値及びプリセットされた目標温度に基づきPWM信号のその時点のデューティ比を決定することで、前記発熱体のその時点の発熱パワーを調節する。
【0030】
当該ステップでは、プリセットされた目標温度と、取得した発熱体におけるその時点の温度検出値に基づいて発熱体の発熱パワーを調節する。その際の実現方法としては、例えば、PIDアルゴリズムによって対応するデューティ比を算出するというように、PWM信号の適切なデューティ比を算出し、電子スイッチのオン・オフ時間の比を調節することで、適切な電気エネルギーを発熱体に供給して、温度を所定の目標温度で安定させる。
【0031】
ステップS20:PWM信号のデューティ比を取得し、前記PWM信号のデューティ比に基づいて、その時点における吸入動作の発生有無を特定する。
【0032】
当該ステップにおいて、吸入動作が発生していないときには、発熱体の温度は相対的に安定しており、PWM信号のデューティ比の変動は小さい。一方、吸入動作が発生すると、発熱体の温度に急激な変化が生じ、短時間の低下が現れる。これにより、発熱体の熱が瞬時に奪われることから、ステップS10では、発熱体のパワーコントロールを行う際に、PWM信号のデューティ比を大きくすることで、電気エネルギーの供給を増加させて発熱体の熱損失を補うことになる。結果として、吸入時にはPWM信号のデューティ比にホッピングが出現する。そのため、図2を組み合わせると、検出したPWM信号のデューティ比にタイミングt11からt12の間に突発的な変動が生じた場合には、ユーザが吸入動作Pを行ったと特定可能である。
【0033】
ステップS30:霧化過程における総吸入回数を統計し、前記総吸入回数が閾値に達したときには、前記エアロゾル形成装置を停止状態とするよう制御する。
【0034】
当該ステップでは、霧化過程で発生する吸入動作をカウント可能である。そして、総吸入回数が閾値(例えば、13吸入)に達したと判断した場合には、エアロゾル形成基質(例えば、タバコスティック)中の揮発性化合物の放出が完了したことを意味するため、その時点でエアロゾル形成装置を停止させるよう制御可能とすることで、電力消費を節約する。また、説明すべき点として、ユーザ別に異なる閾値を対応付けてもよい。当該閾値は、ユーザ自身で設定してもよいし、自動学習により取得してもよい。
【0035】
更に、選択的な実施例では、ステップS20において、前記PWM信号のデューティ比に基づきその時点における吸入動作の発生有無を特定する際に、以下を含む。
【0036】
前記PWM信号のデューティ比を濾波し、濾波後のデューティ比を微分することで、前記デューティ比の変動率を取得する。
【0037】
前記変動率が第1プリセット値よりも大きい場合には、吸入動作が発生したと特定する。
【0038】
前記変動率が第1プリセット値以下の場合には、吸入動作が発生していないと特定する。
【0039】
本実施例では、図3及び図4を組み合わせると、霧化過程において、D1はPWM信号の初期デューティ比を表しており、D2はPWM信号の濾波後のデューティ比を表している。また、D3は、濾波後のデューティ比を微分したあとのデューティ比を表している。Pは吸入動作が発生したことを表しており、S1は総吸入回数を表している。よって、PWM信号のデューティ比の変動率を検出することで、霧化過程における吸入動作の発生有無を特定し、吸入回数をカウントすることが可能となる。
【0040】
更に、選択的な実施例では、ステップS30において、霧化過程における総吸入回数を統計する際に、以下を含む。
【0041】
加熱開始信号を受信したときに、前記総吸入回数を初期化する。
【0042】
霧化過程において、吸入動作の発生を特定した場合、前記総吸入回数を更新する。
【0043】
本実施例では、総吸入回数を初期化する際に、総吸入回数を0に初期化し、霧化過程で吸入を1回検出するごとに、総吸入回数に1を加えてもよい。
【0044】
更に、選択的な実施例では、エアロゾル形成装置の発熱体におけるその時点の温度検出値を取得したあと、更に、前記発熱体の冷間・暖機状態に基づき、前記その時点の温度検出値について補償処理を行うことを含む。
【0045】
且つ、上記の前記その時点の温度検出値及びプリセットされた目標温度に基づきPWM信号のその時点のデューティ比を決定する際には、補償処理後のその時点の温度検出値及びプリセットされた目標温度に基づきPWM信号のその時点のデューティ比を決定することを含む。
【0046】
本実施例では、まず、説明すべき点として、発熱体の温度検出値を発熱体の抵抗検出値に基づき特定する場合、発熱体の温度にフィールド分布が存在する状況では、加熱時間の増加に伴って発熱体-基質の熱伝導が増加するため、抵抗値が同じ場合、温度は一定の低下過程を有し得る。この過程と発熱体-基質の熱伝導には関連性が存在する。つまり、発熱体自体が暖機状態の場合には、揮発状況が冷間状態の場合と異なる。そこで、化合物の揮発の一致性と快適性を両立させるベイパー温度を達成するために、内部に補償アルゴリズムを追加する。当該アルゴリズムは、熱伝導に起因して温度が低下する場合に、関連項を時間t及び目標温度T目標とする。即ち、実際の温度検出値T=F(RHeater)+f(t,T目標)とする。なお、RHeaterは発熱体の抵抗検出値である。これにより、吸入段階全体が冷間状態とほぼ一致するよう確実に保証可能となる。
【0047】
更に、選択的な実施例において、前記プリセットされた目標温度は時間に関連する。且つ、前記プリセットされた目標温度は、第1段階において、時間の経過に伴って初期温度から第1プリセット温度まで上昇し、第2段階において、前記第1プリセット温度から第2プリセット温度まで低下し、第3段階において、前記第2プリセット温度で安定する。前記第2プリセット温度は前記第1プリセット温度よりも低い。
【0048】
本実施例では、図5に示す目標温度曲線を組み合わせると、第1段階(0-t1)において、目標温度は初期温度から第1プリセット温度T1まで上昇する。そして、第2段階(t1-t2)において、目標温度は第1プリセット温度T1から第2プリセット温度T2まで低下する。また、第3段階(t2-t3)において、目標温度は第2プリセット温度T2で安定する。第2段階の目標温度(第1段階の第1プリセット温度よりも低い)を設定することで、タバコカプセルが最適な温度でエアロゾルを継続的に発生するよう保証可能となる。且つ、第3段階で第2プリセット温度の安定を維持することで、発熱体からタバコカプセルへの熱伝導速度が上昇するため、経時変化のない特性の一致したエアロゾルを搬送可能となる。
【0049】
且つ、目標温度曲線は理想曲線である。即ち、これは、発熱体が霧化基質を静的に加熱する過程の曲線である。しかし、ユーザが実際に吸入する過程では、エアロゾルを吸入するたびに、実際には気流が発熱体の一部の熱を奪うことになる。つまり、実際の場面では、ユーザが吸入したタイミングでの温度値が、目標温度曲線内の対応するタイミングの温度値よりも小さくなる。そして、吸入時に低下した温度では、プリセットされた温度に従って相応のエアロゾル成分を霧化させることができず、吸い心地に影響を及ぼす。この場合、発熱体の実際の温度を目標温度と一致させるために、生成されるPWM信号のデューティ比に急激な変化が生じ、PWM信号のデューティ比が突然上昇する。これにより、第一に、発熱体の実際の温度を目標温度と一致させることで、プリセットされた温度に従い相応のエアロゾル成分を霧化させて、ユーザの吸い心地に影響を及ぼさないよう保証することが可能となる。また、第二に、ユーザがその時点で吸入動作を行ったことを反映可能となる。
【0050】
更に、選択的な実施例において、第1段階の時間は20秒よりも短く、第2段階の時間は20秒よりも長い。また、第3段階の時間は200~600秒である。
【0051】
選択的な実施例において、本発明におけるエアロゾル形成装置の吸入検出方法は、更に、その時点の環境温度検出値を取得し、前記その時点の環境温度検出値に基づき、前記第2プリセット温度について補償処理を行うことを含む。
【0052】
本実施例では、外部の環境温度が変化したときに、製品吸入段階の体験を維持するために、目標温度(第2プリセット温度)についても補償処理を行う必要がある。例えば、冬場の環境温度が低い場合には(例えば、環境温度が15℃よりも低い)、第2プリセット温度を引き上げて、口内への吸入温度を維持する。一方、夏場の温度が高い場合には(例えば、環境温度が25℃よりも高い)、第2プリセット温度を引き下げて、口内への吸入温度を維持する。
【0053】
図6は、本発明におけるエアロゾル形成装置の実施例1の論理構造図である。本実施例のエアロゾル形成装置は、制御モジュール10、発熱体H1、電源30と発熱体H1の間に接続される電子スイッチK1、発熱体H1の温度を検出するための検出モジュール20を含む。制御モジュール10は、温度制御ユニット11、吸入検出ユニット12及び停止制御ユニット(図示しない)を含む。且つ、温度制御ユニット11は、発熱体H1のその時点の温度検出値を取得し、その時点の温度検出値及びプリセットされた目標温度に基づきPWM信号のその時点のデューティ比を決定するとともに、電子スイッチK1にPWM信号を出力することで、発熱体H1のその時点の発熱パワーを調節するために用いられる。吸入検出ユニット12は、PWM信号のデューティ比を取得し、PWM信号のデューティ比に基づいて、その時点における吸入動作の発生有無を特定するために用いられる。停止制御ユニットは、霧化過程における総吸入回数を統計し、総吸入回数が閾値に達したときに前記エアロゾル形成装置を停止状態とするよう制御するために用いられる。
【0054】
更に、選択的な実施例において、吸入検出ユニット12は、濾波サブユニット、微分サブユニット及び特定サブユニットを含む。濾波サブユニットは、前記PWM信号のデューティ比を濾波するために用いられる。微分サブユニットは、濾波後のデューティ比を微分することで、前記デューティ比の変動率を取得するために用いられる。特定サブユニットは、前記変動率が第1プリセット値よりも大きい場合には吸入動作が発生したと特定し、前記変動率が第1プリセット値以下の場合には吸入動作が発生していないと特定するために用いられる。
【0055】
更に、選択的な実施例において、停止制御ユニットは、統計サブユニット及び制御サブユニットを含む。統計サブユニットは、加熱開始信号を受信したときに前記総吸入回数を初期化し、霧化過程において吸入動作の発生を特定した場合に前記総吸入回数を更新するために用いられる。制御サブユニットは、前記総吸入回数が閾値に達したときに、前記エアロゾル形成装置を停止状態とするよう制御するために用いられる。
【0056】
本発明は、更に、エアロゾル形成装置を構成する。当該エアロゾル形成装置は、メモリ及びプロセッサを含む。当該メモリには少なくとも1つのプログラム命令が記憶されている。当該プロセッサは、当該少なくとも1つのプログラム命令をロードして実行することで、上記で述べた吸入検出方法を実現する。
【0057】
本発明は、更に、エアロゾル形成装置を構成する。当該エアロゾル形成装置は、ヒータ、電源及び制御回路を含む。ヒータは、エアロゾル形成基質を加熱することでエアロゾルを形成するよう構成される少なくとも1つの発熱素子を含む。電源は、当該発熱素子に電力を供給するために用いられる。制御回路は、メモリ及びプロセッサを含む。当該メモリにはコンピュータプログラムが記憶されている。当該プロセッサは、当該コンピュータプログラムを実行する際に、上記で述べたエアロゾル形成装置の吸入検出方法を実現する。
【0058】
本発明は、更に、コンピュータ記憶媒体を構成する。当該コンピュータ記憶媒体にはコンピュータプログラム命令が記憶されている。当該コンピュータプログラム命令は、プロセッサにより実行される際に、上記で述べたエアロゾル形成装置の吸入検出方法を実現する。
【0059】
以上の記載は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を制限するものではない。当業者にとって、本発明には各種の変更及び変形が存在し得る。本発明の精神及び原則の範囲内で実施される何らかの修正、同等の置換、改良等は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】