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  • 特表-軸受装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】軸受装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/10 20060101AFI20240702BHJP
   F16C 33/74 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F16C33/10 Z
F16C33/74 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577264
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2022059583
(87)【国際公開番号】W WO2022263040
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102021115285.2
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506408818
【氏名又は名称】フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D-89522 Heidenheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト シャガール
(72)【発明者】
【氏名】マーティン シャバッサー
【テーマコード(参考)】
3J011
3J216
【Fターム(参考)】
3J011AA07
3J011BA02
3J011JA02
3J011KA02
3J011MA12
3J011MA23
3J011MA27
3J011RA01
3J216AA05
3J216AA12
3J216AB30
3J216BA30
3J216CA01
3J216CB08
3J216CB13
3J216EA07
(57)【要約】
軸受装置であって、軸(1)と、ハウジング(2)と、このハウジング内に配置された油浴(3)と、ハウジングに結合された支持構造体(4)と、この支持構造体により支持されて、この支持構造体と軸との間に延在している少なくとも1つのシール(6)とを備え、軸受装置は少なくとも1つの電極(5)を備え、この電極は、支持構造体に結合されていて、油蒸気が、漏出可能となるべく、油浴からシールを通って電極と軸との間の間隙を通過しなければならないように、支持構造体と軸との間に配置されており、軸受装置は、油蒸気内に含まれた油粒子を電極へと導くために、この電極と軸との間に電圧を印加することができるように構成されており、軸受装置は少なくとも1つの流出通路(8)を備え、この流出通路は、電極にて分離された油を流出通路を通して油浴に流入させることができるように構成されている、軸受装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受装置であって、軸(1)と、ハウジング(2)と、該ハウジング(2)内に配置された油浴(3)と、前記ハウジング(2)に結合されていて、前記軸(1)を取り囲んで配置された支持構造体(4)と、該支持構造体(4)により支持されて、該支持構造体(4)と前記軸(1)との間に延在している少なくとも1つの第1のシール(6)とを備える、軸受装置において、
前記軸受装置は少なくとも1つの電極(5)を備え、該電極(5)は、前記支持構造体(4)に結合されていて、油蒸気が漏出可能となるべく、前記油浴(3)から前記第1のシール(6)を通って前記電極(5)と前記軸(1)との間の間隙を通過しなければならないように、前記支持構造体(4)と前記軸(1)との間に配置されており、
前記軸受装置は、前記油蒸気内に含まれた油粒子を前記電極(5)へと導くために、該電極(5)と前記軸(1)との間に電圧を印加することができ、これによって、前記油粒子を前記電極(5)にて分離することができるように構成されており、
前記軸受装置は少なくとも1つの流出通路(8)を備え、該流出通路(8)は、前記電極(5)にて分離された油を前記流出通路(8)を通して前記油浴(3)に流入させることができるように構成されている
ことを特徴とする、軸受装置。
【請求項2】
前記軸受装置は、前記支持構造体(4)により支持されて、該支持構造体(4)と前記軸(1)との間に延在している第2のシール(7)を備え、該第2のシール(7)は、前記第1のシール(6)から見て前記電極(5)を越えた側に配置されている、請求項1記載の軸受装置。
【請求項3】
前記軸受装置は、前記流出通路(8)内に配置されたサイフォン(9)を備え、該サイフォン(9)は、前記電極(5)にて分離された前記油で満たされ、これによって、前記油蒸気が前記油浴(3)から前記サイフォン(9)を通過することができないように前記流出通路(8)を密封することができるように配置されている、請求項1または2記載の軸受装置。
【請求項4】
前記軸(1)は水平に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の軸受装置。
【請求項5】
前記軸(1)は鉛直に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の軸受装置。
【請求項6】
前記軸受装置は、前記電極(5)にて分離された前記油を捕集する手段を備える、請求項5記載の軸受装置。
【請求項7】
前記電極(5)にて分離された前記油を捕集するための前記手段は、前記支持構造体(4)の張出し部を備え、該張出し部は、前記電極(5)にて分離された油が前記張出し部上に滴下することができるように配置されている、請求項6記載の軸受装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受の潤滑が油浴を介して行われる軸受装置に関する。このような軸受装置は、特に水力発電所で使用される。
【0002】
このような軸受装置は、例えばロシア国特許第2161730号明細書に示されている。軸受ハウジングからの油蒸気の漏出を回避するために、油蒸気吸引手段が使用される。油蒸気吸引手段はコスト要因であり、さらに、継続的な運転コストおよび継続的なエネルギー消費を招いてしまう。
【0003】
本発明の課題は、油蒸気吸引手段を必要とすることなく、油蒸気の漏出を十分に阻止する軸受装置を提供することである。
【0004】
この課題は、本発明によれば、独立請求項に相応の軸受装置によって解決される。本発明による構成の更なる有利な特徴は、従属請求項に認められる。
【0005】
以下に、本発明に係る軸受装置を図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明に係る軸受装置の第1の実施形態を示す図である。
図2】本発明に係る軸受装置の第2の実施形態を示す図である。
【0007】
図1には、本発明に係る軸受装置の第1の実施形態が概略図で示してある。軸受装置は、符号1を付した軸と、符号2を付したハウジングと、符号3を付した、油を含む浴とを備えている。図1に示した実施形態は、鉛直に配置された軸1を備えた実施形態である。浴3はハウジング2の内部に配置されている。この油浴3は、図面を見やすくするため図1には示していない軸受面および軸受セグメントを潤滑して冷却するために用いられる。このとき、油が加熱され、これによって、油蒸気もしくは油霧が形成される。この油蒸気がハウジング2の外側の影響を受けやすい領域を汚染してしまうことを回避するために、軸受装置は、図1で符号6を付した第1のシールおよび符号7を付した第2のシールを備えている。これらのシール6,7は、符号4を付した支持構造体によって支持される。この支持構造体4はハウジング2に結合されていて、軸1を取り囲んで配置されている。このために、支持構造体4が複数のセグメントから構成されていると有利である。シール6,7は、支持構造体4と軸1との間に延在している。図1に示したシール6,7はナイフエッジシールとして形成されている。しかしながら、シール6,7は、あらゆる別の既知の適切な形態で形成されていてもよい。実際のシールによって理想的な密封は可能とならないため、油蒸気の漏出を付加的に阻止することができる更なる手段が設けられなければならない。
【0008】
このために、先行技術による軸受装置には、すでに冒頭で述べた油蒸気吸引手段が設けられる。この油蒸気吸引手段では、吸引管が、シール6,7と、支持構造体4と、軸1との間の室に開口している。この公知の装置では、シール6,7が、吸引体積流を制限するためにも用いられる。
【0009】
これに対して、本発明に係る軸受装置は、図1で符号5を付した少なくとも1つの電極を備えている。1つの電極もしくは複数の電極5は、支持構造体4に結合されていて、油蒸気が、漏出可能となるべく、油浴3から第1のシール6を通って1つの電極5と軸1との間の間隙を通過しなければならないように、支持構造体4と軸1との間に配置されている。このことは、1つの電極もしくは複数の電極5が軸1を取り囲んで配置されていて、第1のシール6が油浴3と1つの電極もしくは複数の電極5との間に配置されていることを意味している。
【0010】
油粒子を電場によって逸らすことができることが知られている。したがって、本発明に係る軸受装置は、油蒸気内に含まれた油粒子を電極5へと導くために、この電極5と軸1との間に電圧を印加することができ、これによって、油粒子を電極5にて分離することができるように構成されている。これによって、電極5と軸1との間の間隙を通過するガス流から油が除去される。記載した所望の効果は、間隙幅および電極5の軸線方向の長さによって最適化することができる。なお、軸線方向の長さとは、軸の軸線の方向における電極5の延在長さである。間隙幅が小さく選択されると共に電極5の軸線方向の長さが大きく選択されるほど、上述したガス流からの油の除去の効率がより良好となる。このことは、本発明によれば、場合により第2のシール7を不要にすることができることを意味している。したがって、第2のシール7は任意選択的なものと見なすことができる。任意選択的な第2のシール7は、第1のシール6から見て軸線方向で電極5を越えた側に配置されている。任意選択的には、軸受装置がさらに多くのシールを備えていてもよい。これらの更なるシールは、例えば、第1のシール6と電極5との間または第2のシール7と電極5との間に配置されていてもよい。
【0011】
電極5にて分離された油は、油膜として重力に従って流下する。分離された油を導出するために、軸受装置は少なくとも1つの流出通路を備えている。この流出通路は、分離された油が流出通路を通って油浴3に流入することができるように配置されている。図1では、流出通路に符号8が付してある。
【0012】
図1に示した、鉛直に配置された軸1を備えた実施形態では、さらにまだ、分離された油を捕集する手段が設けられていると有利である。図1では、この手段が支持構造体4の張出し部を備えている。この張出し部は、電極5にて分離された油が張出し部上に滴下することができるように配置されている。流出通路8は張出し部の上面に直接開口しており、これによって、張出し部により捕集された油が問題なく流下することができる。油をより良好に導出するために、張出し部は傾斜させられていてもよく、この傾斜によって、張出し部により捕集された油が流出通路の開口の方向に流れるようになっている。
【0013】
水平に配置された軸1を備えた実施形態では、分離された油が、電極5の、軸1に面した表面の最も低いポイントに集められる。このためには、場合により、複数の電極5が周方向で互いに隣り合っており、これによって、油が1つの電極5から隣り合った電極5に流れることができることが必要となる。しかしながら、油は、場合により、1つの電極5から隣り合った電極5へと落下して、つまり、液滴として、場合により存在する中間室を乗り越えることもできる。鉛直に配置された軸1を備えた実施形態でも、電極5同士の間に周方向で間隙が存在していてもよい。しかしながら、この間隙の幅は、いずれにせよ、軸1と電極5との間の間隙の幅ほど大きくないと有利である。
【0014】
水平に配置された軸1を備えた実施形態では、少なくとも1つの流出通路5は、分離された油が集められるところ、つまり、例えば上述した電極表面の最も低い箇所に開口している。別の適切な開口箇所が、軸線方向で1つの電極5に並んで、支持構造体4の最も低く位置する箇所に配置されている。この場合、開口は、該当する電極5の軸線方向の両側に配置されていると有利である。
【0015】
図2には、本発明による別の実施形態が示してある。図示の軸受装置は、符号9を付した、流出通路8内に配置されたサイフォンを備えている。このサイフォン9は、分離された油で満たされ、これによって、油蒸気が油浴3からサイフォンを通過することができないように流出通路8を密封することができるように配置されている。
【0016】
本発明に係る軸受装置は、油吸引を必要とすることなく、油蒸気の漏出を十分に阻止することができる。この場合、軸と電極との間に静電場を形成して維持するために必要となるエネルギーは、油吸引のエネルギー消費よりも大幅に小さい。
【0017】
最後に述べておくと、従来、冒頭に記載した軸受装置は、軸1が接地されているように構成されている。つまり、本発明に係る軸受装置は、この事例では、電極5とアースとの間に電位を形成することができるように構成かつ配置された電圧源を備えている。軸1が接地されていない場合には、電圧源が、電極5にも軸1にも接続可能でなければならないかもしくは接続されていなければならない。
【符号の説明】
【0018】
1 軸
2 ハウジング
3 油浴
4 支持構造体
5 電極
6 シール
7 シール
8 流出通路
9 サイフォン
図1
図2
【国際調査報告】