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特表2024-524903マイクロバイオーム復元力を改善するための少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを使用する組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】マイクロバイオーム復元力を改善するための少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを使用する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/135 20160101AFI20240702BHJP
   A23L 33/21 20160101ALI20240702BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20240702BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20240702BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240702BHJP
   A61K 35/741 20150101ALI20240702BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20240702BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20240702BHJP
   A61K 31/702 20060101ALI20240702BHJP
   A61K 31/715 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A23L33/135
A23L33/21
A61P1/14
A61P1/10
A61P43/00 121
A61K35/741
A61K35/747
A61K35/745
A61K31/702
A61K31/715
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577243
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2022066799
(87)【国際公開番号】W WO2022268759
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/213,280
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100200540
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 祐子
(72)【発明者】
【氏名】ダマック, サーミ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア‐ガルセラ, マーク
(72)【発明者】
【氏名】ベルガー, ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】マイナルディ, ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア‐ロデナス, クララ ルシア
(72)【発明者】
【氏名】ドグラ, シャイレイ クマール
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD31
4B018MD37
4B018MD39
4B018MD40
4B018MD47
4B018MD52
4B018MD86
4B018MD87
4B018ME11
4B018ME14
4B018MF02
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086EA20
4C086MA02
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4C086MA16
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4C086MA27
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA55
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA69
4C086ZA73
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087BC59
4C087BC60
4C087MA02
4C087MA16
4C087MA17
4C087MA27
4C087MA34
4C087MA35
4C087MA37
4C087MA43
4C087MA52
4C087MA55
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA69
4C087ZA73
4C087ZC75
(57)【要約】
組成物は、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含有し、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせが対象のマイクロバイオームの復元力を増強するように、対象への投与用に配合される。好ましくは、対象は、食事ストレッサー、抗生物質、他の薬剤、感染症、激しい運動、ストレス、アルコール、旅行及びこれらの組合せのうちの1つ以上など;より好ましくは、少なくとも食事ストレッサー;最も好ましくは、少なくとも高脂肪食、例えば西洋型高脂肪食又はケトン食である、マイクロバイオームストレッサーを経験している、マイクロバイオームストレッサーを経験することになる、及び/又はマイクロバイオームストレッサーを最近経験したことがある。本方法は、(i)微生物叢の撹乱の予防又は減弱;(ii)撹乱後の回復;及び(iii)排便回数、腸内通過、便秘、腸管透過性、エンドトキシン血症、又は腸管バリア機能のうちの1つ以上の正常化である、少なくとも1つの結果を達成し得る。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象のマイクロバイオームの復元力を増強する方法であって、前記対象に、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを投与するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記対象が、マイクロバイオームストレッサーを経験している、マイクロバイオームストレッサーを経験することになる、及び/又はマイクロバイオームストレッサーを最近経験したことがある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ストレッサーが、食事ストレッサー;抗生物質;他の薬剤;感染症;激しい運動;ストレス;アルコール;旅行;非経口栄養;経腸栄養;短腸症候群;腸炎症;化学療法;結腸癌;下痢;プロトンポンプ阻害剤;グルテンフリー食;発酵性オリゴ糖、二糖、単糖及びポリオール(FODMAP)を含まない食事;及びこれらの組み合わせ;好ましくは、少なくとも食事ストレッサー;より好ましくは、少なくとも高脂肪食;最も好ましくは、西洋型高脂肪低繊維食又はケトン食である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(i)微生物叢の撹乱の予防又は減弱;(ii)微生物叢の撹乱後の回復;及び(iii)排便回数、腸内通過、便秘、腸管透過性、エンドトキシン血症、又は腸管バリア機能のうちの1つ以上の正常化、からなる群から選択される少なくとも1つの結果を達成する方法であって、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを対象に投与することによって、前記対象のマイクロバイオームの復元力を増強するステップを含む、方法。
【請求項5】
少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを対象に投与することによって、前記対象のマイクロバイオームの復元力を増強するステップを含む、胃腸の健康を改善する方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種類の繊維が、不溶性繊維、可溶性繊維、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくはこれらの混合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種類の繊維が、キシロオリゴ糖、アマニ、部分加水分解グアーガム(PHGG)、グルコマンナン、セルロース、プルーン粉末、リンゴ皮ペクチンなどのペクチン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種類の繊維が、少なくとも2種類の繊維、例えば2種類、3種類、4種類、5種類、6種類又は7種類の繊維、及び任意選択でより多くの種類の繊維を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種類のプロバイオティクスが、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種類のプロバイオティクスが、ラクトバチルス・アシドフィルスLa-14、ビフィドバクテリウム・ラクティスBl-04、ラクトバチルス・ラムノーサスGG、ビフィドバクテリウム・ロンガムBL-05、ラクトバチルス・プランタラムLp-115、ビフィドバクテリウム・ビフィダムBb-06、ラクトバチルス・ガセリLg-36、及びこれらの混合物からなる群から選択される株を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種類のプロバイオティクスが、少なくとも2種類のプロバイオティクス株、例えば、2種類、3種、4種類、5種類、6種類又は7種類のプロバイオティクス株、及び任意選択でより多くの種類のプロバイオティクス株を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせが、前記対象に経口投与される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、ヒト乳児、ヒト小児、ヒト青年、ヒト成人、及びヒト高齢者、並びにコンパニオンアニマルなどの動物からなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含む組成物の単位剤形であって、前記単位剤形が投与される対象のマイクロバイオームの復元力を増強するのに有効な量の少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含む、単位剤形。
【請求項15】
組成物が投与される対象のマイクロバイオームの復元力を増強するための組成物を製造する方法であって、少なくとも1種類の繊維を少なくとも1種類のプロバイオティクス及び任意選択で少なくとも1種類の追加成分に添加するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景技術]
[0001]本開示は、概して、マイクロバイオーム復元力を改善する方法に関する。本開示は更に、当該方法において有用な組成物に関し、更に、かかる組成物を作製する方法にも関する。
【0002】
[0002]ヒト腸内マイクロバイオームは、何兆個もの細菌による生態系である。生涯を通して、腸内マイクロバイオームは、不健康な食事、抗生物質、他の薬剤、感染症、激しい運動、又はアルコールのうちの1つ以上の負荷を受ける。マイクロバイオームがこれらの負荷に抵抗する能力、又は撹乱(perturbation)から迅速かつ完全に回復する能力が「マイクロバイオーム復元力(microbiome resilience)」であり、健康の維持に寄与する可能性が高い。マイクロバイオーム復元力の低下は、健康に悪影響を及ぼす細菌叢バランスの破綻(dysbiosis)をもたらし得る。
【0003】
[発明の概要]
[0003]腸内マイクロバイオームが健康及び疾患において重要な役割を果たすというエビデンスが増えている。しかしながら、高脂肪食ストレス後の微生物叢の復元力についてはこれまでに扱われていない。本明細書に開示される臨床研究は、繊維ブレンドとプロバイオティクス混合物との組み合わせの摂取が、高脂肪かつ低繊維の食事による負荷を受けている対象において、マイクロバイオーム復元力、腸内通過(intestinal transit)、及び腸管バリアを改善することを実証する。したがって、本開示は、概して、胃腸の健康を改善するための、繊維ブレンドとプロバイオティクス混合物との組み合わせによる、マイクロバイオーム復元力の新規な改善に関する。
【0004】
[0004]この微生物叢復元力の改善から得られる利益としては、例えば、微生物叢の撹乱の予防又は減弱;細菌叢バランスの破綻の管理;撹乱後の回復;及び排便回数、腸内通過、便秘、腸管透過性(gut permeability)、エンドトキシン血症、又は腸管バリア機能(例えば、エンドトキシンに対する)のうちの1つ以上の正常化が挙げられる。
【0005】
[0005]更なる特徴及び利点が本明細書において記述されており、以下の図面、及び発明を実施するための形態から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本明細書で定義される微生物叢復元力の概要を示す概略図である。
図2】本明細書に開示される実験例の臨床研究のデザインを示す概略図である。
図3A】本明細書に開示される実験例で使用される繊維製品の処方を示す表である。
図3B】本明細書に開示される実験例で使用されるプロバイオティクス製品の処方を示す表である。
図4】介入の、ある期間における微生物叢構成細菌(microbiota members)の存在量(prevalence)に対する効果を示すグラフである。
図5】介入及び高脂肪食負荷の、α多様性に対する効果を示すグラフである。
図6】本明細書に開示される実験例の結果を示すグラフである。栄養介入が行われたときに、高脂肪食による微生物叢の撹乱が少なくなることを実証している。
図7】微生物叢のコミュニティ構造の変化を示すグラフである。
図8A】本明細書に開示される実験例で得られた抵抗指数に関する結果を示すグラフである。抵抗=1/dmax。式中、dmaxは、ベースライン(日数=0)を基準にした、負荷中の最大Aitchison距離である。
図8B】本明細書に開示される実験例で得られた抵抗指数に関する結果を示すグラフである。抵抗=1/dmax。式中、dmaxは、ベースライン(日数=0)を基準にした、負荷中の最大Aitchison距離である。
図8C】本明細書に開示される実験例で得られた抵抗指数に関する結果を示す表である。抵抗=1/dmax。式中、dmaxは、ベースライン(日数=0)を基準にした、負荷中の最大Aitchison距離である。
図9A】本明細書に開示される実験例で得られた回復指数に関する結果を示す表である。回復度=ピーク後の最小Aitchison距離に達する時間。平均回復度は、群ごと、及び分類レベルごとの平均である。
図9B】科レベルでの回復指数に関する結果を示すグラフである。
図10】ベースラインを基準にした、代謝組成における差を示すグラフである。
図11】本明細書に開示される実験例で得られた、宿主に対する効果に関する結果を示すグラフである。栄養介入が負荷中の排便回数を正常化することを実証している。
図12A】本明細書に開示される実験例で得られた、宿主に対する効果に関する結果を示すグラフである。高脂肪食により誘導される、血中エンドトキシンレベルに対する抗体の増加が、栄養介入によって予防されることを実証している。
図12B】本明細書に開示される実験例で得られた、宿主に対する効果に関する結果を示すグラフである。高脂肪食により誘導される、血中エンドトキシンレベルに対する抗体の増加が、栄養介入によって予防されることを実証している。
【0007】
[発明を実施するための形態]
[0020]定義
[0021]以下、いくつかの定義を示す。しかしながら定義が以下の「実施形態」の項にある場合もあり、上記の見出し「定義」は、「実施形態」の項におけるそのような開示が定義ではないことを意味するものではない。
【0008】
[0022]本明細書に記載する全ての百分率は、別途記載のない限り、組成物の総重量によるものである。本明細書で使用するとき、「約」、「およそ」、及び「実質的に」は、数値のある範囲内、例えば、参照数字の-10%から+10%の範囲内、好ましくは参照数字の-5%から+5%の範囲内、より好ましくは、参照数字の-1%から+1%の範囲内、最も好ましくは参照数字の-0.1%から+0.1%の範囲内の数を指すものと理解される。本明細書における全ての数値範囲は、その範囲内の全ての整数又は分数を含むと理解されるべきである。更に、これらの数値範囲は、この範囲内の任意の数又は数の部分集合を対象とする請求項をサポートすると解釈されたい。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、1~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲をサポートするものと解釈されたい。
【0009】
[0023]本開示及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」には、別段の指示がない限り、複数の参照物も含まれる。したがって、例えば、「ビタミン(a vitamin又はthe vitamin)」への言及は、単一のビタミンを有する実施形態と、2種以上のビタミンを有する実施形態との両方を包含する。
【0010】
[0024]用語「含む/備える(comprise)」、「含む/備える(comprises)」、及び「含んでいる/備えている(comprising)」は、排他的なものではなく、他を包含し得るものとして解釈されるべきである。同様にして、用語「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは他を包含し得るものであると解釈されるべきである。しかしながら、本明細書に開示されている組成物は、本明細書において具体的に開示されていない要素を含まない場合がある。したがって、「含む/備える(comprising)」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている構成要素「を本質的に含む/から本質的に構成される(consisting essentially of)」実施形態、及び特定されている構成要素「からなる(consisting of)」実施形態の開示を含む。
【0011】
[0025]「X又はYのうちの少なくとも1つ」及び「X及び/又はY」のそれぞれの文脈において使用される「のうちの少なくとも1つ」及び「及び/又は」という用語は、「X」、若しくは「Y」、又は「X及びY」として解釈されるべきである。例えば、「抵抗又は回復のうちの少なくとも1つ」及び「抵抗及び/又は回復」は、「抵抗」、若しくは「回復」、又は「抵抗及び回復の両方」として解釈されるべきである。
【0012】
[0026]本明細書において使用する場合、用語「例」及び「例えば~など(such as)」は、その後に用語の列挙が続くときは特に、単に例示的かつ説明的なものにすぎず、排他的又は包括的なものとみなされるべきではない。本明細書で使用するとき、別の状態「に関連する/伴う(associated with)」又は「と関連付けられる(linked with)」状態は、これらの状態が同時に起こることを意味し、好ましくは、これらの状態が同じ基礎症状によって引き起こされることを意味し、最も好ましくは、特定されている状態のうちの一方が他方の特定されている状態によって引き起こされることを意味する。
【0013】
[0027]「予防」は、状態又は障害のリスク、発生率及び/又は重症度の低減を含む。用語「処置/治療」及び「処置/治療する」には、予防的治療又は抑止的治療(対象とする病的状態又は障害を予防する及び/又は発症を遅らせる治療)と、治癒的治療、治療的治療、又は疾患修飾的治療との両方が含まれ、例えば、診断された病的状態又は障害の治癒、遅延、症状の軽減、及び/又は進行の停止のための治療的手段、並びに、疾患に罹患する危険性がある患者、又は疾患に罹患した疑いのある患者、及び体調不良の患者、又は疾患若しくは医学的状態に罹患していると診断された患者の治療が含まれる。用語「処置/治療」及び「処置/治療する」は、対象が全快するまで治療することを必ずしも意味するものではない。「処置/治療」及び「処置/治療する」という用語はまた、疾患に罹患してはいないが不健康な状態を招きやすい可能性のある個体の健康を維持及び/又は促進することも指す。用語「処置/治療」及び「処置/治療する」はまた、1つ以上の主たる予防手段又は治療手段の相乗作用、又はそうでない場合強化を含むことも目的としている。非限定的な例として、処置/治療は、患者、介護者、医師、看護師、又は別の医療専門家によって行うことができる。
【0014】
[0028]本明細書で使用するとき、予防又は治療上の「有効量」は、個体において、欠乏を防ぐ量、疾患若しくは医学的状態を治療する量、又は、より全般的には、個体に対して、症状を低減する量、疾患の進行を管理する量、若しくは栄養学上の利益、生理学上の利益若しくは医療上の利益を提供する量である。相対的な用語「促進する」、「改善する」、「増加させる」、及び「増強する」などの用語は、繊維及び/又はプロバイオティクスは存在しないが他の点では同一に配合された組成物の投与によって得られた対象のマイクロバイオームの復元力(すなわち、負荷に対する抵抗及び/又は負荷からの回復)と比較した、本明細書に開示される組成物(繊維とプロバイオティクスとを含む)の投与後の対象のマイクロバイオームの復元力を指す。
【0015】
[0029]本明細書で使用するとき、用語「食品」、「食品製品」、及び「食品組成物」とは、ヒト又は他の哺乳動物による経口摂取を意図し、かつヒト又は他の哺乳動物のための少なくとも1つの栄養素を含む、製品又は組成物を意味する。
【0016】
[0030]本明細書で使用するとき、「栄養組成物」及び「栄養製品」は、製品における機能上の必要性に基づき、かつ適用され得る全ての規制を完全に遵守して、任意の数の食品原材料及び場合により任意選択的な追加の原材料を含む。任意選択的な原材料は、例えば、1種類以上の酸味料、追加の増粘剤、pH調節用緩衝液若しくはpH調節剤、キレート剤、着色剤、乳化剤、賦形剤、香料、ミネラル、浸透剤、製薬上許容可能な担体、防腐剤、安定剤、糖、甘味料、調質剤及び/又はビタミン類などの従来の食品添加物を含み得るが、これらに限定されない。任意選択の原材料は、任意の好適な量で添加することができる。
【0017】
[0031]「プロバイオティクス」は、宿主の健康又は幸福(well-being)に有益に働く微生物細胞調製物又は微生物細胞成分を意味する。(Salminen S、Ouwehand A.Benno Y.et al.、「Probiotics:how should they be defined」、Trends Food Sci.Technol.、1999:10 107-10)。
【0018】
[0032]本明細書で使用するとき、「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び動物対象のための投与量単位として好適な物理的に小分けされた単位を指し、各単位は、製薬上許容可能な希釈剤、担体、又はビヒクルとともに、所望の効果をもたらすのに十分な量の、予め定められた量の、本明細書に開示される組成物を含有する。単位剤形の仕様は、使用される具体的な化合物、達成しようとする効果、及び宿主体内の各化合物に関連する薬力学によって決まる。
【0019】
[0033]「対象」又は「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0020】
[0034]実施形態
[0035]図1に示すように、微生物叢復元力は、負荷若しくは撹乱に抵抗する能力、又は負荷若しくは撹乱から完全かつ迅速に回復する能力として定義される。したがって、本開示の一態様は、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含み、当該組み合わせが対象のマイクロバイオームの復元力を増強するように対象に投与するために配合された組成物である。
【0021】
[0036]別の態様は、対象(例えば、マイクロバイオームの復元力の増強を必要とする対象)のマイクロバイオームの復元力を増強する方法であって、対象に、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含む組成物を(例えば、治療有効量又は予防有効量で)投与するステップを含む、方法である。一実施形態では、対象は、マイクロバイオームストレッサーを経験している、及び/又は最近(例えば、1年前未満、好ましくは1カ月前未満、より好ましくは1週間前未満、最も好ましくは1日前以内に)マイクロバイオームストレッサーを経験したことがある。
【0022】
[0037]関連する実施形態は、マイクロバイオームストレッサーを経験している対象、マイクロバイオームストレッサーを最近(例えば、直近1カ月以内又は1週間以内に)経験したことがある対象、及び/又は近い将来(例えば、直後1カ月又は1週間以内に)マイクロバイオームストレッサーを経験することになる対象において、マイクロバイオームストレッサーに関連する状態を治療する、予防する、その発生率を低減する、及び/又はその重症度を低減する方法であって、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含む組成物を(例えば、治療有効量又は予防有効量で)対象に投与するステップを含む、方法である。
【0023】
[0038]好ましい実施形態では、ストレッサーは、高脂肪食、例えば、西洋食若しくはケトン食、又は低炭水化物食などの食事ストレッサーである。本明細書で使用される場合、高脂肪食は、1日カロリー摂取量の35%超が食事性脂肪由来、例えば、1日カロリー摂取量の少なくとも約40%が食事性脂肪由来、1日カロリー摂取量の少なくとも約45%が食事性脂肪由来、1日カロリー摂取量の少なくとも約50%が食事性脂肪由来、1日カロリー摂取量の少なくとも約55%が食事性脂肪由来、又は1日カロリー摂取量の少なくとも約60%が食事性脂肪由来である、1日カロリー摂取量である。
【0024】
[0039]西洋食は、高度に加工及び精製された食品;高含量の糖、塩及び脂肪;レッドミート由来のタンパク質;及び低含量の繊維を特徴とする。「低繊維」は、1日当たり2000カロリー当たり15g未満の繊維を有する食事とみなされる。
【0025】
[0040]本明細書で使用される場合、低炭水化物食は、1日カロリー摂取量の約15%以下が炭水化物由来、例えば、1日カロリー摂取量の約10%以下が炭水化物由来、又は1日カロリー摂取量の約5%以下が炭水化物由来である。
【0026】
[0041]いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせの最初の投与の前に、少なくとも1日間(例えば、少なくとも1週間又は少なくとも1カ月間)、高脂肪食(例えば、西洋食、又はケトン食)又は低炭水化物食を摂取しており、任意でその後、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせの投与(例えば、少なくとも1週間又は少なくとも1カ月間の期間にわたる毎日の投与)がある。
【0027】
[0042]追加的に又は代替的に、ストレッサーは、抗生物質;他の薬剤;感染症;激しい運動;ストレス;アルコール;旅行;非経口栄養;経腸栄養;短腸症候群;腸炎症;化学療法;結腸癌;下痢;プロトンポンプ阻害剤;グルテンフリー食;発酵性オリゴ糖、二糖、単糖及びポリオール(FODMAP)を含まない食事;又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。
【0028】
[0043]いくつかの実施形態では、対象は、本明細書に開示される組成物のうちの1つを毎日、例えば、ストレッサー前の少なくとも1週間又は更にはストレッサー前の少なくとも1カ月間、毎日摂取する。
【0029】
[0044]更に別の態様は、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含む組成物の単位剤形であって、単位剤形が投与される対象のマイクロバイオームの復元力を増強するのに有効な量の組み合わせ(少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの)を含む単位剤形である。
【0030】
[0045]更に別の態様は、組成物が投与される対象のマイクロバイオームの復元力を増強するための組成物を製造する方法であって、少なくとも1種類の繊維を少なくとも1種類のプロバイオティクス及び好ましくは少なくとも1つの追加成分に添加するステップを含む、方法である。
【0031】
[0046]別の態様は、(i)微生物叢の撹乱の予防又は減弱;(ii)撹乱後の回復;及び(iii)排便回数、腸内通過、便秘、腸管透過性、エンドトキシン血症、又は腸管バリア機能のうちの1つ以上の正常化、からなる群から選択される少なくとも1つの結果を達成する方法であって、対象に、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含む組成物を(例えば、有効量で)投与することによって、対象(例えば、それを必要とする対象)のマイクロバイオームの復元力を増強するステップを含む、方法である。
【0032】
[0047]更に別の態様は、胃腸の健康を改善する方法であって、対象に、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含む組成物を(例えば、有効量で)投与することによって、対象(例えば、それを必要とする対象)のマイクロバイオームの復元力を増強するステップを含む、方法である。
【0033】
[0048]本明細書に開示される実施形態では、少なくとも1種類の繊維のそれぞれは食用であり、すなわち、繊維の全ての成分がヒト及び/又は動物による摂取に安全かつ好適である。少なくとも1種類の繊維は、不溶性繊維及び/又は可溶性繊維、好ましくは不溶性繊維と可溶性繊維とのブレンドを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1種類の繊維は、キシロオリゴ糖、アマニ、部分加水分解グアーガム(PHGG)、グルコマンナン、セルロース、プルーン粉末、リンゴ皮ペクチンなどのペクチン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1種類の繊維は、少なくとも2種の繊維、例えば2種、3種、4種、5種、6種又は7種の繊維、及び任意選択でより多くの種類の繊維である。任意選択で、ラカンカ果実粉末、キシリトール又はマグネシウム(例えば、クエン酸マグネシウム)のうちの1つ以上が、少なくとも1種類の繊維と共に含まれ得る。
【0034】
[0049]いくつかの実施形態において、少なくとも1種類のプロバイオティクスは、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。いくつかの特定の実施形態では、少なくとも1種類のプロバイオティクスは、ラクトバチルス・アシドフィルスLa-14、ビフィドバクテリウム・ラクティスBl-04、ラクトバチルス・ラムノーサスGG、ビフィドバクテリウム・ロンガムBL-05、ラクトバチルス・プランタラムLp-115、ビフィドバクテリウム・ビフィダムBb-06、ラクトバチルス・ガセリLg-36、及びこれらの混合物からなる群から選択される株であり得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1種類のプロバイオティクスは、少なくとも2種のプロバイオティクス株、例えば、2種、3種、4種、5種、6種又は7種のプロバイオティクス株、及び任意選択でより多くの種類のプロバイオティクス株である。
【0035】
[0050]少なくとも1種類の繊維は、約5g~40g、好ましくは約15g~25gの総1日用量として個体に投与され得る。少なくとも1種類の繊維は、乾燥組成物1g当たり約300mg~1000mgの総繊維を含む組成物で投与されてもよい。
【0036】
[0051]少なくとも1種類のプロバイオティクスは、1×10cfu~1×1012cfu(cfu=コロニー形成単位)、好ましくは1×10cfu~1×1011cfuの1日用量として個体に投与され得る。少なくとも1種類のプロバイオティクスは、1×10cfu~1×1012cfu/gの乾燥組成物を含む組成物で投与され得る。少なくとも1種類のプロバイオティクスは、生存している、断片化されている、又は発酵産物(例えば、上清)若しくは代謝産物の形態である、又はこれらの状態のいずれか若しくは全ての混合物であり得る。
【0037】
[0052]少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせは、好ましくは食品組成物などの組成物で経口投与される。
【0038】
[0053]少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせが投与される対象は、ヒト乳児、ヒト小児、ヒト青年、ヒト成人、及びヒト高齢者からなる群から選択することができる。
【0039】
[0054]少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせは、経口、局所、経腸、及び非経口からなる群から選択される少なくとも1つの経路によって個体に投与され得る。例えば、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせは、完全栄養製品、飲料、ダイエタリー・サプリメント、置き換え食、食品添加物、食品製品への補給剤、溶解用粉末、経腸栄養製品、乳児用フォーミュラ、カプセル、及びこれらの組合せからなる群から選択される組成物で投与され得る。
【0040】
[0055]任意選択で、少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせは、アミノ酸、タンパク質、ヌクレオチド、魚油、非海洋性のオメガ-3脂肪酸源、植物栄養素、抗酸化剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の成分を更に含む組成物で投与される。
【0041】
[0056]組成物は、食品製品、動物食品製品、又は医薬組成物であり得る。例えば、製品は、栄養組成物、ニュートラシューティカル、飲料、食品添加物、又は医薬品であり得る。食品添加物又は医薬品は、例えば、錠剤、カプセル、トローチ、液体、又はサシェ中粉末の形態であってもよい。
【0042】
[0057]いくつかの実施形態では、少なくとも1種類のプロバイオティクスは、少なくとも1種類の繊維とは別個の組成物で、例えば、互いに1時間以内、好ましくは互いに30分以内、より好ましくは互いに10分以内、最も好ましくは互いに1分以内に同じ個体に投与される別個の組成物で同時に投与される。
【0043】
[0058]少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含む組成物は、好ましくは、乳粉末ベースの製品;インスタント飲料;レディ・トゥ・ドリンク処方;栄養粉末;栄養液体;乳ベースの製品、特にヨーグルト又はアイスクリーム;シリアル製品;飲料;水;コーヒー;カプチーノ;麦芽飲料;チョコレート風味飲料;調理製品;スープ;錠剤;及び/又はシロップからなる群から選択される。
【0044】
[0059]組成物は、任意選択で、例えばウシの乳、ヒトの乳、ヒツジの乳、ヤギの乳、ウマの乳、ラクダの乳、ライスミルク、又は豆乳のうちの1つ以上などの、動物性供給源又は植物性供給源から得られる任意の乳を含んでもよい。追加的又は代替的に、乳由来タンパク質画分又は初乳を使用してもよい。
【0045】
[0060]少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含む組成物は、保護親水コロイド(ガム、タンパク質、加工デンプンなど)、バインダー、皮膜形成剤、封入剤/封入材、壁/シェル材料、マトリックス化合物、コーティング、乳化剤、表面活性剤、可溶化剤(油、脂肪、ワックス、レシチンなど)、吸着剤、担体、充填剤、共化合物、分散剤、湿潤剤、加工助剤(溶媒)、流動化剤、矯味剤、増量剤、ゼリー化剤、ゲル形成剤、抗酸化剤、及び抗菌剤を更に含有してもよい。
【0046】
[0061]少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含む組成物はまた、従来の医薬品添加物及び補助剤、賦形剤及び希釈剤を含有してもよく、その例としては、水、任意の原材料に由来するゼラチン、植物ガム、リグニンスルホネート、タルク、糖、デンプン、アラビアガム、植物油、ポリアルキレングリコール、着香料、防腐剤、安定剤、乳化剤、緩衝剤、潤滑剤、着色剤、湿潤剤、充填剤などが挙げられるが、これらに限定されない。更に、組成物には、経口投与又は経腸投与に好適な有機担体材料又は無機担体材料に加え、USRDAなどの政府機関の推奨に従い、ビタミン類、ミネラル類、微量元素及びその他の微量栄養素を含有させることもできる。
【0047】
[0062]少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含む組成物は、任意選択で、特に食品製品である組成物の実施形態において、1つ以上のアミノ酸、タンパク質源、炭水化物源、及び/又は脂質源を含有し得る。
【0048】
[0063]任意の好適な食品由来のタンパク質、例えば、動物性タンパク質(乳タンパク質、肉タンパク質、及び卵タンパク質など);植物性タンパク質(大豆タンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、及びエンドウ豆タンパク質など);遊離アミノ酸の混合物;又はこれらの組み合わせを使用してもよい。カゼイン及びホエイなどの乳タンパク質、並びに大豆タンパク質が特に好ましい。
【0049】
[0064]少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含む組成物は、ヒト又は動物、特にコンパニオンアニマル、ペット、又は家畜に投与され得る。この組成物はいずれの年齢層にも有益な効果を有する。好ましくは、組成物は、乳児、若年者、成人、又は高齢者に投与するために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、乳児を治療するために妊娠中及び授乳中の母親へ投与できる。
【0050】
[0065]少なくとも1種類の繊維と少なくとも1種類のプロバイオティクスとの組み合わせを含む組成物は、1週間に少なくとも1日、好ましくは1週間に少なくとも2日、より好ましくは1週間に少なくとも3日又は4日(例えば、1日おき)、最も好ましくは1週間に少なくとも5日、1週間に6日、又は1週間に7日、投与することができる。投与期間は、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも1カ月間、より好ましくは少なくとも2カ月間、最も好ましくは少なくとも3カ月間、例えば、少なくとも4カ月間であってもよい。一実施形態では、投与は少なくとも毎日であり、例えば、対象は1日に1回以上投与を受けてもよい。いくつかの実施形態では、投与は、個体の残りの寿命にわたって継続される。他の実施形態では、投与は、医学的状態について検出可能な症状がなくなるまで行われる。具体的な実施形態では、投与は、少なくとも1つの症状について検出可能な改善が生じるまで行われ、更なる場合においては、寛解を維持するために継続される。
【0051】
[0066][実施例]
[0067]以下の非限定的な実施例は、概して、本明細書に開示される実施形態の基礎となる概念を示す。
【0052】
[0068]図2は、全体的なマイクロバイオーム多様性を改善するための多様な繊維のブレンドを含有する繊維製品と、減少した(down-regulated)細菌を補充し、炎症を減少させ、腸管バリアを改善するためのプロバイオティクス製品と、を使用した臨床研究のデザインを示す。図3Aは繊維製品の処方を示し、図3Bはプロバイオティクス製品の処方を示す。
【0053】
[0069]結果を図4図12に示す。具体的には、図4は、介入の、ある期間における微生物叢構成細菌の存在量に対する効果を示す。介入は、実験の期間を通して、微生物叢構成細菌の全体的な存在量を増加させる。存在量のこの増加は、高脂肪食負荷後の微生物叢が対照と比較して高い安定性を有することを強調する。
【0054】
[0070]図5は、介入のα多様性(生態系に存在する微生物の多様性として定義される)に対する効果を示す。介入は、高脂肪食負荷の前に生態系のα多様性を有意に増加させる。更に、介入は、高脂肪食負荷の間、α多様性を安定に維持する。
【0055】
[0071]図6は、栄養介入が行われたときに、高脂肪食による微生物叢の撹乱が少なくなることを実証している。
【0056】
[0072]図7は、微生物叢のコミュニティ構造(微生物叢の構成細菌間の相互作用の数及び特異性として定義される)の変化を示す。介入は、高脂肪食負荷中の相互作用の数及び特異性を維持する。
【0057】
[0073]図8A図8Cは、抵抗指数に関する結果を示す。図9は回復指数に関する結果を示す。介入は、高脂肪食負荷後の回復時間を短縮する。
【0058】
[0074]図10は、ベースラインを基準にした、代謝組成における差を示すグラフである。介入は、高脂肪負荷によって生じる代謝レベルでの変化を減少させる。この効果は、高脂肪負荷終了の2日後に特に顕著である。
【0059】
[0075]図11図12A及び図12Bは、臨床研究における宿主に対する効果を示す。具体的には、図11は、栄養介入が負荷中の排便回数を正常化することを示す。図12A及び図12Bは、高脂肪食により誘導される、血中エンドトキシンレベルに対する抗体の増加が、栄養介入によって予防されることを示す。この予防により、腸管バリアの改善及びエンドトキシン血症の予防につながる。
【0060】
[0076]この厳密な無作為化対照臨床研究は、繊維ブレンドとプロバイオティクス混合物との組み合わせの摂取が、高脂肪かつ低繊維の食事の負荷を受けている対象において、マイクロバイオーム復元力、腸内通過、及び腸管バリアを改善し、エンドトキシン血症を予防することを実証する。
【0061】
[0077]本明細書で述べる現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。そのような変更及び修正は、本主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、なされ得る。したがって、このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
【国際調査報告】