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特表2024-524923放射性同位体の生成のための照射ターゲット及びその分解のための解体器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-09
(54)【発明の名称】放射性同位体の生成のための照射ターゲット及びその分解のための解体器具
(51)【国際特許分類】
   G21G 4/08 20060101AFI20240702BHJP
   G21G 1/02 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
G21G4/08 T
G21G1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577568
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-02
(86)【国際出願番号】 US2022034046
(87)【国際公開番号】W WO2022266476
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/344,391
(32)【優先日】2022-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/212,177
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519307539
【氏名又は名称】ビーダブリューエックスティー アイソトープ テクノロジー グループ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローグ、エヴァン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ウィッテン、アンドリュー、ケアリー
(57)【要約】
放射性同位体の生成のための照射ターゲットであって、中心開口を画定する少なくとも1つのプレートと、少なくとも1つのプレートの中心開口を通過することで少なくとも1つのプレートがその上に保持される第1の細長い中心部材とを有し、少なくとも1つのプレート及び第1の細長い中心部材は共に、中性子捕獲を介してモリブデン-99(Mo-99)を生成する材料で形成される、放射性同位体の生成のための照射ターゲット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性同位体の生成のための照射ターゲットであって、
中心開口を画定する少なくとも1つのプレートと、
前記少なくとも1つのプレートの前記中心開口を通過することで、前記少なくとも1つのプレートがその上に保持される第1の細長い中心部材とを備え、
前記少なくとも1つのプレート及び前記第1の細長い中心部材は共に、中性子捕獲を介してモリブデン-99(Mo-99)を生成する材料で形成される、放射性同位体の生成のための照射ターゲット。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプレートは、複数のプレートをさらに備え、各プレートの各中心開口は円形の穴であり、
前記第1の細長い中心部材は、細長い本体と、第1の端部においてそこから横向きに延びる一対のウイングと、第2の端部においてそこから横向きに延びる一対のタブとを含む、請求項1に記載の照射ターゲット。
【請求項3】
前記第1の細長い中心部材の前記ウイングは、前記複数の第1の端部面に当接し、
前記第1の細長い中心部材の前記タブは、前記複数のプレートの第2の端部面に当接し、前記タブは前記第1の細長い中心部材の長手方向中心軸に対して横向きの平面内にある、請求項2に記載の照射ターゲット。
【請求項4】
前記細長い本体は、V字型であり、頂点において交わる一対の側壁によって形成される、請求項3に記載の照射ターゲット。
【請求項5】
第1の端部においてそこから横向きに延びる一対のウイングと、第2の端部においてそこから横向きに延びる一対のタブとを含む第2の細長い中心部材をさらに備え、前記第2の細長い中心部材の前記タブは、前記第1の細長い中心部材の前記ウイングに隣接している、請求項2に記載の照射ターゲット。
【請求項6】
前記第2の細長い中心部材の前記タブは、前記第1の中心の細長い部材の前記ウイングの上に折り曲げられることで、前記第2の細長い中心部材の前記タブが、前記第2の細長い中心部材の長手方向中心軸に平行な面内にある、請求項5に記載の照射ターゲット。
【請求項7】
各プレートは環状プレートであり、前記複数の環状プレート及び中心管は、モリブデン-ランタン(Mo-La)、チタン-ジルコニウム-モリブデン(Ti-Zr-Mo)、モリブデン炭化ハフニウム(MoHf-C)、モリブデン-タングステン(Mo-W)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン(Mo-MP35N)及びウラン-モリブデン(U-Mo)のうちの1つから形成される、請求項6に記載の照射ターゲット。
【請求項8】
各プレートは、環状プレートであり、前記複数の環状プレート並びに前記第1の細長い中心部材及び前記第2の細長い中心部材は、モリブデン-98(Mo-98)で形成される、請求項6に記載の照射ターゲット。
【請求項9】
放射性同位体の生成のための照射ターゲットシステムにおいて、
照射ターゲットであって、
中心開口を画定する少なくとも1つのプレートと、
第1の細長い中心部材であって、細長い本体と、第1の端部においてそこから横向きに延びる一対のウイングと、第2の端部においてそこから横向きに延びる一対のタブとを含み、前記細長い本体は、前記少なくとも1つのプレートの前記中心開口を通過することで、前記少なくとも1つのプレートがその上に保持される第1の細長い中心部材とを備える照射ターゲットと、
照射ターゲット解体器具であって、
平面の頂部面を含む本体部分と、
前記器具の前記本体内へと下方に延びることで、前記頂部面の平面部分が前記凹部のそれぞれの側に配置される凹部とを備え、
前記平面の頂部面の各平面部分は、前記第1の細長い中心部材の対応するウイングに当接するように構成される照射ターゲット解体器具とを備える、
放射性同位体の生成のための照射ターゲットシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプレート及び前記第1の細長い中心部材は共に、中性子捕獲を介してモリブデン-99(Mo-99)を生成する材料で形成される、請求項9に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプレートは、複数のプレートをさらに備え、各プレートの各中心開口は円形の穴である、請求項10に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項12】
前記解体器具の前記凹部は、実質的にV字型である、請求項11に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項13】
前記第1の細長い中心部材の前記ウイングは、前記複数のプレートの第1の端部面に当接し、前記第1の細長い中心部材の前記タブは、前記複数のプレートの第2の端部面に当接し、前記タブは、前記第1の細長い中心部材の長手方向中心軸に対して横向きの面内にある、請求項11に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項14】
前記細長い本体は、V字型であり、頂点において交わる一対の側壁によって形成される、請求項12に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項15】
第1の端部においてそこから横向きに延びる一対のウイングと、第2の端部においてそこから横向きに延びる一対のタブとを含む第2の細長い中心部材をさらに備え、前記第2の細長い中心部材の前記タブは、前記第1の細長い中心部材の前記ウイングに隣接している、請求項11に記載の照射ターゲットシステム。
【請求項16】
前記第2の細長い中心部材の前記タブは、前記第1の中心の細長い部材の前記ウイングの上に折り曲げられることで、前記第2の細長い中心部材の前記タブが、前記第2の細長い中心部材の長手方向中心軸に平行な面内にある、請求項15に記載の照射ターゲットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年6月18日に提出された米国仮特許出願第63/212,177号及び2022年5月20日に提出された米国仮特許出願第63,344,391号に対する優先権を主張し、これらの開示全体が本明細書に組み込まれている。
【0002】
これから開示される発明は一般に、テクネチウム-99m生成器(Mo-99/Tc-99m生成器)において使用するのに適したチタン-モリブデン酸塩99材料に関し、より具体的には、そのようなチタン-モリブデン酸塩99材料の生成で使用される照射ターゲット並びに照射ターゲットの分解のための解体器具に関する。
【背景技術】
【0003】
テクネチウム-99m(Tc-99m)は、核医学(例えば、医学的診断撮像)において最も一般的に使用される放射性同位体である。Tc-99m(mは準安定性)は、典型的には患者に注入され、特定の装備と共に使用される際に患者の体内の器官を撮像するのに使用される。しかしながらTc-99mは、わずか6(6)時間の半減期しか持たない。したがって、Tc-99mの容易に利用可能な供給源は、少なくとも核医学分野において特に興味深い、及び/又は特に必要とされる。
【0004】
Tc-99mの短い半減期を考えれば、Tc-99mは典型的には、Mo-99/Tc-99m生成器を介して必要な場所で、及び/又は必要な時に(例えば、薬局、病院などで)入手される。Mo-99/Tc-99m生成器は、生理的食塩水をMo-99材料に通すことによって、崩壊するモリブデン-99(Mo-99)の供給源からテクネチウムの準安定アイソトープ(すなわちTc-99m)を抽出するのに使用されるデバイスである。Mo-99は、不安定であり、66時間の半減期でTc-99mに崩壊する。Mo-99は典型的には、高中性子束原子炉内で高度に濃縮されたウランターゲット(93%ウラン-235)の照射から生成され、その後の処理ステップの後に、Mo-99/Tc-99m生成器製造場所に出荷されてMo-99を使用可能な形態まで還元する。Mo-99/Tc-99m生成器は、その後、このような集約化した場所からその国の至るところの病院又は薬局に配給される。Mo-99は、短い半減期を有し、製造場所の数が制限されるため、照射されたMo-99物質を使用可能な形態に還元するのに必要とされる時間数を最小限にすることが望ましい。
【0005】
したがって、時宜に適したやり方でTc-99m生成器内で使用するのに適したチタン-モリブデン酸塩99材料を生成するためのプロセスに対する要望が少なくとも残っている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例は、中心開口を画定する少なくとも1つのプレートと、少なくとも1つのプレートの中心開口を通過することで少なくとも1つのプレートがその上に保持される細長い中心部材とを含む、放射性同位体の生成のための照射ターゲットを提供する。少なくとも1つのプレート及び細長い中心部材は共に、中性子捕獲を介してモリブデン-99(Mo-99)を生成する材料で形成される。
【0007】
本開示の別の実施例は、照射ターゲットシステムであって、中心開口を画定する少なくとも1つのプレートと、第1の細長い中心部材であって、細長い本体と、第1の端部においてそこから横向きに延びる一対のウイングと、第2の端部においてそこから横向きに延びる一対のタブとを含み、細長い本体は、少なくとも1つのプレートの中心開口を通過することで、少なくとも1つのプレートがその上に保持される第1の細長い中心部材とを含む照射ターゲットと、照射ターゲット解体器具であって、平面の頂部面を含む本体部分と、器具の本体内へと下方に延びることで頂部面の平面部分が凹部の各側に配置される凹部とを有し、平面の頂部面の各平面部分は、第1の細長い中心部材の対応するウイングに当接するように構成される、照射ターゲット解体器具とを有する、放射性同位体の生成のための照射ターゲットシステムを提供する。
【0008】
添付の図面は、この明細書に組み込まれ、その一部を構成しており、発明の1つ又は複数の実施例を例示し、記載と併せて発明の原理を説明する役目を果たしている。
【0009】
次に発明は、添付の図面を参照して以下でより十分に記載され、その中で、発明の一部の実施例が示されており、全ての実施例が示されるわけではない。当然のことながら、この発明は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書に記載される実施例に限定されるように解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施例は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の一実施例による照射ターゲットの剛性の背骨を形成する第1の保持クリップの斜視図である。
図1B】本発明の一実施例による照射ターゲットの剛性の背骨を形成する第2の保持クリップの斜視図である
図2】本発明の一実施例による照射ターゲットの側部図である。
図3】端部キャップが取り外された状態の図2に示されるような照射ターゲットの斜視図である。
図4図2に示される照射ターゲットの剛性の背骨上に保持された複数の環状プレートの平面図である。
図5A図4に示される剛性の背骨及び環状ディスクの部分斜視図である。
図5B図4に示される剛性の背骨及び環状ディスクの部分斜視図である。
図6】本発明の一実施例による解体器具と、図4に示される照射ターゲットから剛性の背骨を取り除くために行われる様々なステップの概略図である。
図7A】本発明による解体器具の代替の実施例の斜視図である。
図7B】本発明による解体器具の代替の実施例の斜視図である。
図7C】本発明による解体器具の代替の実施例の斜視図である。
図7D】本発明による解体器具の代替の実施例の斜視図である。
図7E】本発明による解体器具の代替の実施例の斜視図である。
図7F】本発明による解体器具の代替の実施例の斜視図である。
図8図4に示される照射ターゲットの組み立ての図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書中及び図面中での参照符号の繰り返しの使用は、開示による発明の同じ、又は類似の特徴部及び要素を表すことが意図されている。
【0012】
次に発明は、添付の図面を参照して以下で十分に記載され、その中で、発明の一部の実施例が示されており、全ての実施例が示されるわけではない。当然のことながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書に記載される実施例に限定されるように解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施例は、本開示が適用可能な法的要件を満たすために提供されている。明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」は、文脈が明らかにそれ以外を指示していない限り、複数の指示対象を含める。
【0013】
次に発明の現在の好ましい実施例を参照すると、その1つ又は複数の実例が、添付の図面に例示されている。各実例は説明のために提供されており、発明の限定のためではない。実際、その精神及び範囲から逸脱することなく、本発明において修正及び変形がなされ得ることは当業者には明らかであろう。例えば、一実施例の一部として例示される、又は記載される特徴部は、さらに別の実施例を生み出すために別の実施例に対して使用される場合もある。よって、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるようなそのような修正形態及び変形形態並びにその均等物も網羅することが意図されている。
【0014】
本明細書で使用される際、照射ターゲット及び解体器具の配向に対する方向又は位置を指す用語、例えば、「垂直方向」、「水平方向」、「上方」、「下方」、「上」又は「下」などは、これに限定するものではないが、本明細書で図面に指摘されるように、その通常意図される動作におけるターゲット及び解体器具の配向に関する方向及び相対位置を指している。よって、例えば、用語「垂直方向」及び「上方」は、図面の斜視図における垂直方向及び相対的上方位置を指しており、異なる配向に配置される可能性のあるターゲット及び解体器具に関する場合でも、その文脈で理解するべきである。
【0015】
さらにこの開示書類又は添付の特許請求の範囲において使用される際の用語「又は」は、排他的「又は」ではなく、包括的「又は」を意味することが意図されている。すなわち、特に指定のない限り、又は文脈から明らかでない限り、「Xは、A又はBを利用する」という表現は、自然な包括的な並べ替えのいずれも意味することが意図されている。すなわち、「Xは、A又はBを利用する」という表現は、以下の例:XはAを利用する、XはBを利用する、又はXはAとBの両方を利用するのいずれかによって満たされる。加えて、この出願書類及び添付の特許請求の範囲において使用される際の冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、特に指定のない限り、又は文脈から単数形に向けられるべきことが明らかでない限り、「1つ又は複数」を意味するように一般に解釈されるべきである。明細書及び特許請求の範囲を通して、以下の用語は、文脈がそれ以外を指示していない限り、少なくとも本明細書において明示的に対応付けられた意味を取る。以下で特定された意味は、必ずしも用語を限定するものではないが、用語に関する例示的な例を単に提供するだけである。「1つの(a)」「1つの(an)」及び「その(the)」の意味は、複数の指示内容を含む場合があり、「中に(in)」の意味は、「中」及び「上(on)」を含む場合がある。本明細書で使用される際の「一実施例では」という表現は、必ずしも同じ実施例を指すわけではないが、そうである場合もある。
【0016】
図1A図4を次に参照すると、本発明による照射ターゲット100は、一対の保持クリップ120a及び120bによって形成された剛性の背骨120上に保持される複数の薄いプレート110を含み、これらは、外側キャニスタ102内に摺動可能に収容される。好ましくは、複数の薄いプレート110又はディスク、並びに保持クリップ120a及び120bは共に同じ材料から形成され、材料は、例えば核分裂タイプの原子炉などの原子炉内で中性子捕獲プロセスを受けた後にアイソトープモリブデン-99(Mo-99)を生成することが可能なものである。好ましい実施例では、この材料はMo-98である。しかしながら、代替の実施例では、プレート110並びに保持クリップ120a及び120bは、これに限定するものではないが、モリブデン-ランタン(Mo-La)、チタンジルコニウムモリブデン(Ti-Zr-Mo)、モリブデン炭化ハフニウム(MoHf-C)、モリブデンタングステン(Mo-W)、ニッケルコバルトクロムモリブデン(Mo-MP35N)及びウランモリブデン(U-Mo)などの材料から形成され得ることに留意されたい。
【0017】
特に図1A及び図1Bを参照すると、剛性の背骨120は、第1の保持クリップ120a及び第2の保持クリップ120bによって形成され、各クリップは、断面が実質的にV字型である細長い本体122a、122bと、細長い本体の第1の端部にある一対のウイング124a、124bと、細長い本体の第2の端部にある一対のタブ126a、126bとを含む。図1A及び図1Bに示されるように、第1の保持クリップ120a及び第2の保持クリップ120bのウイング124a、124bはそれぞれ、保持クリップの長手方向中心軸に平行な垂直面内にある。第1の保持クリップ120a及び第2の保持クリップ120bのウイング124a、124bは、剛性の背骨120(図4)の組み立て後であってもこの位置のままである。図1A及び図1Bでは、第1の保持クリップ120a及び第2の保持クリップ120bのタブ126a、126bはそれぞれ、保持クリップが剛性の背骨120を形成するために組み立てられた後に生じる折り曲げられた位置で示されることに留意されたい。組み立ての前、タブ126a及び126bは、対応する細長い本体122a及び122bの端部からそれぞれ軸方向外向きにずっと延びている。剛性の背骨120の組み立て後、第1の保持クリップ120aのタブ126aは、第1の保持クリップ120aの長手方向中心軸に対して横向きの水平面内にあるのに対して、第2の保持クリップ120bのタブ126bは、第2の保持クリップ120bの長手方向中心軸に平行な垂直面内にある。好ましくは、第1の保持クリップ120a及び第2の保持クリップ120bの細長い本体122a及び122bの側壁はそれぞれ、おおよそ60°の包含角を形成するが、他の角度が代替の実施例では利用される。
【0018】
考察した実施例では、各保持クリップ120a、120bの細長い本体122a、122bは、照射ターゲット100の複数の薄いプレートの全長よりわずかに大きな長さを有する。各細長い本体122a、122bの最大の幅は、以下でより詳細に考察されるように、タブ126a、126bを含む各保持クリップ120a、120bの端部が、組み立てプロセス中に複数の薄いプレート110によって画定された孔の中を摺動することを可能にする。
【0019】
照射ターゲット100の質量の大半は、剛性の背骨120上に摺動可能に受け入れられる複数の薄いプレート110にある。好ましくは、各薄いプレート110は薄い環状プレートで、各環状プレート110の縮小された厚さは、ターゲット材料の所与の量に対して増大した表面積を提供する。増大した表面積は、それらが、Ti-Mo-99を生成するプロセスの一部として核分裂反応炉内で照射された後、環状プレートを溶解させるプロセスを容易にする。追加として、好ましい実施例について、各環状プレート110は、各環状プレート110が剛性の背骨120上に摺動可能に位置決めされ得るように、中心穴112を画定する。以下でより詳細に考察されるように、第1の保持クリップ120aは、第2の保持クリップ120bのプレート110の中心穴112への挿入の前に、複数の環状プレート110の中心穴112の中に摺動可能に収容される。
【0020】
本実施例では、複数の照射ターゲット100を照射プロセス中に核分裂原子炉に挿入するのに、ターゲットキャニスタ102が利用される。図2及び図3に最も良く見られるように、各ターゲットキャニスタ103は、内側の孔103を画定する実質的に円筒形の本体部分を含む。孔103は、照射ターゲットの環状プレート110が対応する反応炉内での照射プロセス中に乾燥した環境に留まるように端部キャップ105によって密閉される。ターゲットの環状プレート110を照射プロセス中に乾燥して維持することは、そこに酸化物層が形成されるのを防止し、酸化層の形成は、Mo-99を使用可能な形態まで還元するために、照射されたプレートをその後の化学プロセスにおいて溶解させる努力を妨害する可能性がある。
【0021】
次に図5A、5B及び8を参照して、照射ターゲット100の組み立てプロセスを議論する。最初に、複数の環状プレート110が整列ジグ140の半円筒形の凹部142に位置決めされる。好ましくは、整列ジグ140は、3D印刷プロセスによって形成され、複数のプレート110は、半円筒形の凹部142の中にきっちりと詰め込まれることにより、その中心穴112は整列した状態になる。図5Bに最も良く見られるように、第1の保持クリップ120aの第1の端部のタブ126aを有する前方端部が、整列ジグ140内にきっちりと詰め込まれた複数の環状プレート110の中心孔に挿入される。半円の凹部144が、第1の保持クリップ120aが中心穴112と整列されるように、整列ジグ140の端部壁に設けられている。第1の保持クリップ120aは、そのウイング124aの底面が複数の環状プレート110と当接するまで挿入される。第1の保持クリップ120aが複数の環状プレート110に完全に挿入された後、複数の環状プレート110を超えて外向きに延びるタブ126aは、各タブ126aが最も外側の環状プレート110の外面に当たって同一平面になるまで曲げられる。したがって、組み立て後は、第1の保持クリップ120aのタブ126aは、第1の保持クリップ120aの長手方向中心軸に対して横向きの水平面内にある。
【0022】
次に、図5Aに最も良く見られるように、第2の保持クリップ120bのタブ126bが、第1の保持クリップ120aのタブ126aがそこから延びる中心孔112の端部に挿入される。示されるように、第1の保持クリップ120a及び第2の保持クリップ120bがそれぞれ、複数の環状プレート110の中心孔の中に配置されるので、その細長い本体122a、122bは併せて入れ子になる。第2の保持クリップ120bは、そのウイング124bが、最も外側の環状プレート110の外面に当接するまで環状プレート110の孔に摺動可能に挿入される。この位置において、第2の保持クリップ120bのタブ126bは、第1の保持クリップ120aのウイング124aを超えて軸方向外向きに延びている。図5Aに最も良く見られるように、第2の保持クリップ120bのタブ126bは、第1の保持クリップ120aのウイング124aの上に折り曲げられ、これにより、複数の環状プレート110を、第1の保持クリップ120aのウイング124aと、第2の保持クリップ120bのウイング124bとの間に保持する。
【0023】
ターゲットキャニスタ102の照射及び複数の環状プレート110をそこから取り外した後、剛性の背骨120が、環状プレート110のさらなる処理を可能にするために取り外される。図6及び図7Aに示されるように、好ましくは解体器具150を使用して、剛性の背骨120が複数の環状プレート110の孔から摺動可能に引き出されるように、第1の保持クリップ120aの拡張したウイング124a(図4)を折り畳む。特に図6を参照すると、拡張したウイング124aを折り畳むために、ウイング124aが解体器具150の頂部面151に隣接して配置することで、細長い本体122aの最も外側の端部が、解体器具150の凹部152より上で中心に配置される。凹部152は、その最上端部において広がった入口を形成し、狭くなった頂点156において終端する2つのカム面152a及び152bによって形成され、細長いV字型を形成する。一旦入口に位置決めされると、ウイング124aが凹部152内へと下方に移動するように、ターゲットが下方に推し進められる。ウイング124aが、凹部152内へと下方に進むとき、ウイング124aは、互いに向かって内向きに折り曲げられるが、細長い本体122aを形成する側壁も同様である。示されるように、ウイング124aは、本体の側壁とウイング124aの接合部127において細長い本体122aに向かって内向きに曲がる。同様に、細長い本体122aの側壁も、その頂点129において互いに向かって内向きに曲がる。最終的に、ウイング124aは、ウイング124b及びタブ126bを含む端部から剛性の背骨120に対して軸方向外向きの力を及ぼすことによって、複数の照射後のプレート110の孔を通してウイング124aを引き出すことを可能にするサイズまで小さくなるように折り畳まれる。保持クリップのウイングを折り畳むのに使用される凹部の形状は、実施例150aから150fが図7Aから図7Fに示されるように、任意の数の断面形状を有してもよいことに留意されたい。
【0024】
発明のこれらの及び他の修正形態及び変形形態は、添付の特許請求の範囲により詳細に記載される発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者によって実施されてよい。加えて、種々の実施例の態様は、全体又は一部が相互に入れ替え可能であり得ることを理解されたい。さらに、当業者は、上述の記載が単なる一例であり、そのような添付の特許請求の範囲にさらに記載されるような発明を限定することは意図されていないことを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる形式の例示の記載に限定されるべきではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
【国際調査報告】