IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターベット インターナショナル ベー. フェー.の特許一覧

特表2024-524911動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法
<>
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図1
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図2
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図3
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図4A
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図4B
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図4C
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図4D
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図5
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図6A
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図6B
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図7A
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図7B
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図7C
  • 特表-動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A01K29/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577332
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022033779
(87)【国際公開番号】W WO2022266314
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/211,640
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユン-ティン
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン,リネア・ジーン
(72)【発明者】
【氏名】コレア・バルボサ,テイラー・マルセロ
(72)【発明者】
【氏名】コープマン,ヘンドリック・コーネリアス
(57)【要約】
本開示の主題は、動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法を目的とする。そのシステム及び方法は、前記動物集団の1以上の個々の動物の1以上の組織サンプルを得て;前記組織サンプルのそれぞれを順序付けし;前記組織サンプルの順序に基づいて前記動物集団に関連するスコアを計算し;複数の動物集団における前記ヘルペスウィルスベースのワクチンの効果に関連するデータを含むデータセットから求めたベンチマークと前記スコアを比較し;前記ベンチマークとの比較に応答してアクションを実行するよう構成された処理回路を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングする方法であって、
当該動物集団の1以上のそれぞれの動物の1以上の組織サンプルを取得すること;
前記各組織サンプルの順序付けを行うこと;
前記組織サンプルの前記順序付けに基づいて前記動物集団に関連するスコアを計算すること;
前記スコアを、複数の動物集団における前記ヘルペスウィルスベースのワクチンの効果に関連するデータを含むデータセットから決定されたベンチマークと比較すること;及び
前記ベンチマークとの前記比較に応答してアクションを実行すること
を含む方法。
【請求項2】
前記ヘルペスウィルスベースのワクチンに、七面鳥ヘルペスウィルス(HVT)の使用が関与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動物集団が家禽の群れである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記家禽の群れがニワトリの群れである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記実行段階に続いて、前記各組織サンプルに、前記それぞれの組織サンプル内の前記ヘルペスウィルスベースのワクチンのレベルに関連する個別のスコアを与える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記動物集団に関連する前記スコアが、前記組織サンプルに関連する個々のスコアの加重算術平均である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1以上の組織サンプルが、前記1以上のそれぞれの動物の1以上の臓器から得られたサンプルであり、前記1以上の臓器が、羽髄、脾臓及びファブリキウス嚢からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アクションには、前記スコアが前記閾値を下回っていることを示す通知を送信することが関与する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記通知がエンドユーザーに提供される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記アクションには、前記スコアを改善することを目的とした少なくとも一つの潜在的なアクションをエンドエンドユーザーに提供することが関与する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1以上の組織サンプルが指定されたカードに刻印される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記データセットが連続的に更新される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記データセットが所定の期間で更新される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記1以上の組織サンプルが、特定の動物齢範囲の1以上のそれぞれの動物から得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記特定の動物齢範囲が第21日~第25日である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするシステムであって、
前記動物集団の1以上の個々の動物の1以上の組織サンプルを得て;
前記組織サンプルのそれぞれを順序付けし;
前記組織サンプルの順序に基づいて前記動物集団に関連するスコアを計算し;
複数の動物集団における前記ヘルペスウィルスベースのワクチンの効果に関連するデータを含むデータセットから求めたベンチマークと前記スコアを比較し;
前記ベンチマークとの前記比較に応答してアクションを実行する
よう構成された処理回路を含むシステム。
【請求項17】
前記ヘルペスウィルスベースのワクチンに、七面鳥ヘルペスウィルス(HVT)の使用が関与する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記動物集団が家禽の群れである、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記家禽の群れがニワトリの群れである、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記実行段階に続いて、前記各組織サンプルに、それぞれの組織サンプル内の前記ヘルペスウィルスベースのワクチンのレベルに関連する個別のスコアを与える、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記動物集団に関連する前記スコアが、前記組織サンプルに関連する個々のスコアの加重算術平均である、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記1以上の組織サンプルが、前記1以上のそれぞれの動物の1以上の臓器から得られたサンプルであり、前記1以上の臓器が、羽髄、脾臓及びファブリキウス嚢からなる、請求項16に記載のシステム。
【請求項23】
前記アクションに、前記スコアが前記閾値を下回っていることを示す通知を送信することが関与する、請求項16に記載のシステム。
【請求項24】
前記通知がエンドユーザーに提供される、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記アクションに、前記スコアを改善することを目的とした少なくとも一つの潜在的なアクションをエンドエンドユーザーに提供することが関与する、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記1以上の組織サンプルが指定されたカードに刻印される、請求項16に記載のシステム。
【請求項27】
前記データセットが連続的に更新される、請求項16に記載のシステム。
【請求項28】
前記データセットが所定の期間で更新される、請求項16に記載のシステム。
【請求項29】
前記1以上の組織サンプルが、特定の動物齢範囲の前記1以上のそれぞれの動物から得られる、請求項16に記載のシステム。
【請求項30】
前記特定の動物齢範囲が21日~25日である、請求項19に記載のシステム。
【請求項31】
コンピュータ可読プログラムコードが組み込まれた非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ可読プログラムコードが、少なくとも一つのプロセッサによって実行されて、動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングする方法を行うことができ、ヘルペスウィルスベースのワクチンの効果の当該モニタリングが1以上の成分を含み、
当該方法が、
前記動物集団の1以上の個々の動物の1以上の組織サンプルを得ること;
前記組織サンプルのそれぞれを順序付けすること;
前記組織サンプルの前記順序付けに基づいて前記動物集団に関連するスコアを計算すること;
複数の動物集団における前記ヘルペスウィルスベースのワクチンの効果に関連するデータを含むデータセットから求めたベンチマークと前記スコアを比較すること;及び
前記ベンチマークとの前記比較に応答してアクションを実行すること
を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物集団におけるワクチンの効果をモニタリングするためのシステム及び方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
家畜は、人間と共存するために、何世代にもわたって選択的に繁殖され、遺伝的に適応させた動物である。動物の家畜化は、主に三つのグループ:伴侶としての家畜化(例:イヌ及びネコ)、使役動物又は役蓄(例:ウマ、ロバ、ラクダ)、及び食用に飼育される動物(例:ヒツジ、ウシ、ブタ、家禽など)に分類される。
【0003】
他の動物と同様に、家畜の健康状態は感染因子や病原体によって継続的に脅かされている。たとえば、商業養鶏産業では、ニューカッスル病(ND)、伝染性ファブリーキウス嚢病(IBD)、伝染性喉頭気管炎(ILT)、鳥インフルエンザ(AI)、マレック病(MD)などの病原体が引き起こす病気は、家禽の群れの福祉に絶えず脅威を与えている。
【0004】
家禽の群れを病気から守るために、養鶏農家はワクチン接種やバイオセキュリティなどに頼っている。ワクチン接種プログラムとワクチンの適用方法は、生産の種類(卵を産む鳥、繁殖鳥、又は肉用の鳥)、ワクチンの種類(例えば、生ワクチン、弱毒生ワクチン、死菌ワクチン、DNA系ワクチン又は組換えワクチン)、病原体の種類、疾患の流行状況、ローカルプリファレンス、及びコストなどの複数の要因に基づいて変わる。どのようなワクチンが使用されるか、どのようにそれが適用されるかに関係なく、ワクチン接種の最終的な目標は、特定の疾患に対する免疫学的保護を達成することである。
【0005】
そうするための一つの効率的な方法は、組換えワクチンを使用することによるものである。組換えワクチンは、免疫応答を刺激するために抗原(病原体表面タンパク質、例えば細菌表面タンパク質、ウィルス表面タンパク質など)をコードするDNAの挿入が関与する組換えDNA技術によって製造されるワクチンである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ヘルペスウィルスは、大量の外来遺伝物質を取り込み、宿主において複製能力のある持続感染を起こし、活動期と潜伏期(その間に長期免疫を生み出す)の間を移行できるという固有の特性により、動物集団の幸福に脅威を与える病原体の標的ウィルス遺伝子のキャリアとして機能する、組換えワクチンの一つの好ましい候補である。とはいえ、ヘルペスウィルスの潜伏期と活動期との間で移行できる性質と、動物間及び品種間でのばらつきが大きいため、ヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリング又は評価しようとする際に困難が生じる。例えば、ヘルペスウィルスベースのワクチンを接種される家禽群には、時間の経過とともにさまざまなレベルのヘルペスウィルス量を保有する鳥が含まれる可能性があり、そのため、特定のワクチン接種された家禽群におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリング又は決定する際に不確実性が生じる。
【0007】
したがって、当技術分野では、動物集団におけるヘルペスベースのワクチンの効果をモニタリングするため新しいシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の主題の第1の態様によれば、動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングする方法であって、動物集団の1以上のそれぞれの動物の1以上の組織サンプルを取得すること;各組織サンプルの順序付けを行うこと;前記組織サンプルの順序付けに基づいて前記動物集団に関連するスコアを計算すること;前記スコアを、複数の動物集団における前記ヘルペスウィルスベースのワクチンの効果に関連するデータを含むデータセットから決定されたベンチマークと比較すること;及び前記ベンチマークとの比較に応答してアクションを実行することを含む方法が提供される。
【0009】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、ヘルペスウィルスベースのワクチンには、七面鳥ヘルペスウィルス(HVT)の使用が関与する。
【0010】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、動物集団は家禽の群れである。
【0011】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、家禽の群れはニワトリの群れである。
【0012】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、実行段階に続いて、各組織サンプルには、それぞれの組織サンプル内のヘルペスウィルスベースのワクチンのレベルに関連する個別のスコアを与える。
【0013】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、動物集団に関連するスコアは、組織サンプルに関連する個々のスコアの加重算術平均である。
【0014】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、1以上の組織サンプルは、1以上のそれぞれの動物の1以上の臓器から得られたサンプルであり、その1以上の臓器は、羽髄、脾臓及びファブリキウス嚢からなる。
【0015】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、アクションには、スコアが閾値を下回っていることを示す通知を送信することが関与する。
【0016】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、通知はエンドユーザーに提供される。
【0017】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、アクションには、スコアを改善することを目的とした少なくとも一つの潜在的なアクションをエンドエンドユーザーに提供することが関与する。
【0018】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、前記1以上の組織サンプルが指定されたカードに刻印される。
【0019】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、データセットは連続的に更新される。
【0020】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、前記データセットは所定の期間で更新される。
【0021】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、前記1以上の組織サンプルは、特定の動物齢範囲の1以上のそれぞれの動物から得られる。
【0022】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、前記特定の動物齢範囲は、21日~25日である。
【0023】
本開示の主題の第2の態様によれば、動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするシステムであって、前記動物集団の1以上の個々の動物の1以上の組織サンプルを得て;前記組織サンプルのそれぞれを順序付けし;前記組織サンプルの順序に基づいて前記動物集団に関連するスコアを計算し;複数の動物集団における前記ヘルペスウィルスベースのワクチンの効果に関連するデータを含むデータセットから求めたベンチマークと前記スコアを比較し;前記ベンチマークとの比較に応答してアクションを実行するよう構成された処理回路を含むシステムが提供される。
【0024】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、ヘルペスウィルスベースのワクチンには、七面鳥ヘルペスウィルス(HVT)の使用が関与する。
【0025】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、動物集団は家禽の群れである。
【0026】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、家禽の群れはニワトリの群れである。
【0027】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、実行段階に続いて、各組織サンプルには、それぞれの組織サンプル内のヘルペスウィルスベースのワクチンのレベルに関連する個別のスコアを与える。
【0028】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、動物集団に関連するスコアは、組織サンプルに関連する個々のスコアの加重算術平均である。
【0029】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、1以上の組織サンプルは、1以上のそれぞれの動物の1以上の臓器から得られたサンプルであり、その1以上の臓器は、羽髄、脾臓及びファブリキウス嚢からなる。
【0030】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、アクションには、スコアが閾値を下回っていることを示す通知を送信することが関与する。
【0031】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、通知はエンドユーザーに提供される。
【0032】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、アクションには、スコアを改善することを目的とした少なくとも一つの潜在的なアクションをエンドエンドユーザーに提供することが関与する。
【0033】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、前記1以上の組織サンプルが指定されたカードに刻印される。
【0034】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、データセットは連続的に更新される。
【0035】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、前記データセットは所定の期間で更新される。
【0036】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、前記1以上の組織サンプルは、特定の動物齢範囲の1以上のそれぞれの動物から得られる。
【0037】
本開示の主題の1実施形態及び/又はその実施形態では、前記特定の動物齢範囲は、21日~25日である。
【0038】
本開示の主題の第3の態様によれば、コンピュータ可読プログラムコードが組み込まれた非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読プログラムコードが、少なくとも一つのプロセッサによって実行されて、動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングする方法を行うことができ、ヘルペスウィルスベースのワクチンの効果の当該モニタリングが1以上の成分を含み、当該方法が、前記動物集団の1以上の個々の動物の1以上の組織サンプルを得ること;前記組織サンプルのそれぞれを順序付けすること;前記組織サンプルの順序付けに基づいて前記動物集団に関連するスコアを計算すること;複数の動物集団における前記ヘルペスウィルスベースのワクチンの効果に関連するデータを含むデータセットから求めたベンチマークと前記スコアを比較すること;及び前記ベンチマークとの比較に応答してアクションを実行することを含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0039】
本開示の主題を理解し、それが実際にどのように実行されるかを知るために、添付の図面を参照しながら、非限定的な例のみにより主題を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本明細書で開示の主題による、動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステムの動作の模式図である。
図2】本開示の主題による、動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステムの一例を模式的に示すブロック図である。
図3】本開示の主題に従って、動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステムによって実行される一連の動作の一例を示すフローチャートである。
図4A】本開示の主題による、異なる品種、異なる動物齢における陽性サンプルのパーセントの比の一例を示すグラフである。
図4B】本開示の主題による、異なる品種、異なる動物齢における陽性サンプルのパーセントの比の一例を示すグラフである。
図4C】本開示の主題による、異なる品種、異なる動物齢における陽性サンプルのパーセントの比の一例を示すグラフである。
図4D】本開示の主題による、異なる品種、異なる動物齢における陽性サンプルのパーセントの比の一例を示すグラフである。
図5】本開示の主題による、同じ動物種の異なる品種における異なる傾向の一例を示すグラフである。
図6A】本開示の主題による要約スコアシステムの動作の模式図である。
図6B】本開示の主題による要約スコアシステムの動作の模式図である。
図7A】本開示の主題による、閾値又はベンチマークと比較した動物集団のスコアの状態の例のダッシュボード図である。
図7B】本開示の主題による、閾値又はベンチマークと比較した動物集団のスコアの状態の例のダッシュボード図である。
図7C】本開示の主題による、閾値又はベンチマークと比較した動物集団のスコアの状態の例のダッシュボード図である。
図8】本開示の主題による、閾値又はベンチマークと比較した、動物集団におけるワクチン接種の質の状態の一例を経時的に示す点グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の詳細な説明では、本開示の主題の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者であれば、本開示の主題は、これらの特定の詳細がなくても実施できることが理解される。他の例では、本開示の主題を曖昧にしないようにするために、公知の方法、手順、及び構成要素については詳細に説明していない。
【0042】
記載される図面及び説明において、同一の参照番号は、異なる実施形態又は構成に共通する構成要素を示す。
【0043】
別断で具体的に記載されていない限り、以下の議論から明らかなように、本明細書全体を通じて、「取得する」、「順序付ける」、「計算する」、「比較する」、「実行する」、「受信する」などの用語を使用する議論は、データを操作及び/又は他のデータに変換するコンピュータのアクション及び/又はプロセスを含み、前記データは、例えば電子量などの物理量として表され、及び/又は前記データは物理的対象を表す。「コンピュータ」、「プロセッサ」、「処理リソース」、「処理回路」、及び「コントローラ」という用語は、データ処理能力を備えたあらゆる種類の電子デバイスを含むように広く解釈されるべきであり、非限定的な例として、パーソナルデスクトップ/ラップトップコンピュータ、サーバー、コンピューティングシステム、通信装置、スマートフォン、タブレットコンピュータ、スマートテレビ、プロセッサ(例えば、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、各種タスクのパフォーマンスを共有する複数の物理マシンのグループ、単一の物理マシン上に共存する仮想サーバー、いずれか他の電子コンピューティングデバイス、及び/又はそれらの組み合わせなどがある。
【0044】
本明細書の教示による動作は、所望の目的のために特別に構成されたコンピュータによって、又は非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムによって所望の目的のために特別に構成された汎用コンピュータによって実行され得る。「非一時的」という用語は、本明細書では、一時的な伝播シグナルを除外するために使用されるが、それ以外の場合には、用途に適した任意の揮発性又は不揮発性コンピュータメモリ技術を含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、「例えば(for example)」、「など」、「例えば(for instance)」という語句及びその変形形態は、本開示の主題の非限定的な実施形態を説明するものである。本明細書における「ある場合」、「いくつかの場合」、「他の場合」又はそれらの変形形態は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本開示の主題の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「ある場合」、「いくつかの場合」、「他の場合」又はその変形形態という語句のある場合、それは、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。
【0046】
別断の具体的な断りがない限り、明確を期して別個の実施形態の文脈で説明される本開示の主題の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、本開示の主題の様々な特徴は、簡潔にするために単一の実施形態に関連して説明されているが、個別に、又は任意の適切な下位組み合わせで提供することもできる。
【0047】
本開示の主題の実施形態では、図3に示されるのもよりも少ない、多い、及び/又は異なる段階が実行され得る。本開示の主題の実施形態では、図3に示される一つ以上の段階が異なる順序で実行されてもよく、及び/又は1以上の段階の群が同時に実行されてもよい。図1及び図2は、本開示の主題の1実施形態によるシステムアーキテクチャの全体的な模式図を示す。図2の各モジュールは、本明細書で定義及び説明される機能を実行するソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアの任意の組み合わせで構成することができる。図2のモジュールは一箇所に集中することも、複数の場所に分散することもできる。本開示の主題の他の実施形態では、そのシステムは、図2に示されたモジュールよりも少ない、多い、及び/又は異なるモジュールを含むことができる。
【0048】
本明細書における方法への言及は、その方法を実行できるシステムに準用して適用されるべきであり、また、コンピュータによって実行されるとその方法の実行となる命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体にも準用して適用されるべきである。
【0049】
本明細書におけるシステムへの言及は、そのシステムによって実行され得る方法に準用され、そのシステムによって実行され得る命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体にも準用されるべきである。
【0050】
本明細書における非一時的コンピュータ可読媒体への言及は、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された命令を実行できるシステムに準用して適用されるべきであり、非一時的コンピュータ可読媒体に保存された命令を読み取るコンピュータによって実行され得る方法にも準用して適用されるべきである。
【0051】
本文全体にわたる本明細書における「効果」という用語への言及は、例えば、有効性、より具体的にはワクチン摂取を指すものとすることができる。
【0052】
導入として、本開示の主題は、動物集団、例えば、ワクチン接種の奏功、取り込み、及び/又は有効性のモニタリングが難しいと考えられているワクチン接種が困難な動物集団におけるワクチンプログラムをモニタリングする方法を提供する。
【0053】
これを念頭に置いて、本開示の主題による、動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果をモニタリングするためのシステム(本明細書では互換的に「システム」とも呼ばれる)の動作の模式図を示す図1に注目する。
【0054】
その模式図に示すように、例えば家禽の群れなどの動物集団100に、ヘルペスウィルスベースのワクチン102を使用してワクチン接種を行っている。ヘルペスウィルスベースのワクチン102は、例えば、動物集団100の幸福に対する脅威を有する病原体の一つ以上の標的ウィルス遺伝子のキャリアとして機能するヘルペスウィルス、例えば七面鳥ヘルペスウィルス(HVT)の使用が関与する組換えワクチンであることができる。前記1以上の標的ウィルス遺伝子には、例えば、ニューカッスル病ウィルス(NDV)の融合(F)遺伝子、伝染性ファブリーキウス嚢病ウィルス(IBDV)のVP2遺伝子、感染性喉頭気管炎ウィルス(ILTV)の糖タンパク質遺伝子などがあり得る。
【0055】
ヘルペスウィルスベースのワクチン102の投与は、例えば、ニワトリ齢1日~5日に皮下注射によって、特定の例ではニワトリ齢1日に、又は孵卵10日~30日、特定の例では孵卵17日~19日に、例えば孵化卵の鈍端に小さな穴を形成し、形成された小さな穴を通して、ヘルペスウィルスベースのワクチンを胎仔の体又は羊水に送達する卵内注入機を使用して、胚注射(卵内)によって行うことができる。
【0056】
留意すべき点として、ワクチン102の投与は、当技術分野で知られている他の方法及び技術によって、及び異なる動物齢のニワトリで行うこともできる。他の方法及び技術としては、例えば、点眼/点鼻、スプレーワクチン接種、投与ポンプによるワクチン接種、飲料水ワクチン接種、飼料ワクチン接種、翼膜刺し法、くちばし浸漬法などがあり得る。
【0057】
動物集団100にヘルペスウィルスベースのワクチン102を接種した後、そしてヘルペスウィルスベースのワクチン102がその複製ピークに達したら、動物集団100の動物群(参照符号104a~104dで表す)を、動物集団100におけるヘルペスウィルスベースのワクチン102の効果を検証及びモニタリングするように選択する。複製ピークは、例えば、注射経路、鳥の種類、rHVTの種類などに応じて変わり得る。動物集団100の動物群の選択は、無作為に、又は様々な考慮事項、例えば動物の特徴、集団内での状況などに基づいて行うことができる。
【0058】
一例として、約50羽のニワトリを含むニワトリの群れ100を、組換え七面鳥ヘルペスウィルス(rHVT)ワクチン102を用いてニューカッスル病(ND)に対してワクチン接種する。ニューカッスル病ウィルス(NDV)の融合(F)遺伝子を含むrHVTワクチン102を、孵卵17日~19日に胚注入(卵内)によりニワトリ群れ100に注入する。接種の2~3週間後、ニワトリの群れ100におけるニューカッスル病(ND)に対する組換え七面鳥ヘルペスウィルス(rHVT)ワクチン102の効果をモニタリング及び測定するために、ニワトリ20羽の群を無作為に選択する。
【0059】
ここで、ワクチン200の効果をモニタリングするためのシステムの構成要素のさらなる説明に注目する。
【0060】
図2は、本開示の主題による、ワクチン200の効果をモニタリングするためのシステムの1例を模式的に示すブロック図である。
【0061】
本開示の主題によれば、ワクチンの効果をモニタリングするためのシステム200(本明細書では互換的に「システム200」とも称される)は、ネットワークインターフェース206を含むことができる。ネットワークインターフェース206(例えば、ネットワークカード、Wi-Fiクライアント、Li-Fiクライアント、3G/4Gクライアント、又は他の任意のコンポーネント)により、システム200がネットワークを介して外部システムと通信できるようになり、そのようなシステムからのインバウンド通信及びアウトバウンド通信を処理することができる。例えば、ワクチンの効果をモニタリングするシステム200は、ネットワークインターフェース206を介して、複数の動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチンの効果に関連するデータセットを提供できる外部ベンチマークシステムからデータを受信することができる。
【0062】
システム200はさらに、データを保存するよう構成されたデータリポジトリ204(例えば、データベース、ストレージシステム、読み取り専用メモリ-ROM、ランダムアクセスメモリ-RAM、又は任意の他の種類のメモリなどのメモリ)を含むか、他の形態でそれに関連付けることができる。データリポジトリ204に保存できるデータのいくつかの例としては、次のものがある。
・動物集団100から収集された組織サンプルの数;
・動物集団100から収集された組織サンプルに関連する個々のスコア;
・動物集団100から収集された組織サンプルの個々のスコアに基づいて計算される、その動物集団100に関連するスコア;
・エンドエンドユーザーの動物集団100に関連するスコアが閾値又はベンチマークを下回っていることに応答してエンドユーザーに提供される潜在的なアクション;
・システム200によって提供できる各種通知の定義;及び
・組織サンプルのすべて又は一部が得られた1以上の臓器に関する情報。
【0063】
データリポジトリ204はさらに、保存されたデータの取得及び/又は更新及び/又は削除を可能にするように構成されていることができる。留意すべき点として、場合によっては、データリポジトリ204を分散させることができる一方で、システム200は、例えば、システム200が接続できる(ネットワークインターフェース206を利用して)有線又は無線ネットワークを介して、データリポジトリ204に保存された情報にアクセスできる。
【0064】
システム200は、処理回路202をさらに含む。処理回路202は、1以上の処理ユニット(例えば、中央処理装置)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ(例えば、マイクロコントローラユニット(MCU))、又はいずれか他の計算装置又はモジュールであることができ、それには、関連するシステム200リソースを制御し、システ200リソース関連の動作を可能とするために独立に若しくは協働でデータを処理するよう適合された複数及び/又は並列及び/又は分散処理ユニットなどがある。
【0065】
処理回路202は、特に図3を参照して本明細書でさらに詳述するように、効果分析プロセスを実行するように構成されたワクチン効果判定モジュール208を含む。
【0066】
図3を見ると、本開示の主題に従って、ワクチンの効果をモニタリングするシステム200において実行される一連の動作の1例を示すフローチャートが示されている。
【0067】
したがって、ワクチンの効果をモニタリングするためのシステム200(以下、互換的に「システム200」とも称する)は、例えばワクチン効果モジュール208を使用してモニタリングプロセス300を実行するように構成することができる。
【0068】
これに関して、図1を参照した上記の説明に従って、システム200は、動物集団100から選択された動物群の1以上の組織サンプルを取得する(ブロック302)。次に、選択された動物の羽髄、脾臓、ファブリキウス嚢などの異なる臓器から得られる1以上の組織サンプルを、例えばタンパク質を変性させ、サンプル中の核酸を保護するように指示された指定カードに印刷されることによって処理され得る。1例では、選択されたニワトリ群の各ニワトリから脾臓サンプルを得て、後に各サンプルをWhatman(登録商標)FTA(登録商標)カードに刻印する。
【0069】
場合によっては、1以上の組織サンプルを、特定の動物齢範囲、例えば生後10日~30日の間、より具体的な例では生後21日~25日の間で選択された動物群から得る。ワクチン、特定の例ではHVTベースのワクチンの最適なサンプリング齢は変動するため、選択された動物群から組織サンプルを取得する理想的動物齢(又は動物齢範囲)を特定することで、システム200がその効率及び有効性を向上させることができる。その特定の動物齢範囲は、例えば、複数の動物のサンプル内の傾向を検出するために、品種内の異なる動物齢の複数の動物に関連するデータを分析することによって決定することができる。この傾向は、たとえば、各種動物齢にわたるサンプルの平均陽性パーセントを計算し、陽性パーセントのピークが最も高いと考えられる動物齢範囲を特定することによって検出することができる。留意すべき点として、複数の動物のサンプル内の傾向は、例えば、群れ、地理(例えば、異なる地域、大陸、生息地、世界の一方側などからの動物)、鳥の種(例えば、ニワトリと七面鳥、ニワトリとアヒルなど)、品種(例えば、ブラマーとバックアイ、シャンテクラーとブラマーなど)などによって異なり得る。図4A~4Dは、異なる動物齢にわたる肉用鶏及び卵用鶏品種の陽性パーセントを示している。すべての図に示されているように、陽性パーセントのピークが最も高いと考えられる動物齢範囲は、両品種とも21~25である。図5は、五つの異なる品種の動物の傾向を示すグラフ400の1例を示すものである。この傾向は、各品種の動物群の羽髄から取得したサンプルに基づいて確認されたものである。図5からわかるように、肉用鶏品種と肉用鶏育種品種の傾向は、22日に最高ピークを示しましたが、商用卵用鶏白色品種、商用卵用鶏褐色品種、及びSPF品種は他の日に最高ピークを示した。これは、同じ動物の品種内で認められ得る理想的サンプリング齢における大きな差を示しており、そのため、同じ動物の種類内であっても(ましてや異なる動物の種類では)異なるアプローチを実施する必要があることを示している。
【0070】
図3に戻ると、動物集団100から選択された動物群の組織サンプルを得たら、システム200は、大規模順序付け、たとえば次世代順序付け(NGS)(例えば:Roche 454、GS FLX Titanium、Illumina MiSeq、Illumina HiSeq、Illumina Genome Analyzer IIX、Life Technologies SOLiD4、Life Technologies Ion Proton、Complete Genomics、Helicos Biosciences Heliscope、Pacific Biosciences SMRTなど)(ブロック304)を実行することができる当技術分野で知られている任意の順序付け技術を使用して、各組織サンプルから抽出された遺伝物質(例えば、DNA分子)を順序付けする。順序付けにより、ヘルペスウィルスベースのワクチン102に関連する遺伝マーカーの増幅が可能になり、動物集団100から選択されたワクチン接種動物群におけるワクチンの存在及び量を確認する。本発明者らの継続的な例では、システム200は、選択されたニワトリの群から得られた組織サンプル(この場合は脾臓組織サンプル)のそれぞれから抽出されたDNA分子の順位を決定する。
【0071】
各組織サンプルの順序付けが完了すると、システム200は、その組織サンプルの順序付け結果を利用して、動物集団100に関連するスコアを計算する(ブロック306)。組織サンプルの順序付け結果は、正の値又は負の値のいずれかであることができ、ウィルス量の定量化(たとえば、各サンプル中のウィルスのコピー数)も含むことができる。そのスコアは、例えば、最初に各組織サンプルにその中のヘルペスウィルスベースのワクチン102のレベルに関連する個別スコアを提供し、次にその個別スコアの加重算術平均を計算することによって求めることができる。或いは、そのスコアは、得られた組織サンプルの陽性サンプルのパーセントを計算することによって、又は要約スコアシステム(図6A~6Bに最もよく示されている)を使用することによって求めることができる。
【0072】
留意すべき点として、要約スコアシステムは、システム200の一部であることができるか、システム200の外部にある、それと通信可能な外部システムであることができる。
【0073】
図6Aに示すように、本発明者らの継続的な例によれば、選択されたニワトリの群の各脾臓サンプルの順序付けに続いて、要約スコアシステムは、例えば、選択されたニワトリの脾臓サンプルを表すx軸502、脾臓サンプル内で見出され、0~3の値に正規化されたウィルスのコピー数を表すy軸504を含むグラフ500を生成し、その上に20個のドットが分散されており、そのドットのそれぞれが特定のニワトリから得られた脾臓サンプルのワクチン試験スコアを表す。
【0074】
ニワトリの群100に関連するスコアを求めるために、要約スコアシステムは、カットオフスコア、例えば0.358、スコア範囲、例えば0~0.358、0.358~1、1~2、及び2以上、及び新しいスコアのリスト、例えば、0、1、2及び3を決定し、その場合に、各新しいスコアはそれぞれスコア範囲に関連付けられている(図6Bを参照)。そのスコア範囲は、たとえば外部バリデーションデータセットを使用して検証できる。その外部バリデーションデータセットには、たとえば、選択されたニワトリの群の各ニワトリの健康に関する情報が含まれ、各ニワトリの健康状態がそのワクチン接種率と相関し、その結果、その対応するスコア範囲と相関するようにすることができる。
【0075】
留意すべき点として、外部バリデーションデータセットは、システム200の一部であってもよいし、通信可能なシステム200の外部であってもよい。
【0076】
要約スコアシステムは、合計数20個のドット(図6B、パーセント線)からその中に分散されているドットの数を求め、それに対応するスコア範囲に関連付けられた新しいスコアを乗ずることによって、各スコア範囲内の普及率を定義する(図6B、新しいスコア線)。次いで、これらの計算の結果を、ニワトリの群れ100に関連するスコアである最終スコアに要約する(図6B、最終スコア線)。図6Bに示すように、選択された20羽のニワトリの群に関連するスコア、及びニワトリの群れ100に関連付けられたスコアは、1.65である。
【0077】
動物集団100に関連するスコアが決定されると、システム200はそれを閾値又はベンチマークと比較する。閾値又はベンチマークは、特定の動物集団、例えば、特定の鳥、特定の品種などについての業界標準(又は業界内の下位群の標準)を表す基準点として昨日して、システム200のエンドユーザー(例えば、農家)が、業界標準と比較した、そのユーザーの動物集団100に対するワクチン102の効果に関する情報を受け取ることができるようにする。さらに、閾値又はベンチマークとの比較は、それ自体及び業界標準と比較した、ワクチン102の動物集団100に対する経時的な効果に関する情報をエンドエンドユーザーにさらに提供することができる。閾値又はベンチマークは、例えば、1以上の他の動物集団におけるヘルペスウィルスベースのワクチン102の効果に関連するデータを含む1以上のデータセット(例えば、連続的に更新されるか、又は所定の期間、例えば、毎時、毎日、毎月、半年ごと、毎年更新される)を分析することによって求めることができる(ブロック308)。閾値又はベンチマークは、例えば、ヘルペスウィルスベースのワクチン102を投与された動物集団にそれぞれ関連する複数のスコアの平均値であることができる。1以上の他の動物集団は、例えば、群れ地理(例:さまざまな地域、大陸、生息地、世界の一方側などからの動物)、鳥の種(例えば、ニワトリと七面鳥、ニワトリとアヒルなど)、品種(例えば、ブラマーとバックアイ、シャンテクラーとブラマーなど)などによって異なり得る。さらに、それぞれの1以上の他の動物集団は、例えば、ヘルペスウィルスベースのワクチン効果の同様の結果を有することが予想される、又はそれが知られている同じ動物型、又は関連する動物型の集団であることができる。
【0078】
本発明者らの継続する例では、ヘルペスウィルス(rHVT)ワクチン102を接種した複数のニワトリ集団に関連する複数のスコアの平均である閾値又はベンチマークは、1.75と定義される。したがって、ニワトリの群れ100に関連するスコア(1.65)はそれを下回ることが認められる。
【0079】
場合によっては、図7A~7Cに示されるように、閾値又はベンチマークと比較した、動物集団100に関連するスコアの状態の表示は、例えば、ダッシュボード600上に提示され得る。図7A~7Cにおいて、最小値範囲602から最大値604まで延びるダッシュボード600は、閾値(又はベンチマーク)位置を表す黒線606と、動物集団100に関連するスコアを表す針608とを含む。動物集団100に関連するスコアが閾値(又はベンチマーク)値を超える場合、針608が黒線606の右側にあり、スコア値とともに「良好」通知がユーザーに提示される(図7A)。動物集団100に関連するスコアが閾値(又はベンチマーク)値を下回っているが、最小値範囲602を上回っている場合、針608は黒線606の左側にあり、「注意」通知がユーザーに提示される(図7B)。最後に、動物集団100に関連するスコアが最小値範囲602内にある場合、「警告」通知がユーザーに提示される(図7C)。
【0080】
動物集団100に関連するスコアが閾値(又はベンチマーク)を下回る場合、システム200はアクションを実行する(ブロック310)。このアクションには、たとえば、スコアがしきい値(又はベンチマーク)を下回っていることを示す通知を(たとえば、エンドユーザー又は外部システムに)提供すること、動物集団100に関連するスコアの向上を目的とした少なくとも一つの改善アクションを実行するための推奨をエンドユーザーに提供することなどがあり得る。本発明者らの継続する例では、ニワトリの群れ100のスコアが閾値(又はベンチマーク)を下回っているため(1.65対1.75)、システム200は、改善アクションのリストとともに、状況を示す通知、たとえば、孵化場のワクチン保管場所の確認、孵化場のワクチン適用の確認、サンプル収集の確認、ワクチンの準備時間と温度の確認などをエンドユーザーに送信する。これらのアクションは、動物集団100関連のスコア(1.65)をより高く、たとえば少なくとも閾値(又はベンチマーク)(1.75)より高くすることを目的としている。
【0081】
留意すべき点として、上記で提供の例及びこれらの例に関連する値は、明確化及び説明の目的で使用されており、いかなる形でも本開示の主題の範囲を限定することを意図したものではない。
【0082】
通知の送信又は潜在的なアクションの提供に加えて、システム200は、閾値(又はベンチマーク)と比較した動物集団100における経時的なワクチン接種の品質の状態の提示をエンドユーザーに提供するための試験情報、例えばグラフ700(図8に示したもの)をエンドユーザーに提供することができる。或いは又は追加で、システム200は、鳥の種類(例えば、ニワトリ対七面鳥)、品種(例えば、肉型対卵型)などごとに試験情報を経時的にエンドエンドユーザーに提供することができる。
【0083】
場合により、通知、潜在的なアクション及び試験情報は、システム200との通信で見られるモバイルアプリケーション(又は他の同様のソフトウェア)を介してエンドユーザーに提示される。例えば、モバイルアプリケーションにより、エンドユーザーは、そのユーザーの動物集団100に関連する検査結果、そのユーザーの動物集団100に関連する過去の検査情報、及びそのユーザーの動物集団100と異なるベンチマークとの比較を閲覧することができる場合がある。
【0084】
場合によっては、システム200はさらに、動物集団100へのヘルペスウィルスベースのワクチン102の投与の奏功又は不首尾に関連する、取得された組織サンプルから追加情報を受け取る機械学習モジュールをさらに含む。ワクチン投与から一定の時間間隔内(例えば、ワクチン投与から2~3週間)で収集することができる追加情報には、例えば、ワクチン102が対象とする疾患の動物集団100における発生の可能性に関する情報、ヘルペスウィルスベースのワクチン102が対象とする特定の疾患に関連する特定の抗体の産生などがあり得る。追加情報に基づいて、機械学習モジュールは、動物集団100へのワクチン投与が奏功したか不首尾であったかを判定することができる。さらに、機械学習モジュールは、例えば、取得された組織サンプルからの追加情報に基づいてトレーニングされて、追加情報、ダッシュボード600の閾値(又はベンチマーク)若しくは限界値と、ワクチンの実際の奏功若しくは不首尾の間の相関を見出して、それに従って、ダッシュボード600の閾値(又はベンチマーク)又は限界値を調節することができる。例えば、ベンチマークが異なる鳥の品種又は種類で異なる可能性がある状況では、機械学習モジュールは、ダッシュボード600の閾値(又はベンチマーク)及び限界値を、各鳥の品種又は種類に従うように調節することができる。
【0085】
他の場合には、機械学習モジュールは、新しい品種又は新しい動物種類の組織サンプルから受け取った追加情報を利用して、これらの組織サンプル内の傾向を判断し、これらの傾向から、新たな品種又は鳥の種類からの組織サンプルを取得すべき理想的な日数範囲を確認するようトレーニングすることがきる。
【0086】
留意すべき点として、図3を参照すると、ブロックの一部を統合ブロックに統合することができ、又はいくつかのブロックに分割することも、及び/又は他のブロックを追加することもできる。さらに留意すべき点として、ブロックの一部はオプションである。やはり留意すべき点として、フロー図は、それらを実現するシステム要素に関しても説明されているが、これは決して拘束力を持たず、ブロックはここで説明されるもの以外の要素によって実行することができる。
【0087】
理解すべき点として、本開示の主題は、その適用において、本明細書に含まれる又は図面に描かれている説明に記載される詳細に限定されない。本開示の主題は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践及び実施することができる。したがって、理解すべき点として、本明細書で使用される表現及び用語は説明を目的としたものであり、限定的なものとみなされるべきではない。したがって、当業者は、本開示の基礎となる概念が、本開示の主題のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、及びシステムを設計するための基礎として容易に利用できることを理解するであろう。
【0088】
本開示の主題によるシステムは、少なくとも部分的に、好適にプログラムされたコンピュータとして実行できることも理解されよう。同様に、本開示の主題は、開示の方法を実行するためのコンピュータによって読み取り可能なコンピュータプログラムを想定するものである。本開示の主題は、開示される方法を実行するための機械によって実行可能な命令のプログラムを明瞭に具体化する機械可読メモリーをさらに想定するものである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
【国際調査報告】