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特表2024-524898長手方向にオフセットした丁番を備える眼鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】長手方向にオフセットした丁番を備える眼鏡
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/00 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
G02C5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577162
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 EP2022067223
(87)【国際公開番号】W WO2022268978
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】2106721
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/067752
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511212103
【氏名又は名称】ミクリタリアン、アラン
(71)【出願人】
【識別番号】511212125
【氏名又は名称】シェーヌ、リシャール
(71)【出願人】
【識別番号】511212099
【氏名又は名称】ドゥラムール、ドミニク
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミクリタリアン,アラン
(72)【発明者】
【氏名】シェーヌ,リシャール
(72)【発明者】
【氏名】ドゥラムール,ドミニク
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006AA01
2H006AA03
2H006AC00
(57)【要約】
本発明は、第1の長手方向軸線(X)に沿って後方から前方に延在する眼鏡(1)であって、前面(10)と、第1のほぞ(11)及び第2のほぞ(12)と、第1の丁番(31)及び第2の丁番(32)を介して第1のほぞ(11)及び第2のほぞ(12)にそれぞれ接続された第1のテンプル(21)及び第2のテンプル(22)と、を備え、丁番(31、32)の長手方向の位置が異なるように第1のほぞ(11)が第2のほぞ(12)よりも短いことによって、長手方向の圧縮力がもたらす前面(10)の変形の恐れを制限する、眼鏡(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の長手方向X軸線に沿って後方から前方に延在する眼鏡(1)であって、
2つのレンズ(V)を具備する対称な前面(10)と、
前面(10)に接続された第1のほぞ(11)及び第2のほぞ(12)と、
第1の丁番(31)及び第2の丁番(32)を介して第1のほぞ(11)及び第2のほぞ(12)にそれぞれ接続された第1のテンプル(21)及び第2のテンプル(22)であって、第1のテンプル(21)は曲線部分を具備し、第2のテンプル(22)は曲線部分を具備する、第1のテンプル(21)及び第2のテンプル(22)と、
を備え、
長手方向の圧縮力がもたらす前面(10)の変形の恐れを制限するために、丁番(31、32)の長手方向位置間の間隙(Δ2)は、0.5mm~10mmの間に含まれることを特徴とする、眼鏡(1)。
【請求項2】
丁番の長手方向位置が異なるように、第1のほぞ(11)は第2のほぞ(12)よりも短い、請求項1に記載の眼鏡(1)。
【請求項3】
第1のテンプル(21)は所定の厚さ(Δ1)を有し、第1のテンプル(21)と第2のテンプル(22)との接触を回避するように、丁番(31、32)の長手方向位置間の間隙(Δ2)は所定の厚さ(Δ1)よりも大きい、請求項1~2のいずれか一項に記載の眼鏡(1)。
【請求項4】
丁番(31、32)の長手方向位置間の間隙(Δ2)は、1mm~7mmの間に含まれ、好ましくは2mm~5mmの間に含まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の眼鏡(1)。
【請求項5】
第1のテンプル(21)は第2のテンプル(22)よりも長い、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼鏡(1)。
【請求項6】
第1のほぞ(11)及び第1のテンプル(21)の組立体は、第2のほぞ(12)及び第2のテンプル(22)の組立体と同じ長さである、請求項5に記載の眼鏡(1)。
【請求項7】
第1のテンプル(21)と第2のテンプル(22)とは同じ長さである、請求項1~6のいずれか一項に記載の眼鏡(1)。
【請求項8】
第1のテンプル(21)及び第2のテンプル(22)は前面(10)と直接接触している、請求項7に記載の眼鏡(1)。
【請求項9】
第1のテンプル(21)は右のテンプルである、請求項1~8のいずれか一項に記載の眼鏡(1)。
【請求項10】
第1の丁番(31)及び/又は第2の丁番(32)は、一方は前面(10)に、他方は第1のテンプル(21)及び/又は第2のテンプル(22)に接続された、関節軸線を備える機構の形態である、請求項1~9のいずれか一項に記載の眼鏡(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の眼鏡(1)の、展開位置にあるテンプル(21、22)を折り畳む方法であって、
第1のテンプル(21)を前面(10)に対して折り畳む工程と、次いで、
第2のテンプル(22)を折り畳む工程であって、第2のテンプル(22)は、折畳位置において第1のテンプル(21)から離隔している、工程と、
を備える、折り畳む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、公知の方法では、眼鏡100はレンズVAを備える。レンズVAは、異なる性質を有するものであってもよく、具体的には、視力矯正レンズ(viewing lens)、色付きレンズ(fantasy lens)、仮レンズ(temporary lens)、演出用レンズ(presentation lens)などであってもよい。この例では、眼鏡は、X軸線が前から後に長手方向に延在し、Y軸線が左から右に横方向に延在し、Z軸線が下から上に垂直に延在する参照フレーム構造(X、Y、Z)で示される。
【0003】
眼鏡100は、平面(Y、Z)内に全体的に延在し、2つのレンズVAを備える前面110と、前面110に接続された第1のほぞ111及び第2のほぞ112とを備える。
【0004】
眼鏡100は、右丁番131及び左丁番132を介して右ほぞ111及び左ほぞ112にそれぞれ接続された右テンプル121及び左テンプル122を更に備える。したがって、各側方テンプル121、122は、側方テンプル121、122が前面110(図1参照)と実質的に整列する折り畳まれた格納位置と、側方テンプル121、122が前面110と実質的に直交する展開された使用位置との間を移動することができる。眼鏡100が折り畳まれると、テンプル121、122はX軸線に対して前後に配置される。公知の方法では、眼鏡100は、眼鏡PAを装用したときに装用者の快適性が装用者の顔の両側で同一になるように対称になっている。
【0005】
眼鏡PAを保護するために、図2に概略的に示すように、眼鏡PAをケースETに格納することが知られている。ケースETは、格納時にジャケットやバッグに押し込まれてもよい。このように押し込まれる間、折畳位置にあるテンプル121、122には長手方向の圧縮力Fが加えられる。より正確には、テンプル121、122が重ね合わされている場合、最も後方にある側方テンプル(ここでは左テンプル122)上の圧力点PRESSを通じて長手方向の圧縮力が加えられ、この圧縮力は、最も前方にある側方テンプル(ここでは右テンプル121)に伝達される。次いで、長手方向の圧縮力Fは、ほぞ111、112に伝達され、前面110を変形させる。次いで、前面110が歪曲され、元の形状を有さなくなる。そのような変形は、装用者の視線に対するレンズの位置を変え、提供された光学補正を劣化させ、装用者にとって眼の不快感の原因となる。変形はまた、いくらかの審美的な欠点をもたらす。更に、丁番131、132の軸も変形される可能性があり、それはテンプル121、122の閉合を妨げる。テンプル間のこの接触は、「転回(slewing)」としても知られ、多くの欠点を有する。フレームを形成する材料が高温に敏感である場合、特にアセテートフレームである場合、望ましくない変形の可能性は高熱において更に高まる。
【0006】
この変形は、眼鏡PAがいずれの種類のケースET(軟質又は硬質)に格納されているときにも起こり得る。変形は、ケースETの蓋を閉じて眼鏡PAを圧縮したときにも起こり得る。このような圧縮力は、眼鏡PAがケースET内に格納されない場合、例えば衣類に滑り込ませた場合にも加わる。この欠点を速やかに解決する解決策は、眼鏡PAを非常に頑丈に作製して、その変形を回避することであるが、これは眼鏡PAの体積を増加させ、装用者の快適性に影響を及ぼす。したがって、そのような解決策を引き続き用いることはできない。
【0007】
ところで、従来技術では、眼鏡の嵩を制限することを可能にする、テンプルを折り畳むためのいくつかの解決策が知られているが、これらの解決策は前面の変形を制限できない。特に、米国特許第8192017号明細書による、側方テンプルが、垂直に変位された遊隙部を有する前面とヒンジ結合されることによって、格納位置においてテンプルが上下に配置されることを可能にする眼鏡が知られている。テンプルの重なり合いは回避されるが、それにもかかわらず、長手方向の圧縮力は、各側方テンプルによって独立して前面に伝達され、前面は変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第8192017号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、特に眼鏡が長手方向に圧縮されたときに、前面が変形しにくい新規な眼鏡が必要とされている。本発明の別の目的は、眼鏡の製造費用に影響を及ぼさないことである。
【0010】
従来技術において、しおりとして使用することができる眼鏡を提示する、米国特許出願公開第2013/0044287号明細書が知られている。眼鏡のテンプルは、眼鏡のテンプルをねじることなく本を閉じることができるように直線的で細くなっている。更に、レンズは、本の装丁の外側に延在しないように細くなければならない。
【0011】
従来技術において、スノーボード中に曇りの出現を低減し、風に対する不快感を制限することを可能にする眼鏡を提示する、米国特許第5875016号明細書が知られている。風に対する保護性を改善するために、前面は、前面の片側の保護性を補強するように湾曲され、非対称である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明は、第1の長手方向軸線に沿って後方から前方に延在する眼鏡であって、
2つのレンズを具備する前面と、
前面に接続された第1のほぞ及び第2のほぞと、
第1の丁番及び第2の丁番を介して第1のほぞ及び第2のほぞにそれぞれ接続された第1のテンプル及び第2のテンプルと、
を備える眼鏡に関する。
【0013】
本発明は、丁番の長手方向の位置が異なることによって、長手方向の圧縮力がもたらす前面の変形の恐れを制限するという点で、注目すべきである。
【0014】
したがって、有利には、2つのテンプルは、互いに離間した異なる平面内で折り畳まれ、2つのテンプル間の長手方向の圧縮力の伝達を制限又は回避する。このため、前面は、剛性が低くても、荷重を複数の点で受けることがなく、変形しない。第2のテンプルは、機械的緩衝器として作用し、すべての圧縮力を吸収する。従来技術に存在する転回力(slewing forces)は、大幅に低減される。
【0015】
有利には、眼鏡の耐用年数が長くなり、前面を薄くしてその剛性を低下させることができる。前面を薄くすることにより、少ない労力で、特に元の形状のテンプルを有する眼鏡を作成することが可能となる。折畳位置で、眼鏡はそのケース内に安全に保管される。有利には、本発明は、変形の回避を可能にすることによって、厚い前面及び薄い前面の両方に適用される。
【0016】
レンズの位置は長期にわたって経時的に維持され、装用者の快適性を向上させる。工業的観点からは、ほぞの長さを変更するだけで十分であり、追加の費用は発生しない。
【0017】
非対称構造を有する眼鏡を提案することにより、請求人は、眼鏡を装用するときの装用者の快適性を保証し、かつ審美的外観を保証するためには、眼鏡が対称構造を有することを強いる、光学における広範な先入観を克服する。本発明のおかげで、眼鏡は、折畳位置での変形に耐性を持ちながら、展開位置でその審美的外観を保持する。眼鏡の機能性は、従来技術と比較して改善される。
【0018】
好ましくは、丁番の長手方向位置が異なるように第1のほぞが第2のほぞよりも短く、それによって前面の変形の恐れを制限する。
【0019】
一態様によれば、第1のテンプルは、第2のテンプルよりも長い。好ましい態様によれば、第1のほぞ及び第1のテンプルの組立体は、第2のほぞ及び第2のテンプルの組立体と同じ長さである。したがって、眼鏡を装用するとき、眼鏡はその非対称構造にもかかわらず、対称な審美的外観を有する。
【0020】
別の態様によれば、第1のテンプルと第2のテンプルとは同じ長さを有する。好ましくは、第1のテンプル及び第2のテンプルは、前面と直接接触している。有利には、ほぞはテンプルに対してオフセットしており、丁番は、展開位置にあるテンプルとは整合しない。テンプルは同一のものであり、ほぞのみが異なる。
【0021】
好ましくは、第1のテンプルは所定の厚さを有し、丁番の長手方向位置間の間隙が前記所定の厚さよりも大きいことにより、第1のテンプルと第2のテンプルとの接触を回避する。有利には、間隙は、いかなる接触をも避けるために第1のテンプルの厚さの関数として決定される。したがって、間隔は、それぞれの眼鏡に個別に適合させることができる。
【0022】
好ましくは、丁番の長手方向位置間の間隙は、0.5mm~10mmの間に含まれ、好ましくは1mm~7mmの間に含まれ、更に好ましくは2mm~5mmの間に含まれる。そのような間隙は、眼鏡を変形に対して堅牢にする一方で、眼鏡の長手方向の嵩を制限することを可能にする。
【0023】
好ましい態様によれば、第1のテンプルは、右テンプルである。したがって、眼鏡は、右利きの人が直感的に折り畳むことができる。
【0024】
好ましくは、第1の丁番及び/又は第2の丁番は、一方は前面に、他方は第1のテンプル及び/又は第2のテンプルに接続された丁番軸線を備える機構の形態である。
【0025】
本発明はまた、前に示された眼鏡の、展開位置にあるテンプルを折り畳む方法に関し、本方法は、
第1のテンプルを前面に対して折り畳む工程と、次いで、
第2のテンプルを折り畳む工程であって、第2のテンプルは、折り畳み位置において第1のテンプルから離隔している、工程と、
を備える。
【0026】
代替的に、本発明は、第1の長手方向軸線に沿って後方から前方に延在する眼鏡であって、
2つのレンズを具備する前面と、
前面に接続された第1のほぞ及び第2のほぞと、
第1の丁番及び第2の丁番を介して第1のほぞ及び第2のほぞにそれぞれ接続された第1のテンプル及び第2のテンプルと、
を備える眼鏡に関する。
【0027】
本発明は、丁番の長手方向の位置が異なるように第1のほぞが第2のほぞよりも短く、それによって長手方向の圧縮力がもたらす前面の変形の恐れを制限するという点で、注目すべきである。
【0028】
本発明は、例として与えられる以下の説明を読み、非限定的な例として与えられる、同一の参照符号が同様の対象物に付された以下の図を参照すると、より理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来技術による眼鏡の概略図である。
図2】ケース内で格納位置にある図1の眼鏡の、長手方向の圧縮中の概略図である。
図3】折り畳み位置にある、本発明の一実施形態による眼鏡の概略図である。
図4】折り畳まれるときの図3の眼鏡の概略図である。
図5図3の眼鏡の概略上面図である。
図6】ケース内で格納位置にある図3の眼鏡の、長手方向の圧縮中の概略図である。
図7】折畳位置にある、「縁なしクリップオン」式眼鏡の概略図である。
図8】展開位置にある、「縁なしクリップオン」式眼鏡の概略図である。
図9】折畳位置にある、「縁なしクリップオン」式眼鏡の等角図である。
図10】展開位置にある、「縁なしクリップオン」式眼鏡の等角図である。
図11】折畳位置にある、別の一実施形態による眼鏡の概略図である。
図12】展開位置にある、別の一実施形態による眼鏡の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面は、本発明を実施するために本発明を詳細に説明しており、この図面は、当然のことながら、適用可能な場合に本発明をより良く定義するために使用され得ることに留意されたい。
【0031】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による眼鏡Pが示されている。
【0032】
この例では、眼鏡Pは、X軸線が前から後に長手方向に延在し、Y軸線が左から右に横方向に延在し、Z軸線が下から上に垂直に延在する参照フレーム構造(X、Y、Z)で示される。
【0033】
図3に示すように、眼鏡1は、2つのレンズVを具備する前面10を備える。前面10は、異なる性質のものであってもよく、例えば、レンズV用の開口部13で囲まれたもの(図3)、縁なしクリップオン(図7図10)、又はその他であってもよい。したがって、前面10は、一体型でもモジュール型でもよい。同様に、前面10は、様々な材料(プラスチック、金属等)、特にアセテートで作製されてもよい。
【0034】
前面は対称であり、すなわち従来の対称構造を有する。前面の対称の特性は、ほぞを含まずに定義される。好ましくは、前面は略平坦であり、すなわち、X軸線に沿ったその厚さは30mm未満、好ましくは20mm未満である。
【0035】
眼鏡1は、前面10に接続された第1のほぞ11及び第2のほぞ12を更に備える。この例では、第1のほぞ11は右側方のほぞであり、第2のほぞ12は左側方のほぞである。前面10は、レンズVを最適に配置することを可能にする、平面(Y、Z)に対するパントスコープ角を有する。レンズVは異なる性質のものであってもよく、具体的には、視力矯正レンズ、色付きレンズ、サングラスレンズ、仮レンズ、演出用レンズなどであってもよい。
【0036】
更に図3を参照すると、眼鏡1は、第1の丁番31及び第2の丁番32を介して第1のほぞ11及び第2のほぞ12にそれぞれ接続された第1のテンプル21(ここでは右テンプル)及び第2のテンプル22(ここでは左テンプル)を更に備える。その丁番31、32のおかげで、図4に示すように、各テンプル21、22は、テンプル21、22が長手方向X軸線に沿って延在する展開位置Dと、テンプル21、22がY軸線に沿って横方向に延在する折り畳み位置Pとの間を移動することができる。
【0037】
第1のテンプル21及び第2のテンプル22の各々は、従来の眼鏡と同様の快適性を提供するために、装用者の耳の輪郭に合った曲線部分を有する。特に、曲線部分は、側頭骨の近傍を通過して耳の外側/上部に到達するように構成される。
【0038】
ほぞは、テンプルの閉合を可能にする丁番に前面10を接続する要素を意味するように解釈され、ほぞは、前面10に追加される(すなわち、前面10に後から取り付けられる)部分、又は前面10の材料で作製される(すなわち、前面10と同時に形成される)部分であり得る。ほぞは、独立していても、丁番に一体化されていてもよい(ピボット丁番、機構、ガーネットヒンジ又はその他)。
【0039】
本発明によれば、長手方向の圧縮力がもたらす、前面10の変形の恐れを制限するために、丁番31、32の長手方向の位置は異なっている。好ましくは、第1のほぞ11は、特にパントスコープ角を有する前面10の変形の恐れを制限するために、丁番31、32の長手方向位置が異なるように第2のほぞ12よりも短くなっている。
【0040】
ほぞ11、12の間の長手方向X軸線に沿った長さの差は、折り畳み位置にある各テンプル21、22が、他方のテンプル21、22とは異なる平面に存在できるようにするという点で有利である。言い換えれば、図4に示すように、折り畳み位置において、テンプル21、22は接触がほとんど又は全くない。有利には、前面10のパントスコープ角は保護される。
【0041】
好ましくは、丁番31、32は、同じ回転角度範囲を有するピボット丁番の形態である。好ましくは、各丁番は、閉合角度を限定し、テンプル間の接触を減らして力の伝達を低減するように、閉合停止部を備える。
【0042】
この例では、丁番31、32は、同じ水平面内で丁番接続することを可能にするが、言うまでもなく、これらは垂直方向にオフセットすることができる。すなわち、垂直方向にオフセットした2つの水平面内でそれぞれ丁番接続することができる。
【0043】
本発明の一態様によれば、丁番31、32は調整不能、すなわち固定されている。
【0044】
本発明の一態様によれば、第1の丁番31及び/又は第2の丁番32は、一方は前面10に、他方は第1のテンプル21及び/又は第2のテンプル22に接続された丁番軸線を備える機構の形態である。したがって、機械的丁番は、明らかに互い違いとなるように前面10に取り付けられてもよい。本発明の別の態様によれば、第1の丁番31及び/又は第2の丁番32は、丁番軸線を形成する単純なロッド/ねじの形態である。
【0045】
この例では、丁番はテンプル丁番と呼ばれ、すなわち、前面10に対してテンプル21、22の折り畳みを可能にするように構成される。
【0046】
この場合、第1のほぞ11の方が短いことを考えると、第1のテンプル21は、いかなる接触も回避するために、第2のテンプル22の前に折り畳まれなければならない。したがって、図4に示すように、第2のテンプル22は、第1のテンプル21の背後に離れて配置される。有利には、後に示されるように、第2のテンプル22は、その全体で長手方向の圧縮力Fを第1のテンプル21に伝達することを回避することによって、緩衝機能を果たす。その結果、いかなる長手方向の圧縮力Fも前面10の様々な点に伝達されることはなくなり、したがって変形を回避する。
【0047】
ここで、眼鏡1のほぞ11、12及びテンプル21、22を詳細に示す。
【0048】
本発明の一態様によれば、第1のほぞ11が第2のほぞ12よりも短いという事実を補うために、第1のテンプル21は第2のテンプル22よりも長い。この例では、第1のほぞ11及び第1のテンプル21の組立体は、第2のほぞ12及び第2のテンプル22の組立体と同じ長さである。したがって、装用位置において、眼鏡1は対称であり、これにより、従来技術と同様の機能性及び装用者にとって最適な快適性が保証される。
【0049】
この例では、ほぞ11、12は、展開位置でテンプル21、22と位置合わせされる。言い換えると、テンプル21、22は展開位置でほぞ11、12と直接接触し、テンプル21、22は前面10と接触しない。
【0050】
好ましくは、各テンプル21、22は、内部丁番を有さない。その製造は有利には従来通りであり、その長さのみを適合させる必要がある。更により好ましくは、眼鏡1は、各テンプル21、22に1つずつ関連付けられた2つの丁番31、32のみを備える。
【0051】
好ましい態様によれば、第1のテンプル21は、図5に示すように特に中心点で測定された所定の厚さΔ1を有する。丁番31、32の長手方向位置間の間隙Δ2が前記所定の厚さΔ1よりも大きいことにより、第1のテンプル21と第2のテンプル22との接触を回避する。したがって、眼鏡Pが折り畳まれたときの、第2のテンプル22と第1のテンプル21との間の力の伝達が制限される。
【0052】
好ましくは、丁番31、32の長手方向位置間の間隙Δ2は、0.5mm~10mmの間に含まれ、好ましくは1mm~7mmの間に含まれ、更に好ましくは2mm~5mmの間に含まれる。このような間隙の範囲は、一方では前面10の変形を制限し、他方では眼鏡Pの軸線方向の嵩を制限することを可能にする。したがって、このような妥協点が最適である。
【0053】
閉合位置では、第1のテンプル21は第1平面(XZ軸線に平行)に配置され、第2のテンプル22は第1平面と平行かつ別個の第2平面に配置される。2つの平面は、ほぞ11、12の長さの差に対応する間隙だけ離間している。
【0054】
第1のほぞ11(最も短い)が直線的なほぞである眼鏡1が示されている。このような配置は、右利きの人にとって有利である。もちろん、その逆も可能である。
【0055】
ここで図4を参照して、テンプル21、22を折り畳む方法を実施する例を示す。最初に、テンプル21、22は展開位置Dにあり、方法は、前面10に対して第1のテンプル21を折り畳む工程と、次に第2のテンプル22を折り畳む工程とを備える。2つのテンプル21、22が折り畳み位置Pにあるとき、第2のテンプル22は第1のテンプル21から離隔しており、力の伝達、ひいては前面10の変形を制限することを可能にする。
【0056】
一例として、図6を参照すると、眼鏡PをケースETに格納するとき、長手方向の圧縮力Fが圧力点PRESSを通じて第2のテンプル22に加えられるが、テンプル21、22が接触していない場合には、最も前方にある側方テンプル(ここでは右のテンプル21)には伝達されない。最も後方に位置するテンプル22は、前面10の複数の点に伝達されない長手方向の圧縮力Fを緩衝器のように吸収し、その変形を防止する。
【0057】
本発明のおかげで、前面10の変形の恐れを低減することによって、眼鏡Pの耐用年数は延長される。丁番31、32の軸線が変わらないことについても同様である。レンズVの位置は最適に維持され、装用者に長期にわたる光学補正を経時的に提供する。最後に、工業的観点からは、このような眼鏡1のコストは、従来の眼鏡、すなわち、丁番31、32が同じ長手方向位置にあるもののコストと同じ程度である。
【0058】
更に、本発明は、任意の種類の丁番、例えば、従来のピボット丁番、ガーネットヒンジ、又は開放可能な丁番に適用される。
【0059】
図7図10を参照すると、本発明はまた、前面10が、レンズVに取り付けられたほぞ11、12と、レンズVに取り付けられた中央ブリッジのみとを備える、「縁なしクリップオン」式眼鏡にも適用される。言い換えれば、そのような前面では、レンズVは輪の中に嵌められていない。このように、本発明は、任意の種類の前面10に適用される。
【0060】
図11及び図12を参照すると、本発明は、丁番31、32が、展開位置にあるテンプル21、22に対してオフセットしている眼鏡1にも適用される。丁番31、32は、展開位置にあるテンプル21、22の延在部に延在するのではなく、展開位置においてテンプル21、22が前面10と直接接触することを可能にする互い違いの丁番を形成するために、テンプル21、22の間でオフセットしている。丁番31、32を眼鏡1の中心に向かって、すなわち、前面10を実質的に対称となるように分割する、前面10に直交する平面PHに向かってオフセットさせることによって、有利には、テンプル21、22を同一の長さのままにすることができる(図12)。テンプル21とテンプル22は同一であり、工業化が容易である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】